(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20240517BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H05K7/00 L
(21)【出願番号】P 2020060802
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 翔平
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-231960(JP,A)
【文献】実開平05-045924(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02-1/23
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの背部に取付対象の壁面に形成された開口部に収容される膨出部を備えて、壁面に設置されるインターホン機器であって、
一対の速結端子から成る電源端子が前記膨出部に設けられて成り、
前記電源端子の電線挿入孔は、前記膨出部の背部を切り欠いて形成された凹部に対して配置され、且つ前記壁面に略平行する方向に向けて配置されて成り、電源線を前記壁面に略平行する方向から挿入するよう形成さ
れ、
前記電源端子は前記膨出部の隅部に収容されると共に、一対の前記速結端子は前後に隣接配置されて成り、
更に前記凹部は前記膨出部の側部を切り欠いて形成され、当該凹部が前記電線挿入孔に前記電源線を案内するための空間を形成していることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
外部から配設された信号線を接続する複数の速結端子を備えた端子台が、前記膨出部に隣接する前記ハウジングの背面に配置されると共に、
前記端子台に接続された前記信号線を、前記膨出部の側部に沿って壁面の前記開口部に案内する案内部材を具備することを特徴とする請求項
1記載のインターホン機器。
【請求項3】
ハウジングの背部に取付対象の壁面に形成された開口部に収容される膨出部を備えて、壁面に設置されるインターホン機器であって、
一対の速結端子から成る電源端子が前記膨出部に設けられて成り、
前記電源端子の電線挿入孔は、前記膨出部の背部を切り欠いて形成された凹部に対して配置され、且つ前記壁面に略平行する方向に向けて配置されて成り、
電源線を前記壁面に略平行する方向から挿入するよう形成され、
外部から配設された信号線を接続する複数の速結端子を備えた端子台が、前記膨出部に隣接する前記ハウジングの背面に配置されると共に、
前記端子台に接続された前記信号線を、前記膨出部の側部に沿って壁面の前記開口部に案内する案内部材を具備することを特徴とするインターホン機器。
【請求項4】
前記速結端子への電源線の係止を解除する解除操作部は、前記速結端子を収容した前記膨出部の側面に面して配置され、前記側面に操作窓を開口して前記解除操作部を外部から操作可能としたことを特徴とする請求項
1乃至3の何れかに記載のインターホン機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホン機器に関し、特に壁面内に配置したスイッチボックスに収容される膨出部を備えたインターホン機器に関する。
【背景技術】
【0002】
壁面に取り付けて使用されるインターホン機器は、背部に電源線を接続する電源端子に加えて他のインターホン機器と通信するための信号線を接続する端子台を備えている。そして、接続される電源線や信号線は壁面内に配設され、インターホン機器取付位置の壁面に埋設されたスイッチボックスを介して端子台及び電源端子に接続されるよう構成されている。
【0003】
このように設置されるインターホン機器には、スイッチボックスに収容する膨出部を背部に設け、電源回路等一部の回路をスイッチボックスに収容させて、機器の薄型化を図ったものがある。例えば、特許文献1のインターホン機器は、ハウジングの背面にスイッチボックスに収容する長方形状の膨出部を形成して、一部の回路を膨出部内に配置すると共に、電源端子や端子台も膨出部に配置した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のインターホン機器は、膨出部を設けることで、ハウジングの薄型化に有効であったし、膨出部に電源端子や端子台を配置することで、電源線や信号線の取り回しがし易く施工し易い構成となっていた。
しかしながら、電源端子及び端子台は何れも電線接続方向が後方から前方へ向けた壁面に直交する方向であるため、膨出部の背部に電線引き回しのための空間が必要であり、膨出部の奥行きが制限された。また、端子は複数あるため膨出部背面の広いエリアが端子の設置に使用され、膨出部自体が大きなものとなっていた。そのため、この大きな膨出部がインターホン機器を小型化しようとした場合の阻害要因となっていた。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、電源線等を接続する端子の配置を工夫することで、壁面に収容する膨出部を小さくすることを可能としたインターホン機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、ハウジングの背部に取付対象の壁面に形成された開口部に収容される膨出部を備えて、壁面に設置されるインターホン機器であって、一対の速結端子から成る電源端子が膨出部に設けられて成り、電源端子の電線挿入孔は、膨出部の背部を切り欠いて形成された凹部に対して配置され、且つ壁面に略平行する方向に向けて配置されて成り、電源線を壁面に略平行する方向から挿入するよう形成され、電源端子は膨出部の隅部に収容されると共に、一対の速結端子は前後に隣接配置されて成り、更に凹部は膨出部の側部を切り欠いて形成され、当該凹部が電線挿入孔に電源線を案内するための空間を形成していることを特徴とする。
この構成によれば、電源端子は膨出部に設けられても、膨出部に凹部を形成して壁面に略平行な方向から電源線を挿入するよう配置するため、膨出部の背部に電源線を引き回すための空間を設ける必要がなく、膨出部を深く形成できる。よって、膨出部を小さく形成しても特定の回路の収納等に有効に利用できる。
加えて、電源端子は膨出部の隅部に配置され、且つ一対の速結端子は前後方向に配置される。よって、電源端子を組み付けた基板を膨出部の隅部において、背面に直交する向きに配置でき、膨出部に占める電源端子のエリアを最小限にとどめることができる。そして、膨出部の側部に電源線の案内空間を備えるため、電源線の引き回しがし易く、無理なく配線できる。
尚、「略平行」とは、正確な平行と多少の誤差とを含む。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、外部から配設された信号線を接続する複数の速結端子を備えた端子台が、膨出部に隣接するハウジングの背面に配置されると共に、端子台に接続された信号線を、膨出部の側部に沿って壁面の開口部に案内する案内部材を具備することを特徴とする。
この構成によれば、端子台が膨出部に設けられていなくても、端子台に接続された信号線は案内部材により膨出部に沿って壁面内に案内されるため、信号線の引き回しに気を遣う必要がない。
【0009】
請求項3の発明は、ハウジングの背部に取付対象の壁面に形成された開口部に収容される膨出部を備えて、壁面に設置されるインターホン機器であって、一対の速結端子から成る電源端子が膨出部に設けられて成り、電源端子の電線挿入孔は、膨出部の背部を切り欠いて形成された凹部に対して配置され、且つ壁面に略平行する方向に向けて配置されて成り、電源線を壁面に略平行する方向から挿入するよう形成され、外部から配設された信号線を接続する複数の速結端子を備えた端子台が、膨出部に隣接するハウジングの背面に配置されると共に、端子台に接続された信号線を、膨出部の側部に沿って壁面の開口部に案内する案内部材を具備することを特徴とする。
この構成によれば、電源端子は膨出部に設けられても、膨出部に凹部を形成して壁面に略平行な方向から電源線を挿入するよう配置するため、膨出部の背部に電源線を引き回すための空間を設ける必要がなく、膨出部を深く形成できる。よって、膨出部を小さく形成しても特定の回路の収納等に有効に利用できる。
加えて、端子台が膨出部に設けられていなくても、端子台に接続された信号線は案内部材により膨出部に沿って壁面内に案内されるため、信号線の引き回しに気を遣う必要がない。
尚、「略平行」とは、正確な平行と多少の誤差とを含む。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の構成において、速結端子への電源線の係止を解除する解除操作部は、速結端子を収容した膨出部の側面に面して配置され、側面に操作窓を開口して解除操作部を外部から操作可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、一対の速結端子が前後に配置されても、解除操作部は膨出部の側面に形成された操作窓から操作でき、電源線を容易に抜き取りできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電源端子は膨出部に設けられても、壁面に略平行な方向から電源線を挿入する構成であるため、膨出部の背部に電源線を引き回すための空間を設ける必要がなく、膨出部を深く形成できる。よって、膨出部を小さく形成しても特定の回路の収納等に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るインターホン機器の一例を示す居室親機の正面図である。
【
図4】後方斜め下からみた居室親機の分解説明図である。
【
図5】前方斜め上からみた居室親機の分解説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1~3はインターホン機器の1つである居室親機を示し、
図1は正面図、
図2は背面図、
図3は後方斜め下から見た斜視図である。この居室親機1は、図示しない玄関子機からの呼び出しに応答するための機器で、壁面に設置されて使用される。
【0014】
図1において、11は玄関子機から送信された映像情報(来訪者映像等)を表示するモニタ、12は応答操作する通話ボタンである。尚、13は各種操作をする操作ボタンである。また、背部には
図2に示すように、電源端子2、外部から配設された信号線を接続するための端子台3を備えている。
尚、電源端子2、端子台3には、接続された電線を保護する保護カバーを備えているが、
図2では省略している。
【0015】
そして
図3に示すように、居室親機1のハウジング5は、背部中央に後方に突出した膨出部6が形成されている。この膨出部6は、居室親機1が壁面に設置された際に壁面に開設された図示しない開口部に収容される。開口部にはスイッチボックス(図示せず)が埋設されており、膨出部6はこのスイッチボックスに収容される。尚、
図3において7は端子台3を覆う保護カバーである。
【0016】
電源端子2は速結端子により構成され、膨出部6の右上隅部に収容されている(前方から見た場合は膨出部6の左上隅部)。そして、一対の電線挿入孔2a,2aを有し、膨出部6の右側部を背部から切り欠いて形成した凹部6aに対して下向きに配置され、下方から電源線を挿入するよう構成されている。
凹部6aは、膨出部6の背部から前方に向けて側部を切り欠いて形成され、上部に向けて徐々に深く形成した下部傾斜部61と、下部傾斜部61の上端から後方に向けて略水平に(僅かな登り傾斜を有して)切り欠いて電線挿入孔2aを配置した上部端子配置部62とを有し、全体は膨出部6の側部を略L字状に切り欠かいて形成されている。
【0017】
そして、一対の電線挿入孔2aは、前後に即ち奥行き方向に隣接して配置されており、凹部6aは、接続する電源線を案内する案内路としての機能を有している。また、2bは電源端子2に接続された電源線の係止を解除する解除操作部であり、膨出部6の側面の対応する部位には操作窓6bが開設されて、外部から操作可能となっている。
【0018】
このように、膨出部6に電源端子2を配置しても、下方に向けて配置し且つ電源線を案内する案内路としての凹部6aを形成することで、電源線を容易に接続できるし、引き回しに苦労することがない。
【0019】
また端子台3は、膨出部6に隣接するハウジング5の背面に設けられている。端子台3は、玄関子機等と通信するための各種信号線を接続する複数の端子を有し、速結端子で構成されている。この端子台3の電線挿入孔3aは、膨出部6に向けて配置されている。また、挿入されて接続された信号線の抜き取りを可能とする操作孔3bは後方に向けて配置され、後方から操作可能となっている。
【0020】
図4、5は居室親機1の分解説明図であり、
図4は後方斜め下から見た状態、
図5は反対側の前方斜め上から見た状態をそれぞれ示している。
図4,5に示すように、ハウジング5は前ハウジング5aと後ハウジング5bとに分離でき、電源端子2を組み付けた基板21は、ハウジング5の前面に直交(壁面に直交)する向きで且つ縦に配置されて膨出部6に収容されている。
また、端子台3を組み受けた基板31は、ハウジング5の前面と平行(壁面と平行)に配置されてハウジング5に収容されている。
尚、8は電源回路のモジュールであり、膨出部6に収容される部材を示している。また、9は居室親機1の主要回路が組み付けられた回路基板である。
【0021】
図6は配線した居室親機1を示す説明図であり、後方から見た斜視図を示している。電源端子2に電源線14を接続し、端子台3に信号線15を接続した状態を示している。但し、電源端子2には接続した電源線14を保護する保護カバー4が取り付けられ、端子台3には接続した信号線15を保護する保護カバー7が取り付けられた状態を示している。
図6に示すように、電源端子2に接続された電源線14は、膨出部6に形成された凹部6a内で引き回しできる。
【0022】
また、端子台3を覆う保護カバー7は、接続された信号線15を膨出部6の側部まで案内して側面に沿って送出させる案内窓7aを有しており、保護カバー7は信号線15を壁面内(スイッチボックス内)に案内する案内部材でもある。
【0023】
このように、電源端子2は膨出部6に設けられても、膨出部6に凹部6aを形成して壁面に略平行な方向から電源線14を挿入するよう配置するため、膨出部6の背部に電源線14を引き回すための空間を設ける必要がなく、膨出部6を深く形成できる。よって、膨出部6を小さく形成しても特定の回路の収納等に有効に利用できる。
また、電源端子2は膨出部6の隅部に配置され、且つ一対の速結端子は前後方向に配置される。よって、電源端子2を組み付けた基板21を膨出部6の隅部において、壁面に直交する向きに配置でき、膨出部6に占める電源端子2のエリアを最小限にとどめることができる。そして、膨出部6の側部に電源線14の案内空間を備えるため、電源線14の引き回しがし易く、無理なく配線できる。
更に、一対の速結端子が前後に配置されても、解除操作部2bは膨出部6の側面に形成された操作窓6bから操作でき、電源線を容易に抜き取りできる。
また、端子台3が膨出部6に設けられていなくても、端子台3に接続された信号線15は案内部材である保護カバー7により膨出部6に沿って壁面内に案内されるため、信号線15の引き回しに気を遣う必要がない。
【0024】
尚、上記実施形態では、電源端子2を膨出部6の右上に配置して、電源線14を下方から挿入する構成としたが、電源端子2の位置は膨出部6の何れの部位に配置しても良い。例えば、下部に配置した場合は、上方から挿入する構成とすれば良い。
また、インターホン機器として玄関子機との間で通信する居室親機1の構成について説明したが、本発明の構成は壁面に固定して使用するインターホン機器に対して好適である。
【符号の説明】
【0025】
1・・居室親機、2・・電源端子、2a・・電線挿入孔、2b・・解除操作部、3・・端子台、5・・ハウジング、6・・膨出部、6a・・凹部、6b・・操作窓、7・・保護カバー(案内部材)、14・・電源線、15・・信号線。