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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】制御システム、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240517BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20240517BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240517BHJP
【FI】
G08B25/04 H
G06Q10/00
G06Q50/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021105996
(22)【出願日】2021-06-25
(65)【公開番号】P2023004369
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】原田 健司
(72)【発明者】
【氏名】西田 直央
(72)【発明者】
【氏名】藏野 隆
(72)【発明者】
【氏名】前田 学
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 智之
(72)【発明者】
【氏名】田原 整
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-053771(JP,A)
【文献】特開2018-190018(JP,A)
【文献】特開2021-018555(JP,A)
【文献】国際公開第2019/130674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 25/04
G06Q 10/00
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置された機器の状態を示す情報、及び、前記施設に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得部と、
取得された前記第一情報の分析を行い、前記分析の結果得られる前記施設の利用者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部に記憶する分析部と、
前記第一情報が取得された後に前記取得部によって取得された第二情報であって、前記機器の状態を示す情報及び前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、前記記憶部に記憶された前記行動特性情報とに基づいて、前記施設のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力部とを備え
前記出力部は、取得された前記第二情報と、前記記憶部に記憶された前記行動特性情報とに基づいて、行動に関する複数の項目のそれぞれについて前記利用者の行動とみなせるか否かの判定を行い、前記複数の項目のうち前記利用者の行動とみなせないと判定された項目が過半数である場合に、前記通知情報を出力する
制御システム。
【請求項2】
施設に設置された機器の状態を示す情報、及び、前記施設に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得部と、
取得された前記第一情報の分析を行い、前記分析の結果得られる前記施設の利用者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部に記憶する分析部と、
前記第一情報が取得された後に前記取得部によって取得された第二情報であって、前記機器の状態を示す情報及び前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、前記記憶部に記憶された前記行動特性情報とに基づいて、前記施設のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力部とを備え
前記出力部は、取得された前記第二情報と、前記記憶部に記憶された前記行動特性情報とに基づいて、行動に関する複数の項目のそれぞれについて前記利用者の行動とみなせるか否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて前記通知情報を出力し、
前記行動特性情報には、前記複数の項目のそれぞれについて当該項目に対応する判定基準を定めるために使用されるデータの代表値及びばらつきに関する情報が含まれ、
前記出力部は、
前記複数の項目のそれぞれに対する判定の重みを、当該項目に対応する前記データの代表値と取得された前記第二情報によって定まる評価値との差分の大きさ、及び、当該項目に対応する前記データのばらつきに基づいて決定し、
決定された複数の項目のそれぞれに対する、前記判定の結果及び前記判定の重みに基づいて定まる総合的な判定の結果に基づいて、前記通知情報を出力する
制御システム。
【請求項3】
前記センサの検知結果を示す情報は、前記施設における消費電力量を示す電力量情報、前記施設内で取得された音の音情報、前記施設内または前記施設外で撮影された画像の画像情報、及び、前記施設内でセンシングされたにおいの強さを示すにおい情報、のうち少なくとも一つを含む
請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記第一情報は、前記施設に設置された電気錠が解錠された第一タイミングを起点とする第一所定期間における前記機器の状態を示す情報、及び、前記第一所定期間における前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含み、
前記第二情報は、前記第一所定期間よりも後に前記電気錠が解錠された第二タイミングを起点とする第二所定期間における前記機器の状態を示す情報、及び、前記第二所定期間における前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む
請求項1~のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記電気錠は、前記電気錠と認証媒体との近距離無線通信、及び、前記施設内に設けられた無線通信機器との無線通信の少なくとも一方に基づいて解錠される
請求項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記出力部は、前記施設のセキュリティに関する異常を音によって通知するための前記通知情報を出力する
請求項1~のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記出力部は、前記施設のセキュリティに関する異常を画像によって通知するための前記通知情報を出力する
請求項1~のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記分析部は、前記施設のセキュリティに関する異常がないと判定された場合の前記第二情報を分析することにより、前記行動特性情報を更新する
請求項1~のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
施設に設置された機器の状態を示す情報、及び、前記施設に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得ステップと、
取得された前記第一情報の分析を行う分析ステップと、
前記分析の結果得られる前記施設の利用者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記第一情報が取得された後に取得された第二情報であって、前記機器の状態を示す情報及び前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、記憶された前記行動特性情報とに基づいて、前記施設のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力ステップとを含み、
前記出力ステップにおいては、取得された前記第二情報と、前記記憶部に記憶された前記行動特性情報とに基づいて、行動に関する複数の項目のそれぞれについて前記利用者の行動とみなせるか否かの判定を行い、前記複数の項目のうち前記利用者の行動とみなせないと判定された項目が過半数である場合に、前記通知情報を出力する
制御方法。
【請求項10】
コンピュータによって実行される制御方法であって、
施設に設置された機器の状態を示す情報、及び、前記施設に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得ステップと、
取得された前記第一情報の分析を行う分析ステップと、
前記分析の結果得られる前記施設の利用者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記第一情報が取得された後に取得された第二情報であって、前記機器の状態を示す情報及び前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、記憶された前記行動特性情報とに基づいて、前記施設のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力ステップとを含み、
前記出力ステップにおいては、取得された前記第二情報と、前記記憶部に記憶された前記行動特性情報とに基づいて、行動に関する複数の項目のそれぞれについて前記利用者の行動とみなせるか否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて前記通知情報を出力し、
前記行動特性情報には、前記複数の項目のそれぞれについて当該項目に対応する判定基準を定めるために使用されるデータの代表値及びばらつきに関する情報が含まれ、
前記出力ステップにおいては、
前記複数の項目のそれぞれに対する判定の重みを、当該項目に対応する前記データの代表値と取得された前記第二情報によって定まる評価値との差分の大きさ、及び、当該項目に対応する前記データのばらつきに基づいて決定し、
決定された複数の項目のそれぞれに対する、前記判定の結果及び前記判定の重みに基づいて定まる総合的な判定の結果に基づいて、前記通知情報を出力する
制御方法。
【請求項11】
さらに、前記施設のセキュリティに関する異常がないと判定された場合の前記第二情報を分析することにより前記行動特性情報を更新する更新ステップを含む
請求項9または10に記載の制御方法。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の制御方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅において居住者を支援するための様々な技術が提案されている。特許文献1には、電力使用量、ガス使用量、水道使用量などの記録および集計処理等を行うことができる住宅状態確認システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-20574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、施設のセキュリティに関する異常を通知することができる制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る制御システムは、施設に設置された機器の状態を示す情報、及び、前記施設に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得部と、取得された前記第一情報の分析を行い、前記分析の結果得られる前記施設の利用者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部に記憶する分析部と、前記第一情報が取得された後に前記取得部によって取得された第二情報であって、前記機器の状態を示す情報及び前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、前記記憶部に記憶された前記行動特性情報とに基づいて、前記施設のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力部とを備える。
【0006】
本発明の一態様に係る制御方法は、施設に設置された機器の状態を示す情報、及び、前記施設に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得ステップと、取得された前記第一情報の分析を行う分析ステップと、前記分析の結果得られる前記施設の利用者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部に記憶する記憶ステップと、前記第一情報が取得された後に取得された第二情報であって、前記機器の状態を示す情報及び前記センサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、記憶された前記行動特性情報とに基づいて、前記施設のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力ステップとを含む。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る制御システム等は、施設のセキュリティに関する異常を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る制御システムが備える電気錠に関連する構成の概要を示す第一の図である。
図3図3は、実施の形態に係る制御システムが備える電気錠に関連する構成の概要を示す第二の図である。
図4図4は、実施の形態に係る制御システムの行動特性情報の記憶動作のフローチャートである。
図5図5は、実施の形態に係る制御システムの侵入者の判定動作の一例を示す図である。
図6図6は、住宅内の人の行動が居住者の行動とみなせるか否かの判定結果の一例を示す図である。
図7図7は、携帯端末の表示部に表示される通知画面の一例を示す図である。
図8図8は、データのばらつきに基づく重み付け方法を説明するための図である。
図9図9は、複数の項目に判定の重み付けをする場合の判定結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る制御システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示される制御システム10は、住宅90に設置された機器群30を制御することができる機器制御システムである。住宅90は、施設の一例である。住宅90は、例えば、戸建住宅であるが、集合住宅であってもよい。住宅90の居住者は、施設の利用者(より詳細には、施設を日常的に利用する利用者)の一例である。なお、制御システム10は、オフィスビルなどの住宅90以外の施設(特定の人だけが日常的に利用するような施設)に適用されてもよい。
【0014】
図1に示されるように、制御システム10は、制御端末20と、機器群30と、センサ群40と、無線通信機器60と、携帯端末70と、サーバ装置80とを備える。制御端末20、機器群30、及び、センサ群40は、住宅90内に設置されている。なお、携帯端末70は、住宅90内に位置する場合と、住宅90外に位置する場合とがある。
【0015】
まず、制御端末20について説明する。制御端末20は、例えば、エネルギーマネジメント機能を有するHEMS(Home Energy Management System)コントローラである。制御端末20は、住宅90に設置された機器群30の消費電力量を管理する。また、制御端末20は、住宅90の敷地内に設置された機器群30の制御、及び、機器群30の状態の取得を行う。制御端末20は、HEMSコントローラに限定されず、エネルギーマネジメント機能を有しない他のホームコントローラ、または、ゲートウェイ装置であってもよい。制御端末20は、情報端末の一例である。
【0016】
制御端末20は、具体的には、表示部21と、通信部22と、情報処理部23と、記憶部24とを備える。
【0017】
表示部21は、画像の表示機能、及び、ユーザの手動入力を受け付ける機能を有する表示デバイスである。表示部21は、タッチパネル、及び、液晶パネルまたは有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。タッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルであるが、抵抗膜方式のタッチパネルであってもよい。
【0018】
通信部22は、制御端末20が他の装置と通信を行うための通信回路である。通信部22は、例えば、無線通信機器60を介して広域通信ネットワーク100に接続することにより、サーバ装置80と通信を行うことができる。また、通信部22は、無線通信機器60を介した局所通信により、機器群30及びセンサ群40と通信を行うことができる。通信部22は、無線通信機器60を介さない直接的な局所通信により機器群30及びセンサ群40と通信を行ってもよい。通信部22は、具体的には、無線通信を行う無線通信回路であるが、有線通信を行う有線通信回路であってもよい。通信部22が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0019】
情報処理部23は、機器群30の制御に関する情報処理を行う。情報処理部23は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。情報処理部23は、機能的な構成要素として、検出部25、取得部26、分析部27、及び、出力部28を有する。検出部25、取得部26、分析部27、及び、出力部28の機能は、例えば、情報処理部23を構成するマイクロコンピュータ等が記憶部24に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。検出部25、取得部26、分析部27、及び、出力部28の機能の詳細については後述される。
【0020】
記憶部24は、情報処理部23が実行するコンピュータプログラム、及び、後述の行動特性情報などの各種情報が記憶される記憶装置である。記憶部24は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0021】
次に、機器群30について説明する。機器群30は、住宅90の敷地内(住宅90の外の場合もある)に設置される、制御システム10における制御対象機器である。機器群30は、制御端末20と通信が可能であり、制御端末20の情報処理部23によって送信される制御信号によって制御される。機器群30には、照明機器31、空調機器32、電気錠33、電動シャッタ34、及び、スピーカ装置35などが含まれる。
【0022】
照明機器31は、住宅90の中(室内)を照明する。照明機器31は、例えば、シーリングライトであるが、照明機器31の具体的態様は、特に限定されない。照明機器31は、ダウンライト、ペンダントライト、スポットライト、または、ブラケットライトなどであってもよい。また、照明機器31は、住宅90の外(室外)を照明する機器であってもよい。
【0023】
空調機器32は、一般家庭用の空調機器である。空調機器32は、熱交換器(図示せず)などを有することにより、空調機器32から送出される風の温度の調整が可能な空調機器である。つまり、空調機器32は、温度調整機能(送風機能及び冷暖房機能)を有する。空調機器32は、一般家庭用の空調機器に限定されず、産業用の空調機器であってもよい。
【0024】
電気錠33は、住宅90が有するドア(または窓など)の解錠及び施錠を制御する防犯機器である。電気錠33は、例えば、携帯端末70から認証情報(鍵情報)を取得する近距離無線通信部を備える。なお、電気錠33は、ICカードなどの携帯端末以外の認証媒体と近距離無線通信を行うことによって施錠及び解錠されてもよい。電気錠33が行う近距離無線通信は、例えば、RFID(Radio Frequency Iidentifier)を用いた無線通信であるが、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)などの通信規格に基づく無線通信であってもよい。以下の実施の形態では、電気錠33は、住宅90の玄関のドアに設けられた電気錠であるものとして説明される。
【0025】
電動シャッタ34は、住宅90が有する窓の外側に設置される、防犯または防災用のシャッタである。電動シャッタ34は、住宅90が有する窓の内側に設置される、住宅90内への外光の取り入れ量を調整するための電動ブラインドであってもよい。
【0026】
スピーカ装置35は、住宅90内に設置され、音を発する装置である。スピーカ装置35は、例えば、スマートスピーカなどの単体装置であるが、機器群30に属する機器または制御端末20に内蔵されてもよい。
【0027】
次に、センサ群40について説明する。センサ群40は、住宅90の敷地内(住宅90の外の場合もある)に配置された1つ以上のセンサを含み、1つ以上のセンサのそれぞれは、住宅90内の環境のセンシング、または、住宅90内に位置する人のセンシングなどを行う。センサ群40は、制御端末20との通信が可能である。センサ群40には、電力量センサ41、音センサ42、画像センサ43、及び、においセンサ44などが含まれる。
【0028】
電力量センサ41は、住宅90における消費電力量を計測(検知)し、計測した消費電力量を示す電力量情報を制御端末20へ送信する。電力量センサ41は、例えば、分電盤に内蔵され、住宅90において分岐回路ごとに消費電力量を計測する。電力量センサ41は、スマートメータ(通信機能を有する電力量計)に内蔵されてもよい。
【0029】
音センサ42は、言い換えれば、マイクロフォンであり、住宅90内の音を取得(検知)し、取得した音の音情報を制御端末20へ送信する。音センサ42は、例えば、コンデンサマイク、ダイナミックマイク、または、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクなどによって実現される。
【0030】
音センサ42は、例えば、制御端末20及び機器群30とは別の単体のセンサ(マイクロフォン)であるが、機器群30に属する機器または制御端末20に内蔵されてもよい。音センサ42は、例えば、機器群30に属する、スピーカ装置35(スマートスピーカ)、インターホン親機、ロボット掃除機、または、その他のロボット機器に内蔵されてもよい。また、音センサ42は、コンセントなどの配線器具に内蔵されてもよい。
【0031】
画像センサ43は、言い換えれば、カメラであり、住宅90内または住宅90外の画像を撮影(検知)し、撮影した画像の画像情報を制御端末20へ送信する。画像センサ43は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサによって実現されるが、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサによって実現されてもよい。
【0032】
画像センサ43は、例えば、制御端末20及び機器群30とは別の単体のセンサ(カメラ)であるが、機器群30に属する機器または制御端末20に内蔵されてもよい。画像センサ43は、例えば、機器群30に属する、インターホン子機(ドアホン)、インターホン親機、ロボット掃除機、または、その他のロボット機器に内蔵されてもよい。
【0033】
においセンサ44は、住宅90内のにおい(臭気)の強さをセンシングし、センシングしたにおいの強さを示す情報を制御端末20へ送信する。においセンサ44は、例えば、臭気に反応して抵抗値が変化する素子を有する半導体ガスセンサによって実現される。
【0034】
においセンサ44は、例えば、制御端末20及び機器群30とは別の単体のセンサ(マイクロフォン)であるが、機器群30に属する機器または制御端末20に内蔵されてもよい。においセンサ44は、例えば、機器群30に属する、空調機器32、空気清浄機、冷蔵庫、ロボット掃除機、または、その他のロボット機器に内蔵されてもよい。
【0035】
次に、無線通信機器60について説明する。無線通信機器60は、近距離無線通信を行う機器であり、住宅90内に設置される、無線LAN(Local Area Network)ルータである。無線通信機器60には、制御端末20、機器群30、及び、センサ群40が通信接続される。制御端末20の広域通信ネットワーク100を通じた通信は、無線通信機器60を介して行われる。
【0036】
次に、携帯端末70について説明する。携帯端末70は、住宅90の居住者が所持するスマートフォンまたはタブレット端末などの携帯端末である。携帯端末70には、携帯端末70を電気錠33の鍵として使用するためのアプリケーションプログラムがインストールされており、住宅90の居住者は、携帯端末70により、電気錠33を住宅の外側から施錠または解錠することができる。また、携帯端末70には、居住者が携帯端末70を通じて通知を受けるためのアプリケーションプログラムがインストールされており、後述のように、居住者は、携帯端末70を通じて住宅90のセキュリティに関する異常を示す通知を受けることができる。携帯端末70は、表示部71を有する。
【0037】
表示部71は、画像の表示機能、及び、ユーザの手動入力を受け付ける機能を有する表示デバイスである。表示部71は、タッチパネル、及び、液晶パネルまたは有機ELパネルなどの表示パネルによって実現される。タッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルであるが、抵抗膜方式のタッチパネルであってもよい。
【0038】
次に、サーバ装置80について説明する。サーバ装置80は、住宅90外に位置するコンピュータ(クラウドサーバ)である。サーバ装置80は、制御端末20が携帯端末70を介した居住者への通知を行うための情報処理を行う。また、サーバ装置80は、居住者が住宅90外から携帯端末70を操作することにより住宅90内の機器群30を制御する遠隔制御に関する情報処理を行ってもよい。
【0039】
[電気錠に関する構成]
図2及び図3は、電気錠33に関連する構成の概要を示す図である。図2に示されるように、住宅90の居住者は、携帯端末70と電気錠33との近距離無線通信により、電気錠33を住宅90の外から解錠することができる。つまり、居住者は、携帯端末70を電気錠33の鍵として使用することができる。
【0040】
また、居住者は、住宅90へ訪問者が来た場合などには、住宅90内から電気錠33を解錠することもできる。図3に示されるように、居住者は、具体的には、制御端末20の表示部21を操作することにより、制御端末20から無線通信機器60を介して電気錠33へ解錠コマンドを送信することができる。
【0041】
ここで、電気錠33は、サイバー攻撃により不正に解錠されてしまう可能性がある。例えば、図2に示される携帯端末70と電気錠33との近距離無線通信を狙ったサイバー攻撃としては、以下のような例が考えられる。
【0042】
攻撃者が携帯端末70を電子的に複製し、電気錠33を不正に解錠することが考えられる。また、携帯端末70と電気錠33との近距離無線通信のプロトコルの脆弱性を利用して、居住者が携帯端末70で電気錠33を解錠し、住宅90内に入った直後に近隣に潜んでいた攻撃者が、当該攻撃者が所持する携帯端末で解錠することも考えられる。また、携帯端末70が発する微弱電波を増幅することで近隣に潜んでいた攻撃者が電気錠33を解錠するいわゆるリレーアタックも考えられる。
【0043】
また、図3に示される制御端末20から電気錠33までの通信経路を狙ったサイバー攻撃としては、無線通信機器60の脆弱性を利用して無線通信機器60内のソフトウェアを改ざんし、無線通信機器60から解錠コマンドを複製することが考えられる。また、無線通信機器60へ接続するためのパスワードを入手し、入手後に攻撃用の情報端末を無線通信機器60へ不正接続し、制御端末20の解錠コマンドを複製することなども考えられる。
【0044】
[行動特性情報の記憶動作]
制御端末20(制御システム10)は、上記のように電気錠33を不正に解錠して住宅90内に侵入した者(侵入者)と、居住者とを区別するために、電気錠33が解錠されたタイミングを起点とする第一所定期間における居住者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部24に記憶しておく。その後、制御端末20は、電気錠33が解錠されるごとに、住宅90内における人(つまり、電気錠33を解錠した人)の行動が、行動特性情報が示す行動特性に適合するか否かを判定する。制御端末20は、住宅90内における人の行動が、行動特性情報が示す行動特性に反する(適合しない)場合には、当該人が侵入者である可能性が高いとみなして居住者が所持する携帯端末70への通知等を行う。これにより、制御システム10は、居住者が住宅90への不正侵入に迅速に対処することを支援することができる。
【0045】
まず、このような制御システム10の動作のうち行動特性情報の記憶動作について説明する。図4は、制御システム10の行動特性情報の記憶動作のフローチャートである。
【0046】
まず、制御端末20の検出部25は、電気錠33が住宅90の外から解錠されたことを検出する(S11)。例えば、電気錠33は、携帯端末70との近距離無線通信によって解錠された場合に、解錠通知を制御端末20に送信する。これにより、検出部25は、通信部22による解錠通知の受信を、電気錠33が住宅90の外から解錠されたこととして検出することができる。
【0047】
次に、取得部26は、電気錠33が住宅90の外から解錠されたことが検出されてから第一所定期間の間、機器群30の状態を示す情報、及び、センサ群40の検知結果を示す情報を含む第一情報を通信部22を介して取得し、記憶部24に記憶する(S12)。第一情報は、分析の対象となる情報であり、機器群30の状態を示す情報、及び、センサ群40の検知結果の少なくとも一方を含めばよい。
【0048】
なお、機器群30の状態を示す情報は、言い換えれば、機器群30がどのように動作または停止したか(どのように状態が変化したか)の履歴を示す動作履歴情報である。機器群30の状態を示す情報、及び、センサ群40の検知結果を示す情報を取得するための通信プロトコルとしては、ECHONET Lite(登録商標)などが例示される。
【0049】
次に、分析部27は、取得部26によって取得され、かつ、記憶部24に記憶された第一情報の分析を行うことにより、住宅90の居住者の行動特性を示す行動特性情報を生成し、記憶部24に記憶する(S13)。なお、分析部27は、複数回分の第一情報(n回電気錠33が解錠されたことによって取得されるn回分の第一情報。nは2以上の自然数)に基づいて行動特性情報を生成することで、より精度の高い行動特性情報を生成することができる。
【0050】
以上説明したように、制御システム10は、住宅90に設置された機器群30の状態を示す情報、及び、住宅90に設置されたセンサ群40の検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得し、取得された第一情報の分析を行う。制御システム10は、分析の結果得られる住宅90の居住者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部24に記憶することができる。
【0051】
[消費電力量に基づく行動特性情報]
以下、行動特性情報の具体例について説明する。例えば、取得部26は、センサ群40の検知結果を示す情報として電力量センサ41によって計測された消費電力量を示す電力量情報を取得し、分析部27は、消費電力量を分析する。例えば、分析部27は、上記第一所定期間における消費電力量を算出し、算出した消費電力量のn回分の代表値(例えば、平均値または中央値。以下同様)を示す情報を行動特性情報として記憶する。この場合、後述の判定動作においては、代表値±所定値の範囲が、住宅90内の人が居住者であると判定されるための判定基準となる。行動特性情報には、このような判定基準を示す情報が含まれる。所定値については、例えば、n回分の代表値(n個の代表値)のばらつき(標準偏差、分散)を考慮して決定される。
【0052】
なお、電力量センサ41によって計測された消費電力量に基づく行動特性情報は、例えば、上記第一所定期間において電力供給がオンされる分岐回路の順序(つまり、居住者が帰宅後どのような順序で機器群30をオンするか)を示す情報であってもよい。また、電力量センサ41によって計測された消費電力量に基づく行動特性情報は、例えば、上記第一所定期間において最初に電力供給がオンされる分岐回路(つまり、居住者が帰宅後どのような順序で機器群30をオンするか)を示す情報であってもよい。
【0053】
[音に基づく行動特性情報]
また、取得部26は、センサ群40の検知結果を示す情報として音センサ42によって取得された音(足音、または、生活音など)の音情報を取得し、分析部27は、音情報を分析してもよい。例えば、分析部27は、上記第一所定期間に取得された音の音量(音信号の振幅)の第一代表値を算出し、算出した第一代表値のn回分の平均値または中央値(言い換えれば、第二代表値)を示す情報を行動特性情報として記憶する。この場合、後述の判定動作においては、第二代表値±所定値の範囲が、住宅90内の人が居住者であると判定されるための判定基準となる。行動特性情報には、このような判定基準を示す情報が含まれる。なお、所定値については、例えば、n回分の第一代表値(n個の第一代表値)のばらつき(標準偏差、分散)を考慮して決定される。
【0054】
なお、音センサ42によって取得された音に基づく行動特性情報は、例えば、上記第一所定期間に取得された音を音声認識することによって得られる特定の単語(つまり、居住者が帰宅後によく発する単語)を示す情報であってもよい。また、音センサ42によって取得された音に基づく行動特性情報は、例えば、上記第一所定期間において取得された音から得られる声紋(つまり、居住者の声紋)を示す情報であってもよい。
【0055】
[画像に基づく行動特性情報]
また、取得部26は、センサ群40の検知結果を示す情報として画像センサ43によって撮影された画像の画像情報を取得し、分析部27は、画像情報を分析してもよい。例えば、分析部27は、上記第一所定期間に取得された画像に映る人の顔画像を行動特性情報として記憶する。この場合、後述の判定動作においては、行動特性情報として記憶された顔画像に映る人と同一人物と判定される人が画像センサ43によって撮影されることが、住宅90内の人が居住者であると判定されるための判定基準となる。行動特性情報には、このような判定基準を示す情報が含まれる。
【0056】
なお、画像センサ43によって撮影された画像に基づく行動特性情報は、例えば、上記第一所定期間に取得された画像に映る人の虹彩の画像(虹彩の特徴量)であってもよい。この場合、後述の判定動作においては、行動特性情報として記憶された虹彩の画像と同一であると判定される虹彩を有する人が画像センサ43によって撮影されることが、住宅90内の人が居住者であると判定されるための判定基準となる。
【0057】
[においに基づく行動特性情報]
また、取得部26は、センサ群40の検知結果を示す情報としてにおいセンサ44によってセンシングされたにおいの強さを示す情報を取得し、分析部27は、においの強さを分析してもよい。例えば、分析部27は、上記第一所定期間におけるにおいの強さの第一代表値を算出し、算出した第一代表値のn回分の平均値または中央値(言い換えれば、第二代表値)を示す情報を行動特性情報として記憶する。この場合、後述の判定動作においては、第二代表値±所定値の範囲が、住宅90内の人が居住者であると判定されるための判定基準となる。行動特性情報には、このような判定基準を示す情報が含まれる。なお、所定値については、例えば、n回分の第一代表値(n個の第一代表値)のばらつき(標準偏差、分散)を考慮して決定される。
【0058】
なお、においセンサ44によってセンシングされた臭いの強さに基づく行動特性情報は、例えば、上記第一所定期間におけるにおいの強さの経時変化パターンを示す情報であってもよい。
【0059】
[機器群の状態に基づく行動特性情報]
また、取得部26は、機器群30の状態を示す情報を取得し、分析部27は、上記第一所定期間における機器群30の状態を分析する。例えば、分析部27は、機器群30のうち上記第一所定期間においてオフ状態からオン状態に変化する可能性が高い機器を示す情報を行動特性情報として記憶する。入居者が帰宅した場合には、照明機器31をオンし、空調機器32をオンし、電動シャッタ34を開けるようなケースが多いが、侵入者の場合はこれらの機器をオンする可能性は低いと考えられる。特に、侵入者は、電動シャッタ34、ロボット掃除機、レンジフード、及び、コーヒーメーカなどの音が発する機器をオンする可能性は低い。したがって、どのような機器がオン状態になるかを示す行動特性情報に基づいて判定基準が生成されれば、後述の判定動作において入居者と侵入者とを判定(区別)できる。行動特性情報には、このような判定基準を示す情報が含まれる。
【0060】
[侵入者の判定動作]
次に、行動特性情報が記憶部24に記憶された後に行われる、住宅90内に位置する人が侵入者であるか否かの判定動作について説明する。図5は、侵入者の判定動作の一例を示す図である。
【0061】
まず、制御端末20の検出部25は、電気錠33が住宅90の外から解錠されたことを検出する(S21)。例えば、電気錠33は、携帯端末70との近距離無線通信によって解錠された場合に、解錠通知を制御端末20に送信する。これにより、検出部25は、通信部22による解錠通知の受信を、電気錠33が住宅90の外から解錠されたこととして検出することができる。
【0062】
次に、取得部26は、電気錠33が住宅90の外から解錠されたことが検出されてから第二所定期間の間、機器群30の状態を示す情報、及び、センサ群40の検知結果を示す情報を含む第二情報を通信部22を介して取得し、記憶部24に記憶する(S22)。第二所定期間は、例えば、第一所定期間と同じ長さの期間である。第二情報は、判定のための評価値を算出するための情報であり、機器群30の状態を示す情報、及び、センサ群40の検知結果の少なくとも一方を含めばよい。
【0063】
次に、出力部28は、取得された第二情報に基づいて、判定のための評価値を算出する(S23)。例えば、出力部28は、第二情報に含まれる電力量情報に基づいて上記第二所定期間における消費電力量を算出し、算出した消費電力量を、電力量情報に基づく判定の評価値として使用する。ステップS23では、出力部28は、例えば、電力量情報、音情報、画像情報、におい情報、及び、機器群30の状態を示す情報のそれぞれに基づいて、5つの評価値を算出する。
【0064】
次に、出力部28は、電力量に関する行動、音に関する行動、画像に関する行動、においに関する行動、及び、機器状態に関する行動の5つの行動に対応する5つの項目のそれぞれについて、居住者の行動とみなせるか否かの判定を行う(S24)。出力部28は、具体的には、5つの項目それぞれについて、算出した評価値と判定基準とを比較することにより、居住者の行動とみなせる(正常である)か、居住者の行動とみなせない(異常である)かの判定を行う。図6は、このような判定結果の一例を示す図である。
【0065】
次に、出力部28は、5つの項目のうち、居住者の行動とみなせる(正常)と判定された項目が過半数であるか否かを判定する(S25)。出力部28は、5つの項目のうち、居住者の行動とみなせる(正常)と判定された項目が過半数であると判定した場合(S25でYes)、つまり、現在住宅90内にいる人が居住者である可能性が高い場合には、通知情報を出力せずに動作を終了する。
【0066】
一方、出力部28は、5つの項目のうち、居住者の行動とみなせない(異常)と判定された項目が過半数であると判定した場合(S25でNo)、つまり、現在住宅90内にいる人が居住者以外の人(侵入者)である可能性が高い場合には、通知情報を出力する(S26)。通知情報は、住宅90のセキュリティに関する異常を通知するための情報であり、より詳細には、住宅90内に居住者以外の人がいる可能性があることを通知するための情報である。
【0067】
通知情報は、例えば、住宅90のセキュリティに関する異常を音によって通知するための情報である。この場合、出力部28によって出力された通知情報は、通信部22によってスピーカ装置35へ送信され、スピーカ装置35は、通知情報に基づいて警報音を発する。これにより、住宅90内に侵入者がいる場合には、侵入者の住宅90空の退去を促すことができる。また、住宅90内に居住者がいる場合(居住者が就寝中の場合など)には、居住者に警戒を促すことができる。
【0068】
また、通知情報は、住宅90のセキュリティに関する異常を画像によって通知するための情報であってもよい。この場合、出力部28によって出力された通知情報は、通信部22によってサーバ装置80へ送信され、サーバ装置80は、受信した通知情報を携帯端末70へ送信する。携帯端末70が住宅90内にあるような場合、通知情報は、局所通信によって通信部22から携帯端末70へ直接送信されてもよい。通知情報を受信した携帯端末70は、図7のような通知画面を表示部71に表示する。図7は、通知画面の一例を示す図である。なお、このような通知画面は、制御端末20の表示部21に表示されてもよく、この場合、出力部28は、表示部21に通知情報を出力する。
【0069】
以上説明したように、制御システム10は、機器群30の状態を示す情報及びセンサ群40の検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、記憶部24に記憶された行動特性情報とに基づいて、住宅90のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する。
【0070】
これにより、制御システム10は、サイバー攻撃により電気錠33が不正に解錠された場合に通知を行うことが可能となる。通知を受けた居住者は、警察または警備会社など信頼のおける組織へ通報することが可能となる。制御システム10は、機器群30を制御するための制御端末20等を利用することで、専用のセキュリティ装置等を使用せずに住宅90のセキュリティ性を向上することができる。
【0071】
なお、制御システム10は、サイバー攻撃により電気錠33が不正に解錠された場合だけでなく、電気錠33がこじ開けられるなど電気錠33が物理的に不正に解錠された場合も、通知を行うことができる。
【0072】
また、ステップS25では、5つの項目のうち居住者の行動とみなせないと判定された項目が過半数であることが要件とされたが、5つの項目の全てにおいて居住者の行動とみなせないと判定されることが要件とされてもよい。また、ステップS23及びステップS24において複数の項目について判定が行われることは必須ではなく、例えば、電力量情報に基づく判定だけが行われるなど、1つの項目についてのみ判定が行われてもよい。この場合、ステップS25の判定処理(総合的な判定処理)は省略される。
【0073】
また、ステップS23~ステップS25の処理の結果、住宅90内にいる人が居住者である可能性が高いと判定された場合の第二情報は、行動特性情報を更新するために使用することができる。同様に、ステップS23~ステップS25の処理の結果、住宅90内にいる人が居住者以外の人(侵入者)である可能性が高いと判定されたが、その後、居住者から判定が誤りだった(住宅90にいたのは居住者だった)ことを示すフィードバックが得られた場合の第二情報も、行動特性情報を更新するために使用することができる。
【0074】
そこで、これらの場合の第二情報は記憶部24に記憶され、分析部27は、第一情報に加えて第二情報を用いて、次回の判定のために行動特性情報を更新してもよい。つまり、分析部27は、住宅90のセキュリティに関する異常がないと判定された場合の第二情報を分析することにより、行動特性情報を更新してもよい。
【0075】
[判定動作の変形例]
上記のように複数の項目を用いて総合的に判定を行う場合、複数の項目に重み付けがされた上で総合的に判定が行われてもよい。この重み付けは、制御端末20への操作等により居住者によって決定されてもよいが、行動特性情報に含まれるデータのばらつきに関する情報に基づいて決定されてもよい。図8は、データのばらつきに基づく重み付け方法を説明するための図である。図8は、n個の消費電力量(以下、単にn個のデータとも記載される)の度数分布(ヒストグラム)を示している。
【0076】
図8に示されるように、例えば、上記ステップS13の行動特性情報を生成する際に、n個のデータの代表値(平均値)に基づいて判定基準(図8の正常範囲)が定められたとする。その後、ステップS23において算出された評価値が図8の(a)の区間に属する場合、正常範囲外であるため、消費電力に対応する項目については、居住者の行動とみなせない(異常である)と判定される。
【0077】
ここで、判定基準を定めるために使用されたn個のデータが図8の白グラフのような標準偏差の小さい分布を示している第一のケースにおいては、区間(a)に属する評価値に対する異常であるという判定は、信頼度が高い。これに対し、判定基準を定めるために使用されたn個のデータが図8の黒グラフのような標準偏差の大きい分布を示している第二のケースにおいては、区間(a)に属する評価値に対する異常であるという判定は、第一のケースよりも信頼度が低い(誤判定されている可能性も考えられる)といえる。
【0078】
そこで、出力部28は、消費電力に対応する項目の判定の重みを、当該項目に対応するn個のデータの代表値(平均値)と評価値との差分の大きさ(図8に示される偏差の絶対値。以下、|偏差|とも記載する)、及び、当該項目に対応するn個のデータの標準偏差に基づいて決定する。具体的には、出力部28は、|偏差|-標準偏差が大きいほど、当該項目の判定の重みを大きくする。つまり、出力部28は、信頼度の高い判定結果(項目)ほど大きい重みを付与する。
【0079】
図9は、このように複数の項目に判定の重み付けをする場合の判定結果の一例を示す図である。図9の例では、出力部28は、|偏差|-標準偏差の値に応じて1~5の5段階の重みを決定している。この結果、電力量に関する行動は、異常(5ポイント)と判定され、音に関する行動は、異常(3ポイント)と判定され、においに関する行動は、正常(1ポイント)と判定される。この結果、異常の合計ポイントが8ポイントであるのに対し、正常の合計ポイントが1ポイントであることから。総合的な判定の結果は異常となり、出力部28は、通知情報を出力する。
【0080】
以上説明したように、行動特性情報には、複数の項目のそれぞれについて当該項目に対応する判定基準を定めるために使用されるデータの代表値及びばらつきに関する情報が含まれてもよい。この場合、出力部28は、複数の項目のそれぞれに対する判定の重みを、当該項目に対応するデータの代表値と取得された第二情報によって定まる評価値との差分の大きさ(|偏差|)、及び、当該項目に対応するデータのばらつき(標準偏差)に基づいて決定してもよい。出力部28は、決定された複数の項目のそれぞれに対する、判定の結果及び判定の重みに基づいて定まる総合的な判定の結果に基づいて、通知情報を出力する。
【0081】
このような制御システム10は、複数の項目に対する判定結果が異なった場合に、相対的な偏差(つまり、|偏差|-標準偏差で表される偏差)の大きい判定結果を重視して総合的な判定を行うことで、総合的な判定の精度の向上を図ることができる。
【0082】
なお、本変形例では、|偏差|-標準偏差の値に応じて重みが決定されたが、よりシンプルに、判定基準を定めるために使用される元データのばらつき(標準偏差)に基づいて判定の重みが決定されてもよい。この場合、例えば、元データのばらつきが小さいほど、判定の重みは大きくなる。
【0083】
[その他の変形例]
なお、居住者の行動特性は、1日の時間帯によって異なる可能性がある。そこで、行動特性情報は、電気錠33が解錠された時間帯を考慮し、時間帯毎に生成されてもよい。この場合、侵入者の判定動作において、出力部28は、電気錠33が解錠された時間帯に応じて、記憶部24に記憶された複数の行動特性情報のうち当該時間帯に対応する行動特性情報を用いて判定を行う。これにより、制御システム10は、侵入者の判定精度の向上を図ることができる。
【0084】
また、上記実施の形態では、電気錠33が住宅90の外から解錠されたとき(図2)の動作について説明したが、電気錠33は、住宅90の中から不正に解錠される場合もある。そこで、電気錠33が住宅90内から解錠されたとき(図3)に、上述の行動特性情報の記憶動作及び侵入者の判定動作が行われてもよい。
【0085】
電気錠33が住宅90の外から解錠されたとき、及び、電気錠33が住宅90内から解錠されたときの両方において行動特性情報の記憶動作及び侵入者の判定動作が行われる場合、行動特性情報は、電気錠33の解錠方法(住宅90の外から解錠されたか中から解錠されたか)を考慮して解錠方法ごとに生成されてもよい。この場合、侵入者の判定動作において、出力部28は、電気錠33が解錠された方法に応じて、記憶部24に記憶された複数の行動特性情報のうち当該方法に対応する行動特性情報を用いて判定を行う。これにより、制御システム10は、侵入者の判定精度の向上を図ることができる。
【0086】
また、上記実施の形態では、主たる情報処理は、制御端末20によって実行されたが、サーバ装置80によって実行されてもよい。例えば、サーバ装置80は、制御端末20が行うと説明された情報処理の一部のみを行ってもよいし、全部を行ってもよい。例えば、サーバ装置80が記憶部24、取得部26、分析部27、及び、出力部28に相当する構成要素を備えることにより、サーバ装置80は制御端末20が行うと説明された情報処理の一部または全部を実行することができる。つまり、上記実施の形態で制御端末20が行うとして説明された情報処理は、適宜、サーバ装置80が行う情報処理に読み替えられてもよい。
【0087】
[効果等]
以上説明したように、制御システム10は、住宅90に設置された機器の状態を示す情報、及び、住宅90に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得部26と、取得された第一情報の分析を行い、分析の結果得られる住宅90の居住者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部24に記憶する分析部27と、第一情報が取得された後に取得部26によって取得された第二情報であって、機器の状態を示す情報及びセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、記憶部24に記憶された行動特性情報とに基づいて、住宅90のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力部28とを備える。住宅90は、施設の一例である。住宅90の居住者は、施設の利用者(より詳細には、施設を日常的に利用する利用者)の一例である。
【0088】
このような制御システム10は、居住者の行動特性に基づいて、住宅90のセキュリティに関する異常を通知することができる。
【0089】
また、例えば、センサの検知結果を示す情報は、住宅90における消費電力量を示す電力量情報、住宅90内で取得された音の音声情報、住宅90内または住宅90外で撮影された画像の画像情報、及び、住宅90内でセンシングされたにおいの強さを示すにおい情報、のうち少なくとも一つを含む。
【0090】
このような制御システム10は、住宅90における消費電力量、住宅90内で取得された音、住宅90内または住宅90外で撮影された画像、及び、住宅90内でセンシングされたにおいを分析することにより、行動特性情報を生成することができる。
【0091】
また、例えば、出力部28は、取得された第二情報と、記憶部24に記憶された行動特性情報とに基づいて、行動に関する複数の項目のそれぞれについて居住者の行動とみなせるか否かの判定を行い、判定の結果に基づいて通知情報を出力する。
【0092】
このような制御システム10は、行動に関する複数の項目の判定の結果を総合的に考慮して通知を行うことができる。
【0093】
また、例えば、出力部28は、複数の項目のうち居住者の行動とみなせないと判定された項目が過半数である場合に、通知情報を出力する。
【0094】
このような制御システム10は、行動に関する複数の項目の判定の結果を総合的に考慮して通知を行うことができる。
【0095】
また。例えば、行動特性情報には、複数の項目のそれぞれについて当該項目に対応する判定基準を定めるために使用されるデータの代表値及びばらつきに関する情報が含まれる。出力部28は、複数の項目のそれぞれに対する判定の重みを、当該項目に対応するデータの代表値と取得された第二情報によって定まる評価値との差分の大きさ(|偏差|)、及び、当該項目に対応するデータのばらつき(標準偏差)に基づいて決定し、決定された複数の項目のそれぞれに対する、判定の結果及び判定の重みに基づいて定まる総合的な判定の結果に基づいて、通知情報を出力する。
【0096】
このような制御システム10は、行動に関する複数の項目の判定の結果に重み付けをすることができる。
【0097】
また、例えば、第一情報は、住宅90に設置された電気錠33が解錠された第一タイミングを起点とする第一所定期間における機器の状態を示す情報、及び、第一所定期間におけるセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む。第二情報は、第一所定期間よりも後に電気錠33が解錠された第二タイミングを起点とする第二所定期間における機器の状態を示す情報、及び、第二所定期間におけるセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む。
【0098】
このような制御システム10は、電気錠33が解錠されたことを契機に、住宅90のセキュリティに関する異常を通知することができる。
【0099】
また、例えば、電気錠33は、電気錠33と認証媒体との近距離無線通信、及び、住宅90内に設けられた無線通信機器60との無線通信の少なくとも一方に基づいて解錠される。
【0100】
このような制御システム10は、電気錠33が解錠されたことを契機に無線通信へのサイバー攻撃等により不正に電気錠33が解錠された場合に、住宅90のセキュリティに関する異常を通知することができる。
【0101】
また、例えば、出力部28は、住宅90のセキュリティに関する異常を音によって通知するための通知情報を出力する。
【0102】
このような制御システム10は、住宅90のセキュリティに関する異常を音によって通知することができる。
【0103】
また、例えば、出力部28は、住宅90のセキュリティに関する異常を画像によって通知するための通知情報を出力する。
【0104】
このような制御システム10は、住宅90のセキュリティに関する異常を画像によって通知することができる。
【0105】
また、例えば、分析部27は、住宅90のセキュリティに関する異常がないと判定された場合の第二情報を分析することにより、行動特性情報を更新する。
【0106】
このような制御システム10は、第二情報を行動特性情報の更新に利用することができる。
【0107】
また、制御システム10などのコンピュータによって実行される制御方法は、住宅90に設置された機器の状態を示す情報、及び、住宅90に設置されたセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第一情報を取得する取得ステップと、取得された第一情報の分析を行う分析ステップと、分析の結果得られる住宅90の居住者の行動特性を示す行動特性情報を記憶部24に記憶する記憶ステップと、第一情報が取得された後に取得された第二情報であって、機器の状態を示す情報及びセンサの検知結果を示す情報の少なくとも一方を含む第二情報と、記憶された行動特性情報とに基づいて、住宅90のセキュリティに関する異常を通知するための通知情報を出力する出力ステップとを含む。
【0108】
このような制御方法は、居住者の行動特性に基づいて、住宅90のセキュリティに関する異常を通知することができる。
【0109】
また、例えば、制御方法は、さらに、住宅90のセキュリティに関する異常がないと判定された場合の第二情報を分析することにより行動特性情報を更新する更新ステップを含む。
【0110】
このような制御方法は、第二情報を行動特性情報の更新に利用することができる。
【0111】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0112】
例えば、上記実施の形態では、制御システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置によって実現されてもよい。例えば、制御システムは、上記実施の形態の制御端末に相当する単一の装置として実現されてもよい。制御システムが複数の装置によって実現される場合、制御システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0113】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0114】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0115】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0116】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0117】
例えば、本発明は、上記実施の形態に係る制御端末またはサーバ装置として実現されてもよいし、制御端末またはサーバ装置に相当する制御システムとして実現されてもよい。また、本発明は、制御システムなどのコンピュータが実行する制御方法として実現されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0118】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
10 制御システム
24 記憶部
26 取得部
27 分析部
28 出力部
30 機器群(機器)
60 無線通信機器
90 住宅(施設)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9