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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 14/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
F24C14/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020121017
(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公開番号】P2022018137
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】横山 竜也
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138571(JP,A)
【文献】特開2005-238030(JP,A)
【文献】特開2005-334343(JP,A)
【文献】特開2017-150782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/36
A47L 15/00-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫の底部に設けた排水口と、
前記調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、
前記排水口と前記洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、
前記洗浄水通路に設けられて前記洗浄水を一時的に溜めるタンクと、
前記タンク内の洗浄水を前記洗浄ノズルに送出するポンプと、
前記対流ファンと前記ポンプの作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記ポンプを作動させることによって前記タンク内の洗浄水を前記洗浄ノズルに送出して前記洗浄ノズルから前記調理庫内に噴射させ、噴射させた洗浄水を前記対流ファンを作動させることによって対流する空気により前記調理庫内に飛散させ、飛散させた洗浄水を前記排水口から前記タンクに戻すようにし、前記タンクとの間を循環する洗浄水によって前記調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した加熱調理器であって、
前記制御装置は、前記洗浄プログラムを実行しているときに、前記対流ファンを所定時間毎に正転と逆転とで交互に回転方向を変えるように制御しており、前記対流ファンの回転方向を変えるタイミングで前記ポンプの作動を一時的に停止させるように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記タンク内の水位を検出する水位センサを設け、
前記制御装置は、前記対流ファンの回転方向を変えるタイミングで前記ポンプを一時的に停止させた後で、前記水位センサにより前記ポンプに空気が流入しない水位が検出されると前記ポンプを再び作動させるように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関し、特に、調理庫の洗浄機能付きの加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置と、ヒータと対流ファンと蒸気発生装置の作動を制御する制御装置とを備えている。この加熱調理器の制御装置は食材を自動で加熱調理するための調理プログラムを備えており、制御装置により調理プログラムを実行したときには、調理庫内の空気はヒータと対流ファンとの作動によって熱風となって対流するとともに、対流する熱風には蒸気発生装置の作動によって蒸気が供給され、調理庫内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0003】
調理庫内で食材を加熱調理すると、食材に含まれる油分が対流する熱風とともに調理庫内を飛散し、油分が調理庫の周壁に付着することになる。この種の加熱調理器では調理庫内を常に清浄に管理する必要があり、調理庫を例えば使用した日毎に洗浄することが衛生的に好ましい。この加熱調理器は、調理庫内を自動で洗浄することができるように、調理庫の天井部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、調理庫の底部に設けた排水口を洗浄ノズルに接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を一時的に溜めるタンクと、タンク内の洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプとを備えている。
【0004】
この加熱調理器の制御装置は調理庫内を自動で洗浄する洗浄プログラムを有しており、制御装置により洗浄プログラムを実行したときには、タンク内の洗浄水はポンプの作動によって洗浄ノズルに送出され、送出された洗浄水は洗浄ノズルから調理庫内に噴射され、噴射された洗浄水はヒータと対流ファンとの作動によって対流する熱風により高温の洗浄水に加熱された状態で調理庫内に飛散し、飛散した洗浄水は排水口からタンクに戻り、調理庫内はタンクとの間を循環する高温の洗浄水によって洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-138618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の加熱調理器においては、洗浄プログラムを実行したときに、洗浄ノズルから調理庫内に噴射された洗浄水はヒータと対流ファンとの作動によって対流する熱風により加熱されて高温の洗浄水となって調理庫内を飛散している。このとき、対流ファンを所定時間毎に正転と逆転とで交互に回転方向を変えるように制御すると、洗浄水は周期的に変わる調理庫内の空気の流れによって調理庫内の隅々まで飛散することになる。
【0007】
また、洗浄プログラムを実行しているときに、洗浄ノズルから噴射された洗浄水は対流ファンによって調理庫内の隅々まで飛散した後で排水口から再びタンクに戻るが、調理庫内を飛散した洗浄水は対流ファンによって対流する空気の流れにより渦を巻きながら排水口を通ってタンクに戻されるために一時的に調理庫の底部に溜まることになる。対流ファンの回転方向を変えるときに、対流ファンを一時的に停止させると、調理庫内の底部の洗浄水の流れが変わり、調理庫内に残る洗浄水の量が一時的に増加し、タンクに残る洗浄水の量が一時的に低下する。この状態で、ポンプを継続して作動させていると、ポンプが吸引するタンクの洗浄水に空気が含まれるようになり、ポンプが空気を含んだ洗浄水を吸引する所謂エア噛みが発生するおそれがあった。本発明は、加熱調理器の調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを実行したときに、ポンプが洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みが発生しにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫の底部に設けた排水口と、調理庫の天井部に設けられて洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、排水口と洗浄ノズルとを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に設けられて洗浄水を一時的に溜めるタンクと、タンク内の洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプと、対流ファンとポンプの作動を制御する制御装置とを備え、制御装置は、ポンプを作動させることによってタンク内の洗浄水を洗浄ノズルに送出して洗浄ノズルから調理庫内に噴射させ、噴射させた洗浄水を対流ファンを作動させることによって対流する空気により調理庫内に飛散させ、飛散させた洗浄水を排水口からタンクに戻すようにし、タンクとの間を循環する洗浄水によって調理庫内を洗浄する洗浄プログラムを有した調理庫の洗浄機能付きの加熱調理器であって、制御装置は、洗浄プログラムを実行しているときに、対流ファンを所定時間毎に正転と逆転とで交互に回転方向を変えるように制御しており、対流ファンの回転方向を変えるタイミングでポンプの作動を一時的に停止させるように制御したことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、洗浄プログラムを実行しているときに、対流ファンを所定時間毎に正転と逆転とで交互に回転方向を変えるように制御しており、洗浄ノズルから噴射される洗浄水は所定時間毎に正転と逆転とで交互に回転方向が変わって回転する対流ファンによって対流する空気により調理庫内の隅々まで飛散するようになる。調理庫内に飛散した洗浄水は対流する空気の流れによって調理庫の底部で渦を巻きながら排水口に流入するので、調理庫内の底部の洗浄水は渦を巻くときに遠心力が付与され、調理庫の底部に一時的に洗浄水が溜まることになる。対流ファンの回転方向を変えるときには、対流ファンの作動を一時的に停止させることになり、調理庫の底部にて渦を巻きながら排水口に流入する洗浄水の流れも変わる。このとき、調理庫の底部に残る洗浄水は流れが変わることによって一時的に増え、その結果、タンクに戻る洗浄水の量が減ることになり、この状態でタンク内の洗浄水をポンプにより洗浄ノズルに送出しようとすると、ポンプが洗浄水とともに空気を吸引するおそれがある。これに対し、対流ファンの回転方向を変えるタイミングでポンプの作動を一時的に停止させるように制御しているので、ポンプはタンクに戻る洗浄水の量が減っているときに一時的に作動停止するので、ポンプが洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みが発生するのを防ぐことができる。
【0010】
上記のように構成した加熱調理器においては、タンクにはタンク内の水位を検出する水位センサを設け、制御装置は、対流ファンの回転方向を変えるタイミングでポンプを一時的に停止させた後で、水位センサによりポンプに空気が流入しない水位が検出されるとポンプを再び作動させるように制御するのが好ましい。このようにしたときには、タンク内の水位がポンプに空気が流入しない水位となってから、ポンプを再び作動させるように制御しているので、ポンプが洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みを確実に発生させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態とした正面図である。
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図4】A-A断面図である。
図5】仕切板と支持フレームとを取り外したときのA-A断面図である。
図6】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
図7】加熱調理器の概略図である。
図8】制御装置のブロック図である。
図9】第1洗浄プログラムの制御を示すフローチャートである。
図10】蒸気予洗浄運転の制御を示すフローチャートである。
図11】洗浄運転の制御を示すフローチャートである。
図12】乾燥運転の制御を示すフローチャートである。
図13】タンクに水位センサを設けた実施形態の図7に相当する概略図である。
図14】他の実施形態を示す排水目皿の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。また、この加熱調理器は調理庫内を洗浄する調理庫の洗浄機能付きの加熱調理器である。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。図1及び図2に示したように、調理庫20の前面部には扉開閉検知器13aが設けられており、扉開閉検知器13aによって扉13が開口部20aを閉塞している(開放している)ことが検知される。
【0013】
図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。調理庫20の左右方向の中央部より左側には食材収容室21と熱風生成室22を仕切る仕切板23が設けられており、仕切板23は食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っている。仕切板23は熱風生成室22に配設された対流ファン26の吸込口側を覆うファンカバーの機能を有している。図4に示したように、仕切板23には多数の吸込口23aが形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口23aを通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に空気が通過可能な空間が形成されるように取り付けられることで、仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間には空気が通過する通風路23bが形成されており、熱風生成室22の空気は通風路23bを通って食材収容室21に送られる。
【0014】
図2図4に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。この実施形態の支持フレーム24は、トレイを上下に10段で支持するものであり、金属製線材(金属製ワイヤ材)を曲げ加工したものである。支持フレーム24は、前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部を支持するレール24bとを備えている。
【0015】
図3及び図5に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン26は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ25の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン26は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口23aを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された空気は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ25とともに対流ファン26を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン26の外側に配置されるヒータ25に吹き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。
【0016】
図5に示したように、調理庫20の熱風生成室22には温度センサ27が設けられている。温度センサ27は、調理庫20内の温度を検出するものであり、調理庫20の左側壁にてヒータ25の外側に配設されている。
【0017】
図6に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、機械室12に設けたタンク14の上側に立設している。なお、タンク14は、蒸気発生装置30から排水を流すのに用いられるだけでなく、調理庫20から排水を流すのに用いられ、調理庫20から排出される空気の温度を検出することで調理庫20の蒸気量を測定するにも用いられるとともに、後述する洗浄プログラムを実行するときに洗浄水を貯えるのに用いられている。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は図5に示した調理庫20の左側壁に形成された蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0018】
図3及び図6に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に外気を導入する外気導入管34が設けられている。外気導入管34は、主として調理庫20内で加熱調理をする際に、調理庫20内に外気を導入するようにして、調理庫20内の温度及び湿度を調節するものである。図3及び図5に示したように、調理庫20の左側壁には対流ファン26の背面側(左側)に外気導入口20cが形成されており、外気導入管34はこの外気導入口20cに接続されている。調理庫20の左側壁と対流ファン26との間は対流ファン26を作動させたときに負圧化され、調理庫20には外気導入管34を通って外気が導入可能となる。また、外気導入管34には外気導入弁35が介装されており、外気は外気導入弁35の開度に応じた量で外気導入管34を通って調理庫20内に導入される。
【0019】
図7に示したように、調理庫20の底壁(底部)には排水口20dが形成されており、調理庫20の天井部には洗浄ノズル40が設けられており、排水口20dと洗浄ノズル40とは洗浄水通路によって接続されている。排水口20dには洗浄水等の液体を通過させるとともに落下した食材等の固形物が通過するのを防ぐ排水目皿15が設けられており、調理庫20の洗浄水等の液体は排水目皿15によってタンク14に通過可能となっている。図7に示したように、排水口20dは第1排水管16によってタンク14に接続されており、調理庫20内の洗浄水は排水口20dから第1排水管16を通ってタンク14に送られる。タンク14と洗浄ノズル40とは洗浄水送出管41によって接続されており、タンク14内の洗浄水は洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。洗浄水送出管41にはポンプ42が介装されており、調理庫20からタンク14内に送られた洗浄水はポンプ42によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られる。この実施形態の洗浄水通路は、第1排水管16と洗浄水送出管41とにより構成されているが、これに限られるものではなく、調理庫20の排水口20dと洗浄ノズル40とを接続するものであればよい。
【0020】
図7に示したように、タンク14には水道等の給水源から洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管43が接続されており、給水管43には給水弁44と流量計45が介装されている。給水源の水は給水弁44を開放させることによって給水管43を通ってタンク14内に供給される。給水弁44を開放したときに給水管43を通過する水の流量は流量計45によって計測される。
【0021】
洗浄水送出管41には洗浄水が流れる方向のポンプ42より上流側に第2排水管17が接続されており、第2排水管17には排水弁18が介装されている。タンク14内の洗浄水を含めた水は排水弁18を開放することによって第2排水管17を通って排出される。また、洗浄水をタンク14と調理庫20とを循環させるときには、排水弁18を閉止させた状態で給水弁44を流量計45の検出流量に応じた開放時間で開放させると、タンク14には所定量の洗浄水が貯えられる。タンク14に貯えれた洗浄水はポンプ42の作動によって洗浄水送出管41を通って洗浄ノズル40に送られ、送られた洗浄水は洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射される。調理庫20内に噴射された洗浄水は調理庫20の底壁の排水口20dから第1排水管16を通ってタンク14に戻される。このように、洗浄水はポンプ42の作動によってタンク14と調理庫20とを循環する。
【0022】
図8に示したように、加熱調理器10は制御装置50を備えており、制御装置50は、扉開閉検知器13a、排水弁18、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27、蒸気発生装置30、外気導入弁35、ポンプ42、給水弁44及び流量計45に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。また、制御装置50は、対流ファン26のモータに駆動電流を供給するためのインバータ回路を備え、インバータ回路の駆動制御をすることで対流ファン26の回転方向を正転と逆転とで変更可能としている。
【0023】
制御装置50は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理するための調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0024】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置30から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。
【0025】
制御装置50は、ROMに調理庫20内を洗浄水により自動で洗浄する洗浄プログラムを備えている。洗浄プログラムは調理庫20内を蒸気によって予め洗浄する蒸気予洗浄運転と、調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転とを有した第1洗浄プログラムと、蒸気予洗浄運転を有さずに調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転を有した第2洗浄プログラムを備え、第1及び第2洗浄プログラムを選択可能としている。
【0026】
第1洗浄プログラムの蒸気予洗浄運転は、蒸気発生装置30により調理庫20内に蒸気を供給して調理庫20内を蒸気によって予め洗浄するものである。蒸気予洗浄運転により、調理庫20内に付着している油分の汚れ(油汚れ)は、蒸気によって浮きあがるようになって、蒸気予洗浄運転後の洗浄運転による高温の洗浄水によって洗い流されやすくなる。
【0027】
第1及び第2洗浄プログラムの洗浄運転は、ポンプ42を作動させることによってタンク14内の洗浄水を洗浄ノズル40に送出し、送出した洗浄水を洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射させ、噴射させた洗浄水をヒータ25と対流ファン26を作動させることによって対流する熱風によって加熱した状態で調理庫20内に飛散させ、飛散させた高温の洗浄水を排水口20dからタンク14に戻すようにし、タンク14との間を循環する高温の洗浄水によって調理庫20内を洗浄する処理である。第1及び第2洗浄プログラムは、この実施形態では4回の洗浄運転を実行するように制御されており、1回目の洗浄運転は洗剤を含んだ高温の洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄するものであり、2回目以後の洗浄運転は高温の洗浄を水を調理庫20内に飛散させて調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎ洗浄をするものである。
【0028】
洗浄運転では、制御装置50は、調理庫20内の温度が洗浄に適した温度の一例として90℃となるようにヒータ25の作動を制御している。また、洗浄運転では、制御装置50は、対流ファン26を所定時間として2分毎に回転方向を正転と逆転とで交互に変更するように制御しており、対流ファン26の回転方向を変えるタイミングでポンプ42の作動を一時的に10秒間停止させるように制御している。なお、対流ファンの26の回転方向を変更する時間として2分毎と、対流ファン26の回転方向を変えるタイミングでポンプ42の作動を停止させる時間として10秒間と設定しているが、これに限られるものではなく、洗浄に最適なタイミングとなるように、対流ファン26の回転方向を変更する時間とポンプ42の作動を停止させる時間を他の時間で任意に設定したものであってもよい。
【0029】
次に、第1洗浄プログラムの制御を図9を参照して説明する。調理庫20内を洗浄するときには、調理庫20の排水口20dに設けた排水目皿15の上側にタブレット形(高さの低い円柱形)の洗剤を置いた状態で洗浄プログラムを実行させる。食材の加熱調理後に洗浄プログラムを実行させるときがあり、食材の加熱調理後に調理庫20内に洗浄水を飛散させると、調理庫20を構成する周壁が洗浄水によって急激に冷やされ、調理庫20の周壁が変形するおそれがある。このため、制御装置50は、ステップ101にて、調理庫20内の温度を検出する温度センサ27の検出温度が洗浄好適温度である50℃より高いか否かを判定する。
【0030】
調理庫20内の温度が洗浄好適温度である50℃以下であれば、制御装置50はステップ101にてNOと判定して後述するステップ106(ステップ200)に進める。これに対し、調理庫20内の温度が洗浄好適温度である50℃より高ければ、制御装置50はステップ101にてYESと判定して、洗浄好適温度として50℃以下となるまで冷却運転を実行する。制御装置50は、ステップ101のYESの判定後にハウジング11の前面の操作パネルに扉を開放するように促す通知を表示させ、ステップ102にて、扉開閉検知器13aにより扉13が開放されたか否かを判定し、扉開閉検知器13aにより扉13が開放されたことが検知されなければステップ102に戻す。
【0031】
制御装置50は、ステップ102にて扉開閉検知器13aにより扉13が開放されるまで繰り返しNOと判定しており、扉開閉検知器13aにより扉13が開放されたことが検知されるとステップ102にてYESと判定してステップ103に進める。制御装置50は、ステップ103にて、対流ファン26を作動させるとともに外気導入弁35を開放させる。ハウジング11の外側の空気は外気導入管34を通って調理庫20内に負圧吸引され、調理庫20内の温度は導入される外気によって徐々に低下する。制御装置50は、ステップ104にて、温度センサ27の検出温度が洗浄好適温度である50℃以下になったか否かを判定し、調理庫20内の温度が洗浄好適温度以下となっていなければステップ104にてNOと判定してステップ103に戻す。
【0032】
制御装置50は調理庫20内の温度が50℃以下となるまでステップ103の処理とステップ104の判定処理でのNOの判定を繰り返し実行しており、温度センサ27の検出温度が50℃以下となると、制御装置50は、ステップ104にてYESと判定してステップ105に進める。制御装置50はステップ105にて対流ファン26の作動を停止させるとともに外気導入弁35を閉止させ、ステップ106(ステップ200)の蒸気予洗浄運転に進める。
【0033】
ステップ106(ステップ200)に示した蒸気予洗浄運転は、調理庫20内を洗剤を含んだ洗浄運転を実行する前に、調理庫20内に蒸気を供給するようにして主として油汚れを浮かすための処理である。蒸気予洗浄運転は、調理庫20内の温度が油分の汚れを浮かすことのできる蒸気洗浄温度の一例として100℃となるように、温度センサ27の検出温度に基づいて蒸気発生装置30の作動を制御するものである。この実施形態ではステップ105(ステップ200)の蒸気予洗浄運転を30分間実行するように制御している。なお、蒸気予洗浄運転の実行時間は例えば14~40分の間で設定可能である。
【0034】
図10に示したように、制御装置50は、ステップ201にて、蒸気発生装置30を作動させると、調理庫20内には蒸気発生装置30から蒸気が供給される。制御装置50は、ステップ202にて、蒸気予洗浄運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が30分経過したか否かを判定し、タイマの計時時間が30分経過するまでNOと判定してステップ201に戻す。制御装置50は、蒸気予洗浄運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が30分経過すると、ステップ202にてYESと判定してステップ203に進める。制御装置50は、ステップ203にて、蒸気発生装置30の作動を停止させ、ステップ204の排水処理に進める。タンク14にはステップ201~202の処理によって調理庫20内に生じた結露が溜まっており、制御装置50は、ステップ204にて、排水処理として排水弁18を2.5分間開放させると、タンク14に溜まった水は第2排水管17を通って外側に排出される。なお、排水弁18は2.5分間後に閉止されるように制御される。
【0035】
図9に示したように、制御装置50は、ステップ106(ステップ200)による蒸気予洗浄運転を終えると、ステップ107(ステップ300)の洗浄運転を実行する。ステップ107(ステップ300)の洗浄運転は、調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄するものである。ステップ107(ステップ300)の洗浄運転は4回実行するように制御されており、1回目の洗浄運転は、排水目皿15の上側に置いた洗剤が洗浄水に溶けるので、洗剤を含んだ洗浄水により調理庫20内を洗浄するものであり、2回目以後の洗浄運転は、1回目の洗浄運転によって調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎの洗浄をするものである。この実施形態では、ステップ106(ステップ300)の洗浄運転を30分間実行するように制御している。
【0036】
図11に示したように、ステップ300(ステップ107)の洗浄運転では、制御装置50は、先ずステップ301にて給水処理を実行する。給水処理では、制御装置50は、流量計45により計測される流量に応じた開放時間で給水弁44を開放させると、タンク14には洗浄運転に必要となる量の洗浄水が貯えられる。制御装置50は、ステップ302にて、ヒータ25と対流ファン26とポンプ42を作動させ、洗浄水の温度が洗浄に適した温度である90℃となるようにヒータ25の作動を制御しながら、対流ファン26の作動時間を計時するタイマにより計時を開始する。タンク14内の洗浄水はポンプ42の作動によって洗浄ノズル40に送出され、洗浄ノズル40に送出された洗浄水は調理庫20内に噴出され、調理庫20内に噴出された洗浄水は対流ファン26により調理庫20内を飛散し、調理庫20内は飛散する洗浄水によって洗浄される。
【0037】
制御装置50は、この洗浄運転で洗浄水の温度が洗浄に適した温度である90℃となるようにヒータ25の作動を制御しているなかで、対流ファン26の作動時間を計時するタイマの計時時間が2分経過すると、ステップ303にてYESと判定してステップ304に進める。制御装置50は、ステップ304にて、対流ファン26の作動時間を計時するタイマをリセットして、新たに対流ファン26の作動時間をタイマにより計時する。制御装置50は、ステップ304の処理後のステップ305にて、対流ファン26を一時的に停止させるとともに、対流ファン26の回転方向を逆向き、すなわち、時計回りの正転から反時計回りの逆転、または、反時計回りの逆転から時計回りの正転に変更する。これと同時に、制御装置50は、ポンプ42の作動を一時的として10秒間停止させる。
【0038】
対流ファン26を作動させているときに、調理庫20内にて一時的に底部に溜まる洗浄水は対流する熱風により渦を巻きながら排水口20dに流入している。対流ファン26の回転方向を逆向きに変更するときに、対流ファン26を一時的に停止させると、調理庫20内の底部の洗浄水の流れが変わり、調理庫20内の底部の洗浄水の一時的に増え、タンク14の洗浄水が一時的に減る。対流ファン26の回転方向を逆向きに変更したときに、ポンプ42を継続して作動させると、ポンプ42がタンク14内の減少した洗浄水を空気とともに吸い込むおそれがあり、ポンプ42が洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みが発生するおそれがある。このため、制御装置50は、対流ファン26を一時的に停止させて回転方向を逆向きに変更したときに、ポンプ42の作動を一時的として10秒間停止させることで、ポンプ42が一時的に水位が低下したタンク14から洗浄水を吸引しないようにして、ポンプ42が洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みを確実に発生させないようにすることができる。
【0039】
制御装置50は、ステップ305の処理後のステップ306にて、洗浄運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が45分経過したか否かを判定し、洗浄運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が30分経過していなければNOと判定してステップ303に戻す。
【0040】
制御装置50は、この洗浄運転で温度センサ27により検出される検出温度が洗浄に適した温度である90℃となるようにヒータ25の作動を制御するとともに、ステップ303~305にて、対流ファン26を所定時間として2分毎に回転方向を変え、対流ファン26の回転方向を変えるときにポンプ42の作動を一時的として10秒間停止させるように制御しているなかで、洗浄運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が45分経過すると、制御装置50は、ステップ306にてYESと判定してステップ307に進める。
【0041】
制御装置50は、ステップ307にて、ヒータ25と対流ファン26とポンプ42の作動を停止させるように制御する。制御装置50は、ステップ307の処理後のステップ308の排水処理では、排水弁18を2.5分間開放させる。タンク14内の洗浄水は第2排水管17を通って外側に排出され、排水弁18は2.5分間後に閉止される。
【0042】
図9に示したように、ステップ107(ステップ300)の洗浄運転後に、制御装置50はステップ108にて洗浄運転を4回実行したか否か判定し、洗浄運転を4回実行していなければステップ108にてNOと判定してステップ107に戻して、上述したステップ107(ステップ300)の処理を再び実行する。2回目以後の洗浄運転は、1回目の洗浄運転によって調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎの洗浄をするものであり、濯ぎの洗浄運転の運転時間は8分間であるため、2回目以後の洗浄運転でのステップ310の判定処理では洗浄運転の運転時間が8分経過したか否かを判定している。洗剤を含んだ洗浄水による洗浄運転後に、濯ぎの洗浄運転を3回実行して洗剤を含んだ洗浄水による洗浄運転と濯ぎの洗浄運転とを合わせて4回実行すると、制御装置50はステップ108にてYESと判定して、ステップ109(ステップ400)の乾燥運転に進める。ステップ109(ステップ400)の乾燥運転は、ヒータ25の作動を制御した状態で対流ファン26を作動させることで、調理庫20内に残る洗浄水を蒸発させて、調理庫20内を乾燥させる処理である。この実施形態ではステップ109(ステップ400)の乾燥運転を40分間実行するように制御している。
【0043】
図12に示したように、ステップ109(ステップ400)の乾燥運転では、制御装置50は、ステップ401にてヒータ25と対流ファン26を作動させ、調理庫20内の温度が乾燥に適した温度である140℃となるようにヒータ25の作動を制御すると、調理庫20内の空気はヒータ25により加熱されながら対流ファン26によって食材収容室21と熱風生成室22とを循環する。制御装置50は、ステップ402にて、乾燥運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が40分経過したか否かを判定し、乾燥運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が40分経過していなければNOと判定してステップ401に戻す。
【0044】
制御装置50は、ステップ401の処理によって、調理庫20内の温度が乾燥に適した温度である140℃となるようにヒータ25の作動を制御しているなかで、乾燥運転の運転時間を計時するタイマの計時時間が40分経過すると、ステップ402にてYESと判定してステップ403に進める。制御装置50は、ステップ403にて、ヒータ25と対流ファン26の作動を停止させて乾燥運転を終了する。この乾燥運転の終了により、第1洗浄プログラムが終了する。なお、第2洗浄プログラムは、図9及び図10に示した第1洗浄プログラムのステップ106(ステップ200)の蒸気予洗浄運転を有していないだけであるので、詳細な説明については省略する。また、第1洗浄プログラムと第2洗浄プログラムの一方だけを備えたものであってもよい。さらに、蒸気予洗浄運転、洗浄運転及び乾燥運転の温度や時間等については、上述したものに限られるものではなく、調理庫20の大きさや汚れの具合等により任意に設定するようにしたものであってもよい。
【0045】
上記のように構成した加熱調理器10は、対流ファン26とポンプ42の作動を制御する制御装置50とを備え、制御装置50は、ポンプ42を作動させることによってタンク14内の洗浄水を洗浄ノズル40に送出し、送出した洗浄水を洗浄ノズル40から調理庫20内に噴射させ、噴射させた洗浄水を対流ファン26を作動させることによって対流する空気によって調理庫20内に飛散させ、飛散させた洗浄水を調理庫20の排水口20dからタンク14に戻すようにし、タンク14との間を循環する洗浄水によって調理庫20内を洗浄する洗浄プログラム(第1及び第2洗浄プログラムの洗浄運転)を有している。
【0046】
制御装置50は、各洗浄プログラムの洗浄運転を実行しているときに、対流ファン26を所定時間として2分毎に正転と逆転とで交互に回転方向を変えるように制御しており、洗浄ノズル40から噴射される洗浄水は正転と逆転とで交互に回転方向が変わる対流ファン26の空気の流れによって調理庫20内の隅々まで飛散するようになる。洗浄ノズル40から調理庫20内に洗浄水を噴射させているときに、対流ファン26による空気の流れによって、調理庫20の底部に一時的に溜まる洗浄水は渦を巻きながら排水口20dに流入している。対流ファン26の回転方向を変更するために、対流ファン26の作動を一時的に停止させると、調理庫20の底部の洗浄水の流れが変わり、調理庫20の底部に貯まる洗浄水が一時的に増え、その結果、タンク14内の洗浄水が一時的に減る。
【0047】
この状態で、ポンプ42を継続して作動させると、ポンプ42がタンク14から洗浄水とともに空気を吸引し、ポンプ42が洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みが発生するおそれがあった。この実施形態の各洗浄プログラムの洗浄運転では、制御装置50は、対流ファン26の回転方向を変えるタイミングでポンプ42の作動を一時的として10秒間停止させるように制御している。これによって、対流ファン26の回転方向を変えるタイミングで、調理庫20内の底部に溜まる洗浄水が対流ファン26を停止させることに起因して一時的に増え、タンク14に溜まる洗浄水が一時的に減少しても、ポンプ42が一時的として10秒間(10秒間は一例であり、これに限られるものではない)停止しているので、ポンプ42が洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みが発生するのを防ぐことができる。
【0048】
この実施形態では、制御装置50は、対流ファン26の回転方向を変えるタイミングでポンプ42の作動を一時的に停止させるように制御している。本発明はこれに限られるものではなく、図13に示したように、タンク14内に水位センサ14aを設け、制御装置50は、対流ファン26の回転方向を変えるタイミングでポンプ42を一時的に停止させた後で、水位センサ14aによりポンプ42に空気が流入しない水位が検出されると、ポンプ42を再び作動させるように制御してもよい。タンク14の水位がポンプ42に空気が流入しない水位となってから、ポンプ42を再び作動させるように制御しているので、ポンプ42が洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みを確実に発生させないようにすることができる。
【0049】
また、洗浄ノズル40から洗浄水を噴射するとともに対流ファン26を作動させたときには、調理庫20の底部に溜まる洗浄水は渦を巻きながら中心部の排水口20dに流入する。このとき、調理庫20の底部に溜まる洗浄水は渦の水流の遠心力によって調理庫20の底部の全体に広がるため、タンク14の洗浄水が減少する傾向にある。調理庫20の底部で洗浄水が渦を巻かないようにすれば、調理庫20の底部に溜まる洗浄水が全体に広がるのを防ぎ、タンク14の洗浄水が減少するのを防ぐことができる。図14に示したように、排水口20dに着脱可能に設けた排水目皿15の上部に3つのタブレット形(高さの低い円柱形)の固形洗剤が起立した状態で水平方向に並べて置くことができるガイド15aを設けるようにしたときには、調理庫20の底部の洗浄水はガイド15aに置いた3つの固形洗剤によって渦が巻くような流れが遮られ、調理庫20の底部で洗浄水が渦を巻くのを防ぐことができる。このように、調理庫20の底部の排水目皿15を用いて、調理庫20の底部の洗浄水が渦を巻かないようにすれば、タンク14の洗浄水の量が少ないことに起因して、ポンプ42が洗浄水とともに空気を吸引する所謂エア噛みを発生しにくくすることができる。なお、ガイド15aは平面視で直線状に延びる漢字の「一」字形状としているが、これに限られるものではなく、ガイド15aを平面視で漢字の「十」字形状として5つの固形洗剤を置けるようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…加熱調理器、14…タンク、14a…水位センサ、20…調理庫、20d…排水口、26…対流ファン、40…洗浄ノズル、42…ポンプ、16,41…洗浄水通路、50…制御装置。
図1
図2
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