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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】給紙装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/48 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B65H3/48 320A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020062336
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160858
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】堀内 圭
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-052942(JP,A)
【文献】特開2007-308295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイ上のシートを給紙する給紙手段と、
前記積載トレイ上のシートにエアを吹き付ける送風手段と、
前記送風手段によって吹き付けられるエアを加熱するヒータと、を備える給紙装置において、
前記積載トレイは、前記ヒータによるエアの加熱を停止した状態で、前記送風手段を作動させて前記ヒータを冷却するときに、シートを前記送風手段にてエアが吹き付けられない位置に下降させる給紙装置。
【請求項2】
シートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイ上のシートを給紙する給紙手段と、
エアを吸入する吸入口及びエアを吹き出す吹出口を有するダクトと、前記ダクトに沿ってエアを送風し、前記積載トレイ上のシートにエアを吹き付ける送風ファンを有する送風手段と、
前記ダクト内に配置され、前記送風ファンによって送風されるエアを加熱するヒータと、
前記ヒータの温度を測定する測定手段と、を備えた給紙装置において、
前記ヒータの温度が、前記測定手段によって測定された温度よりも低い所定の温度に達するまで、前記ヒータを停止させた状態で前記送風ファンを作動して前記ダクトに沿ってエアを流動させ
前記積載トレイは、前記ヒータによるエアの加熱を停止した状態で、前記送風手段を作動させて前記ヒータを冷却するときに、シートを前記送風手段にてエアが吹き付けられない位置に下降させる給紙装置。
【請求項3】
シートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイを昇降させる昇降手段と、
前記積載トレイ上のシートを給紙する給紙手段と、
エアを吸入する吸入口及びエアを吹き出す吹出口を有するダクトと、前記ダクト内のエアを送風し、前記積載トレイ上のシートにエアを吹き付ける送風ファンを有する送風手段と、
前記ダクト内に配置され、前記送風ファンによって送風されるエアを加熱するヒータと、を備えた給紙装置において、
前記ヒータの温度を下げる際に、前記ヒータはエアの加熱を停止するとともに前記送風手段の前記送風ファンは前記ダクト内のエアを送風し、前記昇降手段は最上位シートの上面を前記ダクトの前記吹出口よりも下方の位置となるように前記積載トレイを移動させる給紙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温風によるシートのエア捌き手段を備えた給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタや複写機等の画像形成装置には、積載トレイ上に積載されている複数のシートを1枚毎に分離して画像形成装置に供給する給紙装置が備えられている。この給紙装置は、シートが積載される昇降自在な積載トレイと、積載されている最上位のシートの上面に接触して繰り出す繰出手段と、繰り出されたシートを1枚に分離して給紙する分離手段と、1枚に分離されたシートを画像形成装置に向けて搬送する搬送手段が設けられている。
【0003】
このような給紙装置においては、積載トレイに積載されているシートの種類や状態によって、分離手段によっても分離できない場合があった。これを改善するため、積載トレイに積載されているシートにエアを吹き付けることによって、積載トレイ上のシートを捌き、シートの分離を容易にする機能を給紙装置に備えたものがある。例えば、水分の多いシートにあっては、分離し難く重送することがあるため、温風を吹き付けて水分量を減らしたうえで積載トレイ上のシートを捌き、分離手段で分離するようにしたものがある。特許文献1に記載の給紙装置は、発熱部及び放熱部からなるヒータと、このヒータによって加熱されたエアをシートに吹き付ける送風ファンを備えている。この場合、シートに吹き付けられるエアの温度は、シートの種類(厚さやサイズ、材質等)によって適宜設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-189181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の給紙装置のように、温風によるシート捌き機能を有したものにあっては、シートの種類等に応じて設定温度を調整しているが、この温度調整によって設定温度に至るまでには一定の時間がかかる。このため、シートを積載トレイにセットし、シートに適した設定温度による給紙を開始したとしても、実際にその温度になるまでに時間がかかり、その間給紙ができず生産性が低下するといった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、シート捌きを行う際に吹き付けられるエアを短時間で所定の温度となるように制御することによって、シートの種類に応じた給紙動作の生産性を向上させることのできる給紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の給紙装置は、シートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイ上のシートを給紙する給紙手段と、前記積載トレイ上のシートにエアを吹き付ける送風手段と、前記送風手段によって吹き付けられるエアを加熱するヒータと、を備える給紙装置において、前記積載トレイは、前記ヒータによるエアの加熱を停止した状態で、前記送風手段を作動させて前記ヒータを冷却するときに、シートを前記送風手段にてエアが吹き付けられない位置に下降させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の給紙装置によれば、給紙するシートの種類に応じてエアの温度を低下させる場合に、ヒータによるエアの加熱を停止した状態で、前記送風手段を作動させるので、ヒータを簡易かつ効率よく冷却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の給紙装置を含む画像形成システムの一例を示す概念図である。
図2】給紙装置の内部構成を示す概念図である。
図3】給紙装置の制御構成を示すブロック図である。
図4】エア捌き動作のフロー図である。
図5】ヒータの冷却動作のフロー図である。
図6】ヒータの冷却時における積載トレイの下降動作を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態を詳細に説明する。最初に、図1を参照して、本発明の給紙装置5を含む画像形成システム1の概要について説明する。画像形成システム1は、原稿読取部3及び原稿給送部4を有する画像形成装置2と、この画像形成装置2に接続される給紙装置5とから構成されている。画像形成装置2は、原稿読取部3によって原稿画像から読み取られた画像データに基づいて、給紙カセット7又は給紙装置5の何れか一つから供給されたシート上に画像形成を行い、画像形成されたシートを集積部6に集積する。原稿読取部3には、原稿給送部4によって原稿シートを給送することもできる。ここで、画像形成システム1において扱われるシートには、普通紙の他、OHPシート、トレーシングペーパ、コート紙などを含むものとする。また、シートのサイズについても特に限定するものではなく、複数種類のサイズに対応していてよい。
【0011】
画像形成装置2は、帯電器12と、投光器(レーザヘッドなど)8と、感光ドラム9と、現像器10と、転写チャージャ11と、定着ローラ13aとを備えている。帯電器12で帯電された感光ドラム9の表面に投光器8で静電潜像(静止画像)が形成され、現像器10によって静電潜像にトナーが付着させられる。そして、感光ドラム9上に付着されたトナーが給紙カセット7又は給紙装置5から供給されたシートに転写チャージャ11によって転写される。トナーが転写されたシートは、下流側に配置される定着ローラ13aに送られて、シート上のトナーを加熱定着させられた後、排紙ローラ対13bによって集積部6へ排出される。
【0012】
給紙カセット7には、収納されているシートの最上位面に接触してシートを送り出す送出ローラ14と、送り出されたシートを一枚ずつに分離して給送する分離ローラ対15とが設けられている。シートは、給紙カセット7から送出ローラ14によって送り出されて分離ローラ対15によって一枚ずつに分離される。分離されたシートは、駆動ローラ及び従動ローラからなる搬送ローラ対16によって、給紙装置5に面する側部に沿って延びるカセット搬送路17を通って搬送される。そして、シートは、給紙装置5の搬出口18に連通する搬入路19に合流した後、搬送路20に沿って転写チャージャ11へと送られる。
【0013】
原稿読取部3の上部には、透明なガラスで形成された第1のプラテン30と第2のプラテン31とが水平方向に並設されている。第1のプラテン30は、手置きでセットされる原稿の読み取りに用いられ、対応可能な最大サイズの原稿が載置できるようなサイズに形成されている。また、第2のプラテン31は、原稿給送部4から給送され所定速度で移動する原稿の読み取りに用いられる。
【0014】
原稿読取部3の内部には、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33と、集光レンズ34及び光電変換素子35を有する光電変換手段が設けられている。第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33は、キャリッジモータ(図示せず)によって駆動されて、第1のプラテン30の下方において副走査方向に往復移動する。第1の読取キャリッジ32には、光を原稿へ向けて照射するランプと、原稿から反射された光を反射するミラーとが設けられている。また、第2の読取キャリッジ33には、第1の読取キャリッジ32のミラーからの光を集光レンズ34及び光電変換素子35に案内する二つのミラーが設けられている。第1のプラテン30上の原稿の読み取りを行う際には、第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を移動させながら、第1の読取キャリッジ32から第1のプラテン30上に載置された原稿の画像へ光を照射させる。そして、原稿からの反射光を第1の読取キャリッジ32及び第2の読取キャリッジ33を介して光電変換素子35に案内する。そして、光電変換素子35は、受け付けた光を電気信号に変換することによって、原稿から画像データを生成させる。このようにして生成された画像データは画像形成装置2の投光器8に画像信号として送信される。
【0015】
原稿給送部4は、固定式の積載トレイ36と、シート搬送機構37と、排出トレイ38とを備え、積載トレイ36上に載置された原稿をシート搬送機構37によって一枚ずつ搬送して、第2のプラテン31上を通過させ、排出トレイ38に排出する。
【0016】
図2は給紙装置5の内部構造を示したものである。収納庫51は、図1に示されるように、スライドレール54を介して引き出し可能となるように、筐体50に支持されている。給紙手段52は、給送モータMOT1によって駆動されるピックアップローラ55、給送ローラ56、分離ローラ57を備えており、最初にピックアップローラ55によって、可動式の積載トレイ53に積載されている最上位のシートをピックアップし、このピックアップされたシートを給送ローラ56及び分離ローラ57の回転によって1枚ずつ分離された状態で画像形成装置2へ向けて給紙する。
【0017】
収納庫51内には、昇降自在な積載トレイ53が設けられている。この積載トレイ53は、平面状のプレートによって形成され、このプレート上にシートPを複数枚束ねた状態で積載できるようになっている。また、収納庫51の上部には、積載トレイ53上に積載されたシートPの最上位面の位置を検出する上面検知センサSEN1が設けられている。積載トレイ53は、昇降機構70に備わる昇降モータMOT2によって、前記上面検知センサSEN1にシートが接するような位置に昇降駆動される。
【0018】
前記給紙装置5内にはシートの奥行き方向の位置を規制するためのサイド規制板60が設けられている。これらはシートの奥行き方向のサイズに合わせて給紙装置5内でシート幅方向に移動可能な構成になっている。また、シートの長さ方向(シート搬送方向)の位置を規制するための後端規制板61が設けられている。これはシートの長さ方向のサイズに合わせて給紙装置5内でシート長さ方向に移動可能な構成になっている。
【0019】
前記サイド規制板60には、シート搬送方向の下流側に配置される第1の送風手段62と、シート搬送方向の上流側に配置される第2の送風手段63とが設けられている。第1の送風手段62は、吸入口64と吹出口65とを有する送風路(ダクト)66と、このダクト66内に配置される送風ファンF及びヒータHEとを備え、前記吹出口65が積載トレイ53に積載されている最上位のシートPの搬送方向の下流側に向けられている。第2の送風手段63は、第1の送風手段62のヒータHEを除いた構成となっており、シートPの搬送方向の上流側に吹出口65が配置されている。前記第1及び第2の送風手段に備わる送風ファンFは、それぞれ独立に回転制御される。本実施形態では、給紙手段52によるシートの分離給紙をより確実に行うため、ピックアップローラ55の近傍に開口する吹出口65を有する第1の送風手段62にヒータHEを設けている。このように、少なくとも給紙手段52側に近い方にヒータHEを備えた送風手段が一つあればよく、さらにシート搬送方向の上流側に少なくとも送風ファンFを備えた送風手段があればA3以上の長尺シートのエア捌きが容易となる。
【0020】
また、前記吹出口65にはエアの向きが可変可能なルーバ(図示せず)を設けることができる。このようなルーバを設けることによって、シートに吹き付けるエアが上下するので、シートの捌き効果をさらに高めることができる。
【0021】
図3図2に示した給紙装置5の制御構成を示したものである。給紙装置5には、制御部CONT、検出部S、動作部Mを備えている。検出部Sは、積載トレイ53の昇降に伴うシートの位置を検出する上面検知センサSEN1及び下限検知センサSEN2、ヒータHEの発熱温度を測る測定手段(サーミスタ)THを備えている。動作部Mは、シートの給送を行う給送モータMOT1、積載トレイ53の昇降動作を行う昇降モータMOT2、送風するエアを加熱するヒータHE、シートに向けて送風する2つの送風ファンFと、を備えている。制御部CONTには、CPU、メモリ等を備え、操作パネルPAからの指示や検出部Sによって検出される検出結果に基づいて、動作部Mを駆動する。また、メモリには、予めヒータHEの温度設定値や送風ファンFの回転数等の設定値が記憶され、選択された設定値に基づき動作部Mの駆動を制御する。
【0022】
前記ヒータHEは、ニクロム線等からなる発熱体68aと複数のフィン(図示せず)からなる放熱体68bとで構成されている。前記放熱体68bには、ヒータHEの温度(ヒータ温度)を検出するサーミスタTHが取り付けられている。発熱体68aは通電すると発熱してヒータHEをオン状態とし、通電を遮断(停止)するとヒータHEをオフ状態とする。放熱体68bから伝達された熱を放散して周囲の広い範囲のエアを加熱する。サーミスタTHは、発熱体68aから伝導される放熱体68bの表面温度を測定する。つまり、本実施の形態では、放熱体68bの表面温度をヒータ温度としている。そして、制御部CONTは、測定されたヒータ温度として設定された温度とを比較することによって、ヒータ温度を設定温度近辺に一定に保つように制御している。
【0023】
具体的には、設定温度に一定値を加算した上限値と一定値を減算した下限値とを設け、ヒータHEを停止(オフ)にした状態でサーミスタTHの温度が下限値に到達すると、ヒータHEを作動(オン)にする。このヒータHEをオンにした状態で上限値に到達すると、ヒータHEをオフにする。例えば、設定温度が60℃とすると、上限値が61℃、下限値が59℃に設定される。これによって、サーミスタTHの温度が59℃になるとヒータHEがオンとなり、ヒータHEがオン状態で61℃に達するとヒータHEがオフとなる。
【0024】
次に、上記ヒータHEを備えた送風手段によるエア捌き動作を図4に基づいて説明する。エア捌き動作は、収納庫51が閉められたことを確認したとき、及び給紙指令を受けたときに実行する。シートの給紙動作も送風動作は実行され、給紙動作が終了すると送風動作は停止する。しかし、ヒータHEが作動している場合は、ヒータは送風が停止しても作動を継続し、ダクト66内のエアを加熱し続ける。
【0025】
上述では給紙動作が終了したならば送風動作を終了するとしたが、給紙動作に終了した後に実行してもよい。すなわち、送風動作を停止した後に再度送風動作を実行するようにしてもよい。
【0026】
エア捌き動作では、先ずシートの紙質、紙厚(坪量)、サイズ等のシート情報を取得する(ST01)。これらのシート情報は、使用者が操作パネルを操作して入力され、シートの種類が変更された際は使用者がその都度、操作パネルを操作して新たな情報を入力する。
【0027】
入力されたシート情報に基づき、エア捌きが必要であるか否かが判定される(ST02)。エア捌きが必要と判定されたら、ヒータHEが必要であるか否か、すなわち温風によるエア捌きを行うか否かが判定される(ST03)。この判定によって、ヒータHEが不要であるとされた場合は、後述するヒータHEの冷却動作が実行される(ST10)。一方、ヒータHEが必要とされた場合は、ヒータHEの設定温度が変更されているか否かを確認する(ST04)。この判定に関しては、前記シート情報に基づいた温度テーブルが制御部CONTのメモリに予め登録されており、前記ステップ(ST01)で取得したシート情報に基づく温度テーブルから設定温度を取得し、前回の設定温度と比較して設定温度が変更されたか否かを判定する。
【0028】
ヒータHEの設定温度が変更されたことが確認されると、サーミスタTHによってヒータHEの発熱温度が検出される(ST05)。そして、この測定値からヒータHEの冷却が必要であるか否かが判定される。具体的には、検出されたヒータHEの発熱温度と設定温度とを比較し、検出されたヒータHEの発熱温度が設定温度よりも高い場合にヒータHEの冷却が必要と判定される。一方、検出されたヒータHEの発熱温度が設定温度以下である場合は、ヒータHEの冷却が不要と判定される。
【0029】
ヒータHEの冷却が必要と判定された場合は、ヒータHEの冷却動作が実行される(ST10)。一方、ヒータHEの冷却が不要の場合は、設定温度調節を実行する。そして、この温度調節が完了したら、送風ファンFを作動し、ヒータHEで加熱されたエア(温風)を、ダクト66を通してシートの側部に向けて吹き付け、シートを捌く(ST07~ST09)。なお、ヒータHEの冷却動作の詳細については後述するが、ヒータHEの冷却動作では、ヒータHEの温度が、サーミスタTHによって測定された温度よりも低い所定の温度に達するまで、ヒータHEを停止させた状態で送風ファンFを作動してダクト66に沿ってエアを流動させる。
【0030】
ヒータHEの温度調整動作では、サーミスタTHの測定温度が設定温度以下である場合には、ヒータHEをオンし、サーミスタTHにて設定温度になったことが検出されると調整を完了する。一方、温度設定の変更が行われていないとき(ST04)、あるいは、冷却動作後は、サーミスタTHの測定温度を確認し、設定温度と異なる場合は、ヒータHEをオンまたはオフすることによって、設定温度に近づけるように調整される。
【0031】
次に、図5に基づいて、ヒータHEの冷却動作の詳細について説明する。この冷却動作では、ヒータHEのオフ後に、送風ファンFによる送風を継続することで、ダクト66内のエアを流動させる。これによって、ダクト66内の加熱されたエアが吹出口65から吹き出され、ダクト66の外側のエアが吸入口64から取り込まれる。吸入口64から取り込まれたエアは、ヒータHEの放熱体68bに当たりながらダクト66内を吹出口65に向かって流動することでヒータHEを冷却する。
【0032】
シート情報に基づいて設定された設定温度よりも高い温度で加熱されたエアを吹き付けたシートは、画像形成装置2において印刷ムラが発生するおそれがある。例えば、コート紙の薄紙の設定温度60℃の温風に対して、それ以上の温風をコート紙の薄紙に吹き付けてしまった場合には、シート内の水分量がまばらになってしまい画像ムラが発生する。したがって、本実施形態では、設定温度よりも高い温度となるヒータHEによる温風が冷却動作によって、シートに吹き付けられないような位置となるように積載トレイ53の下降動作を行う。このような積載トレイ53の下降動作を行うことで、加熱されたエアがヒータHEの冷却動作中にもかかわらずシートに吹き付けられることがなくなる。これによって、積載トレイ53に積載されているシートを熱による影響から保護することができる。
【0033】
次に、ヒータHEの冷却動作の詳細について説明する。最初にヒータHEの設定温度調節を停止して、ヒータHEを停止する(ST30)。そして、上面検知センサSEN1がシートの上面を検出していれば、昇降モータMOT2を逆転駆動する(ST31、ST32)。これによって、図6(a)に示すように、積載トレイ53が下降する。昇降モータMOT2を所定時間逆転駆動し、積載トレイ53を所定量(H)下降した時点で昇降モータMOT2を停止する(ST33、ST34)。このとき、図6(b)に示すように、積載トレイ53上のシートPの最上位面は、第1の送風手段62の吹出口65から一定距離(L)下方に位置づけられる。その直後に送風ファンFを作動する(ST35)。これによって、吸入口64から吹出口65に向かって流動するエアがヒータHEを通過する過程でヒータHEを所定温度以下に冷却することができる。
【0034】
このようにヒータHEをオフした状態で送風ファンFをオンの状態にすることで、ダクト66内の温度よりも低い温度の外気をダクト66内に吸入してヒータHEに当てることができる。これによって、ヒータHEの発熱温度を短時間で下げることができる。
【0035】
一方、ステップ(ST33)で積載トレイ53が所定量(H)下降する前に下限検知センサSEN2がオンした場合は、送風ファンFによる冷却を動作は行わず、自然冷却によってヒータHEの温度を下げる。つまり、所定量(H)下降する前に下限検知センサSEN2がオンした場合は、シートの最上位面は第1の送風手段62の吹出口65に臨む位置にある。
【0036】
送風ファンFによる冷却または自然冷却によって、ヒータHEの温度が設定温度に達したならば、送風ファンFをオフにする(ST37、ST38)。なお、ステップ(ST38)において、送風ファンFが既にオフ状態であれば、そのままオフ状態を継続する。
【0037】
送風ファンFを停止させた後に昇降モータMOT2を正転駆動して、積載トレイ53を上昇させる(ST40)。そして、シートPの最上位面が上面検知センサSEN1によって検出されると昇降モータMOT2を停止する。これによって、積載トレイ53に積載されているシートPの最上位面が給送位置に位置付けられ、画像形成装置2に向けての給紙が可能な状態となる。ここで、送風動作のステップ(ST03)でヒータHEを不要とした場合のステップ(ST37)における設定温度は、給紙装置5内に設けられる環境センサSEN3によって行うことができる。このような環境センサSEN3を用いた場合は、測定された収納庫51内の温度に一定の値を加算した温度に自動的に設定される。このときの設定温度は、予め定めた温度(例えば、20℃以下)でもよい。
【0038】
なお、上記実施形態では、送風手段によるエアの風量はシート捌きに適した風量に設定され、この風量によってヒータHEを冷却しているが、ヒータHEの冷却動作においては、送風ファンFの回転数を最大に設定するようにすれば、より短時間にヒータHEを冷却させることが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
CONT 制御部
M 動作部
S 検出部
F 送風ファン
HE ヒータ
TH サーミスタ
P シート
PA 操作パネル
MOT1 給送モータ
MOT2 昇降モータ
SEN1 上面検知センサ
SEN2 下限検知センサ
SEN3 環境センサ
1 画像形成システム
2 画像形成装置
5 給紙装置
50 筐体
51 収納庫
52 給紙手段
53 積載トレイ
54 スライドレール
55 ピックアップローラ
56 給送ローラ
57 分離ローラ
60 サイド規制板
61 後端規制板
62 第1の送風手段
63 第2の送風手段
64 吸入口
65 吹出口
66 ダクト
68a 発熱体
68b 放熱体
70 昇降機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6