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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】内視鏡オーバーチューブおよび内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/01 20060101AFI20240517BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61B1/01 511
G02B23/24 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020549876
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2018083383
(87)【国際公開番号】W WO2019110529
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】1720531.1
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520202669
【氏名又は名称】サージェリーテック・アーペーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・カトバル
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヘイドルン・クリステンセン
【審査官】渡戸 正義
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-511440(JP,A)
【文献】特表2009-505688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0188038(US,A1)
【文献】特開2010-259609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬性内視鏡ガイドおよび内視鏡を含む内視鏡検査システムであって、
前記内視鏡が、
近位端を備えた近位部と、
遠位端を備えた遠位部と、を含み、
前記硬性内視鏡ガイドが、
近位端およびハンドルを備えた近位部と、
少なくとも1つの内視鏡入口ポートを含む中間部と、
少なくとも1つの内視鏡出口ポートを含む遠位端を備えた遠位部と、
前記少なくとも1つの入口ポートから前記少なくとも1つの出口ポートまで延在する内視鏡を受容することができる管腔と、
前記少なくとも1つの入口ポートと前記少なくとも1つの出口ポートとの間に配置される少なくとも1つの遠位屈曲部と、
前記中間部と前記近位部との間に配置された少なくとも1つの近位屈曲部と、
を含み、
前記硬性内視鏡ガイドは、前記内視鏡の前記遠位端が前記内視鏡出口ポートを出るとき、前記内視鏡の前記遠位端の体腔への挿入を方向付けることができ、前記硬性内視鏡ガイドの前記遠位端はまた、前記体腔内での前記内視鏡の前記遠位端の位置決めを制御するように、外科手術中に前記体腔内に保持されることができるように構成され、
前記硬性内視鏡ガイドの前記近位端と前記硬性内視鏡ガイドの前記遠位端との動きの間に機能的関係があり、その結果、前記硬性内視鏡ガイドの前記近位端の配向が、前記管腔内に配置される前記内視鏡の前記遠位端が前記体腔内の前記硬性内視鏡ガイドの前記出口ポートを出る前記配向を画定し、
前記硬性内視鏡ガイドは、ガス注入コネクタと、前記硬性内視鏡ガイドの一部によって形成されたチャンバとを備えているガス注入部分を含み、前記チャンバは、前記チャンバの遠位側および近位側に位置する前記硬性内視鏡ガイドの管腔の部分の内径よりも大きい内径を有している、内視鏡検査システム。
【請求項2】
前記内視鏡が、喉頭鏡、食道鏡、胸腔鏡、胸膜鏡、腹腔鏡、気管支鏡、縦隔鏡、胃鏡または羊膜鏡である、請求項1に記載の内視鏡検査システム。
【請求項3】
前記内視鏡が、胸腔鏡または腹腔鏡である、請求項1に記載の内視鏡検査システム。
【請求項4】
前記硬性内視鏡ガイドが、前記少なくとも1つの入口ポートと前記少なくとも1つの出口ポートとの間の前記管腔内に配置される一方向のバルブを含み、前記バルブは、ガスが前記硬性内視鏡ガイドの前記管腔を通過するのを防止するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の内視鏡検査システム。
【請求項5】
前記中間部が、直線部である、請求項1~4のいずれか一項に記載の内視鏡検査システム。
【請求項6】
前記硬性内視鏡ガイドの前記近位部が、近位軸を画定し、前記硬性内視鏡ガイドの前記遠位部が、遠位軸を画定し、前記少なくとも1つの出口ポートからの前記内視鏡の出口の方向が、前記近位部の前記近位軸の方向と同じであるように、前記近位軸と遠位軸とが互いに平行となる、請求項1~5のいずれか一項に記載の内視鏡検査システム。
【請求項7】
前記体腔が、動物または人体の胸腔、腹腔、または骨盤腔である、請求項1~6のいずれか一項に記載の内視鏡検査システム。
【請求項8】
前記硬性内視鏡ガイドが、前記硬性内視鏡ガイドの直径よりも大きい直径を有するカラーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の内視鏡検査システム。
【請求項9】
前記カラーが、前記少なくとも1つの入口ポートと前記遠位屈曲部との間に配置されている、請求項8に記載の内視鏡検査システム。
【請求項10】
前記内視鏡および前記硬性内視鏡ガイドが一体型である、請求項1~9のいずれか一項に記載の内視鏡検査システム。
【請求項11】
前記硬性内視鏡ガイドが、前記中間部内に配置される前記内視鏡入口ポートから延在する拡張可能部を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の内視鏡検査システム。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の内視鏡検査システムを含む、単回使用のための無菌の事前包装された部品キットの形態の部品キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術で使用するための内視鏡ガイドおよび内視鏡を含む内視鏡検査システムに関する。外科手術は、内視鏡ガイドを使用して個人の体腔内にシステムの内視鏡を導入して操作することを含む。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、必要に応じて照明される光学式の器具であり、通常は細長くて管状の器具であり、体内を観察するために使用され、内視鏡検査と呼ばれる手順で使用される。
【0003】
内視鏡は、口から喉など、体腔への自然な開口部から体内に挿入できるものである。また、内視鏡は、鍵穴手術を行う際に、皮膚にできた小さな切り口(切開部)から挿入することで、体腔内への入口を形成することができる。内視鏡は、そのような切開部に挿入することができ、または自然の開口部を通して直接挿入することができ、あるいは、内視鏡は、直線状の剛性の高いガイドを介して導入することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
体腔内に入ると、内視鏡自体を移動させ、もしくは直線状の剛性の高いガイドを移動させ、かつ/または内視鏡に屈曲可能な先端を組み込むことによって、内視鏡の位置決めを操作する場合がある。そのため、現在使用されている内視鏡の可動範囲および機能には限界がある。
【0005】
本発明は、内視鏡ガイドおよび内視鏡を含むシステムを提供するものであり、現在使用されているシステムの欠点を克服し、体腔内での内視鏡の移動および配向のはるかに大きな領域を可能にするものである。これにより、本発明は、外科手術をより広範囲に制御することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内視鏡ガイドおよび内視鏡を含む内視鏡検査システムが提供され、
内視鏡は、
近位端と、
遠位端と、を含み、
内視鏡ガイドは、
近位端と、
少なくとも1つの内視鏡入口ポートを含む中間部と、
少なくとも1つの内視鏡出口ポートを含む遠位端と、
少なくとも1つの入口ポートから少なくとも1つの出口ポートまで延在する内視鏡を受容することができる管腔と、
少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間に配置される少なくとも1つの屈曲部と、を含み、
内視鏡ガイドは、内視鏡の遠位端が内視鏡出口ポートを出るとき、内視鏡の遠位端の体腔への挿入を方向付けることができ、内視鏡ガイドの遠位端はまた、体腔内での内視鏡の遠位端の位置決めを制御するように、外科手術中に体腔内に保持されることができるように構成される。
【0007】
好ましくは、内視鏡は、喉頭鏡、食道鏡、胸腔鏡、胸膜鏡、腹腔鏡、気管支鏡、縦隔鏡、胃鏡または羊膜鏡であり、好ましくは、内視鏡は、胸腔鏡または腹腔鏡である。
【0008】
有利には、内視鏡ガイドは、ガス注入コネクタを含む。
【0009】
好都合には、内視鏡ガイドは、少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間の管腔内に配置される一方向バルブを含み、バルブは、ガスが内視鏡ガイドの管腔を体腔から通過するのを防止するように構成される。
【0010】
有利には、内視鏡ガイドの近位端と内視鏡ガイドの遠位端との動きの間に機能的関係があり、その結果、内視鏡ガイドの近位端の配向は、内視鏡ガイドの管腔内に配置される内視鏡の遠位端が体腔内の内視鏡ガイドの出口ポートを出る配向を画定する。
【0011】
好ましくは、中間部は本質的に直線部である。
【0012】
好都合には、内視鏡ガイドは、中間部と近位端との間に配置される少なくとも1つの屈曲部を含む。
【0013】
有利には、内視鏡ガイドの近位端はハンドルを含む。
【0014】
好ましくは、内視鏡ガイドの近位部は、近位軸を画定し、内視鏡ガイドの遠位部は、遠位軸を画定し、少なくとも1つの出口ポートからの内視鏡の出口の方向は、近位部の近位軸の方向と本質的に同じであるように、近位軸と遠位軸とが本質的に互いに平行となる。あるいは、近位部と中間部との間の角度は、手術中に最適な人間工学的条件を提供するように調整可能であり得る。
【0015】
好都合には、体腔は、動物または人体の胸腔、腹腔または骨盤腔である。
【0016】
有利には、内視鏡ガイドは、内視鏡ガイドの直径よりも大きい直径を有するカラーを含み、好ましくは、カラーは、少なくとも1つの入口ポートと遠位屈曲部との間に配置される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、個人の体腔に内視鏡を挿入するための方法であって、先行する請求項のいずれかに記載の内視鏡検査システムを提供するステップと、内視鏡ガイドを使用して内視鏡を個人の体腔に挿入するステップと、を含む、方法が提供される。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、本発明による内視鏡検査システムを含む、単回使用のための無菌の事前包装された部品キットの形態の部品キットが提供される。
【0019】
定義
近位端:内視鏡および内視鏡ガイドが使用されているときに医療従事者がより接近してアクセスできる端部を画定する。換言すれば、使用時に体腔の所望の位置からより遠くにあるのは、内視鏡および内視鏡ガイドの端部である。
【0020】
遠位端:内視鏡および内視鏡ガイドが使用されているときに医療従事者から遠く離れた端部を画定する。換言すれば、ガイドの使用時に体腔の所望の位置により近いのは、内視鏡および内視鏡ガイドの端部であり、内視鏡ガイドでは、これは内視鏡出口ポートを含む。
【0021】
近位部:近位部は、使用時に医療従事者がアクセスできる内視鏡および内視鏡ガイドの一部を画定する。換言すれば、使用時に体内の所望の位置からより遠くにあるのは、内視鏡または内視鏡ガイドの部分である。したがって、典型的には、近位部は、近位端を含む。本発明の別の実施形態では、内視鏡ガイドは、近位部を含まなくてもよく、この場合、中間部の一部は、近位部と見なされてもよい。
【0022】
遠位部:使用時に医療従事者からより遠くにある内視鏡および内視鏡ガイドの一部を画定する。換言すれば、使用時に体内の所望の位置により近いのは、内視鏡または内視鏡ガイドの部分である。遠位部は、内視鏡ガイド内に内視鏡出口ポートを含む遠位端を含む。
【0023】
中間部:中間部は、近位部および遠位部を接続する内視鏡ガイドの一部を画定する。一部の状況では、中間部は近位端を含む。当業者は、このような状況では、近位端を含み、近位端の近くの中間部の小さな部分が理解のために近位部と見なされ得、したがって、内視鏡ガイドが使用されているとき、近位端が医療従事者にとってより接近してアクセス可能であるという要件に準拠することを理解するであろう。中間部は、内視鏡を内視鏡ガイドに導入できるようにする入口ポートを含む。
【0024】
近位軸:内視鏡ガイドの近位部の長さに沿った軸であり、中間部の中央軸と近位角を形成する。
【0025】
遠位軸:内視鏡ガイドの遠位部の長さに沿った軸であり、中間部の中央軸と遠位角を形成する。一実施形態では、遠位軸の方向は、近位軸の方向と同じ方向であってもよい。当業者は、近位軸および遠位軸が互いに他の角度を形成し得るため、近位軸および遠位軸の方向が前の実施形態に限定されないことを理解するであろう。
【0026】
中央軸:内視鏡ガイドの中間部の長さに沿った軸であり、それぞれ近位軸との近位角と遠位軸との遠位角を形成する。
【0027】
近位角:近位屈曲部での内視鏡ガイドの近位軸と中央軸との間に形成される角度。
【0028】
遠位角:遠位屈曲部での内視鏡ガイドの遠位軸と中央軸との間に形成される角度。
【0029】
近位屈曲部:近位角のために、近位部(近位軸で画定)と中間部(中央軸で画定)との間で内視鏡ガイドに形成された屈曲部。
【0030】
遠位屈曲部:遠位角のために、遠位部(遠位軸で画定)と内視鏡ガイドの中間部(中央軸で画定)との間で内視鏡ガイドに形成された屈曲部。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施形態は、その利点とともに、同じ特徴が同じ数字で表されている添付の図面と併せて以下の詳細な説明から最もよく理解することができる。
【0032】
図1】システムの内視鏡ガイドの実施形態を示す。
図2図1に示す実施形態の平面図である。
図3】ピンチバルブを含む図1の内視鏡ガイドの断面図である。
図4図3に関連して、内視鏡が内視鏡ガイドの管腔内にピンチバルブを通して置かれる。
図5図3に関連して、内視鏡ガイドがさらにガス注入コネクタを含む。
図6図5に関連して、示されている内視鏡ガイドには、ガス注入コネクタからガイドの出口ポートまで延在する第2の管腔が含まれている。
図7】内視鏡ガイドが拡張可能部を含む、本発明のシステムの実施形態を詳述する。
図8】患者に使用される内視鏡ガイドの別の実施形態の部分断面図である。
図9】患者に使用される伸縮部分を備えた内視鏡ガイドの別の実施形態の部分断面図である。
図10】患者に使用される固定システムを備えた内視鏡ガイドの別の実施形態の部分断面図である。
図11】システムの内視鏡ガイドの別の実施形態を示す。
図12図11に示す内視鏡ガイドシステムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明によれば、内視鏡ガイドおよび内視鏡を含む内視鏡検査システムが開示される。システムの内視鏡は、近位端を備えた近位部と、遠位端を備えた遠位部とを含む。内視鏡ガイドは、近位端を備えた近位部と、少なくとも1つの内視鏡入口ポートおよび遠位部を含む中間部と、少なくとも1つの内視鏡出口ポートを含む遠位端と、を含む。内視鏡ガイドはまた、少なくとも1つの入口ポートから少なくとも1つの出口ポートまで延在する内視鏡を受容することができる管腔と、少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間に配置される少なくとも1つの遠位屈曲部と、を含む。本発明の内視鏡ガイドは、内視鏡の遠位端が内視鏡出口ポートを出るとき、内視鏡の遠位端の体腔への挿入を方向付けることができ、内視鏡ガイドはまた、体腔内での内視鏡の遠位端の位置決めを制御するように、外科手術中に体腔内に保持することができるように構成される。
【0034】
内視鏡ガイドは、中間部に配置される入口ポートを通して内視鏡を挿入することができる管腔を含む。内視鏡出口ポートは、内視鏡ガイドの遠位端に配置される。入口ポートおよび出口ポートは、遠位屈曲部または湾曲部によって互いに分離されている。内視鏡が実際の状況下で比較的容易に内視鏡ガイドの管腔を通って前進することができる限り、内視鏡ガイドの屈曲部または湾曲部の正確な形態は必須ではない。
【0035】
内視鏡ガイドの機能にとって、少なくとも1つの湾曲部が内視鏡ガイドの使用中に体腔内に配置される装置の遠位端に配置されることが重要であり、その結果、手術方法中に医療従事者が治療する患者の外側に配置された内視鏡ガイドの近位端の回転を含む動きは、内視鏡が内視鏡ガイドの出口ポートを出るとき、内視鏡ガイドの出口ポートが内視鏡の意図された軸方向出口方向を画定する位置への位置決めをもたらす。内視鏡の意図された軸方向出口方向を画定できる能力は、内視鏡を意図された位置に正確に配置するために、医療従事者が内視鏡を体腔内へ、かつ体腔内に正確に方向付けることができるようにするための要件となる。
【0036】
その遠位端(すなわち内視鏡ガイド装置の使用中に体腔内に配置される装置の端部)に配置される実質的に湾曲部を有さない装置は、実際の状況下で、医療従事者が内視鏡の意図された軸方向出口方向を画定することを可能とせず、これにより、医療従事者は、手術方法中に患者の体腔内で内視鏡を正確に位置決めおよび操作することができる。その理由は、内視鏡ガイドの本質的に直線状の出口ポート部分が、外科方法中に内視鏡ガイドが体腔に内入ると、出口ポートが体腔に位置付けられ得る角度を制限および限定するからである。本質的に直線状の出口ポート部を有する内視鏡ガイドの回転により、内視鏡ガイドが外科手術中に体腔に入ると、医療従事者が装置の出口ポートを全ての望ましい方向に方位付けることができない。
【0037】
したがって、それは、医療従事者がその使用中に内視鏡ガイドを動作させるとき、すなわち移動および/または回転させるときに、内視鏡ガイドの遠位端の湾曲部であって、内視鏡ガイドの遠位開口部を、体腔内に配置される内視鏡ガイドの遠位端を、体腔内の意図された位置に内視鏡を正確に位置付けることができるように意図された、かつ必要とされる方向に、内視鏡の意図された軸方向出口方向を画定する意図された位置に位置付けることを確実にするものである。
【0038】
内視鏡ガイドの遠位端に配置される内視鏡ガイドの少なくとも1つの湾曲部は、内視鏡ガイドの他の部分に動作可能に接続され得る。一実施形態では、装置の遠位端に配置される内視鏡ガイドの少なくとも1つの湾曲部は、任意で、内視鏡ガイドの設計に必要な他の形状および形態を有する他のガイド部と組み合わせて、ガイドの第1および第2の開口部を動作可能に接続し、弧状の形状などの湾曲部を有するガイド部、ならびに少なくとも本質的に直線状である、すなわち角度のない形状であるガイド部を含む。
【0039】
内視鏡ガイドの最遠位端に配置される内視鏡出口ポートは、好ましくは内視鏡ガイドの管腔の均一な内径を保持しながら、患者の身体の皮膚の切開部または他の開口部への内視鏡の進入を容易にするように先細状の端部を有することができる。あるいは、出口ポートは、突出先端を備えることができる。この先端は、出口ポートを超えて突出するリップの形態であってもよい。このようなリップは、ガイドを患者の体内に挿入するのに役立ち得る。
【0040】
内視鏡ガイドは、ガイド装置のチューブの直径よりも著しく大きい直径のカラーを含むことができる。カラーの機能は、実際の状況下で、内視鏡ガイドが個人の体腔内に過度に入るのを防止することである。内視鏡ガイド上のカラーの位置は、典型的には、遠位屈曲部または湾曲部と内視鏡ガイドの中間部との間のいずれかにある。カラーは、内視鏡ガイドの最遠位端の動きを限定するべきではなく、単に内視鏡ガイドの遠位端が体腔内に挿入されすぎないように体腔内の一定の深さに留まることを確実にするのみとなる。
【0041】
本発明のシステムに含めるための内視鏡は、通常、患者の体腔内の検査中の器官または物体を照明するための可撓性チューブおよび光送達システムを含み、光源は通常、患者の体外にあり、光は、光ファイバシステムを介して体腔に送達される。内視鏡は、カメラおよび追加のチャネル(アクセスチャネル)などの他の機能を含み、医療機器またはマニピュレータを挿入することもできる。
【0042】
内視鏡はまた、内視鏡の遠位端が体腔内で操作されるためのより大きな余地を可能にする腔を膨張させるために、ガス注入技術を介して、患者の体腔へのガスの導入を可能にする手段を含み得る。ガスは、内視鏡内のアクセスチャネルを通して導入されてもよい。ガスは、空気であってもよいが、二酸化炭素、窒素または希ガスなどの不活性ガス、またはこれらのガスのいずれかの混合物を使用することが好ましい。好ましくは、二酸化炭素を使用して体腔を膨張させる。
【0043】
別の実施形態では、内視鏡ガイドを使用して体腔内にガスを導入することができる。そのような実施形態では、ガスは、少なくとも1つの内視鏡入口ポートから少なくとも1つの内視鏡出口ポートまで延在する管腔を通るガス注入部分を介して導入することができる。あるいは、内視鏡ガイドは、ガスを導入するための第2の管腔を含んでもよい。これらのシナリオのいずれかにおいて、内視鏡ガイドは、ガス源に接続するためのガス注入コネクタを含んでもよい。
【0044】
ガス注入部分は、患者の体内での内視鏡の使用を容易にするために、ガイドを通して患者にガスを導入することを可能にする。
【0045】
ガス注入部分は、ガイドの管腔の直径よりも大きい直径を有するガイドの部分によって形成されたチャンバを含み得、そこを通って内視鏡が通過され得る。チャンバに通じ、ガイドの管腔、ひいては患者の体内へのガスの導入を可能にするガス入口が含まれてもよい。
【0046】
ガイドの管腔の直径に比べてチャンバの直径が大きいことは、管腔内に置かれるときに内視鏡とガス入口との間に容積を提供するという点で有益である。容積がないと、管腔に導入されると、使用中の内視鏡の存在により、ガスがすぐに導入される空間が制限され、管腔内の圧力が増加し、ガスの流れが増加する。直径が大きく、それにより容積が大きいチャンバが存在すると、圧力の増加が大幅に減少するため、ガイドの管腔へのガスの流れをより正確に制御できる。
【0047】
内視鏡ガイドがガス注入のための第2の管腔を含む場合、理想的には、第2の管腔はガス注入コネクタから内視鏡ガイドの少なくとも1つの出口ポートまで延在する。
【0048】
一実施形態では、システムの内視鏡ガイドは、少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間の管腔に配置されるバルブを含む。このバルブは、ガスが内視鏡ガイドの管腔を通って体腔から出るのを防止するように構成されている。
【0049】
理想的には、バルブは内視鏡ガイド内のガス注入コネクタの近位に配置され、体腔に入るガイドの遠位端で、ガスが内視鏡ガイドの管腔を通って体腔から出ないことを確実にする。バルブは、媒体(ガスなど)または他の器具、特に内視鏡を導入して、内視鏡ガイドの管腔およびバルブをほとんど妨害することなく通過できるように構成されることが好ましい。内視鏡が内視鏡ガイドの管腔を通過するとき、体腔内のガスが内視鏡ガイドの管腔を通って漏れるのを防止するために、バルブが内視鏡の周りに実質的に気密シールを形成することが好ましい。
【0050】
内視鏡ガイドは実際に、内視鏡の周りの改善されたシールを提供するために、1つ、2つ、または3つのバルブなどの複数のバルブを含むことができる。好ましくは、内視鏡ガイドは2つのバルブを含む。
【0051】
一実施形態では、1つ以上のバルブは、ガス注入部分のチャンバ内に位置付けられ、ガス入口の前、すなわち入口ポートとガス入口との間に配置される。
【0052】
好ましくは、バルブは、ゴムまたは合成エラストマーから作製され得るダックビル型バルブなどのピンチバルブである。そのようなバルブの一端は、内視鏡ガイドの管腔の内側に固定して取り付けられ、バルブの他端は開口部を含み、開口部は、バルブの開口部が効果的に密閉されている平坦な端部に自然に徐々に先細状になるように構成される。好ましくは、バルブは、内視鏡入口ポートから離れて内視鏡出口ポートに向かう方向に先細状になるように構成される。内視鏡ガイドの遠位端がガスで膨張する体腔内に配置されるために圧力下にある場合、バルブは、バルブの先細状の平坦な端部が密閉されたままとなるので、内視鏡ガイドの管腔を通る体腔内のガスの逆流を防止する。ただし、システムの内視鏡は、ガイドの内視鏡入口ポートの端部の方向からバルブを通過する可能性があり、そうすることで、内視鏡が通過できるようにバルブの平坦な端部が開くが、内視鏡の周囲にはシールが形成される。したがって、内視鏡の周囲に実質的に気密なシールが保持される。内視鏡を後退させると、バルブは元の先細位置に戻り、バルブをもう一度密閉する。
【0053】
理想的には、ガス注入コネクタは、バルブと内視鏡ガイドの少なくとも1つの出口ポートとの間に配置される。ガイドがバルブのないガス注入コネクタを含む実施形態では、ガス注入コネクタは、少なくとも1つの入口ポートと少なくとも1つの出口ポートとの間に理想的に配置される。より好ましくは、ガス注入コネクタは、少なくとも1つの入口ポートとガイド装置の遠位屈曲部との間に配置される。
【0054】
システムに含めるのに特に適した内視鏡には、喉頭鏡、食道鏡、胸腔鏡、胸膜鏡、腹腔鏡、気管支鏡、縦隔鏡、胃鏡または羊膜鏡が含まれ、好ましくは、システムに含まれる内視鏡は胸腔鏡、胸膜鏡または腹腔鏡である。
【0055】
好ましくは、システムの内視鏡は、遠位端に曲げ部を含み、曲げ部は、カメラおよび光送達システムを含み得る。このような内視鏡により、ユーザは内視鏡の先端の角度を制御して、カメラの視野方向を変えることができる。曲げ部は、内視鏡の近位端に配置される制御レバーによって制御されてもよい。
【0056】
典型的には、そのような内視鏡の曲げ部は、上下に2方向に屈曲させることができる。好ましくは、曲げ部は、110°~150°、より具体的には130°~150°など、いずれかの方向に90°~150°の角度に屈曲する。理想的には、内視鏡の曲げ部は、いずれかの方向に150°の角度まで屈曲する。
【0057】
内視鏡ガイドの近位端と内視鏡の遠位端との動きの間には、機能的関係があることが好ましい。機能的関係は、遠位屈曲部の遠位角および遠位部の長さの測定によって決定され得る。当業者は、遠位角の測定値および遠位部の長さの事前の知識により、医療従事者が、内視鏡ガイドの遠位端を体腔内で操作するために、内視鏡ガイドの遠位端を制御された信頼できる方法で操作または移動することが可能になることを理解するであろう。
【0058】
機能的関係は、体腔内の内視鏡ガイドの遠位端の位置を決定する。そして、内視鏡が少なくとも1つの出口ポートを出る、遠位軸に沿った方向を画定する。
【0059】
医療従事者は、患者の体腔へのアクセスポートを画定する切開部を通して内視鏡ガイドの遠位端を反らすことができ、それによって内視鏡ガイドの遠位端を体腔内に配置する。切開部によって画定された軸に沿ってガイドを回転させることができる選択肢を保持しながら、内視鏡ガイドの外側部分(つまり、体腔へのアクセスを画定する切開部を通して体腔に挿入されていないガイドの部分)を横または上下に移動することにより、切開によって画定された軸に沿ってガイドを回転させると、医療従事者は、胸腔の入口の点に対する方向および距離によって画定される体腔の意図された位置に正確に配置される前に、内視鏡がガイドの出口ポートを出て体腔に入るとき、内部に挿入している間、内視鏡が軸方向に調整および決定する本質的に完全な自由を有する。
【0060】
上記の開示に基づいて、内視鏡ガイドの管腔にある内視鏡を、内視鏡ガイドの出口ポートが内視鏡が体腔に挿入される方向を画定するような方法で、内視鏡ガイドを操作して体腔の意図した位置に正確に方向付けることができる限り、内視鏡ガイドの湾曲部の正確な設計は重要ではないことが理解される。
【0061】
好ましくは、内視鏡ガイドの近位端と内視鏡ガイドの遠位端との間の機能的関係により、医療従事者は、ガイドの少なくとも1つの出口ポートを通過したときに、内視鏡が体腔内にどこに配置されるかを容易かつ/または直感的に認識することができる。
【0062】
一実施形態では、機能的関係は、体腔内の内視鏡ガイドの遠位端の位置を決定する。そして、内視鏡が内視鏡出口ポートを出る、遠位軸に沿った方向を画定する。
【0063】
したがって、体腔内での内視鏡の移動方向および位置決めを正確に行うことができる。これにより、体腔に内視鏡を導入するために従来のポートを使用する場合よりも、体腔内の内視鏡遠位端のより広い範囲の動きが可能になる。例えば、内視鏡ガイドを使用するときの内視鏡の遠位端は、医療従事者が内視鏡ガイドの近位端を適切な位置に移動することにより、腔内の任意の角度に面するように位置付けることができる。内視鏡の視野は、上記で詳述したように、屈曲可能な部分を備えた内視鏡が使用される場合、さらに拡大される。このようなシステムを使用すると、医療従事者は、従来のシステムを使用する場合よりも対象の体腔の大部分を表示および/またはアクセスできる。
【0064】
一実施形態では、内視鏡ガイドの中間部は、本質的に直線部である。他の実施形態では、中間部は曲線の形態を採用することができる。
【0065】
内視鏡ガイドの中間部は、内視鏡入口ポートを含む。入口ポートを内視鏡ガイドの中間部に配置することにより、医療従事者は、内視鏡の近位端とは比較的独立して、内視鏡ガイドの近位端を操作する際の自由度が高まる。
【0066】
例えば、使用中に、内視鏡ガイドの遠位軸の方向、したがって内視鏡の遠位端の方向が、検査される体腔の特定の部分を見て、かつ/または機能を実行するように変更されることが望ましい。上記で詳述したように、内視鏡ガイドの遠位軸の方向は、内視鏡ガイドの近位端の動きに機能的に関連している。内視鏡をガイドの中間部で内視鏡ガイドに入れることにより、内視鏡の近位端の位置を変えることなく、取り扱うガイドの近位端を変えることができる。内視鏡の近位端は、手術の間、比較的固定された位置に保持され得、内視鏡ガイドは、内視鏡からの妨害なく自由に取り扱われ得る。
【0067】
さらに詳細には、内視鏡の近位端は、内視鏡の遠位端の屈曲を制御するための制御レバーなどの、いくつかの追加の機構を含み得る。本発明のシステムを使用するとき、医療従事者は、利き手でない手で内視鏡を保持して制御し、利き手で内視鏡ガイドの近位端の配向を変更して、内視鏡ガイドの遠位端の配向を操作することにより、内視鏡を体腔内に位置付けることができる。内視鏡ガイドの近位部と遠位部との間の機能的関係を通じて、医療従事者は、近位部の位置を通じて遠位部の位置を容易に決定することができる。
【0068】
内視鏡ガイドの遠位端が体腔内で容易に再度位置付けられることが望ましい。しかしながら、内視鏡の近位端が内視鏡ガイドの操作を妨げないことが必要である。内視鏡の近位端が離れて、内視鏡ガイドの近位端から離れて保持される可能性があるため、内視鏡ガイドの入口ポートがガイドの中間部に配置されることにより、内視鏡の近位端からの干渉なしに、ガイドの近位端を操作して内視鏡を位置付けることができる。
【0069】
別の実施形態では、内視鏡ガイドは、中間部に配置される内視鏡入口ポートから延在する拡張可能部を含み得、これにより、長さが第1の拡張構成から第2の後退構成に変化する可能性がある。例えば、拡張可能部は、伸縮部であってもよい。あるいは、拡張可能部は、内視鏡入口ポートから延在する折り畳み式ロッドであり得、拡張可能部は、入口ポートに入る前に内視鏡が通過する一連のアイガイドリングを含む。
【0070】
拡張可能部は、理想的には、内視鏡を受容することができる管腔を含む。好ましくは、拡張可能部は、内視鏡ガイドの中央軸と実質的に同じ軸に沿って延在する。
【0071】
この実施形態では、内視鏡ガイドの中間部入口ポートに入る前に、内視鏡の近位端の一部分が拡張可能部内に配置される。内視鏡の近位端を内視鏡ガイドの中間部入口ポートに向かって前進させると、拡張可能部は、拡張長さから後退長さまで徐々に折り畳まれる。拡張可能部は、内視鏡の近位端への支持体として機能する。したがって、内視鏡の近位端がガイド内に前進されると、中間部入口ポートに入る前に、それは実質的に直線状の構成で保持される。したがって、拡張可能部は、スコープの近位端が屈曲したりねじれたりするのを防止し、これにより、医療従事者は内視鏡の近位端が屈曲しないことを確実にすることに集中する必要がないので、内視鏡の全体的な位置をより細かく制御することができる。さらに、内視鏡が過度に屈曲することを防止することにより、光ファイバなどの内視鏡内部の構成要素が損傷から保護される。
【0072】
代替の実施形態では、内視鏡ガイドの入口ポートは、内視鏡ガイドの外壁を通って管腔内に直接入口ポートを形成するように、ガイド装置の外壁と実質的に面一である開口部である。換言すれば、いくつかの実施形態は、入口から突出するそのような拡張可能部を有さない。
【0073】
内視鏡ガイドは、中間部と近位部との間に配置される少なくとも1つの屈曲部を含み得る。特定の実施形態では、内視鏡ガイドの近位部は、典型的には本質的に直線状のハンドル部であるハンドルを含む。内視鏡ガイドの本質的に直線状のハンドル部の軸方向の配向は、内視鏡ガイドの管腔に配置される内視鏡が体腔内の内視鏡ガイドの出口ポートから出る配向を画定する。この実施形態によれば、内視鏡ガイドは、少なくとも2つの湾曲部、すなわち近位屈曲部および遠位屈曲部を含み、これらの2つの湾曲部は、接続部、すなわち、本質的に真っ直ぐな接続部であり得る中間部、またはそれ自体が例えば曲線の形態を採用することができる中間部によって動作可能に連結される。
【0074】
近位および遠位屈曲部の湾曲部は、本質的に円弧であってもよい。別の実施形態では、これらの近位および遠位屈曲部はそれぞれ、近位および遠位角を形成し得、それぞれ独立して、0度を超え180度未満で測定される。
【0075】
一実施形態では、近位角および遠位角は、鋭角、鈍角、直角、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される。別の実施形態では、近位角および遠位角は、一対の補助角、一対の相補角、および一対の直角を含む群から選択される。
【0076】
この実施形態では、直線状のハンドル部によって画定される近位軸方向を観察することにより、医療従事者は、体腔内の内視鏡ガイドの出口ポートを出るときに、内視鏡の方向、すなわち遠位軸方向を決定することができ、この方向は、直線のハンドル部によって画定される軸方向、つまり近位軸方向と同じである。
【0077】
したがって、この実施形態では、内視鏡の出口の方向は、近位部の近位軸の方向と本質的に同じである。
【0078】
いくつかの実施形態では、内視鏡ガイドは、遠位部、中間部、および近位部がS字形を形成するS字形のチューブである。内視鏡ガイドの近位部は、内視鏡がチューブの遠位部の最端部を出る軸方向と同じ方向を指す(すなわちその近位軸方向を画定する)ハンドルを組み込んでいる。換言すれば、近位端および遠位端は、接続中間部から本質的に反対方向に延在するが、近位軸および遠位軸の方向は、好ましくは同じ、すなわち平行である。
【0079】
一実施形態では、i)内視鏡が内視鏡ガイドの入口ポートに入るときの内視鏡の軸方向、つまり中央軸と、ii)(例えば、体腔内に配置される)内視鏡が出口ポートから内視鏡ガイドを出るときの内視鏡の軸方向、つまりその遠位軸との間の角度は、好ましくは90度から好ましくは180度未満の範囲であり、90度から好ましくは150度未満の範囲など(例えば90度から好ましくは140度未満の範囲)、90度から好ましくは130度未満の範囲内など(例えば90度から好ましくは120度未満の範囲)、100度から好ましくは150度未満の範囲など(例えば100度から好ましくは140度未満の範囲)、100度から好ましくは130度未満の範囲など(例えば100度から好ましくは120度未満の範囲)、110度から好ましくは150度未満の範囲など(例えば110度から好ましくは140度未満の範囲)、110度から好ましくは130度未満の範囲など(例えば110度から好ましくは120度未満の範囲)である。
【0080】
一実施形態では、内視鏡ガイドは、例えば、ガイドが患者の体内、例えば患者の腹腔の壁に挿入される深さを固定するのを支援することによって、システムを患者の体の正確な位置に置くのに役立つ固定装置を含むことができる。
【0081】
使用中、ガイドは、皮膚、脂肪、および筋肉の層を通過することによって患者の身体に挿入されてもよい。これらの層、特に脂肪の層の厚さは患者によって大きく異なる可能性があるため、ガイドが患者の体内の正確な深さまで挿入されることをユーザが知っていると、患者の内部(腹腔など)に正しく安全にアクセスして視覚化するのに役立つ。
【0082】
固定装置は、任意選択で、遠位湾曲部でまたはその近くでガイドの外部に配置される膨張式カフにチューブによって接続されたポンプを含むことができる。使用中、ユーザはポンプを使用してカフを希望のサイズに膨張させることができる。これには、チューブを介してカフに至る流体(液体または気体)の流れが含まれる。理想的には、カフは筋肉層に配置され、使用する準備ができたガイドの深さを固定するために、必要なサイズまで膨張される。使用後、カフを収縮させて、ガイドを患者から取り外すことができる。任意選択で、カフの近位部は、使用中の患者の皮膚の外側に位置付けられてもよく、遠位端は、使用中の患者の皮膚の下に位置付けられてもよい。固定装置であることに加えて、膨張可能なカフは、体腔内の膨張ガスが使用中に逃げるのを防止するように作用することもできる。
【0083】
本発明のシステムは、任意の体腔内で使用できることが想定される。好ましくは、体腔は、動物または人体の胸腔、腹腔または骨盤腔である。
【0084】
内視鏡ガイドの管腔の断面は、円形断面を有する内視鏡の挿入に適合するように、少なくとも本質的に円形であることが好ましい。しかしながら、他の幾何学的断面も想定され得る。
【0085】
内視鏡ガイドの製造には、ポリプロピレンなどの医療グレードの成形可能なポリマーを含む、外科手術に承認されたさまざまなポリマー材料を使用できる。ガイド装置が複数回の使用を目的とする場合、ポリマー組成物は滅菌可能でなければならない。ガイド装置は、任意でコーティングされたチタンから製造することもできる。
【0086】
理想的には、内視鏡ガイドは、変形せずに管腔を通して内視鏡の前進を方向付けることができるように、剛性である。好ましくは、内視鏡ガイドは、ASTM D2240法を使用して試験した場合、約40を超える、例えば約40~約100、例えば約40~約90、好ましくは約50~約80のショアAデュロメータ硬度を有する。
【0087】
内視鏡ガイドは、ASTM D412法を使用して試験した場合、約2~約20MPa、例えば約5~約15MPa、例えば約5~約10MPa、理想的には約7~約10MPaの破断時の引張強度を有することができる。
【0088】
任意選択で、内視鏡ガイドは、ASTM D412法を使用して試験した場合、約200~約1000%、例えば約400~約1000%、例えば約500~約900%、理想的には約600~約900%の破断点伸長を有する。
【0089】
好ましくは、内視鏡ガイドは、ASTM D412法を使用して試験した場合、約1~約10MPa、例えば約1~約5MPa、例えば約2~約5MPa、理想的には約2~約4MPaの200%伸長での弾性率を有する。
【0090】
有利には、内視鏡ガイドは、ASTM D624法を使用して試験した場合、約10~約100kN/M、例えば約20~約80kN/M、例えば約40~60kN/M、理想的には約40~約50kN/Mの引裂強度を有する。
【0091】
上記の実施形態では、内視鏡検査システムは、内視鏡および内視鏡ガイドである2つの主要な別個の構成要素を有するものとして説明されている。しかしながら、これらの2つの構成要素は、本明細書を通して詳述されるさらなる実施形態のいずれかを含む単一の装置に一緒に統合され得ることが十分に想定される。したがって、いくつかの実施形態では、内視鏡とガイドは別個の構成要素であるが、他の実施形態では、内視鏡とガイドは一体である。
【0092】
図1および2は、近位部分(102)および遠位部分(104)を有する本発明の内視鏡ガイド(100)の実施形態を示す。内視鏡ガイド(100)はポリプロピレンから構成されるが、他の生体適合性材料、好ましくはポリマー材料を使用することができる。近位部分(102)は、ハンドル部分(106)を含む。ハンドル部分は、それ自体が内視鏡ガイドの遠位端に向かって開口部(110)につながる、内視鏡ガイドの中央の実質的に直線状の凹状の中間部分(108)に通じる。開口部(110)は、システムの内視鏡を挿入するための入口ポートを画定する。内視鏡ガイドの外壁は、入口ポート(110)から内視鏡ガイドの遠位端につながる湾曲環状部分(112)を形成し、ガイドを通して内視鏡をガイドするための管腔を形成する。環状部分は、内視鏡の出口ポートを画定する開口部(114)に通じている。
【0093】
内視鏡ガイドのハンドル部分(106)は、近位方向を有する近位軸を画定する。それらのそれぞれの遠位軸および中央軸によって画定される遠位部分(104)および中間部分(108)は、遠位屈曲部を画定する遠位角を形成する。同様に、それぞれの近位軸および中央軸によって画定される近位部分(102)および中間部分(108)は、近位屈曲部を画定する近位角を形成する。
【0094】
近位角および遠位角は、遠位端と近位端との動きの間の機能的関係を画定する関係を共有する。内視鏡は、入口ポート(110)を通って内視鏡ガイドの管腔に入り、医療従事者によって内視鏡ガイドの入口ポート(110)と出口ポート(114)との間に画定された管腔を通って迂回され、その遠位端で遠位軸の方向に内視鏡ガイドを出る。この実施形態では、内視鏡の出口の方向は、少なくとも本質的に近位軸方向と同様である。しかしながら、他の実施形態では、胸部チューブの出口の方向は、近位軸の方向と本質的に平行ではない。
【0095】
近位角と遠位角によって画定される、内視鏡ガイドの近位軸と遠位軸の方向間の関係を観察することにより、近位端に対する遠位端の相対的な動きを決定することができ、したがって、医療従事者は、内視鏡が個人の体腔内に挿入される方向を確認することができる。
【0096】
ガイドの外壁は、入口ポート(110)の遠位に突出したリムまたはカラー(116)を画定し、ユーザに内視鏡ガイド(100)を患者の体内に正確に挿入するのに役立つ画定された停止点を提供する。ガイド(100)は、リム(116)が患者の皮膚に近づくかまたは接触するまで、患者の体内に挿入される。内視鏡ガイド(100)の遠位端(104)にも、突出先端(118)が設けられている。示されるこの実施形態では、先端は、出口ポート(114)を越えて突出するリップ(118)の形態である。リップ(118)は、患者の体内への装置の挿入に役立つ。
【0097】
図3および4は、図1および2のガイドの断面図を詳述する。内視鏡ガイドのこの実施形態では、ピンチバルブ(120)が内視鏡入口ポートと内視鏡出口ポートとの間に配置されている。図3では、内視鏡ガイドの管腔を通って体腔内の加圧ガスが逆流するのを防止するために、開口部が効果的に密閉された平坦な端部に向かってバルブが先細状になっている。
【0098】
図4では、内視鏡(122)が内視鏡ガイドの管腔内に配置されており、バルブ(120)の平坦な端部が開いて内視鏡が管腔を通過し、内視鏡の周囲にシールを作成していることがわかる。
【0099】
図5および6は、図3および4に対応している。しかしながら、これらの実施形態では、内視鏡ガイド装置は、ガス注入コネクタ(124)を含む。好ましくは、ガス注入コネクタ(124)は、ルアーロックまたはルアースリップコネクタなどのルアーフィッティングである。ガス注入コネクタ(124)は、任意の適切なガス源に接続されてもよい。これらの実施形態の両方において、ガス注入コネクタ(124)は、バルブの遠位に配置され、それにより、ガスが管腔を通して個人の体腔内に導入されることを可能にし、バルブは、内視鏡ガイドの管腔を通って体腔から出るガスの逆流を防止する。
【0100】
図5に示すように、ガス注入コネクタ(124)は、内視鏡が方向付けられる管腔に直接接続することができる。あるいは、図6に示すように、ガス注入コネクタ(124)は、第1の管腔内に配置される第2の管腔(126)に接続することができ、第2の管腔は、ガス注入コネクタ(124)から内視鏡ガイドの出口ポートまで延在する。図5および6に示される実施形態は両方とも、バルブとガス注入コネクタ(124)との組み合わせを詳述するが、これらの機構のいずれかが、装置に別々に組み込まれ得ることが想定される。例えば、内視鏡ガイドは、ガス注入コネクタ(124)を含んでもよいが、一方向バルブを含まなくてもよい。あるいは、内視鏡ガイドは、一方向バルブを含んでもよいが、ガス注入コネクタを含まなくてもよい。
【0101】
図7は、本発明のさらなる実施形態を詳述する。具体的には、この図のシステムは、内視鏡ガイドが拡張可能部(128)、この場合は伸縮部を含むことを加えて、上記で詳述した図のいずれかに対応する。図7Aは、図7Cに示す拡大画像で、第1の拡張構成の拡張可能部を示している。
【0102】
拡張可能部は、内視鏡ガイドの中央軸と実質的に同じ軸に沿って延在する。内視鏡の近位端を内視鏡ガイドの中間部入口ポートに向かって前進させると、図7Bに示されるように、拡張可能部は折り畳まれて後退構成になる。内視鏡は、図7に示されている前進中に内視鏡ガイドを通って出口ポートの外に有利にガイドされる。
【0103】
図8は、患者(966)と共に使用されている本発明の内視鏡検査システム(930)を示している。システム(930)は、内視鏡(934)が位置付けられるガイド(932)を含む。内視鏡は、近位端にハンドル部分(936)を有し、これはユーザによって保持され、内視鏡の機能の態様を制御するための制御部を有する。ガイドは、近位端にハンドル部分(942)を有し、これは、ガイド(932)の位置、特にガイド(932)の遠位端(960)の位置および方向を制御するために使用されるものによって保持および操作される。
【0104】
内視鏡(934)に戻ると、近位ハンドル部分(936)は、内視鏡(938)の細長い部分につながり、ガイド(932)の中間部(944)に配置された内視鏡入口ポート(946)に前進する。内視鏡の細長い部分(938)は、ガイド(932)の遠位端(960)に配置される内視鏡出口ポート(962)に向かってガイドの管腔(964)を通過する。
【0105】
ガイド(932)は、中間部(944)から実質的に直線状に、ガイド(932)の遠位端(960)近くの湾曲部(958)まで延在する。湾曲部(958)の前には、ガス注入部分(948)が配置されており、患者の体内での内視鏡(934)の使用を容易にするために、ガイド(932)を通して患者(966)にガスを導入することを可能にする。
【0106】
ガス注入部分(948)は、内視鏡(934)が通過する、拡大された直径を有するガイドの部分によって形成されるチャンバ(950)を含む。ガス入口(952)は、チャンバ(950)に通じ、ガイドの管腔(964)、ひいては患者の体内へのガスの導入を可能にする。ガスがガイドから漏れるのを限定または防止するために、第1のバルブ(954)および第2のバルブ(956)がチャンバ(950)内に配置され、内視鏡(934)の周りに静合する。
【0107】
内視鏡(934)は、ガス注入部分(948)を通過し、ガイドの湾曲部(958)を通ってガイドされ、ガイド(932)の遠位端(960)で内視鏡出口ポート(962)から出る。内視鏡(934)の遠位端(940)には、ライトおよびカメラが設けられている。
【0108】
示されるように、ガイド(932)は、皮膚(968)、脂肪(970)および筋肉(974)の層を通過することによって患者の身体に挿入される。
【0109】
図9は、患者(1020)と共に使用されている本発明の別の内視鏡検査システム(1074)を示している。システム(1074)は、内視鏡(1078)が位置付けられるガイド(1076)を含む。内視鏡(1078)は、近位端にハンドル部分(1080)を有し、これはユーザによって保持され、内視鏡の機能の態様を制御するための制御部を有する。ガイド(1076)は、近位端にハンドル部分(1086)を有し、これは、ガイド(1076)の位置、特にガイド(1076)の遠位端(1014)の位置および方向を制御するために使用されるものによって保持および操作される。
【0110】
図9に示すシステム(1074)と図8に示すシステム(930)との違いは、内視鏡(1078)がガイド(1076)に入るガイド(1076)の中間部(1088)の構造にあることである。上記のように、ユーザは、内視鏡(1078)のハンドル(1080)を一方の手で保持し、ガイド(1076)のハンドル(1086)を他方の手で保持し得る。ユーザは、内視鏡(1078)をガイド(1076)に押し込み、内視鏡の遠位先端(1084)をガイド(1076)から患者(1020)の体内の内視鏡出口ポート(1016)に挿入する。しかしながら、細長い内視鏡は極めて可撓性である可能性があり、これにより、ユーザが内視鏡(1078)をガイド(1076)に押し込もうとすると問題が生じる可能性がある。これは、例えば、内視鏡(1078)がガイド(1076)に入り、それを通過する前に屈曲したり、ねじれたりすることがある。システム(1074)は、内視鏡(1078)が挿入されるガイド(1076)の領域に拡張可能部(1092)を設けることにより、この潜在的な問題に対処する。示されるように、内視鏡(1078)は、ガイド(1076)の拡張可能部1092に配置される内視鏡入口ポート(1090)に入る。図示の実施形態では、拡張可能部(1092)は、ガイド(1076)の中間部(1088)から延在する3つの伸縮部(1094、1096、および1098)を含む。したがって、内視鏡(1082)の細長い部分は、ユーザが内視鏡(1078)をガイド(1076)に押し込むと、ガイド(1076)の拡張可能部(1092)によって支持およびガイドされ、望ましくない屈曲またはねじれを防止する。伸縮部(1094、1096、1098)は、内視鏡(1078)のように同心のシリンダとして互いに折り畳まれ、ガイド(1076)およびガイドの中間部(1088)の一部分(1000)に挿入される。
【0111】
ガイド(1076)は、中間部(1088)から実質的に直線状に、ガイド(1076)の遠位端(1014)近くの湾曲部(1012)まで延在する。湾曲部(1012)の前には、ガス注入部分(1002)が配置されており、患者の体内での内視鏡(1078)の使用を容易にするために、ガイド(1076)を通して患者(1020)にガスを導入することを可能にする。
【0112】
ガス注入部分(1002)は、内視鏡(1078)が通過する、拡大された直径を有するガイドの部分によって形成されるチャンバ(1004)を含む。ガス入口(1006)は、チャンバ(1004)に通じ、ガイドの管腔(1018)、ひいては患者の体内へのガスの導入を可能にする。ガスがガイドから漏れるのを限定または防止するために、第1のバルブ(1008)および第2のバルブ(1010)がチャンバ(1004)内に配置され、内視鏡(1078)の周りに静合する。
【0113】
内視鏡(1078)は、ガス注入部分(1002)を通過し、ガイドの湾曲部(1012)を通ってガイドされ、ガイド(1076)の遠位端(1014)で内視鏡出口ポート(1016)から出る。内視鏡(1078)の遠位端(1084)には、ライトおよびカメラが設けられている。
【0114】
示されるように、ガイド(1076)は、皮膚(1022)、脂肪(1024)および筋肉(1026)の層を通過することによって患者の身体に挿入される。
【0115】
図10は、患者(1172)と共に使用されている本発明の別の内視鏡検査システム(1128)を示している。システム(1128)は、内視鏡(1132)が位置付けられるガイド(1130)を含む。内視鏡(1132)は、近位端にハンドル部分(1134)を有し、これはユーザによって保持され、内視鏡の機能の態様を制御するための制御部を有する。ガイドは、近位端にハンドル部分(1140)を有し、これは、ガイド(1130)の位置、特にガイド(1130)の遠位端(1158)の位置および方向を制御するために使用されるものによって保持および操作される。
【0116】
内視鏡(1132)に戻ると、近位ハンドル部分(1134)は、内視鏡(1136)の細長い部分につながり、ガイド(1130)の中間部(1142)に配置された内視鏡入口ポート(1144)に前進する。内視鏡の細長い部分(1136)は、ガイド(1130)の遠位端(1158)に配置される内視鏡出口ポート(1160)に向かってガイドの管腔(1162)を通過する。
【0117】
ガイド(1130)は、中間部(1142)から実質的に直線状に、ガイド(1130)の遠位端(1158)近くの湾曲部(1156)まで延在する。湾曲部(1156)の前には、ガス注入部分(1146)が配置されており、患者の体内での内視鏡(1132)の使用を容易にするために、ガイド(1130)を通して患者(1172)にガスを導入することを可能にする。
【0118】
ガス注入部分(1146)は、内視鏡(1132)が通過する、拡大された直径を有するガイドの部分によって形成されるチャンバ(1148)を含む。ガス入口(1150)は、チャンバ(1148)に通じ、ガイドの管腔(1163)、ひいては患者の体内へのガスの導入を可能にする。ガスがガイドから漏れるのを限定または防止するために、第1のバルブ(1152)および第2のバルブ(1154)がチャンバ(1148)内に配置され、内視鏡(1132)の周りに静合する。
【0119】
内視鏡(1132)は、ガス注入部分(1146)を通過し、ガイドの湾曲部(1156)を通ってガイドされ、ガイド(1130)の遠位端(1158)で内視鏡出口ポート(1160)から出る。内視鏡(1132)の遠位端(1138)には、ライトおよびカメラが設けられている。
【0120】
このシステム(1128)は、システム(1130)を患者の体の正確な位置に置くのを支援する固定装置(1164)を含む。特に、固定装置(1164)は、ガイド(1130)が患者の体内、例えば患者の腹腔の壁に挿入される深さを固定するのに役立つ。さらに、固定装置はまた、体腔内の膨張ガスが装置の外側の周りに逃げるのを防止するのにも役立つ。
【0121】
示されるように、ガイド(1130)は、皮膚(1174)、脂肪(1176)および筋肉(1178)の層を通過することによって患者の身体に挿入される。これらの層、特に脂肪の層の厚さは患者によって大きく異なる可能性があるため、ガイド(1130)が患者の体内の正確な深さまで挿入されることをユーザが知っていると、患者の内部(腹腔など)に正しく安全にアクセスして視覚化するのに役立つ。
【0122】
示されている固定装置は、遠位湾曲部(1156)でまたはその近くでガイド(1130)の外部に配置される膨張式カフ(1170)にチューブ(1168)によって接続されたポンプ(1166)を含む。使用中、ユーザは、ポンプ(1166)を使用してカフ(1170)を所望のサイズまで膨張させることができる。これには、チューブ(1168)を介してカフ(1170)に至る流体(液体または気体)の流れが含まれる。理想的には、カフ(1170)は筋肉層(1178)に配置され、使用する準備ができたガイド(1130)の深さを固定するために、必要なサイズまで膨張される。使用後、カフ(1170)を収縮させて、ガイド(1130)を患者から取り外すことができる。
【0123】
図11および12は、本発明の内視鏡ガイド(1200)の別の実施形態を示す。図1~10で概説されたガイドと同様に、図11および12のガイドは、近位部分(1202)および遠位部分(1204)を有する。内視鏡ガイド(1200)はポリプロピレンから構成されるが、他の生体適合性材料、好ましくはポリマー材料を使用することができる。近位部分(1202)は、ハンドル部分(1206)を含む。ハンドル部分は、それ自体が開口部(1210)を有する内視鏡ガイドの中央の実質的に直線状の中間部分(1208)に通じる。開口部(1210)は、システムの内視鏡(1222)の挿入のための入口ポートを画定する。入口ポート(1210)は、図12でよく見られる。
【0124】
内視鏡ガイドの外壁は、入口ポート(1210)から内視鏡ガイドの遠位端につながる湾曲環状部分を形成し、ガイドを通して内視鏡をガイドするための管腔を形成する。環状部分は、内視鏡の出口ポートを画定する開口部(1214)に通じている。
【0125】
内視鏡ガイドのハンドル部分(1206)は、近位方向を有する近位軸を画定する。それらのそれぞれの遠位軸および中央軸によって画定される遠位部分(1204)および中間部分(1208)は、遠位屈曲部を画定する遠位角を形成する。同様に、それぞれの近位軸および中央軸によって画定される近位部分(1202)および中間部分(1208)は、近位屈曲部を画定する近位角を形成する。この実施形態では、近位部は、中央軸に対して実質的に直角(90°)で延在する近位軸を画定するハンドルを含む。
【0126】
近位角および遠位角は、遠位端と近位端との動きの間の機能的関係を画定する関係を共有する。内視鏡は、入口ポート(1210)を通って内視鏡ガイドの管腔に入り、医療従事者によって内視鏡ガイドの入口ポート(1210)と出口ポート(1214)との間に画定された管腔を通って迂回され、その遠位端で遠位軸の方向に内視鏡ガイドを出る。
【0127】
近位角と遠位角によって画定される、内視鏡ガイドの近位軸と遠位軸の方向間の関係を観察することにより、近位端に対する遠位端の相対的な動きを決定することができ、したがって、医療従事者は、内視鏡が個人の体腔内に挿入される方向を確認することができる。
【0128】
ガイドの外壁は、入口ポート(1210)の遠位に突出したリムまたはカラー(1216)を画定し、ユーザに内視鏡ガイド(1200)を患者の体内に正確に挿入するのに役立つ画定された停止点を提供する。ガイド(1200)は、リム(1216)が患者の皮膚に近づくかまたは接触するまで、患者の体内に挿入される。内視鏡ガイド(1200)の遠位端(1204)にも、突出先端(1218)が設けられている。示されるこの実施形態では、先端は、出口ポート(1214)を越えて突出するリップ(1218)の形態である。リップ(1218)は、患者の体内への装置の挿入に役立つ。
【0129】
この実施形態では、内視鏡ガイド装置は、2つのガス注入コネクタ(1224)を含む。好ましくは、ガス注入コネクタ(1224)は、ルアーロックまたはルアースリップコネクタなどのルアーフィッティングである。ガス注入コネクタ(1224)は、任意の適切なガス源に接続されてもよい。
【0130】
別の態様では、本発明は、上記で詳述した内視鏡検査システムを含む部品キットを提供する。部品キットは、単回使用のための無菌の事前包装された部品キットであることが好ましい。部品キットの内容物は、外科手術で部品キットの内容物を使用する直前に壊れる無菌バリアシールによって外部環境から分離できる。
【0131】
部品キットは、緊急使用のためのものであってもよく、必要に応じてメス、針および縫合糸、一対の外科用はさみ、クランプ、消毒剤、麻酔薬、カバー、ガーゼ、ドレッシング、および吸引装置ならびに/または収集袋のうちの1つ以上をさらに含んでもよい。部品キットは、異なるサイズの複数の内視鏡および/または異なるサイズの内視鏡と組み合わせて動作可能に使用することができる1つ以上の内視鏡ガイドを含むことができる。
【0132】
本発明のさらなる態様は、個人の体腔に内視鏡を挿入するための方法であって、上記で詳述した内視鏡検査システムを提供するステップと、内視鏡ガイドを使用して内視鏡を個人の体腔に挿入するステップとを含む。好ましくは、体腔は、動物または人体の胸腔、腹腔または骨盤腔である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12