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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】給油タンク
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/14 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
F23K5/14 503
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021027539
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022129014
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】相馬 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 与志男
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 寛道
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-335059(JP,A)
【文献】実開昭62-130933(JP,U)
【文献】登録実用新案第3006871(JP,U)
【文献】特開2008-044454(JP,A)
【文献】実開平07-021617(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/14
B60K 15/04
F16C 11/04
B62J 35/00
B65D 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク本体と、
前記タンク本体の上面に設けられた給油口と、
前記給油口に取り付けられるキャップ部と、
前記タンク本体に取り付けられるベース部と、
前記キャップ部と前記ベース部とを連結するアーム部と、
前記ベース部と前記アーム部とを回動可能に連結する第一連結部と、
前記キャップ部と前記アーム部とを回動可能に連結する第二連結部と、を有し、
前記第一連結部は、第一回動軸を有し、
前記ベース部と前記アーム部のどちらか一方に前記第一回動軸が遊貫するヒンジ部を有し、
前記ヒンジ部の断面の孔形状は長孔であり、前記第一回動軸の軸方向と直交する方向を長径とする給油タンク。
【請求項2】
前記第一連結部は、前記アーム部から前記第一回動軸方向に延びる突起部と、
前記アーム部の回動に伴って前記突起部が摺動する摺動部と、
前記給油口に前記キャップ部が取り付けられた状態において前記突起部が収納される嵌合部と、を有する請求項記載の給油タンク。
【請求項3】
前記摺動部の端部には、前記突起部が当接する当接部が設けられている請求項記載の給油タンク。
【請求項4】
前記第二連結部は、
前記アーム部に設けられ、第二回動軸を支持する支持部を有し、
前記キャップ部は、前記支持部に当接することで回動範囲が制限される請求項からのいずれかに記載の給油タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に補給される液体燃料を貯留する給油タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、灯油などの液体燃料を燃焼させて暖房を行う燃焼装置では、燃料を貯留するための給油タンクを備えている。この給油タンクの給油口にはキャップ部が取り付けられているが、給油の際にキャップ部を取り外すと手に燃料が付着してしまうことがある。そこで、手が汚れないように、キャップ部を本体に起伏可能に設けて、ワンタッチで取り付けを可能にしたものが知られている。(たとえば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-173940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃焼装置では省資源化や低コスト化のために製品の小型化が進んでおり、それに伴い、給油タンクを構成する部品の小型化も望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、キャップユニットを小型化しつつ、キャップ部の着脱作業をスムーズに行える使い勝手のよい給油タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
タンク本体と、
前記タンク本体の上面に設けられた給油口と、
前記給油口に取り付けられるキャップ部と、
前記タンク本体に取り付けられるベース部と、
前記キャップ部と前記ベース部とを連結するアーム部と、
前記ベース部と前記アーム部とを回動可能に連結する第一連結部と、
前記キャップ部と前記アーム部とを回動可能に連結する第二連結部と、を有し、
前記ベース部と前記アーム部のどちらか一方に前記第一回動軸が遊貫するヒンジ部を有し、
前記ヒンジ部の断面の孔形状は長孔であり、前記第一回動軸の軸方向と直交する方向を長径とする給油タンクである。
【発明の効果】
【0007】
上述のように構成することにより、キャップユニットを小型化しつつ、キャップ部の着脱作業をスムーズに行える使い勝手のよい給油タンクとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の給油タンクの分解図である。
図2】本実施形態の給油タンクを備える燃焼装置の内部構成図である。
図3】本実施形態の給油タンクの要部拡大図である。
図4】本実施形態のキャップユニットの縦断面図である。
図5図3の給油タンクのAA断面における要部拡大図である。
図6】給油口へのキャップ部の着脱を説明する図である。
図7】アーム部の起伏状態を説明する図である。
図8図7の状態におけるヒンジ部の縦断面図である。
図9】第二連結部の回動範囲の制限を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0010】
本発明は、燃焼装置に補給される液体燃料を貯留する給油タンクに関するものであって、給油タンクは、液体燃料を貯留するタンク本体と、タンク本体の上面に設けられた給油口と、給油口に取り付けられるキャップ部と、タンク本体に取り付けられるベース部と、キャップ部とベース部とを連結するアーム部とを有し、さらに、ベース部とアーム部は第一連結部により回動可能に連結され、キャップ部とアーム部は第二連結部により回動可能に連結されている。キャップ部と、ベース部と、アーム部とを、第一連結部と第二連結部の2箇所の連結部により回動可能に連結したことで、給油口に対するキャップ部の角度を自在に調整することができる。これにより、キャップユニットを小型化しつつ、キャップ部の着脱作業をスムーズに行える使い勝手のよい給油タンクとなる。
【0011】
また、第一連結部は、第一回動軸を有しており、ベース部とアーム部のどちらか一方に第一回動軸が遊貫するヒンジ部が設けられ、ヒンジ部の断面の孔形状は長孔であり、第一回動軸の軸方向と直交する方向を長径とする。これにより、キャップ部を給油口に取り付けるとき、第一回動軸が長孔内を移動してアーム部が水平方向にスライドするので、キャップ部を給油口に対して水平に保ったまま給油口にスムーズに取り付けることができる。
【0012】
また、第一連結部は、アーム部から第一回動軸方向に延びる突起部と、アーム部の回動に伴って突起部が摺動する摺動部と、給油口にキャップ部が取り付けられた状態において突起部が収納される嵌合部とを有する。キャップ部を給油口から外し、アーム部を回動させるとき、それに伴って突起部が摺動部を摺動することで、第一回動軸が長孔の長径方向の一方の端に位置する。これによって、第一回動軸がヒンジ部の孔内で摺動するのを防ぎ、アーム部のガタツキを抑えることができる。また、給油口にキャップ部が取り付けられた状態において、突起部が嵌合部に収納されるため、アーム部の水平方向へのスライドを妨げない。
【0013】
また、摺動部の端部には、突起部が当接する当接部が設けられている。アーム部を回動させ、突起部を当接部に当接させることで、アーム部の起立した状態を保持できる。これにより、給油タンクへの液体燃料の補給作業時にアーム部が給油口に向かって倒れてくるのを防げるため、液体燃料の補給作業がしやすくなる。
【0014】
また、第二連結部は、アーム部に設けられ、第二回動軸を支持する支持部を有し、キャップ部は、支持部に当接することで回動範囲が制限される。第二連結部の回動範囲を制限することで、アーム部を起立保持した状態において、キャップ部が回動して口金部とタンク本体が接触するのを避けることができ、タンク本体を汚さずに液体燃料の補給作業を行える。
【実施例
【0015】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0016】
図1は本実施形態の給油タンクの分解図である。給油タンク1は、液体燃料を貯留するタンク本体20と、タンク本体20に着脱可能な樹脂製のキャップユニット30とを備える。
【0017】
タンク本体20は、一面が開口した深絞りの容器200と、開口を塞ぐ蓋体201とからなり、容器200と蓋体201は接合部分がカシメられ、鍔部202が設けられている。また、タンク本体20の上面204には液体燃料をタンク本体20内に補給するための給油口203が設けられており、給油口203には後述するキャップユニット30のキャップ部300が取り付けられる。
【0018】
キャップユニット30は、キャップ部300と、ベース部310と、アーム部320とを備えており、キャップ部300は、ベース部310およびアーム部320を介してタンク本体20に係留される。また、本実施例ではベース部310には保持部314が設けられており、キャップユニット30は保持部314によってタンク本体20に保持されるが、キャップユニット30はタンク本体20と一体であってもよい。
【0019】
図2は、本実施形態の給油タンクを備える燃焼装置の内部構成図である。なお、図では給油タンク1を備える燃焼装置の一例としてファンヒータを用いている。ファンヒータの本体2は、側面および背面を構成する枠3と底面を構成する置台4からなる。本体2内には、灯油等の液体燃料を加熱気化する気化器5と、気化器5で発生した気化ガスを燃焼するバーナ部6と、本体2に着脱可能な給油タンク1と、給油タンク1が載置されるとともに給油タンク1から供給される液体燃料を所定量貯留する油受皿7が設けられている。
【0020】
また、本体2の背面には本体2の内部に空気を供給する送風機8が取り付けられていて、バーナ部6での燃焼により発生した燃焼排ガスは、送風機8から供給される空気と混合されて温風となり本体2の前面から排出されることで室内の暖房が行われる。
【0021】
燃焼により液体燃料が消費されると、使用者は給油タンク1を本体2から外し、給油タンク1内に液体燃料を補給する。このとき、キャップユニット30によってキャップ部300がタンク本体20に係留されるため、給油口203からキャップ部300を外した際のキャップ部300の落下や紛失を防止できる。また、使用者が外したキャップ部300を床などに置き、キャップ部300から垂れた液体燃料で置いた場所を汚してしまうことも防止できる。
【0022】
さらに、キャップユニット30をタンク本体20に着脱可能とすることで、給油口203付近に液体燃料をこぼすなどしてキャップユニット30を汚してしまっても、キャップユニット30を外して清掃することができる。さらに、キャップユニット30が破損した際には、容易にキャップユニット30を交換することができるため、メンテナンス性に優れる。
【0023】
図3は本実施形態の給油タンクの要部拡大図、図4は本実施形態のキャップユニットの縦断面図である。キャップユニット30は、ベース部310とアーム部320とを回動可能に連結する第一連結部330と、キャップ部300とアーム部320とを回動可能に連結する第二連結部340とを有する。以下、キャップユニット30の各構成について説明する。
【0024】
キャップ部300は、口金部301と、口金部301の周囲に設けられたグリップ部303とを備えている。口金部301には、油受皿7に液体燃料を供給する吐出口302が設けられており、給油タンク1を上面204が下となるように上下を反転させて本体2に装着すると、油受皿7上に配置される図示しない油フィルタに設けられたピン部が吐出口302を開口させ、油フィルタを介して油受皿7に液体燃料が供給される。また、キャップ部300は図示しないバネを有している。バネの付勢力により係止片304A(図6参照)が給油口203に係止し、キャップ部300が給油口203に取り付けられ、キャップ部300の側面に設けられたボタン部304を押すことで係止が解かれる。
【0025】
ベース部310は、略四角形状の平板状であり、ベース部310の外周形状をなす複数の直線の辺のうちの1つの辺には、タンク本体20の下方向に延びるフランジ部311が延設されている。給油タンク1にキャップユニット30を装着すると、フランジ部311はタンク本体20の鍔部202に係合する。なお、ベース部310の形状は本実施例に限定されないが、外周形状が少なくとも1つの直線の辺を有しているのが好ましく、たとえば、1つの直線の辺とその両端を繋ぐ円弧から形成されていてもよい。
【0026】
また、図3において、キャップ部300の中心を通り、フランジ部311に平行な線を中心線Lとし、二点鎖線で示している。ベース部310は、この中心線Lよりもフランジ部311側の一方を第一領域310A、他方を第二領域310Bとし、タンク本体20の上面204と対向する取り付け面の第二領域310Bのみに保持部314が設けられてもよく、保持部314は磁石を備えている。なお、本実施例においては、保持部314を2か所に配置したが、保持部314の数や配置はこれに限定されない。また、磁石をシート状とし、第二領域310B全体に設けるなどしてもよい。
【0027】
さらに、ベース部310は中心付近に穴313が設けられている。また、タンク本体20は、給油口203の周囲にタンク本体20の上面204から盛り上がった凸部205が設けられており、本実施例では、給油口203と同心円状に盛り上がった凸部205となっている。ベース部310は、凸部205の外周が穴313の内周に当接するようにタンク本体20に取り付けられ、穴313の内側にキャップ部300が配置される。なお、凸部205は給油口203の周りを囲うように設けられるのが好ましいが、その位置や形状は本実施例に限定されない。さらに、本実施例では凸部205をタンク本体20と一体としたが、別体とした凸部205(たとえば、金具など)をタンク本体20の上面204に取り付けてもよい。
【0028】
アーム部320はキャップ部300とベース部310とを連結しており、第一連結部330は、ベース部310に設けられた第一回動軸331と、アーム部320に設けられ第一回動軸331が遊貫する2か所のヒンジ部332とを備えている。また、ヒンジ部332の断面の孔332A形状は長孔であり、第一回動軸331の軸方向と直交する方向を長径としている。なお、本実施例では、第一回動軸331をベース部310に設け、ヒンジ部332をアーム部320に設けたが、第一回動軸331をアーム部320に設け、ヒンジ部332をベース部310に設ける構造としてもよい。また、第二連結部340は、第二回動軸341と、アーム部320に設けられ第二回動軸341の両端を支持する支持部342と、キャップ部300のグリップ部303に設けられ第二回動軸341を収容する軸受部343を備えており、支持部342は、キャップ部300と対向する面が湾曲面342Aとなっている。
【0029】
第一連結部330は、さらに、ヒンジ部332の間に設けられ、アーム部320から第一回動軸331方向に延びる突起部333と、アーム部320の回動に伴って突起部333が摺動する摺動部334とを備えている。さらに、摺動部334の一端には、給油口203にキャップ部300が取り付けられた状態において、突起部333が収納される嵌合部335が設けられ、他端には、アーム部320を起立保持した状態において突起部333が当接する当接部336が設けられている。なお、本実施例において、2か所のヒンジ部332の間に、突起部333と摺動部334と当接部336とを配置したが、ヒンジ部332を1か所とし、ヒンジ部332を挟むように突起部333と摺動部334と当接部336とをそれぞれ配置してもよい。
【0030】
また、図4において、鎖線で囲んだ第二連結部340の拡大図を吹き出し内に示している。第二連結部340において、軸受部343は上部が解放された略U字状となっている。さらに、軸受部343には、内面から突出する突出部344が設けられており、第二回動軸341は突出部344により軸受部343に収まっている。
【0031】
つぎに、図5を用いて、フランジ部311についてさらに説明する。
【0032】
図5は、図3の給油タンクのAA断面における要部拡大図である。フランジ部311はタンク本体20の側面と対向する面にツメ部312を備えていてもよい。キャップユニット30は、ベース部310とツメ部312との間に鍔部202が配置されるようにタンク本体20に取り付けられる。このとき、鍔部202とツメ部312の上端との間の距離H1は、凸部205の高さH2よりも小さい。
【0033】
上述したキャップユニット30について、まずタンク本体20への取り付けについて説明する。
【0034】
キャップユニット30をタンク本体20に取り付けるとき、まず、フランジ部311を鍔部202に係合させる。タンク本体20は容器200が深絞り成形されており、各辺に曲率が付いているため、フランジ部311に係合しない。つまり、タンク本体20の上面204の4辺のうちフランジ部311と係合するのは鍔部202を有する1辺のみとなる。また、フランジ部311をベース部310の1つの辺のみに設けたことで、フランジ部311と鍔部202は1対1の関係となる。これによって、フランジ部311と鍔部202を係合させることで、キャップユニット30の取り付け向きを規制することができる。
【0035】
つぎに、タンク本体20の上面204に設けられた凸部205が、ベース部310に設けられた穴313にはまるように、ベース部310をタンク本体20に取り付ける。つまり、凸部205はベース部310の取り付け位置をガイドする。また、本実施例では、凸部205の外周と穴313の内周が当接するよう取り付けられるため、ベース部310の取り付け位置を一義的に決めることができる。さらに、鍔部202とツメ部312との間の距離H1が凸部205の高さH2よりも小さくなっているため、使用者がキャップユニット30を誤って凸部205上に装着しようとすると、ツメ部312が鍔部202から外れる。これによって、誤装着を防止できる。
【0036】
また、使用者はベース部310の取り付け向きや位置を合わせる際、ベース部310の第二領域310B側を持ち、上述したようにまずフランジ部311と鍔部202を係合させる。このとき、ベース部310の取り付け面に設けられた磁石を第二領域310Bのみに配置したことで、タンク本体20の上面204から磁石までの距離をとり、磁石の磁力によりベース部310がタンク本体20に引き寄せられ、取り付け向きや位置が合わせにくくなるのを防ぐことができる。
【0037】
ベース部310をタンク本体20の上面204に取り付けたら、最後にキャップ部300を給油口203に取り付けることで、キャップユニット30はタンク本体20に取り付けられる。
【0038】
ところで、キャップユニット30をタンク本体20に着脱可能としたことで、たとえば、キャップ部300が給油口203に取り付けられた状態で、使用者が誤ってベース部310に手をかけて給油タンク1を持ち上げようとするなどして、ベース部310に対してタンク本体20の上方向への外力が加わったときに、キャップユニット30がタンク本体20から外れ、給油口203から液体燃料が流れ出てしまうおそれがある。
【0039】
それを防ぐために、ベース部310に対してタンク本体20の上方向に外力が加わったとき、ツメ部312が鍔部202に引っ掛かることで、ベース部310がタンク本体20から外れにくくなっている。
【0040】
さらに、第二連結部340は、キャップ部300が給油口203に取り付けられた状態で、ベース部310に対してタンク本体20の上方向に所定以上の外力が加わったときに、キャップ部300とアーム部320の連結が外れるように設計されている。キャップ部300とアーム部320の連結が外れるようにすることで、タンク本体20からベース部310とアーム部320が外れても、キャップ部300は給油口203に付いた状態が保持されるため、給油口203から液体燃料が流れ出ることがない。本実施例では、キャップ部300が給油口203に取り付けられた状態で、ベース部310に対してタンク本体20の上方向に所定以上の外力が加わると、軸受部343の解放された上部から第二回動軸341が外れて、タンク本体20からベース部310とアーム部320のみが外れるため、キャップ部300は給油口203に付いた状態が保持される。
【0041】
また、キャップ部300はベース部310に設けられた穴313の内側に配置されているため、ベース部310とアーム部320がタンク本体20から外れる際に、ベース部310がキャップ部300に引っ掛かり、キャップ部300が外れてしまうことを防止できる。
【0042】
なお、所定以上の外力とは、キャップ部300を給油口203に係止状態としている力を上回る外力を指す。本実施例では、所定以上の外力はキャップ部300に設けられたバネの付勢力を上回る外力を意味しており、軸受部343に設けた突出部344の突出高さを調整することで、所定の外力を設定することができる。
【0043】
つぎに、図6を用いて、給油口203のキャップ部300の着脱について説明する。
【0044】
図6は、給油口へのキャップ部の着脱を説明する図である。(A)、(B)はともに、キャップユニット30の縦断面図であり、(A)は、給油口203にキャップ部300を乗せた状態を示し、(B)は給油口203にキャップ部300を取り付けた状態を示している。
【0045】
給油口203へキャップ部300を取り付けるときには、まずは、アーム部320を回動させてキャップ部300を給油口203に乗せる(図6(A))。このとき、キャップ部300と、ベース部310と、アーム部320とを、第一連結部330と第二連結部340の2箇所の連結部により回動可能に連結したことで、キャップ部300とアーム部320がなす角度を変えることができ、給油口203に対するキャップ部300の角度を自在に調整することができる。これにより、キャップユニット30を小型化しつつ、キャップ部300の着脱作業をスムーズに行える使い勝手のよい給油タンク1となる。
【0046】
キャップ部300を給油口203に乗せると、キャップ部300の開口面305はタンク本体20の上面204に対して水平となる。その状態から、キャップ部300を給油口203に向かって上から垂直に押し込むと、キャップ部300に設けられたバネの付勢力により係止片304Aが給油口203に係止し、キャップ部300は給油口203に取り付けられる(図6(B))。このとき、キャップ部300を給油口203に向かって上から垂直に押すにつれて、第一回動軸331はヒンジ部332の孔332A内を長径方向に相対的に移動するため、アーム部320は図6(B)中に矢印で示した水平方向にスライドする。これにより、キャップ部300を給油口203に対して水平に保ったまま給油口203に向かってスムーズに押し込むことができる。一方、給油口203からキャップ部300を外すときには、キャップ部300に設けられたボタン部304を押しながらキャップ部300を持ち上げる。
【0047】
つぎに、図7および図8を用いて、アーム部320の起伏状態について説明する。
【0048】
図7はアーム部の起伏状態を説明する図、図8図7の状態におけるヒンジ部の縦断面図である。図7において、(A)、(B)はともに、キャップユニット30の縦断面図であり、(A)は、アーム部320が伏せた(つまり、給油口203にキャップ部300を取り付けた)状態を示し、(B)はアーム部320が起立保持された状態を示している。また、図8の(A)、(B)は、それぞれ図7の(A)、(B)に対応している。
【0049】
アーム部320が伏せた状態においては、突起部333は嵌合部335に収納されている(図7(A))。使用者がボタン部304を押しながらキャップ部300を持ち上げ、給油口203からキャップ部300を外し、アーム部320を図7(B)に矢印で示した方向に回動させると、突起部333は摺動部334を摺動する。そして、突起部333が当接部336に当たると、使用者がキャップユニット30から手を放してもアーム部320が起立保持された状態となる(図7(B))。
【0050】
第一連結部330において、ヒンジ部332の断面の孔332A形状を長孔としたことで、アーム部320を回動させるときに、第一回動軸331がヒンジ部332の孔332A内を長径方向に摺動してしまい、これがアーム部320のガタツキの原因となり、使い勝手が損なわれるおそれがある。しかしながら、突起部333を摺動部334に摺動させることで、このようなガタツキを抑えることができる。具体的には、アーム部320が伏せた状態では、突起部333は嵌合部335に収納されており、第一回動軸331は長孔の長径方向の一端に位置する(図8(A))。一方、アーム部320が起立保持された状態においては、突起部333が摺動部334に当たることで第一回動軸331は長孔の長径方向の他端に位置する(図8(B))。同様に、キャップ部300を給油口203から外し、アーム部320を回動させるときにも、突起部333が摺動部334に当たるので第一回動軸331は長孔の長径方向の他端に位置する。このように、アーム部320を回動させても、第一回動軸331がヒンジ部332の孔332A内で摺動しないため、アーム部320のガタツキが抑えられる。
【0051】
また、使用者が給油タンク1内に液体燃料を補給するときには、図7(B)に示す状態において、キャップユニット30から手を離すことになる。このとき、アーム部320が起立した状態を保持できず、給油口203に向かって伏せる方向(以降、閉方向とする)に倒れると、液体燃料の補給作業の妨げになり、逆方向(以降、開方向とする)にアーム部320が倒れると、口金部301がタンク本体20に接触し、タンク本体20を汚してしまう可能性がある。
【0052】
当接部336は、使用者がキャップユニット30から手を離してもアーム部320が閉方向に倒れない任意の角度までアーム部320を回動させたときに、突起部333と当接する位置に設けられており、本実施例では、任意の角度を120度とし、ベース部310とアーム部320のなす角が120度となるまでアーム部320を回動させたときに、突起部333が当接部336に当接する。これにより、アーム部320を起立保持することができ、給油タンク1への液体燃料の補給作業がしやすくなる。
【0053】
さらに、第二連結部340は回動範囲が制限されるようにしてもよい。図9は、第二連結部の回動範囲の制限を説明する図である。図において、(A)は閉方向への回動範囲の制限状態を示し、(B)は開方向への回動範囲の制限状態を示している。
【0054】
第二連結部340は、キャップ部300がアーム部320に設けられた支持部342の湾曲面342Aに当接することにより回動範囲が制限される。ここで、キャップ部300と湾曲面342Aとの当接点を、図9(A)ではPa、図9(B)ではPbで示している。図9(A)と(B)では、キャップ部300と湾曲面342Aとの当接点が異なり、それによって、閉方向および開方向への回動範囲が制限される。アーム部320を開方向に回動しきった状態において、第二連結部340の開方向への回動範囲が、キャップ部300がタンク本体20に接触しない範囲に制限されることで、口金部301とタンク本体20の接触を避けることができ、タンク本体20を汚さずに液体燃料の補給作業を行える。
【符号の説明】
【0055】
1 給油タンク
20 タンク本体
30 キャップユニット
203 給油口
300 キャップ部
310 ベース部
320 アーム部
330 第一連結部
340 第二連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9