(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】電動ツールチェンジャー
(51)【国際特許分類】
B25J 15/04 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B25J15/04 A
(21)【出願番号】P 2021507848
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2019056651
(87)【国際公開番号】W WO2020058779
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】102018000008666
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521061597
【氏名又は名称】ジマティック エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベランディ、ジュゼッペ
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第000010304507(DE,B3)
【文献】特開平02-041884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0322041(US,A1)
【文献】国際公開第2014/045390(WO,A1)
【文献】米国特許第10047908(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸線(Z-Z)を有し、マニピュレータに固定されるように意図されたロボット側部分(1)と、
ツールに固定されるように、また前記長手方向軸線(Z-Z)に沿って前記ロボット側部分(1)に当接するように意図されたツール側部分(2)と、
前記ツール側部分(2)を前記ロボット側部分(1)上にロックするためのロック手段(5)と、
前記ロック手段(5)のアクチュエータと
を有し、
前記ロック手段(5、14)は、前記ロボット側部分(1)に当接している前記ツール側部分(2)に前記ロック手段(5、14)が係合して、前記ロボット側部分(1)からの前記ツール側部分(2)の分離を防止するロック位置と、前記ロック手段(5、14)が前記ツール側部分(2)に係合せず、それにより前記ロボット側部分(1)からの前記ツール側部分(2)の脱離を可能にするロック解除位置との間で選択的に移動可能である、ツールチェンジャー(100、101)において、
前記ロック手段(5、14)の前記アクチュエータは、前記長手方向軸線(Z-Z)に平行な回転軸線(26)上で回転する駆動シャフト(17)を有する電気モータ(16)であり、
前記ロック手段(5、14)は、前記ロボット側部分(1)に設けられた、対応する座(6)に収容される複数の球(5)を有し、前記球(5)は、前記ロック位置において、それらのそれぞれの座(6)から少なくとも部分的に突出して、前記ロボット側部分(1)上に嵌合された前記ツール側部分(2)に設けられたスロート又は対応するニッチ(6’)に係合し、したがってアンダーカットを形成しており、また前記球(5)は、前記ロック解除位置において、それらのそれぞれの座(6)から突出せず、前記ツール側部分(2)の前記スロート又は前記ニッチ(6’)に係合せず、
前記球(5)は、前記長手方向軸線(Z-Z)に対して半径方向に移動可能であり、
前記ロック手段(5、14)は、前記球(5)よりも前記半径方向外側の位置で前記ロボット側部分(1)上に配置された環状制御要素(14)を有し、前記環状制御要素(14)は、前記環状制御要素(14)が前記球(5)を前記ロック位置へと押し出す第1の位置と、前記球(5)が前記ロック解除位置にある第2の位置との間で前記電気モータ(16)によって移動可能であり、また
前記環状制御要素(14)は、偏心結合手段によって前記電気モータ(16)に結合されたローブ状部分又はレバー(14”)を有することを特徴とする、ツールチェンジャー(100、101)。
【請求項2】
前記球(5)の前記座(6)は、前記ロボット側部分(1)の要素(12)に設けられた半径方向貫通孔であり、前記環状制御要素(14)は、前記座(6)を取り囲む円形部分(14’)を有し、前記円形部分(14’)は、
前記ロック解除位置において前記球(5)が受容される複数の凹部(29)と、
前記ロック位置において前記球(5)が当接する複数のランプ又は傾斜面(30,30’)と
を備える、請求項1に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項3】
前記ランプ又は傾斜面(30)のそれぞれは、半径方向(R)に垂直でない平面上に延び、又は
前記ランプ又は傾斜面(30’)のそれぞれは、半径方向(R)に垂直な平面(T)上に延びている、請求項2に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項4】
前記環状制御要素(14)は、前記ロボット側部分(1)上に取り付けられ、また前記環状制御要素(14)は、
前記球(5)が前記ランプ又は前記傾斜面(30,30’)に当接し、そして前記ランプ又は前記傾斜面(30,30’)が前記球(5)の前記座(6)と整合され、また前記凹部(29)が、前記球(5)の前記座(6)に対して角度整合されていない、前記ロック位置に対応する第1の角度位置と、
前記球(5)が前記環状制御要素(14)の前記凹部(29)内に少なくとも部分的に受容され、前記凹部が前記球(5)の前記座(6)と整合され、また前記ランプ又は前記傾斜面(30,30’)が、前記球(5)の前記座(6)に対して角度整合されていない、前記ロック解除位置に対応する第2の角度位置と
の間で前記ロボット側部分(1)に対して前記長手方向軸線上(Z-Z)で回転する、請求項2又は3に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項5】
前記電気モータ(16)は、前記ツール側部分(2)をロック/ロック解除するために、前記環状制御要素(14)を角度(α)だけ両方向に交互に回転させ、前記角度(α)は、前記凹部(29)と前記ランプ又は前記傾斜面(30、30’)とによって画定される(長手方向軸線Z-Z上の)中心角に等しい、請求項4に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項6】
前記ロボット側部分(1)は、前記ツール側部分(2)のオス部分(3)が挿入されるカップ状要素(12)を有し、前記球(5)の前記座(6)は、前記カップ状要素(12)の側壁を半径方向に通して設けられた孔であり、前記環状制御要素(14)は、前記カップ状要素(12)上に摺動可能に嵌められて、前記球(5)がそれらのそれぞれの座(6)から外側に外れるのを防止している、請求項1から5までのいずれか一項に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項7】
前記電気モータ(16)の前記駆動シャフト(17)によって与えられる双方向の回転に応答して、前記環状制御要素(14)を前記長手方向軸線(Z-Z)上で双方向に回転させるための伝達手段(18、22)を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項8】
前記伝達手段は、前記電気モータ(16)と前記環状制御要素(14)との間に機能的に介在するスラスト要素(22)を有し、前記スラスト要素(22)は、前記駆動シャフト(17)自体によって与えられる回転に応答して、前記電気モータ(16)の前記駆動シャフト(17)の前記回転軸線(26)を中心に偏心回転して、前記環状制御要素(14)にトルクを印加する、請求項7に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項9】
前記伝達手段は、前記スラスト要素(22)と前記電気モータ(16)の前記駆動シャフト(17)との間に介在して、これらの構成要素間におけるギヤ比を定義する複数のギヤ(18)をさらに有する、請求項8に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項10】
前記環状制御要素(14)は、製造公差に起因する前記ツールチェンジャーの前記構成要素間における隙間を補償するために、僅かな弾性を有する、請求項9に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項11】
前記ロック手段(5、14)のロック位置は、前記電気モータ(16)のスイッチが切られ
たときでさえ維持される、請求項1から10までのいずれか一項に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項12】
前記ロボット側部分(1)に取り付けられ得る第1のコネクタ(34)と、前記ツール側部分(2)に取り付けられ得る第2のコネクタ(35)とを備える電気的接続デバイス(33)を有し、
前記第1のコネクタ(34)及び前記第2のコネクタ(35)のそれぞれは、少なくとも1つの電力線(37’、37”)を支持しており、また対応する電力線(37’、37”)を互いに電気的に接続するために機能的に結合可能であり、且つ前記電力線(37’、37”)を接続解除するために分離可能であり、
前記第1のコネクタ(34)及び前記第2のコネクタ(35)は、前記長手方向軸線(Z-Z)のところに取り付けられる、請求項1から11までのいずれか一項に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項13】
前記ロボット側部分(1)に取り付けられ得る第1のコネクタ(34)と、前記ツール側部分(2)に取り付けられ得る第2のコネクタ(35)とを備える電気的接続デバイス(33)を有し、
前記第1及び第2のコネクタ(34、35)は、対応する電力線(37’、37”)を支持しており、また前記ロボット側部分(1)及びツール側部分(2)とともに接続/接続解除されることが可能であり、
前記ロボット側部分(1)は、前記長手方向軸線(Z-Z)に対して同軸の第1の区画(4)のまわりに延び、また前記第1のコネクタ(34)は前記第1の区画(4)内に設置されることが可能であり、且つ/又は
前記ツール側部分(2)は、前記長手方向軸線(Z-Z)に対して同軸の第2の区画(4’)のまわりに延び、また前記第2のコネクタ(35)は前記第2の区画(4’)内に設置されることが可能である、請求項1から11までのいずれか一項に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【請求項14】
前記電気的接続デバイス(33)によって接続される前記電力線(37’、37”)は、実質的に前記長手方向軸線(Z-Z)に沿って、前記ツールチェンジャーの前記ロボット側部分(1)及び前記ツール側部分(2)を通過している、請求項12又は13に記載のツールチェンジャー(100、101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ツールチェンジャー、特にロボットマニピュレータへのツールの取り外し可能な結合を可能にする、アーム・エンド・ツーリング(end of arm tooling:EOAT)用途のためのツールチェンジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
産業オートメーションの分野では、ツール交換デバイス、又はより簡潔にはツールチェンジャーの使用が知られており、ツールチェンジャーは、ロボットマニピュレータ(例えば多関節アーム)が所与の機械加工作業に必要とされる度に、ツールを掴んで移動させることができるようにする。
【0003】
本発明は、特に、
- ツールに固定されて、掴まれ、移動されるように意図された、所謂、ツール側部分と、
- マニピュレータに固定されてマニピュレータと一体的に移動するように意図され、必要とされる時間にわたってツール側部分を受容し、保持するように設計された、所謂、ロボット側部分と
を有するツールチェンジャーに言及する。
【0004】
本出願人の名義の文献、独国特許(DE)第102016222506号は、電気で駆動される、この種のツールチェンジャーの例を記載している。
【0005】
この種のツールチェンジャーでは、ツール側部分を可逆的にロックすることを意図した部材が、ロボット側部分内に収容されている。ロック部材が、ツール側部分を、迅速に、例えば1秒未満で、係合及び解放するように高速で動くツールチェンジャーは、慣例的に「クイックチェンジャー」と称されている。
【0006】
例えば、独企業のSCHUNK GmbH & Co KGは、「Electric Tool Changer EWS」という名称で電気駆動ツールチェンジャーを販売しており、この電気駆動ツールチェンジャーは、インターネットアドレス「http://www.schunk.com/schunk_files/attachments/OM_AU_EWS__EN.pdf」で入手可能な仕様書に詳細に記載されている。
【0007】
ATI Industrial Automationの名義の米国特許第8,132,816号、米国特許第8,209,840号、米国特許第8,747,288号、及び米国特許出願公開第2012/0277080号は、電気駆動ツールチェンジャーのさらなる実例を記載している。具体的には、米国特許第8,132,816号は、アクチュエータである電気モータのシャフトの回転軸線が、ツール側部分のロボット側部分との結合方向に、即ち、一方の部分が他方の部分に挿入される方向に直交することを特徴とする。
【0008】
最も一般的な構成のうちの1つにおいて、ロックを担う部材は、ロボット側部分に収容された金属球であり、この金属球は、
- 球がツール側部分の対応する座又はスロートに係合して、球が滑り落ちるのを防止するロック位置と、
- 球がツール側部分に係合せず、したがって、ツール側部分は保持されず、ロボット側部分から分離され得るアイドル位置と
の間を選択的に移動可能である。
【0009】
実際には、球は、ロボット側部分において特別な座に収容され、球が各々の座から突出しないか、又は部分的にのみ突出する後退位置、即ち、アイドル位置と、球が、ツール側部分に係合して、アンダーカットのようなツール側部分との結合形状を画定するために丁度十分に各々の座から突出する突出位置、即ち、ロック位置との間を移動することができる。
【0010】
球は、この場合には電気式の、アクチュエータを用いることによって、移動させることができる。
【0011】
本出願人は、米国特許第8,132,816号に記載されたもののような直交軸線を有する解決策が、この不都合、つまり、電気モータがツールチェンジャーから側方方向に突出していることによって影響を受けることが多く、一般に、最小の横寸法(side dimension)、即ち、オス部分のメス部分との結合方向に対して横断方向における最小横寸法を有する、直交軸線を有したツールチェンジャーを製作することは困難であることに気づいた。これは、ツール及びマニピュレータが金型内のような狭い空間内で動作する場合に、動作上の問題を生じる。これらの場合には、ツールチェンジャーの寸法のせいで、ツールチェンジャーによってマニピュレータの動作が制限されないことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】独国特許第102016222506号
【文献】米国特許第8,132,816号
【文献】米国特許第8,209,840号
【文献】米国特許第8,747,288号
【文献】米国特許出願第2012/0277080号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえ本発明の目的は、従来の解決策と比較して同じ性能を有しながら、とりわけ小型である電動ツールチェンジャーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、請求項1に記載の電動ツールチェンジャーに関する。
【0015】
具体的には、本発明は、
- 長手方向軸線を有し、マニピュレータに固定されるように意図された、ロボット側部分として画定された第1の部分と、
- ツールに固定され、前記長手方向軸線に沿ってロボット側部分に当接するように意図された、ツール側部分として画定された第2の部分であって、したがって、前記長手方向軸線は、2つの部分の結合が行われる軸線である、第2の部分と、
- ツール側部分をロボット側部分上にロックするためのロック手段と、ロック手段のアクチュエータとを有したツールチェンジャーに関する。
【0016】
ロック手段は、ロック手段が、ロボット側部分に当接しているツール側部分に係合し、それによりツールチェンジャーの2つの部分の分離を防止するロック位置と、ロック手段がツール側部分に係合せず、したがって、ツール側部分がロボット側部分から分離され得るロック解除位置との間を、アクチュエータによって選択的に移動可能である。
【0017】
ロック・デバイスのアクチュエータは、長手方向軸線に平行であり、長手方向軸線に対して直交又は斜行しない回転軸線を中心にその駆動シャフトが回転する電気モータである。
【0018】
この構成は、直交軸線又は斜行軸線を有する解決策と比較して、全体寸法の低減をもたらにもかかわらず、同一の性能を提供する。つまり、電気モータをロック手段のすぐ横に並べて配置することができ、電気モータは、長手方向軸線に平行に延在し、一方、長さがモータの主要寸法であるため、横断方向では僅かな空間しか占めない。
【0019】
好ましくは、ロック手段は、ロボット側部分に作られた対応する座内に収容された複数の球を有する。球は保持要素として作用する。ロック位置では、球は、それらの各々の座から少なくとも部分的に突出し、ロボット側部上に嵌合されたツール側部分に作られたスロート(throat)又は対応するニッチ(窪み)に係合し、よってアンダーカットを形成する。一方、ロック解除位置では、球は、それらの各々の座から突出せず、ツール側部分内のスロート又はニッチに係合しない。実際には、球は、ツール側部分に対して閉じて、ツール側部分をロボット側部分に対してロックし、且つ開いてその解放を可能にする。
【0020】
好ましい実施例において、球は、各々の座において長手方向軸線に対して半径方向に移動され得る。好ましくは、球は、規則正しいピッチで、例えば、球の数に応じて、120°、又は90°、45°等の中心角で、長手方向軸線のまわりに配される。
【0021】
好ましくは、ロック手段は、球に対してより半径方向外側の位置でロボット側部分上に配された環状制御要素を有し、環状制御要素は、環状制御要素が球をロック位置に押し出す第1の位置と、球がロック解除位置にある第2の位置との間を電気モータによって移動可能である。実際には、環状制御要素の動作は、電気モータによって与えられ、球の位置を決定する。
【0022】
より好ましくは、球の座は、ロボット側部分の要素又は壁に作られた半径方向の貫通孔であり、環状制御要素は座を取り囲む円形部分を有し、円形部分には、
- 球がロック解除位置において受容される凹部と、
- 球がロック位置において当接するランプ(傾斜部)又は傾斜面とが設けられている。実際には、ランプ又は傾斜面は、凹部に対してより半径方向内側である。
【0023】
2つの実施例を実施することができる。第1実施例では、ランプ又は傾斜面は、それぞれ、半径方向に直交しない平面上に延在する。この実施例では、ランプ又は傾斜面は、90°とは異なる角度を形成する。一方、第2実施例では、ランプ又は傾斜面のそれぞれは、半径方向に直交する平面上に延在する。
【0024】
好ましくは、環状制御要素は、ロボット側部分上に取り付けられ、長手方向軸線上においてロボット側部分に対して、
- 球がランプ又は傾斜面に当接し、次にランプ又は傾斜面は球の座と整合され、同時に、凹部は、球の座に対して角度方向で整合されていない(angularly misaligned)、ロック位置に対応する第1の角度位置と、
- 球が環状制御要素の凹部に少なくとも部分的に受容され、凹部は球の座と整合され、同時に、ランプ又は傾斜面は、球の座に対して角度方向で整合されていない、ロック解除位置に対応する第2の角度位置との間で、回転されることが可能である。
【0025】
この構成では、電気モータは、ツール側部分をロックする/ロック解除するために、環状制御要素をいずれの方向にも角度αだけ交互に回転させる。この角度は、凹部とランプ/傾斜面との間に定義される中心角に相当し、中心は長手方向軸線上にある。
【0026】
好ましい実施例において、ロボット側部分は、ツール側部分のオス部分が挿入される、カップ状要素を有する。球の座は、カップ状要素の側壁を半径方向に通って作られた孔である。環状制御要素は、カップ状要素上に摺動可能に嵌められ、球がそれらの座から外れるのを防止する。他方では、球は、テーパー状の座、すなわち、球の一部が(ロック位置において)突出できるようにするのに丁度十分なほど、長手方向軸線に最も近い部分でより狭くなった座を形成することによって、内側に外れるのを防止される。
【0027】
好ましくは、環状制御要素は、偏心結合手段(eccentric coupling)によって電気モータに結合されたローブ状部分(lobed portion)又はレバーを有する。
【0028】
好ましくは、ツールチェンジャーは、電気モータの駆動シャフトによって与えられる双方向の回転に応答して、環状制御要素を長手方向軸線上において双方向に回転させる伝達手段を有する。したがって、この実施例では、電気モータと環状制御要素とは、直接結合されていないが、実際には伝達手段を介して結合されている。
【0029】
伝達手段は、電気モータと環状制御要素との間に機能的に介在するスラスト要素を有する。スラスト要素は、電気モータの駆動シャフトの回転軸線を中心に偏心回転されることが可能であり、即ち、スラスト要素は、駆動シャフト自体によって与えられる回転に応答して、円の弧を辿り、環状制御要素にトルクを印加する。このトルクは、環状制御要素をロボット側部分上で回転摺動させる。
【0030】
ロック手段と電気モータとの間の偏心結合手段は、ロック位置が、例えば、停電の場合に、電気モータのスイッチが切られたときでさえ安定していることを保証する。
【0031】
好ましくは、伝達手段は、スラスト要素と電気モータの駆動シャフトとの間に介在して、これらの構成要素間における所望のギヤ比を定義するギヤをさらに有する。
【0032】
好ましくは、環状制御要素は、製造公差に起因するツールチェンジャーの様々な構成要素間における隙間を補償するために、若干弾性を有する。
【0033】
好ましくは、ツールチェンジャーは、ロボット側部分に入る電力線を、ツールに動力を正確に供給するように意図されたツール側部分の対応する電力線と接続するための電気接続デバイスを有する。より好ましくは、デバイスは、ツールチェンジャーの2つの部分のそれぞれに1つずつの、2つのコネクタを有し、それらのコネクタは長手方向軸線に沿って同軸上に取り付けられ、これにより、ケーブルを、ケーブルが使用中にロボットの近くで作業を行っている操作者にとって危険となる可能性のある外側ではなく、ツールチェンジャーの長手方向軸線に実質的に沿って、ツールチェンジャー内に通過させることが可能となる。ツール側部分をロボット側部分に結合することによって、2つのコネクタは機能的に結合されて、電力線を連続させ、逆もまた同様に、ツールチェンジャーの2つの部分が分離されると、コネクタも分離される。
【0034】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付図面の助けにより、単に説明のために示され、限定するものではない、好ましいが排他的ではない実施例の以下の明細書の検討により、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ロボット側部分がツール側部分から分離されている、本発明によるツールチェンジャーの斜視図である。
【
図2】ロボット側部分がツール側部分に結合されている、
図1に示すツールチェンジャーの斜視図である。
【
図3】
図1に示すツールチェンジャーのロボット側部分のみの立体分解図である。
【
図4】
図1に示すツールチェンジャーのロボット側部分の長手方向断面図である。
【
図5】第1の構成にある、
図1に示すツールチェンジャーのロボット側部分の断面図である。
【
図6】第2の構成にある、
図1に示すツールチェンジャーのロボット側部分の断面図である。
【
図7】ロボット側部分がツー側部分から分離されている、
図1に示すツールチェンジャー、及び付属構成要素の斜視図である。
【
図8】ロボット側部分がツール側部分に結合されており、付属構成要素が組み付けられた、
図1に示すツールチェンジャーの部分的に長手方向断面を示した斜視図である。
【
図9】第1の構成にある、本発明によるツールチェンジャーの第2の実施例のロボット側部分の断面図である。
【
図10】第2の構成にある、本発明によるツールチェンジャーの第2の実施例のロボット側部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
すべての添付図を参照すると、数字100は、ロボット側部分1とツール側部分2とを有した本発明によるツールチェンジャーを表している。ロボット側部分1は、産業用マニピュレータ、例えば、ロボットアームに固定されるように意図されており、ツール側部分2は、マニピュレータ上に交換可能に取り付けられなければならないツール、例えば、グリッパー、グリップ要素、トング、吸引カップ、又は、一般に産業オートメーションEOATの分野において提供される任意のツールに、固定されるように意図されている。
【0037】
参照符号Z-Zは、以後、長手方向軸線と称される、部分1と部分2との結合軸線、即ち、ツール側部分2がそれに沿ってロボット側部分1に少なくとも部分的に挿入される軸線を表す。具体的には、
図1は、例えば、接近又は離反している、互いから分離された2つの部分1及び部分2を示しており、一方、
図2は、互いに機能的に結合された2つの部分1及び部分2を示しており、これはツールがマニピュレータ上に取り付けられ、使用できる状態にある構成に対応している。
【0038】
ツール側部分2には、ロボット側部分の対応する第1の区画4、好ましくは貫通区画(through-compartment)に挿入されることが可能なオス部分3が設けられている。好ましくは、オス部分3と第1の区画4とは、相補的な形状を有し、図に示した実例では、そのような形状は円形である。
【0039】
好ましくは、図に示したように、ツール側部分2は、第2の区画4’のまわりに延在する。すなわち、ツール側部分2は、実質的に環状体である。
【0040】
ロボット側部分1には、対応する座に収容された複数の球5が備えられており、球5は、球5がそれら自体の座から突出しない後退位置と、球5がそれら自体の座から少なくとも部分的に突出する拡張位置との間で移動可能である。ツール側部分2は、球5を受容するために、オス部分3に作られたスロート、孔、又はニッチ6’を有し、球5が拡張位置にある場合、球5の一部は、ツール側部分2の上にあるニッチ6’内に受容され、それにより2つの部分1及び部分2が分離するのを防止し、それどころか、ツール側部分2をロボット側部分1上にロックする。
【0041】
ロボット側部分1上には整合手段が存在し、整合手段の機能は、部分1及び部分2が互いに近づくように部分1と部分2とが正確に整合するのを助け、またツール側部分2上の受容ニッチ6’が対応する球5と整合されることを保証することである。図に示した実例では、整合手段は、ロボット側部分1から、具体的には第1の区画4から、カンチレバー式に(cantileverly)突出する2つのダウエル7と、ツール側部分2にある2つの対応する孔又は溝とを有する。2つのダウエル7は、Z-Z軸線に対する半径方向と、球5と受容ニッチ6’との間の角度方向との双方において、整合方向を識別する。
【0042】
図に示した実施例は空気圧接続部(pneumatic connection)を装備しているが、一般に、この特徴にかかわらず、本発明によるツールチェンジャーを製造することができる。空気圧接続部は、外管ではなくツールチェンジャー100の内部の導管を使用することにより、部分2と組み合わせられたツールに圧縮空気(又は真空)を供給するために使用される。
【0043】
図に示した実例では、ツール側部分2には、ツールに圧縮空気を送給するための送給線の挿入用の取付具8が側方方向に設けられている。取付具8は、ツール側部分2の内部のチャネルによって、オス部分3内に存在するノズル(見えていない)に接続されている。ツール側部分2のノズルは、第1の区画4内に存在するロボット側部分1の対応するノズル9に受容され、ツール側部分2のノズルはロボット側部分1のノズル9と緊密な流体接続を形成する。ノズル9は、次に、内部導管を介して、ロボット側部分1の側面上にある取付具10に接続される。したがって、最終的には、2つの部分1及び部分2が互いに結合されると、ツール側部分2の取付具8はロボット側部分1の対応する取付具10と流体接続される。
【0044】
特に
図3を参照すると、ロボット側部分1は、構成要素が収容される本体11を有する。球5の座6が作られたカップ状要素12は、第1の区画4に収容される。座6は、カップ状要素12の側壁を通って作られた半径方向の貫通孔、即ち、長手方向軸線Z-Zに面した孔6である。外殻又はカバーの機能を有したカラー13は、カップ状要素12上に配置されて、端縁を被覆し得る。参照番号9は、カップ状要素12内に周方向に配されたノズル9のO-リングシールを表している。
【0045】
明らかなことに、ツール側部分2がロボット側部分1の第1の区画4に正確に挿入されると、座6とニッチ6’とが互いに対面し、半径方向において整合される。
【0046】
参照番号14は環状制御要素を表しており、環状制御要素の機能は、以下に記載するように、球5を各々のニッチ6’に押し込んで、ツール側部分2をロボット側部分1上にロックすることである。環状制御要素14は、長手方向軸線Z-Zに直交する、該要素14が延在する平面上において、実際にはカップ状要素12の上面において、双方向に回転されることが可能である。
【0047】
環状制御要素14は、本体11に収容された電気モータ16によって駆動され、その駆動シャフト17が長手方向軸線Z-Zに平行になるように配されている。換言すると、電気モータ16の駆動シャフト17の回転軸線は、ツール側部分2がそれに沿ってロボット側部分1に挿入される長手方向軸線Z-Zに平行である。参照番号18は、所望の伝達比を定義するようにカスケード結合される一般的なギヤを表しており、ギヤ18は、電気モータ16の駆動シャフト17及びスラスト要素22に機能的に結合される。ギヤ18は、本体11にねじ留めされる2つのブロック19及びブロック20によって画定されるケーシング内に封入され、そのケーシングには電気モータ16がねじによって下から固定される。電気モータ16によってギヤ18に与えられる回転は、ギヤ23上に、具体的には孔24内に、偏心的に取り付けられたスラスト要素22に与えられる。
【0048】
したがって、実際には、ギヤ18は伝達系を定義するが、重要なことは、電気モータ16によって与えられた回転が、長手方向軸線Z-Zに平行な軸線を中心にスラスト要素22を回転させ、その結果、スラスト要素が円形径路を辿るということである。
【0049】
この態様は、
図4を観察することによって容易に理解することができる。
図4は、軸線Z-Zを含む垂直面において検討されるロボット側部分1の長手方向断面を示しており、電気モータ16の駆動シャフト17の回転軸線は、参照番号26によって表され、ギヤ23の回転軸線は参照番号27によって表され、またスラスト要素22の幾何学的軸線は参照番号28によって表されている。幾何学的軸線28は軸線27を中心に回転する。すなわち、スラスト要素22は、長手方向軸線Z-Zに平行なままであるが、スラスト要素22が本願で定義されるような偏心的な結合によって取り付けられているギヤ23の回転中心を中心に回転する。基本的には、スラスト要素22の幾何学的軸線と電気モータ16の回転軸線26との間には、アームが設けられる。
【0050】
直上に記載した偏心的な結合のおかげで、電源の異常又は不足により電気モータ16の動作が停止されたとしても、環状制御要素14は、ロック解除位置において、球5によって回転されないという意味で、ツールチェンジャー100は不可逆的である。これは、ツール側部分2がロボット側部分1から不要に解放されることがないことを保証し、それにより安全性を向上する。
【0051】
参照番号25は、電気モータ16の電子制御カードを表している。モータは、双方の回転方向に動作させることもできるし、又は他の場合には、例えば、200°の回転でロックし、160°の回転でロック解除するといったように、モータを常に同一方向に回転させることもできる。
【0052】
好ましくは、図に示すように、スラスト要素22はピンを装備しており、ピンにはアイドル回転ローラ26が取り付けられる。したがって、ローラ26は、スラスト要素の幾何学的軸線28とギヤ23の回転軸線27との双方において回転され得る。
【0053】
環状制御要素14は、実質的に円形の部分14’と、レバーとしても定義可能であり、円形部分14’と一体であるローブ部分14”とを有する。
【0054】
円形部分14’は次に、
- ツール側部分2が、ロボット側部分1に挿入されなければならないか、又はロボット側部分1から分離されなければならない場合、即ち、ロボット側部分1がロック解除構成/位置にある場合に、球5が受容される凹部29と、
- ツール側部分2が分離されることがないロック構成/位置にロボット側部分を導くために、球5をそれらの各々の座6から少なくとも部分的に押し出す機能を有する、凹部29に隣接したランプ30、すなわち傾斜テーパー面とを有する。ランプ30は、環状制御要素14の内周に向けて凹部29に丸みをつける。
図1~
図8に示す実例では、ランプ30は、半径方向に直交しない傾斜面上にそれぞれ延びている。
【0055】
スラスト要素22が挿入されるガイド31をローブ部分14”が画定するという意味で、ローブ部分14”は中空であり、スラスト要素22上に嵌合する。図示していない別の実施例では、ローブ部分14”は中実であり、スラスト要素22はローブ部分14”の上で旋回される。
【0056】
図5では、ロボット側部分1はロック解除構成/位置で示されており、球5は、カップ状要素12の各々の座6に収容され、環状制御要素14によって各々の座6内に保持されている。球5が環状制御要素14によって外部から保持されるため、球5はカップ状要素12から落下することはない。
【0057】
図6では、ロボット側部分1はロック構成/位置で示されており、球5は、環状制御要素14のランプ30によって及ぼされる推力により、各々の座6から内側に、即ち、長手方向軸線Z-Zに向って、部分的に突出している。座6が若干テーパー状であるため、即ち、座6は軸線Z-Zの方向により狭くなっているため、球5はカップ状要素12の内側に落下することはない。したがって、球5は、最高で
図6に示すくらい突出することができるが、それ以上に延在することはない。
【0058】
球5、ツール側部分2上の対応するニッチ6’、環状制御要素14、及びスラスト要素22のすべてが合わさって、ツール側部分2をロボット側部分1上にロックするためのロック手段を定義し、電気モータ16は、2つの部分1及び部分2を互いに対してロックするため、又は部分1と部分2とを分離させるために、そのような手段を作動及び作動停止させることができる。
【0059】
ツールチェンジャー100の動作は、
図5と
図6とを比較することによって理解することができる。
【0060】
図5に示すロック解除位置から始まって、電気モータ16が作動される、即ち、各々の駆動シャフト17が回転する。ギヤカスケード18は、ギヤの歯数の比によって定義される伝達比に従って、ギヤ23に回転を伝達する。次に、ギヤ23は、ギヤ23の上で旋回されるスラスト要素22に回転を伝達する。スラスト要素22が環状制御要素14のローブ部分14”に作られたガイド31に係合するので、回転中、スラスト要素22は、次にローブ部分14”上に推力を与え、それにより、環状制御要素14全体を長手方向軸線Z-Z上で回転させる。
【0061】
図5及び
図6に示す実例では、環状制御要素14は角度αだけ回転されている。換言すると、角度αは、ツールチェンジャー100をロック位置からロック解除位置に導き、また反対方向の回転を与えることによって逆の場合も同様に導くために、環状制御要素14に与えられるべき回転に対応する。
【0062】
図6を観察することにより、凹部29は、球5と整合されておらず、しかし角度αに相当する角度だけ角度方向に互い違いに配置されており、球5はランプ30上に当接しており、したがって、ランプ30と各々の凹部29とはαに相当する中心角を定義することに気づくことができる。
【0063】
好ましくは、スラスト要素22に対して安定した位置を定義する陥凹部32が、ガイド31に作られる。陥凹部は、ロボット側部分1が、例えば、停電により、電気モータ16に動力が供給されない場合に、ロック解除構成に偶発的に切り替わるのを防止することに寄与する。
【0064】
図に示す実例では、スラスト要素22とガイド31との間の相互作用は、ローラ26の回転によって促進される。
【0065】
球5がそれらの座6から長手方向軸線Z-Zに向かって部分的に突出し、ツール側部分2が第1の区画4に挿入される場合、球5の突出した部分は、ツール側部分2のオス部分3に存在するニッチ6’に挿入される。
【0066】
有利には、図で見られるように、各々の回転軸線26を長手方向軸線Z-Zに平行にしてモータ16を配することによって、ツールチェンジャー100の全体寸法を長手方向において厳密に最小化することができる。結果として、ツールチェンジャー100は、直交軸を有した、即ち、回転軸線が長手方向軸線に直交するように配された電気モータを有したツールチェンジャーに対して、同じ性能で、極めて小型となる。
【0067】
例えば、環状制御要素14は、固体からの機械加工によって、又はレーザーカットによって、金属板から得ることができる。
【0068】
好ましくは、環状制御要素14は、若干弾性のある、製造公差に起因する部品間における任意の可能な隙間の自動復帰を可能にし、さらにスラスト要素22上への前負荷の印加を可能にする形状構成(feature)である。
【0069】
図7及び
図8は、電気接続デバイス33が装着されたツールチェンジャー100を示している。電気接続デバイス33は、第1の区画4内のロボット側部分1に固定され得る第1のコネクタ34と、第2の区画4’内のツール側部分2に固定され得る第2のコネクタ35とを有する。コネクタ34及びコネクタ35は、ねじ36によってツールチェンジャー100の各々の部分1及び部分2に固定され得る。
【0070】
電力線37’は第1のコネクタ34に集結し、電力線37”は第2のコネクタに集結して、対応する電力線37’にそれぞれ接続されなければならない。この理由から、第2のコネクタ35には、線37”にそれぞれ接続される接続プラグ38が設けられており、第1のコネクタ34には対応する接続プラグ39が設けられている。
【0071】
コネクタ34及びコネクタ35は、同軸である、即ち、長手方向軸線Z-Zに沿って配されているため、ツール側部分2がロボット側部分1の区画4に挿入されると、2つのコネクタ34及びコネクタ35が機能的に結合される。即ち、プラグ38とプラグ39とが、電力線37’と電力線37”とを連続させるように電気的に接続される。ツール側部分2がロボット側部分1から分離されるとまた、コネクタ34とコネクタ35とは分離される。
【0072】
有利には、デバイス33により、電力線37’及び電力線37”が区画4を通って配置されることが可能となる。これにより、ツールの電力供給のために、ツールチェンジャー100が取り付けられるロボットの手首の中心から直接、電力線37’を使用することが可能となり、それによってツールチェンジャーの回転中にロボットのまわりで電力線(電源ケーブル)を移動させるのを回避することができる。換言すると、この解決策のおかげで、ツールを取り囲む邪魔で危険な電源ケーブルを回避することができ、よってツール自体の近くで働く人の安全を向上することができる。
【0073】
直上に記載した構成の代替案として、デバイス33はまた、電力線37’、37”を区画4(
図3)内において半径方向に開口したウィンドウ40に通過させることもできる。
【0074】
好ましくは、1つ以上の電力線37’及び/又は電力線37”は、スプリング・タッチ・プローブを有する。
【0075】
図9~
図11は、以下で説明するように、環状制御要素14の形状においてのみ第1の実施例100と異なる、本発明によるツールチェンジャーの第2の実施例101を示している。
【0076】
具体的には、
図9は、ロック構成における、即ち、球5が各々の座6から(区画4の中心を通過する)長手方向軸線Z-Zに向かって部分的に突出している、ロボット側部分1の平面図であり、一方、
図10は、ロック解除構成における、即ち、球5がカップ状要素12に作られた各々の座6に完全に受容されている、ロボット側部分1の平面図である。
【0077】
図11は、球5が示されている
図9の一部の拡大図である。
【0078】
図9~
図11を参照すると、この実施例では、環状制御要素14上に作られた凹部29に隣接するランプ30’は、半径方向(破線R)に対する接面となる(平面T)。即ち、ランプ30’は、
図9及び
図11に最も良好に示されるように、長手方向軸線Z-Zを通過する区画4の直径に直交する平面上にそれぞれ延在する。この構成は、環状制御要素14の回転を引き起こし得るトルクが発生する環状制御要素14の位置が存在しないということを意味する。理由は簡単である。つまり、球5は、推力を半径方向においてのみ伝達することができるが、ランプ30’がその方向に直交しているため、環状制御要素14上において非半径方向の推力は発生しない。結果として、環状制御要素14は、ツール側部分2を偶発的に回転させて、解放することがない。