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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】認証システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240517BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G06T7/00 510A
A61C19/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020187265
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076729
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 継泰
(72)【発明者】
【氏名】檜山 聡
(72)【発明者】
【氏名】土井 千章
(72)【発明者】
【氏名】荒木 尊士
【審査官】小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-293689(JP,A)
【文献】特開2009-050632(JP,A)
【文献】特開2002-095651(JP,A)
【文献】特開2004-209244(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141760(WO,A1)
【文献】特開2020-108598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像された口腔画像を予め保存されたユーザの口腔画像と照合することによりユーザの認証処理を実施する認証システムであって、
ユーザの口腔画像に基づいて、少なくとも1本の歯を含んで構成される歯部分の異常の有無に関する状態を、前記歯部分ごとに判定する状態判定部と、
前記歯部分の状態に基づいて前記認証処理における重みを前記歯部分ごとに設定する重み設定部と、
前記歯部分ごとに設定された重みに従って前記認証処理を実施する認証部と、
前記認証部による認証結果を出力する出力部と、
を備える認証システム。
【請求項2】
前記状態判定部は、前記歯部分ごとに、色及び形状の少なくともいずれか一方の状態を判定する、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記重み設定部は、
前記歯部分の色に異常があると判定された場合に、認証処理における当該歯部分の色による照合の重みをゼロに設定し、
前記歯部分の形状に異常があると判定された場合に、認証処理における当該歯部分の形状による照合の重みをゼロに設定する、
請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記状態判定部は、歯及び該歯の根元の歯茎部分を含む前記歯部分の状態を判定し、
前記歯茎部分は、歯茎における歯の根元の部分を含む一定範囲の部分である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項5】
前記重み設定部は、
前記歯部分のうちの歯に異常が有ると判定された場合に、認証処理における前記歯部分のうちの前記歯による照合の重みをゼロに設定し、
前記歯部分のうちの歯茎部分に異常が有ると判定された場合に、認証処理における前記歯部分のうちの前記歯茎部分による照合の重みをゼロに設定する、
請求項4に記載の認証システム。
【請求項6】
前記認証部における認証処理の結果に応じて所定のアプリケーションのログイン処理を実施するログイン処理部、をさらに備える、
請求項1~5のいずれか一項に記載の認証システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの口の領域を撮像した口腔画像を予め登録された画像と照合することにより、ユーザを認証する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-22365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口腔内の歯及び歯茎等は、疾患等に起因して色及び形状等の状態が変化する場合がある。口腔内の歯及び歯茎等の異常の発生により、認証のために予め登録された画像との差異が生じると、ユーザの認証がされないといった不具合が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、口腔内の歯及び歯茎等の異常が有る場合であっても、ユーザの認証を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一形態に係る認証システムは、撮像された口腔画像を予め保存されたユーザの口腔画像と照合することによりユーザの認証処理を実施する認証システムであって、ユーザの口腔画像に基づいて、少なくとも1本の歯を含んで構成される歯部分の異常の有無に関する状態を、歯部分ごとに判定する状態判定部と、歯部分の状態に基づいて認証処理における重みを歯部分ごとに設定する重み設定部と、歯部分ごとに設定された重みに従って認証処理を実施する認証部と、認証部による認証結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
上記の形態によれば、歯部分の異常の有無が歯部分ごとに判定され、判定の結果に基づいて歯部分ごとに重みが設定される。これにより、歯等に異常がある場合には、認証処理において歯部分ごとに認証の対象から除外することができる。従って、口腔内の歯及び歯茎等に異常が有る場合であっても、ユーザの認証が可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一形態によれば、口腔内の歯及び歯茎等の異常が有る場合であっても、ユーザの認証が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の認証システムの装置構成を示す図である。
図2】本実施形態の認証装置の機能的構成を示すブロック図である。
図3】認証装置のハードブロック図である。
図4】口腔画像の例を示す図である。
図5】状態判定の対象となる歯部分を示す図である。
図6】歯部分の状態と設定される重みとを関連付けたテーブルの例を示す図である。
図7】歯部分の異常の有無に関する状態を模式的に示す図である。
図8】状態判定処理及び重み設定処理の処理内容を示すフローチャートである。
図9】認証装置における認証方法の処理内容を示すフローチャートである。
図10】認証プログラムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る認証装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る認証装置を含む認証システムの装置構成を示す図である。図1に示されるように、認証システム1は、ネットワークを介して互いに通信可能に構成された認証装置10及び端末20を含む。認証装置10は、認証用画像記憶部30にアクセス可能に構成されている。
【0012】
認証装置10は、撮像された口腔画像を予め保存されたユーザの口腔画像と比較することによりユーザの認証処理を実施する装置である。口腔画像は、ユーザの口腔内を撮像した画像であって、歯及び歯茎等が表されている。
【0013】
端末20は、ユーザにより操作されうる装置である。端末20を構成する装置は限定されず、例えば据置型又は携帯型のパーソナルコンピュータでもよいし、高機能携帯電話機(スマートフォン)、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末でもよい。
【0014】
端末20は、撮像部21及びログイン処理部22を備える。撮像部21は、例えば、カメラといった撮像装置により構成される。端末20は、撮像部21により撮像された、ユーザの口腔画像を認証装置に送信する。
【0015】
ログイン処理部22は、後に説明される認証装置10における認証処理の結果に応じて、所定のアプリケーションのログイン処理を実施する。所定のアプリケーションは、例えば、端末20において実行される任意のアプリケーションであることができる。
【0016】
認証用画像記憶部30は、ユーザの認証に用いられる口腔画像を予め記憶している記憶手段である。認証装置10は、端末20から送信されたユーザの口腔画像を、認証用画像記憶部30に予め記憶されている当該ユーザの認証用の口腔画像と照合することにより、認証処理を実施する。
【0017】
図2は、本実施形態に係る認証装置10の機能的構成を示す図である。図2に示すように、認証装置10は、機能的には、画像取得部11、状態判定部12、重み設定部13、認証部14及び出力部15を備える。認証装置10の各機能部11~15は、一つの装置に構成されてもよいし、複数の装置に分散されて構成されてもよい。また、認証装置10の各機能部11~15のうちの一部または全部の機能部が端末20に構成されてもよい。各機能部11~15のうちの全部が端末20に構成される場合には、端末20が本実施形態に係る認証装置を構成することとなる。
【0018】
なお、図2に示したブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0019】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0020】
例えば、本発明の一実施の形態における認証装置10は、コンピュータとして機能してもよい。図3は、本実施形態に係る認証装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。認証装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0021】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。認証装置10のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0022】
認証装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0023】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、図2に示した各機能部11~15などは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
【0024】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、認証装置10の各機能部11~15は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0025】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る認証方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0026】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0027】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0028】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0029】
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0030】
また、認証装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0031】
次に、認証装置10の各機能部について説明する。画像取得部11は、端末20において撮像されたユーザの口腔画像を取得する。図4は、口腔画像の例を示す図である。図4に示されるように、口腔画像Aは、端末20の撮像部21により撮像されたユーザの口腔を表した画像である。
【0032】
状態判定部12は、ユーザの口腔画像に基づいて、少なくとも1本の歯を含んで構成される歯部分の異常の有無に関する状態を、歯部分ごとに判定する。具体的には、図4に示されるように、状態判定部12は、口腔画像Aから歯部分TPを抽出する。
【0033】
図5は、状態判定の対象となる歯部分TPを詳細に示す図である。より具体的には、状態判定部12は、歯Tが表された領域を周知の画像処理技術により口腔画像Aから抽出する。状態判定部12は、例えば、歯が表されている可能性が高い白色の領域の抽出、歯の外形を構成するエッジの検出、パターンマッチング等により1本ごとの歯tの領域を抽出する。さらに、状態判定部12は、歯茎Gにおける歯の根元の部分を含む一定範囲の領域を、当該歯に関連付けられた歯茎部分gとして抽出する。歯茎部分gとして抽出される一定範囲の領域は、任意に設定されることができるが、例えば、歯茎Gにおける歯tの根元部分を含む所定の大きさの範囲として設定されてもよい。そして、状態判定部12は、1本の歯t及び歯茎部分gからなる歯部分tpを口腔画像Aから抽出する。
【0034】
状態判定部12は、口腔画像Aから抽出した歯部分tpごとに、色及び形状の少なくともいずれか一方の状態を判定する。状態判定部12は、歯部分tpを構成する歯t及び歯茎部分gのそれぞれについて、色及び形状の異常の有無を判定してもよい。
【0035】
口腔疾患等に起因して、歯T及び歯茎Gの色及び形状に異常が発生する場合がある。例えば、歯tに欠損が生じた場合には、歯tの形状に異常が発生する。また、歯tに黒ずみが生じた場合には、歯tの色に異常が発生する。また、歯茎部分gに腫れが生じた場合には、歯茎部分gの形状に異常が発生する。また、歯茎部分gに赤みが生じた場合には、歯茎部分gの色に異常が発生する。
【0036】
状態判定部12は、例えば、歯t及び歯茎部分gの形状における異常の有無を正常な形状との対比により判定してもよい。また、状態判定部12は、歯t及び歯茎部分gのそれぞれの正常な形状を機械学習により学習させた判定モデルを用いて、歯t及び歯茎部分gの形状における異常の有無を判定してもよい。歯t及び歯茎部分gの形状における異常の有無の判定に用いられる手法は限定されない。
【0037】
状態判定部12は、例えば、抽出した歯t及び歯茎部分gのそれぞれの色値が、正常な歯及び歯茎が有する色の範囲に属するか否かにより、歯t及び歯茎部分gの色における異常の有無を判定してもよい。また、状態判定部12は、歯t及び歯茎部分gのそれぞれの正常な色を機械学習により学習させた判定モデルを用いて、歯t及び歯茎部分gの色における異常の有無を判定してもよい。歯t及び歯茎部分gの色における異常の有無の判定に用いられる手法は限定されない。
【0038】
重み設定部13は、歯部分tpの状態に基づいて認証処理における重みを歯部分ごとに設定する。具体的には、重み設定部13は、状態判定部12による異常の有無に関する状態の判定結果に基づいて、歯t及び歯茎部分gごとに、認証処理における色及び形状のそれぞれに関する重みを設定する。
【0039】
重み設定部13は、歯部分tpの色に異常があると判定された場合に、認証処理における当該歯部分tpの色による照合の重みをゼロに設定してもよい。また、重み設定部13は、歯部分tpの形状に異常があると判定された場合に、認証処理における当該歯部分tpの形状による照合の重みをゼロに設定してもよい。
【0040】
また、重み設定部13は、歯部分tpのうちの歯tに異常が有ると判定された場合に、認証処理における歯部分tpのうちの歯tによる照合の重みをゼロに設定してもよい。また、重み設定部13は、歯部分tpのうちの歯茎部分gに異常が有ると判定された場合に、認証処理における歯部分tpのうちの歯茎部分gによる照合の重みをゼロに設定してもよい。
【0041】
図6は、歯部分の状態と設定される重みとを関連付けたテーブルの例を示す図である。図6に示されるテーブルが予め認証装置10に備えられ、重み設定部13がテーブルを参照して重みを設定してもよい。重み設定部13は、状態判定部12により異常が有ると判定されなかった歯部分tpに対して、重みを減少させる設定を実施しない。即ち、歯及び歯茎部分の色及び形状の照合により認証が実施される。
【0042】
また、重み設定部13は、歯茎部分gに赤みが有るという、色に関する異常が有ることが判定された場合には、当該歯茎部分gの色による照合の重みをゼロに設定する。また、重み設定部13は、歯tに黒ずみが有るという、色に関する異常が有ることが判定された場合には、当該歯tの色による照合の重みをゼロに設定する。
【0043】
また、重み設定部13は、歯茎部分gに腫れが有るという、形状に関する異常が有ることが判定された場合には、当該歯茎部分gの形状による照合の重みをゼロに設定する。また、重み設定部13は、歯tに欠損が有るという、形状に関する異常が有ることが判定された場合には、当該歯tの形状による照合の重みをゼロに設定する。
【0044】
また、重み設定部13は、歯茎部分gに赤みと共に腫れが有るという、色及び形状に関する異常が有ることが判定された場合には、当該歯茎部分gの色及び形状による照合の重みをゼロに設定する。即ち、当該歯茎部分gは、認証処理に用いられない。また、重み設定部13は、歯tに黒ずみと共に欠損が有るという、色及び形状に関する異常が有ることが判定された場合には、当該歯tの色及び形状による照合の重みをゼロに設定する。即ち、当該歯tは、認証処理に用いられない。
【0045】
図7は、歯部分の異常の有無に関する状態を模式的に示す図である。図7に示されるように、歯t1及び歯茎部分g1には異常が無いと判定された場合には、重み設定部13は、歯t1及び歯茎部分g1からなる歯部分に対して、重みを減少させる設定を実施しない。
【0046】
また、図7に示されるように、歯t2に黒ずみが有ることが判定された場合には、重み設定部13は、当該歯t2の色による照合の重みをゼロに設定する。この場合には、認証処理において、歯t2の形状の照合並びに歯茎部分g2の色及び形状の照合が行われてもよい。
【0047】
また、図7に示されるように、歯t3に欠損があること及び歯茎部分g3に腫れが有ることが判定された場合には、重み設定部13は、当該歯t3の形状による照合の重みをゼロに設定すると共に当該歯茎部分g3の形状による照合の重みをゼロに設定する。この場合には、認証処理において、歯t3の色の照合及び歯茎部分g3の色の照合が行われてもよい。
【0048】
図8は、状態判定部12による状態判定処理及び重み設定部13による重み設定処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0049】
ステップS21において、状態判定部12は、口腔画像から一の歯部分tpを抽出する。ステップS22において、状態判定部12は、抽出した歯部分tpの歯t及び歯茎部分gのそれぞれの色及び形状における異常の有無に関する状態を判定する。
【0050】
ステップS23において、重み設定部13は、ステップS22おいて判定された状態に応じて、歯部分tpの歯t及び歯茎部分gのそれぞれに対する認証処理における重みを設定する。
【0051】
ステップS24において、状態判定部12は、全ての歯部分tpについての状態の判定及び重みの設定が終了したか否かを判定する。全ての歯部分tpについての判定処理及び重み設定処理が終了したと判定されるまで、ステップS21~ステップS23の処理が繰り返される。
【0052】
再び図2を参照して、認証部14は、重み設定部13により設定された歯部分ごとの重みに従って、撮像された口腔画像を予め保存されたユーザの口腔画像と照合することによるユーザの認証処理を実施する。具体的には、認証部14は、重みがゼロに設定された歯/歯茎部分の色/形状以外を用いた、予め保存された照合用の撮像された口腔画像に対する、端末20において撮像された口腔画像の照合において、所定の閾値以上の割合をもって両口腔画像が一致する場合には、ユーザを認証する。
【0053】
出力部15は、認証部14における認証処理の結果を出力する。具体的には、出力部15は、認証処理の結果を端末20に送信してもよい。また、出力部15は、認証処理の結果を所定の表示装置に表示させたり、認証処理の結果を示す情報を所定の記憶手段に記憶させたりすることにより、認証処理の結果を出力してもよい。
【0054】
図9は、認証装置10における認証方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS1において、画像取得部11は、端末20において撮像されたユーザの口腔画像を取得する。
【0056】
ステップS2において、状態判定部12は、状態判定処理を実行し、重み設定部13は、重み設定処理を実行する。ステップS2における処理内容は、図8のフローチャートを参照して説明したとおりである。
【0057】
ステップS3において、認証部14は、重み設定部13により設定された歯部分ごとの重みに従って、撮像された口腔画像を予め保存されたユーザの口腔画像と照合することによるユーザの認証処理を実施する。そして、出力部15は、認証部14による認証処理の結果を、例えばユーザの端末20に送信することにより出力する。
【0058】
ステップS4において、端末20のログイン処理部22は、認証装置から受信した認証処理の結果を示す情報に基づいて、認証が成功したか否かを判定する。認証が成功したと判定された場合には、処理はステップS5に進む。一方、認証が成功したと判定されなかった場合には、処理はステップS6に進む。
【0059】
ステップS5において、ログイン処理部22は、所定のアプリケーションのログイン処理を実施する。一方、ステップS6において、ログイン処理部22は、ログインに失敗したこととして、所定のアプリケーションのログイン処理を終了させる。
【0060】
次に、コンピュータを、本実施形態の認証装置10として機能させるための認証プログラムについて説明する。図10は、認証プログラムの構成を示す図である。
【0061】
認証プログラムP1は、認証装置10における認証処理を統括的に制御するメインモジュールm10、画像取得モジュールm11、状態判定モジュールm12、重み設定モジュールm13、認証モジュールm14及び出力モジュールm15を備えて構成される。そして、各モジュールm11~m15により、画像取得部11、状態判定部12、重み設定部13、認証部14及び出力部15のための各機能が実現される。
【0062】
なお、認証プログラムP1は、通信回線等の伝送媒体を介して伝送される態様であってもよいし、図10に示されるように、記録媒体M1に記憶される態様であってもよい。
【0063】
以上説明した本実施形態の認証装置10、認証方法及び認証プログラムP1では、歯部分の異常の有無が歯部分ごとに判定され、判定の結果に基づいて歯部分ごとに重みが設定される。これにより、歯等に異常がある場合には、認証処理において歯部分ごとに認証の対象から除外することができる。従って、口腔内の歯及び歯茎等に異常が有る場合であっても、ユーザの認証が可能となる。
【0064】
また、別の形態に係る認証システムでは、状態判定部は、歯部分ごとに、色及び形状の少なくともいずれか一方の状態を判定することとしてもよい。
【0065】
上記形態によれば、色または形状に関する歯部分の異常の有無が判定される。従って、歯部分ごとに色または形状における異常の有無に応じた適切な重みが設定されて認証処理が実施されるので、歯部分の色または形状に異常が有る場合であっても、ユーザの認証が可能となる。
【0066】
また、別の形態に係る認証システムでは、重み設定部は、歯部分の色に異常があると判定された場合に、認証処理における当該歯部分の色による照合の重みをゼロに設定し、歯部分の形状に異常があると判定された場合に、認証処理における当該歯部分の形状による照合の重みをゼロに設定することとしてもよい。
【0067】
上記形態によれば、歯部分の色及び形状のいずれかの要素において異常がある場合には、異常があった要素に関する重みがゼロに設定されるので、信頼性が低い情報が認証に使用されないこととなる。従って、認証におけるセキュリティレベルの低下が防止される。また、歯部分の色及び形状の要素のうちの一方の要素に異常がある場合であっても、他方の要素に異常が無ければその要素が認証に用いられるので、歯部分の色または形状に異常が有る場合であっても、ユーザの認証が可能となる。
【0068】
また、別の形態に係る認証システムでは、状態判定部は、歯及び該歯の根元の歯茎部分を含む歯部分の状態を判定し、歯茎部分は、歯茎における歯の根元の部分を含む一定範囲の部分であることとしてもよい。
【0069】
上記形態によれば、歯及び歯茎部分のそれぞれの異常の有無が判定される。従って、歯及び歯茎部分のそれぞれにおける異常の有無に応じた適切な重みが設定されて認証処理が実施されるので、歯または歯茎部分に異常が有る場合であっても、ユーザの認証が可能となる。
【0070】
また、別の形態に係る認証システムでは、重み設定部は、歯部分のうちの歯に異常が有ると判定された場合に、認証処理における歯部分のうちの歯による照合の重みをゼロに設定し、歯部分のうちの歯茎部分に異常が有ると判定された場合に、認証処理における歯部分のうちの歯茎部分による照合の重みをゼロに設定することとしてもよい。
【0071】
上記形態によれば、歯及び歯茎部分のいずれかの部分において異常がある場合には、異常があった部分に関する重みがゼロに設定されるので、信頼性が低い情報が認証に使用されないこととなる。従って、認証におけるセキュリティレベルの低下が防止される。また、歯及び歯茎部分のうちの一方の部分に異常がある場合であっても、他方の部分に異常が無ければその異常が無い部分が認証に用いられるので、歯及び歯茎部分に異常が有る場合であっても、ユーザの認証が可能となる。
【0072】
また、別の形態に係る認証システムは、認証部における認証処理の結果に応じて所定のアプリケーションのログイン処理を実施するログイン処理部、をさらに備えることとしてもよい。
【0073】
上記形態によれば、歯部分に異常が有る場合であっても、異常の有無に応じて設定された歯部分ごとの重みに従って適切に実施された認証処理の結果がアプリケーションのログイン処理に適用されるので、ユーザにおけるアプリケーションのログインが容易となる。
【0074】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0075】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0076】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0077】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0078】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0079】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0080】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0081】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0082】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0083】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0084】
なお、本開示において説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0085】
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0086】
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
【0087】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0088】
本開示で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0089】
本明細書で「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した場合においては、その要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0090】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0091】
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。
【0092】
本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。
【符号の説明】
【0093】
1…認証システム、10…認証装置、11…画像取得部、12…状態判定部、13…重み設定部、14…認証部、15…出力部、20…端末、21…撮像部、22…ログイン処理部、30…認証用画像記憶部、M1…記録媒体、m10…メインモジュール、m11…画像取得モジュール、m12…状態判定モジュール、m13…重み設定モジュール、m14…認証モジュール、m15…出力モジュール、P1…認証プログラム。
図1
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