(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】蚊取り線香ホルダ
(51)【国際特許分類】
A01M 1/20 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A01M1/20 U
(21)【出願番号】P 2020103616
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】596037194
【氏名又は名称】パスカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134131
【氏名又は名称】横井 知理
(74)【代理人】
【識別番号】100092738
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】北浦 一郎
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-032256(JP,U)
【文献】実開昭60-081786(JP,U)
【文献】実開平01-178380(JP,U)
【文献】実開昭48-021955(JP,U)
【文献】特開平11-032649(JP,A)
【文献】登録実用新案第3190107(JP,U)
【文献】特開2001-028996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と周壁とを有して上方開口の本体と、
前記本体の中心部に突設されて蚊取り線香を支承する頂面を有する線香支承部と、
前記線香支承部の頂面に載置された線香の上面に載置される重りとを有し、
前記重りは、前記
蚊取り線香を前記
線香支承部に保持する重さを有し、かつ、消火に際して燃焼部分を挟持可能とした蚊取り線香ホルダ。
【請求項2】
前記重りには、前記頂面に載置位置決めするための位置決め手段が設けられている請求項1記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項3】
前記位置決め手段は、前記重りから延設されてその先端部が前記周壁に着脱自在に当接する位置決めアームにより構成されている請求項2記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項4】
前記位置決め手段は、前記周壁に設けられた枢支部と、該枢支部に一端が上下回動自在に枢支されて他端が前記重りに固定されたアームとにより構成されている請求項2記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項5】
前記頂面は磁性体で形成され、該磁性体に吸着する磁石が前記重りに設けられ、
前記磁石の吸着力は、前記アームを保持して前記本体を持ち運び可能とする強さとされている請求項3又は4記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項6】
前記周壁に、携帯用ハンドルが設けられている請求項1~5の何れか一つに記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項7】
前記重りは、複数枚の蚊取り線香を保持可能な重さを有する請求項1~6の何れか一つに記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項8】
前記
線香支承部の頂面は、前記周壁の上面とほぼ同じ高さとされている請求項1~7の何れか一つに記載の蚊取り線香ホルダ。
【請求項9】
前記底部の下面には、接地安定部が設けられている請求項1~8の何れか一つに記載の蚊取り線香ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着火された蚊取り線香を保持するための蚊取り線香ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
実公昭49-33967号公報(特許文献1)に記載のものは、中空な容器本体内の中央部に突設された線香保持体の上端周側に設けた切欠部に蚊取り線香の内端部を嵌合し、この保持体の上端に螺合した止めネジで線香内端を固定するものであった。
【0003】
実開平2‐9079号公報(特許文献2)に記載のものは、蚊取り線香の中心穴に差し込む線香立てと、その線香立てから線香が抜け落ちるのを防止する当て具で構成されるものであった。
【0004】
特開平9-140312号公報(特許文献3)に記載のものは、蚊取り線香立ての蚊取り線香取付部を鰐口状のクリップにし、蚊取り線香の燃焼部分が同クリップに挟まれた部分に差しかかると,同クリップが金具で形成されていることにより,燃焼部分は熱を奪われ,蚊取り線香の火はその位置で自動的に消火されることとなるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公昭49-33967号公報
【文献】実開平2‐9079号公報
【文献】特開平9-140312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載のものは、線香の固定がねじ止め構造となっているため、構造が複雑で、取り扱いが面倒なものであった。
【0007】
特許文献2記載のものは、携帯用のものであり、線香の抜け落ち防止の当て具は、蓋により構成されるものであり、容器本体に固定される蓋が必要となり、構造が複雑になるものであった。またこの蓋式のものでは、香取線香に着火するとき、線香を手で保持してマッチ等で着火しなければならず、着火後に容器本体に収納して蓋を閉めなければならず、取り扱いが不便であった。
【0008】
特許文献3記載のものは、蚊取り線香取付部を鰐口状のクリップにしなければならず、構造が複雑であった。
【0009】
そこで、本発明は、構造が簡単で、着火が容易で、かつ簡単に消火することができる取扱容易な、着火された状態の蚊取り線香を安定的に保持するための蚊取り線香ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。すなわち、本件発明の蚊取り線香ホルダは、底部と周壁とを有して上方開口の本体と、前記本体の中心部に突設されて蚊取り線香を支承する頂面を有する線香支承部と、前記線香支承部の頂面に載置された線香の上面に載置される重りとを有し、前記重りは、前記蚊取り線香を前記線香支承部に保持する重さを有し、かつ、消火に際して燃焼部分を挟持可能としたものである。
【0011】
前記重りには、前記頂面に載置位置決めするための位置決め手段が設けられているのが好ましい。
【0012】
前記位置決め手段は、前記重りから延設されてその先端部が前記周壁に着脱自在に当接する位置決めアームにより構成されているのが好ましい。
【0013】
前記位置決め手段は、前記周壁に設けられた枢支部と、該枢支部に一端が上下回動自在に枢支されて他端が前記重りに固定されたアームとにより構成することができる。
【0014】
前記頂面は磁性体で形成され、該磁性体に吸着する磁石が前記重りに設けられ、前記磁石の吸着力は、前記アームを保持して前記本体を持ち運び可能とする強さとされているのが好ましい。
【0016】
前記周壁に、携帯用ハンドルが設けられているのが好ましい。
【0017】
前記重りは、複数枚の蚊取り線香を保持可能な重さを有するのが好ましい。
【0018】
前記線香支承部の頂面は、前記周壁の上面とほぼ同じ高さとされているのが好ましい。
【0019】
前記底部の下面には、接地安定部が設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本件発明によれば、従来のものに比べて、構造が簡単で、着火が容易で、かつ簡単に消火することができる取扱容易な安定的な保持具となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態を示す蚊取り線香ホルダの斜視図。
【
図5】本発明の他の実施の形態を示す蚊取り線香ホルダの斜視図。
【
図9】短くなった蚊取り線香の着火の容易性を示す使用の態様の斜視図。
【
図10】蚊取り線香の破片を保持した使用の態様を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1~
図4において、蚊取り線香ホルダは、本体1を有する。本体1は、底部2と底部周縁から立設された周壁3とを有して上方開口している。本体1の中心部に線香支承部4が底部2から突設されている。線香支承部4は、蚊取り線香5を支承する頂面6を有する。
【0023】
本体1の底部2は、蚊取り線香5の燃焼かすの受け皿部とされている。蚊取り線香5は渦巻き状に形成されている。
底部2の下面には、接地安定部7が設けられている。この接地安定部7はリング状のものが例示されているが、3個の突起であっても良い。
【0024】
蚊取り線香ホルダは、重り8を有する。重り8は、線香支承部4の頂面6に載置された線香5の上面に載置されるものである。重り8は、香取線香5を支承部4に保持する重さを有する。
重り8には、頂面6に載置位置決めするための位置決め手段9が設けられている。
【0025】
この位置決め手段9は、重り8から延設されてその先端部が周壁3に着脱自在に当接する位置決めアーム10により構成されている。
【0026】
頂面6は、線香5を支承するに足りるだけの小面積とされている。小面積とすることにより、線香5を最後まで燃焼させることができる。
具体的には、頂面6は直径30mmの平坦面に形成されている。線香支承部4の底部2からの高さは36mmとされ、周壁3の外周面の直径は170mmとされ、周壁3の高さは44mmとされ、接地安定部7の高さは底部下面から6mmとされている。
頂面6は、周壁3の上面とほぼ同じ高さとされている。
【0027】
重り8の下面は、頂面6と同じ直径の平坦面とされている。重り8の高さ方向の寸法は40mmとされ、重り8の上部から位置決めアーム10が突出している。アーム10は直径6mmの金属線材からL字型に成形されている。L字の一端が、前記頂面6に載置された重り8に固定され、重り8から水平状に延出して下垂して、その下垂した下端部が周壁3の外周面に接している。下端部には、当接リング11が設けられ、当接リング11が周壁3外周面に当接している。
【0028】
重り8は、複数枚の蚊取り線香5を保持可能な重さを有するものとするのが好ましい。
この重り8は、消火に際して線香5の燃焼部分を挟持可能とする(図示省略)。
【0029】
線香支承部4の頂面6は磁性体で形成され、磁性体に吸着する磁石12が重り8の下面に設けられている。
【0030】
磁石12の吸着力は、重り8が直接、頂面6に直接載置された状態において、アーム10を保持して本体1を持ち運び可能とする強さとされている。
【0031】
周壁3に、携帯用ハンドル13が設けられている。このハンドル13を保持して、本体1を持ち運びすることもできる。このハンドル13を設けた場合、重り8の磁石12は不要となる。
【0032】
なお、磁石12は、線香支承部4の頂面6に設け、重り8の下面を磁性体にしても良い。
【0033】
前記実施の形態の蚊取り線香ホルダは、
図1、2に示すように、蚊取り線香5を使用しないときは、重り8を線香支承部4の頂面6に載置する。重り8は、磁石12により支承部4に吸着されるので、重り8を紛失することがなく、また、アーム10を持つことにより、本体1を持ち運びできる。
【0034】
図3、4に示すように、蚊取り線香5の使用に際しては、重り8を取り外し、支承部4の頂面6に蚊取り線香5の中心部を載置し、その線香5の中心部の上面に重り8を載せる。この重り8を載せるとき、アーム10の先端のリング11を周壁3に当接させることで、重り8と支承部4の頂面6のセンタを位置決めできる。
【0035】
この実施の形態では、蚊取り線香5は、1本のみならず複数本を重ねて保持することができる。図示では2本の渦巻き蚊取り線香5を2枚重ねた状態で保持している。
【0036】
このような保持状態で、
図4に示すように着火器14で線香5に着火する。従来のように手で線香を保持して着火するものに比べ、着火が容易になる。
【0037】
途中で、消火したい場合、線香5の燃焼部を頂面6に載置し、その上面を重り8で押圧すれば、燃焼部を消火することができる(図示省略)。
【0038】
なお、渦巻き式蚊取り線香の中心部を重りで保持固定せずに、香取線香の中途位置で保持固定すれば、その保持位置で線香は消火する。したがって、所定時間で自動消火したい場合、燃焼で達すると予想される位置で、重りで保持しておけば、所定時間で自動消火することができるので、就寝時の使用に便利である。
【0039】
図5~
図8に示すものは、本発明の他の実施の形態である。
この実施の形態では、位置決め手段9が前記実施の形態と異なっている。
位置決め手段9は、周壁3に設けられた枢支部15と、この枢支部15に一端が上下回動自在に枢支されて他端が重りに固定されたアーム16とにより構成されている。
その他の構成は、前記の実施の形態と同じである。
【0040】
図9、
図10に示すものは、使用の態様に関わり、前記各実施の態様において、香取線香5の任意の位置を挟持保持できることを示す。どのような長さの蚊取り線香5(かなり短いものでも、半分程度の長さでも)でも安定的に固定できる。
図10は線香の破片5を保持している。
【0041】
このような短い線香5を着火しようとした場合、従来は手で持って着火していたが、この実施の形態では、重り8で挟持保持した状態で着火できるので、着火操作が容易になる。
【0042】
本発明の実施の形態によれば、渦巻き状の香取線香5の中心部を小面積の頂面6に、重り8により保持するようにしたので、最後まで無駄なく燃焼させることができる。また途中で消火したい場合、燃焼部分を頂面6と重り8で挟持することにより、簡単に消火でき、従来のような消火のための他の部材を必要としない。
【0043】
線香5の着火に際して、重り8で保持した状態で着火できるので、手で保持して着火する場合に比べ、着火が容易になる。
【0044】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。
例えば、本体は金属板をプレス加工したり、陶器で製作することができる。陶器の場合は、線香支承部の頂面に磁性体を埋め込めばよい。重りの位置決め手段は、周壁を利用して位置決めするものに限らず、線香支承部の頂面と重りの下面に、線香保持に邪魔にならない位置に、凹凸係合部を設けて位置決めするようにしたものであっても良い。
【0045】
また、
図11~
図13に示すように、位置決め手段9として、重り8から2本のアーム10を設け、周壁3の2点で接触させることにより、重り8のセンタリングを容易にしてもよい。重り8の上部の外周面に摘まみ用のローレット加工が施されている。また、アーム10と重り8は接着剤で固定されている。
【0046】
また、アーム10の下端に二股状の係合部を設け、二股状係合部を周壁の内外周面に係脱自在に係合させるようにしたものであっても良い。
さらに、リング11を磁石として周壁3に吸着させるようにしても良い。
【0047】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 本体
2 底部
3 周壁
4 線香支承部
5 蚊取り線香
6 頂面
7 接地安定部
8 重り
9 位置決め手段
10 位置決めアーム
11 当接リング
12 磁石
13 ハンドル
14 着火器
15 枢支部
16 アーム