(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】鶏搬送容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20240517BHJP
B65D 1/38 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65D85/50 310
B65D1/38
(21)【出願番号】P 2020043044
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】春日 一輝
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-025402(JP,U)
【文献】特開平09-182539(JP,A)
【文献】実開昭49-075867(JP,U)
【文献】登録実用新案第3005056(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 1/00- 1/48
A01K 31/00-31/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鶏を搬送するための鶏搬送容器であり、
底部には、その外縁部又はコーナー部に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記外縁部又は前記コーナー部に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器であって、
前記底部の前記外縁部には、前記コーナー部へ向けて傾斜する第2の前記ガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器。
【請求項2】
前記底部のうち前記外縁部を除く部分には、全体的に、前記外縁部に向けて傾斜する第1の前記ガイド傾斜部が設けられている請求項1に記載の鶏搬送容器。
【請求項3】
鶏を搬送するための鶏搬送容器であり、
底部には、その外縁部又はコーナー部に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記外縁部又は前記コーナー部に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器であって、
前記コーナー部に向けて直線状に延びる第3の前記ガイド傾斜部と、
前記第3のガイド傾斜部に向けて傾斜する第4の前記ガイド傾斜部と、を備える鶏搬送容器。
【請求項4】
鶏を搬送するための鶏搬送容器であって、
底部は、上底と下底との間に鶏卵収容空間を有する二重底構造をなし、
前記上底の外縁部又はコーナー部には、前記上底上から前記鶏卵収容空間に鶏卵を受け入れるための連通部が設けられ、
前記上底の上面には、前記連通部に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記連通部に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器。
【請求項5】
鶏を搬送するための鶏搬送容器であって、
底部には、
外縁部より内側を隆起させた隆起底壁と、
前記外縁部に設けられ、前記隆起底壁の外縁から下方へ延びる溝内側壁と、鶏搬送容器の側壁との間に形成され、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を受容可能な環状溝と、が設けられ、
前記隆起底壁には、前記環状溝に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記環状溝に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器。
【請求項6】
前記底部のコーナー部における前記環状溝の溝深さは5cm以上である請求項5に記載の鶏搬送容器。
【請求項7】
鶏を搬送するための蓋付きの鶏搬送容器であって、
底部には、
外縁部
全周に
延び、外縁部より内側を隆起させた隆起底壁の外縁から下方へ延びる溝内側壁と、鶏搬送容器の側壁との間に形成され、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を受容可能な
環状溝部と、
前記隆起底壁に設けられ、前記
環状溝部に向かって下るように傾斜し、前記鶏卵を前記
環状溝部に案内するガイド傾斜部と、
複数の底貫通孔が形成された第1領域と、
底貫通孔が形成されていない第2領域と、が設けられ、
蓋には、蓋付きの鶏搬送容器同士を段積みしたときに、上側の蓋付きの鶏搬送容器における前記底部の前記第2領域と対向する領域に、蓋貫通孔が形成され、前記第1領域と対向する領域には、蓋貫通孔が形成されていない蓋付きの鶏搬送容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鶏搬送容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鶏を搬送するための鶏搬送容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の鶏搬送容器においては、収容された鶏が鶏卵を産んでしまった場合に、鶏がその鶏卵を踏んでしまい、鶏卵が割れてしまうという問題があった。これに対して、鶏卵が割れてしまうことが抑制される鶏搬送容器の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、鶏を搬送するための鶏搬送容器であり、底部には、その外縁部又はコーナー部に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記外縁部又は前記コーナー部に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器であって、前記底部の前記外縁部には、前記コーナー部へ向けて傾斜する第2の前記ガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器である。
【0006】
請求項2の発明は、前記底部のうち前記外縁部を除く部分には、全体的に、前記外縁部に向けて傾斜する第1の前記ガイド傾斜部が設けられている請求項1に記載の鶏搬送容器である。
【0008】
請求項3の発明は、鶏を搬送するための鶏搬送容器であり、底部には、その外縁部又はコーナー部に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記外縁部又は前記コーナー部に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器であって、前記コーナー部に向けて直線状に延びる第3の前記ガイド傾斜部と、前記第3のガイド傾斜部に向けて傾斜する第4の前記ガイド傾斜部と、を備える鶏搬送容器である。
請求項4の発明は、鶏を搬送するための鶏搬送容器であって、底部は、上底と下底との間に鶏卵収容空間を有する二重底構造をなし、前記上底の外縁部又はコーナー部には、前記上底上から前記鶏卵収容空間に鶏卵を受け入れるための連通部が設けられ、前記上底の上面には、前記連通部に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記連通部に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器である。
【0009】
請求項5の発明は、鶏を搬送するための鶏搬送容器であって、底部には、外縁部より内側を隆起させた隆起底壁と、前記外縁部に設けられ、前記隆起底壁の外縁から下方へ延びる溝内側壁と、鶏搬送容器の側壁との間に形成され、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を受容可能な環状溝と、が設けられ、前記隆起底壁には、前記環状溝に向かって下るように傾斜し、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を前記環状溝に案内するガイド傾斜部が設けられている鶏搬送容器である。
【0010】
請求項6の発明は、前記底部のコーナー部における前記環状溝の溝深さは5cm以上である請求項5に記載の鶏搬送容器である。
【0011】
請求項7の発明は、鶏を搬送するための蓋付きの鶏搬送容器であって、底部には、外縁部全周に延び、外縁部より内側を隆起させた隆起底壁の外縁から下方へ延びる溝内側壁と、鶏搬送容器の側壁との間に形成され、搬送中に鶏から産まれた鶏卵を受容可能な環状溝部と、前記隆起底壁に設けられ、前記環状溝部に向かって下るように傾斜し、前記鶏卵を前記環状溝部に案内するガイド傾斜部と、複数の底貫通孔が形成された第1領域と、底貫通孔が形成されていない第2領域と、が設けられ、蓋には、蓋付きの鶏搬送容器同士を段積みしたときに、上側の蓋付きの鶏搬送容器における前記底部の前記第2領域と対向する領域に、蓋貫通孔が形成され、前記第1領域と対向する領域には、蓋貫通孔が形成されていない蓋付きの鶏搬送容器である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の鶏搬送容器では、搬送中に鶏から産まれた鶏卵がガイド傾斜部により鶏搬送容器外縁部又はコーナー部に案内されるので、鶏に踏まれにくくなり、鶏卵が割れることが抑制される。また、鶏卵が外縁部の中でもコーナー部に案内されるので、より鶏に踏まれにくくなる。
【0013】
請求項2の鶏搬送容器では、底部のうち外縁部を除く部分に、全体的に、外縁部に向けて傾斜する第1のガイド傾斜部が設けられているので、鶏卵が底部上のどこで産み落とされても外縁部に案内される。
【0015】
請求項3の鶏搬送容器では、鶏卵が第4のガイド傾斜部によって第3のガイド傾斜部に案内されたのち、コーナー部に案内されるので、鶏に踏まれにくくなる。
請求項4の鶏搬送容器では、搬送中に鶏から産まれた鶏卵が、ガイド傾斜部により連通部に案内され、その連通部を通過して、鶏卵収容空間へ収容されるので、鶏に踏まれにくくなり、鶏卵が割れることが抑制される。
【0016】
請求項5の鶏搬送容器では、底部の外縁部に環状溝が形成されているので、一旦鶏卵が環状溝に受容されると、搬送中の振動などによって鶏卵が中央側へ戻ることが防がれる。
【0017】
請求項6の鶏搬送容器では、底部のコーナー部における環状溝の溝深さが5cm以上になっているので、横向きの鶏卵の全体が受容されやすくなり、より踏まれにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図18】変形例に係る鶏搬送用蓋付き容器を段積みした状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、
図1から
図9を参照して、本実施形態の鶏搬送容器10について説明する。
図1に示される鶏搬送容器10は、上面全体が開口した略直方体状をなし、
図2に示されるように、上面開口を閉塞する蓋90を取り付けられて、生きた鶏を搬送するための鶏搬送用蓋付き容器100として使用される。
【0021】
蓋90は、長方形状の主壁91の外縁に、鶏搬送容器10の上端部に嵌合する嵌合部92を有している。嵌合部92は、蓋90の主壁91の外縁から上方に起立した内側壁92Aと、その外側の外側壁92Bと、内側壁92Aと外側壁92Bとの上端同士を連絡する連絡部92Cと、を有する二重壁構造になっている。なお、嵌合部92における外側壁92Bのうち、一対の長辺部の両端寄り位置には、下方に延びた延長垂下部92B1が形成されている。嵌合部92のうち延長垂下部92B1が配されている部分には、図示しない係止爪等が形成されている。
【0022】
蓋90の主壁91には、短辺方向に延びて長辺同士を連絡する1対の梁93が備えられ、主壁91のうち1対の梁93で挟まれる部分には、長方形状の収容口94が貫通形成されている。収容口94には、収容口94の一辺に沿って延びた回動軸を中心に回動可能な回動扉95が取り付けられていて、収容口94は、この回動扉95によって開閉される。なお、蓋90の主壁91のうち1対の梁93を除く部分と、回動扉95と、は、全体的に貫通孔90Kが形成された格子状をなし、蓋90はメッシュ構造となっている。
【0023】
図1に示すように、鶏搬送容器10は、平面視長方形状の底壁11(特許請求の範囲中の「底部」に相当する)の外周部から側壁30が起立してなる。底壁11及び側壁30は略格子構造になっていて、鶏搬送容器10は籠構造となっている。側壁30は、鶏搬送容器10の下端から上端に向かうに従って縦横の開口幅が徐々に大きくなるように傾斜している。
【0024】
鶏搬送容器10の上端部には、周方向全体に亘って嵌合部32が形成されている。嵌合部32は、鶏搬送容器10の側壁30における上端部を外側に折り返してなる。具体的には、嵌合部32は、側壁30の上端部から外側水平方向に張り出した鍔壁32Aと、その鍔壁32Aの先端部から下方に垂下した折返壁32Bとを備え、これにより側壁30における上端部を外側に折り返した構造になっている。また、側壁30の外面には複数のリブ33が垂直方向に延びており、それら複数のリブ33が嵌合部32の鍔壁32A及び折返壁32Bにも繋がっている。
【0025】
嵌合部32における一対の長辺部の両端寄り位置には、蓋90の延長垂下部92B1と対応する位置に、鍔壁32Aと折返壁32Bとの角部を切り欠いた切り欠き部32Cが形成され、その内側に窪み32Dが形成されている。鶏搬送容器10に蓋90を被せると、蓋90の嵌合部92が鶏搬送容器10の嵌合部32を受容し、蓋90における梁93の下に配置された図示しない補強バーが窪み32Dに受容され、蓋90の図示しない係止爪が折返壁32Bの下端部に係止する。切り欠き部32Cは、蓋90の図示しない係止爪が下方へ向かうときのガイドとなる。
【0026】
図2及び
図3に示すように、短辺側の側壁30には、下方から指を掛けることが可能な持ち手部35が備えられている。詳細には、短辺側の側壁30の複数のリブ33のうち中央の2本の上部は、側壁30からの突出量が大きくなっていて、その2本のリブ33の上端寄り位置同士の間が、横リブ36により連絡されている。
図3に示すように、横リブ36は側壁30から水平に延びたのち下方へ屈曲していて、この横リブ36と側壁30との間が持ち手部35となっている。なお、
図2に示すように、横リブ36と嵌合部32の鍔壁32Aとの間は2本の補強リブ37により連絡されている。
【0027】
さて、
図3に示すように、本実施形態の鶏搬送容器10には、底壁11の外縁部に、その内側の底構成部12よりも下方へ陥没した環状溝20が備えられている。環状溝20は、側壁30の下端部と、底構成部12の外縁部から下方へ延びた溝内側壁25と、側壁30の下端と溝内側壁の下端とを連絡する溝底壁21と、から形成されている。
【0028】
図4に示すように、底構成部12は、平面視長方形状をなしている。そして、
図3及び
図5に示すように、底構成部12は、短辺方向の中央に、長手方向に延びた尾根部13を有し、底構成部12における尾根部13の両側は、尾根部13から短辺方向の端部に向かうにつれて下るように傾斜した底傾斜部14(特許請求の範囲中の「ガイド傾斜部」、「第1のガイド傾斜部」及び「第4のガイド傾斜部」に相当する)となっている。つまり、底構成部12は、全体的に、底壁11の外縁(長辺部)へ向けて下るように傾斜している。底傾斜部14の傾斜角は、例えば、2~8度程となっている。なお、
図3及び
図4に示すように、底壁11の底構成部12には、底壁11の長辺方向に沿って延びた長方形状の貫通孔12Kが複数形成されているが、尾根部13には貫通孔12Kが形成されていない。
【0029】
次に、環状溝20について説明する。環状溝20の幅は、全周に亘って例えば5cm以上であり、
図4に示すように、鶏卵が受容可能な大きさになっている。そして、
図5及び
図6に示すように、環状溝20の溝底壁21は、底壁11のコーナー部に向けて下るように傾斜している。詳細には、底壁11の短辺に沿って延びた短辺側の溝底壁21と、底壁11の長辺に沿って延びた長辺側の溝底壁21と、のそれぞれにおいて、溝長さ方向の中央が最も高くなっていて、その中央から両端部に向けて下るように傾斜する溝傾斜部22(特許請求の範囲中の「ガイド傾斜部」、「第2のガイド傾斜部」及び「第3のガイド傾斜部」に相当する)が形成されている。なお、短辺側の溝底壁21の中央と長辺側の溝底壁21の中央とは略同じ高さになっていて、短辺側の溝底壁21の溝傾斜部22は、長辺側の溝底壁21の溝傾斜部22よりも勾配が大きくなっている。なお、
図1及び
図4に示すように、溝底壁21には円形の貫通孔21Kが一定間隔で複数形成されている。
【0030】
図6及び
図7に示される環状溝20のコーナー部における深さXは、例えば5cm以上あり、横向きの鶏卵の全体が受容される深さになっている。また、本実施形態では、底構成部12が短辺方向の端部に向けて傾斜している(即ち、底構成部12が傾斜している)ので、環状溝20の短辺部の全体がコーナー部と同程度の深さとなっている。一方、底構成部12の長辺部は平坦になっている(長辺方向の端部に向けて傾斜していない)ので、環状溝20の長辺部においては、中央部が最も浅く、端部(即ち、環状溝20のコーナー部)に向かうにつれて深くなっている。なお、長辺部の中央部も含めて、環状溝20全体の深さが5cm以上であることが好ましいが、コーナー部が5cm以上であれば、他の部分は5cm以下であってもよい。
【0031】
なお、
図6~
図8に示すように、溝内側壁25の内側には、底構成部12から垂下した底リブ12Lが縦横に張り巡らされている。また、溝内側壁25と側壁30との間には、溝底壁21の溝傾斜部22から垂下し、溝幅方向に延びた溝リブ21Lが複数形成されている。これら底リブ12L及び溝リブ21Lの下端面は、環状溝20のコーナー部における溝底壁21の下面と面一になっている。
【0032】
本実施形態の鶏搬送容器10の構成は以上である。次に、鶏搬送容器10の作用効果について説明する。本実施形態の鶏搬送容器10は、上述したように、蓋90を取り付けて鶏搬送用蓋付き容器100として、生きた鶏を搬送するために用いられる。鶏搬送用蓋付き容器100に鶏を収容する際は、例えば、鶏搬送容器10に全ての鶏を収容した後に蓋90を取り付けてもよいし、蓋90を取り付けた状態で、回動扉95を開いて、収容口94から鶏を収容してもよい。
【0033】
ここで、搬送中に、鶏が鶏卵を産んでしまうことがあり、この鶏卵を鶏が踏んでしまうと、鶏卵が割れてしまうことが考えられる。これに対して、本実施形態の鶏搬送容器10によれば、底壁11に底傾斜部14が設けられているので、鶏卵が底壁11の外縁部に退避し、踏まれにくくなる。これにより、鶏卵が割れてしまうことが抑制される。しかも、底傾斜部14は、底構成部12の全体に設けられているので、鶏卵がどこで産み落とされても底傾斜部14により案内されて外縁部に到達する。さらに、外縁部に溝傾斜部22が設けられているので、鶏卵がコーナー部に案内され(
図9参照)、鶏により踏まれにくくなる。
【0034】
さらに、底壁11の外縁部が環状溝20となっていて、一旦鶏卵が環状溝20に受容されると、搬送中の振動などによって鶏卵が中央側(底構成部12上)へ戻ることが防がれる。また、環状溝20のコーナー部では、溝深さが5cm以上になっていて横向きの鶏卵の全体が受容されるので、より踏まれにくくなる。
【0035】
[第2実施形態]
以下、
図10から
図15を参照して、本実施形態の鶏搬送容器50について説明する。
図10に示すように、本実施形態の鶏搬送容器50は、容器本体51の底壁52上に上げ底部材60を敷設してなり、容器本体51の底壁52(特許請求の範囲中の「下底」に相当する)と上げ底部材60((より詳細には後述する上底部61が)特許請求の範囲中の「上底」に相当する)とからなる二重底70(特許請求の範囲中の「底部」に相当する)を備える。
【0036】
同図に示すように、容器本体51の底壁52は、全体が水平に延びていて、下面に底リブ53を有している。また、容器本体51の側壁54は、容器本体51の下端から上端に向かうに従って縦横の開口幅が徐々に大きくなるように傾斜している。容器本体51の側壁54と底壁52との間は湾曲部55により連絡されている。
【0037】
図11~
図13に示すように、上げ底部材60は、平面視長方形状をなし、容器本体51の底壁52(
図10参照)と対向する上底部61と、上底部61の外縁から垂下した外縁垂下壁65と、外縁垂下壁65における1対の長辺部の中央同士と1対の短辺部の中央同士とをそれぞれ連絡する中央垂下壁66と、を有している。
【0038】
上げ底部材60の上底部61は、1対の長辺部の中央同士を結ぶ第1稜線62Aと、1対の短辺部の中央同士を結ぶ第2稜線62Bと、を有している。これら第1及び第2の稜線62A,62Bは、水平に延びている。また、上底部61は、第1稜線62Aと第2稜線62Bとの交点62Cから上底部61の4隅へ向けて下るように傾斜した谷筋63(特許請求の範囲中の「ガイド傾斜部」に相当する)を4本有している。そして、上底部61のうち第1稜線62Aと谷筋63と外縁とに囲まれた領域R1(特許請求の範囲中の「ガイド傾斜部」に相当する)は、長辺方向において谷筋63に向かうにつれて下るように傾斜する一方、上底部61のうち第2稜線62Bと谷筋63と外縁とに囲まれた領域R2(特許請求の範囲中の「ガイド傾斜部」に相当する)は、短辺方向において谷筋63に向かうにつれて下るように傾斜している。これにより、上げ底部材60の上底部61全体が、谷筋63の下端部である上底部61のコーナー部に向けて傾斜した、特許請求の範囲中の「ガイド傾斜部」に相当することとなる。また、上底部61の外縁部は、コーナー部へ向けて傾斜した、特許請求の範囲中の「第2のガイド傾斜部」に相当する。また、谷筋63は特許請求の範囲中の「第3のガイド傾斜部」に相当し、各領域R1,R2は特許請求の範囲中の「第4のガイド傾斜部」に相当する。
【0039】
図12,
図14及び
図15に示すように、外縁垂下壁65の下端は、中央垂下壁66の下端よりも僅かに上方に位置していて、上げ底部材60が容器本体51に設置されると、中央垂下壁66の下端が容器本体51の底壁52に当接するとともに、外縁垂下壁65の下端が容器本体51の湾曲部55に当接し、上底部61が容器本体51の底壁52の上方に維持される。上げ底部材60における上底部61のコーナー部の高さ(中央垂下壁66の下端からの高さ)は5cm以上となっていて、上げ底部材60の上底部61と容器本体51の底壁52との間には、高さ5cm以上の鶏卵収容空間50Sが形成される。
【0040】
そして、
図11及び
図13に示すように、上げ底部材60には、コーナー部に、上底部61及び外縁垂下壁65を切り欠いた切り欠き部67が形成されている。この切り欠き67と容器本体51の側壁54とにより、上げ底部材60と鶏卵収容空間50Sとを連通する連通部50Rが形成される。連通部50R(即ち、切り欠き部67)は、例えば、縦横7cm以上の正方形状になっていて、鶏卵が通過可能な大きさになっている。
【0041】
なお、
図13に示すように、谷筋63は、上底部61の長辺部と短辺部との延長線上の交点へ向けて延びている。
【0042】
本実施形態の鶏搬送容器50によれば、上げ底部材60の上底部61上に産み落とされた鶏卵は、上底部61のコーナー部に案内され(直接コーナー部へ向かうものもあれば、まず谷筋63へ案内されてから谷筋63を通ってコーナー部へ向かうものもある)、連通部50Rを通過して鶏卵収容空間50Sへ収容されるので、鶏に踏まれにくくなり、鶏卵が割れてしまうことが抑制される。また、本実施形態によれば、既存の容器を利用することができ、コストダウンを図ることができる。
【0043】
[他の実施形態]
(1)上記第1実施形態では、環状溝20の深さ(特にコーナー部の深さ)が5cm以上であったが、それ以下であってもよい。この場合でも、鶏卵が底構成部12側へ戻りにくいため、踏まれることが防がれる。また、環状溝20が設けられていなくともよい。
【0044】
(2)上記第1実施形態において、溝傾斜部22が設けられていなくてもよい。
【0045】
(3)上記第1実施形態において、外縁部のみに鶏卵をコーナー部へ案内するガイド傾斜部が設けられ、外縁部より内側が平坦になっていてもよい(つまり、底傾斜部14がない構成であってもよい)。この場合、搬送の揺れ等により鶏卵が外縁部に案内されれば、鶏卵がコーナー部へ案内される。なお、特許請求の範囲には含まれないが、底部の外縁部に環状溝が設けられ、かつ、ガイド傾斜部がない構成であってもよい。
【0046】
(4)上記第1実施形態では、貫通孔12K,90Kが鶏搬送容器10と蓋90とに全体的に配されていたが、
図16~
図18に示すように、鶏搬送容器10と蓋90とにおいて、貫通孔12K,90Kが上下で重ならないように配されていてもよい。この場合、仮に上側の鶏搬送用蓋付き容器100内で鶏卵が割れたとしても卵液が下側の鶏搬送用蓋付き容器100内に到達しにくくなる。
【0047】
(5)上記第2実施形態において、上げ底部材60に切り欠き部67ではなく貫通孔が形成されていてもよい。この場合、その貫通孔が特許請求の範囲中の「連通部」に相当する。
【0048】
(6)上記第2実施形態において、上げ底部材60は、上底部61が容器本体51の上下方向の途中部分に維持される構成であればよく、外縁垂下壁65及び中央垂下壁66を有さず、下端に向かうに従って縦横の開口幅が徐々に小さくなるように傾斜した側壁54の途中で嵌まる構成であってもよい。この場合、容器本体51に、上げ底部材60を支持又は固定する支持部又は固定部が設けられていてもよい。
【0049】
(7)上記第2実施形態において、上げ底部材60と容器本体51とが一体になっていてもよい。
【0050】
(8)上記第2実施形態では、上げ底部材60に、対角線上に延びた谷筋63が形成されていたが、形成されていなくてもよい。例えば、外縁部に向けて傾斜したガイド傾斜部と、外縁部に設けられ、コーナー部に向けて傾斜したガイド傾斜部とが設けられた構成であってもよい。
【0051】
(9)上記第2実施形態において、連通部50Rが、外縁部のうちコーナー部以外の部分に配され、ガイド傾斜部がその連通部50Rに向けて傾斜していてもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 鶏搬送容器
11 底壁(底部)
12 底構成部
14 底傾斜部(ガイド傾斜部、第1のガイド傾斜部、第4のガイド傾斜部)
20 環状溝
21 溝底壁
22 溝傾斜部(ガイド傾斜部、第2のガイド傾斜部、第3のガイド傾斜部)
50 鶏搬送容器
50R 連通部
50S 鶏卵収容空間
51 容器本体
52 底壁
60 上げ底部材
61 上底部
63 谷筋(ガイド傾斜部、第3のガイド傾斜部)
70 二重底
R1,R2 領域(ガイド傾斜部、第4のガイド傾斜部)