(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】認識マーク検出装置および認識マーク検出方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H05K13/04 M
(21)【出願番号】P 2020100810
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝上 大輔
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-284887(JP,A)
【文献】特開2008-159890(JP,A)
【文献】特開2002-076697(JP,A)
【文献】特開平10-261898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に付与された複数の認識マークを検出する認識マーク検出装置であって、
第1の認識マークの位置を含む第1の認識エリアを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記第1の認識エリア内から前記第1の認識マークを検出する認識マーク検出部と、
前記認識マーク検出部により検出された前記第1の認識マークの検出位置に基づいて、前記第1の認識マークとは異なる第2の認識マークの位置を含み、前記第1の認識エリアよりも小さい第2の認識エリアの位置の情報を補正する認識エリア補正部と、を備え、
前記撮像部は、前記認識エリア補正部によって補正された補正後の第2の認識エリアを撮像し、
前記認識マーク検出部は、撮像された前記補正後の第2の認識エリア内から前記第2の認識マークを検出した場合、検出された前記第2の認識マークの位置を出力
し、
前記基板の前記第2の認識マークの付近に第1のランドと第2のランドと第3のランドと第4のランドが配置され、前記第1のランドと前記第2のランドは、第1の方向に沿って配置され、前記第3のランドと前記第4のランドは、前記第1の方向に沿って配置され、前記第1のランドと前記第3のランドは前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置され、前記第2のランドと前記第4のランドは、前記第2の方向に沿って配置され、
前記第2の認識マークの前記第1の方向における位置は、前記第1のランドと前記第2のランドの間であり、前記第2の認識マークの前記第2の方向における位置は、前記第1のランドと前記第3のランドの間であり、
前記第2の認識エリアは、前記第1の方向と前記第2の方向に辺を有する矩形状であり、前記第2の認識エリアの前記第1の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第2のランドとの距離よりも短く、前記第2の認識エリアの前記第2の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第3のランドとの距離よりも短い、
認識マーク検出装置。
【請求項2】
前記認識エリア補正部は、前記認識マーク検出部により検出された前記第1の認識マークの位置と前記第1の認識エリアの中心位置とのずれ量に基づいて、前記第2の認識エリアの位置の情報を補正する、
請求項1
に記載の認識マーク検出装置。
【請求項3】
前記認識マーク検出部は、前記第1の認識エリア内から前記第1の認識マークを検出できない場合、前記第1の認識マークを検出できない旨の報知情報を生成して出力する、
請求項1
に記載の認識マーク検出装置。
【請求項4】
前記認識マーク検出部は、前記第2の認識エリア内から前記第2の認識マークを検出できない場合、前記第2の認識マークを検出できない旨の報知情報を生成して出力する、
請求項1
に記載の認識マーク検出装置。
【請求項5】
前記第2の認識エリアの四辺のそれぞれは、前記第2の認識マークの最大幅の1.5倍以上の長さを有する、
請求項1に記載の認識マーク検出装置。
【請求項6】
基板の表面に付与された複数の認識マークを検出する認識マーク検出方法であって、
第1の認識マークの位置を含む第1の認識エリアを撮像し、
撮像された前記第1の認識エリア内から前記第1の認識マークを検出し、
検出された前記第1の認識マークの検出位置に基づいて、前記第1の認識マークとは異なる第2の認識マークの位置を含み、前記第1の認識エリアよりも小さい第2の認識エリアの位置の情報を補正し、
補正された補正後の第2の認識エリアを撮像して、撮像された前記補正後の第2の認識エリア内から前記第2の認識マークを検出した場合、検出された前記第2の認識マークの位置を出力
し、
前記基板の前記第2の認識マークの付近に第1のランドと第2のランドと第3のランドと第4のランドが配置され、前記第1のランドと前記第2のランドは、第1の方向に沿って配置され、前記第3のランドと前記第4のランドは、前記第1の方向に沿って配置され、前記第1のランドと前記第3のランドは、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置され、前記第2のランドと前記第4のランドは前記第2の方向に沿って配置され、
前記第2の認識マークの前記第1の方向における位置は、前記第1のランドと前記第2のランドの間であり、前記第2の認識マークの前記第2の方向における位置は、前記第1のランドと前記第3のランドの間であり、
前記第2の認識エリアは、前記第1の方向と前記第2の方向に辺を有する矩形状であり、前記第2の認識エリアの前記第1の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第2のランドとの距離よりも短く、前記第2の認識エリアの前記第2の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第3のランドとの距離よりも短い、
認識マーク検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認識マーク検出装置および認識マーク検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、撮像装置によって得られた画像データから、固定された回路基板の表面に設けられた複数の基準マークを検出する基準マーク位置検出装置が開示されている。基準マーク位置検出装置は、回路基板の表面の複数の基準マークの各々が存在することが予定される各々の位置を含んで設定された複数の設定領域の各々を撮像装置に撮像させて画像データを取得し、得られた画像データを処理して複数の設定領域の各々において1以上の認識マークの位置データを取得する。基準マーク位置検出装置は、複数の設定領域の各々における1以上の認識マークの位置データと、複数の基準マークの正規の位置に関するデータとに基づいて、複数の設定領域のうちの認識マークが複数存在する1以上の特定領域において、その1以上の特定領域における基準マークを選出する。特許文献1では、試験または過去のデータから得られる基準マークの実際の位置と、基準マークの正規の位置とのずれ量に基づいて、基準マークごとの設定領域の大きさを設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、複数の基準マークのそれぞれの設定領域が複数の認識マークを含むような大きさに設定されるため、設定領域内に認識マークの他に認識マークの候補(例えば、ランドなど)が映り込み、誤った基準マークを選出する可能性があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、基板上に付与された複数の認識マークをより的確に検出できる認識マーク検出装置および認識マーク検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、基板の表面に付与された複数の認識マークを検出する認識マーク検出装置であって、第1の認識マークの位置を含む第1の認識エリアを撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された前記第1の認識エリア内から前記第1の認識マークを検出する認識マーク検出部と、前記認識マーク検出部により検出された前記第1の認識マークの検出位置に基づいて、前記第1の認識マークとは異なる第2の認識マークの位置を含み、前記第1の認識エリアよりも小さい第2の認識エリアの位置の情報を補正する認識エリア補正部と、を備え、前記撮像部は、前記認識エリア補正部によって補正された補正後の第2の認識エリアを撮像し、前記認識マーク検出部は、撮像された前記補正後の第2の認識エリア内から前記第2の認識マークを検出した場合、検出された前記第2の認識マークの位置を出力し、前記基板の前記第2の認識マークの付近に第1のランドと第2のランドと第3のランドと第4のランドが配置され、前記第1のランドと前記第2のランドは、第1の方向に沿って配置され、前記第3のランドと前記第4のランドは、前記第1の方向に沿って配置され、前記第1のランドと前記第3のランドは前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置され、前記第2のランドと前記第4のランドは、前記第2の方向に沿って配置され、前記第2の認識マークの前記第1の方向における位置は、前記第1のランドと前記第2のランドの間であり、前記第2の認識マークの前記第2の方向における位置は、前記第1のランドと前記第3のランドの間であり、前記第2の認識エリアは、前記第1の方向と前記第2の方向に辺を有する矩形状であり、前記第2の認識エリアの前記第1の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第2のランドとの距離よりも短く、前記第2の認識エリアの前記第2の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第3のランドとの距離よりも短い、認識マーク検出装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、基板の表面に付与された複数の認識マークを検出する認識マーク検出方法であって、第1の認識マークの位置を含む第1の認識エリアを撮像し、撮像された前記第1の認識エリア内から前記第1の認識マークを検出し、検出された前記第1の認識マークの検出位置に基づいて、前記第1の認識マークとは異なる第2の認識マークの位置を含み、前記第1の認識エリアよりも小さい第2の認識エリアの位置の情報を補正し、補正された補正後の第2の認識エリアを撮像して、撮像された前記補正後の第2の認識エリア内から前記第2の認識マークを検出した場合、検出された前記第2の認識マークの位置を出力し、前記基板の前記第2の認識マークの付近に第1のランドと第2のランドと第3のランドと第4のランドが配置され、前記第1のランドと前記第2のランドは、第1の方向に沿って配置され、前記第3のランドと前記第4のランドは、前記第1の方向に沿って配置され、前記第1のランドと前記第3のランドは、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置され、前記第2のランドと前記第4のランドは前記第2の方向に沿って配置され、前記第2の認識マークの前記第1の方向における位置は、前記第1のランドと前記第2のランドの間であり、前記第2の認識マークの前記第2の方向における位置は、前記第1のランドと前記第3のランドの間であり、前記第2の認識エリアは、前記第1の方向と前記第2の方向に辺を有する矩形状であり、前記第2の認識エリアの前記第1の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第2のランドとの距離よりも短く、前記第2の認識エリアの前記第2の方向の辺の長さは、前記第1のランドと前記第3のランドとの距離よりも短い、認識マーク検出方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、基板上に付与された複数の認識マークをより的確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施の形態に係る部品実装装置を上から見た図
【
図3】
図2に示す部品実装装置のA-A断面線における基台から部品供給部までの断面を示した図
【
図4】部品実装装置の制御部の機能的構成を例示するブロック図
【
図5】基板に付与された複数の認識マークのそれぞれの検出例を説明する図
【
図6】第1の認識マークの位置ずれ量の算出例を示す図
【
図7】
図5に示す第2の認識エリアの一例を説明する図
【
図8】実施の形態に係る部品実装装置における複数の認識マークのそれぞれの認識手順例を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る認識マーク検出装置および認識マーク検出方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、実施の形態に係る部品実装ラインL1を説明する図である。なお、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれは、同様の構成を有するため、以下の説明では部品実装ラインL1について説明する。なお、
図1では部品実装ラインが3本の例を示すが、1本、2本または4本以上であってよい。
【0012】
通信ネットワーク2は、管理コンピュータ3と、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれとの間をデータ通信可能に接続する。なお、
図1の例において通信ネットワーク2は、有線通信可能に接続される例を示すが、無線通信可能であってもよい。ここでいう無線通信は、例えば無線LAN(Local Area NetWork)、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの無線通信規格に準じて提供される通信方式である。
【0013】
管理コンピュータ3は、例えばPC(Personal Computer)、タブレット等であって、通信ネットワーク2を介して複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれ(つまり、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれを構成する各部品実装用装置のそれぞれ)との間で通信可能に接続される。また、管理コンピュータ3は、ユーザ操作を受け付け可能なユーザインターフェース(例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド、ポインティングデバイスなど)を備え、ユーザ操作に基づく入力を制御信号に変換する。
【0014】
なお、ここでいう各部品実装用装置は、半田印刷装置M1、印刷検査装置M2、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれ、実装検査装置M7、およびリフロー装置M8である。
【0015】
管理コンピュータ3は、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれを構成する各部品実装用装置により実行される半田印刷工程と、印刷検査工程と、部品実装工程と、を含む生産工程を統括して制御する。例えば、管理コンピュータ3は、作業者により予め入力あるいは設定された生産工程に関する生産データと、生産工程を実行させる実行指令を生成して、これらの生産工程を実行する部品実装ラインに送信する。
【0016】
なお、ここでいう生産データは、部品実装装置による部品実装工程の実行に用いられる各部品実装用装置の設定データ、生産される基板の生産データ、および基板に実装される各部品の生産データを含み、次の生産工程を実行する各部品実装用装置を制御するために必要なデータである。
【0017】
部品実装ラインL1は、部品実装用装置としての半田印刷装置M1と、印刷検査装置M2と、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれと、実装検査装置M7と、リフロー装置M8と、を含んで構成される。部品実装ラインL1を構成するこれらの各部品実装装置は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3との間でデータ通信可能に接続され、管理コンピュータ3から送信された生産工程の実行指令に基づく制御を実行する。
【0018】
なお、実施の形態に係る部品実装システムにおける部品実装ラインL1は、半田印刷装置M1と、印刷検査装置M2と、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれと、実装検査装置M7と、リフロー装置M8と、を含んで構成される例を示すが、少なくとも1つの部品実装装置を含んで構成されていればよい。
【0019】
半田印刷装置M1は、管理コンピュータ3から送信された基板Bの半田のデータ(例えば、半田の印刷パターンなど)に基づいて、部品実装ラインL1の上流側(
図2に示す半田印刷装置M1の左側)から搬入された基板Bにマスクを介して半田を印刷する半田印刷工程を実行する。半田印刷装置M1は、半田印刷後の基板Bを印刷検査装置M2に搬出する。
【0020】
印刷検査装置M2は、管理コンピュータ3から送信された基板Bの半田のデータ(例えば、半田の印刷パターンなど)に基づいて、半田印刷装置M1から搬入された基板Bに印刷された半田の状態を検査する印刷検査工程を実行する。印刷検査装置M2は、搬入された基板Bを撮像するカメラを備え、カメラによって撮像された撮像画像を用いて半田の状態(つまり、半田の印刷不良の有無)を検査する。印刷検査装置M2は、印刷検査装置M2におけるメモリ(不図示)に基板Bの半田の印刷検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板Bを部品実装装置M3に搬出する。
【0021】
複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータ3から送信された実行指令に基づいて、印刷検査装置M2から搬入された基板Bに1以上の部品を実装する部品実装工程を実行する。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M3~M6が4台の構成に限定されず、例えば部品実装装置M3~M6が1~3台であっても5台以上であってもよい。
【0022】
複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータ3から送信された基板Bの生産データに基づいて、吸着ノズルを制御し、部品実装装置に取り付けられた部品供給台車が備えるテープフィーダから部品を吸着して取り出す。複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、吸着ノズルにより吸着された部品を基板B上の所定位置に搬送して、実装する。複数の部品実装装置M3~M5のそれぞれは、連結された次の部品実装装置に部品実装後の基板Bを搬出する。また、部品実装装置M6は、部品実装後の基板Bを実装検査装置M7に搬出する。
【0023】
実装検査装置M7は、管理コンピュータ3から送信された基板Bの生産データに基づいて、部品実装装置M6から搬入された基板Bに実装された部品の状態(例えば、部品の実装位置不良の有無など)を検査する実装検査工程を実行する。実装検査装置M7は、搬入された基板Bを撮像する基板認識カメラ14を備え、基板認識カメラ14によって撮像された撮像画像を用いて実装された部品の状態を検査する。実装検査装置M7は、実装検査装置M7におけるメモリ(不図示)に基板Bの部品実装検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板Bをリフロー装置M8に搬出する。
【0024】
リフロー装置M8は、管理コンピュータ3から送信された基板Bのリフローデータ(例えば、基板Bを搬送するコンベアの搬送速度、加熱温度など)に基づいて、実装検査装置M7から搬入された基板Bの電極部分と実装された1以上の部品とを接合するリフロー工程を実行する。リフロー装置M8は、装置内に搬入された基板Bをベルトコンベアで搬送しながら加熱し、基板B上の半田を硬化させ、基板Bの電極部分と実装された1以上の部品とを接合する。リフロー装置M8は、部品実装ラインL1の下流側(
図2に示すリフロー装置M8の右側)にリフロー後の基板Bを搬出する。
【0025】
次に、
図2および
図3を参照して、部品実装装置M3~M6の構成について説明する。なお、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、同様の構成を有し、ここでは部品実装装置M3について説明する。
図2は、実施の形態に係る部品実装装置M3を上から見た図である。また、
図3は、
図2に示す部品実装装置M3のA-A断面線における基台6から部品供給部8bまでの断面を示した図である。
【0026】
なお、実施の形態に係る部品実装装置M3~M6のそれぞれは、基板Bを搬送する一対の基板搬送機構7の両側方に複数の部品供給部8a,8bのそれぞれを備えるが、片側のみに備えてもよい。さらに、実施の形態に係る部品実装装置M3は、1つの基板を搬送可能なシングルレーンの構成を有する例を示すが、2つの基板のそれぞれを同時に搬送可能なデュアルレーンの構成を有してもよい。なお、他の部品実装装置M4~M6も同様に、シングルレーンであってもよいしデュアルレーンであってもよい。
【0027】
さらに、
図2および
図3に示す実施の形態に係る部品実装装置M3は、基板Bに実装される基板実装用の部品を供給する方法として、部品が収納されたキャリヤテープ15を使用する例について説明する。しかし、部品を供給する方法は、キャリヤテープ15に限定されず、例えば部品が収納されたパレットを使用してもよいし、キャリヤテープ15とパレットとを併用してもよい。なお、部品実装装置M3は、キャリヤテープ15を使用する場合には、部品供給部8a,8bにテープフィーダを含む構成となり、パレットを使用する場合には、部品供給部8a,8bにトレイフィーダを含む構成となる。
【0028】
図2に示す部品実装装置M3は、基台6と、基板搬送機構7と、複数の部品供給部8a,8bのそれぞれと、Y軸ビーム10と、X軸ビーム11と、実装ヘッド12と、部品認識カメラ13と、基板認識カメラ14と、1以上のキャリヤテープ15と、複数のリール16のそれぞれと、を含んで構成される。
図2に示す部品実装装置M3は、連接された印刷検査装置M2から基板Bが搬入され、搬入された基板Bを基台6上の所定の基板搬送位置まで搬送した状態を示す。
【0029】
基台6は、基台6の中央位置に基板Bを搬送するための基板搬送機構7が設けられる。基板搬送機構7は、連接された印刷検査装置M2(部品実装装置M4~M6の場合は、連接された部品実装装置)から搬入された基板Bを、基台6上の所定の基板搬送位置まで搬送し、保持する。また、基板搬送機構7は、連接された次の部品実装装置M4(部品実装装置M6の場合は、連接された実装検査装置M7)に部品実装後の基板Bを搬出する。
【0030】
複数の部品供給部8a,8bのそれぞれは、基板搬送機構7の両側方に備えられ、基板Bに実装される複数の部品が収納されたキャリヤテープ15を挿入可能な複数のテープフィーダのそれぞれを備える。具体的に、部品供給部8aは、基板搬送機構7に対してY方向に備えられ、複数のテープフィーダ8a1,8a2,…,8anのそれぞれを備える。部品供給部8bは、基板搬送機構7に対して-Y方向に備えられ、複数のテープフィーダ8b1,8b2,…,8bnのそれぞれを備える。なお、実施の形態に係る部品実装装置M3において、テープフィーダは、1つのキャリヤテープ15を挿入可能なシングルフィーダの例を示すが、2つのキャリヤテープ15を挿入可能なダブルフィーダであってもよい。つまり、部品実装装置M3は、シングルフィーダとダブルフィーダとを任意に装着可能な部品供給部により構成されてよい。また、部品実装装置M3は、基板搬送機構7のいずれか一方にのみ部品供給部を備える構成であってよい。
【0031】
ここで、複数の部品供給部8a,8bのそれぞれは、テープフィーダを取り付け可能なスロット(不図示)を備える。複数のスロットのそれぞれには、スロット位置を特定可能なスロットアドレスが設定される。なお、複数の部品供給部8a,8bのそれぞれがトレイフィーダを備える場合にも同様に、各パレットを収納可能なスロットのそれぞれには、スロット位置を特定可能なスロットアドレスが設定される。
【0032】
複数の部品供給部8a,8bのそれぞれは、キャリヤテープ15に収納された部品をピッチ送りして、実装ヘッド12によって部品が吸着されて取り出される部品吸着位置まで送る。なお、部品供給部8a,8bがトレイフィーダを備える場合には、マガジン内の複数のスロットのそれぞれに収納されたパレットを、マガジン内から基台6上の所定の部品実装位置まで搬送する。
【0033】
また、複数の部品供給部8a,8bのそれぞれには、台車5が結合される。台車5の上部のフィーダベース5aには、複数のテープフィーダのそれぞれがX方向に並んで挿入される。台車5は、複数のキャリヤテープのそれぞれを巻回収納するリール16を保持する。
図3に示すテープフィーダ8bmに挿入されたキャリヤテープ15は、テープフィーダ8bmに内蔵されるテープ送り機構(不図示)により一定間隔でピッチ送りされる。なお、
図3に示す部品供給部8bは、テープフィーダ8bmに基板への実装対象となる部品を収納したキャリヤテープ15を取り付け、吸着ノズル12bによる部品取り出し位置までこのキャリヤテープに収納された部品をピッチ送りする機能を有する例を示す。
【0034】
複数のY軸ビーム10のそれぞれは、Y方向,-Y方向に移動自在なリニア駆動機構を備え、基台6の上面におけるX方向の一端側の端部に、Y方向に沿って配設される。また、複数のX軸ビーム11のそれぞれは、対応するY軸ビーム10にX方向に沿って結合され、X方向,-X方向に移動自在なリニア駆動機構を備える。
【0035】
さらに、複数のX軸ビーム11のそれぞれは、実装ヘッド12および基板認識カメラ14を備える。実装ヘッド12の下端部には、部品Dを吸着して保持し、個別に昇降可能な吸着ノズル12bが取り付けられる。
【0036】
部品実装装置M3は、部品認識カメラ13による部品Dの認識結果と、基板認識カメラ14による基板認識結果とに基づいて、部品Dの実装位置を補正し、実装ヘッド12による部品Dの実装動作を実行する。
【0037】
複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、部品供給部8aと基板搬送機構7との間、および部品供給部8bと基板搬送機構7との間に備えられ、部品Dを保持した実装ヘッド12が部品認識カメラ13の上方(つまり撮像領域内)を通過するタイミングで部品Dを撮像する。複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、撮像された撮像画像を、部品実装装置M3における制御部30に送信する。
【0038】
制御部30は、撮像された撮像画像に基づいて、部品Dの保持姿勢あるいは部品Dに印字された文字・図形などを認識する。制御部30は、メモリ(不図示)に記憶された部品Dの生産データに基づいて、部品Dの保持姿勢あるいは部品Dに印字された文字・図形などを判定する。制御部30は、判定結果に基づいて、部品Dの異常を検知したり、実装ヘッド12の回転角度およびX方向またはY方向における駆動量を補正したりする。
【0039】
撮像部の一例としての複数の基板認識カメラ14のそれぞれは、実装ヘッド12の結合プレート11bに取り付けられ、X軸ビーム11の下面側に備えられる。複数の基板認識カメラ14のそれぞれは、取り付けられた実装ヘッド12と一体に移動し、部品供給部8aと基板搬送機構7との間、および部品供給部8bと基板搬送機構7との間に備えられ、基板搬送機構7に位置決めされた基板Bの上方に移動する。複数の基板認識カメラ14のそれぞれは、部品実装装置M3における記憶部32に記憶された基板Bの生産データに基づいて、第1の認識エリアから順に複数の認識エリアのそれぞれを撮像する。複数の基板認識カメラ14のそれぞれは、撮像された撮像画像を、部品実装装置M3における撮像処理部36に送信する。
【0040】
撮像処理部36は、撮像された撮像画像に基づいて、基板Bに設けられた複数の認識マークのそれぞれの位置を計測する。撮像処理部36は、計測された複数の認識マークのそれぞれの位置と基板の生産データに含まれる複数の認識マークのそれぞれの位置とのずれ量を算出して、制御部30に出力する。制御部30は、撮像処理部36によって算出された位置ずれ量に基づいて、基板B上に部品Dを実装する実装ヘッド12のX方向またはY方向における駆動量を補正する。
【0041】
次に、
図4を参照して、実施の形態に係る部品実装装置M3の制御部30の機能について説明する。
図4は、部品実装装置M3の制御部30の機能的構成を例示するブロック図である。なお、
図4の説明において、部品実装装置M3~M6のそれぞれは、同一の制御部30の機能的構成を有し、ここでは部品実装装置M3について説明する。
【0042】
部品実装装置M3の制御部30は、例えばCPU(Central Processing unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、記憶部32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部30は、記憶部32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。ここでいう各部は、例えば機構駆動部31および撮像処理部36などである。制御部30は、これら各部により、基板Bに付与された複数の認識マークのそれぞれを認識する機能、複数の認識マークのそれぞれの位置を計測する機能、基板に付与された複数の認識マークのそれぞれの位置に基づいて、部品実装位置補正を補正する機能等を実行する。
【0043】
制御部30は、部品実装装置M3に基板Bが搬入されると、管理コンピュータ3から送信された基板Bの生産データを参照し、基板Bに付与された認識マークの個数と、各認識マークの位置情報と、各認識マークの位置情報に対応する認識エリアの位置情報(つまり、矩形状を有する複数の認識エリアのそれぞれの四隅の位置(座標)情報)とを取得する。制御部30は、取得された基板Bに付与された認識マークの個数と、各認識マークの位置情報と、複数の認識エリアのそれぞれの位置情報と、各認識マークのそれぞれを認識する認識順番の情報とを機構駆動部31に出力する。
【0044】
機構駆動部31は、制御部30から出力された認識順番の情報に基づいて、認識すべき認識マークに対応する認識エリアを撮像可能な位置に実装ヘッド12を移動させるための駆動制御を実行する。具体的に、機構駆動部31は、基板認識カメラ14が撮像する認識エリアまたは認識マークの位置情報に基づいて、現在のY軸ビーム10およびX軸ビーム11の位置から基板認識カメラ14が認識エリアの領域を撮像可能な位置までのY軸ビーム10の駆動量およびX軸ビーム11の駆動量を含む駆動制御指令(信号)を生成し、部品実装機構20に送信する。なお、ここでいう部品実装機構20は、基板Bに部品Dを実装するための機構であって、Y軸ビーム10と、X軸ビーム11と、実装ヘッド12とを含んで構成される。
【0045】
機構駆動部31は、撮像処理部36から出力された次に認識される認識マークに対応し、前に認識された認識マークの位置ずれ量に基づく補正後の認識エリアの位置情報を取得する。機構駆動部31は、補正後の認識エリアの位置情報に基づいて、実装ヘッド12を移動させるための駆動制御を実行する。
【0046】
機構駆動部31は、基板Bに付与されたすべての認識マークの認識処理を実行した後、撮像処理部36から出力された複数の認識マークのそれぞれの位置ずれ量(つまり、基板Bの位置ずれ量)に基づいて、基板B上に実装される複数の部品のそれぞれの部品実装位置を補正して実装させる制御指令を生成する。機構駆動部31は、複数の部品供給部8a,8bのそれぞれが備えるテープ送り機構(不図示)と、部品実装機構20とに生成された制御指令を送信する。
【0047】
なお、機構駆動部31は、認識マーク検出部37から出力された複数の認識マークのそれぞれの位置ずれ量に基づいて、基板Bの基板搬送位置の位置ずれ量を算出してもよい。機構駆動部31は、算出された基板Bの位置ずれ量が事前に作業者により設定された所定の閾値以上であると判定した場合には、基板Bの位置ずれ量を基板搬送機構7に送信する。基板搬送機構7は、基板Bの位置ずれ量に基づいて、基板BをX方向または-X方向に移動(搬送)して、基板Bの搬送位置を調整する。このような場合、機構駆動部31は、基板Bに付与された複数の認識マークのそれぞれの位置に基づいて、基板Bの位置ずれ量を再算出させる制御指令を撮像処理部36に出力する。
【0048】
記憶部32は、例えば制御部30の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、制御部30の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、制御部30により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部30の動作を規定するプログラムが書き込まれている。記憶部32は、実装データ33と、認識マーク位置情報34と、認識エリア情報35とを記憶する。
【0049】
実装データ33は、作業者により選択された次の生産工程で生産される生産対象としての1以上の基板(以降、「生産対象基板」と表記)に実装される複数の部品のそれぞれについて、各部品実装装置M3~M6のそれぞれが備える部品供給部ごとの部品配置データである。部品配置データは、部品供給部のそれぞれを識別可能な識別情報と、部品供給部が備えるスロットの情報と、配置されるキャリヤテープ(部品)の情報とを含む。
【0050】
認識マーク位置情報34は、生産対象基板ごとに付与された複数の認識マークのそれぞれの位置情報である。認識マーク位置情報34は、生産対象基板のそれぞれを識別可能な識別情報と対応付けられ、記憶される。なお、認識マーク位置情報34が示す認識マークの位置は、認識マークに対応する認識エリアの中心位置(座標)を示す。
【0051】
認識エリア情報35は、生産対象基板ごとに付与された複数の認識マークのそれぞれに対応する認識エリアの位置情報であり、矩形状を有する認識エリアの四隅の位置(座標)情報である。
【0052】
撮像処理部36は、基板認識カメラ14により撮像された撮像画像を画像処理し、認識マークの認識および認識マークの位置を計測する。撮像処理部36は、認識マーク検出部37を含んで構成される。
【0053】
認識マーク検出部37は、認識マーク位置情報34および認識エリア情報35を参照し、第1の認識マークMK1の位置情報と第1の認識マークMK1を検出するための第1の認識エリアAR1の位置情報とを取得する。認識マーク検出部37は、基板認識カメラ14によって撮像された第1の撮像画像のうち第1の認識エリアAR1内を画像処理し、第1の認識エリアAR1に対応する第1の認識マークMK1の検出を実行する。また、撮像処理部36は、検出された第1の認識マークMK1の位置と認識マーク位置情報34に記憶された第1の認識マークMK1の位置(つまり、第1の認識エリアAR1の中心位置AR10)情報との位置の差分に基づいて、第1の認識マークMK1の位置ずれ量を算出する。撮像処理部36は、算出された第1の認識マークMK1の位置ずれ量を機構駆動部31に出力する。
【0054】
なお、認識マーク検出部37は、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1が検出できないと判定した場合、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1が検出できない旨を報知するエラー情報を生成して、部品実装装置M3が備えるモニタ(不図示)に出力する。なお、生成されたエラー情報は、管理コンピュータ3に送信され、管理コンピュータ3が備えるモニタ(不図示)に表示されてもよい。
【0055】
認識マーク検出部37は、記憶部32に記憶された認識マーク位置情報34を参照して、次に認識される第2の認識マークMK2に対応する第2の認識エリアAR2の位置情報を取得する。認識マーク検出部37は、算出された第1の認識マークMK1の位置ずれ量に基づいて、次に認識される第2の認識マークMK2に対応する第2の認識エリアAR2の位置情報を補正する。認識マーク検出部37は、補正後の第2の認識エリアAR2の位置情報を機構駆動部31に出力する。
【0056】
認識マーク検出部37は、基板認識カメラ14によって撮像された第2の撮像画像のうち第2の認識エリアAR2内を画像処理し、第2の認識エリアAR2に対応する第2の認識マークMK2の検出を実行する。また、撮像処理部36は、検出された第2の認識マークMK2の位置を計測し、機構駆動部31に出力する。
【0057】
なお、撮像処理部36は、検出された第2の認識マークMK2の位置と認識マーク位置情報34に記憶された第2の認識マークMK2の位置(つまり、第2の認識エリアAR2の中心位置)情報との位置の差分に基づいて、第2の認識マークMK2の位置ずれ量を算出し、算出された第2の認識マークMK2の位置ずれ量を機構駆動部31に出力してもよい。
【0058】
なお、認識マーク検出部37は、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2が検出できないと判定した場合、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2が検出できない旨を報知するエラー情報を生成して、部品実装装置M3が備えるモニタ(不図示)に出力する。なお、生成されたエラー情報は、管理コンピュータ3に送信され、管理コンピュータ3が備えるモニタ(不図示)に表示されてもよい。
【0059】
なお、上述の説明では、基板Bに付与された認識マークの個数が2個の場合について説明したが、例えば基板Bに付与された認識マークの個数は、2個に限定されず3個以上であってよい。例えば、基板Bに付与された認識マークの個数n個(n:3以上の整数)以上の場合、制御部30は、第k(k:1以上の整数)の認識マークの位置ずれ量に基づいて、第(k+1)の認識エリアの位置情報を補正する処理を実行する。認識エリアの位置情報を補正する処理は、第nの認識マークおよび第nの認識エリアの位置情報を補正するまで繰り返し実行される。制御部30は、補正後の第nの認識エリアの位置情報に基づいて、第nの認識マークを検出するとともに第nの認識マーク位置を計測し、計測された第nの認識マークの位置情報を機構駆動部31に出力する。
【0060】
次に、
図5および
図7を参照して、基板Bに付与された認識マークおよび認識エリアについて説明する。
図5は、基板Bに付与された複数の認識マークのそれぞれの検出例を説明する図である。
図7は、
図5に示す第2の認識エリアAR2の一例を説明する図である。なお、
図5および
図7において基板B1に2個の認識マークが付与された例について説明するが、認識マークの個数はこれに限定されないことは言うまでもない。また、
図5および
図7において基板B1は、矩形状(長方形)に形成される例を示すが、矩形状に限定されなくてもよいことは言うまでもない。
【0061】
図5に示す基板B1は、複数のランドBLのそれぞれと、第1の認識マークMK1と、第2の認識マークMK2と、を有する。
【0062】
第1の認識マークMK1を検出するための画像処理を実行する領域としての第1の認識エリアAR1の位置情報は、作業者操作により事前に設定され、管理コンピュータ3から送信された生産データに含まれる。
図5に示す第1の認識エリアAR1は、座標PS1(X1,Y1),座標PS2(X2,Y2),座標PS3(X3,Y3),座標PS4(X4,Y4)によって囲まれた矩形状の領域であって、X方向に横幅W1、Y方向に縦幅H1の大きさを有する領域である。認識エリア情報35に記憶された第1の認識エリアAR1の位置情報は、座標PS1~座標PS4の座標(つまり位置)情報である。
【0063】
ここで、
図6を参照して、認識マーク検出部37による第1の認識マークMK1の位置ずれ量の算出例について説明する。
図6は、第1の認識マークMK1の位置ずれ量の算出例を示す図である。
【0064】
認識マーク検出部37は、認識マーク位置情報34および認識エリア情報35を参照し、第1の認識マークMK1の位置情報と第1の認識マークMK1を検出するための第1の認識エリアAR1の位置情報とを取得する。
【0065】
認識マーク検出部37は、基板認識カメラ14によって撮像された第1の撮像画像のうち第1の認識エリアAR1内を画像処理し、第1の認識エリアAR1に対応する第1の認識マークMK1の検出を実行する。また、撮像処理部36は、検出された第1の認識マークMK1の位置MK10と、認識マーク位置情報34に記憶された第1の認識マークMK1の位置(つまり、第1の認識エリアAR1の中心位置AR10であって、座標(X10,Y10)の位置)情報との差分DFに基づいて、第1の認識マークMK1の位置ずれ量を算出する。
【0066】
例えば、
図6に示す例において検出された第1の認識マークMK1の位置MK10は、座標(X9,Y9)である。このような場合、認識マーク検出部37は、第1の認識エリアAR1の中心位置AR10(つまり、座標(X10,Y10))から第1の認識マークMK1の位置MK10(つまり、座標(X9,Y9))との間の差分DFに基づいて、X方向の位置ずれ量αとY方向の位置ずれ量βとを算出する。認識マーク検出部37は、算出された第1の認識マークMK1のX方向の位置ずれ量αとY方向の位置ずれ量βとを機構駆動部31に出力する。
【0067】
認識マーク検出部37は、記憶部32に記憶された認識マーク位置情報34を参照して、次に認識される第2の認識マークMK2の位置情報と、第2の認識マークMK2に対応する第2の認識エリアAR2の位置情報とを取得する。認識マーク検出部37は、算出された第1の認識マークMK1のX方向の位置ずれ量αとY方向の位置ずれ量βとに基づいて、次に認識される第2の認識マークMK2に対応する第2の認識エリアAR2の位置情報(つまり、座標PS5~PS8の位置)を補正する。認識マーク検出部37は、補正後の第2の認識エリアAR2の位置情報(つまり、座標PS5(X5+α,Y5+β)、座標PS6(X6+α,Y6+β)、座標PS7(X7+α,Y7+β)および座標PS8(X8+α,Y8+β))を機構駆動部31に出力する。
【0068】
第2の認識マークMK2を検出するための画像処理を実行する領域としての第2の認識エリアAR2の位置情報は、作業者操作により事前に設定され、管理コンピュータ3から送信された生産データに含まれる。
図7に示す第2の認識エリアAR2は、座標PS5(X5,Y5),座標PS6(X6,Y6),座標PS7(X7,Y7),座標PS8(X8,Y8)によって囲まれた矩形状の領域であって、X方向に横幅W2、Y方向に縦幅H2の大きさを有する領域である。認識エリア情報35に記憶された第2の認識エリアAR2の位置情報は、複数の座標PS5~PS8のそれぞれの座標(つまり位置)情報である。
【0069】
第2の認識エリアAR2の領域は、第1の認識エリアAR1より小さくなるように設定される。具体的に、第2の認識エリアAR2は、横幅W2<横幅W1かつ縦幅H2<縦幅H1である。また、第2の認識エリアAR2の横幅W2は、第2の認識マークMK2のX方向における直径H3より大きくなるように設定される。第2の認識エリアAR2の縦幅H2は、第2の認識マークMK2のY方向における直径H3より大きくなるように設定される。
【0070】
なお、
図5および
図7に示す第1の認識マークMK1および第2の認識マークMK2は、楕円形状の例を示すが、これに限定されない。第1の認識マークMK1および第2の認識マークMK2は、例えば、円形状、矩形状、鍵形状等の他の形状であってもよい。このような場合、第2の認識エリアAR2の横幅W2は、第2の認識マークMK2のX方向において最大となる横幅よりも大きくなるように(例えば1.5倍以上)設定される。また、第2の認識エリアAR2の縦幅H2は、第2の認識マークMK2のY方向において最大となる縦幅よりも大きくなるように(例えば1.5倍以上)設定される。
【0071】
さらに、第2の認識エリアAR2の横幅W2および縦幅H2は、第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランドBLのそれぞれのランド間距離に基づく値(幅)が設定されてよい。例えば、
図7に示す例では、複数のランドBL1,BL2,BL3,BL4のそれぞれが配置される。複数のランドBL1~BL4のそれぞれは、第2の認識マークMK2の付近に、均等な間隔で配置される。つまり、複数のランドBL1~BL4のそれぞれのランド間距離は、X方向においてランド間距離W4、Y方向においてランド間距離H4である。このような場合、第2の認識エリアAR2の領域は、第1の認識エリアAR1の縦幅H1およびランド間距離H4よりも小さく、かつ第2の認識マークMK2のY方向の直径H3よりも大きい縦幅H2と、第1の認識エリアAR1の横幅W1およびX方向のランド間距離W4よりも小さく、かつ第2の認識マークMK2のX方向の直径W3よりも大きい横幅W2と、が設定される。
【0072】
なお、第2の認識マークMK2の付近に配置される複数のランドのそれぞれは、均等に配置されなくてもよいことは言うまでもない。このような場合、第2の認識エリアAR2の領域は、第2の認識マークMK2の付近に配置される複数のランドBL1~BL4のそれぞれのX方向のランド間距離W4、およびY方向のランド間距離H4よりも小さくなるように設定されてもよい。
【0073】
これにより、実施の形態に係る部品実装装置は、第2の認識エリアAR2の領域内への第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランドBL1~BL4のそれぞれの映り込みをより抑制できる。よって、実施の形態に係る部品実装装置は、第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランドBL1~BL4のそれぞれを第2の認識マークMK2であると誤認識する可能性を低減できる。
【0074】
なお、第2の認識エリアAR2は、第2の認識エリアAR2内にランドBLが映り込まないようにするため、横幅W2が複数のランドBLのそれぞれのX方向のランド間距離W4より小さく、あるいは縦幅H2が複数のランドBLのそれぞれのY方向のランド間距離H4より小さいことが望ましいが、これに限定されなくてもよい。
【0075】
次に、
図8を参照して、複数の部品実装装置M3~M6の制御部により実行される複数の認識マークのそれぞれの認識手順について説明する。
図8は、実施の形態に係る部品実装装置における複数の認識マークのそれぞれの認識手順例を説明するフローチャートである。なお、
図8では部品実装装置M3により実行され、複数の認識マークとしての第1の認識マークMK1および第2の認識マークMK2のそれぞれを認識する認識手順例について説明するが、他の部品実装装置M4~M6のそれぞれでも同様の認識手順により複数の認識マークのそれぞれの認識処理が実行されるため説明を省略する。
【0076】
部品実装装置M3は、上流側の印刷検査装置M2から基板Bが搬出されると、基板搬送機構7により所定の基板搬送位置まで基板Bを搬送する。部品実装装置M3は、記憶部32に記憶された認識マーク位置情報34を参照して、基板Bに付与された第1の認識マークMK1および第2の認識マークMK2のそれぞれの位置情報を取得し、認識エリア情報35を参照して、第1の認識エリアAR1および第2の認識エリアAR2の位置情報を取得する。
【0077】
部品実装装置M3は、取得された第1の認識エリアAR1の位置情報に基づいて、第1の認識エリアAR1上に実装ヘッド12を駆動させ、基板認識カメラ14により第1の認識エリアAR1を撮像する(St10)。
【0078】
部品実装装置M3は、基板認識カメラ14により撮像された第1の撮像画像のうち第1の認識エリアAR1内を画像処理し、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1の検出を実行する(St11)。
【0079】
部品実装装置M3は、ステップSt11の処理により、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1が検出されたか否かを判定する(St12)。
【0080】
部品実装装置M3は、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1が検出されたと判定した場合(St12,YES)、第1の認識マークMK1の位置が第1の認識エリアAR1の中心位置であるか否かを判定する(St13)。
【0081】
一方、部品実装装置M3は、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1が検出されないと判定した場合(St12,NO)、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1が検出できない旨のエラー情報を生成し、部品実装装置M3が備えるモニタ(不図示)に出力する(St14)。また、部品実装装置M3は、管理コンピュータ3にエラー情報を送信してもよい。
【0082】
部品実装装置M3は、ステップSt13の処理により、第1の認識マークMK1の位置が第1の認識エリアAR1の中心位置でないと判定した場合(St13,NO)、第1の認識エリアAR1の中心位置と第1の認識マークMK1の位置との差分に基づく位置ずれ量(具体的に、X方向の位置ずれ量およびY方向の位置ずれ量)を算出し、算出された位置ずれ量に基づいて、第2の認識エリアAR2の位置情報を補正する(St15)。
【0083】
部品実装装置M3は、補正後の第2の認識エリアAR2の位置情報に基づいて、補正後の第2の認識エリアAR2上に実装ヘッド12を駆動させ、基板認識カメラ14に補正後の第2の認識エリアAR2を撮像させる(St16)。
【0084】
一方、部品実装装置M3は、ステップSt13の処理により、第1の認識マークMK1の位置が第1の認識エリアAR1の中心位置であると判定した場合(St13,YES)、認識エリア情報35に記憶された第2の認識エリアAR2の位置情報に基づいて、第2の認識エリアAR2上に実装ヘッド12を駆動させ、基板認識カメラ14により第2の認識エリアAR2を撮像する(St16)。
【0085】
部品実装装置M3は、基板認識カメラ14により撮像された撮像画像のうち第2の認識エリアAR2内を画像処理し、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2の検出を実行する(St17)。
【0086】
部品実装装置M3は、ステップSt17の処理により、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2が検出されたか否かを判定する(St18)。
【0087】
部品実装装置M3は、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2が検出されたと判定した場合(St18,YES)、第2の認識マークMK2の位置を計測する(St19)。
【0088】
一方、部品実装装置M3は、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2が検出されないと判定した場合(St18,NO)、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2が検出できない旨のエラー情報を生成し、部品実装装置M3が備えるモニタ(不図示)に出力する(St14)。また、部品実装装置M3は、管理コンピュータ3にエラー情報を送信してもよい。
【0089】
以上により、実施の形態に係る部品実装装置は、基板B,B1の表面に付与された複数の認識マークを検出する認識マーク検出装置の一例であって、第1の認識マークMK1の位置を含む第1の認識エリアAR1を撮像する基板認識カメラ14と、基板認識カメラ14により撮像された第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1を検出する認識マーク検出部37と、認識マーク検出部37により検出された第1の認識マークMK1の検出位置に基づいて、第1の認識マークMK1とは異なる第2の認識マークMK2の位置を含み、第1の認識エリアAR1よりも小さい第2の認識エリアAR2の位置の情報を補正する認識マーク検出部37(認識エリア補正部の一例)と、を備える。基板認識カメラ14は、認識マーク検出部37によって補正された補正後の第2の認識エリアAR2を撮像する。また、認識マーク検出部37は、撮像された補正後の第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2を検出した場合、検出された第2の認識マークMK2の位置を出力する。
【0090】
これにより、実施の形態に係る部品実装装置は、第1の認識マークMK1の位置ずれ量に基づいて、第2の認識エリアAR2の位置の情報を補正でき、基板B,B1の表面に付与された複数の認識マークのそれぞれをより的確に検出できるとともに、第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランドBL1~BL4のそれぞれなどを第2の認識マークMK2であると誤認識する可能性を低減できる。
【0091】
また、実施の形態に係る部品実装装置における認識マーク検出部37は、検出された第1の認識マークMK1の位置と第1の認識エリアAR1の中心位置AR10との位置ずれ量に基づいて、第2の認識エリアAR2の位置の情報を補正する。これにより、実施の形態に係る部品実装装置は、検出された第1の認識マークMK1の位置と第1の認識エリアAR1の中心位置AR10との位置ずれ量に基づいて、第2の認識エリアAR2の位置の情報を補正でき、基板B,B1の表面に付与された複数の認識マークのそれぞれをより的確に検出できるとともに、第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランドBL1~BL4のそれぞれなどを第2の認識マークMK2であると誤認識する可能性を低減できる。
【0092】
また、実施の形態に係る部品実装装置における認識マーク検出部37は、第1の認識エリアAR1内から第1の認識マークMK1を検出できない場合、第1の認識マークMK1を検出できない旨の報知情報(つまり、エラー情報)を生成して出力する。これにより、実施の形態に係る部品実装装置は、作業者に基板B,B1の不良(例えば、第1の認識マークMK1が付与されていない、第1の認識マークMK1が付与されるべき位置がずれているなど)をより早く報知でき、生産ライン全体の生産効率の低下をより抑制できる。
【0093】
また、実施の形態に係る部品実装装置における認識マーク検出部37は、第2の認識エリアAR2内から第2の認識マークMK2を検出できない場合、第2の認識マークMK2を検出できない旨の報知情報(つまり、エラー情報)を生成して出力する。これにより、実施の形態に係る部品実装装置は、作業者に基板B,B1の不良(例えば、第2の認識マークMK2が付与されていない、第2の認識マークMK2が付与されるべき位置がずれているなど)をより早く報知でき、生産ライン全体の生産効率の低下をより抑制できる。
【0094】
また、実施の形態に係る認識マーク検出部37により認識される第2の認識エリアAR2は矩形状であって、第2の認識エリアAR2の四辺のそれぞれは、第2の認識マークMK2の最大幅の1.5倍以上の長さを有する。これにより、実施の形態に係る部品実装装置は、第2の認識エリアAR2の領域内への第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランド(例えば、
図7に示す複数のランドBL1~BL4のそれぞれ)の映り込みをより抑制できる。よって、実施の形態に係る部品実装装置は、第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランドBL1~BL4のそれぞれを第2の認識マークMK2であると誤認識する可能性を低減できる。
【0095】
また、実施の形態に係る認識マーク検出部37により認識される第2の認識エリアAR2は矩形状であって、第2の認識エリアAR2の四辺のそれぞれは、基板B,B1に配置された複数のランドBL間の最小ランド間距離以下の長さを有する。これにより、実施の形態に係る第2の認識エリアAR2の領域内への第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランド(例えば、
図7に示す複数のランドBL1~BL4のそれぞれ)の映り込みをより抑制できる。よって、実施の形態に係る部品実装装置は、第2の認識マークMK2の付近に配置された複数のランドBL1~BL4のそれぞれを第2の認識マークMK2であると誤認識する可能性を低減できる。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、基板上に付与された複数の認識マークをより的確に検出できる認識マーク検出装置および認識マーク検出方法として有用である。
【符号の説明】
【0098】
14 基板認識カメラ
30 制御部
31 機構駆動部
32 記憶部
34 認識マーク位置情報
35 認識エリア情報
36 撮像処理部
37 認識マーク検出部
AR1 第1の認識エリア
AR2 第2の認識エリア
B,B1 基板
M3,M4,M5,M6 部品実装装置
MK1 第1の認識マーク
MK2 第2の認識マーク