(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ユーザ向けの医療撮像及び情報パッケージングのシステム、ならびに圧縮及び配信のシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 30/20 20180101AFI20240517BHJP
【FI】
G16H30/20
(21)【出願番号】P 2022086398
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2020030632の分割
【原出願日】2011-05-23
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2010-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2010-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513021589
【氏名又は名称】コリスタ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CORISTA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(72)【発明者】
【氏名】ペース・チャールズ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルチ・エリック・ダブリュー
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0181472(US,A1)
【文献】特開2002-352220(JP,A)
【文献】特開2009-230304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0132285(US,A1)
【文献】特開2000-276545(JP,A)
【文献】特開2009-037250(JP,A)
【文献】特開2009-075828(JP,A)
【文献】特開2005-038433(JP,A)
【文献】特開2007-136174(JP,A)
【文献】特表2009-513205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料データを配信する、コンピュータによって実現される方法であって、
少なくとも1つのコンピュータが、被験者生体試料のデジタル画像を取得するステップと、
少なくとも1人のユーザに応じて前記取得されたデジタル画像を前記少なくとも1つのコンピュータが処理するステップであって、この処理により、前記被験者生体試料の生体試料データを表すプログレッシブ画像データ
を組み合わせて成る、プログレッシブ画像ストリームを生成し、
前記プログレッシブ画像ストリームへの
電子的アクセスであって、前記生体試料の解像度、スケール、及びサブ領域のうちの少なくとも1つ
を参照することにより前記生体試料にアクセスする電子的アクセスを処理する、処理ステップと、
前記少なくとも1つのコンピュータが、少なくとも1つの受信者のコンピュータに、前記プログレッシブ画像ストリームを、前記受信者のコンピュータが前記被験者生体試料の空間的プログレッシブ画像を受信するように、送信するステップと、
前記少なくとも1人のユーザに応じて処理されたデジタル画像のリストを記録するステップであって、前記リストはセッションサンプリングデータとして記録され、前記記録されたセッションサンプリングデータは、前記少なくとも1人のユーザが閲覧する特定の画像の部分を監査することを許可するように、呼び戻されることができるように構成される、記録するステップとを備えた、方法。
【請求項2】
前記
プログレッシブ画像ストリームが、複数の電子的に閲覧可能な画像タイルおよび電子的に閲覧可能な画像タイルのストリームのうちの少なくとも1つを含み、それぞれの前記電子的に閲覧可能な画像タイルのx、yおよびz位置ならびにズーム倍率に対してオンデマンドアクセスが許可されるように構成され
、前記画像タイルは、前記被験者生体試料のデジタル画像を矩形画像に分割することにより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
プログレッシブ画像ストリームが、将来的な閲覧のためにキャッシュされ、前記
プログレッシブ画像ストリームの一部が、少なくとも1つのユーザコンピュータが漸進的に閲覧できるように作成される、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2009年7月27日に出願された米国仮特許出願第61/228,819号明細書の利益を主張する2010年7月26日に出願された米国特許出願第12/843,138号の一部継続出願である2010年11月9日に出願された米国特許出願第12/942,911号の継続出願である。
【0002】
上記出願の教示全体は、参照により本明細書に援用される。
【0003】
本発明は、病理学に適用される保険情報科学の分野にあり、より詳細には、デジタル病理学に必要とされ、デジタル病理学に固有の撮像、データ処理、及びデータ配信に関わるデジタル病理学(Digital Pathology)の側面を取り扱う。
【背景技術】
【0004】
デジタル病理学の分野では、一次又は二次病理学的診断のために研究を交換する必要がある。研究は通常、1つ又は複数の低解像度画像、対応する高解像度画像への参照、関連付けられた画像メタデータ、研究メタデータ、及び患者メタデータからなる。さらに、必要なデータへのアクセスが提供されて、研究の適切なレビューが行われる。このアクセスへの物理的且つセキュリティに基づく制約は、デジタル病理学システムを広範囲で導入する際の主な障壁を示す。物理的な制約は、ローカル及びリモートアクセスの帯域幅及び記憶問題を含み、データの非常に高い解像度性により課される追加要件を有する大半のネットワーク化アプリケーションに典型的なものである。さらに、医療データの機密性を考えると、患者のプライバシーの入力等のセキュリティに基づく制約及びデータセキュリティは、この分野でさらに注目されるべき鍵となる分野である。
【0005】
デジタル病理学は、それ自体、最小の診療所以外の広範囲で採用されるのに十分な魅力的技術である。ガラススライドを内勤医師、セカンドオピニオン又は照会医師に渡す必要も、公表及びプレゼンテーションのためにスライドを検索する必要ももはやないという、コスト、時間、及び管理という悩みの種の低減はそれ自体、スライドの生成、デジタル化、及び即時保存というワークフローが減るにつれ、非常に重要であることがすぐに明らかとなるであろう。さらに、ユーザに送信されるデータの変換、低減、又は制限が可能なことは、ユーザの診断能力を増大させ、データから恩恵を受けることができるユーザ数を増大させ、データへのより効率的なアクセスを提供することができる。
【0006】
デジタル病理学は、プロセスの一環としてユーザの代わりに追加の処理及び解析を適用する機会を提供し、病理学の分野で診断の新しいモダリティを可能にする。
【発明の概要】
【0007】
デジタル病理学は、保険情報科学のように、研究から機密性患者データをフィルタリングできるようにし、教育的又は研究的なデータセットとして病院の範囲を超えて研究を使用できるようにする。構造化され符号化された情報により、データの圧縮プログレッシブ予測パッケージングを通してデータの新しい形態のアクセス及び配信が可能である。予測パッケージングの例としては、ユーザが必要とするデータのみをリソース及び帯域幅が最適化された様式で送信することが挙げられる。
【0008】
本発明は、デジタル病理学データ及び患者データをパッケージングして処理し、ユーザ間での研究の交換に役立つように病理学研究に含める。本発明の有用性は主に、電子形態の病理学的研究ワークフロー、すなわちデジタル病理学に何よりも適した追加のワークフローを可能にしながら、既存の病理学的研究ワークフローを自動化するように、情報のルーティング及びアクセスに使用できるパッケージにデータを変換することから生じる。
【0009】
病理学研究は通常、デジタル病理学システム間の1つ又は複数のデジタル病理学画像、関連付けられた又は導出された画像メタデータ、及び患者メタデータ(
図1-パッケージ及びデータ要素)からなる。
【0010】
研究内に含まれるデータは、対象ユーザの目的にとって十分なものである必要があり、ユーザは通常、病理学者である。病理学レビューのために病理学者の要求が何であるかに応じて、これは、変化し、漸進的に詳細になる品質の1つ又は複数の画像、患者データ、撮像メタデータ、又は測定、細胞数、又は他の派生データ等の一次(多くの場合、自動化された)解析の結果を含み得る。ユーザ固有の処理及びパッケージングを通して、利用可能なデータの上位集合がフィルタリングされ、患者のプライバシー、対象ユーザのデータ接続の認証、アクセス制限、又は同様の物理的制限に基づいて対象ユーザに漸進的に提供される。このユーザ固有処理及びパッケージングにより、潜在的に異なる撮像要件及びデータ要件をそれぞれ有し、データに対して潜在的に異なる許可をそれぞれ有する複数のユーザが事例に同時にアクセスすることができ、協働的にリアルタイムで、又は監査トレール、教示ツールとして、若しくは他用途で事後、特定のユーザのセッションの監査が可能である。
【0011】
一実施形態では、生体試料データを配信するコンピュータに基づく方法は、
被験者生体試料のデジタル画像を取得するステップと、
少なくとも1人のユーザに従って取得されたデジタル画像及び画像捕捉データを処理するステップであって、その結果、処理済み画像データ及び捕捉メタデータを生成し、処理済み画像データは被験者生体試料の生体試料データを表す、処理するステップと、
パッケージ処理を通して、処理済み画像データ及び捕捉メタデータを組み合わせてパッケージにするステップと、
上記1人のユーザに加えて、複数のセクタにわたる複数のユーザがパッケージに同時に電子的にアクセスできるようにするステップと、
を含む。
【0012】
本発明を実施する別のコンピュータに基づく方法は、
被験者生体試料のデジタル画像を取得するステップと、
取得されたデジタル画像を処理し被験者生体試料の生体試料データを表すプログレッシブ画像ストリームを形成するステップであって、処理は、プログレッシブ画像ストリームへのアクセスを準備することをさらに含み、アクセスは前記生体試料の解像度、尺度、及び小領域に関するものである、ステップと、
ユーザが、被験者生体試料の解像度、尺度、及び小領域に関してプログレッシブ画像を空間的に閲覧するように、プログレッシブ画像ストリームを1人又は複数のユーザに送信するステップと
を含む。
【0013】
生体試料データを配信する本発明のコンピュータシステムによれば、被験者生体試料の1つ又は複数のデジタル画像(例えば、取得された画像)のソースが存在する。プロセッサはソースからのデジタル画像を処理する。この処理は、デジタル画像及び対応する画像捕捉(画像取込)データを少なくとも1人のユーザに従って処理することを含み、結果として、(i)被験者生体試料の生体試料データを表す処理済み画像データ及び(ii)捕捉メタデータが生成される。コンピュータにより実行可能なパッケージプロセスは、プロセッサ処理に応答し、処理済み画像データ及び捕捉メタデータを組み合わせるように構成される。この組み合わせることは、1人のユーザに加えて、複数のセクタにわたる複数のユーザが同時に電子的にアクセス可能なパッケージを形成する。
【0014】
以下の本発明の実施形態例のより具体的な説明から上記構成はより明らかになるであろう。異なる図を通して同様の参照文字が同じ部分を指す添付図面に示される。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、その代わり、本発明の実施形態を示すことに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1の実施形態のデータ要素の詳細の概略図である。
【
図3】本発明の実施形態の初期パッケージングプロセスのフローチャートである。
【
図4】患者データを
図1の実施形態のパッケージと組み合わせるプロセスのフローチャートである。
【
図5】一実施形態での病理学的解析のフローチャートである。
【
図6】一実施形態での画像処理の概略フローチャートである。
【
図7】一実施形態でのセクタ固有処理の概略図である。
【
図8】
図3の実施形態での再帰的ユーザ固有処理の概略的なフローチャートである。
【
図9】各実施形態でのプログレッシブ画像ストリーム生成の概略的なフローチャートである。
【
図10】各実施形態でのセッションサンプルデータ生成のブロック図である。
【
図11】
図10のセッションサンプリングデータのアクセス及び変換のフローチャートである。
【
図12】各実施形態でのリアルタイムミラーリングプログレッシブ画像セッションのブロック図である。
【
図13】各実施形態でのプログレッシブ画像データのキャッシュの概略図である。
【
図14】各実施形態が導入されるコンピュータネットワーク及びコンピュータノードの概略図である。
【
図15】各実施形態が導入されるコンピュータネットワーク及びコンピュータノードのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態(すなわち、本発明によるシステム)に含まれるパッケージ及びデータ要素の全体図である。パッケージ(110)は、研究と同様の意で呼ばれ、画像及びメタデータのユーザ固有のグループ分けである。
【0017】
パッケージの第1の要素はユーザ固有画像データ(120)であり、これは、WSI(Whole Slide Image)、すなわち全スライド画像のデータ、又は同義的にWSIデータとも呼ばれる全スライド画像(122)に対するユーザ固有の処理(330)の結果である。WSIは、患者(101)からの生体標本(102)(生体試料とも呼ばれる)のデジタル画像を捕捉する(取り込む)ことにより得られる。
【0018】
パッケージの第2の要素はユーザ固有患者メタデータ(130)であり、これは患者データ(132)のユーザ固有処理(330)の結果である。患者データは、電子医療記録(103)(EMRとも呼ばれる)、研究所情報システム(104)(LISとも呼ばれる)、又は病院情報システム(105)(HISとも呼ばれる)などの、患者データを含むシステムから抽出される。
【0019】
パッケージの第3の要素はユーザ固有画像メタデータ(140)であり、これは、画像取得時に得られるデータ、同様の画像のライブラリからのデータ、又は自動的若しくは予備的な画像解析からのデータから生成し得る。
【0020】
パッケージの第4及び第5の要素は、対象ユーザ(325)への病理学解析要求(150)であり、これにより、そのユーザが病理学解析(160)を生成し、パッケージ(110)に追加することになる。病理学解析要求(150)に寄与するデータは、レビュー基準(152)、並びにルーティング、割り当て、及びスケジュール情報(153)を含む。病理学解析(160)の構成要素は、何らかの形式の病理学レビュー(162)並びに注釈及び備考(163)を含み得る。
【0021】
図2は、様々なタイプのパッケージ(110)のデータ及びメッセージを詳細に示す。
【0022】
ユーザ固有画像データ(
図1の120に相当)のタイプ(210)は、自動画像解析データ(211)若しくは特徴及び物体検出データ(212)又は予測符号化データ(213)、圧縮感知データ(214)、画像タイルデータ(215)、及びプログレッシブ画像ストリーミングデータ(216)を含むWSIデータの様々な変換を含み得るいくつかの形態の導出された画像データの1つを含み得る。
【0023】
ユーザ固有患者メタデータ(
図1の130に相当)のタイプ(220)は、制限付き患者データ(221)と、EMRデータ及び参照(222)とを含み得る。
【0024】
ユーザ固有画像メタデータ(
図1の140に相当)のタイプ(230)は、画像捕捉データ(231)と、画像ライブラリからのメタデータ(232)と、画像解析データ(233)とを含み得る。
【0025】
通知メッセージ(240)のタイプは、通知(241)メッセージと、通知受理(242)メッセージと、完了通知(243)メッセージを含み得る。
【0026】
図3は初期パッケージングプロセスの全体図であり、生体標本から取得される画像を含むパッケージがユーザに対して作成される。
【0027】
第1のステップであるデジタル画像取得(310)において、全スライドデジタル画像(WSI)(
図1の122)が、身体の生体標本(
図1の102)から捕捉され、新しいパッケージ110(
図1)が作成される。ユーザ特定(320)ステップ中、パッケージの1人又は複数の対象ユーザ(325)が特定される。次に、対象ユーザの任意の要求されたユーザ固有処理(330)がWSI(122)に対して実行されて、ユーザ固有画像データ(335、
図1の120に相当)及びユーザ固有画像メタデータ(336、
図1の140に相当)が作成され、対象ユーザのパッケージに追加される。
【0028】
対象ユーザが必要とする要素をパッケージが有すると、電子的アクセス(340)が対象ユーザにとって可能となる。電子的アクセスは、ユーザ通知(350)ステップ中に各対象ユーザに通知メッセージ(355、
図2の241に相当)を送信することにより開始される。通知メッセージは、パッケージが完成し、ユーザアクセスの準備ができたことを対象ユーザに注意喚起する。対象ユーザは任意選択的に、パッケージの受理又は拒絶を通知する通知受理メッセージ(356、
図2の242に相当)を送信し得る。受理の場合、ユーザ要求遂行ステップ(360)の一環として、対象ユーザは全体的又は部分的にパッケージにアクセスする。対象ユーザがパッケージへのアクセスを行うと、パッケージへのアクセスを行ったことを通知する完了通知(365)メッセージが発起人に送信される。
【0029】
図4は、患者データとパッケージとの組み合わせを示す。初期パッケージングプロセス(
図3)からのWSIデータのユーザ固有処理に加えて、ユーザがまた、パッケージ内に患者データを要求することを特定してもよい。
【0030】
ユーザ固有処理(
図3の330)の範囲内で、第1の追加ステップは、患者特定(410)であり、ここで、パッケージ(
図1の110)に関連付けられた患者(415)(
図1では101)が特定される。次に、患者データ検索ステップ(420)において、患者データ(425)(
図1では132)が要求され、外部システムから抽出される。次に、追加のユーザ固有患者データ処理(430)を患者データ425、132に対して実行して、パッケージに含まれるべきユーザ固有患者データ(435)(
図1では130)を生成し得る。最後に、通常処理は初期パッケージプロセス(
図3)のユーザ通知ステップ(
図3の350)に続く。
【0031】
図5は、病理学解析に対する要求と、結果として生成される病理学解析との両方をパッケージに追加することを示す。
【0032】
ユーザ固有処理(
図3の330)中、追加のステップである病理学解析要求追加(510)が、病理学解析に対する要求(520及び
図1の150)をパッケージ(
図1の110)に含める。次に、処理は初期パッケージプロセス(
図3)の電子的アクセスステップ(530)(
図3では340)に続く。ユーザ要求遂行ステップ(
図3の360)の間、ユーザは、病理学解析提出ステップ(540)中に対象ユーザ(
図3の325)により病理学解析(550)(
図1では160)をパッケージ(
図1の110)に追加する。
【0033】
図6は、パッケージングプロセス(
図3)中のWSIデータへのユーザ固有処理330の拡張を示す。
【0034】
WSIデータ122(
図1)の特殊ユーザ固有処理(特化したユーザ固有処理)330(
図3)は、自動画像解析211(
図2)、特徴・物体検出212(
図2)、予測符号化213(
図2)、圧縮感知214(
図2)、画像タイル215(
図2)、及びプログレッシブ画像ストリーミングデータ216(
図2)をパッケージ110に含み得る。
【0035】
ユーザ固有処理330(
図3)ステップ中、他の処理に加えて、予測符号化(620、
図2の213に相当)をWSIデータ(610、
図1の122に相当)に適用し、予測符号化データ(
図2の213)を生成し得る。さらに、圧縮感知(630)をWSIデータ610、122に適用して、圧縮感知データ(
図2の214)を生成し得る。さらに、WSIデータは、ユーザの画像要件に応じてプログレッシブストリーミング(650)の準備をして、プログレッシブ画像ストリーミングデータ(
図2の216)を生成し得る。さらに、WSIデータを画像タイル(640)用に処理して、画像タイルデータ(
図2の215)を生成し得る。
【0036】
これらのプロセスの結果として、自動画像解析データ(660、
図2の211に相当)並びに特徴及び物体検出データ(670、
図2の212に相当)が生成される。
【0037】
これらのステップで生成されたすべてのデータはパッケージ110(
図1)にユーザ固有画像データ(680、
図1の120に相当)として追加される。最後に、通常処理(
図3)は電子的アクセスステップ(340)に続く。
【0038】
図7はセクタ固有処理(ビジネス要件強化ユーザ固有処理としても知られる)を示し、ユーザ特定及びユーザ固有処理320、330(
図3)の詳細は、ユーザのみならず、機能/ビジネス要件にも基づく。これは、同じWSI及びメタデータに基づいて1つ又は複数の異なるパッケージをどのように組み立てて、様々なユーザ向けに製品を生成し得るかを示す。
【0039】
ユーザのビジネス要件の特定(710)中、パッケージは複数のパッケージング機能を受けることができ、パッケージング機能のうちの1つは病理学レビュー用のパッケージングである(
図7のノード720、721、722であり、
図5に相当)。
【0040】
第2のパッケージング例は、教育又は研究のためであり得る(730)。教育及び研究の場合、研究の範囲又は特定の解析のフォーカス等の教育又は研究データが追加され(731)、パッケージ内の患者メタデータはフィルタリングされて、患者情報の識別情報が削除される(732)。
【0041】
さらに別の非限定的なパッケージングは、腫瘍委員会又はセカンドオピニオンによるレビューのためであり得る(740)。これは、再帰的な診断要求の特定の例であり、パッケージのメタデータ項目の1つは、独立した病理学解析プロセス(
図5)を通して生成された病理学解析160(
図1)である。この再帰的プロセスについて
図8においてさらに詳細に説明する。この実施形態では、パッケージが病理学解析プロセス(
図5)を経た後、元のレビュー(530)からの病理学解析(741、
図1の160及び
図5の550に相当)を含む新しいパッケージが生成され、これは、さらなる対象ユーザによるレビューを目的とする。次に、新しいユーザに通知され(
図3の350)、これらのユーザは、各自の病理学解析を提出する(
図5の540)ことで、要求を満たす(
図7の742)。
【0042】
図8は、ユーザ固有画像データを生成するユーザ固有処理がどのようにして再帰的に、第2の対象ユーザに対する別の病理学解析要求を開始して、第1の要求を実行するために必要なデータを生成し得るかを示す。
【0043】
ユーザ特定(810、
図3の320に相当)ステップ中、対象ユーザ(815、
図3の325に相当)が特定される。ユーザ固有処理(820、
図3の330に相当)ステップ中、元々の対象ユーザ(815)のデータ要件を満たすために、追加の病理学解析が必要であると判断する。この時点で、第2の対象ユーザ(835)が、第2のユーザ特定(830)ステップを通して特定される。
図3及び
図5のプロセスに従い、第2の対象ユーザ(835)に対するユーザ固有処理(840、
図3の330に相当)が実行され、ユーザ固有画像データ(845、
図3の335に相当)が生成される。病理学解析要求(855、
図5の520に相当)が、病理学解析追加要求(850、
図5の510に相当)においてパッケージに追加される。次に、第2の対象ユーザに、病理学レビューの目的でパッケージへの電子的アクセス(860、
図5の530及び
図3の340に相当)が提供される。第2の対象ユーザの最後のステップは、病理学解析提出(870、
図5の540に相当)ステップ中に病理学解析(875、
図5の550に相当)をパッケージに追加することである。第2の対象ユーザの病理学解析は次に、全体的又は部分的に元々の対象ユーザのパッケージに追加され、そのユーザのユーザ固有画像データ(825、
図3の335に相当)及びユーザ固有画像メタデータ(826、
図3の336に相当)に寄与する。最後に、第1のユーザには、パッケージへの電子的アクセス(880、
図3の340に相当)が提供される。
【0044】
図9は、プログレッシブ画像データに対するユーザ要求に応答するプログレッシブ画像データストリームの生成を示す。
【0045】
対象ユーザ(910、
図3の325に相当)には、ユーザ固有画像データ(930、
図3の335に相当)への電子的アクセス(920、
図3の340に相当)が提供されている。プログレッシブ要求遂行手順(940)において、対象ユーザは、申請書を提出するか、又はプログレッシブ画像データ要求(950)を他の様式で開始する。プログレッシブ画像データ生成(960)ステップがその要求により始動して、プログレッシブ画像データ(970、
図2の216に相当)が生成される。次に、そのデータは、プログレッシブ画像データ送信(980)ステップにおいて、対象ユーザ910、325へ戻るプログレッシブ画像ストリーム(990)として、要求した対象ユーザに送信される。
【0046】
図10は、
図9の990等のプログレッシブ画像データストリーム生成の過程でのセッションサンプリングデータ生成を示す。
【0047】
対象ユーザ(1020、
図9の910)によるプログレッシブデータ要求に応答してのプログレッシブ要求遂行(1010、
図9の940に相当)ステップ中、セッションサンプリングデータ(1040)が、対象ユーザによるプログレッシブ画像データ要求の詳細を記録して、セッションサンプリングデータ(ステップ1030)中に作成される。
【0048】
図11は、セッションサンプリングデータのアクセス及び変換を示す。対象ユーザ910が、セッションサンプリングデータ1040(
図10)を生成する
図9のプログレッシブ画像ストリーム990を要求した結果として、元々の対象ユーザ又は他の対象ユーザは、そのセッションサンプリングデータにアクセスし、変換し得る。
【0049】
対象ユーザ(1110)はセッションサンプリングデータ要求(1120)メッセージを生成し、これにより、セッションサンプリングデータ変換(1130)プロセスが始動する。セッションサンプリングデータ変換プロセス(1130)は、セッションサンプリングデータ(1140、
図10の1040に相当)を取得し、変換済みサンプリングデータ(1150)を生成する。変換済みサンプリングデータ(1150)は、要求された領域及び解像度の非一時的リスト(1151)、要求された領域及び解像度の非一時的画像(1152)、絶対的若しくは相対的な要求時刻を含む要求された領域及び解像度の時間的ログ(1153)、又は絶対的若しくは相対的な要求時刻を含む要求された領域及び解像度の時間的プログレッシブ画像データ(1154)の形態を取り得る。
【0050】
さらに、プログレッシブ画像データ送信(1170)プロセスを通して、時間的プログレッシブ画像データ(1154)を元のプログレッシブ画像データ(1160、
図9の970に相当)と組み合わせて、プログレッシブ画像ストリーム(1180、
図9の990に相当)を生成してもよく、プログレッシブ画像ストリームは、セッションサンプリングデータ(1040、1140)の生成に使用される元のセッションの相対プログレッシブ画像ストリームをミラーリングする。
【0051】
図12は、同期されたリアルタイムミラーリングプログレッシブ画像セッションでの2人のユーザを示す。このミラーリングされたセッションは、第1の対象ユーザにより生成されている間、変換済みセッションサンプリングデータ(1150)を使用する第2の対象ユーザを通して達成される。共有セッションの任意の時点で、いずれのユーザがセッションの制御権をどのようにしてとり、両ユーザにミラーリングされる新しいプログレッシブ画像ストリームを生成し得るかも示される。
【0052】
対象ユーザ(1205、
図10の1020に相当)はプログレッシブ画像データ要求を開始し、これはプログレッシブ要求遂行(1210、
図10の1010に相当)ステップにおいて処理され、このステップは次に、セッションサンプリングデータ(1220、
図10の1030に相当)を生成する。対象ユーザ2(1235、
図11の1110に相当)はミラーリング画像ストリーム(1230)を要求し、これは、
図11からのセッションサンプリングデータ変換(1231、
図11のステップ1130に相当)及びプログレッシブ画像データ送信(1232、
図11のステップ1170に相当)に相当する。結果として生成されるプログレッシブ画像ストリーム(1240、
図11の1180に相当)は、対象ユーザ2に送信される。
【0053】
対象ユーザ2による追加プログレッシブ画像データ要求を生成する動作を通して、第2のプログレッシブ要求遂行(1250)ステップに入り、このステップはセッションサンプリングデータを生成する(1260)。対象ユーザ1は、ミラーリングされたプログレッシブ画像セッションの一部であり、第2のミラーリング画像ストリーム要求(1270)ステップ、セッションサンプリングデータ変換(1271)、及びプログレッシブ画像データ送信(1272)を暗黙的に開始し、対象ユーザ1への新しい各プログレッシブ画像ストリーム(1280)を生成し、対象ユーザ2の動作を両ユーザに効率的にミラーリングする。
【0054】
図13は、リモートユーザがどのようにして、要求されたプログレッシブ画像データ(970、1160)のローカル記憶を通してユーザ固有画像データ(120、210、335、680、825、930)の閲覧部分をキャッシュするか、又は元々は要求されなかったユーザ固有画像データのみを含む第2のプログレッシブ画像ストリームの使用を通してユーザ固有画像(120、210、335、680、825、930)全体をキャッシュして、消費ノードにそのままが存在するユーザ固有画像を生成し、元のユーザ固有画像データの参照コピーを提供し得るかを示す。
【0055】
ユーザ固有画像データ(1350、
図9のデータ930に相当)は発起ノード(1310)にある。消費ノード(1320)上の対象ユーザ(1330、
図9のユーザ910に相当)は、画像データ要求(1340、
図9の950に相当)を生成する。要求は
図9と同様に処理され、結果として生成される要求されたプログレッシブ画像ストリーム(1370、
図9の画像ストリーム990に相当)は、発起ノード(1310)から消費ノード(1320)に送信される。発起ノード(1310)において、セッションサンプリングデータ(1360、
図10のデータ1040に相当)が生成される。消費ノード(1320)において、要求されたプログレッシブ画像ストリーム(1370)がキャッシュ済み画像データ(1380)としてキャッシュされるとともに、対象ユーザ(1330)に転送されて、消費されたプログレッシブ画像ストリームを表す。任意選択的に、対象ユーザのセッションの結論として、欠落プログレッシブ画像ストリーム(1390)と呼ばれる残り(ユーザ固有画像データ1350の残り)を消費ノード(1320)に送信してもよく、消費ノード(1320)において、キャッシュ済み画像データ(1380)に追加されて、キャッシュ済み画像データ(1380)を元のユーザ固有画像データ(1350)の複製コピーにする。
【0056】
図14は、本発明の実施形態が導入されるコンピュータネットワーク環境の概略図である。一実施形態では、ネットワークは、通信ネットワーク又は同様のネットワーク(1440)を介して接続された1つ又は複数のサーバ(1410)、1つ又は複数のデスクトップ又はノートブッククライアント(1420)、及び1つ又は複数のノートブック又は他の無線クライアント(1430)を含む。
【0057】
図15は、
図14のネットワークのコンピュータノードのブロック図である。コンピュータノードの構成要素は、I/O装置インタフェース(1560)、中央演算処理装置(CPU)及び追加のプロセッサ(1570)、ネットワークインタフェース(1580)、メモリ(1510)、及びディスク記憶装置(1540)を接続するシステムバス(1590)を含む。メモリはルーチン(1520)及びデータ(1530)の両方を含んでもよく、ディスク記憶装置はオペレーティングシステム(OS)及びプログラム(1540)と、データ(1530)との両方を含み得る。特に、ルーチン1520、プログラム1550、及びデータ1530は、
図1~
図13のプロセス及びデータを含み、これらのプロセス及びデータは、以下に明確になる本発明の実施形態を形成するコンピュータ/装置1410、1420、1430を構成する。
【0058】
本発明の例示的な実施形態の説明は以下の通りである。
【0059】
本発明の要素
本発明の実施形態は、以下のうちのいくつかの組み合わせを含む、すなわち、5つのデータ構造、2種類のパッケージ、及び4種類の通知・応答メッセージ。
【0060】
全スライド画像
第1のデータ構造は全スライド画像(全スライド画像データ、WSI、又はWSIデータとしても知られる)122(
図1)である。これは、デジタイザ又は他の画像生成捕捉装置により生体標本102(
図1)の画像を捕捉することにより生成される。
【0061】
患者データ
次のデータ構造は患者データ(患者メタデータとしても知られる)132(
図1)であり、これは、発起ノードのHIS105(
図1、同義的に病院情報システムとも呼ばれる)、LIS104(
図1、同義的に研究所情報システムとも呼ばれる)、EMR103(
図1、同義的に電子医療記録とも呼ばれる)、又は研究レビュープロセスを支援するために捕捉された他のデータを含むがこれらに限定されない他のデータ記憶装置に捕捉された患者データの和(総合データ)である。
【0062】
画像メタデータ
次のデータ構造は画像メタデータであり、これは、WSIの捕捉についてのメタデータ(解像度、設定、日付け、技師)を含む画像捕捉データ142(
図1)と、細胞数、測定、又は統計等のユーザ固有画像処理を通して特定された画像についての情報を含み得る画像解析データ143(
図1)と、同様の属性の他の研究(症状又は診断情報の言語に基づく検索又は画像解析・画像検索を通して決定される)への参照又は任意の追加の関連する診断情報を含み得る画像ライブラリからのメタデータ144(
図1)とを含み得る。
【0063】
ユーザ固有画像データ
次のデータ構造はユーザ固有画像データ120(
図1)である。ユーザ固有画像データ120は、WSIデータ122からパッケージングプロセス(
図3)において生成されるデータである。ユーザ固有画像データ120は、自動画像解析データ211(
図2)、特徴及び物体検出データ212(
図2)、予測符号化データ213(
図2)、圧縮感知データ214(
図2)、画像タイルデータ(
図2-215)、及びプログレッシブ画像ストリーミングデータ216(
図2)を含み得るが、これらに限定されない。
【0064】
ユーザ固有メタデータ
次のデータ構造はユーザ固有メタデータであり、これは、ユーザ固有患者データ130(
図1)及びユーザ固有画像メタデータ140(
図1)の両方の形態をとる。ユーザ固有メタデータは、患者メタデータ及び他のデータを収集した結果のデータである。このデータの変換は、フィルタリング又は制限付き患者データ221(
図2)、EMRデータ及び参照222(
図2)、画像ライブラリからのメタデータ232(
図2)、又は画像メタデータ230(
図2)を含み得るが、これらに限定されない。画像メタデータ230は、測定、細胞数、染色体数、又は他の解析データを含むがこれらに限定されない、自動画像解析中に生成される捕捉メタデータ231又は解析データ233を含み得るが、これらに限定されない。
【0065】
パッケージ
次のデータ構造はパッケージ(詳細な研究又は研究とも呼ばれる)110(
図1参照)であり、これは、追加のメタデータと組み合わせられた1つ又は複数の漸進的に高くなる解像度画像からなる。好ましい実施形態は、消費ノードで閲覧される際に画像の領域(x、y、及びz位置及び倍率)へのオンデマンドアクセスを提供する複数の画像タイル又は画像タイルストリームへのアクセスを提供する。第2の好ましい実施形態は、画像全体を発起ノードから消費ノードにプッシュ又はプルし、将来消費するために画像をキャッシュする。メタデータは、研究110自体内に含まれないが関連する追加の患者メタデータ(追加の患者履歴、以前の病理学研究の結果、非病理学研究結果、現在の研究以外の詳細な研究等であるが、これらに限定されない)へのオンデマンドアクセスを提供することにより、漸進的に実現することもできる。パッケージ110に追加されるデータは、様々なユーザ固有処理330(
図3)を受けて、パッケージ110に含まれていたWSIデータ122(
図1)、患者データ132(
図1)、画像捕捉データ142(
図1)、画像解析データ143(
図1)、及び画像ライブラリからのメタデータ144(
図1)の低減、変換、圧縮、又は増強を行い、対象ユーザ325(
図3)に最も適切なパッケージを生成し得る。
【0066】
プレビュー研究
次のデータ構造はプレビュー研究であり、これは、画像メタデータ140、230及び患者メタデータ130、220の両方と組み合わせられた研究画像の検査を提供する研究画像の1つ又は複数のサンプルを含む。プレビュー研究自体が、別個のパッケージングプロセス(
図3)を経て、画像メタデータ及び患者メタデータを低減し、利用可能なすべての(そして完全な診断に関連する)情報を含むことなく、レビュー要求150のさらなるルーティングを判断するか、又はレビュー要求150を遂行する(受理する)か否かを判断することができる十分なデータを提供するそれ自体のパッケージを形成する。プレビュー研究は、セクタ固有パッケージング(
図7)に基づく再帰的診断要求(
図8)の一形態であり、目標は病理学的レビューではなく、別個のパッケージ生成及び病理学解析要求150を始動させるレビューを実行するか否かの判断である。
【0067】
病理学解析要求
次のデータ構造は病理学解析要求150(
図1)である。このメッセージは、パッケージ110のレビュー準備ができたことを対象ユーザ325に通知するために必要な詳細及びルーティングを提供する。これは、プレビュー研究及び/又は詳細な研究への参照を含み得る。さらに、病理学解析要求150は、優先度、期限切れ、受理後の期限切れ、償還率、及び認可レビューア数等の(ただし、これらに限定されない)研究のアドレッシング・ルーティング情報並びに任意のポリシー及び制約を含む。このデータ構造は、レビュー基準152(特定の診断命令、予備診断、又は診断テンプレート)及びルーティング、割り当て及びスケジューリング情報153(濃度(集合の要素の数)、期限切れ、優先度)を含むが、これらに限定されない所望の病理学診断についての様々なメタデータを含み得る。
図1は例示である。
【0068】
病理学解析
最後のデータ構造は病理学解析(レビュー、病理学レビュー、病理学診断、又は診断とも呼ばれる)160、550(
図1及び
図5)であり、これは、パッケージ110が病理学解析要求150を含む場合、消費ノードにより発起ノードに返される。病理学解析160、550は、書面又は音声での詳細な診断を含む病理学レビュー162(
図1)と、一連の注釈(x、y、及びz位置、ズーム倍率、及びメモ)又は画像並びにレビューメタデータを含み得る注釈及び備考163(
図1)とを含み得る。レビューメタデータは、医師メタデータ、レビュー日時、レビューの持続時間、及び研究のどの要素が消費されたかについての詳細を含み得るが、これらに限定されない。
【0069】
通知、受理通知、及び完了通知
本発明のメッセージデータ構造240は、通知241、通知受理242、及び完了通知243を含む。
【0070】
図3に示されるように、通知メッセージ241(
図2)型のメッセージ355は、発起ノードにより消費ノードに送信される。このメッセージ355は、病理学解析要求150(
図1)並びに利用可能なパッケージ110についての任意の詳細を含み得る。
【0071】
対象ユーザ325がレビューに関してパッケージ110を受理又は拒絶する場合、通知受理メッセージ242(
図2)を、
図3の356等において発起ノードに返し得る。受理メッセージ242、356は、消費ノードによるレビュー要求150の受理又は拒絶のいずれかを通知する。受理メッセージ242、356の場合、レビュー要求150が複数の消費ノードを含み、かつ、レビュー要求の濃度(要求されるレビュー数)が満たされるならば、「ブロードキャスト受理」メッセージが残りのすべての消費ノードに送信される。このブロードキャストメッセージは、レビュー要求が条件付きで満たされ、追加の受理メッセージ242、356がレビュー要求150に関して処理されることを通知する。好ましい実施形態では、プレビュー研究は、レビュー要求受理の競合ロックの持続時間にわたって消費ノードにキャッシュされた状態のままである。ロックの期限が切れると、レビュー要求150は再び、処理のために残りの受信者に転送される。
【0072】
対象ユーザ325が病理学解析160、550(
図1及び
図5)を完了すると、病理学解析160、550を含む完了通知メッセージ243、365(
図2及び
図3)が、消費ノードから発起ノードに返される。
【0073】
パッケージングプロセス
パッケージングプロセス(
図3)は、1人又は複数の対象ユーザ325(
図3)に対して、発起ノードによる研究の作成である。パッケージングプロセスの第1のステップは、患者101(
図1)から取得され、準備され、デジタル化された1つ又は複数の生体標本102(
図1)の1つ又は複数の全スライド画像122(
図1)の取得310(
図3)である。取得されると、WSI122はパッケージ110(
図1)に追加される。次に、少なくとも1人の対象ユーザ325が識別される(
図3のユーザ特定プロセス320において)。
【0074】
ユーザが識別されると、ユーザ固有処理330を行い得る(
図3)。ユーザ固有処理はまず、ユーザ固有画像処理(
図6)を含むが、患者データを検索し420(
図4)、ユーザ固有処理430(
図4)を患者データに対して実行する。
【0075】
パッケージ110は、特定のビジネスニーズを有するユーザ又はいくつかの画像若しくはメタデータの包含若しくは除外を指示し得る特定のセクタのメンバであるユーザ向けとしてもよく、ユーザは、病理学解析要求150、520をパッケージ110に追加するか否かを指示し得る。このセクタ固有処理(ビジネス要件強化ユーザ固有処理(
図7)としても知られる)の一実施形態は、パッケージの一次(720)又は二次病理学解析(腫瘍委員会又はセカンドオピニオン若しくはコンサルト(740)による)のため、又は教育若しくは研究(730)のためである。教育のためには、複数の患者についての追加データ又は様々な患者からの複数のスライドをリンクする追加データを含んでもよく(
図7の731)、臨床研究のためには、基準、及び詳細を含んでもよい(
図7の731)。
【0076】
このセクタ固有処理(
図7)の好ましい実施形態は、プレビューパッケージを準備することであり、プレビューパッケージは、診断要求(通知355)及び対応するパッケージ110の準備ができたこと、及びそれらのユーザがプレビューパッケージにアクセスして、所望の解析を実行したいか否かを判断すべきであることを複数のユーザに通知するために使用し得る。このようにして、利用可能なリソースを有する第1の適格ユーザがパッケージ110を受理し、病理学レビューを実行し得る場合、フィルタリングされて、患者データを保護するデータを有するパッケージ110を複数のユーザ又は組織に容易に配信して、より高速で高質の診断を受けることができる。
【0077】
ユーザ固有及び特殊画像処理
ユーザ固有画像処理(
図6)は、自動画像解析660(
図6)、特徴及び物体検出670(
図6)を含んでもよく、これらは両方とも、特殊画像処理(特化した画像処理)が実行されたユーザ固有画像データ680(
図6)に対して実行される。特殊画像処理(
図6)は、WSIデータのセグメント化及びタイル化、予測符号化620の適用、圧縮感知630の適用、対象ユーザ325に対するプログレッシブ画像データ650の画像タイル化640及び準備を含み得るが、これらに限定されない。
【0078】
プログレッシブ画像ストリーミング及びセッションサンプリング
データが準備されると、特定の領域及び解像度に対する要求に応答して、画像を対象ユーザ325、910に漸進的にストリーミングし得る(
図9)。画像の要求された部分の復元に必要なプログレッシブ画像データの必要な構成要素のみが、プログレッシブ画像ストリーム990に含まれる。
【0079】
プログレッシブ画像ストリーム990が組み立てられ、対象ユーザ325、910に送信されると、セッションサンプリングデータが発起ノードに記録される(
図10)。セッションサンプリングデータ1040(
図10)は、絶対的又は相対的時刻、領域及び解像度を含み、これらは、要求に応答して対象ユーザ325、910へのプログレッシブ画像ストリーム990に組み立てられる。
【0080】
セッションサンプリングデータ変換、監査、及びコラボレーション
プログレッシブ画像ストリーミング(
図9)中に捕捉されたセッションサンプリングデータ1040は複数の用途を有する。1つの非一時的実施形態では、セキュリティ及び監査ツールとして使用してもよく、画像がいつどこで誰によってアクセスされたかを、何がアクセスされたかと併せて監視し追跡できるようにする。第2の非一時的実施形態では、何がどの解像度でアクセスされたかの視覚的表現を生成して、病理学者の教育又は特定の事例若しくはパッケージ110のレビューでの追加の医師をアシストすることを支援し得る。一時的実施形態では、セッションサンプリングデータ1040をセッション再生ツールとして使用して、事後にセッションを再生するか、又はセッションを共有セッションの一環として複数のユーザに対してリアルタイムでミラーリングし得る。
【0081】
非一時的なセッションの一実施形態では、セッションサンプリングデータ1040、1140から何にアクセスされたかの詳細な説明を、セッションアクセスの開始時刻及び終了時刻と併せて、何にアクセスされたかのピクセル及び解像度表現に低減することができる。
図11のステップ1151は例示である。
【0082】
好ましい非一時的実施形態では、非一時的画像1152(
図11)が存在する。非一時的画像1152では、各領域及び各解像度は、画像様式で画像の二次元ピラミッド表現で表現される。表示される解像度の色はマッピングされた画像の色であり、解像度が高いほど、低解像度サンプルよりも優先される。
【0083】
好ましい一時的実施形態は、プログレッシブ画像データ1154(
図11)のリアルタイムベースのリストであり、元のプログレッシブ画像データ1160(
図11)と併せて、プログレッシブ画像ストリーム1180(
図11)を再構築することができる。このストリームは後に、プログレッシブ画像ストリームセッションの監査に使用することができる。
【0084】
別の好ましい一時的実施形態は、上述の実施形態と同様であるが、セッションサンプリングデータ1040、1140をリアルタイムでサンプリングすることにより、複数の対象ユーザ(
図12)間でセッションをミラーリングすることができる。対象ユーザ1がプログレッシブ要求を通して画像の一部を要求している場合、その要求は満たされ1210(
図12)、セッションサンプリングデータが生成される1220(
図12)。同じセッションに入った対象ユーザ2は、ステップ1230(
図12)においてミラーリング画像ストリームを要求し、ミラーリング画像ストリームは、セッションサンプリングデータ1231(
図12)の変換を組み込んで、対象ユーザ2のプログレッシブ画像ストリーム1180、1240(
図11及び
図12)を生成する。さらなる好ましい実施形態では、システム内のすべてのユーザはストリームの制御を有し、画像のナビゲーションに基づいてプログレッシブ要求を生成し、追加のプログレッシブ画像ストリーム1280及びミラーリング画像ストリームを生成し得る。
図12のステップ1250、1260、1270、1280は例示である。
【0085】
セッションサンプリングデータ1040、1140を別の方法で利用して、好ましい実施形態では、対象ユーザ910、1330は閲覧されたプログレッシブ画像ストリーム990、1180、1240、1280のコピーをローカル又は関連付けられた消費ノード1320システム(
図13)にキャッシュすることができる。この実施形態では、発起ノード1310(
図13)は、消費ノード1320の対象ユーザ1330からの画像データ要求1340に応答して、ユーザ固有画像1350の一部を表すプログレッシブ画像ストリーム1370を送信する。消費ノード1320において、プログレッシブ画像ストリームは、対象ユーザ1330に転送される際、キャッシュされる1380(
図13)。さらなる実施形態では、対象ユーザ1330が閲覧セッションを終了する場合、発起ノード1310は二次プログレッシブ画像ストリーム1390(
図13)を生成し、これは、キャッシュ済み画像データ1380を元のユーザ固有画像335、930、1350(
図3、
図9、及び
図13)の完全複製版に変換するために必要な必要構成要素を含む。
【0086】
本発明について本発明の実施形態例を参照して具体的に示し説明したが、添付の特許請求の範囲に含まれる本発明の範囲から逸脱せずに、形態及び詳細に様々な変更を行い得ることを当業者には理解されよう。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
生体試料データを配信する、コンピュータに基づく方法であって、
被験者生体試料のデジタル画像を取得するステップと、
少なくとも1人のユーザに応じて前記取得されたデジタル画像及び画像捕捉データを処理するステップであって、この処理により、前記被験者生体試料の生体試料データを表す、処理済み画像データ、及び捕捉メタデータを生成する、処理ステップと、
パッケージ処理を通して、前記処理済み画像データ及び捕捉メタデータを組み合わせてパッケージにするステップと、
前記1人のユーザに加えて、複数のセクタにわたる複数のユーザに、前記パッケージに対する同時電子的アクセスを可能にする電子的アクセスステップとを備えた、方法。
〔態様2〕
前記処理済み画像データへの電子的アクセスは、前記パッケージが利用可能なことを前記ユーザに通知するステップと、前記処理済み画像データへのアクセスを提供するステップとを含み、この後に完了通知が続く、態様1に記載の方法。
〔態様3〕
前記処理ステップは、患者データ処理及びユーザ処理を含み、前記患者データ処理及び前記ユーザ処理のそれぞれは、
外部データ記憶装置からのデータを抽出して取り込み、前記ユーザが要求した患者データであるユーザ要求データを生成する、患者データ処理と、
画像メタデータ、及び外部データ記憶装置からの他のデータを抽出して取り込み、さらに他のデータを処理して前記ユーザが要求したメタデータであるユーザ要求メタデータにする、ユーザ処理と、
前記パッケージ内に、前記ユーザ要求患者データ及び前記ユーザ要求メタデータをさらに含める、パッケージ処理とを備えた、態様1に記載の方法。
〔態様4〕
前記1人のユーザは病理学者であり、前記電子的にアクセスを可能にするステップは、前記ユーザが診断処理ステップを実行できることを可能にし、前記ユーザは、前記生体試料データに関するデータを記録し、前記記録されるデータは、書面又は音声での診断、サブサンプリング画像データ、注釈、及びコメントを含む、態様1に記載の方法。
〔態様5〕
前記診断処理ステップは部分的又は全体的に、自動化システム又は病理学者以外のユーザにより実行される、態様4に記載の方法。
〔態様6〕
前記処理ステップは、伝送モデリング方法、記憶モデリング方法、及び分類モデリング方法のうちのいずれか1つ又は任意の組み合わせを含むモデリングプロセスを含み、
前記伝送モデリングは、チャネル符号化及びバージョン制御条件付き伝送の組み合わせを含み、
前記記憶モデリングは少なくとも情報源符号化を含み、
前記分類モデリングは、予測符号化、圧縮感知、及びプログレッシブ画像ストリーミングの組み合わせを含む、態様1に記載の方法。
〔態様7〕
前記処理ステップは、2人以上のユーザのユーザ仕様の集合を含む集合処理であり、前記電子的アクセスステップは、各ユーザ仕様に従って、各ユーザ要求が独立に処理されているかのように、各ユーザに対して前記パッケージデータを分解する、態様3に記載の方法。
〔態様8〕
前記ユーザ処理、前記患者データ処理、又は前記パッケージ処理のうちの1つ又は複数が、各自の処理ステップへの入力として、完全又は部分的な診断処理ステップを開始する、態様3に記載の方法。
〔態様9〕
生体試料データを配信する、コンピュータに基づく方法であって、
被験者生体試料のデジタル画像を取得する、取得ステップと、
前記取得されたデジタル画像を処理して、前記被験者生体試料の生体試料データを表すプログレッシブ画像ストリームを形成する、処理ステップと、
前記プログレッシブ画像ストリームに対して、前記生体試料の解像度、スケール、及びサブ領域に関してのアクセスの準備を追加的に処理するステップと、
ユーザが、前記被験者生体試料の解像度、スケール、及びサブ領域に関して、プログレッシブ画像を空間的に閲覧するように、前記プログレッシブ画像ストリームを1人又は複数のユーザに送信するステップとを備えた、方法。
〔態様10〕
前記取得ステップは一連の画像を取得し、前記処理ステップは圧縮感知を利用する、態様9に記載の方法。
〔態様11〕
ユーザが要求した処理済み画像データのリストを記録するステップをさらに含み、前記リストはセッションサンプリングデータとして記録され、前記セッションサンプリングデータは、前記ユーザが閲覧する画像の部分を監査できるように、呼び戻されることができる、態様10に記載の方法。
〔態様12〕
前記セッションサンプリングデータは、前記ユーザがアクセスする画像部分の概要を提供する順序なしデータとして呼び戻されてアクセスされることが可能である、態様11に記載の方法。
〔態様13〕
前記セッションサンプリングデータは、前記ユーザが前記処理済み画像データにアクセスしレビューした順序で呼び戻されてアクセスされ、セッションの再構築を可能とする、態様11に記載の方法。
〔態様14〕
同じ画像の複数のセッションサンプリングデータをサンプリングして、複数のセッションにわたる共通点についての情報を収集する、態様11に記載の方法。
〔態様15〕
前記セッションサンプリングデータは、生成中に1人又は複数の他のユーザにより呼び戻され、その結果すべてのユーザが同期閲覧経験を有する、態様11に記載の方法。
〔態様16〕
前記同期閲覧経験に関わるユーザが、(a)前記処理済み画像データをナビゲートし、プログレッシブ画像ストリーム要求を追加し、(b)閲覧された前記画像に注釈を付けて、前記注釈付けはその他のユーザから閲覧されるように行われる、態様15に記載の方法。
〔態様17〕
前記ユーザは前記処理済み画像データにリモートにアクセスし、前記セッションサンプリングデータは、前記要求された処理済み画像データのローカルにキャッシュされたコピーにより増強される、態様11に記載の方法。
〔態様18〕
前記処理済み画像データの前記キャッシュされたコピーを、前記画像データ全体を含むようにさらに処理できるようにするステップをさらに備えた、態様17に記載の方法。
〔態様19〕
生体試料データを配信するコンピュータシステムであって、
被験者生体試料の1つ又は複数のデジタル画像のソースと、
前記ソースからのデジタル画像を処理するプロセッサであって、前記処理は、前記デジタル画像及び対応する画像捕捉データを少なくとも1人のユーザに応じて処理することを含み、その結果、(i)前記被験者生体試料の生体試料データを表す処理済み画像データ及び(ii)捕捉メタデータが生成される、プロセッサと、
前記プロセッサ処理に応答してコンピュータにより実行可能であり、前記処理済み画像データ及び前記捕捉メタデータを組み合わせるように構成されるパッケージプロセスであって、前記組み合わせることは、前記1人のユーザに加えて、複数のセクタにわたる複数のユーザが同時に電子的にアクセス可能なパッケージを形成する、パッケージプロセスとを備えた、コンピュータシステム。