IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コクヨ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-スクリーン 図1
  • 特許-スクリーン 図2
  • 特許-スクリーン 図3
  • 特許-スクリーン 図4
  • 特許-スクリーン 図5
  • 特許-スクリーン 図6
  • 特許-スクリーン 図7
  • 特許-スクリーン 図8
  • 特許-スクリーン 図9
  • 特許-スクリーン 図10
  • 特許-スクリーン 図11
  • 特許-スクリーン 図12
  • 特許-スクリーン 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】スクリーン
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
E04B2/74 561K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018195606
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2020063590
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-09-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】西口 眞由
【合議体】
【審判長】有家 秀郎
【審判官】居島 一仁
【審判官】土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-215048(JP,A)
【文献】特開2015-37471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72-2/82
A47G 3/00-7/08
A63H 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁部に磁石収容室を設け、その磁石収容室内に連結用の磁石を遊動可能に収容してなるものであって、
前記磁石収容室が内側に円弧面を有したものであり、前記磁石が4つの角部を有し前記円弧面に2つの隣接する角部を同時に線接触させ得る四角柱状のものであり、
2本の線接触部分同士の離間距離が前記磁石の略全幅寸法に匹敵するほどに離れるようにしているとともに、
枠状に接続された複数のフレームを有し、これらフレームが断面円形状をなすパイプ材製であり、そのフレーム内に前記磁石収容室が設けられているスクリーン。
【請求項2】
前記磁石が、隣接する一対の角部間に位置する部位がN極で、他方の隣接する一対の角部間に位置する部位がS極となるように着磁されたものである請求項1記載のスクリーン。
【請求項3】
縁部に磁石収容室を設け、その磁石収容室内に連結用の磁石を遊動可能に収容してなるものであって、
前記磁石収容室が内側に円弧面を有したものであり、前記磁石が前記円弧面に2つの隣接する角部を同時に線接触させ得る四角柱状のものであり、
枠状に接続された複数のフレームを有し、そのフレーム内に前記磁石収容室が設けられているとともに、
突き合わせた両フレームに内嵌するフレーム接続部材を有し、このフレーム接続部材を利用して前記磁石収容室が形成されているスクリーン。
【請求項4】
縁部に周壁の内側に前記磁石収容室を形成してなる磁石ホルダを装着したものであって、その周壁の内面の少なくとも一部を前記円弧面としている請求項1又は2記載のスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウンジやオフィス内の空間を仕切る場合等に好適に使用されるスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のスクリーンをジョイント部材を介して機械的に連結したものが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0003】
このようなスクリーンシステムは、各スクリーンを乱れることなく整然と配置することができるため、多くの場所で使用されているが、スクリーン同士を着脱して自由に配置するようなシチュエーションではスクリーン同士の挿脱に手間がかかるものであり、何らかの対策が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】“パネルスクリーン”,コクヨ総合カタログ2018年版ファニチャー編,コクヨ株式会社,平成29年12月,p.201
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に着目してなされたもので、他のスクリーン等との横連結や連結解除を容易に行うことができるスクリーンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係るスクリーンは、縁部に磁石収容室を設け、その磁石収容室内に連結用の磁石を遊動可能に収容してなるものであって、前記磁石収容室が内側に円弧面を有したものであり、前記磁石が4つの角部を有し前記円弧面に2つの隣接する角部を同時に線接触させ得る四角柱状のものであり、2本の線接触部分同士の離間距離が前記磁石の略全幅寸法に匹敵するほどに離れるようにしているとともに、枠状に接続された複数のフレームを有し、これらフレームが断面円形状をなすパイプ材製であり、そのフレーム内に前記磁石収容室が設けられている
【0007】
すなわち、このスクリーンは、磁石収容室の円弧面に四角柱状の磁石を、当該磁石の最大幅寸法に相当する距離だけ離間した2箇所において線接触させるようにしたものである。
【0008】
前記磁石の好適な構成としては、隣接する一対の角部間に位置する部位がN極で、他方の隣接する一対角部間に位置する部位がS極となるように着磁されたものを挙げることができる。
【0009】
請求項の発明に係るスクリーンは、縁部に磁石収容室を設け、その磁石収容室内に連結用の磁石を遊動可能に収容してなるものであって、前記磁石収容室が内側に円弧面を有したものであり、前記磁石が前記円弧面に2つの隣接する角部を同時に線接触させ得る四角柱状のものであり、枠状に接続された複数のフレームを有し、そのフレーム内に前記磁石収容室が設けられているとともに、突き合わせた両フレームに内嵌するフレーム接続部材を有し、このフレーム接続部材を利用して前記磁石収容室が形成されている。
【0010】
前記フレームが、断面円形をなす非磁性体製のパイプ材により構成されたものである場合には、このフレームの内周面の一部又は全部を前記磁石の2つの角部が線接触する円弧面として利用すればよい。
【0011】
組み立て工数を削減するには、非磁性体製フレーム接続部材の一端に一方のフレーム内に延出する磁石ホルダを設けておき、この磁石ホルダの内面と前記一方のフレームの内周面との間に前記磁石収容室を形成するのがよい。この場合、前記フレーム接続部材と前記磁石ホルダとを樹脂により一体成型したものにしておけば、部品点数を削減することもできる。
【0012】
フレーム接続部材を利用することなく磁石収容室を形成するものとしては、縁部に周壁の内側に前記磁石収容室を形成してなる磁石ホルダを装着したものであって、その周壁の内面の少なくとも一部を前記円弧面としたものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、他のスクリーン等との横連結や連結解除を容易に行うことができるスクリーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係るスクリーンシステムを示す斜視図。
図2】同実施形態に係るスクリーンシステムを示す正面図。
図3】同実施形態に係る一方のスクリーンを示す分解斜視図。
図4図2におけるA-A線に沿った要部拡大断面図。
図5】同実施形態に係る一方のスクリーンのスクリーン本体を示す分解斜視図。
図6図2におけるC部拡大図。
図7図2におけるD部拡大図。
図8図2におけるX部拡大図。
図9】同実施形態に係る他方のスクリーンのスクリーン本体を示す分解斜視図。
図10】本発明の第2の実施形態に係るスクリーンを示す斜視図。
図11】同実施形態に係る磁石及び磁石ホルダの取付態様説明図。
図12】本発明の第3の実施形態に係るスクリーンを示す斜視図。
図13】同実施形態に係る磁石及び磁石ホルダの取付態様説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<第1の実施形態>>(図1図9
本発明の第1の実施形態を、図1図9を参照しつつ説明する。
【0016】
この実施形態は、本発明を2枚のスクリーンS1を連結してなるスクリーンシステムSSに適用した場合のものである。
【0017】
このスクリーンシステムSSは、図1及び図2に示すように、側縁部に磁石Mを設けた2枚のスクリーンS1、S2を具備してなり、それらのスクリーンS1、S2を前記磁石Mの磁力を利用して連結することができるようにしたものであって、前記各スクリーンS1、S2は、少なくとも側縁部における共通の高さ位置Hに基本の磁石Mを有している。
【0018】
<一方のスクリーンS1>
一方のスクリーンS1は、平面視直線状をなすストレートタイプのものであり、図1図4に示すように、枠状をなすスクリーン本体1と、このスクリーン本体1の両面に配された対をなす表装材2A、2Bとを具備してなる。各表装材2A、2Bは、図8に示すように、それぞれ光を通しにくい難透光部2xと、光を通しやすい透光部2yとをランダムに混在させて備えたものである。すなわち、図3及び図4に示すように、スクリーン本体1は、枠状に配されたフレーム3~6の内側に空洞領域CAを備えたものであり、両表装材2A、2Bは、その空洞領域CAを覆うようにしてフレーム3~6に添設されている。そして、図1図4に示すように、各表装材2A、2Bは、フレーム3~6に対応する部位21が難透光部2xにより構成され、空洞領域CAに対応する部位22が難透光部2xと透光部2yとをランダムに混在させて配したものである。以下、具体的に説明する。
【0019】
スクリーン本体1は、図1図3及び図5に示すように、右、左のフレーム3、4と、これら右、左のフレーム3、4の上端間を接続する上のフレーム5と、右、左のフレーム3、4の下端間を接続する下のフレーム6とを備えた枠状のもので、下のフレーム6には、接地体として右、左対をなす脚体62が設けられている。各フレーム3~6は、断面円形をなすパイプ材製のものであり、具体的には、非磁性体であるアルミパイプ素材により作られている。右、左のフレーム3、4は、起立姿勢をなすもので、上端3a、4a近傍部及び下端3b、4b近傍部の空洞領域CA側にそれぞれネジ挿通孔3x、4x、3y、4yが設けられている。上のフレーム5は水平姿勢をなすもので、右、左両端に下方に延出する垂下部51を有しており、それら両垂下部51の下端51a近傍部における空洞領域CA側にそれぞれネジ挿通孔51xが設けられている。下のフレーム6は水平姿勢をなすもので、右、左両端に上方に延出する起立部61を有しており、それら両起立部61の上端61a近傍部における空洞領域CA側にそれぞれネジ挿通孔61xが設けられている。
【0020】
そして、図5図7に示すように、右、左のフレーム3、4の上端3a、4aと上のフレーム5における垂下部51の下端51aとを上のフレーム接続部材7Aにより接続するとともに、図5に示すように、右、左のフレーム3、4の下端3b、4bと下のフレーム6における起立部61の上端61aとを下のフレーム接続部材7Bにより接続している。図5図7に示すように、上のフレーム接続部材7Aは、下側の片半部が右、左のフレーム3、4の上端部に嵌合するとともに、上側の片半部が上のフレーム5における垂下部51の下端部に嵌合する棒状のもので、非磁性体である合成樹脂製のものである。上のフレーム接続部材7Aの下側の片半部には、右、左のフレーム3、4のネジ挿通孔3x、4xに対応する雌ネジ孔71が形成されており、また、上側の片半部には、上フレームの垂下部51に設けられたネジ挿通孔51xに対応する雌ネジ孔71が形成されている。そして、接続用のネジvをネジ挿通孔3x、4x、51xから対応する雌ネジ孔71にそれぞれ螺合させ緊締することによって、右、左のフレーム3、4と上のフレーム5とが剛結されるようになっている。なお、73は、組立時に上のフレーム接続部材7Aをフレーム3、4に位置決めするための位置決め突起である。
【0021】
ここで、このスクリーンS1は、側縁部S1aすなわち断面円形をなすパイプ材製である右、左のフレーム3、4の外半部が表、裏両面に滑らかに連続する凸曲面を有し、非磁性体製の磁石ホルダ72と、この磁石ホルダに保持された連結用の磁石Mとを具備してなり、その磁石Mを保持した磁石ホルダ72が、スクリーンS1の側縁部S1aを構成する右、左のフレーム3、4内に、スクリーンS1の側縁部S1aの凸曲面を維持した状態で取り付けられている。以下、磁石ホルダ72の取付態様について説明する。
【0022】
すなわち本実施形態では、右、左対をなす上のフレーム接続部材7Aの下端に、それぞれ対応する右、左のフレーム3、4内に延出する磁石ホルダ72が形成されており、磁石ホルダ72の内面(より具体的には、後述するホルダ本体721の内周面721a)とフレームの内周面3s、4sとの間に基準の磁石Mを収容する磁石収容室72sが形成されている。一方、下のフレーム接続部材7Bは、以上で説明した上のフレーム接続部材7Aを上下に反転させたものであり、同一又は対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。しかして、下のフレーム接続部材7Bの磁石ホルダ72の内面(より具体的には、後述するホルダ本体721の内周面721a)とフレームの内周面3s、4sとの間に下方の磁石Mを収容する磁石収容室72sが形成されている。
【0023】
ここで磁石収容室72sに関連して磁石Mの取付け構造について説明する。このスクリーンS1は、図4図7に示すように、他のスクリーンS2を連結すべき縁部に磁石収容室72sを設け、その磁石収容室72s内に連結用の磁石Mを遊動可能に収容してなるものである。磁石収容室72sの内壁面の少なくとも一部は円弧面Rをなしており、その磁石収容室72sに収容された磁石Mが円弧面Rに2つの隣接する角部Ma、Maを同時に線接触させ得る角柱状をなしている。この実施形態の磁石Mは、4つの角部Maを有する四角柱状のもので、隣接する一対の角部Ma(n)、Ma(n)間に位置する部位がN極となり、他方の隣接する一対の角部Ma(s)、Ma(s)間に位置する部位がS極となるように着磁されている。なお、下段の磁石Mは、基本の磁石Mと同一のものであるとともに、これら両磁石Mの角部Ma(n)、Ma(n)が線接触する円弧面Rも共通のフレーム4の内周面4sの一部であるため、詳細な図示及び説明を省略する。
【0024】
以上の記述内容を請求項の記載に対応させて説明すれば、このスクリーンS1は、縁部に磁石収容室72sを設け、その磁石収容室72s内に前述した連結用の磁石Mを遊動可能に収容してなるものであって、磁石収容室72sが内側に円弧面Rを有したものであり、磁石Mは、前記円弧面Rに2つの隣接する角部Maを同時に線接触させ得る四角柱状のものである。詳述すれば、このスクリーンS1は、枠状に接続された複数のフレーム3、4、5、6を有し、そのフレーム3、4内に磁石収容室72sが設けられている。そして、突き合わせた両フレーム3と5、4と5に内嵌する上のフレーム接続部材7A、及び、突き合わせた両フレーム3と6、4と6に内嵌する下のフレーム接続部材7Bを有し、これらのフレーム接続部材7A、7Bを利用して磁石収容室72sがそれぞれ形成されている。フレーム3、4、5、6は、断面円形をなす非磁性体製のパイプ材により構成されたものであり、このフレーム3、4の内周面3s、4sの少なくとも一部を、前述した円弧面Rとして使用している。フレーム接続部材7A、7Bは、非磁性体製のもので、その一端に一方のフレーム3、4内に延出する磁石ホルダ72を有してなり、この磁石ホルダ72の内面721aと前記一方のフレーム3、4の内周面3s、4sとの間に磁石収容室72sがそれぞれ形成されており、前記フレーム3、4の内周面3s、4sの少なくとも一部を円弧面Rとして使用している。具体的には、各フレーム3、4の外方端側の片半部における内周面3s、4sをそれぞれ磁石Mの隣接する2つの角部Maが線接触する円弧面Rとしている。フレーム3と5を接続する上のフレーム接続部材7A、及びフレーム4と5を接続する上のフレーム接続部材7Aは、それぞれその下端面から磁石ホルダ72をフレーム3、4内に向けて延出させており、これらフレーム接続部材7Aと対応する磁石ホルダ72とは、合成樹脂による一体成型により作られている。また、フレーム3と6を接続する下のフレーム接続部材7B、及びフレーム4と6を接続する下のフレーム接続部材7Bは、それぞれその上端面から磁石ホルダ72をフレーム3、4内に向けて延出させており、これらフレーム接続部材7Bと対応する磁石ホルダ72とは、合成樹脂による一体成型により作られている。しかして、この実施形態の場合には、フレーム接続部材7Aとフレーム接続部材7Bとは、共通の金型により作られた一体成型部品を上下反転させたものである。
以上説明した構造について観点を変えて説明すれば、このスクリーンS1は、非磁性体製の磁石ホルダ72と、この磁石ホルダ72に保持された連結用の磁石Mとを備え、その磁石Mを保持した磁石ホルダ72がスクリーン本体1の縁部に取り付けられている。詳述すれば、スクリーン本体1は、フレーム3~6を主体に構成されたフレーム構造をなすものであり、スクリーン本体1の縁部を構成する右、左のフレーム3、4に磁石ホルダ72が磁石Mとともに仕込まれている。具体的には、磁石ホルダ72は、フレーム接続部材7A、7Bの端面から突設されフレーム3、4の内周面3s、4sの一部(内方側の片半部)に添接する部分円筒体状をなすホルダ本体721と、このホルダ本体721の突出端に設けられフレーム接続部材7A、7Bと協働して磁石Mの上下動を規制する端板部722とを備えたもので、合成樹脂によりフレーム接続部材7A、7Bとともに一体に成型されている。しかして、磁石収容室72sは、部分円弧状をなすフレーム3、4の内周面3s、4sの一部(外方側の片半部)と、この内周面3s、4sに対向するホルダ本体721の内周面721aとの間に形成されたもので、磁石収容室72sの上下端はフレーム接続部材7A、7Bと磁石ホルダ72の端板722とによって塞がれている。
【0025】
以上説明したスクリーン本体1に装着される表装材2A、2Bについて説明すれば、次の通りである。スクリーン本体1の一面側に張設された表の表装材2Aと、他面側に張設された裏の表装材2Bは、全体として袋状をなすようにフレーム3~6の外側において連続させてある。すなわち、これら表の表装材2Aと裏の表装材2Bは、例えば、上縁と左右両側縁とが繋がった袋状の編み物として編み上げられ、スクリーン本体1に上から被せて下縁同士を接続することによってフレーム3~6の外側に添設されるものである。この実施形態の表装材2A、2Bは、糸素材2sを用いて作られたニットであり、難透光部2xは、糸素材2sが比較的密に編まれた編み目状構造をなすものであるとともに、透光部2yは糸素材2sが存在しない孔状をなすものである。図8は、図2における領域Xに存在する表の表装材2Aのみを拡大して示すものである。すなわち、表の表装材2Aは、編み目構造をなして連続する難透光部2xの間に多数の孔状の透光部2yがランダムに点在しているものである。裏の表装材2Bも表の表装材2Aに準じた構成をなすもので、遠くから見た場合には両者は同じ印象を与えるが、透光部2yが難透光部2xに対してランダムに配されているので、表、裏の表装材2A、2Bは細かく正確に比較した場合、全く異なったパターン形状をなしている。なお、表の表装材2Aは、前述したような形態のものとし、裏の表装材2Bは、表の表造材2Aと同じランダムパターンを有した表装材を表裏反転させた形態のものとしてもよい。
【0026】
<他方のスクリーンS2>
他方のスクリーンS2は、平面視L状をなすL型タイプのものであり、枠状をなすスクリーン本体1と、このスクリーン本体1の両面に配された対をなす表装材2A、2Bとを具備してなる。
【0027】
スクリーン本体1の構成は、上のフレーム5と下のフレーム6とが中央で直角に屈曲している点と、下のフレーム6の下に脚体62に代えて接地体であるアジャスタ63が設けられている点、及び、下のフレーム6の屈曲部下面側にウエイト板64が設けられている点が一方のスクリーンS1と異なっており、基本的には一方のスクリーンS1と同じ考え方で構成されている。表、裏の表装材2A、2Bについても、一方のスクリーンS1の場合と同じように袋状に編み上げた状態でフレーム本体に被せ、それら表裏の表装材2A、2Bの下縁同士を下フレームの下面側で接続することによりフレーム本体に装着されている。そのため、一方のスクリーンS1と同一又は相当する部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0028】
なお、これら両スクリーンS1、S2の接地体は、相互に異なった形式のものであるが、その支持高さは揃えてある。すなわち、少なくとも両スクリーンS1、S2の基本の磁石Mの高さ位置Hは同じになるように(床面Fと各磁石Mとの間の離間距離が同じになるように)設定されている。そして本実施形態では、両スクリーンS1、S2における基本の磁石Mと下段の磁石Mとの間の距離である下方離間距離Zも同じになるように設定されている。
【0029】
また、このスクリーンS2も、側縁部S2aすなわち断面円形をなすパイプ材製である右、左のフレーム3、4の外半部が表、裏両面に滑らかに連続する凸曲面を有し、非磁性体製の磁石ホルダ72と、この磁石ホルダに保持された連結用の磁石Mとを具備してなり、その磁石Mを保持した磁石ホルダ71が、スクリーンS2の側縁部S2aを構成する右、左のフレーム3、4内に、スクリーンS2の側縁部S2aの凸曲面を維持した状態で取り付けられている。磁石ホルダ72の取付態様は、前述したスクリーンS1におけるものと同様であるため、同一又は対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
<第1の実施形態の作用効果>
このような構成のものであれば、各スクリーンS1、S2の側縁部S1a、S2aに磁石Mがそれぞれ仕込まれているので、両スクリーンS1、S2同士を磁石Mの磁力により横連結して使用することができ、また、横連結の必要がなくなった場合には、磁石Mの磁力に抗して両スクリーンS1、S2を引き離すだけでよい。そのため、格別な連結部品の取り付けや取り外しを伴うことなしに、スクリーンS1、S2同士を装脱することができる。
【0031】
また、磁石MはスクリーンS1、S2の側縁部に形成された磁石収容室72s内に遊動可能に収容されており、その磁石収容室72sの内側には磁石Mが接する円弧面Rが形成されているため、磁石Mが自在にその向きを変えることができ、比較的自由な角度でスクリーンS1、S2同士を連結するができる。
【0032】
しかも、磁石Mは、磁石収容室72sの円弧面Rに2つの隣接する角部Ma、Maを同時に線接触させ得る四角柱状のものであるため、スクリーンS1、S2同士を安定した状態で横連結することができる。
【0033】
すなわち、玩具等の分野においては、積み木状のピースの縁部に磁石を遊動可能に埋設しておき、磁石の磁力により複数のピースを連結して遊ぶものが開発されているが、このような構成をスクリーンに適用するだけでは安定した連結が難しい。具体的には、このような玩具では、前記ピースの縁部内に断面円形の磁石収容室を形成しておき、その磁石収容室内に当該磁石収容室の内径よりも小さな外径を有する円柱状の磁石を遊動可能に収容しているが、かかる磁石は接続時には磁石収容室の円弧状をなす磁石収容室の内周面に1箇所で線接触することになる。そのため、前記磁石は1本の線接触部分を軸にして首を振るように振動し易い。したがって、スクリーンにこのような構造を利用するとスクリーン同士を安定して接続するのが難しく、例えば、スクリーンが揺れると磁石が振動して磁力が不安定になるだけでなく、当該磁石が磁石収容室の内周面に繰り返し衝突し異音が発生するなどといった問題を招くおそれがある。
【0034】
これに対して、本実施形態のものでは、スクリーンS1、S2同士を横連結した場合、図4に示すように、磁石Mの隣接する2つの角部Ma(n)、Ma(n)或いは、隣接する2つの角部Ma(s)、Ma(s)が、磁石収容室72sの円弧面Rにそれぞれ線接触することになる。そのため、各磁石Mは、それぞれ2か所の線接触部分を足場にしてお互いに引き合うことになる。その結果、磁石Mが線接触部分を軸にして首振り運動を行う可能は低く、特に、本実施形態のように2本の線接触部分同士の離間距離が磁石Mの略全幅寸法に匹敵するほどに離れるようにしておけば、磁石Mの振動をほぼ確実に抑止することができる。したがって、スクリーンS1、S2が人の接触等によって揺れ動くことがあっても、磁石M自体が首振り振動を起こすことはなく、磁力が不安定になったり磁石Mがフレーム3、4の内周面3s、4sに衝突して異音が発生したりするような不具合は生じない。
<<第2の実施形態>>(図10図11
本発明の第2の実施形態を、図10図11を参照しつつ説明する。なお、前述した第1の実施形態におけるものに対応する部分には同一の名称及び符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
この実施形態のスクリーンS3は、縁部S3aに磁石収容室72sを設け、その磁石収容室72s内に連結用の磁石Mを遊動可能に収容してなる。磁石収容室72sは、内側に円弧面Rを有したものであり、磁石Mは、円弧面Rに2つの隣接する角部Ma、Maを同時に線接触させ得る四角柱状のものである。すなわち、この実施形態のスクリーンS3は、周壁B720の内側に磁石収容室72sを形成してなる磁石ホルダB72を縁部S3aに装着したものであって、その周壁B720の内面の少なくとも一部を前述した円弧面Rとしている。具体的には、周壁B720における外壁部分B721の内面を磁石Mの角部Ma、Maが線接触する円弧面Rとしている。
【0036】
詳述すれば、この実施形態のスクリーンS3は、図10に示すように、第1の実施形態と同様にフレーム構造をなすスクリーン本体1を備えたものであり、スクリーンS3の側縁部S3aを形成するスクリーン本体1の右、左のフレーム3、4に磁石ホルダB72が磁石Mとともに仕込まれている。なお、この実施形態では、右のフレーム3は上半部31及び下半部32を図示しないフレーム接続部材等を介して接続してなるものであり、上半部31は上のフレーム5に、また下半部32は下のフレーム6に、それぞれ一体に設けられている。また、左のフレーム4も上半部41及び下半部42を図示しないフレーム接続部材等を介して接続してなるものであり、上半部41は上のフレーム5に、また下半部42は下のフレーム6に、それぞれ一体に設けられている。
【0037】
前述した第1の実施形態では、磁石ホルダがフレーム接続部材に一体的に設けられたものであったが、この第2の実施形態のスクリーンS2は、図10に示すように、フレーム3、4の所定箇所に穴3n、4nを形成しておき、その穴3n、4nに箱状をなす磁石ホルダB72が磁石Mを保持した状態で嵌め込まれている。フレーム3、4に穿設された穴3n、4nは例えば長方形状のものであり、外側方に開放されている。磁石ホルダB72は、周壁B720を備えた有底箱状のもので、フレーム3、4の穴3n、4nに外側から嵌合させ得る寸法形状をなしている。磁石ホルダB72は、図11に示すように、周壁B720の外壁部分B721がフレーム3、4と同一径をなす部分円弧状に湾曲した形状をなしており、磁石ホルダB72をフレーム3、4に嵌着した状態では磁石ホルダB72の外面すなわち外壁部分B721の外面B72aがフレーム3、4の外周面3t、4tと面一に連続するようになっている。B723は、磁石ホルダB72の両側壁部分B722の外面に突設された抜け止め用突条である。この突条B723は、部材の一時的な弾性変形を利用してフレーム3、4内に挿入されるようになっている。なお、図11には左のフレーム4への基本の磁石Mを保持した磁石ホルダB72の取付構造のみを示しているが、右のフレーム3への基本の磁石Mを保持した磁石ホルダB72の取付構造は、図11に示したものと左右対称である。また、右、左のフレーム3への下段の磁石Mを保持した磁石ホルダB72の取付構造も、基本の磁石Mを保持した磁石ホルダB72の取付構造と全く同一である。
【0038】
この実施形態の場合も、枠状に組まれたフレーム3~6が、第1の実施形態と同様に表、裏の表装材2A、2Bによりくるまれるため、スクリーンS3の側縁部S3aは、表、裏両面に滑らかに連続する凸曲面をなすものであり、磁石ホルダB72をフレーム3、4に装着した状態でも、側縁部S3aの凸曲面形状は維持される。
【0039】
このような構成であれば、スクリーンS3同士を磁石Mの磁力により装脱可能に横連結することができる。そして、磁石MはスクリーンS3の側縁部に形成された磁石収容室72s内に遊動可能に収容されており、その磁石収容室72sの内側には磁石Mが接する円弧面Rが形成されているため、磁石Mが自在にその向きを変えることができ、比較的自由な角度でスクリーンS3同士を連結するができる。
【0040】
しかも、磁石Mは、磁石収容室72sの円弧面Rに2つの隣接する角部Ma、Maを同時に線接触させ得る四角柱状のものであるため、第1の実施形態のものと同様にスクリーンS3同士を安定した状態で横連結することができる。
【0041】
なお、この第2の実施形態の場合、磁石ホルダは樹脂等の非磁性体製のものであることは必須であるが、フレームがアルミ等の非磁性体製のものであることは必須ではなく、鉄等の磁性体製のフレームにも適用が可能である。
<<第3の実施形態>>(図12図13
本発明の第3の実施形態を、図12図13を参照しつつ説明する。なお、前述した第1の実施形態におけるものに対応する部分には同一の名称及び符号を付して詳細な説明は省略する。
【0042】
この実施形態のスクリーンS4は、縁部S4aに磁石収容室72aを設け、その磁石収容室72a内に連結用の磁石Mを遊動可能に収容してなる。磁石収容室72aは、内側に円弧面Rを有したものであり、磁石Mは、円弧面Rに2つの隣接する角部Ma、Maを同時に線接触させ得る四角柱状のものである。すなわち、この実施形態のスクリーンS4は、周壁C721の内側に磁石収容室72sを形成してなる磁石ホルダC72を縁部S4aに装着したものであって、その周壁C721の内面の少なくとも一部を前述した円弧面Rとしている。
【0043】
詳述すれば、この実施形態のスクリーンS4は、図12に示すように、パネル構造をなすスクリーン本体C1を備えたものである。すなわち、スクリーン本体C1は、パネルC2を主体に構成されたものであり、そのパネルC2の縁部C2aに形成した凹陥部C2xに非磁性体製の磁石ホルダC72が磁石Mとともに嵌着されている。図13に示すように、パネルC2は、例えば、縁部C2aが断面半円弧状の凸曲面をなすものであり、凹陥部C2xはパネルC2の縁部を一部切除することにより形成されている。磁石ホルダC72は、周壁C721を有する有底箱形のもので断面形状が凹陥部C2xの断面形状に合致する形態をなしている。そのため、磁石ホルダC72の周壁C721の外面C72aとパネルC2の縁部C2aの外面C2bとが面一に連続するようになっているとともに内面側に半円弧状をなす円弧面Rが形成されている。しかして、この実施形態のスクリーンS4も、その側縁部S4aが、表、裏両面S4b、S4bに連続する凸曲面をなすものであり、磁石ホルダC72をパネルC2に装着した状態でも、側縁部S4aの凸曲面形状は維持される。なお、図13には、基本の磁石Mを保持した磁石ホルダC72の取付構造のみを示しているが、下段のMを保持した磁石ホルダC72の取付構造も全く同様である。
【0044】
このような構成のものであれば、スクリーンS4同士を磁石Mの磁力により装脱可能に横連結することができる。そして、磁石MはスクリーンS4の側縁部に形成された磁石収容室72s内に遊動可能に収容されており、その磁石収容室72sの内側には磁石Mが接する円弧面Rが形成されているため、磁石Mが自在にその向きを変えることができ、比較的自由な角度でスクリーンS3同士を連結するができる。
【0045】
しかも、磁石Mは、磁石収容室72sの円弧面Rに2つの隣接する角部Ma、Maを同時に線接触させ得る四角柱状のものであるため、第1の実施形態のものと同様にスクリーンS3同士を安定した状態で横連結することができる。
【0046】
<<他の実施形態>>
本発明は、以上に述べた各実施形態に限られない。
【0047】
前述した各実施形態は、磁石を磁石ホルダに保持させた状態でスクリーン本体に仕込む場合について説明したが、スクリーン本体内に空洞を形成し、その空洞内に直接四角柱状の磁石を遊動可能に収容してもよい。この場合には、空洞の内周面の一部又は全部を磁石の隣接する2つの角部が線接触する円弧面とすればよい。
【0048】
また、磁石は、円弧面に線接触する2つの角部の離間距離が当該磁石の全幅寸法に近くなる形態のものであれば、どのようなものであってもよい。以上説明した実施形態では、全ての角部に丸みをつけたものについて説明したが、角を尖らせた狭義の四角柱状のものにするなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
S1~S4…スクリーン
S1a~S4a…スクリーンの側縁部
1、C1…スクリーン本体
3~6…フレーム
3s…内周面
4s…内周面
7A、7B…フレーム接続部材
C2…パネル
C2x…凹陥部
72、B72、C72…磁石ホルダ
72s…磁石収容室
D2…表装材
M…磁石
Ma…角部
Ma(n)…N極側の一対の角部
Ma(s)…S極側の一対の角部
R…円弧面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13