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特許7489910コスト更新装置、コスト更新方法及びそのコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】コスト更新装置、コスト更新方法及びそのコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240517BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20240517BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/01 A
G08G1/13
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020204473
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091568
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲
(72)【発明者】
【氏名】圦本 昌之
(72)【発明者】
【氏名】難波 博
(72)【発明者】
【氏名】三輪 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】大崎 新太郎
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-151041(JP,A)
【文献】特開2017-32422(JP,A)
【文献】特開2019-185123(JP,A)
【文献】特開2015-175825(JP,A)
【文献】特開2015-158467(JP,A)
【文献】特開2019-78687(JP,A)
【文献】特開2018-206358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転用のナビゲーション用マップデータのコストを更新するコスト更新装置であって、
自動運転モードのプローブカーのプローブデータを抽出するプローブデータ抽出部と、
所定の道路区間毎に、該道路区間における自動運転用のコストを演算するコスト演算部と、
を備え、
前記プローブデータには、自動運転モードのドライバの操作履歴が含まれるものであり
前記コスト演算部は、抽出された前記プローブデータに含まれる前記操作履歴に基づい て、前記道路区間における自動運転用のコストを演算し、演算された前記自動運転用のコ ストをもって前記ナビゲーション用マップデータのコストを更新するものである、
コスト更新装置。
【請求項6】
プローブデータ抽出部と、コスト演算部とを備えて自動運転用のナビゲーション用マップデータのコストを更新するコスト更新装置を用いるコスト更新方法であって、
前記プローブデータ抽出部に自動運転モードのプローブカーのプローブデータであって 自動運転モードのドライバの操作履歴が含まれるプローブデータを抽出させ、
前記コスト演算部に、所定の道路区間毎に、抽出された前記プローブデータに含まれる前記操作履歴に基づいて、該道路区間における自動運転用のコストを演算させ、
演算された前記自動運転用のコストをもって前記ナビゲーション用マップデータのコストを更新する、コスト更新方法。
【請求項7】
プローブデータ抽出部と、コスト演算部とを備えて自動運転用のナビゲーション用マップデータのコストを更新するコスト更新装置に用いるコンピュータ用のコンピュータプログラムであって、
前記プローブデータ抽出部に自動運転モードのプローブカーのプローブデータであって 自動運転モードのドライバの操作履歴が含まれるプローブデータを抽出させ、
前記コスト演算部に、所定の道路区間毎に、抽出された前記プローブデータに含まれる前記操作履歴に基づいて、該道路区間における自動運転用のコストを演算させ、
演算された前記自動運転用のコストをもって前記ナビゲーション用マップデータのコストを更新する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転に適したナビゲーション用マップデータのコスト更新装置、コスト更新方法及びそのコンピュータプログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用のナビゲーションにおいて案内経路を選択する際には、汎用的なコスト計算法が用いられる。このコスト計算法では、マップデータのリンク及びノードへ予めコストを指定しておいて、目的地までの積算コストが最小となる経路が選択される。
かかるナビゲーション用マップデータでは、そのリンクのコストは、道路種別(国道、県道等)、車線数、道路幅、制限速度など考慮して適宜定められている。
自動運転車両に搭載されたナビゲーション装置においても、目的地までの案内経路は、自動運転が可能な道路が含まれているか否かにかかわらず、汎用的なルールでコスト計算されることが一般であった。
自動運転の対象となる自動運転対象道路においては自動運転特有の運転困難性がある。そこで、自動運転対象道路についてはそのコストを別個に設定することが提案されている(特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-131107号公報
【文献】特開2019-139585号公報
【文献】特開2019-167094号公報
【文献】特開2016-072614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、自動運転対象道路へ個別に設定するコストの適正化について鋭意検討を重ねてきた。
その結果、自動運転の実行中においても、自動運転装置がドライバからの指示を要求する場合があることに着目した。例えば、走行車線を走行中の自動運転車両が車線変更を必要と判断した際、自動運転装置よりドライバに対して車線変更すべきとの提案が提供される。この提案をドライバが承認し、その旨の指示を自動運転装置に入力すると、提案に即した自動運転が実行される。
また、ドライバに対して自動運転装置から、手動運転への切替(ハンドオーバー)が提案されることもある。当該提案を受け入れたドライバは自動運転対象道路においても手動運転を実行することとなる。
更には、自動運転のモードの如何にかかわらず、ドライバによる急ブレーキやハンドル操作がなされる場合もある。
【0005】
このように、自動運転中といえども、ドライバにより何らかのアクションがなされている。かかるアクションを操作履歴として収集し、分析する。これにより、自動運転対象道路の特性を特定することができ、もって、当該自動運転対象道路に対して適正なコストを設定できるものと考えた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明はかかる課題を解決するものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
自動運転用のナビゲーション用マップデータのコストを更新するコスト更新装置であって、
自動運転モードのプローブカーのプローブデータを抽出するプローブデータ抽出部と、
所定の道路区間毎に、該道路区間における自動運転用のコストを演算するコスト演算部と、
を備え、
前記プローブデータには、自動運転モードのドライバの操作履歴が含まれるものであり
前記コスト演算部は、抽出された前記プローブデータに含まれる前記操作履歴に基づい て、前記道路区間における自動運転用のコストを演算し、演算された前記自動運転用のコ ストをもって前記ナビゲーション用マップデータのコストを更新するものである、
コスト更新装置。
【0007】
このように規定される第1の局面のコスト更新装置によれば、自動運転モードのプローブカーのプローブデータに含まれるドライバの操作履歴に基づいて自動運転用のコストが演算される。このようにして演算されたコストは、自動運転対象道路において実際に実行されたドライバによる操作履歴が反映された、より現実に即した適正なものとなる。
【0008】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、第1の局面で規定したコスト更新装置において、前記操作履歴は、ドライバによる車線変更の承認の回数、ハンドオーバーの回数及び/又はブレーキの回数である。
第2の局面のコスト更新装置において選択された操作履歴、即ち、ドライバによる車線変更の承認の回数、ハンドオーバーの回数及び/又はブレーキの回数は、自動運転中のドライバにより実行される操作の中でも頻度が高い。よって、かかる操作の履歴に基づきコストを演算することで、自動運転対象道路の現状をより正確に反映したコストを迅速に得られる。
【0009】
道路状況は常に変化している。よって、より安全にかつ安定して自動運転を実行するには、走行しようとする自動運転対象道路の現状を把握し、それをコストに反映することが好ましい。
そこでこの発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第1又は第2の局面に規定のコスト更新装置において、交通情報取得部とコスト補正部が更に備えられ、
該交通情報取得部は、自動運転中の車両に適用されている案内経路において自動運転用にコストを演算した道路区間の現状の交通情報を取得し、
前記コスト補正部は、得られた交通情報に応じて、前記道路区間のコストを補正する。
このように規定される第3の局面のコスト更新装置によれば、交通情報に応じて自動運転用のコストが補正される。コストの増減の如何によっては、案内経路が変更されることとなる。
【0010】
この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第3の局面に規定のコスト更新装置において、前記交通情報は前記道路区間における交通量及び/又は平均走行速度である。
交通量が多くなれば、ドライバによるブレーキ操作が増大する可能性が高いので、コストをアップする。また、平均走行速度が高ければ、ブレーキ操作の可能性が高くなることはもとより、自動運転装置からの案内に対するドライバの応答にも時間的な余裕がなくなるおそれがある。このように、道路区間の交通量及び/又は平均走行速度はコスト補正の重要な指標となる。
なお、交通量は、道路区間に存在するプローブカーの数量と当該道路区間における道路の面積(長さ×幅(又は車線数)の比から特定できる。平均走行速度は同じく道路区間に存在するプローブカーの平均走行速度から特定できる。
【0011】
この発明の第5の局面のコスト更新装置は次のように規定される。即ち、
第1~4の何れかの局面に規定のコスト更新装置において、前記コスト補正部は、前記道路区間の車線数と該道路区間における前記自動運転モードのプローブカーの平均旅行時間とに基づいて前記自動運転用のコストを補正する。
このように規定される第5の局面に規定のコスト更新装置では、前記自動運転用のコストの補正に際し、経路案内されている車両が変更しようとする道路区間内の車線数とこの道路区間におけるプローブカーの平均旅行時間とが考慮される。例えば、自動運転からドライバに対して追い越しの提案をする際、車線数が多く、かつ平均旅行時間が長いとき、車線変更をスムーズに行える。即ち、かかる道路区間の自動運転用のコストは小さくなる。
【0012】
他方、図1に示すように車線数が多く(例えば3車線以上)かつ平均旅行時間が短い(例えば60秒以下)道路区間に案内経路(図中、矢印で示す)が設定されているとき、自動運転装置からドライバに対して車線変更の提案がなされかつそれに対するドライバの承認の指示を入力することに要する一連の操作に十分な時間を取れないおそれがある。よって、かかる道路区間は自動運転になじまないものとして、自動運転用のコストとしてはこれを極めて高く設定するか、進入禁止扱いとする。
【0013】
この発明の第6の局面は第1の局面に規定のコスト更新装置を用いたコスト更新方法を規定したものであり、次のように規定される。その作用は第1の局面と同様である。即ち、
プローブデータ抽出部と、コスト演算部とを備えて自動運転用のナビゲーション用マップデータのコストを更新するコスト更新装置を用いるコスト更新方法であって、
前記プローブデータ抽出部に自動運転モードのプローブカーのプローブデータであって 自動運転用モードのドライバの操作履歴が含まれるプローブデータを抽出させ、
前記コスト演算部に、所定の道路区間毎に、抽出された前記プローブデータに含まれる前記操作履歴に基づいて、該道路区間における自動運転用のコストを演算させ、
演算された前記自動運転用のコストをもって前記ナビゲーション用マップデータのコストを更新する、コスト更新方法。
【0014】
この発明の第7の局面は第2の局面に規定のコスト更新装置を用いたコスト更新方法を規定したものであり、次のように規定される。その作用は第2の局面と同様である。即ち、
第6の局面に規定のコスト更新方法において、前記操作履歴は、ドライバによる車線変更の承認の回数、ハンドオーバーの回数及び/又はブレーキの回数である。
【0015】
この発明の第8の局面は第3の局面に規定のコスト更新装置を用いたコスト更新方法を規定したものであり、次のように規定される。その作用は第3の局面と同様である。即ち、
第7の局面に規定のコスト更新方法において、前記コスト更新装置に交通情報取得部とコスト補正部が更に備えられ、
該交通情報取得部に、自動運転中の車両に適用されている案内経路において自動運転用にコストを演算した道路区間の現状の交通情報を取得させ、
前記コスト補正部も、得られた交通情報に応じて、前記道路区間の自動運転用のコストを補正させる。
【0016】
この発明の第9の局面は第4の局面に規定のコスト更新装置を用いたコスト更新方法を規定したものであり、次のように規定される。その作用は第4の局面と同様である。即ち、
第8の局面に規定のコスト更新方法において、前記交通情報は前記道路区間における交通量及び/又は平均走行速度である。
【0017】
この発明の第10の局面は第5の局面に規定のコスト更新装置を用いたコスト更新方法を規定したものであり、次のように規定される。その作用は第5の局面と同様である。即ち、
この発明の第8又は第9の局面に規定されたコスト更新方法において、前記補正部に、前記道路区間の車線数と該道路区間における前記自動運転モードのプローブカーの平均旅行時間とに基づいて前記自動運転用のコストを補正させる。
【0018】
この発明の第11の局面は第1の局面に規定のコスト更新装置に用いられるコンピュータ用のコンピュータプログラムを規定したものであり、次のように規定される。その作用は第1の局面と同様である。即ち、
プローブデータ抽出部と、コスト演算部とを備えて自動運転用のナビゲーション用マップデータのコストを更新するコスト更新装置に用いるコンピュータ用のコンピュータプログラムであって、
前記プローブデータ抽出部に自動運転モードのプローブカーのプローブデータであって 自動運転用モードのドライバの操作履歴が含まれるプローブデータを抽出させ、
前記コスト演算部に、所定の道路区間毎に、抽出された前記プローブデータに含まれる前記操作履歴に基づいて、該道路区間における自動運転用のコストを演算させ、
演算された前記自動運転用のコストをもって前記ナビゲーション用マップデータのコストを更新する、コンピュータプログラム。
【0019】
この発明の第12の局面は第2の局面に規定のコスト更新装置に用いられるコンピュータ用のコンピュータプログラムを規定したものであり、次のように規定される。その作用は第2の局面と同様である。即ち、
第11の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記操作履歴は、ドライバによる車線変更の承認の回数、ハンドオーバーの回数及び/又はブレーキの回数である。
【0020】
この発明の第13の局面は第3の局面に規定のコスト更新装置に用いられるコンピュータ用のコンピュータプログラムを規定したものであり、次のように規定される。その作用は第3の局面と同様である。即ち、
第12の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コスト更新装置に交通情 報取得部とコスト補正部が更に備えられ、
該交通情報取得部に、自動運転中の車両に適用されている案内経路において自動運転用にコストを演算した道路区間の現状の交通情報を取得させ、
前記コスト補正部も、得られた交通情報に応じて、前記道路区間の自動運転用のコストを補正させる。
【0021】
この発明の第14の局面は第4の局面に規定のコスト更新装置に用いられるコンピュータ用のコンピュータプログラムを規定したものであり、次のように規定される。その作用は第4の局面と同様である。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記交通情報は前記道路区間における交通量及び/又は平均走行速度である。
【0022】
この発明の第15の局面は第5の局面に規定のコスト更新装置に用いられるコンピュータ用のコンピュータプログラムを規定したものであり、次のように規定される。その作用は第5の局面と同様である。即ち、
この発明の第13又は第14の局面に規定されたコンピュータプログラムにおいて、前記補正部に、前記道路区間の車線数と該道路区間における前記自動運転モードのプローブカーの平均旅行時間とに基づいて前記自動運転用のコストを補正させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は車線数が多くかつ平均旅行時間が短い道路区間を示す模式図である。
図2図2はこの発明の実施の形態のコスト更新装置の構成を示すブロックである。
図3図3はコスト更新装置の動作を説明するフローチャートである。
図4図4はコスト更新装置のコスト補正動作を説明するフローチャートである。
図5図5はコンピュータ装置を実施形態のコスト更新装置として機能させたときのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2にこの発明の実施形態のコスト更新装置1を示す。このコスト更新装置1はプローブデータ抽出部3、コスト演算部5及びコスト補正部7を備える。
プローブデータ抽出部3は、外部サーバ30のプローブデータ保存部31に保存されているプローブデータの内、自動運転対象道路に関するものを抽出する。
コスト演算部5は、抽出されたプローブデータを所定の方法で演算して、自動運転対象道路に対するコストを演算する。
コスト補正部7は、自動運転車両10が案内経路に従って走行するとき、当該経路の含まれる自動運転対象道路のコストを補正する。
【0025】
外部サーバ30のプローブデータ保存部31にはプローブカー40の走行軌跡がプローブデータとして保存される。プローブデータにはプローブカーの位置情報が時刻と共に保存されるほか、プローブカーのドライバが行った種々の操作履歴も保存される。この操作履歴として、ドライバによる車線変更の承認の回数、ハンドオーバーの回数及び/又はブレーキの回数などが挙げられる。
【0026】
外部サーバ30には、プローブデータ保存部31の他に、自動運転対象道路保存部33と交通情報保存部35とが備えられる。
自動運転対象道路保存部33には、自動運転が実行される道路のマップデータが保存される。自動運転対象道路保存部33の内容は、外部のHDマップサーバ50から定期的に更新される。
【0027】
交通情報保存部35には、現状の交通情報が保存される。交通情報には渋滞情報、事故情報、工事情報等の他、所定の道路区間の交通量、平均走行速度及び平均旅行時間等が該当する。これらの交通情報は外部の交通情報センター60から供給される。
自動運転対象道路における交通量、平均走行速度及び平均旅行時間は、プローブデータ保存部31に保存されている最新のプローブデータを解析して得ることもできる。
【0028】
コスト演算部5で演算された自動運転用コストや、コスト補正部7で補正された自動運転用コストは自動運転車両10のナビゲーション用マップデータ保存部13の中の、コスト保存部131の自動運転用コスト保存領域1313に保存される。
自動運転車両10のナビゲーション装置11は経路探索部12とナビゲーション用マップデータ保存部13と備える。ナビゲーション用マップデータ保存部13はコスト保存部131、リンクやノードを保存する地図情報保存部133及び道路の車線数や制限速度等を保存する道路情報保存部135を備える。コスト保存部131には、汎用的な経路選択を実行するときに利用するコストを保存する汎用コスト保存領域1311と自動運転対象道路に対してのみ設定されて自動運転が予定されているときに利用される自動運転用コスト保存領域1313が備えられる。
【0029】
自動運転部15は制御部151、出力部153及び入力部155を備える。
制御部151は自動運転車両10の自動運転全般を制御する。出力部153は、自動運転車両10の走行状態をドライバへ出力する。この出力部153として、ナビゲーション装置11のディスプレイを共有できる。自動運転中においてドライバの指示が必要と制御部151が判断したとき、出力部153にドライバへ要求する指示内容(車線変更の承認、ハンドオーバーなど)が表示される。入力部155は、出力部153に表示された指示内容に対するドライバの指示内容を受け付ける。その他、自動運転を実行するときに必要な各種のパラメータの入力も受け付ける。
【0030】
手動運転部17はドライバによる手動運転に必要な機器を備える。ハンドル、アクセル、ブレーキ、方向指示器などが該当する。
プローブカー40のうち、自動運転モードのプローブカーはかかる自動運転車両10の構成を備えている。
【0031】
次に、この発明のコスト更新装置1の動作について、図3を参照しながら説明する。
ステップ1において、プローブデータ抽出部3は自動運転対象道路保存部33の内容を参照して、自動運転対象道路を自動運転走行したプローブカーのプローブデータを抽出する。
【0032】
ステップ3では、コスト演算部5は自動運転対象道路を所定の道路区間に分割し(ステップ31)、当該分割された道路区間毎に抽出したプローブデータに含まれるドライバの操作履歴の頻度をカウントする(ステップ33)。具体的には、道路区間毎に所定の時間幅(例えば24時間)でドライバによる車線変更の承認の回数、ハンドオーバーの回数及び/又はブレーキの回数をカウントする。これらの回数に応じて、汎用コスト保存領域1311に保存されている汎用コストの値を所定のルールに従って修正する(ステップ35)。修正はコストを増加させる方向となる。
このようにして演算された自動運転用コストは自動運転用コスト保存領域1313に保存される(ステップ5)。
【0033】
自動運転車両10においてナビゲーション装置11により経路探索がなされ、得られた案内経路に自動運転対象道路が含まれているとき、ドライバの指示に基づき若しくは自動的に、コスト更新装置1に対して、コスト補正要求がなされる。
コスト補正要求がなされたとき(ステップ7:Y)、コスト補正部7は交通情報保存部35にアクセスして、各道路区域の現在の交通情報を読み出し、当該交通情報に応じて自動運転用コストを補正する(ステップ9)。
【0034】
この交通情報として各道路区間における車両の交通量(及び/又は平均走行速度)を把握する(ステップ91)。交通量が所定の値を超えたとき(ステップ93:Y)、自動運転用コストを増大させる方向で補正を行う(ステップ95)。交通量の対象となる車両は自動運転車両に限定されない。交通量や平均走行速度はプローブデータ保存部31にあるプローブデータから求めることもできる。
このようにして補正された自動運転用コストは自動運転用コスト保存領域1313に書込まれて保存される(ステップ11)。
【0035】
自動運転用コストを補正する他の態様を図4に示す。
ステップ41では、案内経路に含まれる自動運転対象道路の各道路区間について、経路案内に沿って運転を実行したときに変更すべき車線数を把握する(図1参照)。ステップ43では道路区間において変更すべき車線数が所定数(例えば3車線)以上であるか否か検討し、ステップ45では所定の車線数を超えた道路区間におけるプローブカー(ここでは自動運転車両に限定しない)の旅行時間の平均を求める。旅行時間とは当該道路区間を通過するのに要する時間を指す。平均旅行時間が所定時間(例えば1分)以下のとき(ステップ47:Y)、当該道路区間は自動運転に適さないものとして、その自動運転用コストを極めて高い値に補正する(ステップ49)。
【0036】
図5にコスト更新装置1のハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、プローブデータ抽出部3、コスト演算部5及びコスト補正部7として機能する。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305は、キーボード等の入力装置330を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU301に対してワーキングエリアを提供したりする。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1記憶装置340に格納されていてもよい。
【0037】
第1記憶装置340はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
【0038】
データを一時的に保存する、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。
出力装置320はディスプレイや音声出力装置であり、入力装置330は音声入力部や、ディスプレイに重ねて配置されるタッチパネル式のキーボートやマウスなどが該当する。
通信インターフェース360を介して外部サーバ500と通信する。この外部サーバ500に、プローブデータ保存部510、自動運転対象道路保存部520、交通情報保存部530が備えられる。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0039】
本発明は、上記実施形態、実施例、変形例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 コスト更新装置
3 プローブデータ抽出部
5 コスト演算部
7 コスト補正部
40 プローブカー
図1
図2
図3
図4
図5