(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】提示方法、および提示システム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20240517BHJP
D06F 33/30 20200101ALI20240517BHJP
【FI】
G06N20/00
D06F33/30
(21)【出願番号】P 2023535920
(86)(22)【出願日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2023007480
(87)【国際公開番号】W WO2023210150
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2022073359
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】農添 三資
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 千絵子
【審査官】武田 広太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-101861(JP,A)
【文献】特開2009-273544(JP,A)
【文献】特開2021-026258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0301446(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00
D06F 33/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器が処理を終了するタイミングを提示する提示方法であって、
前記処理である第一処理に関する前記機器のパラメータ値を入力とし、前記機器が前記第一処理を終了するタイミングを出力とする予測モデルに、前記機器が過去に実行した複数回の前記処理である第二処理それぞれに関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了するタイミングの第一予測値を取得し、
複数回の前記第二処理それぞれについて取得した前記第一予測値の第一信頼度を算出し、
前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了したタイミングの実測値を取得し、
複数回の前記第二処理それぞれについての前記第一予測値と、前記第一信頼度と、前記実測値とを用いて、前記第一信頼度に関する閾値の決定をし、
前記予測モデルに、前記処理である第三処理に関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が前記第三処理を終了するタイミングを示す第二予測値を取得し、
前記第二予測値の第二信頼度を算出し、
前記第二予測値を提示する提示制御をするとともに、前記第二信頼度が前記閾値未満である場合に通知をする通知制御をし、
前記閾値の決定では、
第一条件および第二条件の少なくとも一方が満たされる前記閾値を決定し、
前記第一条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一信頼度が前記閾値より低いN回の前記第二処理のうち、前記第一予測値と前記実測値との差異が許容値未満である1回以上の前記第二処理の割合である第一値についての条件であり、Nは1以上の整数であり、
前記第二条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一予測値と前記実測値との差異が前記許容値以上であるM回の前記第二処理のうち、前記第一信頼度が前記閾値より高い1回以上の前記第二処理の割合である第二値についての条件であり、Mは1以上の整数である
提示方法。
【請求項2】
前記第一条件は、前記第一値が所定値以下であるという条件を含み、または、
前記第二条件は、前記第二値が所定値以下であるという条件を含む
請求項1に記載の提示方法。
【請求項3】
前記第一条件は、前記第一値が、前記閾値の複数の候補を用いて算出される複数の第一値の候補のうちの最小値である、という条件を含み、または、
前記第二条件は、前記第二値が、前記閾値の複数の候補を用いて算出される複数の第二値の候補のうちの最小値である、という条件を含む
請求項1または2に記載の提示方法。
【請求項4】
前記提示制御は、前記第二予測値を表示画面に表示する制御を含み、
前記通知制御は、前記第二予測値の表示態様を変更する制御を含む
請求項1または2に記載の提示方法。
【請求項5】
前記閾値を決定する際には、
さらに、決定した前記閾値を上昇または低下させる指示をユーザから受け付け、
受け付けた前記指示に従って、決定した前記閾値を上昇または低下させ、
前記通知制御では、
上昇または低下させた後の前記閾値を用いて、前記通知制御をする
請求項1または2に記載の提示方法。
【請求項6】
前記閾値を決定する際には、
さらに、前記閾値を設定する指示をユーザから受け付け、
受け付けた前記指示に従って、前記閾値を設定し、
前記通知制御では、
設定した後の前記閾値を用いて、前記通知制御をする
請求項1または2に記載の提示方法。
【請求項7】
さらに、
前記第一信頼度を取得する際には、
前記第二処理それぞれに関する前記機器のパラメータ値を取得したセンサの精度を取得し、取得した前記センサの精度が高いほど高い前記第一信頼度を取得し、
前記第二信頼度を取得する際には、
前記第三処理に関する前記機器のパラメータ値を取得したセンサの精度を取得し、取得した前記センサの精度が高いほど高い前記第二信頼度を取得する
請求項1または2に記載の提示方法。
【請求項8】
前記機器は、乾燥機であり、
前記処理は、前記乾燥機が洗濯物を乾燥させる処理である
請求項1または2に記載の提示方法。
【請求項9】
機器が処理を終了するタイミングを提示する提示システムであって、
予測部と、信頼度算出部と、閾値決定部と、提示制御部とを備え、
前記予測部は、前記処理である第一処理に関する前記機器のパラメータ値を入力とし、前記機器が前記第一処理を終了するタイミングを出力とする予測モデルに、前記機器が過去に実行した複数回の前記処理である第二処理それぞれに関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了するタイミングの第一予測値を取得し、
前記信頼度算出部は、複数回の前記第二処理それぞれについて取得した前記第一予測値の第一信頼度を算出し、
前記閾値決定部は、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了したタイミングの実測値を取得し、複数回の前記第二処理それぞれについての前記第一予測値と、前記第一信頼度と、前記実測値とを用いて、前記第一信頼度に関する閾値の決定をし、
前記予測部は、前記予測モデルに、前記処理である第三処理に関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が前記第三処理を終了するタイミングを示す第二予測値を取得し、
前記信頼度算出部は、前記第二予測値の第二信頼度を算出し、
前記提示制御部は、前記第二予測値を提示する提示制御をするとともに、前記第二信頼度が前記閾値未満である場合に通知をする通知制御をし、
前記閾値の決定では、
第一条件および第二条件の少なくとも一方が満たされる前記閾値を決定し、
前記第一条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一信頼度が前記閾値より低いN回の前記第二処理のうち、前記第一予測値と前記実測値との差異が許容値未満である1回以上の前記第二処理の割合である第一値についての条件であり、Nは1以上の整数であり、
前記第二条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一予測値と前記実測値との差異が前記許容値以上であるM回の前記第二処理のうち、前記第一信頼度が前記閾値より高い1回以上の前記第二処理の割合である第二値についての条件であり、Mは1以上の整数である
提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、提示方法、および提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機による洗濯物の乾燥に要する時間を予測する技術がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示する提示方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における提示方法は、機器が処理を終了するタイミングを提示する提示方法であって、前記処理である第一処理に関する前記機器のパラメータ値を入力とし、前記機器が前記第一処理を終了するタイミングを出力とする予測モデルに、前記機器が過去に実行した複数回の前記処理である第二処理それぞれに関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了するタイミングの第一予測値を取得し、複数回の前記第二処理それぞれについて取得した前記第一予測値の第一信頼度を算出し、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了したタイミングの実測値を取得し、複数回の前記第二処理それぞれについての前記第一予測値と、前記第一信頼度と、前記実測値とを用いて、前記第一信頼度に関する閾値の決定をし、前記予測モデルに、前記処理である第三処理に関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が前記第三処理を終了するタイミングを示す第二予測値を取得し、前記第二予測値の第二信頼度を算出し、前記第二予測値を提示する提示制御をするとともに、前記第二信頼度が前記閾値未満である場合に通知をする通知制御をし、前記閾値の決定では、第一条件および第二条件の少なくとも一方が満たされる前記閾値を決定し、前記第一条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一信頼度が前記閾値より低いN回の前記第二処理のうち、前記第一予測値と前記実測値との差異が許容値未満である1回以上の前記第二処理の割合である第一値についての条件であり、Nは1以上の整数であり、前記第二条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一予測値と前記実測値との差異が前記許容値以上であるM回の前記第二処理のうち、前記第一信頼度が前記閾値より高い1回以上の前記第二処理の割合である第二値についての条件であり、Mは1以上の整数である提示方法である。
【発明の効果】
【0006】
本開示における提示方法は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態における提示システムの構成を示す模式図である。
【
図2】実施の形態における乾燥機の機能を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態における端末の機能を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態におけるサーバの機能を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態における学習度の推移を示す説明図である。
【
図6】実施の形態における経時変化度の推移を示す説明図である。
【
図7】実施の形態における信頼度の推移を示す説明図である。
【
図8】実施の形態における不信頼度の推移を示す説明図である。
【
図9】実施の形態における閾値候補ごとの通知の当否を示す説明図である。
【
図10】実施の形態における閾値候補ごとの誤報率および失報率を示す説明図である。
【
図11】実施の形態における提示システムの処理を示すフロー図である。
【
図12】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図13】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図14】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図15】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図16】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図17】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図18】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図19】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図20】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図21】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図22】実施の形態における提示システムが表示する画像の例を示す説明図である。
【
図23】実施の形態の変形例1における提示システムの構成を示す模式図である。
【
図24】実施の形態の変形例2における提示システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した、提示方法に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0009】
乾燥機による洗濯物の乾燥に要する時間を予測する技術がある(例えば特許文献1参照)。上記時間の予測は、例えば、機械学習により生成された学習済みモデル(機械学習モデルともいう)に、乾燥前温度などの情報を入力することでなされる。
【0010】
一般に、機械学習を用いた予測では、原則的には、機器ごとの状況に適応した予測時間が提供され得る。
【0011】
しかしながら、機械学習を用いた予測では、機器の比較的長いライフサイクルに亘って、いつも十分な精度で予測がなされるとは限らない。低い精度で得られた予測時間は、機器が実際に乾燥に要する時間とは異なるものとなることがある。
【0012】
予測の精度の低下の要因には、例えば、学習の進捗、または、機器の経時変化などがある。
【0013】
例えば、教師データとして用いられる、当該機器に関する入力情報と出力情報とが、十分な学習に必要な量だけ得られていないときには、学習が不十分であるので、予測の精度が低下する。
【0014】
また、例えば、機器の経時変化(例えば、機器が処理に用いるハードウェアの動作の劣化、または、センサの感度の低下)が進んだときには、予測の精度が低下する。
【0015】
そこで、予測を提示する際に、その予測の精度が低いことをユーザに通知することができれば、ユーザは、予測がどの程度妥当であるのか、または、予測をどの程度信頼できるのかを把握することができ、有用である。
【0016】
本開示は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示する提示方法を提供する。
【0017】
本開示の一態様に係る提示方法は、機器が処理を終了するタイミングを提示する提示方法であって、前記処理である第一処理に関する前記機器のパラメータ値を入力とし、前記機器が前記第一処理を終了するタイミングを出力とする予測モデルに、前記機器が過去に実行した複数回の前記処理である第二処理それぞれに関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了するタイミングの第一予測値を取得し、複数回の前記第二処理それぞれについて取得した前記第一予測値の第一信頼度を算出し、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了したタイミングの実測値を取得し、複数回の前記第二処理それぞれについての前記第一予測値と、前記第一信頼度と、前記実測値とを用いて、前記第一信頼度に関する閾値の決定をし、前記予測モデルに、前記処理である第三処理に関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が前記第三処理を終了するタイミングを示す第二予測値を取得し、前記第二予測値の第二信頼度を算出し、前記第二予測値を提示する提示制御をするとともに、前記第二信頼度が前記閾値未満である場合に通知をする通知制御をし、前記閾値の決定では、第一条件および第二条件の少なくとも一方が満たされる前記閾値を決定し、前記第一条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一信頼度が前記閾値より低いN回の前記第二処理のうち、前記第一予測値と前記実測値との差異が許容値未満である1回以上の前記第二処理の割合である第一値についての条件であり、Nは1以上の整数であり、前記第二条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一予測値と前記実測値との差異が前記許容値以上であるM回の前記第二処理のうち、前記第一信頼度が前記閾値より高い1回以上の前記第二処理の割合である第二値についての条件であり、Mは1以上の整数である提示方法である。
【0018】
上記態様によれば、上記提示方法は、機械学習モデルを用いて機器のパラメータ値から、機器が処理を終了するタイミングの予測値を提示するときに、その予測値の信頼度が比較的低い場合に通知をする。信頼度は、その予測値が妥当である度合い、言い換えれば、その予測値が信頼できる度合いを示している。ユーザは、提示された終了タイミングの予測値を視認し、さらに通知がなされた場合にはその予測値の信頼度が比較的低いことを把握することができる。このように、上記提示方法は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0019】
また、前記第一条件は、前記第一値が所定値以下であるという条件を含み、または、前記第二条件は、前記第二値が所定値以下であるという条件を含んでもよい。
【0020】
上記態様によれば、上記提示方法は、第一値または第二値が所定値以下であるという条件を用いて、より容易に、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を決定する。よって、上記提示方法は、信頼度の閾値を容易に決定することを通じて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0021】
また、前記第一条件は、前記第一値が、前記閾値の複数の候補を用いて算出される複数の第一値の候補のうちの最小値である、という条件を含み、または、前記第二条件は、前記第二値が、前記閾値の複数の候補を用いて算出される複数の第二値の候補のうちの最小値である、という条件を含んでもよい。
【0022】
上記態様によれば、上記提示方法は、第一値または第二値が最小値をとるという条件を用いて、より容易に、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を決定する。よって、上記提示方法は、信頼度の閾値を容易に決定することを通じて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0023】
また、前記提示制御は、前記第二予測値を表示画面に表示する制御を含み、前記通知制御は、前記第二予測値の表示態様を変更する制御を含んでもよい。
【0024】
上記態様によれば、上記提示方法は、表示画面に表示した予測値の表示態様を変更することによって通知を行う。ユーザは、予測値の表示態様の変更を視認することで、容易に、その予測値の信頼度が比較的低いことを把握することができる。よって、上記提示方法は、表示態様の変更によって信頼度の低下を通知することを通じて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0025】
また、前記閾値を決定する際には、さらに、決定した前記閾値を上昇または低下させる指示をユーザから受け付け、受け付けた前記指示に従って、決定した前記閾値を上昇または低下させ、前記通知制御では、上昇または低下させた後の前記閾値を用いて、前記通知制御をしてもよい。
【0026】
上記態様によれば、上記提示方法は、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を、ユーザから受け付けた指示に基づいて調整するので、上記指示に応じた量または頻度で通知を行うことができる。ユーザは、上記指示に応じた量または頻度で通知を受けることができる。よって、上記提示方法は、適切な量または頻度の通知を用いて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0027】
また、前記閾値を決定する際には、さらに、前記閾値を設定する指示をユーザから受け付け、受け付けた前記指示に従って、前記閾値を設定し、前記通知制御では、設定した後の前記閾値を用いて、前記通知制御をしてもよい。
【0028】
上記態様によれば、上記提示方法は、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を、ユーザから受け付けた指示に基づいて設定するので、上記指示に応じた量または頻度で通知を行うことができる。ユーザは、上記指示に応じた量または頻度で通知を受けることができる。よって、上記提示方法は、適切な量または頻度の通知を用いて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0029】
また、さらに、前記第一信頼度を取得する際には、前記第二処理それぞれに関する前記機器のパラメータ値を取得したセンサの精度を取得し、取得した前記センサの精度が高いほど高い前記第一信頼度を取得し、前記第二信頼度を取得する際には、前記第三処理に関する前記機器のパラメータ値を取得したセンサの精度を取得し、取得した前記センサの精度が高いほど高い前記第二信頼度を取得してもよい。
【0030】
上記態様によれば、上記提示方法は、パラメータ値を取得するセンサの精度に応じて容易に信頼度を取得する。よって、上記提示方法は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0031】
また、前記機器は、乾燥機であり、前記処理は、前記乾燥機が洗濯物を乾燥させる処理であってもよい。
【0032】
上記態様によれば、上記提示方法は、乾燥機が洗濯物を乾燥させる処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0033】
本開示の一態様に係る提示システムは、機器が処理を終了するタイミングを提示する提示システムであって、予測部と、信頼度算出部と、閾値決定部と、提示制御部とを備え、前記予測部は、前記処理である第一処理に関する前記機器のパラメータ値を入力とし、前記機器が前記第一処理を終了するタイミングを出力とする予測モデルに、前記機器が過去に実行した複数回の前記処理である第二処理それぞれに関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了するタイミングの第一予測値を取得し、前記信頼度算出部は、複数回の前記第二処理それぞれについて取得した前記第一予測値の第一信頼度を算出し、前記閾値決定部は、前記機器が複数回の前記第二処理それぞれを終了したタイミングの実測値を取得し、複数回の前記第二処理それぞれについての前記第一予測値と、前記第一信頼度と、前記実測値とを用いて、前記第一信頼度に関する閾値の決定をし、前記予測部は、前記予測モデルに、前記処理である第三処理に関するパラメータ値を入力することで出力される、前記機器が前記第三処理を終了するタイミングを示す第二予測値を取得し、前記信頼度算出部は、前記第二予測値の第二信頼度を算出し、前記提示制御部は、前記第二予測値を提示する提示制御をするとともに、前記第二信頼度が前記閾値未満である場合に通知をする通知制御をし、前記閾値の決定では、第一条件および第二条件の少なくとも一方が満たされる前記閾値を決定し、前記第一条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一信頼度が前記閾値より低いN回の前記第二処理のうち、前記第一予測値と前記実測値との差異が許容値未満である1回以上の前記第二処理の割合である第一値についての条件であり、Nは1以上の整数であり、前記第二条件は、複数回の前記第二処理のうちの前記第一予測値と前記実測値との差異が前記許容値以上であるM回の前記第二処理のうち、前記第一信頼度が前記閾値より高い1回以上の前記第二処理の割合である第二値についての条件であり、Mは1以上の整数である提示システムである。
【0034】
上記態様によれば、上記提示方法と同様の効果を奏する。
【0035】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0036】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0037】
(実施の形態)
本実施の形態において、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示する提示方法および提示システムについて説明する。
【0038】
図1は、本実施の形態における提示システム1の構成を示す模式図である。
【0039】
図1に示されるように、提示システム1は、サーバ10と、乾燥機20A、20Bおよび20C(乾燥機20A等ともいう)と、端末30A、30Bおよび30C(端末30A等ともいう)とを備える。提示システム1が備える装置は、ネットワークNを通じて通信可能に接続されている。
【0040】
サーバ10は、乾燥機20A等が処理を終了するタイミング(終了タイミングともいう)の予測値と、その予測値の信頼度とを算出する。終了タイミングの予測は、例えば機械学習を用いた方法によりなされ、この場合を例として説明するが、これに限られない。サーバ10は、算出した予測値と信頼度とを端末30Aに提供する。
【0041】
ここで、サーバ10が乾燥機20A等の予測値と信頼度とを提供する宛先である端末は、端末30A等のうちの当該乾燥機20A等に対応付けられた端末であり得る。乾燥機20A等と端末30A等との対応付けはサーバ10によりなされる。
【0042】
乾燥機20Aは、処理を実行する機器である。乾燥機20Aは、例えば、選択された衣類などの洗濯物を乾燥させる乾燥機(乾燥機付きの洗濯機ともいえる)であり、この場合を例として説明するがこれに限られない。乾燥機20Aが行う処理は、洗濯物を乾燥させる処理(乾燥処理ともいう)である。乾燥機20Aは、上記のほか、冷凍庫またはエアコン等の機器であってもよい。対象の機器が冷凍庫である場合、処理は、製氷処理である。対象の機器がエアコンである場合、処理は、暖房処理(より具体的には、例えば、寝室の温度を25℃に上昇させる暖房処理)である。
【0043】
乾燥機20Bおよび20Cは、それぞれ、乾燥機20Aと同様の機器であり、乾燥機20Aとは独立に動作する。
【0044】
端末30Aは、情報を提示する。端末30Aは、サーバ10が算出した終了タイミングの予測値を提示する。また、端末30Aは、予測値の信頼度が閾値未満である場合に通知をする。
【0045】
提示は、例えば、端末30Aが備える表示画面に情報を含む画像を表示することであるが、これに限られず、音声として出力することであってもよい。また、通知は、例えば、端末30Aが備える表示画面に情報を含む画像を表示すること、または、端末30Aが備える表示画面に表示されている情報の表示態様を変更することなどを含むが、これらに限られず、音声として出力すること、または、音声の出力態様を変更することであってもよい。音声の出力態様の変更は、例えば、音量の変更、再生速度の変更、エフェクトの適用の有無の変更、適用されるエフェクトの変更等であり得る。
【0046】
端末30Bおよび30Cは、それぞれ、端末30Aと同様の機器であり、端末30Aとは独立に動作する。
【0047】
なお、ここでは、乾燥機20A等および端末30A等がそれぞれ3台である場合を例として説明するが、これに限られない。乾燥機20A等または端末30A等は任意の台数であってよい。また、乾燥機20A等と端末30A等との台数が異なってもよい。
【0048】
ネットワークNは、どのような通信回線またはネットワークから構成されてもよく、例えば、インターネット、携帯電話のキャリアネットワーク、インターネットプロバイダのアクセスネットワーク、または公衆アクセスネットワークなどを含み得る。
【0049】
以降において、乾燥機20A等、端末30A等およびサーバ10の機能について詳細に説明する。ここでは、乾燥機20A等のうち乾燥機20Aに着目して説明するが、乾燥機20Bまたは20Cについても同様の説明が成立する。
【0050】
図2は、本実施の形態における乾燥機20Aの機能を示すブロック図である。なお、乾燥機20Bおよび20Cも同様の機能を有するので、乾燥機20Bおよび20Cについての説明は省略する。
【0051】
図2に示されるように、乾燥機20Aは、機能部として、通信部21と、処理部22と、表示部23とを備える。
【0052】
通信部21は、ネットワークNに接続可能である通信インタフェースである。通信部21は、乾燥機20Aが備える機能部がネットワークNを通じて他の装置と通信するときに、他の装置との間で通信パケットの送受信を行う。通信部21は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信インタフェースである。
【0053】
処理部22は、乾燥機20Aが行う処理である乾燥処理を制御する。処理部22は、具体的には、処理の対象である洗濯物が投入される槽(一般に洗濯槽と兼用)と、槽内の空気を取り込んで温風を生成し槽内に送出するヒートポンプと、槽およびヒートポンプの動作を制御する制御部とを有する。また、処理部22は、乾燥処理に関する情報を検知する1以上のセンサを有する。1以上のセンサは、例えば、槽内の洗濯物の重量を検知する重量センサ、槽からヒートポンプに取り込まれる空気の温度(吸込温度ともいう)を検知する温度センサ、または、ヒートポンプから槽へ送出される空気の温度(吐出温度ともいう)を検知する温度センサなどを含む。処理部22は、乾燥処理の時間長である乾燥時間を決定する。上記乾燥時間の決定は、例えば、乾燥を開始する時点での洗濯物の重量ごとに定められた乾燥時間を参照し、乾燥しようとする洗濯物の重量であって、重量センサで検知した重量に適合する乾燥時間を選択することでなされる。処理部22は、乾燥処理を開始し、その開始から乾燥時間が経過した時点で、乾燥処理を終了する。なお、処理部22は、乾燥処理を開始する時点で決定した乾燥時間を、乾燥が進むにつれて、逐次、温度センサで検知した温度に基づいて調整してもよい。
【0054】
また、処理部22は、サーバ10による終了タイミングの予測値の算出のために、1以上のセンサが検知した情報をサーバ10に送信する。1以上のセンサが検知した情報は、例えば、重量センサにより検知された洗濯物の重量、温度センサにより検知された吸込温度または吐出温度などを含む。
【0055】
表示部23は、情報を表示する表示装置である。表示部23は、例えば、サーバ10から取得した、終了タイミングの予測値を含む情報を画像として表示する。また、表示部23は、上記画像の表示または表示態様の変更によって通知をする。なお、表示部23は、上記情報を音声として出力するスピーカであってもよい。また、表示部23は、上記表示装置および上記スピーカの少なくとも一方を有する提示部であってもよい。
【0056】
図3は、本実施の形態における端末30Aの機能を示すブロック図である。なお、端末30Bおよび30Cも同様の機能を有するので、端末30Bおよび30Cについての説明は省略する。
【0057】
図3に示されるように、端末30Aは、機能部として、通信部31と、制御部32と、表示部33とを備える。
【0058】
通信部31は、ネットワークNに接続可能である通信インタフェースである。通信部31は、端末30Aが備える機能部がネットワークNを通じて他の装置と通信するときに、他の装置との間で通信パケットの送受信を行う。通信部31は、例えば、Wi-Fiの通信インタフェース、または、携帯電話ネットワークの通信インタフェースである。
【0059】
制御部32は、端末30Aの動作を制御する。制御部32は、プロセッサおよびメモリ等を有し、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで端末30Aの動作を制御する。
【0060】
表示部33は、情報を表示する表示装置である。表示部33は、例えば、サーバ10から取得した、終了タイミングの予測値を含む情報を画像として表示する。表示部33は、上記画像の表示または表示態様の変更によって通知をする。なお、表示部33は、上記情報を音声として出力するスピーカであってもよい。また、表示部33は、上記表示装置および上記スピーカの少なくとも一方を有する提示部であってもよい。
【0061】
図4は、本実施の形態におけるサーバ10の機能を示すブロック図である。
【0062】
図4に示されるように、サーバ10は、機能部として、通信部11と、訓練部12と、予測部13と、信頼度算出部14と、閾値決定部15と、表示制御部16とを備える。サーバ10が備える機能部は、サーバ10が備えるプロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0063】
通信部11は、ネットワークNに接続可能である通信インタフェースである。通信部11は、サーバ10が備える機能部がネットワークNを通じて他の装置と通信するときに、他の装置との間で通信パケットの送受信を行う。通信部11は、例えば、Ethernet(登録商標)の通信インタフェースである。
【0064】
訓練部12は、終了タイミングを予測する機械学習モデルである予測モデルを保有しており、予測モデルの訓練を行う。予測モデルは、乾燥処理(第一処理に相当)に関する乾燥機20Aのパラメータ値を入力とし、乾燥機20Aが乾燥処理を終了する終了タイミングを出力とするモデルである。予測モデルは、乾燥処理に関する乾燥機20Aのパラメータ値を入力とし、乾燥機20Aが乾燥処理を終了するタイミングを出力とする教師データを用いた機械学習による訓練によって構築される。教師データは、実際の乾燥処理に関する乾燥機20Aのパラメータ値を入力データとし、乾燥機20Aがその乾燥処理を終了するタイミングを出力データとする教師データであってもよいし、乾燥機20Aと同種の機器についての上記入力データおよび上記出力データとする教師データであってもよい。予測モデルは、例えば、ニューラルネットワークモデルである。
【0065】
予測部13は、予測モデルを用いて乾燥機20Aが行う乾燥処理の終了タイミングの予測値を取得する。予測部13は、具体的には、乾燥機20Aが過去に実行した複数回の乾燥処理(第二処理に相当)それぞれについて、乾燥機20Aが有する1以上のセンサが検知した情報を取得し、取得した情報をパラメータ値として予測モデルに入力することで出力される、終了タイミングの予測値(第一予測値ともいう)を取得する。また、予測部13は、乾燥機20Aが行う乾燥処理(第三処理に相当)について、乾燥機20Aが有する1以上のセンサが検知した情報を取得し、取得した情報をパラメータ値として予測モデルに入力することで出力される、終了タイミングの予測値(第二予測値ともいう)を取得する。
【0066】
信頼度算出部14は、予測部13が取得した第一予測値である終了タイミングの信頼度(第一信頼度)を算出する。また、信頼度算出部14は、予測部13が取得した第二予測値である終了タイミングの信頼度(第二信頼度)を算出する。信頼度は、予測値が妥当である度合い、言い換えれば、その予測値が信頼できる度合いを示している。
【0067】
信頼度算出部14は、例えば、乾燥処理に関する乾燥機20Aのパラメータ値を取得したセンサの精度を取得し、取得したセンサの精度が高いほど高い信頼度を取得する。
【0068】
また、信頼度算出部14は、信頼度を算出する際には、例えば、予測モデルの学習の進捗を示す指標である学習度と、乾燥機20Aの経時変化の度合いを示す指標である経時変化度とを取得し、取得した学習度および経時変化度の少なくとも一方を用いて信頼度を算出することもできる。学習度および経時変化度を用いた信頼度の算出方法について、後で説明する。
【0069】
閾値決定部15は、複数回の第二処理それぞれについての第一予測値と、第一信頼度と、実測値とを用いて、第一信頼度に関する閾値の決定をする。閾値決定部15は、閾値の決定において、下記第一条件および下記第二条件の少なくとも一方が満たされる閾値を決定する。
【0070】
第一条件は、誤報率に関する条件である。誤報率は、混同行列において用いられる指標であり、信頼度が閾値より低いことにより通知をすると判断されるケースのうち、終了タイミングの予測値と実測値との差異に基づいて通知をすべきでないと判断されるケースの割合を示す。第一条件は、より具体的には、複数回の第二処理のうちの信頼度が閾値より低いN回の第二処理のうち、第一予測値と実測値との差異が許容差未満である1回以上の第二処理の割合である誤報率(第一値に相当)についての条件である。ここで、Nは1以上の整数である。
【0071】
第一条件は、誤報率が所定値以下であるという条件を含んでもよい。また、第一条件は、誤報率が、閾値の複数の候補を用いて算出される複数の誤報率の候補のうちの最小値である、という条件を含んでもよい。
【0072】
また、第二条件は、失報率に関する条件である。失報率は、混同行列において用いられる指標であり、終了タイミングの予測値と実測値との差異に基づいて通知をすべきと判断されるケースのうち、信頼度が閾値より高いことにより通知をしなかったケースの割合を示す。第二条件は、より具体的には、複数回の第二処理のうちの第一予測値と実測値との差異が許容差以上であるM回の第二処理のうち、信頼度が閾値より高い1回以上の第二処理の割合である失報率(第二値に相当)についての条件である。ここで、Mは1以上の整数である。
【0073】
第二条件は、失報率が所定値以下であるという条件を含んでもよい。また、第二条件は、失報率が、閾値の複数の候補を用いて算出される複数の失報率の候補のうちの最小値である、という条件を含んでもよい。
【0074】
例えば、第一条件を「誤報率が0.3以下であること」とし、第二条件を「失報率が0.3以下であること」とすることができる。
【0075】
また、例えば、第一条件を「誤報率が0.5以下であること」とし、第二条件を「失報率の候補のうちの最小値である」とすることができる。
【0076】
なお、誤報率および失報率は、混同行列で一般に用いられるprecisionおよびrecallを用いると、次のように表せる。
【0077】
誤報率=1-precision
失報率=1-recall
【0078】
なお、上記のほかにも、混同行列を用いて妥当な閾値を決定する方法を採用してもよい。
【0079】
表示制御部16は、予測部13が取得した第二予測値を含む提示情報を表示する表示制御をする。表示制御は、提示情報を提示する提示制御に相当する。また、表示制御部16は、提示制御とともに、第二信頼度が閾値未満である場合に通知をする通知制御をする。表示制御部16は、提示制御部に相当する。
【0080】
具体的には、表示制御部16は、表示制御において、提示情報を端末30Aに送信し、端末30Aが提示情報を表示部33に表示するように制御する。また、表示制御部16は、通知制御において、端末30Aがその表示態様を変更するように制御する。
【0081】
なお、表示制御部16は、乾燥機と、当該乾燥機についての終了タイミングの予測値と信頼度との提示と通知とをする端末とを対応付けた対応情報を保有しており、対応情報を参照して、提示情報を提示する端末を選定する。対応情報において、乾燥機20A、20Bおよび20Cは、それぞれ、端末30A、30Bおよび30Cに対応付けられているとする。例えば、乾燥機20Aに対応する端末は、乾燥機20Aを保有しているユーザが保有している端末であり得る。
【0082】
なお、表示制御部16は、提示情報を乾燥機20Aに送信し、乾燥機20Aが提示情報を表示部23に表示するよう制御してもよい。
【0083】
なお、閾値決定部15は、閾値を決定する際には、決定した閾値を上昇または低下させる指示をユーザから受け付け、受け付けた指示に従って、決定した閾値を上昇または低下させてもよい。その場合、表示制御部16は、通知制御において、上昇または低下させた後の閾値を用いて、通知制御をする。
【0084】
なお、閾値決定部15は、閾値を決定する際には、閾値を設定する指示をユーザから受け付け、受け付けた指示に従って、閾値を設定してもよい。その場合、表示制御部16は、通知制御において、設定した後の閾値を用いて、通知制御をする。
【0085】
次に、信頼度について説明する。
【0086】
ここでは、学習度および経時変化度を用いて算出される信頼度について説明する。
【0087】
図5は、本実施の形態における学習度αの推移を示す説明図である。
【0088】
図5において、横軸が処理回数を示しており、縦軸が学習度αを示している。学習度αは、予測モデルの学習が進むにつれて上昇する指標である。
図5に示される学習度αは、予測モデルの学習の進捗を0以上1以下の範囲で示す指標であり、これを例として説明するが、学習度αの範囲は上記に限られない。
【0089】
図5に示されるように、学習度αは、処理回数が比較的少ないときには比較的低い値を有し、処理回数が多いほど、高い値を有する。例えば、処理回数P2における学習度α2は、処理回数P1における学習度α1より高い。
【0090】
また、処理回数がある程度進むと、学習度αは、1または1の近傍の値をとり、それ以降は1または1の近傍の値をとり続ける。例えば、処理回数P3において学習度αがほぼ1であり、処理回数がP3以上のときにも学習度αがほぼ1である。
【0091】
学習度αは、例として、下記の情報のいずれかを少なくとも用いて信頼度算出部14により算出される。
【0092】
(a)予測モデルの交差検証における、訓練誤差をバリデーション誤差で除した値
(b)予測モデルの訓練に用いたデータ数
(c)機器が行った複数回の処理における第一予測値の予測誤差の収束率
【0093】
図6は、本実施の形態における経時変化度の推移を示す説明図である。
【0094】
図6において、横軸が乾燥機20Aの製造時点からの経過時間を示し、縦軸が経時変化度βを示している。経時変化度βは、乾燥機20Aの製造時点からの経時変化の度合いを示す指標であり、製造時点において0であり、製造時点より後に、経過時間が長くなるにつれて上昇する指標である。
【0095】
図6に示されるように、経時変化度βは、経過時間が比較的短いときには比較的低い値を有し、経過時間が長いほど、高い値を有する。例えば、経過時間T3における経時変化度β3は、経過時間T2における経時変化度β2より高い。
【0096】
経時変化度βは、例として、下記の情報のいずれかを少なくとも用いて信頼度算出部14により算出される。ここで、Nは2以上の整数である。
【0097】
(d)乾燥機20Aが行った複数回の処理のうち、直近のN回の処理における第一予測値の予測誤差の平均値
(e)上記(d)を、乾燥機20Aと同種の複数の機器が行った処理における第一予測値の予測誤差の平均値で除した値
(f)乾燥機20Aが行った複数回の処理のうち、直近のN回の処理における、乾燥機20Aが当該処理を終了したタイミングの標準偏差
【0098】
図7は、本実施の形態における信頼度の推移を示す説明図である。
【0099】
図7において、横軸が乾燥機20Aの製造時点からの経過時間を示し、縦軸が信頼度δを示している。信頼度δは、乾燥機20Aが処理を終了する終了タイミングの予測値が信頼できる度合いを示す指標であり、0以上1以下の範囲で推移する指標である。
【0100】
信頼度δは、学習度αと経時変化度βとを用いて算出され、より具体的には、学習度αが高いほど高く、または、経時変化度βが高いほど低い。
【0101】
なお、以降において、説明の便宜上、信頼の指標として不信頼度εを用いて説明する。不信頼度は、信頼度δと大小関係が逆転した指標である。不信頼度εは、0以上1以下の範囲で推移する指標であり、低いほど、乾燥機20Aが処理を終了する終了タイミングの予測値の信頼が高いことを示している(下記(式1)参照)。
【0102】
ε=1-δ (式1)
【0103】
次に、閾値の決定方法について説明する。閾値決定部15は、複数の閾値の候補(閾値候補ともいう)から一の閾値を選択することで、閾値を決定する。
【0104】
図9は、本実施の形態における閾値候補ごとの通知の当否を示す説明図である。
【0105】
図9には、乾燥機20Aが過去に行った10回の乾燥処理のそれぞれについて、乾燥時間、予測乾燥時間、乾燥時間と予測乾燥時間との差異(単に「差異」ともいう)、通知フラグ、および、不信頼度が示されている。また、
図9には、上記10回の乾燥処理のそれぞれについて、3つの閾値候補を想定する場合の不信頼フラグと、通知の当否とが示されている。
【0106】
乾燥時間は、乾燥機20Aが当該乾燥処理を開始する時点で算出した、乾燥処理に要する時間である。乾燥時間は、終了タイミングの実測値の一例である。
【0107】
予測乾燥時間は、乾燥機20Aが当該乾燥処理を開始する時点における乾燥機20Aのパラメータ値を用いて予測された、乾燥処理に要する時間の予測値である。予測乾燥時間は、終了タイミングの予測値の一例である。
【0108】
乾燥時間と予測乾燥時間との差異は、上記予測乾燥時間から上記乾燥時間を減じた値である。
【0109】
通知フラグは、上記10回の乾燥処理のそれぞれについて、乾燥時間と予測乾燥時間との差異に基づいて通知をすべきことを示すフラグである。通知フラグは、差異の絶対値が許容差を超える場合に1(つまり、通知を行うべき)とし、差異の絶対値が許容差以下である場合に0(つまり、通知を行うべきでない)とする。許容差は、例えば15分であり、この場合を例として説明する。なお、通知フラグが1である乾燥処理について実際に通知が行われたか否かは問わない。
【0110】
不信頼度は、予測乾燥時間の不信頼度である。不信頼度は、乾燥機20Aが当該乾燥処理を開始する時点における乾燥機20Aのパラメータ値を用いて算出され得る。
【0111】
例えば、乾燥処理#1では、乾燥時間が90分であり、予測乾燥時間が95分であり、差異が5分である。通知フラグは、差異の絶対値である5分が許容差である15分以下であるので0である。不信頼度は、10である。
【0112】
例えば、乾燥処理#2では、乾燥時間が100分であり、予測乾燥時間が120分であり、差異が20分である。通知フラグは、差異の絶対値である20分が許容差である15分を超えているので1である。不信頼度は、20である。
【0113】
例えば、乾燥処理#3では、乾燥時間が80分であり、予測乾燥時間が70分であり、差異が-10分である。通知フラグは、差異の絶対値である10分の絶対値が許容差である15分以下であるので0である。不信頼度は、25である。
【0114】
次に、閾値候補ごとの通知の当否を説明する。ここでは、閾値候補として、20、50および80の3つの閾値候補がある場合を例として説明する。なお、閾値候補は、上記3つに限られず、不信頼度の最小値から最大値までの範囲に含まれる複数の閾値候補が用いられ得る。例えば、閾値候補は、最小値である0から、最大値である100までの範囲に含まれるすべての整数値であってもよい。
【0115】
不信頼フラグは、上記10回の乾燥処理のそれぞれについて、当該閾値候補を閾値として用いる場合に、不信頼度が閾値以上であるか否かを示すフラグである。不信頼フラグは、当該乾燥処理における不信頼度が閾値以上である場合に1とし、そうでない場合に0とする。
【0116】
通知の当否は、不信頼度フラグが1である乾燥処理に関して、閾値決定部15が通知を行うべきと判定しているか否かを示すフラグである。通知の当否は、不信頼フラグが1である乾燥処理について、通知をすることが、差異に基づいて妥当であるか否かを示す。通知の当否は、不信頼度フラグが1である乾燥処理に関して、通知フラグが1である場合に1とし、そうでない場合に0とする。なお、通知の当否は、不信頼度フラグが0である乾燥処理については定義されず、図において「-」と示される。
【0117】
例えば、乾燥処理#1では、閾値候補である20を閾値として用いる場合の不信頼フラグは0である。不信頼度である10が、閾値候補である20未満であるからである。また、乾燥処理#1では、閾値候補である50または80を閾値として用いる場合にも、閾値候補である20を閾値として用いる場合と同様である。
【0118】
例えば、乾燥処理#2では、閾値候補である20を閾値として用いる場合の不信頼フラグは1である。不信頼度である20が、閾値候補である20以上であるからである。また、乾燥処理#2において、不信頼度フラグが1であり、かつ、通知フラグが1であるので、通知の当否は1である。
【0119】
また、乾燥処理#2では、閾値候補である50または80を閾値として用いる場合の不信頼フラグは0である。不信頼度である20が、閾値候補である50または80未満であるからである。
【0120】
例えば、乾燥処理#3では、閾値候補である20を閾値として用いる場合の不信頼フラグは1である。不信頼度である25が、閾値候補である20以上であるからである。また、乾燥処理#3において、不信頼度フラグが1であり、かつ、通知フラグが0であるので、通知の当否は0である。
【0121】
また、乾燥処理#3では、閾値候補である50または80を閾値として用いる場合の不信頼フラグは0である。不信頼度である25が、閾値候補である50または80未満であるからである。
【0122】
図10は、本実施の形態における閾値候補ごとの誤報率および失報率を示す説明図である。
【0123】
図10には、複数の閾値候補ごとに、通知をする処理の回数、通知が妥当である処理の回数、誤報率および失報率が示されている。
【0124】
通知をする処理の回数は、当該閾値候補を閾値として用いる場合に、通知をすべき乾燥処理の回数を示し、
図9に示される閾値候補を想定した場合の不信頼フラグが1である乾燥処理の数である。
【0125】
通知が妥当である処理の回数は、閾値決定部15が通知をすべきと判定した乾燥処理に関して、
図9に示される閾値候補を想定した場合の通知の当否が1である乾燥処理の数である。
【0126】
誤報率は、当該閾値候補を閾値として用いる場合の誤報率を示し、下記(式2)により算出される。
【0127】
誤報率=((通知をする処理の回数)-(通知が妥当である処理の回数))/(通知をする処理の回数) (式2)
【0128】
例えば、閾値候補である20についての誤報率は、(9-4)/9≒0.56と算出される。
【0129】
失報率は、当該閾値候補を閾値として用いる場合の失報率を示し、下記(式3)により算出される。また、通知をすべき処理の数は、通知フラグが1である乾燥処理の数であり、4である。
【0130】
失報率=((通知をすべき処理の回数)-(通知が妥当である処理の回数))/(通知をすべき処理の回数) (式3)
【0131】
例えば、閾値候補である50についての失報率は、(4-3)/4=0.25と算出される。
【0132】
なお、
図10に示される複数の閾値候補ごとの誤報率および失報率が、それぞれ、複数の誤報率および失報率の候補に相当する。
【0133】
以上のように構成された提示システム1の処理を説明する。
【0134】
図11は、本実施の形態における提示システム1の処理を示すフロー図である。
【0135】
ステップS101において、予測部13は、乾燥機20Aが過去に実行した複数回の乾燥処理(第二処理に相当)それぞれに関するパラメータ値を取得する。
【0136】
ステップS102において、予測部13は、ステップS101で取得したパラメータ値を予測モデルに入力することで、乾燥機20Aが過去に実行した乾燥処理を終了する終了タイミングの予測値を取得する。信頼度算出部14は、ステップS101で予測部13が取得した予測値の信頼度を取得する。
【0137】
ステップS103において、閾値決定部15は、乾燥機20Aが過去に実行した乾燥処理を終了する終了タイミングの実測値を取得する。
【0138】
ステップS104において、閾値決定部15は、信頼度についての閾値を決定する。
【0139】
ステップS105において、予測部13は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理(第三処理に相当)それぞれに関するパラメータ値を取得する。
【0140】
ステップS106において、予測部13は、ステップS105で取得したパラメータ値を予測モデルに入力することで、乾燥機20Aが実行する乾燥処理を終了する終了タイミングの予測値を取得する。信頼度算出部14は、ステップS106で予測部13が取得した予測値の信頼度を取得する。
【0141】
ステップS107において、表示制御部16は、ステップS106で取得した予測値を表示する制御をする。
【0142】
ステップS108において、表示制御部16は、ステップS106で取得した信頼度が、ステップS104で決定した閾値より高いか否かを判定する。上記信頼度が上記閾値より高い場合(ステップS108でYes)には、ステップS110に進み、そうでない場合(ステップS108でNo)には、ステップS109に進む。
【0143】
ステップS109において、表示制御部16は、通知制御を実行し、その後、
図11に示される一連の処理を終了する。
【0144】
ステップS110において、表示制御部16は、通知制御を実行することなく(言い換えれば、通知制御を実行することを抑制して)、その後、
図11に示される一連の処理を終了する。
【0145】
なお、ステップS101で予測部13がパラメータ値を取得するときには、乾燥機20Aが過去に実行した複数回の乾燥処理であって、これから実行しようとする処理と同じ動作モードの乾燥処理に関するパラメータ値を取得してもよい。このようにすることで、同一の動作モードの乾燥処理に基づいて閾値を決定する(ステップS104参照)ことができ、上記動作モードの乾燥処理について決定される閾値の妥当性を向上することができる。
【0146】
図11に示される処理により、提示システム1は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0147】
以降において、提示システム1による表示について具体的に説明する。
【0148】
提示システム1による表示は、例えば、端末30Aが備える表示部33による表示であり、この場合を例として説明するが、乾燥機20Aの表示部23による表示でもよい。
【0149】
端末30Aは、サーバ10によって算出された第二予測値を含む提示情報をサーバ10から受信し、第二予測値を表示画面に画像として表示する。端末30Aは、通知をするときには、表示画面にさらに通知を表示したり、通知に対応した表示態様の変更をしたりする。
【0150】
図12は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0151】
図12に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像である。なお、
図12は、通知を含まない画像である。
【0152】
【0153】
画像51は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を、現時点からの残時間として表示する画像である。画像51は、具体的には、矩形の実線の枠と、その枠内に含まれる「残り1:40です。」という文字列を含み、乾燥処理の終了タイミングの予測値が、現時点から1時間40分後であることを示している。
【0154】
図12に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値を把握することができる。
【0155】
図13は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。なお、すでに説明した画像と同じ画像については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
【0156】
図13に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示しており、さらに、その予測値がAI(Artificial Intelligence)に基づく予測により得られたことを示している。
【0157】
図13に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像51(
図12と同様)と、その予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像52とを含む。
【0158】
画像52は、具体的には、円形の枠と、その枠内に含まれる「AI」という文字列とを含む。
【0159】
図13に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値と、その予測値がAIに基づく予測により得られたこととを把握することができる。
【0160】
図14は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0161】
図14に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示しており、さらに、通知を含んでいる。
【0162】
図14に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像51Aと、その予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像52Aとを含む。
【0163】
画像51Aは、画像51と同様に、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を、現時点からの残時間として表示する画像である。ただし、画像51Aに含まれる矩形の枠の色が、画像51に含まれる枠の色より薄い。枠の色が薄いことは、通知に対応する表示態様の変更の一例である。
【0164】
画像52Aは、画像52と同様に、予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像である。ただし、画像52Aに含まれる円形の枠の色が、画像51に含まれる枠より薄い。枠の色が薄いことは、通知に対応する表示態様の変更の一例である。
【0165】
図14に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値と、その予測値の信頼度が比較的低いこととを把握することができる。
【0166】
図15は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0167】
図15に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示しており、さらに、通知を含んでいる。
【0168】
図15に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像51Bと、その予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像52Bとを含む。
【0169】
画像51Bは、画像51と同様に、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を、現時点からの残時間として表示する画像である。ただし、画像51Bに含まれる矩形の枠が破線で示されている。破線で示されていることは、画像51Bが点滅することを意味し、通知に対応する表示態様の変更の一例である。
【0170】
画像52Bは、画像52と同様に、予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像である。ただし、画像52Bに含まれる円形の枠が破線で示されている。破線で示されていることは、画像51Bが点滅することを意味し、通知に対応する表示態様の変更の一例である。
【0171】
図15に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値と、その予測値の信頼度が比較的低いこととを把握することができる。
【0172】
図16は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0173】
図16に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値についての通知を含んでいる。
【0174】
図16に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像(例えば画像51)が配置されるべき位置に配置される画像51Cと、その予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像(例えば画像52)が配置されるべき位置に配置される画像52Cとを含む。
【0175】
画像51Cは、矩形の実線の枠と、その枠内に含まれる「・・・」という記号とを含む。これは、乾燥処理の終了タイミングの予測値の信頼度が比較的低いために、その予測値を表示する代わりに上記記号を表示したものである。「・・・」という記号が表示されていることは、通知に対応する表示態様の変更の一例である。なお、「・・・」という記号は、複数の「・」のそれぞれが、順次、表示と非表示とを繰り返すことで、「・」が左右方向に流れるアニメーションであってもよい。
【0176】
画像52Cは、円形の枠と、その枠内に含まれる「・・・」という記号とを含む。これは、乾燥処理の終了タイミングの予測値の信頼度が比較的低いために、「AI」と表示する代わりに上記記号を表示したものである。「・・・」という記号については、上記画像51Bについての説明と同様である。
【0177】
図16に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値の信頼度が比較的低いことを把握することができる。
【0178】
図17は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0179】
図17に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示しており、さらに、通知を含んでいる。
【0180】
図17に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像51Dと、その予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像52Dとを含む。
【0181】
画像51Dは、画像51と同様に、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を、現時点からの残時間として表示する画像である。ただし、画像51Dには、上記予測値とともに「×」印が表示されている。「×」印が表示されていることは、通知に対応する表示態様の変更の一例である。なお、「×」印は、
図17に示されるように枠内の全体に亘って表示されていてもよいし、それに代えて、枠内の一部に表示されていてもよい。
【0182】
画像52Dは、画像52と同様に、予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像である。ただし、画像52Dには、「AI」の文字列とともに「?」印が表示されている。「?」印が表示されていることは、通知に対応する表示態様の変更の一例である。なお、「?」印は、
図17に示されるように枠内の一部に表示されていてもよいし、それに代えて、枠内の全体に亘って表示されていてもよい。
【0183】
図17に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値と、その予測値の信頼度が比較的低いこととを把握することができる。
【0184】
図18は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0185】
図18に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示しており、さらに、通知を含んでいる。
【0186】
図18に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像51と、その予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像52と、予測値の信頼度が比較的低いことを通知する画像53とを含む。
【0187】
画像53は、予測値の信頼度が比較的低いことを通知する画像である。画像53は、「AI再計算中」という文字列を含む。「AI再計算中」という文字列は、予測値の信頼度が比較的低いことを間接的に示している。仮に、「予測値の信頼度が低いです。」というように、予測値の信頼度が比較的低いことを直接的に示す文字列を用いると、AIの技術そのものに対する信頼度が低いという誤解をユーザに与えるおそれがあり、これを回避できる効果がある。なお、文字列は、「予測値の信頼度が低いです。」というように、予測値の信頼度が比較的低いことを直接的に示す文字列でもよい。
【0188】
図18に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値と、その予測値の信頼度が比較的低いこととを把握することができる。
【0189】
図19は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0190】
図19に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示しており、さらに、通知を含んでいる。
【0191】
図19に示される画像は、乾燥機20Aが実行する乾燥処理の終了タイミングの予測値を示す画像51と、その予測値がAIに基づく予測により得られたことを示す画像52と、予測値の信頼度が比較的低いことを通知する画像54とを含む。
【0192】
画像54は、端末30Aの通知領域(いわゆるステータスバー)に表示されるアイコンの画像である。画像54を視認したユーザは、当該画像に対応する通知を閲覧する操作を端末30Aに対して行うことが想定され、その操作により、例えば画像53(
図18参照)が表示される。
【0193】
図19に示される画像を提示されたユーザは、終了タイミングの予測値と、その予測値の信頼度が比較的低いこととを把握することができる。
【0194】
以降において、予測値の信頼度の閾値の調整について説明する。予測値の信頼度の閾値は、原則として、上記の通り閾値決定部15により算出されるが、閾値決定部15により算出された閾値がユーザによる指定に応じて調整されることが可能である。ユーザによる指定を受けるための画像と、ユーザによる指示に応じた調整とについて説明する。
【0195】
図20は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0196】
図20に示される画像は、提示システム1が表示する、ユーザによる閾値の指定をうけるための画像である。
【0197】
図20に示される画像は、メッセージを含む画像61と、閾値の指定を受けるための画像62とを含んでいる。
【0198】
画像61は、閾値の調整のための指定を受けるためのメッセージを含んでいる。メッセージは、「再計算の感度調整」という文字列と、その感度の調整の説明としての「乾燥の残り時間を再計算する感度を調整します。」という文字列と、調整することの効果の説明としての「感度を高くするほど再計算する頻度が高くなり、通知が多くなります。」という文字列を含んでいる。
【0199】
画像62は、スライダー63とハンドル64とを含む。スライダー63は、右端が比較的高い閾値に対応しており、左端が比較的低い閾値に対応している。ユーザは、ハンドル64をスライダー63に沿って左右に操作することで、閾値の指定をすることができる。
【0200】
なお、閾値の指定は、閾値決定部15が算出した閾値を所定値分だけ高くする、または、低くするというように、閾値決定部15が算出した閾値を基準とする相対的な指定であってもよい。また、閾値の指定は、閾値決定部15が算出した閾値によらずに、予め定められた値に設定するというように、絶対的な指定であってもよい。
【0201】
図20に示される画像を提示されたユーザは、再計算の感度の調整がどのようなことでありどのような効果を有するのかを理解するとともに、感度の調整の指定を行うことができる。
【0202】
図21は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0203】
図21に示される画像は、提示システム1が表示する、ユーザによる閾値の指定をうけるための画像である。
【0204】
図21に示される画像は、メッセージを含む画像71と、閾値の指定を受けるための画像72とを含んでいる。
【0205】
画像71は、閾値の調整のための指定を受けるためのメッセージを含んでいる。メッセージは、「精度低下通知の頻度調整」という文字列と、その頻度をユーザへの問いかけとしての「乾燥の残り時間についての通知はどれくらい受け取りたいですか?」という文字列を含んでいる。
【0206】
画像72は、スライダー73とハンドル74とを含む。スライダー73は、右端が、通知を受け取る頻度を比較的高くすること(「多く受け取りたい」)に対応しており、左端が、通知を受け取る頻度を比較的低くすること(「あまり受け取りたくない」)に対応している。またスライダー73は、1~5の5段階での指定を受ける。ユーザは、ハンドル74をスライダー73に沿って左右に操作することで、通知の頻度を調整することができる。
【0207】
なお、閾値の指定は、
図20における場合と同様に、相対的な指定であってもよいし、絶対的な指定であってもよい。
【0208】
図21に示される画像を提示されたユーザは、通知を受け取りたい頻度の指定を行うことができる。
【0209】
図22は、本実施の形態における提示システム1が表示する画像の例を示す説明図である。
【0210】
図22に示される画像は、提示システム1が表示する、ユーザによる通知の評価を受けるための画像である。
【0211】
図22に示される画像は、メッセージを含む画像81と、通知の評価を受けるための画像82とを含んでいる。
【0212】
画像81は、通知の評価(より具体的には、通知の量についての評価)のための指定を受けるためのメッセージを含んでいる。メッセージは、「通知の評価をお願いします」という文字列と、その評価のユーザへの問いかけとしての「乾燥の残り時間の通知は適切ですか?」という文字列と、評価を指定することの効果の説明としての「AIが学習して適切な通知にします。」という文字列を含んでいる。
【0213】
画像82は、スライダー83とハンドル84とを含む。スライダー83は、右端が、通知の量がユーザの想定より少ないこと(「少なすぎる」)に対応しており、左端が、通知の量がユーザの想定より多いこと(「多すぎる」)に対応している。またスライダー83は、5段階での指定を受ける。ユーザは、ハンドル84をスライダー83に沿って左右に操作することで、通知の評価をすることができる。
【0214】
なお、閾値の指定は、
図20における場合と同様に、相対的な指定であってもよいし、絶対的な指定であってもよい。
【0215】
図22に示される画像を提示されたユーザは、通知の評価を行うことができる。
【0216】
なお、提示システム1におけるサーバ10が備える機能部の一部または全部が、乾燥機20Aまたは端末30Aに備えられていてもよい。
【0217】
(実施の形態の変形例1)
本変形例において、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示する提示方法および提示システムについて、上記実施の形態とは異なる形態を説明する。
【0218】
図23は、本変形例における提示システム1Dの構成を示す模式図である。
【0219】
図23に示されるように、提示システム1Dは、サーバ10Dと、乾燥機20Aと、端末30Dとを備える。
【0220】
サーバ10Dは、実施の形態1におけるサーバ10に代えて用いられるサーバである。サーバ10Dは、通信部11と訓練部12とを備える。サーバ10Dが備える通信部11と訓練部12とは、実施の形態1におけるサーバ10が備えるものと同じである。
【0221】
乾燥機20Aは、実施の形態1における乾燥機20Aと同様である。
【0222】
端末30Dは、実施の形態1における端末30Aに代えて用いられる端末である。端末30Dは、通信部31と、制御部32と、表示部33と、予測部34と、信頼度算出部35と、閾値決定部36と、表示制御部37とを備える。
【0223】
通信部31と、制御部32と、表示部33とは、実施の形態1における端末30Aが備えるものに同じである。
【0224】
また、予測部34と、信頼度算出部35と、閾値決定部36と、表示制御部37とは、それぞれ、実施の形態におけるサーバ10が備える予測部13と、信頼度算出部14と、閾値決定部15と、表示制御部16とに同じである。
【0225】
なお、乾燥機または端末は任意の台数であってよい。また、乾燥機と端末との台数が異なってもよい。
【0226】
本変形例における提示システム1Dは、実施の形態における提示システム1の予測部13と、信頼度算出部14と、閾値決定部15と、表示制御部16との機能が、サーバから端末に移動したものであると言える。
【0227】
このようにすることで、予測モデルを用いた予測値の算出、信頼度および閾値の算出、および、表示制御を端末30Dが行うことになり、サーバ10Dの処理負荷を低減できる効果がある。
【0228】
(実施の形態の変形例2)
本変形例において、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示する提示方法および提示システムについて、上記実施の形態とは異なる形態を説明する。
【0229】
図24は、本変形例における提示システム1Eの構成を示す模式図である。
【0230】
図24に示されるように、提示システム1Eは、乾燥機20Aと、端末30Dとを備える。提示システム1Eは、サーバを備えない。
【0231】
乾燥機20Aは、実施の形態1における乾燥機20Aと同様である。
【0232】
端末30Eは、実施の形態1における端末30Aに代えて用いられる端末である。端末30Eは、通信部31と、制御部32と、表示部33と、予測部34と、信頼度算出部35と、閾値決定部36と、表示制御部37と、訓練部38とを備える。
【0233】
通信部31と、制御部32と、表示部33とは、実施の形態1における端末30Aが備えるものに同じである。
【0234】
また、予測部34と、信頼度算出部35と、閾値決定部36と、表示制御部37と、訓練部38とは、それぞれ、実施の形態におけるサーバ10が備える予測部13と、信頼度算出部14と、閾値決定部15と、表示制御部16と、訓練部12とに同じである。
【0235】
なお、乾燥機または端末は任意の台数であってよい。また、乾燥機と端末との台数が異なってもよい。
【0236】
本変形例における提示システム1Eは、実施の形態における提示システム1の訓練部12と、予測部13と、信頼度算出部14と、閾値決定部15と、表示制御部16との機能が、サーバから端末に移動したものであると言える。
【0237】
このようにすることで、予測モデルの訓練、予測モデルを用いた予測値の算出、信頼度および閾値の算出、および、表示制御を端末30Dが行うことになり、サーバ10を不要とすることができる効果がある。
【0238】
以上のように、上記実施の形態または上記変形例の提示方法は、機械学習モデルを用いて機器のパラメータ値から、機器が処理を終了するタイミングの予測値を提示するときに、その予測値の信頼度が比較的低い場合に通知をする。信頼度は、その予測値が妥当である度合い、言い換えれば、その予測値が信頼できる度合いを示している。ユーザは、提示された終了タイミングの予測値を視認し、さらに通知がなされた場合にはその予測値の信頼度が比較的低いことを把握することができる。このように、上記提示方法は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0239】
また、上記提示方法は、第一値または第二値が所定値以下であるという条件を用いて、より容易に、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を決定する。よって、上記提示方法は、信頼度の閾値を容易に決定することを通じて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0240】
また、上記提示方法は、第一値または第二値が最小値をとるという条件を用いて、より容易に、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を決定する。よって、上記提示方法は、信頼度の閾値を容易に決定することを通じて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0241】
また、上記提示方法は、表示画面に表示した予測値の表示態様を変更することによって通知を行う。ユーザは、予測値の表示態様の変更を視認することで、容易に、その予測値の信頼度が比較的低いことを把握することができる。よって、上記提示方法は、表示態様の変更によって信頼度の低下を通知することを通じて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0242】
また、上記提示方法は、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を、ユーザから受け付けた指示に基づいて調整するので、上記指示に応じた量または頻度で通知を行うことができる。ユーザは、上記指示に応じた量または頻度で通知を受けることができる。よって、上記提示方法は、適切な量または頻度の通知を用いて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0243】
また、上記提示方法は、終了タイミングの予測値の信頼度の判定に用いられる閾値を、ユーザから受け付けた指示に基づいて設定するので、上記指示に応じた量または頻度で通知を行うことができる。ユーザは、上記指示に応じた量または頻度で通知を受けることができる。よって、上記提示方法は、適切な量または頻度の通知を用いて、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0244】
また、上記提示方法は、パラメータ値を取得するセンサの精度に応じて容易に信頼度を取得する。よって、上記提示方法は、機器が処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0245】
また、上記提示方法は、乾燥機が洗濯物を乾燥させる処理を終了するタイミングを適切に提示することができる。
【0246】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0247】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記実装を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0248】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0249】
本開示は、機器の処理の終了タイミングを予測するシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0250】
1、1D、1E 提示システム
10、10D サーバ
11、21、31 通信部
12、38 訓練部
13、34 予測部
14、35 信頼度算出部
15、36 閾値決定部
16、37 表示制御部
20A、20B、20C 乾燥機
22 処理部
23、33 表示部
30A、30B、30C、30D、30E 端末
32 制御部
51、51A、51B、51C、51D、52、52A、52B、52C、52D、53、54、61、62、71、72、81、82 画像
63、73、83 スライダー
64、74、84 ハンドル
N ネットワーク