(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】分散型電源システム、制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/46 20060101AFI20240517BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240517BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240517BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 130
H02J3/38 110
H02J3/32
H02J7/35 K
(21)【出願番号】P 2023026289
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2019086558の分割
【原出願日】2019-04-26
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100202201
【氏名又は名称】兒島 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】森本 篤史
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-85468(JP,A)
【文献】特開2015-35893(JP,A)
【文献】特開2017-79507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、
蓄電装置と、
第1制御及び第2制御の少なくとも一方を実行する制御装置と、を備え、
前記発電装置、前記蓄電装置、及び商用電源が互いに接続され、
前記第1制御は、目標電力が前記商用電源から受電する電力値よりも大きいときに前記蓄電装置の充放電電力を増加させる場合には、前記充放電電力を増加させる前に前記発電装置の発電電力を減少させるという制御であり、
前記第2制御は、前記目標電力が前記電力値よりも小さいときに前記充放電電力を減少させる場合には、前記充放電電力を減少させる前に前記発電装置の発電電力を増加させるという制御である、
分散型電源システム。
【請求項2】
発電装置と、
蓄電装置と、を備え、
前記発電装置、前記蓄電装置、及び商用電源が互いに接続された、分散型電源システムを制御する制御装置であって、
前記制御装置は、第1制御及び第2制御の少なくとも一方を実行し、
前記第1制御は、目標電力が前記商用電源から受電する電力値よりも大きいときに前記蓄電装置の充放電電力を増加させる場合には、前記充放電電力を増加させる前に前記発電装置の発電電力を減少させるという制御であり、
前記第2制御は、前記目標電力が前記電力値よりも小さいときに前記充放電電力を減少させる場合には、前記充放電電力を減少させる前に前記発電装置の発電電力を増加させるという制御である、
制御装置。
【請求項3】
発電装置と、
蓄電装置と、を備え、
前記発電装置、前記蓄電装置、及び商用電源が互いに接続された、分散型電源システムを制御する制御方法であって、
目標電力が前記商用電源から受電する電力値よりも大きいときに前記蓄電装置の充放電電力を増加させる場合には、前記充放電電力を増加させる前に前記発電装置の発電電力を減少させることを含む、制御方法。
【請求項4】
発電装置と、
蓄電装置と、を備え、
前記発電装置、前記蓄電装置、及び商用電源が互いに接続された、分散型電源システムを制御する制御方法であって、
目標電力が前記商用電源から受電する電力値よりも小さいときに前記蓄電装置の充放電電力を減少させる場合には、前記充放電電力を減少させる前に前記発電装置の発電電力を増加させることを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分散型電源システム、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分散型電源システムが知られている。分散型電源システムは、複数の発電装置を備えていることがある。そのような分散型電源システムの一例が、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されている分散型電源システム100を、
図7に示す。分散型電源システム100は、発電装置110と、直流母線104と、蓄電装置102と、系統連系装置108と、全体制御装置109と、を備えている。
【0004】
発電装置110は、再生可能エネルギーを利用して発電する。具体的には、発電装置110は、太陽光発電装置である。発電装置110は、太陽電池101と、DC-DCコンバータ103と、を含む。DC-DCコンバータ103は、太陽電池101から出力された直流電圧を、所定の大きさの直流電圧に変換する。
【0005】
蓄電装置102は、直流母線104を介して、DC-DCコンバータ103に接続されている。蓄電装置102には、発電装置110の発電電力が供給され、その電力が充電される。
【0006】
系統連系装置108は、DC-ACインバータ107を有する。DC-ACインバータ107は、蓄電装置102からの直流電力を、電力系統105と連系可能な交流電力に逆変換する。逆変換により得られた電力は、負荷106および電力系統105に供給される。
【0007】
制御装置109は、発電量の予想データを受信する。制御装置109は、発電量の予想データおよび消費電力予想に基づいて、蓄電装置102の充電残量の目標値を設定する。制御装置109は、充電残量の目標値および実績値に基づいて、系統連系装置108の出力を、一定時間単位で変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、商用電源から負荷に供給される電力を安定させることに適した安価な分散型電源システムの実現に寄与し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、
第1発電装置を含む複数の発電装置と、
前記複数の発電装置に接続された蓄電装置と、
前記複数の発電装置および前記蓄電装置に接続された電力入力部と、負荷が接続された分岐部を介して商用電源に接続された電力出力部と、を含む電力出力装置と、
検出装置と、
前記商用電源から受電した電力を表す値であって前記検出装置を用いて特定される値である特定電力を一定の目標電力に追従させる制御装置と、を備え、
前記第1発電装置の発電電力を第1発電電力と定義し、正であるときに前記蓄電装置の充電電力を指すとともに負であるときの絶対値が前記蓄電装置の放電電力を指す値を前記蓄電装置の充放電電力と定義したとき、前記制御装置は、
前記目標電力から前記特定電力を差し引いた差分電力を演算し、
前記差分電力がゼロよりも大きいときにおいて、前記充放電電力を増加させる第2処理を実行する場合には前記第2処理を実行する前に前記第1発電電力を減少させる第1処理を実行し、
前記差分電力がゼロよりも小さいときにおいて、前記充放電電力を減少させる第4処理を実行する場合には前記第4処理を実行する前に前記第1発電電力を増加させる第3処理を実行する、
分散型電源システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る技術は、商用電源から負荷に供給される電力を安定させることに適した安価な分散型電源システムの実現に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態における分散型電源システムの構成図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態における分散型電源システムの構成図である。
【
図2A】
図2Aは、実施の形態におけるランキンサイクル発電電源の構成図である。
【
図2B】
図2Bは、実施の形態における電力変換機の構成図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における太陽光発電装置の構成図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における蓄電装置の構成図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における制御フローチャート図である。
【
図6A】
図6Aは、実施の形態における電力の経時変化の説明図である。
【
図6B】
図6Bは、比較例における電力の経時変化の説明図である。
【
図6C】
図6Cは、比較例における電力の経時変化の説明図である。
【
図6D】
図6Dは、比較例における電力の経時変化の説明図である。
【
図6E】
図6Eは、比較例における電力の経時変化の説明図である。
【
図7】
図7は、従来の分散型電源システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の基礎となった知見)
太陽光等の再生可能エネルギーを利用した発電装置が知られている。そのような発電装置の発電電力は、自然環境によって変動し易い。特許文献1には、発電電力の変動は蓄電装置で吸収されると記載されている。
【0014】
しかし、再生可能エネルギーを利用した発電装置の発電電力は、大きく変動し得る。このため、特許文献1に従って発電電力の変動を蓄電装置で吸収する場合、大容量の蓄電装置が必要になる。しかし、大容量の蓄電装置は、高価である。
【0015】
特許文献1には、発電量の予想データに基づいて、蓄電装置の充電残量の目標値を設定するとも記載されている。しかし、予想は、当たらない場合がある。予想が外れると、蓄電装置が満充電状態となったり過放電状態となったりし得る。これらの状態では、発電電力の変動を吸収できないことがある。
【0016】
ここで、再生可能エネルギーを利用した発電装置の発電電力と、商用電源からの受電電
力とで、負荷の要求電力を賄うことを考える。この場合、発電電力が変動したときには、その変動に合わせて受電電力が変動することになる。
【0017】
商用電源からの受電電力が不安定である場合、電力需給バランスを取り難く、商用電源の電圧が変動し易い。
【0018】
以上の理由で、商用電源から負荷に供給される電力を安定させることに適した安価な分散型電源システムを実現する技術は、検討に値する。
【0019】
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る分散型電源システムは、
第1発電装置を含む複数の発電装置と、
前記複数の発電装置に接続された蓄電装置と、
前記複数の発電装置および前記蓄電装置に接続された電力入力部と、負荷が接続された分岐部を介して商用電源に接続された電力出力部と、を含む電力出力装置と、
検出装置と、
前記商用電源から受電した電力を表す値であって前記検出装置を用いて特定される値である特定電力を一定の目標電力に追従させる制御装置と、を備え、
前記第1発電装置の発電電力を第1発電電力と定義し、正であるときに前記蓄電装置の充電電力を指すとともに負であるときの絶対値が前記蓄電装置の放電電力を指す値を前記蓄電装置の充放電電力と定義したとき、前記制御装置は、
前記目標電力から前記特定電力を差し引いた差分電力を演算し、
前記差分電力がゼロよりも大きいときにおいて、前記充放電電力を増加させる第2処理を実行する場合には前記第2処理を実行する前に前記第1発電電力を減少させる第1処理を実行し、
前記差分電力がゼロよりも小さいときにおいて、前記充放電電力を減少させる第4処理を実行する場合には前記第4処理を実行する前に前記第1発電電力を増加させる第3処理を実行する。
【0020】
第1態様に係る技術は、商用電源から負荷に供給される電力を安定させることに適した安価な分散型電源システムの実現に寄与し得る。
【0021】
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る分散型電源システムでは、
前記制御装置は、前記第1発電装置が有する指令第1発電電力をある制御周期で更新してもよく、
前記第1発電電力は、前記第1発電装置が有する前記指令第1発電電力に追従してもよく、
前記制御周期は、1ミリ秒以下であってもよい。
【0022】
第2態様は、第1発電電力を高い即応性で制御するのに適している。
【0023】
本開示の第3態様において、例えば、第1態様または第2態様に係る分散型電源システムでは、
前記第1発電装置は、熱を利用して発電する熱発電装置、または、燃料電池発電装置であってもよい。
【0024】
第3態様の発電装置は、第1発電装置の具体例である。
【0025】
本開示の第4態様において、例えば、第1から第3態様のいずれか1つに係る分散型電源システムでは、
前記複数の発電装置は、第2発電装置を含んでいてもよく、
前記第2発電装置は、再生可能エネルギーを利用した発電装置であってもよい。
【0026】
第4態様の第2発電装置は、再生可能エネルギーを利用する。そのような第2発電装置には、環境負荷が小さいというメリットと、その発電電力が自然環境によって変動し得るというデメリットと、がある。しかし、第4態様の第2発電装置は、第1態様の技術と組み合わされる。これにより、上記メリットを、上記デメリットを抑えつつ得ることができる。
【0027】
本開示の第5態様において、例えば、第4態様に係る分散型電源システムでは、
前記第2発電装置は、太陽光発電装置、または、風力発電装置であってもよい。
【0028】
第5態様の発電装置は、再生可能エネルギーを利用した発電装置の具体例である。
【0029】
本開示の第6態様において、例えば、第1から第5態様のいずれか1つに係る分散型電源システムでは、
前記制御装置は、前記第1発電電力が追従するべき指令第1発電電力の下限である下限電力と、前記指令第1発電電力の上限である上限電力と、を設定してもよく、
前記第1処理によって前記指令第1発電電力が前記下限電力に達したときに、前記第2処理が開始されてもよく、
前記第3処理によって前記指令第1発電電力が前記上限電力に達したときに、前記第4処理が開始されてもよい。
【0030】
第6態様によれば、第1発電電力の調整による商用電源から受電する電力の調整を第1発電装置にとって無理のない範囲で実行できる。
【0031】
本開示の第7態様において、例えば、第1から第6態様のいずれか1つに係る分散型電源システムでは、
前記制御装置が実行する運転モードは、前記第1処理、前記第2処理、前記第3処理および前記第4処理を含む複数の処理のいずれかを選択して実行する第1モードを含んでいてもよく、
前記第1モードの開始時点における前記第1発電電力は、ゼロよりも大きく前記第1発電電力の定格値よりも小さくてもよい。
【0032】
第7態様によれば、第1モードが開始されてから、第1発電電力を増加させることも減少させることも可能な状態が継続され易い。このことは、蓄電装置の充放電を抑えるのに適している。充放電を抑え易い運転によれば、容量が抑えられた安価な蓄電装置を用いることが可能となる。
【0033】
本開示の第8態様において、例えば、第1から第7態様のいずれか1つに係る分散型電源システムは、
前記電力出力部から前記商用電源へと延び、前記電力出力部と前記分岐部の間の第1部分と、前記分岐部と前記商用電源の間の第2部分と、を含む交流電路と、
前記分岐部から前記負荷へと延びる分岐電路と、を備えていてもよく、
前記検出装置は、
(i)前記第2部分に設けられた電流検出器を含んでいてもよい、または、
(ii)前記分岐電路に設けられた電流検出器を含んでいてもよい。
【0034】
第8態様の電流検出器は、特定電力を特定するのに役立つ。
【0035】
本開示の第9態様に係る制御装置は、
第1発電装置を含む複数の発電装置と、
前記複数の発電装置に接続された蓄電装置と、
前記複数の発電装置および前記蓄電装置に接続された電力入力部と、負荷が接続された分岐部を介して商用電源に接続された電力出力部と、を含む電力出力装置と、
検出装置と、を備えた分散型電源システムを、前記商用電源から受電した電力を表す値であって前記検出装置を用いて特定される値である特定電力を一定の目標電力に追従させるように制御する制御装置であって、
前記第1発電装置の発電電力を第1発電電力と定義し、正であるときに前記蓄電装置の充電電力を指すとともに負であるときの絶対値が前記蓄電装置の放電電力を指す値を前記蓄電装置の充放電電力と定義したとき、前記制御装置は、
前記目標電力から前記特定電力を差し引いた差分電力を演算し、
前記差分電力がゼロよりも大きいときにおいて、前記充放電電力を増加させる第2処理を実行する場合には前記第2処理を実行する前に前記第1発電電力を減少させる第1処理を実行し、
前記差分電力がゼロよりも小さいときにおいて、前記充放電電力を減少させる第4処理を実行する場合には前記第4処理を実行する前に前記第1発電電力を増加させる第3処理を実行する。
【0036】
第9態様に係る技術は、商用電源から負荷に供給される電力を安定させることに適した安価な分散型電源システムの実現に寄与し得る。
【0037】
本開示の第10態様に係る制御方法は、
第1発電装置を含む複数の発電装置と、
前記複数の発電装置に接続された蓄電装置と、
前記複数の発電装置および前記蓄電装置に接続された電力入力部と、負荷が接続された分岐部を介して商用電源に接続された電力出力部と、を含む電力出力装置と、
検出装置と、を備えた分散型電源システムを、前記商用電源から受電した電力を表す値であって前記検出装置を用いて特定される値である特定電力を一定の目標電力に追従させるように制御する制御方法であって、
前記第1発電装置の発電電力を第1発電電力と定義し、正であるときに前記蓄電装置の充電電力を指すとともに負であるときの絶対値が前記蓄電装置の放電電力を指す値を前記蓄電装置の充放電電力と定義したとき、
前記目標電力から前記特定電力を差し引いた差分電力を演算することと、
前記差分電力がゼロよりも大きいときにおいて、前記充放電電力を増加させる第2処理を実行する場合には前記第2処理を実行する前に前記第1発電電力を減少させる第1処理を実行することと、
前記差分電力がゼロよりも小さいときにおいて、前記充放電電力を減少させる第4処理を実行する場合には前記第4処理を実行する前に前記第1発電電力を増加させる第3処理を実行することと、
を含む。
【0038】
第10態様に係る技術は、商用電源から負荷に供給される電力を安定させることに適した安価な分散型電源システムの実現に寄与し得る。
【0039】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0040】
(実施の形態1)
図1Aに、実施の形態1における分散型電源システム1を示す。
【0041】
図1Aに示す分散型電源システム1は、複数の発電装置32と、電力出力装置6と、制御装置8と、蓄電装置9と、検出装置71を備えている。
【0042】
複数の発電装置32と、蓄電装置9と、電力出力装置6と、は互いに接続されている。具体的には、この接続は、直流電路35を介して行われている。
【0043】
分散型電源システム1は、商用電源5Aおよび負荷5Bに接続され得る。具体的には、電力出力装置6と、商用電源5Aと、負荷5Bとは、互いに接続され得る。より具体的には、この接続は、交流電路36を介して行われ得る。
【0044】
複数の発電装置32で発電された電力は、蓄電装置9に供給され得る。複数の発電装置32で発電された電力および蓄電装置9に蓄電された電力は、電力出力装置6を介して負荷5Bに供給され得る。負荷5Bには、商用電源5Aからも電力が供給され得る。
【0045】
一例では、分散型電源システム1から負荷5Bに電力が供給される。この電力供給では負荷5Bの要求電力を賄えない場合、不足分の電力が商用電源5Aから負荷5Bに供給される。分散型電源システム1から商用電源5Aへと電力が逆潮流することはない。
【0046】
別例では、分散型電源システム1から商用電源5Aへと電力が逆潮流し得る。
【0047】
負荷5Bは、特に限定されない。一例では、負荷5Bは、工場の電気設備である。別例では、負荷5Bは、家庭の電化製品である。
【0048】
以下、分散型電源システム1の構成要素について説明する。
【0049】
複数の発電装置32は、第1発電装置3および第2発電装置2を含む。本実施の形態では、複数の発電装置32は、第1発電装置3および第2発電装置2の2つの発電装置である。ただし、複数の発電装置32は、他の発電装置をさらに含んでいてもよい。
【0050】
第1発電装置3は、直流電路35に接続されている。第1発電装置3は、発電調整力を有する。発電調整力を有するとは、自身の発電電力が制御されることにより増加も減少もし得ることを意味する。本実施の形態では、第1発電装置3の発電電力は、制御装置8による制御により、逐次的に増加も減少もし得る。
【0051】
図1Aの例では、第1発電装置3は、発電電源3Rと、電力変換機3Hと、を含む。
【0052】
発電電源3Rは、発電を行う。発電電源3Rは、発電調整力を有する。本実施の形態では、発電電源3Rの発電電力は、制御装置8による制御により、逐次的に増加も減少もし得る。
【0053】
以下では、第1発電装置3の発電電力を、第1発電電力P
1と称することがある。具体
的には、第1発電電力P
1は、直流電力である。第1発電電力P
1は、直流電路35に出力される。
図1Aの例では、第1発電電力P
1は、電力変換機3Hの出力電力である。
【0054】
本実施の形態では、第1発電装置3は、熱を利用して発電する熱発電装置である。具体的には、第1発電装置3は、排熱を利用して発電する排熱発電装置である。また、本実施の形態では、第1発電装置3は、ランキンサイクル発電装置である。
【0055】
本実施の形態では、発電電源3Rは、熱を利用して発電する発電電源である。具体的に
は、発電電源3Rは、排熱を利用して発電する発電電源である。また、本実施の形態では、発電電源3Rは、ランキンサイクル発電電源である。
【0056】
上述の排熱を利用して発電する発電装置および発電電源の説明において、排熱の供給元の例は、工場である。排熱の供給元の具体例は、炉である。この炉は、例えば、鋳物の製造に用いられる炉である。
【0057】
本実施の形態では、電力変換機3Hは、AC-DCコンバータである。
【0058】
以下では、熱発電装置である第1発電装置3を、熱発電装置3と称することがある。排熱発電装置である第1発電装置3を、排熱発電装置3と称することがある。ランキンサイクル発電装置である第1発電装置3を、ランキンサイクル発電装置3と称することがある。ランキンサイクル発電電源である発電電源3Rを、ランキンサイクル発電電源3Rと表記することがある。AC-DCコンバータである電力変換機3Hを、AC-DCコンバータ3Hと表記することがある。
【0059】
別例では、第1発電装置3は、燃料電池発電装置である。発電電源3Rは、燃料電池である。電力変換機3Hは、DC-DCコンバータである。
【0060】
上述の説明から理解されるように、本実施の形態では、ランキンサイクル発電装置3は、ランキンサイクル発電電源3Rと、AC-DCコンバータ3Hと、を含む。
【0061】
図2Aに、本実施の形態のランキンサイクル発電電源3Rを示す。本実施の形態のランキンサイクル発電電源3Rは、ポンプ3Aと、蒸発器3Bと、温度センサ3Dと、膨張機3Cと、バイパス弁3Eと、凝縮器3Fと、発電機3Gと、を含む。
【0062】
ランキンサイクル発電電源3Rでは、冷媒の循環路が形成されている。この循環路では、ポンプ3Aと、蒸発器3Bと、膨張機3Cと、凝縮器3Fとが、この順に現れる。
【0063】
ポンプ3Aは、冷媒を圧送することによって、冷媒を循環させる。蒸発器3Bは、加熱媒体から熱を回収し、その熱により冷媒を加熱する。膨張機3Cは、冷媒を膨張させる。凝縮器3Fは、冷媒の熱を奪うことによって、冷媒を凝縮させる。凝縮器3Fで奪われた熱は、冷却媒体に与えられる。
【0064】
本実施の形態では、加熱媒体は、ガスである。具体的には、加熱媒体は、排ガスである。つまり、ランキンサイクル発電電源3Rは、排熱を用いた発電電源である。排ガスの供給元は、例えば工場であり、一具体例では炉であり、この炉は鋳物の製造に用いられる炉であってもよい。蒸発器3Bは、例えば、フィンアンドチューブ熱交換器である。
【0065】
本実施の形態では、蒸発器3Bにおける加熱により、冷媒は高圧ガスとなる。膨張機3Cは、高圧ガスとなった冷媒を膨張させる。
【0066】
本実施の形態では、冷却媒体は、ガスである。具体的には、冷却媒体は、大気中の空気である。ただし、冷却媒体は、水などの液体であってもよい。凝縮器3Fは、ファンを備えていてもよい。凝縮器3Fは、例えば、フィンアンドチューブ熱交換器、プレート熱交換器または二重管式熱交換器である。
【0067】
ランキンサイクル発電電源3Rでは、冷媒のバイパス路が形成されている。バイパス路は、膨張機3Cをバイパスしている。具体的には、バイパス路は、循環路における蒸発器3Bよりも下流側かつ膨張機3Cよりも上流側の部分と、循環路における膨張機3Cより
も下流側かつ凝縮器3Fよりも上流側の部分と、を接続している。
【0068】
バイパス弁3Eは、バイパス路に設けられている。バイパス弁3Eの開度を非ゼロにすることにより、循環路を流れる冷媒の一部または全部を、バイパス弁3Eに流入させることができる。
【0069】
バイパス弁3Eは、流量調整弁であってもよく、開閉弁であってもよい。ここで、流量調整弁は、0%よりも大きく100%よりも小さい開度をとり得る弁である。開閉弁は、開度が0%および100%の2値のいずれかに設定される弁である。
【0070】
温度センサ3Dは、循環路における蒸発器3Bよりも下流側かつ膨張機3Cよりも上流側の部分に設けられている。温度センサ3Dは、この部分における冷媒の温度を検出する。温度センサ3Dは、ランキンサイクル発電装置3の構成要素の制御に用いられ得る。具体的には、温度センサ3Dは、循環路におけるバイパス路への分岐点よりも上流側の部分に設けられている。温度センサ3Dの検出温度は、実質的に、膨張機3Cの入口温度であり得る。
【0071】
発電機3Gは、膨張機3Cに接続されている。膨張機3Cでは、膨張により回転エネルギーが生じる。発電機3Gでは、その回転エネルギーによりロータが回転する。このようにして、発電機3Gにおいて、交流電力が発電される。
【0072】
AC-DCコンバータ3Hは、発電機3Gに接続されている。AC-DCコンバータ3Hには、発電機3Gで発電された交流電力が供給される。AC-DCコンバータ3Hは、この交流電力を直流電力に変換する。
【0073】
本実施の形態のAC-DCコンバータ3Hの構成を、
図2Bに示す。本実施の形態のAC-DCコンバータ3Hは、スイッチング素子16から21と、ダイオード51から56と、コンデンサ22と、を含む。コンデンサ22は、出力コンデンサである。
【0074】
AC-DCコンバータ3Hでは、第1相回路61と、第2相回路62と、第3相回路63と、が構成されている。第1相回路61、第2相回路62および第3相回路63は、スイッチング回路60を構成している。第1相回路61と、第2相回路62と、第3相回路63と、コンデンサ22とは、互いに並列に接続されている。第1相回路61、第2相回路62および第3相回路63は、それぞれ、発電機3Gに接続されている。
【0075】
本実施の形態では、第1相回路61、第2相回路62および第3相回路63は、それぞれ、発電機3Gの第1相、第2相および第3相に接続されている。本実施の形態では、第1相、第2相および第3相は、それぞれ、U相、V相およびW相である。
【0076】
第1相回路61は、スイッチング素子16および17と、ダイオード51および52と、を含む。スイッチング素子16および17は、第1接続点66を介して直列に接続されている。スイッチング素子16とダイオード51とは、並列に接続されている。スイッチング素子17とダイオード52とは、並列に接続されている。
【0077】
第2相回路62は、スイッチング素子18および19と、ダイオード53および54と、を含む。スイッチング素子18および19は、第2接続点67を介して直列に接続されている。スイッチング素子18とダイオード53とは、並列に接続されている。スイッチング素子19とダイオード54とは、並列に接続されている。
【0078】
第3相回路63は、スイッチング素子20および21と、ダイオード55および56と
、を含む。スイッチング素子20および21は、第3接続点68を介して直列に接続されている。スイッチング素子20とダイオード55とは、並列に接続されている。スイッチング素子21とダイオード56とは、並列に接続されている。
【0079】
本実施の形態では、第1接続点66は、発電機3Gの第1相に接続されている。第2接続点67は、発電機3Gの第2相に接続されている。第3接続点68は、発電機3Gの第3相に接続されている。
【0080】
AC-DCコンバータ3Hを用いて、発電機3Gの回転数が制御される。より具体的には、AC-DCコンバータ3Hによって発電機3Gに回生ブレーキがかかり回生電力が得られるように、スイッチング素子16から21のスイッチングが制御される。AC-DCコンバータ3Hを用いた制御は、制御装置8によってなされる。コンデンサ22は、回生電力の瞬時脈動を吸収する。
【0081】
一具体例では、スイッチング素子16から21は、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)で駆動される。より具体的には、PWM信号が、スイッチング素子16から21に供給される。そして、スイッチング素子16から21は、PWM信号に基づいてスイッチングする。
【0082】
図2Bの例では、スイッチング素子16から21は、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)である。ただし、スイッチング素子16から21は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の、他のスイッチング素子であってもよい。
【0083】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態では、第1発電装置3は、ロータの回転により発電する発電機3Gと、スイッチング回路60を含む電力変換機3Hと、を含む。制御装置8は、スイッチング回路60を用いて上記ロータの回転を制御することによって、第1発電電力P1を制御する。本実施の形態は、高い応答性で第1発電電力P1を制御するのに適している。
【0084】
具体的には、第1発電電力P1の制御は、AC-DCコンバータ3Hを用いた発電機3
Gの回転数の制御により、実行され得る。この制御は、制御装置8によって実行され得る。
【0085】
ポンプ3Aの回転数を制御することによって、上記の循環路を流れる冷媒の流量を制御し、第1発電電力P1を制御する構成も採用され得る。バイパス弁3Eの開度を制御する
ことによって、循環路を流れる冷媒の流量を制御し、第1発電電力P1を制御する構成も
採用され得る。また、第1発電装置3内にブレーキ回路を設け、第1発電装置3で得られた直流電力の一部をブレーキ回路で消費することによって、第1発電電力P1を制御する
構成も採用され得る。これらの制御もまた、制御装置8によって実行され得る。上記ロータの回転(具体的には回転数)の制御、ポンプ3Aの回転数の制御、バイパス弁3Eの開度の制御およびブレーキ回路による電力消費から選択される2以上を組み合わせて、第1発電電力P1を制御する構成も採用され得る。
【0086】
図2Bに示すAC-DCコンバータ3Hの構成は、発電電源3Rがランキンサイクル発電電源ではない場合にも採用され得る。
【0087】
上述の説明から理解されるように、スイッチング回路を用いたロータの回転の制御は、第1発電装置がランキンサイクル発電装置である場合に採用され得る。その他、この制御は、第1発電装置がロータを有していれば、第1発電装置が他の種類の発電装置である場
合に採用され得る。もちろん、この制御は、第1発電装置が排熱発電装置等の熱発電装置でありかつロータを有している場合には、第1発電装置がランキンサイクル発電装置であってもなくても採用され得る。
【0088】
第1発電装置3に含まれた発電電源の数は1つに限られない。この数は、複数であってもよい。この場合、第1発電装置3が発電電源の数と同じ数の電力変換機を含み、複数の発電電源と複数の電力変換機が一対一に接続され得る。この場合、発電電源および電力変換機は、発電電源3Rおよび電力変換機3Hとして例示した要素であり得る。ある発電電源がランキンサイクル発電電源であり他の発電電源が燃料電池であるというように、複数の発電電源は、異なる種類の発電電源であってもよい。また、ある発電電源も他の発電電源もランキンサイクル発電電源であるというように、複数の発電電源は、同じ種類の発電電源であってもよい。この点は、複数の電力変換機についても同様である。また、この場合、複数の発電電源の発電によって第1発電装置3が出力する電力を、第1発電電力P1
と称することとする。
【0089】
図1Aに戻って、第2発電装置2は、直流電路35に接続されている。第2発電装置2の運転中において、第2発電装置2の発電電力は、天候等によって変動し得る。具体的には、第2発電装置2は、再生可能エネルギーを利用した発電装置である。
【0090】
図1Aの例では、第2発電装置2は、発電電源2Aと、電力変換機2Bと、を含む。
【0091】
本実施の形態では、第2発電装置2は、太陽光発電装置である。具体的には、発電電源2Aは、太陽電池である。電力変換機2Bは、DC-DCコンバータである。
【0092】
以下では、太陽光発電装置である第2発電装置2を、太陽光発電装置2と表記することがある。太陽電池である発電電源2Aを、太陽電池2Aと表記することがある。DC-DCコンバータである電力変換機2Bを、DC-DCコンバータ2Bと表記することがある。
【0093】
別例では、第2発電装置2は、風力発電装置である。具体的には、発電電源2Aは、風車である。電力変換機2Bは、AC-DCコンバータおよびDC-DCコンバータを組み合わせた電力変換機である。
【0094】
図3に、本実施の形態に係る第2発電装置2の具体例を示す。この具体例では、DC-DCコンバータ2Bは、DCチョッパ回路である。以下では、DCチョッパ回路であるDC-DCコンバータ2Bを、DCチョッパ回路2Bと表記することがある。
【0095】
図3に示す具体例では、DCチョッパ回路2Bは、コンデンサ41および42と、スイッチング素子13と、ダイオード57と、整流ダイオード14と、リアクトル15と、を含む。コンデンサ41は、入力コンデンサである。コンデンサ42は、出力コンデンサである。
【0096】
スイッチング素子13とダイオード57とは、並列に接続されている。
【0097】
太陽電池2Aと、リアクトル15と、スイッチング素子13とが、この順に接続されている。太陽電池2A、リアクトル15およびスイッチング素子13に、この順で電流が流れ得る。
【0098】
また、太陽電池2Aと、リアクトル15と、整流ダイオード14と、直流電路35とが、この順に接続されている。太陽電池2A、リアクトル15、整流ダイオード14および
直流電路35に、この順で電流が流れ得る。
【0099】
具体的には、太陽電池2AからDCチョッパ回路2Bに直流電圧が入力される。スイッチング素子13のスイッチングが制御される。スイッチング素子13がオンであるとき、太陽電池2Aからリアクトル15およびスイッチング素子13にこの順で電流が流れ、リアクトル15にエネルギーが蓄えられる。スイッチング素子13がオフであるとき、太陽電池2Aからリアクトル15およびダイオード14にこの順で電流が流れ、リアクトル15に蓄えられていたエネルギーがダイオード14を介して出力される。このような動作により、DCチョッパ回路2Bは、太陽電池2Aから入力された直流電圧を昇圧し、ダイオード14に電流を通電することで直流電路35に電力を搬送する。DCチョッパ回路2Bを用いた制御は、制御装置8によってなされる。
【0100】
一具体例では、スイッチング素子13は、パルス幅変調で駆動される。より具体的には、PWM信号が、スイッチング素子13に供給される。そして、スイッチング素子13は、PWM信号に基づいてスイッチングする。
【0101】
一具体例では、太陽電池2AのMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御が実行される。より具体的には、DCチョッパ回路2Bを用いて、太陽電池2Aの発電電力が最大となるように、太陽電池2Aの出力電流が制御される。
【0102】
図3の例では、スイッチング素子13は、MOSFETである。ただし、スイッチング素子13は、IGBT等の、他のスイッチング素子であってもよい。
【0103】
図3に示すDCチョッパ回路2Bの構成は、発電電源2Aが太陽電池ではない場合にも採用され得る。
【0104】
以下では、第2発電装置2の発電電力を、第2発電電力P
2と称することがある。具体
的には、第2発電電力P
2は、直流電力である。発電電力P
2は、直流電路35に出力される。
図1Aの例では、発電電力P
2は、電力変換機2Bの出力電力である。
【0105】
また、以下では、複数の発電装置32の発電電力の合計を、合計発電電力Psumと称す
ることがある。本実施の形態では、合計発電電力Psumは、第1発電装置3の発電電力P1および第2発電装置2の発電電力P2の合計である。
【0106】
第2発電装置2に含まれた発電電源の数は1つに限られない。この数は、複数であってもよい。この場合、第2発電装置2が発電電源の数と同じ数の電力変換機を含み、複数の発電電源と複数の電力変換機が一対一に接続され得る。この場合、発電電源および電力変換機は、発電電源2Aおよび電力変換機2Bとして例示した要素であり得る。複数の発電電源は、異なる種類の発電電源であってもよい。また、複数の発電電源は、同じ種類の発電電源であってもよい。この点は、複数の電力変換機についても同様である。また、この場合、複数の発電電源の発電によって第2発電装置2が出力する電力を、第2発電電力P2と称することとする。
【0107】
図1Aに戻って、蓄電装置9は、複数の発電装置32に接続されている。蓄電装置9には、複数の発電装置32の発電電力が供給され得る。具体的には、蓄電装置9は、直流電路35を介して複数の発電装置32に接続されている。蓄電装置9は、複数の発電装置32の発電電力に過不足が生じたときに電力バッファとして機能し得る。
【0108】
本実施の形態では、蓄電装置9は、第1発電装置3および第2発電装置2に接続されている。このため、蓄電装置9には、第1発電装置3および第2発電装置2の発電電力が供
給され得る。具体的には、蓄電装置9は、直流電路35を介して第1発電装置3および第2発電装置2に接続されている。
【0109】
図1Aの例では、蓄電装置9は、蓄電機9Aと、電力変換機9Bと、を含む。
【0110】
本実施の形態では、蓄電機9Aは、蓄電池である。以下では、蓄電池である蓄電機9Aを、蓄電池9Aと表記することがある。蓄電機9Aを構成する蓄電池の具体例は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等である。
【0111】
蓄電機9Aの別例は、コンデンサである。蓄電機9Aを構成するコンデンサの具体例は、電気二重層コンデンサである。
【0112】
本実施の形態では、電力変換機9Bは、DC-DCコンバータである。具体的には、電力変換機9Bは、双方向DC-DCコンバータである。より具体的には、電力変換機9Bは、双方向チョッパ回路である。以下では、双方向DCチョッパ回路である電力変換機9Bを、双方向DCチョッパ回路9Bと表記することがある。
【0113】
ここで、双方向DC-DCコンバータは、その第1端子から入力された直流電圧を大きさの異なる直流電圧を変換してその第2端子に出力することと、その第2端子から入力された直流電圧を大きさの異なる直流電圧を変換してその第1端子に出力することと、の両方を実行できるコンバータを指す。
【0114】
同様に、双方向チョッパ回路は、その第1端子から入力された直流電圧を大きさの異なる直流電圧を変換してその第2端子に出力することと、その第2端子から入力された直流電圧を大きさの異なる直流電圧を変換してその第1端子に出力することと、の両方を実行できるチョッパ回路を指す。
【0115】
図4に、本実施の形態に係る蓄電装置9の具体例を示す。
【0116】
図4に示す具体例では、双方向チョッパ回路9Bは、スイッチング素子10および11と、ダイオード58および59と、リアクトル12と、コンデンサ46および47と、を含む。コンデンサ46および47は、入出力コンデンサである。
【0117】
スイッチング素子10とダイオード58とは、並列に接続されている。スイッチング素子11とダイオード59とは、並列に接続されている。
【0118】
直流電路35と、スイッチング素子10と、リアクトル12と、蓄電池9Aとが、この順に接続されている。直流電路35、スイッチング素子10、リアクトル12および蓄電池9Aに、この順で電流が流れ得る。
【0119】
ダイオード59と、リアクトル12と、蓄電池9Aとが、この順に接続されている。ダイオード59、リアクトル12および蓄電池9Aに、この順で電流が流れ得る。
【0120】
蓄電池9Aと、リアクトル12と、スイッチング素子11とが、この順に接続されている。蓄電池9A、リアクトル12およびスイッチング素子11に、この順で電流が流れ得る。
【0121】
蓄電池9Aと、リアクトル12と、ダイオード58と、直流電路35とが、この順に接続されている。蓄電池9A、リアクトル12、ダイオード58および直流電路35に、この順で電流が流れ得る。
【0122】
蓄電池9Aに充電する際には、スイッチング素子11は、オフ状態に維持される。スイッチング素子10のスイッチングが制御される。スイッチング素子10がオンであるとき、スイッチング素子10、リアクトル12および蓄電池9Aにこの順に電流が流れる。スイッチング素子10がオフであるとき、リアクトル12は自身を流れる電流を維持しようとし、ダイオード59、リアクトル12および蓄電池9Aにこの順に電流が流れる。このような動作により、双方向チョッパ回路9Bは、降圧チョッパとして機能する。つまり、双方向チョッパ回路9Bは、直流電路35から入力された直流電圧を降圧し、降圧された電圧にてリアクトル12の電流を制御することで蓄電池9Aに充電する。
【0123】
蓄電池9Aから放電する際には、スイッチング素子10は、オフ状態に維持される。スイッチング素子11のスイッチングが制御される。スイッチング素子11がオンであるとき、蓄電池9Aからリアクトル12およびスイッチング素子11にこの順で電流が流れ、リアクトル12にエネルギーが蓄えられる。スイッチング素子11がオフであるとき、蓄電池9Aからリアクトル12およびダイオード58にこの順で電流が流れ、リアクトル12に蓄えられていたエネルギーがダイオード58を介して出力される。このような動作により、双方向チョッパ回路9Bは、昇圧チョッパとして機能する。つまり、双方向チョッパ回路9Bは、蓄電池9Aから入力された直流電圧を昇圧し、ダイオード58に電流を通電することで直流電路35に電力を搬送する。
【0124】
双方向チョッパ回路9Bを用いた制御は、制御装置8によってなされる。
【0125】
一具体例では、スイッチング素子10は、パルス幅変調で駆動される。より具体的には、PWM信号が、スイッチング素子10に供給される。そして、スイッチング素子10は、PWM信号に基づいてスイッチングする。スイッチング素子11についても同様である。
【0126】
蓄電池9Aから放電する際には、2つのスイッチング素子10および11を用いた同期整流が行われてもよい。同期整流では、スイッチング素子10および11の一方がオン状態であるときに他方はオフ状態であり、一方がオフ状態であるときに他方はオン状態である。同期整流では、2つのスイッチング素子がこのように相補的にオンオフされることにより、ダイオードを用いたダイオード整流に比べ、導電損失を抑制できる。具体的に、上述の説明においてダイオード58に電流が流れる期間においてスイッチング素子10をオン状態にすることにより、同期整流を実現できる。
【0127】
なお、
図3に示すDCチョッパ回路2Bにおいて、ダイオード14をスイッチング素子Xに変更し、スイッチング素子Xとスイッチング素子13とを用いた同期整流を行ってもよい。具体的に、先の説明においてダイオード14に電流が流れる期間においてスイッチング素子Xをオン状態にすることにより、同期整流を実現できる。
【0128】
図4の例では、スイッチング素子10および11は、例えば、MOSFETである。ただし、スイッチング素子10および11は、IGBT等の、他のスイッチング素子であってもよい。
【0129】
図4に示す双方向チョッパ回路9Bの構成は、蓄電機9Aが蓄電池ではない場合にも採用され得る。
【0130】
以下では、蓄電装置9の充放電電力を、P
storageと表記することがある。ここで、正
である充放電電力は充電電力を指し、負である充放電電力の絶対値は放電電力を指すものとする。具体的には、充放電電力P
storageは、直流電力である。充放電電力P
storageは
、直流電路35に入出力される。
図1Aの例では、充放電電力P
storageは、双方向チョ
ッパ回路9Bの入出力電力である。
【0131】
蓄電装置9に含まれた蓄電機の数は1つに限られない。この数は、複数であってもよい。この場合、蓄電装置9が蓄電機の数と同じ数の電力変換機を含み、複数の蓄電機と複数の電力変換機が一対一に接続され得る。この場合、蓄電機および電力変換機は、蓄電機9Aおよび電力変換機9Bとして例示した要素であり得る。複数の蓄電機は、異なる種類の蓄電機であってもよい。また、複数の蓄電機は、同じ種類の蓄電機であってもよい。この点は、複数の電力変換機についても同様である。また、この場合、複数の蓄電機の充放電によって第2発電装置2が充放電する電力を、充放電電力Pstorageと称することとする
。
【0132】
図1Aに戻って、電力出力装置6は、電力入力部6iと、電力出力部6оと、を含む。
【0133】
電力入力部6iは、複数の発電装置32および蓄電装置9に接続されている。具体的には、電力入力部6iは、直流電路35を介して複数の発電装置32および蓄電装置9に接続されている。
【0134】
図1Aに示すように、分岐部BPに、負荷5Bが接続されている。そして、電力出力部6оは、分岐部BPを介して商用電源5Aに接続されている。具体的には、電力出力部6оは、交流電路36を介して商用電源5Aおよび負荷5Bに接続されている。
【0135】
電力入力部6iには、複数の発電装置32および蓄電装置9から直流電力が入力される。電力出力部6оからは、交流電力が出力される。電力は、電力入力部6iと電力出力部6оとの間で、DC-AC変換される。
【0136】
具体的には、電力入力部6iには、合計発電電力Psumから、蓄電装置9の充放電電力
Pstorageを差し引いた電力が入力される。つまり、蓄電装置9の充電時において、電力
入力部6iには、合計発電電力Psumから蓄電装置9の充電電力を差し引いた電力が入力
される。蓄電装置9の放電時において、電力入力部6iには、合計発電電力Psumと蓄電
装置9の放電電力とを合計した電力が入力される。なお、先に説明したとおり、合計発電電力Psumは、複数の発電装置32の発電電力の合計である。
【0137】
別例では、電力が、電力入力部6iと電力出力部6оとの間で、DC-DC変換され、その後DC-AC変換される。
【0138】
図1Aに示すように、電力出力部6оから商用電源5Aへと、交流電路36が延びている。交流電路36は、第1部分36aと、第2部分36bと、を含んでいる。第1部分36aは、電力出力部6оと分岐部BPの間の部分である。第2部分36bは、分岐部BPと商用電源5Aの間の部分である。分岐電路37は、分岐部BPから負荷5Bへと延びている。
【0139】
分散型電源システム1は、特定電力Pgridを特定できるように構成されている。ここで、特定電力Pgridは、商用電源5Aから受電した電力を表す値である。また、特定電力Pgridは、検出装置PDを用いて特定される値である。本実施の形態では、特定電力Pgridは、商用電源5Aから受電された有効電力を表す。
【0140】
図1Aの例では、分散型電源システム1は、検出装置PDとして、検出装置71を備える。特定電力P
gridは、検出装置71を用いて特定される。検出装置71は、電流検出器71Aと、電圧検出器71Bと、電力演算部71Cと、を含む。
【0141】
電流検出器71Aは、第2部分36bに設けられている。電流検出器71Aは、自身が設けられた位置を流れる交流電流を検出する。本実施の形態では、電流検出器71Aは、商用電源5Aから受電した交流電流を検出する。
【0142】
電圧検出器71Bは、交流電路36に設けられている。具体的には、電圧検出器71Bは、第1部分36aに設けられている。電圧検出器71Bは、自身が設けられた位置に印加されている交流電圧を検出する。本実施の形態では、電圧検出器71Bは、商用電源5Aから受電した交流電圧を検出する。
【0143】
電圧検出器71Bは、第2部分36bに設けられていてもよい。また、電圧検出器71Bは、分岐電路37に設けられていてもよい。
【0144】
電力演算部71Cは、電流検出器71Aの検出電流と、電圧検出器71Bの検出電圧とを用いて、特定電力Pgridを演算する。
【0145】
図1Bの例を採用することもできる。
図1Bの例では、分散型電源システム1は、検出装置PDとして、検出装置81を備える。特定電力P
gridは、検出装置81を用いて特定される。検出装置81は、電流検出器81Aと、電圧検出器81Bと、電力演算部81Cと、を含む。
【0146】
電流検出器81Aは、分岐電路37に設けられている。電流検出器81Aは、自身が設けられた位置を流れる交流電流を検出する。本実施の形態では、電流検出器81Aは、負荷5Bに供給される交流電流を検出する。
【0147】
電圧検出器81Bは、交流電路36に設けられている。具体的には、電圧検出器81Bは、第1部分36aに設けられている。電圧検出器81Bは、自身が設けられた位置に印加されている交流電圧を検出する。本実施の形態では、電圧検出器81Bは、負荷5Bに供給される交流電圧を検出する。
【0148】
電圧検出器81Bは、第2部分36bに設けられていてもよい。また、電圧検出器81Bは、分岐電路37に設けられていてもよい。
【0149】
電力演算部81Cは、電流検出器81Aの検出電流と、電圧検出器81Bの検出電圧とを用いて、負荷電力Ploadを演算する。負荷電力Ploadは、負荷5Bに供給される交流電力を表す。この例では、負荷電力Ploadは、負荷5Bに供給される有効電力を表す。
【0150】
さらに、
図1Bの例では、分散型電源システム1は、検出装置7を備える。検出装置7は、電流検出器7Aと、電圧検出器7Bと、電力演算部7Cと、を含む。
【0151】
電流検出器7Aは、第1部分36aに設けられている。電流検出器7Aは、自身が設けられた位置を流れる交流電流を検出する。本実施の形態では、電流検出器7Aは、電力出力装置6から出力された交流電流を検出する。
【0152】
電圧検出器7Bは、交流電路36に設けられている。具体的には、電圧検出器7Bは、第1部分36aに設けられている。電圧検出器7Bは、自身が設けられた位置に印加されている交流電圧を検出する。本実施の形態では、電圧検出器7Bは、電力出力装置6から出力された電圧を検出する。
【0153】
電圧検出器7Bは、第2部分36bに設けられていてもよい。また、電圧検出器7Bは
、分岐電路37に設けられていてもよい。
【0154】
電力演算部7Cは、電流検出器7Aの検出電流と、電圧検出器7Bの検出電圧とを用いて、出力電力Poutを演算する。出力電力Poutは、電力出力装置6から出力された交流電力を表す。この例では、出力電力Poutは、電力出力装置6から出力された有効電力を表
す。
【0155】
さらに、
図1Bの例では、分散型電源システム1は、演算装置85を備える。演算装置85は、出力電力P
outおよび負荷電力P
loadを用いて、特定電力P
gridを演算する。具
体的には、演算装置85は、負荷電力P
loadから出力電力P
outを引き算することによっ
て、特定電力P
gridを演算する。
【0156】
図1Aの例では、検出装置71は、第2部分36bに設けられた電流検出器71Aを含む。
図1Bの例では、検出装置81は、分岐電路37に設けられた電流検出器81Aを含む。具体的には、
図1Bの例では、さらに、検出装置81とは別の検出装置7が、第1部分36aに設けられた電流検出器7Aを含む。これらの電流検出器は、特定電力P
gridを特定するのに役立つ。
【0157】
図1Aの例および
図1Bの例のいずれにおいても、制御装置8は、特定電力P
gridを一定の目標電力P
grid
*に追従させる。制御装置8は、第1発電装置3の第1発電電力P
1および蓄電装置9の充放電電力P
storageを制御できるように構成されている。本実施の形
態では、制御装置8は、第2発電装置2の発電電力P
2も制御できるように構成されてい
る。なお、図示の検出装置7,71および81は、電力を検出する装置であるため、電力検出装置と称され得る。
【0158】
以下、
図5のフローチャートを参照しつつ、制御装置8による第1発電装置3の発電電力P
1および蓄電装置9の充放電電力P
storageの制御の例について説明する。
【0159】
以下の説明では、第1発電電力P1が追従するべき指令値を、指令第1発電電力P1
*と
称することがある。蓄電装置9の充放電電力Pstorageが追従するべき指令値を、指令充
放電電力Pstorage
*と称することがある。
【0160】
また、以下の説明では、制御装置8に電力が入力されるという表現を用いることがある。この表現は、制御装置8にその電力を表す情報が入力されることを意味する。
【0161】
この説明に係る例では、制御装置8は、指令第1発電電力P1
*を、下限電力Pmin以上
かつ上限電力Pmax以下の範囲の値に設定する。下限電力Pminおよび上限電力Pmaxは、
第1発電装置3の能力、運転環境等に基づいて設定され得る。
【0162】
図5のフローチャートにおける「開始」から「終了」までが、1つの制御サイクルを構成する。制御装置8は、この制御サイクルを繰り返し実行し得る。
【0163】
ステップS1において、制御装置8に、特定電力Pgridが入力される。
【0164】
ステップS1の後、ステップS2において、制御装置8に、目標電力Pgrid
*が入力さ
れる。具体的には、上位制御装置から制御装置8に、目標電力Pgrid
*が入力される。
【0165】
ステップS2の後、ステップS3において、制御装置8は、差分電力Pdeltaを演算す
る。差分電力Pdeltaは、目標電力Pgrid
*から特定電力Pgridを差し引いた差分である。
【0166】
ステップS3の後、ステップS4において、制御装置8は、第1条件、第2条件、第3条件、第4条件および第5条件のいずれの条件が成立しているのかを判断する。
【0167】
第1条件は、差分電力Pdeltaがゼロであるという条件である。第1条件が成立してい
る場合、ステップS5において、制御装置8は、指令第1発電電力P1
*を現在の値に維持する。数式を用いると、ステップS5で設定されるP1
*は、P1
*(s)=P1
*(s-1)により与えられる。
【0168】
ここで、P1
*(s-1)は、今回の制御サイクルで更新される前のP1
*を指す。P1
*(s)は、今回の制御サイクルで更新された後のP1
*を指す。Pstorage
*についても同様である。
【0169】
また、第1条件が成立している場合、ステップS6において、制御装置8は、指令充放電電力Pstorage
*を、ゼロに設定する。数式を用いると、ステップS6で設定されるPstorage
*は、Pstorage
*(s)=Pdelta=0により与えられる。
【0170】
第2条件は、差分電力Pdeltaがゼロよりも大きくかつ指令第1発電電力P1
*が下限電
力Pminよりも大きいという条件である。第2条件が成立している場合、ステップS7に
おいて、制御装置8は、指令第1発電電力P1
*を、第1刻み幅Pwidth1だけ小さくする。数式を用いると、ステップS7で設定されるP1
*は、P1
*(s)=P1
*(s-1)-Pwidth1により与えられる。
【0171】
また、第2条件が成立している場合、ステップS8において、制御装置8は、指令充放電電力Pstorage
*を現在の値に維持する。数式を用いると、ステップS8で設定されるPstorage
*は、Pstorage
*(s)=Pstorage
*(s-1)により与えられる。
【0172】
第3条件は、差分電力Pdeltaがゼロよりも小さくかつ指令第1発電電力P1
*が上限電
力Pmaxよりも小さいという条件である。第3条件が成立している場合、ステップS9に
おいて、制御装置8は、指令第1発電電力P1
*を、第1刻み幅Pwidth1だけ大きくする。数式を用いると、ステップS9で設定されるP1
*は、P1
*(s)=P1
*(s-1)+Pwidth1により与えられる。
【0173】
また、第3条件が成立している場合、ステップS10において、制御装置8は、指令充放電電力Pstorage
*を現在の値に維持する。数式を用いると、ステップS10で設定されるPstorage
*は、Pstorage
*(s)=Pstorage
*(s-1)により与えられる。
【0174】
第4条件は、差分電力Pdeltaがゼロよりも大きくかつ指令第1発電電力P1
*が下限電
力Pminであるという条件である。第4条件が成立している場合、ステップS11におい
て、制御装置8は、指令第1発電電力P1
*を、下限電力Pminに維持する。数式を用いる
と、ステップS11で設定されるP1
*は、P1
*(s)=Pminにより与えられる。
【0175】
また、第4条件が成立している場合、ステップS12において、制御装置8は、指令充放電電力Pstorage
*を、第2刻み幅Pwidth2だけ大きくする。数式を用いると、ステップS12で設定されるPstorage
*は、Pstorage
*(s)=Pstorage
*(s-1)+Pwidth2により与えられる。
【0176】
第5条件は、差分電力Pdeltaがゼロよりも小さくかつ指令第1発電電力P1
*が上限電
力Pmaxであるという条件である。第5条件が成立している場合、ステップS13におい
て、制御装置8は、指令第1発電電力P1
*を、上限電力Pmaxに維持する。数式を用いる
と、ステップS13で設定されるP1
*は、P1
*(s)=Pmaxにより与えられる。
【0177】
また、第5条件が成立している場合、ステップS14において、制御装置8は、指令充放電電力Pstorage
*を、第2刻み幅Pwidth2だけ小さくする。数式を用いると、ステップS14で設定されるPstorage
*は、Pstorage
*(s)=Pstorage
*(s-1)-Pwidth2により与えられる。
【0178】
ステップS5およびS6の後、ステップS7およびS8の後、ステップS9およびS10の後、ステップS11およびS12の後、または、ステップS13およびS14の後、ステップS15およびステップS16が行われる。ステップS15において、制御装置8は、指令第1発電電力P1
*を、第1発電装置3に送信する。ステップS16において、制御装置8は、指令充放電電力Pstorage
*を、蓄電装置9に送信する。
【0179】
図5の制御サイクルが繰り返されることにより、指令第1発電電力P
1
*および指令充放電電力P
storage
*は、逐次更新され得る。第1発電装置3の第1発電電力P
1は、指令第
1発電電力P
1
*に追従する。蓄電装置9の充放電電力P
storageは、指令充放電電力P
storage
*に追従する。このようにして、第1発電装置3および蓄電装置9は、制御装置8に
より制御される。
【0180】
本実施の形態では、制御サイクルが、制御周期Tpで繰り返される。具体的には、制御
サイクルは、制御装置8における指令第1発電電力P1
*の更新と、制御装置8から第1発電装置3への指令第1発電電力P1
*の送信と、制御装置8における指令充放電電力Pstorage
*の更新と、制御装置8から蓄電装置9への指令充放電電力Pstorage
*の送信と、を含む。そして、制御装置8における指令第1発電電力P1
*の更新が、制御周期Tpで繰り返
される。制御装置8から第1発電装置3への指令第1発電電力P1
*の送信が、制御周期Tpで繰り返される。制御装置8における指令充放電電力Pstorage
*の更新が、制御周期Tpで繰り返される。制御装置8から蓄電装置9への指令充放電電力Pstorage
*の送信が、制御周期Tpで繰り返される。
【0181】
上述の説明から理解されるように、本実施の形態では、制御装置8は、第1発電装置3が有する指令第1発電電力P1
*をある制御周期Tpで更新する。第1発電電力P1は、第1発電装置3が有する指令第1発電電力P1
*に追従する。制御周期Tpは、例えば1ミリ秒
以下であり、一具体例では100マイクロ秒以下である。このようにすることは、第1発電電力P1を高い即応性で制御するのに適している。具体的には、このようにすることに
より、第2発電電力P2のような第1発電装置3とは別の発電装置の発電電力が瞬時的に
変動する場合であっても、その変動に対して高い応答性で第1発電電力P1を制御し、合
計発電電力Psumを安定させることができる。これにより、商用電源5Aから受電する電
力を安定させることができる。このことは、良好な電力需給バランスを維持する観点から有利である。より具体的には、このようにすることにより、10ミリ秒オーダあるいはミリ秒オーダで第1発電電力P1を制御することが可能である。制御周期Tpは、例えば100ナノ秒以上であり、1マイクロ秒以上であってもよい。
【0182】
また、本実施の形態では、制御装置8は、蓄電装置9が有する指令充放電電力Pstorage
*をある制御周期Tpで更新する。充放電電力Pstorageは、蓄電装置9が有する指令充放電電力Pstorage
*に追従する。制御周期Tpの数値例は、上述のとおりである。
【0183】
以下、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理という用語を用いることがある。第1処理は、第1発電電力P1を減少させる処理である。第2処理は、充放電電力Pstorageを増加させる処理である。第3処理は、第1発電電力P1を増加させる処理である。第
4処理は、充放電電力Pstorageを減少させる処理である。
【0184】
図5を参照した説明から理解されるように、制御装置8は、差分電力P
deltaがゼロよ
りも大きいときにおいて、第2処理を実行する場合には第2処理を実行する前に第1処理を実行する。また、制御装置8は、差分電力P
deltaがゼロよりも小さいときにおいて、
第4処理を実行する場合には第4処理を実行する前に第3処理を実行する。
【0185】
上記のように、制御装置8は、第2処理よりも第1処理を優先して実行する。また、制御装置8は、第4処理よりも第3処理を優先して実行する。このようにすると、蓄電装置9の充放電を抑え易い。このことは、容量が抑えられた安価な蓄電装置9を用いることを可能にする。このような理由で、第1処理または第3処理を優先して実行することは、商用電源5Aから負荷5Bに供給される電力を安定させることに適した安価な分散型電源システム1の実現に寄与し得る。また、蓄電装置9の容量を抑えることは、蓄電装置9の小型化の観点から有利である。
【0186】
本実施の形態のような、商用電源から負荷に供給される電力を安定している様を、“商用電源からみた”負荷電力が安定していると称することができる。“商用電源からみた”負荷電力が安定している場合、電力需給バランスを取り易く、商用電源の電圧が変動し難い。
【0187】
具体的には、本実施の形態では、電力出力装置6からの電力と、商用電源5Aからの電力とで、負荷5Bの要求電力が賄われる。蓄電装置9は再生可能エネルギーを利用した発電装置2の発電電力P2の変動を吸収できるため、そのような変動が生じる状況において
も、電力出力装置6から負荷5Bに供給される電力を安定させることができる。電力出力装置6から負荷5Bに供給される電力を安定させることにより、商用電源5Aから負荷5Bに供給される電力も安定させることができる。しかも、上述のとおり、本実施の形態では、制御の優先順位が適切に設定されている。このため、商用電源5Aから負荷5Bに供給される電力を安定させる作用を、容量が抑えられた安価な蓄電装置9により得ることができる。このため、本実施の形態に係る技術は、“商用電源からみた”負荷電力を安定させることに適した安価な分散型電源システムの実現に寄与し得る。
【0188】
また、負荷5Bの要求電力が変化することもあり得る。そのような場合であっても、上記制御および蓄電装置9によれば、商用電源5Aから負荷5Bに供給される電力の変動を抑え易い。
【0189】
第1処理は、少なくとも1回のステップS7に対応する。第2処理は、少なくとも1回のステップS12に対応する。第3処理は、少なくとも1回のステップS9に対応する。第4処理は、少なくとも1回のステップS14に対応する。
【0190】
図5の例では、第1処理および第3処理において、第1発電電力P
1が追従するべき指
令第1発電電力P
1
*を第1刻み幅P
width1だけ変化させることを、少なくとも一回行う。第2処理および第4処理において、充放電電力P
storageが追従するべき指令充放電電力
P
storage
*を第2刻み幅P
width2だけ変化させることを、少なくとも一回行う。
【0191】
第1刻み幅Pwidth1および第2刻み幅Pwidth2は、制御の応答性および安定性の両方を確保できるように設定され得る。典型的には、第1刻み幅Pwidth1および第2刻み幅Pwidth2は、微小幅である。
【0192】
図5の例では、第1処理によって指令第1発電電力P
1
*が下限電力P
minに達したとき
に、第2処理が開始される。第3処理によって指令第1発電電力P
1
*が上限電力P
maxに
達したときに、第4処理が開始される。第1発電装置3に適合した下限電力P
minおよび
上限電力P
maxを設定することにより、第1発電電力P
1の調整による商用電源5Bから受
電する電力の調整を、第1発電装置3にとって無理のない範囲で実行できる。
【0193】
図5の例では、第1処理および第3処理は、指令充放電電力P
storage
*を現在の値に維持しつつ行われる。第2処理は、指令第1発電電力P
1
*を下限電力P
minに維持しつつ行
われる。第4処理は、指令第1発電電力P
1
*を上限電力P
maxに維持しつつ行われる。
【0194】
第1処理および第3処理は、指令充放電電力Pstorage
*をゼロに維持しつつ行われてもよい。このようにすることは、蓄電装置9の充放電を抑えるのに適している。
【0195】
上限電力Pmaxは、例えば、第1発電装置3が現在出力可能な第1発電電力P1の最大値である。下限電力Pminは、例えば、第1発電装置3において発電効率が確保される値に
設定される。
【0196】
上限電力P
maxおよび下限電力P
minは、分散型電源システム1の運転中に変更されてもよい。例えば、第1発電装置3が
図2Aおよび
図2Bに示したランキンサイクル発電装置である場合、第1発電装置3が出力可能な第1発電電力P
1は、蒸発器3Bに供給される
加熱媒体の温度、流量等によって変わる。これを考慮すると、加熱媒体の温度、流量等に応じて上限電力P
maxおよび下限電力P
minを変更させることは合理的である。加熱媒体の温度、流量等は、温度センサ3Dの検出温度に反映され得る。そこで、本実施の形態の一例では、制御装置8は、温度センサ3Dの検出温度に基づいて、上限電力P
maxおよび下
限電力P
minを変更させる。
【0197】
上限電力Pmaxおよび下限電力Pminは、分散型電源システム1の運転中に一定に維持されてもよい。
【0198】
図5から理解されるように、制御装置8が実行する運転モードは、第1処理、第2処理、第3処理および第4処理を含む複数の処理のいずれかを選択して実行する第1モードを含む。第1モードの開始時点における第1発電電力P
1は、ゼロよりも大きく第1発電電
力P
1の定格値よりも小さくてもよい。このようにすれば、第1モードが開始されてから
、第1発電電力を増加させることも減少させることも可能な状態が継続され易い。このことは、蓄電装置9の充放電を抑えるのに適している。充放電を抑え易い運転によれば、容量が抑えられた安価な蓄電装置9を用いることが可能となる。
【0199】
第1モードの開始時点における第1発電電力P1は、第1発電電力P1の定格値の20%から80%までの範囲内の値であってもよく、定格値の40%から60%までの範囲内の値であってもよい。
【0200】
第1モードの開始時点における指令第1発電電力P1
*は、ゼロよりも大きく第1発電電力P1の定格値よりも小さい値であってもよく、定格値の20%から80%までの範囲内
の値であってもよく、定格値の40%から60%までの範囲内の値であってもよい。
【0201】
第1モードの開始時点における指令第1発電電力P1
*は、下限電力Pminよりも大きく
上限電力Pmaxよりも小さい値であってもよく、上限電力Pmaxと下限電力Pminの間の幅
の20%から80%までの範囲内の値を下限電力Pminに足した値であってもよく、該幅
の40%から60%までの範囲内の値を下限電力Pminに足した値であってもよい。
【0202】
典型的には、第1モードの開始から数日経過した後には、第1発電電力P1の一日の変
化に周期性が現れる。一具体例では、第1モードでは、第1モードの開始から2日以上経過した後において、第1発電電力P1が基準電力を跨いで増加するタイミングと第1発電
電力P1が基準電力を跨いで低下するタイミングとが1日内に現れる第1発電電力P1の推
移が、複数日にわたって繰り返し現れる。ここで、基準電力は、ゼロよりも大きく第1発電電力の定格値よりも小さい電力である。基準電力は、定格値の20%から80%までの範囲内の値であってもよく、定格値の40%から60%までの範囲内の値であってもよい。
【0203】
本実施の形態では、合計発電電力Psumは、第1発電装置3の発電電力P1および第2発電装置2の発電電力P2の合計である。このため、第1モードにおいて、第2発電電力P2が増加した場合には、第1発電電力P1を減少させることができる。また、第2発電電力
P2が減少した場合には、第1発電電力P1を増加させることができる。このように、本実施の形態では、発電電力P1を、発電電力P2と相補的に制御できる。
【0204】
第2発電装置2が太陽光発電装置である場合、第2発電装置2の発電電力P2は、天候
によって変動する。しかし、本実施の形態によれば、そのように発電電力P2が変動する
際に、合計発電電力Psumの変動が抑えられるように、第1発電電力P1を制御できる。典型的には、第1発電装置3の発電電力P1の制御の応答性は、電力会社が所有する火力発
電所の発電電力の制御の応答性よりも高い。一具体例では、雲が太陽を横切ることにより発電電力P2が短期間にわたり低下するような状況においても、高い応答性で第1発電電
力P1を制御でき、合計発電電力Psumの変動が抑えられる。このことは、特定電力Pgridを安定させる観点から有利である。
【0205】
第1処理から第4処理を実行しても差分電力Pdeltaがゼロにならない場合、第2発電
装置2の第2発電電力P2を調節して差分電力Pdeltaをゼロに近づけてもよい。例えば、第2発電装置2が太陽光発電装置であるときに、第1処理および第2処理を実行しても差分電力Pdeltaがゼロにならない場合には、第2発電電力P2を小さくすることによって差分電力Pdeltaをゼロに近づけてもよい。
【0206】
一例では、第1刻み幅Pwidth1および第2刻み幅Pwidth2は固定値である。このようにすれば、制御が安定し易い。
【0207】
別例では、第1刻み幅Pwidth1および第2刻み幅Pwidth2は、Pdeltaの大きさに応じ
て変更される。具体的には、Pdeltaが大きいときほど第1刻み幅Pwidth1および第2刻
み幅Pwidth2を大きくすることができる。このようにすれば、制御の安定性と応答性を両立させることができる。具体的には、制御の安定性を確保しつつ、発電電力P1および充
放電電力Pstorageが収束するまでに繰り返される制御サイクルの回数を減らすことがで
きる。これにより、短い時間で発電電力P1および充放電電力Pstorageを収束させることができる。このことは、特定電力Pgridを安定させる観点から有利である。
【0208】
第1刻み幅Pwidth1および第2刻み幅Pwidth2の一方を、Pdeltaの大きさに応じて変
更してもよい。具体的には、Pdeltaが大きいときほど第1刻み幅Pwidth1および第2刻
み幅Pwidth2の一方を大きくしてもよい。
【0209】
以下、分散型電源システム1における発電電力と、商用電源5Aからの受電電力と、負荷5Bの要求電力と、の関係を、
図6Aから6Eを参照しながら説明する。
【0210】
図6Aは、本実施の形態の具体例を示す。
図6Aの具体例では、複数の発電装置32は、第1発電装置3および第2発電装置2の2つの発電装置である。第1発電装置3は、排熱を利用して発電する排熱発電装置である。第2発電装置2は、太陽光発電装置である。蓄電機9Aは、蓄電池である。
【0211】
以下の説明では、第1発電装置3の発電電力を、排熱発電電力と称することがある。第
2発電装置2の発電電力を、太陽光発電電力と称することがある。負荷5Bの要求電力を、負荷電力と称することがある。負荷5Bが商用電源5Aから受電する電力を、単に受電電力と称することがある。先に述べたように、正であるときに蓄電池9Aの充電電力を指し負であるときの絶対値が蓄電池9Aの放電電力を指す値を充放電電力と称することがある。電力出力装置6の電力出力部6оから出力される電力を、単に出力電力と称することがある。
【0212】
図6Bの比較例は、蓄電池がない点で、
図6Aの例とは異なる。
図6Bでは、排熱発電電力および太陽光発電電力の合計は、いつの時間帯においても、負荷電力よりも小さい。昼間時間帯において、太陽光発電電力は大きく、排熱発電電力および太陽光発電電力の合計は最大であり、この合計が負荷電力に最も接近しており、受電電力は最小である。一方、夜間時間帯において、太陽光発電電力はゼロであり、負荷電力が最大であるときに受電電力は最大である。
図6Bの比較例では、1日における受電電力の最大値と最小値の偏差が大きい。
【0213】
図6Cの比較例は、排熱発電装置がない点で、
図6Bの比較例とは異なる。また、
図6Cの比較例では、
図6Bの比較例に比べ、太陽光発電電力が大きい。
図6Cの比較例でも、
図6Bの比較例と同様、昼間時間帯において、受電電力は最小である。夜間時間帯において、負荷電力が最大であるときに受電電力が最大である。
図6Cの比較例では、
図6Bの比較例に比べ、受電電力の最大値が大きく、1日における受電電力の最大値と最小値の偏差が大きい。
【0214】
図6Dの比較例では、
図6Cの比較例に比べ、太陽光発電電力が大きい。具体的には、
図6Dの比較例では、太陽光発電装置の一日の発電量が
図6Bの比較例における排熱発電装置および太陽光発電装置の一日の発電量の合計と同じになるように、太陽光発電電力が得られる場合が想定されている。
図6Dの比較例では、太陽光発電電力の最大値が大きい。この最大値が現れる昼間時間帯のある時刻において、この最大値は受電電力よりも大きい。このため、この時刻において、受電電力が負である、つまり、分散型電源システムから商用電源への逆潮流が生じる。また、
図6Dの比較例でも、夜間時間帯において、太陽光発電電力はゼロであり、負荷電力が最大である。
図6Dの比較例では、
図6Cの比較例に比べ、1日における受電電力の最大値と最小値との偏差が大きい。
【0215】
図6Eの比較例は、排熱発電装置がない点と、
図6Dの比較例と同様に太陽光発電電力が大きい点とで、
図6Aの例とは異なる。
図6Eの比較例では、蓄電池による充放電がなされており、逆潮流は生じていない。また、
図6Eの比較例では、
図6Bから
図6Dの比較例とは異なり、1日間にわたり受電電力は実質的に一定である。しかし、夜間時間帯において太陽光発電電力はゼロであり、昼間時間帯において太陽光発電電力は大きい。このため、蓄電池の充放電電力および蓄電池に蓄電される電力量は大きくなり得る。このため、
図6Eの比較例では、大容量の蓄電池が必要となる。
【0216】
これに対し、
図6Aに示す本実施の形態の具体例では、排熱発電装置3と、太陽光発電装置2と、蓄電池9Aと、を兼ね備えている。また、この具体例では、
図5のフローチャートを用いて説明した制御が行われる。このため、蓄電池9Aの充放電電力および蓄電池9Aに蓄電される電力量は抑制され得る。このため、この具体例では、容量の小さい蓄電池9Aを利用しつつ、1日間にわたり受電電力を実質的に一定とすることができる。
【0217】
なお、Pgridを一定の目標電力に追従させることは、必須ではない。そのような場合であっても、上記の制御は、Pgridの変動を抑え、商用電源から負荷に供給される電力を安定化させる作用を奏すると言える。本開示は、
第1発電装置3を含む複数の発電装置32と、
複数の発電装置32に接続された蓄電装置9と、
複数の発電装置32および蓄電装置9に接続された電力入力部6iと、負荷5Bに接続された分岐部BPを介して商用電源5Aに接続された電力出力部6оと、を含む電力出力装置6と、
検出装置71または81と、
制御装置8と、を備え、
商用電源5Aから受電した電力を表す値であって検出装置71または81を用いて特定された値を特定電力Pgridと定義し、第1発電装置3の発電電力を第1発電電力P1と定
義し、正であるときに蓄電装置9の充電電力を指すとともに負であるときの絶対値が蓄電装置9の放電電力を指す値を蓄電装置9の充放電電力Pstorageと定義したとき、制御装
置8は、
目標電力Pgrid
*から特定電力Pgridを差し引いた差分電力Pdeltaを演算し、
差分電力Pdeltaがゼロよりも大きいときにおいて、充放電電力Pstorageを増加させる第2処理を実行する場合には第2処理を実行する前に第1発電電力P1を減少させる第1
処理を実行し、
差分電力Pdeltaがゼロよりも小さいときにおいて、充放電電力Pstorageを減少させる第4処理を実行する場合には第4処理を実行する前に第1発電電力P1を増加させる第3
処理を実行する、
分散型電源システム1を提供する、と考えることもできる。このような分散型電源システムは、商用電源から負荷に供給される電力を安定させることに適した安価なシステムとなり得る。
【0218】
同様に、本開示は、
第1発電装置3を含む複数の発電装置32と、
複数の発電装置32に接続された蓄電装置9と、
複数の発電装置32および蓄電装置9に接続された電力入力部6iと、負荷5Bに接続された分岐部BPを介して商用電源5Aに接続された電力出力部6оと、を含む電力出力装置6と、
検出装置71または81と、備えた分散型電源システム1を制御する制御装置8であって、
商用電源5Aから受電した電力を表す値であって検出装置71または81を用いて特定された値を特定電力Pgridと定義し、第1発電装置3の発電電力を第1発電電力P1と定
義し、正であるときに蓄電装置9の充電電力を指すとともに負であるときの絶対値が蓄電装置9の放電電力を指す値を蓄電装置9の充放電電力Pstorageと定義したとき、制御装
置8は、
目標電力Pgrid
*から特定電力Pgridを差し引いた差分電力Pdeltaを演算し、
差分電力Pdeltaがゼロよりも大きいときにおいて、充放電電力Pstorageを増加させる第2処理を実行する場合には第2処理を実行する前に第1発電電力P1を減少させる第1
処理を実行し、
差分電力Pdeltaがゼロよりも小さいときにおいて、充放電電力Pstorageを減少させる第4処理を実行する場合には第4処理を実行する前に第1発電電力P1を増加させる第3
処理を実行する、
制御装置8を提供する、と考えることもできる。
【0219】
同様に、本開示は、
第1発電装置3を含む複数の発電装置32と、
複数の発電装置32に接続された蓄電装置9と、
複数の発電装置32および蓄電装置9に接続された電力入力部6iと、負荷5Bに接続された分岐部BPを介して商用電源5Aに接続された電力出力部6оと、
検出装置71または81と、を含む電力出力装置6と、備えた分散型電源システム1を
制御する制御方法であって、
商用電源5Aから受電した電力を表す値であって検出装置71または81を用いて特定された値を特定電力Pgridと定義し、第1発電装置3の発電電力を第1発電電力P1と定
義し、正であるときに蓄電装置9の充電電力を指すとともに負であるときの絶対値が蓄電装置9の放電電力を指す値を蓄電装置9の充放電電力Pstorageと定義したとき、
目標電力Pgrid
*から特定電力Pgridを差し引いた差分電力Pdeltaを演算することと、
差分電力Pdeltaがゼロよりも大きいときにおいて、充放電電力Pstorageを増加させる第2処理を実行する場合には第2処理を実行する前に第1発電電力P1を減少させる第1
処理を実行することと、
差分電力Pdeltaがゼロよりも小さいときにおいて、充放電電力Pstorageを減少させる第4処理を実行する場合には第4処理を実行する前に第1発電電力P1を増加させる第3
処理を実行することと、
を含む、制御方法を提供する、と考えることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0220】
本開示に係る技術によれば、発電調整力を保有する発電装置の発電電力と、再生可能エネルギーを利用した発電装置の発電電力と、小容量の蓄電装置によって商用電源からの受電電力を安定させることができる。発電調整力を保有する発電装置としては、排熱を利用した発電装置発電、燃料電池を利用した発電装置等が例示される。再生可能エネルギーを利用した発電装置としては、太陽光を利用した発電装置発電、風力を利用した発電装置等が例示される。
【符号の説明】
【0221】
1 分散型電源システム
2,3 発電装置
2A,3R 発電電源
2B,3H,9B 電力変換機
3A ポンプ
3B 蒸発器
3C 膨張機
3D 温度センサ
3E バイパス弁
3F 凝縮器
3G 発電機
5A 商用電源
5B 負荷
6 電力出力装置
7,71,81 検出装置
7A,71A,81A 電流検出器
7B,71B,81B 電圧検出器
7C,71C,81C 電力演算部
8 制御装置
9 蓄電装置
9A 蓄電機
10,11,13,16,17,18,19,20,21 スイッチング素子
12,15 リアクトル
14,51,52,53,54,55,56,57,58,59 ダイオード
22,41,42,46,47 コンデンサ
35,36 電路
60 スイッチング回路
61,62,63 相回路
66,67,68 接続点