(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】プログラム、方法、情報処理装置、システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/163 20240101AFI20240517BHJP
【FI】
G06Q50/163
(21)【出願番号】P 2023197715
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516186968
【氏名又は名称】株式会社コラビット
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 卓哉
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068751(JP,A)
【文献】特開2020-126670(JP,A)
【文献】特開2017-162316(JP,A)
【文献】特開2017-228243(JP,A)
【文献】特開2019-049845(JP,A)
【文献】特開2023-001237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プロセッサが、
面積、駅距離、築年数の少なくともいずれか1つを含む、所定の中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップと、
前記所定の中古不動産物件の新築価格を
取得する新築価格
取得ステップと、
リノベーションを行い販売した、前記所定の中古不動産物件の物件情報と類似する1または複数の中古不動産物件群の取引価格の統計値が当該中古不動産物件群の新築価格の統計値から
どの程度変動
したのかを示す第1変動値を算定する第1変動算定ステップと、
前記新築価格
取得ステップにおいて
取得した前記新築価格および前記第1変動算定ステップにおいて算定した前記第1変動値に基づき
前記所定の中古不動産物件をリノベーションした場合の第1リノベ価格を算定する第1リノベ価格算定ステップと、を実行するプログラム。
【請求項2】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プロセッサが、
面積、駅距離、築年数の少なくともいずれか1つを含む、所定の中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップと、
前記所定の中古不動産物件の
中古価格を
取得する中古価格
取得ステップと、
リノベーションを行い販売した、前記所定の中古不動産物件の物件情報と類似する1または複数の中古不動産物件群の取引価格の統計値が当該中古不動産物件群の中古価格の統計値から
どの程度変動
したのかを示す第2変動値を算定する第2変動算定ステップと、
前記中古価格
取得ステップにおいて
取得した前記
中古価格および前記第2変動算定ステップにおいて算定した前記第2変動値に基づき
前記所定の中古不動産物件をリノベーションした場合の第2リノベ価格を算定する第2リノベ価格算定ステップと、を実行するプログラム。
【請求項3】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プロセッサが、
面積、駅距離、築年数の少なくともいずれか1つを含む、所定の中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップと、
前記所定の中古不動産物件の
中古価格を
取得する中古価格
取得ステップと、
リノベーションを行い販売した、前記所定の中古不動産物件の物件情報と類似する1または複数の中古不動産物件群をリノベーションする際に要した費用の統計値に基づく第3変動値を算定する第3変動算定ステップと、
前記中古価格
取得ステップにおいて
取得した前記
中古価格および前記第3変動算定ステップにおいて算定した前記
第3変動値に基づき
前記所定の中古不動産物件をリノベーションした場合の第3リノベ価格を算定する第3リノベ価格算定ステップと、を実行するプログラム。
【請求項4】
前記第1変動算定ステップは、前記物件情報取得ステップにおいて取得した前記物件情報に含まれる
前記所定の中古不動産物件の築年数および所在エリアに
おける前記中古不動産物件群の取引価格と、当該中古不動産物件群の新築価格との比較に基づき前記第1変動値を算定するステップである、請求項1記載のプログラム。
【請求項5】
前記プロセッサが、
前記物件情報取得ステップにおいて取得した前記物件情報に含まれる
前記所定の中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第1モデルを取得する第1モデル取得ステップと、を実行し、
前記第1変動算定ステップは、前記第1モデル取得ステップにおいて取得した前記第1モデルに基づき前記第1変動値を算定するステップである、請求項1記載のプログラム。
【請求項6】
前記第2変動算定ステップは、前記物件情報取得ステップにおいて取得した前記物件情報に含まれる
前記所定の中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき前記第2変動値を算定するステップである、請求項2記載のプログラム。
【請求項7】
前記プロセッサが、
前記物件情報取得ステップにおいて取得した前記物件情報に含まれる
前記所定の中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第2モデルを取得する第2モデル取得ステップと、を実行し、
前記第2変動算定ステップは、前記第2モデル取得ステップにおいて取得した前記第2モデルに基づき前記第2変動値を算定するステップである、請求項2記載のプログラム。
【請求項8】
前記第3変動算定ステップは、前記物件情報取得ステップにおいて取得した前記物件情報に含まれる
前記所定の中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき前記費用を算定するステップである、請求項3記載のプログラム。
【請求項9】
前記プロセッサが、
前記物件情報取得ステップにおいて取得した前記物件情報に含まれる前記中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第3モデルを取得する第3モデル取得ステップと、を実行し、
前記第3変動算定ステップは、前記第3モデル取得ステップにおいて取得した前記第3モデルに基づき前記費用を算定するステップである、請求項3記載のプログラム。
【請求項10】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記プロセッサが、
所定の中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップと、
前記物件情報取得ステップにおいて取得した前記物件情報に基づき、複数の異なる計算手法を適用することにより、
前記所定の中古不動産物件をリノベーションした場合の複数のリノベ価格を算定するリノベ価格算定ステップと、
前記リノベ価格算定ステップにおいて算定した前記複数のリノベ価格
の統計値として第4リノベ価格を算定する第4リノベ価格算定ステップと、を実行するプログラム。
【請求項11】
前記プロセッサが、
前記リノベ価格算定ステップにおいて算定した前記複数のリノベ価格のそれぞれに対して
、リノベーションを行い販売した1または複数の中古不動産物件群における実際の過去の取引価格の前記複数のリノベ価格の統計値からのばらつきを示す複数の品質指標を算定する品質算定ステップと、を実行し、
前記第4リノベ価格算定ステップは、前記複数のリノベ価格および前記品質算定ステップにおいて算定した前記複数の品質指標に基づき、前記第4リノベ価格を算定するステップである、請求項10記載のプログラム。
【請求項12】
前記品質算定ステップは、
前記所定の中古不動産物件の物件情報と類似するリノベーションを行い販売した1または複数の中古不動産物件群における実際の過去の取引価格の統計値からのばらつきを示す前記複数の品質指標を算定するステップである、請求項11記載のプログラム。
【請求項13】
前記プロセッサが、
前記リノベ価格算定ステップにおいて算定した前記複数のリノベ価格を、前記品質算定ステップにおいて算定した前記複数の品質指標と関連付けて提示する価格提示ステップと、を実行する、請求項11記載のプログラム。
【請求項14】
前記価格提示ステップは、前記第4リノベ価格算定ステップにおいて算定した前記第4リノベ価格を提示するステップを含む、請求項13記載のプログラム。
【請求項15】
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータ
が実行
する方法であって、前記プロセッサが、請求項1から請求項14のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する方法。
【請求項16】
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、前記制御部が、請求項1から請求項14のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する情報処理装置。
【請求項17】
請求項1から請求項14のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する手段を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、情報処理装置、システムに関する。
【背景技術】
【0002】
不動産物件の価格相場を算定する技術が知られている。
特許文献1には、共用部分の管理状況を中古共同住宅の査定価格に反映可能な中古共同住宅価格査定システムを提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
中古不動産についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格を算定できていないという課題がある。
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、中古不動産についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格を算定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップと、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件の新築価格を算定する新築価格算定ステップと、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件をリノベーションした場合の新築価格からの変動を示す第1変動値を算定する第1変動算定ステップと、新築価格算定ステップにおいて算定した新築価格および第1変動算定ステップにおいて算定した第1変動値に基づき当該中古不動産物件をリノベーションした場合の第1リノベ価格を算定する第1リノベ価格算定ステップと、を実行するプログラム。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、中古不動産についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格を算定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】システム1の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】ユーザ端末20の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】ユーザテーブル1012のデータ構造を示す図である。
【
図5】物件テーブル1013のデータ構造を示す図である。
【
図6】モデルテーブル1014のデータ構造を示す図である。
【
図7】価格テーブル1021のデータ構造を示す図である。
【
図8】リノベ価格算定処理の動作を示すフローチャートである。
【
図9】リノベ価格提示処理の動作を示すフローチャートである。
【
図10】リノベ価格提示処理の動作を示す画面例である。
【
図11】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0009】
<システム1の構成>
本開示におけるシステム1は、中古不動産物件をリノベーションした場合の想定される取引価格(リノベ価格)を算定する情報処理サービスを提供する情報処理システムである。
システム1は、ネットワークNを介して接続された、サーバ10、ユーザ端末20の情報処理装置を備える。
図1は、システム1の機能構成を示すブロック図である。
図2は、サーバ10の機能構成を示すブロック図である。
図3は、ユーザ端末20の機能構成を示すブロック図である。
【0010】
各情報処理装置は演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成および、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。サーバ10、ユーザ端末20のそれぞれについて、後述するコンピュータの基本ハードウェア構成およびコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
【0011】
<サーバ10の構成>
サーバ10は、中古不動産物件をリノベーションした場合の想定される取引価格(リノベ価格)を算定する情報処理サービスを提供する情報処理装置である。
本開示において中古不動産物件(以下、物件)は主に中古マンション(集合住宅、共同住宅)、中古一戸建て住宅(戸建て住宅)等を指す。
本開示においてリノベーションとは主に建物の内装等を解体し、基礎や柱などの骨組みだけの状態から住宅全体を一新する大規模な改修工事(フルリノベーション)を指す。なお、リノベーションはフルリノベーションに限定されることはなく、建物を改修する改修工事全体を指すものとしても良い。
サーバ10は、記憶部101、制御部104を備える。
【0012】
<サーバ10の記憶部101の構成>
サーバ10の記憶部101は、アプリケーションプログラム1011、ユーザテーブル1012、物件テーブル1013、モデルテーブル1014、価格テーブル1021を備える。
【0013】
アプリケーションプログラム1011は、サーバ10の制御部104を各機能ユニットとして機能させるためのプログラムである。
アプリケーションプログラム1011は、ウェブブラウザアプリケーションなどのアプリケーションを含む。
【0014】
ユーザテーブル1012は、サービスを利用する会員ユーザ(以下、ユーザ)の情報を記憶し管理するテーブルである。ユーザは、サービスの利用登録を行うことで、当該ユーザの情報がユーザテーブル1012の新しいレコードに記憶される。これにより、ユーザは本開示にかかるサービスを利用できるようになる。
ユーザテーブル1012は、ユーザIDを主キーとして、ユーザID、ユーザ名のカラムを有するテーブルである。
図4は、ユーザテーブル1012のデータ構造を示す図である。
【0015】
ユーザIDは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を記憶する項目である。ユーザ識別情報は、ユーザごとにユニークな値が設定されている項目である。
ユーザ名は、ユーザの氏名を記憶する項目である。ユーザ名は、氏名ではなく、ニックネームなど任意の文字列を設定しても良い。
【0016】
物件テーブル1013は、不動産物件(以下、物件)に関する情報(物件情報)を記憶し管理するためのテーブルである。
物件テーブル1013は、物件ID、物件名、物件データ、取引データのカラムを有するテーブルである。
図5は、物件テーブル1013のデータ構造を示す図である。
【0017】
物件IDは、物件を識別するための物件識別情報を記憶する項目である。
物件名は、物件の名称を記憶する項目である。物件名は任意の文字列を設定することができる。
物件データは、物件に関する属性情報を記憶する項目である。
具体的に、物件データは、物件の名称(マンション名等)、物件の所在地(住所、所在エリア)、築年数、駅距離、リノベーションの有無、物件の種類(マンション、一戸建てなど)、間取り、実際に住むことが出来る空間の面積である専有面積、専有面積以外のバルコニー、テラス等の面積、建物の構造(木造、鉄骨、RCなど)、マンションであれば総戸数、管理費・修繕積立金の金額、修繕積立金の積立状況、エレベーター、駐車場、オートロック、床暖房などの設備の有無、修繕履歴、法令上の制限(都市計画法や建築基準法などに基づく制限)、地目(土地の利用状況、宅地、田、畑など)、地勢(平坦地、傾斜地など)、用途地域(商業地域、住居地域など)などの情報を含む。
取引データは、物件の過去の取引に関する情報を記憶する項目である。
具体的に、取引データは、物件が売買された日付である取引年月日、取引価格、リノベーションの有無、取引の事情や条件(競売、相続によるものなど)、取引種別(仲介、直接取引等)、取引前の状態(空き家、賃貸中など物件の取引前の利用状況)等の情報を含む。
【0018】
モデルテーブル1014は、不動産物件の価格を算定する算定モデルに関する情報(モデル情報)を記憶し管理するためのテーブルである。
モデルテーブル1014は、モデルID、モデル種別、条件データ、モデルデータのカラムを有するテーブルである。
図6は、モデルテーブル1014のデータ構造を示す図である。
【0019】
モデルIDは、モデルを識別するためのモデル識別情報を記憶する項目である。
モデル種別は、モデルの種別を示すモデル種別情報を記憶する項目である。
具体的に、モデル種別情報は算定手法に応じて、第1モデル(物件の新築価格からの変動値を算定するモデル)、第2モデル(物件の中古価格からの変動値を算定するモデル)、第3モデル(物件のリノベーション費用を算定するモデル)のいずれかを特定するための識別情報を含む。
第1モデルは、対象物件の物件データを入力データとして、対象物件をリノベーションした場合の新築価格からの変動を示す第1変動値を出力するモデルである。
第2モデルは、対象物件の物件データを入力データとして、対象物件をリノベーションした場合の中古価格からの変動を示す第2変動値を出力するモデルである。
第3モデルは、対象物件の物件データを入力データとして、対象物件をリノベーションする際のリノベーション費用に関する第3変動値を出力するモデルである。
第1モデルから第3モデルは、過去にリノベーションが行われた中古物件(マンション、戸建て住宅)の物件データ、取引価格に基づき公知の学習方法により得られる学習モデルである。
本開示において、第1モデル、第2モデル、第3モデルは、それぞれ対象物件の築年数および所在エリアを入力データとして、第1変動値、第2変動値、第3変動値を出力するモデルとすることが好適である。
条件データは、モデルを適用することができる不動産物件の条件を記憶する項目である。具体的に、物件の所在地(住所、所在エリア)、築年数、駅距離、リノベーションの有無、物件の種類(マンション、一戸建てなど)、間取り、実際に住むことが出来る空間の面積である専有面積、専有面積以外のバルコニー、テラス等の面積、建物の構造(木造、鉄骨、RCなど)、マンションであれば総戸数、管理費・修繕積立金の金額、修繕積立金の積立状況、エレベーター、駐車場、オートロック、床暖房などの設備の有無、修繕履歴、法令上の制限(都市計画法や建築基準法などに基づく制限)、地目(土地の利用状況、宅地、田、畑など)、地勢(平坦地、傾斜地など)、用途地域(商業地域、住居地域など)などの1または複数の範囲の組み合わせに基づき規定される条件に関する情報を含む。
本開示においては、築年数および所在エリアに関する条件を条件データとすることが好適である。つまり、モデルテーブル1014には、築年数、所在エリアごとに第1モデル、第2モデル、第3モデルが記憶される。
モデルデータは、不動産物件の価格を算定する算定モデルを記憶する項目である。具体的に、物件データを入力データとして物件価格を出力する。なお、モデルデータの出力は必ずしも物件価格である必要はなく、新築、中古物件などの物件価格からの変動値、物件のリノベーション費用(コスト、工事費)等のモデル種別に応じた出力値を出力するものとしても良い。
モデルデータは、回帰分析モデル(線形回帰、多変量回帰、ロジスティック回帰)、時系列分析モデル、機械学習モデル(決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン)、深層学習モデル、大規模言語モデル、その他、任意の人工知能モデル等を含む。
【0020】
価格テーブル1021は、価格に関する情報(価格情報)を記憶し管理するためのテーブルである。
価格テーブル1021は、価格IDを主キーとして、価格ID、物件ID、算定手法、リノベ価格、品質指標のカラムを有するテーブルである。
図7は、価格テーブル1021のデータ構造を示す図である。
【0021】
価格IDは、価格を識別するための価格識別情報を記憶する項目である。価格識別情報は、価格情報ごとにユニークな値が設定されている項目である。
物件IDは、物件を識別するための物件識別情報を記憶する項目である。
算定手法は、算定手法に関する算定手法情報を記憶する項目である。
具体的に、算定手法情報は算定手法に応じて、第1算定手法(物件の新築価格からの変動値により算定する算定手法、第1リノベ価格算定ステップ)、第2算定手法(物件の中古価格からの変動値により算定する算定手法、第2リノベ価格算定ステップ)、第3算定手法(物件のリノベーション費用により算定する算定手法、第3リノベ価格ステップ)のいずれかを特定するための識別情報を含む。
リノベ価格は、算定モデルに基づき算定された物件のリノベーションした場合の想定される取引価格(リノベ価格)を記憶する項目である。
品質指標は、算定したリノベ価格の品質を示す情報を記憶する項目である。具体的に、品質を示す情報は、精度、信頼度、適合率、再現率、感度、F1スコア、平均絶対誤差、平均二乗誤差、平均絶対パーセント誤差、R二乗等を含む。
【0022】
<サーバ10の制御部104の構成>
サーバ10の制御部104は、ユーザ登録制御部1041、価格算定部1042、価格提示部1043を備える。制御部104は、記憶部101に記憶されたアプリケーションプログラム1011を実行することにより、各機能ユニットが実現される。
【0023】
ユーザ登録制御部1041は、本開示に係るサービスの利用を希望するユーザの情報をユーザテーブル1012に記憶する処理を行う。
ユーザテーブル1012に記憶される情報は、ユーザが任意の情報処理端末からサービス提供者が運営するウェブページなどを開き、所定の入力フォームに情報を入力しサーバ10へ送信する。ユーザ登録制御部1041は、受信した情報をユーザテーブル1012の新しいレコードに記憶し、ユーザ登録が完了する。これにより、ユーザテーブル1012に記憶されたユーザはサービスを利用することができるようになる。
ユーザ登録制御部1041によるユーザ情報のユーザテーブル1012への登録に先立ち、サービス提供者は所定の審査を行いユーザによるサービス利用可否を制限しても良い。
ユーザIDは、ユーザを識別できる任意の文字列または数字で良く、ユーザが希望する任意の文字列または数字、もしくはユーザ登録制御部1041が自動的に任意の文字列または数字を設定しても良い。
【0024】
価格算定部1042は、価格算定処理を実行する。詳細は後述する。
【0025】
価格提示部1043は、価格提示処理を実行する。詳細は後述する。
【0026】
<ユーザ端末20の構成>
ユーザ端末20は、サービスを利用するユーザが操作する情報処理装置である。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット等の携帯端末でもよいし、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCであってもよい。また、HMD(Head Mount Display)、腕時計型端末等のウェアラブル端末であってもよい。
ユーザ端末20は、記憶部201、制御部204、入力装置206、出力装置208を備える。
【0027】
<ユーザ端末20の記憶部201の構成>
ユーザ端末20の記憶部201は、ユーザID2011、アプリケーションプログラム2012を備える。
【0028】
ユーザID2011はユーザのアカウントIDである。ユーザは、ユーザ端末20からユーザID2011を、サーバ10へ送信する。サーバ10は、ユーザID2011に基づきユーザを識別し、本開示にかかるサービスをユーザに対して提供する。なお、ユーザID2011には、ユーザ端末20を利用しているユーザを識別するにあたりサーバ10から一時的に付与されるセッションIDなどの情報を含む。
【0029】
アプリケーションプログラム2012は、記憶部201に予め記憶されていても良いし、通信IFを介してサービス提供者が運営するウェブサーバ等からダウンロードする構成としても良い。
アプリケーションプログラム2012は、ウェブブラウザアプリケーションなどのアプリケーションを含む。
アプリケーションプログラム2012は、ユーザ端末20に記憶されているウェブブラウザアプリケーション上で実行されるJavaScript(登録商標)などのインタープリター型プログラミング言語を含む。
【0030】
<ユーザ端末20の制御部204の構成>
ユーザ端末20の制御部204は、入力制御部2041、出力制御部2042を備える。制御部204は、記憶部201に記憶されたアプリケーションプログラム2012を実行することにより、各機能ユニットが実現される。
【0031】
<ユーザ端末20の入力装置206の構成>
ユーザ端末20の入力装置206は、カメラ2061、マイク2062、位置情報センサ2063、モーションセンサ2064、タッチデバイス2065を備える。
【0032】
<ユーザ端末20の出力装置208の構成>
ユーザ端末20の出力装置208は、ディスプレイ2081、スピーカ2082を備える。
【0033】
<システム1の動作>
以下、システム1の各処理について説明する。
図8は、リノベ価格算定処理の動作を示すフローチャートである。
図9は、リノベ価格提示処理の動作を示すフローチャートである。
図10は、リノベ価格提示処理の動作を示す画面例である。
【0034】
<リノベ価格算定処理>
リノベ価格算定処理は、中古不動産物件の物件情報に基づき当該物件をリノベーションした後の推定取引価格(リノベ価格)を算定する処理である。
【0035】
<リノベ価格算定処理の概要>
リノベ価格算定処理は、物件情報を取得し、当該物件情報に応じたモデル情報を取得し、リノベーションした後の推定取引価格(リノベ価格)を算定し、算定したリノベ価格の信頼度を算定し、複数の計算手法により算定したリノベ価格および信頼度に基づき総合リノベ価格を算定する一連の処理である。
なお、推定取引価格とは当該物件を売却する際に買い手と合意が成立する可能性が高いと推定される価格のことである。その他、当該物件を売却する際の売出し価格の参考価格を推定取引価格としても良い。
【0036】
<リノベ価格算定処理の詳細>
以下に、リノベ価格算定処理の詳細を説明する。
リノベ価格算定処理は、管理者等のユーザからの入力操作に応じて実行しても良いし、サーバ10の価格算定部1042が定期的に実行しても良い。例えば、サーバ10の価格算定部1042は、毎月、毎週、毎日同じ時期にリノベ価格算定処理を実行する構成としても良い。その他、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報を物件テーブル1013に登録したことを検知して、リノベ価格算定処理を実行しても良い。
【0037】
ステップS101において、サーバ10の価格算定部1042は、中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、物件テーブル1013を参照して、物件ID、物件名、物件データ、取引データを含む物件情報を取得する。
なお、サーバ10の価格算定部1042は、物件テーブル1013のすべての物件情報を取得しても良いし、物件の所在エリア、物件情報の取引時期等を参照して任意の検索条件に合致する1または複数の物件情報を取得しても良い。
このように、サーバ10の価格算定部1042は、リノベ価格算定処理の処理対象となる物件情報(対象物件の対象物件情報)を取得し、特定する。また、後述するステップS102~S105の処理は、取得した所定の1の物件に対するリノベ価格算定処理を説明する。なお、ステップS101において取得した複数の対象物件の物件情報のそれぞれに対してリノベ価格算定処理を実行するものとしても良い。
【0038】
ステップS102において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第1モデルを取得する第1モデル取得ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件データに基づき、モデルテーブル1014の条件データの項目を検索し、モデルデータの項目(第1モデルデータ)を取得する。具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、物件データをモデルテーブル1014の条件データの項目に含むモデル情報を検索し、モデルデータの項目(第1モデルデータ)を取得する。なお、第1モデル取得ステップにおいてはモデル種別の項目に第1モデルを示す情報が記憶されているレコードを取得し、他のモデル種別のレコードは取得しないものとする。
例えば、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件データに含まれる築年数および所在エリアに基づき、モデルテーブル1014の条件データの項目に当該築年数および所在エリアを含むモデル情報を検索し、モデルデータの項目(第1モデルデータ)を取得する。
なお、本ステップは、後述する第1リノベ価格算定ステップを実行する際に実行する必要があるが、第1リノベ価格算定ステップを実行しない場合には実行する必要はなく省略しても構わない。
【0039】
ステップS102において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第2モデルを取得する第2モデル取得ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件データに基づき、モデルテーブル1014の条件データの項目を検索し、モデルデータの項目(第2モデルデータ)を取得する。具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、物件データをモデルテーブル1014の条件データの項目に含むモデル情報を検索し、モデルデータの項目(第2モデルデータ)を取得する。なお、第2モデル取得ステップにおいてはモデル種別の項目に第2モデルを示す情報が記憶されているレコードを取得し、他のモデル種別のレコードは取得しないものとする。
例えば、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件データに含まれる築年数および所在エリアに基づき、モデルテーブル1014の条件データの項目に当該築年数および所在エリアを含むモデル情報を検索し、モデルデータの項目(第2モデルデータ)を取得する。
なお、本ステップは、後述する第2リノベ価格算定ステップを実行する際に実行する必要があるが、第2リノベ価格算定ステップを実行しない場合には実行する必要はなく省略しても構わない。
【0040】
ステップS102において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第3モデルを取得する第3モデル取得ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件データに基づき、モデルテーブル1014の条件データの項目を検索し、モデルデータの項目(第3モデルデータ)を取得する。具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、物件データをモデルテーブル1014の条件データの項目に含むモデル情報を検索し、モデルデータの項目(第3モデルデータ)を取得する。なお、第3モデル取得ステップにおいてはモデル種別の項目に第3モデルを示す情報が記憶されているレコードを取得し、他のモデル種別のレコードは取得しないものとする。
例えば、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件データに含まれる築年数および所在エリアに基づき、モデルテーブル1014の条件データの項目に当該築年数および所在エリアを含むモデル情報を検索し、モデルデータの項目(第3モデルデータ)を取得する。
なお、本処理は、後述する第3リノベ価格算定ステップを実行する際に実行する必要があるが、第3リノベ価格算定ステップを実行しない場合には実行する必要はなく省略しても構わない。
【0041】
<リノベ価格算定ステップ>
【0042】
<第1リノベ価格算定ステップ>
第1リノベ価格算定ステップは、物件の新築価格から過去のリノベーション事例に基づく所定の金額を減価することによりリノベ価格を算定するステップである。なお、場合によっては新築価格から所定の金額を増価しても良い。
【0043】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、中古不動産物件の新築価格を算定する新築価格算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件情報に基づき、当該物件の新築時の価格(新築価格)を算定する。新築価格の算定手法は以下に示す任意の手法を適用することができる。
【0044】
・各地域の中古マンションおよび新築マンションの価格情報を保持する記憶部と、中古マンションの価格情報に所定アルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を、中古マンションごとに推定する単価推定部と、推定した単価に基づき、当該単価が評価対象地域の単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定する地域判定部と、同一需給圏における新築マンションの価格情報に基づく単価と、所定アルゴリズムに基づく当該新築マンションの地点の新築想定の単価との相関関係を分析し、同一需給圏における新築マンションの単価と新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成するモデル生成部と、に基づき生成したモデル式に基づき対象物件の新築価格を算定する。
・対象物件の物件情報と類似する新築物件(マンション、戸建て住宅)の販売事例に基づき算定する。例えば、複数の類似する新築マンション等の販売価格に対する類似度に基づく重み付け和により対象物件の新築価格を算定する。
・対象物件と同じエリアの新築物件の坪単価に基づき、当該坪単価を対象物件の専有面積、延床面積等を乗ずることにより対象物件の新築価格を算定する。
・物件情報を入力データとし、出力データとして当該物件の新築価格を出力可能な、回帰分析モデル、時系列分析モデル、機械学習モデル、深層学習モデル、大規模言語モデル、その他、任意の人工知能モデル等の任意のモデル用いて、対象物件の物件情報を入力データとして入力することにより対象物件の新築価格を算定する。
・その他、上記により算定した対象物件の新築価格を組み合わせることにより、対象物件の新築価格を算定しても良い。
【0045】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、中古不動産物件をリノベーションした場合の新築価格からの変動を示す第1変動値を算定する第1変動算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件情報に基づき、当該物件の新築価格からの変動値である第1変動値を算定する。第1変動値の算定手法は以下に示す。
【0046】
・対象物件の物件情報と類似する中古物件(マンション、戸建て住宅)のリノベーション事例に基づき算定する。具体的に、リノベーションを行い販売された中古物件の事例において当該中古物件の取引価格と、当該中古物件について算定した新築価格(上述する新築価格の算定手法を用いても良い)とを比較し、当該取引価格が新築価格からどの程度変動したのかを示す割合または差として第1変動値を算定する。特に、築年数および所在エリアが対象物件と類似する中古物件(マンション、戸建て住宅)のリノベーション事例に基づき第1変動値を算定することが好適である。
・また、複数の類似する中古物件等の第1変動値に対する類似度に基づく重み付け和により対象物件の第1変動値を算定しても構わない。
【0047】
第1変動算定ステップは、第1モデル取得ステップにおいて取得した第1モデルに基づき第1変動値を算定するステップを実行する。第1変動算定ステップは、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第1変動値を算定するステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS102において取得した第1モデルに対象物件の物件データを入力データとして適用することにより、第1変動値を出力データとして取得する。
例えば、リノベーションを行い販売された中古物件の過去事例について、築年数および所在エリアのグループごとに第1変動値の平均値を算定し、当該平均値を当該築年数および所在エリアにおける第1変動値とする。なお、当該築年数および所在エリア、第1変動値のそれぞれを、モデルテーブル1014の条件データ、モデルデータの項目にモデル情報(第1モデルのモデル情報)として記憶しても良い。この場合、モデル種別には「第1モデル」を示す情報を記憶する。サーバ10の価格算定部1042は、モデル種別が第1モデルかつ、対象物件の物件データに含まれる築年数および所在エリアを含む、モデルテーブル1014の条件データの項目を検索し、取得したモデルデータに含まれる対象物件の第1変動値を取得しても良い。
【0048】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、新築価格算定ステップにおいて算定した新築価格および第1変動算定ステップにおいて算定した第1変動値に基づき中古不動産物件をリノベーションした場合の第1リノベ価格を算定する第1リノベ価格算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、算定した新築価格に対して第1変動値を演算することにより対象物件をリノベーションした場合の価格(第1リノベ価格)を算定する。
例えば、算定した新築価格に対して第1変動値を乗ずることにより第1リノベ価格を算定する(この場合、第1変動値は1未満の値としても良い、一般的にリノベーション後の物件価格は新築価格を超えないためである。但し、第1変動値の値は必ずしも1未満の値とは限られない。)。例えば、算定した新築価格に対して第1変動値を減ずる(または加算する)ことにより第1リノベ価格を算定する。このように、第1変動値は、対象物件における新築価格からの価格減少の割合または価格減少の程度を示す値とすることができる。
【0049】
<第2リノベ価格算定ステップ>
第2リノベ価格算定ステップは、物件の中古価格から過去のリノベーション事例に基づく所定の金額を増価することによりリノベ価格を算定するステップである。なお、場合によっては中古価格から所定の金額を減価しても良い。
【0050】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、中古不動産物件の取引価格を算定する中古価格算定ステップを実行する。
・対象物件の物件情報と類似する中古物件(マンション、戸建て住宅)の販売事例に基づき算定する。例えば、複数の類似する中古マンション等の販売価格に対する類似度に基づく重み付け和により対象物件の中古価格を算定する。
・対象物件と同じエリアの中古物件の坪単価に基づき、当該坪単価を対象物件の専有面積、延床面積等を乗ずることにより対象物件の中古価格を算定する。
・物件情報を入力データとし、出力データとして当該物件の中古価格を出力可能な、回帰分析モデル、時系列分析モデル、機械学習モデル、深層学習モデル、大規模言語モデル、その他、任意の人工知能モデル等の任意のモデル用いて、対象物件の物件情報を入力データとして入力することにより対象物件の中古価格を算定する。
・その他、上記により算定した対象物件の中古価格を組み合わせることにより、対象物件の中古価格を算定しても良い。
【0051】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、中古不動産物件をリノベーションした場合の取引価格からの変動を示す第2変動値を算定する第2変動算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件情報に基づき、当該物件の中古価格からの変動値である第2変動値を算定する。第2変動値の算定手法は以下に示す。
【0052】
・対象物件の物件情報と類似する中古物件(マンション、戸建て住宅)のリノベーション事例に基づき算定する。具体的に、リノベーションを行い販売された中古物件の過去事例において当該中古物件の取引価格と、当該中古物件について算定した中古価格(上述する中古価格の算定手法を用いても良い)とを比較し、当該取引価格が中古価格からどの程度変動したのかを示す割合または差として第2変動値を算定する。特に、築年数および所在エリアが対象物件と類似する中古物件(マンション、戸建て住宅)のリノベーション事例に基づき第2変動値を算定することが好適である。
・また、複数の類似する中古物件等の第2変動値に対する類似度に基づく重み付け和により対象物件の第2変動値を算定しても構わない。
【0053】
ステップS103において、第2変動算定ステップは、第2モデル取得ステップにおいて取得した第2モデルに基づき第2変動値を算定するステップを実行する。第2変動算定ステップは、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第2変動値を算定するステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS102において取得した第2モデルに対象物件の物件データを入力データとして適用することにより、第2変動値を出力データとして取得する。
例えば、リノベーションを行い販売された中古物件の事例について、築年数および所在エリアのグループごとに第2変動値の平均値を算定し、当該平均値を当該築年数および所在エリアにおける第2変動値とする。なお、当該築年数および所在エリア、第2変動値のそれぞれを、モデルテーブル1014の条件データ、モデルデータの項目にモデル情報(第2モデルのモデル情報)として記憶しても良い。この場合、モデル種別には「第2モデル」を示す情報を記憶する。サーバ10の価格算定部1042は、モデル種別が第2モデルかつ、対象物件の物件データに含まれる築年数および所在エリアを含む、モデルテーブル1014の条件データの項目を検索し、取得したモデルデータに含まれる対象物件の第2変動値を取得としても良い。
【0054】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、中古価格算定ステップにおいて算定した取引価格および第2変動算定ステップにおいて算定した第2変動値に基づき中古不動産物件をリノベーションした場合の第2リノベ価格を算定する第2リノベ価格算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、算定した中古価格に対して第2変動値を演算することにより対象物件をリノベーションした場合の価格(第2リノベ価格)を算定する。
例えば、算定した中古価格に対して第2変動値を乗ずることにより第2リノベ価格を算定する(この場合、第2変動値は1より大きい値としても良い、一般的にリノベーション後の物件価格は新築価格を超えるためである。但し、第2変動値の値は必ずしも1より大きい値とは限られない。)。例えば、算定した中古価格に対して第2変動値を加算する(または減ずる)ことにより第2リノベ価格を算定する。このように、第2変動値は、対象物件における中古価格からの価格増加の割合または価格増加の程度を示す値とすることができる。
【0055】
<第3リノベ価格算定ステップ>
第3リノベ価格算定ステップは、物件の中古価格に過去のリノベーション事例に基づくリノベーション費用を加算することによりリノベ価格を算定するステップである。
【0056】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、中古不動産物件をリノベーションする際に要する費用を算定する第3変動算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS101において取得した物件情報に基づき、当該物件のリノベーションに要する費用(リノベーション費用、リノベーションコスト、工事費)を算定する。リノベーション費用の算定手法は以下に示す任意の手法を適用することができる。
【0057】
・対象物件の物件情報と類似する中古物件(マンション、戸建て住宅)のリノベーション事例に基づき算定する。具体的に、リノベーションが行われた中古物件の事例において当該中古物件のリノベーション費用として第3変動値を算定する。特に、築年数および所在エリアが類似する中古物件(マンション、戸建て住宅)のリノベーション費用に基づき第3変動値を算定することが好適である。
・また、複数の類似する中古物件等の第3変動値に対する類似度に基づく重み付け和により対象物件の第3変動値を算定しても構わない。
【0058】
ステップS103において、第3変動算定ステップは、第3モデル取得ステップにおいて取得した第3モデルに基づき費用を算定するステップを実行する。第3変動算定ステップは、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき費用を算定するステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、ステップS102において取得した第3モデルに対象物件の物件データを入力データとして適用することにより、第3変動値を出力データとして取得する。
例えば、リノベーションを行い販売された中古物件の過去事例について、築年数および所在エリアのグループごとに第3変動値の平均値を算定し、当該平均値を当該築年数および所在エリアにおける第3変動値とする。なお、当該築年数および所在エリア、第3変動値のそれぞれを、モデルテーブル1014の条件データ、モデルデータの項目にモデル情報(第3モデルのモデル情報)として記憶しても良い。この場合、モデル種別には「第3モデル」を示す情報を記憶する。サーバ10の価格算定部1042は、モデル種別が第3モデルかつ、対象物件の物件データに含まれる築年数および所在エリアを含む、モデルテーブル1014の条件データの項目を検索し、取得したモデルデータに含まれる対象物件の第3変動値を取得しても良い。
【0059】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、中古価格算定ステップにおいて算定した取引価格および第3変動算定ステップにおいて算定した費用に基づき中古不動産物件をリノベーションした場合の第3リノベ価格を算定する第3リノベ価格算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、算定した中古価格に対して第3変動値を加算することにより対象物件をリノベーションした場合の価格(第3リノベ価格)を算定する。なお、中古価格の算定は第2リノベ価格算定ステップと同様であるため説明を省略する。
また、第3変動値は、リノベーション費用であるため一般に中古価格に加算されるが、これに限られない。例えば、中古価格に乗算または除算するようなパラメータとして定義されても構わない。
このように、第3リノベ価格は、対象物件の中古価格に対してリノベーション費用(工事費等)を上乗せした値として算定される。
【0060】
ステップS103において、サーバ10の価格算定部1042は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、複数の異なる計算手法を適用することにより、中古不動産物件をリノベーションした場合の複数のリノベ価格を算定するリノベ価格算定ステップを実行する。
具体的に、リノベ価格算定ステップにおいて、第1リノベ価格算定ステップ、第2リノベ価格算定ステップ、第3リノベ価格算定ステップ、のすべてを実行しても良いし、いずれか1つを実行する構成としても良い。このように、リノベ価格算定ステップにおいては、複数の異なる計算手法により計算されたリノベ価格(第1人リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格)を取得する構成とすることができる。
【0061】
<品質算定ステップ>
ステップS104において、サーバ10の価格算定部1042は、リノベ価格算定ステップにおいて算定した複数のリノベ価格のそれぞれに対して複数の品質指標を算定する品質算定ステップを実行する。品質算定ステップは、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に類似した過去の取引事例に基づき複数の品質指標を算定するステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、第1リノベ価格算定ステップ、第2リノベ価格算定ステップ、第3リノベ価格ステップのそれぞれにおいて算定したリノベ価格について、当該リノベ価格の品質を示す品質指標を算定する。品質指標は、精度、信頼度、適合率、再現率、感度、F1スコア、平均絶対誤差、平均二乗誤差、平均絶対パーセント誤差、R二乗等を含む。
【0062】
リノベ価格の品質指標は以下に示す手法により算定することができる。リノベ価格の品質指標は、対象物件の新築価格、中古価格の算定結果に対する品質指標、および、変動値(第1変動値、第2変動値、第3変動値)に対する品質指標を含む。リノベ価格の品質指標は、新築価格、中古価格の算定モデルに対する品質指標、および、変動値を出力するモデル(第1モデル、第2モデル、第3モデル)に対する品質指標を含む。
リノベーションを行い販売された中古物件の過去事例について、築年数および所在エリアのグループごとの平均値として算定された新築価格、中古価格と、実際に販売された中古物件の過去事例について計算した新築価格、中古価格との、平均絶対誤差(MAE)、平均二乗誤差(MSE)、平均二乗対数誤差(MSLE)、決定係数(R2)、ルート平均二乗誤差(RMSE)等を、それぞれ新築価格、中古価格(新築価格算定モデル、中古価格算定モデル)の品質指標とすることができる。
リノベーションを行い販売された中古物件の過去事例について、築年数および所在エリアのグループごとの平均値として算定された第1変動値、第2変動値、第3変動値と、実際に販売された中古物件の過去事例について計算した第1変動値、第2変動値、第3変動値との、平均絶対誤差(MAE)、平均二乗誤差(MSE)、平均二乗対数誤差(MSLE)、決定係数(R2)、ルート平均二乗誤差(RMSE)等を、築年数、所在エリア、算定手法(第1リノベ価格算定ステップ、第2リノベ価格算定ステップ、第3リノベ価格ステップのいずれか、または、第1モデル、第2モデル、第3モデル)ごとの品質指標とすることができる。
なお、品質指標は築年数および所在エリアのグループごとに算定する必要は必ずしもなく、物件データに含まれる物件に関する任意の1または複数の属性情報を組み合わせてグループとしても良い。この場合も、任意のグループ、算定手法ごとに品質指標を算定しても構わない。
その他、物件情報、リノベ価格を入力データとし、出力データとして当該リノベ価格の品質指標を出力可能な、回帰分析モデル、時系列分析モデル、機械学習モデル、深層学習モデル、大規模言語モデル、その他、任意の人工知能モデル等の任意のモデル用いて、リノベ価格の品質指標を算出する構成としても良い。
【0063】
サーバ10の価格算定部1042は、対象物件の物件ID、ステップS103のリノベ価格算定ステップにおいて算定したリノベ価格(第1リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格のいずれか)、算定手法(第1リノベ価格算定ステップ、第2リノベ価格算定ステップ、第3リノベ価格ステップのいずれか)、ステップS104の品質算定ステップにおいて算定した品質指標のそれぞれを、価格テーブル1021の新たなレコードの物件ID、リノベ価格、算定手法、品質指標の項目に記憶する。
【0064】
<第4リノベ価格算定ステップ>
第4リノベ価格算定ステップは、第1リノベ価格算定ステップから第3リノベ価格算定ステップにより算定された第1リノベ価格から第3リノベ価格の少なくとも2以上の組み合わせに基づき第4リノベ価格(総合リノベ価格)を算定するステップである。
【0065】
ステップS105において、サーバ10の価格算定部1042は、リノベ価格算定ステップにおいて算定した複数のリノベ価格を組み合わせた第4リノベ価格を算定する第4リノベ価格算定ステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、第1リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格の統計値(平均値、中央値、最頻値、最大値、最小値等のいずれか)として第4リノベ価格(総合リノベ価格)を算定する。
【0066】
ステップS105において、第4リノベ価格算定ステップは、複数のリノベ価格および品質算定ステップにおいて算定した複数の品質指標に基づき、第4リノベ価格を算定するステップを実行する。
具体的に、サーバ10の価格算定部1042は、第1リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格のそれぞれについて、品質指標を重み付け和とした統計値として第4リノベ価格を算定する。
例えば、サーバ10の価格算定部1042は、第1リノベ価格をP1、第2リノベ価格をP2、第3リノベ価格をP3、第1リノベ価格の品質指標をA1、第2リノベ価格の品質指標をA2、第3リノベ価格の品質指標をA3とする。この場合、第4リノベ価格P4は、P4=(P1xA1+P2xA2+P3xA3)/(A1+A2+A3)として算定する。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)を、複数の計算手法により算定したリノベ価格に品質指標を組み合わせることにより、より正確に算定することができる。
【0067】
<リノベ価格提示処理>
リノベ価格提示処理は、物件のリノベ価格(第1リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格)、品質指標、総合リノベ価格(第4リノベ価格)をユーザに提示する処理である。
【0068】
<リノベ価格提示処理の概要>
リノベ価格提示処理は、ユーザから物件の入力を受け付け、当該物件のリノベ価格を取得し、総合リノベ価格を取得または算定し、取得したリノベ価格、総合リノベ価格をユーザに提示する一連の処理である。
【0069】
<リノベ価格提示処理の詳細>
以下に、リノベ価格提示処理の詳細を説明する。
【0070】
ステップS301において、サーバ10の価格提示部1043は、リノベ価格画面をユーザに提示する。
具体的に、ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作し、ブラウザアプリケーション等を実行し、リノベ価格提示処理を実行するためのウェブページ(リノベ価格ページ)のURL等を入力することによりリノベ価格ページD1(リノベ価格画面)を開く。ユーザ端末20の制御部204は、リノベ価格ページを開くためのユーザID2011を含むリクエストをサーバ10へ送信する。
【0071】
サーバ10は、リクエストを受信するとリノベ価格ページを生成しユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20の制御部204は、リノベ価格ページD1をユーザ端末20のディスプレイ2081に表示し、提示する。
図10は、リノベ価格提示処理におけるリノベ価格画面の画面例である。ユーザ端末20のディスプレイ2081には、リノベ価格ページD1が表示される。
リノベ価格ページD1は、物件入力欄D10を含む。
リノベ価格ページD1は、第1リノベ価格算定ステップにより算定した第1リノベ価格に関する情報を提示する第1リノベ価格提示欄D11、第2リノベ価格算定ステップにより算定した第2リノベ価格に関する情報を提示する第2リノベ価格提示欄D12、第3リノベ価格算定ステップにより算定した第3リノベ価格に関する情報を提示する第3リノベ価格提示欄D13、第4リノベ価格算定ステップにより算定した第4リノベ価格に関する情報を提示する第4リノベ価格提示欄D14を含む。
第1リノベ価格提示欄D11は、第1リノベ価格D101、第1リノベ価格D101を物件の面積(専有面積、延床面積)等で割った第1坪単価D1011、第1変動値D1012、第1品質指標D111を含む。
第2リノベ価格提示欄D12は、第2リノベ価格D102、第2リノベ価格D102を物件の面積(専有面積、延床面積)等で割った第2坪単価D1021、第2変動値D1022、第2品質指標D112を含む。
第3リノベ価格提示欄D13は、第3リノベ価格D103、第3リノベ価格D103を物件の面積(専有面積、延床面積)等で割った第3坪単価D1031、第3変動値D1032、第3品質指標D113を含む。
【0072】
ユーザは、ユーザ端末20の入力装置206を操作することにより、物件入力欄D10に物件名、物件ID等の物件を特定するための物件識別情報を入力する。ユーザ端末20の制御部204は、物件識別情報をサーバ10へ送信する。サーバ10の価格提示部1043は、物件識別情報を受信し、受け付ける。
【0073】
ステップS302において、サーバ10の価格提示部1043は、受信した物件識別情報に基づき価格テーブル1021の物件IDの項目を検索し、リノベ価格、品質指標を含む価格情報を取得する。
なお、本開示においては物件識別情報に基づき特定される物件について第1算定手法、第2算定手法、第3算定手法の3種類の手法により算定されたリノベ価格(第1リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格)、品質指標(第1品質指標、第2品質指標、第3品質指標)を取得する。また、リノベ価格算定処理において第4リノベ価格を算定している場合は、第4リノベ価格も取得する。
【0074】
ステップS303において、サーバ10の価格提示部1043は、第1リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格および、第1品質指標、第2品質指標、第3品質指標に基づき、第4リノベ価格を算定する。なお、第4リノベ価格の算定は、リノベ価格算定処理のステップS105における第4リノベ価格の算定と同様であるため詳細な説明を省略する。リノベ価格提示処理において第4リノベ価格を算定する場合は、リノベ価格算定処理のステップS105を省略しても良い。つまり、第4リノベ価格の算定は、リノベ価格算定処理、リノベ価格提示処理のいずれか一方で実行する構成としても良い。
【0075】
ステップS304において、サーバ10の価格提示部1043は、リノベ価格算定ステップにおいて算定した複数のリノベ価格を、品質算定ステップにおいて算定した複数の品質指標と関連付けて提示する価格提示ステップを実行する。価格提示ステップは、第4リノベ価格算定ステップにおいて算定した第4リノベ価格を提示するステップを含む。
具体的に、サーバ10の価格提示部1043は、取得した第1リノベ価格、第2リノベ価格、第3リノベ価格、第4リノベ価格および、第1品質指標、第2品質指標、第3品質指標を、ユーザ端末20へ送信する。ユーザ端末20の制御部204は、受信したリノベ価格、品質指標を、ユーザ端末20のリノベ価格ページD1の第1リノベ価格D101、第2リノベ価格D102、第3リノベ価格D103、第4リノベ価格D104、第1リノベ価格の第1品質指標D111、第2リノベ価格の第2品質指標D112、第3リノベ価格の第3品質指標D113に描画する。
例えば、リノベ価格ページD1において、第1リノベ価格D101、第2リノベ価格D102、第3リノベ価格D103のそれぞれは、第1品質指標D111、第2品質指標D112、第3品質指標D113に関連付けて提示される。
これにより、ユーザは、複数の異なる計算手法を適用することにより算定された複数のリノベ価格のそれぞれを品質指標と関連付けられた態様で確認できる。
【0076】
<コンピュータの基本ハードウェア構成>
図11は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ901、主記憶装置902、補助記憶装置903、通信IF991(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらは通信バス921により相互に電気的に接続される。
【0077】
プロセッサ901とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ901は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0078】
主記憶装置902とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0079】
補助記憶装置903とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0080】
通信IF991とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0081】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0082】
<コンピュータ90の基本機能構成>
コンピュータ90の基本ハードウェア構成(
図11)により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0083】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0084】
制御部は、プロセッサ901が補助記憶装置903に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0085】
記憶部は、主記憶装置902、補助記憶装置903により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ901は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置902または補助記憶装置903に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0086】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブル、マスタと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、マスタ、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル、マスタ同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブル、各マスタにはレコードを一意に特定するための主キーとなるカラムが設定されるが、カラムへの主キーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、記憶部に記憶された特定のテーブル、マスタにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
また、記憶部に、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶させることにより、本開示にかかる情報処理装置、情報処理システムが製造されたものとして捉えることができる。
【0087】
なお、本開示におけるデータベース、マスタは、情報が構造的に規定された任意のデータ構造体(リスト、辞書、連想配列、オブジェクトなど)を含み得る。データ構造体には、データと、任意のプログラミング言語により記述された関数、クラス、メソッドなどを組み合わせることにより、データ構造体と見なし得るデータも含むものとする。
【0088】
通信部は、通信IF991により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ901に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0089】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0090】
(付記1)
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップ(S101)と、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件の新築価格を算定する新築価格算定ステップ(S103)と、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件をリノベーションした場合の新築価格からの変動を示す第1変動値を算定する第1変動算定ステップ(S103)と、新築価格算定ステップにおいて算定した新築価格および第1変動算定ステップにおいて算定した第1変動値に基づき当該中古不動産物件をリノベーションした場合の第1リノベ価格を算定する第1リノベ価格算定ステップ(S103)と、を実行するプログラム。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0091】
(付記2)
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップ(S101)と、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件の取引価格を算定する中古価格算定ステップ(S103)と、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件をリノベーションした場合の取引価格からの変動を示す第2変動値を算定する第2変動算定ステップ(S103)と、中古価格算定ステップにおいて算定した取引価格および第2変動算定ステップにおいて算定した第2変動値に基づき当該中古不動産物件をリノベーションした場合の第2リノベ価格を算定する第2リノベ価格算定ステップ(S103)と、を実行するプログラム。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0092】
(付記3)
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップ(S101)と、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件の取引価格を算定する中古価格算定ステップ(S103)と、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件をリノベーションする際に要する費用を算定する第3変動算定ステップ(S103)と、中古価格算定ステップにおいて算定した取引価格および第3変動算定ステップにおいて算定した費用に基づき当該中古不動産物件をリノベーションした場合の第3リノベ価格を算定する第3リノベ価格算定ステップ(S103)と、を実行するプログラム。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0093】
(付記4)
第1変動算定ステップ(S103)は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第1変動値を算定するステップである、付記1記載のプログラム。
これにより、中古不動産物件の築年数および所在エリアを考慮することにより、リノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0094】
(付記5)
プロセッサが、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第1モデルを取得する第1モデル取得ステップ(S102)と、を実行し、第1変動算定ステップ(S103)は、第1モデル取得ステップにおいて取得した第1モデルに基づき第1変動値を算定するステップである、付記1記載のプログラム。
これにより、中古不動産物件の築年数および所在エリアを考慮することにより、リノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0095】
(付記6)
第2変動算定ステップ(S103)は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第2変動値を算定するステップである、付記2記載のプログラム。
これにより、中古不動産物件の築年数および所在エリアを考慮することにより、リノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0096】
(付記7)
プロセッサが、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第2モデルを取得する第2モデル取得ステップ(S102)と、を実行し、第2変動算定ステップ(S103)は、第2モデル取得ステップにおいて取得した第2モデルに基づき第2変動値を算定するステップである、付記2記載のプログラム。
これにより、中古不動産物件の築年数および所在エリアを考慮することにより、リノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0097】
(付記8)
第3変動算定ステップ(S103)は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき費用を算定するステップである、付記3記載のプログラム。
これにより、中古不動産物件の築年数および所在エリアを考慮することにより、リノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0098】
(付記9)
プロセッサが、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に含まれる中古不動産物件の築年数および所在エリアに基づき第3モデルを取得する第3モデル取得ステップ(S102)と、を実行し、第3変動算定ステップ(S103)は、第3モデル取得ステップにおいて取得した第3モデルに基づき費用を算定するステップである、付記3記載のプログラム。
これにより、中古不動産物件の築年数および所在エリアを考慮することにより、リノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0099】
(付記10)
プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップ(S101)と、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、複数の異なる計算手法を適用することにより、当該中古不動産物件をリノベーションした場合の複数のリノベ価格を算定するリノベ価格算定ステップ(S103)と、リノベ価格算定ステップにおいて算定した複数のリノベ価格を組み合わせた第4リノベ価格を算定する第4リノベ価格算定ステップ(S105)と、を実行するプログラム。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)を、複数の計算手法により算定したリノベ価格を組み合わせることにより、より正確に算定することができる。
【0100】
(付記11)
プロセッサが、リノベ価格算定ステップにおいて算定した複数のリノベ価格のそれぞれに対して複数の品質指標を算定する品質算定ステップ(S104)と、を実行し、第4リノベ価格算定ステップ(S105)は、複数のリノベ価格および品質算定ステップにおいて算定した複数の品質指標に基づき、第4リノベ価格を算定するステップである、付記10記載のプログラム。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)を、複数の計算手法により算定したリノベ価格に品質指標を組み合わせることにより、より正確に算定することができる。
【0101】
(付記12)
品質算定ステップ(S104)は、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に類似した過去の取引事例に基づき複数の品質指標を算定するステップである、付記11記載のプログラム。
これにより、複数のリノベ価格のそれぞれの品質指標(精度、信頼度、適合率、再現率等)を算定することができる。
【0102】
(付記13)
プロセッサが、リノベ価格算定ステップにおいて算定した複数のリノベ価格を、品質算定ステップにおいて算定した複数の品質指標と関連付けて提示する価格提示ステップ(S304)と、を実行する、付記11記載のプログラム。
これにより、ユーザは、複数の異なる計算手法を適用することにより算定された複数のリノベ価格のそれぞれを品質指標と関連付けられた態様で確認できる。
【0103】
(付記14)
価格提示ステップ(S304)は、第4リノベ価格算定ステップにおいて算定した第4リノベ価格を提示するステップを含む、付記13記載のプログラム。
これにより、ユーザは複数の異なる計算手法を適用することにより算定された複数のリノベ価格とともに、第4リノベ価格(総合リノベ価格)を確認できる。
【0104】
(付記15)
プロセッサと、メモリとを備えるコンピュータに実行される方法であって、プロセッサが、付記1から付記14のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する方法。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0105】
(付記16)
制御部と、記憶部とを備える情報処理装置であって、制御部が、付記1から付記14のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する情報処理装置。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【0106】
(付記17)
付記1から付記14のいずれかに係る発明において実行される全てのステップを実行する手段を備えるシステム。
これにより、中古不動産物件についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格(リノベ価格)をより正確に算定することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 システム、10 サーバ、101 記憶部、104 制御部、106 入力装置、108 出力装置、20 ユーザ端末、201 記憶部、204 制御部、206 入力装置、208 出力装置
【要約】
【課題】中古不動産についてリノベーションを行った後に期待される想定取引価格を算定できていないという課題がある。
【解決手段】プロセッサと、記憶部とを備えるコンピュータに実行させるためのプログラムであって、プロセッサが、中古不動産物件の物件情報を取得する物件情報取得ステップと、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件の新築価格を算定する新築価格算定ステップと、物件情報取得ステップにおいて取得した物件情報に基づき、当該中古不動産物件をリノベーションした場合の新築価格からの変動を示す第1変動値を算定する第1変動算定ステップと、新築価格算定ステップにおいて算定した新築価格および第1変動算定ステップにおいて算定した第1変動値に基づき当該中古不動産物件をリノベーションした場合の第1リノベ価格を算定する第1リノベ価格算定ステップと、を実行するプログラム。
【選択図】
図1