(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】物品の梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65B 53/02 20060101AFI20240517BHJP
B65B 53/00 20060101ALI20240517BHJP
B65D 85/02 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B65B53/02 F
B65B53/00 B
B65B53/02 C
B65D85/02
(21)【出願番号】P 2020174935
(22)【出願日】2020-10-16
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】間▲崎▼ 卓明
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-246098(JP,A)
【文献】実開昭56-150789(JP,U)
【文献】特開2007-176508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/02
B65B 53/00
B65D 85/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性シートによって梱包された、環状形態の物品を得るための、物品の梱包方法であって、
前記物品を横向きにして吊り下げておき、熱収縮性シートによって、前記物品を覆う、被覆工程と、
前記物品を覆った前記熱収縮性シートを、予備的に加熱して半梱包品を形成する、予備加熱工程と、
前記半梱包品を、一対のレールを備えているコンベアに搬送し、前記コンベアの上方に到達させる、半梱包品搬送工程と、
前記半梱包品が前記コンベアの上方に到達した後、前記コンベアの前記一対のレールの少なくとも一方を移動させることにより、前記一対のレールの間の間隔を狭めさせる、コンベア間隔縮小工程と、
前記間隔を狭めさせた後、前記
熱収縮性シートの下側部分が前記レールに干渉しても、当該熱収縮性シートの下側部分が前記レールに巻き込まれないように設定された間隔が残るように、前記レールの移動を停止させる、コンベア移動停止工程と、
前記レールの移動を停止した後、前記半梱包品を、前記
一対のレール上に載置する、半梱包品載置工程と、
を含んでいる、物品の梱包方法。
【請求項2】
前記半梱包品が前記コンベア上から除かれた後、前記一対のレールの少なくとも一方を移動させることにより、前記間隔を拡げさせる、コンベア間隔拡大工程をさらに含んでいる、請求項1に記載された、物品の梱包方法。
【請求項3】
前記レールの移動によって拡げられた前記間隔は、前記一対のレールの当初の間隔である、請求項2に記載された、物品の梱包方法。
【請求項4】
前記レールの移動によって拡げられた前記間隔は、前記物品の最大幅以上である、請求項2又は3に記載された、物品の梱包方法。
【請求項5】
前記一対のレールは、当該一対のレールの両方を互いに逆方向に移動することによって、前記間隔を変化させる、請求項2~4のいずれか1項に記載された、物品の梱包方法。
【請求項6】
前記熱収縮性シートに対する予備的な加熱は、前記物品の上端側縁を覆っている当該熱収縮性シートに対して行う、請求項1~5のいずれか1項に記載された、物品の梱包方法。
【請求項7】
前記熱収縮性シートに対する予備的な加熱は、前記物品の下端側縁を覆っている当該熱収縮性シートに対して行う、請求項1~6のいずれか1項に記載された、物品の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、物品の梱包方法としては、例えば、ホースを巻かれた状態にすることによって環状形態の物品とし、当該環状形態の物品を熱収縮性シートによって梱包する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱収縮性シートを用いた梱包方法では、例えば、物品を熱収縮性シートで包んで予備的な加熱を行うことによって半梱包品を形成した後、加熱炉内で前記半梱包品に本格的な加熱を行うことによって前記熱収縮性シートを完全に熱収縮させる。これによって、物品を熱収縮性シートで強固に包んで梱包することができる。
【0005】
しかしながら、上記の梱包方法では、前記加熱炉までの搬送を目的に、前記半梱包品をコンベア上に載置しようとするときに、当該半梱包品を形成する熱収縮性シートの一部が物品から垂れ下がった状態となる。この場合、前記物品から垂れ下がった熱収縮性シートの一部は、例えば、当該物品と前記コンベアとの間で踏み付けられてしまうことによって、半梱包品としての搬送中に破れなどを生じさせることが懸念される。このように、従来の梱包方法には、梱包時における加工性について改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、梱包時における加工性が改善された、物品の梱包方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る、物品の梱包方法は、熱収縮性シートによって梱包された、環状形態の物品を得るための、物品の梱包方法であって、前記物品を横向きにして吊り下げておき、熱収縮性シートによって、前記物品を覆う、被覆工程と、前記物品を覆った前記熱収縮性シートを、予備的に加熱して半梱包品を形成する、予備加熱工程と、前記半梱包品を、一対のレールを備えているコンベアに搬送し、前記コンベアの上方に到達させる、半梱包品搬送工程と、前記半梱包品が前記コンベアの上方に到達した後、前記コンベアの前記一対のレールの少なくとも一方を移動させることにより、前記一対のレールの間の間隔を狭めさせる、コンベア間隔縮小工程と、前記間隔を狭めさせた後、前記間隔が残るように、前記レールの移動を停止させる、コンベア移動停止工程と、前記レールの移動を停止した後、前記半梱包品を、前記コンベア上に載置する、半梱包品載置工程と、を含んでいる。本発明に係る、物品の包装方法は、梱包時における加工性が改善される。
【0008】
本発明に係る、物品の梱包方法は、前記半梱包品が前記コンベア上から除かれた後、前記一対のレールの少なくとも一方を移動させることにより、前記間隔を拡げさせる、コンベア間隔拡大工程をさらに含んでいることが好ましい。この場合、物品の梱包を繰り返し行うことができる。
【0009】
本発明に係る、物品の梱包方法において、前記レールの移動によって拡げられた前記間隔は、前記一対のレールの当初の間隔であることが好ましい。この場合、レールの移動を一定の時間間隔で繰り返し行うことができる。
【0010】
本発明に係る、物品の梱包方法において、前記レールの移動によって拡げられた前記間隔は、前記物品の最大幅以上であることが好ましい。この場合、梱包時における加工性をより改善することができる。
【0011】
本発明に係る、物品の梱包方法において、前記一対のレールは、当該一対のレールの両方を互いに逆方向に移動することによって、前記間隔を変化させることが好ましい。この場合、梱包時の作業効率を高めることができる。
【0012】
本発明に係る、物品の梱包方法において、前記熱収縮性シートに対する予備的な加熱は、前記物品の上端側縁を覆っている、当該熱収縮性シートに対して行うことが好ましい。この場合、梱包時の作業効率を高めることができる。
【0013】
本発明に係る、物品の梱包方法において、前記熱収縮性シートに対する予備的な加熱は、前記物品の下端側縁を覆っている、当該熱収縮性シートに対して行うことが好ましい。この場合、梱包時の作業効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、梱包時における加工性が改善された、物品の梱包方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、物品の梱包方法において、熱収縮性シートによって物品を包む工程の一例を、概略的に示す正面図である。
【
図2】
図1の工程を経て、物品が熱収縮性シートによって包まれた状態を、概略的に示す正面図である。
【
図3】
図2の物品を被覆する前記熱収縮性シートを予備的に加熱して半梱包品を形成する工程の一例を、概略的に示す正面図である。
【
図4】
図3の工程を経て形成された半梱包品を、概略的に示す正面図である。
【
図5】一対のレールを備えているコンベア上に、
図4の半梱包品を搬送させた状態を、概略的に示す平面図である。
【
図7】
図4の半梱包品が前記コンベア上に到達した後、前記一対のレールの少なくとも一方を移動させることにより、前記一対のレールの間の間隔を狭めさせた後、前記半梱包品を前記コンベア上に載置した状態を、概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、物品の梱包方法について、説明をする。なお、以下の説明において、「縦向き」とは、上下方向の向きをいう。また、「横向き」とは、上下方向に対して直交する、左右方向(前後方向)の向きをいう。また、以下の説明において、「前向き」とは、物品などが各工程の時系列にしたがって搬送される、搬送方向をいい、また、「後向き」とは、前向きと反対の向きをいう。すなわち、以下の説明において、物品などが搬送される方向を前後方向という。さらに、以下の説明において、「左右方向」とは、上下方向及び前後方向に対して直交する方向をいい、また、幅方向ともいう。
【0017】
本実施形態に係る、物品の梱包方法は、熱収縮性シート1によって梱包された、環状形態の物品2を得るための、物品の梱包方法である。
【0018】
図1を参照すれば、本実施形態において、物品2は、ホースである。本実施形態において、物品2は、環状に巻かれた環状形態のホースである。本実施形態は、主として、第1の処理と第2の処理との、2つの処理を含む。前記第1の処理では、物品2を、未収縮状態の熱収縮性シート1で包んで予備的な加熱(予備加熱)を行うことによって半梱包品3を形成する。前記第2の処理では、加熱炉(図示省略。)内で半梱包品3に本格的な加熱(本加熱)を行うことによって熱収縮性シート1を完全に熱収縮させる。熱収縮させた熱収縮性シート1は、物品2に対して密着させることができる。したがって、本実施形態によれば、物品2を熱収縮性シート1によって強固に包んで梱包することができる。
【0019】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る、物品の梱包方法について説明する。
【0020】
<第1の処理:予備加熱処理>
(仮包装工程)
図1を参照すれば、本実施形態では先ず、仮包装工程を行う。前記仮包装工程では、物品2を横向きにして吊り下げておき、熱収縮性シート1によって、物品2を覆う。
【0021】
図1を参照すれば、この例において、物品2は、搬送用のロボットアーム10によって横向きにして吊り下げられている。ここで、「横向きにして」とは、環状形態の物品2の環状軸線が水平面に対して交差するように(好適には直交するように)配置されている状態を意味する。この例では、ロボットアーム10は、物品2を保持するための、複数の保持部11を備えている。この例では、例えば、
図5に示すように、4つの保持部11が、ロボットアーム10の延在軸線O10(以下、「軸線O10」ともいう。)の周りに配置されている。保持部11は、軸線O10に対して直交方向に延在する方向(軸直方向)に拡大及び縮小させることができる。この例では、
図5の白抜き矢印に示すように、保持部11を拡大させることによって、当該保持部11は、物品2の内側(内周面)に接触させることができる。これによって、保持部11は、例えば、
図6に示すように、物品2を横向きにしてロボットアーム10に対して吊り下げた状態に保持することができる。また、この例では、保持部11を
図7の白抜き矢印の向きに縮小させることによって、物品2の内側から離すことができる。これによって、保持部11は、物品2をロボットアーム10から取り外すことができる。
【0022】
次いで、
図1を参照すれば、この例において、熱収縮性シート1は、縦向きにされた状態で配置されている。この例では、熱収縮性シート1は、未収縮状態の熱収縮性シートである。熱収縮性シート1は、
図1に示すように、矩形のシートである。この例では、熱収縮性シート1の短手方向は、上下方向に延在し、熱収縮性シート1の長手方向は、左右方向に延在している。この例では、熱収縮性シート1の長手方向両側には、それぞれ、ロール部Rが形成されている。ロール部Rは、熱収縮性シート1の長手方向端が上下方向に対して平行な軸線Orの周りに巻き取られることにより形成されている。熱収縮性シート1は、2つのロール部Rの間に延在している部分を前向き(
図1では、図面裏から表に向かう方向)に押し付けることによって、2つのロール部Rから、当該前向きの方向(押し付け方向)に引き出すことができる。
【0023】
本実施形態では、
図1に示すように、2つのロール部Rの間に張り渡された熱収縮性シート1に、ロボットアーム10に吊り下げられた物品2を前方向に押し付ける。これによって、物品2を熱収縮性シート1によって覆うことができる。具体的には、熱収縮性シート1は、2つのロール部Rのそれぞれから引き出されることによって、物品2の前方向から左右方向に向かって、当該物品2の周りを包むように覆うことができる。物品2を熱収縮性シート1で包んだ後、当該熱収縮性シート1の長手方向両側をロール部Rに対して、例えば、カッターを用いて切断すれば、
図2に示すように、物品2を未収縮状態の熱収縮性シート1で包んだ仮包装状態の物品2を得ることができる。
【0024】
(予備加熱工程)
次いで、本実施形態では、予備加熱工程を行う。前記予備加熱工程では、物品2を覆った熱収縮性シート1を、予備的に加熱して半梱包品3を形成する。この場合、熱収縮性シート1は、当該熱収縮性シート1が収縮することによって、物品2の表面に接触した状態に維持される。
【0025】
図2中、符号12は、熱収縮性シート1を予備的に加熱するための加熱手段である。加熱手段12としては、例えば、ヒータ、熱風機が挙げられる。物品2の表面に対する密着性を考慮すれば、熱風機が好ましい。この例では、加熱手段12は、熱風機である。また、この例では、加熱手段12は、物品2の上側に配置された上側加熱手段12aと、物品2の下側に配置された下側加熱手段12bと、を含む。
【0026】
図3を参照すれば、本実施形態において、熱収縮性シート1に対する予備的な加熱は、物品2の上端側縁2aを覆っている当該熱収縮性シート1に対して行う。この場合、熱収縮性シート1は、物品2の上端側縁2aで収縮することによって、
図4に示すように、当該物品2の上端側縁2aに引っ掛かった状態に維持される。この例では、
図3に示すように、予備的な加熱は、2つの上側加熱手段12aによって行われている。この例では、上側加熱手段12aからの熱風Hによって熱収縮性シート1を収縮させる。上側加熱手段12aからの熱風Hは、熱収縮性シート1を物品2の上端側縁2aに押圧させつつ、当該熱収縮性シート1を収縮させる。この例では、2つの上側加熱手段12aは、前後方向を挟んで対向する位置に配置されている。
【0027】
また、
図3を参照すれば、本実施形態において、熱収縮性シート1に対する予備的な加熱は、物品2の下端側縁2bを覆っている当該熱収縮性シート1に対して行う。この場合、物品2から垂れ下がった熱収縮性シート1の一部は、当該物品2の下端側縁2bで収縮することによって、
図4に示すように、当該物品2の下端側縁2bに接した状態に維持される。この例では、
図3に示すように、予備的な加熱は、2つの下側加熱手段12bによって行われている。この例では、下側加熱手段12bからの熱風Hによって熱収縮性シート1を収縮させる。下側加熱手段12bからの熱風Hは、熱収縮性シート1を物品2の下端側縁2bに押圧させつつ、当該熱収縮性シート1を収縮させる。この例では、2つの下側加熱手段12bは、前後方向を挟んで対向する位置に配置されている。
【0028】
図4には、上記予備加熱工程を経て得られた半梱包品3を示す。この例では、熱収縮性シート1は、物品2の上端側縁2aを被覆している部分が収縮することによって、上側収縮部Saを形成している。熱収縮性シート1の上側収縮部Saは、上側加熱手段12aの予備加熱によって形成されている。これによって、熱収縮性シート1は、上側収縮部Saよりも上側に、物品2の最大幅(物品2の外径)W1よりも狭い幅Waを有する上側部分1aを有している。また、この例では、熱収縮性シート1は、物品2の下端側縁2bを被覆している部分が収縮することによって、下側収縮部Sbを形成している。下側収縮部Sbは、下側加熱手段12bの予備加熱によって形成されている。これによって、熱収縮性シート1は、下側収縮部Sbよりも下側に、物品2の最大幅W1よりも狭い幅Wbを有する下側部分1bを有している。
【0029】
(半梱包品搬送工程)
次いで、本実施形態では、半梱包品搬送工程を行う。前記半梱包品搬送工程では、半梱包品3を、一対のレール21を備えているコンベア20に搬送し、コンベア20の上方に到達させる。
【0030】
図5を参照すれば、この例において、半梱包品3は、ロボットアーム10を用いることによって、コンベア20上に搬送される。コンベア20上に載置された半梱包品3は、2つのレール21によって、当該レール21の延在方向に搬送される。レール21は、ベルト式、ローラ式、振動式など、2つのレール21上を搬送できる方式の搬送レールであればよい。この例では、レール21は、無端帯状のベルトを回転駆動させる、ベルト式の搬送レールとしている。
【0031】
レール間隔W20の当初の間隔は、熱収縮性シート1の厚さ、熱収縮性シート1の大きさ、熱収縮性シート1の材質、物品2の最大幅W1、物品2の最小幅(物品2の内径)W2、物品2そのものの形状、物品2の環状形態の形状、物品2の重量などによって、適宜、設定することができる。ただし、レール間隔W20は、物品2の最大幅W1以上の間隔であることが好ましい。この例では、レール間隔W20は、物品2の最大幅W1よりも大きい。この場合、
図6に示すように、2つのレール21は、熱収縮性シート1の下側部分1bと干渉させることなく、コンベア20に搬送させることができる。
【0032】
(コンベア間隔縮小工程)
次いで、本実施形態では、
図7に示すように、半梱包品3がコンベア20の上方に到達した後、コンベア間隔縮小工程を行う。前記コンベア間隔縮小工程は、コンベア20の一対のレール21の少なくとも一方を移動させることにより、前記一対のレール21の間の間隔(以下、「レール間隔」ともいう。)W20を狭めさせる。
【0033】
また、一対のレール21は、少なくともいずれか一方のレール21を移動させることによって、レール間隔W20を変化させることができる。この例では、一対のレール21は、互いに移動することによって、レール間隔W20を変化させる。この例では、2つのレール21は、当該2つのレール21の幅方向中央を通って前後方向に延在する搬送軸線O20に対して対称に移動させることができる。すなわち、この例では、2つのレール21の移動量は、同一である。
【0034】
(コンベア移動停止工程)
次いで、本実施形態では、コンベア移動停止工程を行う。前記コンベア移動停止工程では、レール間隔W20を狭めさせた後、当該レール間隔W20が残るように、レール21の移動を停止させる。
【0035】
この例では、
図7に示すように、レール21の移動は、レール間隔W20が予め設定された設定間隔Woに至るまで行う。これによって、この例において、レール21の移動は、レール間隔W20が残るように停止させることができる。設定間隔Woは、熱収縮性シート1の下側部分1bが2つのレール21に干渉しない幅であることが好ましい。本実施形態では、
図8に示すように、設定間隔Woは、熱収縮性シート1の下側部分1bがレール21に干渉しても、当該熱収縮性シート1の下側部分1bがレール21に巻き込まれないように設定されている。設定間隔Woは、設定間隔Woは、熱収縮性シート1の厚さ、熱収縮性シート1の大きさ、熱収縮性シート1の材質、物品2の最大幅W1、物品2の最小幅(物品2の内径)W2、物品2そのものの形状、物品2の環状形態の形状、物品2の重量などによって、適宜、設定することができる。
【0036】
(半梱包品載置工程)
次いで、本実施形態では、半梱包品載置工程を行う。前記半梱包品載置工程では、レール21の移動を停止した後、半梱包品3を、コンベア20上に載置する。
【0037】
この例では、
図7に示すように、ロボットアーム10に設けられた保持部11を縮小させることによって、半梱包品3をロボットアーム10から取り外すことができる。これによって、半梱包品3は、
図8に示すように、コンベア20の2つのレール21上に載置させることができる。
【0038】
<第2の工程:本加熱処理>
半梱包品3は、コンベア20によって、加熱炉(図示省略)に搬送される。前記加熱炉内では、半梱包品3に対して、前記予備加熱よりも高い温度で、本加熱が行われる。熱収縮性シート1は、本加熱によって、完全に熱収縮させることができる。これによって、熱収縮させた熱収縮性シート1は、物品2に対して密着させることができる。したがって、本実施形態によれば、物品2を熱収縮性シート1によって強固に包んで梱包することができる。
【0039】
(コンベア間隔拡大工程)
次いで、本実施形態では、コンベア間隔拡大工程を行う。前記コンベア間隔拡大工程では、半梱包品3がコンベア20上から除かれた後、一対のレール21の少なくとも一方を移動させることにより、レール間隔W20を拡げさせる。これによって、新たな物品2の梱包を繰り返し行うことができる。
【0040】
レール間隔W20を拡げる場合も、レール間隔W20を狭めるときと同様、一対のレール21は、少なくともいずれか一方のレール21を移動させることによって、レール間隔W20を変化させることができる。この例では、一対のレール21は、互いに移動することによって、レール間隔W20を変化させる。この例では、2つのレール21は、当該2つのレール21の幅方向中央を通って前後方向に延在する搬送軸線O20に対して対称に移動させることができる。すなわち、この例では、2つのレール21の移動量は、レール間隔W20を狭めるときと同様、同一である。
【0041】
上述のとおり、本実施形態に係る、物品の包装方法によれば、コンベア20に設けられたレール間隔W20を拡大させた状態で半梱包品3を搬送し、当該半梱包品3をコンベア20上に載置するときに、レール間隔W20を縮小させる。これによって、熱収縮性シート1とコンベア20との干渉を極力回避することができる。したがって、本実施形態に係る、物品の包装方法によれば、熱収縮性シート1とコンベア20との干渉が極力回避されることによって、熱収縮性シート1を用いた梱包時における、当該熱収縮性シート1の加工性が改善されている。
【0042】
また、熱収縮性シート1としては、例えば、シュリンクフィルムが挙げられる。さらに、未収縮状態の熱収縮性シート1として、剛性の高い熱収縮性シートを用いる場合、包装材としての熱収縮性シートの強度を高めることができる。
【0043】
しかしながら、熱収縮性シートの剛性を高めた場合、それと同時に、当該熱収縮性シートの収縮性能が低下してしまう場合がある。したがって、剛性の高い熱収縮性シートに包まれた半梱包品をコンベア20によって搬送する場合、例えば、熱収縮性シートの下側部分1bがレール21に干渉してしまうと、加工トラブルを生じることが懸念される。例えば、熱収縮性シート1の下側部分1bが物品2とコンベア20との間に入った場合、熱収縮性シート1の下側部分1bは、物品2とコンベア20との間に拘束される。これによって、熱収縮性シート1の下側部分1bは、加熱炉内での本加熱の際に、十分に収縮させることができなくなることが懸念される。
【0044】
これに対し、本実施形態に係る梱包方法によれば、熱収縮性シート1として、剛性の高い熱収縮性シートを用いた場合でも、熱収縮性シート1の下側部分1bがコンベア20と干渉することによって生じ得る加工トラブルを抑制することができる。したがって、本実施形態に係る梱包方法は、、熱収縮性シート1として、剛性の高い熱収縮性シートを用いた場合でも、梱包時における加工性が確保されることから、剛性の高い熱収縮性シートを用いた場合に有効である。
【0045】
また、本実施形態に係る、物品の梱包方法は、半梱包品3がコンベア20上から除かれた後、一対のレール21の少なくとも一方を移動させることにより、レール間隔W20を拡げさせる。この場合、物品2の梱包を繰り返し行うことができる。
【0046】
また、本実施形態に係る、物品の梱包方法において、レール21の移動によって拡げられたレール間隔W20は、一対のレール21の当初の間隔である。この場合、レール21の移動を一定の時間隔間で繰り返し行うことができる。
【0047】
また、本実施形態に係る、物品の梱包方法において、レール21の移動によって拡げられたレール間隔W20は、物品2の最大幅w1以上である。この場合、熱収縮性シート1とコンベア20との干渉をより確実に回避することができる。したがって、この場合、加工性をより改善することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る、物品の梱包方法において、一対のレール21は、当該一対のレールの両方を互いに逆方向に移動することによって、レール間隔W20を変化させる。この場合、半梱包品3をコンベア20まで搬送するときの、当該半梱包品3の搬送経路は、搬送軸線Oに沿った一直線上の最短経路とすることができる。言い換えれば、梱包までのタクトタイムを短縮させることができる。したがって、この場合、梱包時の作業効率を高めることができる。
【0049】
また、本実施形態に係る、物品の梱包方法において、熱収縮性シート1に対する予備的な加熱は、物品2の上端側縁2aを覆っている当該熱収縮性シート1に対して行っている。この場合、物品2よりも上に位置する熱収縮性シート1の一部(上側収縮部Sa)は、物品2の上端側縁2aで収縮することによって、当該物品2の上端側縁2aに引っ掛かった状態に維持される。これによって、半梱包品3をコンベア20まで搬送するとき、熱収縮性シート1が物品2から脱落することを回避することができる。したがって、この場合、梱包時の作業効率を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る、物品の梱包方法において、熱収縮性シート1に対する予備的な加熱は、物品2の下端側縁2bを覆っている当該熱収縮性シート1に対して行っている。この場合、物品2から垂れ下がった熱収縮性シート1の一部(下側収縮部Sb)は、当該物品2の下端側縁2bで収縮することによって、当該物品2の下端側縁2bに接した状態に維持される。これによって、熱収縮性シート1とコンベア20との干渉をより確実に回避することができる。したがって、この場合、梱包時の作業効率を高めることができる。
【0051】
なお、本実施形態に係る、物品の梱包方法は、上述のとおり、ロボットアーム10、ロボットハンド(保持部11)及びコンベア20を用いることによって実行されている。この場合、これらの機械要素の動作及び各機械要素の動作タイミングは、コンピュータなどの指令演算装置を用いて自動制御されている。ただし、本実施形態に係る、物品の梱包方法は、上記機械要素の動作及び各機械要素の動作タイミングを手動で行うことも可能である。
【0052】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。本発明において、「環状形態の物品」とは、上記実施形態に係る、「ホース」のように、「環状の巻かれた線状の物品」に限定されるものではない。本発明において、「環状形態の物品」には、「環状の物品」が含まれる。こうした環状の物品としては、例えば、タイヤが挙げられる。
【符号の説明】
【0053】
1:熱収縮性シート, 1a:熱収縮性シートの上側部分, 1b:熱収縮性シートの下側部分, R:熱収縮性シートのロール部, Sa:熱収縮性シートの上側収縮部, Sb:熱収縮性シートの下側収縮部, 2:物品, 2a:物品の上端側縁, 2b:物品の下端側縁, 3:半梱包品, 10:ロボットアーム, 11:保持部, 12:加熱手段, 12a:上側加熱手段, 12b:下側加熱手段, 20:コンベア, 21:レール, W1:物品の最大幅, W2:物品の最小幅, Wa:熱収縮性シートの上側部分の幅, Wb:熱収縮性シートの下側部分の幅, W20:レール隙間, O10:ロボットアームのレール隙間, O20:搬送軸線