(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】サイホン排水システム、及びサイホン排水システムの施工方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/122 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
E03C1/122 Z
(21)【出願番号】P 2020203555
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 健人
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-169052(JP,A)
【文献】特開2017-190626(JP,A)
【文献】特開平07-207730(JP,A)
【文献】特開2016-191268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/126
E03C 1/30-1/308
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から流入した排水を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に接続され、前記貯留槽からの前記排水を横方向に排出する横引き管と、
前記横引き管よりも下流側に配置され、前記横引き管からの前記排水を流下させることによりサイホン力を発生させる竪管と、
水廻り器具の下流側に設けられたトラップと前記貯留槽とを接続する機器排水管と、
を備え、
前記機器排水管には、前記機器排水管の内部の空気を排出可能とする第1通気管が接続されており、
前記貯留槽の上部に、前記貯留槽の内部に空気を流入可能、及び前記貯留槽の内部の空気を排出可能とする第2通気管が接続されており、
前記第1通気管は、一端が前記機器排水管に接続され、他端が前記貯留槽の上部に接続されている、
サイホン排水システム。
【請求項2】
前記機器排水管は、前記貯留槽に向けて下方へ傾斜する勾配配管であり、
前記第1通気管の前記一端は、前記勾配配管の排水方向上流側に接続されている、
請求項1に記載のサイホン排水システム。
【請求項3】
請求項2に記載のサイホン排水システムを施工するためのサイホン排水システムの施工方法であって、
建物のスラブ上に前記貯留槽を設置する貯留槽設置工程と、
前記スラブ上に前記トラップ、及び前記水廻り器具を備えたユニットを設置するユニット設置工程と、
前記貯留槽に前記第1通気管の
前記他端、前記第2通気管の一端、前記勾配配管の排水方向下流側の端部、及び前記横引き管の排水方向上流側の端部を接続すると共に、前記勾配配管に継手を介して前記第1通気管の
前記一端と前記トラップに設けられた排水用配管とを接続する配管接続工程と、
を有する、サイホン排水システムの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水を一時的に貯留して排出する貯留槽を備えたサイホン排水システム、及びサイホン排水システムの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、サイホン排水管のサイホン力を利用した排水システムにおいて、水廻り器具とサイホン排水管の横引き管との間に貯留槽を設け、水廻り器具からの排水をサイホンが開始するまで貯留槽に一時的に貯留する構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な浴室では、一例として、浴槽の排水方向下流側に封水式のトラップが設けられている。トラップは、浴室の洗い場の床に設けられており、床上の水も流入可能となっている。また、トラップと貯留槽とは、勾配配管で接続されており、トラップから排出された排水は、傾斜した勾配配管の内部を自重で貯留槽へ流れるようになっている。
【0005】
トラップから排出された排水が勾配配管に流れ込むと、排水は、傾斜した勾配配管の底部に沿って貯留槽へ流れる。勾配配管に流れ込む排水の量が多いと、貯留槽の排水の水面が上昇し勾配配管の出口(貯留槽の入口)は、排水に水没することになる。このため、勾配配管内部の空気が、トラップの封水(排水)と、勾配配管の出口側の排水(貯留槽に溜まっている排水)との間で挟まれ、勾配配管の内部に滞留し、勾配配管から排出できなくなる。言い換えれば、勾配配管の両側が排水で塞がれる格好となるため、勾配配管の内部が閉空間となり、勾配配管の内部に空気が滞留してしまう。
【0006】
このような状態となった勾配配管では、内部に滞留した空気が、トラップから勾配配管へ流入しようとする排水の流れの邪魔になる。言い換えれば、勾配配管内に溜まった空気によって、排水が流れる実質的な流路断面積が減り、貯留槽に流れ込もうとする排水が抵抗を受けて排水が流れ難くなる。このため、トラップへ流入する排水の量が多いと、トラップから排水が溢れ出す場合がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑み、トラップから排水が溢れ出すことを抑制可能とするサイホン排水システム、及びサイホン排水システムの施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のサイホン排水システムは、上流から流入した排水を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に接続され、前記貯留槽からの前記排水を横方向に排出する横引き管と、
前記横引き管よりも下流側に配置され、前記横引き管からの前記排水を流下させることによりサイホン力を発生させる竪管と、水廻り器具の下流側に設けられたトラップと前記貯留槽とを接続する機器排水管と、を備え、前記機器排水管には、前記機器排水管の内部の空気を排出可能とする第1通気管が接続されており、前記貯留槽の上部に、前記貯留槽の内部に空気を流入可能、及び前記貯留槽の内部の空気を排出可能とする第2通気管が接続されており、前記第1通気管は、一端が前記機器排水管に接続され、他端が前記貯留槽の上部に接続されている。
【0009】
請求項1に記載のサイホン排水システムによれば、水廻り器具の下流側に設けられたトラップと貯留槽とを接続する機器排水管に、内部の空気を排出可能とする第1通気管が接続されている。そのため、トラップから排出された排水が機器排水管の内部に流れ込んだ場合に、機器排水管に空気が滞留して排水が抵抗を受けないように、機器排水管の内部の空気を第1通気管を介して外部へ排出させることができる。これにより、トラップから排出された排水を貯留槽へ迅速、かつ効率的に流すことができ、トラップからの排水の溢れ出しを抑制することができる。
【0010】
なお、「排水を横方向に排出する横引き管」の「横方向」とは、水平方向に限らず、若干の傾斜(例えば、5度以下)も含むものである。
【0012】
また、請求項1に記載のサイホン排水システムでは、貯留槽の内部に排水が流入した際に、貯留槽の上部に接続された第2通気管を介して、貯留槽の内部の空気を排出することができる。これにより、トラップから排出された排水を、貯留槽の内部へ迅速、かつ効率的に流入させることができる。
【0013】
なお、「貯留槽の上部」の「上部」とは、貯留槽の上下方向中央部よりも上側を意味する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサイホン排水システムにおいて、前記機器排水管は、前記貯留槽に向けて下方へ傾斜する勾配配管であり、前記第1通気管の前記一端は、前記勾配配管の排水方向上流側に接続されている。
【0015】
請求項2に記載のサイホン排水システムでは、トラップから排出された排水は、勾配配管の内部を傾斜方向下側へ流れ、貯留槽に流入する。
勾配配管は、貯留槽側に向けて下方へ傾斜しているので、勾配配管内に排水が流れ込み、勾配配管の両側が排水で塞がれると、勾配配管内の空気は、傾斜方向上側であるトラップ側に溜まることになる。したがって、第1通気管の一端を勾配配管の排水方向上流側に接続することで、勾配配管内の空気が排出し易くなる。
【0016】
なお、「勾配配管の排水方向上流側」の「上流側」とは、勾配配管の長手方向中央部よりも排水方向上流側(傾斜方向上側)を意味する。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のサイホン排水システムを施工するためのサイホン排水システムの施工方法であって、建物のスラブ上に前記貯留槽を設置する貯留槽設置工程と、前記スラブ上に前記トラップ、及び前記水廻り器具を備えたユニットを設置するユニット設置工程と、前記貯留槽に前記第1通気管の前記他端、前記第2通気管の一端、前記勾配配管の排水方向下流側の端部、及び前記横引き管の排水方向上流側の端部を接続すると共に、前記勾配配管に継手を介して前記第1通気管の前記一端と前記トラップに設けられた排水用配管とを接続する配管接続工程と、を有する。
【0018】
請求項3に記載のサイホン排水システムの施工方法では、貯留槽設置工程で、建物のスラブ上に貯留槽を設置する。
【0019】
ユニット設置工程では、スラブ上にトラップ、及び水廻り器具を備えたユニットを設置する。
【0020】
配管接続工程では、貯留槽に第1通気管の一端、第2通気管の一端、勾配配管の排水方向下流側の端部、及び横引き管の排水方向上流側の端部を接続すると共に、機器排水管に継手を介して第1通気管の他端とトラップに設けられた排水用配管とを接続する。
【0021】
このように、貯留槽設置工程と、ユニット設置工程と、配管接続工程とを経ることにより、請求項2に記載のサイホン排水システムをスラブ上に容易に施工することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のサイホン排水システムによれば、トラップから排水が溢れ出すことを抑制することができる、という優れた効果を有する。
また、本発明のサイホン排水システムの施工方法によれば、トラップから排水が溢れ出すことを抑制するサイホン排水システムを容易に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るサイホン排水システムの全体構成を示す側面図である。
【
図2】従来例に係るサイホン排水システムの要部を示す側面図である。
【
図3】サイホン排水システムの施工方法の一例を説明するサイホン排水システムの一部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態に係るサイホン排水システム10について、
図1を用いて説明する。本実施形態に係るサイホン排水システム10は、サイホン力を利用して水回り器具からの排水を効率よく排出する排水システムである。
【0025】
図1に示すように、建物12のスラブ14の上側には、スラブ14と間隔を開けて洗い場の床としての床パネル16、及び水廻り器具の一例としての浴槽18が設けられている。
【0026】
床パネル16には、封水式のトラップ20が設けられている。なお、このトラップ20は、浴室に設けられる一般的な構造のものであり、内部構造に関する説明は省略する。
【0027】
トラップ20は、上部が床パネル16に開口しており、洗い場の床パネル16上の排水が流入すると共に、浴槽18からの排水が流入するようになっている。
また、トラップ20には、機器排水管の一例としての勾配配管22が接続されている。勾配配管22は、後述する貯留槽24に向けて下がるように傾斜しており、トラップ20から排出された排水は、傾斜した勾配配管22の底部に沿って貯留槽24に流れ込むようになっている。
勾配配管22は、例えば、塩ビ製の管であるが、他の合成樹脂で形成されていても良い。
【0028】
(貯留槽)
スラブ14の上には、サイホン排水システム10の一部を構成する貯留槽24が配置されている。
貯留槽24は、浴槽18からの排水を一時的に貯留可能とするために箱状に形成されている。貯留槽24は、略直方体とされ、天板24A、及び底板24Bが、図面矢印R方向側に向けて下がるように傾斜している。貯留槽24は、例えば、塩ビ等の合成樹脂材料で形成されている。
【0029】
貯留槽24のトラップ20側(図面矢印L方向側)の側壁24Cには、底板24B寄りに勾配配管22の排水方向下流側の端部が接続され、浴槽18からの排水が貯留槽24の内部に流入するように構成されている。
【0030】
また、勾配配管22のトラップ20寄りの上部には、第1通気管26の一端が接続されている。側壁24Cには、貯留槽24の天板24A寄りに第1通気管26の他端が接続されている。即ち、勾配配管22の内部と貯留槽24の内部とが連通しており、勾配配管22の内部の空気を貯留槽24の内部に排出可能となっている。
なお、「勾配配管22のトラップ20寄りの上部」の「上部」とは、勾配配管22の中心線よりも上側を意味する。
【0031】
貯留槽24の一方の側壁24Cと対向する図面矢印R方向側の側壁24Dには、天板24A寄りに第2通気管28の一端が接続されている。第2通気管28の他端は、後述する立て管32に設けられた合流継手34に接続されている。即ち、第2通気管28により、貯留槽24の内部と立て管32の内部とが連通しており、貯留槽24の内部の空気を立て管32へ排出することができ、また、立て管32の内部の空気を貯留槽24に流入させることが可能となっている。
【0032】
(サイホン排水管)
貯留槽24の側壁24Dには、底板24B寄りにサイホン排水管30の横引き管30Aの一端が接続されている。横引き管30Aは、貯留槽24の近傍の一部分が傾斜しているが、その下流側はスラブ14の上で横方向に無勾配で配設されている。横引き管30Aの下流側端部には下方向(鉛直方向下向き)に延びる竪管30Bが連続している。
本実施形態のサイホン排水管30は、ポリブテンで形成されているが、可撓性を有する他の合成樹脂で形成されていてもよい。
【0033】
建物12には、鉛直方向に延びる立て管32が配設されている。立て管32には、合流継手34が取り付けられており、サイホン排水管30で流された排水は、合流継手34を介して立て管32に排出される。
【0034】
(作用、効果)
次に、本実施形態のサイホン排水システム10の作用、効果を説明する。
浴槽18から排水が排出されると、排水はトラップ20を介して勾配配管22へ流れ込む。勾配配管22に流れ込んだ排水は、傾斜した勾配配管22の底部に沿って自重で貯留槽24へ流れる。
【0035】
なお、貯留槽24は、底板24Bが、サイホン排水管30側が、排水の流入する勾配配管22側よりも下方となるように傾斜しているため、排水は貯留槽24の中を勾配配管22側からサイホン排水管30側へ流れ、かつ、サイホン排水管30側から溜まり初め、勾配配管22側よりもサイホン排水管30側の水深が深くなる。
【0036】
そして、貯留槽24に排水が流入して貯留槽24内の排水の水位が上昇するに伴い、貯留槽24内の空気は押されて、第2通気管28、及び合流継手34を介して立て管32に排出される。
【0037】
その後、貯留槽24に流入した排水が、サイホン排水管30の横引き管30Aに流れ込み、満流となった排水が竪管30B内を重力により落下すると、サイホン水頭Hsのポテンシャルエネルギ-により、サイホン力が発生する。サイホン力が発生すると、貯留槽内の排水は竪管30Bに向かって吸引され、排水が満流流れとなって流下し、効率的に排水が行われるようになる。
【0038】
ところで、貯留槽24に排水が流入した段階で、未だサイホン排水管30の竪管30B内が満流となっていない排水初期状態では、サイホン力が発生していないため、貯留槽24に流れ込む単位時間当たりの排水量に対して、サイホン排水管30による単位時間当たりの排水量が少なく、貯留槽24において排水の水位が上昇する。
【0039】
貯留槽24において排水の水位が上昇し、排水の水面が勾配配管22の出口の上端よりも高くなると(水面は2点鎖線で図示)、勾配配管22の出口(貯留槽24の入口)は、排水に水没することになる。
【0040】
図2に示すように、第1通気管26が設けられていないサイホン排水システム100では、勾配配管22の内部に介在していた空気Aが、トラップ20の封水(排水W)と、勾配配管22の出口側の排水(貯留槽24に溜まっている排水W)との間で挟まれ、勾配配管22の内部に滞留し、勾配配管22から排出できなくなる。言い換えれば、勾配配管22の両側が排水Wで塞がれる格好となるため、勾配配管22の内部が閉空間となり、勾配配管22の内部に空気Aが滞留してしまう。
【0041】
このため、勾配配管22内に溜まった空気Aによって、貯留槽24に流れ込もうとする排水が抵抗を受けて排水が流れ難くなり、トラップ20の開口部から床パネル16の上に排水が溢れ出す場合がある。
【0042】
これに対し、本実施形態のサイホン排水システム10では、サイホン力が作用していない排水初期段階で、トラップ20から排出された排水Wが勾配配管22の内部に流れ込んだ場合に、勾配配管22の内部に空気Aが滞留して貯留槽24へ向けて流れる排水Wが抵抗を受けないように、勾配配管22の内部の空気Aを、第1通気管26を介して貯留槽24へ排出させることができる。なお、貯留槽24へ流入した空気は、第2通気管28を介して立て管32へ排出される。これにより、トラップ20から排出された排水Wを貯留槽24へ迅速、かつ効率的に流すことができ、トラップ20からの排水の溢れ出しを抑制することができる。
【0043】
なお、貯留槽24の排水Wは、サイホン力が作用したサイホン排水管30を介して効率的、かつ迅速に立て管32へ排出される。
【0044】
(サイホン排水システムの施工方法)
サイホン排水システム10の一例として、浴槽18、床パネル16、トラップ20などを備えたユニットバス36を施工する工程を
図3を用いて説明する。ユニットバス36は、本発明のユニットの一例である。
【0045】
(1)貯留槽設置工程:予め決められているスラブ14上の所定の位置に貯留槽24を配置する。
【0046】
(2)ユニット設置工程:予め決められているスラブ14上の所定の位置にユニットバス36(
図3参照)を設置する。
図3に示すように、ユニットバス36は、洗い場の床パネル16にトラップ20が取り付けられており、トラップ20には、予め、勾配配管22と同様に傾斜した排出用配管20Aが取り付けられている。また、この配管22Aは、ユニットバス36の外周部分に設けられた扉(または壁)36Aの近傍まで延びており、次工程の勾配配管22との接続作業が容易になっている。
【0047】
(3)配管接続工程:貯留槽24に第1通気管26の一端、第2通気管28の一端、勾配配管22の排水方向下流側の端部、及び横引き管30Aの排水方向上流側の端部を接続すると共に、勾配配管22にT字形の継手であるチーズ38を介して第1通気管26の他端とトラップ20から延びた排出用配管20Aとを接続する。
【0048】
このように、貯留槽設置工程とユニット設置工程の後に、チーズ38を用いて配管接続工程を行うことによりユニットバス36を備えたサイホン排水システム10をスラブ14上に容易に施工することができる。
なお、場合によっては、ユニット設置工程の後に貯留槽設置工程を行うこともできる。
【0049】
ユニットバス36において、トラップ20に取り付けられている排出用配管20Aは種々の長さがあり、勾配配管22の長さは、排出用配管20Aの長さ、排出用配管20Aから貯留槽24までの寸法、チーズ38の寸法等によって決定される。また、
図3に示す第1通気管26の端部は90°に曲げられているが、この部分はエルボであってもよい。また、浴室外側の脱衣所等の床パネル16Aの施工は、上述した工程を行った後に行えばよい。
【0050】
[その他の実施形態]
なお、本発明について実施形態の一例を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。
【0051】
上記実施形態では、第1通気管26を貯留槽24の側壁24Cの天板24A寄りに接続したが、第1通気管26は天板24Aに接続してもよい。
【0052】
上記実施形態では、第2通気管28を貯留槽24の側壁24Dの天板24A寄りに接続したが、第2通気管28は天板24Aに接続してもよい。
【0053】
なお、勾配配管22内の空気Aは、傾斜した勾配配管22の傾斜方向上側(トラップ20側)へ滞留し易いので、第1通気管26は、空気Aの滞留し易いトラップ20側の勾配配管22の上部に接続することが好ましいが、排水の流れを邪魔する空気Aが排出できれば第1通気管26を接続する位置は問わない。
【0054】
上記実施形態では、第1通気管26の端部を貯留槽24に接続したが、第1通気管26の端部は、例えば、床下や室外に解放してもよい。この場合、第1通気管26の端部の位置は、排水が溢れ出ないように高さ位置を決めればよい。
【0055】
上記実施形態では、第2通気管28の端部を合流継手34に接続したが、第2通気管28の端部は、例えば、室外に解放してもよい。
【0056】
上記実施形態では、水廻り器具が浴槽18であったが、水廻り器具は浴槽18以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…サイホン排水システム、18…浴槽(水廻り器具)、20…トラップ、22…勾配配管(機器排水管)24…貯留槽、26…第1通気管、28…第2通気管、30A…横引き管、30B…竪管、36…ユニットバス(ユニット)、38…チーズ(継手)