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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】燃焼器及びガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F23D 23/00 20060101AFI20240517BHJP
   F23D 14/58 20060101ALI20240517BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F23D23/00 Z
F23D14/58 A
F23R3/28 B
F23R3/28 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018217340
(22)【出願日】2018-11-20
(65)【公開番号】P2020085284
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】八木 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】百々 聡
(72)【発明者】
【氏名】苅宿 充博
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】岩▲崎▼ 則昌
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-194405(JP,A)
【文献】特開2013-170813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0074510(US,A1)
【文献】特開2017-187186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0005542(US,A1)
【文献】特開平7-71725(JP,A)
【文献】特開2013-44234(JP,A)
【文献】特開2018-189285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/46
F23D 14/58
F23D 23/00
F23R 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に燃焼室を形成する燃焼器ライナ、前記燃焼器ライナの外周を覆い前記燃焼器ライナとの間に圧縮空気を導く環状流路を構成する外筒、空気と混合前の燃料を噴射する複数の燃料ノズル、及び複数の前記燃料ノズルに燃料を分配するマニホールドを備えた多段燃焼方式の燃焼器において、
前記マニホールドが、
前記燃焼器ライナの中心軸上に配置されており、
前記外筒に連結され、前記外筒の前記環状流路を流れる圧縮空気の流れ方向下流側端部を塞ぐように設置されたケーシングと、
前記燃焼器ライナの中心軸方向に並べて前記ケーシングに組み入れられた複数の隔壁とを備え、
前記複数の隔壁により隔てられた複数のキャビティが、前記ケーシングの内部に前記燃焼器ライナの中心軸方向に積層して形成され、それぞれ対応する複数の前記燃料ノズルに接続しており、
一のキャビティと対応する前記燃料ノズルとを接続する燃料通路が、前記燃焼室側に突出するように、対応する前記隔壁に接合されて他のキャビティを貫通している燃焼器。
【請求項2】
請求項1の燃焼器において、前記燃料ノズルが、前記ケーシングの前記燃焼室に対向する端面に設けられている燃焼器。
【請求項3】
請求項の燃焼器において、前記燃料ノズルが、前記端面に設けた孔である燃焼器。
【請求項4】
請求項1の燃焼器において、前記複数のキャビティに対する各燃料入口が、前記マニホールドの外周面に設けられている燃焼器。
【請求項5】
請求項1の燃焼器において、前記複数のキャビティに対する各燃料入口が、前記マニホールドの前記燃焼室と反対側の端面に設けられている燃焼器。
【請求項6】
請求項の燃焼器において、前記燃料通路が前記ケーシングの前記燃焼室に対向する端面を貫通し、前記端面を貫通して前記ケーシングの外部に突出した燃料通路の端部の外周部に燃料噴孔が設けられている燃焼器。
【請求項7】
圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された圧縮空気を燃料と共に燃焼する請求項1の燃焼器と、
前記燃焼器で発生した燃焼ガスで駆動されるタービンと
を備えたガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のキャビティ(マニホールド空間)を備えた多段燃焼式の燃焼器及びこれを備えたガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
低NOx型のガスタービンとして、予混合燃焼バーナを備えた多段燃焼式の燃焼器が採用される場合がある。このような多段燃焼方式の燃焼器では、順次着火される予混合燃焼用ノズルにそれぞれ燃料を供給する燃料配管が、対応するキャビティ(マニホールド空間)を介して燃料母管に接続している(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-135910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多段燃焼方式を採用すると燃料系統毎にキャビティが必要であり、更にキャビティを各燃料ノズルに接続する燃料配管や、燃料母管を各キャビティに分岐する配管等が必要となり、燃料系統が複雑で大型化する傾向にある。また配管経路が長く燃料の排熱ロスが大きい。
【0005】
本発明の目的は、複数のキャビティ(マニホールド空間)の配置効率を向上させ、燃料の排熱ロスを低減することができる多段燃焼方式の燃焼器及びこれを備えたガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、内部に燃焼室を形成する燃焼器ライナ、前記燃焼器ライナの外周を覆い前記燃焼器ライナとの間に圧縮空気を導く環状流路を構成する外筒、空気と混合前の燃料を噴射する複数の燃料ノズル、及び複数の前記燃料ノズルに燃料を分配するマニホールドを備えた多段燃焼方式の燃焼器において、前記マニホールドが、前記燃焼器ライナの中心軸上に配置されており、前記外筒に連結され、前記外筒の前記環状流路を流れる圧縮空気の流れ方向下流側端部を塞ぐように設置されたケーシングと、前記燃焼器ライナの中心軸方向に並べて前記ケーシングに組み入れられた複数の隔壁とを備え、前記複数の隔壁により隔てられた複数のキャビティが、前記ケーシングの内部に前記燃焼器ライナの中心軸方向に積層して形成され、それぞれ対応する複数の前記燃料ノズルに接続しており、一のキャビティと対応する前記燃料ノズルとを接続する燃料通路が、前記燃焼室側に突出するように、対応する前記隔壁に接合されて他のキャビティを貫通している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数のマニホールドの配置効率を向上させ、燃料の排熱ロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る燃焼器を適用するガスタービンの一構成例を表す図
図2】本発明に係る燃焼器を適用するガスタービンに備えられた燃焼器の一構成例を表す部分断面図
図3図2の燃焼器を燃焼室側から見た図
図4】本発明の第1実施形態に係る燃焼器に備えられたマニホールドの構造を表す断面図であり、図3中のIV-IV線による断面図
図5】本発明の第2実施形態に係る燃焼器に備えられたマニホールドの構造を表す断面図であり、図4に対応する図
図6】本発明の第3実施形態に係る燃焼器に備えられたマニホールドの構造を表す断面図であり、図4に対応する図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
-ガスタービン-
図1は本発明に係る燃焼器を適用するガスタービンの一構成例を表す図である。図1に示したガスタービンは単軸のガスタービンであるが、いわゆる二軸式ガスタービンにも本発明は適用可能である。
【0011】
図1に示したガスタービン100は、圧縮機1、燃焼器2及びタービン3を備えている。圧縮機1とタービン3は、シャフト(不図示)により相互に連結されている。圧縮機1はタービン3により回転駆動され、吸気部5を介して吸い込まれた空気6を圧縮して高圧の圧縮空気を生成し燃焼器2に供給する。燃焼器2は圧縮機1から供給された圧縮空気と燃料とを混合して燃焼し、高温の燃焼ガス7を生成してタービン3に供給する。タービン3は、燃焼器2から供給された燃焼ガス7により駆動される。タービン3又は圧縮機1には、発電機やポンプ等の負荷機器(不図示)が連結される。負荷機器としてタービン3に発電機が連結されると、タービン3の回転動力から圧縮機1を駆動するための動力を差し引いた動力が発電機で電力に変換される。タービン3を駆動した燃焼ガス7は、タービン排気として大気に放出される。
【0012】
-燃焼器-
図2は本発明に係る燃焼器を適用するガスタービンに備えられた燃焼器の一構成例を表す部分断面図、図3図2の燃焼器を燃焼室側から見た図である。
【0013】
燃焼器2は多段燃焼方式のものであってガスタービンのケーシング4(図1)の内部に挿入されており、燃焼器ライナ10、外筒20、バーナ30及びマニホールド40を備えている。
【0014】
燃焼器ライナ10は内部に燃焼室11を形成する円筒状の部材であり、バーナ30に対して燃料噴射方向の下流側(図2中の右側)に位置している。燃焼器ライナ10で画定される内側の空間が燃焼室11であり、バーナ30から供給される燃料が空気と共に燃焼室11で燃焼し燃焼ガス7が発生する。
【0015】
外筒20は燃焼器ライナ10の外周を覆っており、燃焼器ライナ10との間に形成された環状の空間は、圧縮機1からバーナ30の上流側に圧縮空気A2を導く環状流路21を構成している。環状流路21に流入した圧縮空気A2は燃焼器ライナ10を対流冷却する。また、環状流路21を流れる圧縮空気A2の一部は、燃焼器ライナ10の外周部に設けられた多数の冷却孔(不図示)から燃焼器ライナ10の内部へ流入し、燃焼器ライナ10のフィルム冷却に使用される。冷却孔に流入しなかった残りの圧縮空気A2は環状流路21を通ってバーナ30に供給される。バーナ30に供給された圧縮空気A2は、マニホールド40から分配されて拡散燃焼用の燃料ノズル31a(図3)又は予混合燃焼用の燃料ノズル32a-32c(図4)から噴射された燃料と混合して、上記の通り燃焼室11で燃焼する。
【0016】
-バーナ-
バーナ30は、拡散バーナ31及び予混合バーナ32を備えている。拡散バーナ31は拡散燃焼方式のバーナであり、燃料ノズル31aと旋回器31bを備えている。燃料ノズル31aは燃焼器2の中心軸上に配置されており、先端(図1中の右端)に燃料噴孔を備えていて、燃料噴孔から燃焼室11に(図1中の右方向に)燃料を直接噴射する。旋回器31bは燃料ノズル31aの先端付近の外周を囲むようにして設けられており、旋回空気流を噴射することで拡散バーナ31の燃焼安定性を高めている。
【0017】
予混合バーナ32は予混合燃焼方式のバーナであり、内筒32d、外筒32e、複数の隔壁(予混合器ベーン)32g、複数の燃料ノズル32a-32c(図4)を備えている。内筒32d及び外筒32eは予混合器を形成する円筒状の部材であり、内筒32dは拡散バーナ31の外周を覆い、外筒32eは更に内筒32dの外周を覆っている。内筒32d及び外筒32eの間に形成された円筒状の空間は環状流路21に接続している。複数(本例では16枚)の隔壁32gは、内筒32d及び外筒32eの間の円筒状の空間を複数(本例では16個)の予混合室32fに隔てている。予混合室32fは燃料と空気が混ざり合う空間である。予混合室32fの出口部分(予混合バーナ32に対して燃焼室11側)にはリング型の保炎器33が備わっている。保炎器33は下流(燃焼室11)に循環流を形成するために予混合気の流路に障害物として設けた物理保炎方式の保炎器である。隔壁32gは本例ではプレートで形成されており、燃焼室11から見て放射状に配置されている。燃料ノズル32aは各予混合室32fに複数本(例えば2,3本)設けられている。燃料ノズル32aから噴射された燃料は予混合室32fで圧縮空気A2と混合された混合気となって燃焼室11に(図1中の右方向に)噴出する。
【0018】
-マニホールド-
図4は本発明の第1実施形態に係る燃焼器の要部構造を表す断面図であり、図3中のIV-IV線による断面図である。図4において予混合器(内筒32d、外筒32e及び隔壁32g)は図の煩雑防止のため図示省略してある。
【0019】
マニホールド40は、複数の燃料ノズル(燃料ノズル31a,32a-32cのうち少なくとも予混合燃焼用の燃料ノズル32a-32c)に燃料を分配する要素である。このマニホールド40は、燃焼器ライナ10、外筒20、バーナ30と共にケーシング4の燃焼器室4a(図1)に収容され、燃焼器ライナ10の中心軸C上に配置されている(中心軸Cがマニホールド40を通っている)。マニホールド40は、ケーシング41、複数(本実施形態では3枚)の隔壁42-44を備えている。
【0020】
ケーシング41は、マニホールドの外郭をなす部材であり、円筒状の外周面41a、及び燃焼室11に対向する端面41bを含んで構成されている。外周面41aの燃焼室11側の端部開口が端面41bで塞がれた構成である。外周面41aの燃焼室11と反対側の端部は開口している。このケーシング41は例えば燃焼器2の外筒20に連結され、これにより上記の通りマニホールド40が燃焼器ライナ10の中心軸C上に配置されている。ケーシング41の端面41bには多数の予混合燃焼用の燃料ノズル32a-32cが設けられている。本実施形態において燃料ノズル32a-32は端面41bに設けた孔であるが、筒状の部材を燃焼室11側に突出させた構造のノズルとしても良い。端面41bは凹凸のない平板で構成されており、孔として燃料ノズル32a-32cはいずれも燃焼室11に向かって(中心軸C方向に)開口している。
【0021】
なお、本実施形態の燃焼器2は複数(本例では3つ)の燃料系統(不図示)を有し段階的にバーナの着火エリアを変化させられる多段燃焼方式であり、第1燃料系統(不図示)に接続するのが予混合燃焼用の燃料ノズル32aである。同様に第2燃料系統(不図示)に接続するのが予混合燃焼用の燃料ノズル32b、第3燃料系統(不図示)に接続するのが予混合燃焼用の燃料ノズル32cである。拡散燃焼用の燃料ノズル31a(図3)にも別途燃料系統が接続している。
【0022】
燃料ノズル32a-32cはリング状に配列されている(図3において保炎器33に隠れる配置である)。本実施形態では、燃料ノズル32b,32cを周方向に交互に配置し、更に燃料ノズル32b,32cの間に燃料ノズル32aを配置した構成を一例として示している。つまり、1つの予混合室32fに燃料ノズル32aが配置され、隣の予混合室32fには燃料ノズル32b、更に隣の予混合室32fには燃料ノズル32a、その更に隣の予混合室32fには燃料ノズル32cといった要領でレイアウトされている。各予混合室32fに、燃料ノズル32a,32b又は32cのいずれかが複数(2,3個)配置されている。
【0023】
隔壁42-44はマニホールド40の内部で複数(本例では3つ)の環状のキャビティ(マニホールド空間)45a-45cを画定する部材であり、燃焼器ライナ10の中心軸C方向に並べてケーシング41に組み入れられている。隔壁42-44は、燃焼器ライナ10の中心軸C上に位置すると共に中心軸C方向に対面しており、これら隔壁42-44で仕切られて形成されたキャビティ45a-45cはケーシング41の内部に中心軸C方向に積層(重畳)している。具体的には、ケーシング41の外周面41aの内側において端面41bと隔壁42とで画定された空間がキャビティ45aである。同じくケーシング41の外周面41aの内側において、隔壁42,43で画定された空間がキャビティ45b、隔壁43,44で画定された空間がキャビティ45cである。本実施形態ではキャビティが3つの場合を例示しているが、隔壁の枚数に応じてキャビティの数は増減できる。
【0024】
また、隔壁42には複数(第2燃料系統の予混合室32fと同数)の直管状の燃料通路P1が、隔壁43には複数(第3燃料系統の予混合室32fと同数)の直管状の燃料通路P2が、それぞれ燃焼室11側に突出して設けられている。燃料通路P1,P2は隔壁42,43に対して例えば溶接により接合されている。隔壁44には燃料通路は設けられておらず、隔壁44はキャビティ45cを画定すると共にケーシング41の端壁(蓋)の役割を兼ねる。本実施形態においては複数のキャビティが軸方向に積層した構造であるため、一のキャビティと対応する燃料ノズルとを接続する燃料通路が、他のキャビティを貫通してそれぞれ対応する複数の燃料ノズルに接続する構成としてある。具体的には、燃料通路P1はキャビティ45aを貫通し、キャビティ45bと燃料ノズル32bとを接続している。また、燃料通路P2はキャビティ45a,45bを貫通し、キャビティ45cと燃料ノズル32cとを接続している。キャビティ45aは燃料ノズル32aに直接接続している。
【0025】
また、キャビティ45a-45cに対する個々の燃料入口46a-46cは、マニホールド40の外周面41aに設けられている。燃料入口46aには第1燃料系統、燃料入口46bには第2燃料系統、燃料入口46cには第3燃料系統が接続している。各燃料系統を介してキャビティ45a-45cひいては燃料ノズル32a-32cに対する燃料の供給及び停止を独立して行うことができる。
【0026】
なお、図示省略されているが、燃料ノズル31aにも燃料系統が別途接続している。燃料ノズル31aに接続する燃料配管(不図示)は、例えばマニホールド40の中心(環状のキャビティ45a-45cの内側)を貫通して燃料ノズル31aに接続している。
【0027】
-効果-
(1)一般にマニホールド(キャビティ45a-45cに相当)は独立した容器状の部材で形成されるが、本実施形態ではケーシング41の内部を隔壁42-44で仕切って複数のマニホールド空間としてのキャビティ45a-45cを積層型に形成した。このようにキャビティ45a-45c(マニホールド空間)の配置効率を向上させてマニホールド40を小型化でき、燃焼器2に具備させる形でマニホールド40をガスタービンのケーシング4(圧力容器)に収容できる。
【0028】
(2)キャビティ45a-45cが燃焼器ライナ10の中心軸上に配置され、キャビティ45a-45cから燃料ノズル32a-32cに取り回す配管が不要となる又は短縮できることから、配管の部品点数を削減できると共に燃料系統を簡素化できる。燃料経路が短縮されるため燃料の排熱ロスも減少し、燃料がキャビティ45a-45cから分配されて燃料ノズル32a-32cから噴出されるまでの時間遅れも短縮され、着火時のバーナ30の信頼性の向上にも繋がる。また、同一のキャビティから対応する各燃料ノズルまでの燃料経路の差が小さいため、燃料ノズル間の燃料流量の偏りも抑えられ、安定した低NOx燃焼の実現にも貢献する。
【0029】
(3)隔壁42-44をケーシング41に組み入れる構成であるため、隔壁42-44の軸方向位置を変更することでキャビティ45a-45cの容積を容易に変更することができる。
【0030】
(4)一のキャビティと対応する燃料ノズルとを接続する燃料通路P1,P2が他のキャビティを貫通しているので、ここを通る燃料の断熱効果、燃料間の熱交換により熱応力の緩和、予熱による熱効率向上等の効果も見込める。
【0031】
(5)燃料ノズル32a-32cがマニホールド40のケーシング41における燃焼室11に対向する端面41bに設けられているので、構成の簡素化、燃料ノズル32a-32cに燃料を送る配管の省略又は短縮に貢献する。特に本実施形態では燃料ノズル32a-32がケーシング41の端面41bに設けた単なる孔であるため、構成が極めてシンプルである。
【0032】
(6)キャビティ45a-45cに対する各燃料入口46a-46cがマニホールド40の外周面41aに設けられているので、キャビティ45a-45cに対して燃料入口46a-46cが直接繋がっている。この点も配管効率の向上に寄与し得る。
【0033】
(第2実施形態)
図5は本発明の第2実施形態に係る燃焼器の要部構造を表す断面図であり、図4に対応する図である。図5において第1実施形態の要素と同一の又は対応する要素については既出図面と同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、燃料通路P1,P2がケーシング41の端面41bを貫通し、端面41bを貫通してケーシング41の外部に突出した燃料通路P1,P2の端部の外周部に燃料噴孔47が設けられている点である。燃料通路P1,P2の端面には燃料ノズル32b,32cが設けられている。燃料噴孔47は燃料通路P1,P2の半径方向に開口しており、燃料噴孔47からは燃焼器ライナ10の中心軸Cと直交する方向に燃料が噴出する。その他の点は第1実施形態と同様である。
【0035】
本実施形態においては、第1実施形態と同様の効果が得られる他、燃料噴孔47が追加されたことにより燃料噴射方向が多様になり、予混合室32fの内部に供給する燃料の偏りを抑えることができ、より安定した低NOx燃焼が実現できる。
【0036】
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態に係る燃焼器の要部構造を表す断面図であり、図4に対応する図である。図5において第1実施形態の要素と同一の又は対応する要素については既出図面と同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、キャビティ45a-45cに対する各燃料入口46a-46cがマニホールド40の燃焼室11と反対側の端面(本例では隔壁44)に設けられている点である。その他の点は第1実施形態と同様である。
【0038】
例えばガスタービンのケーシング4の燃焼器室4aのスペースの制限によりマニホールド40の外周面41aに燃料入口46a-46cを設けることが難しい場合には、本実施形態のようにマニホールド40に対する燃料入口46a-46cの位置を適宜変更できる。本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0039】
1…圧縮機、2…燃焼器、3…タービン、10…燃焼器ライナ、11…燃焼室、31a…燃料ノズル、32a-32c…燃料ノズル(孔)、40…マニホールド、41…ケーシング、41a…外周面、41b…端面、42,43…隔壁、44…隔壁(マニホールドの燃焼室と反対側の端面)、45a-45c…キャビティ、46a-46c…燃料入口、47…燃料噴孔、C…燃焼器ライナの中心軸、P1,P2…燃料通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6