(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】半導体製造装置のパイプを通して流体の流れを測定するための装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/40 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01F1/40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019218967
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-11-16
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】591004412
【氏名又は名称】ズス・マイクロテック・リソグラフィ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Suss MicroTec Lithography GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ケイダー・メキアス
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-016658(JP,A)
【文献】特開2015-155845(JP,A)
【文献】特開2004-279307(JP,A)
【文献】特表2017-512995(JP,A)
【文献】特開2013-015160(JP,A)
【文献】特開平05-248916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0242883(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/34-1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置(
700
)のパイプ(101)を通る流体の流れを測定するための装置(100)であって、
前記パイプ(101)に配置されたシーリング構造(103)と、
前記シーリング構造(103)の上流に配置された流体入口(107)と、前記シーリング構造(103)の下流に配置された流体出口(109)とを有するフロー構造(105)と、
前記シーリング構造(103)の上流のパイプ(101)に配置された第1のチャンバ(123)、および前記シーリング構造(103)の下流のパイプ(101)に配置された第2のチャンバ(125)と、
測定デバイス(111)であって、前記測定デバイス(111)は、前記第1のチャンバ(123)内の第1の流体圧力および前記第2のチャンバ(125)内の第2の流体圧力を測定するように適合されている、測定デバイス(111)と、を備え、
前記第1のチャンバ(123)および前記第2のチャンバ(125)が前記シーリング構造(103)によって互いに分離されており、
前記測定デバイス(111)は、前記第1および第2の流体圧力に基づいて流体の流れを決定するように構成されている、装置(100)。
【請求項2】
前記フロー構造(105)は、前記パイプ(101)内に延びている、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記フロー構造(105)は、複数のチューブ(201a~d
)を備えている、請求項1または2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記チューブは、前記シーリング構造(103)の貫通孔によって形成されている、請求項3に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記シーリング構造(103)は、シールされた障
壁である、請求項1ないし4のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記第1のチャンバ(123)および/または前記第2のチャンバ(125)は、シーリング構造(103)に接続されている、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記第1のチャンバ(123)および前記第2のチャンバ(125)は、それぞれ開口部(127,129)を有し、流体が前記第1のチャンバ、前記第2のチャンバ(123,125)それぞれに流入することを可能にしている、請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記第1のチャンバ(123)および/または前記第2のチャンバ(125)は、円錐形状である、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記第1のチャンバおよび/または前記第2のチャンバ(123,125)は、前記シーリング構造(103)と同軸に配置されている、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記測定デバイス(111)は
、流体接
続および/また
は圧力接続を介して前記第1のチャンバ(123)および前記第2のチャンバ(125)に接続され、前記第1および第2の流体圧力を測定する、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記測定デバイス(111)は、前記第1の流体圧力および前記第2の流体圧力を測定するための少なくとも1つの圧力センサ要素(311)を備えている、請求項1ないし10のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記測定デバイス(111)は、前記第1および第2の流体圧力との圧力差に基づいて流体の流れを決定するように構成されている処理ユニットを備えている、請求項1ないし11のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記装置(100)は、前記パイプ内に配置された流量調整
器を備え、前記流量調整器は、流体の流れを制御するために調整することができる、請求項1ないし12のうちいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記測定デバイス(111)は、決定された流体の流れに基づいて前記流量調整器を制御するように構成されている、請求項13に記載の装置(100)。
【請求項15】
請求項1ないし14のうちいずれか1項に記載のパイプ(101)を通る流体の流れを測定するためのパイプ(101)および装置(100)を備えてい
る、半導体製造装置(
700)。
【請求項16】
前記パイプ(101)は、汚染流体のための排出ラインである、請求項15に記載の半導体製造装置(
700)。
【請求項17】
前記チューブ(201a~d)が整流チューブである、請求項3に記載の装置(100)。
【請求項18】
前記シーリング構造(103)がプラグである、請求項5に記載の装置(100)。
【請求項19】
前記流体接続が流体ラインであり、および/または前記圧力接続が圧力ポートまたは圧力ラインである、請求項10に記載の装置(100)。
【請求項20】
半導体製造装置(700)がコータまたはボンダである、請求項15に記載の半導体製造装置(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、半導体製造装置のパイプ内の流体の流れを測定するための測定技術に関する。特に、本発明は、パイプ内の流体の流れを測定するための装置、およびそのような装置を備えた半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コータやボンダなどの半導体プロセス機械は、半導体ウエハなどの基板の表面を処理するために様々な化学薬品を使用する。ウエハ処理は、多くの場合、そのような機械のプロセスチャンバ内で、汚染空気などの流体廃棄物を生成する。流体廃棄物は、通常、プロセスチャンバに接続され、プロセス排気ダクトとして機能する特別なパイプを介してプロセスチャンバから除去される。
【0003】
最適なウエハ処理を保証する手段として、このようなパイプを通る流体の流れを監視できる。例えば、予期しない流れの変化は、プロセス障害の兆候である。
【0004】
通常、流量計は、このような排気パイプを通る流体の流れを測定するために使用される。流量計は、通常、差圧式流量計であり、パイプの狭窄部の上流と下流のパイプ内の流体の圧力差を測定する。流体の流れは、両方の圧力の差から決定できる。
【0005】
これらのパイプ内の流体は、固体、腐食性液体、ペースト、ゲルなどの様々なプロセス材料で汚染されている可能性があり、流量測定が複雑になる。例えば、汚染は、流量計の圧力測定ポートを妨害し、ノイズの多い信号測定値につながる。
【0006】
さらに、流体内の乱流は、圧力センサでの圧力変動につながる可能性があり、これにより測定がさらに複雑になる。特に、これらの乱流は、圧力測定が通常行われるパイプの狭窄部の前後に発生する。
【0007】
乱流によるノイズの多い信号測定値または汚染による信号の損失は、流量計の制御システムを妨害する可能性がある。この制御システムは、流量レベルの測定値を安定させるため、より静かな制御が可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、パイプ内の流体の流れを効率的に測定するための装置を提供することであり、測定に対する流体の乱流および/または汚染の悪影響が低減される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態は、従属請求項、説明および図から明らかである。
【0010】
第1の態様によれば、本発明は、半導体製造装置のパイプを通る流体の流れを測定するための装置に関し、装置は、パイプに配置されたシーリング構造と、シーリング構造の上流に配置された流体入口と、シーリング構造の下流に配置された流体出口とを有するフロー構造と、シーリング構造の上流のパイプに配置された第1のチャンバと、シーリング構造の下流のパイプに配置された第2のチャンバと、測定デバイスであって、測定デバイスは、第1のチャンバ内の第1の流体圧力および第2のチャンバ内の第2の流体圧力を測定するように適合されている、測定デバイスと、を備え、測定デバイスは、第1および第2の流体圧力に基づいて流体の流れを決定するように構成されている。これは、パイプ内の流体の流れが、パイプ内の乱流および/または流体汚染によって乱されずに決定できるという利点を実現する。圧力測定はチャンバ内で実行されるため、このような乱流の影響を最小限に抑えることができる。
【0011】
装置は、流量計、特に、差圧流量計を形成できる。測定された流体の流れは、パイプ内の流量である。流体の流れは、例えば、毎分リットルで測定される。
【0012】
フロー構造は、パイプの制限を形成し、シーリング構造を通過するために、流体が通過する必要がある。これにより、流体入口の前および第1のチャンバ内の圧力が増加し、流体出口の背後および第2のチャンバ内の圧力が減少する。流体の流れは、両方のチャンバの異なる流体圧力の比較圧力測定に基づいて決定される。
【0013】
流体の乱流および流体汚染は、フロー構造の流体入口の前および流体出口の後に最も強くなる。しかしながら、チャンバ内の流体は、これらの乱流や汚染から保護されているため、測定信号に対するこれらの外乱の影響は大幅に低減される。
【0014】
流体は、気体状および/または液体状であり得る。流体は、例えば、汚染された空気である。汚染には、固体、腐食性液体、ペーストまたはゲルが含まれる。流体の温度は、最大500℃である。温度制限は、例えば、プラスチックなどの装置の構成材料によって異なる。
【0015】
パイプは、プロセスチャンバの排出ラインまたは排気ダクトであり得る。プロセスチャンバは、例えば、コータまたはボンダなどの半導体プロセス機械に配置することができる。半導体基板は、プロセスチャンバ内で化学処理され、汚染された流体を生じさせ、汚染流体は、プロセスチャンバからパイプを介して放出される。
【0016】
パイプは、銅、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属、またはPVCなどの合成材料で作られる。パイプは、亜鉛メッキされたパイプであり得る。
【0017】
一実施形態によれば、フロー構造はパイプ内に延びている。これは、装置のコンパクトな設計の利点を実現する。
【0018】
フロー構造は、パイプよりも小さい直径のチューブであり得、チューブは、パイプ内に延びている。
【0019】
また、フロー構造が、シーリング構造をバイパスする別個のチューブであることも考えられる。
【0020】
一実施形態によれば、フロー構造は、複数のチューブ、特に、整流チューブを備えている。これにより、フロー構造を通過する流体の乱流を低減するという利点が得られる。
【0021】
一実施形態によれば、チューブは、シーリング構造の貫通孔によって形成される。これは、装置のコンパクトな設計の利点を実現する。
【0022】
一実施形態によれば、シーリング構造は、シールされた障壁、特に、プラグである。これにより、パイプが効果的にシールされるという利点が得られ、流体は、フロー構造を介してのみシーリング構造を通過できる。
【0023】
一実施形態によれば、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバは、シーリング構造に接続される。これは、装置のコンパクトな設計の利点を実現する。
【0024】
一実施形態によれば、第1のチャンバおよび第2のチャンバは、それぞれ、流体が第1のそれぞれ第2のチャンバに流入することを可能にする開口部を有している。これにより、チャンバ内の流体圧力が各位置のパイプ内の流体圧力に調整され、正確な圧力測定、したがって、流量測定が可能になるという利点が得られる。
【0025】
一実施形態によれば、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバは円錐形状である。これにより、パイプ内の乱流をさらに低減するという利点が得られる。
【0026】
一実施形態によれば、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバは、シーリング構造と同軸に配置される。これにより、パイプ内の乱流をさらに低減するという利点が得られる。
【0027】
一実施形態によれば、測定デバイスは、第1および第2の流体圧力を測定するために、流体ラインなどの流体接続、および/または圧力ポートまたは圧力ラインなどの圧力接続を介して第1および第2のチャンバに接続される。これにより、チャンバ内の流体圧力を正確に測定できるという利点が得られる。
【0028】
一実施形態によれば、測定デバイスは、第1の流体圧力および第2の流体圧力を測定するための少なくとも1つの圧力センサ要素を備えている。これにより、圧力ポートでの流体圧力を効率的に決定できるという利点が得られる。
【0029】
測定デバイスは、チャンバ内の圧力を交互に測定する単一の圧力センサ要素、または2つの圧力センサ要素を有することができ、それぞれ1つのセンサ要素が1つのチャンバに割り当てられる。
【0030】
一実施形態によれば、測定デバイスは、第1の流体圧力と第2の流体圧力との間の圧力差に基づいて流体の流れを決定するように構成された処理ユニットを備えている。これにより、流体の流れを効率的に決定できるという利点が得られる。
【0031】
処理ユニットは、装置の制御ユニットであり得る。処理ユニットを測定デバイスに接続して、第1および第2の流体圧力を受信することができる。
【0032】
一実施形態によれば、装置は、パイプ内に配置された流量調整器、特に、フラップまたはタービンを備え、流量調整器は、流体の流れを制御するように調整することができる。これにより、パイプ内の流量を積極的に調整できるという利点が得られる。
【0033】
一実施形態によれば、測定デバイス、特に、処理ユニットは、決定された流体の流れに基づいて流量調整器を制御するように構成される。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、パイプと、本発明の第1の態様に係るパイプを通る流体の流れを測定する装置とを備える半導体製造装置、特に、コータまたはボンダに関する。これにより、乱流および/または流体の汚染によって、パイプ内の流体の流れが妨げられずに決定できるという利点が得られる。
【0035】
一実施形態によれば、パイプは、汚染された流体の排出ラインである。排出ラインは、半導体製造装置のプロセスチャンバから開始することができる。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、以下の図に関して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】パイプを通る流体の流れを測定するための装置の概略図を示している。
【
図2】代替実施形態に係るパイプを通る流体の流れを測定するための装置の概略図を示している。
【
図3】代替実施形態に係るパイプを通る流体の流れを測定するための装置の概略図を示している。
【
図4】
図3の装置のシーリング要素の断面図を示している。
【
図5】
図3の装置の流量調整器の概略図を示している。
【
図6】パイプを通る流体の流れを測定するための装置の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、一実施形態に係る、パイプ101を通る流体の流れを測定するための装置100の概略図を示している。
【0039】
装置100は、パイプ101内に配置されるシーリング構造103、シーリング構造103の上流に配置される流体入口107と、シーリング構造103の下流に配置される流体出口109とを有するフロー構造105、シーリング構造103の上流のパイプ101内に配置された第1のチャンバ123、およびシーリング構造103の下流のパイプ101内に配置された第2のチャンバ125を備えている。
【0040】
装置100は、測定デバイス111をさらに備え、測定デバイス111は、第1のチャンバ123内の第1の流体圧力および第2のチャンバ125内の第2の流体圧力を測定するように適合され、測定デバイス111は、第1および第2の流体圧力に基づいて流体の流れを決定するように構成されている。
【0041】
フロー構造105は、パイプ101内に延在し、シーリング構造103を貫通する単一のチューブである。フロー構造105は、パイプ101よりも小さい直径を有し、したがって、シーリング構造103を通過するために、流体が通過しなければならないパイプにそれぞれ狭窄部を形成している。
【0042】
フロー構造105の直径は、パイプ101の直径の75%未満であり得、好ましくは、フロー構造105の直径は、パイプ101の直径の50%未満であり、より好ましくは、フロー構造105の直径は、パイプ101の直径の25%未満である。フロー構造105は、システムの流れ範囲および差圧センサ範囲に対応する大きさである。
【0043】
それにより、フロー構造105は、少なくとも2cmの長さ、特に、少なくとも5cmの長さを有することができる。
【0044】
フロー構造105がパイプ101よりも小さい直径を有するという事実は、流体入口107の前の流体の圧力増加と、流体出口109の背後の流体の圧力低下とを引き起こす。流体入口107での増加した流体圧力は、第1のチャンバ123内に広がり、流体出口109での低下した流体圧力は、第2のチャンバ125内に広がる。
【0045】
したがって、第1のチャンバ123は、高圧チャンバであり、第2のチャンバ125は低圧チャンバである。シーリング構造103は、両方のチャンバ123,125間の圧力均等化を防止する。
【0046】
測定デバイス111は、各チャンバ内の流体圧力を測定するように構成された少なくとも1つの圧力センサ要素を備えている。次に、測定デバイス111は、測定された圧力差に基づいて流体の流量を決定する。特に、装置100は、ベルヌーイの方程式を使用して圧力測定値に基づいて流体の流れを決定する差圧流量計である。
【0047】
第1の流体圧力および第2の流体圧力を測定するために、測定デバイス111は、パイプ101の側壁に配置された2つの圧力ポート113,115を介して第1のチャンバ123および第2のチャンバ125に接続される。
【0048】
圧力ポート113,115は、パイプ101に固定され、各ポート113,115の流体圧力を測定デバイス111の圧力センサ要素(または複数の圧力センサ要素)に伝える圧力ポートアダプタまたは圧力ジョイントを備えることができる。
【0049】
両方の圧力ポート113,115は、第1の圧力ポート113が高圧タブとして作用し、第2の圧力ポート115が低圧タップとして作用するように、それぞれバルブを備えることができる。
【0050】
図1の装置100は、シーリング構造103の上流の第1のシール119と、シーリング構造の下流の第2のシール121とをさらに備えている。第1のチャンバ123は、第1のシール119とシーリング構造103との間のパイプ101内に形成され、第2のチャンバ125は、シーリング構造103と第2のシール121との間のパイプ101内に形成される。
【0051】
フロー構造105は、第1のシール119および第2のシール121を貫通し、第1のチャンバ123の上流からの流体が流体入口107に流れ込み、第2のチャンバ125の下流の流体出口109を通ってパイプ101に戻ることを可能にする。
【0052】
第1および第2のシール119,121は両方とも開口127,129を有し、第1のシール119の上流から第2のシール121のそれぞれ下流への流体が第1のそれぞれ第2のチャンバ123,125へ流れることを可能にする。
【0053】
第1のシール119は、流体入口107のレベルまたは流体入口107の直後に配置することができる。同様に、第2のシール121は、流体出口109のレベルまたは流体出口109の直前に配置することができる。したがって、チャンバ内の流体は、それぞれ流体出口109の背後、流体入口107の前の流体と等しいかまたは同様の圧力を有することになる。
【0054】
フロー構造105は、流体の狭窄部を形成し、これにより、流体入口107および/または出口109で流体乱流が引き起こされる可能性がある。これらの乱流は、圧力測定を妨害する圧力変動を引き起こし、例えば、高い測定ノイズをもたらす。さらに、流体汚染は、流体入口107および/または出口109に集まり、追加の外乱を引き起こす可能性がある。チャンバ123,125は、これらの乱流および流体の汚染から圧力測定値を保護し、流体圧力および流量の邪魔をされずノイズのない測定を可能にする。それにより、チャンバは、キャパシタンスとして機能し、測定信号を滑らかにする。
【0055】
チャンバ123,125は両方とも、圧力測定に影響を及ぼす汚染を防ぐために、フィルタまたは薄いダイアフラムを備えることができる。フィルタまたはダイアフラムは、開口部127,129に、またはチャンバ123,125の内側に配置することができる。
【0056】
図2は、代替実施形態に係る、パイプ101を通る流体の流れを測定するための装置100の概略図を示している。
【0057】
図2のフロー構造105は、パイプ101内に並んで配置された複数のチューブ201a~dを備えている。
【0058】
各チューブは、流体入口203a~dおよび流体出口205a~dを有している。チューブ201a~dは、流体の整流器を形成するように配置され、したがって、入口203a~dおよび/または出口205a~dでの流体の乱流を低減する。
【0059】
図3は、一実施形態に係る、パイプ101を通る流体の流れを測定するための装置100の概略図を示している。
【0060】
図3の装置100のチャンバ123,125は、円錐形であり、中央シーリング構造103に位置している。それにより、チャンバは、パイプ101よりも小さい直径を有している、すなわち、パイプ101を完全に満たさない。チャンバ123,125の形状および位置により、パイプ
101内の乱流の発生がさらに減少する。
【0061】
図3の測定デバイス111は、第1および第2の流体圧力を測定するための圧力センサ要素311を備えている。
【0062】
両チャンバ123,125と圧力センサ要素311との間の圧力接続は、2つの流体ライン301,303を介して部分的に実現される。流体ライン301,303は、シーリング構造103内のチャネルである。
【0063】
図3は、測定デバイス111に接続された制御ユニット305をさらに示している。制御ユニットは、測定デバイス111から流体圧力値を受信し、これらの値に基づいて流体の流量を計算する。
【0064】
制御ユニット305は、処理ユニットであっても、圧力値を受信して計算を実行する処理ユニットを備えてもよい。
【0065】
図3の装置100は、シーリング構造103の下流に位置する流量調整器309をさらに備えている。
【0066】
図4は、一実施形態に係る
図3の装置100のシーリング構造103の断面図を示している。
【0067】
図4に示される例示的な実施形態では、シーリング構造103、フロー構造105、およびチャンバ123,125は、装置100の単一の構成要素を形成している。
【0068】
図2に示される装置100と同様に、
図4のフロー構造105は、シーリング構造103に貫通孔として形成された複数のチューブ201a~cを備えている。この配置において、チューブ201a~cは、パイプ101内の乱流をさらに低減する整流器構造を形成している。
【0069】
チューブ201a~cおよびチャンバ123,125は、流体の安定した貫流を達成するために同軸に配置されている。
【0070】
図4はさらに、円錐形状のチャンバ123,125の開口部127,129が、チャンバコーンのそれぞれの先端に配置できることを示している。
【0071】
図5は、一実施形態に係る
図3の装置の流量調整器の概略図を示している。
【0072】
流量調整器309は、流体の流れを完全にまたは部分的に遮断することができるフラップを備えることができる。あるいは、流量調整器は、流体の流れを増加させることができるタービンを備えることができる。
【0073】
流量調整器309は、装置100の制御ユニット305に接続することができる。制御ユニット305は、決定された流体の流量を受信し、この値に基づいて流量調整器を制御することができる。
【0074】
例えば、流量が所定の範囲を超えると制御ユニット305が判断した場合、制御ユニット305は、例えば、流量調整器のフラップを閉じることにより、流量調整器309を制御して流体の流れを減少させる。流量調整器309の制御は、PID制御ループにより実現することができる。
【0075】
図6は、一実施形態に係る、パイプ101を通る流体の流れを測定するための装置100の概略図を示している。
【0076】
図6に示される設計では、シーリング構造103は、両端でシーリング構造103に接続されるパイプ10
1よりも大きい直径を有している。チャンバ123,125は、シーリング構造の一部を形成し、整流チューブ(図示せず)によって囲まれている。
【0077】
それにより、シーリング構造103、チャンバ123,125およびフロー構造105は、パイプ101を接続できる装置100の単一の構成要素を形成している。
【0078】
図7は、一実施形態に係る半導体製造装置700の概略図を示している。
【0079】
半導体製造装置
700は、パイプ101と、パイプ101を通る流体の流れを測定するための装置100とを備えている。半導体製造装置
700の装置100は、
図1、
図2または
図3の実施形態に係る装置100であり得る。
【0080】
半導体製造装置700は、ボンダ、コータ、マスククリーナまたは露光装置であり得る。
【0081】
半導体製造装置700は、プロセスチャンバ701を備えることができる。パイプ101は、プロセスチャンバ701の排出ラインまたは排気ダクトであり得る。半導体基板をプロセスチャンバ701内で化学処理して、汚染流体を生じさせ、汚染流体をパイプ101を介してプロセスチャンバから排出することができる。
【0082】
半導体製造装置700における半導体製造プロセス、例えば、コーティングプロセスは、パイプ102を通る流体の流れを測定することにより監視することができる。
【符号の説明】
【0083】
100 装置
101 パイプ
103 シーリング構造
105 フロー構造
107 流体入口
109 流体出口
111 測定デバイス
113 第1の圧力ポート
115 第2の圧力ポート
119 第1のシール
121 第2のシール
123 第1のチャンバ
125 第2のチャンバ
127 開口部
129 開口部
201a~d チューブ
203a~d 流体入口
205a~d 流体出口
301 流体ライン
303 流体ライン
305 制御ユニット
309 流量調整器
311 圧力センサ要素
700 半導体製造装置
701 プロセスチャンバ