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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/20 20060101AFI20240517BHJP
   H01H 71/08 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H01H73/20 A
H01H71/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020119360
(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公開番号】P2022016084
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】山中 佑太
(72)【発明者】
【氏名】新美 貴広
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103019(JP,A)
【文献】特開2001-035341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/20
H01H 71/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースに、導電バーを差し込み接続可能な3つの端子口が上下方向に並設されてなる回路遮断器であって、
前記本体ケース内に、第1端子金具及び第2端子金具と、前記第1端子金具が取り付けられる第1取付台及び前記第2端子金具が取り付けられる第2取付台と、上下方向を軸として回転可能な第1操作部材及び第2操作部材とが設けられているとともに、
前記第1操作部材の周面に第1のネジ部が設けられ、前記第1取付台に、前記第1のネジ部に螺合する第1螺合部が設けられており、
前記第1操作部材の360度未満の回転に伴い、前記第1取付台が上側の前記端子口に対応する第1位置と中央の前記端子口に対応する第2位置との間で上下方向へスライド可能である一方、
前記第2操作部材の周面に第2のネジ部が設けられ、前記第2取付台に、前記第2のネジ部に螺合する第2螺合部が設けられており、
前記第2操作部材の360度未満の回転に伴い、前記第2取付台が前記第2位置と下側の前記端子口に対応する第3位置との間で上下方向へスライド可能であり、
さらに、前記本体ケースの上面に、前記第1操作部材の上端面を露出させる第1操作窓と、前記第2操作部材の上端面を露出させる第2操作窓とが設けられており、前記第1操作部材及び前記第2操作部材を前記本体ケース外から回転操作可能であることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記第1操作部材の上端面に、所定方向を指す第1矢印表示が設けられている一方、前記第2操作部材の上端面に、所定方向を指す第2矢印表示が設けられており、
前記第1矢印表示及び前記第2矢印表示が指している方向にもとづいて、前記第1取付台及び前記第2取付台の位置を把握可能であることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記第1操作部材の上端面における偏心位置に第1表示部が設けられている一方、前記第2操作部材の上端面における偏心位置に第2表示部が設けられており、
前記第1表示部及び前記第2表示部の位置にもとづいて、前記第1取付台及び前記第2取付台の位置を把握可能であることを特徴とする請求項1に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば分電盤内等に設置される回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば単相三線式電路に使用される回路遮断器では、電源側端子を所謂プラグイン方式の端子として構成することがある。また、そのような回路遮断器としては、電源側端子における端子金具の位置を、本体ケース外から変更可能としたものが考案されている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-35341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の回路遮断器では、端子金具の位置調整に係る操作が煩わしいという問題がある。また、現時点における端子金具の位置が判別しづらい(特に回路遮断器の上面側から判別しづらい)ため、分電盤内への設置時等において各種作業が一層煩雑になるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、端子金具の位置調整を容易に行うことができる上、現時点における端子金具の位置を容易に把握することができる回路遮断器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、本体ケースに、導電バーを差し込み接続可能な3つの端子口が上下方向に並設されてなる回路遮断器であって、前記本体ケース内に、第1端子金具及び第2端子金具と、前記第1端子金具が取り付けられる第1取付台及び前記第2端子金具が取り付けられる第2取付台と、上下方向を軸として回転可能な第1操作部材及び第2操作部材とが設けられているとともに、前記第1操作部材の周面に第1のネジ部が設けられ、前記第1取付台に、前記第1のネジ部に螺合する第1螺合部が設けられており、前記第1操作部材の360度未満の回転に伴い、前記第1取付台が上側の前記端子口に対応する第1位置と中央の前記端子口に対応する第2位置との間で上下方向へスライド可能である一方、前記第2操作部材の周面に第2のネジ部が設けられ、前記第2取付台に、前記第2のネジ部に螺合する第2螺合部が設けられており、前記第2操作部材の360度未満の回転に伴い、前記第2取付台が前記第2位置と下側の前記端子口に対応する第3位置との間で上下方向へスライド可能であり、さらに、前記本体ケースの上面に、前記第1操作部材の上端面を露出させる第1操作窓と、前記第2操作部材の上端面を露出させる第2操作窓とが設けられており、前記第1操作部材及び前記第2操作部材を前記本体ケース外から回転操作可能であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1操作部材の上端面に、所定方向を指す第1矢印表示が設けられている一方、前記第2操作部材の上端面に、所定方向を指す第2矢印表示が設けられており、前記第1矢印表示及び前記第2矢印表示が指している方向にもとづいて、前記第1取付台及び前記第2取付台の位置を把握可能であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1操作部材の上端面における偏心位置に第1表示部が設けられている一方、前記第2操作部材の上端面における偏心位置に第2表示部が設けられており、前記第1表示部及び前記第2表示部の位置にもとづいて、前記第1取付台及び前記第2取付台の位置を把握可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本体ケース内に、第1端子金具及び第2端子金具と、第1端子金具が取り付けられる第1取付台及び第2端子金具が取り付けられる第2取付台と、上下方向を軸として回転可能な第1操作部材及び第2操作部材とを設けている。また、第1操作部材の周面に第1のネジ部を設けるとともに、第1取付台に、第1のネジ部に螺合する第1螺合部を設け、第1操作部材の360度未満の回転に伴い、第1取付台が上側の端子口に対応する第1位置と中央の端子口に対応する第2位置との間で上下方向へスライドするようにしている。また、第2操作部材の周面に第2のネジ部を設けるとともに、第2取付台に、第2のネジ部に螺合する第2螺合部を設け、第2操作部材の360度未満の回転に伴い、第2取付台が第2位置と下側の端子口に対応する第3位置との間で上下方向へスライドするようにしている。さらに、本体ケースの上面に、第1操作部材の上端面を露出させる第1操作窓と、第2操作部材の上端面を露出させる第2操作窓とを設け、第1操作部材及び第2操作部材を本体ケース外から回転操作可能としている。したがって、従来よりも端子金具の位置調整を容易に行うことができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、第1操作部材の上端面に、所定方向を指す第1矢印表示を設ける一方、第2操作部材の上端面に、所定方向を指す第2矢印表示を設けており、第1矢印表示及び第2矢印表示が指している方向にもとづいて、第1取付台及び第2取付台の位置を把握可能としている。一方、請求項3に記載の発明によれば、第1操作部材の上端面における偏心位置に第1表示部を、第2操作部材の上端面における偏心位置に第2表示部を夫々設け、第1表示部及び第2表示部の位置にもとづいて、第1取付台及び第2取付台の位置を把握可能としている。したがって、請求項2及び3に記載の発明によれば、現時点における端子金具の位置を容易に把握することができ、分電盤内への設置時等において各種作業を一層容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】回路遮断器を示した斜視説明図である。
図2】回路遮断器を上方から示した説明図である。
図3】本体ケースの後部内面を示した斜視説明図であり、(a)は右側を、(b)は左側を夫々示している。
図4】中央の端子口及び下側の端子口に対応して端子金具が配されている状態を左側から示した斜視説明図である。
図5】中央の端子口及び下側の端子口に対応して端子金具が配されている状態を右側から示した斜視説明図である。
図6】(a)は上側の端子口及び下側の端子口に対応して端子金具が配されている状態を示した斜視説明図であり、(b)は上側の端子口及び中央の端子口に対応して端子金具が配されている状態を示した斜視説明図である。
図7】本体ケースの上面後部を拡大して示した説明図であり、(a)は中央の端子口及び下側の端子口に対応して端子金具が配されている状態を、(b)は上側の端子口及び下側の端子口に対応して端子金具が配されている状態を、(c)は上側の端子口及び中央の端子口に対応して端子金具が配されている状態を夫々示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる回路遮断器について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、回路遮断器1を示した斜視説明図である。図2は、回路遮断器1を上方から示した説明図である。図3は、本体ケース2の後部内面を示した斜視説明図であり、(a)は右側を、(b)は左側を夫々示している。図4は、端子口P2、P3に対応して端子金具10A、10Bが配されている状態を左側から示した斜視説明図である。図5は、端子口P2、P3に対応して端子金具10A、10Bが配されている状態を右側から示した斜視説明図である。図6(a)は、端子口P1、P3に対応して端子金具10A、10Bが配されている状態を示した斜視説明図であり、図6(b)は、端子口P1、P2に対応して端子金具10A、10Bが配されている状態を示した斜視説明図である。図7は、本体ケース2の上面後部を拡大して示した説明図であり、(a)は端子口P2、P3に対応して端子金具10A、10Bが配されている状態を、(b)は端子口P1、P3に対応して端子金具10A、10Bが配されている状態を、(c)は端子口P1、P2に対応して端子金具10A、10Bが配されている状態を夫々示している。
【0011】
単相三線式電路に使用される回路遮断器1は、複数のケース部材を組み立ててなる合成樹脂製の本体ケース2を有しており、該本体ケース2の後部には電源側端子4が、前部には負荷側端子3が夫々備えられている。また、本体ケース2の上面には、ハンドル5が前後方向へ回動操作可能に設けられており、該ハンドル5を回動操作することで、本体ケース2内に組み込まれている図示しない開閉機構が作動し、電源側端子4と負荷側端子3とを電気的につなぐ電路が接続/開放されるようになっている。
【0012】
さらに、電源側端子4は、上下方向へ並設されたプラグイン方式の3つの端子口P1、P2、P3を備えてなり、各端子口P1~P3は、本体ケース2を左右方向に貫通するコ字状に切り欠かれて形成されている。そして、各端子口P1~P3には、分電盤内等に配設される導電バー(図示せず)を挿入接続可能となっている。また、電源側端子4では、上側の端子口P1が中性端子、中央の端子口P2及び下側の端子口P3が夫々電圧端子とされており、入力電圧が100Vである場合には、上側の端子口P1と中央の端子口P2又は下側の端子口P3とに導電バーが接続される一方、入力電圧が200Vである場合には、中央の端子口P2と下側の端子口P3とに導電バーが接続されるようになっている。
【0013】
ここで、本発明の要部となる電源側端子4側における端子金具10A、10Bのスライド構造について説明する。
本体ケース2における後端部(電源側端子4側の端部)には、2つの端子金具10A、10Bと、両端子金具10A、10Bを上下方向に移動させるためのスライド機構とが内蔵されている。端子金具10A、10Bは、従来周知のもの(従来のプラグイン方式の端子で使用されるものと同じもの)で、金属板を後方へ開口する側面視略C字状に湾曲させて成形されてなる。一方、スライド機構は、作業者が操作可能な操作部材11A、11B、端子金具10A、10Bが取り付けられる取付台13A、13B、及び取付台13A、13Bの上下方向へのスライドを案内する案内部を備えてなる。
【0014】
取付台13Aは、略方形ブロック体に成形されており、後面には端子金具10Aを取り付けるための取付部が設けられている。また、取付台13Aの右部上寄りとなる箇所には、前後方向へ長いブロック状の螺合部14Aが設けられている。そして、螺合部14Aの後部には、上下方向に貫通する第1のネジ孔15が穿設され、螺合部14Aの前部には、上下方向に貫通する第2のネジ孔16が穿設されている。なお、各ネジ孔15、16の内面には、ネジ溝が刻設されている。また、取付台13Aの上面及び下面には、水平面が形成されている。
【0015】
取付台13Bは、取付台13A同様に略方形ブロック体に成形されており、後面には端子金具10Bを取り付けるための取付部が設けられている。また、取付台13Bの右部下寄りとなる箇所には、螺合部14Aと同形のブロック状に形成された螺合部14Bが設けられており、螺合部14Bの後部には、上下方向に貫通する第1のネジ孔15が、螺合部14Aの前部には、上下方向に貫通する第2のネジ孔16が夫々穿設されている。なお、ネジ孔15とネジ孔16との前後方向での間隔は、螺合部14Aにおける間隔と同じとされている。また、両ネジ孔15、16の内面には、ネジ溝が刻設されている。さらに、取付台13Bの上面及び下面にも、水平面が形成されている。
【0016】
操作部材11Aは、上下方向に延びる所謂リードスクリューであって、上下方向での中央から下端にかけてはネジ孔15よりも細い円柱状に形成されている一方、上端から中央にかけての周面にはネジ孔15に螺合可能なネジ部17Aが設けられている。また、操作部材11Aの上端には、上方からプラスドライバーを差し込み可能な溝を有する操作面18Aが設けられており、該操作面18Aには、プラスドライバーを差し込み可能な溝を利用した矢印表示19Aが設けられている。
【0017】
操作部材11Bも、上下方向に延びるリードスクリューであるが、操作部材11Aとは異なり、上下方向での上端から中央にかけてがネジ孔16よりも細い円柱状に形成されている一方、中央から下端にかけての周面にネジ孔16に螺合可能なネジ部17Bが設けられている。また、操作部材11Bの上端にも、上方からプラスドライバーを差し込み可能な溝を有する操作面18Bが設けられており、該操作面18Bには、プラスドライバーを差し込み可能な溝を利用した矢印表示19Bが設けられている。
【0018】
加えて、本体ケース2の内面には、案内部としてガイドリブ20が設けられている。ガイドリブ20は、本体ケース2の左側面後部に設けられており、左側面から右方へ突出し、且つ、左側面の下端から上端にかけて延設されたリブとして成形されている。なお、本体ケース2の底面で後側の右隅部には、操作部材11A、11Bの下端を軸支可能な軸支部21A、21Bが前後に並設されている。なお、軸支部21A、21Bの前後方向での間隔も、螺合部14A、14Bにおけるネジ孔15とネジ孔16との間隔と同じとされている。
【0019】
そして、上述したような端子金具10A、10Bのスライド構造の組み立て及び本体ケース2への取り付けにあたっては、まず端子金具10Aを取付台13Aに、端子金具10Bを取付台13Bに夫々取り付ける。また、取付台13Bの上側に取付台13Aを位置させて両螺合部14A、14Bのネジ孔15、16の位置を上下方向で一致させるとともに、両取付台13A、13Bの前面をガイドリブ20の前面に当接させた状態とする。それから、操作部材11Aを、上下方向を中心として回転させながら両螺合部14A、14Bのネジ孔15、15を貫通させ、その下端を軸支部21Aに軸支させる。また、操作部材11Bについても、上下方向を中心として回転させながら両螺合部14A、14Bのネジ孔16、16を貫通させ、その下端を軸支部21Bに軸支させる。すると、操作部材11Aは、取付台13Aの螺合部14Aとは螺合状態にあって、操作部材11Aの上下方向を軸とした回転により取付台13Aは上下方向へ移動する一方、取付台13Bの螺合部14Bに対しては遊挿状態となっており、操作部材11Aを回転させたとしても取付台13Bは上下方向へ移動しないという状態になる。一方、操作部材11Bは、取付台13Aの螺合部14Aに対しては遊挿状態になっており、操作部材11Bを回転させたとしても取付台13Aは上下方向へ移動しない一方、取付台13Bの螺合部14Bとは螺合状態にあって、操作部材11Bの回転により取付台13Bは上下方向へ移動するという状態になって、端子金具10A、10Bのスライド構造の組み立て及び本体ケース2への取り付けは完了となる。なお、取付台13A、13Bの上下方向へのスライドは、ガイドリブ20及び操作部材11A、11Bの螺合部14A、14Bとの遊挿箇所により案内される。
【0020】
また、上述の如くして端子金具10A、10Bのスライド構造を本体ケース2へ取り付けることで、本体ケース2の上面に開設されている操作窓22A、22B内に操作面18A、18Bが露出する。したがって、操作窓22A、22Bを介して操作面18A、18Bにプラスドライバーの先端を差し込み、上下方向を軸として操作部材11A、11Bを回転させることにより、本体ケース2外から端子金具10A、10Bの位置を上下方向へ変更することができる。
【0021】
端子金具10A、10Bの位置調整について具体的に説明すると、入力電圧が200Vである場合には、中央の端子口P2と下側の端子口P3とに端子金具10A、10Bが配されている必要がある。そこで、操作部材11A、11Bを回転操作して、操作面18A、18Bの矢印表示19A、19Bが共に右側を指すような姿勢(操作部材11Aは第2回転姿勢にあり、操作部材11Bは第4回転姿勢にある)とすればよい。すると、端子金具10Aが端子口P2の前側(第2位置)に、端子金具10Bが端子口P3の前側(第3位置)に夫々配され、導電バーの端子口P2及び端子口P3への差し込みに伴い導電バーと回路遮断器1との電気的な接続が可能となる(図4図5)。
【0022】
また、入力電圧が100Vであり、上側の端子口P1と下側の端子口P3とに導電バーが差し込まれる場合には、操作部材11A、11Bを回転操作し、操作面18Aの矢印表示19Aが左側を指し(操作部材11Aは第1回転姿勢にある)、且つ、操作面18Bの矢印表示19Bが右側を指すような姿勢(操作部材11Bは第4回転姿勢にある)とすればよい。たとえば図4に示すような状態にあったとすると、操作部材11Aのみを180度回転操作することになる。すると、端子金具10Aが端子口P1の前側(第1位置)に、端子金具10Bが端子口P3の前側(第3位置)に夫々配され、導電バーの端子口P1及び端子口P3への差し込みに伴い導電バーと回路遮断器1との電気的な接続が可能となる(図6(a))。
【0023】
また、入力電圧が100Vであり、上側の端子口P1と中央の端子口P2とに導電バーが差し込まれる場合には、操作部材11A、11Bを回転操作し、操作面18A、18Bの矢印表示19A、19Bが共に左側を指すような姿勢(操作部材11Aは第1回転姿勢にあり、操作部材11Bは第3回転姿勢にある)とすればよい。たとえば図4に示すような状態にあったとすると、両操作部材11A、11Bを夫々180度回転操作することになる。すると、端子金具10Aが端子口P1の前側(第1位置)に、端子金具10Bが端子口P2の前側(第2位置)に夫々配され、導電バーの端子口P1及び端子口P2への差し込みに伴い導電バーと回路遮断器1との電気的な接続が可能となる(図6(b))。
【0024】
加えて、本体ケース2の上面で、操作窓22A、22Bの近傍(本実施例では、操作窓22A、22Bの左右両隣)には、操作部材11A、11Bの回転姿勢、ひいては端子金具10A、10Bの位置を確認するための確認表示部23A、23B、23C、23Dが設けられている。各確認表示部23A、23B、23C、23Dは、各回転姿勢において操作部材11A、11Bの操作面18A、18Bに設けられている矢印表示19A、19Bが左右どちらを指しているかに対応させて設けられている。すなわち、確認表示部23A、23Bは端子金具10Aの位置を示しており、矢印表示19Aが確認表示部23Aを指していると、操作部材11Aは第2回転姿勢にあって端子金具10Aが端子口P2の前側に位置しており、矢印表示19Aが確認表示部23Bを指していると、操作部材11Aは第1回転姿勢にあって端子金具10Aが端子口P1の前側に位置している。一方、確認表示部23C、23Dは端子金具10Bの位置を示しており、矢印表示19Bが確認表示部23Cを指していると、操作部材11Bは第3回転姿勢にあって端子金具10Bが端子口P2の前側に位置しており、矢印表示19Bが確認表示部23Dを指していると、操作部材11Bは第4回転姿勢にあって端子金具10Bが端子口P3の前側に位置している。
【0025】
したがって、図7(a)に示すように矢印表示19Aが確認表示部23Bを、矢印表示19Bが確認表示部23Dを夫々指していると、端子金具10Aが端子口P2の前側に、端子金具10Bが端子口P3の前側に夫々位置している。また、図7(b)に示すように矢印表示19Aが確認表示部23Aを、矢印表示19Bが確認表示部23Dを夫々指していると、端子金具10Aが端子口P1の前側に、端子金具10Bが端子口P3の前側に夫々位置している。さらに、図7(c)に示すように矢印表示19Aが確認表示部23Aを、矢印表示19Bが確認表示部23Cを夫々指していると、端子金具10Aが端子口P1の前側に、端子金具10Bが端子口P2の前側に夫々位置している。このように、どの確認表示部23A~23Dを指しているかによって、端子金具10A、10Bの位置を把握することができる。
【0026】
以上のような構成を有する回路遮断器1によれば、本体ケース2内に、端子金具10A、10Bと、端子金具10A、10Bが夫々取り付けられる取付台13A、13Bと、上下方向を軸として回転可能な操作部材11A、11Bとを設けている。また、操作部材11Aの周面にネジ部17Aを設けるとともに、取付台13Aに、ネジ部17Aに螺合する螺合部14Aを設け、操作部材11Aの180度の回転に伴い、取付台13Aが上側の端子口P1の前側と中央の端子口P2の前側との間で上下方向へスライドするようにしている。また、操作部材11Bの周面にネジ部17Bを設けるとともに、取付台13Bに、ネジ部17Bに螺合する螺合部14Bを設け、操作部材11Bの180度の回転に伴い、取付台13Bが中央の端子口P2の前側と下側の端子口P3の前側との間で上下方向へスライドするようにしている。さらに、本体ケース2の上面に、操作部材11Aの上端に設けられた操作面18Aを露出させる操作窓22Aと、操作部材11Bの上端に設けられた操作面18Bを露出させる操作窓22Bとを設けており、操作部材11A、11Bを本体ケース2外から回転操作可能としている。したがって、従来よりも端子金具10A、10Bの位置調整を容易に行うことができる。
【0027】
また、操作部材11Aの操作面18Aに、所定方向を指す矢印表示19Aを設ける一方、操作部材11Bの操作面18Bに、所定方向を指す矢印表示19Bを設けており、矢印表示19A、19Bが指している方向にもとづいて、取付台13A、13Bの位置を把握可能としている。したがって、現時点における端子金具10A、10Bの位置を容易に把握することができ、分電盤内への設置時等において各種作業を一層容易に行うことができる。
【0028】
なお、本発明に係る回路遮断器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、回路遮断器の全体的な構成は勿論、端子金具のスライド構造に係る構成等についても必要に応じて適宜変更することができる。
【0029】
たとえば、上記実施形態では、操作部材11Aの操作面18Aを露出させる操作窓22Aと、操作部材11Bの操作面18Bを露出させる操作窓22Bとを別個の操作窓としているが、両操作窓を1つの操作窓として形成し、1つの操作窓内に両操作面を露出させるように構成しても何ら問題はない。
また、上記実施形態では、上側の端子口P1を中性端子としているが、中央の端子口P2を中性端子としてもよく、どの端子口を中性端子とし、どの端子口を電圧端子とするかについては適宜変更可能である。
【0030】
さらに、上記実施形態では、操作部材11A、11Bを夫々180度回転操作することにより、取付台13Aが第1位置と第2位置との間をスライドしたり、取付台13Bが第2位置と第3位置との間をスライドするように構成しているが、90度の回転操作により取付台13A、13Bが両位置の間をスライドするようにしたり、300度の回転操作により取付台13A、13Bが両位置の間をスライドするようにしてもよく、取付台13A、13Bの移動に係る回転操作角度は360度未満であれば適宜変更可能である。なお、操作部材11Aと取付台13Aとについては、操作部材11Aの90度の回転操作によって取付台13Aが第1位置と第2位置との間をスライドするように構成する一方、操作部材11Bと取付台13Bとについては、操作部材11Bの270度の回転操作によって取付台13Bが第2位置と第3位置との間をスライドするように構成する等、操作部材毎に取付台の移動に係る回転操作角度を異ならせるように構成しても何ら問題はない。
【0031】
さらにまた、上記実施形態では、各螺合部に2つのネジ孔を設けているが、各螺合部の前後長さを短くする等して各螺合部に1つのネジ孔しか設けないという構成を採用することも可能である。
またさらに、上記実施形態では、各操作部材の上端面に矢印表示を設けているが、矢印表示に代えて点表示等の表示部を偏心位置に設け、当該表示部が回転方向でどこに位置にしているかにもとづいて操作部材の回転姿勢、ひいては取付台の位置を把握可能に構成してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、各操作部材において取付台の移動に必要な箇所にのみネジ部を設けているが、各操作部材の上端から下端にかけて全てネジ部とすることも可能である。
加えて、操作部材における上下方向での中央部分に径方向外側へ突出する鍔片を設け、取付台13Aの第2位置を超えての下方への移動や、取付台13Bの第2位置を超えての上方への移動を規制するように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1・・回路遮断器、2・・本体ケース、4・・電源側端子、10A・・端子金具(第1端子金具)、10B・・端子金具(第2端子金具)、11A・・操作部材(第1操作部材)、11B・・操作部材(第2操作部材)、13A・・取付台(第1取付台)、13B・・取付台(第2取付台)、14A・・螺合部(第1螺合部)、14B・・螺合部(第2螺合部)、17A・・ネジ部(第1のネジ部)、17B・・ネジ部(第2のネジ部)、18A、18B・・操作面、19A・・矢印表示(第1矢印表示)、19B・・矢印表示(第2矢印表示)、22A・・操作窓(第1操作窓)、22B・・操作窓(第2操作窓)、P1・・上側の端子口、P2・・中央の端子口、P3・・下側の端子口。
図1
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図4
図5
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図7