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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】天井構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/18 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
E04B9/18 F
E04B9/18 K
E04B9/18 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020064739
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161760
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】397028360
【氏名又は名称】関包スチール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 学
(72)【発明者】
【氏名】沙拉依丁 沙吾提
(72)【発明者】
【氏名】森 貴久
(72)【発明者】
【氏名】細川 俊治
(72)【発明者】
【氏名】北村 幸則
(72)【発明者】
【氏名】本田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 克典
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-239441(JP,A)
【文献】特開2013-217044(JP,A)
【文献】特開2014-173395(JP,A)
【文献】特開2018-115460(JP,A)
【文献】特許第7273581(JP,B2)
【文献】特許第7273582(JP,B2)
【文献】特許第7185465(JP,B2)
【文献】特許第7185466(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体から吊り下げられる吊りボルトと、
前記吊りボルトの下端部に取り付けられるハンガーと、
建物の天井材を支持する長尺状の野縁と、
前記ハンガーに支持され、前記野縁を支持する長尺状の野縁受け部材と、
前記建物の躯体と前記野縁受け部材との間に架設されると共に、前記野縁受け部材側の端部が前記野縁受け部材に固定される一対のブレースと、
前記野縁受け部材に固定される野縁受け部材側固定部、及び前記天井材に固定される天井材側固定部を有する第一部材を含む固定補強部材と、
を具備し、
前記天井材側固定部は、
前記野縁の長手方向において、前記ブレースの前記野縁受け部材側の端部の側方に配置され、
前記一対のブレースは、
前記野縁受け部材の長手方向において、当該一対のブレースそれぞれの下端部の間に前記吊りボルト及び前記ハンガーを挟むように設けられ、
前記第一部材は、
前記野縁受け部材側固定部及び前記天井材側固定部を接続する接続部をさらに具備し、
前記接続部は、
前記野縁の長手方向に貫通し、前記ハンガーの一部を収容する貫通孔を具備する、
天井構造。
【請求項2】
前記固定補強部材は、
前記一対のブレースのそれぞれと固定されると共に前記野縁受け部材の側面に固定された第二部材を含む、
請求項1に記載の天井構造。
【請求項3】
前記第一部材は、
前記第二部材と一体的に形成される、
請求項2に記載の天井構造。
【請求項4】
前記野縁受け部材の長手方向における前記第二部材の一側部に固定されると共に、前記野縁受け部材と前記天井材とにそれぞれ固定される一側補強部材と、
前記野縁受け部材の長手方向における前記第二部材の他側部に固定されると共に、前記野縁受け部材と前記天井材とにそれぞれ固定される他側補強部材と、
をさらに具備する、
請求項2又は請求項3に記載の天井構造。
【請求項5】
前記天井材側固定部は、
前記野縁受け部材の長手方向に間隔をあけて配置される2つの前記野縁の内側に配置され、
前記一側補強部材及び前記他側補強部材の前記天井材と固定される部分は、
前記2つの野縁の外側に配置される、
請求項4に記載の天井構造。
【請求項6】
前記野縁受け部材側固定部は、
前記野縁受け部材に載置される、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の天井構造。
【請求項7】
前記接続部は、
前記野縁受け部材と接するように配置される、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレースを具備する天井構造の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、天井材を支持する野縁と、前記野縁を支持する野縁受けと、前記野縁及び前記野縁受けに固定されるブレースと、が記載されている。ブレースは、野縁と野縁受けとが交差した領域に、ブレース下部取付具を介して取り付けられる。
【0004】
このような構成により、野縁受け及び野縁とブレースとが強固に固定されるため、地震発生時における揺動応力(水平応力)を、野縁受け及び野縁からブレースへ直接的に伝達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-7326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、地震発生時にはブレース下部取付具の周囲(ブレースの下端部の周囲)に応力が集中し易いため、この周囲に位置する野縁受け及び野縁の部分が変形や損傷(以下では単に「変形」と称する)する可能性がある。このように野縁受け及び野縁が変形した場合には、天井材が脱落する可能性がある。
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、天井材が脱落するのを抑制することができる天井構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、建物の躯体から吊り下げられる吊りボルトと、前記吊りボルトの下端部に取り付けられるハンガーと、建物の天井材を支持する長尺状の野縁と、前記ハンガーに支持され、前記野縁を支持する長尺状の野縁受け部材と、前記建物の躯体と前記野縁受け部材との間に架設されると共に、前記野縁受け部材側の端部が前記野縁受け部材に固定される一対のブレースと、前記野縁受け部材に固定される野縁受け部材側固定部、及び前記天井材に固定される天井材側固定部を有する第一部材を含む固定補強部材と、を具備し、前記天井材側固定部は、前記野縁の長手方向において、前記ブレースの前記野縁受け部材側の端部の側方に配置され、前記一対のブレースは、前記野縁受け部材の長手方向において、当該一対のブレースそれぞれの下端部の間に前記吊りボルト及び前記ハンガーを挟むように設けられ、前記第一部材は、前記野縁受け部材側固定部及び前記天井材側固定部を接続する接続部をさらに具備し、前記接続部は、前記野縁の長手方向に貫通し、前記ハンガーの一部を収容する貫通孔を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記固定補強部材は、前記一対のブレースのそれぞれと固定されると共に前記野縁受け部材に固定された第二部材を含むものである。
【0011】
請求項3においては、前記第一部材は、前記第二部材と一体的に形成されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記野縁受け部材の長手方向における前記第二部材の一側部に固定されると共に、前記野縁受け部材と前記天井材とにそれぞれ固定される一側補強部材と、前記野縁受け部材の長手方向における前記第二部材の他側部に固定されると共に、前記野縁受け部材と前記天井材とにそれぞれ固定される他側補強部材と、をさらに具備するものである。
【0013】
請求項5においては、前記天井材側固定部は、前記野縁受け部材の長手方向に間隔をあけて配置される2つの前記野縁の内側に配置され、前記一側補強部材及び前記他側補強部材の前記天井材と固定される部分は、前記2つの野縁の外側に配置されるものである。
【0014】
請求項6においては、前記野縁受け部材側固定部は、前記野縁受け部材に載置されるものである。
【0016】
請求項においては、前記接続部は、前記野縁受け部材と接するように配置されるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0019】
請求項1においては、天井材が脱落するのを抑制することができる。また、固定補強部材を固定する際に他の部材と干渉するのを抑制することができる。
【0020】
請求項2においては、一対のブレースと天井材との間において応力が集中するのを効果的に抑制することができる。
【0021】
請求項3においては、一対のブレースと天井材との間において応力が集中するのを効果的に抑制することができる。
【0022】
請求項4においては、一対のブレースと天井材との間において応力が集中するのを効果的に抑制することができる。
【0023】
請求項5においては、固定補強部材、一側補強部材及び他側補強部材の設置スペースを確保することができる。
【0024】
請求項6においては、施工性を向上させることができる。
【0026】
請求項においては、野縁受け部材の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第一実施形態に係る天井構造を示した概略斜視図。
図2】吊りボルト、ハンガー及び野縁受けを示した一部側面断面図。
図3】(a)固定補強金具の前方斜視図。(b)同じく、後方斜視図。
図4】(a)固定補強金具の正面図。(b)同じく、背面図。(c)同じく、右側面図(d)A-A断面図。
図5】(a)側方補強金具の斜視図。(b)同じく、正面図。(c)同じく、右側面図。
図6】固定補強金具及び側方補強金具の取り付け態様を示した前方斜視図。
図7】同じく、正面図。
図8】同じく、後方斜視図。
図9】同じく、背面図。
図10】同じく、側面断面図。
図11】本発明の第二実施形態に係る天井構造を示した概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0030】
以下では、図1及び図2を用いて、一実施形態に係る天井構造1について説明する。
【0031】
天井構造1は、鉄骨造の建物Hにおける天井の構造である。なお、図1においては、便宜上、建物Hにおける天井の構造全体のうち一部が示されている。以下では、図1に示された天井構造1、すなわち天井の構造全体のうち一部について説明するものとする。天井構造1は、吊りボルト10、ハンガー20、野縁受け30、野縁40、天井面材50、ブレース60、固定補強金具100及び側方補強金具130を具備する。
【0032】
吊りボルト10は、建物Hの躯体Aから吊り下げられるものである。吊りボルト10は、躯体Aに設けられたインサート(不図示)に取り付けられている。吊りボルト10は、複数設けられる。図1においては、前後に3本の吊りボルト10が示されている。
【0033】
ハンガー20は、後述する野縁受け30を支持するものである。ハンガー20は、側面視略J字状に形成される。ハンガー20は、底部21及び一対の側壁22を具備する。一対の側壁22は、底部21の前端部及び後端部から上方へ延出する。前側の側壁22の上端部は、前方へ延出し、各吊りボルト10の下端部に取り付けられる。
【0034】
野縁受け30は、後述する野縁40を支持するものである。野縁受け30は、長尺状に形成され、長手方向を左右方向に向けて配置される。野縁受け30は、長手方向断面視(側面視)で略C字状に形成される。本実施形態において、野縁受け30は、後側が開放し、前側が閉鎖面となるように配置される。野縁受け30は、ウェブ31、上フランジ32及び下フランジ33を具備する。ウェブ31は、野縁受け30の閉鎖面を形成する。上フランジ32は、ウェブ31の上端部から後方へ延出する。下フランジ33は、ウェブ31の下端部から後方へ延出する。上フランジ32及び下フランジ33の後端部は、野縁受け30の上下内側方へ延出する。野縁受け30は、下フランジ33がハンガー20の底部21に載置され、当該ハンガー20に支持される。こうして、野縁受け30は、ハンガー20及び吊りボルト10を介して建物Hの躯体Aから吊設される。野縁受け30は、複数設けられる。図1においては、前後に3本の野縁受け30が示されている。複数の野縁受け30のうち、一部の野縁受け30(図1では前後中央部の野縁受け30)には、後述するブレース60や固定補強金具100等が適宜固定される。
【0035】
野縁40は、後述する天井面材50を支持するのものである。野縁40は、長尺状に形成され、長手方向を前後方向に向けて配置される。野縁40は、クリップ部材41を用いて野縁受け30に支持される。野縁40は、複数設けられる。図1においては、左右に4本の野縁40が示されている。なお、本実施形態において野縁40は、シングル野縁であるものとする。
【0036】
以下においては、4つの野縁40を、最も右側の野縁40から順に「野縁40a」、「野縁40b」、「野縁40c」、「野縁40d」と称する。また、以下においては、野縁40aと野縁40bとの間の領域を「右側領域R1」、野縁40bと野縁40cとの間の領域を「中央領域R2」、野縁40cと野縁40dとの間の領域を「左側領域R3」と称する。
【0037】
天井面材50は、天井面を構成するものである。天井面材50は、例えば板状の石膏ボードにより形成される。天井面材50は、板面を上下方向に向けて配置される。天井面材50は、野縁40の下側面にビスを用いて固定される(不図示)。
【0038】
ブレース60は、建物Hの躯体Aと野縁受け30との間に架設されるものである。ブレース60は、長尺状に形成され、長手方向を鉛直方向に対して傾斜した姿勢で配置される。ブレース60の上端部は、建物Hの躯体Aに固定される。ブレース60の下端部は、ビスB1により野縁受け30に固定される(図6参照)。ブレース60は、長手方向断面視で略C字状に形成される。本実施形態において、ブレース60は、前側が開放し、後側が閉鎖面となるように配置される。また、本実施形態においてブレース60の下端部は、中央領域R2に配置される。図1においては、左右に並設される一対のブレース60が示されている。
【0039】
一対のブレース60は、左右方向に対称形状に形成される。より詳細には、一対のブレース60のうち、左側に配置されるブレース60(以下では「左側ブレース60L」と称する場合がある)は、上側が左方に位置し、下側が右方に位置するように配置される。また、一対のブレース60のうち、右側に配置されるブレース60(以下では「右側ブレース60R」と称する場合がある)は、上側が右方に位置し、下側が左方に位置するように配置される。左側ブレース60L及び右側ブレース60Rは、正面視で吊りボルト10を中心とした対称形状に形成される。左側ブレース60L及び右側ブレース60Rは、それぞれ下端部側へ行くに従って互いに近接するように配置される。
【0040】
以下では、図1図3及び図4を用いて、固定補強金具100の構成について詳細に説明する。
【0041】
固定補強金具100は、一対のブレース60等に固定され、天井を補強する金具である。固定補強金具100は、上側補強部110及び下側補強部120を具備する。
【0042】
図1に示すように、上側補強部110は、左側ブレース60L及び右側ブレース60Rそれぞれに固定されると共に当該左側ブレース60L及び右側ブレース60Rの間を亘るように設けられるものである。図3及び図4に示すように、上側補強部110は、本体部111、上端延出部112、下端延出部113及び爪部114を具備する。
【0043】
本体部111は、上側補強部110の主たる構造体である。本体部111は、平板状に形成される。本体部111は、長手方向を左右方向に向けて配置される。本体部111の長手方向の長さは、隣接する2つの野縁40の左右方向の距離よりも長くなるように形成される(図7参照)。
【0044】
本実施形態において、本体部111の長手方向の長さは、440mmに形成される。また、本体部111は、短手方向を上下方向に向けて配置される。本実施形態において、本体部111の短手方向の長さは、100mmに形成される。また、本体部111は、板厚方向を前後方向に向けて配置される。本実施形態において、本体部111の板厚方向の長さは、2.3mmに形成される。このように、本体部111は、作業者(固定補強金具100及び側方補強金具130の取り付け作業を行う者)が片手で容易に掴める程度の大きさに形成される。
【0045】
上端延出部112は、本体部111の上端部から後方に延出された部分である。上端延出部112は、本体部111の左右端部に亘るように形成される。
【0046】
下端延出部113は、本体部111の下端部から後方に延出された部分である。下端延出部113は、本体部111の左部及び右部にそれぞれ形成される。
【0047】
こうして、上端延出部112及び下端延出部113により、上側補強部110の剛性が向上される。また、作業者が上側補強部110を片手で掴む場合に、例えば親指を下端延出部113に引っ掛けると共にその他の指を上端延出部112に引っ掛けることによって、当該作業者は(上端延出部112及び下端延出部113が無い場合と比べて)上側補強部110をしっかりと掴むことができる。
【0048】
爪部114は、本体部111の左右の下端部から概ね下方に延出された部分である。爪部114は、板面を前後方向へ向けた略平板状に形成される。爪部114は、本体部111から左右外側方へ突出するように形成される。爪部114には、前後方向に貫通するビス孔114aが形成される。左右の爪部114は、左右方向に対称形状に形成される。
【0049】
下側補強部120は、後述するように、野縁受け30及び天井面材50に固定されるものである。下側補強部120は、長手方向を左右方向に向けた長尺状に形成される。下側補強部120は、側面視略Z字状に形成される。下側補強部120の長手方向の長さは、上側補強部110の本体部111の長手方向の長さ、及び隣接する2つの野縁40の左右方向の距離よりも短い長さに形成される(図9参照)。下側補強部120は、第一固定部121、接続部122及び第二固定部123を具備する。
【0050】
第一固定部121は、野縁受け30に固定される部分である。第一固定部121は、板面を上下方向に向けた平板状に形成される。第一固定部121は、平面視で左右方向に細長い略矩形状に形成される。第一固定部121は、上側補強部110の本体部111の下端部における左右中途部から後方へ延出するように形成される。第一固定部121は、下端延出部113よりも一段低い位置に配置される(図4(c)及び図4(d)参照)。
【0051】
接続部122は、第一固定部121と後述する第二固定部123とを接続する部分である。接続部122は、板面を前後方向に向けた平板状に形成される。接続部122の上端部は、第一固定部121の後端部に接続される。接続部122は、貫通孔122aを具備する。
【0052】
貫通孔122aは、接続部122を前後方向に貫通する孔である。貫通孔122aは、正面視で上下方向に細長い略矩形状に形成される。貫通孔122aは、接続部122の左右中央部に形成される。また、貫通孔122aは、接続部122の上端部から下端部までに亘るように形成される。貫通孔122aは、ハンガー20の後側の側壁22を収容可能となるように(図8参照)、上下方向及び左右方向の長さが適宜設定される。
【0053】
第二固定部123は、天井面材50に固定される部分である。第二固定部123は、板面を上下方向に向けた平板状に形成される。第二固定部123は、平面視で左右方向に細長い略矩形状に形成される。第二固定部123の前端部は、接続部122の下端部に接続される。第二固定部123の後端部は、上方へ折り曲げられたリブ状に形成される。第二固定部123の前後方向の長さは、第一固定部121の前後方向の長さよりも長く形成される。
【0054】
このように構成される下側補強部120は、上側補強部110と一体的に形成される。本実施形態においては、一枚の平板状の部材が適宜折り曲げられて固定補強金具100が形成される。
【0055】
以下では、図1及び図5を用いて、側方補強金具130の構成について詳細に説明する。
【0056】
側方補強金具130は、後述するように、右側領域R1及び左側領域R3において、野縁受け30及び天井面材50にそれぞれ固定されるものである。側方補強金具130は、一枚の金属製の板状部材が適宜折り曲げられることにより形成される。側方補強金具130は、長手方向を左右方向に向けた長尺状に形成される。側方補強金具130の長手方向の長さは、隣接する2つの野縁40の左右方向の距離よりも短い長さ(本実施形態では半分程度の長さ)に形成される。側方補強金具130は、側面視で前方へ向けて開放された略箱状に形成される。側方補強金具130は、上端延出部131、垂れ部132、接続部133及び下端延出部134を具備する。
【0057】
上端延出部131は、側方補強金具130の上側面を構成する部分である。上端延出部131は、側方補強金具130の上端部で水平方向に延出するように設けられる。上端延出部131は、板面を上下方向へ向けて配置される。上端延出部131は、平面視で左右方向に細長い略矩形状に形成される。
【0058】
垂れ部132は、上端延出部131の前端部から垂れるように設けられた部分である。垂れ部132は、板面を前後方向へ向けて配置される。垂れ部132は、正面視で左右方向に細長い略矩形状に形成される。垂れ部132の上端部は、上端延出部131の前端部と接続される。垂れ部132には、前後方向に貫通するビス孔132aが形成される。ビス孔132aは、左右方向に互いに間隔をあけて複数(本実施形態においては、3つ)形成される。
【0059】
接続部133は、側方補強金具130の後側面を構成する部分である。接続部133は、上端延出部131と後述する下端延出部134とを接続する。接続部133は、板面を後上方及び前下方へ向けて配置される。すなわち、接続部133は、側面視で、下端部から前上方へ直線状に延びるように形成される。こうして、接続部133の全体は、下端部から鉛直方向に対して前方へ傾斜した姿勢に形成される。接続部133の上端部は、上端延出部131の後端部に接続される。
【0060】
下端延出部134は、側方補強金具130の下側面を構成する部分である。下端延出部134は、側方補強金具130の下端部で水平方向に延出するように設けられる。下端延出部134は、板面を上下方向へ向けて配置され、上端延出部131と互いに平行となる。下端延出部134は、平面視で左右方向に細長い略矩形状に形成される。下端延出部134の後端部は、接続部133の下端部に接続される。下端延出部134の前端部は、上方へ折り曲げられたリブ状に形成される。
【0061】
上述の如き固定補強金具100及び側方補強金具130は、吊りボルト10、ハンガー20、野縁受け30及び野縁40が互いに取り付けられた状態、かつ、ブレース60の下端部が取り付け位置に配置された状態で、これらの部材に取り付けられる。具体的には、上述の如く吊りボルト10等が取り付けられた状態で、まず仮組みした固定補強金具100及び側方補強金具130が取り付け位置に配置された後、側方補強金具130が野縁受け30に取り付けられる。なお、本実施形態においては、図1等に示すように、2つの側方補強金具130が取り付けられる。次に、固定補強金具100が一対のブレースの下端部と共に野縁受け30に取り付けられる。この際、固定補強金具100は、上側補強部110、下側補強部120の順に野縁受け30に取り付けられる。そして最後に、天井面材50が取り付けられる。
以下では、天井構造1における固定補強金具100及び側方補強金具130の取り付け態様について説明する。
【0062】
まず、図6から図8を用いて、側方補強金具130の取り付け態様について説明する。
【0063】
本実施形態においては、上述の如く2つの側方補強金具130が取り付けられる。2つの側方補強金具130の取り付け態様は、左右方向に対称であることを除いて略同様である。そこで以下では、主として右側の側方補強金具130に着目して説明を行うものとし、左側の側方補強金具130については適宜説明を省略する。
【0064】
側方補強金具130は、ブレース60の下端部が野縁受け30に固定される中央領域R2の右方に隣接する右側領域R1において、野縁受け30に上方から引っ掛けられる。当該側方補強金具130の上端延出部131は、図6及び図8に示すように、野縁受け30の上フランジ32に載置される。また、側方補強金具130の垂れ部132は、野縁受け30のウェブ31と接触する。図6及び図7に示すように、垂れ部132(ビス孔132a)には、左右に複数のビスB2がねじ込まれる。なお、最も左側のビスB2は、上側補強部110のビス孔114a(図4(a)及び図4(b)参照)を介してねじ込まれる。こうして、側方補強金具130は、垂れ部132がビスB2により野縁受け30と固定される。
【0065】
こうして、側方補強金具130は、横方向に挿通された固定手段(ビスB2)により野縁受け30と固定されるため、例えば地震発生時において、例えば一対のブレース60のうち一方のブレース60に長手方向一方への力が作用し、他方のブレース60に長手方向他方への力が作用した場合等、野縁受け30に対して、大きなせん断力が作用した場合であっても、野縁受け30の変形が抑制され、当該野縁受け30、側方補強金具130と天井面材50との間の応力伝達をより確実に行うことができる。
【0066】
なお、作業者が側方補強金具130を野縁受け30に固定する作業を行う場合、ビスB2により固定する前であっても、側方補強金具130を野縁受け30に引っ掛けて留めておく(仮止めする)ことができる。こうして、側方補強金具130の取り付け作業(より詳細には、ビス止め作業)を行う場合の施工性を向上させることができる。
【0067】
また、側方補強金具130の下端延出部134の下面は、野縁40の下面と同一水平面上に位置する。側方補強金具130の下端延出部134は、野縁40に支持された天井面材50に固定される。具体的には、側方補強金具130の下端延出部134は、天井面材50と略隙間無く重ね合わされた状態で、天井面材50の下方から上方へねじ込まれた複数のビスB2により当該天井面材50と固定される。こうして、側方補強金具130は、右側領域R1において野縁受け30と天井面材50とにそれぞれ固定される。また、本実施形態において、下端延出部134にねじ込まれたビスB2は、左右方向に並ぶ列が3列、前後方向に並ぶ列が3列並ぶように配置される。
【0068】
上述の如き側方補強金具130を介して一対のブレース60と天井面材50とが固定されることで、例えば地震発生時に天井面材50が野縁受け30の長手方向(左右方向)に揺れた場合、当該天井面材50に生じる水平力を側方補強金具130によって野縁受け30に伝達し、ひいては一対のブレース60に伝達することができる。こうして、天井構造1においては、当該天井構造1を構成する上記各種の部材を一体的に変位させることができ、例えば建物Hの壁部等に衝突するのを抑制し、当該衝突により天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0069】
また、一対のブレース60と天井面材50とが、野縁受け30及び野縁40を介して固定されるだけでなく、野縁受け30及び側方補強金具130(より詳細には、下端延出部134)を介して固定される。こうして、一対のブレース60と天井面材50との間において応力が集中するのを抑制することができる。こうして、応力の集中による上記各種の部材(例えば、野縁受け30)の変形を抑制することができ、当該変形により天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0070】
なお、左側の側方補強金具130は、中央領域R2の左方に隣接する左側領域R3に配置される。こうして、本実施形態においては、中央領域R2を挟んだ2つの領域R1・R3において、側方補強金具130を介して、野縁受け30と天井面材50とが固定されている。
【0071】
次に、図6から図10を用いて、固定補強金具100の取り付け態様について説明する。まず、上側補強部110の取り付け態様について説明する。
【0072】
上側補強部110は、野縁受け30及びクリップ部材41の上方に設けられる。上側補強部110は、野縁受け30及びクリップ部材41に載置される。より詳細には、図8及び図9に示すように、上側補強部110は、クリップ部材41に対して下端延出部113が直接的に載置される。また、上側補強部110は、野縁受け30に対して、クリップ部材41を介して下端延出部113が間接的に載置される。このように、上側補強部110は、野縁受け30及びクリップ部材41に対して、直接的又は間接的に上方から接触するように設けられる。
【0073】
また、上側補強部110は、野縁40b及び野縁40cに取り付けられたクリップ部材41に載置され、領域R1~R3に亘るように配置される。当該上側補強部110の右側の爪部114は、右側領域R1に配置される。また、左側の爪部114は、左側領域R3に配置される。
【0074】
当該左右の爪部114は、図6及び図7に示すように、野縁受け30に対して側方から当接するように設けられる。より詳細には、右側の爪部114の後側面が、右側の側方補強金具130の垂れ部132の前側面に前側方から当接される。また、左側の爪部114の後側面が、左側の側方補強金具130の垂れ部132の前側面に前側方から当接される。なお、左右の側方補強金具130の垂れ部132は、野縁受け30と当接される。したがって、爪部114は、側方補強金具130の垂れ部132を介して野縁受け30と当接される。
【0075】
また、上側補強部110は、爪部114のビス孔114a(図4(a)及び図4(b)参照)に挿通されたビスB2により側方補強金具130及び野縁受け30と固定される。なお、上側補強部110のビス孔114aは、側方補強金具130の上側補強部110に近い側の端部のビス孔132aと前後方向に重複するように設けられる。こうして、上側補強部110と側方補強金具130とが、前後方向に重複するように設けられたビス孔(ビス孔114a及びビス孔132a)を介して共締めされる。
【0076】
また、上側補強部110は、一対のブレース60と当接するように設けられる。より詳細には、上側補強部110の本体部111の前側面が、一対のブレース60の後側面(閉鎖面)と当接される。ここで、一対のブレース60うち、右側ブレース60Rの下端部(ビスB1により野縁受け30に固定された部分)は、上側補強部110の右側半分のうち左部の下方(換言すれば、上側補強部110全体のうち、左右方向中央から若干右よりの下方)に設けられる。そのため、右側ブレース60Rは、正面視で上側補強部110の右側半分を斜めに横断するように、当該上側補強部110と当接される。また、左側ブレース60Lは、右側ブレース60Rに対して吊りボルト10を中心として左右対称に設けられる。
【0077】
また、上側補強部110は、ビスB3により一対のブレース60と固定される。また、一対のブレース60の下端部は、ビスB1により野縁受け30と固定される。上側補強部110と一対のブレース60とを固定するビスB3は、上側補強部110の上部及び下部それぞれに設けられる。こうして、一対のブレース60は、ビスB1により直接的に野縁受け30に固定されるだけでなく、上側補強部110及び側方補強金具130を介して間接的に野縁受け30に固定される。すなわち、一対のブレース60は、野縁受け30に支持された野縁40を介して天井面材50を支持するだけでなく、上側補強部110及び側方補強金具130(より詳細には、下端延出部134)を介して天井面材50を支持することができる。換言すれば、一対のブレース60は、下端部に比較的近い場所だけでなく、下端部から左右に比較的離れた場所(右側領域R1及び左側領域R3)において天井面材50を支持することができる。
【0078】
次に、下側補強部120の取り付け態様について説明する。
【0079】
上述の如く、下側補強部120は、上側補強部110と一体的に形成されている。当該下側補強部120は、図8及び図10に示すように、上側補強部110が野縁受け30等に載置されることで、野縁40bと野縁40cとの間の中央領域R2に配置される。また、下側補強部120は、一対のブレース60の下端部の後方に配置される。
【0080】
ここで、上述の如く、上側補強部110の下端延出部113は、クリップ部材41に直接的に載置される。一方、下側補強部120は、野縁40bと野縁40cとの間、すなわちクリップ部材41が設けられていない位置に配置される。そこで、本実施形態の下側補強部120は、第一固定部121を下端延出部113よりも一段低い位置に配置することで、第一固定部121が野縁受け30に直接的に載置されている。
【0081】
こうして第一固定部121が野縁受け30に載置された状態において、下側補強部120の接続部122の貫通孔122aには、ハンガー20の後側の側壁22が収容される。また、接続部122は、前側面が野縁受け30の上フランジ32及び下フランジ33の後端部と直接的に接触するように設けられる。
【0082】
下側補強部120は、第一固定部121に上方から下方へねじ込まれたビスB4により、野縁受け30と固定される。本実施形態においてビスB4は、左右方向に間隔をあけて複数(5つ)配置される。
【0083】
また、図10に示すように、下側補強部120の第二固定部123の下面は、野縁40の下面と同一水平面上に位置する。下側補強部120の第二固定部123は、野縁40に支持された天井面材50に固定される。具体的には、下側補強部120の第二固定部123は、天井面材50と略隙間無く重ね合わされた状態で、天井面材50の下方から上方へねじ込まれた複数のビスB5により当該天井面材50と固定される。こうして、下側補強部120は、中央領域R2において、野縁受け30と天井面材50とにそれぞれ固定される。図8に示すように、本実施形態において、ビスB5は、左右方向に並ぶ列が5列、前後方向に並ぶ列が3列並ぶように配置される。
【0084】
上述の如き下側補強部120の構成により、例えば地震発生時に天井面材50が野縁受け30の長手方向(左右方向)に揺れた場合、当該天井面材50に生じる水平力を側方補強金具130だけではなく、下側補強部120によっても野縁受け30から一対のブレース60に伝達することができる。こうして、天井構造1においては、当該天井構造1を構成する上記各種の部材を一体的に変位させることができ、例えば建物Hの壁部等に衝突するのを抑制し、当該衝突により天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0085】
また、下側補強部120を介して一対のブレース60と天井面材50とが固定されることで、側方補強金具130の長手方向の長さを短くすることができる。具体的には、側方補強金具130は、強度を確保するために、天井面材50にある程度の本数のビスB2をねじ込む必要がある。また、側方補強金具130にねじ込むビスB2の本数を増やす場合、側方補強金具130の長手方向の長さを長くする必要がある。
【0086】
本実施形態の天井構造1では、下側補強部120を設けることで、左右の側方補強金具130の間(中央領域R2)においても、一対のブレース60と天井面材50とが固定されることとなる。これにより、地震発生時に生じる応力を、左右の側方補強金具130だけではなく、下側補強部120にも分散させることができる。これによって、下側補強部120を設けない場合と比較して、側方補強金具130にねじ込むビスB2の本数を減らすことができるため、側方補強金具130の長手方向の長さを短くすることができる。これによれば、隣接する2つの野縁40の左右方向の距離に対して、側方補強金具130の長手方向の長さを十分に短くする(例えば野縁40の左右方向の距離の半分の長さにする)ことが可能となる。このため、側方補強金具130の取付位置が左右にずれたとしても、野縁40に干渉することなく側方補強金具130を取り付けることができる。
【0087】
以上の如く、本実施形態に係る天井構造1は、建物Hの天井面材50(天井材)を支持する長尺状の野縁40と、前記野縁40を支持する長尺状の野縁受け30(野縁受け部材)と、前記建物Hの躯体Aと前記野縁受け30との間に架設されると共に、前記野縁受け30側の端部(下端部)が前記野縁受け30に固定される一対のブレース60と、前記野縁受け30に固定される第一固定部121(野縁受け側固定部)、及び前記天井面材50に固定される第二固定部123(天井面材側固定部)を有する下側補強部120(第一部材)を含む固定補強金具100と、を具備し、前記第二固定部123は、前記野縁40の長手方向において、前記ブレース60の前記野縁受け30側の端部の側方に配置されるものである。
【0088】
このように構成することにより、天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
具体的には、一対のブレース60と天井面材50とが、野縁受け30及び野縁40を介して固定されるだけでなく、野縁受け30及び固定補強金具100を介して固定される。こうして、一対のブレース60と天井面材50との間において応力が集中するのを抑制することができる。こうして、応力の集中による上記各種の部材(例えば、野縁受け30)が変形するのを抑制することができ、当該変形により天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0089】
また、前記固定補強金具100は、前記一対のブレース60のそれぞれと固定されると共に前記野縁受け30に固定された上側補強部110(第二部材)を含むものである。
【0090】
このように構成することにより、一対のブレース60を野縁受け30だけではなく、上側補強部110にも固定することができる。これにより、一対のブレース60と天井面材50との間において応力が集中するのを効果的に抑制することができる。
【0091】
また、前記下側補強部120は、前記上側補強部110と一体的に形成されるものである。
【0092】
このように構成することにより、一対のブレース60と天井面材50とを、下側補強部120及び上側補強部110を介して固定することができる。これにより、一対のブレース60と天井面材50との間において応力が集中するのを効果的に抑制することができる。また、下側補強部120と上側補強部110とをまとめて施工することができるため、施工性を向上させることができる。
【0093】
また、前記野縁受け30の長手方向における前記上側補強部110の一側部(右部)に固定されると共に、前記野縁受け30と前記天井面材50とにそれぞれ固定される右側の側方補強金具130(一側補強部材)と、前記野縁受け30の長手方向における前記上側補強部110の他側部(左部)に固定されると共に、前記野縁受け30と前記天井面材50とにそれぞれ固定される左側の側方補強金具130(他側補強部材)と、をさらに具備するものである。
【0094】
このように構成することにより、一対のブレース60と天井面材50とを、左右の側方補強金具130を介して固定することができる。これにより、一対のブレース60と天井面材50との間において応力が集中するのを効果的に抑制することができる。
【0095】
また、前記第二固定部123は、前記野縁受け30の長手方向に間隔をあけて配置される2つの前記野縁40b・40cの内側(中央領域R2)に配置され、前記右側の側方補強金具130及び前記左側の側方補強金具130の前記天井面材50と固定される部分は、前記2つの野縁40b・40cの外側(右側領域R1及び左側領域R3)に配置されるものである。
【0096】
このように構成することにより、3つの補強部材(固定補強金具100、右側の側方補強金具130及び左側の側方補強金具130)のうち、固定補強金具100のみが、2つの野縁40b・40cの内側で天井面材50に固定されることとなる。これによれば、固定補強金具100(第二固定部123)の設置スペースを確保することができる。また、左右の側方補強金具130を固定補強金具100の第二固定部123とは異なる領域R1・R3に配置して、当該側方補強金具130の設置スペースも確保することができる。
【0097】
また、前記第一固定部121は、前記野縁受け30に載置されるものである。
【0098】
このように構成することにより、第一固定部121を野縁受け30に載置した状態で固定補強金具100を固定可能となるため、施工性を向上させることができる。
【0099】
また、前記下側補強部120は、前記第一固定部121及び前記第二固定部123を接続する接続部122をさらに具備し、前記接続部122は、前記野縁40の長手方向に貫通する貫通孔122aを具備するものである。
【0100】
このように構成することにより、固定補強金具100を固定する際に他の部材(例えば野縁受け30に取り付けられるハンガー20等)と干渉するのを抑制することができる。
【0101】
また、前記接続部122は、前記野縁受け30と接するように配置されるものである。
【0102】
このように構成することにより、例えば地震発生時に野縁受け30に水平方向の力が作用した場合に、接続部122により野縁受け30を支持し、当該野縁受け30の変形を抑制することができる。
【0103】
また、以上の如く、本実施形態に係る固定補強金具100は、一対のブレース60の端部(下端部)が固定されると共に野縁40を支持する野縁受け30と、前記野縁40に支持される天井面材50と、にそれぞれ固定される固定補強金具100であって、前記野縁受け30に固定される第一固定部121と、前記天井面材50に固定される第二固定部123と、を有し、前記第二固定部123は、前記野縁40の長手方向において、前記ブレース60の前記端部の側方に配置されるものである。
【0104】
このように構成することにより、天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0105】
なお、本実施形態に係る天井面材50は、本発明に係る天井材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る野縁受け30は、本発明に係る野縁受け部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一固定部121は、本発明に係る野縁受け部材側固定部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二固定部123は、本発明に係る天井材側固定部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る下側補強部120は、本発明に係る第一部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る上側補強部110は、本発明に係る第二部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る右側の側方補強金具130は、本発明に係る一側補強部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る左側の側方補強金具130は、本発明に係る他側補強部材の実施の一形態である。
【0106】
また、天井構造1は、建物Hの天井面材50(天井材)を支持すると共に間隔をあけて複数設けられる長尺状の野縁40と、前記野縁40を支持する長尺状の野縁受け30(野縁受け部材)と、前記野縁受け30に固定されると共に前記複数の野縁40により区画された3つの領域R1~R3のそれぞれにおいて、前記天井面材50に固定される固定部材(下側補強部120及び左右の側方補強金具130)を具備するものである。
このように構成することにより、例えば地震発生時等に生じる応力を異なる3つの領域R1~R3に分散させることができる。これにより、ある1つの領域(例えば、中央領域R2等)に応力が集まるのを抑制し、応力の集中による上記各種の部材(例えば、野縁受け30)が変形するのを抑制することができる。これによれば、変形により天井面材50が脱落するのを抑制することができる。
【0107】
また、前記建物Hの躯体Aと前記野縁受け30との間に架設されると共に、前記野縁受け30側の端部が前記野縁受け30に固定される一対のブレース60をさらに具備し、前記3つの領域R1~R3は、前記一対のブレース60の前記野縁受け30側の端部が配置された中央領域R2(第一領域)と、前記中央領域R2と前記野縁受け30の長手方向における一側方(右方)に隣接する右側領域R1(第二領域)と、前記中央領域R2と前記野縁受け30の長手方向における他側方(左方)に隣接する左側領域R3(第三領域)と、を具備するものである。
このように構成することにより、例えば地震発生時等においてブレース60に水平方向の力が作用した場合に、当該力を中央領域R2と、当該中央領域R2に隣接する右側領域R1及び左側領域R3と、にバランスよく分散させることができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0109】
例えば、本実施形態において、野縁40は、シングル野縁であるものとしたが、シングル野縁よりも横幅が大きなダブル野縁であってもよい。
【0110】
また、上側補強部110の構成は、本実施形態に係るものに限定されない。例えば、上側補強部110の大きさ及び形状は、適宜変更可能である。
【0111】
また、側方補強金具130の構成は、本実施形態に係るものに限定されない。例えば、側方補強金具130の大きさ及び形状は、適宜変更可能である。具体的には、例えば、側方補強金具130の接続部133は、下端部から前上方へ延びるものとしたが、これに限定されるものではなく、下端部から上方へ延びるものであってもよい。
【0112】
また、下側補強部120の構成は、本実施形態に係るものに限定されない。例えば、下側補強部120の大きさ及び形状は、適宜変更可能である。
【0113】
また、下側補強部120は、一枚の平板状の部材が適宜折り曲げられることによって上側補強部110と一体的に形成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、他の手法(例えば、溶接等)により上側補強部110と一体的に形成されていてもよい。また、下側補強部120は、必ずしも上側補強部110と一体的に形成される必要はなく、例えば、上側補強部110と別体であってもよい。
【0114】
また、第一固定部121は、野縁受け30に載置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、野縁受け30に載置されないものであってもよい。
【0115】
また、接続部122は、貫通孔122aを具備するものとしたが、これに限定されるものではなく、貫通孔122aを具備していなくてもよい。
【0116】
また、接続部122は、野縁受け30と接するものとしたが、これに限定されるものではなく、野縁受け30に対して間隔をあけて配置されていてもよい。
【0117】
また、固定補強金具100及び側方補強金具130を固定する手順は本実施形態に限定されるものではない。例えば、固定補強金具100及び側方補強金具130を仮組し、最初に上側補強部110と側方補強金具130とが重なる部分(ビス孔114a及びビス孔132a)にビスB2をねじ込んで固定補強金具100及び側方補強金具130を互いに固定する。その後、側方補強金具130を野縁受け30に固定し、一対のブレース60の下端部及び固定補強金具100を野縁受け30に固定し、最後に天井面材50を野縁40等に固定する。
【0118】
以下では、図11を用いて、第二実施形態に係る天井構造201について説明する。
【0119】
第二実施形態に係る天井構造201においては、第一実施形態に係る天井構造1において、野縁受け30にブレース60、固定補強金具100及び側方補強金具130が取り付けられていたのに対し、野縁受け継ぎ部材230に、固定補強金具200及び側方補強金具130が取り付けられる点で、当該第一実施形態と異なる。また、第二実施形態に係る固定補強金具200は、2つの下側補強部220を具備する点で、第一実施形態と異なる。
【0120】
野縁受け継ぎ部材230は、長尺状の部材である。野縁受け継ぎ部材230は、複数(本実施形態においては、3本)の野縁受け30の上方で、当該野縁受け30の長手方向に対して直交する方向へ長手方向を向けて配置される。野縁受け継ぎ部材230は、3本の野縁受け30に亘るように設けられると共に、これらの野縁受け30と固定される。また、野縁受け継ぎ部材230は、一対のブレース60の間に配置されたハンガー20に支持される。
【0121】
下側補強部220は、上側補強部110の本体部111の前部及び後部にそれぞれ配置される。下側補強部220は、貫通孔122aが形成されていない点、及び高さが高い点を除いて、第一実施形態の下側補強部120と同一形状に形成される。下側補強部220は、ハンガー20の前方及び後方にそれぞれ配置される。
【0122】
固定補強金具200及び側方補強金具130は、第一実施形態に係る天井構造1の野縁受け30に対する取り付け態様と同様の態様で取り付けられる。なお、第二実施形態において、下側補強部220の長手方向の長さは、第一実施形態の下側補強部120と同一である必要はない。例えば、第二実施形態において、下側補強部220の長手方向の長さは、第一実施形態の下側補強部120よりも短いものであってもよい。
【0123】
なお、第二実施形態に係る野縁受け継ぎ部材230は、本発明に係る野縁受け部材の実施の一形態である。
【符号の説明】
【0124】
1 天井構造
30 野縁受け
40 野縁
50 天井面材(天井材)
60 ブレース
100 固定補強金具
120 下側補強部(第一部材)
121 第一固定部(野縁受け部材側固定部)
123 第二固定部(天井材側固定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11