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特許7489883防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法
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  • 特許-防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法 図1
  • 特許-防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法 図2
  • 特許-防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法 図3
  • 特許-防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240517BHJP
   F21V 25/12 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 23/04 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240517BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240517BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240517BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240517BHJP
   F21W 131/40 20060101ALN20240517BHJP
【FI】
F21S2/00 663
F21V25/12
F21V23/04
F21V23/00 120
F21V17/00 150
F21V17/00 250
F21V7/00 310
F21Y115:10
F21W131:40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020163185
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055646
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信二
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-066945(JP,A)
【文献】特開2013-020857(JP,A)
【文献】特開2017-157384(JP,A)
【文献】特開2005-093246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 25/12
F21V 23/04
F21V 23/00
F21V 17/00
F21V 7/00
F21Y 115/10
F21W 131/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から電力供給を受ける電気部品が防爆容器内に収納された防爆機器であって、
前記防爆容器は、所要の防爆構造規格に適合した既製部品を転用したものであり、
防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品が前記防爆容器の外部に配置され、
前記電気部品が前記外装部品と連関することで所期の機能を発揮する防爆機器。
【請求項2】
前記電気部品への通電を制御する制御部を備える、請求項1に記載の防爆機器。
【請求項3】
前記電源として前記電気部品へ電力を供給するための内部電源を備える、請求項1または2に記載の防爆機器。
【請求項4】
前記電気部品と前記内部電源との間の電路に設けられた電源切替手段を備え、
記電源切替手段のオン・オフ状態が切り替えられる、請求項3に記載の防爆機器。
【請求項5】
前記電気部品は、LED光源を含み、
前記外装部品は、透光性を有するグローブを含む、請求項1からの何れか1項に記載の防爆機器。
【請求項6】
前記LED光源からの出射光を反射させる反射部材を含み、当該反射部材が前記外装部品として前記防爆容器の外部に、または、前記防爆容器内に設けられている、請求項に記載の防爆機器。
【請求項7】
電源から電力供給を受ける電気部品が防爆容器内に収納された防爆機器の製造方法であって、
所要の防爆構造規格に適合した既製部品を前記防爆容器として転用し、
防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品を前記電気部品と連関するように前記防爆容器の外部に取り付けるステップを含む、防爆機器の製造方法。
【請求項8】
電源から電力供給を受ける電気部品が防爆容器内に収納された防爆機器に所期の機能を発揮させる方法であって、
所要の防爆構造規格に適合した既製部品を前記防爆容器として転用し、
防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品を前記防爆容器の外部に配置し、当該外装部品を前記電気部品と連関させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源から電力供給を受ける電気部品が防爆容器内に収納された防爆機器及びその製造方法、並びに、このような防爆機器に所期の機能を発揮させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
爆発性雰囲気下で使用する電気機器には、電気機器を構成する電気部品が着火源となって爆発が発生するおそれがあることから、防爆対策を講じることが求められる。このような防爆仕様の電気機器(以下「防爆機器」という。)の一例として、特許文献1には、着火源となり得るLEDなどの電気部品を防爆容器内に収納した照明装置が開示されている。このほか、光源を覆うグローブ部分を含む本体の周囲を防爆容器で全体的に覆った防爆仕様の回転式警告灯なども知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-044872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような防爆機器では、所要の防爆構造規格に適合した仕様が要求されるが、機器全体を防爆容器で覆うとなると、機器全体のサイズや重量が増大し、ひいてはコスト高の要因にもなり得る。また、上記規格に適合する限り、機器全体を防爆とする必要もない。
【0005】
上記した課題に鑑み、本発明は、所期の機能を発揮する防爆機器を低コストで簡単に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、電源から電力供給を受ける電気部品が防爆容器内に収納された防爆機器であって、防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品が前記防爆容器の外部に配置され、前記電気部品が前記外装部品と連関することで所期の機能を発揮する。
【0007】
上記構成に加えて、前記電気部品への通電を制御する制御部を備えていてもよい。
【0008】
さらに、前記電源として前記電気部品へ電力を供給するための内部電源を備えていてもよい。
【0009】
この場合に、前記電気部品と前記内部電源との間の電路に設けられた電源切替手段を備え、前記制御部によって前記電源切替手段のオン・オフ状態が切り替えられるように構成しても構わない。
【0010】
また、前記防爆容器は、所要の防爆構造規格に適合した既製部品を転用したものであってもよい。
【0011】
前記電気部品は、LED光源を含み、前記外装部品は、透光性を有するグローブを含み得る。
【0012】
さらに、前記LED光源からの出射光を反射させる反射部材を含み、当該反射部材が前記外装部品として前記防爆容器の外部に、または、前記防爆容器内に設けられているような構成であってもよい。
【0013】
また、本発明は、電源から電力供給を受ける電気部品が防爆容器内に収納された防爆機器の製造方法であって、防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品を前記電気部品と連関するように前記防爆容器の外部に取り付けるステップを含む。
【0014】
さらに、本発明は、電源から電力供給を受ける電気部品が防爆容器内に収納された防爆機器に所期の機能を発揮させる方法であって、防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品を前記防爆容器の外部に配置し、当該外装部品を前記電気部品と連関させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法によれば、所期の機能を発揮する防爆機器を低コストで簡単に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る防爆機器の概略構成を示す(a)側面図及び(b)縦断面図である。
図2】上記防爆機器と外部機器の概略構成を示すブロック図である。
図3】反射部材とLED光源の配置を示す部分拡大平面図である。
図4】(a)変形例1及び(b)変形例2に係る防爆機器の概要を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法それぞれの実施形態について、防爆仕様の警告灯を例にとり、図面を参照しながら説明する。
【0018】
実施形態に係る警告灯10は、爆発性雰囲気下で使用される防爆仕様の電気機器であって、図1に示すように、防爆容器12を備える。防爆容器12は、本体ケース121と、本体ケース121の開口部を覆うフタ122とを含む。フタ122の中央部分には、本体ケース121の内部に通じる開口部が形成されている。フタ122の開口部は、本体ケース121側からガラス板123で覆われている。防爆容器12は、ガラス板123を通じて本体ケース121の内部空間が視認できるように構成されている。
【0019】
本実施形態で用いられている防爆容器12は、例えば、ガス検知器などの既存の防爆機器に使用されている既製部品を転用したものである。そのため、防爆容器12は、当然ながら、所要の防爆構造規格(例えば、日本産業規格「JIS C 60079-1」耐圧防爆構造“d”など)に適合する。よって、防爆容器12が有する防爆構造部分に関する詳細な説明については省略する。
【0020】
上記した防爆容器12の内部には、LED回路基板14が収納されている。このLED回路基板14には、複数のLED光源16のほか、LED光源16の各々を点灯させるためのLED回路を構成する各種電子部品(トランジスタ、抵抗、コンデンサなど、何れも不図示)が実装されている。
【0021】
図2に示すように、本実施形態の警告灯10は、上記したガス検知器などの外部機器100を介して外部電源である電源PWと電気的に接続されている。LED光源16と電源PWとの間の電路には、電源切替手段であるスイッチSWが設けられている。そして、外部機器100のCPUがスイッチSWのオン・オフ状態を切り替えることにより、LED光源16の各々への通電が制御されるように構成されている。LED光源16の各々は、外部機器100のCPUによってスイッチSWがオンされると、電源PWから電力供給を受けて発光する。
【0022】
一方、防爆容器12の外部には、防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品18が取り付けられている。外装部品18は、グローブ20と反射部材22を含む。グローブ20は、透光性を有する樹脂製の外装部品であり、フタ122の開口部の大きさに応じた外径を有する円筒形状をしている。グローブ20の内周面には、LED光源16からの出射光が拡散しやすくなるように、不図示の凹凸部が形成されている。
【0023】
反射部材22は、グローブ20の内側に配置されている。反射部材22は、漏斗形状の外形を有し、その表面には鏡面加工が施されている。反射部材22は、図1(b)及び図3に示すように、逆円錐状の斜面部分221がLED光源16の各々と対向するような配置となるように構成されている。このため、LED光源16からの出射光をグローブ20の方へ効率よく反射させることが可能となっている。
【0024】
上記構成を有する本実施形態の警告灯10では、防爆容器12内に収納されたLED光源16各々から出射した出射光が、ガラス板123を通じて、防爆容器12の外部へと導かれる。防爆容器12の外部へと導かれた出射光は、その後、反射部材22の表面(斜面部分221)で反射し、グローブ20の方へと向かう。そして、グローブ20の内周面で拡散されながら、グローブ20外部の様々な方向へと導かれる。このようにして、警告灯10は、LED光源16の各々が、外装部品18と連関することで、所期の機能、すなわち、警告すべき事象の発生を光により報知する機能を発揮するのである。
【0025】
なお、上記した警告灯10は、外装部品18(グローブ20及び反射部材22)が上記のような構成に設計されていることで、フタ122の開口部の位置に合わせて、外装部品18を防爆容器12の外部に取り付けさえすれば、外装部品18がLED光源16と連関するような配置となる。また、外装部品18は、防爆対策が要求されない非電気部品であるため、防爆容器12内に電気部品が組み込まれた中間部品に対して、所定の位置に取り付けるというワンステップで、警告灯10が防爆機器として完成する。したがって、警告灯10の製造が簡単になるといった利点も得られる。加えて、防爆容器12に既製部品を転用しているので、コスト面でも有利である。さらに、外装部品18を防爆容器12の外部に取り付けるだけで所期の機能を発揮する防爆機器とすることができるので、防爆容器12自体の大型化を回避できる。
【0026】
このように、本実施形態の警告灯10によれば、防爆性能を有さず、電気部品ではない外装部品18を防爆容器12の外部に配置し、これを防爆容器12内の電気部品(LED光源16)と連関させる構成とすることで、所期の機能を発揮する防爆機器を低コストで簡単に提供することができる。
【0027】
以上、本発明に係る防爆機器、及び、防爆機器の製造方法、並びに、防爆機器に所期の機能を発揮させる方法の各々を実施形態に基いて説明してきたが、本発明は上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態としても構わない。なお、以下の説明では、上記実施形態と実質的に同じ構成部分については、実施形態と同じ符号を付して、その説明については必要に応じて言及するに止め、異なる部分を中心に説明することとする。
【0028】
<変形例1>
上記実施形態では、防爆機器である警告灯10が、ガス検知器などの外部機器と電気的に接続されており、当該外部機器からの出力信号に基づいて、電気部品であるLED光源16の各々への通電が制御されるように構成されているが、電気部品への通電を制御する制御部を防爆機器側に設けても構わない。
【0029】
図4(a)に示すように、変形例1に係る警告灯10Aは、制御部として機能するMCU24がLED回路基板14に実装されている。また、LED光源16と外部の電源26との間の電路には、電源切替手段として、リレー回路の接点28が設けられている。この変形例1では、ガス検知器などの外部機器からの出力信号に基づいて、MCU24が接点28のオン・オフ状態を制御するように構成されている。
【0030】
<変形例2>
上記実施形態及び変形例1では、警告灯は外部の電源から電力供給を受けるように構成されているが、警告灯自体が内部電源を備える構成であっても構わない。
【0031】
図4(b)に示すように、変形例2に係る警告灯10Bは、電池30と、外部機器と通信可能な無線通信モジュール32を備える。この変形例2では、外部機器から送信された制御指令を無線通信モジュール32が受信した場合のみ接点28をオンにする。これにより、信号・電源配線が不要な警告灯を提供することが可能になるとともに、電池30の電池寿命の長期化を図ることができる。
【0032】
なお、防爆容器内の電気部品への通電制御は、これら変形例1,2で説明した態様に限られるものではない。例えば、変形例2では、電池30と、外部機器と通信可能な無線通信モジュール32を備える例を示したが、外部機器との通信は無線通信に限らず、有線通信であってもよい。また、上記実施形態や変形例1のように、外部電源を電源とし、外部機器との間で無線通信を行うことで電気部品への通電を制御するようにしてもよい。あるいは、内部電源からの電気部品への通電を外部機器からの出力信号に基づいて制御するようにしてもよい。
【0033】
<その他の変形例>
(1)上記実施形態及び変形例において、反射部材22は外装部品18として防爆容器12の外部に配置されているが、防爆容器の内部に配置しても構わない。すなわち、グローブのみを外装部品とする形態であっても構わない。あるいは、防爆容器の内部と外部の両方に反射部材を配置してもよい。要するに、外装部品は、連関させる電気部品との関係性や利用する防爆容器の形態に応じた適当な設計とすることが望ましい。
【0034】
(2)上記実施形態及び変形例では、外装部品が1つまたは2つの例を示したが、外装部品は3つ以上であってもよい。また、上記実施形態及び変形例では、外装部品が防爆容器の一方側にのみ設けられる例を示したが、外装部品は防爆容器のいずれの位置に設けられてもよく、複数箇所に設けられてもよい。要は、防爆容器内の電気部品と連関して所期の機能を発揮し得る態様で外装部品が設けられていればよい。
【0035】
(3)上記実施形態及び変形例では、既製部品の防爆容器を、本来目的とする機器とは別の用途の機器に転用することとしているが、防爆容器は専用設計したものであっても勿論構わない。
【0036】
(4)上記実施形態及び変形例では、光源としてLEDを示したが、光源はこれに限られない。公知の電灯に使用される種々の光源を利用することが可能である。
【0037】
(5)上記実施形態及び変形例では、防爆容器として、ガス検知器などの既存の防爆機器に使用されている既製部品を転用した例を示したが、これに限られず、例えばガス検知器などの既存製品そのものを防爆容器とし、そこに外装部品を取り付けるようにしてもよい。例えば、既存のガス検知器に外装部品としてグローブや反射部材を取り付けることで、報知機能を強化したガス検知器を容易に提供することができるようになる。また、既存製品の防爆機器に外装部品を取り付けることで、当該防爆機器が本来有する機能とは別の新たな機能を付加するような態様で実施することとしても構わない。
【0038】
(6)上記実施形態及び変形例では、電源切替手段として、スイッチSWやリレー回路の接点28が採用されているが、これに限られず、例えばトランジスタやFET(電界効果トランジスタ)などの公知のスイッチング素子を採用してもよい。また、専用のスイッチICにより電源のオン・オフ状態を切り替えるような構成であっても構わない。要するに、電源切替手段は、機械式スイッチであるか電子式スイッチであるかを問わない。
【0039】
(7)上記実施形態及び変形例では、防爆機器として警告灯を例示したが、爆発性雰囲気下で使用する他の防爆機器(例えば、表示灯や誘導灯といった照明機器、ブザーなど)にも幅広く適用することが可能な技術である。
【0040】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0041】
10 警告灯(防爆機器)
12 防爆容器
14 LED回路基板
16 LED光源(電気部品)
18 外装部品

図1
図2
図3
図4