(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】包装機およびマーク制御方法
(51)【国際特許分類】
B65B 57/02 20060101AFI20240517BHJP
B65B 41/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65B57/02 C
B65B41/00 501E
(21)【出願番号】P 2020133649
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 伸洋
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-203442(JP,A)
【文献】特開2003-128003(JP,A)
【文献】特開2004-338716(JP,A)
【文献】特開昭52-067083(JP,A)
【文献】米国特許第05388387(US,A)
【文献】特開平06-263110(JP,A)
【文献】特開2012-210983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/02
B65B 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の包装単位ごとに位置調整用のマークが設けられた長尺の包装材を搬送し、供給される物品を前記包装単位ごとに包装する包装機であって、
第一の包装材が巻き回された原反ロールと、第二の包装材が巻き回された原反ロールを保持するとともに、前記第一の包装材の後端に前記第二の包装材の先端を接合し、連続した前記包装材として供給する包装材供給手段と、
前記包装材を搬送する包装材搬送手段と、
前記包装単位ごとに前記包装材のシールとカットを施すシール手段と、
前記シール手段の上流側において前記マークを検知するセンサと、
前記マークを、基準となるマークタイミングに合わせる接合領域位相制御を少なくとも実行可能なマーク制御手段と、を有し、
前記接合領域位相制御は、
前記第一の包装材と前記第二の包装材の接合領域の開始端と終了端に基づき、
前記開始端が前記シール手段に達する前に、前記第一の包装材の最後尾のマークの位置から、対応する前記マークタイミングまでの位相差(以下、「先の位相差」という。)を計測し、
前記開始端が前記シール手段に達する際に該シール手段の動作を停止させて該接合領域を通過させ、
前記終了端に続く前記第二の包装材の位置調整の開始となるマークの位置から対応する前記マークタイミングまでの位相差が、前記先の位相差となるように前記包装材搬送手段の搬送速度を変更する制御である、
ことを特徴とする包装機。
【請求項2】
前記マークタイミングは、仮想主軸の軸周上に所定間隔で設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の包装機。
【請求項3】
前記包装材供給手段、前記前記包装材搬送手段および前記シール手段をそれぞれ作動させる複数の回転駆動機構を有し、
前記複数の回転駆動機構は、前記仮想主軸に同期して駆動可能に構成され、
前記マーク制御手段により前記複数の回転駆動機構の少なくとも一部の駆動が調整される、
ことを特徴とする請求項2に記載の包装機。
【請求項4】
前記マーク制御手段は、補正タイミング位相制御を実行可能であり、
前記補正タイミング位相制御は、前記包装材の搬送中において所定の補正タイミング毎に前記センサで検出した前記マークの位置から、対応する前記マークタイミングまでの位相差を計測し、先の前記補正タイミングの位相差を後の前記補正タイミングにおいて減少させる制御であり、
前記マーク制御手段は、
前記シール手段の上流において前記接合領域の到達を検知した場合には前記補正タイミング位相制御を停止し、前記接合領域位相制御を実行した後に該補正タイミング位相制御を再開する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装機。
【請求項5】
包装機において物品の包装単位ごとに位置調整用のマークが設けられた長尺の包装材を搬送しながら、該マークを基準となるマークタイミングに合わせる処理を少なくとも実行するマーク制御方法であって、
前記包装材は、第一の包装材の後端に第二の包装材の先端が接合されて搬送されるものであり、
前記包装材の搬送中に、前記包装機のシール手段の上流において、前記第一の包装材と前記第二の包装材の接合領域の開始端に基づき、前記第一の包装材の最後尾のマークの位置から、対応する前記マークタイミングまでの位相差(以下、「先の位相差」という。)を計測するステップと、
前記シール手段の上流において前記接合領域の終了端の到達を検知したことに基づき、該終了端に続く前記第二の包装材の位置調整の開始となるマークの位置から対応する前記マークタイミングまでの位相差が、前記先の位相差となるように前記包装材の搬送速度を変更するステップと、を有する、
ことを特徴とするマーク制御方法。
【請求項6】
前記包装材の搬送中に、所定の補正タイミング毎にセンサで検出した前記マークの位置から、対応する前記マークタイミングまでの位相差を計測し、先の前記補正タイミングの位相差を後の前記補正タイミングにおいて減少させる処理(以下、「補正タイミング位相処理」という。)を行うステップと、
前記開始端の到達に基づき前記補正タイミング位相処理を停止するステップと、
前記包装材の搬送速度を変更するステップの後に、前記補正タイミング位相処理を再開するステップと、を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のマーク制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機およびマーク制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の包装材(包装フィルムなど)を連続して供給しつつ、包装フィルムを筒状に成形して物品を収容しシールする包装機などにおいて、包装材の連続供給を可能にするために、走行中の包装フィルムと予備の包装フィルムを保持し、走行中の包装フィルムの後端に予備の包装フィルムの先端を接合するフィルム接合装置を備えたフィルム供給装置(スプライサー)が用いられている。
【0003】
フィルム接合手段装置は、走行中の包装フィルムと予備の包装フィルムの接合自体は自動で行えるものもあるが、予備の包装フィルムのセッティングは手動で行わなければならず、その作業が大変煩雑となる問題がある。
【0004】
このため、作業者がアクセスする際に邪魔になる部材などを排除することで、予備の包装フィルムのセッティングを容易にするフィルム接合装置を備えた包装機などが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば長尺(帯状)の包装材(包装フィルム)の場合、帯長手方向に、製品単位毎(物品の包装長さ毎)の所定のインターバルで包装位置調整用のマーク(レジマーク)が印刷されている場合がある。また、包装材には一般に、包装袋となった場合の表面の所定部分に、商品の説明・広告や法令上の表示のための印刷(絵柄模様)、製品単位毎に繰り返して施される。
【0007】
そしてこのような包装材の場合、包装機においては当該マーク(レジマーク)を所定のタイミングで監視し、マーク(または絵柄模様などの印刷)が包装機に設定された所定の基準から大きくずれた場合には、包装機を停止させ、使用できない包装材をカットして破棄するなどの対応が採られる。
【0008】
つまり、フィルム接合装置においては包装材をセットした後にマーク(レジマーク)も所定の位置になるように位置調整作業を行う必要がある。具体的には、一例として、予備用の包装材の先端を所定位置まで引き出し、包装材に印刷されたマークをフィルム接合手段装置(スプライサー)の基準(目盛りなど)に合わせて先端部にテープなどを張り付け、その状態で(適宜のタイミングで)走行中の包装材の後端部に貼り付け可能となるように押さえ手段で押さえるなどの作業が必要となる。
【0009】
このように、走行中の包装材(旧包装材)と予備の包装材(新包装材)の接合領域における位置調整作業(マークの位置合わせ作業)は厳密且つ複雑なものであり、当該作業が必要となる場合には依然としてフィルム接合装置のセッティングに手間がかかることに変わりはなく、また、作業者の熟練度にも影響することから、単に作業者によるアクセスが容易になったとしても、フィルム接合装置における作業の簡素化には限界があった。
【0010】
また、予備用の包装材のセットに際し、走行中の包装材の終端部分と予備用の包装材の先端部分において、印刷されたマークが一致するように、予備用の包装材の先端部分をマークに対する所定長さでカットする必要があり、作業の手間がかかりまた、包装材も無駄になる問題があった。
【0011】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、接合された包装材が供給される包装機において、包装材を搬送しつつ、包装機のシール(トップシール)手段の上流において、接合領域付近におけるマークの位置調整を行うことで、フィルム接合装置(スプライサー)のセッティング時における厳密且つ複雑な作業を不要にすることを可能にした包装機およびマーク制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、物品の包装単位ごとに位置調整用のマークが設けられた長尺の包装材を搬送し、供給される物品を前記包装単位ごとに包装する包装機であって、第一の包装材が巻き回された原反ロールと、第二の包装材が巻き回された原反ロールを保持するとともに、前記第一の包装材の後端に前記第二の包装材の先端を接合し、連続した前記包装材として供給する包装材供給手段と、前記包装材を搬送する包装材搬送手段と、前記包装単位ごとに前記包装材のシールとカットを施すシール手段と、前記シール手段の上流側において前記マークを検知するセンサと、前記マークを、基準となるマークタイミングに合わせる接合領域位相制御を少なくとも実行可能なマーク制御手段と、を有し、前記接合領域位相制御は、前記第一の包装材と前記第二の包装材の接合領域の開始端と終了端に基づき、前記開始端が前記シール手段に達する前に、前記第一の包装材の最後尾のマークの位置から、対応する前記マークタイミングまでの位相差(以下、「先の位相差」という。)を計測し、前記開始端が前記シール手段に達する際に該シール手段の動作を停止させて該接合領域を通過させ、前記終了端に続く前記第二の包装材の位置調整の開始となるマークの位置から対応する前記マークタイミングまでの位相差が、前記先の位相差となるように前記包装材搬送手段の搬送速度を変更する制御である、ことを特徴とする包装機に係るものである。
【0013】
また、本発明は、包装機において物品の包装単位ごとに位置調整用のマークが設けられた長尺の包装材を搬送しながら、該マークを基準となるマークタイミングに合わせる処理を少なくとも実行するマーク制御方法であって、前記包装材は、第一の包装材の後端に第二の包装材の先端が接合されて搬送されるものであり、前記包装材の搬送中に、前記包装機のシール手段の上流において、前記第一の包装材と前記第二の包装材の接合領域の開始端に基づき、前記第一の包装材の最後尾のマークの位置から、対応する前記マークタイミングまでの位相差(以下、「先の位相差」という。)を計測するステップと、前記シール手段の上流において前記接合領域の終了端の到達を検知したことに基づき、該終了端に続く前記第二の包装材の位置調整の開始となるマークの位置から対応する前記マークタイミングまでの位相差が、前記先の位相差となるように前記包装材の搬送速度を変更するステップと、を有する、ことを特徴とするマーク制御方法に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、接合された包装材が供給される包装機において、包装材を搬送しつつ、包装機のシール(トップシール)手段の上流において、接合領域付近におけるマークの位置調整を行うことで、フィルム接合装置(スプライサー)のセッティング時における厳密且つ複雑な作業を不要にすることを可能にした包装機およびマーク制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る包装機の概略を示す正面図である。
【
図3】本発明に係る包装機の作動機構の制御について説明する概要図である。
【
図4】本発明に係るマーク制御手段について説明する図であり(A)ブロック図、(B)マーク制御手段の処理の概念図、(C)マーク制御手段の処理の概念図である。
【
図5】本発明に係るマーク制御手段の処理の概要を示す図である。
【
図6】本発明に係る包装機の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る包装機1について詳細に説明する。
図1は、包装機1の全体の概略を示す正面図であり、
図2は、包装機1によって包装された包装体ZA1の外観を示す図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0017】
図1に示す包装機1は、一例として、物品XA1が順次供給されることに合わせて、包装材YA1が連続して供給されて筒状に製袋され、所定ピッチ(カットピッチCP)毎に包装材YA1の幅方向にシールとカットとが行われる、いわゆる横型製袋充填機(ピロー包装機)である。
【0018】
包装機1は、連続して供給される長尺の包装材YA1を搬送し、これを利用して、前工程から順次供給される物品XA1を上流から下流に向けて搬送しながら包装単位毎に包装する。
図1では、原反ロールYB1に近い側を上流とし、遠い側を下流とする。本実施形態の包装材YA1は、物品の包装単位ごとの位置を示すともに位置調整を行うためにマーク(レジマークともいう)が所定の間隔で複数、印刷等により設けられる。
【0019】
<包装機>
図1を参照して、包装機1は、物品供給装置2と、包装材供給装置3と、包装機本体4と、制御ユニット5、などを備えている。なお、包装機本体4における各種方向の定義として、帯状の包装材YA1の長手方向(後述のセンターシールが延びる方向)となる第一方向を搬送方向Tとし、長手方向に直交する包装材YA1の幅方向(後述の横シール(トップシール、エンドシール)が延びる方向)となる第二方向を搬送幅方向Wとし、包装材YA1の高さ方向(搬送方向T及び搬送幅方向Wに対して直角となる方向)となる第三方向を搬送高さ方向Hとする。
【0020】
これら包装機1の各部は、制御ユニット5によって統括的に制御される。制御ユニット5は、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0021】
物品供給装置2は、物品XA1を等間隔で搬送すると共に、当該物品XA1を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、例えば、フィンガーコンベアから構成され、搬送面上の物品XA1を押送して包装機本体4に送り出す。
【0022】
包装材供給装置3は、包装材YA1を下流の包装機本体4に連続して供給する。包装材供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ローラ9などを備えている。原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1から包装材YA1が繰り出される(引き伸ばされる)。ここで、包装材供給装置3は、複数(ここでは2個)の原反ロールYB1を保持する。2個の原反ロールのYB1の一方は例えば、走行中(搬送中)の包装材(第一の包装材)YA1が繰り出される原反ロールYB1であり、他方は、走行中(搬送中)の包装材YA1が終了した場合に継ぎ足して繰り出される包装材(第二の包装材YA1)が巻き回された予備の原反ロールYB1である。予備の原反ロールYB1は、継ぎ足された後は、走行中(搬送中)の包装材YA1が繰り出される原反ロールYB1となり、新たな予備の原反ロールYB1が保持される。
【0023】
包装材供給装置3は、走行中(搬送中)の包装材YA1(以下、「旧包装材YA1_O」という。)の後端に予備の原反ロールYB1から繰り出される予備の包装材YA1(以下、「新包装材YA1_N」という。)の先端を接合する包装材接合装置(スプライサー)7を含む。包装材接合装置7は、作業者によって予め、新包装材YA1_Nの先端部分を所定位置にセッティングし、接着テープなどの貼り付けを行っておくことで、旧包装材YA1_Oが終了した場合に、その後端に新包装材YA1_Nの先端を自動的に接合する(紙継ぎを行う)。これにより、連続した包装材送りを可能にして物品供給装置2や包装機1を停止させることなく包装動作を継続させることを可能にする装置である。旧包装材YA1_Oと新包装材YA1_Nとが包装材接合装置7によって接合された部分を以下、接合領域CNという。接合領域CNは、搬送方向Tに沿う所定の長さ(例えば、少なとも接着テープなどの幅に対応する長さ(搬送方向Tに沿う長さ))を有する領域である。
【0024】
包装材搬送手段10は、複数のローラ9(および不図示の可動ローラ)と駆動手段(不図示)を有し、ローラ9の夫々に掛け渡された包装材YA1を、その下流に向かって搬送する。
【0025】
なお、原反ロールYB1から包装材YA1を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラを別途設け、当該フィードローラを動かして包装材YA1を引き出すフィードローラ駆動式の方法を採用してもよい。また、原反駆動式とフィードローラ駆動式の両方の方法を採用してもよい。
【0026】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、包装材供給装置3から供給される包装材YA1で包装する。具体的に、包装機本体4は、例えば、製袋器14と、センターシール装置16と、第一の搬送装置17と、上部抑え装置18と、トップシール装置(エンドシール装置)30と、第二の搬送装置20と、などを備えている。
【0027】
製袋器14は、包装材供給装置3から供給される包装材YA1を、幅方向(搬送幅方向W)の両端縁が互いに重なるように筒状に製袋する。また、製袋器14は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、筒状に製袋される包装材YA1に供給する。これにより、物品XA1は、筒状に製袋された包装材YA1に包まれる。すなわち、製袋器14は、包装材YA1を搬送幅方向Wの両端縁が重ねるように曲げ、筒状に形成する製袋装置として機能する。
【0028】
製袋器14によって重ねられた包装材YA1の両端縁は、センターシール部CE1(
図2参照)の形成予定領域として、ピンチローラ15によって挟みこまれ、搬送力を付与される。センターシール装置16は、一対のバーシーラ16aで重合させた包装材YA1の両端縁を挟んで加熱する。そして、センターシール装置16は、加熱された包装材YA1の両端縁をプレスローラ16bで圧着してセンターシールし、センターシール部CE1(
図2参照)を形成する。センターシール装置16は、一対のローラ、又は複数のローラでセンターシール部を挟んで加熱する回転式のセンターシール装置でも良い。
【0029】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状の包装材YA1を、当該包装材YA1に包まれた物品XA1と共に、搬送面(符号省略)に載せてトップシール装置30に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置30のボックスモーションに合わせて、搬送面を搬送方向に伸縮させる。
【0030】
上部抑え装置18は、第一の搬送装置17の上方に配置されており、第一の搬送装置17に搬送される物品XA1を包装材YA1ごと上方から抑える。これにより、物品XA1は、水平状態を保持しながら搬送される。
【0031】
トップシール装置(シール手段、トップシール手段、横シール手段)30は、包装単位毎(物品XA1の長さに応じたカットピッチCP毎)に、包装材YA1の幅方向(搬送幅方向W、包装材YA1を横断する方向)にトップシール(エンドシール、横シール)とカットを行う。これにより、トップシール部TO1が形成されるとともに、包装体(ピロー包装体)ZA1が製造される。
【0032】
トップシール装置30は、一例として、上下一対のトップシーラ30a,30bを有するいわゆるボックスモーションタイプのもので、筒状の包装材YA1を挟んで上下に配置された一対のトップシーラ30a,30bが、互いのシール面を対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で移動し、物品の長さに応じたカットピッチCP毎に、フィルムの幅方向にトップシールとカットを行う。トップシール装置30によってシール・カットするフィルム部位(トップシール部TO1)は、前後の物品XA1の間の所定位置である。なお、トップシール装置30は、ボックスモーション以外にも、回転式、又は直線往復動式のトップシール装置であってもよい。
【0033】
また、トップシール装置30は、筒状の包装材YA1にトップシールを施す前(或いはそれと同時)に、筒状の包装材YA1のトップシールされる部位近傍の、進行方向における両側方の所定の折り込み位置を、不図示のガゼット爪にて内方に押し込んで折り込み、折り込み部を形成する。
【0034】
マークセンサ11は、トップシール装置30の上流側で、包装材YA1の搬送経路上に設けられ、包装材YA1に付されたマークを適宜検知(検出)する。
【0035】
マーク制御手段6は、例えばプログラムと関連するハードウェア(機構、装置)の協働により、包装材YA1に設けられたマークを、基準となるマークタイミング(
図4を参照して後述する)に合わせるタイミング制御を少なくとも実行可能である。一例として、マーク制御手段6は制御ユニット5に含まれる。またマーク制御手段6が実行する処理を以下、マーク制御処理という。
【0036】
第二の搬送装置20は、トップシール装置30より下流に設けられている。この第二の搬送装置20は、トップシール装置30で仕上がった包装体ZA1を、搬送面20aに載せて次工程に向けて搬送するベルトコンベアである。
【0037】
図2を参照して、本実施形態の包装体(ピロー包装体)ZA1について説明する。同図の包装体ZA1は、トップシール装置30によってトップシール部TO1のシールとカットが施され、第二の搬送装置20に移載された直後の状態である。
【0038】
同図に示すように、包装体ZA1のセンターシール部CE1は、帯状の包装材YA1の第一の方向(搬送方向Tと同じ方向)に沿う両側端縁を、包装材YA1が筒状となる
ように重合し熱シールして設けられた部位である。トップシール部TO1は、筒状の包装材YA1の第二の方向(搬送方向に交差(直交)する方向)に沿う両端開口をそれぞれ熱シールして設けられた部位である。なお、包装体ZA1の形状は一例であり、図示の形状に限らない。
【0039】
<作動機構の制御>
図3を参照して、包装機1の各作動機構の制御について説明する。各作動機構とはここでは、包装材搬送手段10、包装材供給装置3、トップシール装置30、物品供給装置2、センターシール装置16、第一の搬送装置(下部抑え装置)17、上部抑え装置18など、それぞれに回転駆動機構(例えば、モータ)を駆動源として作動させる機構をいう。なお第一の搬送装置(下部抑え装置)17および上部抑え装置18は例えば、同一駆動である。
【0040】
包装材搬送手段10は回転軸M1を有するモータにより駆動され、包装材供給装置3の原反軸8は、回転軸M1A,M1Bを有するモータにより回転する。トップシール装置30は回転軸M2を有するモータにより駆動され、物品供給装置2は回転軸M3を有するモータにより駆動される。また、センターシール装置16および上部抑え装置18もそれぞれ回転軸M4、M5を有するモータにより駆動される。
【0041】
包装機1は、仮想主軸である基準軸M0を有し、上記の各作動機構を動作させる各回転駆動機構(モータなど)の回転軸M1~M5は、基準軸M0と同期して回転可能に構成されている。すなわち、基準軸M0の仮想軸周上に一定間隔(時間間隔)でタイミングの基準となる(タイミングをとるための)指標(基準クロック)が設けられており、各作動機構のモータの回転軸M1~M5は、基準クロックに基づく所定のタイミングで回転数(回転角度)が制御されている。基準クロックは、カットピッチCP×包装機1の処理能力に基づいて演算される時間指標である。制御ユニット5(マーク制御手段6)は、基準軸M0(基準クロック)を基準に各作動機構の回転軸M1~M5を適宜調整し、各作動機構が同期して動作するよう制御を行う。
【0042】
<マーク制御手段>
次に、
図4~
図6を参照してマーク制御手段6およびそれによるマーク制御方法(マーク制御処理)について説明する。
図4は、マーク制御手段6の概要を示す図であり、同図(A)が機能ブロック図、同図(B)および同図(C)が機能の概念図である。
【0043】
本実施形態の包装材YAは、旧包装材YA1_O(第一の包装材)の後端に新包装材YA1_N(第二の包装材)の先端が接合され連続して搬送される。つまり本実施形態において搬送される長尺の包装材YA1には、旧包装材YA1_Oと接合領域CNと新包装材YA1_Nが含まれる。なお、新包装材YA1_Nは、旧包装材YA_Oに継ぎ足された後は走行中(搬送中)の包装材YA1、すなわち旧包装材YA1_Oとなるが、以下の説明では便宜上、接合領域CNより下流の(先行する)包装材YA1を旧包装材YA1_O、接合領域CNより上流の(後行の)包装材YA1を新包装材YA1_N、両者の区別が不要な場合は単に包装材YA1と称する。
【0044】
同図(A)を参照して、本実施形態のマーク制御手段(マーク制御処理)6は、少なくとも包装材搬送手段10および包装材YA1に対して、タイミング制御(タイミング処理)と、マークピッチ制御(マークピッチ処理)を実行可能である。そしてタイミング制御では、補正タイミング位相制御(処理)と、接合領域位相制御(処理)を実行可能である。
【0045】
マーク制御手段6は、包装材YA1の接合領域CNおよびその近傍(接合領域CNと少なくとも接合領域CNの前後のマーク(旧包装材YA1_Oの最後のマークMおよび新包装材YA1_Nの最初のマークM)を含む領域)に対して接合領域位相制御(
図5および
図6を参照して後述する)を行い、接合領域位相制御を行っていないタイミングでは、すなわち接合領域CNおよびその近傍を除く領域に対しては補正タイミング位相制御を行う。補正タイミング位相制御では、包装材YA1に設けられたマークMの、マークタイミングMTに対する位相差(ズレ量)を補正する。また、マークピッチ制御では、包装材YA1の実際のマークM間距離(ピッチ)と、包装機1に設定されたカットピッチCPの差を補正する。
【0046】
同図(B)は、補正タイミング位相制御について説明する図であり、基準軸M0を時間軸に沿って展開するとともに包装材YA1を併記した概要図である。同図(B)の上図が基準軸M0である。このように基準軸M0上には、均等な間隔でマークタイミングMTおよび補正タイミングCTが設定されている。マークタイミングMTは、基準軸M0上に設定された(基準軸M0の軸周上に均等な間隔(距離または時間)で仮想的に設定された)基準となる(理想の、本来あるべき)マークのタイミングである。また、補正タイミングCTは、基準軸M0上に設定された(基準軸M0の軸周上に均等な間隔(距離または時間)で仮想的に設定された)補正を実行するタイミングの最小単位であり、1サイクルとは隣り合う補正タイミングCT間の期間である。
【0047】
同図(B)の下図は、搬送される包装材YA1を示し、■は包装材YA1に付与(印刷等)されたマーク(実マーク)Mを示す。包装材YA1は搬送方向Tに搬送される。補正タイミング位相制御では、制御上のサイクルスタート点(或る補正タイミングCT)から所定時間経過後、最初にマークセンサ11で検出されたマークMの検出点までの包装材YA1の送り量L1を計測する。そして、送り量L1と、当該補正タイミングCTから直近(直後)のマークタイミングMTまでの送り量L2との差から、対象となるマークMと当該マークMに対応する(当該マークMが本来位置すべき)マークタイミングMTとの位相差(実測差)ΔLを算出し、位相差ΔLに基づきマーク補正量を算出する。マーク補正量は、位相差ΔL×マーク補正量割合[%]であり、マーク補正量割合[%]は包装機1に設定される固定値である。
【0048】
このマーク補正量(位相差ΔL)の算出は、例えば、nサイクル(例えば、n≧2)毎に計算し、補正は各サイクル毎に、包装材YA1の送り量基準値に対して行う。包装材YA1の送り量基準値とは、マークM間距離(マークピッチ)を所定回数(例えば8回)実測した平均値(同図(C)のマークピッチ(1)~(8)の平均値;平均マークピッチ)である。
【0049】
つまり、
次サイクルの包装材YA1の送り量=次サイクルの包装材YA1の送り量基準値+マーク補正量
となる。
【0050】
包装材YA1の送り量の補正は、包装材搬送手段10の搬送速度の増減速により行う。つまり、このようにすることで、複数サイクル(nサイクル)毎に計測した位相差ΔLを、その後の複数のサイクルで分散させて補正することができ、全体としてなだらかな搬送速度の制御(急な加減速を行わない制御)が可能となる。なお、位相差ΔLの計測は1サイクル毎に算出してもよい。
【0051】
このように、補正タイミング位相制御は、包装材YA1の搬送中において所定の補正タイミングCTのnサイクル毎にマークセンサMで検出した包装材YA1のマークMの位置から、対応する(本来当該マークMが存在すべき)マークタイミングMTまでの位相差ΔLを計測し、当該(先の)補正タイミング(nサイクル)における位相差ΔLを、それに続く(後の)nサイクルの補正タイミングにおいて毎回の補正タイミングに分散して減少させる制御である。
【0052】
同図(C)を参照して、マークピッチ制御について説明する。マークピッチ制御では、実際のマークM間距離(ピッチ)を計測する。すなわち、マークセンサ11で検知した或るマークM(の立ち上がり)から次のマークM(の立ち上がり)間のエンコーダー帰還パルスを高速カウンターで計測し、これを1つのマークピッチとし、過去の所定回数(例えば8個)のマークピッチ(マークピッチ(1)~(8)を平均して包装材送り量基準値を算出する。
【0053】
そして包装機1に予め設定されたカットピッチCPと包装材送り量基準値の差分を、複数サイクルに分散して各サイクル毎に補正する。すなわち例えば、包装材送り量基準値と予め設定されたカットピッチCPの比率に応じた値を、各サイクル毎の包装材送り基準値に対して補正する。これにより全体としてなだらかな(マークピッチの変動が少ない)補正が可能となる。
【0054】
なお、マークピッチ制御(処理)は行わなくてもよい。すなわち、包装材送り量(マークピッチ)の補正は行わず、ある特定の固定値(ピッチ)で包装材YA1を送るようにしてもよく、以下の実施形態では固定値を利用する場合について説明する。
【0055】
<タイミング制御/接合領域位相制御>
次に、
図5および
図6を参照して、包装材YA1の接合領域CNおよびその近傍に対して行う接合領域位相制御について説明する。
図5は主に接合領域位相制御を説明する図であり、包装機1のマークセンサ11付近からトップシール装置30付近まで搬送される包装材YA1とマークM、および接合領域CNを示す概要図である。黒塗りのマークMは旧包装材YA1_OのマークMであり、白塗りのマークMは新包装材YA1_NのマークMである。
図6は、タイミング制御によって制御される、包装材搬送手段10のモータの回転軸M1、トップシール装置30のモータの回転軸M2、および物品供給装置2のモータの回転軸M3の動作の状態を示すタイミングチャートの一例である。
【0056】
図5(A)は接合領域CNを含まない包装材YA1に対して、マーク制御手段6が補正タイミング位相制御を行っている状態である。包装材接合手段7は、旧包装材YA1_Oと新包装材YA1_Nを接合した場合、接合領域CNの開始端STと終了端ETを示す信号(接合領域信号)を制御ユニット5に対して送信し、所定の領域に設定する。具体的に、包装材接合手段7は、接合領域CNの開始端STに基づき接合領域開始信号(例えば「ON」)を制御ユニット5に送信し、接合領域CNの終了端ETに基づき制御ユニット5に接合領域終了信号(例えば、「OFF」)を送信する。制御領域信号は、例えば、制御ユニット5により所定の記憶領域に(例えばフラグなどとして)格納(設定)される。なお、例えば、包装する物品XA1(または包装材YA1)に応じて、接合領域CNの長さが所定値(一定値)に設定される場合は、接合領域終了信号(例えば、「OFF」)は、接合領域開始信号(例えば「ON」)に基づき、開始端STから、接合領域CN長さに応じた所定長さ分を送った後のタイミングなどとして自動で設定してもよい。マーク制御手段6は、設定された接合領域信号に基づき(例えば、接合領域信号に対応するフラグの値の取得などに基づき)、接合領域CNの開始端STと終了端ETの到達を把握する。
【0057】
マーク制御手段6は、トップシール装置30上流において、接合領域開始信号(例えば「ON」)に基づき開始端STの到来を把握した場合(
図5(B)、
図6のタイミングt3)、接合領域CNが存在する(詳細には、接合領域CNの開始端STが到達する)と認識し、補正タイミング位相制御を停止し、接合領域位相制御として以下の(a)~(e)の制御を少なくとも行う。
【0058】
(a)マーク制御手段6が接合領域開始信号(ON)に基づき、補正タイミング位相制御を停止した後であっても、
図5(B)に示すように旧包装材YA1_Oの後端付近の一部(後端からトップシール装置30の上流端部付近までの旧包装材YA1_O)包装機1内を搬送中であり且つ、複数個の物品XA1を包装可能である。したがって、当該旧包装材YA1_Oの後端付近の一部(終了直前旧包装材YA1_O´)については、補正タイミング位相制御を行うことなく、固定(一定)の速度で搬送しつつ(
図5(C)、
図6のタイミングt3~t6)、終了直前旧包装材YA1_O´で処理可能な複数の物品XA1の個数(残数)を管理(バッファ個数管理(後述))する。当該固定(一定)の速度とは、例えば、直近(直前)の搬送速度であり、詳細には、直前に算出した包装材送り量基準値(直前の複数個のマークピッチ平均値)に基づく搬送速度、または所定の固定値である。
【0059】
(b)マーク制御手段6は、接合領域CNの開始端STがトップシール装置30に達する前までに(
図5(C)、同図(D))、旧包装材YA1_Oの最後尾のマークM(ML)の位置から、対応するマークタイミングMTまでの位相差(以下、「先の位相差」という。)を計測し、接合領域CNの搬送方向Tに沿う長さを算出する。
【0060】
(c)接合領域CNの開始端STがトップシール装置30に達する際(旧包装材YA1_Oの最後のマークM(ML)についてのトップシール装置30による処理(シールとカット)が終了したタイミング(
図5(D)で)、該トップシール装置30の動作を停止させて接合領域CNを通過させる(
図5(E)、
図6のタイミングt4~t8)。
【0061】
(d)接合領域CNの終了端ETに続く新包装材YA1_Nの位置調整の開始となるマークM(MS)がトップシール装置30に達する前に、マークMSの位置から対応するマークタイミングMTまでの位相差が、先の位相差となるように包装材搬送手段10の搬送速度を変更し、基準軸M0に同期させる(
図5(E)、
図6のタイミングt6~t7)。
【0062】
(e)トップシール装置30を接合領域CNが通過し、包装材搬送手段10の搬送速度を変更(上記(d))した後に、補正タイミング位相制御を再開する(
図5(F)、
図6のタイミングt9)。
【0063】
以下、本実施形態のマーク制御(主にタイミング補正制御)について、時系列で説明する。なお、以下はマークピッチ制御を行わない場合の一例である。
【0064】
図5(A)を参照して、旧包装材YA1_Oを搬送中の状態では、
図6のタイミングt1~t2に示すように、各作動機構の回転軸M1~M3(不図示の回転軸M4,M5も同様)は基準軸M0と同期して駆動している。そしてこの状態では包装機1内を走行する旧包装材YA1_Oは接合領域CNを含んでいない。したがって、マークセンサ11において検知したマークMに基づき、補正タイミング位相制御(
図4(B)参照)を実行する。詳細には、補正タイミングCTのnサイクル毎に位相差ΔLを計測し、マーク補正量を算出する。その後補正タイミングCTの各サイクル毎にマーク補正量で補正を行う。より具体的に、補正タイミングCTの例えば2サイクル毎に位相差ΔLを計測し、次の補正タイミングCTの2サイクルで位相差ΔLを減少させる(例えば0にする)よう補正する。すなわち、次の2回の補正タイミングCTでそれぞれ位相差ΔLの最大50%をマーク補正量として(2回で位相差ΔLとなるように)包装材YA1の送り量基準値に合算した送り量で包装材YA1を搬送するよう包装材搬送手段10を制御する。なお、この場合2回で位相差ΔLにならなくてもよく、2回で位相差ΔLの80%、90%などとなる補正であってもよい(マーク補正量割合[%]により適宜調整できる)。
【0065】
図5(B)は、接合領域CNが発生した状態である。包装材接合装置7は、例えば、旧包装材YA1_Oの終端が所定のセンサ(例えば、包装材YA1の張力を検出するマイクロスイッチ、または原反ロールの包装材YA1が終了したときの紙管を検知する光電管など)で検知されてから、旧包装材YA1_OのマークMと新包装材YA1_NのマークMとがセンサ11で検知されてから所定のタイミングで圧着ローラ(不図示)を動作させて新旧包装材を接合し、包装材接合装置7のカッター装置(不図示)で旧包装材YA1_Oの余剰フィルムをカットする。包装材接合装置7は旧包装材YA1_Oと新包装材YA1_Nを接合した場合、接合領域CNがマークセンサ11を通過する以前に接合領域開始信号(ON)を制御ユニット5に送信(所定の領域に設定)する。
【0066】
マーク制御手段6は、接合領域開始信号(ON)に基づき(
図6のタイミングt3)、その直前にマークセンサ11が検知したマークを旧包装材YA1_Oの最後のマークM(ML)と判断し、補正タイミング位相制御を停止し、接合領域位相制御として以下の処理を行う。
【0067】
接合領域位相制御ではまず、終了直前旧包装材YA1_O´についてバッファ個数管理を開始する。まずマーク制御手段6は、接合領域開始信号(ON)に基づき、接合領域CP直前の正常処理が可能な製品個数(以下、「終了直前個数」という。)を設定する。終了直前個数は、マークセンサ11からトップシール装置30直前までの、旧包装材YA1_O(終了直前旧包装材YA1_O´)の距離をカットピッチCPで除した値である。そして、当該終了直前個数(例えば、8個)分の処理については、補正タイミング位相制御(位相差ΔLの算出、及び位相差ΔLを補正するための包装材搬送手段10の搬送速度の変更)を行わず、包装材送り量基準値(ここでは予め設定された固定値)で包装材YA1を送る処理を行う。このようにバッファ個数管理とは、終了直前個数(例えば、8個)をバッファし、終了直前旧包装材YA1_O´を定速の搬送速度(包装材送り量基準値)で送りながら、トップシール装置30で包装体ZA1を製造するごとに、バッファされた個数(バッファ個数)を減算する管理である。バッファ個数管理は例えば、包装材YA1を繰り出すローラの回転軸に取り付けたエンコーダから出力されるパルスをカウントして包装材YA1の送り量を算出し、カットピッチCPで除算することにより行う。つまりバッファ個数が0になると、トップシール装置30の直前に接合領域CNが到達することとなる。なお、この例では終了直前個数は固定値になるので、予め設定された(算出した)終了直前個数を、接合領域開始信号(ON)に基づきバッファ個数管理の初期値として設定し、バッファ個数管理を開始する。
【0068】
図5(C)は、制御ユニット5に接合領域終了信号(OFF)が送信された後の状態である。接合領域終了信号(OFF)も接合領域CNがマークセンサ11を通過する以前に送信される。マーク制御手段6は接合領域終了信号(OFF)に基づき、接合領域位相制御として以下の処理を行う。
【0069】
マーク制御手段6は、接合領域終了信号(OFF)に基づき(
図6のタイミングt5)、その直後にマークセンサ11が検知したマークを新包装材YA1_Nの位置調整の開始となるマークM(MS)と判断する。新包装材YA1_Nの位置調整の開始となるマークM(MS)とは例えば、新包装材YA1_Nの最初の(先頭の)マークMである。
【0070】
マーク制御手段6は、接合領域開始信号(ON)と接合領域終了信号(OFF)(の時間差)に基づき、接合領域CNの搬送方向T長さを算出する。また、旧包装材YA1_Oの最後のマークMLの位置から対応するマークタイミングMTまでの位相差(先の位相差)を計測する。終了直前旧包装材YA1_O´については、バッファ個数が0になるまでバッファ個数管理を継続する。
【0071】
図5(D)は、バッファ個数が0となった状態)である。バッファ個数が0になった場合、マーク制御手段6は、旧包装材YA1_Oが終了し、トップシール装置30の直前に接合領域CNが到来したと判断する。
【0072】
マーク制御手段6は、トップシール装置30の駆動を停止させて、接合領域CNを通過させる。すなわち、接合領域CNの長さ(上記で算出済み)を移動させる時間は、トップシール装置60を動作させず、包装材YA1を、包装材送り量基準値(ここでは固定値)で搬送する(
図6のタイミングt4~t8)。
【0073】
図5(E)は、包装材搬送手段10のモータの回転軸M1が基準軸M0と同期するように新包装材YA1_Nの搬送速度を加速(または減速)している状態である(
図6のタイミングt6~t7)。
【0074】
具体的には、旧包装材YA1_Oとしてのマーク制御の終了ポイントとなるマークM(例えば、旧包装材YA1_Oの最後のマークML)と、基準軸M0上のマークタイミングMTとの位相差(先の位相差(ずれ))が、接合領域CNに続く新包装材YA1_Nとしてのマーク制御の開始ポイントとなるマークM(例えば新包装材YA1_Nの最初のマークMS)と、基準軸M0上のマークタイミングMTとの位相差(後の位相差(ずれ))に引き継がれるように(後の位相差が、あたかも先の位相差であるかのように)、新包装材YA1_Nの包装材搬送手段10による搬送速度を増減速させる。
【0075】
つまり、後の位相差が先の位相差に重なるように(一致するように)、新包装材YA1_Nの最初のマークMSを移動させるべく、包装材搬送手段10による搬送速度を増減速させる。具体的には、包装材搬送手段10のモータの回転軸M1が基準軸M0に同期するように包装材搬送手段10による搬送速度を増減速させる。
【0076】
図5(F)は、後の位相差が先の位相差に重なり(一致し)、位相差の補正が完了した(接合領域位相制御が終了した)状態である。また、位相差の補正が完了した後、停止させていたトップシール装置30の動作を開始する。この場合、トップシール装置30のモータの回転軸M2を基準軸M0に同期させて動作を再開する。以降、マーク制御手段6は、補正タイミング位相制御を再開する。
【0077】
本実施形態では、好ましくは接合領域CNがトップシール装置30に到達する以前に、新包装材YA1_NのマークMとマークタイミングMTとの位相差(後の位相差)を先の位相差に補正できる。換言すれば、トップシール装置30から見た場合、新包装材YA1_Nであっても、旧包装材YA1_Oが連続している状態と同様となる。従来では、包装材接合装置7による接合が適切に行われずマークMの大幅なズレが生じると、包装機1を停止させて位相のずれの調整や、使用できない包装材のカットなどの処理をしなければならなかった。このため、包装材接合装置7におけるセッティングや、マーク位置の合わせ作業が煩雑で手間がかかる、または作業に熟練した人員の配置が必要になるなどの問題があった。
【0078】
本実施形態によれば、新包装材YA1_Nの最初のマークMの位置が任意の位置であっても、トップシール装置30を通過する以前に、当該最初のマークMと対応するマークタイミングMTの位相差(後の位相差)を補正し、旧包装材YA1_Oに連続する状態にすることができる。すなわち、包装材接合装置7による煩雑なマークMの位置合わせ作業を不要にでき、作業に熟練した人員によらなくても作業を行うことが可能となる。また、従来の包装材接合装置の場合に必要であった、作業者による旧包装材と新包装材のマークM合わせの作業や、新包装材YA1_NをマークMに対する所定の位置でカットするカット作業も不要となる。
【0079】
なお、新包装材YA1_Nの最初のマークMSの位置を対応するマークタイミングMTの位置に直接的に合わせるように包装材搬送手段10の搬送速度を調整することも可能であるが、補正量(最初のマークMSとマークタイミングMTの位相差)が大きいと搬送速度の変化量が大きくなりすぎる。したがって、本実施形態では後の位相差が先の位相差に一致するように包装材搬送手段10の搬送速度を調整する。これによりトップシール装置30が動作している期間においては接合領域CNの存在を意識することなく連続した包装材YA1と同様に処理をすることができる。
【0080】
なお、後の位相差および先の位相差の大小によって、包装材搬送手段10の搬送速度の調整の程度が大きくなりすぎるような場合には、実際の旧包装材YA1_Oの最後のマークML、および/または実際の新包装材YA1_Nの最初のマークMSを用いなくてもよい。具体的には、接続領域信号(ON、OFF)の信号間の時間(接続領域CNの長さ)をマーク制御手段6(または制御ユニット5)において伸縮させてもよいし、バッファ個数管理の初期値を随時、設定値より少なくしてもよい。接合領域CNの長さを調整することで、あるいはバッファ個数管理の初期値を小さくすることで、旧包装材YA1_Oの実際の最後のマークMLよりも下流側のマークMを見かけ上の最後のマークMLとすることができる。あるいは新包装材YA1_Nの実際の最初のマークMSよりも上流側のマークMを見かけ上の最初のマークMSとすることができる。
【0081】
なお、上記の実施形態では接合領域CNがトップシール装置30を通過後に後の位相差を先の位相差に合わせる補正を行う例を説明したが、接合領域CNがトップシール装置30を通過中に後の位相差を先の位相差に合わせる補正を行う構成であってもよい。
【0082】
また、後の位相差が先の位相差に重なるように包装材搬送手段10を増減速する際、包装材搬送手段10に同期して物品供給装置2を増減速してもよい。このような構成によれば、筒状に製袋された包装材YA1内の製品位置ずれを防止できる。
【0083】
また、接合領域CNの開始端STから、後の位相差が先の位相差に重なるまでの間、物品供給装置2を停止して物品XA1の供給を行わないようにしてもよい。
【0084】
また、包装材搬送手段10を減速して後の位相差を先の位相差に重ねる場合、包装材搬送手段10の減速時に物品供給装置2が欠品状態になるように、包装材の残少検知信号または、包装材YA1の接合領域信号が出力されたら包装機1を増速するようにしてもよい。これにより、物品XA1同士の接触を回避できる。
【0085】
また、上記の例では正ピロー型の包装機1を例示したが、逆ピロー型の包装機であってもよい。
【0086】
また、上記の例ではピロー包装機を例示したが、包装機1は三方シール包装機や、四方シール包装機であってもよい。
【0087】
以上、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 包装機
2 物品供給装置
3 包装材供給装置
4 包装機本体
5 制御ユニット
6 マーク制御手段
7 包装材接合装置(スプライサー)
8 原反軸
9 ローラ
10 包装材搬送手段
11 マークセンサ
14 製袋器
15 ピンチローラ
16 センターシール装置
16a バーシーラ
16b プレスローラ
17 第一の搬送装置
20 第二の搬送装置
20a 搬送面
30 トップシール装置