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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A47L15/42 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020107954
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002609
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】久保田 淳
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 光司
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-231736(JP,A)
【文献】特開平07-139721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄する洗浄室、前記洗浄室に供給する水を加熱するガスブースターを収容する機械室、及び前記洗浄室を開閉するために可動可能に設けられるドアを有する洗浄機本体と、
前記洗浄機本体における前記ドア以外の外面に沿って少なくとも一部が配置されると共に鉛直方向に沿って延在し、延在方向における上端の排気口から前記ガスブースターの排気を排出する排気筒と、
前記排気筒に設けられており、前記排気筒から見て前記外面が配置されている側とは反対側に突出するスペーサ部と、を備え、
前記スペーサ部は、前記排気筒を構成する部材の一部が曲げ加工された部位によって形成されている、洗浄機。
【請求項2】
被洗浄物を洗浄する洗浄室、前記洗浄室に供給する水を加熱するガスブースターを収容する機械室、及び前記洗浄室を開閉するために可動可能に設けられるドアを有する洗浄機本体と、
前記洗浄機本体における前記ドア以外の外面に沿って少なくとも一部が配置されると共に鉛直方向に沿って延在し、延在方向における上端の排気口から前記ガスブースターの排気を排出する排気筒と、
前記排気筒に設けられており、前記排気筒から見て前記外面が配置されている側とは反対側に突出するスペーサ部と、を備え、
前記排気筒は、鉛直方向において前記洗浄機本体よりも上方にまで延在しており、
前記排気口は、鉛直方向上方が覆われると共に、鉛直方向上方から見た平面視において前記洗浄機本体側に向かって開口している、洗浄機。
【請求項3】
被洗浄物を洗浄する洗浄室、前記洗浄室に供給する水を加熱するガスブースターを収容する機械室、及び前記洗浄室を開閉するために可動可能に設けられるドアを有する洗浄機本体と、
前記洗浄機本体における前記ドア以外の外面に沿って少なくとも一部が配置されると共に鉛直方向に沿って延在し、延在方向における上端の排気口から前記ガスブースターの排気を排出する排気筒と、
前記排気筒に設けられており、前記排気筒から見て前記外面が配置されている側とは反対側に突出するスペーサ部と、を備え、
前記排気筒は、鉛直方向下方から上方に向かって直線状に延在する本体部材と、前記本体部材の鉛直方向における上端に着脱可能に設けられると共に前記排気口を形成する排気口形成部材と、を有し、
前記スペーサ部は、前記排気口形成部材に形成されている、洗浄機。
【請求項4】
被洗浄物を洗浄する洗浄室、前記洗浄室に供給する水を加熱するガスブースターを収容する機械室、及び前記洗浄室を開閉するために可動可能に設けられるドアを有する洗浄機本体と、
前記洗浄機本体における前記ドア以外の外面に沿って少なくとも一部が配置されると共に鉛直方向に沿って延在し、延在方向における上端の排気口から前記ガスブースターの排気を排出する排気筒と、
前記排気筒に設けられており、前記排気筒から見て前記外面が配置されている側とは反対側に突出するスペーサ部と、を備え、
前記洗浄機本体は、前記ドアを鉛直方向に移動可能に保持案内する二つの支柱と、二つの前記支柱を接続する背面パネルとを更に有し、
前記支柱に前記ドアが保持される方向を前方としたとき、前記背面パネルは、前記支柱の後方側の後面部に対して、前方側にオフセットした状態で設けられており、
前記排気筒は、二つの前記支柱の対向方向において、前記支柱の一方と前記背面パネルとの両方に跨がるように配置されると共に、前記排気筒の前面部の一部が一方の前記支柱の後面部に接触配置され、前記前面部の残りの一部は、前記背面パネルと間隔をあけて配置されている、洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗浄室内に高温の水を供給するためのガスブースターが食器洗浄機本体の側面に配置され、当該ガスブースターの排気を排出する排気筒が食器洗浄本体の背面に沿設されている食器洗浄機が開示されている。このような食器洗浄機は、背面を壁側に向けて設置されることが多く、背面に設けられる上記の排気筒と背後の壁等の離隔対象物との間には適正な離隔距離を確保しなければならないことが消防法等によって定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-231736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、食器洗浄機の据付作業は、設置作業者の裁量に任せられているのが現状であり、適正な離隔距離が確保されない場合もある。このため、洗浄機本体の側面又は背面である外面に排気筒が設けられている洗浄機を据え付ける場合には、設置作業者によらず、適正な離隔距離が確保できることが求められている。
【0005】
そこで、本発明は、洗浄機本体の外面にガスブースターの排気筒が設けられた洗浄機を据え付ける場合に、適正な離隔距離を確保することができる洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗浄機は、被洗浄物を洗浄する洗浄室、洗浄室に供給する水を加熱するガスブースターを収容する機械室、及び洗浄室を開閉するために可動可能に設けられるドアを有する洗浄機本体と、洗浄機本体におけるドア以外の外面に沿って少なくとも一部が配置されると共に鉛直方向に沿って延在し、延在方向における上端の排気口からガスブースターの排気を排出する排気筒と、排気筒に設けられており、排気筒から見て外面が配置されている側とは反対側に突出するスペーサ部と、を備える。
【0007】
この構成の洗浄機では、排気筒から見て洗浄機本体の外面が配置されている側(方向)とは反対側(方向)に突出するスペーサ部が設けられているので、設置作業者が、外面に排気筒が設けられた洗浄機を壁に近づけるように据え付けたとしても、スペーサ部が最初に接触し、設置作業者は、排気筒ひいては洗浄機をそれ以上壁に近づけることができなくなる。これにより、洗浄機本体の外面にガスブースターの排気筒が設けられた洗浄機を据え付ける場合に、適正な離隔距離を確保することができる。
【0008】
本発明に係る洗浄機では、スペーサ部は、排気筒を構成する部材の一部が曲げ加工された部位によって形成されていてもよい。この構成では、排気筒を構成する部材と一体的にスペーサ部を形成することができるので、スペーサ部を容易に形成することができる。
【0009】
本発明に係る洗浄機では、排気筒は、鉛直方向において洗浄機本体よりも上方にまで延在しており、排気口は、鉛直方向上方が覆われると共に、鉛直方向上方から見た平面視において洗浄機本体側に向かって開口していてもよい。この構成では、排気筒の上端から異物が入り込むことを防止することができる。更に、この構成では、排気ガスが洗浄機本体側に排出されるので、排気ガスが壁等の離隔対象物に与える影響を抑制することができる。
【0010】
本発明に係る洗浄機では、排気筒は、鉛直方向下方から上方に向かって直線状に延在する本体部材と、本体部材の鉛直方向における上端に着脱可能に設けられると共に排気口を形成する排気口形成部材と、を有し、スペーサ部は、排気口形成部材に形成されていてもよい。排気筒は、内部を流れる排気ガスによって表面の温度が上昇し、その温度は排気ガスの発生源に近くなるほど、すなわち、鉛直方向において下方の位置ほど高くなる。この構成では、スペーサ部が設けられる排気口形成部材は、排気ガスの発生源から相対的に遠くに位置するので、排気筒の中でも温度が低くなる。これにより、スペーサ部が壁等の離隔対象物に与える影響を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る洗浄機では、洗浄機本体は、ドアを鉛直方向に移動可能に保持案内する二つの支柱と、二つの支柱を接続する背面パネルを更に有し、支柱にドアが保持される方向を前方としたとき、背面パネルは、支柱の後方側の後面に対して、前方側にオフセットした状態で設けられており、排気筒は、二つの支柱の対向方向において、支柱の一方と背面パネルとの両方に跨がるように配置されると共に、排気筒の前面部の一部が一方の支柱の後面に接触配置され、前面部の残りの一部は、背面パネルと間隔をあけて配置されてもよい。この構成では、二つの支柱の対向方向において、支柱の一方と支柱に対して前方にオフセット配置された背面パネルとの両方に跨がるように排気筒を配置することで、排気筒の前面部の一部に、他の部位と接触しない部位(言い換えれば、外気と接触する部位)を設けることができる。これにより、排気筒において外気と接触する部位が冷却されやすくなるので、排気筒表面の温度を低下させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗浄機本体の外面にガスブースターの排気筒が設けられた洗浄機を据え付ける場合に、適正な離隔距離を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る食器洗浄機を斜め前方から見た斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係る食器洗浄機を斜め後方から見た斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係る食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
図4図4は、すすぎタンク、ガスブースター、すすぎポンプ、循環ポンプ、及び排気ダクトの配置を示した斜視図である。
図5図5は、排気筒を構成する部材の分解斜視図である。
図6図6は、排気筒の長さを延長する場合に用いられる部材の構成を示した斜視図である。
図7図7は、図2の外部ダクトをVII-VII線に沿って下方から上方を見たときの断面図である。
図8図8は、変形例に係る食器洗浄機を斜め後方から見た斜視図である。
図9図9は、図8の外部ダクトをIX-IX線に沿って下方から上方を見たときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。以下の説明における方向は、食器洗浄機(洗浄機)1を前方から見たときの方向、すなわち図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向)である。
【0015】
図1図3に示されるように、食器洗浄機1は、洗浄機本体2を備えている。洗浄機本体2は、飲食後の皿や茶碗等の食器(被洗浄物)(以下、単に「食器」と称する。)を洗浄する洗浄室3と、洗浄室3に供給する水を加熱するガスブースター60等を収容する機械室4と、を有している。
【0016】
洗浄機本体2は、上側部分2Aと下側部分2Bとに仕切られている。洗浄機本体2は、洗浄機本体2を覆うステンレス製のパネル5と、洗浄機本体2の背面(外面)側におけるコーナ部に配置され、上側部分2Aと下側部分2Bとに渡って上下方向に延びるステンレス製の一対の支柱6,6と、洗浄室3を開閉するために可動可能に設けられるドア7と、を有している。
【0017】
洗浄室3は、洗浄機本体2の上側部分2Aに設けられており、一対の支柱6,6の間に配置されるステンレス製の背面パネル5Aと、一対の支柱6,6に上下動自在に保持案内される箱型のドア7と、によって区画されることで形成されている。機械室4は、洗浄機本体2の下側部分2Bに設けられており、背面パネル5Aと前面パネル5Bと左面パネル5Cと右面パネル5Dとによって覆われることで形成されている。
【0018】
ドア7は、前方において水平方向に延在するハンドル8Aによって上下動する。ハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、回動アーム8B,8Bはドア7の側面7Aに沿って斜めに配置されている。回動アーム8B,8Bには、ドア7の側面7Aに沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端は、軸ピン8Dを介してドア7に連結されており、ハンドル8Aの回動運動に対してドア7が上下運動可能となっている。
【0019】
洗浄機本体2の底面の四隅には脚部9が取り付けられている。洗浄機本体2の側面には、食器洗浄機1を操作する操作パネル10が設けられている。
【0020】
洗浄室3の下部には、食器を収容可能な格子状の食器ラックが載置されるラックレール11が着脱自在に配置されている。洗浄室3の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル12Aと、2本のアームからなる上側すすぎノズル13Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室3の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル12Bと、2本のアームからなる下側すすぎノズル13Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックに収容された食器は、上側洗浄ノズル12A及び下側洗浄ノズル12Bによって上下から洗浄水が噴射され、上側すすぎノズル13A及び下側すすぎノズル13Bによって上下からすすぎ水が噴射される。
【0021】
洗浄室3の底部には、機械室4に突出するように洗浄タンク15が設けられている。洗浄タンク15は、洗浄室3に供給された水を貯留する。洗浄タンク15は、ステンレス鋼等の材料から形成されている。洗浄タンク15内には、洗浄水を所定温度に昇温(維持)するための洗浄水ヒータ15Aが設置されている。洗浄室3と洗浄タンク15との間には、フィルタ18が着脱自在に配置されている。洗浄タンク15の前面には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ23が接続されている。洗浄ポンプ23の吐出口には洗浄水吐出管21が接続されている。洗浄水吐出管21は、第一洗浄水吐出管21Aと第二洗浄水吐出管21Bとに分岐して、第一洗浄水吐出管21Aは上側洗浄ノズル12Aに接続され、第二洗浄水吐出管21Bは下側洗浄ノズル12Bに接続されている。
【0022】
図3及び図4に示されるように、機械室4には、上述した洗浄ポンプ23及び洗浄水吐出管21と、すすぎタンク25と、すすぎポンプ27と、すすぎ水吐出管31と、循環ポンプ71と、第一循環管72と、第二循環管73と、ガスブースター60と、ガスブースター60を囲うカバー部材65と、内部ダクト81と、洗浄ポンプ23、すすぎポンプ27及び循環ポンプ71に電力を供給する電源79と、食器洗浄機1の動作全般を制御するコントローラ50が内蔵された電装ボックス50Aと、が配置されている。
【0023】
すすぎタンク25は、初期給湯に利用される水、又はすすぎ工程におけるすすぎに利用される水を貯留する。すすぎタンク25は、外部の水源から水が供給される給水管35と、すすぎポンプ27を介して洗浄室3に水を供給するすすぎ水吐出管31と、循環ポンプ71を介してガスブースター60に水を供給する第一循環管72と、ガスブースター60から加熱された水が供給される第二循環管73と、接続されている。
【0024】
ガスブースター60は、すすぎタンク25から供給される水を加熱し、加熱した水をすすぎタンク25に戻す。ガスブースター60は、外部から供給される可燃ガスに、燃焼用空気を混合させて燃焼させることにより発生する熱で水を加熱する。カバー部材65は、ガスブースター60を収容し、断熱性の部材によって形成されている。カバー部材65の上面には、ガスブースター60の排気口60Aと連通する箱状の接続部67が設けられている。接続部67は、排気口60Aから排出される排気ガスを排気ダクト80に誘導する。
【0025】
排気ダクト80は、ガスブースター60において発生した排気ガスを洗浄機本体2の外部に排出する。排気ダクト80は、機械室4(洗浄機本体2)の内部に配置される内部ダクト81と、洗浄機本体2の外部に配置される外部ダクト(排気筒)90と、を有し、この順番で接続されている。排気ダクト80は、ステンレス鋼等の材料によって形成されている。内部ダクト81は、機械室4の左面パネル5Cと洗浄タンク15との間に配置され、接続部67から背面パネル5Aの外側の外部ダクト90まで前後方向に延在している。外部ダクト90については、後段にて詳述する。
【0026】
すすぎポンプ27の吐出口には、図3に示されるように、すすぎ水吐出管31が接続されている。すすぎ水吐出管31は、第一すすぎ水吐出管31Aと第二すすぎ水吐出管31Bとに分岐して、第一すすぎ水吐出管31Aは上側すすぎノズル13Aに接続され、第二すすぎ水吐出管31Bは下側すすぎノズル13Bに接続されている。第一すすぎ水吐出管31Aは、第一洗浄水吐出管21A内に配置されている。すなわち、第一洗浄水吐出管21A及び第一すすぎ水吐出管31Aは、二重管構造を成している。
【0027】
次に、外部ダクト90について説明する。外部ダクト90は、洗浄機本体2におけるドア7以外の外面に設けられると共に鉛直方向に沿って延在し、延在方向における上端の排気口94からガスブースター60の排気ガスを排出する。本実施形態では、図1図3に示されるように、外部ダクト90は、洗浄機本体2の背面に設けられ、鉛直方向において洗浄機本体2(洗浄室3が閉じられた状態のドア7の上部)よりも上方にまで延在している。外部ダクト90には、外部ダクト90が設けられる洗浄機本体2の外面側とは反対側に突出するスペーサ部95が設けられている。
【0028】
図5に示されるように、外部ダクト90は、鉛直方向下方から上方に向かって直線状に延在する本体部材92と、内部ダクト81と本体部材92とを接続する接続部材91と、本体部材92の鉛直方向における上端に着脱可能に設けられると共に排気口94を形成する排気口形成部材93と、を有している。
【0029】
接続部材91は、後面部91aと、前面部91bと、一対の側面部91c,91cと、上面部91dと、下面部91eとからなる箱状部材である。前面部91bには、内部ダクト81との連通部分となる開口部91fが形成されている。上面部91dは、本体部材92との連通部分となる開口部91gと、本体部材92との接続部分である接続部91h,91hが形成されている。接続部材91には、洗浄機本体2の背面の一部を構成する支柱6の後面部6Bb(図7参照)に固定するための固定部91i,91iが形成されている。接続部材91と支柱6とは、図示しないボルト等によって接続され得る。
【0030】
本体部材92は、後面部92aと、前面部92bと、一対の側面部92c,92cとからなる筒状部材である。本体部材92の下端は、接続部材91との連通部分となる開口部92eと、接続部材91との接続部分となる接続部92f,92fが形成されている。本体部材92の上端は、排気口形成部材93との連通部分となる開口部92gと、排気口形成部材93との接続部分となる接続部92h,92hが形成されている。本体部材92には、洗浄機本体2の背面の一部を構成する支柱6の後面部6Bb(図7参照)に固定するための固定部92i,92iが形成されている。本体部材92と接続部材91とは、図示しないボルト等によって接続され得る。本体部材92と支柱6とは、図示しないボルト等によって接続され得る。
【0031】
排気口形成部材93は、後面部93aと、上面部93bと、一対の側面部93c,93cとからなり、本体部材92の上端を覆う部材である。上面部93bは、後面部93aの上端から一対の側面部93c,93cの上端に沿って斜め上方に延在する。排気口形成部材93の下端は、本体部材92に取り付けられたときに本体部材92との連通部が形成される。排気口形成部材93の後面部93aと対向する部分は、本体部材92に取り付けられたときに排気口94となる開口部が形成される。排気口94は、鉛直方向上方が覆われると共に、鉛直方向上方から見た平面視において洗浄機本体2側(すなわち食器洗浄機1の前方)に向かって開口する。排気口形成部材93と本体部材92とは、ボルト96等によって接続され得る。
【0032】
本実施形態では、排気口形成部材93の後面部93aに、外部ダクト90が設けられる洗浄機本体2の外面側とは反対側に突出するスペーサ部95が設けられる。スペーサ部95は、排気口形成部材93を構成する部材の一部が曲げ加工された部位によって形成されている。より詳細には、スペーサ部95は、排気口形成部材93の後面部93aにおける下端が水平方向後方に折り曲げられることによって形成されている。スペーサ部95の後面部93aからの折曲量、すなわち後方への出幅Lは、例えば5mm~10mmであり、スペーサ部95の出幅は、離隔対象物に対して求められる離隔距離に合わせて適宜調整される。
【0033】
スペーサ部95は、食器洗浄機1の背面が壁等の離隔対象物に対向する状態で食器洗浄機1が離隔対象物に近づけられたときにその離隔対象物に最初に接触する部材である。このため、スペーサ部95は、食器洗浄機1の背面が離隔対象物に対向するように据え付ける場合に、外部ダクト90と離隔対象物に対して求められる距離を確保する部材となる。設置作業者は、このスペーサ部95が離隔対象物に接触するように食器洗浄機1を据え付けてもよいし、スペーサ部95が離隔対象物に接触しないように食器洗浄機1を離隔対象物に近接させて据え付けてもよい。なお、本実施形態では、スペーサ部95において離隔対象物と接触する可能性のある部分は水平方向に延在しており、その部分の厚みは、例えば0.5mm~2.0mmである。
【0034】
接続部材91と、本体部材92と、排気口形成部材93とは、それぞれが接続された状態において、接続部材91の後面部91aと、本体部材92の後面部92aと、排気口形成部材93の後面部93aとが面一となる。このため、スペーサ部95によって排気口形成部材93の後面部93aと離隔対象物との間で適正な離隔距離が保たれれば、接続部材91の後面部91aと離隔対象物との間、及び本体部材92の後面部92aと離隔対象物との間も、適正な離隔距離が保たれる。
【0035】
外部ダクト90は、図6に示されるように、外部ダクト90における排気口94の高さ位置を調整するための延長部材97を取り付けることが可能である。延長部材97は、後面部97aと、前面部97bと、一対の側面部97c,97cとからなる筒状部材である。延長部材97の下端は、本体部材92との連通部分となる開口部97eが形成されている。延長部材97の上端は、排気口形成部材93との連通部分となる開口部97gと、排気口形成部材93との接続部分となる接続部97h,97hが形成されている。延長部材97と本体部材92とは、図示しないボルト等によって接続され得る。延長部材97と排気口形成部材93とは、ボルト96等によって接続され得る。
【0036】
次に、図7を用いて、洗浄機本体2における上側部分2Aの背面の構成及び外部ダクト90の取付構成について説明する。図7に示されるように、洗浄機本体2における上側部分2Aの背面は、支柱6と、背面パネル5Aと、を有している。支柱6は、支柱部6Aと、第一フレーム6Bと、第二フレーム6Cとを有している。支柱部6Aは、角筒状に形成された部材であり、ドア7の上げ下げの利用に供されるばね部材(図示せず)等が収容される。第一フレーム6Bは、支柱部6Aを内包する部材であり、支柱6の側面部6Ba及び後面部6Bbを形成している。第二フレーム6Cは、第一フレーム6Bに接続されており、ドア7に設けられるローラ(図示せず)等を収容する収容部6Caを形成し、ドア7を保持案内する部材である。
【0037】
背面パネル5Aは、一対の支柱6,6を接続する部材であり、より詳細には、一対の支柱6,6の第二フレーム6C同士を接続している。背面パネル5Aは、洗浄機本体2の背面の一部を構成する背面部5Aaと、第二フレーム6Cに接続される部分である接続部5Abと、を有している。背面パネル5Aは、前後方向において、支柱6の後面部6Bbを形成する第一フレーム6Bから前方にオフセット配置されており、そのオフセット量Gは、例えば、5mm~10mmである。
【0038】
外部ダクト90は、二つの支柱6,6の対向方向(左右方向)において、支柱6の一方と背面パネル5Aとの両方に跨がるように配置されると共に、外部ダクト90の本体部材92における前面部92bの一部が一方の支柱6の後面部6Bbに接触配置され、前面部92bの残りの一部は、背面パネル5Aの背面部5Aaと間隔をあけて配置されている。
【0039】
本実施形態の食器洗浄機1の作用効果について説明する。図5に示されるように、上記実施形態の食器洗浄機1では、外部ダクト90に後方に突出するスペーサ部95が設けられているので、設置作業者が、食器洗浄機1の背面に外部ダクト90が設けられた食器洗浄機1を壁等の離隔対象物に近づけるように据え付けたとしても、スペーサ部95が最初に接触し、外部ダクト90ひいては食器洗浄機1をそれ以上離隔対象物に近づけることができない。これにより、洗浄機本体2の背面にガスブースター60の外部ダクト90が設けられた食器洗浄機1を据え付ける場合に、外部ダクト90の後面部92aと離隔対象物との距離が保たれ、適正な離隔距離を確保することができる。
【0040】
上記実施形態の食器洗浄機1では、スペーサ部95は、外部ダクト90を構成する部材の一部である排気口形成部材93が曲げ加工された部位によって形成されている。これにより、外部ダクト90を構成する部材と一体的にスペーサ部95を形成することができるので、スペーサ部95を容易に形成することができると共に、部品点数の低減化が図れる。また、排気口形成部材93を形成する後面部93aの下端となる辺が折り曲げられているので、スペーサ部95の左右方向における幅(サイズ)を、排気口形成部材93の左右方向における幅、すなわち外部ダクト90の左右方向における幅と同じとすることができるので、外部ダクト90が離隔対象物と接触することを確実に防止できる。また、外部ダクト90を構成する部材と一体的に構成されているので、スペーサ部が外部ダクト90と別部品として構成される場合に発生する部品の付け忘れを回避できる。
【0041】
また、このような外部ダクト90は、内部を流れる排気ガスによって表面の温度が上昇し、その温度は排気ガスの発生源に近くなるほど、すなわち、鉛直方向において下方の位置ほど高くなるところ、上記実施形態の構成では、スペーサ部95が設けられる排気口形成部材93は、排気ガスの発生源から相対的に遠くに位置するので、外部ダクト90の中でも温度が低くなる。これにより、スペーサ部95が壁等の離隔対象物に与える影響を抑制することができる。
【0042】
上記実施形態の食器洗浄機1では、図1図3に示されるように、外部ダクト90は、鉛直方向において洗浄機本体2よりも上方にまで延在しており、排気口94は、鉛直方向上方が覆われると共に、鉛直方向上方から見た平面視において洗浄機本体2側(上記実施形態では前方)に向かって開口している。この構成では、外部ダクト90の上端から異物が入り込むことを防止することができる。更に、この構成では、排気ガスが洗浄機本体2側に排出されるので、排気ガスが壁等の離隔対象物に与える影響を抑制することができる。
【0043】
上記実施形態の食器洗浄機1では、図7に示されるように、外部ダクト90は、二つの支柱6,6の対向方向において、一対の支柱6,6の一方と背面パネル5Aとの両方に跨がるように配置されると共に、外部ダクト90の本体部材92における前面部92bの一部が一方の支柱6の後面部6Bbに接触配置され、前面部92bの残りの一部は、背面パネル5Aと間隔をあけて配置されている。この構成では、二つの支柱6,6の対向方向において、二つの支柱6,6の一方と支柱6に対して前方にオフセット配置された背面パネル5Aとの両方に跨がるように外部ダクト90を配置することで、外部ダクト90の本体部材92における前面部92bの一部に、他の部位と接触しない部位(言い換えれば、外気と接触する部位)を設けることができる。これにより、外部ダクト90において外気と接触する部位が冷却されやすくなり、外部ダクト90の表面の温度を低下させること(冷却性を向上させること)ができる。外部ダクト90を食器洗浄機1の背面からオフセットして配置すると外部ダクト90の冷却性を向上させることができる。また、外部ダクト90を食器洗浄機1の背面に接触して配置すると外部ダクト90の安定性が向上する。本実施形態では、外部ダクト90の本体部材92における前面部92bの一部を、食器洗浄機1の背面を構成する支柱6の一部に接触した状態とし、外部ダクト90の本体部材92における前面部92bの残りの一部を、食器洗浄機1の背面を構成する背面パネル5Aからオフセットした状態としているので、外部ダクト90の冷却性の向上及び安定性の向上の両方を達成することができる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0045】
図8及び図9に示されるように、上記実施形態の構成に加えて、外部ダクト90のカバー100を備える構成の食器洗浄機1として構成してもよい。カバー100は、外部ダクト90のサイズよりも一回り大きく形成されており、洗浄機本体2に取り付けられたときに、外部ダクト90の外表面と間隔をあけた状態で取り付けられる。また、カバー100が取り付けられる場合も、スペーサ部95によって、外部ダクト90の後面部92aとカバー100との間の距離が保たれ、ひいては外部ダクト90と離隔対象物との適正な離隔距離を確保することができる。
【0046】
カバー100は、延在方向に直交する断面の形状が略コの字状に形成されており、一方の端部100aが支柱6の後面部6Bbとなる第一フレーム6Bに取り付けられ、他方の端部100bが外部ダクト90の前面部91b,92bに取り付けられている。カバー100と外部ダクト90とは、ボルト96等によって接続され得る。この構成では、外部ダクト90とカバー100との間に空気層が設けられるので、外部ダクト90の熱がカバー100に伝熱することを抑制できる。すなわち、この構成では、食器洗浄機1から発生する輻射熱を抑制することができる低輻射型の食器洗浄機1とすることができる。
【0047】
上記実施形態及び変形例では、スペーサ部95が排気口形成部材93に一体的に形成される例を挙げて説明したが、この構成に代えて又は加えて、接続部材91及び本体部材92の少なくとも一方にスペーサ部95を設けてもよい。また、上記実施形態では、スペーサ部95(スペーサ部95において離隔対象物と接触する可能性のある部分)が水平方向に延在している例を挙げて説明したが、水平方向以外の所定の一方向に延在していてもよく、例えば鉛直方向に延在してもよい。また、スペーサ部95は、外部ダクト90を構成する部材とは別部材として構成され、外部ダクト90を構成する部材に設けられてもよい。
【0048】
上記実施形態及び変形例では、食器洗浄機1の背面(外面)に外部ダクト90が設けられる例を挙げて説明したが、食器洗浄機1の側面(外面)に設けられてもよい。この場合であっても、外部ダクト90と、食器洗浄機1の側面に対向する壁等の離隔対象物との適正な離隔距離を確保することができる。
【0049】
上記実施形態及び変形例では、外部ダクト90は、食器洗浄機1の背面又は側面である外面に沿って配置されると共に、その一部が外部ダクト90に接触した状態で固定されている例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、外部ダクト90は、食器洗浄機1の外面に沿って配置されると共に一部が接触した状態ではあるものの外面に固定されていなくてもよい。また、例えば、外部ダクト90は、食器洗浄機1の外面から隙間があけた状態で外面に沿って配置されていてもよい。
【0050】
上記実施形態及び変形例では、すすぎタンク25に貯留された水をガスブースター60で加熱し、加熱した水を再びすすぎタンク25に戻す循環タイプの加熱構成を例に挙げて説明したが、外部から供給された水をガスブースター60で加熱し、加熱した水をすすぎタンク25に供給するタイプの構成としてもよい。
【0051】
上記実施形態及び変形例では、ドア7が上下に移動することで洗浄室3を開放するいわゆるドアタイプの食器洗浄機1を例に挙げて説明したが、例えば、洗浄機本体の前面側にドアが設けられ、回動軸を軸に回動することで洗浄室を開放するタイプの食器洗浄機や、食器を収容するためのラックを搬送しながら洗浄を行うコンベアタイプの食器洗浄機等にも適用することができる。
【0052】
本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態、上記変形例及びその他の変形例として記載の内容を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…食器洗浄機(洗浄機)、2…洗浄機本体、3…洗浄室、4…機械室、5A…背面パネル、6…支柱、7…ドア、60…ガスブースター、80…排気ダクト、81…内部ダクト、90…外部ダクト(排気筒)、91…接続部材、92…本体部材、93…排気口形成部材、94…排気口、95…スペーサ部、97…延長部材、100…カバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9