(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】上顎歯茎用マッサージ用具
(51)【国際特許分類】
A61H 13/00 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
A61H13/00
(21)【出願番号】P 2020198786
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】牧野 莉帆
(72)【発明者】
【氏名】市野瀬 奏子
(72)【発明者】
【氏名】宮島 亜佐美
(72)【発明者】
【氏名】岩本 拓
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-201842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のハンドル部と、前記ハンドル部の先端に設けられたマッサージ部と、を備え、
前記マッサージ部は、前記ハンドル部の幅方向を長手方向とし、前記ハンドル部の幅方向の両側に延びるように設けられ、
前記マッサージ部の正面側に、面積が100~1100mm
2のマッサージ面が設けられ
、
前記マッサージ面は長手方向が凹状に湾曲した凹面になっており、
前記マッサージ面の短手方向の長さが5~20mmであり、長手方向の長さが20~110mmである、上顎歯茎
用マッサージ用具。
【請求項2】
前記ハンドル部は、前記マッサージ部との接続部から前記マッサージ面の短手方向に延び、かつ前記マッサージ面とは反対方向に曲がっている曲がり部を有している、請求項1に記載の上顎歯茎用マッサージ用具。
【請求項3】
前記マッサージ面の短手方向の長さが
7~
15mmであり、長手方向の長さが
25~
90mmである、請求項1
又は2に記載の
上顎歯茎
用マッサージ用具。
【請求項4】
前記ハンドル部が、把持部と、前記把持部と前記マッサージ部とを接続するネック部とを備えている、請求項1
~3のいずれか一項に記載の
上顎歯茎
用マッサージ用具。
【請求項5】
前記ハンドル部の軸方向に沿って切断した断面において、前記ハンドル部の
前記曲がり部から後端の軸方向と前記マッサージ面の
短手方向とがなす
正面側の角度
θが
10~80°である、請求項
2に記載の
上顎歯茎
用マッサージ用具。
【請求項6】
前記マッサージ面の長手方向両端間の距離をW、長手方向の中間点と長手方向の両端間の中心点との距離をhとし、下記(1)式で表されるRが15~100mである、請求項1~5のいずれか一項に記載の上顎歯茎用マッサージ用具。
【数1】
【請求項7】
前記マッサージ部の材料が軟質樹脂である、請求項1~6のいずれか一項に記載の上顎歯茎用マッサージ用具。
【請求項8】
副交感神経活動向上、リラックス、又は更年期症状のホットフラッシュの予防又は改善に用いられる、請求項1~
7のいずれか一項に記載の
上顎歯茎
用マッサージ用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上顎歯茎用マッサージ用具に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周病と糖尿病の関連等、口腔健康と全身健康の関連性については広く知られており、歯周病等を予防する目的で、歯磨きだけでなく、歯茎をマッサージすることが提案されている。
【0003】
特許文献1には、把持部の先端に設けられたネック部に、ブラシ毛部を有するマッサージ体が取り付けられている歯茎マッサージ用具が開示されている。特許文献2には、上下の歯列に挟まれる噛み部と、口腔内の刺激対象部に正対する刺激部とを備え、噛み部を噛んだときに刺激部が刺激対象部に向かって膨張する口腔マッサージ用具が開示されている。特許文献3には、取っ手の先端に連結された棒状部の先端に、略球状の口腔マッサージ部を有する口腔マッサージ用具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-104200号公報
【文献】特開2015-066402号公報
【文献】特開2019-025256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
口腔粘膜には触圧覚、温度覚、痛覚が存在し、脳においてもこれら口腔の感覚を司る領域の割合は大きい。また、歯茎への刺激(マッサージ)により、交感神経活動が抑制され、副交感神経活動が優位になることが知られている。しかし、特許文献1~3のような歯茎マッサージ用具は、副交感神経活動を優位にするためのものではなく、例えばリラックス効果等の副交感神経活動が優位になることに起因するマッサージ効果は十分に得られにくい。
【0006】
本発明は、副交感神経活動を高めやすく、リラックス効果等のマッサージ効果が得られやすい歯茎マッサージ用具、及び前記歯茎マッサージ用具を用いたマッサージ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]棒状のハンドル部と、前記ハンドル部の先端に設けられたマッサージ部と、を備え、前記マッサージ部は、前記ハンドル部の幅方向を長手方向とし、前記ハンドル部の幅方向の両側に延びるように設けられ、前記マッサージ部の正面側に、面積が100~1100mm2のマッサージ面が設けられている、歯茎マッサージ用具。
[2]前記マッサージ面の短手方向の長さが5~20mmであり、長手方向の長さが20~110mmである、[1]に記載の歯茎マッサージ用具。
[3]前記ハンドル部が、把持部と、前記把持部と前記マッサージ部とを接続するネック部とを備えている、[1]又は[2]に記載の歯茎マッサージ用具。
[4]前記ハンドル部の軸方向に沿って切断した断面において、前記ハンドル部の軸方向と前記マッサージ面の面方向とがなす角度が0~80°である、[1]~[3]のいずれかに記載の歯茎マッサージ用具。
[5]前記マッサージ面が凹状に湾曲した凹面になっている、[1]~[4]のいずれかに記載の歯茎マッサージ用具。
[6]上顎歯茎用である、[1]~[5]のいずれかに記載の歯茎マッサージ用具。
[7]更年期症状のホットフラッシュの予防又は改善に用いられる、[1]~[6]のいずれかに記載の歯茎マッサージ用具。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の歯茎マッサージ用具を用いた歯茎のマッサージ方法であって、前記マッサージ部を歯茎と唇の間に挟み、前記マッサージ面を歯茎に接触させた状態で、歯茎に沿うように前記マッサージ部を左右に動かし、前記マッサージ面で歯茎を擦るようにマッサージする、マッサージ方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、副交感神経活動を高めやすく、リラックス効果等のマッサージ効果が得られやすい歯茎マッサージ用具、及び前記歯茎マッサージ用具を用いたマッサージ方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の歯茎マッサージ用具を背面側からの斜視図である。
【
図4】
図1の歯茎マッサージ用具をマッサージ面の面方向の背面側から見た図である。
【
図5】実験例1~3におけるLF/HFの変化量を示した図である。
【
図6】実施例1、2、比較例1、2及び参考例1におけるLF/HFの変化量を示した図である。
【
図7】実施例3、比較例3及び参考例2におけるマッサージ効果の評価結果を示した図である。
【
図8】実施例4及び比較例4における1日のほてり及びのぼせの発症回数を示した図である。
【
図9】実施例4及び比較例4における1日の発汗の発症回数を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の歯茎マッサージ用具及びマッサージ方法の一例を示し、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0011】
[歯茎マッサージ用具]
図1~3に示すように、本実施形態の歯茎マッサージ用具1は、棒状のハンドル部10と、ハンドル部10の先端に設けられたマッサージ部20と、を備えている。ハンドル部10は、把持部12と、把持部12とマッサージ部20とを接続するネック部14とを備えている。
【0012】
マッサージ部20は、ハンドル部10の幅方向を長手方向とする略矩形の板状部材であり、ハンドル部10の幅方向の両側に延びるように設けられている。マッサージ部20の正面側には、マッサージの際に歯茎に触れるマッサージ面22が設けられている。この例では、ハンドル部10におけるネック部14の先端が、マッサージ部20の長手方向の中央における短手方向の一方の端部と接続されている。
【0013】
歯茎マッサージ用具1を用いたマッサージの際には、例えば、マッサージ部20の長手方向を横にして口腔内に挿入し、歯茎と上唇の間にマッサージ部20を挟む。この状態では、マッサージ部20のマッサージ面22が歯茎に接し、マッサージ面22から歯茎に適度な圧力が加わり、マッサージ効果が得られる。また、この状態で歯茎に沿ってマッサージ部20を左右(マッサージ部20の長手方向)に動かし、マッサージ面22で歯茎を擦るようにマッサージすることで、さらに高いマッサージ効果が得られる。
【0014】
マッサージ面22の面積は、100~1100mm2であり、200~1100mm2が好ましく、300~1100mm2がより好ましく、300~1000mm2がさらに好ましく、400~1000mm2がさらに好ましく、400~900mm2がさらに好ましく、500~900mm2がさらに好ましく、500~800mm2が最も好ましい。マッサージ面22の面積が前記範囲の下限値以上であれば、歯茎との接触面が増え、歯茎に適度な圧力を与えやすくなるため、高いマッサージ効果が得られる。マッサージ面22の面積が前記範囲の上限値以下であれば、マッサージ面22を歯茎に接触させた状態でマッサージ部20を口腔内で動かしやすく、適度な擦り刺激を与えることができ、高いマッサージ効果が得られる。
【0015】
マッサージ部の正面視形状は、この例では矩形の長手方向の両端部が丸みを帯びた略矩形である。なお、マッサージ部の正面視形状は略矩形には限定されない。
図4に示すように、マッサージ面22の面方向の背面側から見たとき、マッサージ部20は円弧状に湾曲している。そして、マッサージ面22は、マッサージ面22の面方向から見て円弧状となるように、凹状に湾曲した凹面になっている。本発明では、マッサージ面がこのように凹状に湾曲した凹面になっていることが好ましい。これにより、マッサージ面の歯茎へのフィット感が向上し、歯茎に適度な圧力を加えやすくなるため、マッサージ効果が向上する。
【0016】
マッサージ面22の短手方向の長さと長手方向の長さの比は、1:1~1:22が好ましく、1:1~1:18がより好ましく、1:2~1:18がさらに好ましく、1:2~1:16がさらに好ましく、1:3~1:16がさらに好ましく、1:3~1:12がさらに好ましく、1:3~1:10がさらに好ましく、1:4~1:10がさらに好ましく、1:4~1:9が最も好ましい。前記比が前記範囲の下限値以上であれば、歯茎との接触面が増え、歯茎に適度な圧力を与えやすくなるため、マッサージ効果が向上する。前記比が前記範囲の上限値以下であれば、マッサージ面22を歯茎に接触させた状態でマッサージ部20を口腔内で動かしやすくなるため、適度な擦り刺激を与えることができ、マッサージ効果が向上する。
【0017】
なお、本明細書において、「~」を用いて示す数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含むものとする。「マッサージ面の長手方向の長さ」とは、マッサージ面の長手方向における両端同士の距離の最大値であり、マッサージ面が凹状に湾曲している凹面である場合には、マッサージ面を平坦面にした状態の両端同士の距離の最大値とする。「マッサージ面の短手方向の長さ」とは、マッサージ面の短手方向における両端同士の距離の最大値である。
【0018】
マッサージ面22の長手方向の長さは、20~110mmが好ましく、25~110mmがより好ましく、25~90mmがさらに好ましく、40~90mmがさらに好ましく、50~90mmがさらに好ましく、50~80mmがさらに好ましく、50~70mmが最も好ましい。マッサージ面22の長手方向の長さが前記範囲内の下限値以上であれば、歯茎との接触面積が増え、歯茎に適度な圧力を与えやすくなるため、マッサージ効果が向上する。マッサージ面22の長手方向の長さが前記範囲内の上限値以下であれば、マッサージ面22を歯茎に接触させた状態でマッサージ部20を口腔内で動かしやすくなるため、適度な擦り刺激を与えることができ、マッサージ効果が向上する。
【0019】
マッサージ面22の短手方向の長さは、5~20mmが好ましく、5~15mmがより好ましく、7~15mmがさらに好ましく、7~13mmが特に好ましく、8~12mmが最も好ましい。マッサージ面22の短手方向の長さが前記範囲内の下限値以上であれば、歯茎との接触面が増え、歯茎に適度な圧力を与えやすくなるため、マッサージ効果が向上する。マッサージ面22の短手方向の長さが前記範囲内の上限値以下であれば、マッサージ面22を歯茎に接触させた状態でマッサージ部20を口腔内で動かしやすく、不快感を感じにくくなるため、マッサージ効果が向上する。
【0020】
マッサージ部20の平均厚さは、0.5~15mmが好ましく、0.6~10mmがより好ましく、0.8~5mmがさらに好ましく、1~5mmが最も好ましい。マッサージ部20の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、歯茎に適度な圧力を与えやすくなるため、マッサージ効果が向上する。マッサージ部20の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、不快感を抑制しつつマッサージ効果を得ることができる。
なお、マッサージ面に突起を設ける場合でも、「マッサージ部の厚さ」には突起の高さは含まれないものとする。「マッサージ部の長手方向における両端及び中間点においてそれぞれ厚さを測定し、それらを平均して平均厚さとする。
【0021】
凹面であるマッサージ面22を面方向の背面側から見たとき、下記式(1)で表されるRは、15~100mmが好ましく、15~80mmがより好ましく、15~60mmがさらに好ましく、18~45mmがさらに好ましく、20~40mmがさらに好ましく、22~35mmが最も好ましい。前記Rが前記範囲の下限値以上であれば、歯茎への過度の圧迫感を抑制しつつマッサージ効果を得ることができる。前記Rが前記範囲の上限値以下であれば、歯茎との接触面が増え、歯茎に適度な圧力を与えやすくなるため、マッサージ効果が向上する。なお、マッサージ面22は、奥歯付近と前歯付近の歯茎のカーブに合わせて、Rを変化させてもよい。また、上顎歯茎と上唇の間に挟んだときにRが変化してもよい。通常、奥歯付近と前歯付近では歯茎の曲面形状が異なっているため、マッサージ面22のRがそれに合わせて変化することで接触性がさらに高まる。
【0022】
【0023】
ただし、前記式(1)中、Wは、マッサージ面の両端同士の距離(
図4)である。hは、マッサージ面の両端同士を結ぶ直線と、マッサージ面の長さ方向の中間点との距離(
図4)である。
【0024】
マッサージ部20のマッサージ面22には、突起が設けられていてもよい。マッサージ面22に複数の突起が設けられていることで、歯茎に適度な刺激を与えることが容易になるため、マッサージ効果がさらに向上する。
【0025】
突起の形状は、特に限定されず、例えば、半球状、円柱状、円柱の先端部分に半球部が設けられた形状(すなわち円柱の先端部が丸みを帯びた形状)、円錐状を例示できる。
突起の高さ、すなわちマッサージ面22と突起の先端との距離は、0.1~12mmが好ましく、0.2~12mmがより好ましく、0.3~10mmがさらに好ましく、0.5~8mmがさらに好ましく、1~8mmがさらに好ましく、1~5mmが最も好ましい。
【0026】
突起におけるマッサージ面22側の基端の直径は、0.5~110mmが好ましく、0.5~80mmがより好ましく、0.5~60mmがさらに好ましく、0.5~20mmがさらに好ましく、0.5~12mmがさらに好ましく、1~12mmが最も好ましい。なお、突起の基端の直径は、突起の基端の断面形状が正円でない場合は、その形状の外接円の直径を意味する。
【0027】
マッサージ面22における突起の配置パターンは、特に限定されず、千鳥状等の規則的なパターンでもよく、ランダムに設けてもよい。
マッサージ面22に設ける突起の数は、1cm2あたりの数として、1~100個/cm2が好ましく、1~80個/cm2がより好ましく、1~40個/cm2がさらに好ましく、1~25個/cm2がさらに好ましく、2~25個/cm2がさらに好ましく、2~16個/cm2がさらに好ましく、6~16個/cm2が最も好ましい。
なお、マッサージ面には、突起を設ける代わりに、直線状又は波状の突条、シリコン毛等を設けてもよい。
【0028】
図3に示すように、ネック部14の厚さは、把持部12からマッサージ部20に向かうにつれて薄くなっている。これにより、マッサージ部20を口腔内に挿入し、自然に口を閉じた状態で歯茎のマッサージを行うことができる。そのため、マッサージ用の組成物を併用する場合でも組成物が口からこぼれにくい。
【0029】
ネック部14の平均厚さは、1~35mmが好ましく、1~30mmがより好ましく、1~25mmがさらに好ましく、1~20mmがさらに好ましく、1~15mmがさらに好ましく、2~10mmがさらに好ましく、4~8mmが最も好ましい。ネック部14の平均厚さが前記範囲の下限値以上であれば、マッサージ部20を適した角度で支持することができる。ネック部14の平均厚さが前記範囲の上限値以下であれば、マッサージの際の唇とネック部14との摩擦を低減できるため、歯茎マッサージ用具1の操作性が向上する。
なお、ネック部の厚さとは、ネック部の側面視での正面と背面との距離である。ネック部の軸方向における先端、後端及び中間点においてそれぞれ厚さを測定し、それらを平均して平均厚さとする。
【0030】
ネック部14の先端の厚さは、0.5~15mmが好ましく、0.5~10mmがより好ましく、0.5~5mmがさらに好ましく、1~5mmが最も好ましい。ネック部14の先端の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、マッサージの際の唇とネック部14との摩擦を低減できるため、歯茎マッサージ用具1の操作性が向上する。
【0031】
ネック部14の長さは、10~70mmが好ましく、15~70mmがより好ましく、15~60mmがさらに好ましく、15~50mmが最も好ましい。ネック部14の長さが前記範囲の下限値以上であれば、把持部が唇に触れにくくなるため、不快感を低減しやすい。ネック部14の長さが前記範囲の上限値以下であれば、歯茎マッサージ用具1の操作性が向上する。
なお、「ネック部の長さ」とは、ハンドル部の軸方向におけるネック部の後端から先端までの距離であり、ネック部が反っている場合には直線状にした状態での長さとする。
【0032】
ネック部14の平均幅は、5~35mmが好ましく、5~30mmがより好ましく、5~25mmがさらに好ましく、7~20mmがさらに好ましく、9~18mmがさらに好ましく、10~17mmが最も好ましい。ネック部14の幅が前記範囲の下限値以上であれば、マッサージ部20を適した角度で支持することができる。ネック部14の幅が前記範囲の上限値以下であれば、マッサージの際の唇とネック部との摩擦を低減できるため、歯茎マッサージ用具1の操作性が向上する。
なお、「ネック部の幅」とは、正面視でハンドル部の軸方向に直交する方向におけるネック部の外縁同士の距離である。ネック部の軸方向における先端、後端及び中間点においてそれぞれ幅を測定し、それらを平均して平均幅とする。
【0033】
ネック部14は、直線状に延びる把持部12の先端からマッサージ部20に向かうにつれて背面側に反るように延在している。これにより、例えばマッサージ面22を上顎歯茎に当てたときでも把持部12を把持する手をあまり高く上げる必要がなくなるため、歯茎マッサージ用具1の操作性が向上する。なお、本発明のマッサージ用具は、ネック部が背面側に反っておらず、ハンドル部全体が側面視で直線状になっていてもよい。
【0034】
把持部12の軸方向に沿って切断した断面において、把持部12の軸方向(
図3のx軸)とマッサージ面22の面方向とがなす角度θは、0~80°が好ましく、10~80°がより好ましく、10~70°がさらに好ましく、20~70°がさらに好ましく、20~60°が特に好ましく、30~50°が最も好ましい。前記角度θが前記範囲内であれば、上顎歯茎のマッサージの際に、唇を自然に閉じた状態でのマッサージが容易になり、歯茎マッサージ用具1の操作性が向上する。前記角度θは、ネック部14の反り量を調節することによって調節できる。
なお、本実施形態のように、ハンドル部が把持部とネック部を備え、全体として側面視で直線状でない場合、角度θは、把持部の軸方向とマッサージ面の面方向とがなす角度とする。
【0035】
この把持部12の正面視形状は、後端から先端に向かうにつれて、徐々に幅が広くなった後、徐々に幅が狭くなっている。すなわち、把持部12の正面視形状は、軸方向の中央部分が膨らんだ形状になっている。なお、把持部12の正面視形状は、把持することが容易になるように適宜設定すればよく、本実施形態の形状には限定されない。
【0036】
把持部12の長さは、30~150mmが好ましく、40~150mmがより好ましく、40~120mmがさらに好ましく、50~120mmが特に好ましく、50~100mmが最も好ましい。把持部12の長さが前記範囲の下限値以上であれば、把持部12を把持しやすい。把持部12の長さが前記範囲の上限値以下であれば、マッサージ面22の歯茎へのフィット感を損なわずに操作することが容易になる。
【0037】
把持部12の平均幅は、5~35mmが好ましく、7~30mmがより好ましく、8~25mmがさらに好ましく、9~20mmが特に好ましく、13~18mmが最も好ましい。把持部12の平均幅が前記範囲内であれば、把持部12を把持することが容易になる。
なお、「把持部の幅」とは、正面視でハンドル部の軸方向に直交する方向における把持部の外縁同士の距離である。把持部の軸方向における先端、後端及び中間点においてそれぞれ幅を測定し、それらを平均して平均幅とする。
【0038】
把持部12の平均厚さは、2~35mmが好ましく、3~30mmがより好ましく、4~25mmがさらに好ましく、5~20mmがさらに好ましく、5~15mmがさらに好ましく、5~10mmが最も好ましい。把持部12の平均厚さが前記範囲内であれば、把持部12を把持することが容易になる。
なお、把持部の厚さとは、把持部の側面視での正面と背面との距離である。把持部の軸方向における先端、後端及び中間点においてそれぞれ厚さを測定し、それらを平均して平均厚さとする。
【0039】
歯茎マッサージ用具1は、1つの部材からなるものであってもよく、2つ以上の部材を組み合わせたものであってもよい。例えば、把持部12、ネック部14及びマッサージ部20が1つの部材からなる歯茎マッサージ用具1であってもよく、把持部12からなる部材と、ネック部14及びマッサージ部20からなる部材とを接続した2つの部材からなる歯茎マッサージ用具1であってもよい。
【0040】
歯茎マッサージ用具1を形成する材料としては、特に限定されず、硬質樹脂のみで形成されていてもよく、軟質樹脂のみで形成されていてもよく、硬質樹脂と軟質樹脂を組み合わせて形成されていてもよい。なお、「軟質樹脂」とは、JIS K 7215のショアAの硬度が70以下の樹脂である。「硬質樹脂」とは、JIS K 7215のショアAの硬度が70超の樹脂である。
【0041】
歯茎マッサージ用具1において、歯茎、唇等に接触するマッサージ部20及びネック部14を形成する材料は、軟質樹脂が好ましく、JIS K 7215のショアAの硬度が15~70の軟質樹脂がより好ましく、20~60の軟質樹脂がさらに好ましい。軟質樹脂の具体例としては、シリコン樹脂、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体を例示できる。なかでも、マッサージ実感、フィット性、追随性の点から、シリコン樹脂が好ましい。マッサージ部20及びネック部14に使用する軟質樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。
マッサージ部20及びネック部14は、骨格が硬質樹脂で構成され、表面が軟質樹脂で覆われていてもよい。例えばマッサージ部20は、硬質樹脂からなる骨格のマッサージ面側に凹凸を有する軟質樹脂シートが取り付けられて形成されていてもよい。
【0042】
把持部12を形成する材料としては、軟質樹脂であってもよく、硬質樹脂であってもよい。硬質樹脂としては、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテルフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリアセタールを例示できる。なかでも、加工性の点から、ABS樹脂が好ましい。把持部12に使用する樹脂は、1種でもよく、2種以上でもよい。把持部12には、グリップ性を向上させるためにエラストマーを部分的に用いてもよい。
【0043】
本発明の歯茎マッサージ用具の製造方法は、特に限定されず、射出成形等の公知の成形方法を採用できる。
【0044】
本発明の歯茎マッサージ用具は、歯茎のマッサージに使用することができる。本発明の歯茎マッサージ用具を用いて歯茎のマッサージを行うことで、副交感神経活動が高まり(自律神経活動を副交感優位に遷移させる)、リラックス効果等のマッサージ効果が得られやすい。また、ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗)やイライラ、動悸、息切れ、不眠、頭痛、立ちくらみ、めまい、冷え性、肩こり等の更年期症状には副交感神経活動が関与している。そのため、本発明のマッサージ用具は、更年期症状のホットフラッシュ等の予防又は改善を目的として使用することもできる。本発明の歯茎マッサージ用具は、副交感神経活動が優位になりやすい点から、特に上顎歯茎用として有用である。
【0045】
[マッサージ方法]
本発明のマッサージ方法は、本発明の歯茎マッサージ用具によって歯茎をマッサージする方法である。以下、本発明のマッサージ方法の一例として、前記の歯茎マッサージ用具1を用いたマッサージ方法について説明する。
【0046】
本実施形態のマッサージ方法は、歯茎マッサージ用具1のマッサージ部20を口腔内に挿入し、マッサージ部20を歯茎と唇の間に挟み、マッサージ面22を歯茎に接触させる。この状態で、歯茎に沿うようにマッサージ部20を左右に動かし、マッサージ面22で歯茎を擦るようにマッサージする。本発明では、副交感神経活動が優位になりやすく、リラックス効果等のマッサージ効果が得られやすい点から、上顎歯茎をマッサージすることが好ましい。
【0047】
具体的には、例えば、マッサージ面22が一方の奥歯の上顎歯茎に接するようにマッサージ部20を上顎歯茎と上唇の間に挟む。そして、マッサージ面22を上顎歯茎に接触させた状態で、マッサージ部20を前歯に向かって3cm程度進め、2cm程度奥歯側に後退させる操作を、マッサージ面22の長手方向の中央部が前歯の歯茎にくるまで繰り返す。これを複数回行い、上顎歯茎の一方の側を擦るようにマッサージする。次いで、マッサージ面22が反対側の奥歯の上顎歯茎に接するようにマッサージ部20を上顎歯茎と上唇の間に挟み、前歯の歯茎まで同様の左右に往復する操作を繰り返す。これを複数回行って、上顎歯茎の反対側を擦るようにマッサージする。ここまでを1セットとし、複数回のセットを行う。なお、この例は一例であって、マッサージはこの態様には限定されない。
【0048】
以上説明したように、本発明では、マッサージ部の長手方向を横にして口腔内に挿入し、歯茎と上唇の間にマッサージ部を挟むだけで、マッサージ面から歯茎に適度な圧力を加えることができる。そして、その状態で歯茎に沿うように左右に動かすだけの単純な操作で歯茎をマッサージできる。これにより、容易に副交感神経活動を優位にすることができ、リラックス効果等のマッサージ効果が得られる。また、本発明の歯茎マッサージ用具を用いた歯茎のマッサージは容易であるため、使用者の技術によるマッサージ効果のばらつきが小さく、誰にでも容易に十分なマッサージ効果を得ることができる。
【0049】
なお、本発明は、前記した歯茎マッサージ用具1及びそれを用いたマッサージ方法には限定されない。
例えば、本発明の歯茎マッサージ用具は、マッサージ部がハンドル部から取り外せない一体型には限定されず、脱着可能なアタッチメント式であってもよい。マッサージ部を振動させる振動発生手段がハンドル部に設けられていてもよい。マッサージ部を自動でスライドさせる機能を備えていてもよい。マッサージ部を加温又は冷却する温度調節手段を備えていてもよい。マッサージ部の厚さを内部空気圧等によって変化させる手段を備えていてもよい。マッサージ面から水や泡等を噴出させる手段を備えていてもよい。
本発明の歯茎マッサージ用具のハンドル部は、前記したような把持部とネック部とを備えるものには限定されず、把持部のみからなるハンドル部であってもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【実施例】
【0051】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
【0052】
[実験例1]
被験者3名を20分間安静にした後、両手にゴム手袋を装着し、上顎歯茎の歯槽粘膜部分を人差し指でマッサージした。試験開始(安静の開始)から終了(マッサージの終了)まで自律神経活動を測定し、LF/HFの変化量を算出した。
【0053】
上顎歯茎のマッサージは、以下の方法で実施した。右の人差し指を左奥歯の歯茎に当て、前歯側に1cm/秒で3秒間スライドさせながら指圧した後、1cm/秒で2秒間奥歯側にスライドさせながら指圧する動きを繰り返し、30秒間かけて前歯の歯茎まで指圧した。この動きを2回(計1分間)繰り返し、上顎歯茎の左側をマッサージした。次いで、左の人差し指を右奥歯の歯茎に当て、上顎歯茎の右側を左側と同様にマッサージした。ここまでを1セットとし、連続して5セット行った(計10分間)。指圧の強さは押して歯茎が少し白くなる程度とした。
【0054】
[実験例2]
実験例1と同様の方法で下顎歯茎をマッサージし、LF/HFの変化量を算出した。
【0055】
[実験例3]
上顎左奥歯の歯茎に右の人差し指を置き、1回指圧するたびに、前歯の歯茎まで位置をずらしながら指圧する動きを15秒間行った。これを4回(計1分間)繰り返した。次いで、左の人差し指によって、右奥歯の歯茎から前歯に向かって、同様に15秒間指圧する動きを4回(計1分間)繰り返した。ここまでを1セットとし、計5セット連続して行った(計10分間)。マッサージ方法をこのように変更した以外は、実験例1と同様にしてLF/HFの変化量を算出した。
【0056】
[自律神経活動の測定方法]
心拍計及びベルト電極(ユニオンツール社製)を被験者のみぞおちの位置に装着し、心拍間隔(RRI)を測定した。ソフトウエア(RRI analyzer、ユニオンツール社製)を用いて、取得したRRIから「交感神経活動と副交感神経活動のバランス(LF/HF)」を算出した。なお、LF(高周波数帯域)の解析条件は0.04~0.14Hz、HF(高周波数帯域)の解析条件は0.14~0.4Hzとした。解析周期は30秒、計算区間は120秒とした。10分間のマッサージ中のLF/HF平均値から20分間安静時のLF/HF平均値を引き、LF/HFの変化量を算出した。
【0057】
実験例1~3の結果を
図5に示す。
図5に示すように、上顎歯茎をマッサージした実験例1、3は、下顎歯茎をマッサージした実験例2に比べて副交感神経活動優位となり、マッサージ効果が高かった。また、擦り刺激を行った実験例1が最もマッサージ効果が高かった。
【0058】
[実施例1]
図1~4で例示した歯茎マッサージ用具1と同様の態様の歯茎マッサージ用具を作製した。マッサージ面の面積を250mm
2、長手方向の長さを25mm、短手方向の長さを10mm、平均厚さを10mmとした。ネック部の長さを45mm、平均幅を10mm、平均厚さを5mm、角度θを20°とした。把持部の長さを150mm、平均幅を30mm、平均厚さを30mmとした。
この歯茎マッサージ用具を用い、マッサージ部を上顎歯茎と上唇の間に挟んでマッサージを10分間行う以外は、実験例1と同様の動きで上顎歯茎をマッサージし、LF/HFの変化量及び標準偏差を算出した。
【0059】
[実施例2]
歯茎マッサージ用具の寸法を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして上顎歯茎をマッサージし、LF/HFの変化量及び標準偏差を算出した。マッサージ面の面積を600mm2、長手方向の長さを60mm、短手方向の長さを10mm、平均厚さを2mmとした。ネック部の長さを16mm、平均幅を10mm、平均厚さを4mm、角度θを40°とした。把持部の長さを60mm、平均幅を14mm、平均厚さを6mmとした。
【0060】
[比較例1]
歯茎マッサージ用具の寸法を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして上顎歯茎をマッサージし、LF/HFの変化量及び標準偏差を算出した。マッサージ面の面積を64mm2、長手方向の長さを8mm、短手方向の長さを8mm、平均厚さを10mmとした。ネック部の長さを45mm、平均幅を10mm、平均厚さを10mm、角度θを0°とした。把持部の長さを120mm、平均幅を10mm、平均厚さを5mmとした。
【0061】
[比較例2]
歯茎マッサージ用具の寸法を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして上顎歯茎をマッサージし、LF/HFの変化量及び標準偏差を算出した。マッサージ面の面積1200mm2、長手方向の長さを120mm、短手方向の長さを10mm、平均厚さを2mmとした。ネック部の長さを16mm、平均幅を10mm、平均厚さを4mm、角度θを40°とした。把持部の長さを60mm、平均幅を14mm、平均厚さを6mmとした。
【0062】
[参考例1]
実験例1と同様にして指圧によって上顎歯茎をマッサージし、LF/HFの変化量及び標準偏差を算出した。
【0063】
[マッサージの操作性]
各例のマッサージにおける指又は歯茎マッサージ用具の操作性を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:左右に動かしやすく(擦りやすく)、非常に操作しやすい。
〇:左右に動かしやすく、操作しやすい。
△:左右に動かせるが、操作しにくい。
×:左右に動かしにくく、操作できない。
-:評価なし。
【0064】
[マッサージ時の口の閉じやすさ]
口に水を5mL含んだ状態で各例のマッサージを行い、口からの水のこぼれにくさから、口の閉じやすさを以下の評価基準に従って評価した。
◎:口を閉じることができ、水が全くこぼれない。
〇:口を閉じることができ、水がほぼこぼれない。
△:口を閉じにくく、水がややこぼれる。
×:口を閉じられず、水がこぼれる。
-:評価なし。
【0065】
【0066】
【0067】
表1及び
図6に示すように、マッサージ面の面積が適切な実施例1、2では、マッサージ面の面積が範囲外の比較例1、2に比べて、副交感神経活動優位となり、参考例1と同等にマッサージ効果が高かった。また、実施例1、2では参考例1や比較例1、2と比べて操作がしやすく、参考例1の指圧に比べて衛生的であった。特に実施例2では、マッサージ部を歯茎と唇の間に挟んで左右に動かすだけのためより操作しやすく、比較例1、2や実施例1よりも、口から水がこぼれない、つまり唾液等の垂れが生じにくい状態(より衛生的な状態)で、高いマッサージ効果が得られた。さらに、実施例1、2では、効果のバラつきが参考例1の指圧に比べて小さく、特に実施例2では、より小さかった。つまり個人差がなく、マッサージの専門家ではなくても、この用具を使うと誰でも高い効果を得られる。
【0068】
[実施例3]
実施例2と同じ歯茎マッサージ用具を用いて上顎歯茎をマッサージし、リラックス効果を評価した。
【0069】
[比較例3]
上顎歯茎のマッサージを行わずに安静にする以外は実施例3と同様にしてリラックス効果の評価を行った。
【0070】
[参考例2]
実験例1と同様にして指圧によって上顎歯茎をマッサージし、リラックス効果を評価した。
【0071】
[リラックス効果]
20代~40代の被験者3名が歯茎マッサージ用具を用いて歯茎マッサージを10分間行い、歯茎マッサージの前後にリラックスの程度をVAS法によって評価した。左端に「緊張」、右端に「リラックス」と記載された100mmの直線を用意し、被験者は評価時の感情の程度に合わせて、直線上の1点に印をつけた。左端から印をつけた場所までの距離(mm)を算出し、歯茎マッサージ前後の値の差分を算出し、主観の変化を評価した。
各例の評価結果を
図7に示す。
【0072】
図7に示すように、歯茎マッサージ用具を用いて上顎歯茎をマッサージした実施例3では、マッサージを行わない比較例3や、指圧によってマッサージした参考例2に比べて、リラックス状態が誘発されることが分かった。
【0073】
[実施例4]
実施例2と同じ歯茎マッサージ用具を用いて上顎歯茎をマッサージし、ホットフラッシュに対するマッサージ効果を評価した。
【0074】
[比較例4]
上顎歯茎のマッサージを行わずに安静にし、ホットフラッシュを評価した。
【0075】
[ホットフラッシュに対するマッサージ効果]
ホットフラッシュが1日1回以上発症する40~50代の女性13名を被験者とした。被験者が起床直後から午前10時までの任意の時間に歯茎マッサージを10分間実施し、マッサージ終了後から就寝前までの間ホットフラッシュの回数をチェックして、1日の「ほてり、のぼせ」の発症回数と「発汗」の発症回数の平均値を算出した。比較例4では、歯茎マッサージを行わずに安静にする以外は実施例4と同時間帯における発症回数の平均値を算出した。
各例の1日の「ほてり、のぼせ」の発症回数を
図8、1日の「発汗」の発症回数を
図9に示す。
【0076】
図8及び
図9に示すように、歯茎マッサージ用具を用いて上顎歯茎をマッサージした実施例4では、マッサージを行わない比較例4に比べて、ホットフラッシュの発症回数が少なくなることが分かった。
【符号の説明】
【0077】
1…歯茎マッサージ用具、10…ハンドル部、12…把持部、14…ネック部、20…マッサージ部、22…マッサージ面。