(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】取付部材及び取付方法
(51)【国際特許分類】
B05C 21/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B05C21/00
(21)【出願番号】P 2021058462
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2020077984
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020106652
(32)【優先日】2020-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520147991
【氏名又は名称】永玉榮 正光
(74)【代理人】
【識別番号】100174805
【氏名又は名称】亀山 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】永玉榮 正光
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-088878(JP,U)
【文献】特開2012-011336(JP,A)
【文献】実開平02-068200(JP,U)
【文献】登録実用新案第3032500(JP,U)
【文献】登録実用新案第3225877(JP,U)
【文献】実開昭61-183179(JP,U)
【文献】登録実用新案第3123537(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02536505(GB,A)
【文献】米国特許第10131180(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0241012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料を収容する塗料用容器に対し塗布部材を収容する塗布部材収容具を取り付けるための取付構造と、
前記取付構造に設けられた係合部材と、を備え、
前記塗布部材収容具が、前記塗布部材を収容可能な容器部と、前記容器部の開口縁から延設される係合部と、を備えるものと定義した際、前記取付構造は、前記係合部を介して、前記塗料用容器の開口縁を挟み込みが可能となっており、
前記塗布部材を、前記塗料を保持可能な塗料保持部と、前記塗料保持部と連結された柄と、を備えるものと定義した際、前記係合部材は、前記柄に形成された凹み部分に対し係合可能なことを特徴とする取付部材。
【請求項2】
前記取付構造は、
前記塗料用容器に接する塗料用容器接触部と、
前記塗料用容器接触部に対向し前記塗布部材収容具に接する塗布部材収容具接触部と、
前記塗料用容器接触部及び前記塗布部材収容具接触部を連ねる連結部と、を備え、
前記係合部材の一端部は、前記塗布部材収容具接触部に取り付けられ、
前記係合部材の他端部は、前記取付構造よりも前記塗布部材収容具の開口から遠ざかっていることを特徴とする請求項1記載の取付部材。
【請求項3】
前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部に対し外部の力がかかっていない基準状態における前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部との間隔を基準間隔と定義した際、
前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部との間隔が前記基準間隔よりも広がった場合、前記連結部は、前記間隔が前記基準間隔に近づくように前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部とを付勢することを特徴とする請求項
2記載の取付部材。
【請求項4】
前記塗料用容器接触部には前記塗布部材を装着可能なマグネットが設けられることを特徴とする請求項
2または3記載の取付部材。
【請求項5】
前記塗料用容器接触部は、前記塗料用容器の開口から底に向かって延びるとともに、前記塗料用容器の内壁面に接し、
前記塗布部材収容具接触部は、前記塗布部材収容具の開口から底に向かって延びるとともに、前記塗布部材収容具の内壁面に接することを特徴とする請求項
2ないし4のうちいずれか1項記載の取付部材。
【請求項6】
塗料を収容する塗料用容器に対し塗布部材を収容する塗布部材収容具を取り付けるための取付構造と、
前記取付構造に設けられた装着部材と、を備え、
前記塗布部材収容具が、前記塗布部材を収容可能な容器部と、前記容器部の開口縁から延設される係合部と、を備えるものと定義した際、前記取付構造は、前記係合部を介して、前記塗料用容器の開口縁を挟み込みが可能となっており、
前記塗布部材を、前記塗料を保持可能な塗料保持部と、前記塗料保持部と連結された柄と、を備えるものと定義した際、
前記装着部材及び前記柄のうち、一方はマグネットを備え、他方は強磁性体を備えることを特徴とする取付部材。
【請求項7】
前記取付構造は、前記塗料用容器の開口部と、前記塗布部材収容具の開口部とを挟むクリップ構造を備えることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の取付部材。
【請求項8】
請求項
6記載の記載の取付部材を用いて、前記塗布部材収容具を塗料用容器に取り付ける取付ステップと、
前記柄を前記装着部材に対して装着する装着ステップと、を備え、
前記装着ステップでは、前記塗料保持部と前記塗料用容器から離間していることを特徴とする取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付部材及び取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布支援具として、使い勝手の良いローラ式塗装用容器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1のローラ式塗装用容器では、製造コストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、製造コストが安価な取付部材及び取付方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の取付部材は、塗料を収容する塗料用容器に対し塗布部材を収容する塗布部材収容具を取り付けるための取付構造と、前記取付構造に設けられた係合部材と、を備え、前記塗布部材収容具が、前記塗布部材を収容可能な容器部と、前記容器部の開口縁から延設される係合部と、を備えるものと定義した際、前記取付構造は、前記係合部を介して、前記塗料用容器の開口縁を挟み込みが可能となっており、前記塗布部材を、前記塗料を保持可能な塗料保持部と、前記塗料保持部と連結された柄と、を備えるものと定義した際、前記係合部材は、前記柄に形成された凹み部分に対し係合可能なことを特徴とする。
【0007】
前記取付構造は、前記塗料用容器に接する塗料用容器接触部と、前記塗料用容器接触部に対向し前記塗布部材収容具に接する塗布部材収容具接触部と、前記塗料用容器接触部及び前記塗布部材収容具接触部を連ねる連結部と、を備え、前記係合部材の一端部は、前記塗布部材収容具接触部に取り付けられ、前記係合部材の他端部は、前記取付構造よりも前記塗布部材収容具の開口から遠ざかっていることが好ましい。前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部に対し外部の力がかかっていない基準状態における前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部との間隔を基準間隔と定義した際、前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部との間隔が前記基準間隔よりも広がった場合、前記連結部は、前記間隔が前記基準間隔に近づくように前記塗料用容器接触部と前記塗布部材収容具接触部とを付勢することが好ましい。前記塗料用容器接触部には前記塗布部材を装着可能なマグネットが設けられることが好ましい。前記塗料用容器接触部は、前記塗料用容器の開口から底に向かって延びるとともに、前記塗料用容器の内壁面に接し、前記塗布部材収容具接触部は、前記塗布部材収容具の開口から底に向かって延びるとともに、前記塗布部材収容具の内壁面に接することが好ましい。
【0008】
本発明の取付部材は、塗料を収容する塗料用容器に対し塗布部材を収容する塗布部材収容具を取り付けるための取付構造と、前記取付構造に設けられた装着部材と、を備え、前記塗布部材収容具が、前記塗布部材を収容可能な容器部と、前記容器部の開口縁から延設される係合部と、を備えるものと定義した際、前記取付構造は、前記係合部を介して、前記塗料用容器の開口縁を挟み込みが可能となっており、前記塗布部材を、前記塗料を保持可能な塗料保持部と、前記塗料保持部と連結された柄と、を備えるものと定義した際、前記装着部材及び前記柄のうち、一方はマグネットを備え、他方は強磁性体を備えることを特徴とする。
【0009】
前記取付構造は、前記塗料用容器の開口部と、前記塗布部材収容具の開口部とを挟むクリップ構造を備えることが好ましい。
【0010】
本発明の取付方法は、上記の取付部材を用いて、前記塗布部材収容具を塗料用容器に取り付ける取付ステップと、前記柄を前記装着部材に対して装着する装着ステップと、を備え、前記装着ステップでは、前記塗料保持部と前記塗料用容器から離間していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造コストが安価な塗布支援具、及びこれに適用可能な取付部材、取付方法や絞り具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は、塗布支援具の概要を示す斜視図である。(b)及び(c)は、塗布部材が収容された塗布部材収容具の概要を示す断面図である。
【
図2】(a)は、塗料用バケツの概要を示す斜視図である。(b)は、塗布部材収容具及びクリップ構造の概要を示す斜視図である。(c)は塗布支援具の概要を示す平面図である。(d)は、塗布部材収容具の概要を示す断面図である。
【
図3】塗料用バケツに収容された絞り具の概要を示す斜視図である。
【
図4】(a)は、塗料用バケツに収容された絞り具の概要を示す平面図である。(b)は、塗料用バケツに収容された絞り具の概要を示すIVb-IVb’線断面図である。
【
図5】(a)は、絞り具の概要を示す斜視図である。(b)は、絞り具の概要を示す分解斜視図である。
【
図6】塗料用バケツに収容された絞り具の概要を示す断面図である。
【
図7】塗布部材収容具及びクリップ構造の概要を示す断面図である。
【
図8】塗布部材収容具及びクリップ構造の概要を示す断面図である。
【
図10】
塗布部材収容具及びクリップ構造の概要を示す断面図である。
【
図11】
塗布部材収容具及びクリップ構造の概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、塗布支援具2は、塗料を収容するための塗料用バケツ10(塗料用容器)と、塗料を保持可能な塗布ローラ20(塗布部材)と、塗布ローラ20を収容する塗布部材収容具30と、塗料用バケツ10に対し塗布部材収容具30を取り付けるためのクリップ構造40(取付構造)と、を備える。これにより、塗料用バケツ10に収容された塗料を塗布ローラ20につけ、当該塗布ローラ20を被塗布部にあてることにより、被塗布部に当該塗料を塗布することができる。
【0014】
図1、
図2(a)及び
図2(c)に示すように、塗料用バケツ10は、筒体11と、筒体11のうち片方の開口を塞ぐ底部12と、筒体11のうち他方の開口側に設けられた取っ手用孔15X(
図4(b)に対し係合する取っ手構造15と、を備える。筒体11は、円筒状をしている。なお、筒体11は、楕円筒や角筒でもよい。
【0015】
取っ手構造15は、線条体15Wと、線条体15Wの中途部に取り付けられた磁石(図示しない)と、線条体15Wに対して磁石を装着する磁石装着部材15Aと、を備える。
【0016】
取っ手用孔15X(
図4(b)は、線条体15Wの一端部及び他端部がそれぞれ挿入されるものであり、筒体11のうち他方の開口側において対になって形成される。ここでは、取っ手構造15が2組用いられるため、取っ手用孔が2対形成される。対となる取っ手用孔のうち一方には線条体15Wの一端部が挿入され、他方には線条体15Wの他端部が挿入される。
【0017】
このため、線条体15Wは、対となる取っ手用孔の周りを回動自在となっている。ここで、線条体15Wの一端及び他端は折り曲げられているため、線条体15Wは、取っ手用孔から脱落しにくくなる。線条体15Wの中途部は、直線状となっていることが好ましい。これにより、2組の取っ手構造15が当接する際、2本の線条体15Wの中途部同士が、点接触ではなく、線接触することとなる(
図2(c))。磁石は、線条体15Wの中途部に配されることが好ましい。磁石装着部材15Aとしては、熱収縮チューブ等を用いることができる。
【0018】
図1(b)に示すように、塗布ローラ20は、塗料を保持可能なローラ本体21と、ローラ本体21を回転自在に保持するローラ軸23と、ローラ軸23に連接するローラ用アーム25と、ローラ用アーム25に設けられた柄27と、を備える。ローラ軸23及びローラ用アーム25は一体となっており、磁性体から形成される。磁性体とは、鉄、コバルト、ニッケルやこれらの合金等を含む。
【0019】
図2(b)に示すように、塗布部材収容具30は、塗布ローラ20を収容するためものであり、容器部31と、容器部31に対して連結する係合帯32と、を備える。容器部31は有底の筒状に形成される。係合帯32は、容器部31の開口縁から延びるように形成される。塗布部材収容具30は、耐水性に強い材料(耐水強化紙等)から形成されることが好ましい。
【0020】
クリップ構造40は、2つの物体を挟むためのものであり、U字状となっていることが好ましい。クリップ構造40は、第1板部41(塗布部材収容具接触部)と、第1板部41に対向するように配される第2板部42と(塗料用容器接触部)、第1板部41及び第2板部42を連ねる板連結部44(連結部)と、第1板部41に取り付けられたマグネット46(装着部材)と、を備える。
【0021】
第1板部41は、板状の長尺物であり、塗料用バケツ10の開口から底部12に向かって延びる。第1板部41は、塗料用バケツ10の内壁面に接することが好ましい。第2板部42は、板状の長尺物であり、塗布部材収容具30の開口から底部12に向かって延びる。第2板部42は、塗布部材収容具30の内壁面に接することが好ましい。なお、第2板部42の先端部は、塗料用バケツ10の収容空間の中心側に向かって屈曲してもよいし(図1)、真っ直ぐであってもよい(図示省略)。
【0022】
マグネット46は、磁石装着部材(図示省略)によって第1板部41に対して取り付けられる。磁石装着部材としては、例えば、熱収縮チューブ等がある。外部の力がかかっていない状態(以下、基準状態と称する)のクリップ構造40において、第1板部41と第2板部42との間隔は基準となる間隔(以下、基準間隔CLと称する)だけあいている。第1板部41と第2板部42の間隔が基準間隔CLよりも大きくなると、板連結部44は、バネの作用により、第1板部41と第2板部42の間隔が基準間隔CLに近づくように、第1板部41と第2板部42を付勢する。クリップ構造40の形成材料は、金属やプラスチック等であることが好ましい。また、クリップ構造40は、帯状の金属板を所定の形状に折り曲げて形成してもよい。
【0023】
次に、塗布支援具2の使い方をする。
【0024】
図2(d)に示すように、塗布部材収容具30の係合帯32は、塗料用バケツ10の外壁面を沿って、塗料用バケツ10の開口縁を経由して、塗料用バケツ10の内壁面までに伸びるように配置する。この状態のまま、塗料用バケツ10の開口縁に対しクリップ構造40を取り付ける。クリップ構造40は、自身の付勢力によって、塗料用バケツ10の開口縁を係合帯32とともに挟み込む。このとき第1板部41は、塗料用バケツ10の外側に位置する。このため、塗布部材収容具30に塗布ローラ20を収容する際、ローラ用アーム25はマグネット46に近接する。この結果、ローラ用アーム25はマグネット46にくっつく。このとき、塗布ローラ20は、塗布部材収容具30の容器部31の底から離れていることが好ましい。これにより、塗布部材収容具30に塗布ローラ20を収容する間、ローラ本体21が自重により変形することを防ぐ。同様に、塗布部材収容具30に刷毛120を収容する際、刷毛用柄123に設けられた鉄板127はマグネット46に近接する。この結果、刷毛用柄123はマグネット46にくっつく。このとき、刷毛120の毛121は、塗布部材収容具30の容器部31の底31Bから離れていることが好ましい。これにより、塗布部材収容具30に刷毛120を収容する間、毛121が自重により変形することを防ぐ。
【0025】
ここで、2組の取っ手構造15を同時に握ると、筒体11及び底部12からなる塗料用バケツ10の姿勢が安定する。このため、塗料用バケツ10を手で持ちながら移動しても、塗料用バケツ10の姿勢が安定するため、塗料がこぼれなくなる。また、塗料用バケツ10を手で持った状態で、塗料の中に塗布ローラ20を漬け、余剰の塗料を絞ることができる。もちろん、塗料用バケツ10を手で持った状態で歩きながら、塗料の中に塗布ローラ20を漬け、余剰の塗料を絞ることができる。また、2組の取っ手構造15を近接することにより、磁石同士がくっつくため、2組の取っ手構造15を軽く持つだけで、筒体11及び底部12からなる塗料用バケツ10の姿勢が安定する。
【0026】
なお、塗布部材収容具30の係合帯32は、
図1(a)に示すように、2組の取っ手構造15の間を通るように配することが好ましい。
【0027】
なお、塗布部材として、塗布ローラ20の場合について説明したが、本発明はこれに限られず、刷毛120や、その他公知の塗布部材を用いてもよい。以下、塗布部材として、刷毛120を用いた場合について説明する。
図1(c)に示すように、刷毛120は、塗料を保持可能な毛121と、刷毛用柄123と、刷毛用柄123の先端に配される結束材125と、を備える。刷毛用柄123の先端には毛121が配される。結束材125は、束ねられた状態の毛121を刷毛用柄123に対し固定される。刷毛用柄123には、鉄板127が設けられる。
【0028】
なお、磁性体から形成されたローラ用アーム25と、クリップ構造40の第1板部41に取り付けられたマグネット46と、を
用いたが、本発明はこれに限られない。例えば、ローラ用アーム25にマグネットを設けるとともに、磁性体からなる第1板部41を用いてもよい。
【0029】
なお、塗布部材収容具30として、二重構造のものを用いてもよい。例えば、外側に樹脂製の塗布部材収容具30を配し、内側に、紙製の塗布部材収容具30を配してもよい。
【0030】
なお、塗布部材収容具30を複数用いてもよい。例えば、第1の塗布部材収容具30の係合帯32は、
図1(a)に示すように、2組の取っ手構造15の間を通るように配することが好ましい。そして、第2の塗布部材収容具30は、第1の塗布部材収容具30の隣に配してもよい。このとき、第1の塗布部材収容具30と第2の塗布部材収容具30との間には、取っ手構造15が存在してもよいし、存在していなくてもよい。ここで、第1の塗布部材収容具30には、塗布ローラ20等の比較的重量物を収容し、第2の塗布部材収容具30には、刷毛120等の比較的軽量物を収容することが好ましい。
【0031】
上記実施形態では、クリップ構造40において、第1板部41に取り付けられたマグネット46を設けたが、本発明はこれに限られない。例えば、マグネット46の代わりに、係合板48を第1板部41に設けてもよい。
【0032】
図7~8に示すように、係合板48は、平板状に形成され、
塗布部材収容具30の底部から外部空間に向かって所定の方向に長くのびる。係合板48の一端部48Sは、第1板部41に沿って配されるとともに、第1板部41の外側の面(第2板部42と正対していない側の面)に固定される。
係合板48の他端部48Tは、塗布部材収容具30の開口から遠ざかるように延びる。すなわち、係合板48の他端部48Tは、板連結部44よりも、一端部48Sとは反対側へ突出する。そして、一端部48S及び他端部48Tの間に位置する中途部48Uには、板連結部44が接近する。
【0033】
塗布ローラ20は、塗料を保持可能なローラ本体21と、ローラ本体21を回転自在に保持するローラ軸23と、ローラ軸23に連接するローラ用アーム25と、ローラ用アーム25に設けられた柄27と、を備える。柄27は、棒状に成形されるものであり、ローラ用アーム25の基端側において同軸状に配される。柄27の先端側の端面には、凹み部27Xがローラ用アーム25の周囲に形成される。凹み部27Xは、他端部48Tが挿入可能となっていればよい。凹み部27Xの開口縁には、突起27Tが周方向において所定のピッチで形成されていてもよい。
【0034】
図8に示すように、塗布部材収容具30の係合帯32は、塗料用バケツ10の外壁面を沿って、塗料用バケツ10の開口縁を経由して、塗料用バケツ10の内壁面までに伸びるように配置する。この状態のまま、塗料用バケツ10の開口縁に対しクリップ構造40を取り付ける。クリップ構造40は、自身の付勢力によって、塗料用バケツ10の開口縁を係合帯32とともに挟み込む。このとき第1板部41は、塗料用バケツ10の外側に位置する。そして、係合板48の一端部48Sは、第1板部41に沿って配されるため、塗料用バケツ10の外側に位置する。一方、係合板48の他端部48Tは、塗料用バケツ10よりも上側に突出する。これにより、塗布部材収容具30に塗布ローラ20を収容する際、塗布ローラ20の柄27の凹み部27Xに、他端部48Tが挿入する。この結果、塗布ローラ20の柄27は係合板48の他端部48Tに対して係合する。このとき、塗布ローラ20は、塗布部材収容具30の容器部31の底から離れていることが好ましい。
【0035】
塗布部材収容具30から塗布ローラ20を取り出す場合には、塗布ローラ20を、横方向ではなく上方へ移動させればよい。これにより、ローラ用アーム25の材料に左右されず、塗布部材収容具30からの塗布ローラ20の脱落防止が可能となる。
【0036】
上記実施形態では、係合部材として、板状の係合板48を用いたが、本発明はこれに限られない。係合部材としては、他端部が塗料用バケツ10よりも上側に突出するとともに、塗布ローラ20の柄27の凹み部27Xに挿入可能となっていればよい。このため、係合部材の形状としては、棒状やその他の形状であってもよい。なお、係合部材の形状の一例として、
図9に示すように、係合板48の他端部48Tに、孔板48Nを設けてもよい。孔板48Nは、板状に形成されるものであり、係合板48に対して直角方向の向きとなっている。孔板48Nには、孔48NXが形成される。孔48NXは、塗布ローラ20の柄27の突起27Tが挿入可能となっていればよい。孔板48Nと他端部48Tとが一体となった板状物を孔板48Nの部分から曲げてもよいし、別体となった孔板48Nと他端部48Tと連結してもよい。
【0037】
図10~11に示すように、係合板48の一端部48Sにマグネット46を設けてもよい。塗布部材収容具30に塗布ローラ20を収容する際、塗布ローラ20の柄27の凹み部27Xに、他端部48Tが挿入する。このとき、ローラ用アーム25はマグネット46に近接する。この結果、ローラ用アーム25はマグネット46にくっつく。これにより、塗布ローラ20が他端部48Tから外れにくくなる。また、塗布部材収容具30に収容する塗布部材が強磁性体から形成される場合には係合板48の一端部48Sにマグネット46を設けることが好ましく、塗布部材収容具30に収容する塗布部材が強磁性体から形成されない場合には係合板48の一端部48Sにマグネット46を設けなくてもよい。
【0038】
図3~4に示すように、絞り具210は、塗料用バケツ10の内部空間に立て掛け可能なベース板220(板構造)と、ベース板220に対して着脱自在な着脱自在板230と、を備える。
【0039】
図5に示すように、ベース板220は、矩形に形成されたベース板本体部221と、ベース板本体部221に対して連なる折返板部222(
図4(b))と、ベース板本体部221に設けられた端部突条223と、を備える。
【0040】
ベース板本体部221は平板状に形成される。また、ベース板本体部221の一方側に切り欠き221Xが形成される。ベース板本体部221の他方側には、折返板部222が連なる。折返板部222は、ベース板本体部221に対し所定の折り返し角度で折れ曲がるように伸びる。折返板部222は平板状に形成される。ベース板本体部221と折返板部222との連接部は、塗料用バケツ10の開口縁に係合させることができる。
【0041】
切り欠き221Xは、ベース板220が塗料用バケツ10の内部空間に立て掛けられたとき(
図3、
図4(b))、縦方向においては、ベース板本体部221の下方側であり、横方向においては、ベース板本体部221の中央部側に位置する。塗料用バケツ10の底部12と切り欠き221Xの隙間は、塗布部材から出た余剰の塗料を流すための流通路や、塗料用バケツ10の底部12にある塗料が、ベース板220の両側を行き来するための流通路として機能する。
【0042】
端部突条223は、ベース板220が塗料用バケツ10の内部空間に立て掛けられたとき、横方向においてはベース板本体部221の両側に形成される。端部突条223は縦方向にのびる。端部突条223は、ベース板220に対して略垂直方向に起立するように設けられる。両側端部に形成された端部突条223の間隔は、ローラ本体21をベース板本体部221に対して押し込む際、邪魔にならない程度であればよい。なお、ローラ本体21をベース板本体部221に対して押し当てた際、端部突条223は、ローラ本体21が縦方向に移動可能な程度に、横方向からローラ本体21の両側面に接触することが好ましい。
【0043】
図5(b)に示すように、着脱自在板230は、平板状に形成される着脱ベース板231と、着脱ベース板231の一端側に形成された一端側折返構造232と、着脱ベース板231の他端側に形成された他端側折返構造233と、着脱ベース板231に形成された中途部突条236と、を備える。
【0044】
一端側折返構造232は、着脱ベース板231の長手方向の一端側に設けられるものであり、着脱ベース板231に対し所定の角度で折り返されている。他端側折返構造233は、着脱ベース板231の長手方向の他端側に設けられるものであり、着脱ベース板231に対し所定の角度で折り返されている。
【0045】
基準状態における一端側折返構造232と着脱ベース板231の間隔(基準間隔)は、ベース板本体部221の厚みよりも小さい方が好ましい。これにより、一端側折返構造232を用いてベース板本体部221に挟むと、一端側折返構造232と着脱ベース板231の間隔が基準間隔よりも広がるため、ベース板220を挟む方向の付勢力が生まれる。この結果、ベース板220に対し着脱自在板230を着脱自在に装着することができる。
【0046】
中途部突条236は、ベース板220が塗料用バケツ10の内部空間に立て掛けられたとき、横方向においては、ベース板本体部221の両端に位置し、縦方向においては、ベース板本体部221の上方から下方に向かってのびる。中途部突条236は、自身の長手方向において、凹部と凸部とが交互に配されることが好ましい。なお、中途部突条236は、自身の長手方向において、凸部が所定の間隔をあけて配されていてもよい。
【0047】
次に、絞り具210の使い方をする。
【0048】
まず、一端側折返構造232及び他端側折返構造233を用いて、ベース板220に対し着脱自在板230を装着する。次に、ベース板本体部221と折返板部222との連接部が塗料用バケツ10の開口縁に係合させた状態で、ベース板220を塗料用バケツ10の内部空間に立て掛ける(
図4(b))。塗料用バケツ10内の塗料に塗布ローラ20のローラ本体21を浸す。その後、塗布ローラ20をベース板本体部221に押し当てながら縦方向に移動すると、中途部突条236によってローラ本体21が回転する。これにより、ローラ本体21の周面における余剰な塗料をベース板本体部221に流すことができる。また、端部突条223は、ローラ本体21の側面と触れるため、塗布ローラ20をベース板本体部221に押し当てながら縦方向に移動させた際、ローラ本体21の側面における余剰な塗料を流すことができる。なお、塗布部材として、刷毛120(
図1(c))を用いた場合には、中途部突条236に 刷毛120を当てることにより、刷毛120の余剰の塗料を流すことができる。
【0049】
そして、2組の取っ手構造15を同時に握ると、筒体11及び底部12からなる塗料用バケツ10の姿勢が安定するため、塗料用バケツ10を手で持ちながら移動しても、塗布ローラ20や刷毛120についた余剰の塗料を流すことができる。
【0050】
ベース板本体部221は、縦方向の長さが塗料用バケツ10の底12の直径以上であることが好ましい。これにより、ベース板220を塗料用バケツ10の内部空間に立て掛けたとき、ベース板220が塗料用バケツ10の中で倒れ、塗料用バケツ10の底12の上に横たわることを防ぐ。また、筒11の直径は、開口から底12に向かうにしたがって、次第に小さくなることが好ましい。また、ベース板本体部221の横方向の長さが、筒11の底12側の直径よりも大きい場合には、筒11の底12側においてベース板本体部221を押し込むと、ベース板本体部221自身の変形に起因する付勢力によって、ベース板220が塗料用バケツ10に対して係合するため好ましい。
【0051】
塗装が終わった後においては、使用済みの塗布ローラ20や刷毛120は、塗料用バケツ10に溜めたシンナー等に浸漬することにより、塗布ローラ20や刷毛120を含ませることができる。また、ベース板220のうちシンナーの液面から突出している部分に対し、シンナーを含んだ塗布ローラ20や刷毛120を押し当てることにより、塗布ローラ20や刷毛120に付着したシンナーを絞ることができる。このようにして、塗料用バケツ10に溜めたシンナー等を用いて、塗布ローラ2
0や刷毛120の洗浄を行うことができる。
【0052】
上記実施形態では、ベース板220を塗料用バケツ10の内部空間に立て掛けたとき、ベース板220の上端は、塗料用バケツ10とほぼ同じ高さであったが、本発明はこれに限られず、ベース板220の上端が、塗料用バケツ10から上方に突出していてもよい(
図6)。これにより、ベース板220において塗装ローラ20のストロークを長くすることができる。さらに、塗布ローラ20や刷毛120の洗浄において、
図6のように、ベース板220の上端が、塗料用バケツ10から上方に突出している場合には、ベース板220のうちシンナーの液面から突出している部分が増える。当該部分に対し、シンナーを含んだ塗布ローラ20や刷毛120を押し当てることにより、塗布ローラ20や刷毛120に付着したシンナーを絞ることができるため、塗布ローラ20や刷毛120の洗浄を行いやすくなる。
【0053】
なお、中途部突条236は、ベース板220が塗料用バケツ10の内部空間に立て掛けられたとき、横方向においては、ベース板本体部221の両端に位置するとしたが、本発明はこれに限られず、ベース板本体部221の中途部に設けられてもよい。
【0054】
なお、ベース板本体部221の下端側に切り欠き221Xを形成して、当該下端部を塗料用バケツ10の底部12に当接させたが(
図4)、本発明はこれに限られない。例えば、ベース板本体部221の下端側に切り欠き221Xを省略する代わりに、ベース板本体部221の縦方向の長さを短くしてもよい。これにより、ベース板本体部221と折返板部222との連接部を塗料用バケツ10の開口縁に引っ掛けた状態で、ベース板220を塗料用バケツ10につるすことができる。このとき、ベース板本体部221の下端は、塗料用バケツ10の底12から離隔しているため、ベース板本体部221は、塗料用バケツ10に溜まった塗料やシンナー等の流通を遮らない。
【0055】
また、ベース板220と着脱自在板230とが一体形成されたときには、ベース板本体部221の横方向中途部に中途部突条236を設ければよい。
【0056】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
2 塗布支援具10 塗料用バケツ20 塗布ローラ30 塗布ローラ収容具40 クリップ構造46 マグネット120 刷毛210 絞り具223 端部突条230 着脱自在板231 着脱ベース板232 一端側折返構造233 他端側折返構造236 中途部突条