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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240517BHJP
   G01C 15/04 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G01C15/00 103A
G01C15/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020148765
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043474
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】505466295
【氏名又は名称】株式会社イクシス
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 文敬
(72)【発明者】
【氏名】狩野 高志
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-317268(JP,A)
【文献】特開2008-151635(JP,A)
【文献】特開2019-132700(JP,A)
【文献】特開2020-020750(JP,A)
【文献】特開2006-078427(JP,A)
【文献】特開2006-342613(JP,A)
【文献】特開2016-079594(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1010334(KR,B1)
【文献】特開2002-202357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土地の境界を示す境界標と、前記土地の範囲内における建築物の建築範囲を示す丁張りと、を検査する検査システムであって、
レーザスキャナによる前記境界標および前記丁張りの計測結果である三次元点群データと、前記土地および前記丁張りを示す設計データと、を取得するデータ取得手段と、
前記三次元点群データに含まれる点群データを解析して、前記境界標が示している境界の位置情報および前記丁張りの所定箇所の位置情報を解析する点群解析手段と、
前記点群解析手段によって解析された前記境界標が示している境界の位置情報および前記丁張りの前記所定箇所の位置情報と、前記データ取得手段によって取得された前記設計データが示す前記土地および前記丁張りと、を比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果を出力する出力手段と、
を備える検査システム。
【請求項2】
前記境界標は、当該境界標が示す境界の位置に応じて複数種類の境界標を有し、
前記境界標に当該境界標を示す境界標マーカを設け、
前記境界標マーカは、前記境界標の種類に応じて異なる色で構成されており、
前記データ取得手段によって取得される三次元点群データは、色情報と位置情報とを含んでおり、
前記点群解析手段は、
前記境界標マーカについて予め指定された情報に適合する前記色情報と前記位置情報とを含む点群データの集合体を、前記境界標マーカを構成する点群データとして推定し、
推定した前記境界標マーカを構成する点群データを解析することにより、前記境界標が示している境界の位置情報を解析することを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記境界標マーカは、底面に対して略平行な上面を有しており、
前記境界標マーカの上面は、付設する前記境界標の種類に応じて異なる配色で構成され、かつ、多角形になっており、
前記点群解析手段は、
推定した前記境界標マーカを構成する点群データのうち、当該境界標マーカの前記上面と推定される点群データの色情報を解析して、当該境界標マーカを付設した前記境界標の種類を特定し、
推定した前記境界標マーカを構成する点群データに対してエッジ解析をすることによって、当該境界標マーカの前記上面の辺の位置を特定し、
特定した前記境界標の種類と、特定した当該境界標マーカの前記上面の辺の位置と、に基づいて、当該境界標マーカを付設した前記境界標が示している境界の位置情報を求めることを特徴とする請求項2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記土地には、前記境界標が複数設けられており、
前記複数の境界標のうち、少なくとも2つの境界標に前記境界標マーカが備えられていることを特徴とする請求項2または3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記丁張りの前記所定箇所には、当該丁張りの所定箇所を示す杭マーカを設け、
前記境界標マーカと前記杭マーカとは異なる色で構成され、
前記点群解析手段は、
前記杭マーカについて予め指定された情報に適合する前記色情報と前記位置情報とを含む点群データの集合体を、前記杭マーカを構成する点群データとして推定し、
推定した前記杭マーカを構成する点群データと、当該杭マーカの両隣に推定された前記杭マーカを構成する点群データとを解析することにより、前記丁張りの前記所定箇所の位置情報を解析することを特徴とする請求項2から4何れか一項に記載の検査システム。
【請求項6】
前記比較手段は、前記点群解析手段の解析結果に基づき、前記データ取得手段によって取得された前記設計データが示す前記土地および前記丁張りと、を比較し、差分として算出する機能を含み、
前記出力手段を制御する出力制御手段をさらに備え、
前記出力制御手段は、前記点群解析手段の解析結果に基づく前記土地の範囲を示す枠と、前記点群解析手段の解析結果に基づく前記丁張りの範囲を示す枠と、前記設計データが示す前記土地の範囲を示す枠と、前記設計データが示す前記丁張りの範囲を示す枠と、を前記出力手段に出力し、さらに、前記比較手段によって算出された差分に基づき比較結果を前記出力手段に出力することを特徴とする請求項1から5いずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土地の境界および建築物の建築範囲を示す丁張りを計測する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物等を建築する際に、設計図に示された土地の境界および建築物の建築範囲を示す丁張りに対し、張られた丁張りの範囲が正しいか否かを確認することは、建築工程において重要な事項であるが、コンベックスなどを用いて計測していたため、読み違いなどによるずれが発生し問題となっていた。そこで、敷地の測量時にGPSアンテナを設けた基準点および所要ポイントにGPSアンテナを設け、敷地の測量時にGPS受信装置により計測し、基準点および所要ポイントの位置座標を図面作成ソフトに落とし込み、計測された位置情報と設計された地縄又は遣り方の位置を確認する手法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-223757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、基準点および所要ポイントにGPSアンテナを設け、GPS衛星からの電波を受信装置で受信することで基準点および所要ポイントの位置座標を計測していたため、大がかりなシステムとなる問題があった。
【0005】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、設計図に示された土地の境界および建築物の建築範囲を示す丁張りに対し、張られた丁張りの範囲が正しいか否かを効率的かつ正確に検査可能としうる検査システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、土地の境界を示す境界標と、前記土地の範囲内における建築物の建築範囲を示す丁張りと、を検査する検査システムであって、レーザスキャナによる前記境界標および前記丁張りの計測結果である三次元点群データと、前記土地および前記丁張りを示す設計データと、を取得するデータ取得手段と、前記三次元点群データに含まれる点群データを解析して、前記境界標が示している境界の位置情報および前記丁張りの所定箇所の位置情報を解析する点群解析手段と、前記点群解析手段によって解析された前記境界標が示している境界の位置情報および前記丁張りの前記所定箇所の位置情報と、前記データ取得手段によって取得された前記設計データが示す前記土地および前記丁張りと、を比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果を出力する出力手段と、を備える検査システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設計図に示された土地の境界および建築物の建築範囲を示す丁張りに対し、張られた丁張りの範囲が正しいか否かを効率的かつ正確に検査可能としうる検査システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】境界標KPが設けられた土地の概念図である。
図2】境界標KPと杭KIとのイメージ図である。
図3】境界標KPと境界標マーカKPM、および、杭KIと杭マーカKIMのイメージ図である。
図4】境界標KPに境界標マーカKPMを付設したイメージ図である。
図5】杭KIと杭マーカKIMを設けたイメージ図である。
図6】境界標KPに境界標マーカKPMを、杭KIに杭マーカKIMを付設し、レーザスキャナRSで計測するイメージ図である。
図7】検査システム100のブロック図である。
図8】点群解析手段120で行う処理のフローチャートである。
図9】境界標マーカKPMの解析処理のフローチャートである。
図10】杭マーカKIMの解析処理のフローチャートである。
図11】出力手段140に出力された土地と丁張りの設計データの出力イメージである。
図12】出力手段140に出力された土地と丁張りの設計データと、土地と丁張りの解析データとを比較した際の出力イメージである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
<境界標KPと杭KIについて>
まず、図1~6を用いて本検査システムの計測対象である境界標KPと杭KIについて説明する。
図1は、境界標KPが設けられた土地の概念図である。
図2は、境界標KPと杭KIとのイメージ図である。
図3は、境界標KPと境界標マーカKPM、および、杭KIと杭マーカKIMのイメージ図である。
図4は、境界標KPに境界標マーカKPMを付設したイメージ図である。
図5は、杭KIと杭マーカKIMを設けたイメージ図である。
図6は、境界標KPに境界標マーカKPMを、杭KIに杭マーカKIMを付設し、レーザスキャナRSで計測するイメージ図である。
【0011】
図1に示すように、土地には、土地の所有者が所有する範囲を示す境界標KPが設置されており、境界標KPが示す境界位置を境界線TLでつないだ内側の領域を当該所有者が所有する土地とする。
ここで、境界標は、境界の目印であり、折れ点部分に設置されている。また、境界標は、境界標の上面に付されている記号によって、当該境界標が示している境界位置が異なる。
図2は、境界標KPと杭KIとのイメージ図である。以下に、各境界標KPが持つ意味を説明する。なお、(b)杭KIについては後述する。
(a)境界標KPについて
左から1番目の中央に○が付された境界標KPは、○の中心が境界点を示している。
左から2番目の下向き矢印が付された境界標KPは、矢印の先端が境界点を示している。
左から3番目の十字が付された境界標KPは、十字中央が境界点を示している。
左から4番目の左下斜め向き矢印が付された境界標KPは、矢印の先端(境界標の左下角)が境界点を示している。
左から5番目の逆T字が付された境界標KPは、横線と縦線が交わった部分が境界点を示している。
ここで、一般的な境界標KPは地表面に出ている部分のサイズが、高さ1センチメートル、縦5センチメートル、横5センチメートル程度である。したがって、3Dレーザスキャナで計測した場合、境界標KPを把握出来ない可能性が高く、仮に、境界標KPとして把握できたとしても上面に付されている記号までは把握できない。
そこで、本実施形態では、図3に示すように各境界標KPに対し、境界標KPよりサイズが大きく、表面の色または模様で各境界標KPの種類を識別できる境界標マーカKPMを設け、当該境界標マーカKPMを境界標KPに付設し、3Dレーザスキャナで計測可能にする。
【0012】
図3は、境界標KPと境界標マーカKPM、および、杭KIと杭マーカKIMのイメージ図である。なお、杭マーカKIMについては後述する。
本実施形態において、境界標マーカKPMは地表面に出ている部分のサイズが、高さ20センチメートル、縦10センチメートル、横10センチメートルの角柱とする。なお、境界標マーカKPMは、境界標KPに載せる、または、地表面に出ている部分の他、地中に埋設させる部分を他に設けるようにしてもよい。
また、境界標マーカKPMの表面は次の通りとする。
a)左から1番目の中央に○が付された境界標KPに対する境界標マーカKPMは、表面を赤色とする。また、境界標マーカKPMの上面中央を基準位置とする。
b)左から2番目の下向き矢印が付された境界標KPに対する境界標マーカKPMは、表面を青色の高さ20センチメートル、縦5センチメートル、横10センチメートルの角柱1つと、表面を白色の高さ20センチメートル、縦5センチメートル、横10センチメートルの角柱1つとを組み合わせたものとする。なお、別体の角柱2つを組み合わせたものの他、高さ20センチメートル、縦10センチメートル、横10センチメートルの角柱の表面に同様の青色と白色を塗布するようにしてもよい。また、境界標マーカKPMの上面の青色の辺の中央を基準位置とする。
c)左から3番目の十字が付された境界標KPに対する境界標マーカKPMは、表面を青色の高さ20センチメートル、縦5センチメートル、横5センチメートルの角柱2つと、白色の高さ20センチメートル、縦5センチメートル、横5センチメートルの角柱2つとを市松模様のように組み合わせたものとする。なお、別体の角柱4つを組み合わせたものの他、高さ20センチメートル、縦10センチメートル、横10センチメートルの角柱の表面に同様の青色と白色を塗布するようにしてもよい。また、境界標マーカKPMの上面中央を基準位置とする。
d)左から4番目の左下斜め向き矢印が付された境界標KPに対する境界標マーカKPMは、表面を青色の高さ20センチメートル、2辺が10センチメートルの直角三角形を有する三角柱1つと、表面を白色の高さ20センチメートル、2辺が10センチメートルの直角三角形を有する三角柱1つとを組み合わせたものとする。なお、別体の三角柱2つを組み合わせたものの他、高さ20センチメートル、縦10センチメートル、横10センチメートルの角柱の表面に同様の青色と白色を塗布するようにしてもよい。また、境界標マーカKPMの上面の青色と白色とで構成される角を基準位置とする。
e)左から5番目の逆T字が付された境界標KPに対する境界標マーカKPMは、表面を青色の高さ20センチメートル、縦5センチメートル、横5センチメートルの角柱1つと、白色の高さ20センチメートル、縦5センチメートル、横5センチメートルの角柱3つとを組み合わせたものとする。なお、別体の角柱4つを組み合わせたものの他、高さ20センチメートル、縦10センチメートル、横10センチメートルの角柱の表面に同様の青色と白色を塗布するようにしてもよい。また、境界標マーカKPMの上面の青色と白色で構成される辺の中央を基準位置とする。
なお、境界標マーカKPMの大きさ、表面の色または模様は一例であって他の色または模様であってもよく、計測に用いる3Dレーザスキャナの性能を考慮して適宜決定すればよい。ただし、本実施形態では、後述するように境界標マーカKPMの上面に対しエッジ推定を行い、上面の辺を推定し、推定した上面の色または模様に基づき境界標KPの種類を求めるため、境界標KPの種類と上面の色または模様とを一対一で対応付けることが好ましい。
また、各境界標マーカKPMに設けた「基準位置」は、後述するように、境界標KPに境界標マーカKPMを付設する際に基準とする位置として用いる。
【0013】
図4は、境界標KPに境界標マーカKPMを付設したイメージ図である。
図4に示すように、境界標KPの上面に境界標マーカKPMを覆い被せるように付設する。なお、図4は境界標KPと境界標マーカKPMとの配置について説明するためであり、土地と、境界標KPおよび境界標マーカKPMとの面積比率は実際のものとは異なる。
図4に示すように、境界標マーカKPMは、当該境界標マーカKPMの基準位置と、付設する境界標KPの境界点が垂直方向で一致するように覆い被せる。
【0014】
ここで、杭KIと杭マーカKIMについて、図2、3に基づき説明する。
図2(b)は、杭KIのイメージ図である。
杭KIは、工事に着手する際に、土地に対して建物の位置(範囲)を決めた丁張りを明確するために用いる。そして、この丁張りが設計図に対して正確に行われていることがその後の工事にとって重要なポイントとなる。
杭マーカKIMは、図3に示したように、境界マーカKPMと異なる態様(本実施形態では表面の色)とする。なお、図3では、境界マーカKPMと杭マーカKIMは同じ高さで表現しているが、各マーカを設ける位置を考慮し、異なる大きさとしてもよい。
【0015】
ここで、図5に基づき、丁張りおよび杭KIと杭マーカKIMの設け方について説明する。図5は、杭KIと杭マーカKIMを設けたイメージ図である。
杭KIを建築予定物から1メートル程度離れた場所に当該建築予定物の配置される周囲に打ち込み、杭KIの建築予定物の基礎の天端よりも少し高い位置に貫板NIを設ける。なお、図5では貫板NIを杭KIの外側に設けたが、杭KIの内側に設けてもよい。
次に境界からの寸法を測り、貫板NIに建物の通り芯をマークし、当該通り芯に糸CLを張る。そして、当該糸CLが建築予定物の通り芯の位置となり、糸CLで囲われた範囲CLRが建物の位置(範囲)である。
ここで、3Dレーザスキャナで丁張りを計測した場合、糸CLは細いため、糸CLを把握出来ない可能性が高く、そうすると、建物の位置(範囲)を計測できない可能性が高い。
そこで、本実施形態では杭KIの内側に張られた糸CLで構成される角の内側に沿うように丁張りの所定箇所を示す杭マーカKIMを設け、当該杭マーカKIMを3Dレーザスキャナで計測するようにする。
ここで、図5に示すように、本実施形態において、杭マーカKIMは、地表面に出ている部分のサイズが、高さ40センチメートル、縦10センチメートル、横10センチメートルの角柱とし、表面を黄色とする。なお、杭マーカKIMの大きさは一例であり、3Dレーザスキャナの性能等を考慮し、適したサイズとすればよい。
【0016】
図6は、境界標KPに境界標マーカKPMを、杭KIに杭マーカKIPを付設し、レーザスキャナRSで計測するイメージ図である。
境界標KP、境界標マーカKPM、杭KI、および、杭マーカKIMを上述したとおりに設ける。
そして、地上に配置したレーザスキャナRSにより、境界標KP、境界標マーカKPM、杭KI、および、杭マーカKIMを計測する。なお、レーザスキャナRSを設ける位置は、境界標KP、境界標マーカKPM、杭KI、および、杭マーカKIMを計測するために適した位置を適宜選択すればよく、図6では、境界標KP、境界標マーカKPM、杭KI、および、杭マーカKIMの外側に配置することを例示したが、これに限らず、例えば、内側に配置してもよい。
このように、既存の境界標KPおよび既存の杭KIには手を加えず、簡単な構造である境界標マーカKPMおよび杭マーカKIMを付設し、レーザスキャナRSで計測し、計測された三次元点群データを解析することで、境界標KPおよび建築物の建築範囲CLRを推定することができるため、設計図に示された土地の境界および建築物の建築範囲を示す丁張りに対し、張られた丁張りの範囲が正しいか否かを効率的に検査することができる。
【0017】
<検査システムの概要および処理内容について>
次に、図7図10を用いて、本検査システムの概要および処理内容について説明する。
図7は、検査システム100のブロック図である。
図8は、点群解析手段120および比較手段130で行う処理のフローチャートである。
図9は、境界標マーカKPMの解析処理のフローチャートである。
図10は、杭マーカKIMの解析処理のフローチャートである。
【0018】
まず、図7に基づき検査システム100の概要を説明する。
検査システム100は、後述する各種の処理を実行可能な情報処理端末である。なお、図示してはいないが、検査システム100は、キーボード、ポインティングデバイスなどの入力装置、演算処理装置、記憶部等を備えている。
【0019】
検査システム100は、データ取得手段110、点群解析手段120、比較手段130、および、出力手段140を備えている。
データ取得手段110は、境界標マーカKPMおよび杭マーカKIMをレーザスキャナRSで測定して得られる三次元点群データを取得する。また、土地および丁張りの設計データも取得する。
点群解析手段120は、データ取得手段110で取得した境界標マーカKPMおよび杭マーカKIMの三次元点群データを解析し、境界標KPおよび杭KIの位置を推定する。
比較手段130は、点群解析手段120で推定した境界標KPおよび杭KIの位置と、データ取得手段110で取得した土地および丁張りの設計データと、を比較する。
出力手段140は、点群解析手段120によって推定され、比較手段130によって比較された結果を出力する。出力手段としては、プリンターなどの印字装置やディスプレイ装置など、比較手段130によって比較された結果を作業者などが確認できれば出力装置の種類は問わず、検査システム100の外部に設けられた所定の出力装置に対応した形式で出力する。また、出力内容は、推定された境界標KPおよび杭KIの位置と、設計データの土地および丁張りと、の差(数値)、または、所定の範囲内か否かなど、作業者などが必要としている形式、情報を出力するようにすればよい。
【0020】
次に、図8に基づき点群解析手段120で行う処理について説明する。
ステップS100では、レーザスキャナRSを用いて境界標マーカKPMおよび杭マーカKIMを含んだ土地および丁張りをスキャンニングし、その測定結果を三次元点群データとして生成されたデータを取得する。
レーザスキャナRSによって生成された三次元点群データは、レーザスキャナRSから直接的に又は他の装置を介して間接的に、検査システム100(データ取得手段110)によって取得される。
【0021】
ステップS110では、土地および丁張りの設計データを取得する。
設計データは、所定の設計・図面作成ソフトウェアで作成された土地および丁張りの設計図であり、当該設計データから境界標KPおよび杭KIの位置データを読み込む。
【0022】
ステップS120では、ステップS100で取得した三次元点群データを解析する。
取得した三次元点群データを解析し、当該三次元点群データの色データが境界標マーカKPMに該当する三次元点群データか、杭マーカKIMに該当する三次元点群データか、それ以外の三次元点群データかを解析する。
なお、本実施形態では、レーザスキャナRSで計測したデータに対し、当該計測時にカメラで撮影した画像から色情報を付加した三次元点群データをデータ取得手段110から取得する。
ここで、三次元点群データの色データを解析すると、境界標マーカKPMとして指定されている色情報を持つ三次元点群データの集合体、杭マーカKIMとして指定されている色情報を持つ三次元点群データの集合体を抽出できる。そして、抽出した集合体が境界標マーカKPMおよび杭マーカKIMの大きさ程度である場合、集合体単位で、ステップS140またはステップS170の処理を行う。
なお、上述したように、本実施形態の場合、境界標マーカKPMは地表面に出ている部分の大きさを縦10センチメートル、横10センチメートル、高さ20センチメートルとしており、杭マーカKIMは地表面に出ている部分の大きさを縦10センチメートル、横10センチメートル、高さ40センチメートルとしているため、当該大きさ程度の三次元点群データの集合体を抽出できた場合、ステップS140またはステップS170の処理を行う。
【0023】
ステップS130では、ステップS120で解析した結果、三次元点群データが境界標マーカKPMに相当するデータか判定し、境界標マーカKPMに相当するデータの場合、ステップS140へ進み、境界標マーカKPMに相当するデータでない場合はステップS160へ進む。
【0024】
<境界標マーカKPMの解析処理について>
ステップS140では、三次元点群データが境界標マーカKPMに相当するデータであるため、境界標マーカKPMに相当する解析処理を行う。この解析処理については、図9の境界標マーカKPMの解析処理のフローチャートを用いて説明する。
【0025】
ステップS141では、取得した境界標マーカKPMに相当する三次元点群データを解析して、その三次元空間上における境界標マーカKPMの上面として推定される点群データを求める。ここで「境界標マーカKPMの上面として推定される点群データ」は、同じ水平面上に存在する点群データ(同じ高さに存在する点群データ)のみに限られず、所定寸法内において高さのバラツキを許容することが望ましい。
【0026】
ステップS142では、ステップS141で推定した境界標マーカKPMの上面を基準として、高さ方向について上面より下方側に所定寸法内に収まる三次元点群データを解析することによって境界標マーカKPMの上面の縁(エッジ)の位置を推定し、推定した境界標マーカKPMの縁の位置を境界標マーカKPMの上面の辺として求める。
上述のように、上面と同じ高さの点群データに限らず、その下方側に所定寸法分の領域に存在する三次元点群データもエッジ解析の対象に含める。これにより、検査システム100は、上面から下方側の所定寸法分の領域に存在する三次元点群データから境界標マーカKPMの側面が特定でき、その側面と上面とを交差させて生じる直線を境界標マーカKPMの縁として推定することができる。
【0027】
ステップS143では、ステップS142で推定した境界標マーカKPMの上面の配色を解析し、図3に示した境界標マーカKPMの種類を推定する。
図3に示したように、境界標マーカKPMの種類によって境界標マーカKPMの上面の配色が異なるため、ステップS142で特定した上面の三次元点群データに含まれる色情報を解析することにより、境界標マーカKPMの種類を推定する。
【0028】
ステップS144では、ステップS143で推定した境界標マーカKPMの種類と、境界標マーカKPMに相当する三次元点群データの位置情報と、から当該境界標マーカKPMを付設した境界標KPが示す境界点の位置を推定する。
ここで、上述したように、境界標KPは、当該境界標KPの上面に記載された記号によって指している境界点が異なり、それに伴い、境界標マーカKPMの上面の色または模様が異なる境界標マーカKPMを付設している。
そこで、本実施形態の場合の、境界標マーカKPMごとの境界標KPの位置の推定方法を説明する。
a)境界標マーカKPMの上面が赤単色の場合(図3の左から1番目の境界標マーカKPMの場合)
図3に示すように、上面が赤単色の境界標マーカKPMが付設されている境界標KPは、当該境界標KPの上面に付された〇の中心が境界点を示している。
そこで、特定した境界標マーカKPMの上面の全ての縁(辺)から構成される多角形の中心の水平成分(中心の水平部分の位置情報)を境界標KPの境界点位置として推定する。
b)境界標マーカKPMの上面が当該上面の中心線によって白色と青色とに色分けされている場合(図3の左から2番目の境界標マーカKPMの場合)
図3に示すように、上面が上面の中心線によって白色と青色とに色分けされている境界標マーカKPMが付設されている境界標KPは、当該境界標KPの上面に付された矢印の矢の位置(所定の辺の中心位置)が境界点を示している。
そこで、特定した境界標マーカKPMの上面の辺のうち、1辺全て青が配色された辺の水平成分の中心(青が配色された辺の水平部分の中心位置の位置情報)を境界標KPの境界点位置として推定する。
c)境界標マーカKPMの上面に青色、白色の市松模様が付されている場合(図3の左から3番目の境界標マーカKPMの場合)
図3に示すように、上面が青色と白色とによる市松模様の境界標マーカKPMが付設されている境界標KPは、当該境界標KPの上面に付された十字中央が境界点を示している。
そこで、特定した境界標マーカKPMの上面の全ての縁(辺)から構成される多角形の中心の水平成分(中心の水平部分の位置情報)を境界標KPの境界点位置として推定する。
d)境界標マーカKPMの上面が当該上面の1角と対向する角との中心線によって白色と青色とに色分けされている場合(図3の左から4番目の境界標マーカKPMの場合)
図3に示すように、上面が青色の直角三角形と白色の直角三角形で構成されている境界標マーカKPMが付設されている境界標KPは、当該境界標KPの上面に付された、矢印の先端(図3では、境界標の左下角)が境界点を示している。
そこで、特定した境界標マーカKPMの上面の青色が配色された辺と白色が配色された辺によって構成される角の水平成分を境界標KPの境界点位置として推定する。
e)境界標マーカKPMの上面の1/4(正方形)が青色、3/4が白色と、に色分けされている場合(図3の左から5番目の境界標マーカKPMの場合)
図3に示すように、上面の1/4(正方形)が青色、3/4が白色と、に色分けされた境界標マーカKPMが付設されている境界標KPは、当該境界標KPの上面に付された縦線と横線が交わった部分が境界点を示している。
そこで、特定した境界標マーカKPMの上面の青色と白色と、で構成される辺の中心位置の水平成分を境界標KPの境界点位置として推定する。
【0029】
図8に戻り、ステップS150では、ステップS140で推定した境界標KPの位置と、ステップS110で取得した土地の設計データとを比較する。
【0030】
ステップS160では、ステップS130で三次元点群データが境界標マーカKPMに相当するデータでないと判定された場合に、ステップS130で解析した三次元点群データが杭マーカKIMに相当するデータを判定し、杭マーカKIMに相当する場合、ステップS170へ進み、杭マーカKIMに相当しない場合、本処理を終了する。
【0031】
ステップS170では、三次元点群データが杭マーカKIMに相当するデータであるため、杭マーカKIMに相当する解析処理を行う。この解析処理については、図10の杭マーカKIMの解析処理のフローチャートを用いて説明する。
【0032】
<杭マーカKIMの解析処理について>
ステップS171では、取得した杭マーカKIMに相当する三次元点群データを解析して、その三次元空間上における杭マーカKIMの上面として推定される点群データを求める。ここで「杭マーカKIMの上面として推定される点群データ」が、同じ水平面上に存在する点群データ(同じ高さに存在する点群データ)のみに限られず、所定寸法内において高さのバラツキを許容することが望ましい点については、上述したステップS141の処理と同様である。
【0033】
ステップS172では、ステップS171で特定した杭マーカKIMの上面を基準として、高さ方向について上面より下方側に所定寸法内に収まる三次元点群データを解析することによって杭マーカKIMの上面の縁(エッジ)の位置を推定し、推定した杭マーカKIMの縁の位置を杭マーカKIMの上面の辺として求める。
上述のように、上面と同じ高さの点群に限らず、その下方側に所定寸法分の領域に存在する三次元点群データもエッジ解析の対象に含める。これにより、検査システム100は、上面から下方側の所定寸法分の領域に存在する三次元点群データから杭マーカKIMの側面が特定でき、その側面と上面とを交差させて生じる直線を杭マーカKIMの縁として推定することができる。
【0034】
ステップS173では、ステップS172で推定した杭マーカKIMに相当する三次元点群データの位置情報から、当該杭マーカKIMを設けた建築物の建築範囲CLRを推定する。
ここで、ステップS172で推定した杭マーカKIMの縁のうち、建物が建てられる範囲CLRの中心に対して外側に位置する縁を水平方向に延長するように仮想線を描く。このとき、建物が建てられる範囲CLRの中心が何処に位置するかは、ステップS172で推定した全ての杭マーカKIMの縁の位置に基づいて解析することができる。ただし、本実施形態のように、建築物の建築範囲CLRの形状がシンプルなものである場合は、当該杭マーカKIMの両隣の杭マーカKIMの推定結果に基づき推定することも可能である。
そして、仮想線と仮想線とが交わる位置情報を推定する。仮想線と仮想線とが交わる位置が丁張りの所定箇所であり、建物が建てられる範囲CLRの中心方向に対し杭マーカKIMの外側の角とほぼ一致する。
全ての杭マーカKIMに対し同様の処理を行い、全ての仮想線で囲われた範囲が建築物の建築範囲CLMを示す丁張りとして推定される。
【0035】
図8に戻り、ステップS180では、ステップS170で推定した建築物の建築範囲CLMと、ステップS110で取得した丁張りの設計データとを比較する。
【0036】
<出力手段について>
次に、図11図12を用いて、出力手段140への出力イメージについて説明する。
図11は、出力手段140に出力された土地と丁張りの設計データの出力イメージである。
図12は、出力手段140に出力された土地と丁張りの設計データと、土地と丁張りの解析データとを比較した際の出力イメージである。
【0037】
本実施例において、出力手段140は、ディスプレイ装置とするが、プリンターなどの印字装置や音声装置としてもよい。
図11に示すように、データ取得手段110で取得した土地の設計データと丁張りの設計データを表示する。図11のTLDは、土地の範囲を示し、また、CLDは、建築物の範囲を示している。
次に、図12に示すように、図11の設計データに重ねるように、点群解析手段120で推定した土地の推定値と建築物の推定値を表示する。図12のTLMは、推定された土地の範囲を示し、また、CLMは推定された建築物の範囲を示している。
ここで、設計データによる土地の範囲TLDと推定された土地の範囲TLMとが一致するため、両範囲が重なって表示される。
一方、設計データによる建築物の範囲CLDと推定された建築物の範囲CLMとがずれて表示されている。これは、設計データによる建築物の範囲CLDと推定された建築物の範囲CLMとが異なることを示しており、杭KIもしくは糸を設けた位置が誤っている可能性が高いことを作業者は把握することができる。
なお、表示内容はこれに限らず、例えば、設計データによる土地の範囲TLDと推定された土地の範囲TLMが一致することを示す文字情報と、設計データによる建築物の範囲CLDと推定された建築物の範囲CLMが一致しないことを示す文字情報と、を表示するだけでもよい。また、設計データによる建築物の範囲CLDと推定された建築物の範囲CLMがどの程度、どの部分が一致していないのか、数値情報も表示するようにしてもよい。
【0038】
本発明の実施は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形、改良等が可能である。
本実施形態では、境界標マーカKPMを全ての境界標KPに設けたが、境界標KPが設けられている位置によっては、境界標マーカKPMを付設出来ない場合がある。この場合でも、少なくとも2箇所の境界標KPに境界標マーカKPMを付設し、当該2箇所の境界標KPの位置を推定できれば、土地の設計データに重ねることは可能である。
したがって、他の建造物(例えば境界上の塀)に埋もれている境界標KPがあったとしても、少なくとも2箇所の境界標KPに境界標マーカKPMを付設できれば、レーザスキャナRSによる計測を行い、土地の設計データとの比較を行えるため、活用機会を増やすことができる。
【0039】
本実施形態では、仮想線と仮想線とが交わる位置を丁張りの所定箇所とし、建物が建てられる範囲CLRを推定することしたが丁張りの所定箇所は他の位置でもよい。例えば、建築予定物から1メートル程度離れた場所に打ち込んだ杭KIの位置を丁張りの所定箇所としてもよい。この場合、杭KIの所定の辺に沿うように杭マーカKIMを設け、杭マーカKIMの位置の推定を行った後、杭KIが示す境界点(例えば、杭KIの上面の中心)の値、杭KIの大きさおよび杭マーカKIMの大きさを考慮し、杭KIが示す境界点までのずれを補正する処理を行うことで丁張りの所定箇所を推定することが可能となる。
【0040】
本実施形態では、杭マーカKIMを糸CLの内側に設けたが、糸CLが交差する位置に杭マーカKIMの中心が一致するように設けてもよい。この場合、ステップS173では、ステップS172で推定した杭マーカKIMに相当する三次元点群データの位置情報から、杭マーカKIMの上面の中心位置を推定し、建築物の範囲CLMを推定してもよい。
また、本実施形態では、杭マーカKIMを単色で構成するようにしたが、例えば、図3の左から5番目の境界標マーカのように、杭マーカKIMの上面の1/4(正方形)が黄色、3/4が白色と、に色分けしたものを用いてもよい。この場合、杭マーカKIMの黄色部分の両辺が糸CLに接触するように設けることにより、杭マーカKIMの縁のうち黄色と白色で構成される縁の仮想線を描くようにすればよく、建築物の範囲CLMの中心方向を推定する必要がなくなる。
【0041】
本実施形態において、建築物の建築範囲CLRは、上述したように、杭KIを打ち込んだ後、境界からの位置に基づき、糸を張り、決定している。建築物等を建築する際に、建築物の建築範囲を示す方法としては、本実施形態の丁張りの他に、「地縄張り」がある。丁張りと地縄張りとでは、丁張りでは張られる糸が地上から所定の高さに設けられるのに対し、地縄張りでは張られる糸が地表面に設けられる点で異なる。また、丁張りは、杭KIを打ち込み、杭KIに設けた貫板NIに対し糸を張るのに対し、地縄張りは杭KIや貫板NIを設けることなく糸を張る点で異なる。しかし、何れの場合でも、糸(もしくは縄)で囲われた部分は建築物の建築範囲を示していることから、地縄張りは丁張りに含まれるものと捉えることができる。
そして、地縄張りに用いられる縄もしくは糸も3Dレーザスキャナで計測した場合、把握出来ない可能性が高く、そうすると、建物の位置(範囲)を計測できない可能性が高い。そこで、本検査システムと同様に、地縄張りの内側に地縄マーカを設け、地縄マーカを3Dレーザスキャナで計測し、地縄マーカの位置を推定することにより建物の位置(範囲)を推定するようにすることも可能である。このようにすることで、設計図に示された土地の境界および建築物の建築範囲に対し、地縄張りの範囲が正しいか否かを効率的かつ正確に検査可能となる。
【0042】
<付記>
本実施形態は、次のような技術思想を包含する。
(1)土地の境界を示す境界標と、前記土地の範囲内における建築物の建築範囲を示す丁張りと、を検査する検査システムであって、レーザスキャナによる前記境界標および前記丁張りの計測結果である三次元点群データと、前記土地および前記丁張りを示す設計データと、を取得するデータ取得手段と、前記三次元点群データに含まれる点群データを解析して、前記境界標が示している境界の位置情報および前記丁張りの所定箇所の位置情報を解析する点群解析手段と、前記点群解析手段によって解析された前記境界標が示している境界の位置情報および前記丁張りの前記所定箇所の位置情報と、前記データ取得手段によって取得された前記設計データが示す前記土地および前記丁張りと、を比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果を出力する出力手段と、を備える検査システム。
(2)前記境界標は、当該境界標が示す境界の位置に応じて複数種類の境界標を有し、前記境界標に当該境界標を示す境界標マーカを設け、前記境界標マーカは、前記境界標の種類に応じて異なる色で構成されており、前記データ取得手段によって取得される三次元点群データは、色情報と位置情報とを含んでおり、前記点群解析手段は、前記境界標マーカについて予め指定された情報に適合する前記色情報と前記位置情報とを含む点群データの集合体を、前記境界標マーカを構成する点群データとして推定し、推定した前記境界標マーカを構成する点群データを解析することにより、前記境界標が示している境界の位置情報を解析することを特徴とする(1)に記載の検査システム。
(3)前記境界標マーカは、底面に対して略平行な上面を有しており、前記境界標マーカの上面は、付設する前記境界標の種類に応じて異なる配色で構成され、かつ、多角形になっており、前記点群解析手段は、推定した前記境界標マーカを構成する点群データのうち、当該境界標マーカの前記上面と推定される点群データの色情報を解析して、当該境界標マーカを付設した前記境界標の種類を特定し、推定した前記境界標マーカを構成する点群データに対してエッジ解析をすることによって、当該境界標マーカの前記上面の辺の位置を特定し、特定した前記境界標の種類と、特定した当該境界標マーカの前記上面の辺の位置と、に基づいて、当該境界標マーカを付設した前記境界標が示している境界の位置情報を求めることを特徴とする(2)に記載の検査システム。
(4)前記土地には、前記境界標が複数設けられており、前記複数の境界標のうち、少なくとも2つの境界標に前記境界標マーカが備えられていることを特徴とする(2)または(3)に記載の検査システム。
(5)前記丁張りの前記所定箇所には、当該丁張りの所定箇所を示す杭マーカを設け、前記境界標マーカと前記杭マーカとは異なる色で構成され、前記点群解析手段は、前記杭マーカについて予め指定された情報に適合する前記色情報と前記位置情報とを含む点群データの集合体を、前記杭マーカを構成する点群データとして推定し、推定した前記杭マーカを構成する点群データと、当該杭マーカの両隣に推定された前記杭マーカを構成する点群データとを解析することにより、前記丁張りの前記所定箇所の位置情報を解析することを特徴とする(2)から(4)何れか一に記載の検査システム。
(6)前記比較手段は、前記点群解析手段の解析結果に基づき、前記データ取得手段によって取得された前記設計データが示す前記土地および前記丁張りと、を比較し、差分として算出する機能を含み、前記出力手段を制御する出力制御手段をさらに備え、前記出力制御手段は、前記点群解析手段の解析結果に基づく前記土地の範囲を示す枠と、前記点群解析手段の解析結果に基づく前記丁張りの範囲を示す枠と、前記設計データが示す前記土地の範囲を示す枠と、前記設計データが示す前記丁張りの範囲を示す枠と、を前記出力手段に出力し、さらに、前記比較手段によって算出された差分に基づき比較結果を前記出力手段に出力することを特徴とする(1)から(5)いずれか一に記載の検査システム。
【符号の説明】
【0043】
100 検査システム
110 データ取得手段
120 点群解析手段
130 比較手段
140 出力手段
KI 杭
KIM 杭マーカ
KP 境界標
KPM 境界標マーカ
RS レーザスキャナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12