(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F25B 43/00 20060101AFI20240517BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F25B43/00 A
F25B49/02 510B
F25B49/02 510C
F25B49/02 510F
F25B49/02 520C
(21)【出願番号】P 2020074432
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224832(JP,A)
【文献】特開2006-284035(JP,A)
【文献】特開平11-248266(JP,A)
【文献】特開2005-282885(JP,A)
【文献】特開平08-254376(JP,A)
【文献】特開2017-133763(JP,A)
【文献】特開平07-324828(JP,A)
【文献】特開2011-122766(JP,A)
【文献】特開2006-052934(JP,A)
【文献】特開平06-207758(JP,A)
【文献】特開2009-162388(JP,A)
【文献】特開平08-136078(JP,A)
【文献】特開2010-019439(JP,A)
【文献】国際公開第2012/053229(WO,A1)
【文献】特開平11-94401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-7/00、13/00
F25B 41/20、41/37
F25B 43/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内熱交換器と、
室外熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第1の配管に設けられた圧縮機と、
前記第1の配管に設けられ、
前記室内熱交換器と、前記室外熱交換器と、前記圧縮機の吸込口及び吐出口と、に接続され、前記冷媒が流れる方向を変更可能な、四方弁と、
前記第2の配管に設けられた減圧器と、
前記減圧器と前記室内熱交換器との間で前記第2の配管に設けられ、液体状の前記冷媒を貯蔵可能な、レシーバタンクと、
前記レシーバタンクに貯蔵される液体状の前記冷媒の量を調節する調節機構と、
前記調節機構を制御する制御装置と、
を具備
し、
前記調節機構は、前記冷媒が流れる第1のバイパス配管と、前記第1のバイパス配管に設けられた第1の弁と、を有し、
前記第1のバイパス配管は、前記レシーバタンクに接続されるとともに、前記室外熱交換器と前記四方弁との間で前記第1の配管に接続され、
前記第1の弁は、前記第1のバイパス配管を流れる前記冷媒の量を調節する、
空気調和機。
【請求項2】
前記調節機構は、前記冷媒が流れる第2のバイパス配管と、前記第2のバイパス配管に設けられた第2の弁と、を有し、
前記第2のバイパス配管は、前記レシーバタンクに接続されるとともに、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の下流で前記第1の配管に接続され、
前記第2の弁は、前記第2のバイパス配管を流れる前記冷媒の量を調節する、
請求項1の空気調和機。
【請求項3】
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第1の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項4】
前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記減圧器と前記レシーバタンクとの間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第3の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最大値から前記第3の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第2の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項5】
前記調節機構は、前記減圧器と前記レシーバタンクとの間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第3の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の下流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第1の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第1の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の凝縮温度を算出する、第1の算出部を有し、暖房運転時において、前記凝縮温度から前記第3の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第3の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項6】
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第4の閾値を上回り、且つ前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度が第5の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項7】
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第6の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項8】
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記第3の端部に設けられ、前記第3の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第6の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第6の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第7の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項9】
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第8の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項10】
前記調節機構は、前記室外熱交換器の外部の気温を検出する第7の温度センサを有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第7の温度センサが検出した気温が第9の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項11】
前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最小値を減じた値が第10の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項12】
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第11の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
請求項1又は
請求項2の空気調和機。
【請求項13】
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第12の閾値を下回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項14】
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第13の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項15】
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記第3の端部に設けられ、前記第3の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第6の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第6の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第14の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項16】
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第15の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項17】
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第16の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項18】
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第1の端部に設けられ、前記第1の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第8の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第8の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第17の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項19】
前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最小値を減じた値が第18の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項20】
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第19の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
請求項2の空気調和機。
【請求項21】
前記調節機構は、前記第1の弁と前記レシーバタンクとの間で前記第1のバイパス配管に設けられた第1のキャピラリチューブと、前記第2の弁と前記レシーバタンクとの間で前記第2のバイパス配管に設けられた第2のキャピラリチューブと、を有する、
請求項2の空気調和機。
【請求項22】
前記第1のキャピラリチューブと前記第2のキャピラリチューブとは互いに性能が異なる、
請求項21の空気調和機。
【請求項23】
前記レシーバタンクは、当該レシーバタンクの下方の端部に設けられた底壁を有し、前記底壁に設けられるとともに前記第2の配管を介して前記室内熱交換器に接続される第1の孔と、前記底壁に設けられるとともに前記第2の配管を介して前記室外熱交換器に接続される第2の孔と、前記第1のバイパス配管に接続される第3の孔と、が設けられ、
前記第3の孔は、運転中に前記レシーバタンクに貯蔵される液体状の前記冷媒の最大の液位よりも上方に位置する、
請求項1乃至
請求項22のいずれか一つの空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和機は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。例えば暖房運転時において、冷媒は、室内熱交換器で凝縮し、室外熱交換器で蒸発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和機の冷凍サイクルの各要素において、液体状の冷媒及び気体状の冷媒の量及び割合に過不足が生じることがある。当該過不足は、空気調和機の効率を低下させる虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、熱交換器に供給される冷媒の量を調節可能な空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和機は、室内熱交換器と、室外熱交換器と、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、前記第1の配管に設けられた圧縮機と、前記第1の配管に設けられ、前記室内熱交換器と、前記室外熱交換器と、前記圧縮機の吸込口及び吐出口と、に接続され、前記冷媒が流れる方向を変更可能な、四方弁と、前記第2の配管に設けられた減圧器と、前記減圧器と前記室内熱交換器との間で前記第2の配管に設けられ、液体状の前記冷媒を貯蔵可能な、レシーバタンクと、前記レシーバタンクに貯蔵される液体状の前記冷媒の量を調節する調節機構と、前記調節機構を制御する制御装置と、を備える。前記調節機構は、前記冷媒が流れる第1のバイパス配管と、前記第1のバイパス配管に設けられた第1の弁と、を有し、前記第1のバイパス配管は、前記レシーバタンクに接続されるとともに、前記室外熱交換器と前記四方弁との間で前記第1の配管に接続され、前記第1の弁は、前記第1のバイパス配管を流れる前記冷媒の量を調節する。
【0008】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記冷媒が流れる第2のバイパス配管と、前記第2のバイパス配管に設けられた第2の弁と、を有し、前記第2のバイパス配管は、前記レシーバタンクに接続されるとともに、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の下流で前記第1の配管に接続され、前記第2の弁は、前記第2のバイパス配管を流れる前記冷媒の量を調節する。
【0009】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第1の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0010】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記減圧器と前記レシーバタンクとの間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第3の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最大値から前記第3の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第2の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0011】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記減圧器と前記レシーバタンクとの間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第3の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の下流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第1の圧力センサと、を有し、前記制御装置は、前記第1の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の凝縮温度を算出する、第1の算出部を有し、暖房運転時において、前記凝縮温度から前記第3の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第3の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0012】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第4の閾値を上回り、且つ前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度が第5の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0013】
上記空気調和機において、前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第6の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0014】
上記空気調和機において、前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記第3の端部に設けられ、前記第3の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第6の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第6の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第7の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0015】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第8の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0016】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記室外熱交換器の外部の気温を検出する第7の温度センサを有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第7の温度センサが検出した気温が第9の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0017】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最小値を減じた値が第10の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0018】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第11の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる。
【0019】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第12の閾値を下回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0020】
上記空気調和機において、前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第13の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0021】
上記空気調和機において、前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記第3の端部に設けられ、前記第3の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第6の温度センサと、を有し、前記制御装置は、暖房運転時において、前記第6の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第14の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0022】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第15の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0023】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第16の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0024】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第1の端部に設けられ、前記第1の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第8の温度センサと、を有し、前記制御装置は、冷房運転時において、前記第8の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第17の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0025】
上記空気調和機において、前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最小値を減じた値が第18の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0026】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第19の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる。
【0027】
上記空気調和機において、前記調節機構は、前記第1の弁と前記レシーバタンクとの間で前記第1のバイパス配管に設けられた第1のキャピラリチューブと、前記第2の弁と前記レシーバタンクとの間で前記第2のバイパス配管に設けられた第2のキャピラリチューブと、を有する。
【0028】
上記空気調和機において、前記第1のキャピラリチューブと前記第2のキャピラリチューブとは互いに性能が異なる。
【0029】
上記空気調和機において、前記レシーバタンクは、当該レシーバタンクの下方の端部に設けられた底壁を有し、前記底壁に設けられるとともに前記第2の配管を介して前記室内熱交換器に接続される第1の孔と、前記底壁に設けられるとともに前記第2の配管を介して前記室外熱交換器に接続される第2の孔と、前記第1のバイパス配管に接続される第3の孔と、が設けられ、前記第3の孔は、運転中に前記レシーバタンクに貯蔵される液体状の前記冷媒の最大の液位よりも上方に位置する。
【0030】
以上の空気調和機によれば、例えば、熱交換器に供給される冷媒の量を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態のレシーバタンクを概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の空気調和機の構成を機能的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態の空気調和機の暖房運転における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の空気調和機の冷房運転における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態の空気調和機の暖房運転における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2の実施形態の空気調和機の冷房運転における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
【
図10】
図10は、第3の実施形態の空気調和機の構成を機能的に示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第3の実施形態の空気調和機の暖房運転における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第3の実施形態の空気調和機の冷房運転における制御の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第1乃至第3の実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、
図1乃至
図5を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該構成要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0033】
図1は、第1の実施形態に係る空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。空気調和機10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和機10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和機であっても良い。
【0034】
図1に示すように、空気調和機10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0035】
空気調和機10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0036】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風機22と、圧縮機23と、四方弁24と、膨張弁25と、レシーバタンク26と、調節機構27とを有する。膨張弁25は、減圧器の一例である。室内機12は、室内熱交換器31と、室内送風機32とを有する。
【0037】
冷媒配管13は、第1の配管41と、第2の配管42とを有する。第1の配管41は、室外熱交換器21と室内熱交換器31とを接続する。第2の配管42は、室内熱交換器31と室外熱交換器21とを接続する。
【0038】
暖房運転において、冷媒は、第1の配管41を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、第2の配管42を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。冷房運転において、冷媒は、第2の配管42を通って室外熱交換器21から室内熱交換器31へ流れ、第1の配管41を通って室内熱交換器31から室外熱交換器21へ流れる。
【0039】
圧縮機23及び四方弁24は、第1の配管41に設けられる。一方、膨張弁25及びレシーバタンク26は、第2の配管42に設けられる。レシーバタンク26は、第2の配管42において、膨張弁25と室内熱交換器31との間に配置される。
【0040】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として冷媒の吸熱、又は凝縮器として冷媒の放熱を行う。室外送風機22は、室外熱交換器21に向かって送風し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。
【0041】
本実施形態の室外熱交換器21は、例えば、内部に微小な冷媒流路を複数形成された扁平多穴管を伝熱管として有する、いわゆるマイクロチャネル熱交換器である。室外熱交換器21における冷媒の流路の内径は、数ミリメートル以下に設定される。例えば、室外熱交換器21における冷媒の流路の容積は、室内熱交換器31における冷媒の流路の容積の約60%に設定される。すなわち、室外熱交換器21における冷媒の流路の容積は、室内熱交換器31における冷媒の流路の容積よりも小さい。これにより、室外機11が小型化及び軽量化される。なお、室外熱交換器21は、マイクロチャネル熱交換器に限られず、例えば、複数の板状の伝熱フィンと各伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、いわゆるクロスフィン熱交換器であっても良い。また、室外熱交換器21及び室内熱交換器31における冷媒の流路の容積は、上述の例に限られない。
【0042】
圧縮機23は、吸込口から気体状の冷媒を吸引し、冷媒を圧縮して吐出口から吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。圧縮機23は、例えば、インバータ制御により運転周波数を変更可能であっても良い。
【0043】
四方弁24は、圧縮機23の吸込口及び吐出口に接続される。四方弁24は、暖房運転時と冷房運転時とで、圧縮機23の吸込口に接続される流路と、圧縮機23の吐出口に接続される流路とを切り替える。これにより、四方弁24は、暖房運転時と冷房運転時とで、冷媒が流れる方向を変更する。
図1において、暖房運転時に冷媒が流れる方向が矢印Dhで示され、冷房運転時に冷媒が流れる方向が矢印Dcで示される。
【0044】
膨張弁25は、例えば、電磁膨張弁である。なお、膨張弁25は、他の減圧器であっても良い。膨張弁25は、例えば、圧縮機23の吸込口の温度又は圧力に応じて開度を制御され、通過する冷媒の量を調節する。
【0045】
図2は、第1の実施形態のレシーバタンク26を概略的に示す断面図である。
図2に示すように、レシーバタンク26は、中空の略円柱状に形成される。なお、レシーバタンク26は、他の形状に形成されても良い。
【0046】
レシーバタンク26は、液体状の冷媒Ml及び気体状の冷媒Mgを貯蔵可能な容器である。レシーバタンク26は、冷媒配管13よりも大きい内径を有し、単位長さ当たりに貯蔵可能な冷媒の量が冷媒配管13よりも大きい。
【0047】
レシーバタンク26は、気密に密閉されている。このため、レシーバタンク26の内部において、貯蔵された液体状の冷媒Mlの上方の空間には、気体状の冷媒Mgが貯蔵される。
【0048】
図1の室内機12の室内熱交換器31は、例えば、複数の板状の伝熱フィンと各伝熱フィンを貫通する伝熱管とを有する、いわゆるクロスフィン熱交換器である。この室内熱交換器31は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器として吸熱し、又は凝縮器として放熱する。室内送風機32は、室内熱交換器31に向かって送風し、室内熱交換器31と空気との熱交換を促進する。
【0049】
本実施形態の室内熱交換器31は、サブ熱交換器を有する。これにより、室内熱交換器31は、暖房運転時において、より大きい過冷却を生じさせることができる。なお、室内熱交換器31は、この例に限られない。
【0050】
調節機構27は、第1のバイパス配管51と、第1の弁52と、第1のキャピラリチューブ53と、第2のバイパス配管55と、第2の弁56と、第2のキャピラリチューブ57と、複数の温度センサ61,62,63,64,65,66,67,68とを有する。
【0051】
温度センサ61は、第1の温度センサの一例である。温度センサ62は、第2の温度センサの一例である。温度センサ63は、第8の温度センサの一例である。温度センサ64は、第4の温度センサの一例である。温度センサ65は、第6の温度センサの一例である。温度センサ66は、第5の温度センサの一例である。温度センサ67は、第7の温度センサの一例である。温度センサ68は、第3の温度センサの一例である。
【0052】
第1のバイパス配管51は、第1の配管41と第2の配管42との間で冷媒が流れることを可能にするバイパスである。第1のバイパス配管51の一方の端部は、レシーバタンク26に接続される。第1のバイパス配管51の他方の端部は、室外熱交換器21と四方弁24との間で第1の配管41に接続される。
【0053】
図1に破線で仮想的に示されるように、第1のバイパス配管51の他方の端部は、四方弁24と圧縮機23との間であって圧縮機23の上流で第1の配管41に接続されても良い。例えば、第1のバイパス配管51は、圧縮機23の吸込口の近傍で第1の配管41に接続されても良い。
【0054】
第1の弁52は、例えば、電磁弁である。なお、第1の弁52は、電磁膨張弁のような他の弁であっても良い。第1の弁52は、第1のバイパス配管51に設けられる。第1の弁52は、制御に応じて開閉する。言い換えると、第1の弁52は、第1のバイパス配管51を流れる冷媒の量を調節する。
【0055】
第1のキャピラリチューブ53は、第1の弁52とレシーバタンク26との間で第1のバイパス配管51に設けられる。第1のキャピラリチューブ53は、第1のバイパス配管51を通る冷媒を緩やかに減圧し、脈動を抑制する。
【0056】
第2のバイパス配管55は、第1の配管41と第2の配管42との間で冷媒が流れることを可能にするバイパスである。第2のバイパス配管55の一方の端部は、レシーバタンク26に接続される。
【0057】
第1のバイパス配管51及び第2のバイパス配管55の内径は、第1の配管41及び第2の配管42の内径よりも短い。さらに、第1のバイパス配管51と第2のバイパス配管55とは、
図1のように合流してレシーバタンク26に接続されても良いし、別々にレシーバタンク26に接続されても良い。
【0058】
第2のバイパス配管55の他方の端部は、圧縮機23と四方弁24との間であって圧縮機23の下流で第1の配管41に接続される。例えば、第2のバイパス配管55は、圧縮機23の吐出口の近傍で、第1の配管41に接続される。
【0059】
図2に示すように、レシーバタンク26は、底壁26aと、上壁26bと、側壁26cとを有する。底壁26aは、レシーバタンク26の下方の端部に設けられる。上壁26bは、レシーバタンク26の上方の端部に設けられる。側壁26cは、略円筒状に形成され、底壁26aと上壁26bとを接続する。
【0060】
底壁26aに、第1の孔26dと、第2の孔26eとが設けられる。第1の孔26dは、第2の配管42を介して室内熱交換器31に接続される。第2の孔26eは、第2の配管42及び膨張弁25を介して室外熱交換器21に接続される。
【0061】
レシーバタンク26に、第3の孔26fがさらに設けられる。第3の孔26fは、第1のバイパス配管51及び第2のバイパス配管55に接続される。例えば、第1のバイパス配管51及び第2のバイパス配管55が合流した配管が、レシーバタンク26の内部に挿入される。当該配管の開口端が、レシーバタンク26の内部で第3の孔26fを形成する。
【0062】
レシーバタンク26の内部において、液体状の冷媒Mlの液位Lは上下に移動し得る。第3の孔26fは、運転中にレシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの最大の液位Lmaxよりも上方に位置する。
図2は、最大の液位Lmaxを二点鎖線で仮想的に示す。
【0063】
最大の液位Lmaxは、例えば、冷媒配管13における最大の追加チャージ量に基づき得られる。例えば、空気調和機10において、冷媒配管13の基本となる長さと、冷媒配管13の延長可能な最大の長さとが設定される。冷媒配管13の長さが延長可能な最大の長さとなった場合に、冷媒配管13に追加的に供給される冷媒の量が計算により得られる。レシーバタンク26が算出された量の冷媒を収容した場合の最大の液位Lが、最大の液位Lmaxに相当する。なお、液体状の冷媒Mlの最大の液位Lmaxは、この例に限られない。
【0064】
図1の第2の弁56は、例えば、電磁弁である。なお、第2の弁56は、電磁膨張弁のような他の弁であっても良い。第2の弁56は、第2のバイパス配管55に設けられる。第2の弁56は、制御に応じて開閉する。言い換えると、第2の弁56は、第2のバイパス配管55を流れる冷媒の量を調節する。
【0065】
第2のキャピラリチューブ57は、第2の弁56とレシーバタンク26との間で第2のバイパス配管55に設けられる。第2のキャピラリチューブ57は、第2のバイパス配管55を通る冷媒を緩やかに減圧し、脈動を抑制する。
【0066】
第1のキャピラリチューブ53と第2のキャピラリチューブ57とは、互いに性能が異なる。例えば、第2のキャピラリチューブ57は、耐圧性と脈動を抑制する能力と、の少なくとも一方が第1のキャピラリチューブ53よりも高い。なお、第2のキャピラリチューブ57は、この例に限られない。例えば、第1のキャピラリチューブ53と第2のキャピラリチューブ57とは、内径、長さ、材料、又は他の性能が互いに異なっても良い。
【0067】
室内熱交換器31における冷媒の流路は、中間部31mと、気体出口31gと、液体出口31lとを有する。中間部31mは、第1の中間部の一例である。気体出口31gは、第1の端部の一例である。液体出口31lは、第2の端部の一例である。
【0068】
中間部31mは、室内熱交換器31における冷媒の流路の略中央に位置する。気体出口31gは、室内熱交換器31における冷媒の流路の一方の端部であり、中間部31mよりも第1の配管41に近い。冷房運転において、気体出口31gから、室内熱交換器31で蒸発した気体状の冷媒が流出する。液体出口31lは、室内熱交換器31における冷媒の流路の他方の端部であり、中間部31mよりも第2の配管42に近い。暖房運転において、液体出口31lから、室内熱交換器31で凝縮した液体状の冷媒が流出する。
【0069】
温度センサ61は、室内熱交換器31の中間部31mに設けられる。温度センサ61は、中間部31mを流れる冷媒の温度Temを検出する。例えば、温度センサ61は、室内熱交換器31を流れる冷媒の飽和温度が取得可能な位置に配置される。このため、温度Temは、飽和温度に相当し得る。
【0070】
温度センサ62は、室内熱交換器31の液体出口31lに設けられる。温度センサ62は、液体出口31lを流れる冷媒の温度Telを検出する。なお、温度センサ62は、液体出口31lの近傍であって、室内熱交換器31の外部において、第2の配管42に設けられても良い。
【0071】
温度センサ63は、室内熱交換器31の気体出口31gに設けられる。温度センサ63は、気体出口31gを流れる冷媒の温度Tegを検出する。なお、温度センサ63は、気体出口31gの近傍であって、室内熱交換器31の外部において、第1の配管41に設けられても良い。
【0072】
室外熱交換器21における冷媒の流路は、中間部21mと、気体出口21gと、液体出口21lとを有する。中間部21mは、第2の中間部の一例である。気体出口21gは、第3の端部の一例である。液体出口21lは、第4の端部の一例である。
【0073】
中間部21mは、室外熱交換器21における冷媒の流路の略中央に位置する。気体出口21gは、室外熱交換器21における冷媒の流路の一方の端部であり、中間部21mよりも第1の配管41に近い。暖房運転時において、気体出口21gから、室外熱交換器21で蒸発した気体状の冷媒が流出する。液体出口21lは、室外熱交換器21における冷媒の流路の他方の端部であり、中間部21mよりも第2の配管42に近い。冷房運転時において、液体出口21lから、室外熱交換器21で凝縮した液体状の冷媒が流出する。
【0074】
温度センサ64は、室外熱交換器21の中間部21mに設けられる。温度センサ64は、中間部21mを流れる冷媒の温度Tcmを検出する。例えば、温度センサ64は、室外熱交換器21を流れる冷媒の飽和温度が取得可能な位置に配置される。このため、温度Tcmは、飽和温度に相当し得る。
【0075】
温度センサ65は、室外熱交換器21の気体出口21gに設けられる。温度センサ65は、気体出口21gを流れる冷媒の温度Tcgを検出する。なお、温度センサ65は、気体出口21gの近傍であって、室外熱交換器21の外部において、第1の配管41に設けられても良い。
【0076】
温度センサ66は、例えば、圧縮機23の吸込口の近傍において第1の配管41に設けられる。温度センサ66は、圧縮機23と四方弁24との間であって圧縮機23の上流において第1の配管41を流れる冷媒の温度Tsuを検出する。言い換えると、温度センサ66は、圧縮機23の吸込口に流入する冷媒の温度を検出する。
【0077】
温度センサ67は、室外機11に設けられる。温度センサ67は、屋外において空気に接触しており、室外熱交換器21の外部の気温Toaを検出する。温度センサ67は、例えば、冷媒の温度の影響を受けることを抑制するために、室外熱交換器21、第1の配管41、及び第2の配管42から離間している。
【0078】
温度センサ68は、膨張弁25とレシーバタンク26との間において第2の配管42に設けられる。温度センサ68は、膨張弁25とレシーバタンク26との間において第2の配管42を流れる冷媒の温度Ttcを検出する。
【0079】
制御装置14は、例えば、室外制御装置71と、室内制御装置72とを有する。室外制御装置71と室内制御装置72とは、互いに電気配線により電気的に接続される。室外制御装置71及び室内制御装置72のうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置71及び室内制御装置72のいずれか一方を有しても良い。
【0080】
室外制御装置71は、室外機11の室外送風機22、圧縮機23、四方弁24、膨張弁25、及び調節機構27を制御する。室内制御装置72は、室内機12の室内送風機32を制御する。すなわち、制御装置14は、室外機11及び室内機12を制御し、空気調和機10に冷房運転、暖房運転、除湿運転、及び他の運転を行わせる。室内制御装置72は、例えば、リモートコントローラから信号を入力されても良いし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されても良い。
【0081】
図3は、第1の実施形態の空気調和機10の構成を機能的に示すブロック図である。
図3に示すように、制御装置14は、温度取得部81と、膨張弁制御部82と、第1の弁制御部83と、第2の弁制御部84とを備える。
【0082】
温度取得部81は、温度センサ61~68を用いて、温度Tem,Tel,Teg,Tcm,Tcg,Tsu,Toa,Ttcを取得する。膨張弁制御部82は、例えば、温度取得部81が取得した温度に基づき、膨張弁25を制御する。第1の弁制御部83は、例えば、温度取得部81が取得した温度に基づき、第1の弁52を制御する。第2の弁制御部84は、例えば、温度取得部81が取得した温度に基づき、第2の弁56を制御する。
【0083】
図4は、第1の実施形態の空気調和機10の暖房運転における制御の一例を示すフローチャートである。以下に、本実施形態の空気調和機10の暖房運転時における制御の一例について説明する。なお、空気調和機10の暖房運転時における制御は、以下に説明される例に限られない。例えば、以下に例示される複数の判定のうち、少なくとも一つが省略されても良い。以下の制御において、第1の弁52及び第2の弁56が開閉されるが、初期状態において第1の弁52及び第2の弁56は閉じている。
【0084】
図4に示すように、まず、温度取得部81が、温度センサ61~68に温度を検出させる(S101)。これにより、温度取得部81は、温度Tem,Tel,Teg,Tcm,Tcg,Tsu,Toa,Ttcを取得する。
【0085】
次に、第1の弁制御部83は、温度Temから温度Telを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S102)。温度Temから温度Telを減じた値が10℃を上回る場合(S102:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S103)。10℃は、第1の閾値の一例である。
【0086】
Tem-Telは、暖房運転時における室内熱交換器31の過冷却度を示す。過冷却度(Tem-Tel)が大きいと、室内熱交換器31から流出する冷媒において、液体状の冷媒の割合が大きくなる。この場合、一般的には、室外熱交換器21に流入する液体状の冷媒が多くなり、室外熱交換器21において液体状のままの冷媒が溜まることで空気調和機10の効率が低下してしまう虞がある。
【0087】
上述のように、過冷却度(Tem-Tel)が大きい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。暖房運転において、レシーバタンク26の気体状の冷媒Mgの圧力は、室外熱交換器21と四方弁24との間を流れる冷媒の圧力よりも高い。このため、レシーバタンク26から気体状の冷媒Mgが流出し、レシーバタンク26における液体状の冷媒Mlの液位Lが上昇する。言い換えると、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加する。これにより、レシーバタンク26から室外熱交換器21に流入する冷媒の量が減少し、室外熱交換器21において液体状の冷媒が十分に蒸発することができる。室外熱交換器21で液体状の冷媒が十分に蒸発すると、過冷却度Tem-Telは、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。従って、室外熱交換器21における液体状の冷媒の過剰が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0088】
第1の弁制御部83は、温度Temから温度Telを減じた値が10℃以下である場合(S102:No)、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S104)。温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃を下回る場合(S104:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S103)。0℃は、第6の閾値の一例である。なお、第1の弁52が開く前に、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃以上となるように、膨張弁制御部82が膨張弁25を制御しても良い。この場合、例えば所定時間経過後、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃を下回り続ける場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。
【0089】
Tsu-Tcmは、暖房運転時における室外熱交換器21の過熱度を示す。過熱度(Tsu-Tcm)が小さいと、一般的には、室外熱交換器21と圧縮機23との間で冷媒が凝縮する液バックが生じ、液体状の冷媒が圧縮機23に流入してしまう虞がある。また、一般的には、室外熱交換器21に流入する液体状の冷媒が多い場合に、過熱度(Tsu-Tcm)が低下する。
【0090】
上述のように、過熱度(Tsu-Tcm)が小さい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に流入する冷媒の量が減少する。室外熱交換器21に流入する冷媒の量が減少すると、過熱度(Tsu-Tcm)は、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように上昇し得る。従って、液バックが抑制されるとともに、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0091】
第1の弁制御部83は、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃以上である場合(S104:No)、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S105)。温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃を下回る場合(S105:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S103)。0℃は、第7の閾値の一例である。なお、第1の弁52が開く前に、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃以上となるように、膨張弁制御部82が膨張弁25を制御しても良い。この場合、例えば所定時間経過後、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃を下回り続ける場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。
【0092】
Tcg-Tcmは、Tsu-Tcmと同じく、暖房運転時における室外熱交換器21の過熱度を示す。上述のように、過熱度(Tcg-Tcm)が小さい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に流入する冷媒の量が減少する。室外熱交換器21に流入する冷媒の量が減少すると、過熱度(Tcg-Tcm)は、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように上昇し得る。従って、液バックが抑制されるとともに、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0093】
第1の弁制御部83は、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃以上である場合(S105:No)、温度Toaが0℃を下回るか否かを判定する(S106)。温度Toaが0℃を下回る場合(S106:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S103)。0℃は、第9の閾値の一例である。
【0094】
外気温が小さいと、一般的には、室外熱交換器21において冷媒が蒸発しにくい。このため、室外熱交換器21において液体状のままの冷媒が溜まることで空気調和機10の効率が低下してしまう虞がある。しかし、上述のように、外気温を示す温度Toaが小さい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせ、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加する。これにより、レシーバタンク26から室外熱交換器21に流入する冷媒の量が減少し、室外熱交換器21において液体状の冷媒が十分に蒸発することができる。従って、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0095】
温度Toaが0℃以上である場合(S106:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S107)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0096】
S103で第1の弁52が開き、又はS107で第1の弁52が閉じられると、第2の弁制御部84は、温度Temから温度Telを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S108)。温度Temから温度Telを減じた値が0℃を下回る場合(S108:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S109)。0℃は、第12の閾値の一例である。
【0097】
過冷却度(Tem-Tel)が小さいと、一般的には、空気調和機10の効率が低下してしまう虞がある。また、一般的には、室内熱交換器31に流入する気体状の冷媒の量が少ない場合に、過冷却度(Tem-Tel)が低下する。
【0098】
上述のように、過冷却度(Tem-Tel)が小さい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。レシーバタンク26の気体状の冷媒Mgの圧力は、圧縮機23の吐出口の近傍を流れる冷媒の圧力よりも低い。このため、高圧の冷媒がレシーバタンク26に流入し、レシーバタンク26における液体状の冷媒Mlの液位Lが下降する。言い換えると、レシーバタンク26から液体状の冷媒Mlが排出され、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少する。これにより、レシーバタンク26から室外熱交換器21に流入し、室外熱交換器21において蒸発する冷媒の量が増加する。このため、室内熱交換器31に流入する冷媒の量も増加する。また、過冷却度(Tem-Tel)が、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように上昇し得る。従って、室内熱交換器31における気体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0099】
第2の弁制御部84は、温度Temから温度Telを減じた値が0℃以上である場合(S108:No)、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S110)。温度Tsuから温度Tcmを減じた値が10℃を上回る場合(S110:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S109)。10℃は、第13の閾値の一例である。
【0100】
過熱度(Tsu-Tcm)が大きいと、一般的には、空気調和機10の効率が低下してしまう虞がある。また、一般的には、室外熱交換器21に流入する液体状の冷媒の量が少ない場合に、過熱度(Tsu-Tcm)が上昇する。
【0101】
上述のように、過熱度(Tsu-Tcm)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に流入する冷媒の量が増加する。室外熱交換器21に流入する冷媒の量が増加すると、室外熱交換器21において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室外熱交換器21における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Tsu-Tcm)が、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0102】
第2の弁制御部84は、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が10℃以下である場合(S110:No)、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S111)。温度Tcgから温度Tcmを減じた値が10℃を上回る場合(S111:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S109)。10℃は、第14の閾値の一例である。
【0103】
上述のように、過熱度(Tcg-Tcm)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に流入する冷媒の量が増加する。室外熱交換器21に流入する冷媒の量が増加すると、室外熱交換器21において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室外熱交換器21における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Tcg-Tcm)が、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0104】
温度Tcgから温度Tcmを減じた値が10℃以下である場合(S111:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S112)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0105】
S109で第2の弁56が開き、又はS112で第2の弁56が閉じられると、温度取得部81は、所定の時間が経過したか否かを判定する(S113)。なお、S103で第1の弁52が開いた後、S108~S109が省略されてS113が行われても良い。
【0106】
温度取得部81は、所定の時間が経過するまでS113を繰り返す(S113:No)。温度取得部81は、所定の時間が経過すると(S113:Yes)、S101に戻って温度センサ61~68に温度を検出させる。
【0107】
S113の判定において、温度取得部81は、例えば、前回のS113の判定から所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間は、例えば、10秒である。なお、S113の判定における始点及び所定の時間は、これらの例に限られない。以上のS101~S113が、空気調和機10の暖房運転において繰り返される。
【0108】
図5は、第1の実施形態の空気調和機10の冷房運転における制御の一例を示すフローチャートである。以下に、本実施形態の空気調和機10の冷房運転時における制御の一例について説明する。なお、空気調和機10の冷房運転時における制御は、以下に説明される例に限られない。例えば、以下に例示される複数の判定のうち、少なくとも一つが省略されても良い。以下の制御において、第1の弁52及び第2の弁56が開閉されるが、初期状態において第1の弁52及び第2の弁56は閉じている。
【0109】
図5に示すように、まず、温度取得部81が、温度センサ61~68に温度を検出させる(S201)。これにより、温度取得部81は、温度Tem,Tel,Teg,Tcm,Tcg,Tsu,Toa,Ttcを取得する。
【0110】
次に、第2の弁制御部84は、温度Tsuから温度Temを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S202)。温度Tsuから温度Temを減じた値が10℃を上回る場合(S202:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S203)。10℃は、第16の閾値の一例である。なお、第2の弁56が開く前に、温度Tsuから温度Temを減じた値が10℃以下となるように、膨張弁制御部82が膨張弁25を制御しても良い。この場合、例えば所定時間経過後、温度Tsuから温度Temを減じた値が10℃を上回り続ける場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。
【0111】
Tsu-Temは、冷房運転時における室内熱交換器31の過熱度を示す。過熱度(Tsu-Tem)が大きいと、一般的には、空気調和機10の効率が低下してしまう虞がある。また、一般的には、室内熱交換器31に流入する液体状の冷媒の量が少ない場合に、過熱度(Tsu-Tem)が上昇する。
【0112】
上述のように、過熱度(Tsu-Tem)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室内熱交換器31に流入する冷媒の量が増加する。室内熱交換器31に流入する冷媒の量が増加すると、室内熱交換器31において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室内熱交換器31における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Tsu-Tem)が、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0113】
第2の弁制御部84は、温度Tsuから温度Temを減じた値が10℃以下である場合(S202:No)、温度Tegから温度Temを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S204)。温度Tegから温度Temを減じた値が10℃を上回る場合(S204:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S203)。10℃は、第17の閾値の一例である。なお、第2の弁56が開く前に、温度Tegから温度Temを減じた値が10℃以下となるように、膨張弁制御部82が膨張弁25を制御しても良い。この場合、例えば所定時間経過後、温度Tegから温度Temを減じた値が10℃を上回り続ける場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。
【0114】
Teg-Temは、Tsu-Temと同じく、冷房運転時における室内熱交換器31の過熱度を示す。上述のように、過熱度(Teg-Tem)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室内熱交換器31に流入する冷媒の量が増加する。室内熱交換器31に流入する冷媒の量が増加すると、室内熱交換器31において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室内熱交換器31における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Teg-Tem)が、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0115】
温度Tegから温度Temを減じた値が10℃以下である場合(S204:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S205)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0116】
S203で第2の弁56が開き、又はS205で第2の弁56が閉じられると、温度取得部81は、所定の時間が経過したか否かを判定する(S206)。温度取得部81は、所定の時間が経過するまでS206を繰り返す(S206:No)。温度取得部81は、所定の時間が経過すると(S206:Yes)、S201に戻って温度センサ61~68に温度を検出させる。
【0117】
S206の判定において、温度取得部81は、例えば、前回のS206の判定から所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間は、例えば、10秒である。なお、S206の判定における始点及び所定の時間は、これらの例に限られない。以上のS201~S206が、空気調和機10の冷房運転において繰り返される。
【0118】
以上のように、調節機構27は、制御装置14に制御され、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量を調節する。これにより、室外熱交換器21、圧縮機23、及び室内熱交換器31のような冷凍サイクルの各要素における冷媒の量が過不足を解消するように調節される。
【0119】
以上説明された第1の実施形態に係る空気調和機10において、レシーバタンク26が、膨張弁25と室内熱交換器31との間で第2の配管42に設けられる。レシーバタンク26は、液体状の冷媒Mlを貯蔵可能である。調節機構27が、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量を調節する。これにより、調節機構27は、室外熱交換器21、圧縮機23、及び室内熱交換器31のような冷凍サイクルの各要素における冷媒の量を、過不足を解消するように調節することができる。例えば、室内熱交換器31と室外熱交換器21との間で冷媒の流路の容積が異なっても、調節機構27がレシーバタンク26から室外熱交換器21又は室内熱交換器31に供給される冷媒の量を十分に蒸発可能な量に調節することができる。従って、空気調和機10の効率が向上する。
【0120】
第1のバイパス配管51は、レシーバタンク26に接続されるとともに、室外熱交換器21と圧縮機23との間で、又は四方弁24と圧縮機23の間であって圧縮機23の上流で、第1の配管41に接続される。第1の弁52は、第1のバイパス配管51を流れる冷媒の量を調節する。例えば、第1の弁52が開かれることで、レシーバタンク26から気体状の冷媒が流出する。これにより、レシーバタンク26に貯蔵された液体状の冷媒Mlの液位Lが上昇し、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加する。従って、調節機構27は、レシーバタンク26から室外熱交換器21又は室内熱交換器31に供給される冷媒の量を低減させることができる。
【0121】
第2のバイパス配管55は、レシーバタンク26に接続されるとともに、圧縮機23と四方弁24との間であって圧縮機23の下流で第1の配管41に接続される。第2の弁56は、第2のバイパス配管55を流れる冷媒の量を調節する。例えば、第2の弁56が開かれることで、圧縮機23から供給される高圧の気体状の冷媒が、レシーバタンク26に流入する。これにより、レシーバタンク26に貯蔵された液体状の冷媒Mlの液位Lが下降し、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少する。従って、調節機構27は、レシーバタンク26から室外熱交換器21又は室内熱交換器31に供給される冷媒の量を増加させることができる。
【0122】
第1のキャピラリチューブ53は、第1の弁52とレシーバタンク26との間で第1のバイパス配管51に設けられる。第2のキャピラリチューブ57は、第2の弁56とレシーバタンク26との間で第2のバイパス配管55に設けられる。これにより、第1の弁52又は第2の弁56が開いた際のレシーバタンク26における圧力が急激に変化することが抑制される。
【0123】
第1のキャピラリチューブ53と第2のキャピラリチューブ57とは、互いに性能が異なる。例えば、第2のキャピラリチューブ57は、高圧の冷媒が流入するため、より高性能なキャピラリチューブが適用される。これにより、例えば、第2の弁56が開く際の騒音及び脈動が低減される。また、第1のキャピラリチューブ53は、比較的性能が低いキャピラリチューブが適用され得る。これにより、空気調和機10のコストが低減される。
【0124】
レシーバタンク26において、底壁26aは、レシーバタンク26の下方の端部に設けられる。第1の孔26dは、底壁26aに設けられるとともに第2の配管42を介して室内熱交換器31に接続される。第2の孔26eは、底壁26aに設けられるとともに第2の配管42を介して室外熱交換器21に接続される。第3の孔26fは、第1のバイパス配管51及び第2のバイパス配管55に接続される。第3の孔26fは、運転中にレシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの最大の液位Lmaxよりも上方に位置する。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlが第1のバイパス配管51及び第2のバイパス配管55に流入することが抑制される。
【0125】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、
図6乃至
図8を参照して説明する。なお、以下の複数の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0126】
図6は、第2の実施形態に係る空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。
図6に示すように、第2の実施形態の空気調和機10は、いわゆるマルチエアコンであり、複数の室内機12を有する。
図6は、空気調和機10が二つの室内機12を有する例を示すが、空気調和機10は三つ以上の室内機12を有しても良い。
【0127】
複数の室内機12はそれぞれ、室内熱交換器31及び室内送風機32を有する。複数の室内熱交換器31は、並列に配置される。言い換えると、複数の室内熱交換器31はそれぞれ、第1の配管41及び第2の配管42を通じて、一つの室外熱交換器21に接続される。複数の室内熱交換器31は、複数の熱交換器の一例である。
【0128】
複数の室内熱交換器31のそれぞれに、温度センサ61,62,63が設けられる。言い換えると、調節機構27は、複数の温度センサ61、複数の温度センサ62、及び複数の温度センサ63を有する。
【0129】
図7は、第2の実施形態の空気調和機10の暖房運転における制御の一例を示すフローチャートである。以下に、第2の実施形態の空気調和機10の暖房運転時における制御の一例について説明する。なお、空気調和機10の暖房運転時における制御は、以下に説明される例に限られない。以下の制御において、第1の弁52及び第2の弁56が開閉されるが、初期状態において第1の弁52及び第2の弁56は閉じている。
【0130】
図7に示すように、まず、温度取得部81が、温度センサ61~68に温度を検出させる(S301)。これにより、温度取得部81は、温度Tem,Tel,Teg,Tcm,Tcg,Tsu,Toa,Ttcを取得する。温度取得部81は、複数の温度センサ61,62,63から、複数の室内熱交換器31における温度Tem,Tel,Tegを取得する。
【0131】
次に、温度取得部81は、複数の温度センサ61が検出した温度Temのうち最大値を選択し、当該最大値を温度Tmxとして設定する。さらに、温度取得部81は、複数の温度センサ61が検出した温度Temのうち最小値を選択し、当該最小値を温度Tmnとして設定する(S302)。
【0132】
次に、第1の弁制御部83は、温度Tmxから温度Ttcを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S303)。温度Tmxから温度Ttcを減じた値が10℃を上回る場合(S303:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S304)。10℃は、第2の閾値の一例である。
【0133】
Tmx-Ttcは、第1の実施形態のTem-Telと同じく、暖房運転時における室内熱交換器31の過冷却度を示す。上述のように、過冷却度(Tmx-Ttc)が大きい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が減少する。室外熱交換器21に流入する冷媒の量が減少すると、室外熱交換器21において液体状の冷媒が十分に蒸発することができ、過冷却度(Tmx-Ttc)が、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。従って、室外熱交換器21における液体状の冷媒の過剰が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0134】
第1の弁制御部83は、温度Tmxから温度Ttcを減じた値が10℃以下である場合(S303:No)、第1の実施形態のS104と同じく、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S305)。温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃を下回る場合(S305:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S304)。
【0135】
第1の弁制御部83は、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が0℃以上である場合(S305:No)、第1の実施形態のS105と同じく、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S306)。温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃を下回る場合(S306:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S304)。
【0136】
第1の弁制御部83は、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が0℃以上である場合(S306:No)、第1の実施形態のS106と同じく、温度Toaが0℃を下回るか否かを判定する(S307)。温度Toaが0℃を下回る場合(S307:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S304)。
【0137】
第1の弁制御部83は、温度Toaが0℃以上である場合(S307:No)、複数の室内熱交換器31のそれぞれにおける温度Temから温度Telを減じた値が7℃を上回るか否かを判定する(S308)。7℃は、第4の閾値の一例である。
【0138】
第1の弁制御部83は、少なくとも一つの室内熱交換器31において温度Temから温度Telを減じた値が7℃を上回る場合(S308:Yes)、当該室内熱交換器31における温度Telが39℃を下回るか否かを判定する(S309)。39℃は、第5の閾値の一例である。
【0139】
温度Telが39℃を下回る場合(S309:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S304)。
【0140】
例えば、膨張弁25の不良により室内熱交換器31において冷媒が流れにくくなると、過冷却度(Tem-Tel)は上昇するが、室内熱交換器31から液体状の冷媒が流出する液体出口31lにおける冷媒の温度Telが低下する。しかし、第1の弁制御部83が第1の弁52が開かせると、レシーバタンク26の気体状の冷媒Mgが追加的に圧縮機23に流入する。これにより、圧縮機23に供給される気体状の冷媒の量が増加し、圧縮機23から室内熱交換器31に供給される冷媒の量が増加する。従って、室内熱交換器31における気体状の冷媒の不足が解消し、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0141】
温度Temから温度Telを減じた値が7℃以下である場合(S308:No)、又は温度Telが39℃以上である場合(S309:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S310)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0142】
S304で第1の弁52が開き、又はS310で第1の弁52が閉じられると、第2の弁制御部84は、温度Tmxから温度Ttcを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S311)。温度Tmxから温度Ttcを減じた値が0℃を下回る場合(S311:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S312)。
【0143】
上述のように、過冷却度(Tmx-Ttc)が小さい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加する。室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加すると、室外熱交換器21において蒸発する冷媒の量が増加し、ひいては室内熱交換器31に供給される冷媒の量も増加する。また、過冷却度(Tmx-Ttc)が、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように上昇し得る。従って、室内熱交換器31における気体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0144】
第2の弁制御部84は、温度Tmxから温度Ttcを減じた値が0℃以上である場合(S311:No)、第1の実施形態のS110と同じく、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S313)。温度Tsuから温度Tcmを減じた値が10℃を上回る場合(S313:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S312)。
【0145】
第2の弁制御部84は、温度Tsuから温度Tcmを減じた値が10℃以下である場合(S313:No)、第1の実施形態のS111と同じく、温度Tcgから温度Tcmを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S314)。温度Tcgから温度Tcmを減じた値が10℃を上回る場合(S314:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S312)。
【0146】
温度Tcgから温度Tcmを減じた値が10℃以下である場合(S314:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S315)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0147】
S312で第2の弁56が開き、又はS315で第2の弁56が閉じられると、温度取得部81は、所定の時間が経過したか否かを判定する(S316)。温度取得部81は、所定の時間が経過するまでS316を繰り返す(S316:No)。温度取得部81は、所定の時間が経過すると(S316:Yes)、S301に戻って温度センサ61~68に温度を検出させる。以上のS301~S316が、空気調和機10の暖房運転において繰り返される。
【0148】
図8は、第2の実施形態の空気調和機10の冷房運転における制御の一例を示すフローチャートである。以下に、第2の実施形態の空気調和機10の冷房運転時における制御の一例について説明する。なお、空気調和機10の冷房運転時における制御は、以下に説明される例に限られない。以下の制御において、第1の弁52及び第2の弁56が開閉されるが、初期状態において第1の弁52及び第2の弁56は閉じている。
【0149】
図8に示すように、まず、温度取得部81が、温度センサ61~68に温度を検出させる(S401)。これにより、温度取得部81は、温度Tem,Tel,Teg,Tcm,Tcg,Tsu,Toa,Ttcを取得する。
【0150】
次に、温度取得部81は、複数の温度センサ61が検出した温度Temのうち最大値を選択し、当該最大値を温度Tmxとして設定する。さらに、温度取得部81は、複数の温度センサ61が検出した温度Temのうち最小値を選択し、当該最小値を温度Tmnとして設定する(S402)。
【0151】
次に、第1の弁制御部83は、温度Tsuから温度Tmnを減じた値が2℃を下回るか否かを判定する(S403)。温度Tsuから温度Tmnを減じた値が2℃を下回る場合(S403:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S404)。2℃は、第10の閾値の一例である。
【0152】
Tsu-Tmnは、第1の実施形態のTsu-Temと同じく、冷房運転時における室内熱交換器31の過熱度を示す。過熱度(Tsu-Tmn)が小さいと、一般的には、室内熱交換器31と圧縮機23との間で冷媒が凝縮する液バックが生じ、液体状の冷媒が圧縮機23に流入してしまう虞がある。また、一般的には、室内熱交換器31に流入する液体状の冷媒が多い場合に、過熱度(Tsu-Tmn)が低下する。
【0153】
上述のように、過熱度(Tsu-Tmn)が小さい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加し、レシーバタンク26から室内熱交換器31に供給される冷媒の量が減少する。室内熱交換器31に供給される冷媒の量が減少することで、室内熱交換器31における液体状の冷媒の過剰が解消し、過熱度(Tsu-Tmn)が増大する。従って、液バックが抑制されるとともに、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0154】
温度Tsuから温度Tmnを減じた値が2℃以上である場合(S403:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S405)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0155】
S404で第1の弁52が開き、又はS405で第1の弁52が閉じられると、第2の弁制御部84は、温度Tsuから温度Tmnを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S406)。温度Tsuから温度Tmnを減じた値が10℃を上回る場合(S406:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S407)。10℃は、第18の閾値の一例である。
【0156】
上述のように、過熱度(Tsu-Tmn)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室内熱交換器31に供給される冷媒の量が増加する。室内熱交換器31に供給される冷媒の量が増加すると、室内熱交換器31において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室内熱交換器31における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Tsu-Tmn)が、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0157】
第2の弁制御部84は、温度Tsuから温度Tmnを減じた値が10℃以下である場合(S406:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S408)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0158】
S407で第2の弁56が開き、又はS408で第2の弁56が閉じられると、温度取得部81は、所定の時間が経過したか否かを判定する(S409)。温度取得部81は、所定の時間が経過するまでS409を繰り返す(S409:No)。温度取得部81は、所定の時間が経過すると(S409:Yes)、S401に戻って温度センサ61~68に温度を検出させる。以上のS401~S409が、空気調和機10の冷房運転において繰り返される。
【0159】
以上のように、調節機構27は、制御装置14に制御され、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量を調節する。これにより、室外熱交換器21、圧縮機23、及び室内熱交換器31のような冷凍サイクルの各要素における冷媒の量が過不足を解消するように調節される。
【0160】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について、
図9乃至
図12を参照して説明する。
図9は、第3の実施形態に係る空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。
図9に示すように、第3の実施形態において、調節機構27は、第1の圧力センサ91と、第2の圧力センサ92とをさらに有する。
【0161】
第1の圧力センサ91は、例えば、圧縮機23の吐出口の近傍において第1の配管41に設けられる。第1の圧力センサ91は、圧縮機23と四方弁24との間であって圧縮機23の下流において第1の配管41を流れる冷媒の圧力Phを検出する。言い換えると、第1の圧力センサ91は、圧縮機23の吐出口から流出する冷媒の圧力Phを検出する。
【0162】
第2の圧力センサ92は、例えば、圧縮機23の吸込口の近傍において第1の配管41に設けられる。第2の圧力センサ92は、圧縮機23と四方弁24との間であって圧縮機23の上流において第1の配管41を流れる冷媒の圧力Plを検出する。言い換えると、第2の圧力センサ92は、圧縮機23の吸込口に流入する冷媒の圧力Plを検出する。
【0163】
図10は、第3の実施形態の空気調和機10の構成を機能的に示すブロック図である。
図10に示すように、第3の実施形態の制御装置14は、圧力取得部101と、温度算出部102とをさらに備える。温度算出部102は、第1の算出部及び第2の算出部の一例である。
【0164】
圧力取得部101は、第1の圧力センサ91及び第2の圧力センサ92を用いて、圧力Ph,Plを取得する。温度算出部102は、圧力Phから、凝縮温度(飽和温度)Ttchを算出する。さらに、温度算出部102は、圧力Plから、蒸発温度(飽和温度)Ttclを算出する。
【0165】
図11は、第3の実施形態の空気調和機10の暖房運転における制御の一例を示すフローチャートである。以下に、第3の実施形態の空気調和機10の暖房運転時における制御の一例について説明する。なお、空気調和機10の暖房運転時における制御は、以下に説明される例に限られない。以下の制御において、第1の弁52及び第2の弁56が開閉されるが、初期状態において第1の弁52及び第2の弁56は閉じている。
【0166】
図11に示すように、まず、温度取得部81が、温度センサ61~68に温度を検出させる。さらに、圧力取得部101が、第1の圧力センサ91及び第2の圧力センサ92に圧力を検出させる(S501)。これにより、温度取得部81は、温度Tem,Tel,Teg,Tcm,Tcg,Tsu,Toa,Ttcを取得する。さらに、圧力取得部101は、圧力Ph,Plを取得する。
【0167】
次に、温度算出部102は、圧力Phから凝縮温度Ttchを算出するとともに、圧力Plから蒸発温度Ttclを算出する(S502)。
【0168】
次に、第1の弁制御部83は、凝縮温度Ttchから温度Ttcを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S503)。凝縮温度Ttchから温度Ttcを減じた値が10℃を上回る場合(S503:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S504)。10℃は、第3の閾値の一例である。
【0169】
Ttch-Ttcは、第1の実施形態のTem-Telと同じく、暖房運転時における室内熱交換器31の過冷却度を示す。上述のように、過冷却度(Ttch-Ttc)が大きい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が減少する。室外熱交換器21に供給される冷媒の量が減少すると、室外熱交換器21において液体状の冷媒が十分に蒸発することができ、過冷却度(Ttch-Ttc)が、例えば、5℃~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。従って、室外熱交換器21における液体状の冷媒の過剰が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0170】
第1の弁制御部83は、凝縮温度Ttchから温度Ttcを減じた値が10℃以下である場合(S503:No)、温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S505)。温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が0℃を下回る場合(S505:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S504)。0℃は、第8の閾値の一例である。
【0171】
Tsu-Ttclは、第1の実施形態のTsu-Tcmと同じく、暖房運転時における室外熱交換器21の過熱度を示す。上述のように、過熱度(Tsu-Ttcl)が小さい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が減少する。室外熱交換器21に供給される冷媒の量が減少すると、過熱度(Tsu-Ttcl)は、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように上昇し得る。従って、液バックが抑制されるとともに、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0172】
第1の弁制御部83は、温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が0℃以上である場合(S505:No)、温度Tcgから蒸発温度Ttclを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S506)。温度Tcgから蒸発温度Ttclを減じた値が0℃を下回る場合(S506:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S504)。
【0173】
Tcg-Ttclは、Tsu-Ttclと同じく、暖房運転時における室外熱交換器21の過熱度を示す。上述のように、過熱度(Tcg-Ttcl)が小さい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒の量が増加し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が減少する。室外熱交換器21に供給される冷媒の量が減少すると、過熱度(Tcg-Ttcl)は、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように上昇し得る。従って、液バックが抑制されるとともに、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0174】
第1の弁制御部83は、温度Tcgから蒸発温度Ttclを減じた値が0℃以上である場合(S506:No)、第1の実施形態のS106と同じく、温度Toaが0℃を下回るか否かを判定する(S507)。温度Toaが0℃を下回る場合(S507:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S504)。
【0175】
第1の弁制御部83は、温度Toaが0℃以上である場合(S507:No)、第2の実施形態のS308と同じく、複数の室内熱交換器31のそれぞれにおける温度Temから温度Telを減じた値が7℃を上回るか否かを判定する(S508)。
【0176】
第1の弁制御部83は、少なくとも一つの室内熱交換器31において温度Temから温度Telを減じた値が7℃を上回る場合(S508:Yes)、第2の実施形態のS309と同じく、当該室内熱交換器31における温度Telが39℃を下回るか否かを判定する(S509)。
【0177】
温度Telが39℃を下回る場合(S509:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S504)。
【0178】
温度Temから温度Telを減じた値が7℃以下である場合(S508:No)、又は温度Telが39℃以上である場合(S509:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S510)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0179】
S504で第1の弁52が開き、又はS510で第1の弁52が閉じられると、第2の弁制御部84は、凝縮温度Ttchから温度Ttcを減じた値が0℃を下回るか否かを判定する(S511)。凝縮温度Ttchから温度Ttcを減じた値が0℃を下回る場合(S511:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S512)。
【0180】
上述のように、過冷却度(Ttch-Ttc)が小さい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加する。室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加すると、室外熱交換器21において蒸発する冷媒の量が増加し、ひいては室内熱交換器31に供給される冷媒の量も増加する。また、過冷却度(Ttch-Ttc)が、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように上昇し得る。従って、室内熱交換器31における気体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0181】
第2の弁制御部84は、凝縮温度Ttchから温度Ttcを減じた値が0℃以上である場合(S511:No)、温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S513)。温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃を上回る場合(S513:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S512)。10℃は、第15の閾値の一例である。
【0182】
上述のように、過熱度(Tsu-Ttcl)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒の量が減少し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加する。室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加することで、室外熱交換器21において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室外熱交換器21における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Tsu-Ttcl)が、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0183】
第2の弁制御部84は、温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃以下である場合(S513:No)、温度Tcgから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S514)。温度Tcgから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃を上回る場合(S514:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S512)。
【0184】
上述のように、過熱度(Tcg-Ttcl)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒の量が減少し、レシーバタンク26から室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加する。室外熱交換器21に供給される冷媒の量が増加することで、室外熱交換器21において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室外熱交換器21における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Tcg-Ttcl)が、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0185】
温度Tcgから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃以下である場合(S514:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S515)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0186】
S512で第2の弁56が開き、又はS515で第2の弁56が閉じられると、温度取得部81及び圧力取得部101は、所定の時間が経過したか否かを判定する(S516)。温度取得部81及び圧力取得部101は、所定の時間が経過するまでS516を繰り返す(S516:No)。温度取得部81及び圧力取得部101は、所定の時間が経過すると(S516:Yes)、S501に戻る。以上のS501~S516が、空気調和機10の暖房運転において繰り返される。
【0187】
図12は、第3の実施形態の空気調和機10の冷房運転における制御の一例を示すフローチャートである。以下に、第3の実施形態の空気調和機10の冷房運転時における制御の一例について説明する。なお、空気調和機10の冷房運転時における制御は、以下に説明される例に限られない。以下の制御において、第1の弁52及び第2の弁56が開閉されるが、初期状態において第1の弁52及び第2の弁56は閉じている。
【0188】
図12に示すように、まず、温度取得部81が、温度センサ61~68に温度を検出させる。さらに、圧力取得部101が、第1の圧力センサ91及び第2の圧力センサ92に圧力を検出させる(S601)。これにより、温度取得部81は、温度Tem,Tel,Teg,Tcm,Tcg,Tsu,Toa,Ttcを取得する。さらに、圧力取得部101は、圧力Ph,Plを取得する。
【0189】
次に、温度算出部102は、圧力Phから凝縮温度Ttchを算出するとともに、圧力Plから蒸発温度Ttclを算出する(S602)。
【0190】
次に、第1の弁制御部83は、温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が2℃を下回るか否かを判定する(S603)。温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が2℃を下回る場合(S603:Yes)、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。また、第2の弁56が開いている場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S604)。2℃は、第11の閾値の一例である。
【0191】
Tsu-Ttclは、第1の実施形態のTsu-Temと同じく、冷房運転時における室内熱交換器31の過熱度を示す。上述のように、過熱度(Tsu-Ttcl)が小さい場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が増加し、レシーバタンク26から室内熱交換器31に供給される冷媒の量が減少する。室内熱交換器31に供給される冷媒の量が減少することで、室内熱交換器31における液体状の冷媒の過剰が解消し、過熱度(Tsu-Ttcl)が増大する。従って、液バックが抑制されるとともに、空気調和機10の効率が向上し得る。
【0192】
温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が2℃以上である場合(S603:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S605)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0193】
S604で第1の弁52が開き、又はS605で第1の弁52が閉じられると、第2の弁制御部84は、温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃を上回るか否かを判定する(S606)。温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃を上回る場合(S606:Yes)、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。また、第1の弁52が開いている場合、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせる(S607)。10℃は、第19の閾値の一例である。
【0194】
上述のように、過熱度(Tsu-Ttcl)が大きい場合、第2の弁制御部84が第2の弁56を開かせる。これにより、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量が減少し、レシーバタンク26から室内熱交換器31に供給される冷媒の量が増加する。室内熱交換器31に供給される冷媒の量が増加すると、室内熱交換器31において十分な量の液体状の冷媒が蒸発することができる。従って、室内熱交換器31における液体状の冷媒の不足が解消され、空気調和機10の効率が向上し得る。また、過熱度(Tsu-Ttcl)が、例えば、5~10℃の範囲内に収まるように低下し得る。
【0195】
第2の弁制御部84は、温度Tsuから蒸発温度Ttclを減じた値が10℃以下である場合(S606:No)、第1の弁制御部83が第1の弁52を閉じさせ、第2の弁制御部84が第2の弁56を閉じさせる(S608)。第1の弁52及び第2の弁56は、予め閉じていた場合、閉じたまま保たれる。
【0196】
S607で第2の弁56が開き、又はS608で第2の弁56が閉じられると、温度取得部81及び圧力取得部101は、所定の時間が経過したか否かを判定する(S609)。温度取得部81及び圧力取得部101は、所定の時間が経過するまでS609を繰り返す(S609:No)。温度取得部81及び圧力取得部101は、所定の時間が経過すると(S609:Yes)、S601に戻る。以上のS601~S609が、空気調和機10の冷房運転において繰り返される。
【0197】
以上のように、調節機構27は、制御装置14に制御され、レシーバタンク26に貯蔵される液体状の冷媒Mlの量を調節する。これにより、室外熱交換器21、圧縮機23、及び室内熱交換器31のような冷凍サイクルの各要素における冷媒の量が過不足を解消するように調節される。
【0198】
第3の実施形態では、凝縮温度Ttch及び蒸発温度Ttclの算出に、第1の圧力センサ91及び第2の圧力センサ92が検出した圧力Ph,Plが用いられる。これにより、飽和温度(凝縮温度Ttch及び蒸発温度Ttcl)がより正確に算出され、調節機構27による冷媒の量の調節がより効果的になる。
【0199】
図13は、第1乃至第3の実施形態における制御装置14のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置14は、例えば、
図13に示すようなハードウェア構成のコンピュータ200により実現される。
【0200】
コンピュータ200は、例えば、CPU201と、ROM202と、RAM203と、記憶装置204と、インターフェース(I/F)206とを有する。CPU201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及びI/F206は、バスにより接続されている。
【0201】
CPU201は、記憶装置204に記憶されたプログラムをRAM203に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりする。ROM202には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶装置204からRAM203に読み出すスタートプログラムが記憶されている。
【0202】
記憶装置204は、例えば、フラッシュメモリである。記憶装置204は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、及びデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されても良い。I/F206は、例えば、室外送風機22、圧縮機23、四方弁24、膨張弁25、室内送風機32、第1の弁52、第2の弁56、温度センサ61~68、第1の圧力センサ91、及び第2の圧力センサ92に接続するためのインターフェース装置である。
【0203】
本実施形態のコンピュータ200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0204】
また、本実施形態のコンピュータ200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のコンピュータ200で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。また、本実施形態のプログラムを、ROM202等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0205】
このようなコンピュータ200を制御装置14として機能させるためのプログラムは、温度取得モジュールと、膨張弁制御モジュールと、第1の弁制御モジュールと、第2の弁制御モジュールと、圧力取得モジュールと、温度算出モジュールと、を含むモジュール構成となっている。コンピュータ200は、実際のハードウェアとしてはプロセッサ(CPU201)が記憶媒体(記憶装置204等)からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置(RAM203)上にロードされる。これにより、プロセッサ(CPU201)は、温度取得部81、膨張弁制御部82、第1の弁制御部83、第2の弁制御部84、圧力取得部101、及び温度算出部102として機能する。なお、コンピュータ200は、温度取得部81、膨張弁制御部82、第1の弁制御部83、第2の弁制御部84、圧力取得部101、及び温度算出部102の構成の一部又は全部がハードウェアにより実現されていても良い。
【0206】
以上の実施形態において、複数の閾値の例が示されたが、各閾値は上述の実施形態における例に限られない。実施形態において同一の値に設定された複数の閾値は、別々の値に設定されても良い。また、実施形態において別々の値に設定された複数の閾値は、同一の値に設定されても良い。
【0207】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲の内容を付記する。
[1]
室内熱交換器と、
室外熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第1の配管に設けられた圧縮機と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒が流れる方向を変更可能な、四方弁と、
前記第2の配管に設けられた減圧器と、
前記減圧器と前記室内熱交換器との間で前記第2の配管に設けられ、液体状の前記冷媒を貯蔵可能な、レシーバタンクと、
前記レシーバタンクに貯蔵される液体状の前記冷媒の量を調節する調節機構と、
前記調節機構を制御する制御装置と、
を具備する空気調和機。
[2]
前記調節機構は、前記冷媒が流れる第1のバイパス配管と、前記第1のバイパス配管に設けられた第1の弁と、を有し、
前記第1のバイパス配管は、前記レシーバタンクに接続されるとともに、前記室外熱交換器と前記四方弁との間で、又は前記四方弁と前記圧縮機との間であって前記圧縮機の上流で、前記第1の配管に接続され、
前記第1の弁は、前記第1のバイパス配管を流れる前記冷媒の量を調節する、
[1]の空気調和機。
[3]
前記調節機構は、前記冷媒が流れる第2のバイパス配管と、前記第2のバイパス配管に設けられた第2の弁と、を有し、
前記第2のバイパス配管は、前記レシーバタンクに接続されるとともに、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の下流で前記第1の配管に接続され、
前記第2の弁は、前記第2のバイパス配管を流れる前記冷媒の量を調節する、
[2]の空気調和機。
[4]
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第1の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[5]
前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記減圧器と前記レシーバタンクとの間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第3の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最大値から前記第3の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第2の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[6]
前記調節機構は、前記減圧器と前記レシーバタンクとの間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第3の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の下流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第1の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第1の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の凝縮温度を算出する、第1の算出部を有し、暖房運転時において、前記凝縮温度から前記第3の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第3の閾値を上回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[7]
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第4の閾値を上回り、且つ前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度が第5の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[8]
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第6の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[9]
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記第3の端部に設けられ、前記第3の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第6の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第6の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第7の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[10]
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第8の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[11]
前記調節機構は、前記室外熱交換器の外部の気温を検出する第7の温度センサを有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第7の温度センサが検出した気温が第9の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[12]
前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最小値を減じた値が第10の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[13]
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第11の閾値を下回る場合に、前記第1の弁を開かせる、
[2]又は[3]の空気調和機。
[14]
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第2の端部に設けられ、前記第2の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第2の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第2の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第12の閾値を下回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[15]
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第13の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[16]
前記室外熱交換器における前記冷媒の流路は、第2の中間部と、前記第2の中間部よりも前記第1の配管に近い第3の端部と、前記第2の中間部よりも前記第2の配管に近い第4の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第2の中間部に設けられ、前記第2の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第4の温度センサと、前記第3の端部に設けられ、前記第3の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第6の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、暖房運転時において、前記第6の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第4の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第14の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[17]
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、暖房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第15の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[18]
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第16の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[19]
前記室内熱交換器における前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第1の温度センサと、前記第1の端部に設けられ、前記第1の端部を流れる前記冷媒の温度を検出する、第8の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第8の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度を減じた値が第17の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[20]
前記室内熱交換器は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器のそれぞれにおける前記冷媒の流路は、第1の中間部と、前記第1の中間部よりも前記第1の配管に近い第1の端部と、前記第1の中間部よりも前記第2の配管に近い第2の端部と、を有し、
前記調節機構は、前記複数の熱交換器の前記第1の中間部に設けられ、前記第1の中間部を流れる前記冷媒の温度を検出する、複数の第1の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、を有し、
前記制御装置は、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記複数の第1の温度センサが検出した前記冷媒の温度のうち最小値を減じた値が第18の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[21]
前記調節機構は、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の温度を検出する、第5の温度センサと、前記圧縮機と前記四方弁との間であって前記圧縮機の上流において前記第1の配管を流れる前記冷媒の圧力を検出する、第2の圧力センサと、を有し、
前記制御装置は、前記第2の圧力センサが検出した前記冷媒の圧力から前記冷媒の蒸発温度を算出する、第2の算出部を有し、冷房運転時において、前記第5の温度センサが検出した前記冷媒の温度から前記蒸発温度を減じた値が第19の閾値を上回る場合に、前記第2の弁を開かせる、
[3]の空気調和機。
[22]
前記調節機構は、前記第1の弁と前記レシーバタンクとの間で前記第1のバイパス配管に設けられた第1のキャピラリチューブと、前記第2の弁と前記レシーバタンクとの間で前記第2のバイパス配管に設けられた第2のキャピラリチューブと、を有する、[3]の空気調和機。
[23]
前記第1のキャピラリチューブと前記第2のキャピラリチューブとは互いに性能が異なる、[22]の空気調和機。
[24]
前記レシーバタンクは、当該レシーバタンクの下方の端部に設けられた底壁を有し、前記底壁に設けられるとともに前記第2の配管を介して前記室内熱交換器に接続される第1の孔と、前記底壁に設けられるとともに前記第2の配管を介して前記室外熱交換器に接続される第2の孔と、前記第1のバイパス配管に接続される第3の孔と、が設けられ、
前記第3の孔は、運転中に前記レシーバタンクに貯蔵される液体状の前記冷媒の最大の液位よりも上方に位置する、
[2]乃至[23]のいずれか一つの空気調和機。
【符号の説明】
【0208】
10…空気調和機、14…制御装置、21…室外熱交換器、21m…中間部、21g…気体出口、21l…液体出口、23…圧縮機、24…四方弁、25…膨張弁、26…レシーバタンク、26a…底壁、26d…第1の孔、26e…第2の孔、26f…第3の孔、27…調節機構、31…室内熱交換器、31m…中間部、31g…気体出口、31l…液体出口、41…第1の配管、42…第2の配管、51…第1のバイパス配管、52…第1の弁、53…第1のキャピラリチューブ、55…第2のバイパス配管、56…第2の弁、57…第2のキャピラリチューブ、61~68…温度センサ、91…第1の圧力センサ、92…第2の圧力センサ、102…温度算出部、Ml…液体状の冷媒、Lmax…最大の液位。