(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、システム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/46 20240101AFI20240517BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240517BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20240517BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
G05D1/46
B64C39/02
B64D47/08
B64C13/20 Z
(21)【出願番号】P 2020216695
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 幸治
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10476296(US,B1)
【文献】特開2019-135900(JP,A)
【文献】特開2020-019419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/46
B64C 39/02
B64D 47/08
B64C 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電用飛行体を制御する制御装置であって、
前記給電用飛行体が備えるカメラによって撮像された、太陽電池パネルを搭載している給電対象飛行体の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する制御部
と
を備え
、
前記制御部は、前記撮像画像に基づいて、前記給電用飛行体を視点とした場合の、前記太陽電池パネルの角度、面積、及び形状を判別し、判別結果に基づいて、前記光照射部によって照射される光の方向を調整するように前記給電用飛行体を制御する、制御装置。
【請求項2】
前記給電対象飛行体は、成層圏プラットフォームとして機能し、
前記制御部は、成層圏において、前記給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、前記光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記給電対象飛行体によって送信された、前記給電対象飛行体の姿勢情報を取得する情報取得部
を備え、
前記制御部は、前記姿勢情報に基づいて、前記光照射部によって照射される光の方向を調整するように前記給電用飛行体を制御する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、前記給電対象飛行体によって送信された、前記給電対象飛行体が飛行している飛行エリアの状況を示すエリア情報を取得し、
前記制御部は、前記エリア情報に基づいて、前記光照射部によって照射される光の方向を調整するように前記給電用飛行体を制御する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、前記給電対象飛行体によって送信された、前記給電対象飛行体の前記太陽電池パネルによる発電状況を示す発電状況情報を取得し、
前記制御部は、前記発電状況情報に基づいて、前記光照射部によって照射される光の方向を調整するように前記給電用飛行体を制御する、請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記給電用飛行体が備えるレーダによって測定された前記給電用飛行体と前記給電対象飛行体との距離を取得する距離取得部
を備え、
前記制御部は、前記距離に基づいて、前記光照射部によって照射される光の方向を調整するように前記給電用飛行体を制御する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、円形の飛行ルートを巡回飛行している前記給電対象飛行体に対して、より大きい円形の飛行ルートを飛行しながら、前記光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する、請求項1から
6のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記給電対象飛行体は、翼部の上面に前記太陽電池パネルを有し、
前記制御部は、前記給電対象飛行体の上側を飛行しながら、前記光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する、請求項1から
7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記光の照射方向が、地上の予め定められたエリアから外れるように、前記給電対象飛行体との位置関係を調整するように、前記給電用飛行体を制御する、請求項
8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記給電対象飛行体は、翼部の下面に前記太陽電池パネルを有し、
前記制御部は、前記給電対象飛行体の下側を飛行しながら、前記光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を放射するように前記給電用飛行体を制御する、請求項1から
9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、複数の前記給電対象飛行体に対して順番に、前記光照射部による光の照射を実行するように前記給電用飛行体を制御する、請求項1から
10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記給電用飛行体に搭載される、請求項1から
11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
給電用飛行体を制御する制御装置であって、
太陽電池パネルを搭載している給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する制御部
を備え、
前記給電対象飛行体は、翼部の上面に前記太陽電池パネルを有し、
前記制御部は、前記給電対象飛行体の上側を飛行しながら、前記光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射し、前記光の照射方向が、地上の予め定められたエリアから外れるように、前記給電対象飛行体との位置関係を調整するように、前記給電用飛行体を制御する、制御装置。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1から
13のいずれか一項に記載の制御装置として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記給電用飛行体と
を備えるシステム。
【請求項16】
前記制御装置は地上に配置され、
前記制御部は、前記給電用飛行体に対して指示データを送信することによって、前記給電用飛行体を制御する、請求項
15に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータによって実行される、給電用飛行体を制御する制御方法であって、
前記給電用飛行体が備えるカメラによって撮像された、太陽電池パネルを搭載している給電対象飛行体の撮像画像を取得する画像取得段階と、
前記給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する制御段階
と
を備え、
前記制御段階は、前記撮像画像に基づいて、前記給電用飛行体を視点とした場合の、前記太陽電池パネルの角度、面積、及び形状を判別し、判別結果に基づいて、前記光照射部によって照射される光の方向を調整するように前記給電用飛行体を制御する、制御方法。
【請求項18】
コンピュータによって実行される、給電用飛行体を制御する制御方法であって、
太陽電池パネルを搭載している給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する制御段階
を備え、
前記給電対象飛行体は、翼部の上面に前記太陽電池パネルを有し、
前記制御段階は、前記給電対象飛行体の上側を飛行しながら、前記光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射し、前記光の照射方向が、地上の予め定められたエリアから外れるように、前記給電対象飛行体との位置関係を調整するように、前記給電用飛行体を制御する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、プログラム、システム、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池パネルを搭載している飛行体に対して地上からレーザ光を照射して光電力伝送を行う技術が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2020-019419号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、給電用飛行体を制御する制御装置が提供される。制御装置は、太陽電池パネルを搭載している給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、光照射部によって前記太陽電池パネルに向けて光を照射するように前記給電用飛行体を制御する制御部を備えてよい。
【0004】
上記給電対象飛行体は、成層圏プラットフォームとして機能してよく、上記制御部は、成層圏において、上記給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、上記光照射部によって上記太陽電池パネルに向けて光を照射するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記制御装置は、上記給電対象飛行体によって送信された、上記給電対象飛行体の姿勢情報を取得する情報取得部を備えてよく、上記制御部は、上記姿勢情報に基づいて、上記光照射部によって照射される光の方向を調整するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記情報取得部は、上記給電対象飛行体によって送信された、上記給電対象飛行体が飛行している飛行エリアの状況を示すエリア情報を取得してよく、上記制御部は、上記エリア情報に基づいて、上記光照射部によって照射される光の方向を調整するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記情報取得部は、上記給電対象飛行体によって送信された、上記給電対象飛行の上記太陽電池パネルによる発電状況を示す発電状況情報を取得してよく、上記制御部は、上記発電状況情報に基づいて、上記光照射部によって照射される光の方向を調整するように上記給電用飛行体を制御してよい。
【0005】
上記制御装置は、上記給電用飛行体が備えるカメラによって撮像された上記給電対象飛行体の撮像画像を取得する画像取得部を備えてよく、上記制御部は、上記撮像画像に基づいて、上記光照射部によって照射される光の方向を調整するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記制御部は、上記撮像画像に基づいて上記給電対象飛行体の上記太陽電池パネルの状況を判定し、判定結果に応じて上記光照射部によって照射される光の方向を調整するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記制御装置は、上記給電用飛行体が備えるレーダによって測定された上記給電用飛行体と上記給電対象飛行体との距離を取得する距離取得部を備えてよく、上記制御部は、上記距離情報に基づいて、上記光照射部によって照射される光の方向を調整するように上記給電用飛行体を制御してよい。
【0006】
上記制御部は、円形の飛行ルートを巡回飛行している上記給電対象飛行体に対して、より大きい円形の飛行ルートを飛行しながら、上記光照射部によって上記太陽電池パネルに向けて光を照射するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記給電対象飛行体は、翼部の上面に上記太陽電池パネルを有してよく、上記制御部は、上記給電対象飛行体の上側を飛行しながら、上記光照射部によって上記太陽電池パネルに向けて光を照射するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記制御部は、上記光の照射方向が、地上の予め定められたエリアから外れるように、上記給電対象飛行体との位置関係を調整するように、上記給電用飛行体を制御してよい。上記給電対象飛行体は、翼部の下面に上記太陽電池パネルを有してよく、上記制御部は、上記給電対象飛行体の下側を飛行しながら、上記光照射部によって上記太陽電池パネルに向けて光を放射するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記制御部は、複数の上記給電対象飛行体に対して順番に、上記光照射部による光の照射を実行するように上記給電用飛行体を制御してよい。上記制御装置は、上記給電用飛行体に搭載されてよい。
【0007】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータを、上記制御装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0008】
本発明の一実施態様によれば、上記制御装置と、上記給電用飛行体とを備えるシステムが提供される。上記制御装置は地上に配置されてよく、上記制御部は、上記給電用飛行体に対して指示データを送信することによって、上記給電用飛行体を制御してよい。
【0009】
本発明の一実施態様によれば、コンピュータによって実行される、給電用飛行体を制御する制御方法が提供される。制御方法は、太陽電池パネルを搭載している給電対象飛行体の飛行に追従して飛行しながら、光照射部によって太陽電池パネルに向けて光を照射するように給電用飛行体を制御する制御段階を備えてよい。
【0010】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】システム10における処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図3】制御装置200の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図4】給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。
【
図5】給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。
【
図6】給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。
【
図7】給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。
【
図8】給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。
【
図10】給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。
【
図11】管理装置400の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図12】制御装置200又は管理装置400として機能するコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
給電対象の飛行体に対して地上から光を照射して光電力伝送をする場合、高精度なトラッキングによる照射技術が必要となる。例えば、給電対象が成層圏プラットフォームとして機能するHAPS(High Altitude Platform Station)である場合には、20km以上離れたところから光を照射するので、高い精度が求められる。また、給電対象の飛行体と地上との間にある雲等の気象条件により効率が左右される課題がある。本実施形態に係るシステム10は、例えば、地上に代えて、給電対象飛行体の近傍に給電用飛行体100を滞空させて、給電用飛行体100から給電対象飛行体に光を照射することにより、効率的な電力伝送を実現する。給電用飛行体100と給電対象飛行体では、飛行速度、高度、飛行性能などが異なる場合があるため、システム10は、給電用飛行体100の飛行特性、給電対象飛行体の飛行状態、飛行パターン、太陽電池パネルへの照射角度・照射継続性に基づく電力電送効率などを考慮して最適な追従方法を選択して、追従制御(AIなどを用いた予測制御を含む)を行うものであってよい。
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、システム10の一例を概略的に示す。システム10は、給電用飛行体100を備える。システム10は、HAPS300を備えてよい。HAPS300は、給電対象飛行体の一例であってよい。システム10は、管理装置400を備えてよい。
【0015】
給電用飛行体100は、給電対象飛行体に無線給電する機能を有する。給電用飛行体100は、給電対象飛行体の飛行に追従して飛行することが可能であり、かつ、給電対象飛行体に向けて光を照射可能であれば、どのような飛行体であってもよい。給電用飛行体100は、例えば、飛行機であってよい。給電用飛行体100の動力は、プロペラであっても、ジェットエンジンであっても、他の動力であってもよい。給電用飛行体100は、燃料を搭載して、燃料を使用することによって、飛行したり、光120を照射したりしてよい。また、給電用飛行体100は、大型のバッテリを搭載して、バッテリの電力を使用することによって、飛行したり、光120を使用したりしてよい。
【0016】
給電用飛行体100は、各種機器を搭載する搭載部110を備える。搭載部110は、不図示の光照射部112を搭載する。搭載部110は、不図示のカメラ114を搭載してよい。搭載部110は、不図示のレーダ116を搭載してよい。
【0017】
給電用飛行体100は、光照射部112によって、太陽電池パネルを搭載している給電対象飛行体の太陽電池パネルに向けて光120を照射することによって、給電対象飛行体に給電する。
【0018】
光照射部112が照射する光120の例として、レーザ、可視光、紫外線、及び赤外線等が挙げられる。光照射部112は、例えば、サーチライトである。光照射部112は、レーザ放射設備であってもよい。光照射部112は、フラッドライト及びスポットライト等であってもよい。
【0019】
光照射部112による光120の照射方向は、調整可能であってよい。給電用飛行体100は、例えば、光照射部112の向きを調整する調整機構を備える。また、光照射部112そのものが、光120の照射方向を調整する調整機能を有してもよい。
【0020】
給電用飛行体100は、光照射部112を保持するジンバルを備えてよい。ジンバルによって、給電用飛行体100に加わる振動等による、光照射部112によって照射される光120のぶれ等が軽減される。
【0021】
給電用飛行体100は、制御装置200を有する。制御装置200は、給電用飛行体100の飛行を制御する。制御装置200は、給電用飛行体100が備える各種センサを管理してよい。センサの例として、GPS(Global Positioning System)センサ等の測位センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、風力センサ、及び気圧センサ等が挙げられる。制御装置200は、各種センサの出力によって、給電用飛行体100の位置、姿勢、移動方向、及び移動速度等を管理してよい。また、制御装置200は、各種センサの出力によって、給電用飛行体100が飛行している飛行エリアの気流及び気圧等を管理してよい。
【0022】
また、制御装置200は、光照射部112を制御する。制御装置200は、光照射部112の調整機構を制御することによって、光120の照射方向を調整してよい。制御装置200は、光照射部112の調整機能を制御することによって、光120の照射方向を調整してよい。
【0023】
制御装置200は、カメラ114を制御してよい。制御装置200は、例えば、カメラ114HAPS300を撮像させて、HAPS300の撮像画像を取得する。
【0024】
制御装置200は、レーダ116を制御してよい。制御装置200は、例えば、レーダ116によって、HAPS300との距離を測定してよい。
【0025】
HAPS300は、成層圏プラットフォームとして機能してよい。HAPS300は、成層圏を飛行しながら、地上のゲートウェイ40との間でフィーダリンク302を形成し、かつ、地上に無線通信エリア304を形成する。
【0026】
HAPS300は、本体部310、翼部320及び太陽電池パネル330を備える。
図1に示す例において、太陽電池パネル330は、翼部320の上面に配置されている。
【0027】
太陽電池パネル330によって発電された電力は、本体部310及び翼部320の少なくともいずれかに配置された1又は複数のバッテリに蓄電される。バッテリに蓄電された電力は、HAPS300が備える各構成によって利用される。
【0028】
本体部310には、制御装置312が配置されている。制御装置312は、HAPS300の飛行及び通信を制御する。
【0029】
制御装置312は、例えば、プロペラの回転、フラップやエレベータの角度等を制御することによってHAPS300の飛行を制御する。制御装置312は、HAPS300が備える各種センサを管理してよい。センサの例として、GPSセンサ等の測位センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、風力センサ、及び気圧センサ等が挙げられる。制御装置312は、各種センサの出力によって、HAPS300の位置、姿勢、移動方向、及び移動速度を管理してよい。また、制御装置312は、各種センサの出力によって、HAPS300が飛行している飛行エリアの気流及び気圧等を管理してよい。また、制御装置312は、太陽電池パネル330による発電状況を管理してよい。
【0030】
制御装置312は、例えば、FL(Feeder Link)アンテナを用いて、ゲートウェイ40との間でフィーダリンク302を形成してよい。制御装置312は、ゲートウェイ40を介して、ネットワーク20にアクセスしてよい。
【0031】
制御装置312は、ネットワーク20に接続された管理装置400に、各種情報を送信してよい。制御装置312は、例えば、テレメトリ情報を管理装置400に送信する。
【0032】
テレメトリ情報は、HAPS300の位置情報を含んでよい。位置情報は、HAPS300の3次元位置を示してよい。テレメトリ情報は、HAPS300の姿勢情報を含んでよい。姿勢情報は、HAPS300のピッチ、ロール、ヨーを示してよい。テレメトリ情報は、HAPS300の移動方向を示す移動方向情報を含んでよい。テレメトリ情報は、HAPS300の移動速度を示す移動速度情報を含んでよい。
【0033】
テレメトリ情報は、HAPS300が飛行している飛行エリアの状況を示すエリア情報を含んでよい。エリア情報は、HAPS300が飛行している飛行エリアの気流情報を含んでよい。エリア情報は、HAPS300が飛行している飛行エリアの気圧情報を含んでよい。
【0034】
テレメトリ情報は、太陽電池パネル330による発電状況を示す発電状況情報を含んでよい。発電状況情報は、太陽電池パネル330によって発電が行われているか否かを示してよい。発電状況情報は、太陽電池パネル330による発電量に関する情報を含んでよい。発電量に関する情報は、例えば、単位時間当たりの発電量を含む。
【0035】
また、制御装置312は、例えば、SL(Service Link)アンテナを用いて、地上に無線通信エリア304を形成する。無線通信エリア304は、SLアンテナを用いて、地上のユーザ端末30とサービスリンクを形成する。
【0036】
ユーザ端末30は、HAPS300と通信可能であればどのような通信端末であってもよい。例えば、ユーザ端末30は、スマートフォン等の携帯電話である。ユーザ端末30は、タブレット端末及びPC(Personal Computer)等であってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoT(Internet of Thing)デバイスであってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoE(Internet of Everything)に該当するあらゆるものを含み得る。
【0037】
HAPS300は、例えば、フィーダリンク302と、サービスリンクとを介して、ネットワーク20とユーザ端末30との通信を中継する。HAPS300は、ユーザ端末30とネットワーク20との通信を中継することによって、ユーザ端末30に無線通信サービスを提供してよい。
【0038】
ネットワーク20は、移動体通信ネットワークを含む。移動体通信ネットワークは、3G(3rd Generation)通信方式、LTE(Long Term Evolution)通信方式、5G(5th Generation)通信方式、及び6G(6th Generation)通信方式以降の通信方式のいずれに準拠していてもよい。ネットワーク20は、インターネットを含んでもよい。
【0039】
HAPS300は、例えば、無線通信エリア304内のユーザ端末30から受信したデータをネットワーク20に送信する。また、HAPS300は、例えば、ネットワーク20を介して、無線通信エリア304内のユーザ端末30宛のデータを受信した場合に、当該データをユーザ端末30に送信する。
【0040】
管理装置400は、HAPS300を管理する。管理装置400は、ネットワーク20及びゲートウェイ40を介して、HAPS300と通信してよい。なお、管理装置400は、通信衛星を介してHAPS300と通信してもよい。管理装置400は、各種指示を送信することによってHAPS300を制御してよい。
【0041】
管理装置400は、無線通信エリア304によって地上の対象エリアをカバーさせるべく、HAPS300に、対象エリアの上空を旋回させてよい。HAPS300は、例えば、対象エリアの上空を円軌道で飛行しつつ、FLアンテナの指向方向を調整することによってゲートウェイ40との間のフィーダリンクを維持し、SLアンテナの指向方向を調整することによって無線通信エリア304による対象エリアのカバーを維持する。
【0042】
管理装置400は、給電用飛行体100を管理する。管理装置400は、ネットワーク20及びゲートウェイ40を介して、給電用飛行体100と通信してよい。なお、管理装置400は、通信衛星を介して給電用飛行体100と通信してもよい。管理装置400は、各種指示を送信することによって、給電用飛行体100を制御してよい。
【0043】
管理装置400は、例えば、HAPS300の電源系統に異常が発生したり、太陽電池パネル330による発電量だけでは電力が不足したりした場合等に、給電用飛行体100に、HAPS300に対する給電を指示する。
【0044】
なお、
図1では、給電対象飛行体の一例としてHAPS300を挙げているが、これに限らない。給電対象飛行体は、太陽電池パネルを搭載している飛行体であれば、どのような飛行体であってもよい。また、給電用飛行体100は、飛行体以外に給電してもよい。給電用飛行体100は、例えば、地上に固定されたソーラー発電所等の太陽電池パネルに向けて光120を照射してもよい。
【0045】
また、給電用飛行体100は、給電以外の用途に光120を用いてもよい。例えば、光照射部112がレーザを照射する場合、レーザによって、台風等の状態を上空から計測したり、土地の起伏を測定したりしてもよい。また、例えば、給電用飛行体100は、救助の用途に光120を用いてもよい。具体例として、給電用飛行体100は、救難ボートを発見した場合に、光120によって救難ボートを照らす等の用途に、光120を用いる。
【0046】
図2は、システム10における処理の流れの一例を概略的に示す。
図2に示す処理は、HAPS300の電源系統に異常が発生したことに応じて開始される。
【0047】
ステップ102(ステップをSと省略して記載する場合がある。)では、管理装置400が、電源系統に異常が発生したHAPS300を、他の機体に切り替えることが可能であるか否かを判定する。管理装置400は、例えば、予備機体の空きがある場合に、切替可と判定し、予備機体の空きがない場合に、切替不可と判定する。切替可と判定した場合、S104に進み、切替不可と判定した場合、S106に進む。
【0048】
S104では、管理装置400が、電源系統に異常が発生したHAPS300を、予備機体に切り替える。例えば、管理装置400が、電源系統に異常が発生したHAPS300の飛行エリアまで移動して、当該HAPS300が形成していた無線通信エリアと同様の無線通信エリアを形成する指示を、予備のHAPS300に送信する。また、管理装置400が、予備のHAPS300との交代後に地上に帰還する指示を、電源系統に異常が発生したHAPS300に送信する。
【0049】
S106では、管理装置400が、暫定給電対応が可能であるか否かを判定する。管理装置400は、例えば、電源系統に異常が発生したHAPS300に対して給電を行うことができる給電用飛行体100が存在する場合、対応可と判定し、存在しない場合、対応否と判定する。対応可と判定した場合、S108に進み、対応不可と判定した場合、S110に進む。
【0050】
S108では、管理装置400が、給電用飛行体100に対して、HAPS300への給電指示を送信する。給電指示を受信した給電用飛行体100は、成層圏のHAPS300の飛行エリアまで移動して、HAPS300の飛行に追従して飛行しながら、HAPS300への給電を開始する。給電用飛行体100は、給電が完了した後、地上へ帰還する。
【0051】
S110では、管理装置400が、電源系統に異常が発生したHAPS300に、地上に帰還するように指示する。HAPS300は、指示に応じて、地上に帰還する。
【0052】
図3は、制御装置200の機能構成の一例を概略的に示す。制御装置200は、情報取得部202、画像取得部204、距離取得部206、指示受信部208、及び制御部210を備える。
【0053】
情報取得部202は、各種情報を取得する。情報取得部202は、給電用飛行体100に関連する情報を取得してよい。情報取得部202は、給電用飛行体100が備える各種センサによって出力された情報を取得してよい。例えば、情報取得部202は、給電用飛行体100の位置情報を取得する。例えば、情報取得部202は、給電用飛行体100の姿勢情報を取得する。例えば、情報取得部202は、給電用飛行体100の移動方向を取得する。例えば、情報取得部202は、給電用飛行体100の移動速度を取得する。例えば、情報取得部202は、給電用飛行体100が飛行している飛行エリアの気流及び気圧等を示すエリア情報を取得する。
【0054】
情報取得部202は、HAPS300によって送信された情報を取得してよい。情報取得部202は、例えば、HAPS300が管理装置400に対して送信した情報を、管理装置400から受信する。情報取得部202は、HAPS300が、フィーダリンク302及びゲートウェイ40を介して管理装置400に送信した情報を、ゲートウェイ40を介して受信してよい。
【0055】
例えば、情報取得部202は、HAPS300によって送信されたテレメトリ情報を取得する。情報取得部202は、HAPS300の位置情報を取得してよい。情報取得部202は、HAPS300の姿勢情報を取得してよい。情報取得部202は、HAPS300の移動方向情報を取得してよい。情報取得部202は、HAPS300の移動速度情報を取得してよい。情報取得部202は、HAPS300が飛行している飛行エリアの状況を示すエリア情報を取得してよい。情報取得部202は、HAPS300の発電状況情報を取得してよい。
【0056】
画像取得部204は、カメラ114によって撮像された撮像画像を取得する。画像取得部204は、例えば、HAPS300をカメラ114に撮像させて、HAPS300の撮像画像を取得する。
【0057】
距離取得部206は、給電用飛行体100とHAPS300との距離を取得する。距離取得部206は、レーダ116に、給電用飛行体100とHAPS300との距離を測定させてよい。距離取得部206は、レーダ116によって測定された給電用飛行体100とHAPS300との距離を取得してよい。
【0058】
指示受信部208は、管理装置400から各種指示を受信する。指示受信部208は、ネットワーク20及びゲートウェイ40を介して、管理装置400から指示を受信してよい。
【0059】
管理装置400は、制御関連情報を含む指示を給電用飛行体100に送信してよい。制御関連丈夫は、給電用飛行体100がHAPS300の飛行に追従して飛行しながら、HAPS300の太陽電池パネル330に向けて光120を照射するために用いる情報であってよい。制御関連情報は、例えば、HAPS300の飛行エリアを示す情報を含む。制御関連情報は、例えば、HAPS300の飛行パターンを示す情報を含む。制御関連情報は、例えば、HAPS300の飛行速度を示す情報を含む。
【0060】
制御部210は、指示受信部208が受信した指示に従って、給電用飛行体100の飛行及び光120の照射を制御する。制御部210は、指示に含まれる制御関連情報を用いて、HAPS300の飛行に追従して飛行しながら、光照射部112によってHAPS300の太陽電池パネル330に向けて光120を照射するように給電用飛行体100を制御する。制御部210は、成層圏において、HAPS300の飛行に追従して飛行しながら、光照射部112によってHAPS300の太陽電池パネル330に向けて光120を照射するように給電用飛行体100を制御してよい。
【0061】
制御部210は、情報取得部202が取得した情報に基づいて、光照射部112によって照射される光の方向を調整するように給電用飛行体100を制御してよい。例えば、制御部210は、情報取得部202が取得した情報に基づいて、光照射部112によって照射される光の方向を調整するように、給電用飛行体100の飛行を制御する。また、例えば、制御部210は、情報取得部202が取得した情報に基づいて、光照射部112によって照射される光の方向を調整するように、光照射部112による光120の照射方向を制御する。制御部210は、情報取得部202が取得した情報に基づいて、光照射部112によって照射される光の方向を調整するように、給電用飛行体100の飛行と、光照射部112による光120の照射方向との両方を調整してもよい。
【0062】
制御部210は、例えば、HAPS300の位置情報に基づいて、光照射部112によって照射される光120の方向を調整するように給電用飛行体100を制御する。制御部210は、HAPS300の位置情報を用いて、給電用飛行体100とHAPS300との位置関係を特定し、HAPS300に向けて光120が照射されるように、給電用飛行体100の飛行及び光照射部112による光120の照射方向を制御してよい。
【0063】
制御部210は、例えば、HAPS300の姿勢情報に基づいて、光照射部112によって照射される光120の方向を調整するように給電用飛行体100を制御する。制御部210は、HAPS300の姿勢情報によって、太陽電池パネル330の相対的な角度等を特定し、太陽電池パネル330への光120の入射角の傾きが小さくなるように、給電用飛行体100の飛行及び光照射部112による光120の照射方向を制御してよい。
【0064】
制御部210は、例えば、HAPS300が飛行している飛行エリアの状況を示すエリア情報に基づいて、光照射部112によって照射される光120の方向を調整するように給電用飛行体100を制御する。制御部210は、例えば、HAPS300の飛行パターンに合わせて給電用飛行体100を飛行させている間に、HAPS300が飛行している飛行エリアの気流及び気圧等の変化に応じて、最適な飛行方法をリアルタイムでシミュレートする。制御部210は、気流及び気圧等が変化した場合であっても、HAPS300の飛行に追従して飛行できるように、飛行速度及び飛行ルートの少なくともいずれかを調整するよう給電用飛行体100を制御してよい。
【0065】
制御部210は、例えば、HAPS300の発電状況情報に基づいて、光照射部112によって照射される光120の方向を調整するように給電用飛行体100を制御する。制御部210は、例えば、光照射部112によって照射される光120の方向を変化させながら、太陽電池パネル330による発電量の変化を監視して、発電量が最も高くなる光120の方向を特定する。また、制御部210は、発電状況情報によって、発電が行われているか否か確認し、発電が行われていない場合に、発電が行われるようになるまで、給電用飛行体100の飛行方法及び光照射部112の光120の照射方向の少なくともいずれかを調整する。
【0066】
制御部210は、画像取得部204が取得した撮像画像に基づいて、光照射部112によって照射される光の方向を調整するように100を制御してよい。制御部210は、例えば、HAPS300を撮像した撮像画像に基づいて、HAPS300の太陽電池パネル330の状況を判定し、判定結果に応じて光照射部112によって照射される光の方向を調整するように給電用飛行体100を制御する。制御部210は、例えば、撮像画像に基づいて、給電用飛行体100を視点とした場合の、太陽電池パネル330の角度、面積、形状(機体のしなり等)を判別する。
【0067】
制御部210は、距離取得部206が取得した給電用飛行体100とHAPS300との距離に基づいて、光照射部112によって照射される光の方向を調整するように100を制御してよい。制御部210は、例えば、給電用飛行体100の飛行を制御することによって、給電用飛行体100とHAPS300との距離を調整しつつ、光照射部112によって照射される光の方向を調整する。
【0068】
制御部210は、HAPS300の位置情報、姿勢情報、移動方向情報、移動速度情報、HAPS300が飛行している飛行エリアの状況を示すエリア情報、HAPS300の発電状況情報、カメラ114によって撮像された撮像画像、及び給電用飛行体100とHAPS300との距離のうちの複数を用いて、光照射部112によって照射される光の方向を調整するように100を制御してよい。制御部210は、これらのうちの複数を用いて、HAPS300の太陽電池パネル330による、光照射部112による光120の受光効率がより高くなるように、給電用飛行体100の位置、光120の照射位置、光120の照射角度等を調整してよい。
【0069】
図4は、給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。制御部210は、円形の飛行ルート360を巡回飛行しているHAPS300に対して、より大きい円形の飛行ルート160を飛行しながら、光照射部112によって太陽電池パネル330に向けて光120を照射するように給電用飛行体100を制御してよい。
【0070】
制御部210は、HAPS300の上側を飛行しながら、光照射部112によって太陽電池パネル330に向けて光120を照射するように給電用飛行体100を制御してよい。制御部210は、
図4に示すように、飛行ルート160における給電用飛行体100の位置が、飛行ルート360におけるHAPS300の位置と同じ位置になるように、給電用飛行体100の飛行を制御してよい。これにより、異なる位置となる場合と比較して、給電用飛行体100とHAPS300の距離をより短くすることができ、光120の照射距離を短くし、かつ、光120の照射方向の調整をしやすくすることができる。
【0071】
制御部210は、情報取得部202が取得した飛行ルート360の情報に基づいて、飛行ルート160を決定してよい。制御部210は、飛行ルート160を飛行しながら、飛行ルート360を飛行するHAPS300を追従できるように、給電用飛行体100の飛行速度を調整してよい。
【0072】
図5は、給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。ここでは、
図4と異なる点を主に説明する。制御部210は、
図5に示すように、飛行ルート160における給電用飛行体100の位置が、飛行ルート360におけるHAPS300の位置と対向する位置になるように、給電用飛行体100の飛行を制御してよい。
図5に示す例において、HAPS300は、円形の飛行ルート360を巡回飛行しており、内側に傾いて飛行することになるので、給電用飛行体100が対向する位置を飛行することによって、太陽電池パネル330に対する光120の照射方向の傾きを少なくすることができ、給電効率を高めることができる。
【0073】
図6は、給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。制御部210は、HAPS300の上側から光120を照射する場合に、光120の照射方向が、地上の予め定められたエリアから外れるようにHAPS300との位置関係を調整するように、給電用飛行体100を制御してよい。当該エリアは、給電用飛行体100の光120が到達することが望ましくない任意のエリアであってよい。
【0074】
図6では、予め定められたエリアの例として、都市エリア600を例示している。光120の照射方向が都市エリア600から外れるように調整することによって、光120が都市エリア600に悪影響を及ぼしてしまうことを防止できる。
【0075】
図7は、給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。ここでは、HAPS300が、翼部320の下面に太陽電池パネルを有する場合について説明する。
【0076】
制御部210は、HAPS300の下側を飛行しながら、光照射部112によって、HAPS300の下面の太陽電池パネルに向けて光120に照射するように給電用飛行体100を制御してよい。下側から上側に向けて光120を照射するように構成することによって、光120が地上絵に悪影響を与えてしまうことを防止できる。
【0077】
図8は、給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。給電用飛行体100は、地上からの給電ソリューションの補助機能の役割を果たしたり、地上からの給電ソリューションとの同時給電を実現したりしてもよい。
【0078】
例えば、管理装置400が、地上投光器500を管理する。管理装置400は、地上投光器500に、HAPS300の下面の太陽電池パネルに向けて光を照射されることによって、HAPS300に給電させてよい。管理装置400は、例えば、地上投光器500とHAPS300との間に雲が発生して、光給電が妨げられたことに応じて、給電用飛行体100に、HAPS300への給電を実行させる。
【0079】
また、例えば、管理装置400は、HAPS300に対して急速充電を行う場合に、地上投光器500からの給電と、給電用飛行体100からの給電との両方を実行するように、地上投光器500及び給電用飛行体100を制御してもよい。
【0080】
図9は、給電用飛行体180の一例を概略的に示す。
図9に示す給電用飛行体180は、飛行船タイプである。給電用飛行体180は、HAPS300の上側において、飛行ルート360の中心付近に滞在する。そして、HAPS300の飛行に合わせて、飛行ルート360の中心に対応する中心軸182を中心に回転しながら、HAPS300に向けて光120を照射する。
【0081】
図10は、給電用飛行体100による給電例を概略的に示す。給電用飛行体100は、複数のHAPS300に対して順番に給電を実行してもよい。
【0082】
制御部210は、複数のHAPS300に対して順番に、光照射部112による光120の照射を実行するように給電用飛行体100を制御してよい。制御部210は、例えば、第1のHAPS300に対して給電した後、第2のHAPS300の飛行エリアに対応する位置まで移動し、第2のHAPS300に対して給電した後、第3のHAPS300の飛行エリアに対応する位置まで移動して、第3のHAPS300に給電するように給電用飛行体100を制御してよい。
【0083】
制御部210は、給電用飛行体100が飛行している飛行エリアの気流に応じて、給電の順番を決定してもよい。制御部210は、例えば、より風上に位置するHAPS300から、より風下に位置するHAPS300に向けて移動しながら、これらのHAPS300に給電するように給電用飛行体100を制御してよい。
【0084】
制御部210は、複数のHAPS300に関する情報を管理装置400から受信して、受信した情報に基づいて複数のHAPS300の優先度を判定して、優先度に応じた順番で複数のHAPS300に給電を実行してもよい。例えば、制御部210は、複数のHAPS300のバッテリの残量を示すバッテリ残量情報を取得する。そして、制御部210は、バッテリ残量がより少ないHAPS300の優先度をより高く設定して、設定した優先度に応じた順番で、複数のHAPS300に対する給電を給電用飛行体100に実行させてよい。
【0085】
なお、1機のHAPS300に対して、複数の給電用飛行体100による給電を実行してもよい。例えば、管理装置400は、複数のHAPS300のうち、電源系統に異常が発生したり、バッテリ残量が予め定められた閾値よりも少なくなっているHAPS300に対する給電を、複数の給電用飛行体100に指示してよい。
【0086】
管理装置400は、状況に応じて、給電用飛行体100による照射時間、給電用飛行体100の配備数、及び給電用飛行体100の待機状況の少なくともいずれかを調整してもよい。管理装置400は、例えば、HAPS300が飛行している飛行エリアが、都市部の上空なのか、ルーラルエリアの上空なのかに応じてこれらを調整する。また、管理装置400は、例えば、季節、飛行エリアの気流の状況、南中高度、及び地上の気象の少なくともいずれかに応じて、これらを調整する。
【0087】
上記実施形態では、給電用飛行体100に搭載されている制御装置200が主体となって、HAPS300の飛行に追従して飛行しながら、光照射部112によって太陽電池パネル330に向けて光を照射するように給電用飛行体100を制御する場合について説明したが、管理装置400が主体となって行われてもよい。この場合、管理装置400は、制御装置の一例であってよい。
【0088】
図11は、管理装置400の機能構成の一例を概略的に示す。管理装置400は、情報取得部402、画像取得部404、距離取得部406、及び制御部410を備える。
【0089】
情報取得部402は、各種情報を取得する。情報取得部402は、給電用飛行体100に関連する情報を取得してよい。情報取得部402は、給電用飛行体100に関連する情報を、ゲートウェイ40及びネットワーク20を介して給電用飛行体100から受信してよい。
【0090】
例えば、情報取得部402は、給電用飛行体100の位置情報を取得する。例えば、情報取得部402は、給電用飛行体100の姿勢情報を取得する。例えば、情報取得部402は、給電用飛行体100の移動方向を取得する。例えば、情報取得部402は、給電用飛行体100の移動速度を取得する。例えば、情報取得部402は、給電用飛行体100が飛行している飛行エリアの気流及び気圧等を示すエリア情報を取得する。
【0091】
情報取得部402は、HAPS300によって送信された情報を取得してよい。情報取得部402は、HAPS300によって送信された情報をゲートウェイ40及びネットワーク20を介して受信してよい。
【0092】
例えば、情報取得部402は、HAPS300によって送信されたテレメトリ情報を取得する。情報取得部402は、HAPS300の位置情報を取得してよい。情報取得部402は、HAPS300の姿勢情報を取得してよい。情報取得部402は、HAPS300の移動方向情報を取得してよい。情報取得部402は、HAPS300の移動速度情報を取得してよい。情報取得部402は、HAPS300が飛行している飛行エリアの状況を示すエリア情報を取得してよい。情報取得部402は、HAPS300の発電状況情報を取得してよい。
【0093】
画像取得部404は、給電用飛行体100によって撮像された撮像画像を取得する。画像取得部404は、給電用飛行体100のカメラ114によって撮像された撮像画像を、ゲートウェイ40及びネットワーク20を介して受信してよい。画像取得部404は、例えば、カメラ114によって撮像されたHAPS300の撮像画像を受信する。
【0094】
距離取得部406は、給電用飛行体100とHAPS300との距離を取得する。距離取得部406は、給電用飛行体100がレーダ116によって測定した、給電用飛行体100とHAPS300との距離を、ゲートウェイ40及びネットワーク20を介して給電用飛行体100から受信してよい。
【0095】
制御部410は、HAPS300を制御する。制御部410は、ネットワーク20及びゲートウェイ40を介して、HAPS300に各種指示を送信することによってHAPS300を制御してよい。制御部410は、通信衛星を介してHAPS300に各種指示を送信することによってHAPS300を制御してもよい。制御部410は、無線通信エリア304によって地上の対象エリアをカバーさせるべく、HAPS300に、対象エリアの上空を旋回させてよい。
【0096】
制御部410は、給電用飛行体100を制御する。制御部410は、ネットワーク20及びゲートウェイ40を介して、給電用飛行体100に各種指示を送信することによって100を制御してよい。制御部410は、通信衛星を介して給電用飛行体100に各種指示を送信することによって給電用飛行体100を制御してもよい。制御部410は、例えば、HAPS300の電源系統に異常が発生したり、太陽電池パネル330による発電量だけでは電力が不足したりした場合等に、給電用飛行体100に、HAPS300に対する給電を指示する。
【0097】
制御部410は、制御部210と同様に、制御関連情報に基づいて、HAPS300の飛行に追従して飛行しながら、光照射部112によってHAPS300の太陽電池パネル330に向けて光120を照射するように給電用飛行体100を制御してよい。
【0098】
図12は、制御装置200又は管理装置400として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、上記実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、上記実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0099】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、並びにDVDドライブ及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0100】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0101】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0102】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0103】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0104】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0105】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0106】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0107】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0108】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0109】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0110】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0111】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0112】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0113】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0114】
10 システム、20 ネットワーク、30 ユーザ端末、40 ゲートウェイ、100 給電用飛行体、110 搭載部、112 光照射部、114 カメラ、116 レーダ、120 光、160 飛行ルート、180 給電用飛行体、200 制御装置、202 情報取得部、204 画像取得部、206 距離取得部、208 指示受信部、210 制御部、300 HAPS、302 フィーダリンク、304 無線通信エリア、310 本体部、312 制御装置、320 翼部、330 太陽電池パネル、360 飛行ルート、400 管理装置、402 情報取得部、404 画像取得部、406 距離取得部、410 制御部、500 地上投光器、600 都市エリア、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ