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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】活性炭を含む蒸発排出制御物品
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20240517BHJP
   B01J 20/06 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 20/12 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240517BHJP
   F02M 25/08 20060101ALI20240517BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B01J20/20 B ZAB
B01J20/20 C
B01J20/20 D
B01J20/06 A
B01J20/06 B
B01J20/08 A
B01J20/08 C
B01J20/10 A
B01J20/10 C
B01J20/12 A
B01J20/12 B
B01J20/12 C
B01J20/18 B
B01J20/18 E
B01J20/34 F
B01J20/22 A
B01J20/28 Z
F02M25/08 311D
F02M25/08 311Z
B32B27/18 Z
【請求項の数】 69
(21)【出願番号】P 2021502822
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 CN2019095842
(87)【国際公開番号】W WO2020015591
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/095773
(32)【優先日】2018-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】リュッティンガー,ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】オールデン,ライフ アール
(72)【発明者】
【氏名】チン,スティーブン ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム,アカシュ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チェン
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0241479(US,A1)
【文献】特表2009-516128(JP,A)
【文献】米国特許第07186291(US,B2)
【文献】国際公開第2019/003157(WO,A1)
【文献】特表2016-500784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00-20/28
F02M 25/08
B32B 1/00-43/00
B01D 53/02-53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材であって、
少なくとも1つの表面と、前記少なくとも1つの表面上のコーティングと、を含み、前記コーティングが、粒子状炭素およびバインダーを含み、前記粒子状炭素が、少なくとも1300m/gのBET表面積を有し、0.20ml/g~0.35ml/gのミクロ細孔容積を有し、そして
i.5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、
ii.0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、
iii.0.5ml/gを超えるメソ細孔容積、であって、前記i、ii、及びiiiのうちの少なくとも1つを有する、コーティングされた基材。
【請求項2】
前記粒子状炭素が、3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項3】
前記粒子状炭素が、3mmHgのn-ブタン圧力において40ml/g~80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項4】
前記粒子状炭素が、3mmHgのn-ブタン圧力において、40ml/g、45ml/g、50ml/g、55ml/g、60ml/g、または65ml/gから、70ml/g、75ml/g、または80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項5】
前記粒子状炭素が、1300m/g~2500m/gのBET表面積を有する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項6】
前記粒子状炭素が、1400m/g~1600m/gのBET表面積を有する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項7】
前記粒子状炭素が、0.20ml/g、0.21ml/g、0.22ml/g、0.23ml/g、0.24ml/g、または0.25ml/gから、0.26ml/g、0.27ml/g、0.28ml/g、0.29ml/g、0.30ml/g、0.31ml/g、0.32ml/g、0.33ml/g、0.34ml/g、または0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する、請求項1~6のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【請求項8】
前記粒子状炭素が、0.5ml/g~0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、請求項1~6のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【請求項9】
前記粒子状炭素が、0.5ml/g、0.55ml/g、または0.60ml/gから、0.65ml/g、0.70ml/g、0.75ml/g、または0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、請求項1~6のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【請求項10】
前記粒子状炭素が、1400m/グラムのBET表面積、0.3ml/gのミクロ細孔容積、および0.75ml/gのメソ細孔容積を有する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項11】
前記基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項12】
前記基材が、モノリスである、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項13】
前記モノリスが、セラミックである、請求項12に記載のコーティングされた基材。
【請求項14】
前記基材が、プラスチックである、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項15】
前記プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、請求項14に記載のコーティングされた基材。
【請求項16】
前記コーティングの厚さが、500ミクロン未満である、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項17】
前記バインダーが、粒子状炭素に対して10重量%~50重量%の量で存在する、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項18】
前記バインダーが、有機ポリマーである、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項19】
前記バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項20】
ブリード排出スクラバーであって、前記スクラバーが、
炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材を含む吸着剤含有空間領域を含み、前記コーティングされた基材が、少なくとも1つの表面と、前記少なくとも1つの表面上のコーティングと、を含み、前記コーティングが、粒子状炭素およびバインダーを含み、前記粒子状炭素が、少なくとも1300m/グラムのBET表面積を有し、0.20ml/g~0.35ml/gのミクロ細孔容積を有し、そして
i.5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、
ii.0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、
iii.0.5ml/gを超えるメソ細孔容積、であって、前記i、ii、及びiiiのうちの少なくとも1つを有する、ブリード排出スクラバー。
【請求項21】
前記粒子状炭素が、3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項22】
前記粒子状炭素が、1300m/g~2500m/gのBET表面積を有する、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項23】
前記粒子状炭素が、0.5ml/g~0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項24】
前記粒子状炭素が、0.5ml/g、0.55ml/g、または0.60ml/gから、0.65ml/g、0.70ml/g、0.75ml/g、または0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項25】
前記粒子状炭素が、1400m/グラムのBET表面積、0.3ml/gのミクロ細孔容積、および0.75ml/gのメソ細孔容積を有する、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項26】
前記吸着剤含有空間領域が、2グラム未満のg-総ブタン作業能力(BWC)を有する、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項27】
前記吸着剤含有空間領域が、0.2グラム~1.6グラムのg-総BWCを有する、請求項20のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【請求項28】
前記基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項29】
前記基材が、モノリスである、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項30】
前記モノリスが、セラミックである、請求項29に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項31】
前記基材が、プラスチックである、請求項29に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項32】
前記プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、請求項31に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項33】
前記コーティングの厚さが、500ミクロン未満である、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項34】
前記バインダーが、前記粒子状炭素に対して10重量%~50重量%の量で存在する、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項35】
前記バインダーが有機ポリマーである、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項36】
前記バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、請求項20に記載のブリード排出スクラバー。
【請求項37】
蒸発排出制御キャニスターシステムであって、
第1のキャニスター内に収容された第1の吸着剤含有空間領域と、前記第1のキャニスターをエンジンに接続するための燃料蒸気パージ管と、前記燃料タンクを前記第1のキャニスターにベントするための燃料蒸気入口導管と、前記第1のキャニスターを大気にベントし、かつパージ空気を前記第1のキャニスターに入れるためのベント導管と、
請求項2036のいずれかに記載のブリード排出スクラバーを含む第2の吸着剤含有空間領域と、を含み、
前記第2の吸着剤含有空間領域は、前記第1の吸着剤含有空間領域と流体連通しており、前記ブリード排出スクラバーは、前記第1のキャニスター内に収容されるか、または第2のキャニスター内に収容され、
前記蒸発排出制御システムは、前記燃料蒸気によって、前記第1の吸着剤含有空間領域と前記第2の吸着剤含有空間領域との連続的な接触を可能にするように構成されている、蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項38】
前記粒子状炭素が、3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項39】
前記粒子状炭素が、3mmHgのn-ブタン圧力において40ml/g~80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項40】
前記粒子状炭素が、3mmHgのn-ブタン圧力において、40ml/g、45ml/g、50ml/g、55ml/g、60ml/g、または65ml/gから、70ml/g、75ml/g、または80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項41】
前記粒子状炭素が、1300m/g~2500m/gのBET表面積を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項42】
前記粒子状炭素が、1400m/g~1600m/gのBET表面積を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項43】
前記粒子状炭素が、0.20ml/g、0.21ml/g、0.22ml/g、0.23ml/g、0.24ml/g、または0.25ml/gから、0.26ml/g、0.27ml/g、0.28ml/g、0.29ml/g、0.30ml/g、0.31ml/g、0.32ml/g、0.33ml/g、0.34ml/g、または0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項44】
前記粒子状炭素が、0.5ml/g~0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項45】
前記粒子状炭素が、0.5ml/g、0.55ml/g、または0.60ml/gから、0.65ml/g、0.70ml/g、0.75ml/g、または0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項46】
前記粒子状炭素が、1400m/グラムのBET表面積、0.3ml/gのミクロ細孔容積、および0.7ml/gのメソ細孔容積を有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項47】
前記ブリード排出スクラバーが、前記第1のキャニスターに収容される、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項48】
前記ブリード排出スクラバーが、前記第2のキャニスターに収容される、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項49】
前記第2の吸着剤含有空間領域が、3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、および2グラム未満のg-総BWCを有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項50】
前記第2の吸着剤含有空間領域が、0.2グラム~1.999グラムのg-総BWCを有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項51】
前記第2の吸着剤含有空間領域が、第3の吸着剤含有空間領域をさらに含み、前記第3の吸着剤含有空間領域が、少なくとも0.05グラムのg-総BWCを有する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項52】
前記基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項53】
前記基材が、モノリスである、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項54】
前記モノリスが、セラミックである、請求項53に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項55】
前記基材が、プラスチックである、請求項53に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項56】
前記プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、請求項55に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項57】
前記コーティングの厚さが、500ミクロン未満である、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項58】
前記バインダーが、前記粒子状炭素に対して10重量%~50重量%の量で存在する、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項59】
前記バインダーが、有機ポリマーである、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項60】
前記バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項61】
前記第3の吸着剤含有空間領域が、網状ポリウレタン発泡体を含む、請求項51に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項62】
前記第1の吸着剤含有空間領域が、1.9~3.0リットルであり、2日間昼間呼吸損失(DBL)が、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、
i.前記第1の吸着剤含有空間領域が2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、または
ii.前記第1の吸着剤含有空間領域が1.9Lおよび135ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したとき、20mg未満である、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項63】
燃料貯蔵のための燃料タンクと、
前記燃料を消費するように適合された内燃機関と、をさらに含み、
前記蒸発排出制御キャニスターシステムが、前記燃料蒸気入口導管から前記第1のキャニスターへ、前記第2の吸着剤含有空間領域に向かい、そして前記ベント導管への燃料蒸気流路によって画定され、かつ、前記ベント導管から前記第2の吸着剤含有空間領域へ、前記第1のキャニスターに向かい、そして前記燃料蒸気パージ管に向かう相互空気流路によって画定される、請求項37に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項64】
前記ブリード排出スクラバーが、前記第1のキャニスターに収容される、請求項63に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項65】
前記ブリード排出スクラバーが、前記第2のキャニスターに収容される、請求項63に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項66】
前記第2の吸着剤含有空間領域が、3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、および2グラム未満のg-総BWCを有する、請求項63に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項67】
前記第2の吸着剤含有空間領域が、0.2グラム~1.999グラムのg-総BWCを有する、請求項63に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項68】
前記第2の吸着剤含有空間領域が、第3の吸着剤含有空間領域をさらに含み、前記第3の吸着剤含有空間領域が、少なくとも0.05グラムのg-総BWCを有する、請求項63に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【請求項69】
前記第1の吸着剤含有空間領域が、1.9~3.0リットルであり、前記2日間昼間呼吸損失(DBL)が、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、
i.前記第1の吸着剤含有空間領域が2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、または
ii.前記第1の吸着剤含有空間領域が1.9Lおよび135ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したとき、20mg未満である、請求項63に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、炭化水素排出制御システムに関する。より具体的には、本開示は、炭化水素吸着コーティング組成物でコーティングされた基材と、蒸発排出制御システム成分と、自動車エンジンおよび燃料システムからの炭化水素の蒸発排出を制御するための蒸発排出制御システムと、に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関を動力源とする自動車の燃料システムからのガソリン燃料の蒸発損失は、炭化水素による大気汚染の主な原因となり得る。蒸発排出は、車両の排気システムから生じる排出と定義される。車両の全蒸発排出への主な寄与は、燃料システムおよび吸気システムから生じる炭化水素燃料蒸気である。燃料システムから排出される燃料蒸気を吸着するために活性炭を使用するキャニスターシステムは、そのような蒸発排出を制限するために使用される。現在、すべての車両は、蒸発排出を制御するための活性炭ペレットを収容する燃料蒸気キャニスターを有する。活性炭は、すべての自動車の蒸発排出制御技術で使用される標準的な吸着剤材料であり、典型的には、炭化水素を一時的に吸着するための吸着剤材料として活性炭を利用する。
【0003】
次いで、活性炭は、吸気システムから空気をパージすることによって、定期的に再生され、炭化水素は脱着されてエンジンへ運ばれる。したがって、活性炭は、車両の耐用期間にわたって何千もの吸着/脱着サイクルを経験する。各吸着サイクル中は、再生されない少量の不可逆吸着が発生する。車両の耐用期間にわたって、この少量の不可逆吸着はゆっくりと増加し、活性炭の総有効吸着容量を減少させる。この現象は、ヒールまたはヒールビルドと称される。
【0004】
多くの燃料蒸気キャニスターは、昼間温度サイクルの高温側で炭素ベッドから逃げる燃料蒸気を捕捉するための追加の制御デバイスも収容する。かかる排出物の現在の制御デバイスは、圧力損失の理由から、炭素含有ハニカム吸着剤のみを収容する。かかるシステムでは、吸着された燃料蒸気は、キャニスターシステムを新鮮な周囲空気でパージし、活性炭から燃料蒸気を脱着することによって、活性炭から定期的に除去され、それにより燃料蒸気をさらに吸着するために炭素を再生する。キャニスターベースの蒸発損失制御システムを開示している例示的な米国特許としては、米国特許第4,877,001号、同第4,750,465号、および同第4,308,841号が挙げられる。
【0005】
炭化水素排出の許容量に関する厳格な規制の制定により、使用されていない期間であっても、自動車からの炭化水素排出量を徐々に厳しく管理する必要がある。かかる期間中(すなわち、駐車中)、車両の燃料システムは、暖かい環境にさらされる可能性があり、その結果、燃料タンク内の蒸気圧が上昇し、結果として、燃料が蒸発して大気へと失われる可能性がある。
【0006】
前述のキャニスターシステムには、容量および性能に関して一定の制限がある。例えば、パージ用空気は、吸着剤含有空間領域に吸着されたすべての燃料蒸気を脱着せず、大気に排出され得る残留炭化水素(「ヒール」)をもたらす。本明細書で使用される「ヒール」という用語は、キャニスターがパージまたは「クリーン」状態にあるときに吸着剤材料上に一般に存在する残留炭化水素を指し、吸着剤の吸着容量の低下をもたらす可能性がある。一方、ブリード排出とは、吸着剤材料から脱出する排出を指す。ブリードは、例えば、吸着と脱着との間の平衡が、有意に吸着よりも脱着に有利な場合に、発生する可能性がある。かかる排出は、車両が数日間にわたって昼間の温度変化にさらされた際に発生する可能性があり、一般に「昼間呼吸損失(diurnal breathing loss)」と称される。特定の規制は、キャニスターシステムからのこれらの昼間呼吸損失(DBL)排出が非常に低いレベルに維持されることが望ましいとしている。例えば、2012年3月22日の時点で、カリフォルニアの低排出ガス規制(LEV-III)では、2001年以降のモデルの自動車に関してキャニスターの2日間のDBL排出は、ブリード排出試験手順(BETP)に従って20mgを超えない必要がある。ブリード排出トラップは、現在、かかる低いブリード排出値を達成するために、かかる燃料キャニスターに設置される。これらのトラップは、押出炭素モノリスで構成されており、2日間の昼間サイクルで燃料キャニスターからの100~500mgの排出を吸収することを意図する。
【0007】
以前に開示されたのは、大気にベントする前に、燃料蒸気を最初の吸着剤含有空間領域に、次に少なくとも1つの後続の吸着剤含有空間領域に送ることによって、厳しいDBL条件下で炭化水素排出を制限する方法であり、初期吸着剤含有空間領域は、その後の吸着剤含有空間領域より高い吸着容量を有する。米国特許第RE38,844号を参照されたい。
【0008】
また、高いパージ効率と、初期および少なくとも1つの後続の吸着剤含有空間領域を有する中程度のブタン作業能力とを有し、かつ、3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、2グラム~6グラムのg-総ブタン作業能力、および40g/時のブタン充填後に適用された約210リットル以下のパージにおいて20mg以下の2日間のDBL排出量を有する、蒸発排出制御キャニスターシステムデバイスも既に開示されている。米国特許出願第2015/0275727号を参照されたい。
【0009】
現在の最先端の蒸発排出制御キャニスターで使用されている活性炭は、一般に、石炭または農業副産物などの天然資源から得られ、典型的には、1100~2200m/gの範囲の表面積および0.8~1.5cm/gの範囲の総細孔容積を有する。特に、細孔容積を細孔半径の関数としてプロットすると、これらの活性炭はすべて20オングストローム(Å)の直前にピークを有し、30~80Å範囲の比較的小さい細孔容積を有する。
【0010】
DBL排出に関するより厳しい規制により、特に、パージ体積が削減された車両(すなわち、ハイブリッド車)で使用するために、改善された蒸発排出制御システムの開発が引き続き促進される。そうでなければ、かかる車両は、パージ頻度がより少ないことに起因して高いDBL排出を生成する可能性があり、それは、より低い総パージ量およびより高い残留炭化水素ヒールに等しい。したがって、低体積および/またはパージサイクルが少ないにも関わらず、DBL排出量が少ない蒸発排出制御システムを有することが望ましい。さらに、燃料システムからの蒸発炭化水素排出を捕捉するための既に開示されたデバイスであっても、様々な条件下で潜在的な蒸発排出の量をさらに削減しながら、所要スペースおよび重量を削減するための高効率の蒸発排出制御システムに関するニーズが残っている。特に望ましいのは、ヒールビルドがさらに低い、蒸発排出制御物品およびシステムである。
【発明の概要】
【0011】
炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材と、コーティングされた基材を含む蒸発排出制御物品およびシステムとが提供される。開示されるコーティング基材、物品、およびシステムは、蒸発炭化水素排出を制御するのに有用であり、低パージ条件下でさえ、低い昼間呼吸損失(DBL)排出を提供することができる。コーティングされた基材は、排出物が大気中に放出され得る前に、内燃機関および/または関連する燃料源成分で生成された蒸発排出物を除去する。コーティングされた基材は、新規の細孔径分布を有する活性炭を含み、最先端の活性炭のように、多くの吸着/脱着サイクルにわたって低いヒールビルドを維持しながら、低い炭化水素濃度でより高い吸着容量を提供する。驚くべきことに、表面積、細孔容積分布、およびブタン等温線形状の特定の組み合わせのみが、厳しい排出規制に適合するコーティング炭素であると認定し得ることを見出した。したがって、第1の態様では、炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材が提供され、そのコーティング基材は、少なくとも1つの表面と、その少なくとも1つの表面上のコーティングとを有し、そのコーティングは、粒子状炭素およびバインダーを含み、その粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2500m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。特定の具体的な実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材はモノリスである。いくつかの実施形態では、モノリスはセラミックである。いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材は不織布である。いくつかの実施形態では、基材は押出媒体である。いくつかの実施形態では、押出媒体はハニカムである。他の実施形態では、基材は発泡体である。いくつかの実施形態では、発泡体は、1インチあたり約10個を超える細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体は、1インチあたり約20個を超える細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体は、1インチあたり約15~約40個の細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体はポリウレタンである。いくつかの実施形態では、ポリウレタンは、ポリエーテルまたはポリエステルである。いくつかの実施形態では、発泡体は網状ポリウレタンである。
【0017】
いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは約500ミクロン未満である。
【0018】
いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0019】
別の態様では、ブリード排出スクラバーが提供され、そのスクラバーは、炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材を含む吸着剤含有空間領域を含み、そのコーティングされた基材は、少なくとも1つの表面を有する基材と、その少なくとも1つの表面上のコーティングとを含み、そのコーティングは、粒子状炭素およびバインダーを含み、その粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0021】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2100m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。特定の具体的な実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、吸着剤含有空間領域は、約2グラム未満のg-総ブタン作業能力(BWC)を有する。いくつかの実施形態では、吸着剤含有空間領域は、約0.2グラム~約1.6グラムのg-総BWCを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材はモノリスである。いくつかの実施形態では、モノリスはセラミックである。いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される。
【0026】
いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは約500ミクロン未満である。
【0027】
いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0028】
さらなる態様では、蒸発排出制御キャニスターシステムが提供され、その蒸発排出制御キャニスターシステムは、第1のキャニスター内に収容された第1の吸着剤含有空間領域と、第1のキャニスターをエンジンに接続するための燃料蒸気パージ管と、燃料タンクを第1のキャニスターにベントするための燃料蒸気入口導管と、第1のキャニスターを大気にベントし、かつパージ空気を第1のキャニスターに入れるためのベント導管と、本明細書に開示されるようなブリード排出スクラバーを含む第2の吸着剤含有空間領域と、を含み、第2の吸着剤含有空間領域は、第1の吸着剤含有空間領域と流体連通しており、ブリード排出スクラバーは、第1のキャニスター内に収容されるか、または第2のキャニスター内に収容され、蒸発排出制御キャニスターシステムは、燃料蒸気によって、第1の吸着剤含有空間領域と第2の吸着剤含有空間領域との連続的な接触を可能にするように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0030】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2500m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。特定の具体的な実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.7ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、第1のキャニスターに収容される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、第2のキャニスターに収容される。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、および約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.2グラム~約1.999グラムのg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、第3の吸着剤含有空間領域をさらに含み、第3の吸着剤含有空間領域は、少なくとも約0.05グラムのg-総BWCを有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材はモノリスである。いくつかの実施形態では、モノリスはセラミックである。いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される。
【0037】
いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは約500ミクロン未満である。
【0038】
いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0039】
いくつかの実施形態では、第3の吸着剤含有空間領域は、網状ポリウレタン発泡体を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、約1.9~約3.0リットルの第1の吸着剤含有空間領域を有し、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、i.第1の吸着剤含有空間領域2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、またはii.第1の吸着剤含有空間領域1.9Lおよび135ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したとき、約20mg未満の2日昼間呼吸損失(DBL)を示す。
【0041】
いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約2グラム未満のg-総BWCを有し、一方、蒸発排出制御キャニスターは、カリフォルニアBETPの下で、約20mg未満の2日DBLを維持する。
【0042】
なおさらなる態様では、本明細書に開示されるような蒸発排出制御システムが提供され、そのシステムは、燃料貯蔵のための燃料タンクと、燃料を消費するように適合された内燃機関と、を含み、蒸発排出制御システムは、燃料蒸気入口導管から第1のキャニスターへ、第2の吸着剤容積に向かい、そしてベント導管への燃料蒸気流路によって画定され、また、ベント導管から第2の吸着剤含有空間領域へ、第1のキャニスターに向かい、そして燃料蒸気パージ管に向かう相互空気流路(reciprocal air flow path)によって画定される。
【0043】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2100m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。特定の具体的な実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.7ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、第1のキャニスターに収容される。いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、第2のキャニスターに収容される。
【0048】
いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、および約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.2グラム~約1.999グラムのg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、第3の吸着剤含有空間領域をさらに含み、第3の吸着剤含有空間領域は、少なくとも約0.05グラムのg-総BWCを有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材はモノリスである。いくつかの実施形態では、モノリスはセラミックである。いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される。
【0050】
いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは約500ミクロン未満である。
【0051】
いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0052】
いくつかの実施形態では、第3の吸着剤含有空間領域は、網状ポリウレタン発泡体を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1の吸着剤含有空間領域は、約1.9~約3.0リットルであり、2日昼間呼吸損失(DBL)は、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、i.第1の吸着剤含有空間領域2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、またはii.第1の吸着剤含有空間領域1.9Lおよび135ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したとき、約20mg未満である。
【0054】
なおさらなる態様では、蒸発排出制御キャニスターシステムが提供され、その蒸発排出制御キャニスターシステムは、キャニスター吸着剤材料を含む少なくとも1つのキャニスター吸着剤含有空間領域を含む蒸発排出制御キャニスターと、少なくとも1つのブリード排出スクラバーと、を含み、少なくとも1つのブリード排出スクラバーは、スクラバー吸着剤含有空間領域を含み、スクラバー吸着剤含有空間領域は、スクラバー吸着剤材料を含み、約2グラム未満のg-総BWCを有し、ブリード排出スクラバーは、蒸発排出制御キャニスターと流体連通しており、蒸発排出制御キャニスターは、燃料蒸気によって、キャニスター吸着剤含有空間領域とスクラバー吸着剤含有空間領域との連続的な接触を可能にするように構成され、また、蒸発排出制御キャニスターシステムは、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、i.第1の吸着剤含有空間領域2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、またはii.第1の吸着剤含有空間領域1.9Lおよび135ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したとき、約20mg未満の2日昼間呼吸損失(DBL)を有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、蒸発排出制御キャニスターシステムをエンジンに接続するための燃料蒸気パージ管と、燃料タンクを蒸発排出制御キャニスターにベントするための燃料蒸気入口導管と、蒸発排出制御キャニスターを大気にベントし、かつパージ空気を蒸発排出制御キャニスターに入れるためのベント導管と、をさらに含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、キャニスター吸着剤材料は、活性炭、炭素チャコール、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、活性炭は、木材、木材粉塵、木粉、コットンリンター、ピート、石炭、ココナッツ、リグナイト、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果実の種、果実の核、堅果の殻、堅果の種、おがくず、シュロ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む材料に由来する。
【0057】
いくつかの実施形態では、スクラバー吸着剤材料は、粒子状炭素を含み、その粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2500m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0064】
いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは基材を含む。いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材は、スクラバー吸着剤材料を含む混合物と一緒に成形、形成、または押し出される。いくつかの実施形態では、基材はコーティングを含み、コーティングはスクラバー吸着剤材料およびバインダーを含む。いくつかの実施形態では、基材はモノリスである。いくつかの実施形態では、モノリスはセラミックである。いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される。
【0065】
いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは約500ミクロン未満である。
【0066】
いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2.0グラム/dLまでの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、または約1.9グラムまでのg-総BWCを有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターは、3.5L以下、3.0L以下、2.5L以下、または2.0L以下のキャニスター吸着剤含有空間領域を有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域であって、そのキャニスター吸着剤含有空間領域が、少なくとも1つのチャンバーを含み、少なくとも1つのチャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域と、単一のブリード排出スクラバーであって、少なくとも1つのブリード排出スクラバーが、スクラバー吸着剤含有空間領域を含み、そのスクラバー吸着剤含有空間領域が、スクラバー吸着剤材料を含み、かつ約2グラム未満のg-総BWCを有する、単一のブリード排出スクラバーと、約1.5L~約2.0Lのキャニスター吸着剤含有空間領域と、を含み、その蒸発排出制御キャニスターが、135ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、BETP下で約10mg未満の2日間DBLを有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域であって、そのキャニスター吸着剤含有空間領域は、少なくとも1つのチャンバーを含み、その少なくとも1つのチャンバー内には充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域と、単一のブリード排出スクラバーと、約2.5L~約3.0Lのキャニスター吸着剤含有空間領域と、を含み、その蒸発排出制御キャニスターシステムは、80ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターは、80ベッド体積のパージ体積において、BETP下で、約10mg未満の2日間DBLを有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、キャニスター吸着剤含有空間領域は2つのチャンバーを含み、各チャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2.0グラム/dLまでの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、または約1.9グラムまでのg-総BWCを有する。
【0073】
本開示は、以下の実施形態を含むが、これらに限定されない。
【0074】
実施形態1.少なくとも1つの表面と、その少なくとも1つの表面上のコーティングと、を有する基材を含み、そのコーティングが、粒子状炭素およびバインダーを含み、その粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積、のうちの少なくとも1つを有する、炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材。
【0075】
実施形態2.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1に記載のコーティングされた基材。
【0076】
実施形態3.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~2のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0077】
実施形態4.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~3のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0078】
実施形態5.粒子状炭素が、約1300m/g~約2100m/gのBET表面積を有する、実施形態1~4のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0079】
実施形態6.粒子状炭素が、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する、実施形態1~5のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0080】
実施形態7.粒子状炭素が、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~6のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0081】
実施形態8.粒子状炭素が、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~7のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0082】
実施形態9.粒子状炭素が、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~8のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0083】
実施形態10.粒子状炭素が、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、実施形態1~9のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0084】
実施形態11.粒子状炭素が、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~10のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0085】
実施形態12.基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~11のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0086】
実施形態13.基材が、モノリスである、実施形態1~12のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0087】
実施形態14.モノリスが、セラミックである、実施形態1~13のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0088】
実施形態15.基材が、プラスチックである、実施形態1~14のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0089】
実施形態16.プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、実施形態1~15のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0090】
実施形態17.コーティングの厚さが、約500ミクロン未満である、実施形態1~16のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0091】
実施形態18.バインダーが、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する、実施形態1~17のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0092】
実施形態19.バインダーが、有機ポリマーである、実施形態1~18のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0093】
実施形態20.バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、実施形態1~19のいずれかに記載のコーティングされた基材。
【0094】
実施形態21.ブリード排出スクラバーであって、炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材を含む吸着剤含有空間領域を含み、そのコーティングされた基材が、少なくとも1つの表面を有する基材と、その少なくとも1つの表面上のコーティングとを含み、そのコーティングが、粒子状炭素およびバインダーを含み、その粒子状炭素が、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積、のうちの少なくとも1つを有する、ブリード排出スクラバー。
【0095】
実施形態22.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~21のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0096】
実施形態23.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~22のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0097】
実施形態24.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~23のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0098】
実施形態25.粒子状炭素が、約1300m/g~約2100m/gのBET表面積を有する、実施形態1~24のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0099】
実施形態26.粒子状炭素が、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する、実施形態1~25のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0100】
実施形態27.粒子状炭素が、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~26のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0101】
実施形態28.粒子状炭素が、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~27のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0102】
実施形態29.粒子状炭素が、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~28のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0103】
実施形態30.粒子状炭素が、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、実施形態1~29のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0104】
実施形態31.粒子状炭素が、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~30のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0105】
実施形態32.吸着剤含有空間領域が、約2グラム未満のg-総ブタン作業能力(BWC)を有する、実施形態1~31のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0106】
実施形態33.吸着剤含有空間領域が、約0.2グラム~約1.6グラムのg-総BWCを有する、実施形態1~32のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0107】
実施形態34.基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~33のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0108】
実施形態35.基材が、モノリスである、実施形態1~34のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0109】
実施形態36.モノリスが、セラミックである、実施形態1~35のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0110】
実施形態37.基材が、プラスチックである、実施形態1~36のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0111】
実施形態38.プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、実施形態1~37のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0112】
実施形態39.コーティングの厚さが、約500ミクロン未満である、実施形態1~38のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0113】
実施形態40.バインダーが、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する、実施形態1~39のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0114】
実施形態41.バインダーが、有機ポリマーである、実施形態1~40のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0115】
実施形態42.バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、実施形態1~41のいずれかに記載のブリード排出スクラバー。
【0116】
実施形態43.第1のキャニスター内に収容された第1の吸着剤含有空間領域と、第1のキャニスターをエンジンに接続するための燃料蒸気パージ管と、燃料タンクを第1のキャニスターにベントするための燃料蒸気入口導管と、第1のキャニスターを大気にベントし、かつパージ空気を第1のキャニスターに入れるためのベント導管と、任意の先の実施形態のブリード排出スクラバーを含む第2の吸着剤含有空間領域と、を含む、蒸発排出制御キャニスターシステムであって、第2の吸着剤含有空間領域が、第1の吸着剤含有空間領域と流体連通しており、ブリード排出スクラバーが、第1のキャニスター内に収容されるか、または第2のキャニスター内に収容され、蒸発排出制御システムが、燃料蒸気によって、第1の吸着剤含有空間領域と第2の吸着剤含有空間領域との連続的な接触を可能にするように構成される、蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0117】
実施形態44.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~43のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0118】
実施形態45.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~44のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0119】
実施形態46.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~45のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0120】
実施形態47.粒子状炭素が、約1300m/g~約2100m/gのBET表面積を有する、実施形態1~46のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0121】
実施形態48.粒子状炭素が、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する、実施形態1~47のいずれかに記載の蒸発排出制御システム。
【0122】
実施形態49.粒子状炭素が、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~48のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0123】
実施形態50.粒子状炭素が、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~49のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0124】
実施形態51.粒子状炭素が、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~50のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0125】
実施形態52.粒子状炭素が、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、実施形態1~51のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0126】
実施形態53.粒子状炭素が、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.7ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~52のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0127】
実施形態54.ブリード排出スクラバーが、蒸発排出制御キャニスターの第1の吸着剤含有空間領域内に配置されている、実施形態1~53のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0128】
実施形態55.ブリード排出スクラバーが、蒸発排出制御キャニスターと流体連通している別々のキャニスターに配置されている、実施形態1~54のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0129】
実施形態56.第2の吸着剤含有空間領域が、約3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、および約2グラム未満のg-総BWCを有する、実施形態1~55のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0130】
実施形態57.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.2グラム~約1.999グラムのg-総BWCを有する、実施形態1~56のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0131】
実施形態58.第2の吸着剤含有空間領域が、第3の吸着剤含有空間領域をさらに含み、その第3の吸着剤含有空間領域が、少なくとも約0.05グラムのBWCを有する、実施形態1~57のいずれかに記載の蒸発排出制御システム。
【0132】
実施形態59.基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~58のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0133】
実施形態60.基材が、モノリスである、実施形態1~59のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0134】
実施形態61.モノリスが、セラミックである、実施形態1~60のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0135】
実施形態62.基材が、プラスチックである、実施形態1~61のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0136】
実施形態63.プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、実施形態1~62のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0137】
実施形態64.コーティングの厚さが、約500ミクロン未満である、実施形態1~63のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0138】
実施形態65.バインダーが、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する、実施形態1~64のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0139】
実施形態66.バインダーが、有機ポリマーである、実施形態1~65のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0140】
実施形態67.バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、実施形態1~66のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0141】
実施形態68.第3の吸着剤含有空間領域が、網状ポリウレタン発泡体を含む、実施形態1~67のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0142】
実施形態69.
第1の吸着剤含有空間領域が、約1.9~約3.0リットルであり、2日間昼間呼吸損失(DBL)が、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、i.第1の吸着剤含有空間領域2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、またはii.第1の吸着剤含有空間領域1.9Lおよび135ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したとき、約20mg未満である、実施形態1~68のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0143】
実施形態70.蒸発排出制御システムが、燃料貯蔵のための燃料タンクと、燃料を消費するように適合された内燃機関と、を含み、蒸発排出制御システムは、燃料蒸気入口導管から第1のキャニスターへ、第2の吸着剤容積に向かい、そしてベント導管への燃料蒸気流路によって画定され、また、ベント導管から第2の吸着剤含有空間領域へ、第1のキャニスターに向かい、そして燃料蒸気パージ管に向かう相互空気流路によって画定される、実施形態1~69のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0144】
実施形態71.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~70のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0145】
実施形態72.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~71のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0146】
実施形態73.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~72のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0147】
実施形態74.粒子状炭素が、約1300m/g~約2100m/gのBET表面積を有する、実施形態1~73のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0148】
実施形態75.粒子状炭素が、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する、実施形態1~74のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0149】
実施形態76.粒子状炭素が、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~75のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0150】
実施形態77.粒子状炭素が、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~76のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0151】
実施形態78.粒子状炭素が、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~77のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0152】
実施形態79.粒子状炭素が、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、実施形態1~78のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0153】
実施形態80.粒子状炭素が、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.7ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~79のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0154】
実施形態81.ブリード排出スクラバーが、第1のキャニスターに収容される、実施形態1~80のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0155】
実施形態82.ブリード排出スクラバーが、第2のキャニスターに収容される、実施形態1~81のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0156】
実施形態83.第2の吸着剤含有空間領域が、約3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、および約2グラム未満のg-総BWCを有する、実施形態1~82のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0157】
実施形態84.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.2グラム~約1.999グラムのg-総BWCを有する、実施形態1~83のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0158】
実施形態85.第2の吸着剤含有空間領域が、第3の吸着剤含有空間領域をさらに含み、その第3の吸着剤含有空間領域が、少なくとも約0.05グラムのg-総BWCを有する、実施形態1~84のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0159】
実施形態86.基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~85のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0160】
実施形態87.基材が、モノリスである、実施形態1~86のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0161】
実施形態88.モノリスが、セラミックである、実施形態1~87のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0162】
実施形態89.基材が、プラスチックである、実施形態1~88のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0163】
実施形態90.プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、実施形態1~89のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0164】
実施形態91.コーティングの厚さが、約500ミクロン未満である、実施形態1~90のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0165】
実施形態92.バインダーが、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する、実施形態1~91のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0166】
実施形態93.バインダーが、有機ポリマーである、実施形態1~92のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0167】
実施形態94.バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、実施形態1~93のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0168】
実施形態95.第3の吸着剤含有空間領域が、網状ポリウレタン発泡体を含む、実施形態1~94のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0169】
実施形態96.第1の吸着剤含有空間領域が、約1.9~約3.0リットルであり、2日間昼間呼吸損失(DBL)が、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、i.第1の吸着剤含有空間領域2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、またはii.第1の吸着剤含有空間領域1.9Lおよび135ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したとき、約20mg未満である、実施形態1~95のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0170】
実施形態97.2日間DBLが、カリフォルニアBETPの下で約20mg未満であり、その第2の吸収剤の体積が、約2グラム未満のg-総BWCを有する、実施形態1~96のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0171】
実施形態98.キャニスター吸着剤材料を含む少なくとも1つのキャニスター吸着剤含有空間領域を含む蒸発排出制御キャニスターと、少なくとも1つのブリード排出スクラバーとを含む蒸発排出制御キャニスター、を含む蒸発排出制御キャニスターシステムであって、少なくとも1つのブリード排出スクラバーが、スクラバー吸着剤含有空間領域を含み、スクラバー吸着剤含有空間領域が、スクラバー吸着剤材料を含み、約2グラム未満のg-総BWCを有し、ブリード排出スクラバーが、蒸発排出制御キャニスターと流体連通しており、蒸発排出制御キャニスターが、燃料蒸気によって、キャニスター吸着剤含有空間領域とスクラバー吸着剤含有空間領域との連続的な接触を可能にするように構成され、また、蒸発排出制御キャニスターシステムが、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、2.5Lの蒸発排出制御キャニスター内のキャニスター吸着剤の総量および80ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したときに、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する、蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0172】
実施形態99.蒸発排出制御キャニスターをエンジンに接続するための燃料蒸気パージ管と、燃料タンクを蒸発排出制御キャニスターにベントするための燃料蒸気入口導管と、蒸発排出制御キャニスターを大気にベントし、かつパージ空気を蒸発排出制御キャニスターに入れるためのベント導管と、をさらに含む、実施形態98に記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0173】
実施形態100.キャニスター吸着剤材料が、活性炭、炭素チャコール、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~99のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0174】
実施形態101.活性炭が、木材、木材粉塵、木粉、コットンリンター、ピート、石炭、ココナッツ、リグナイト、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果実の種、果実の核、堅果の殻、堅果の種、おがくず、シュロ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む材料に由来する、実施形態1~100のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0175】
実施形態102.スクラバー吸着剤材料が、粒子状炭素を含み、その粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積を有する、実施形態1~101のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0176】
実施形態103.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~102のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0177】
実施形態104.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~103のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0178】
実施形態105.粒子状炭素が、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する、実施形態1~104のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0179】
実施形態106.粒子状炭素が、約1300m/g~約2500m/gのBET表面積を有する、実施形態1~105のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0180】
実施形態107.粒子状炭素が、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する、実施形態1~106のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0181】
実施形態108.粒子状炭素が、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~107のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0182】
実施形態109.粒子状炭素が、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する、実施形態1~108のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0183】
実施形態110.粒子状炭素が、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~109のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0184】
実施形態111.粒子状炭素が、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する、実施形態1~110のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0185】
実施形態112.粒子状炭素が、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する、実施形態1~111のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0186】
実施形態113.ブリード排出スクラバーが、基材を含む、実施形態1~112のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0187】
実施形態114.基材が、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施形態1~113のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0188】
実施形態115.基材が、スクラバー吸着剤材料を含む混合物と一緒に、成形、形成、または押し出される、実施形態1~114のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0189】
実施形態116.基材が、コーティングを含み、コーティングが、スクラバー吸着剤材料およびバインダーを含む、実施形態1~115のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0190】
実施形態117.基材が、モノリスである、実施形態1~116のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0191】
実施形態118.モノリスが、セラミックである、実施形態1~117のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0192】
実施形態119.基材が、プラスチックである、実施形態1~118のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0193】
実施形態120.プラスチックが、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される、実施形態1~119のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0194】
実施形態121.コーティングの厚さが、約500ミクロン未満である、実施形態1~120のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0195】
実施形態122.バインダーが、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する、実施形態1~121のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0196】
実施形態123.バインダーが、有機ポリマーである、実施形態1~122のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0197】
実施形態124.バインダーが、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである、実施形態1~123のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0198】
実施形態125.第2の吸着剤含有空間領域が、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する、実施形態1~124のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0199】
実施形態126.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する、実施形態1~125のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0200】
実施形態127.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する、実施形態1~126のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0201】
実施形態128.蒸発排出制御キャニスターが、3.5L以下、3.0L以下、2.5L以下、または2.0L以下のキャニスター吸着剤含有空間領域を有する、実施形態1~127のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0202】
実施形態129.単一のキャニスター吸着剤含有空間領域であって、キャニスター吸着剤含有空間領域が、少なくとも1つのチャンバーを含み、少なくとも1つのチャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域と、単一のブリード排出スクラバーであって、少なくとも1つのブリード排出スクラバーが、スクラバー吸着剤含有空間領域を含み、そのスクラバー吸着剤含有空間領域が、スクラバー吸着剤材料を含み、かつ約2グラム未満のg-総BWCを有する、単一のブリード排出スクラバーと、約1.5L~約2.0Lのキャニスター吸着剤含有空間領域と、を含み、その蒸発排出制御キャニスターが、135ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する、実施形態1~128のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0203】
実施形態130.蒸発排出制御キャニスターが、135ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約10mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する、実施形態1~129のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0204】
実施形態131.キャニスター吸着剤含有空間領域が、2つのチャンバーを含み、各チャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、実施形態1~130のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0205】
実施形態132.第2の吸着剤含有空間領域が、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する、実施形態1~131のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0206】
実施形態133.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する、実施形態1~132のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0207】
実施形態134.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する、実施形態1~133のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0208】
実施形態135.単一のキャニスター吸着剤含有空間領域であって、そのキャニスター吸着剤含有空間領域が、少なくとも1つのチャンバーを含み、その少なくとも1つのチャンバー内には充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域と、単一のブリード排出スクラバーと、約2.5L~約3.0Lのキャニスター吸着剤含有空間領域と、を含み、その蒸発排出制御キャニスターシステムが、80ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する、実施形態1~134のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0209】
実施形態136.蒸発排出制御キャニスターが、80ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約10mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する、実施形態1~135のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0210】
実施形態137.キャニスター吸着剤含有空間領域が、2つのチャンバーを含み、各チャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、実施形態1~136のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0211】
実施形態138.第2の吸着剤含有空間領域が、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する、実施形態1~137のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0212】
実施形態139.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する、実施形態1~138のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0213】
実施形態140.第2の吸着剤含有空間領域が、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する、実施形態1~139のいずれかに記載の蒸発排出制御キャニスターシステム。
【0214】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様、および利点は、以下に簡潔に説明される添付の図面と共に以下の詳細な説明を閲読することで明らかになるだろう。本発明は、上記の実施形態の2つ、3つ、4つ、またはそれを超える任意の組み合わせ、および本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ、またはそれを超える特徴または要素の組み合わせを、そのような特徴または要素が、本明細書の特定の実施形態の説明で明示的に組み合わされているか否かに関わらず含む。本開示では、文脈が明らかに他のことを示さない限り、開示される発明の区別可能な特徴または要素が、その様々な態様および実施形態のいずれかにおいて、組み合わせ可能であると考えられるべきであると、全体として読み取られることが意図される。本発明の他の態様および利点は、以下で明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0215】
本発明の実施形態に関する理解を提供するために、添付の図面を参照する。参照番号は、本発明の例示的な実施形態の成分を指す。図面は、単なる例であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の開示は、添付の図において、限定としてではなく、例として図示される。図を簡潔かつ明確にするために、図示された特徴は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。例えば、いくつかの特徴の寸法は、明確にするために他の特徴に比べて誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、対応するまたは類似の要素を示すために、参照ラベルは、図の間で繰り返される。
【0216】
図1A】第1の実施形態に従って提供されるブリード排出スクラバーの断面図である。
図1B】第2の実施形態に従って提供されるブリード排出スクラバーの断面図である。
図1C】第3の実施形態に従って提供されるブリード排出スクラバーの断面図である。
図2】蒸発排出制御キャニスターおよび一実施形態に従って提供されるブリード排出スクラバーを含む蒸発排出制御システムの概略図である。
図3】第4の実施形態に従って提供されるブリード排出スクラバーの断面図である。
図4】いくつかの粒子状炭素について、4~10Åの細孔幅での累積細孔容積測定値を示しているグラフである。
図5】いくつかの粒子状炭素について、1~30Åの細孔幅での累積細孔容積測定値を示しているグラフである。
図6A】いくつかの粒子状炭素に関するブタン等温線を示しているグラフである。
図6B】いくつかの粒子状炭素に関するブタン等温線を示しているグラフである。
図6C】いくつかの粒子状炭素に関するブタン等温線を示しているグラフである。
図6D】いくつかの粒子状炭素に関するブタン吸着を示しているグラフである。
図6E】いくつかの粒子状炭素に関するブタン親和性を示しているグラフである。
図6F】いくつかの粒子状炭素に関するブタン親和性を示しているグラフである。
図7】いくつかの粒子状炭素に関するブタン破過曲線を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0217】
本開示は、炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材を対象とし、コーティングされた基材を含む、蒸発排出制御物品およびシステムが提供される。開示されるコーティング基材、物品、およびシステムは、蒸発炭化水素排出を制御するのに有用であり、低パージ条件下でさえ、低い昼間呼吸損失(DBL)排出を提供することができる。コーティングされた基材は、排出物が大気中に放出され得る前に、内燃機関および/または関連する燃料源成分で生成された蒸発排出物を除去する。コーティングされた基材は、最新の活性炭と比較して、新規な細孔径分布を有する活性炭を含み、関連する一過性排出濃度でより高い吸着容量を提供し、多くの吸着/脱着サイクルにわたって低いヒールビルドを提供する。驚くべきことに、表面積、細孔容積分布、およびブタン等温線形状の特定の組み合わせのみが、厳しい排出規制に適合するコーティング炭素であると認定し得ることを見出した。
【0218】
これより、以下で本発明をより十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が十分かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0219】
定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解される意味と同じである。
【0220】
本明細書における冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、文法的目的語の1つまたは2つ以上(例えば、少なくとも1つ)を指す。本明細書に引用される範囲はすべて、包括的である。全体を通して使用される「約」という用語は、小さな変動を表現し、説明するために使用される。例えば、「約」は、数値が、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%、±0.4%、±0.3%、±0.2%、±0.1%、または±0.05%だけ変更され得ることを意味し得る。すべての数値は、明示的に示されているかどうかに関係なく、「約」という用語で修飾される。「約」という用語によって変更された数値には、特定の識別された値が含まれる。例えば、「約5.0」は、5.0を含む。
【0221】
本明細書で使用される「吸着剤材料(adsorbent material)」という用語は、蒸気流路沿いにある吸着剤材料または吸着剤含有材料を指し、粒子状材料のベッド、モノリス、ハニカム、シート、または他の材料からなり得る。
【0222】
「関連する」という用語は、例えば、「を備えている」、「に接続されている」、または「と連絡している」、例えば、「電気的に接続されている」または「と流体連通している」、あるいは機能を実行する仕方で接続されている、ことを意味する。「関連する」という用語は、例えば、1つ以上の他の物品または要素を介して、直接に関連するか、または間接的に関連することを意味することができる。
【0223】
「ミクロ細孔容積」という用語は、約0.3nm~約1nmの細孔径を有する、粒子状炭素内の細孔の体積を指す。
【0224】
「メソ細孔容積」という用語は、約1nm~約30nmの細孔径を有する、粒子状炭素内の細孔の体積を指す。
【0225】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、その上に、吸着剤材料が、典型的にはウォッシュコートの形態で配置されている材料を指す。
【0226】
本明細書で使用される場合、「ウォッシュコート」という用語は、基材に適用される材料の薄い接着性コーティングの、当技術分野における通常の意味を有する。ウォッシュコートは、液体中に特定の固形物含有量(例えば10重量%~50重量%)の吸着剤を含有するスラリーを調製し、次いで、それを基材上にコーティングし、乾燥させて、ウォッシュコート層を提供することによって形成される。
【0227】
「車両」という用語は、例えば、内燃機関を有する任意の車両を意味し、例えば、乗用車、スポーツユーティリティ車両、ミニバン、バン、トラック、バス、ごみ運搬車、貨物トラック、建設車両、重機、軍用車両、農業用車両などが挙げられる。
【0228】
特に明記しない限り、すべての部およびパーセントは、重量による。特に明記しない限り、「重量パーセント(wt%)」は、揮発性物質を含まない組成物全体、つまり乾燥固形分に基づく。
【0229】
コーティング組成物
本コーティングは、粒子状炭素およびバインダーを含む。粒子状炭素は活性炭であり、活性炭は、表面積が非常に大きく、一般に少なくとも約400m/gの多孔性の高い炭素である。活性炭は当技術分野でよく知られている。例えば、同一出願人による米国特許第7,442,232号を参照されたい。米国特許第7,467,620号も参照されたい。
【0230】
本明細書には、独特の吸着特性を有する活性化粒子状炭素材料が記載される。この粒子状炭素の細孔容積を細孔半径の関数としてプロットすると、20Å(2nm)のすぐ下のピークに加えて、本粒子状炭素は、30~80Å(3~8nm)の範囲において、有意量の細孔容積を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、30~80Å範囲における追加の細孔容積のこの特徴により、自動車用途における炭化水素の蒸発排出制御のために使用される最先端の活性炭と比較して、ヒールビルドがより低下する、と考えられる。この粒子状炭素は、他の方法および前駆体では達成不可能な細孔径分布を有する活性炭を生成することができるプロセスによって、合成樹脂前駆体から作製される。かかる粒子状炭素は、EnerG2 Technologies,Inc.(100 NE Northlake Way,Seattle,WA 98105,USA;BASFの子会社)からP2-15として入手可能である。
【0231】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.3nm~約1nmの細孔径において約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0232】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1nm~約30nmの細孔径において約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。
【0233】
特定の実施形態では、粒子状炭素は、約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積、および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積を有する。特定の具体的な実施形態では、粒子状炭素は、約0.3ml/gのミクロ細孔容積および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する。特定の具体的な実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0234】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2100m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。本明細書で使用される場合、「BET表面積」は、N吸着によって表面積を決定するためのBrunauer、Emmett、Tellerの方法に関連するその通常の意味を有する。細孔径および細孔容積はまた、BETタイプのN吸着または脱着実験を使用して決定され得る。
【0235】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0236】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、そのブタン親和性によって定義され得る。材料の「ブタン親和性」は、本明細書に記載されるようにブタン等温線測定値を収集することによって計算することができる。ブタン等温線測定値から、吸着されたブタンの量対mmHg単位のブタンの絶対圧力をプロットする曲線を得る。次いで、100%の「ブタンの割合」に等しいブタンの絶対分圧を760mgHg(すなわち、大気圧)に設定し、次いで、吸着されたブタンの量対ブタンの割合をプロットすることによって、ブタンの親和性を計算することができる。データ曲線は、50%のブタンの割合において吸着されたブタンの量のフラクションとして吸着されたブタンの量をプロットすることによって正規化することができる。次いで、0.5%ブタンおよび5%ブタンにおけるブタン親和性を、これらのブタン濃度において50%で吸着されたブタンのフラクションを読み取ることによって、このプロットから決定することができる。言い換えると、5%および0.5%における材料のブタン親和性とは、ブタン等温線測定により決定されるように、380mmHgのブタン圧力において材料が吸着するブタンの量と比較して、それぞれ38mmHgおよび3.8mmHgのブタン分圧において材料が吸着するブタンの割合である。
【0237】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、例えば、約60%~約100%、約60%~約99%、約65%~約95%、約70%~約90%、または約75%~約85%のブタン親和性を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、5%ブタンにおいて約75%~約80%のブタン親和性を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、例えば、約35%~約100%、約35%~約99%、約40%~約75%、約45%~約60%、または約45%~約50%のブタン親和性を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性および0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性を有する。
【0238】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積および5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積および0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積、5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、および0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性を有する。
【0239】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、またはその両方を有し、また、約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積、約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積、またはその両方を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積、5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積、および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積を有する。したがって、当該特徴のうちの少なくとも1つが存在するという条件において、これらの特徴の任意の可能な組み合わせが企図される。
【0240】
炭化水素吸着剤コーティングは、吸着剤コーティングを基材に付着させる有機バインダーをさらに含む。コーティングをスラリーとして適用して乾燥させると、バインダー材料は、炭化水素吸着剤粒子を、それら自体および基材に固定する。場合によっては、バインダーは、それ自体と架橋して、接着性を向上させることができる。これにより、コーティングの完全性、基材への接着性が向上し、自動車で経験する振動条件下での構造的安定性が提供される。バインダーはまた、耐水性を改善し、接着性を改善するための添加剤も含むことができる。スラリーの配合に使用するのに典型的なバインダーとしては、次のもの、すなわち、有機ポリマー;アルミナ、シリカ、またはジルコニアのゾル;アルミニウム、シリカまたはジルコニウムの無機塩、有機塩および/または加水分解生成物;アルミニウム、シリカまたはジルコニウムの水酸化物;シリカに加水分解可能な有機シリケート;およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましいバインダーは有機ポリマーである。有機ポリマーは、熱硬化性または熱可塑性ポリマーであり得、プラスチックまたはエラストマーであり得る。バインダーは、例えば、アクリル/スチレンコポリマーラテックス、スチレン-ブタジエンコポリマーラテックス、ポリウレタン、またはそれらの任意の混合物であり得る。ポリマーバインダーは、ポリマー技術分野で知られている好適な安定剤および老化防止剤を含有することができる。いくつかの実施形態では、バインダーは、ラテックスとして吸着剤組成物に、任意選択で水性スラリーとして、導入される熱硬化性エラストマーポリマーである。ラテックスとして吸着剤組成物に、好ましくは水性スラリーとして、導入される熱硬化性エラストマーポリマーが好ましい。
【0241】
有用な有機ポリマーバインダー組成物としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィンコポリマー、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリブタジエンコポリマー、塩素化ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレン、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(ビニルエステル)、ポリ(ビニルハリド)、ポリアミド、セルロース系ポリマー、ポリイミド、アクリル、ビニルアクリルおよびスチレンアクリル、ポリビニルアルコール、熱可塑性ポリエステル、熱硬化性ポリエステル、ポリ(フェニレンオキシド)、ポリ(フェニレンスルフィド)、フッ素化ポリマー、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリビニリデンフルオリド、ポリ(ビニルフルオリド)およびクロロ/フルオロコポリマー、例えば、エチレンクロロトリフルオロ-エチレンコポリマー、ポリアミド、フェノール樹脂およびエポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル/スチレンアクリルコポリマーラテックスおよびシリコーンポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリマーバインダーは、アクリル/スチレンアクリルコポリマーラテックス、例えば、疎水性スチレン-アクリルエマルジョンである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックス、スチレン-ブタジエンコポリマーラテックス、ポリウレタン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0242】
炭化水素吸着剤材料と、ラテックスエマルジョンなどのポリマーバインダーとを含むスラリーの成分の適合性に関する考察は、当技術分野で知られている。例えば、同一出願人による米国特許公開第2007/0107701号を参照されたい。いくつかの実施形態では、有機バインダーは、低いガラス転移温度(Tg)を有することができる。Tgは、従来、当技術分野で知られている方法による示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される。低Tgを有する例示的な疎水性スチレン-アクリルエマルジョンバインダーは、Rhoplex(商標)P-376(Dow Chemicalの商標;Rohm and Haas,Independence Mall West,Philadelphia,Pa.,19105から入手可能)である。いくつかの実施形態では、バインダーは、約0℃未満のTgを有する。約0℃未満のTgを有する例示的なバインダーは、Rhoplex(商標)NW-1715K(Dow Chemicalの商標;これもまたRohm and Haasから入手可能)である。いくつかの実施形態では、バインダーは、アルキルフェノールエトキシレート(APEO)を含まない、超低ホルムアルデヒドのスチレン化アクリルエマルジョンである。かかる例示的なバインダーの1つは、Joncryl(商標)2570である。いくつかの実施形態では、バインダーは脂肪族ポリウレタン分散液である。かかる例示的なバインダーの1つは、Joncryl(商標)FLX 5200である。Joncryl(商標)は、Wyandotte,MI,48192にあるBASFの商標であり、Joncryl(商標)製品は、BASFから入手可能である。いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。
【0243】
本発明の炭化水素吸着剤コーティング、特に、ポリマーラテックスを含有するそれらのスラリーは、増粘剤、分散剤、界面活性剤、殺生物剤、酸化防止剤などの従来の添加剤を含有することができる。増粘剤は、比較的低い表面積の基材上に十分な量のコーティング(したがって十分な炭化水素吸着容量)を達成することを可能にする。増粘剤はまた、分散粒子の立体障害によってスラリーの安定性を高めることによる二次的な役割も果たし得る。それはまた、コーティング表面の結合を促進することもできる。例示的な増粘剤は、キサンタンガム増粘剤またはカルボキシメチルセルロース増粘剤である。CP Kelco(Cumberland Center II,3100 Cumberland Boulevard,Suite 600,Atlanta GA,30339)の製品であるKelzan(登録商標)は、かかる例示的なキサンタン増粘剤である。
【0244】
いくつかの実施形態では、バインダーと組み合わせて分散剤を使用することが好ましい。分散剤は、アニオン性、非イオン性、またはカチオン性であり得、典型的には、材料の重量に基づいて、約0.1~約10重量パーセントの量で利用される。当然のことながら、分散剤の特定の選択は重要である。好適な分散剤としては、ポリアクリレート、アルコキシレート、カルボキシレート、ホスフェートエステル、スルホネート、タウレート、スルホスクシネート、ステアレート、ラウレート、アミン、アミド、イミダゾリン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、およびそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、分散剤は、酸上のプロトンの多くがナトリウムで置き換えられている低分子量ポリアクリル酸である。いくつかの実施形態では、分散剤は、ポリカルボン酸アンモニウム塩である。いくつかの実施形態では、分散剤は、疎水性コポリマー顔料分散剤である。例示的な分散剤は、Tamol(商標)165A(Dow Chemicalの商標、Rohm&Haasから入手可能)である。スラリーのpHを上げるか、アニオン性分散剤を単独で添加すると、スラリー混合物に十分な安定性を付与することができるが、pHを上げかつアニオン性分散剤を使用すると最良の結果を得ることができる。いくつかの実施形態では、分散剤は、Surfynol(登録商標)420(Air Products and Chemicals,Inc)などの非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、分散剤は、Dispex(登録商標)Ultra PX 4575(BASF)などのアクリルブロックコポリマーである。
【0245】
いくつかの実施形態では、消泡剤として作用することができる界面活性剤を使用することが好ましい。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、低分子の非アニオン性分散剤である。例示的なオイルおよびシリコーンを含まない消泡界面活性剤(defoamer surfactant)は、Rhodoline(登録商標)999 (Solvay)である。別の例示的な界面活性剤は、炭化水素と、Foammaster(登録商標)NXZ(BASF)などの非イオン性界面活性剤とのブレンドである。
【0246】
いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0247】
基材
1つ以上の実施形態では、本コーティング組成物は、基材上に配置される。ブリード排出スクラバーなどのコーティングされた基材を含む物品は、いくつかの実施形態では、蒸発排出制御システムの一部であり得る。本基材は、3次元であり、円柱と同様の長さ、直径、および体積を有する。形状は必ずしも円柱と同形である必要はない。長さは、入口端および出口端によって定義される軸方向の長さである。直径は、最大断面長であり、例えば、形状が円柱と正確に同形でない場合は、最大断面である。1つ以上の実施形態では、基材は、本明細書で以下に記載するモノリスである。
【0248】
本明細書で使用される場合、「モノリシック基材」という用語は、通路がそこを通る流体の流れに対して開かれるように、基材の入口面または出口面からそこを通って延びる微細な平行なガス流路を有するタイプの基材である。本質的に直線の経路であり得るか、またはそれらの流体入口からそれらの流体出口へのパターン化された経路(例えば、ジグザグ、ヘリンボーンなど)であり得る流路は、流路を通って流れるガスが吸着剤材料と接触するように、ウォッシュコートとして吸着剤材料がコーティングされる壁によって画定される。モノリス基材の流路は、壁が薄いチャネルであり、それは、台形、長方形、正方形、三角形、折曲状、六角形、楕円形、円形などの任意の好適な断面形状およびサイズであることができる。かかる構造は、断面の1平方インチあたり約60~約900以上のガス入口開口部(すなわち、セル)を含有し得る。モノリシック基材は、例えば、金属、セラミック、プラスチック、紙、含浸紙などから構成され得る。いくつかの実施形態では、基材は炭素モノリスである。
【0249】
1つ以上の実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0250】
一実施形態では、基材は押出媒体である。いくつかの実施形態では、押出媒体はハニカムである。ハニカムは、円形、円筒形、または正方形を含むがこれらに限定されない任意の幾何学的形状であり得る。さらに、ハニカム基材のセルは、任意の形状であり得る。
【0251】
一実施形態では、基材は発泡体である。いくつかの実施形態では、発泡体は、1インチあたり約10個を超える細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体は、1インチあたり約20個を超える細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体は、1インチあたり約15~約40個の細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体はポリウレタンである。いくつかの実施形態では、発泡体は網状ポリウレタンである。いくつかの実施形態では、ポリウレタンは、ポリエーテルまたはポリエステルである。いくつかの実施形態では、基材は不織布である。
【0252】
いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、基材は熱可塑性ポリオレフィンである。いくつかの実施形態では、基材は、ガラスまたは無機充填剤を含有する熱可塑性ポリオレフィンである。いくつかの実施形態では、基材は、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択されるプラスチックである。
【0253】
特定の代替の実施形態では、粒子状炭素は、追加の材料と組み合わされ、押出されて、吸着性多孔質モノリスを形成し得る。したがって、かかる多孔質モノリスは、基材および吸着剤コーティングを含まない吸着剤物品を表し、例えば、以下に記載したようなブリード排出スクラバーにおいて利用することができる。かかる多孔質モノリスを調製するために、一般に、本明細書に記載の粒子状炭素を、例えば、セラミック形成材料、フラックス材料、バインダー、および水と組み合わせて、押出可能な混合物を作製してもよい。次いで、押出可能な混合物を押出ダイを通して押出して、ハニカム構造を有するモノリスを形成することができる。押出後、押出されたハニカムモノリスは、乾燥され、次いで、構造全体に分散された粒子状炭素を有するモノリスを形成するのに十分な温度および時間で焼成され得る。かかる押出された多孔質モノリスを調製するための好適な方法は、例えば、Parkらに与えられた米国特許第5,914,294号に開示されており、その開示は、そのような方法に関して参照により本明細書に組み込まれる。
【0254】
物品-ブリード排出スクラバー
本開示の一態様では、ブリード排出スクラバーが提供され、そのスクラバーは、炭化水素吸着のために適合された本明細書に記載のコーティングされた基材を含む吸着剤含有空間領域を含み、そのコーティングされた基材が、少なくとも1つの表面を有する基材と、その少なくとも1つの表面上のコーティングとを含み、そのコーティングが、本明細書に記載の粒子状炭素および本明細書に記載のバインダーを含み、その粒子状炭素が、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積、のうちの少なくとも1つを有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0255】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2500m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。
【0256】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0257】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。
【0258】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/gのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0259】
いくつかの実施形態では、吸着剤含有空間領域は、約2グラム未満のg-総ブタン作業能力(BWC)を有する。本明細書で使用される場合、「g-総BWC」は、標準的な試験条件(例えば、ASTM D5228)下でパージされたブタンの量を指す。いくつかの実施形態では、吸着剤含有空間領域は、約0.2グラム~約1.6グラム、例えば、約0.2グラム、約0.3グラム、約0.4グラム、約0.5グラム、約0.6グラム、約0.7グラム、約0.8グラム、約0.9グラム、または約1グラムから、約1.1グラム、約1.2グラム、約1.3グラム、約1.4グラム、約1.5グラム、または約1.6グラムまでのg-総BWCを有する。
【0260】
いくつかの実施形態では、吸着剤含有空間領域は、3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)を有する。本明細書で使用される場合、「有効ブタン作業能力」は、g-総BWCを有効吸着剤含有空間領域で割ったものを指す。有効吸着剤含有空間領域は、ボイド、エアギャップ、および他の非吸着性体積を補正する。有効BWCの測定は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2015/0275727号に開示されている。
【0261】
図1Aは、ブリード排出スクラバー1の実施形態を例示しており、コーティングされた基材は、ひだ状形態の構造化媒体(2a)である。図1Bは、コーティングされた基材が発泡体2bである実施形態を例示する。一実施形態では、発泡体2bは、1インチあたり約10個を超える細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体2bは、1インチあたり約20個を超える細孔を有する。いくつかの実施形態では、発泡体2bは、1インチあたり約15~約40個の細孔を有する。一実施形態では、発泡体2bはポリウレタンである。いくつかの実施形態では、発泡体2bは網状ポリウレタンである。いくつかの実施形態では、ポリウレタンは、ポリエーテルまたはポリエステルである。
【0262】
図1Cは、コーティングされた基材が押出媒体2cである実施形態を例示する。いくつかの実施形態では、押出媒体2cはハニカムである。ハニカム吸着剤は、円形、円筒形、または正方形を含むがそれらに限定されない任意の幾何学的形状であり得る。さらに、ハニカム吸着剤のセルは、任意の形状であり得る。正方形の断面セルを有する正方形ハニカム、または波形のらせん状に巻かれたハニカムなどのフロースルー流路のための均一な断面積のハニカムは、隣接する流路に対してある範囲の断面積を提供するため、同等にパージされない流路を提供する直角のマトリックスにおいて正方形の断面セルを有する円形ハニカムに比べて、良好な性能を発揮する可能性がある。理論に拘束されることなく、ハニカム面全体のセル断面積がより均一であるほど、吸着サイクル中およびパージサイクル中の両方でスクラバー内の流れの分布がより均一になるため、スクラバーからの昼間呼吸損失(DBL)排出が低くなると考えられる。
【0263】
驚くべきことに、本明細書で開示されるブリード排出スクラバーの吸着剤含有空間領域は、いくつかの実施形態では、競合モノリスのそれよりも低いブタン作業能力(BWC)を有する場合があるが、それでもなお、低パージ条件下において、蒸発排出制御キャニスターからの炭化水素排出を効果的に制御することが見出された。
【0264】
特に、本明細書で開示される発泡体基材は、競合するモノリスよりも低いブタン作業能力を示すが、それでも、低いパージ体積の下でより効率的に排出を制御する。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、吸着剤コーティングの厚さが薄いこと、および/または発泡体を通るガス流の乱流が大きいことに起因している可能性があり、競合製品で使用されるバルクモノリスよりも迅速なパージを提供することができる。
【0265】
特定の実施形態では、吸着剤含有空間領域は、コーティングされた基材を含まず、代わりに、本明細書に記載の粒子状炭素を含む多孔性の押出されたモノリスを含む。
【0266】
蒸発排出制御キャニスターおよびキャニスターシステム
本明細書で開示される炭化水素吸着のためのコーティングされた基材は、蒸発排出制御キャニスターシステムにおける成分として使用することができる。したがって、さらに別の態様では、キャニスター吸着剤材料を含む少なくとも1つのキャニスター吸着剤含有空間領域を含む蒸発排出制御キャニスターと、少なくとも1つのブリード排出スクラバーとを含む蒸発排出制御キャニスター、を含む蒸発排出制御キャニスターシステムであって、少なくとも1つのブリード排出スクラバーが、スクラバー吸着剤含有空間領域を含み、スクラバー吸着剤含有空間領域が、スクラバー吸着剤材料を含み、約2グラム未満のg-総BWCを有し、ブリード排出スクラバーが、蒸発排出制御キャニスターと流体連通しており、蒸発排出制御キャニスターが、燃料蒸気によって、キャニスター吸着剤含有空間領域とスクラバー吸着剤含有空間領域との連続的な接触を可能にするように構成され、また、蒸発排出制御キャニスターシステムが、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、蒸発排出制御キャニスター内のキャニスター吸着剤の総量2.5Lおよび80ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したときに、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、次の試験条件:すなわち、2.5Lの蒸気排出制御キャニスターにおける総キャニスター吸着剤材料体積および80ベッド体積のパージ体積の試験条件下で試験したとき、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、次の試験条件:すなわち、1.9Lの蒸気排出制御キャニスターにおける総キャニスター吸着剤材料体積および135ベッド体積のパージ体積の試験条件下で試験したとき、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。
【0267】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターは、蒸発排出制御キャニスターをエンジンに接続するための燃料蒸気パージ管と、燃料タンクを蒸発排出制御キャニスターにベントするための燃料蒸気入口導管と、蒸発排出制御キャニスターを大気にベントし、かつパージ空気を蒸発排出制御キャニスターに入れるためのベント導管と、をさらに含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、キャニスター吸着剤材料は、活性炭、炭素チャコール、ゼオライト、粘土、多孔質ポリマー、多孔質アルミナ、多孔質シリカ、モレキュラーシーブ、カオリン、チタニア、セリア、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、活性炭は、木材、木材粉塵、木粉、コットンリンター、ピート、石炭、ココナッツ、リグナイト、炭水化物、石油ピッチ、石油コークス、コールタールピッチ、果実の種、果実の核、堅果の殻、堅果の種、おがくず、シュロ、野菜、合成ポリマー、天然ポリマー、リグノセルロース材料、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるメンバーを含む材料に由来する。
【0269】
いくつかの実施形態では、スクラバー吸着剤材料は、粒子状炭素を含み、その粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積を有し、かつ、(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積を有する。
【0270】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。
【0271】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2500m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。
【0272】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。
【0273】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。
【0274】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.75ml/gのメソ細孔容積を有する。
【0275】
いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは基材を含む。いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材は、スクラバー吸着剤材料を含む混合物と一緒に成形、形成、または押し出される。いくつかの実施形態では、基材はコーティングを含み、コーティングはスクラバー吸着剤材料およびバインダーを含む。いくつかの実施形態では、基材はモノリスである。いくつかの実施形態では、モノリスはセラミックである。いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される。
【0276】
いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは約500ミクロン未満である。
【0277】
いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0278】
いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2.0グラム/dLまでの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、または約1.9グラムまでのg-総BWCを有する。
【0279】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターは、3.5L以下、3.0L以下、2.5L以下、または2.0L以下のキャニスター吸着剤含有空間領域を有する。
【0280】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターシステムは、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域であって、そのキャニスター吸着剤含有空間領域が、少なくとも1つのチャンバーを含み、少なくとも1つのチャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域と、単一のブリード排出スクラバーであって、少なくとも1つのブリード排出スクラバーが、スクラバー吸着剤含有空間領域を含み、そのスクラバー吸着剤含有空間領域が、スクラバー吸着剤材料を含み、かつ約2グラム未満のg-総BWCを有する、単一のブリード排出スクラバーと、約1.5L~約2.0Lのキャニスター吸着剤含有空間領域と、を含み、その蒸発排出制御キャニスターシステムが、135ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターは、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約10mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。
【0281】
いくつかの実施形態では、キャニスター吸着剤含有空間領域は2つのチャンバーを含み、各チャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2.0グラム/dLまでの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、または約1.9グラムまでのg-総BWCを有する。
【0282】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターは、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域であって、そのキャニスター吸着剤含有空間領域は、少なくとも1つのチャンバーを含み、その少なくとも1つのチャンバー内には充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する、単一のキャニスター吸着剤含有空間領域と、単一のブリード排出スクラバーと、約2.5L~約3.0Lのキャニスター体積と、を含み、その蒸発排出制御キャニスターは、80ベッド体積のパージ体積において、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)下で、約20mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。いくつかの実施形態では、蒸発排出制御キャニスターは、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約10mg未満の2日間昼間呼吸損失(DBL)を有する。
【0283】
いくつかの実施形態では、キャニスター吸着剤含有空間領域は2つのチャンバーを含み、各チャンバー内に充填されたキャニスター吸着剤材料が存在する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約2グラム/dl未満の有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5グラム/dl~約2グラム/dlの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、または約2.0グラム/dLまでの有効BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1グラム~約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、または約0.9から、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、または約1.9グラムまでのg-総BWCを有する。
【0284】
蒸発排出物制御システム
本明細書に開示されるような蒸発排出制御キャニスターシステムは、燃料貯蔵のための蒸発排出制御システムの成分として使用することができる。したがって、さらに別の態様では、蒸発排出制御システムが提供され、その蒸発排出制御システムは、第1のキャニスター内に収容された第1の吸着剤含有空間領域と、第1のキャニスターをエンジンに接続するための燃料蒸気パージ管と、燃料タンクを第1のキャニスターにベントするための燃料蒸気入口導管と、第1のキャニスターを大気にベントし、かつパージ空気を第1のキャニスターに入れるためのベント導管と、本明細書に開示されるようなブリード排出スクラバーを含む第2の吸着剤含有空間領域と、を含み、第2の吸着剤含有空間領域は、第1の吸着剤容積と流体連絡しており、ブリード排出スクラバーは、第1のキャニスター内に収容されるか、または第2のキャニスター内に収容され、蒸発排出制御システムは、燃料蒸気によって、第1の吸着剤含有空間領域と第2の吸着剤含有空間領域との連続的な接触を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、蒸発排出制御システムは、燃料貯蔵のための燃料タンクと、燃料を消費するように適合された内燃機関と、を含み、その蒸発排出制御システムは、燃料蒸気入口導管から第1のキャニスターへ、第2の吸着剤容積に向かい、そしてベント導管への燃料蒸気流路によって画定され、また、ベント導管から第2の吸着剤含有空間領域へ、第1のキャニスターに向かい、そして燃料蒸気パージ管に向かう相互空気流路によって画定される。
【0285】
燃料タンクからの蒸発排出は、エンジン停止中に蒸発排出制御システムによって吸着される。燃料タンクからブリードする燃料蒸気は、キャニスターシステム中の吸着剤によって除去され、その結果、大気中に放出される燃料蒸気の量が低減される。エンジンの運転時に、大気が、パージ流として、キャニスターシステムおよびブリード排出スクラバー中に導入され、それにより、炭化水素吸着剤によって既に吸着されていた炭化水素が脱着され、パージラインを介して燃焼のためにエンジンに再循環される。
【0286】
蒸発排出制御システムの蒸発排出制御キャニスターは、典型的には、成形された熱可塑性オレフィンなどの造形された平面材料によって少なくとも部分的に画定された三次元中空内部空間またはチャンバーを含む。いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、蒸発排出制御キャニスターの第1の吸着剤含有空間領域内に配置される。いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、蒸発排出制御キャニスターと流体連通している別個のキャニスター中に配置される。ブリード排出スクラバーが別個のキャニスター中に配置されている実施形態による本発明の蒸発排出制御システムは、図2を参照することにより、より容易に理解することができる。図2は、本発明の一実施形態による蒸発排出制御システム30を概略的に示す。蒸発排出制御システム30は、燃料貯蔵のための燃料タンク38と、燃料を消費するように適合された内燃機関32と、蒸発排出制御キャニスター46と、ブリード排出スクラバー1と、を含む。エンジン32は、好ましくは、制御装置34によって制御される内燃機関である。エンジン32は、典型的には、ガソリン、エタノール、および他の揮発性炭化水素系燃料を燃焼させる。制御装置34は、別個の制御装置であり得るか、またはエンジン制御モジュール(ECM)、パワートレイン制御モジュール(PCM)、または任意の他の車両制御装置の一部を形成し得る。
【0287】
本発明の実施形態に従って、蒸発排出制御キャニスター46は、第1の吸着剤含有空間領域(48で示した)と、蒸発排出制御キャニスター46システムをエンジン32に接続する燃料蒸気パージ管66と、燃料タンク38を蒸発排出制御キャニスター46にベントするための燃料蒸気入口導管42と、蒸発排出制御キャニスター46を大気にベントし、かつパージ空気を蒸発排出制御キャニスターシステムに入れるためのベント導管56、59、60と、を含む。
【0288】
蒸発排出制御キャニスターシステムは、燃料蒸気入口導管42から、ベント導管56を通ってブリード排出スクラバー1に向かう第1の吸着剤含有空間領域48まで、そしてベント導管59、60までの燃料蒸気流路によって画定され、かつ、ベント導管60、59から、ベント導管56を通って第1の吸着剤含有空間領域48に向かい、そして燃料蒸気パージ管66に向かう、ブリード排出スクラバー58までの相互空気流路によって、さらに画定される。ブリード排出スクラバー1は、少なくとも第2の吸着剤含有空間領域を含み、その第2の吸着剤含有空間領域は、本明細書で提供および説明されるように、炭化水素吸着のために適合されたコーティングされた基材2を含む。
【0289】
燃料タンク38から蒸発した炭化水素を含有する燃料蒸気は、燃料タンク38から、蒸発蒸気入口導管42を通ってキャニスター46内の第1の吸着剤含有空間領域48に通ることができる。蒸発排出制御キャニスター46は、任意の好適な材料から形成することができる。例えば、ナイロンなどの成形熱可塑性ポリマーが典型的には使用される。
【0290】
燃料タンク38のガソリンの温度が上昇するにつれて、燃料蒸気圧は上昇する。本発明の蒸発排出制御システム30がなければ、燃料蒸気は未処理で大気に放出されることになる。しかしながら、本発明によれば、燃料蒸気は、蒸発排出制御キャニスター46によって、および蒸発排出制御キャニスター46の下流に配置されたブリード排出スクラバー1によって、処理される。
【0291】
ベントバルブ62が開いていて、パージバルブ68が閉じているとき、燃料蒸気は、圧力下で、燃料タンク38から、蒸発蒸気入口導管42、キャニスター蒸気入口50を通り、そして蒸発排出制御装置46内に収容された第1の吸着剤含有空間領域48を通って順次流れる。続いて、第1の吸着剤含有空間領域によって吸着されなかった燃料蒸気は、ベント導管開口部54およびベント導管56を介して蒸発排出制御キャニスター46から流出する。次いで、燃料蒸気は、さらなる吸着のためにブリード排出スクラバー1に入る。ブリード排出スクラバー1を通過した後、残りの燃料蒸気は、導管59、ベントバルブ62、およびベント導管60を介してブリード排出スクラバー1を出て、大気に放出される。
【0292】
徐々に、蒸発排出制御キャニスター46およびブリード排出スクラバー1の第2の吸着剤含有空間領域の両方に収容される炭化水素吸着剤材料は、燃料蒸気から吸着された炭化水素を積載するようになる。炭化水素吸着剤が、燃料蒸気、したがって炭化水素で飽和すると、燃料タンク38からの排出された燃料蒸気を継続的に制御するために、炭化水素を、炭化水素吸着剤から脱着させなければならない。エンジン作動中、エンジン制御装置34は、信号リード64および70それぞれを介して、バルブ62および68に開くように命令し、それにより、大気とエンジン32との間に空気流路を作り出す。パージバルブ68を開くことにより、清浄な空気をブリード排出スクラバー1に引き込み、続いて、大気から、ベント導管60、ベント導管59、およびベント導管56を介して、蒸発排出制御キャニスター46に引き込むことができる。清浄な空気、またはパージ空気は、清浄な空気ベント導管60を通って、ブリード排出スクラバー1を通って、ベント導管56を通って、ベント導管開口部54を通って、蒸発排出制御キャニスター46に流入する。清浄な空気は、ブリード排出スクラバー1および排出制御キャニスター46内に収容された炭化水素吸着剤を通過および/または通り過ぎて流れ、各体積内の飽和炭化水素吸着剤から炭化水素を脱着する。次いで、パージ空気および炭化水素の流れは、パージ開口出口52、パージライン66、およびパージバルブ68を通って、蒸発排出制御キャニスター46を出る。パージ空気および炭化水素は、パージライン72を通ってエンジン32に流れ、続いてそこで炭化水素が燃焼される。
【0293】
いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において少なくとも約40ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において約40ml/g~約80ml/gのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約3mmHgのn-ブタン圧力において、約40ml/g、約45ml/g、約50ml/g、約55ml/g、約60ml/g、または約65ml/gから、約70ml/g、約75ml/g、または約80ml/gまでのn-ブタン吸着容量を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1300m/g~約2500m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/g~約1600m/gのBET表面積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g~約0.35ml/gのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.20ml/g、約0.21ml/g、約0.22ml/g、約0.23ml/g、約0.24ml/g、または約0.25ml/gから、約0.26ml/g、約0.27ml/g、約0.28ml/g、約0.29ml/g、約0.30ml/g、約0.31ml/g、約0.32ml/g、約0.33ml/g、約0.34ml/g、または約0.35ml/gまでのミクロ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g~約0.8ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約0.5ml/g、約0.55ml/g、または約0.60ml/gから、約0.65ml/g、約0.70ml/g、約0.75ml/g、または約0.8ml/gまでのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、約1400m/グラムのBET表面積、約0.3ml/gのミクロ細孔容積、および約0.7ml/gのメソ細孔容積を有する。いくつかの実施形態では、粒子状炭素は、少なくとも約1300m/gのBET表面積、ならびに(i)5%ブタンにおいて60%を超えるブタン親和性、(ii)0.5%ブタンにおいて35%を超えるブタン親和性、(iii)約0.2ml/gを超えるミクロ細孔容積、および約0.5ml/gを超えるメソ細孔容積、のうちの少なくとも1つを有する。
【0294】
いくつかの実施形態では、基材は、発泡体、モノリシック材料、不織布、織物、シート、紙、ねじれたらせん、リボン、押出形態の構造化媒体、巻かれた形態の構造媒体、折り畳まれた形態の構造媒体、プリーツ形態の構造媒体、波形形態の構造媒体、注入形態の構造媒体、結合形態の構造媒体、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、基材はモノリスである。いくつかの実施形態では、モノリスはセラミックである。いくつかの実施形態では、基材はプラスチックである。いくつかの実施形態では、プラスチックは、ポリプロピレン、ナイロン-6、ナイロン-6,6、芳香族ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリビニルクロリド、ポリエステル、およびポリウレタンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、コーティングの厚さは約500ミクロン未満である。いくつかの実施形態では、バインダーは、粒子状炭素に対して約10重量%~約50重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、バインダーは有機ポリマーである。いくつかの実施形態では、バインダーは、アクリル/スチレンコポリマーラテックスである。
【0295】
いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、第1のキャニスターに収容される。いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバーは、第2のキャニスターに収容される。
【0296】
いくつかの実施形態では、ブリード排出スクラバー内の第2の吸着剤含有空間領域は、約3g/dL未満の有効ブタン作業能力(BWC)、および約2グラム未満のg-総BWCを有する。いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、約0.2グラム~約1.999グラムのg-総BWCを有する。
【0297】
いくつかの実施形態では、第2の吸着剤含有空間領域は、第3の吸着剤含有空間領域をさらに含み、その第3の吸着剤含有空間領域は、少なくとも約0.05グラムのBWCを有する。いくつかの実施形態では、第3の吸着剤含有空間領域は、網状ポリウレタン発泡体を含む。図3は、ブリード排出スクラバー1を概略的に例示しており、第2の吸着剤含有空間領域を含む基材が押出媒体2aであり、第3の吸着剤含有空間領域が網状ポリウレタン発泡体2bを含む基材を含む、
【0298】
第2の吸着剤含有空間領域(および任意の追加の吸着剤含有空間領域)は、容積希釈材を含み得る。体積希釈剤(volumetric diluent)の非限定的な例としては、スペーサー、不活性ギャップ、発泡体、繊維、スプリング、またはそれらの組み合わせを挙げることができるが、それらに限定されない。さらに、蒸発排出制御キャニスターシステムは、システム内のどこにでも空の体積を含み得る。本明細書で使用される場合、「空の体積」という用語は、吸着剤を含まない体積を指す。かかる体積は、エアギャップ、発泡体スペーサー、スクリーン、またはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない任意の非吸着剤を含み得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御システムの2日間昼間呼吸損失(DBL)は、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、約20mg未満である。
【0300】
いくつかの実施形態では、第1の吸着剤含有空間領域は、約1.9~約3.0リットルであり、2日昼間呼吸損失(DBL)は、カリフォルニアブリード排出試験プロトコル(BETP)の下で、次の試験条件:すなわち、1.9Lの蒸発排出制御キャニスターにおける総キャニスター吸着剤材料体積および135ベッド体積のパージ体積、または2.5Lの蒸発排出制御キャニスターにおける総キャニスター吸着剤材料体積および80ベッド体積のパージ体積、の試験条件下で試験したときに、約20mg未満である。
【0301】
いくつかの実施形態では、蒸発排出制御システムは、カリフォルニアBETPの下で約20mg未満である2日間のDBLを維持し、第2の吸収剤体積は、約2グラム未満のg-総BWCを有する。
【0302】
本明細書に記載される組成物、方法、および用途に対する好適な修正および適合が、任意の実施形態またはそれらの態様の範囲から逸脱することなく行われ得ることは、関連技術の当業者には容易に明らかであろう。提供される組成物および方法は例示的なものであり、特許請求される実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に開示される様々な実施形態、態様、および選択肢のすべては、すべての変更で組み合わされ得る。本明細書に記載される組成物、配合物、方法、およびプロセスの範囲には、本明細書の実施形態、態様、選択肢、実施例、および選好のすべての実際のまたは潜在的な組み合わせが含まれる。本明細書で引用されたすべての特許および刊行物は、組み込まれた他の特定の記述が具体的に提供されない限り、記載されるように、それらの特定の教示について参照によって本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0303】
本発明は、以下の実施例によってさらに完全に例示され、実施例は、本発明を例示するために記載され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。特に明記されていない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づくものであり、すべての重量パーセントは乾燥ベースで表され、すなわち、特に明記されていない限り、含水量は除外される。
【0304】
実施例1:炭素1を使用するコーティングされたモノリスの調製。
使用の1日前に1.4%Kelzan CC水溶液を調製した。水(310ml)を、21mlのKelzan CC増粘剤溶液、0.65gのSurfynol 420分散剤、および0.5gのFoammaster NXZ消泡剤と組み合わせ、そしてその組み合わせを完全に混合した。この混合物に、100gの高表面積活性炭吸着剤(EnerG2 Technologies,IncからのP2-15、表1の「炭素1」、発明の実施形態)を、撹拌しながら加えた。得られた炭素分散液を、40gのJoncryl 2570バインダー(50%溶液)を含有する第2の容器に撹拌しながら加えた。スラリーの粘度がコーティングの目的に十分となるまで、追加のKelzan CC増粘剤溶液を加えた。
【0305】
29×100mmサイズ(幅×長さ)の円筒形セラミックモノリス基材(1平方インチあたり230セル)を、スラリーに浸漬した。15psigの圧力で作動するエアナイフを使用してチャネルを清浄にすることにより、過剰なスラリーを除去した。基材を110℃で2時間乾燥させた。所望の炭素充填が達成されるまで、この手順を繰り返した。
【0306】
この試料のg-総BWCは、1.29gであると測定され、その有効BWCは、1.95gのn-ブタン/dLであると判定された。
【0307】
実施例2:炭素2を使用するコーティングされたモノリスの調製(比較)。
使用の1日前に1.4%Kelzan CC水溶液を調製した。水(483ml)を、84.58gのKelzan CC増粘剤溶液、1.33gのSurfynol 420分散剤、および1.03gのFoammaster NXZ消泡剤と組み合わせ、そしてその組み合わせを完全に混合した。この混合物に、205.06gの活性炭吸着剤(表1の「炭素2」、比較)を撹拌しながら加えた。得られた炭素分散液を、79.93gのJoncryl 2570バインダー(50%溶液)を含有する第2の容器に撹拌しながら加えた。
【0308】
29×100mmサイズ(幅×長さ)の円筒形セラミックモノリス基材(1平方インチあたり230セル)を、スラリーに浸漬した。15psigの圧力で作動するエアナイフを使用してチャネルを清浄にすることにより、過剰なスラリーを除去した。基材を110℃で2時間乾燥させた。所望の炭素充填が達成されるまで、この手順を繰り返した。
【0309】
この試料のg-総BWCは、1.28gであると測定され、その有効BWCは、1.94gのn-ブタン/dLであると判定された。
【0310】
実施例3:炭素3を使用するコーティングされたモノリスの調製(比較)。
使用の1日前に1.4%Kelzan CC水溶液を調製した。水(475ml)を、31.4mlのKelzan CC増粘剤溶液、0.98gのSurfynol 420分散剤、および0.75gのFoammaster NXZ消泡剤と組み合わせ、そしてその組み合わせを完全に混合した。この混合物に、50gの活性炭吸着剤(表1の「炭素3」、比較)を撹拌しながら加えた。その炭素分散液に、92.6gのJoncryl FLX5020バインダー(50%溶液)を撹拌しながら加えた。そのスラリーに4.9gの30%水酸化アンモニウム溶液を加えてpHを8.5に調整した。スラリーに、100gの第2の活性炭(表1の「炭素1」)を撹拌しながら加えた。スラリーのレオロジーがコーティングの目的に十分となるまで、必要に応じて水を加えた。
【0311】
29×100mmサイズ(幅×長さ)の円筒形セラミックモノリス基材(1平方インチあたり230セル)を、スラリーに浸漬した。15psigの圧力で作動するエアナイフを使用してチャネルを清浄にすることにより、過剰なスラリーを除去した。基材を110℃で2時間乾燥させた。所望の炭素充填が達成されるまで、この手順を繰り返した。
【0312】
この試料のg-総BWCは、1.24であると測定され、その有効BWCは、1.88gのn-ブタン/dLであると判定された。
【0313】
比較例
以下のテストでは、実施例1~3に加えて、サイズ29×100mm、1平方インチあたり230セルのIngevityブリード排出トラップを試験した。炭素含有量は、最大1000℃のLOIによって31.8重量%であると測定された。モノリスの総重量は約28gであった。この炭素含有量は、以下の実施例で測定された表面積、細孔容積、およびブタン吸着容量を補正するために使用された。この比較炭素の表面積および細孔容積の特性を表1(比較例)に示す。
【0314】
この試料のg-総BWCは、2.21gであると測定され、その有効BWCは、3.35gのn-ブタン/Lであると判定された。
【0315】
実施例4:表面積と細孔径分布の測定
窒素の細孔径分布および表面積の分析は、Micromeritics TriStar 3000 series instrumentsで行われた。試験される材料を、Micromeritics SmartPrep脱気装置で、合計6時間脱気した(乾燥窒素流の下で、300℃まで2時間上昇させ、その後、300℃で4時間保持した)。窒素BET表面積は、0.08~0.20の5つの分圧点を使用して決定された。窒素の細孔径は、BJH計算および33個の脱離点を使用して決定された(図4および5)。
【表1】
【0316】
実施例5:ブタン等温線の測定
ブタン等温線は、いくつかの吸着剤材料について得られた。ブタン等温線測定は、一定温度でのブタンの分圧の関数として、試料吸着剤材料中のブタンの吸着量を測定する。
【0317】
ブタン等温線は、以下の手順に従って収集された。ブタンガスを真空にした試料に徐々に導入し、平衡に到達させ、吸着された質量を測定した。具体的には、材料の試料(約0.1g)を、120℃で960分間、真空下で脱気し、3Flex高分解能ハイスループット表面特性分析装置を使用して、ブタン等温線を測定した。使用した吸着試験ガスはブタンであった。分析中、水/エチレングリコール混合物の循環浴で298°Kの温度を維持した。低圧用量は、試料1グラムあたり0.5ccのブタンガス(cc/g)であり、最高0.000000100P/Poまで、3.0cc/gで最高0.001P/Poまでであった。最高0.001P/Poまで30秒の平衡間隔を使用し、残りの等温線には10秒の平衡間隔を使用した。比較例のデータを炭素含有量(31.8%)で割って、炭素だけの容量を得た。この手順によって試験した吸着剤材料を、以下の表2に掲げる。
【表2】
【0318】
さらなる比較例として、炭素4、5、および6を使用した。炭素4および炭素5は、キャニスター炭素として使用するために市販されている商業的に入手可能な活性炭であった。これらの材料は、押出されたペレットとして受領され、試験前に乳鉢および乳棒で粉末に粉砕した。炭素6は、蒸発キャニスタースクラバー用途で使用される押出されたハニカムの活性炭であった。スクラバーは、試験前に乳鉢および乳棒で粉末に粉砕した。試験結果は、スクラバー材料の炭素含有量によって正規化され、炭素含有量は、最高1000℃のLOIによって31.8%と測定された。
【0319】
ブタン等温線の結果
これらの試料のブタン等温線測定の結果(炭素1、4、5、および6、炭素6は、図6A~Fでは「比較例」と称される)を、図6Aに提供する。データは、mmHg単位で、ブタンの絶対圧に対してプロットした。このデータは、「100%ブタン」の「ブタンパーセンテージ」に等しい760mgHgでのブタンの絶対分圧(すなわち、大気圧)を定義し、図6Bに示したように、ブタン吸着量対ブタンの割合をプロットすることによって、蒸発排出用途と相関させることができる。蒸発排出制御デバイスのBWCを測定するために典型的に使用されるブタン濃度(例えば、ASTM D5528、USCAR02)は、50%ブタンであるため、データは、最高50%のブタンの割合までプロットされ、それは、蒸発排出制御用途に関する重要なブタンの割合を表す。50%ブタンで吸着されたブタンの総量のフラクションとして、材料によって吸着されたブタンの量に関して正規化された同じデータのプロットを、図6Cとして提供する。
【0320】
ブタンの割合がより低い場合、これらの材料によって吸着されるブタンの相対量は、SHEDテスト中に車両の吸気システム(AIS)から発生する蒸発排出物を削減するために使用される炭化水素吸着装置(HCA)などの特定の蒸発排出用途とより関連性がある。典型的なHCAがSHED試験中に遭遇するであろう推定蒸気濃度は、エアクリーナーハウジングのサイズに応じて、約5%程度のブタンである。BETP試験の昼間の間にスクラバーが遭遇する蒸気濃度は、0.5%程度のブタンである。したがって、理論に拘束されることを望むものではないが、最初は5%ブタンまでの低いブタンの割合において比較的急勾配であり、5%ブタンと50%ブタンのブタンの割合の間でより平坦な等温線形状の材料は、これらの用途でより良好に機能すると予想される。
【0321】
図6Dは、ブタン等温線によって測定された、50%ブタンにおいてこれらの材料によって吸着されたブタンの量を示す。これらの値は、50%ブタンでの図Bの各材料に関する値を読み取ることによって、決定された。
【0322】
図6Eおよび6Fは、材料が50%のブタンにおいて吸着する量のフラクションとして、これらの材料が、5%および0.5%のブタンにおいて吸着する相対量を、提供する。これらの値は、それぞれ5%および0.5%のブタン濃度におけるこれらの材料に関するブタン親和性として定義された。各材料に関するブタン親和性は、図6Cから5%および0.5%のブタン濃度における各材料に関する値を読み取ることによって、決定された。具体的には、100%の「ブタンの割合」に等しいブタンの絶対分圧を760mgHg(すなわち、大気圧)に設定し、次いで、図6Bに示したように、吸着されたブタンの量対ブタンの割合をプロットすることによって、ブタンの親和性を計算した。データ曲線は、図6Cに示されたように、50%のブタンの割合において吸着されたブタンの量のフラクションとして吸着されたブタンの量をプロットすることによって正規化した。次いで、0.5%ブタンおよび5%ブタンにおけるブタン親和性を、これらのブタン濃度において50%で吸着されたブタンのフラクションを読み取ることによって、このプロットから決定した。言い換えれば、それぞれ5%および0.5%での材料のブタン親和性は、ブタン等温線測定により決定されるように、380mmHgにおいて材料が吸着したブタンの量と比較して、材料が、それぞれ38mmHgおよび3.8mmHgのブタン分圧において吸着したブタンの割合であった。
【0323】
図6Dのみのデータに基づくと、炭素1は、他の炭素と同等またはそれを下回るブタン吸着容量を有しているため、AISおよびスクラバー用途において特に有利な性能を有することは期待されないであろう。しかしながら、図6Eおよび6Fに示されるように、5%ブタンおよび0.5%ブタンの両方でのブタン親和性は、この材料が蒸発排出制御に使用される他の材料よりも優れていることを示した。60%を超える5%におけるブタン親和性(図6Eにおいて炭素1で示される)は、標準の蒸発吸着剤材料と比較した場合、ユニークで予想外であり、蒸発排出捕捉効率の向上が期待される。35%を超える0.5%におけるブタン親和性(図6Fにおいて炭素1で示される)は、標準の蒸発吸着剤材料と比較した場合、ユニークで予想外であり、蒸発排出捕捉効率の向上が期待される。したがって、これらの用途において、かかる材料を利用することは、標準的な吸着剤よりも優れた蒸発性能を提供するか、またはかかる材料の使用量が少なくても同等の性能を示すことが期待されよう。
【0324】
実施例6:ブタン吸着容量の測定
市販の炭素モノリス(比較例)およびいくつかのコーティングされたモノリス(実施例1~3)を、ブタン吸着-脱着セットアップで試験した。
【0325】
29×100mmサイズの円筒形試料を、垂直方向に配向された円筒形試料セル内に配置した。45分間、134mL/分(10g/時間のブタン流量)の1:1のブタン/N試験ガス流量で、試料セルを充填した。流れの方向は、試料セルの底部から頂部へと上向きであった。試料セルからの出口フローのガス組成は、FID(水素炎イオン化検出器)によってモニターした。
【0326】
45分のブタン吸着工程の後、試料セルを、同じ流れ方向で10分間、100ml/分においてNでパージした。次いで、試料を10L/分の空気流で反対方向(上から下)において15分間脱着した。次の工程では、ガス組成を、134ml/分(1時間あたり0.1グラムのブタン)の0.5%ブタン/N混合物に切り替え、充填工程を繰り返した。上記のFIDを使用して破過曲線を記録し、流れるブタンの累積質量に対してシグナルをプロットした。
【0327】
相対的な有効ブタン吸着容量は、試料を通過するブタンの破過が発生するのにかかる時間と関連付けることができる。ブタンの破過は、試料セルからのブタンの出口濃度が飽和濃度の25%に達した時間と定義した。この試験設定では、実施例1(炭素1を使用)のみが、市販の基準(比較例)と同等の吸着容量を提供することが分かった(図7)。これらの結果は、ブタン等温線の表面積、ミクロ細孔容積、および形状への依存性を実証した。
【0328】
試験した材料(実施例1~3および比較例)のうち、実施例1のみが、比較例と同等またはそれより優れた破過点を示した。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、0.3~1nmの細孔径における高いミクロ細孔容積と、1~30nmの細孔径における高いメソ細孔容積との組み合わせによって、達成されたと考えられた。関連するパラメータを表3に要約する。ブタンの低い分圧における、高いミクロ細孔容積、高いメソ細孔容積、および高い吸着容量の所望の組み合わせは、実施例1(炭素1)の炭素によってのみ達成された。得られた破過点は、この炭素で最高であった。
【表3】
【0329】
実施例7:実施例1に従って調製されたスクラバーを有する蒸発排出制御キャニスターのBETP試験
1.9Lキャニスターに関するBETP試験
2つの1.9Lの、自動車のためのキャニスターを、カリフォルニアブリード排出手順(the California Bleed Emission Test Procedure)(BETP)に従って試験した。これらのキャニスターは、2つの別々の炭素ベッドを収容していた。このキャニスターの両方のベッドは、Ingevity BAX 1500炭素で満たされた。第1の炭素ベッドは、第2の炭素ベッドの約2倍の容量であった。キャニスターは、スクラバーのための内部チャンバーも有していた。試験前に、実施例1に従って調製したスクラバーを、一方のキャニスターのスクラバーチャンバーに設置し、他方のキャニスターのスクラバーチャンバーは空のままにした。
【0330】
BETP試験手順:
公開された手順「USCAR Advanced Powertrain Technical Leadership Council:Advanced Evaporative Technical Partnership;USCAR LEVIII/Tier 4 BETP Recommended Procedure Based on Published Regulations」(5/23/2014)を用いた。ガソリン燃料蒸気(EPAテスト燃料)と乾燥窒素(1:1燃料蒸気/N比)を、2gの燃料蒸気の破過が検出されるまで、40g/時の充填率で各キャニスターに充填し、その後、300ベッド体積で22.7L/分の乾燥空気のパージ行った。この手順を合計10回の充填/パージサイクルで繰り返した。次いで、2gの破過まで、キャニスターにブタン(窒素中で1:1)を充填し、1時間浸漬した。次いで、キャニスターが、135ベッド体積に相当する76.8gの質量を失うまで、25℃において、RH40%の空気22.7L/分でキャニスターをパージした。次いで、キャニスターを、CARBフェーズIII燃料で40%満たした14.5ガロンの燃料タンクに接続し、65°Fで6時間浸漬した。キャニスターのパージポートをキャップし、システムを65°Fで12時間浸漬した。次いで、システムを、65°F~105°Fで12時間のランプ時間で循環させ、合計2回の昼間サイクル(合計48時間)を行った。キャニスターの出口は、キャニスターから漏れた蒸発排出をモニターするために、蒸発排出測定エンクロージャーに対して開いていた。24時間ごとに最も高い炭化水素排出を報告した。
【0331】
最高の日毎の昼間排出量は、スクラバーなしのキャニスターで275mgであったが、実施例1に従って調製されたスクラバーを有するキャニスターではわずか9mgであった。両方のキャニスターにおいて、排出が最も多かったのは2日目であった。この結果から、実施例1に従って調製されたスクラバーは、自動車用炭素キャニスターを、カリフォルニアブリード排出試験手順(BETP)の20mg未満の排出制限に合格させ得ることを実証した。
【0332】
2.5LキャニスターでのBETP試験
2.5Lの、自動車のためのキャニスターを、カリフォルニアブリード排出手順(BETP)に従って試験した。このキャニスターは、2つの別々の炭素ベッドを収容していた。このキャニスターの両方のベッドは、Ingevity BAX 1500炭素で満たされた。第1の炭素ベッドは、第2の炭素ベッドの約2倍の容量であった。キャニスターは、スクラバーのための内部チャンバーを有していなかった。このキャニスターにスクラバーを含めるために、実施例1に従って調製されたスクラバーを、別のハウジングに配置し、ホースクランプでキャニスターのベント側ポートに取り付け、リークテストを行って密閉されていることを確認した。キャニスターは、ブタン充填工程の後に、キャニスターが80床容量の空気でパージされたことを除いて、上記のBETP試験手順に従って試験した。このキャニスターに関する最も高い1日の昼間排出量は3mgであった。排出量が最も多かったのは2日目であった。この結果から、実施例1に従って調製されたスクラバーは、自動車用炭素キャニスターを、カリフォルニアブリード排出試験手順(BETP)の20mg未満の排出制限に合格させ得ることを実証した。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7