(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 5/187 20180101AFI20240517BHJP
F25C 1/147 20180101ALI20240517BHJP
【FI】
F25C5/187 A
F25C1/147 B
F25C1/147 H
F25C1/147 M
F25C1/147 K
F25C1/147 L
(21)【出願番号】P 2020137334
(22)【出願日】2020-08-17
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-243327(JP,A)
【文献】特開2006-314947(JP,A)
【文献】特開2017-104777(JP,A)
【文献】実開昭62-170156(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 5/187
F25C 1/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷を製造する製氷部と、前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、前記製氷部および前記貯氷部に水を給排水するための給排水機構と、を備えて構成された製氷機であって、
前記貯氷部は、
箱状をなし、内部に氷を収容するためのストッカと、
前記給排水機構に接続されるとともに前記ストッカの上方に備えられ、前記ストッカ内に水を散水するための散水ノズルと、
を備えており、
前記散水ノズルは、
管状をなし、前記給排水機構から供給される水を流通させる軸管と、
中空構造を有するとともに、前記軸管がその中空空間を貫くように前記軸管に対して回転自在に外嵌されている回転部と、
を含んで構成され、
前記軸管は、前記回転部の前記中空空間に水を排出するための横孔を有しており、
前記回転部は、当該回転部の回転半径と交わる方向において、前記中空空間と外部とを連通するノズル孔を備えており、
前記ノズル孔は、少なくとも、
前記回転部のうち、前記軸管の前記給排水機構に接続される側である上流側において上方に向けて前記回転部を貫通する上ノズル孔と、
前記回転部のうち、前記上流側とは反対側の下流側において下方に向けて前記回転部を貫通する下ノズル孔と、
を有しており、
当該散水ノズルは、前記給排水機構から供給される水の圧力に対する反力によって、前記回転部が前記軸管を軸として回転しつつ、前記ノズル孔から少なくとも上方と下方とに向けて水を噴出する構成を備えて
おり、
前記回転部は、略中空円柱形をなす部分を少なくとも含み、
前記散水ノズルは、前記軸管において前記回転部よりも上流側にフランジを備えており、
前記上ノズル孔は、上下方向に沿って前記回転部を貫通しており、
前記フランジは、前記回転部に向う面が、前記軸管の管軸から離れるにつれて上流側に後退する傾斜面をなしており、
前記上ノズル孔から噴出された水は、前記フランジの前記傾斜面に沿って噴出方向が変化される構成を備えている、製氷機。
【請求項2】
前記回転部は前記軸管の管軸について回転対称性を有する外形をなすとともに、複数の前記ノズル孔を有しており、
複数の前記ノズル孔はそれぞれ、前記管軸を含む面に対して直交する一の直交面であって、前記管軸を含む面によって前記直交面を二分したときの一方の半面において、前記中空空間と外部とを連通するように前記回転部に形成されている、請求項1に記載の製氷機。
【請求項3】
前記管軸を含む面は、前記管軸を中心として周方向を(360/n)度(nは2以上の自然数である)ずつに分けるように半径方向に延びるn個の面であって、
前記直交面は、前記管軸からの距離が互いに等しくなるように設定されるとともに、
複数の前記ノズル孔は、
前記管軸を含む面によって前記直交面をそれぞれ二つに分けたときの周方向について同じ側の半面において、前記中空空間と外部とを連通するように前記回転部に形成されている、請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
n個の前記直交面のそれぞれにおいて、少なくとも一つの前記ノズル孔の位置あるいはノズル軸と前記管軸とのなす角度が、前記直交面のそれぞれ間で互いに異なるように構成されている、請求項3に記載の製氷機。
【請求項5】
前記回転部は、前記給排水機構に接続される側である上流側において略中空円柱形をなしているとともに、前記上流側とは反対側の下流側において略中空半球形をなすように構成されている、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記散水ノズルは、前記回転部よりも下流側に台形リングを備えており、
前記台形リングは、前記回転部に向う面が、前記軸管の管軸から離れるにつれて下流側に後退する傾斜面をなしており、
前記下ノズル孔から噴出された水は、前記台形リングの前記傾斜面に沿って噴出方向が変化される構成を備えている、請求項1から
請求項5のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項7】
氷を製造する製氷部と、前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、前記製氷部および前記貯氷部に水を給排水するための給排水機構と、を備えて構成された製氷機であって、
前記貯氷部は、
箱状をなし、内部に氷を収容するためのストッカと、
前記給排水機構に接続されるとともに前記ストッカの上方に備えられ、前記ストッカ内に水を散水するための散水ノズルと、
を備えており、
前記散水ノズルは、
管状をなし、前記給排水機構から供給される水を流通させる軸管と、
中空構造を有するとともに、前記軸管がその中空空間を貫くように前記軸管に対して回転自在に外嵌されている回転部と、
を含んで構成され、
前記軸管は、前記回転部の前記中空空間に水を排出するための横孔を有しており、
前記回転部は、当該回転部の回転半径と交わる方向において、前記中空空間と外部とを連通するノズル孔を備えており、
前記ノズル孔は、少なくとも、
前記回転部のうち、前記軸管の前記給排水機構に接続される側である上流側において上方に向けて前記回転部を貫通する上ノズル孔と、
前記回転部のうち、前記上流側とは反対側の下流側において下方に向けて前記回転部を貫通する下ノズル孔と、
を有しており、
当該散水ノズルは、前記給排水機構から供給される水の圧力に対する反力によって、前記回転部が前記軸管を軸として回転しつつ、前記ノズル孔から少なくとも上方と下方とに向けて水を噴出する構成を備えており、
前記貯氷部は、前記製氷部に対して上方に配されているとともに、前記貯氷部の上方において、製造された氷の満氷状態を検知するための検知板を備えており、
前記検知板には、前記散水ノズルとの干渉を避けるための散水ノズル除けの孔部が設けられており、
前記散水ノズルは、前記検知板の前記孔部に嵌るように配されているとともに、前記上ノズル孔は、前記検知板よりも上方において前記回転部の表面に開口されており、
前記散水ノズルから噴出された水によって前記検知板の上面が洗浄される構成を備えている、製氷機。
【請求項8】
氷を製造する製氷部と、前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、前記製氷部および前記貯氷部に水を給排水するための給排水機構と、を備えて構成された製氷機であって、
前記貯氷部は、
箱状をなし、内部に氷を収容するためのストッカと、
前記給排水機構に接続されるとともに前記ストッカの上方に備えられ、前記ストッカ内に水を散水するための散水ノズルと、
を備えており、
前記散水ノズルは、
管状をなし、前記給排水機構から供給される水を流通させる軸管と、
中空構造を有するとともに、前記軸管がその中空空間を貫くように前記軸管に対して回転自在に外嵌されている回転部と、
を含んで構成され、
前記軸管は、前記回転部の前記中空空間に水を排出するための横孔を有しており、
前記回転部は、当該回転部の回転半径と交わる方向において、前記中空空間と外部とを連通するノズル孔を備えており、
前記ノズル孔は、少なくとも、
前記回転部のうち、前記軸管の前記給排水機構に接続される側である上流側において上方に向けて前記回転部を貫通する上ノズル孔と、
前記回転部のうち、前記上流側とは反対側の下流側において下方に向けて前記回転部を貫通する下ノズル孔と、
を有しており、
当該散水ノズルは、前記給排水機構から供給される水の圧力に対する反力によって、前記回転部が前記軸管を軸として回転しつつ、前記ノズル孔から少なくとも上方と下方とに向けて水を噴出する構成を備えており、
前記貯氷部は、前記製氷部に対して上方に配されているとともに、その下方において、前記製氷部から送られる氷を前記貯氷部の底部から離間した状態で受けるスノコ部を備えており、
前記底部には、前記給排水機構に接続されるとともに前記スノコ部の下面に向けて水を散水するための第2散水ノズルが備えられており、
前記第2散水ノズルから水を噴出させることで、前記スノコ部の下面が洗浄される構成を備えている、製氷機。
【請求項9】
前記第2散水ノズルは、
略筒状をなすノズル本体と、
前記ノズル本体の筒内部に挿通される軸部と、前記軸部の先端において前記ノズル本体の筒開口を閉塞することができる頭部と、を備えてなる弁体と、
前記ノズル本体に固定され、前記弁体を前記ノズル本体の前記筒開口を閉塞する方向に付勢する弾性体と、を備え、
前記ノズル本体は、前記弁体よりも前記ストッカの壁部の側において立ち上がる側壁部を備えており、
当該第2散水ノズルは、前記給排水機構から前記ノズル本体に供給される水の圧力によって前記弁体が前記弾性体による付勢力に抗して前記筒開口を開口したときに、前記弁体に対して前記側壁部に噴出される水を前記スノコ部の下面に向けて指向させる構成を備えている、
請求項8に記載の製氷機。
【請求項10】
前記第2散水ノズルは、
管状をなし、前記給排水機構から供給される水を上方に向けて噴出させる本体側ノズル孔を有するノズル本体と、
前記本体側ノズル孔よりも前記ストッカの壁部の側において前記ノズル本体から上方に向けて延設された側壁部と、を備えており、
前記側壁部は、
前記本体側ノズル孔を上方において覆いつつ、前記壁部から離れるにつれて上方に向けて傾斜する指向壁部を備えるとともに、
前記指向壁部中に形成され、上下方向に沿って前記指向壁部を貫通する壁部側ノズル孔を備えており、
前記壁部側ノズル孔は、上下方向において前記本体側ノズル孔と一部が重なりつつ、前記本体側ノズル孔の孔軸よりも、当該壁部側ノズル孔の孔軸が前記壁部の側にずれている、
請求項8に記載の製氷機。
【請求項11】
前記回転部は、略中空球形をなしている、
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製氷機構と、製氷機構を冷却する冷凍装置と、製氷機構によって製氷された氷を貯える貯氷庫と、を備える製氷機が知られている。製氷機は高い断熱性を要するために分解し難い構造となっており、基本的には、専門のメンテナンススタッフによる分解および洗浄が行われている。その一方で、例えば特許文献1には、製氷機の貯氷庫の蓋の内側に、貯氷庫の内壁に沿って溝状の散水室が凹み形成された散水室形成板を設置し、この散水室の底部に内壁を指向する複数の噴出口を形成しておくとともに、散水室に水道水を供給できるようにした構成が開示されている。この製氷機によると、散水室に水道水を供給することで、噴出口から内壁に向けて放射状に水が噴出され、貯氷庫の内壁および底面を洗い流すことができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、製氷機の種類によっては、貯氷庫の庫内やその上方に、アジテータや氷検知板、製氷機構からの氷排出路等といった様々な部材が備えられている。本発明者らの検討によると、製氷機に対し、貯氷庫の内壁の他、このような部材までも洗浄できる機能が備えることができれば有用である。しかしながら、貯氷庫に大掛かりな洗浄機構を導入することは、貯氷室における貯氷容量の減少を招くことに加え、貯氷室の断熱性を低下させることに直結するという背反がある。
【0005】
ここに開示される技術は、上記事情に鑑みて完成されたものであって、簡単な構成によって貯氷部の壁部の内側以外の部材についても洗浄することが可能な製氷機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、ここに開示される技術は、氷を製造する製氷部と、前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、前記製氷部および前記貯氷部に水を給排水するための給排水機構と、を備えて構成された製氷機を提供する。ここで前記貯氷部は、箱状をなし、内部に氷を収容するためのストッカと、前記給排水機構に接続されるとともに前記ストッカの上方に備えられ、前記ストッカ内に水を散水するための散水ノズルと、を備えている。また前記散水ノズルは、管状をなし、前記給排水機構から供給される水を流通させる軸管と、中空構造を有するとともに、前記軸管がその中空空間を貫くように前記軸管に対して回転自在に外嵌されている回転部と、を含んで構成され、前記軸管は、前記回転部の前記中空空間に水を排出するための横孔を有しており、前記回転部は、当該回転部の回転半径と交わる方向において、前記中空空間と外部とを連通するノズル孔を備えている。そして前記ノズル孔は、少なくとも、前記回転部のうち、前記軸管の前記給排水機構に接続される側である上流側において上方に向けて前記回転部を貫通する上ノズル孔と、前記回転部のうち、前記上流側とは反対側の下流側において下方に向けて前記回転部を貫通する下ノズル孔と、を有しており、当該散水ノズルは、前記給排水機構から供給される水の圧力に対する反力によって、前記回転部が前記軸管を軸として回転しつつ、前記ノズル孔から少なくとも上方と下方とに向けて水を噴出する構成を備えている。これにより、簡単な構成によって貯氷部の壁部の内側以外の部材についても洗浄することが可能な製氷機が提供される。
【0007】
上記製氷機の好適な一態様において、前記回転部は前記軸管の管軸について回転対称性を有する外形をなすとともに、複数の前記ノズル孔を有しており、複数の前記ノズル孔はそれぞれ、前記管軸を含む面に対して直交する一の直交面であって、前記管軸を含む面によって前記直交面を二分したときの一方の半面において、前記中空空間と外部とを連通するように前記回転部に形成されている。これにより、回転部を回転させやすくする構成が実現される。このことにより、一つの散水ノズルによって、ストッカ内の360度の方向に散水することができる。
【0008】
上記製氷機の好適な一態様において、前記管軸を含む面は、前記管軸を中心として周方向を(360/n)度(nは2以上の自然数である)ずつに分けるように半径方向に延びるn個の面であり、前記直交面は、前記管軸からの距離が互いに等しくなるように設定されている。そして複数の前記ノズル孔は、前記管軸を含む面によって前記直交面をそれぞれ二つに分けたときの周方向について同じ側の半面において、前記中空空間と外部とを連通するように前記回転部に形成されている。このような構成によると、水圧による反力が効率よく回転力へと変換されて、回転部を回転させやすくする構成が実現される。このことにより、一つの散水ノズルによって、ストッカ内の360度の方向に散水することができる。また、管軸を含む面の数を変える(例えば、n=2または3)ことにより、ノズル孔が形成される直交面の数も変化させる(例えば、2面または3面とする)ことができる。これにより、散水ノズルから噴出される水の量を直交面ごとに均等に分けることができ、回転部を回転させるのに必要な噴出水の量を削減できるとともに、水道水や一般的なポンプ等の比較的低い水圧であっても容易に回転部を回転させることができる。
【0009】
上記製氷機の好適な一態様において、n個の前記直交面のそれぞれにおいて、少なくとも一つの前記ノズル孔の位置あるいはノズル軸と前記管軸とのなす角度が、前記直交面のそれぞれ間で互いに異なるように構成されている。このような構成によると、上下方向においても様々な角度に水を噴出させることができ、三次元的により多様な方向への散水を実施することができる。
【0010】
上記製氷機の好適な一態様において、前記回転部は、略中空球形をなしている。このような構成によると、回転部が中空球形であることによって、他の形態の回転部と比較して、遠心力の作用によって上ノズル孔や下ノズル孔から噴出させる水量をより多くすることができる。このことにより、例えば、ストッカの上方や下方に備えられる部材を好適に洗浄することができる。
【0011】
上記製氷機の好適な一態様において、前記回転部は、略中空円柱形をなす部分を少なくとも含む。このような構成によると、回転部が中空円柱形であることによって、他の形態の回転部と比較して、ノズル孔から水平方向に噴出させる水の量を増やすことができるとともに、その噴出速度を高めることができる。このことにより、より容積の大きいストッカの壁部や、散水ノズルから離れた位置にある部材を好適に洗浄することができる。
【0012】
上記製氷機の好適な一態様において、前記回転部は、前記給排水機構に接続される側である上流側において略中空円柱形をなしているとともに、前記上流側とは反対側の下流側において略中空半球形をなすように構成されている。このような構成によると、回転部が中空円柱形と中空半球形の組み合わせであることによって、他の形態の回転部と比較して、ノズル孔から水平方向と下方とに噴出させる水の量を増やすことができるとともに、その噴出速度を高めることができる。このことにより、より容積の大きいストッカの壁部や、散水ノズルから離れた位置にある部材、さらにはストッカ内の中央付近にも受けられた部材を好適に洗浄することができる。
【0013】
上記製氷機の好適な一態様において、前記散水ノズルは、前記軸管において前記回転部よりも上流側にフランジを備えており、前記上ノズル孔は、上下方向に沿って前記回転部を貫通している。そして、前記フランジは、前記回転部に向う面が、前記軸管の管軸から離れるにつれて上流側に後退する傾斜面をなしており、前記上ノズル孔から噴出された水は、前記フランジの前記傾斜面に沿って噴出方向が変化される構成を備えている。このような構成によると、上ノズル孔の上方にフランジが設けられていることで、上方に噴出させる水の向きを容易かつ自由に変更することができる。これにより、例えば、回転部の上流側が中空球形を呈していなくても上方の様々な方位に向けて水を噴出させることができる。また、回転部に形成するノズル孔の形成方向を精密に制御する必要なく、上方の様々な方位に向けて水を噴出させることができる。
【0014】
上記製氷機の好適な一態様において、前記散水ノズルは、前記回転部よりも下流側に台形リングを備えており、前記台形リングは、前記回転部に向う面が、前記軸管の管軸から離れるにつれて下流側に後退する傾斜面をなしており、前記下ノズル孔から噴出された水は、前記台形リングの前記傾斜面に沿って噴出方向が変化される構成を備えている。このような構成によると、下ノズル孔の下方に台形リングが設けられていることで、下方に噴出させる水の向きを容易かつ自由に変更することができる。これにより、例えば、回転部の上流側が中空球形を呈していなくても上方の様々な方位に向けて水を噴出させることができる。また、回転部に形成するノズル孔の形成方向を精密に制御する必要なく、下方の様々な方位に向けて水を噴出させることができる。
【0015】
上記製氷機の好適な一態様において、前記貯氷部は、前記製氷部に対して上方に配されているとともに、前記貯氷部の上方において、製造された氷の満氷状態を検知するための検知板を備えている。この前記検知板には、前記散水ノズルとの干渉を避けるための散水ノズル除けの孔部が設けられており、前記散水ノズルは、前記検知板の前記孔部に嵌るように配されているとともに、前記上ノズル孔は、前記検知板よりも上方において前記回転部の表面に開口されており、前記散水ノズルから噴出された水によって前記検知板の上面が洗浄される構成を備えている。このような構成によると、貯氷部に検知板を備える製氷機にここに開示される技術を適用することで、散水ノズルからの散水によって検知板の上面を洗浄することができる。このことにより、メンテナンスの容易な製氷機が提供される。
【0016】
上記製氷機の好適な一態様において、前記貯氷部は、前記製氷部に対して上方に配されているとともに、その下方において、前記製氷部から送られる氷を前記貯氷部の底部から離間した状態で受けるスノコ部を備えている。また、前記底部には、前記給排水機構に接続されるとともに前記スノコ部の下面に向けて水を散水するための第2散水ノズルが備えられており、前記第2散水ノズルから水を噴出させることで、前記スノコ部の下面が洗浄される構成を備えている。このような構成によると、貯氷部にスノコ部を備える製氷機にここに開示される技術を適用することで、散水ノズルからの散水によってスノコ部の上面を、第2散水ノズルからの散水によってスノコ部の下面を洗浄することができる。このことにより、メンテナンスの容易な製氷機が提供される。
【0017】
上記製氷機の好適な一態様において、前記第2散水ノズルは、略筒状をなすノズル本体と、前記ノズル本体の筒内部に挿通される軸部と、前記軸部の先端において前記ノズル本体の筒開口を閉塞することができる頭部と、を備えてなる弁体と、前記ノズル本体に固定され、前記弁体を前記ノズル本体の前記筒開口を閉塞する方向に付勢する弾性体と、を備え、前記ノズル本体は、前記弁体よりも前記ストッカの壁部の側において立ち上がる側壁部を備えている。そして、当該第2散水ノズルは、前記給排水機構から前記ノズル本体に供給される水の圧力によって前記弁体が前記弾性体による付勢力に抗して前記筒開口を開口したときに、前記弁体に対して前記側壁部に噴出される水を前記スノコ部の下面に向けて指向させる構成を備えている。このことにより、上記構成によると、ノズル本体と弁体との隙間から噴出される第2散水ノズルからの散水のうち、ストッカの壁部に向かう水の方向をスノコ部の下面に向かう方向に変更させることができる。このことにより、第2散水ノズルからの散水を、スノコ部の下面の洗浄に効率よく用いることができる。
【0018】
上記製氷機の好適な一態様において、前記第2散水ノズルは、管状をなし、前記給排水機構から供給される水を上方に向けて噴出させる本体側ノズル孔を有するノズル本体と、前記本体側ノズル孔よりも前記ストッカの壁部の側において前記ノズル本体から上方に向けて延設された側壁部と、を備えており、前記側壁部は、前記本体側ノズル孔を上方において覆いつつ、前記壁部から離れるにつれて上方に向けて傾斜する指向壁部を備えるとともに、前記指向壁部中に形成され、上下方向に沿って前記指向壁部を貫通する壁部側ノズル孔を備えている。そして前記壁部側ノズル孔は、上下方向において前記本体側ノズル孔と一部が重なりつつ、前記本体側ノズル孔の孔軸よりも、当該壁部側ノズル孔の孔軸が前記壁部の側にずれている。上記構成によると、本体側ノズル孔から上方に向けて噴出される第2散水ノズルからの散水のうち、一部は指向壁部に沿ってストッカの壁部から離れる方向に向けるとともに、他の一部は壁側ノズル孔を通じてそのまま上方に向けて送ることができる。このことにより、第2散水ノズルからの散水を、スノコ部の下面の洗浄に効率よく用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
ここに開示された技術によれば、簡単な構成によって貯氷部の内部を洗浄することが可能な製氷機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態に係る製氷機の構成を概略的に示す図
【
図16】他の実施形態に係る製氷機の構成を示す断面図
【
図25】
図24の散水ノズルの弁体が開弁した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
≪実施形態1≫
ここに開示される技術について、適宜図面を参照しつつ説明する。なお、各図に示した符号U,Dはそれぞれ、上方,下方を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0022】
図1は、本実施形態に係る製氷機1の構成を概念的に示す図であり、
図2は、本実施形態に係るオーガ式の製氷機1の構成を示す断面図である。この製氷機1は、
図1に示すように、概して、製氷部5と、貯氷部50と、これらに接続される給排水機構30と、図示しない制御部と、を備えており、これらが図示しない筐体内に納められている。製氷部5は、冷凍ユニット10と、製氷ユニット20と、を含んで構成されており、例えば
図2に示すように、製氷ユニット20のシリンダ21(製氷筒等ともいう。)を冷凍ユニット10によって外側から冷却することで、シリンダ21の内表面に製氷の場が用意されるようになっている。そして、給排水機構30によって、このシリンダ21内に製氷水を供給することにより製氷が行われ、製造された氷は貯氷部50へと送られる。ここで、ここに開示される貯氷部50の庫内上方には、製氷機1における製氷運転が終わった後に、例えば
図2に示すように、庫内を洗浄するための水を散水する散水ノズル60が設けられている。以下、これらの各構成要素について説明する。
【0023】
まず、冷凍ユニット10は、後述する製氷ユニット20のシリンダ21を所定の製氷温度にまで冷却するための要素であり、
図2に示すように、圧縮機11と、凝縮器12と、膨張弁13と、蒸発管14と、冷媒を収容してこれらの間を循環させる冷媒管15と、を備えている。圧縮機11は、冷媒ガスを圧縮して冷媒管15に送る。凝縮器12は、冷媒管15内に送られた圧縮冷媒ガスを、併設されたファン16からの送風によりほぼ等圧で冷却して液化させる。膨張弁13は、液化された圧縮冷媒を減圧して膨張させる。蒸発管14は、膨張弁13よりも下流側の冷媒管15であって、シリンダ21の外表面に隙間なく倦回されている。蒸発管14においては、膨張された液化冷媒が気化することに伴い、シリンダ21の表面から吸熱してシリンダ21を冷却する。蒸発管14にて気化された冷媒ガスは、冷媒管15を通じて再び圧縮機11に送られる。
【0024】
このような冷凍サイクルによって、冷凍ユニット10は、シリンダ21の製氷部分(冷媒管15が巻かれた部分)を製氷温度にまで冷却するように構成されている。なお、冷凍ユニット10は、付加的にドライヤ17と、断熱材18と、温度センサ19と、を備えている。ドライヤ17は、凝縮器12の下流側に設けられており、冷凍ユニット10に混入した水分を除去する。断熱材18は、蒸発管14を外側から覆い、シリンダ21の冷却効果を高める機能を担う。温度センサ19は、蒸発管14の巻き終わりの部分と、凝縮器12の下流側であってドライヤ17の上流側と、に設けられており、それぞれ冷媒の過熱温度と過冷却温度とを検知する。冷凍ユニット10における、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、ファン16、ドライヤ17、および温度センサ19等の各部は、制御装置に電気的に接続されている。
【0025】
製氷ユニット20は、氷を形成する要素であり、
図2に示すように、シリンダ21と、オーガ22と、成形部23と、カッタ24と、スパウト25(氷排出路)と、シール部26と、駆動部27と、を備えている。シリンダ21は、例えばステンレス鋼等の金属によって円筒形状に形成されており、その円筒軸が上下方向に沿うように製氷機1に設置されている。そしてシリンダ21の上下方向の両端部を除いた外周面には、上述の冷凍ユニット10の蒸発管14が隙間を開けることなく密に倦回されており、上述の製氷部分を構築している。シリンダ21の下方の端部には、その筒壁に、給水口21Aと排水口21Bとが設けられており、後述する給排水機構30と接続されることでシリンダ21内に製氷水を供給したり、シリンダ21から製氷水を排水したりできるようになっている。
【0026】
オーガ22は、円柱状をなす回転軸部22Aの周面に螺旋状の削氷刃22Bを備える切削具であり、回転軸部22Aの回転軸とシリンダ21の中心軸とが同心となるようにシリンダ21内に収容されている。削氷刃22Bは、上下方向で、シリンダ21の製氷部分に対応する範囲において、回転軸部22Aの周面からシリンダ21の内表面に向かって突出するように設けられている。削氷刃22Bの突出寸法は、シリンダ21の内表面に僅かに到達しない程度とされている。回転軸部22Aの下端は、駆動部27に接続されている。駆動部27は、具体的には、連結部27Aと、図示しないギヤードモータと、歯車系と、出力軸と、を備えており、オーガ22の下端は、この連結部27Aを介して駆動部27の出力軸に機械的に接続されている。そしてシール部26は、シリンダ21の下方でその内部に配されるとともに、オーガ22の下端と連結部27Aとの隙間を埋めて、シリンダ21内部における水の供給領域と、駆動部27との間を止水する。ここで、駆動部27のギヤードモータが回転駆動すると、歯車系を通じて動力が出力軸に伝達されて、オーガ22が回転する。オーガ22が回転することによって、削氷刃22Bがシリンダ21の内表面に形成された氷を順次削り取るとともに、削り取られたシャーベット状の氷を、螺旋状の削氷刃22Bの腹に載せるかたちでシリンダ21の上方に運ぶようになっている。
【0027】
成形部23は、シリンダ21の上端部に収容されて、オーガ22の上端を回転自在に軸承する略筒状体であり、オーガ22によって送られてくる氷をシリンダ21との協働で成形する。成形部23の外周面には、
図2に示すように、氷通路となる複数の溝23Aがシリンダ21の軸方向に沿って形成されている。オーガ22によって上方に運ばれたシャーベット状の氷は、シリンダ21の内表面と溝23Aとにより形成される氷通路に押し込まれ、脱水されて、柱状に成形される。成形部23から上方に突出するオーガ22の上端部には、カッタ24が同軸に固定されている。カッタ24は、オーガ22と共に回転することで、オーガ22によって成形部23から繰出される柱状の氷を所定のピッチでカットするように構成されている。シリンダ21の上端には、スパウト25の一端がカッタ24を覆うように取り付けられており、その他端は貯氷部50に開口されている。スパウト25は、製氷ユニット20と貯氷部50との間において、水平に比して、貯氷部50に向かうにつれてやや上傾するように設けられており、氷通路を形成している。製氷ユニット20における駆動部27は制御装置に電気的に接続されている。
【0028】
本実施形態の貯氷部50は、製氷ユニット20の側方に並ぶ形で配置されており、略直方体形状であって、上方が開口された有底箱型のストッカ51と、このストッカ51の上方の開口封鎖する蓋体53と、を主体として構成されている。ストッカ51は、前面に図示しない氷取出し口と扉とを有しており、この氷取出し口は、例えば氷取出し口の下端に水平に配される回動軸を中心に回動可能とされる扉によって、開閉できるようになっている。ストッカ51および蓋体53によって囲まれる空間が貯氷空間とされ、ストッカ51および蓋体53には内部に断熱材が充填されるなどして、貯氷部50に貯留する氷の融解を抑制する断熱性を備えるように構成されている。
【0029】
図3に示すように、ストッカ51の壁部51Aの上方には、製氷ユニット20のスパウト25と連通される環状の連結部54が備えられ、製氷ユニット20で製造された氷が連結部54を通じてストッカ51内に送られる。蓋体53には、超音波センサ58と、後で詳しく説明する散水ノズル60とが備えられている。超音波センサ58は、氷量センサの一例であって、ストッカ51の底部51B(
図2参照)に向けて超音波を発信するとともに超音波を受信することができ、氷によって反射される超音波の発信から受信までの時間差に基づいてストッカ51内に貯留されている氷の嵩(高さ)を非接触で検知するようになっている。超音波センサ58は、周縁を環壁58Aによって取り囲まれており、散水ノズル60からの散水がセンサ面に付着することが防止されている。散水ノズル60は、本実施形態において蓋体53の中心からややずれた位置に設置されており、蓋体53のストッカ51に向かう内面53Aは、散水ノズル60を中心にして下傾するようになっている。また、ストッカ51の壁部51Aのうち、連結部54と対向する位置にはUVランプ59が備えられており、UVランプ59から連結部54に向けて紫外線を照射することによって、連結部54およびスパウト25の内面を殺菌できるようになっている。UVランプ59としては、例えば、殺菌作用の高い波長約253nm以上285nm以下の紫外線(UV)を照射可能な深紫外線LEDランプが好ましく用いられる。なお、製氷部5および貯氷部50のうち、紫外線が照射される範囲に配される部材は、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂等の耐候性を備える合成樹脂や、金属材料等によって構成される。また、
図2に示すように、ストッカ51の底部51Bには排水孔52が設けられており、底部51Bは排水孔52に向けてその表面が下傾されている。貯氷部50における超音波センサ58およびUVランプ59は制御装置に電気的に接続されている。
【0030】
次に、散水ノズル60について、
図4から
図7Cを用いて説明する。散水ノズル60は、
図4に示すように、大まかには、管状をなす軸管61と、中空構造を有するとともに軸管61に対して回転自在に外嵌されている回転部65と、を含んで構成されている。軸管61および回転部65は、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂等の耐候性を備える合成樹脂によって構成されている。散水ノズル60は、上下方向において、回転部65がUVランプ59よりも上方に位置し、かつ、連結部54と向き合う位置に配されるように、蓋体53に固定されている。本実施形態の散水ノズル60は、軸管61の上端に図示しないネジ部が形成されており、蓋体53にネジ締結されている。
【0031】
軸管61は、一端が給排水機構30に接続されており、他端は閉塞されている。以下の説明では、軸管61の給排水機構30に接続されている側を上流側、その反対側(閉塞されている側)を下流側とし、散水ノズル60については便宜的に、上流側を上方、下流側を下方と呼ぶ場合がある。軸管61は、
図7Aに示すように、管軸に沿って縦孔62Aを有し、その下流側において外周面に開口する横孔62Bを有している。横孔62Bは、縦孔62Aに連通するとともに、横孔62Bのノズル軸が管軸と直交するように軸管61を貫通しており、これら縦孔62Aと横孔62Bとによって、軸管61には略T字型の流路62が形成されている。軸管61は、横孔62Bよりも下流側で縮径されて細くなっている。また、回転部65には軸管61の直径とほぼ同じ直径の軸孔65A,65Bが形成されており、軸管61は、この軸孔65A,65Bに挿通されることによって回転部65の中空空間を貫くとともに、回転部65は軸管61の周りを回転摺動することができるようになっている。軸孔65Bは、縮径された部分において軸管61を軸承するため、軸孔65Aよりも直径が小さい。軸管61の横孔62Bは、軸管61の外周面に180°(180°÷n、n=2)の間隔で開口するとともに、横孔62Bのノズル軸と管軸との交点は回転部65のほぼ中心となるように配され、この横孔62Bから回転部65の内部に水が供給される。以下、「横孔62Bのノズル軸と管軸との交点」を「回転部65の中心」という場合がある。軸管61の回転部65よりも上流側には、フランジ63が設けられており、回転部65が上流側に移動することを規制している。また、軸管61の回転部65よりも下流側の外周面にはスナップ溝部64が凹設されており、軸管61に対して回転部65と台形リング68とスナップリング69とをこの順に挿通した状態で、スナップリング69をスナップ溝部64に嵌めることで、軸管61に対して回転部65を着脱可能としながらも下流側に対して抜け止めするようになっている。
【0032】
本実施形態の回転部65は、例えば
図4に示すように、略中空円柱形をなす上方部65Cの下端に、半径が同一の略中空半球形をなす下方部65Dが延設された形状を有し、おおまかには軸管61の管軸に対して回転対称性を有している。回転部65は、この上方部65Cと下方部65Dのそれぞれにおいて、中空空間と外部とを連通するノズル孔66を有している。これらのノズル孔66は、
図5に示すように、回転部65の回転半径Rと交わる方向において、回転部65を貫通するように形成されている。より詳細には、回転部65には、半径方向に延びる面(換言すれば管軸を含む面)に直交する直交面P1において、回転部65を貫通するようにノズル孔66が形成されている。また、この管軸を含む面は、管軸を中心として周方向を180°(すなわち、(360/n)°;nは2以上の自然数であり、ここではn=2)ずつに分けるように半径方向に2つ延びており、これに対応して回転部65には2つの直交面P1、P2が管軸からの距離が等しくなるように設定されている。
【0033】
なお、
図7Bに示すように、直交面P1において、ノズル孔66A,66Bは、上方部65Cの上端部と下端部とにそれぞれ配されており、いずれもノズル軸が水平となるように回転部65を貫通している。また、ノズル孔66Cは、下方部65Dのうちでも下方に配されており、ノズル軸が直交面P1において回転部65の中心に対応する位置から管軸とのなす角度が鋭角(例えば30±5°)となる方向に沿うように形成されている。これらのノズル孔66A,66B,66Cは、
図5に示すように、管軸を含む面によって対応する直交面P1を二分したときの一方の半面(
図5では直交面P1の上半分)に集約するように配されている。同様に、
図7Cに示すように、直交面P2において、ノズル孔66D,66Eは上方部65Cの上下方向においてノズル孔66A,66Bの間に離間して配されているとともに、いずれもノズル軸が水平となるように回転部65を貫通している。また、ノズル孔66Fは、下方部65Dにおいて、ノズル軸が直交面P2において回転部65の中心に対応する位置から管軸とのなす角度が鋭角(例えば45±5°)となる方向に沿うように形成されている。これらのノズル孔66D,66E,66Fは、
図5に示すように、管軸を含む面によって対応する直交面P1を二分したときの一方の半面(
図5では直交面P2の下半分)に集約するように配されている。つまり、直交面P1,P2においては、軸管61周りにおける回転部65の回転方向において同じ側(回転する方向の後方側)にノズル孔66が形成されている。
【0034】
このようにノズル孔66の向きを、回転部65の回転半径に対して異ならせることで、回転部65に供給された水がノズル孔66を通じて外部に噴出するときに、回転部65に対する反力を生じ、回転部65が軸管61を中心として水の噴出方向とは逆の向きに回転される。このことにより、散水ノズル60から軸管61周りの全方位(360°)に向けて水を噴出させることができる。また、回転部65の複数のノズル孔66を2つの直交面P1,P2において形成し、その位置を管軸周りの回転方向において同じ側に集約することで、反力の向きを揃えることができ、反力の総和を増大させることができる。その結果、回転部65の回転速度を高めることができ、より遠い位置にまで水を噴出させることができる。また、2つの直交面P1,P2の間において、ノズル孔66A,66B,66Cおよびノズル孔66D,66E,66Fの上下方向の位置は互いに異なっている。また、ノズル孔66Cとノズル孔66Fとは、ノズル軸と管軸とのなす角度が互いに異なっている。このような構成によって、直交面P1,P2における複数のノズル孔66の向きが変化されて、散水ノズル60から鉛直面における散水ノズル60からの水の噴出方位をより多様なものとすることができる。なお、
図5に示すように、管軸から回転部65の上方部65Cに形成されているノズル孔66A,66Dの中空空間側の開口に向かう方向と、直交面P1,P2においてノズル孔66A,66Dのノズル軸に沿う方向とは、一例として、角度θ=45±5°程度とされている。
【0035】
また、
図7Aに示すように、回転部65には、直交面P1,P2の中間に位置する面において、管軸に沿う方向で回転部65の上方部65Cを貫通する上ノズル孔67Aが形成されている。上ノズル孔67Aは、フランジ63に向けて開口している。フランジ63は、回転部65に向う面が、管軸から離れるにつれて上流側に後退する傾斜面63Aをなしている。このことによって、散水ノズル60は、上ノズル孔67Aから噴出された水が、フランジ63の傾斜面63Aに沿ってその噴出方向が変化される構成を備えている。また、回転部65には、直交面P1,P2の中間に位置する面において管軸に沿う方向で回転部65の下方部65Dを貫通する下ノズル孔67Bが形成されている。下ノズル孔67Bは、台形リング68に向けて開口している。台形リング68は、略円錐台形状をなしており、中心に軸孔を有することにより軸管61に外嵌されている。台形リング68の回転部65に向う面は、管軸から離れるにつれて下流側に後退する傾斜面68Aをなしている。このことによって、散水ノズル60は、下ノズル孔67Bから噴出された水が、台形リング68の傾斜面68Aに沿ってその噴出方向が変化される構成を備えている。
【0036】
次に、給排水機構30について説明するとともに、本実施形態の製氷機1内における水の流れを説明する。給排水機構30は、製氷部5と貯氷部50とに製氷水や洗浄水等の水を給排水する要素であり、大まかには、水を貯留するための貯水タンク31と、管状をなす給水路と、管状をなす排水路と、バルブおよびポンプ等とを備えて構成されている。貯水タンク31は、上方が開口されている略直方体形状の容器であるケース32と、このケース32の開口を覆う蓋体33とを備え、ケース32の1つの隅角部には、ケース32内において所定の水位(Lv4)を超える水を排水するオーバーフロー排水口35が設けられている。
【0037】
この貯水タンク31の蓋体33には給水バルブVsを介して第1給水路S1が接続されており、水道管等から第1給水路S1を通じて貯水タンク31に水を供給できるようになっている。また、貯水タンク31は、製氷の場となるシリンダ21の上側方に配されるとともに、貯水タンク31の底部に設けられた通水口31Aとシリンダ21の給水口21Aとが、第2給水路S2によって接続されている。これにより、貯水タンク31とシリンダ21とは水頭差が無くなるように通水される構成となっている。さらに、蓋体33には第3給水路S3が挿通され、第3給水路S3の一端は貯水タンク31の所定の水位(Lv2~3)に配されているとともに、第3給水路S3の他端は散水ノズル60に接続されている。なお、第3給水路S3の途中には給水ポンプPsが設けられており、この給水ポンプPsを駆動させることによって、貯水タンク31内の水を散水ノズル60に供給できるようになっている。蓋体33には、超音波センサ38と、UVランプ39とが備えられている。超音波センサ38およびUVランプ39の構成は、上記超音波センサ58およびUVランプ59とそれぞれ同様であってよい。超音波センサ38は、蓋体33の内面から上方に向けてやや離れた位置に設置されており、貯水タンク31の最も高い所定の貯水レベル(Lv4)となる水面から反射される超音波を精度良く検知できるように構成されている。また、UVランプ39は、蓋体33のうち通水口31Aの上方において備えられ、UVランプ39から底部に向けて紫外線を照射することによって、通水口31Aと第2給水路S2、およびその周縁を殺菌できるようになっている。給排水機構30のうち、紫外線が照射される範囲に配される部材は、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂等の耐候性を備える合成樹脂や、金属材料等によって構成されている。
【0038】
一方で、シリンダ21の排水口21Bには第1排水路D1が接続されており、この第1排水路D1は、下流側において循環路D11と分岐排水路D12とに分岐されるとともに、循環路D11については、貯水タンク31の蓋体33に設けられた還流水口34に接続されている。また、貯水タンク31のオーバーフロー排水口35には第2排水路D2が接続されており、この第2排水路D2には第1排水路D1からの分岐排水路D12が接続されている。分岐排水路D12の途中には排水バルブVdが配されており、排水バルブVdが解放されることによって、第1排水路D1内の水が分岐排水路D12を通じて第2排水路D2に流れ込むようになっている。また、排水バルブVdが閉鎖されることで、第1排水路D1は循環路D11にのみ連通するようになっている。このとき、第1排水路D1の途中であって、排水口21Bのすぐ下流側に備えられた送液ポンプPmを駆動させることで、シリンダ21内の水を貯水タンク31にまで環流させることができ、貯水タンク31、第2給水路S2、シリンダ21、第1排水路D1、循環路D11、および貯水タンク31と繋がる水循環経路が構築される。なお、還流水口34は、図示しない切替機構によって蓋体33における水の排出位置をスライド移動できるように構成されており、循環路D11を経て送られてきた水の排出先を、ケース32とオーバーフロー排水口35とに切替え可能とされている。また、ストッカ51の排水孔52には第3排水路D3が接続されており、第2排水路D2および第3排水路D3はこれらの下流側において本排水路D4に連通している。本排水路D4には逆止弁Vが設けられており、製氷機1からの排水はこの本排水路D4を通じて外部排水路に排水される。給排水機構30における、給水バルブVs、給水ポンプPs、排水バルブVd、送液ポンプPm、超音波センサ38、UVランプ39、および還流水口34の切替機構は、制御装置に電気的に接続されている。
【0039】
なお、
図2に示されるに示されるように、本実施形態の貯水タンク31には、レベルLv1からレベルLv4までの水位が設定されている。レベルLv1は製氷運転時の水位の下限であり、レベルLv2は製氷運転時の水位の上限であり、レベルLv1からレベルLv2の間がシリンダ21の製氷部分に対応するとともに、この範囲の水位で製氷運転が実施される。レベルLv3は洗浄運転時の水位の下限であり、レベルLv4は洗浄運転時の水位の上限であって、第3給水路S3の吸水口(一端)はレベルLv3よりも低水位に配されるとともに、この範囲の水位で洗浄運転が実施される。なお、貯水レベルLv4は、オーバーフロー排水口35の上端であるオーバーフロー水位と一致しており、貯水レベルLv4において、シリンダ21の内面,オーガ22,成形部23は水に浸漬されるものの、カッタ24やスパウト25はレベルLv4もより上方に配置されており、シリンダ21から貯氷部50にむけて水が流れ込むことを防止している。
【0040】
以上の製氷機1においては、制御装置が製氷部5、貯氷部50、および給排水機構30の各部の動作を制御することで、後述する製氷運転および洗浄運転等を行うことができる構成とされている。制御装置は、CPU,RAM,ROM,インターフェイス(I/F)等を有するマイクロコンピュータを主体として構成され、有線または無線を介して製氷機1の各部と通信可能に接続されている。製氷運転プログラムおよび洗浄運転はROM等の記憶装置に格納され、例えば、予め定められた時間に自動的に運転が開始されるように、あるいは、ユーザの信号入力操作等によって運転が開始されるように設定されている。
【0041】
<製氷運転>
製氷運転においては、例えば、制御装置が冷凍ユニット10を駆動させてシリンダ21を製氷温度にまで冷却させたのち、超音波センサ58によってストッカ51内に氷が所定の満氷状態で貯留されていないかどうかを確認し、ストッカ51が満氷状態でない場合には、超音波センサ58によってストッカ51の満氷状態を検知するまで、製氷ユニット20および給排水機構30を駆動して製氷を実施する。具体的には、制御装置は、超音波センサ38による貯水タンク31の貯水レベルと、超音波センサ58によるストッカ51の貯氷レベルとを検知しながら、排水バルブVdを閉鎖した状態で給水バルブVsを開弁して、貯水レベルが所定のレベルLv2となるまで貯水タンク31に貯水する。貯水レベルが所定のレベルLv2となると、制御装置は給水バルブVsを閉弁して製氷ユニット20を駆動させる。なおこの間、制御装置は、貯水レベルが所定のレベルLv1にまで下降すると、給水バルブVsを開弁し、貯水レベルが所定のレベルLv2に上昇すると、給水バルブVsを閉弁する、という水位制御を続ける。この製氷動作は、ストッカ51の満氷状態となるまで続けられ、ストッカ51が満氷状態の間は停止され、ストッカ51の氷量が所定の運転再開位置に達したときに再開されるようになっている。なお、上記の製氷運転は、UVランプ39、UVランプ59を点灯させながら、紫外線が照射されて殺菌された水を用い、連結部54およびスパウト25の内面を殺菌しながら実行してもよい。
【0042】
<洗浄運転>
洗浄運転に際しては、例えば、制御装置は、冷凍ユニット10の駆動を停止させて、超音波センサ38によって貯水タンク31の貯水レベルを検知しながら、排水バルブVdを閉鎖した状態で給水バルブVsを開弁して、貯水レベルが所定のレベルLv4となるまで貯水タンク31に貯水する。貯水レベルがレベルLv4に達すると、給水ポンプPsを作動させ、散水ノズル60からストッカ51内に水を供給する。これにより、散水ノズル60は水を噴出させながら回転し、ストッカ51内を洗浄する。なおこの間、制御装置は、貯水レベルが所定のレベルLv3にまで下降すると給水バルブVsを開弁して貯水を行い、貯水レベルが所定のレベルLv4にまで上昇すると給水バルブVsを閉弁して貯水を停止する、という水位制御を実行する。またこの間、制御装置は、製氷ユニット20を駆動させることで、シリンダ21内、オーガ22、および成形部23の氷の融解を促進させ、これらを洗浄するようにしてもよい。また、制御装置は、送液ポンプPmを駆動させることで、水循環経路に水を循環させ、水循環経路を洗浄するようにしてもよい。制御装置は、散水ノズル60からの散水を一定の時間行った後、給水バルブVsを閉弁するとともに給水ポンプPsを停止して、超音波センサ58によってストッカ51内に氷が残存しているかどうかを判断する。そして、氷が残存していると判断したときは、再度、給水バルブVsを開弁するとともに給水ポンプPsを作動させ、上記の洗浄動作を一定時間実施する。制御装置は、この洗浄動作を、ストッカ51内に氷が残存していないと判断するまで実施し、ストッカ51内に氷が残存していないと判断したときに、給水バルブVsを閉弁した状態で排水バルブVdを開放し、給水ポンプPsと送液ポンプPmとを一定時間駆動させることで、製氷部5、貯氷部50、および給排水機構30の水をすべて排水する。これにより、洗浄運転を終了する。なお、上記の洗浄運転は、UVランプ39、UVランプ59を点灯させながら、紫外線が照射されて殺菌された水を用い、連結部54およびスパウト25の内面を殺菌しながら実行してもよい。
【0043】
<散水ノズルによる洗浄について>
上記の散水ノズル60は、軸管61と、中空構造を有するとともに、軸管61がその中空空間を貫くように軸管61に対して回転自在に外嵌されている回転部65と、を含んで構成されている。軸管61は、回転部65の中空空間に水を排出するための横孔62Bを有しており、回転部65は、回転半径と交わる方向において、中空空間と外部とを連通するノズル孔66を備えている。そしてノズル孔66は、少なくとも、回転部65のうち、軸管61の上流側において上方に向けて回転部65を貫通する上ノズル孔67Aと、回転部65のうち、下流側において下方に向けて回転部を貫通するノズル孔66C,66F、下ノズル孔67Bと、を有している。そのため、散水ノズル60は、給排水機構30から水が供給されると、その水の圧力に対する反力によって、回転部65が軸管61を軸として回転しつつ、ノズル孔66から少なくとも上方と下方とに向けて水を噴出する構成を備えている。
【0044】
上記構成の製氷機1によると、ストッカ51は、散水ノズル60に水平方向に形成されたノズル孔66A,66B,66C,66D,66E,66F、および下ノズル孔67Bから噴出される水によって壁部51Aおよび底部51Bを洗浄することができるとともに、上ノズル孔67Aから噴出される水によって蓋体53の内面53Aを洗浄することができる。これにより、ストッカ51の壁部51Aの他に、蓋体53の内面53Aを、人手に寄らずに洗浄することができる。また、回転部65は軸管61の管軸について回転対称性を有する外形をなすとともに、複数のノズル孔66を有しており、複数のノズル孔66A,66B,66Cと、ノズル孔66D,66E,66Fとはそれぞれ、管軸を含む一の面に直交する直交面P1,P2であって、直交面に垂直であり且つ管軸を通る垂直面によってこの直交面P1,P2を二つに分けたときの一方の半面において、当該半面に沿って中空空間と外部とを連通するように回転部65に形成されている。これにより、回転部65を回転させやすくする構成が実現されている。その結果、一つの散水ノズル60によって、ストッカ内の360度の方向に散水することができる。また、散水ノズル60から噴出する水の勢いを高めることができ、回転部65の回転速度を高めることができるとともに、回転速度が遅い場合と比較して相対的に高い水圧で洗浄することができる。
【0045】
また上記製氷機1の散水ノズル60において、管軸を含む面は、管軸を中心として周方向を(360/n)度(nは2以上の自然数であり、ここではn=2)ずつに分けるように半径方向に延びるn個の面であって、直交面P1,P2は、管軸からの距離が等しくなるように設定されている。そして複数のノズル孔66は、管軸を含む面によって直交面P1,P2をそれぞれ二つに分けたときの周方向について同じ側の半面において回転部65に形成されている。これにより、水圧による反力が効率よく回転力へと変換されて、回転部を回転させやすくする構成が実現される。このことにより、一つの散水ノズルによって、ストッカ内の360度の方向に散水することができる。また、2つの直交面P1,P2のそれぞれにおいて、少なくとも一つのノズル孔66の位置あるいはノズル軸と管軸とのなす角度が、直交面P1、P2のそれぞれ間で互いに異なるように構成されている。このような構成によると、散水ノズル60から上下方向の様々な角度に水を噴出させることができ、三次元的により多様な方向への散水を実施することができる。
【0046】
さらに、散水ノズル60は、UVランプ59よりも上方で、連結部54およびスパウト25に対向するように設置されている。また、回転部65は、上流側において略中空円柱形をなしている上方部65Cと、下流側において略中空半球形をなすように構成された下方部65Dとを含み、上方部65Cにおいて水平方向に延びるノズル孔66A,66B,66D,66Eを備えている。このことにより、散水ノズル60は、より高い速度で水平方向の全方位に多量の水を噴出できるとともに、噴出された水は連結部54およびスパウト25の奥にまで到達することができ、連結部54およびスパウト25の内面を洗浄することができる。これにより、ストッカ51の壁部51Aの他に、連結部54およびスパウト25の内面を、人手に寄らずに洗浄することができる。なお、連結部54およびスパウト25に噴出された水は、シリンダ21に流れ込むことによって貯水タンク31の水頭位を上げる方向に作用し、貯水タンク31において貯水レベルがレベルLv4を超える過剰な水については、オーバーフロー排水口35を介して第2排水路D2に排出される。
【0047】
≪実施形態2≫
なお、上記実施形態において、散水ノズル60(すなわち、軸管61および回転部65)は、管軸について、おおよそ2回の回転対称性(2回回転対称性)を有するものとして構成されていた。しかしながら、散水ノズル60の形態はこれに限定されず、例えば、
図8から
図9Cに示されるような構成を備えていてもよい。なお、以下の散水ノズル160の説明において、実施形態1に係る散水ノズル60と共通の構成については説明を省略する。すなわち、散水ノズル160は、
図8に示すように、おおまかに軸管161の管軸について、3回の回転対称性を有している。具体的には、軸管161には、縦孔162Aに連通するとともに、軸管161の外周面に120°(180°÷n、n=3)の間隔で開口する横孔162Bが形成されている。また、回転部165は、
図8に示すように、軸管61の管軸を含む面(すなわち半径に沿う面)であって管軸の周りを120°(=360°÷3)ずつに区切る3つの面にそれぞれ直交する直交面P11,P12,P13において、ノズル孔166が回転部165を貫通するように形成されている。これら3つの直交面P11,P12,P13はいずれも管軸からの距離が等しい。また、これら3つの直交面P11,P12,P13は、
図9Aに示すように、複数のノズル孔166A,166B,166Cと、
図9Bに示すように、ノズル孔166D,166E,166Fと、
図9Cに示すように、ノズル孔166G,166H,166Iと、をそれぞれ備えている。また、ノズル孔166A,166B,166Cと、ノズル孔166D,166E,166Fと、ノズル孔166G,166H,166Iとはそれぞれ、
図8に示すように、3つの直交面P11,P12,P13において、対応する管軸を含む面によって二分された半面のうち、回転部65の回転方向について同じ側に配されている。換言すれば、ノズル孔166A,166B,166Cからなる第1ノズル群と、ノズル孔166D,166E,166Fとからなる第2ノズル群と、ノズル孔166G,166H,166Iとからなる第3ノズル群とは、管軸周りに120°間隔で配されている。このような構成によると、回転部165を軸管161周りに効率よく回転させられるとともに、散水ノズル160から、軸管161について全方位により満遍なく水を散水することができる。
【0048】
また、
図9A、
図9Bに示すように、例えば、直交面P11に形成された複数のノズル孔166A,166B,166Cと、直交面P12に形成されたノズル孔166D,166E,166Fの形態は、第1実施形態における複数のノズル孔66A,66B,66Cおよびノズル孔66D,66E,66Fと概ね同様であってよい。そして、直交面P13に形成されたノズル孔166G,166H,166Iは、
図9Cに示すように、直交面P11,P12に形成されたノズル孔とは異なる位置に配されている。すなわち、ノズル孔166Gは、上方部165Cにおいてノズル孔166Dとノズル孔166Eとの間に配され、ノズル孔166Hは、下方部165Dにおいてノズル孔166Bとノズル孔166Eとの間に配され、ノズル孔166Iは、下方部165Dにおいてノズル孔166Cと軸管161との間に配されている。また、ノズル孔166Gについてはノズル軸が水平となっており、ノズル孔166Hについては、ノズル軸が回転部165の中心と管軸とのなす角度が鋭角(例えば、60±10°)となる方向に沿って形成されており、ノズル孔166Iについては、ノズル軸が回転部165の中心と管軸とのなす角度が鋭角(例えば、20±10°)となっている。このような散水ノズル160を備える製氷機1によると、上下方向においてより多様な方向に水を噴出させることができる。
【0049】
≪実施形態3≫
なお、上記実施形態1,2において、散水ノズル60,160の回転部65,165はいずれも、上方部65C,165Cが略中空円柱形であって、下方部65D,165Dが略中空半球形の弾丸形をなしていた。しかしながら、散水ノズル60,160の形態はこれに限定されず、例えば、
図10から
図13Cに示されるような略中空円柱形をなしていてもよい。なお、以下の散水ノズル260の説明において、実施形態1に係る散水ノズル60と共通の構成については説明を省略する。すなわち、散水ノズル260の回転部265は、
図10から
図12に示すように、円形の上面部と下面部とがその周縁において側面部によって接続されている。この回転部265は、例えば
図11および
図12に示すように、軸管261の管軸について、おおよそ2回の回転対称性(2回回転対称性)を有するものとして構成することができる。具体的には、回転部265は、例えば
図13Aに示すように、軸管261の管軸を含む面において、管軸に沿う方向に回転部265の上面部を貫通する2つの上ノズル孔267A,267Aと、管軸に沿う方向に回転部265の下面部を貫通する1つの下ノズル孔267Bとを備えている。また、回転部265は、例えば
図13Bに示すように、管軸を含む面に直交する直交面P21において、水平な方向に回転部265の側面部を貫通する(ノズル軸が水平な)ノズル孔266Aと、ノズル軸が水平よりも下方に向くように回転部265の側面部を貫通するノズル孔266Bと、ノズル軸が水平よりも下方に向くように回転部265の下面部を貫通するノズル孔266Cと、を含んでいる。さらに、回転部265は、例えば
図13Cに示すように、管軸を含む面に直交する直交面P22において、水平な方向に回転部265の側面部を貫通する(ノズル軸が水平な)ノズル孔266D,266Eと、ノズル軸が水平よりも下方に向くように回転部265の側面部を貫通するノズル孔266Fと、を含んでいる。ノズル孔266Dおよびノズル孔266Eは上下方向で離間しており、かつ、上下方向においてノズル孔266Aとノズル孔266Bとの間に配されている。また、ノズル孔266Fは、上下方向においてノズル孔266Bとノズル孔266Cとの間に配されている。ここで、直交面P21と直交面P22は、管軸からの距離が等しく、これらの各面P21,P22に垂直で管軸を通る面はそれぞれ管軸周りに180°(=360°÷2)間隔で位置するように配されている。また、ノズル孔266A,266B,266Cと、ノズル孔266D,266E,266Fとはそれぞれ、
図11および
図12に示すように、2つの直交面P21,P22において対応する管軸を含む面(垂直面)によって二分された半面のうち、回転部65の回転方向について同じ側に配されている。換言すれば、ノズル孔266A,266B,266Cからなる第1ノズル群と、ノズル孔266D,266E,266Fとからなる第2ノズル群とは、管軸周りに180°間隔で配されている。このような構成によって、散水ノズル260から、軸管261まわりの全方位と、上下方向とにおいて、より多様な方向に水を散水することができる。
【0050】
≪実施形態4≫
なお、上記実施形態3において、散水ノズル260の回転部265は略中空円柱形であって、散水ノズル260は、管軸について、おおよそ2回の回転対称性(2回回転対称性)を有するものとして構成されていた。しかしながら、散水ノズル260の形態はこれに限定されず、例えば、
図14から
図15Cに示されるような構成を備えていてもよい。なお、以下の散水ノズル360の説明において、実施形態3に係る散水ノズル60と共通の構成については説明を省略する。すなわち、散水ノズル360は、
図14に示すように、おおまかに軸管361の管軸について、3回の回転対称性を有している。具体的には、軸管361には、縦孔362Aに連通するとともに、軸管361の外周面に120°(180°÷n、n=3)の間隔で開口する横孔362Bが形成されている。また、
図14に示すように、回転部365に形成された複数のノズル孔366は、軸管361の管軸を含む面(すなわち半径に沿う面)であって管軸の周りを120°(=360°÷3)ずつ区切る3つの面にそれぞれ直交する直交面P31,P32,P33において、回転部365を貫通するように形成されている。また、
図15Aに示すように、回転部365は、直交面P31において、ノズル孔366A,366B,366Cを、
図15Bに示すように、直交面P32において、ノズル孔366D,366E,366Fを、
図15Cに示すように、直交面P33において、ノズル孔366G,366H,366Iを備えている。これらの直交面P31,P32,P33は、管軸からの距離が等しい。また、ノズル孔366A,366B,366Cと、ノズル孔366D,366E,366Fと、ノズル孔366G,366H,366Iとはそれぞれ、
図14に示すように、3つの直交面P31,P32,P33を、それぞれに対応し管軸を含む垂直面によって二分したときの半面のうち、回転部365の回転方向について同じ側に配されている。換言すれば、ノズル孔366A,366B,366Cとからなるノズル群と、366D,366E,366Fとからなるノズル群と、ノズル孔366G,366H,366Iとからなるノズル群とは、管軸周りに120°間隔で配されている。
【0051】
また、
図15Aに示すように、直交面P31に形成されたノズル孔366Aは側面部の上端においてノズル軸が水平方向となるように回転部365を貫通し、ノズル孔366Bは側面部の上下方向の中央付近においてノズル軸が水平方向に回転部365を貫通し、ノズル孔366Cは側面部の上下方向のやや下方においてノズル軸と管軸とのなす角度が約55±5°程度となるように回転部365を貫通している。
図15Bに示すように、直交面P32に形成されたノズル孔366Dは側面部の上下方向でノズル孔366Aよりもやや下方においてノズル軸が水平方向となるように回転部365を貫通し、ノズル孔366Eは側面部のノズル孔366Bよりもやや下方においてノズル軸と管軸とのなす角度が約75±5°程度となるように回転部365を貫通し、ノズル孔366Fは側面部の上下方向でノズル孔366Cよりもやや下方においてノズル軸と管軸とのなす角度が約45±5°程度となるように回転部365を貫通している。また、
図15Cに示すように、直交面P33に形成されたノズル孔366Gは側面部の上下方向でノズル孔366Dとノズル孔366Bとの間においてノズル軸が水平方向となるように回転部365を貫通し、ノズル孔366Hは側面部のノズル孔366Eとノズル孔366Cとの間においてノズル軸と管軸とのなす角度が約65±5°程度となるように回転部365を貫通し、ノズル孔366Iは下面部においてノズル軸と管軸とのなす角度が約28±5°程度となるように回転部365を貫通している。製氷機1は、このような散水ノズル360を備える構成とすることができ、このような構成によると、上下方向においてより多様な方向に水を噴出させることができる。
【0052】
≪実施形態5≫
図16は、本実施形態に係るオーガ式の製氷機400の構成を示す断面図であり、
図17はその貯氷部50を拡大した図である。なお、以下の製氷機400の説明において、実施形態1に係る製氷機1と共通の構成については説明を省略する。この製氷機400において、製氷部5の構成は実施形態1の製氷機1と共通しているものの、大まかには、貯氷部450が円筒形をなして製氷部5の上方に配されている点と、給排水機構30の第3給水路S3が貯水タンク31からの給水を行わずに水道管に接続されているとともに、分岐路S31を有している点で、実施形態1の製氷機1と相違している。すなわち、貯氷部450は、ストッカ451の底部451Bにおいて製氷部5のシリンダ21の上端と接続され、シリンダ21の内面と成形部23の溝23Aとによって柱状に成形された氷が、オーガ22によって上方に配されたストッカ451内に送られるようになっている。ストッカ451の底部451Bには、底部451Bに溜まる水と接触しないように氷を底部451Bから上方に離間した位置で支持するスノコ部57が備えられており、成形部23から上方に突出するオーガ22の上端部には、このスノコ部57の中心を貫通する形でアジテータ56が同軸に固定されているとともに、オーガ22と一体となって回転するアジテータ56によって柱状の氷が切断されてスノコ部57上に貯留される。またアジテータ56は、オーガ22と連動して回転することで、ストッカ451内に貯留されている氷を撹拌し、氷同士が溶着して氷塊になるのを防ぐようになっている。底部451Bおよびスノコ部57は、ストッカ451の壁部451A(つまり、外周側)に向かうにつれて下方に傾斜するようになっている。なお、この製氷機400においては、筐体の前面に取付けられた氷排出ボタン54Aを押すことによって氷排出指令が与えられ、駆動部27が駆動してアジテータ56が回転されるとともに、電動シャッタ54Bが所定時間開放され、アジテータ56の回転で氷排出口54Cに送られた氷が氷排出口54Cから外部に排出される。
【0053】
また、蓋体453には、円盤状をなす氷検知板455と、赤外線センサ458と、散水ノズル460とが備えられている。氷検知板455は、蓋体453の中央から垂下されてストッカ451の上方において上下方向に変位可能とされており、ストッカ451内の貯氷量が増大することによって上方に押し上げられるとともに、貯氷量が満氷状態となる所定のレベルに達したときにリードスイッチ455Aを入力して満氷状態を検知するように構成されている。なお、氷検知板455には、赤外線センサ458と散水ノズル460とに干渉せずに上下方向に変位できるように、これら赤外線センサ458と散水ノズル460と対応する位置にそれぞれ、干渉除け孔部455B,455Bが設けられている。赤外線センサ458は、氷量センサの一例であって、下方に向けて赤外線を発信する発信素子と反射される赤外線を受信する受信素子とにより構成されており、氷によって反射される赤外線の発信時と受信時の出力電圧差に基づいてストッカ451内に貯留されている氷の嵩(高さ)を非接触で検知するようになっている。散水ノズル460の構成については後で詳しく説明する。また、給排水機構30の給水路S3は、給水バルブVs2よりも下流側において、分岐路S31を有している。分岐路S31は、ストッカ451の底部451Bに取付けられている第2散水ノズル70に接続されており、分岐路S31を介して第2散水ノズル70に水を供給することで、第2散水ノズル70によってストッカ451内に下方から水を噴出させることができる。また、第3排水路D3は、ストッカ451の底部451Bのうちより低い周縁部に設けられた排水孔452に接続されている。
【0054】
本実施形態の散水ノズル460は、
図18から
図21Cに示されるように、回転部465が略中空球形をなしている点において、実施形態1に係る散水ノズル60と構成が異なる。なお、以下の散水ノズル460の説明において、実施形態1に係る散水ノズル60と共通の構成については説明を省略する。すなわち、散水ノズル460の回転部465は、略中空球形をなすとともに、軸管461の管軸について、おおよそ2回の回転対称性を有している。具体的には、回転部465は、例えば
図19および
図21Bに示すように、軸管461の管軸を含む面に直行する直交面P41において、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば140±5°)となるように回転部465の上流側を貫通するノズル孔466Aと、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば100±5°)となるように回転部465の上流側を貫通するノズル孔466Bと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば60±5°)となるように回転部465の下流側を貫通するノズル孔466Cと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば20±5°)となるように回転部465の下流側を貫通するノズル孔466Dと、を含んでいる。また、回転部465は、例えば
図19および
図21Cに示すように、管軸について直交面P41と180°の回転対称となる直交面P42において、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば140±5°)となるように回転部465の上流側を貫通するノズル孔466Eと、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば100±5°)となるように回転部465の上流側を貫通するノズル孔466Fと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば60±5°)となるように回転部465の下流側を貫通するノズル孔466Gと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば20±5°)となるように回転部465の下流側を貫通するノズル孔466Hと、を含んでいる。また、回転部465は、例えば
図19および
図21Aに示すように、直交面P41と直交面P42の真ん中の面において、管軸に沿う方向に回転部465の下流側を貫通する下ノズル孔467Bを備えている。このような散水ノズル460において、例えば、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角となるノズル孔466A,466Bおよびノズル孔466E,466Fは、上方に向いて回転部465を貫通する上ノズル孔の一例であり、ノズル孔466A,466Eは氷検知板455よりも上方において回転部465の表面に開口するとともに、ノズル孔466B,466Fは氷検知板455よりも下方において回転部465の表面に開口している。
【0055】
第2散水ノズル70は、
図24に示すように、ストッカ451の底部451Bの周縁部(つまり、ストッカ451の壁部451A近傍)に取付けられており、大まかには、略筒状をなすノズル本体71と、ノズル本体71の有する貫通孔72に挿通される弁体73と、弁体73をノズル本体の筒開口を閉塞する方向に付勢する圧縮バネ等からなる弾性体75と、を含んで構成されている。ノズル本体71は貫通孔72が上下方向に沿うように底部451Bに固定され、ストッカ451の外側の端部が分岐路S31に接続されている。弁体73は、貫通孔72に挿通される部分である軸部73Bと、軸部73Bの先端に備えられて、ノズル本体71の筒開口にストッカ451の内側から当接することでこの筒開口を閉塞することができる頭部73Aと、頭部73Aと軸部73Bとの接続部において外嵌されているOリング74とを有している。そして水道管等から第3給水路S3および分岐路S31を通じてノズル本体71の貫通孔72に水が供給されると、
図25に示すように、その水圧を受けた弁体73は弾性体75による付勢力に抗して上方に変位し、ノズル本体71の筒開口を開放するとともに、スノコ部57の下面(裏面)に向けて水を円錐面状に散水する。ここで、ノズル本体71には、弁体73よりもストッカ451の壁部451Aの側において、上方に向けて立ち上がる側壁部71Aを備えている。これにより、ノズル本体71の筒開口から円錐面状に散水された水のうち、壁部451Aの側に向けて噴出された水は、側壁部71Aに当たってその向きを上方に変えられ、上方に位置するスノコ部57の裏面に噴出される。
【0056】
上記の製氷機400によると、回転部465は、略中空球形をなしている。このことによって、他の形態の回転部を備える散水ノズルと比較して、遠心力の作用によってより上方に配される上ノズル孔(ノズル孔466A,466E)から噴出させる水量を相対的に多くすることができる。また、ノズル孔466A,466Eから噴出される水は氷検知板455の上方に噴出されるとともに、ノズル孔466B,466Fから噴出される水は氷検知板455の下面に向けて噴出されるため、氷検知板455の上面および下面を十分な量の水によって洗浄することができる。さらに、回転部465は下方に向けて延びるノズル孔466C,466D,466G,466Hを備えており、ストッカ451の中央部に配置されるアジテータ56やスノコ部57の上面等を好適に洗浄することができる。さらに、上記の製氷機400はストッカ451の底部451Bに第2散水ノズル70を備えることから、スノコ部57の下面をも洗浄することができる。これにより、簡単な構成によって貯氷部450の内部を壁部451A以外の部材についても洗浄することが可能な製氷機400が提供される。
【0057】
≪実施形態6≫
なお、上記実施形態において、散水ノズル460(すなわち、軸管461および回転部465)は、管軸について、おおよそ2回の回転対称性(2回回転対称性)を有するものとして構成されていた。しかしながら、散水ノズル460の形態はこれに限定されず、例えば、
図22から
図23Cに示されるような構成を備えていてもよい。なお、以下の散水ノズル560の説明において、実施形態5に係る散水ノズル460と共通の構成については説明を省略する。すなわち、散水ノズル560は、
図22に示すように、おおまかに軸管561の管軸について、3回の回転対称性を有している。具体的には、軸管561には、縦孔562Aに連通するとともに、軸管561の外周面に120°(180°÷n、n=3)の間隔で開口する横孔562Bが形成されている。また、
図22に示すように、回転部565に形成された複数のノズル孔566は、軸管561の管軸を含む面(すなわち半径に沿う面)であって管軸の周りを120°(=360°÷3)ずつ区切る3つの面にそれぞれ直交する直交面P51,P52,P53において、回転部565を貫通するように形成されている。また、
図23Aに示すように、回転部565は、直交面P51において、ノズル孔566A,566B,566C,566Dを、
図23Bに示すように、直交面P52において、ノズル孔566E,566F,566F,566Hを、
図23Cに示すように、直交面P53において、ノズル孔566I,566J,566K,566Lを備えている。これらの直交面P51,P52,P53は、管軸からの距離が等しい。また、ノズル孔566A,566B,566C,566Dと、ノズル孔566E,566F,566F,566Hと、ノズル孔566I,566J,566K,566Lとはそれぞれ、
図14に示すように、3つの直交面P51,P52,P53を、それぞれに対応し管軸を含む垂直面によって二分したときの半面のうち、回転部565の回転方向について同じ側に配されている。換言すれば、ノズル孔566A,566B,566C,566Dからなるノズル群と、ノズル孔566E,566F,566F,566Hからなるノズル群と、ノズル孔566I,566J,566K,566Lからなるノズル群とは、管軸周りに120°間隔で配されている。
【0058】
また、
図23Aに示すように、直交面P51において、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば135±5°)となるように回転部565の上流側を貫通するノズル孔566Aと、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば105±5°)となるように回転部565の上流側を貫通するノズル孔566Bと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば85±5°)となるように回転部565の下流側を貫通するノズル孔566Cと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば45±5°)となるように回転部565の下流側を貫通するノズル孔566Dと、を含んでいる。また、回転部565は、例えば
図23Bに示すように、直交面P52において、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば135±5°)となるように回転部565の上流側を貫通するノズル孔566Eと、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば93±5°)となるように回転部565の上流側を貫通するノズル孔566Fと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば80±5°)となるように回転部565の下流側を貫通するノズル孔566Gと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば35±5°)となるように回転部565の下流側を貫通するノズル孔566Hと、を含んでいる。さらに、回転部565は、例えば
図23Cに示すように、直交面P53において、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角(例えば115±5°)となるように回転部565の上流側を貫通するノズル孔566Iと、ノズル軸が管軸となす角度がほぼ直角(例えば88±5°)となるように回転部565の上流側を貫通するノズル孔566Jと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば60±5°)となるように回転部565の下流側を貫通するノズル孔566Kと、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角(例えば25±5°)となるように回転部565の下流側を貫通するノズル孔566Lと、を含んでいる。このような散水ノズル560において、例えば、ノズル軸が管軸となす角度が鈍角となるノズル孔566A,566B,566E,566F,566Iは、上方に向いて回転部565を貫通する上ノズル孔の一例であり、ノズル軸が管軸となす角度が鋭角となるノズル孔566C,566D,566E,566G,566H,566K,566Lは、下方に向いて回転部565を貫通する下ノズル孔の一例である。
【0059】
また、上記実施形態5において第2散水ノズル70は、ノズル本体71と、ノズル本体71の筒開口を開閉する弁体73と、を含む構成であったが、例えば
図26に示すように、第2散水ノズル170は、略筒状をなすノズル本体171を主体として構成されていてもよい。すなわち、ノズル本体171は、第3給水路S31の分岐路S31と連通する貫通孔172を有しており、この貫通孔172はその上端部(下流側の端部)において縮径されて本体側ノズル孔173Aを構成している。これにより、第2散水ノズル170から勢いよく水を噴出することができる。また、ノズル本体171は、本体側ノズル孔173Aよりもストッカ451の壁部451Aの側においてノズル本体171から上方に向けて延設された側壁部171Aを備えており、この側壁部171Aは、側壁部171Aから離れる側に延出することで本体側ノズル孔173Aを上方において覆いつつ、壁部451Aから離れるにつれて上方に向けて傾斜する指向壁部174を有している。そして、この指向壁部174には、上下方向に沿ってこの指向壁部174を貫通する側壁側ノズル孔173Bが形成されている。側壁側ノズル孔173Bは、上下方向において本体側ノズル孔173Aと一部が重なりつつ、本体側ノズル孔173Aのノズル軸よりも、側壁側ノズル孔173Bのノズル軸が側壁部171Aの側にずれている。このような構成によると、本体側ノズル孔173Aから上方に向けて噴出される散水のうち、その一部は指向壁部174の下面に沿ってストッカ451の壁部451Aから離れる方向に向きを変えられ、スノコ部75の下面のうちよりストッカ451の中心側に向けて噴出されることとなる。また、本体側ノズル孔173Aから上方に向けて噴出される散水のうち他の一部は、側壁側ノズル孔173Bを通じてそのまま上方に抜け、スノコ部75の下面のうち、第2散水ノズル170の上方に配される部分に噴出される。このことにより、簡単な構成の第2散水ノズル170によってスノコ部75の下面を効率よく洗浄することができる。
【0060】
<他の実施形態>
ここに開示される技術は、上記の実施形態に開示されたものに限定されるものではなく、例えば、以下の態様もここに開示される技術範囲に含まれる。また、ここに開示される技術は、その本質から逸脱しない範囲において種々変更された態様で実施することができる。
(1)上記実施形態における散水ノズルの回転部の形状、ノズル孔が形成される直交面の数、1つの直交面に形成されるノズル孔の数および各ノズル軸の角度、およびこれらの組み合わせは、上の具体例に限定されることなく、種々に改変することができる。例えば、回転部は中空多角柱形状等であってよい。また、ノズル孔が回転部を貫通するように形成される直交面の数nは、例えば2以上10以下程度であってよく、好ましくは2以上6以下である。
(2)上記実施形態5において、ストッカ451の底部451Bには、第2ノズル70が1つのみ備えられていた。しかしながら、ストッカの底部に設けられる第2ノズルの数はこれに限定されず、2つ以上の第2ノズルが備えられていてもよい。N個以上(Nは2以上の自然数であり、例えば2以上6以下。)の第2ノズルが備えられる場合、第2ノズルは、ストッカの底部の中心に対して放射状に(360÷N)°間隔で設けると、スノコ部の下面をより均等に洗浄できるために好ましい。この場合、それぞれの第2ノズルについて分岐路S31が設けられる。
(3)以上の実施形態に開示された製氷機は、いずれも製氷部がオーガ式の製氷ユニットを備えるものであったが、製氷ユニットの構成は上記例に限定されず、例えば、流下式製氷ユニットなどを備える製氷機にも適用することができる。また、上記の製氷機に備えられている散水ノズルを備える貯氷部は、簡単な構成でありながら、一般的な水道管や給水ポンプ等によって送られる水の圧力によって容易に回転される散水ノズルを備えていることから、水を供給するだけでその内部をくまなく洗浄することが可能とされている。したがって、このような散水ノズルを備える貯氷部は、製氷機に備えられる貯氷部のみに限定されることなく、例えば、給排水機構を備える給茶機等の貯水タンクや、冷凍ユニットを備える冷却貯蔵庫等の貯蔵容器の洗浄に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1,400…製氷機、5…製氷部、10…冷凍ユニット、20…製氷ユニット、30…給排水機構、50,450…貯氷部、455…氷検知板、56…アジテータ、57…スノコ部、60,160,260,360,460,560…散水ノズル、61,161,261,361,461,561…軸管、65,165,265,365,465,565…回転部、66,166,266,366,466,566…ノズル孔