(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】(S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリルを含む医薬組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20240517BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240517BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240517BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240517BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240517BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240517BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240517BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240517BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K47/26
A61K47/24
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/36
A61K9/48
A61P35/00
A61P7/00
(21)【出願番号】P 2021539972
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 US2020012649
(87)【国際公開番号】W WO2020146441
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】アンジャリ アグラワル
(72)【発明者】
【氏名】ミン ジェイ. シェン
(72)【発明者】
【氏名】シャム バブ カーキ
(72)【発明者】
【氏名】プラジュワル ガンワンス スール
(72)【発明者】
【氏名】ドーラ ヴィスキー
(72)【発明者】
【氏名】ルイミン シェ
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特許第7258009(JP,B2)
【文献】特開2023-116613(JP,A)
【文献】特表2022-516974(JP,A)
【文献】特表2022-518175(JP,A)
【文献】特表2021-525362(JP,A)
【文献】特表2016-532657(JP,A)
【文献】特表2006-503032(JP,A)
【文献】国際公開第2013/087516(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/191806(WO,A2)
【文献】特表2013-519675(JP,A)
【文献】Australian Journal of Pharmacy,2017年,Vol.98,pp.78-83
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61P 35/00
A61P 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1、
【化1】
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、及び担体または希釈剤を含む、医薬組成物
であって、該担体または希釈剤はマンニトールであり、かつ、マンニトールの量は約80~約98重量%である、前記医薬組成物。
【請求項2】
流動促進剤、酸性化剤、潤滑剤、またはそれらの混合物をさらに含む、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
1)約0.05~約3重量%の量の化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、2)約80~約98重量%の量のマンニトール、3)約0~約10重量%の量の流動促進剤、4)約0~約6重量%の量の酸性化剤、及び5)約0~約8重量%の量の潤滑剤を含む、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
化合物1の遊離塩基
を含む、請求項
3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記化合物1の遊離塩基は、該化合物1の結晶性遊離塩基である、請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記化合物1の遊離塩基は
、14.6
、18.3
、22.3、及び23.1°の2θ
±0.2°2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項
4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の量は、約0.1~約1.5重量%であるか、または約0.13~約1重量%である、請求項
3~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記マンニトールの量は、約85~約95重量%であるか、または約90~約93重量%である、請求項
3~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記流動促進剤は、シリカジメチルシリレート、またはコロイド状二酸化ケイ素である、請求項
3~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記流動促進剤の量は、約0.25~約3重量%であるか、または約0.5~約2重量%である、請求項
3~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記酸性化剤は、フマル酸である、請求項
3~10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記酸性化剤の量は、約2~約5重量%であるか、または約3重量%である、請求項
3~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記潤滑剤は、ステアリン酸である、請求項
3~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記潤滑剤の量は、約2~約6重量%であるか、または約4重量%である、請求項
3~13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項
3に記載の医薬組成物であって、
1)約0.13重量%の量の化合物1、2)約92.37重量%の量のマンニトール、3)約0.5重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含み、任意で約75mgの総重量を有し、任意でサイズ4のカプセル内に含有される、前記医薬組成物、
1)約0.5重量%の量の化合物1、2)約91.5重量%の量のマンニトール、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含み、任意で約100mgの総重量を有し、任意でサイズ3のカプセル内に含有される、前記医薬組成物、または、
1)約1重量%の量の化合物1、2)約90重量%の量のマンニトール、3)約2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含み、任意で約200mgの総重量を有し、任意でサイズ2のカプセル内に含有される、前記医薬組成物。
【請求項16】
化合物1:
【化2】
またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、及び担体または希釈剤を含む医薬組成物であって、該担体または希釈剤は、デンプンとラクトースの混合物である、
前記医薬組成物。
【請求項17】
流動促進剤、酸性化剤、潤滑剤、崩壊剤またはそれらの混合物をさらに含む、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
1)約0.05~約3重量%の量の化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、2)約70~約90重量%の量のデンプンとラクトースの混合物、3)約0~約10重量%の量の流動促進剤、4)約0~約8重量%の量の酸性化剤、5)約0~約8重量%の量の潤滑剤、及び6)約0~約20重量%の量の崩壊剤を含む、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
化合物1の遊離塩基
を含む、請求項
18に記載の医薬組成物であって、
任意で、該化合物1の遊離塩基は、該化合物1の結晶性遊離塩基であるか、または
、14.6
、18.3
、22.3、及び23.1°の2θ
±0.2°2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする、前記医薬組成物。
【請求項20】
前記化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の量は、約0.1~約1.5重量%、または約0.13~約1重量%である
か、
前記デンプンは、部分的にアルファ化されたデンプンであるか、
前記ラクトースは、無水ラクトースであるか、
該デンプンの量は約17~約22重量%でありかつ該ラクトースの量は約53~約68重量%であるか、
該デンプンの量は約18~約21重量%でありかつ該ラクトースの量は約57~約64重量%であるか、もしくは、該デンプンの量は約19~約20重量%でありかつ該ラクトースの量は約61~約62重量%であるか、
該デンプンとラクトースの混合物の量は、約75~約85重量%、もしくは約80~約82重量%であるか、
該デンプンと該ラクトースの重量比は、約1:2~約1:4、もしくは約1:3~約1:3.3であるか、
前記流動促進剤は、シリカジメチルシリレート、またはコロイド状二酸化ケイ素であるか、
該流動促進剤の量は、約0.25~約3重量%、もしくは約0.5~約1重量%であるか、
前記酸性化剤は、フマル酸であるか、
該酸性化剤の量は、約2~約6重量%、もしくは約4重量%であるか、
前記潤滑剤は、ステアリン酸であるか、
該潤滑剤の量は、約2~約6重量%、もしくは約4重量%であるか、
前記崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムであるか、または、
該崩壊剤の量は、約5~約15重量%、もしくは約10重量%である、
請求項18または19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
請求項
18に記載の医薬組成物であって、
1)約0.13重量%の量の化合物1、2)約20重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61.4重量%の量の無水ラクトース、3)約0.5重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含み、任意で約75mgの総重量を有し、任意でサイズ4のカプセル内に含有される、前記医薬組成物、
1)約0.5重量%の量の化合物1、2)約19.5重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61重量%の量の無水ラクトース、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含み、任意で約100mgの総重量を有し、任意でサイズ3のカプセル内に含有される、前記医薬組成物、または、
1)約1重量%の量の化合物1、2)約19重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61重量%の量の無水ラクトース、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含み、任意で約200mgの総重量を有し、任意でサイズ2のカプセル内に含有される、前記医薬組成物。
【請求項22】
多発性骨髄腫を治療するための、請求項1~
21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項1~
21のいずれか1項に記載の医薬組成物を調製する方法であって、化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、疎水性シリカでコーティングすることを含み、
任意で、該コーティングは、追加の賦形剤でブレンドする前に、該化合物1、またはその鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と、該疎水性シリカとをブレンドし、二成分ブレンドを形成することによって行われるか、または、
該疎水性シリカは、シリカジメチルシリレートである、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月9日に出願された米国仮出願第62/790,229号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
1.分野
(S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリル、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩、及び担体または希釈剤を含む医薬組成物を、本明細書で提供する。様々な疾患を治療、予防、及び管理するためのそのような医薬組成物の使用方法もまた、本明細書で提供する。
【背景技術】
【0003】
2.背景
多発性骨髄腫(MM)は、骨髄中の形質細胞のがんである。通常、形質細胞は、抗体を産生し、免疫機能において重要な役割を果たす。しかしながら、これらの細胞の制御されない増殖は、骨痛と骨折、貧血、感染、及び他の合併症を引き起こす。多発性骨髄腫は、2番目に一般的な血液悪性腫瘍であるが、多発性骨髄腫の正確な原因は不明なままである。多発性骨髄腫は、血液、尿、臓器中に、Mタンパク質及び他の免疫グロブリン(抗体)、アルブミン、ならびにベータ-2-ミクログロブリンを含むがこれらに限定されない高レベルのタンパク質を引き起こすが、例外として、一部の患者(推定1%~5%)は、骨髄腫細胞がこれらのタンパク質を分泌しない(非分泌性骨髄腫と呼ばれる)。パラプロテインとしても知られるモノクローナルタンパク質の略であるMタンパク質は、骨髄腫形質細胞によって産生される特に異常なタンパク質であり、多発性骨髄腫を有するほぼすべての患者の血液または尿中に見いだされ得るが、非分泌性骨髄腫を有する患者またはその骨髄腫細胞が重鎖と共に免疫グロブリン軽鎖を産生する患者を除く。
【0004】
骨痛を含む骨格症状は、多発性骨髄腫の最も臨床的に重要な症状の1つである。悪性形質細胞は、破骨細胞刺激因子(IL-1、IL-6及びTNFを含む)を放出し、それにより骨からのカルシウム溶出が引き起こされて溶解性病変を生じさせる。高カルシウム血症はもう一つの症状である。サイトカインとも呼ばれる破骨細胞刺激因子は、アポトーシス、すなわち、骨髄腫細胞の死を妨げ得る。患者の50パーセントは、診断時、X線検査で検出可能な骨髄腫関連骨格病変を有する。多発性骨髄腫の他の一般的な臨床症状は、多発性神経障害、貧血、過粘稠、感染症、及び腎不全を含む。
【0005】
現在の多発性骨髄腫療法は、患者における多発性骨髄腫細胞を根絶するための手術、幹細胞移植、化学療法、免疫療法、及び/または放射線治療のうちの1つ以上を含み得る。現在の治療アプローチのすべては、患者に対する顕著な欠点を呈する。
【0006】
過去10年間で、新規治療剤、特にレナリドマイド及びポマリドマイドなどの免疫調節薬により、多発性骨髄腫患者の奏効率が有意に向上し、無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)が延長された。しかしながら、多発性骨髄腫を有する多くの患者では、これらの患者が完全奏効(CR)を達成した後でさえも、骨髄(BM)形態、免疫固定を伴うタンパク質電気泳動、及び軽鎖定量の感度を下回る持続的なレベルの残存病変が存在し、最終的には疾患の再発を引き起こす。骨髄腫の微小残存病変(MRD)は、無増悪生存期間(PFS)の独立した予測因子であり、効果的な治療法の同定を向上させるための代替試験のエンドポイントとして、特に生存差を同定するために現在5~10年の経過観察を必要とする最先端試験で研究されている。したがって、多発性骨髄腫を有する患者の微小残存病変(MRD)をモニタリングすることにより、PFS及びOSを予測し、治療法を決定する際の予後値が得られる。骨髄腫における微小残存病変(MRD)の検出では、治療後に0.01%の閾値(10-4)が使用される場合があり、すなわち、総骨髄単核細胞に対する割合として、10-4細胞以下の多発性骨髄腫細胞を有することはMRD陰性と見なされ、10-4細胞以上はMRD陽性と見なされる。10-4のMRD閾値は、元々技術的能力に基づいていたが、現在、フローサイトメトリーでは10-5、ハイスループットシーケンシングでは10-6で定量的MRD検出が可能である。(Rawstron et al.,Blood 2015;125(12):1932-1935)。 MRDの測定方法として、VDJのDNAシーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(対立遺伝子特異的PCR、ASO PCRを含む)、及びマルチパラメーターフローサイトメトリー(MPF)が挙げられる。例えば、クロノタイプ特性測定に基づくMRDのアッセイはまた、参照により本明細書に援用される、Fahamらの米国特許第8,628,927号に記載されている。
【0007】
従来の療法に伴う毒性及び/または副作用を低減または回避しながら、多発性骨髄腫が新たに診断されたか、または標準治療に難治性である患者に対するものを含む、多発性骨髄腫を治療、予防及び管理するための安全かつ効果的な化合物及び方法が非常に必要とされている。
【0008】
可能な医薬組成物(例えば、異なる賦形剤を含む経口投与製剤)の多様さにより、所与の医薬化合物に物理的及び化学的特性の潜在的多様性がもたらされる。医薬組成物の発見及び選択は、有効な安定した市場性のある医薬品の開発に非常に重要である。
【発明の概要】
【0009】
化合物1:
【化1】
もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩、及び担体または希釈剤を含む医薬組成物(例えば、経口投与製剤)を、本明細書で提供する。化合物1の化学名は、(S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリルである。医薬組成物を調製する方法もまた、本明細書で提供する。
【0010】
一実施形態では、担体または希釈剤は、マンニトールである。一実施形態では、担体または希釈剤は、デンプンとラクトースの混合物である。
【0011】
本明細書に記載の医薬組成物は、動物またはヒトで使用するための有用な製剤である。したがって、本明細書の実施形態は、最終医薬品としてのこれらの医薬組成物の使用を包含する。ある特定の実施形態は、とりわけ最終医薬品の製造、加工、製剤化及び/または保管のために必要とされる、例えば粉末流動特性、圧縮特性、錠剤化特性、安定特性、及び賦形剤相容性特性などの特性が改善された最終剤形を作り出す際に有用な医薬組成物を提供する。
【0012】
有効な濃度の本明細書に記載の化合物1を含む、適切な経路及び手段による投与のために製剤化された医薬組成物もまた提供する。一実施形態では、医薬組成物は経口投与製剤である。一実施形態では、医薬組成物は即時放出(IR)経口投与製剤である。
【0013】
一実施形態では、医薬組成物は多発性骨髄腫の治療に有効な量を送達する。一実施形態では、医薬組成物は多発性骨髄腫の予防に有効な量を送達する。一実施形態では、医薬組成物は多発性骨髄腫の寛解に有効な量を送達する。
【0014】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む多発性骨髄腫の治療方法である。療法、例えば多発性骨髄腫またはその症状に対して活性を有する別の医薬剤と組み合わせて、本明細書に記載の医薬組成物を使用する併用治療もまた、本明細書で提供する。本方法の範囲内にある療法の例としては、手術、化学療法、放射線療法、生物学的療法、幹細胞移植、細胞療法、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
医薬組成物の成分の1つ以上が充填された1つ以上の容器を備える、医薬パックまたはキットをさらに提供する。場合により、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により定められた形式の通知書を、そのような容器(複数可)に付属させることができ、この通知書は、ヒトへの投与に関する製造、使用または販売の政府機関による承認が反映されたものである。パックまたはキットには、投与様式、薬物投与の順序(例えば、別々、順次、または同時)などに関する情報のラベルが付けられることがある。
【0016】
本明細書に記載の医薬組成物を調製するためのプロセスもさらに提供する。一実施形態では、プロセスは、活性成分を疎水性シリカでコーティングすることを含む。
【0017】
本明細書に記載の主題のこれら及び他の態様は、以下の発明を実施するための形態を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
4.図面の簡単な説明
【
図1】化合物1の遊離塩基の形態Kの代表的なX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0019】
【
図2】化合物1の遊離塩基の形態K´の代表的なXRPDパターンを示す。
【0020】
【
図3】二成分相容性研究による加水分解及び酸化不純物の結果を示す。
【0021】
【
図4】二成分相容性研究によるキラル不純物の結果を示す。
【0022】
【
図5A】相対保持時間(RRT)が4.2分での分解生成物に関連するカプセルの安定性プロファイルを示す。
【
図5B】相対保持時間(RRT)が7.1分での分解生成物に関連するカプセルの安定性プロファイルを示す。
【
図5C】相対保持時間(RRT)が7.6分での分解生成物に関連するカプセルの安定性プロファイルを示す。
【
図5D】相対保持時間(RRT)が11.3分での分解生成物に関連するカプセルの安定性プロファイルを示す。
【0023】
【
図6】異なるカプセルのキラル不純物プロファイルを示す。
【0024】
【
図7】pH2(0~90分)及び6.8(90~150分)での2mg製剤の2段階溶解を示す。
【0025】
【
図8】カプセル25、カプセル29、カプセル33、及びカプセル34の溶解放出プロファイルの比較を示す。
【0026】
【
図9】マンニトール及びデンプン-ラクトースベースのカプセル内ブレンド(BIC)製剤の加速安定性評価を示す。
【0027】
【
図10】フマル酸及びマレイン酸を含むマンニトールBIC製剤の加速安定性評価の比較を示す。
【0028】
【
図11】フマル酸及びマレイン酸を含むマンニトールベースBIC製剤の化学分解プロファイルの比較を示す。
【0029】
【
図12】崩壊剤を含む、及び崩壊剤を含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤、ならびにマンニトールベースBIC製剤の酸化分解(酸化-1)プロファイルの比較を示す。
【0030】
【
図13】崩壊剤を含む、及び崩壊剤を含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤、ならびにマンニトールベースBIC製剤の酸化分解(酸化-2)プロファイルの比較を示す。
【0031】
【
図14】崩壊剤を含む、及び崩壊剤を含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤、ならびにマンニトールベースBIC製剤の加水分解(加水分解-1)プロファイルの比較を示す。
【0032】
【
図15】崩壊剤を含む、及び崩壊剤を含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤、ならびにマンニトールベースBIC製剤の加水分解(加水分解-2)プロファイルの比較を示す。
【0033】
【
図16】崩壊剤を含む、及び崩壊剤を含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤、ならびにマンニトールベースBIC製剤のキラル不純物プロファイルの比較を示す。
【0034】
【
図17】Aは、Aerosil R-972でコーティングされていない、Bは、2%のAerosil R-972でコーティングされた、化合物1結晶のSEM画像を示す。
【0035】
【
図18A】5%のAerosil R-972でコーティングされた化合物1結晶のSEM画像を示す。
【
図18B】5%のAerosil 300でコーティングされた化合物1結晶のSEM画像を示す。
【
図18C】5%のAerosil 200でコーティングされた化合物1結晶のSEM画像を示す。
【
図18D】シリカでコーティングされていない化合物1結晶のSEM画像を示す。
【0036】
【
図19】異なるグレードのシリカの薬物-賦形剤の相溶性の比較を示す。
【0037】
【
図20】2mgのデンプン-ラクトースBIC製剤の溶解放出プロファイルに対する異なる量のAerosil 200 Pharmaの影響を示す。
【0038】
【
図21】0.1mg、0.5mg、及び2mgのマンニトール及びデンプン-ラクトースBIC製剤の粉体流動挙動を示す。
【0039】
【
図22】2%のAerosil 200及び1%のAerosil 200を使用した2mgのデンプン-ラクトースBIC製剤の含量均一性(CU)の評価の比較を示す。
【0040】
【
図23】0.1mgのマンニトールBIC製剤及びデンプン-ラクトースBIC製剤の溶解プロファイルの比較を示す。
【0041】
【
図24】0.5mgのマンニトールBIC製剤及びデンプン-ラクトースBIC製剤の溶解プロファイルの比較を示す。
【0042】
【
図25】2mgのマンニトールBIC及びデンプン-ラクトースBIC製剤の溶解プロファイルの比較を示す。
【0043】
【
図26】乾燥剤を含まないHDPEボトルに入った0.1mg、0.5mg、及び2mgのマンニトールBIC製剤の安定性データ(化学分解物)を示す。
【0044】
【
図27】0.1mg、0.5mg、及び2mgのマンニトールBIC製剤のキラル不純物プロファイルを示す。
【0045】
【
図28】0.1mgのマンニトールBIC及びデンプン-ラクトースBIC製剤の溶解安定性データの比較を示す。
【0046】
【
図29】0.5mgのマンニトールBIC製剤及びデンプン-ラクトースBIC製剤の溶解安定性データの比較を示す。
【0047】
【
図30】2mgのマンニトールBIC製剤及びデンプン-ラクトースBIC製剤の溶解安定性データの比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
5.詳細な説明
5.1 定義
本明細書で使用される場合、ならびに明細書及び付随する特許請求の範囲において、不定冠詞「a」及び「an」ならびに定冠詞「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数及び単一の指示対象を含む。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は同じ意味で用いられる。用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、記載された特徴または成分の存在を参照されるように指定することとして解釈されるが、1つ以上の特徴もしくは成分、またはその群の存在または追加を妨げるものではない。追加的に、用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、用語「からなる(consisting of)」によって包含される例を含むことが意図される。したがって、用語「からなる(consisting of)」は、本発明のより特定の実施形態を提供するために、用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用され得る。
【0050】
用語「からなる(consisting of)」とは、対象物が、それが構成する少なくとも90%、95%、97%、98%または99%の記載する特徴または成分を有することを意味する。別の実施形態では、用語「~からなる(consisting of)」は、達成されるべき技術的効果にとって必須ではないものを除いて、任意の後続の記述の範囲から任意の他の特徴または成分を除外する。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「または」は、任意の1つまたは任意の組み合わせを意味する包括的な「または」として解釈される。したがって、「A、BまたはC」とは、「A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;A、B及びC」のうちのいずれかを意味する。この定義の例外は、要素、機能、ステップまたは行為の組み合わせが、なんらかの形で本質的に互いに排他的な場合にのみ生じる。
【0052】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、用語「約」及び「およそ」は、組成物または剤形の成分の用量、量、または重量パーセントに関して使用される場合、指定された用量、量、または重量パーセントから得られるものと等価な薬理学的効果をもたらすために、当業者により認識される用量、量、または重量パーセントを意味する。ある特定の実施形態では、用語「約」及び「およそ」は、この文脈で使用される場合、指定された用量、量、または重量パーセントの30%以内、20%以内、15%以内、10%以内、または5%以内の用量、量、または重量パーセントを企図する。
【0053】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、用語「約」及び「およそ」は、例えば、融解、脱水、脱溶媒和またはガラス転移温度を記述する例えば、特定の温度または温度範囲;例えば、温度または湿度に応じた質量変化などの質量変化;例えば、質量もしくは百分率に換算された溶媒もしくは水分含有量;または、例えば、IRもしくはラマン分光法もしくはXRPDによる分析におけるピーク位置などの、特定の固体形態を特徴付けるために提供される数値もしくは値の範囲に関連して使用される場合、その値または値の範囲が、特定の固体形態を依然として説明する一方で、当業者にとって合理的であると見なされる程度で逸脱し得ることを示す。例えば、特定の実施形態では、用語「約」及び「およそ」は、この文脈で使用する場合、数値または値の範囲が、記載の値または値の範囲の25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.5%、1%、0.5%、または0.25%以内で変動し得ることを示す。例えば、いくつかの実施形態では、XRPDピーク位置の値は、特定のXRPDピークを依然として描写するものの、最大±0.2°の2θまで変動し得る。本明細書で使用される場合、数値または値の範囲に先行するチルダ(すなわち「~」)は、「約」または「およそ」を示す。
【0054】
特に指定がない限り、用語「X線粉末回折」、「粉末X線回折」、「PXRD」、及び「XRPD」は、本出願において同じ意味で用いられる。
【0055】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、用語「固体形態」及び関連用語は、主に液体または気体状態ではない物理的形態を指す。本明細書で使用される場合、用語「固体形態(単数)」及び「固体形態(複数)」は、半固体を包含する。固体形態は、結晶、非晶質、部分結晶、部分非晶質、または混合の形態であってもよい。
【0056】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、本明細書で使用する用語「結晶」及び関連用語は、物質、成分、製品、または形態を説明するために使用する場合、その物質、成分、製品、または形態が実質的に、例えばX線回折によって決定される結晶であることを意味する。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,Lippincott,Williams and Wilkins,Baltimore,MD(2005)、The United States Pharmacopeia,23rdedition,1843-1844(1995)を参照されたい。
【0057】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、本明細書で使用される用語「非晶質」及び「非晶質形態」、ならびに関連用語は、問題の物質、成分、または生成物が、X線回折によって決定されるように実質的に結晶性ではないことを意味する。具体的には、用語「非晶質形態」は、不規則な固体形態、すなわち、長範囲の結晶性秩序を欠く固体形態を説明する。ある特定の実施形態では、物質の非晶質形態は、他の非晶質形態及び/または結晶形態を実質的に含まない。他の実施形態では、物質の非晶質形態は、重量ベースで、約1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%未満の1つ以上の他の非晶質形態及び/または結晶形態を含み得る。ある特定の実施形態では、物質の非晶質形態は、物理的及び/または化学的に純粋であり得る。ある特定の実施形態では、物質の非晶質形態は、物理的及び/または化学的に、約99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%または90%純粋であり得る。ある特定の実施形態では、物質の非晶質形態は、追加の構成要素または成分(例えば、非晶質形態をさらに安定化させるように作用し得る添加剤、ポリマー、または賦形剤)を含んでいてもよい。ある特定の実施形態では、非晶質形態は、固溶体であってもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、用語「薬学的に許容される塩」は、無機酸及び有機酸を含む、薬学的に許容される比較的毒性がない酸から調製された塩を指す。ある特定の実施形態では、好適な酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、炭酸、クエン酸、二水素リン酸、エテンスルホン酸、フマル酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イソ酪酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、一水素炭酸、一水素-リン酸、一水素硫酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、フタル酸、プロピオン酸、コルク酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、などが挙げられるが、これらに限定されない (S.M.Berge et al.,J.Pharm.Sci.,66:1-19 (1977)、及びHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,P.H.Stahl and C.G.Wermuth,Eds.,(2002),Wiley,Weinheimを参照されたい)。ある特定の実施形態では、好適な酸は、強酸(例えば、pKaが約1未満)であり、そのような強酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ピリジン-スルホン酸、または他の置換されたスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。例えばアスパラギン酸などのアミノ酸を含む、酸性の特長を有する他の比較的毒性がない化合物、及び、アスピリン、イブプロフェン、サッカリンなどの他の化合物の塩も含まれる。酸付加塩は、適切または好適な溶媒内にて、化合物の中性形態を充分な量の所望の酸と接触させることによって得ることができる。塩は、固体として、結晶もしくは非晶質形態、またはこれらの混合物内に存在する場合がある。塩は、多形性形態で存在する場合もある。
【0059】
本明細書で使用される場合、「多発性骨髄腫」は、悪性形質細胞を特徴とする血液学的状態を指し、以下の疾患、すなわち、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS);低リスク、中リスク、及び高リスクの多発性骨髄腫;新たに診断された多発性骨髄腫(低リスク、中リスク、及び高リスクの新たに診断された多発性骨髄腫を含む);移植適応及び移植不適応の多発性骨髄腫;くすぶり型(無痛性)多発性骨髄腫(低リスク、中リスク、及び高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫を含む);活動性多発性骨髄腫;孤立性形質細胞腫;髄外性形質細胞腫;形質細胞白血病;中枢神経系多発性骨髄腫;軽鎖骨髄腫;非分泌性骨髄腫;免疫グロブリンD骨髄腫;ならびに免疫グロブリンE骨髄腫;ならびにサイクリンD転座(例えば、t(11;14)(q13;q32);t(6;14)(p21;32);t(12;14)(p13;q32))またはt(6,20));MMSET転座(例えば、t(4;14)(p16;q32));MAF転座(例えば、t(14;16)(q32;q32);t(20;22);t(16;22)(q11;q13);またはt(14;20)(q32;q11));または他の染色体因子(例えば、17p13または染色体13の欠失;del(17/17p)、非高二倍性、及びgain(1q))などの遺伝的異常を特徴とする多発性骨髄腫を含む。
【0060】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、治療される疾患または状態、例えば、多発性骨髄腫に伴う症状の重症度を軽減または低減することを指す。
【0061】
用語「予防」は、特定の疾患または障害、例えば、多発性骨髄腫の症状の阻害を含む。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫の家族歴を有する患者は、予防レジメンの候補である。一般に、用語「予防すること」は、特に多発性骨髄腫のリスクがある患者への、症状発生前の薬剤の投与を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、別段示されない限り、用語「管理すること」は、多発性骨髄腫などの特定の疾患または障害の再発を、それを患った患者において予防すること、疾患または障害を患った患者が寛解し続ける時間を延長すること、患者の死亡率を低減すること、及び/または管理されている疾患または状態に伴う症状の重症度の低減または回避を維持することを包含する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」は、動物、典型的に、ヒト患者などのヒトを含む哺乳動物である。
【0064】
用語「再発性」とは、治療後に多発性骨髄腫が寛解した患者において、骨髄に骨髄腫細胞が復帰し、及び/または正常な細胞が減少する状況を指す。
【0065】
用語「難治性または抵抗性」とは、集中治療後でさえも、患者の骨髄において、骨髄腫細胞が残存し、及び/または正常細胞が減少している状況を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「導入療法」とは、疾患に対して行う最初の治療、またはがんなどの疾患の完全寛解を誘導する目的で行う最初の治療を指す。それ自身で使用する場合、導入療法は、最善の治療として認められる療法である。残存するがんが検出される場合、患者を、再導入と呼ばれる別の療法で治療する。導入療法後に患者が完全寛解にある場合、追加の地固め療法及び/または維持療法を行い、患者の寛解を延長するか、または潜在的に治癒する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「地固め療法」とは、寛解が最初に達成された後に、疾患に対して行う治療を指す。例えば、がんの地固め療法は、初期治療後にがんが消失した後に行う治療である。地固め療法として、放射線療法、幹細胞移植、またはがん薬物療法を用いた治療が挙げられ得る。地固め療法はまた、強化療法及び寛解後療法とも称される。
【0068】
本明細書中で使用される場合、「維持療法」は、寛解または最良の奏効が達成された後に、再発を予防するか、または遅延させるために、疾患に対して与えられる治療を指す。維持療法は、化学療法、ホルモン療法、または標的療法を含み得る。
【0069】
「寛解」とは、本明細書で使用される場合、がん、例えば、多発性骨髄腫の兆候及び症候の減少または消失である。部分寛解では、がんの兆候及び症候のあるものが消失するが、すべてではない。完全寛解では、がんのすべての兆候及び症候が消失するが、がんは依然として体内に存在する可能性がある。
【0070】
本明細書で使用される場合、「移植」とは、幹細胞救済を伴う高線量治療を指す。造血(血液)または骨髄幹細胞は、治療としてではなく、例えば高線量化学療法及び/または放射線などの高線量治療後に患者を救済するために使用される。移植には、「自家」幹細胞移植(ASCT)が含まれ、これは、代替細胞として採取されて、使用される患者本人の幹細胞の使用を指す。いくつかの実施形態では、移植はまた、タンデム移植または複合移植を含む。
【0071】
本明細書で使用される場合、及び別途指定されない限り、化合物の「治療上有効な量」及び「有効量」は、疾患、例えば、多発性骨髄腫の治療、予防及び/もしくは管理に治療上の利点を提供するか、または治療される疾患もしくは障害に伴う1つ以上の症状を遅延させるか、もしくは最小限に抑えるのに充分な量を指す。用語「治療上有効な量」及び「有効量」は、全体的な療法を改善するか、疾患もしくは障害の症状もしくは病因を低減もしくは回避するか、または別の治療剤の治療効力を増強する量を包含し得る。
【0072】
用語「共投与」及び「組み合わせて」とは、1つ以上の治療剤(例えば、本明細書に記載の化合物及び別の抗多発性骨髄腫薬、抗がん剤または支持療法薬)を、同時に、一斉に、または特定の時間制限なく連続して投与することを含む。一実施形態では、薬剤は、細胞または患者の体内に同時に存在するか、または生物学的効果もしくは治療効果を同時に及ぼす。一実施形態では、治療剤は、同じ組成物または単位剤形中にある。別の実施形態では、治療剤は、別の組成物または単位剤形中にある。
【0073】
用語「支持療法薬」は、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩を用いる治療からの有害作用を治療、予防または管理する任意の物質を指す。
【0074】
用語「生物学的療法」は、臍帯血、幹細胞、成長因子などの生物学的治療剤の投与を指す。
【0075】
多発性骨髄腫などのがんの文脈において、阻害は、とりわけ、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の低減、腫瘍関連症状の軽減、腫瘍分泌因子の阻害、原発性または続発性腫瘍の出現の遅延、原発性または続発性腫瘍の発達の鈍化、原発性または続発性腫瘍の発生の減少、疾患の続発的効果の遅延またはその重症度の減少、腫瘍成長の停止及び腫瘍の退縮、無増悪期間(TTP)の増加、無増悪生存期間(PFS)の増加、全生存期間(OS)の増加によって評価され得る。OSは、本明細書で使用される場合、治療開始からなんらかの原因による死亡までの時間を意味する。TTPは、本明細書で使用される場合、治療開始から腫瘍進行までの時間を意味するが、TTPは、死亡を含まない。一実施形態では、PFSは、治療開始から腫瘍進行または死亡までの時間を意味する。一実施形態では、PFSは、化合物の最初の投与から、疾患進行の最初の発生または任意の原因による死亡までの時間を意味する。一実施形態では、PFS率は、カプランマイヤー推定を使用して算出される。無事象生存期間(EFS)は、治療開始から、疾患進行、任意の理由による治療中止、または死亡を含む、任意の治療失敗までの時間を意味する。一実施形態では、全奏効率(ORR)は、奏効を達成した患者のパーセンテージを意味する。一実施形態では、ORRは、完全奏効及び部分奏効を達成した患者のパーセンテージの合計を意味する。一実施形態では、ORRは、IMWG Uniform Response Criteriaに従って、自身の最良奏効が部分奏効(PR)以上である患者のパーセンテージを意味する。一実施形態では、奏効期間(DoR)は、奏効を達成してから再発または疾患進行までの時間である。一実施形態では、DoRは、部分奏効(PR)以上の奏効を達成してから再発または疾患進行までの時間である。一実施形態では、DoRは、奏効が最初に文書で記録されてから進行性疾患または死亡が最初に文書で記録されるまでの時間である。一実施形態では、DoRは、部分奏効(PR)以上の奏効が最初に文書で記録されてから進行性疾患または死亡が最初に文書で記録されるまでの時間である。一実施形態では、奏効までの期間(TTR)は、化合物の最初の投与から奏効が最初に文書で記録されるまでの時間を意味する。一実施形態では、TTRは、化合物の最初の投与から、部分奏効(PR)以上の奏効が最初に文書で記録されるまでの時間を意味する。極端な場合、完全阻害は、本明細書中で、予防または化学予防と称される。この文脈において、用語「予防」は、臨床的に明らかながんの発生を完全に予防すること、または前臨床的に明白なステージのがんの発生を予防することのいずれかを含む。また、この定義によって包含されることを意図するのは、悪性細胞への形質転換の予防、または前悪性細胞から悪性細胞への進行の停止もしくは反転である。これは、がんを発症するリスクがあるものの予防的治療を含む。
【0076】
ある特定の実施形態では、多発性骨髄腫の治療を、以下に示す効果判定及びエンドポイント定義を使用して、多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準(IURC)によって評価してもよい(Durie BGM,Harousseau J-L,Miguel JS,et al.International uniform response criteria for multiple myeloma.Leukemia,2006;(10)10:1-7を参照されたい)。
【表1】
略語:CR、完全奏効;FLC、遊離軽鎖;PR、部分奏効;SD、不変;sCR、厳密な完全奏効;VGPR、最良部分奏効。
aすべての効果判定カテゴリは、任意の新規療法を実施する前の任意の時点で行う2つの連続評価を必要とし;すべてのカテゴリはまた、X線検査を実施していた場合に、進行性病変または新規骨病変の既知のエビデンスが存在していなかったことも必要である。これらの効果判定要件を満たすためにX線検査は必要ない。
b骨髄生検を繰り返すことによる確認は必要ない。
cクローン細胞の有無は、κ/λ比に基づく。κ/λ比の異常を免疫組織化学検査及び/または免疫蛍光法により分析するためには、最低でも100個の形質細胞を必要とする。異常なクローンの存在を反映する異常な比率は、κ/λが4:1超または1:2未満である。
d以下の測定値の少なくとも1つによって定義される測定可能な疾患:骨髄形質細胞が30%以上;血清Mタンパク質が1g/dl以上(10gm/l以上)[10g/l];尿中Mタンパク質が200mg/24時間以上;血清FLCアッセイ:腫瘍由来FLCレベルが10mg/dl以上(100mg/l以上);ただし、血清FLC比が異常である場合。
【0077】
本明細書で使用される場合、ECOGステータスとは、以下に示すとおり、米国東海岸がん臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス(Oken M,et al Toxicity and response criteria of the Eastern Cooperative Oncology Group.Am J Clin Oncol 1982;5(6):649-655)を指す。
【表2】
【0078】
特に指定がない限り、本明細書に記載の化合物の描写された化学構造と本明細書に記載の化合物の化学名との間に不一致がある場合、化学構造を優先するものとする。
【0079】
5.2 化合物1を含む医薬組成物
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、化合物1、
【化2】
もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩、及び担体または希釈剤を含む医薬組成物(例えば、経口投与製剤)である。
【0080】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、患者への経口投与に適している。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、有利な物理的及び/または薬理学的特性を示す。そのような特性には、アッセイの容易さ、含量均一性、製造に対する流動特性、溶解及び生物学的利用能、ならびに安定性が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、冷蔵を伴わずに、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約24ヶ月、少なくとも約30ヶ月、または少なくとも約36ヶ月の保存寿命を有する。ある特定の実施形態では、「冷蔵を伴わない」とは、20℃以上の温度を指す。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、冷蔵条件下で保存される。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、冷蔵された状況下で保管される場合、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約24ヶ月、少なくとも約30ヶ月、または少なくとも約36ヶ月の保存寿命を有する。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物の特性は、それらを即時放出(IR)に適したものにする。
【0081】
本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与のための溶液、懸濁液、錠剤、分散型錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤もしくはエリキシル剤などの好適な医薬製剤へと、または眼部投与もしくは非経口投与のための滅菌溶液または懸濁液、ならびに経皮パッチ調製物及び乾燥粉末吸入物に製剤化され得る。典型的に、上記の化合物は、当技術分野で既知の技法及び手順を使用して医薬組成物へと製剤化される(例えば、Ansel Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,Seventh Edition 1999を参照されたい)。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は経口剤形である。一実施形態では、経口投与単位形は錠剤である。一実施形態では、経口投与単位形はカプレットである。一実施形態では、経口投与単位形はカプセルである。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、即時放出カプセルである。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、即時放出(IR)カプセル内ブレンド(BIC)である。
【0082】
錠剤、カプレット、及びカプセルは、典型的には、約50mgから約500mgの医薬組成物(すなわち、活性成分及び賦形剤(複数可))を含む。カプセルは任意のサイズとすることがでる。標準サイズの例としては、000号、00号、0号、1号、2号、3号、4号及び5号が挙げられる。例えば、参照により援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences, page 1658-1659 (Alfonso Gennaro ed., Mack Publishing Company, Easton Pennsylvania, 18th ed., 1990)を参照されたい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるカプセルのサイズは、1号以上、2号以上、3号以上または4号以上である。
【0083】
組成物において、有効な濃度の1つ以上の化合物または薬学的に許容される塩が、好適な薬学的担体またはビヒクルと混合される。ある特定の実施形態では、組成物中の化合物の濃度は、投与時に、多発性骨髄腫の症状及び/または進行のうちの1つ以上を治療、予防、または緩和する量の送達に有効である。
【0084】
(a)化合物1の形態
化合物1の化学名は、(S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリルである。化合物1の調製方法については、米国特許出願第16/030,695号に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0085】
一実施形態では、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩を、固体形態の医薬組成物で提供する。一実施形態では、固体形態は非晶質である。一実施形態では、固体形態は結晶性である。一実施形態では、固体形態は水和物である。一実施形態では、固体形態は無水和物である。一実施形態では、固体形態は溶媒化合物である。一実施形態では、固体形態は非溶媒化合物である。
【0086】
固体形態は、単一結晶X線回折、X線粉末回折(PXRD)、顕微鏡法(例えば、光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM))、熱分析(例えば、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)及び高熱期顕微鏡法)、動力蒸気吸着(DVS)、分光法(例えば、赤外、ラマン及び核磁気共鳴)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、を含むが、これらに限定されない当業者に既知のいくつかの方法を使用して特徴付けられ得る。本明細書に記載の固体形態の粒径及びサイズ分布は、レーザー光散乱技法などの従来の方法によって決定され得る。
【0087】
一実施形態では、医薬組成物は化合物1の遊離塩基を含む。一実施形態では、化合物1の遊離塩基は非晶質である。一実施形態では、化合物1の遊離塩基は結晶性である。一実施形態では、化合物1の遊離塩基は、非晶質形態及び結晶性形態のうち1つ以上の混合物である。
【0088】
一実施形態では、医薬組成物は、化合物1の塩を含む。一実施形態では、塩は、塩酸塩、メシル酸塩、臭化水素酸塩、ベシル酸塩、グリコール酸塩、L-リンゴ酸塩、ナパジシル酸塩、硫酸塩、トシラート塩、シュウ酸塩、イセチオン酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、マロン酸塩、ゲンチシン酸塩、L-酒石酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、R-マンデル酸塩、L-アスコルビン酸塩、琥珀酸塩、硝酸塩、サリチル酸塩、エジシル酸塩、シクラミン酸塩、エシル酸塩、D-グルクロン酸塩、4-アミノサリチル酸塩、カプロン酸塩、ケイ皮酸塩、カプリル酸塩、樟脳酸塩、D-アスパラギン酸塩、またはD-グルタミン酸塩である。一実施形態では、化合物1の塩は非晶質である。一実施形態では、化合物1の塩は結晶性である。一実施形態では、化合物1の塩は、非晶質形態及び結晶性形態のうち1つ以上の混合物である。
【0089】
一実施形態では、医薬組成物は化合物1の塩酸塩を含む。一実施形態では、医薬組成物は化合物1のメシル酸塩を含む。一実施形態では、医薬組成物は化合物1の臭化水素酸塩を含む。一実施形態では、医薬組成物は化合物1のベシル酸塩を含む。一実施形態では、医薬組成物は化合物1のグリコール酸塩を含む。一実施形態では、医薬組成物は化合物1のL-リンゴ酸塩を含む。
【0090】
一実施形態では、医薬組成物は、化合物1の遊離塩基の形態K、化合物1の遊離塩基の形態K´、もしくは形態Kと形態K´の中間形態、またはこれらの混合物を含む。
【0091】
一実施形態では、形態Kは、化合物1の遊離塩基のチャネル水和物である。一実施形態では、形態Kは化合物1の遊離塩基の一水和物である。一実施形態では、形態K´は形態Kの脱水水和物である。一実施形態では、特定の論理に制限されることなく、形態K´は湿度の増加と共に形態Kに変化し、形態Kは湿度が減少するのと共に形態K´に変化する。したがって、形態Kと形態K´との中間形態は、湿度の程度に応じて存在する。一実施形態では、水分活性が約0.11以下の場合、形態Kは形態K´に変化する。一実施形態では、水分活性が約0.17以上の場合、形態K´は形態Kに変化する。
【0092】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、およそ14.6、18.2、及び18.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする、化合物1の遊離塩基の形態K、形態K´、もしくは形態Kと形態K´の中間形態、またはこれらの混合物を含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ22.3及び23.1°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.5及び20.9°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.5、20.9、22.3及び23.1°の2θにピークを含む。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、およそ14.2、18.6、または20.3°の2θに少なくともピークをさらに含むXRPDパターンを特徴とする、化合物1の遊離塩基の形態Kを含む。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、およそ18.0または18.8°の2θに少なくともピークをさらに含むXRPDパターンを特徴とする、化合物1の遊離塩基の形態K´を含む。
【0093】
【0094】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24個またはすべてのピークが、およそ8.6、10.8、14.2、14.3、14.6、16.6、17.3、17.5、18.2、18.3、18.6、20.3、20.5、20.9、21.8、22.3、22.5、23.1、24.5、25.1、25.7、26.0、27.4、27.9及び31.4°の2θに位置することを特徴とする固体形態である。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24個またはすべてのピークが、およそ8.59、10.78、14.21、14.32、14.60、16.55、17.26、17.45、18.21、18.34、18.62、20.25、20.47、20.87、21.79、22.28、22.45、23.05、24.54、25.05、25.67、26.01、27.43、27.89及び31.44°の2θに位置することを特徴とする固体形態である。一実施形態では、固体形態は、3個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、5個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、7個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、9個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、11個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、すべてのピークを特徴とする。
【0095】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、およそ14.2、14.6、18.2、及び18.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ22.3、23.1及び24.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.5及び20.9°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ8.6、14.2、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.0°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.8°の2θにピークを含まない。
【0096】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.2、14.6、18.2及び18.3°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.2、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.21、14.60、18.21及び18.34°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.21、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。
【0097】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.2、14.6、18.2及び18.3°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.2、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.21、14.60、18.21及び18.34°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.21、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。
【0098】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.2、14.6、18.2及び18.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.2、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θにピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.21、14.60、18.21及び18.34°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.21、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θにピークを含まない。
【0099】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、およそ14.6、18.2、18.3及び18.6°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ22.3、23.1及び24.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.5及び20.9°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、18.6、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.0°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.8°の2θにピークを含まない。
【0100】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.2、18.3及び18.6°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、18.6、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.60、18.21、18.34及び18.62°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、18.62、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。
【0101】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.2、18.3及び18.6°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、18.6、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.60、18.21、18.34及び18.62°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、18.62、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。
【0102】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.2、18.3及び18.6°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、18.6、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θにピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.60、18.21、18.34及び18.62°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、18.62、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θにピークを含まない。
【0103】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、およそ14.6、18.2、18.3及び20.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ22.3、23.1及び24.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.5及び20.9°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.0°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.8°の2θにピークを含まない。
【0104】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.2、18.3及び20.3°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.60、18.21、18.34及び20.25°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、20.25、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。
【0105】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.2、18.3及び20.3°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.60、18.21、18.34及び20.25°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、20.25、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。
【0106】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.2、18.3及び20.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.3、23.1及び24.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.5及び20.9°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.6、14.3、14.6、16.6、18.2、18.3、20.3、20.5、20.9、22.3、23.1、24.5及び26.0°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.0°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.8°の2θにピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.60、18.21、18.34及び20.25°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、22.28、23.05及び24.54°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、20.47及び20.87°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.59、14.32、14.60、16.55、18.21、18.34、20.25、20.47、20.87、22.28、23.05、24.54及び26.01°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、18.02°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.75°の2θにピークを含まない。
【0107】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、
図1に示すXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする固体形態である。
【0108】
【0109】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個またはすべてのピークが、およそ8.7、10.8、14.4、14.6、16.6、17.4、17.5、18.0、18.3、18.4、18.8、20.5、20.9、21.8、22.4、22.6、23.2、24.7、25.2、25.8、26.2、26.4、27.5、28.1、31.7及び38.4°の2θに位置することを特徴とする固体形態である。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個またはすべてのピークが、およそ8.65、10.79、14.36、14.63、16.55、17.35、17.53、18.02、18.25、18.40、18.75、20.52、20.92、21.81、22.36、22.64、23.19、24.68、25.20、25.82、26.17、26.39、27.54、28.08、31.69及び38.41°の2θに位置することを特徴とする固体形態である。一実施形態では、固体形態は、3個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、5個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、7個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、9個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、11個のピークを特徴とする。一実施形態では、固体形態は、すべてのピークを特徴とする。
【0110】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、およそ14.6、18.0、18.3及び18.4°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.9、22.4及び23.2°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ16.6及び20.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ8.7、14.4、14.6、16.6、18.0、18.3、18.4、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ14.2°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.6°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.3°の2θにピークを含まない。
【0111】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.0、18.3及び18.4°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.9、22.4及び23.2°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.6及び20.5°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.7、14.4、14.6、16.6、18.0、18.3、18.4、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.2°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.6°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.3°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.63、18.02、18.25及び18.40°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.92、22.36及び23.19°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.55及び20.52°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.65、14.36、14.63、16.55、18.02、18.25、18.40、20.52、20.92、22.36、23.19及び24.68°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.21°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.62°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.25°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。
【0112】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.0、18.3及び18.4°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.9、22.4及び23.2°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.6及び20.5°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.7、14.4、14.6、16.6、18.0、18.3、18.4、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.2°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.6°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.3°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.63、18.02、18.25及び18.40°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.92、22.36及び23.19°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.55及び20.52°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.65、14.36、14.63、16.55、18.02、18.25、18.40、20.52、20.92、22.36、23.19及び24.68°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.21°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.62°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.25°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。
【0113】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.0、18.3及び18.4°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.9、22.4及び23.2°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.6及び20.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.7、14.4、14.6、16.6、18.0、18.3、18.4、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.2°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.6°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.3°の2θにピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.63、18.02、18.25及び18.40°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.92、22.36及び23.19°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.55及び20.52°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.65、14.36、14.63、16.55、18.02、18.25、18.40、20.52、20.92、22.36、23.19及び24.68°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.21°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.62°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.25°の2θにピークを含まない。
【0114】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、およそ14.6、18.3、18.4及び18.8°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.9、22.4及び23.2°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ16.6及び20.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ8.7、14.4、14.6、16.6、18.3、18.4、18.8、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ14.2°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ18.6°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、およそ20.3°の2θにピークを含まない。
【0115】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.3、18.4及び18.8°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.9、22.4及び23.2°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.6及び20.5°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.7、14.4、14.6、16.6、18.3、18.4、18.8、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.2°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.6°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.3°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.63、18.25、18.40及び18.75°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.92、22.36及び23.19°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.55及び20.52°の2θ(±0.04° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.65、14.36、14.63、16.55、18.25、18.40、18.75、20.52、20.92、22.36、23.19及び24.68°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.21°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.62°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.25°の2θ(±0.04° 2θ)にピークを含まない。
【0116】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.3、18.4及び18.8°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.9、22.4及び23.2°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.6及び20.5°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.7、14.4、14.6、16.6、18.3、18.4、18.8、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.2°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.6°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.3°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.63、18.25、18.40及び18.75°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.92、22.36及び23.19°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.55及び20.52°の2θ(±0.02° 2θ)にピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.65、14.36、14.63、16.55、18.25、18.40、18.75、20.52、20.92、22.36、23.19及び24.68°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.21°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.62°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.25°の2θ(±0.02° 2θ)にピークを含まない。
【0117】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.6、18.3、18.4及び18.8°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.9、22.4及び23.2°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.6及び20.5°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは8.7、14.4、14.6、16.6、18.3、18.4、18.8、20.5、20.9、22.4、23.2及び24.7°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.2°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.6°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.3°の2θにピークを含まない。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、14.63、18.25、18.40及び18.75°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする固体形態である。一実施形態では、XRPDパターンは、20.92、22.36及び23.19°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、16.55及び20.52°の2θにピークをさらに含む。一実施形態では、XRPDパターンは、8.65、14.36、14.63、16.55、18.25、18.40、18.75、20.52、20.92、22.36、23.19及び24.68°の2θにピークを含む。一実施形態では、XRPDパターンは、14.21°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、18.62°の2θにピークを含まない。一実施形態では、XRPDパターンは、20.25°の2θにピークを含まない。
【0118】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、化合物1の遊離塩基を含み、これは、
図2に示すXRPDパターンと一致するXRPDパターンを特徴とする固体形態である。
【0119】
一実施形態では、いずれの特定の論理にも制限されることなく、形態Kと比べて、形態K´のXRPDピークは、わずかに高い°数の2θであり、形態K´はわずかに収縮した格子を有することを示唆している。
【0120】
一実施形態では、XRPDパターンは、Cu Kα放射線を使用して取得される。
【0121】
(b)マンニトールベースの医薬組成物
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物中の担体または希釈剤は、マンニトールである。
【0122】
一実施形態では、医薬組成物は、流動促進剤、酸性化剤、潤滑剤、またはそれらの混合物をさらに含む。
【0123】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.05~約3重量%の量の化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩、2)約80~約98重量%の量のマンニトール、3)約0~約10重量%の量の流動促進剤、4)約0~約6重量%の量の酸性化剤、及び5)約0~約8重量%の量の潤滑剤を含む、医薬組成物である。
【0124】
一実施形態では、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基である。一実施形態では、化合物1の遊離塩基は、化合物1の結晶性遊離塩基である。一実施形態では、化合物1の遊離塩基は、およそ14.6、18.2及び18.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0125】
一実施形態では、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、(医薬組成物の総重量の)約0.05~約3重量%である。一実施形態では、その量は、約0.05~約2重量%である。一実施形態では、その量は、約0.1~約1.5重量%である。一実施形態では、その量は、約0.13~約1重量%である。一実施形態では、その量は、約0.13~約0.5重量%である。一実施形態では、その量は、約0.5~約1重量%である。
【0126】
一実施形態では、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9または約3重量%である。一実施形態では、その量は、約0.13重量%である。一実施形態では、その量は、約0.5重量%である。一実施形態では、その量は、約1重量%である。
【0127】
一実施形態では、マンニトールは、噴霧乾燥される。一実施形態では、マンニトールは、200SDの結晶グレードである(例えば、pearlitol 200 SD)。一実施形態では、マンニトールは、100SDの結晶グレードである(例えば、pearlitol 100 SD)。
【0128】
一実施形態では、マンニトールの量は、(医薬組成物の総重量の)約80~約98重量%である。一実施形態では、マンニトールの量は、約85~約95重量%である。一実施形態では、マンニトールの量は、約90~約93重量%である。
【0129】
一実施形態では、マンニトールの量は、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約88.5、約89、約89.5、約90、約90.5、約91、約91.5、約92、約92.5、約93、約94、約95、約96、約97または約98重量%である。一実施形態では、マンニトールの量は、約90重量%である。一実施形態では、マンニトールの量は、約91.5重量%である。一実施形態では、マンニトールの量は、約92.4重量%である。
【0130】
一実施形態では、流動促進剤は、シリカジメチルシリレートまたはコロイド状二酸化ケイ素である。一実施形態では、流動促進剤は、シリカジメチルシリレートである。一実施形態では、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0131】
一実施形態では、流動促進剤は、疎水性流動促進剤である。一実施形態では、流動促進剤は、Aerosil R972である。
【0132】
一実施形態では、流動促進剤は、親水性流動促進剤である。一実施形態では、流動促進剤は、約200m2/gの表面積を有する。一実施形態では、流動促進剤は、約300m2/gの表面積を有する。一実施形態では、流動促進剤は、Aerosil 200である。一実施形態では、流動促進剤は、Aerosil 300である。
【0133】
一実施形態では、流動促進剤の量は、(医薬組成物の総重量の)約0~約10重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0~約4重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.25~約3重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.5~約2重量%である。
【0134】
一実施形態では、流動促進剤の量は、約0、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.75、約2、約2.25、約2.5、約2.75、約3、約3.25、約3.5、約3.75、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5または約10重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.5重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約1重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約2重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.5~約1重量%である。
【0135】
一実施形態では、流動促進剤は、約0.5重量%の量のシリカジメチルシリレートである。一実施形態では、流動促進剤は、約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素である。一実施形態では、流動促進剤は、約2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素である。
【0136】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、医薬組成物のpHを5以下に維持するのに充分な量の酸性化剤を含む。一実施形態では、特定の論理に制限されることなく、化合物1は、pH5を超えると分解する可能性がある。
【0137】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、医薬組成物のpHを4以下に維持するのに充分な量の酸性化剤を含む。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、医薬組成物のpHを約2~約3に維持するのに充分な量の酸性化剤を含む。
【0138】
一実施形態では、酸性化剤は、フマル酸である。一実施形態では、酸性化剤は、マレイン酸である。一実施形態では、酸性化剤は、琥珀酸である。
【0139】
一実施形態では、酸性化剤の量は、(医薬組成物の総重量の)約0~約6重量%である。一実施形態では、酸性化剤の量は、約2~約5重量%である。一実施形態では、酸性化剤の量は、約2~約4重量%である。
【0140】
一実施形態では、酸性化剤の量は、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、または約6重量%である。一実施形態では、酸性化剤の量は、約3重量%である。
【0141】
一実施形態では、酸性化剤は、約3重量%の量のフマル酸である。
【0142】
一実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸である。一実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0143】
一実施形態では、潤滑剤の量は、(医薬組成物の総重量の)約0~約8重量%である。一実施形態では、潤滑剤の量は、約2~約6重量%である。
【0144】
一実施形態では、潤滑剤の量は、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5または約8重量%である。一実施形態では、潤滑剤の量は、約4重量%である。
【0145】
一実施形態では、潤滑剤は、約4重量%の量のステアリン酸である。
【0146】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.1~約0.2重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約91~約93重量%の量のマンニトール、3)約0.4~約0.6重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約2~約4重量%の量のフマル酸、及び5)約3~約5重量%の量のステアリン酸を含む、医薬組成物である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.13重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約92.37重量%の量のマンニトール、3)約0.5重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含む、医薬組成物である。一実施形態では、医薬組成物は、約75mgの総重量を有する。一実施形態では、医薬組成物は、サイズ4のカプセル内に含有される。
【0147】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.4~約0.6重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約90.5~約92.5重量%の量のマンニトール、3)約0.8~約1.2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約2~約4重量%の量のフマル酸、及び5)約3~約5重量%の量のステアリン酸を含む、医薬組成物である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.5重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約91.5重量%の量のマンニトール、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含む、医薬組成物である。一実施形態では、医薬組成物は、約100mgの総重量を有する。一実施形態では、医薬組成物は、サイズ3のカプセル内に含有される。
【0148】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.8~約1.2重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約89~約91重量%の量のマンニトール、3)約1.8~約2.2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約2~約4重量%の量のフマル酸、及び5)約3~約5重量%の量のステアリン酸を含む、医薬組成物である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約1重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約90重量%の量のマンニトール、3)約2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3重量%の量のフマル酸、及び 5)約4重量%の量のステアリン酸を含む、医薬組成物である。一実施形態では、医薬組成物は、約200mgの総重量を有する。一実施形態では、医薬組成物は、サイズ2のカプセル内に含有される。
【0149】
(c)デンプン-ラクトースベースの医薬組成物
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物中の担体または希釈剤は、デンプンとラクトースの混合物である。
【0150】
一実施形態では、医薬組成物は、流動促進剤、酸性化剤、潤滑剤、崩壊剤またはそれらの混合物をさらに含む。
【0151】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.05~約3重量%の量の化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩、2)約70~約90重量%の量のデンプンとラクトースの混合物、3)約0~約10重量%の量の流動促進剤、4)約0~約8重量%の量の酸性化剤、5)約0~約8重量%の量の潤滑剤、及び6)約0~約20重量%の量の崩壊剤を含む、医薬組成物である。
【0152】
一実施形態では、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、または薬学的に許容される塩は、化合物1の遊離塩基である。一実施形態では、化合物1の遊離塩基は、化合物1の結晶性遊離塩基である。一実施形態では、化合物1の遊離塩基は、およそ14.6、18.2及び18.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0153】
一実施形態では、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、(医薬組成物の総重量の)約0.05~約3重量%である。一実施形態では、その量は、約0.05~約2重量%である。一実施形態では、その量は、約0.1~約1.5重量%である。一実施形態では、その量は、約0.13~約1重量%である。一実施形態では、その量は、約0.13~約0.5重量%である。一実施形態では、その量は、約0.5~約1重量%である。
【0154】
一実施形態では、化合物1、もしくは鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、またはそれらの薬学的に許容される塩の量は、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.1、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、約0.15、約0.16、約0.17、約0.18、約0.19、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.85、約0.9、約0.95、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9または約3重量%である。一実施形態では、その量は、約0.13重量%である。一実施形態では、その量は、約0.5重量%である。一実施形態では、その量は、約1重量%である。
【0155】
一実施形態では、デンプンは、部分的にアルファ化されたデンプンである。一実施形態では、デンプンは、アルファ化されたデンプンである。
【0156】
一実施形態では、ラクトースは、無水ラクトースである。一実施形態では、ラクトースは、ラクトース一水和物である。一実施形態では、ラクトースは、噴霧乾燥される。
【0157】
一実施形態では、デンプンとラクトースの混合物の量は、(医薬組成物の総重量の)約70~約90重量%である。一実施形態では、デンプンとラクトースの混合物の量は、約75~約85重量%である。一実施形態では、デンプンとラクトースの混合物の量は、約80~約82重量%である。
【0158】
一実施形態では、デンプンとラクトースの混合物の量は、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約78.5、約79、約79.5、約80、約80.5、約81、約81.5、約82、約82.5、約83、約83.5、約84、約85、約86、約87、約88、約89または約90重量%である。一実施形態では、デンプンとラクトースの混合物の量は、約80重量%である。一実施形態では、デンプンとラクトースの混合物の量は、約80.5重量%である。一実施形態では、デンプンとラクトースの混合物の量は、約81.4重量%である。
【0159】
一実施形態では、デンプンの量は、約17~約22重量%であり、ラクトースの量は、約53~約68重量%である。一実施形態では、デンプンの量は、約18~約21重量%であり、ラクトースの量は、約57~約64重量%である。一実施形態では、デンプンの量は、約19~約20重量%であり、ラクトースの量は、約61~約62重量%である。
【0160】
一実施形態では、デンプンの量は、約17、約17.5、約18、約18.5、約19、約19.5、約20、約20.5、約21、約21.5または約22重量%である。一実施形態では、デンプンの量は、約19重量%である。一実施形態では、デンプンの量は、約19.5重量%である。一実施形態では、デンプンの量は、約20重量%である。
【0161】
一実施形態では、ラクトースの量は、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約58.5、約59、約59.5、約60、約60.5、約61、約61.5、約62、約62.5、約63、約64、約65、約66、約67または約68重量%である。一実施形態では、ラクトースの量は、約61重量%である。一実施形態では、ラクトースの量は、約61.4重量%である。
【0162】
一実施形態では、デンプンとラクトースの重量比は、約1:2~約1:4である。一実施形態では、デンプンとラクトースの重量比は、約1:2.5~約1:3.5である。一実施形態では、デンプンとラクトースの重量比は、約1:3~約1:3.3である。一実施形態では、デンプンとラクトースの重量比は、約1:3である。一実施形態では、デンプンとラクトースの重量比は、約1:3.1である。一実施形態では、デンプンとラクトースの重量比は、約 1:3.2である。一実施形態では、デンプンとラクトースの重量比は、約 1:3.3である。
【0163】
一実施形態では、流動促進剤は、シリカジメチルシリレートまたはコロイド状二酸化ケイ素である。一実施形態では、流動促進剤は、シリカジメチルシリレートである。一実施形態では、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0164】
一実施形態では、流動促進剤は、疎水性流動促進剤である。一実施形態では、流動促進剤は、Aerosil R972である。
【0165】
一実施形態では、流動促進剤は、親水性流動促進剤である。一実施形態では、流動促進剤は、約200m2/gの表面積を有する。一実施形態では、流動促進剤は、約300m2/gの表面積を有する。一実施形態では、流動促進剤は、Aerosil 200である。一実施形態では、流動促進剤は、Aerosil 300である。
【0166】
一実施形態では、流動促進剤の量は、(医薬組成物の総重量の)約0~約10重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0~約4重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.25~約3重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.5~約2重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.5~約1重量%である。
【0167】
一実施形態では、流動促進剤の量は、約0、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.75、約2、約2.25、約2.5、約2.75、約3、約3.25、約3.5、約3.75、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5または約10重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約0.5重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約1重量%である。一実施形態では、流動促進剤の量は、約2重量%である。
【0168】
一実施形態では、流動促進剤は、約0.5重量%の量のシリカジメチルシリレートである。一実施形態では、流動促進剤は、約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素である。一実施形態では、流動促進剤は、約2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素である。
【0169】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、医薬組成物のpHを5以下に維持するのに充分な量の酸性化剤を含む。一実施形態では、特定の論理に制限されることなく、化合物1は、pH5を超えると分解する可能性がある。
【0170】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、医薬組成物のpHを4以下に維持するのに充分な量の酸性化剤を含む。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、医薬組成物のpHを約2~約3に維持するのに充分な量の酸性化剤を含む。
【0171】
一実施形態では、酸性化剤は、フマル酸である。一実施形態では、酸性化剤は、マレイン酸である。一実施形態では、酸性化剤は、琥珀酸である。
【0172】
一実施形態では、酸性化剤の量は、(医薬組成物の総重量の)約0~約8重量%である。一実施形態では、酸性化剤の量は、約1~約7重量%である。一実施形態では、酸性化剤の量は、約2~約6重量%である。一実施形態では、酸性化剤の量は、約3~約5重量%である。
【0173】
一実施形態では、酸性化剤の量は、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5または約8重量%である。一実施形態では、酸性化剤の量は、約4重量%である。
【0174】
一実施形態では、酸性化剤は、約4重量%の量のフマル酸である。
【0175】
一実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸である。一実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0176】
一実施形態では、潤滑剤の量は、(医薬組成物の総重量の)約0~約8重量%である。一実施形態では、潤滑剤の量は、約1~約7重量%である。一実施形態では、潤滑剤の量は、約2~約6重量%である。一実施形態では、潤滑剤の量は、約3~約5重量%である。
【0177】
一実施形態では、潤滑剤の量は、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5または約8重量%である。一実施形態では、潤滑剤の量は、約4重量%である。
【0178】
一実施形態では、潤滑剤は、約4重量%の量のステアリン酸である。
【0179】
一実施形態では、崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。一実施形態では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。一実施形態では、崩壊剤は、クロスポビドンである。
【0180】
一実施形態では、崩壊剤の量は、(医薬組成物の総重量の)約0~約20重量%である。一実施形態では、崩壊剤の量は、約5~約15重量%である。一実施形態では、崩壊剤の量は、約8~約12重量%である。
【0181】
一実施形態では、崩壊剤の量は、約0、約2、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約18または約20重量%である。一実施形態では、崩壊剤の量は、約10重量%である。
【0182】
一実施形態では、崩壊剤は、約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムである。一実施形態では、崩壊剤は、約10重量%の量のクロスカルメロースナトリウムである。一実施形態では、崩壊剤は、約10重量%の量のクロスポビドンである。
【0183】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.1~約0.2重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約19~約21重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約60~約62重量%の量の無水ラクトース、3)約0.4~約0.6重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約3~約5重量%の量のフマル酸、5)約3~約5重量%の量のステアリン酸、及び6)約9~約11重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、医薬組成物である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.13重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約20重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61.4重量%の量の無水ラクトース、3)約0.5重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、医薬組成物である。一実施形態では、医薬組成物は、約75mgの総重量を有する。一実施形態では、医薬組成物は、サイズ4のカプセル内に含有される。
【0184】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.4~約0.6重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約19~約20重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約60~約62重量%の量の無水ラクトース、3)約0.8~約1.2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3~約5重量%の量のフマル酸、5)約3~約5重量%の量のステアリン酸、及び6)約9~約11重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、医薬組成物である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.5重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約19.5重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61重量%の量の無水ラクトース、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、医薬組成物である。一実施形態では、医薬組成物は、約100mgの総重量を有する。一実施形態では、医薬組成物は、サイズ3のカプセル内に含有される。
【0185】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約0.8~約1.2重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約18~約20重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約60~約62重量%の量の無水ラクトース、3)約0.8~約1.2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3~約5重量%の量のフマル酸、5)約3~約5重量%の量のステアリン酸、及び6)約9~約11重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、医薬組成物である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1)約1重量%の量の化合物1(例えば、形態K)、2)約19重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61重量%の量の無水ラクトース、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、医薬組成物である。一実施形態では、医薬組成物は、約200mgの総重量を有する。一実施形態では、医薬組成物は、サイズ2のカプセル内に含有される。
【0186】
(d)医薬組成物の追加の実施形態
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、任意選択で、1つ以上の追加の賦形剤をさらに含むことができる。追加の賦形剤としては、湿潤剤、可溶化剤、結晶化安定剤、付着防止剤、及び析出抑制剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、任意選択で、Tween 80、Poloxamer 188、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、HPBCD、VitE-TPGS、HPMCAS-LF、HPMC E3、PVP VA64、PVP K30、HPC EXF及びタルクのうち1つ以上をさらに含む。
【0188】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、カプセルに製剤化される。一実施形態では、カプセルは、HPMCカプセルである。一実施形態では、カプセルは、ゼラチンカプセルである。
【0189】
典型的には、組成物は、単回投薬量投与向けに製剤化される。組成物を製剤化するために、化合物の重量画分が、治療された状態が軽減または緩和されるような有効な濃度で、選択されたビヒクル中で、溶解、懸濁、分散または他の方法で混合される。本明細書に記載の化合物の投与に好適な薬学的担体またはビヒクルは、特定の投与様式に好適であることが当業者に既知の、任意のそのような担体を含む。
【0190】
加えて、化合物は、組成物中の唯一の薬学的活性成分として製剤化され得るか、または他の活性成分と組み合わされ得る。腫瘍標的化リポソームなどの組織標的化リポソームを含むリポソーム懸濁液も、薬学的に許容される担体として好適であり得る。これらは、当業者に既知の方法に従って調製され得る。例えば、リポソーム製剤は、当技術分野で既知のように調製され得る。簡単に言えば、多重層膜ベシクル(MLV)などのリポソームは、フラスコの内側で卵ホスファチジルコリン及び脳ホスファチジルセリン(7:3モル比)を乾燥させることによって形成され得る。二価陽イオンを欠くリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の本明細書に記載の化合物の溶液が添加され、フラスコは脂質フィルムが分散するまで振盪される。結果として生じるベシクルは、カプセル化されていない化合物を除去するために洗浄され、遠心分離によってペレット化され、次いで、PBS中に再懸濁される。
【0191】
活性化合物は、望ましくない副作用がなく、治療される患者に治療上の有用な効果を及ぼすのに充分な量で、薬学的に許容される担体中に含まれる。治療上有効な濃度は、本明細書に記載のインビトロ及びインビボ系で化合物を試験することによって経験的に決定され得、次いで、それからヒトに対する投薬量のために外挿され得る。
【0192】
医薬組成物中の活性化合物の濃度は、その活性化合物の吸収、組織分布、不活化、代謝、及び排泄速度、その化合物の物理化学的特徴、投与スケジュール、及び投与量、ならびに当業者に知られているその他の要因に左右されるであろう。例えば、送達される量は、固形腫瘍及び血液由来腫瘍を含むがんの症状のうちの1つ以上を緩和するのに充分である。
【0193】
非経口、皮内、皮下、または局部適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分のうちのいずれかを含み得る:注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジメチルアセトアミド、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤、ベンジルアルコール及びメチルパラベンなどの抗微生物剤、アスコルビン酸及び重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩などの緩衝液、ならびに塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性の調節のための薬剤。非経口調製物は、アンプル、ペン、使い捨てシリンジ、またはガラス、プラスチック、もしくは他の好適な材料から作製された単一もしくは複数用量バイアルに封入され得る。
【0194】
化合物が不充分な溶解度を呈する例では、化合物を可溶化するための方法が使用され得る。そのような方法は、当業者に既知であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒を使用すること、TWEEN(登録商標)などの界面活性剤を使用すること、または水性重炭酸ナトリウム中での溶解を含むが、これらに限定されない。
【0195】
化合物(複数可)の混合または添加時に、結果として生じる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得る。結果として得られる混合物の形態は、意図される投与様式及び選択された担体またはビヒクル中の化合物の溶解度を含む、いくつもの要因に依存する。有効な濃度は、治療される疾患、障害、または状態の症状を緩和するのに充分であり、経験的に決定され得る。
【0196】
医薬組成物は、好適な量の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒、滅菌非経口溶液または懸濁液、及び経口溶液または懸濁液、及び油水エマルジョンなどの単位剤形で、ヒト及び動物への投与のために提供される。薬学的、治療上の活性化合物及びその塩は、単位剤形または複数の剤形で製剤化及び投与される。本明細書で使用される単位用量形態は、ヒト及び動物対象に好適であり、当該分野で知られているように個別にパッケージ化される物理的に別個の単位を指す。各単位用量は、必要とされる薬学的担体、ビヒクル、または希釈剤を伴って、所望の治療効果を生み出すのに充分な、事前決定された量の治療上の活性化合物を含有する。単位用量形態の例は、アンプル及びシリンジならびに個別にパッケージ化された錠剤またはカプセル剤を含む。単位用量形態は、その一部分ずつまたは複数で投与され得る。複数用量形態は、単一容器にパッケージ化される、分割された単位用量形態で投与される複数の同一の単位剤形である。複数用量形態の例は、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトルまたはパイントもしくはガロンのボトルを含む。したがって、複数用量形態は、パッケージにおいて分割されない複数の単位用量である。
【0197】
0.005%~100%の範囲の活性成分を含み、残りが非毒性担体である剤形または組成物が、調製され得る。経口投与のために、薬学的に許容される非毒性組成物は、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウムまたはサッカリンナトリウムなどの、通常用いられる賦形剤のうちのいずれかの組み込みによって形成される。そのような組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、散剤、ならびに限定されないが、埋植及びマイクロカプセル化送達系などの徐放性製剤と、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸などの生分解性、生体適合性ポリマーとを含む。これらの組成物の調製のための方法は、当業者に既知である。
【0198】
活性化合物または薬学的に許容される塩は、持続放出製剤またはコーティングなどの、身体からの迅速な排除に対して化合物を保護する担体を用いて調製され得る。
【0199】
組成物は、所望の特性の組み合わせを得るために他の活性化合物を含み得る。本明細書に記載の化合物、または本明細書に記載のそれらの薬学的に許容される塩はまた、有利に、酸化的ストレスに関連する疾患などの上記で参照される疾患または医学的状態のうちの1つ以上を治療する際に、当該分野で価値あることが知られる別の薬理学的薬剤と一緒に、治療または予防目的のために投与され得る。そのような併用治療は、本明細書に記載の治療の組成物及び方法のさらなる態様を構成することを、理解されたい。
【0200】
(e)剤形の製造プロセス
本明細書に記載の医薬組成物(剤形)は、調剤法のいずれかにより調製することができるが、すべての方法は、活性成分を、1つ以上の必要成分を構成する賦形剤と会合させるステップを含む。概して、組成物は、活性成分を液体賦形剤もしくは微粉化固体賦形剤またはそれらの両方と均一に混和し(例えば、直接ブレンド)、次いで、必要に応じて、生成物を所望の外観に成形すること(ローラ圧縮などの圧縮)により調製される。所望される場合、錠剤は、標準の水性または非水性の技術によってコーティングされ得る。
【0201】
本明細書に記載の剤形は、圧縮または成形により任意選択で1つ以上の補助成分と共に調製され得る。圧縮された錠剤は、好適な機械で、任意選択で上述の賦形剤及び/または表面活性剤もしくは分散剤と混合された、粉末または顆粒としての自由流動形態の活性成分を圧縮することにより調製され得る。成形された錠剤は、好適な機械で、湿った粉末化された化合物と不活性液体希釈剤の混合物を成形することによって作られ得る。本明細書に記載の剤形のカプセル化は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸カルシウム、またはゼラチンのカプセルを使用して行うことができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、活性成分及び賦形剤は、直接ブレンドされて、例えば、カプセルに入れられるか、または錠剤に直接圧縮される。直接ブレンディングは圧縮プロセスを使用する製造中に成分の浮遊媒塵によって引き起こされる場合がある有害な健康への影響を低減または排除することができるので、直接ブレンドされた剤形は、ある特定の例では、圧縮された(例えば、ローラ圧縮された)剤形よりも有利であることがある。いくつかの実施形態では、直接ブレンディングはまた、活性成分の分解を最小限に抑えることを助力する。
【0203】
直接ブレンディングは、浮遊媒塵または粉塵の発生を最小限に抑えることができるが、その一方で、ローラ圧縮プロセスは、粉塵が発生しやすい場合がある。ローラ圧縮プロセスでは、圧縮された材料は、さらなる処理のためにより小さい粒子に粉砕されることが多い。粉砕操作は、製造におけるこのステップの目的が材料の粒径を小さくすることであるため、著しい量の浮遊媒塵を発生させる場合がある。次に、粉砕された材料は、最終剤形を製造する前に、他の成分とブレンドされる。
【0204】
特定の活性成分、特に溶解度の低い化合物では、活性成分の粒径は、活性成分の溶解速度を上げることを助力するために、微粉末にまで小さくされる。溶解速度を上げることは、活性成分が胃腸管において効果的に吸収されるために必要とされることが多い。しかし、直接ブレンドされて、カプセルに入れられる微粉末の場合、賦形剤は、好ましくは、成分を直接ブレンドプロセスに適したものにする特定の特性を提供するものである必要がある。このような特性の例としては、許容可能な流れ特性が挙げられるが、これに限定されない。したがって、一実施形態では、本明細書で提供されるのは、結果として生じる混合物を直接ブレンドプロセスに適したものにする特性を提供し得る賦形剤を含む、組成物とその使用法である。
【0205】
いくつかの実施形態では、提供される剤形または医薬組成物は、1つ以上のブレンディング及び脱塊化ステップ、それらに続く、カプセル化ステップを含むプロセスによって調製される。いくつかの実施形態では、プロセスは、1つ以上の賦形剤の前処理混合物を調製することと、プロセスで使用される装置を前処理混合物で処理することをさらに含む。一実施形態では、前処理混合物は、1つ以上の希釈剤及び潤滑剤(例えば、マンニトールとステアリン酸の混合物、または無水ラクトースとステアリン酸の混合物)から調製される。一実施形態では、前処理混合物の使用は、製造プロセス中に、装置の表面への活性成分の固着を最小限に抑えることを助力する。
【0206】
いくつかの実施形態では、提供される剤形または医薬組成物は、活性成分(例えば、化合物1)を疎水性シリカでコーティングすることを含むプロセスにより調製される。一実施形態では、コーティングは、(追加の賦形剤とブレンドする前に)活性成分と疎水性シリカをブレンドして、二成分ブレンドを形成することによって行われる。一実施形態では、コーティングは、活性成分を疎水性シリカと共に分散させることによって行われる。一実施形態では、疎水性シリカは、シリカジメチルシリレートである。一実施形態では、疎水性シリカは、Aerosil R-972である。一実施形態では、剤形または医薬組成物は、例えば、総重量の約0.1~約0.2重量%、または約75mgのカプセル中、約0.1mgの活性成分など、比較的低い活性成分負荷を有する。
【0207】
5.3 使用方法
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、患者に本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫の治療方法である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、上記医薬組成物を患者に投与することを含む多発性骨髄腫の治療方法で使用される本明細書に記載の医薬組成物である。
【0208】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、患者に本明細書に記載の医薬組成物投与することを含む、多発性骨髄腫の予防方法である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、患者への上記化合物を含む多発性骨髄腫の予防方法で使用される本明細書に記載の医薬組成物である。
【0209】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、患者に本明細書に記載の医薬組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫の管理方法である。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、上記化合物を患者に投与することを含む多発性骨髄腫の管理方法で使用される本明細書に記載の医薬組成物である。
【0210】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含み、多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準(IURC)(Durie BGM,Harousseau J-L,Miguel JS,et al.International uniform response criteria for multiple myeloma.Leukemia,2006;(10)10:1-7を参照のこと)を用いて評価される患者の治療応答の誘導方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含み、多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準(IURC)によって判定される患者の厳密完全奏効、完全奏効、または非常に良好な部分的奏効を達成する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者の全生存期間、無増悪生存期間、無事象生存期間、無増悪期間または無病生存期間の増加を達成する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者の全生存期間の増加を達成する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者の無増悪生存期間の増加を達成する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者の無事象生存期間の増加を達成する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者の無増悪期間の増加を達成する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の有効量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、患者の無病生存期間の増加を達成する方法である。
【0211】
多発性骨髄腫に関して以前に治療されているが、標準療法に対しては非応答性であり、かつ以前に治療されていない患者の治療方法も本明細書で提供する。さらに、多発性骨髄腫を治療するために手術を受けたことがある患者、及び受けたことがない患者の治療方法も包含される。以前に移植療法を受けたことがある患者、ならびに受けたことがない患者の治療方法も本明細書で提供する。
【0212】
本明細書に記載の方法は、再発性、難治性または抵抗性の多発性骨髄腫の治療を含む。本明細書に記載の方法は、再発性、難治性または抵抗性の多発性骨髄腫の予防を含む。本明細書に記載の方法は、再発性、難治性または抵抗性である多発性骨髄腫の管理を含む。いくつかのそのような実施形態では、骨髄腫は、原発性、続発性、三次性、四重または五重に再発した多発性骨髄腫である。一実施形態では、本明細書に記載の方法は、微小残存病変(MRD)を低減、維持、または排除する。一実施形態では、本明細書に記載の方法は、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)、低リスク、中リスク、及び高リスクの多発性骨髄腫、新たに診断された多発性骨髄腫(低リスク、中リスク、及び高リスクの新たに診断された多発性骨髄腫を含む)、移植適応及び移植不適応の多発性骨髄腫、くすぶり型(無痛性)多発性骨髄腫(低リスク、中リスク、及び高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫を含む)、活動性多発性骨髄腫、孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、形質細胞白血病、中枢神経系多発性骨髄腫、軽鎖骨髄腫、非分泌性骨髄腫、免疫グロブリンD骨髄腫、ならびに免疫グロブリンE骨髄腫など様々なタイプの多発性骨髄腫を、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することによって、治療、予防、及び管理することを含む。別の実施形態では、本明細書に記載の方法は、サイクリンD転座(例えば、t(11;14)(q13;q32);t(6;14)(p21;32);t(12;14)(p13;q32))またはt(6,20));MMSET転座(例えば、t(4;14)(p16;q32));MAF転座(例えば、t(14;16)(q32;q32);t(20;22);t(16;22)(q11;q13);またはt(14;20)(q32;q11));または他の染色体因子(例えば、17p13または染色体13の欠失;del(17/17p)、非高二倍性、及びgain(1q))などの遺伝的異常を特徴とする多発性骨髄腫を、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することによって、治療、予防、及び管理することを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、方法は、導入療法として本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、地固め療法として本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、維持療法として本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む。
【0214】
本明細書に記載の方法の特定の一実施形態では、多発性骨髄腫は、形質細胞白血病である。
【0215】
本明細書記載の一実施形態では、多発性骨髄腫は、高リスクの多発性骨髄腫である。いくつかのそのような実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、再発性または難治性である。一実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、最初の治療から12ヶ月以内に再発する多発性骨髄腫である。さらに別の実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、遺伝的異常、例えば、del(17/17p)及びt(14;16)(q32;q32)のうち1つ以上を特徴とする多発性骨髄腫である。いくつかのそのような実施形態では、高リスクの多発性骨髄腫は、1回、2回、または3回の以前の治療に対して再発性または難治性である。
【0216】
一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53突然変異を特徴とする。一実施形態では、p53突然変異はQ331突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、R273H突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はK132突然変異である。一実施形態では、p53突然変異はK132N突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、R337突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、R337L突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、W146突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、S261突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、S261T突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、E286突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、E286K突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、R175突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、R175H突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、E258突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、E258K突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、A161突然変異である。一実施形態では、p53突然変異は、A161T突然変異である。
【0217】
一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53のホモ接合型欠失を特徴とする。
【0218】
一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53を特徴とする。
【0219】
一実施形態では、多発性骨髄腫は、1つ以上の発がん性ドライバーの活性化を特徴とする。一実施形態では、1つ以上の発がん性ドライバーは、C-MAF、MAFB、FGFR3、MMset、サイクリンD1、及びサイクリンDからなる群から選択される。一実施形態では、多発性骨髄腫は、C-MAFの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、MAFBの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、FGFR3及びMMsetの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、C-MAF、FGFR3、及びMMsetの活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、サイクリンD1の活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、MAFB及びサイクリンD1の活性化を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、サイクリンDの活性化を特徴とする。
【0220】
一実施形態では、多発性骨髄腫は、1つ以上の染色体転座を特徴とする。一実施形態では、染色体転座は、t(14;16)である。一実施形態では、染色体転座は、t(14;20)である。一実施形態では、染色体転座は、t(4;14)である。一実施形態では、染色体転座は、t(4;14)及びt(14;16)である。一実施形態では、染色体転座は、t(11;14)である。一実施形態では、染色体転座は、t(6;20)である。一実施形態では、染色体転座は、t(20;22)である。一実施形態では、染色体転座は、t(6;20)及びt(20;22)である。一実施形態では、染色体転座は、t(16;22)である。一実施形態では、染色体転座は、t(14;16)及びt(16;22)である。一実施形態では、染色体転座は、t(14;20)及びt(11;14)である。
【0221】
一実施形態では、多発性骨髄腫は、Q331 p53突然変異、C-MAFの活性化、及びt(14;16)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失、C-MAFの活性化、及びt(14;16)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、K132N p53突然変異、MAFBの活性化、及びt(14;20)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53、C-MAFの活性化、及びt(14;16)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失、FGFR3、MMset、及びC-MAFの活性化、ならびにt(4;14)及びt(14;16)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、p53のホモ接合型欠失、サイクリンD1の活性化、及びt(11;14)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、R337L p53突然変異、サイクリンD1の活性化、及びt(11;14)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、W146 p53突然変異、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、S261T p53突然変異、MAFBの活性化、ならびにt(6;20)及びt(20;22)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、E286K p53突然変異、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、R175H p53突然変異、FGFR3及びMMsetの活性化、ならびにt(4;14)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、E258K p53突然変異、C-MAFの活性化、ならびにt(14;16)及びt(16;22)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、野生型p53、MAFB及びサイクリンD1の活性化、ならびにt(14;20)及びt(11;14)での染色体転座を特徴とする。一実施形態では、多発性骨髄腫は、A161T p53突然変異、サイクリンDの活性化、及びt(11;14)での染色体転座を特徴とする。
【0222】
いくつかのそのような実施形態では、多発性骨髄腫は、移植適応の新たに診断された多発性骨髄腫である。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、移植不適応の新たに診断された多発性骨髄腫である。
【0223】
さらに他の実施形態では、多発性骨髄腫は、初期治療に続く早期進行(例えば、12ヶ月未満)を特徴とする。さらにその他の実施形態では、多発性骨髄腫は、自家幹細胞移植に続く早期進行(例えば、12ヶ月未満)を特徴とする。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、レナリドマイドに対して難治性である。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、ポマリドマイドに対して難治性である。いくつかのそのような実施形態では、多発性骨髄腫は、ポマリドマイドに対して難治性であると予測される(例えば、分子特徴付けによって)。別の実施形態では、多発性骨髄腫は、3つ以上の治療に対して再発性または難治性であり、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブ、またはマリゾミブ)及び免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、イベルドマイド、またはアバドマイド)に曝露されたか、またはプロテアソーム阻害剤及び免疫調節化合物に対して二重難治性である。さらにその他の実施形態では、多発性骨髄腫は、例えば、CD38モノクローナル抗体(CD38 mAb、例えば、ダラツムマブまたはイサツキシマブ)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはマリゾミブ)、及び免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、イベルドマイド、またはアバドマイド)を含む3つ以上の依然の治療に対して再発性または難治性であるか、またはプロテアソーム阻害剤もしくは免疫調節化合物及びCD38 mAbに対して二重難治性である。さらにその他の実施形態では、多発性骨髄腫は、三重難治性であり、例えば、多発性骨髄腫は、本明細書に記載されているように、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブまたはマリゾミブ)、免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、イベルドマイド、またはアバドマイド)、及び1つの他の活性薬剤に対して難治性である。
【0224】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を腎機能障害を伴う再発性/難治性多発性骨髄腫を有する患者に投与することを含む、腎機能障害またはその症状を有する患者における再発性/難治性多発性骨髄腫を含む多発性骨髄腫の治療、予防、及び/または管理方法である。
【0225】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を多発性骨髄腫を有する虚弱な患者に投与することを含む、虚弱な患者またはその症状における再発性または難治性多発性骨髄腫を含む多発性骨髄腫の治療、予防、及び/または管理方法である。いくつかのそのような実施形態では、虚弱な患者は、導入療法に対する不適応性、またはデキサメタゾン治療に対する不耐性を特徴とする。いくつかのそのような実施形態では、虚弱な患者は、例えば、65歳より高齢な高齢者である。
【0226】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、患者に本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、第4の再発性/難治性多発性骨髄腫である多発性骨髄腫の治療、予防、または管理方法である。
【0227】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、導入療法として患者に本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である多発性骨髄腫の治療、予防、または管理方法である。
【0228】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、他の治療または移植の後の維持療法として患者に本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、他の治療または移植前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である多発性骨髄腫の治療、予防、または管理方法である。
【0229】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、他の治療または移植の後の維持療法として患者に本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、多発性骨髄腫の治療、予防、または管理方法である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、他の治療及び/または移植前に新たに診断された移植適応多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、移植前の他の治療は、化学療法または化合物1による治療である。
【0230】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、患者に本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、1回、2回、または3回の以前の治療に対して再発性または難治性である、高リスクの多発性骨髄腫である多発性骨髄腫の治療、予防、または管理方法である。
【0231】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、患者に本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物を投与することを含む、新たに診断された移植不適応多発性骨髄腫である多発性骨髄腫の治療、予防、または管理方法である。
【0232】
ある特定の実施形態では、化合物の治療上または予防上有効な量は、約0.01~約25mg/日、約0.01~約10mg/日、約0.01~約5mg/日、約0.01~約2mg/日、約0.01~約1mg/日、約0.01~約0.5mg/日、約0.01~約0.25mg/日、約0.1~約25mg/日、約0.1~約10mg/日、約0.1~約5mg/日、約0.1~約2mg/日、約0.1~約1mg/日、約0.1~約0.5mg/日、約0.1~約0.25mg/日、約0.5~約25mg/日、約0.5~約10mg/日、約0.5~約5mg/日、約0.5~約2mg/日、約0.5~約1mg/日、約1~約25mg/日、約1~約10mg/日、約1~約5mg/日、約1~約2.5mg/日、または約1~約2mg/日である。一実施形態では、化合物1の治療上または予防上有効な量は、約0.1mg/日~約0.4mg/日である。
【0233】
ある特定の実施形態では、治療上または予防上有効な量は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15、約20、または約25mg/日である。いくつかのそのような実施形態では、治療上または予防上有効な量は、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6または約0.7mg/日である。
【0234】
一実施形態では、本明細書に記載の状態に対する化合物1の推奨される一日量範囲は、約0.1~約25mg/日の範囲であり、好ましくは、1日1回の単回投与として、または1日を通して分割用量で与えられる。他の実施形態では、投薬量は、約0.1~約10mg/日の範囲に及ぶ。1日あたりの特定の用量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25mg/日を含む。1日あたりのより特定の用量は、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5mg/日を含む。
【0235】
ある特定の実施形態では、推奨される開始投薬量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、または25mg/日であり得る。別の実施形態では、推奨される開始投薬量は、0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5mg/日であり得る。用量は、1、2、3、4、または5mg/日に漸増され得る。
【0236】
ある特定の実施形態では、治療上または予防上有効な量は、約0.001~約5mg/kg/日、約0.001~約4mg/kg/日、約0.001~約3mg/kg/日、約0.001~約2mg/kg/日、約0.001~約1mg/kg/日、約0.001~約0.05mg/kg/日、約0.001~約0.04mg/kg/日、約0.001~約0.03mg/kg/日、約0.001~約0.02mg/kg/日、約0.001~約0.01mg/kg/日、約0.001~約0.005mg/kg/日である。
【0237】
投与される用量はまた、mg/kg/日以外の単位で表され得る。例えば、非経口投与のための用量は、mg/m2/日として表され得る。当業者は、対象の身長もしくは体重のいずれかまたは両方から用量をmg/kg/日からmg/m2/日に変換する方法を容易に理解するであろう(www.fda.gov/cder/cancer/animalframe.htmを参照されたい)。例えば、65kgのヒトに対する1mg/kg/日という用量は、38mg/m2/日におよそ等しい。
【0238】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法の1つを用いて治療される患者は、本明細書に記載の医薬組成物の投与前に多発性骨髄腫療法で治療されたことがない。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法の1つを用いて治療される患者は、本明細書に記載の医薬組成物の投与前に多発性骨髄腫療法で治療されたことがある。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法の1つを用いて治療される患者は、抗多発性骨髄腫療法に対する薬物抵抗性を発達させている。いくつかのそのような実施形態では、患者は、1つ、2つ、または3つの抗多発性骨髄腫療法に対する抵抗性を発達させており、療法は、CD38モノクローナル抗体(CD38 mAb、例えば、ダラツムマブまたはイサツキシマブ)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、またはマリゾミブ)、及び免疫調節化合物(例えば、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、イベルドマイド、またはアバドマイド)から選択される。
【0239】
本明細書に記載の方法は、患者の年齢に関係なく患者を治療することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、18歳以上である。他の実施形態では、対象は、18、25、35、40、45、50、55、60、65、または70歳超である。他の実施形態では、対象は、65歳未満である。他の実施形態では、対象は、65歳超である。一実施形態では、対象は、65歳超の対象などの、高齢の多発性骨髄腫の対象である。一実施形態では、対象は、75歳より高齢な対象などの、高齢の多発性骨髄腫対象である。
【0240】
治療される疾患の状態及び対象の条件に応じて、本明細書に記載の医薬組成物は、経口、非経口の(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、CIV、嚢内注射もしくは注入、皮下注射、または埋植)、吸入、鼻腔内、膣内、直腸、舌下、または局部(例えば、経皮もしくは局所)投与経路により投与されてよい。本明細書に記載の医薬組成物は、各投与経路に適するように、単独でまたは組み合わせて、好適な投薬量単位で、薬学的に許容される賦形剤、担体、アジュバント、及びビヒクルと共に製剤化され得る。
【0241】
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、非経口投与される。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、静脈内投与される。
【0242】
本明細書に記載の医薬組成物は、例えば単回ボーラス注射、または経口錠剤もしくは丸剤などの単回の用量として、あるいは、例えば、経時的な連続注入または経時的な分割ボーラス投与など経時的に送達することができる。本明細書に記載される化合物は、必要な場合、例えば、患者が疾患安定もしくは退縮を経験するまで、または患者が疾患進行もしくは許容できない毒性を経験するまで、繰り返し投与され得る。病勢安定またはその欠如は、患者の症状の評価、身体診察、X線、CAT、PET、またはMRIスキャン及び他の一般的に受け入れられている評価モダリティを使用して撮像された腫瘍の可視化など、当該技術分野で公知の方法で決定される。
【0243】
本明細書に記載の医薬組成物は、1日に1回(QDまたはqd)投与されるか、または1日に2回(BIDまたはbid)、1日に3回(TIDまたはtid)、及び1日に4回(QIDまたはqid)など、一日量を複数回に分割され得る。加えて、投与は、連続的(すなわち、連続した複数日の1日1日または毎日)、断続的、例えば、サイクル(すなわち、数日、数週間、または数ヶ月の休薬を含む)であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「毎日」は、治療化合物を、例えば、一定期間、各日において1回またはそれ以上投与することを意味するものとする。用語「連続的」とは、少なくとも7日~52週の中断のない期間の間、治療化合物を毎日投与することを意味するものとする。本明細書で使用される用語「断続的」または「断続的に」とは、定期的な間隔または不定期的な間隔で停止及び開始することを意味するものとする。例えば、を本明細書に記載の医薬組成物の断続的な投与は、1週間に1~6日投与すること、サイクルで(例えば、2~8週間連続して毎日投与した後に、最大で1週間、投与を行わない休薬期間を設けて)投与すること、または隔日で投与することである。用語「サイクル」は、本明細書で使用される場合、治療化合物を毎日または持続的に投与するが、休薬期間を設けることを意味するものとする。いくつかのそのような実施形態では、投与は、2~6日間、1日1回であり、次いで、無投与の休薬期間は、5~7日間である。
【0244】
いくつかの実施形態では、投与の頻度は、毎日の用量から毎月の用量までの範囲にある。ある特定の実施形態では、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日おきに1回、週に2回、週に1回、2週に1回、3週に1回、または4週に1回である。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1日1回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1日2回投与される。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1日3回投与される。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1日4回投与される。
【0245】
一実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、最大20日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、最大15日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、最大10日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、最大7日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、最大5日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、最大4日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む治療サイクルで投与される。一実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、最大3日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む治療サイクルで投与される。
【0246】
一実施形態では、治療サイクルは、最大14日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大7日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大5日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大4日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日の投与期間とその後に続く休薬期間を含む。
【0247】
一実施形態では、休薬期間は、約2日~最大約11日である。一実施形態では、休薬期間は、約2日~最大約10日である。一実施形態では、休薬期間は、約2日である。一実施形態では、休薬期間は、約3日である。一実施形態では、休薬期間は、約4日である。一実施形態では、休薬期間は、約5日である。一実施形態では、休薬期間は、約6日である。別の実施形態では、休薬期間は、約7日である。別の実施形態では、休薬期間は、約8日である。別の実施形態では、休薬期間は、約9日である。別の実施形態では、休薬期間は、約10日である。別の実施形態では、休薬期間は、約11日である。
【0248】
一実施形態では、治療サイクルは、最大15日の投与期間とその後に続く約2日~最大約10日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日の投与期間とその後に続く約2日~最大約10日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大7日の投与期間とその後に続く約2日~最大約10日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大5日の投与期間とその後に続く約2日~最大約10日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日の投与期間とその後に続く約10日~最大約15日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日の投与期間とその後に続く約3日~最大約15日の休薬期間を含む。
【0249】
一実施形態では、治療サイクルは、最大15日の投与期間とその後に続く7日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日の投与期間とその後に続く5日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日の投与期間とその後に続く4日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日の投与期間とその後に続く3日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大10日の投与期間とその後に続く2日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大7日の投与期間とその後に続く7日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大5日の投与期間とその後に続く5日の休薬期間を含む。一実施形態では、治療サイクルは、最大3日の投与期間とその後に続く11日の休薬期間を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、最大5日の投与期間とその後に続く9日の休薬期間を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、最大5日の投与期間とその後に続く2日の休薬期間を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、最大3日の投与期間とその後に続く4日の休薬期間を含む。
【0250】
一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の28日サイクルの1~5日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物の28日サイクルの1~10日目での投与を含む。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の28日サイクルの1~21日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の7日サイクルの1~5日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の7日サイクルの1~7日目での投与を含む。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の28日サイクルの1~10日目と15~24日目での投与を含む(本明細書において20/28投薬サイクルと呼ばれる)。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の28日サイクルの1~3日目と15~18日目での投与を含む。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の28日サイクルの1~7日目と15~21日目での投与を含む(本明細書において14/28投薬サイクルと呼ばれる)。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の28日サイクルの1~5日目と15~19日目での投与を含む(本明細書において10/28投薬サイクルと呼ばれる)。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の28日サイクルの1~3日目と15~17日目での投与を含む(本明細書において6/28投薬サイクルと呼ばれる)。
【0251】
一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~14日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物の21日サイクルの1~4日目と8~11日目での投与を含む。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~5日目と8~12日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~5日目と11~15日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~5日目と8~12日目と15~19日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~4日目と8~11日目と15~18日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~4日目と8~10日目と15~17日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~3日目と8~11日目での投与を含む。別の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物の21日サイクルの1~3日目と11~13日目での投与を含む。
【0252】
本明細書に記載の任意の治療サイクルは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上のサイクルで繰り返される場合がある。ある特定の例では、本明細書に記載される治療サイクルは、1~約24のサイクル、約2~約16のサイクル、または約2~約4のサイクルを含む。ある特定の例では、本明細書に記載される治療サイクルは、1~約4のサイクルを含む。ある特定の実施形態では、サイクル1~4は、すべて28日サイクルである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療上有効な量の医薬組成物は、28日の1~13回のサイクル(例えば、約1年)で投与される。ある特定の例では、サイクリング療法はサイクル回数に限定されず、療法は疾患進行まで続けられる。サイクルは、ある特定の例では、本明細書に記載の投与期間及び/または休薬期間の持続期間を変化させることを含む場合がある。
【0253】
一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、約0.1mg/日、0.2mg/日、0.3mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.6mg/日、0.7mg/日、0.8mg/日、0.9mg/日、1.0mg/日、5.0mg/日、または10mg/日の投薬量で1日1回投与することを含む。一実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、約0.1mg/日、0.2mg/日、0.3mg/日、0.4mg/日、0.5mg/日、0.6mg/日、0.7mg/日、または0.8mg/日の投薬量で1日1回投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、28日サイクルの1~10日目に、約0.1mg、0.2 mg、0.3 mg、0.4 mg、0.5 mgの投薬量で1日1回投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、28日サイクルの1~10日目及び15~24日目に、約0.1mg、0.2 mg、0.3 mg、0.4 mg、0.5 mgの投薬量で1日1回投与することを含む。いくつかのそのような実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、28日サイクルの1~10日目及び15~24日目に、約0.1mgの投薬量で1日1回投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、28日サイクルの1~3日目に、約0.1mg、0.2 mg、0.3 mg、0.4 mg、0.5 mgの投薬量で1日2回投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、28日サイクルの1~3日目及び15~19日目に、約0.1mg、0.2 mg、0.3 mg、0.4 mg、0.5 mgの投薬量で1日2回投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、28日サイクルの1~3日目及び15~17日目に、約0.1mg、0.2 mg、0.3 mg、0.4 mg、0.5 mgの投薬量で1日2回投与することを含む。他の実施形態では、治療サイクルは、本明細書に記載の医薬組成物を、28日サイクルの1~3日目及び15~17日目に、約0.2 mgの投薬量で1日2回投与することを含む。そのような一実施形態では、医薬組成物は、28日サイクル、例えばサイクル1の1~3日目(朝と夕方)、14日目(夕方のみ)、15日目及び16日目(朝と夕方)、ならびに17日目(朝のみ)に投与される。
【0254】
明確にするために、特に指定がない限り、本明細書で言及する化合物1の用量は、その遊離塩基形態での化合物1の量を指すことに留意されたい。例えば、化合物1の薬学的に許容される塩が使用される場合、上記の量は、それに応じて適合させる必要がある。
【0255】
5.4 第2の活性薬剤との併用治療
本明細書に記載の医薬組成物はまた、手術、生物学的療法(例えば、チェックポイント阻害剤による免疫療法を含む)、放射線療法、化学療法、幹細胞移植、細胞療法、または多発性骨髄腫の治療、予防、もしくは管理に現在使用されている他の非薬物ベースの療法を含むがこれらに限定されない従来の療法と組み合わせるかまたは併用することができる(例えば、前、中、または後に)。本明細書に提供する化合物と従来の療法との併用は、特定の患者に予想外に有効である固有の治療レジメンを提供し得る。理論に制限されることなく、本明細書に記載の医薬組成物が従来の療法と同時に与えられる場合、相加または相乗効果を提供し得ると考えられる。
【0256】
本明細書の他の箇所で論じるように、限定されないが、手術、化学療法、放射線療法、生物学的療法、及び免疫療法を含む従来の療法に伴う有害作用または望ましくない効果を低減、治療、及び/または予防する方法が、本明細書に含まれる。本明細書に記載の医薬組成物及びその他の活性成分は、患者に、従来の療法に関連する有害作用の発生前、発生中、または発生後に投与され得る。
【0257】
本明細書に記載の医薬組成物はまた、本明細書に記載の多発性骨髄腫の治療及び/または予防に有用な他の治療剤と組み合わせられ得るか、それと組み合わせて使用され得る。
【0258】
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、1つ以上の第2の活性薬剤と組み合わせて、かつ任意選択で放射線療法、輸血または手術と組み合わせて、本明細書に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、多発性骨髄腫の治療、予防、または管理方法である。
【0259】
本明細書で使用される場合、用語「組み合わせて」は、2つ以上の療法剤(例えば、1つ以上の予防剤及び/または治療剤)の使用を含む。しかしながら、用語「組み合わせて」の使用は、疾患または障害を有する患者に療法剤(例えば、予防剤及び/または治療剤)が投与される順序を制限しない。例えば、第1の療法剤(例えば、本明細書に記載の医薬組成物などの予防または治療剤)は、対象に第2の療法剤(例えば、予防または治療剤)を投与する前に(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時に、またはそれに続いて(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後に)投与され得る。三重療法もまた、四重療法のように、本明細書に企図される。一実施形態では、第2の療法剤は、デキサメタゾンである。
【0260】
本明細書に記載の医薬組成物と1つ以上の第2の活性薬剤の患者への投与は、同時または順次に、同じ投与経路または異なる投与経路によって行うことができる。特定の活性薬剤に用いられる特定の投与経路の適合性は、活性薬剤自体(例えば、それが血流に入る前に分解することなく経口投与され得るかどうか)に依存するであろう。
【0261】
本明細書に記載の医薬組成物の投与経路は、第2の療法剤の投与経路から独立している。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、静脈内投与される。したがって、これらの実施形態によれば、本明細書に記載の医薬組成物は、経口投与または静脈内投与され、第2の療法剤は、経口投与、非経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、動脈内投与、経皮投与、舌下投与、筋肉内投与、直腸投与、経口腔投与、鼻腔内投与、リポソーム投与、吸入を介した投与、膣内投与、眼内投与、カテーテルもしくはステントによる局部送達を介した投与、皮下投与、脂肪内投与、関節内投与、髄腔内投与または徐放剤形で投与され得る。一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物及び第2の療法剤は、同じ投与様式、経口、またはIVにより投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1つの投与様式、例えばIVによって投与されるが、第2の薬剤(抗多発性骨髄腫薬)は、別の投与様式、例えば経口で投与される。
【0262】
一実施形態では、第2の活性薬剤は、静脈内または皮下に、約1~約1000mg、約5~約500mg、約10~約350mg、または約50~約200mgの量で1日1回または2回投与される。第2の活性薬剤の特定の量は、使用される特定の薬剤、治療または管理される多発性骨髄腫の種類、疾患の重症度及びステージ、ならびに本明細書に記載の医薬組成物と同時に患者に投与されるいずれかの任意の追加の活性薬剤との量によって決まる。
【0263】
1つ以上の第2の活性成分または活性薬剤は、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される場合がある。第2の活性薬剤は、大分子(例えば、タンパク質)、小分子(例えば、合成無機、有機金属、または有機分子)、または細胞療法剤(例えば、CAR細胞)であり得る。
【0264】
本明細書に記載の方法及び組成物において、使用され得る第2の活性薬剤の例は、メルファラン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、エトポシド、ドキソルビシン、ベンダムスチン、オビヌツズマブ、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、オプロゾミブまたはマリゾミブ)、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、パノビノスタット、ACY241)、BET阻害剤(例えば、GSK525762A、OTX015、BMS-986158、TEN-010、CPI-0610、INCB54329、BAY1238097、FT-1101、ABBV-075、BI 894999、GS-5829、GSK1210151A(I-BET-151)、CPI-203、RVX-208、XD46、MS436、PFI-1、RVX2135、ZEN3365、XD14、ARV-771、MZ-1、PLX5117、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-(メタンスルホニル)フェニル]-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オン、EP11313及びEP11336)、BCL2阻害剤(例えば、ベネトクラクスまたはナビトクラクス)、MCL-1阻害剤(例えば、AZD5991、AMG176、MIK665、S64315、またはS63845)、LSD-1阻害剤(例えば、ORY-1001、ORY-2001、INCB-59872、IMG-7289、TAK-418、GSK-2879552、4-[2-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-5-(3-フルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル]-2-フルオロ-ベンゾニトリル、もしくはその塩)、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン)、デキサメタゾン;抗体(例えば、エロツズマブなどのCS1抗体、ダラツムマブもしくはイサツキシマブなどのCD38抗体、またはGSK2857916もしくはBI 836909などのBCMA抗体もしくは抗体コンジュゲート)、チェックポイント阻害剤(本明細書に記載のような)、またはCAR細胞(本明細書に記載のような)のうちの1つ以上を含む。
【0265】
一実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、デキサメタゾンである。
【0266】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に4mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8及び11日目に4mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に4mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に4mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に4mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に4mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に4mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に4mgの用量で投与される。
【0267】
いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に8mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8及び11日目に8mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に8mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に8mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に8mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に8mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に8mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に8mgの用量で投与される。
【0268】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に10mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8及び11日目に10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に10mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に10mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に10mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に10mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に10mgの用量で投与される。
【0269】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に20mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8及び11日目に20mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に20mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に20mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に20mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に20mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に20mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に20mgの用量で投与される。
【0270】
いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1日目及び8日目に40mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、21日サイクルの1、4、8及び11日目に40mgの用量で投与される。いくつかの実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、及び15日目に40mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、10、15、及び22日目に40mgの用量で投与される。いくつかの他の実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、4、8、11、15及び18日目に40mgの用量で投与される。他のそのような実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、8、15、及び22日目に40mgの用量で投与される。他のそのような実施形態では、デキサメタゾンは、28日サイクルの1、3、15、及び17日目に40mgの用量で投与される。そのような一実施形態では、デキサメタゾンは、サイクル1の1、3、14、及び17日目に40mgの用量で投与される。
【0271】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、ボルテゾミブである。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、ダラツムマブである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。いくつかの実施形態では、方法は、本明細書に記載のプロテアソーム阻害剤、本明細書に記載のCD38阻害剤、及び本明細書に記載のコルチコステロイドと共に、本明細書に記載の医薬組成物の投与を含む。
【0272】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、パノビノスタットである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0273】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、ACY241である。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0274】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、ビンクリスチンである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0275】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、シクロホスファミドである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0276】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、エトポシドである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0277】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、ドキソルビシンである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0278】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、ベネトクラクスである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0279】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、AMG176である。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0280】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、MIK665である。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0281】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、GSK525762Aである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0282】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、OTX015である。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0283】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、4-[2-(シクロプロピルメトキシ)-5-(メタンスルホニル)フェニル]-2-メチルイソキノリン-1(2H)-オンである。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0284】
別の実施形態では、本明細書に記載の方法及び組成物において、本明細書に記載の医薬組成物と一緒に使用される第2の活性薬剤は、4-[2-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-5-(3-フルオロ-4-メトキシ-フェニル)-1-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル]-2-フルオロ-ベンゾニトリル、またはそれらの塩(例えば、ベシル酸塩)である。いくつかのそのような実施形態では、方法は、追加的にデキサメタゾンの投与を含む。
【0285】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される。一実施形態では、1つのチェックポイント阻害剤が、本明細書に記載の方法に関連して本明細書に記載の医薬組成物と組み合わせて使用される。別の実施形態では、2つのチェックポイント阻害剤が、本明細書に記載の方法に関連して本明細書に記載の医薬組成物と組み合わせて使用される。さらに別の実施形態では、3つ以上のチェックポイント阻害剤が、本明細書に記載の方法に関連して本明細書に記載の医薬組成物と組み合わせて使用される。
【0286】
本明細書で使用される場合、用語「免疫チェックポイント阻害剤」または「チェックポイント阻害剤」とは、1つ以上のチェックポイントタンパク質を完全にまたは部分的に低減するか、それらを阻害するか、それらに干渉するか、またはそれらを調節する分子を指す。特定の理論によって制限されることなく、チェックポイントタンパク質は、T細胞活性化または機能を調節する。多数のチェックポイントタンパク質、例えば、CTLA-4ならびにそのリガンドCD80及びCD86と、リガンドPD-Ll及びPD-L2を有するPD-1とが、知られている(Pardoll,Nature Reviews Cancer,2012,12,252-264)。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激性または阻害性相互作用を担うと思われる。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容、ならびに生理学的免疫応答の持続期間及び程度を調節し維持すると思われる。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか、または抗体から誘導される。
【0287】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤である。一実施形態では、CTLA-4阻害剤は、抗CTLA-4抗体である。抗CTLA-4抗体の例は、すべてが全体において本明細書に組み込まれる米国特許第5,811,097号、同第5,811,097号、同第5,855,887号、同第6,051,227号、同第6,207,157号、同第6,682,736号、同第6,984,720号、及び同第7,605,238号に記載されるものを含むが、これらに限定されない。一実施形態では、抗CTLA-4抗体は、トレメリムマブ(別名、チシリムマブまたはCP-675,206としても知られる)である。別の実施形態では、抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(MDX-010またはMDX-101としても知られる)である。イピリムマブは、CTLA-4に結合する完全ヒトモノクローナルIgG抗体である。イピリムマブは、Yervoy(商標)という商品名で販売されている。
【0288】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1/PD-L1阻害剤である。PD-l/PD-L1阻害剤の例は、すべてが全体において本明細書に組み込まれる米国特許第7,488,802号、同第7,943,743号、同第8,008,449号、同第8,168,757号、同第8,217,149号、ならびにPCT特許出願公開第WO2003042402号、同第WO2008156712号、同第WO2010089411号、同第WO2010036959号、同第WO2011066342号、同第WO2011159877号、同第WO2011082400号、及び同第WO2011161699号に記載されるものを含むが、これらに限定されない。
【0289】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤である。一実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体である。一実施形態では、抗PD-1抗体は、BGB-A317、ニボルマブ(ONO-4538、BMS-936558、またはMDX1106としても知られる)、またはペンブロリズマブ(MK-3475、SCH900475、またはランブロリズマブとしても知られる)である。一実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブである。ニボルマブは、ヒトIgG4抗PD-1モノクローナル抗体であり、Opdivo(商標)という商品名で販売されている。別の実施形態では、抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブである。ペンブロリズマブは、ヒト化モノクローナルIgG4抗体であり、Keytruda(商標)という商品名で販売されている。さらに別の実施形態では、抗PD-1抗体は、ヒト化抗体であるCT-011である。単独で投与されたCT-011は、再発時に急性骨髄性白血病(AML)を治療することにおいて応答を示すことができなかった。さらに別の実施形態では、抗PD-1抗体は、融合タンパク質であるAMP-224である。別の実施形態では、PD-1抗体は、BGB-A317である。BGB-A317は、Fcガンマ受容体Iに結合する能力が特異的に操作されており、かつ高い親和性及び優れた標的特異性を伴うPD-1に対する独自の結合シグネチャを有する、モノクローナル抗体である。
【0290】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L1阻害剤である。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体である。一実施形態では、抗PD-L1抗体は、MEDI4736(デュルバルマブ)である。別の実施形態では、抗PD-L1抗体は、BMS-936559(MDX-1105-01としても知られる)である。さらに別の実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(MPDL3280A、及びTecentriq(登録商標)としても知られる)である。
【0291】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-L2阻害剤である。一実施形態では、PD-L2阻害剤は、抗PD-L2抗体である。一実施形態では、抗PD-L2抗体は、rHIgM12B7Aである。
【0292】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)阻害剤である。一実施形態では、LAG-3阻害剤は、可溶性Ig融合タンパク質であるIMP321である(Brignone et al.,J.Immunol.,2007,179,4202-4211)。別の実施形態では、LAG-3阻害剤は、BMS-986016である。
【0293】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、B7阻害剤である。一実施形態では、B7阻害剤は、B7-H3阻害剤またはB7-H4阻害剤である。一実施形態では、B7-H3阻害剤は、抗B7-H3抗体であるMGA271である(Loo et al.,Clin.Cancer Res.,2012,3834)。
【0294】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、TIM3(T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3)阻害剤である(Fourcade et al.,J. Exp.Med.,2010,207,2175-86、Sakuishi et al.,J.Exp.Med.,2010,207,2187-94)。
【0295】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、OX40(CD134)アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗OX40抗体である。一実施形態では、抗OX40抗体は、抗OX-40である。別の実施形態では、抗OX40抗体は、MEDI6469である。
【0296】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、GITRアゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗GITR抗体である。一実施形態では、抗GITR抗体は、TRX518である。
【0297】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD137アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD137抗体である。一実施形態では、抗CD137抗体は、ウレルマブである。別の実施形態では、抗CD137抗体は、PF-05082566である。
【0298】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CD40アゴニストである。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、抗CD40抗体である。一実施形態では、抗CD40抗体は、CF-870,893である。
【0299】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、組換えヒトインターロイキン-15(rhIL-15)である。
【0300】
一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、IDO阻害剤である。一実施形態では、IDO阻害剤は、INCB024360である。別の実施形態では、IDO阻害剤は、インドキシモドである。
【0301】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の併用治療は、本明細書に記載のチェックポイント阻害剤(同じまたは異なるクラスのチェックポイント阻害剤を含む)のうちの2つ以上を含む。さらに、本明細書に記載の併用治療は、本明細書に記載の疾患を治療するために適切であり、かつ当技術分野で理解されている、本明細書に記載の1つ以上の第2の活性薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0302】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、それらの表面(例えば、修飾された免疫細胞)で1つ以上のキメラ抗原受容体(CAR)を発現する1つ以上の免疫細胞と組み合わせて使用することができる。一般に、CARは、第1のタンパク質(例えば、抗原結合タンパク質)からの細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の実施形態では、細胞外ドメインが、腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍特異的抗原(TSA)などの標的タンパク質に結合すると、シグナルは、例えば、標的タンパク質を発現する細胞を標的とし、死滅させるために、免疫細胞を活性化する細胞内シグナル伝達ドメインを介して生成される。
【0303】
細胞外ドメイン:CARの細胞外ドメインは、目的の抗原に結合する。ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインは、受容体、または上記抗原に結合する受容体の一部を含む。ある特定の実施形態では、細胞外ドメインは、抗体もしくはその抗原結合部分を含むか、または抗体もしくはその抗原結合部分である。特定の実施形態では、細胞外ドメインは、一本鎖Fv(scFv)ドメインを含むか、または一本鎖Fv(scFv)ドメインである。一本鎖Fvドメインは、例えば、可撓性リンカーによってVHに連結されたVLを含み得、前記VL及びVHは、前記抗原に結合する抗体に由来する。
【0304】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のポリペプチドの細胞外ドメインによって認識される抗原は、腫瘍関連抗原(TAA)または腫瘍特異的抗原(TSA)である。様々な特定の実施形態では、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原は、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ-フェトタンパク質(AFP)、がん胎児性抗原(CEA)、がん抗原-125(CA-125)、CA19-9、カルレチニン、MUC-1、B細胞成熟抗原(BCMA)、上皮膜タンパク質(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ-24関連抗原(MAGE)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD34、CD45、CD70、CD99、CD117、EGFRvIII(上皮成長因子バリアントIII)、メソテリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマ代替リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAPI(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、総嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球によって認識されるメラノーマ抗原;MART-I)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、二量体形態のピルビン酸キナーゼアイソエンザイムM2型(腫瘍M2-PK)、異常なrasタンパク質、または異常なp53タンパク質であるが、これらに限定されない。ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、またはRal-Bである。
【0305】
ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、がん/精巣(CT)抗原、例えば、BAGE、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-ES0-1、NY-SAR-35、OY-TES-1、SPANXBI、SPA17、SSX、SYCPI、またはTPTEである。
【0306】
ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、炭水化物またはガングリオシド、例えば、fuc-GMI、GM2(腫瘍胎児抗原-免疫原性-1、OFA-I-1);GD2(OFA-I-2)、GM3、GD3などである。
【0307】
ある特定の他の実施形態では、CARの細胞外ドメインによって認識されるTAAまたはTSAは、α-アクチニン-4、Bage-1、BCR-ABL、Bcr-Abl融合タンパク質、β-カテニン、CA125、CA15-3(CA27.29\BCAA)、CA195、CA242、CA-50、CAM43、Casp-8、cdc27、cdk4、cdkn2a、CEA、coa-l、dek-can融合タンパク質、EBNA、EF2、エプスタインバーウイルス抗原、ETV6-AML1融合タンパク質、HLA-A2、HLA-All、hsp70-2、KIAA0205、Mart2、Mum-1、2、及び3、neo-PAP、ミオシンクラスI、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PTPRK、K-ras、N-ras、トリオースリン酸イソメラーゼ、Gage3,4,5,6,7、GnTV、Herv-K-mel、Lage-1、NA-88、NY-Eso-1/Lage-2、SP17、SSX-2、TRP2-Int2、gp100(Pmel17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、MAGE-l、MAGE-3、RAGE、GAGE-l、GAGE-2、p15(58)、RAGE、SCP-1、Hom/Mel-40、PRAME、p53、HRas、HER-2/neu、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7、TSP-180、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72-4、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、13-カテニン、Mum-1、p16、TAGE、PSMA、CT7、テロメラーゼ、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68\KP1、C0-029、FGF-5、G250、Ga733(EpCAM)、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB\70K、NY-C0-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TAG72、TLP、またはTPSである。
【0308】
様々な特定の実施形態では、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原は、S.Anguille et al,Leukemia(2012),26,2186-2196に記載されているような、AML関連腫瘍抗原である。
【0309】
他の腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原は、当業者に公知である。
【0310】
キメラ抗原受容体を構築するのに有用なTSA及びTAAに結合する受容体、抗体、及びscFvは、当技術分野で既知であり、それらをコードするヌクレオチド配列もまた当技術分野で既知である。
【0311】
ある種の特定の実施形態では、キメラ抗原受容体の細胞外ドメインによって認識される抗原は、一般的にTSAまたはTAAであると見なされないが、それでもなお腫瘍細胞に関連するか、または腫瘍によって引き起こされる損傷に関連する抗原である。ある特定の実施形態では、例えば、抗原は、例えば、成長因子、サイトカインまたはインターロイキン、例えば、血管新生または血管形成に関連する成長因子、サイトカイン、またはインターロイキンである。そのような成長因子、サイトカイン、またはインターロイキンとして、例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、またはインターロイキン-8(IL-8)が挙げられ得る。腫瘍はまた、腫瘍局在的な低酸素環境も生成し得る。したがって、他の特定の実施形態では、抗原は、低酸素症関連因子、例えば、HIF-1α、HIF-1β、HIF-2α、HIF-2β、HIF-3α、またはHIF-3βである。腫瘍はまた、局所的な損傷を正常組織に引き起こし、損傷関連分子パターン分子(DAMP;別名、アラーミン)として知られる分子の放出を引き起こし得る。したがって、ある種の他の特定の実施形態では、抗原は、DAMP、例えば、熱ショックタンパク質、クロマチン関連タンパク質高移動度群ボックス1(HMGB1)、S100A8(MRP8、カルカルグラヌリンA)、S100A9(MRP14、カルグラヌリンB)、血清アミロイドA(SAA)であるか、または、デオキシリボ核酸、アデノシン三リン酸、尿酸、もしくはヘパリン硫酸である。
【0312】
膜貫通ドメイン:ある特定の実施形態では、CARの細胞外ドメインは、リンカー、スペーサ、またはヒンジポリペプチド配列、例えば、CD28由来の配列もしくはCTLA4由来の配列によってポリペプチドの膜貫通ドメインに結合される。膜貫通ドメインは、任意の膜貫通タンパク質の膜貫通ドメインから得ることができるか、またはそれに由来し得、そのような膜貫通ドメインのすべてまたは一部を含み得る。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD8、CD16、サイトカイン受容体、及びインターロイキン受容体、または増殖因子受容体などから取得し得るか、またはそれに由来し得る。
【0313】
細胞内シグナル伝達ドメイン:ある特定の実施形態では、CARの細胞内ドメインは、T細胞の表面で発現するタンパク質の細胞内ドメインもしくはモチーフであるか、またはそれらを含み、上記T細胞の活性化及び/または増殖を引き起こす。そのようなドメインまたはモチーフは、CARの細胞外部分への抗原の結合に応答してTリンパ球の活性化に必要な一次抗原結合シグナルを伝送することができる。一般的に、このドメインまたはモチーフは、ITAM(免疫受容活性化チロシンモチーフ)を含むか、またはITAMである。CARに好適なITAM含有ポリペプチドは、例えば、ゼータCD3鎖(CD3ζ)またはそのITAM含有部分を含む。特定の実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメインである。他の特定の実施形態では、細胞内ドメインは、リンパ球受容体鎖、TCR/CD3複合体タンパク質、Fe受容体サブユニット、またはIL-2受容体サブユニット由来である。ある特定の実施形態では、CARは、さらに、例えば、ポリペプチドの細胞内ドメインの一部として1つ以上の共刺激性ドメインまたはモチーフを含む。1つ以上の共刺激性ドメインまたはモチーフは、共刺激性CD27ポリペプチド配列、共刺激性CD28ポリペプチド配列、共刺激性OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激性4-1BB(CD137)ポリペプチド配列、または共刺激性誘導性T細胞共刺激性(ICOS)ポリペプチド配列、または他の共刺激性ドメインもしくはモチーフ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上であり得るか、あるいはそれらを含み得る。
【0314】
CARはまた、T細胞生存モチーフを含み得る。T細胞生存モチーフは、抗原による刺激後のTリンパ球の生存を促進する任意のポリペプチド配列またはモチーフであり得る。ある特定の実施形態では、T細胞生存モチーフは、CD3、CD28、IL-7受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン(IL-7R)、IL-12受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL-15受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、IL-21受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、または形質転換成長因子β(TGFβ)受容体の細胞内シグナル伝達ドメインであるか、またはそれらに由来する。
【0315】
CARを発現する修飾された免疫細胞は、例えば、Tリンパ球(T細胞、例えば、CD4+T細胞またはCD8+T細胞)、細胞傷害性リンパ球(CTL)、または天然キラー(NK)細胞であり得る。本明細書に記載の組成物及び方法で使用するTリンパ球は、ナイーブTリンパ球またはMHC拘束性Tリンパ球であり得る。ある特定の実施形態では、Tリンパ球は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。ある特定の実施形態では、Tリンパ球は、腫瘍生検から単離されているか、または腫瘍生検から単離されたTリンパ球から増殖されている。ある特定の他の実施形態では、T細胞は、末梢血、臍帯血、またはリンパ液から単離されているか、または末梢血、臍帯血、もしくはリンパ液から単離されたTリンパ球から増殖されている。CARを発現する修飾された免疫細胞を生成するために使用される免疫細胞は、当技術分野で認められた常法、例えば、血液収集、それに続くアフェレシス、及び任意選択で抗体媒介性の細胞の単離またはソーティングを使用して単離され得る。
【0316】
修飾された免疫細胞は、好ましくは、修飾された免疫細胞が投与される個体にとって自家性である。ある特定の他の実施形態では、修飾された免疫細胞は、修飾された免疫細胞を投与しようとする個体にとって同種異系である。同種異系Tリンパ球またはNK細胞を使用して修飾されたTリンパ球を調製する場合、個人の移植片対宿主病(GVHD)の可能性を低減するTリンパ球またはNK細胞を選択することが好ましい。例えば、ある特定の実施形態では、修飾されたTリンパ球の調製のためにウイルス特異的Tリンパ球が選択され、そのようなリンパ球は、任意のレシピエント抗原に結合し、その結果、該抗原により活性化されるようになる本来の能力が大幅に低下すると考えられる。ある特定の実施形態では、同種Tリンパ球のレシピエントによる拒絶は、宿主に1つ以上の免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、シクロホスファミドなどを共投与することにより、低下させることができる。
【0317】
Tリンパ球、例えば、未修飾Tリンパ球、またはCD3及びCD28を発現するTリンパ球、またはCD3ζシグナル伝達ドメイン及びCD28共刺激性ドメインを含むポリペプチドを含むTリンパ球は、CD3及びCD28への抗体、例えば、ビーズに結合した抗体を使用して増殖させることができる。例えば、米国特許第5,948,893号;第6,534,055号;第6,352,694号;第6,692,964号;第6,887,466号;及び第6,905,681号を参照されたい。
【0318】
修飾された免疫細胞、例えば、修飾されたTリンパ球には、所望の場合、修飾された免疫細胞の実質的にすべての死滅を可能にする「自殺遺伝子」または「安全スイッチ」を任意選択で含ませることができる。例えば、修飾されたTリンパ球には、ある特定の実施形態では、ガンシクロビルとの接触時に、修飾されたTリンパ球の死滅をもたらす、HSVチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-TK)を含ませることができる。別の実施形態では、修飾されたTリンパ球は、誘導性カスパーゼ、例えば、誘導性カスパーゼ9(icaspase9)、例えば、カスパーゼ9と特定の小分子医薬品を使用した二量体化を可能にするヒトFK506結合タンパク質との融合タンパク質を含む。Straathof et al.,Blood 1 05(11):4247-4254(2005)を参照されたい。
【0319】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、様々な種類またはステージの多発性骨髄腫の患者に、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞と組み合わせて投与される。ある特定の実施形態では、組み合わせにおけるCAR T細胞は、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とし、より特定の実施形態では、CAR T細胞は、bb2121またはbb21217である。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、JCARH125である。
【実施例】
【0320】
6.実施例
本発明のある特定の実施形態は、以下の非限定的実施例によって例示される。
6.1 (S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリル(化合物1)の合成。
【化3】
【0321】
tert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸塩。1,4-ジオキサン(1.50L)中の(2S)-2-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-5-tert-ブトキシ-5-オキソ-ペンタン酸(150g、445mmol)の溶液に、二炭酸ジ-tert-ブチル(155g、711mmol)、ピリジン(70.3g、889mmol)及び重炭酸アンモニウム(105g、1.33mol)を加えた。反応混合物を18℃で16時間撹拌し、次いで濃縮した。残留物を酢酸エチル(5.0L)及び水(5.0L)に溶解させ、有機層を、分離し、HCl(3.0mL、1N)、飽和重炭酸ナトリウム(3.0L)、ブライン(3.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製のtert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸塩(450g、粗製)を白色固体として得て、さらなる精製なしで次のステップで使用した。1H NMR 400 MHz DMSO-d6 δ: 7.35-7.30 (m, 5H), 7.02 (s, 1H), 5.01 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 3.93-3.90 (m, 1H), 2.20 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 1.88-1.84 (m, 1H), 1.72-1.69 (m, 1H), 1.35 (s, 9H)。
【0322】
tert-ブチル(4S)-4,5-ジアミノ-5-オキソ-ペンタン酸塩。メタノール(1.0L)中のtert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-(ベンジルオキシカルボニルアミノ)-5-オキソ-ペンタン酸塩(112g、333mmol)の溶液に、窒素下で10%パラジウム炭素(15g)を加えた。懸濁液を真空下で脱気し、水素で数回パージした。混合物を水素ガス(40psi)下、30℃で16時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗製のtert-ブチル(4S)-4,5-ジアミノ-5-オキソ-ペンタン酸塩を無色の油として得た。1H NMR 400 MHz DMSO-d6 δ: 7.30 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 3.10-3.07 (m, 1H), 2.27-2.23 (m, 2H), 1.69-1.78 (m, 1H), 1.59-1.55 (m, 1H), 1.38 (s, 9H)。
【0323】
3-ヒドロキシ-2-メチル-安息香酸メチル。4つのバッチ(各200g)を並行して実行した。メタノール(4.0L)中の3-ヒドロキシ-2-メチル-安息香酸(200g、1.31mol)の溶液に、濃硫酸(47.7g、486mmol)を加えた。反応混合物を60℃で17時間撹拌した。反応混合物を800mLに濃縮した。得られた混合物を20℃に冷却し、30分かけてゆっくりと水(400mL)中に注いだ。水(1200mL)を20℃で3時間かけて加え、得られた混合物を20℃で1時間撹拌した。沈殿した固体を、真空濾過(4つのバッチが組み合わされた)によって収集し、濾液がpH>3になるまで水/メタノール(1000mL、9:1)で3回洗浄した。固体を、45℃にて真空下で乾燥して、灰色固体として3-ヒドロキシ-2-メチル-安息香酸メチル(700g、収率80.4%)を得た。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ: 9.70 (s, 1H), 7.18 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 7.09 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.00 (t, J = 6.8 Hz, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.29 (s, 3H)。
【0324】
3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-メチル-安息香酸メチル。2つのバッチ(各々240g)を、並行して実行した。N,N-ジメチルホルムアミド(1.40L)中の3-ヒドロキシ-2-メチル-安息香酸メチル(240g、1.44mol)の溶液に、イミダゾール(246g、3.61mol)及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(238g、1.58mol)を、5℃で添加した。添加後、混合物を20℃まで温め、6時間撹拌した。酢酸イソプロピル(1700mL)を加え、次いで温度を30℃以下に保ちながら水(2000mL)をゆっくりと加えた。結果として生じた混合物を撹拌し、続いて有機相を分離した。組み合わされた有機物(2つのバッチが組み合わされた)を、水(1700mL×3)で洗浄し、約1500mL(KF<0.05%)に濃縮した。生成物を、酢酸イソプロピル溶液として保管し、さらなる精製なしで次のステップで使用した。
【0325】
2-(ブロモメチル)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-安息香酸メチル。2つのバッチ(各々約375g)を、並行して実行した。3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-2-メチル-安息香酸メチル(約375g、1.34mol)の酢酸イソプロピル溶液に、N-ブロモスクシンイミド(274g、1.54mol)とアゾビスイソブチロニトリル(4.40g、26.8mmol)を加えた。反応混合物を少なくとも1時間にわたって70℃に加熱し、70℃で4時間撹拌した。反応混合物を20℃に冷却し、20℃で少なくとも1時間保持した。固形物(スクシンイミド)の2つのバッチを濾過により除去し、酢酸イソプロピル(700mL)で洗浄した。濾液を、水(6000mL)中の亜硫酸ナトリウム(700g)の溶液で、続いて水(1500mL)で洗浄した。有機層を、真空下45℃で蒸留乾固させて、2-(ブロモメチル)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-安息香酸メチル(920g、収率95.5%)を濃橙色の油として得た。1H NMR: 400 MHz DMSO-d6 δ: 7.45 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.36 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.13 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 4.95 (s, 2H), 1.02 (s, 9H), 0.29 (s, 6H)。
【0326】
tert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-[4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-5-オキソ-ペンタン酸塩。アセトニトリル(4.0L)中のtert-ブチル(4S)-4,5-ジアミノ-5-オキソ-ペンタン酸塩(130g、643mmol)の溶液に、2-(ブロモメチル)-3-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-安息香酸メチル(210g、584mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(113g、877mmol)を加えた。反応混合物を50℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮してアセトニトリルのほとんどを除去し、残留物をメチルtert-ブチルエーテル(2.0L)及び水(1.5L)に溶解させ、有機層を飽和リン酸一カリウム(1.0L×2)、ブライン(1.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製のtert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-[4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-5-オキソ-ペンタン酸塩(524g)を得て、さらなる精製なしで次のステップで使用した。
【0327】
tert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-(4-ヒドロキシ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-5-オキソ-ペンタン酸塩。メタノール(2.0L)中のtert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-[4-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-5-オキソ-ペンタン酸塩(275g、613mmol)の溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物(38.7g、123mmol)を加えた。混合物を、18℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、メタノールのほとんどを除去し、残留物をジクロロメタン/水(3L/2L)に溶解させた。有機層を、分離し、ブライン(1.0L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して粗生成物を得て、シリカゲルカラムによって精製して、生成物(260g)を得た。生成物をアセトニトリル(750mL)に加え、混合物を60℃で2時間撹拌し、18℃に冷却し、さらに2時間撹拌した。固体を濾過し、ケーキを乾燥させて、tert-ブチル(4S)-5-アミノ-4-(4-ヒドロキシ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-5-オキソ-ペンタン酸塩(248g、収率60.5%)を灰色の固体として得た。1H NMR 400 MHz DMSO-d6 δ:10.00 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.29 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 4.72-4.68 (m, 1H), 4.49-4.28 (m, 2H), 2.17-1.97 (m, 4H), 1.31 (s, 9H)。
【0328】
4-(4-(4-(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリル。1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン(51.2g、292mmol)を、アセトニトリル(195mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(195mL)と共にフラスコに入れた。反応混合物を、周囲温度ですべての固体が溶解するまで撹拌した。次いで、ジイソプロピルアミン(51.1mL、292mmol)を3-フルオロ-4-(ピペラジン-1-イル)ベンゾニトリル(20g、97mmol)と共に加えた。反応混合物を1時間、60℃に加熱した。アセトニトリルを減圧下で除去した。残りの混合物を酢酸エチル(1.0L)、水(700mL)、及びブライン(300mL)に分配した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで2回抽出した。揮発性有機物を、組み合わせ、減圧下で除去した。固体を、最小のジクロロメタンに溶解させ、シリカゲルカラム(3Lを超えるヘキサン中の0~100%酢酸エチル)で精製した。所望の生成物を含有する画分を組み合わせ、揮発性有機物を減圧下で除去した。残留物を、最小量のジクロロメタンに溶解させ、シリカゲルカラム上で再度精製した(800mLを超えるヘキサン中の10%アイソクラティック酢酸エチル、続いて4Lを超えるヘキサン中の20~80%酢酸エチル)。所望の生成物を含有する画分を、組み合わせ、揮発性有機物を減圧下で除去して、4-(4-(4-(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリル(22.7g、66.0mmol、67.7%収率)を、オフホワイトの固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.33 - 7.39 (m, 5 H) 7.29 (d, J=1.96 Hz, 1 H) 7.25 (d, J=1.96 Hz, 1 H) 6.91 (t, J=8.56 Hz, 1 H) 4.60 (s, 2 H) 3.58 (s, 2 H) 3.19 - 3.27 (m, 4 H) 2.58 - 2.66 (m, 4 H)。MS (ESI) m/z 344.2 [M+1]+。
【0329】
(S)-tert-ブチル5-アミノ-4-(4-((4-((4-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)メチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタン酸塩。(S)-tert-ブチル5-アミノ-4-(4-ヒドロキシ-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタン酸塩(22.05g、65.9mmol)を、4-(4-(4-(クロロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリル(22.67g、65.9mmol)、炭酸カリウム(18.23g、132mmol)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(330mL)を含むフラスコに入れた。反応混合物を45℃に16時間加熱した。反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、濾過した。濾液を、酢酸エチル(900mL)及び水(600mL)及びブライン(200mL)で分配した。有機層を、単離し、水(600mL)で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去した。残留物をヘキサン中の20%酢酸エチルで処理し、揮発性物質を減圧下で除去して、(S)-tert-ブチル5-アミノ-4-(4-((4-((4-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)メチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタン酸塩(44.02g、68.6mmol、収率104%)をオフホワイトの固形物として得た。一部のDMFが残っていたため、収量はわずかに定量を超えた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.43 - 7.49 (m, 2 H) 7.40 (s, 4 H) 7.36 (dd, J=8.38, 1.28 Hz, 1 H) 7.29 (d, J=1.96 Hz, 1 H) 7.26 (d, J=1.83 Hz, 1 H) 7.11 (dd, J=7.64, 1.16 Hz, 1 H) 6.92 (t, J=8.50 Hz, 1 H) 6.23 (br s, 1 H) 5.24 - 5.32 (m, 1 H) 5.15 (s, 2 H) 4.86 - 4.94 (m, 1 H) 4.38 - 4.55 (m, 2 H) 3.61 (s, 2 H) 3.18 - 3.32 (m, 4 H) 2.58 - 2.70 (m, 4 H) 2.09 - 2.47 (m, 4 H) 1.43 (s, 8 H)。MS (ESI) m/z 642.4 [M+1]+。
【0330】
(S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリル(化合物1)。(S)-tert-ブチル5-アミノ-4-(4-((4-((4-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)メチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)-5-オキソペンタン酸塩(12.1g、18.86mmol)を、アセトニトリル(189mL)及びベンゼンスルホン酸(3.96g、24.51mmol)を含むバイアルに入れた。反応混合物を真空下に置き、窒素でパージした。これをもう一度繰り返し、次いで混合物を窒素雰囲気下で一晩85℃に加熱した。温めた反応混合物を、ジクロロメタン(1000mL)及び酢酸エチル(300mL)を含む2つの分液漏斗に直接注いだ。この混合物に、重炭酸ナトリウムの飽和溶液(900mL)、水(100mL)、及びブライン(450mL)を、添加した。有機層を単離し、水層を、ジクロロメタン(800mL)及び酢酸エチル(200mL)で抽出した。組み合わせた有機層を、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。標準的な方法によって精製し、表題化合物を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.96 (s, 1 H) 7.68 (dd, J=13.45, 1.83 Hz, 1 H) 7.56 (dd, J=8.44, 1.83 Hz, 1 H) 7.43 - 7.52 (m, 3 H) 7.29 - 7.39 (m, 4 H) 7.11 (t, J=8.80 Hz, 1 H) 5.24 (s, 2 H) 5.11 (dd, J=13.20, 5.14 Hz, 1 H) 4.22 - 4.46 (m, 2 H) 3.54 (s, 2 H) 3.12 - 3.22 (m, 4 H) 2.85 - 2.97 (m, 1 H) 2.53 - 2.62 (m, 2 H) 2.38 - 2.48 (m, 2 H) 1.93 - 2.03 (m, 1 H)。MS(ESI) m/z 568.2[M+1]+。
【0331】
化合物1の形態Kを調製するための再結晶。(S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリルを、アセトン(35L/Kg)に溶解し、濾過してキラル純度を向上させた。濾液を0.45μMフィルタに通して、きれいな反応器に入れた。蒸留後(目標容積15L/Kg)、水(2L/Kg)を投入して過飽和状態にした。このバッチに、形態Kを入れて、一定温度に保ち、40℃の再循環ループで湿式粉砕した。水(6L/Kg)を1(L/Kg)/hの一定速度で投入し、先端速度を落として湿式粉砕した。バッチを25℃まで冷却して、3時間保持した。バッチを濾過し、洗浄し、乾燥させた。湿潤熟成を行った後、共粉砕して塊にし、形態Kとして、(S)-4-(4-(4-(((2-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-1-オキソイソインドリン-4-イル)オキシ)メチル)ベンジル)ピペラジン-1-イル)-3-フルオロベンゾニトリルを得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.96 (s, 1 H) 7.68 (dd, J=13.45, 1.83 Hz, 1 H) 7.56 (dd, J=8.44, 1.83 Hz, 1 H) 7.43 - 7.52 (m, 3 H) 7.29 - 7.39 (m, 4 H) 7.11 (t, J=8.80 Hz, 1 H) 5.24 (s, 2 H) 5.11 (dd, J=13.20, 5.14 Hz, 1 H) 4.22 - 4.46 (m, 2 H) 3.54 (s, 2 H) 3.12 - 3.22 (m, 4 H) 2.85 - 2.97 (m, 1 H) 2.53 - 2.62 (m, 2 H) 2.38 - 2.48 (m, 2 H) 1.93 - 2.03 (m, 1 H)。MS(ESI) m/z 568.2[M+1]+。
【0332】
6.2 多発性骨髄腫に対する抗増殖作用
細胞培養材料:ヒト多発性骨髄腫細胞株を供給業者から購入し、表1に示すように、培地中で、37℃、5%CO
2で培養した。レナリドマイド及びポマリドマイド耐性細胞株を、概略的に前述した方法により得た(Lopez-Girona et al Leukemia 2012;26(11):2335)。すべての細胞株を対数期に保ち、細胞密度及び生存率を、Vi cell XR細胞生存率分析装置(Beckman Coulter,Brea,CA)を使用したトリパンブルー排除によってモニタリングした。
表1:試験した多発性骨髄腫細胞株
【表3】
【0333】
試験品の溶液の調製:化合物1を、最大容積50μLを想定して0.1%の最終DMSO容積まで、ブラック384ウェルプレート(Corning Inc.)にプレーティングした。1:3の希釈で10μMから開始する10点用量反応を、EDC ATS-100プラットフォームを使用して、音響分注によって2つ組でプリントした。別の方法として、1:10の希釈で10μMから開始するか、または1:3の希釈で100nMから開始する10点用量反応を使用した。
【0334】
細胞増殖アッセイ:血液細胞株(表1)の増殖/生存率に対する化合物1の作用を、製造者の指示に従い、CTG(Promega)を使用して、120時間の培養後に評価した。血液細胞株を、Multidrop Combi Reagent Dispenser(Thermo Scientific,Waltham,MA)によって、50μL総容積中0.1×106細胞/mLの濃度で化合物プレートに分注した。120時間目に、Multidrop Combi Reagent Dispenserによって、CTGを25μL/ウェルに分注し、Envisionプラットフォームを使用して、30分後に生存細胞によるアデノシン三リン酸(ATP)の放出を相対発光単位として測定した。
【0335】
結果。化合物1は、MM細胞株に対して抗増殖活性を示した。本研究のために選択したMM細胞株は、骨髄腫患者を治療するのに承認されている、2つの薬剤、レナリドマイド及び/またはポマリドマイドに対して感受性及び耐性がある株であった(表1)。増殖を、CellTitre-Glo(登録商標)アッセイを使用して評価した。化合物1と共に培養した培養物の結果を、細胞株ごとに対照培養物の結果に正規化した。化合物1による細胞増殖阻害のIC
50を、ActivityBaseソフトウエアを使用して、細胞株ごとに測定した。化合物1は、120時間後に培地中に存在するATPレベルの定量的評価によって、4個の細胞株において細胞増殖を強力に阻害したと判定された。化合物1の抗増殖IC
50値は、0.07nM~4.3nMの範囲であった(表2)。化合物1は、レナリドマイド及び/またはポマリドマイド耐性であった細胞株に対しても非常に強力な多発性骨髄腫抗増殖活性を示した。
表2:液体培養物中のMM細胞株における化合物1による細胞成長の阻害
【表4】
【0336】
6.3 化合物1のオフターゲット作用。
α1アドレナリン受容体及びドーパミンD2受容体。方法:α1アドレナリン受容体及びドーパミンD2受容体に対する結合及び機能アッセイを、それらの方法に従い、Eurofins Cerepによって実施した。
【0337】
α1アドレナリン受容体。10μMでの結合。結合アッセイにより、ラット大脳皮質における非選択的α1アドレナリン受容体に対する試験品の親和性を評価した。大脳皮質の膜ホモジネートを、10μMの試験品の不在下または存在下で、0.25nMの[3H]プラゾシンと共に、室温で60分間、2つ組で培養した。培養期間後、試料を、ガラスファイバフィルタを通して濾過し、フィルタを乾燥させ、その後、シンチレーションカウンターを使用して、放射能を計数した。結果を、対照放射性リガンド結合の平均阻害パーセントとして表す。
【0338】
結合IC50。非選択的α1アドレナリン受容体の結合IC50を判定するために、様々な濃度の試験品を、0.25nMの[3H]プラゾシンと共に2つ組で培養した。これまでに報告されている化合物3-(4-((4-((4-(2,4-ジフルオロフェニル)ピペラジン-1-イル)メチル)ベンジル)オキシ)-1-オキソイソインドリン-2-イル)ピペリジン-2,6-ジオン(米国特許第8,518,972号の実施例5.285)(化合物A)を、0.01~30μMで試験した。化合物B、化合物AのS-鏡像異性体を、0.0003~10μMで試験した。化合物1を、0.03~100μMで評価した。放射能を、前述のように測定した。IC50を、対照特異的結合の最大半減の阻害をもたらす濃度として定義した。
【0339】
アンタゴニスト活性。α1Aアドレナリン受容体及びα1Bアドレナリン受容体に対する試験化合物のアンタゴニスト作用を、ヒト受容体をトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を使用して測定した。アンタゴニスト活性を、α1A受容体アッセイにおけるアゴニスト(エピネフィリン)誘導性カルシウム動員、またはα1B受容体アッセイにおけるcAMPレベルに基づいて化合物の作用を測定することによって判定した。これらの実験では、CHO細胞を、試験品と、α1A受容体アッセイにおいては3nM、α1B受容体アッセイにおいては3000nMのエピネフィリンと共に室温で2つ組で培養した。化合物Aを、α1A受容体アッセイにて0.01~30μMで試験した。化合物Bを、α1A受容体アッセイ及びα1B受容体アッセイにて0.0003~30μMで試験した。化合物1を、α1A受容体アッセイにて0.03~30μMで、及びα1B受容体アッセイにて0.03~100μMで、評価した。α1A受容体アッセイにて、サイトゾルカルシウムレベルを、蛍光プローブ、Fluo4 Directを使用して蛍光定量的に測定した。α1Bアドレナリン受容体アッセイにおける細胞内cAMPレベルを、均一時間分解蛍光測定(HTRF)によって測定した。拮抗作用IC50を、対照アゴニスト応答の最大半減の阻害をもたらす濃度として定義した。
【0340】
ドーパミンD2受容体。10μMでの結合。結合アッセイにより、トランスフェクトされたヒト胎児由来腎臓(HEK)-293細胞におけるドーパミンD2受容体に対する試験品の親和性を評価した。D2S受容体アッセイにおける結合を判定するために、試験品を、0.3nMの[3H]メチルスピペロンまたは1nMの[3H]7-ヒドロキシ-2-N,N-ジプロピルアミノテトラリン(7-OH-DPAT)と共に培養した。0.3nMの[3H]メチルスピペロンは、D2L結合アッセイにおいても対照リガンドとして使用した。細胞膜ホモジネートを、10μMの試験品の不在下または存在下で、リガンドと共に、室温で60分間、2つ組で培養した。培養期間の後、試料を、ガラスファイバフィルタを通して濾過し、フィルタを乾燥させ、その後、シンチレーションカウンターを使用して、放射能を計数した。結果を、対照放射性リガンド結合の平均阻害パーセントとして表す。
【0341】
結合IC50。D2受容体アッセイにおける結合IC50を判定するために、HEK-293を、試験品の濃度は変えて、前述のように試験した。化合物Aを、D2S放射性リガンド結合アッセイにて0.01~30μMで試験した。化合物Bを、D2S結合アッセイ及びD2L結合アッセイの両方にて0.0003~10μMで試験した。化合物1を、D2Sアッセイにて0.03~100μMで、及びD2Lアッセイにて0.01~100μMで試験した。IC50を、対照特異的結合の最大半減の阻害をもたらす濃度として定義した。
【0342】
アゴニスト活性。ドーパミンD2S受容体に対する試験化合物の作動性を、ヒト受容体をトランスフェクトしたHEK-293細胞を使用して評価した。アゴニスト活性は、インピーダンス変調に基づいて化合物の作用を測定することによって判定した。これらの実験では、HEK-293細胞を、試験品と共に28℃で2つ組で培養した。化合物Aを、0.01~30μMで試験した。化合物Bを、0.0003~10μMで試験し、同時に化合物1を0.01~10μMで評価した。ドーパミン(3μM)を、対照アゴニストとして使用した。リガンドを添加した後、細胞誘電分光を使用して、インピーダンス測定値を10分間モニタリングした。EC50を、対照アゴニスト(ドーパミン)応答と比較して、最大半減の応答をもたらす濃度として定義した。
【0343】
結果。10μMのα1アドレナリン受容体及びドーパミンD2受容体における結合を、化合物1、化合物A、化合物B、及び米国特許第8,518,972で例示されたいくつかの化合物(各実施例の番号は「Ex.」と示されている)に関して評価した(表3)。以前に開示されている化合物は、両方の受容体においてリガンドの結合を完全に阻害したが、驚くべきことに、化合物1は、リガンド結合の阻害に対する能力が大幅に低いことを示し、それぞれ、67/62%(α1アドレナリン受容体)及び55/52%(ドーパミンD
2S)のリガンド結合しか阻害しないことを示した。
表3:α1アドレナリン受容体及びドーパミンD2受容体に対する化合物A、化合物B、化合物1、及びこれまでに報告されている化合物の作用
【表5】
【0344】
6.4 薬物-賦形剤相溶性研究
カプセル製剤化に好適な賦形剤を特定するために、二成分薬物-賦形剤相溶性研究を行った。賦形剤、及び、APIと賦形剤との比率のリストを、下記表に示す。これらの二成分混合物を、蓋のないシャーレ内に、5℃(対照)、及び50℃/75%RHの条件下で、それぞれ、3週間、及び6週間おいて研究した。選択した試料を、化学物質(不純物/分解物)及びラセミ化(キラル純度の低下)に関して試験した。化合物1の保存寿命を制限する可能性のある考えらえる分解経路としては、加水分解、酸化、及びラセミ化(S異性体からR異性体への変換)が挙げられる。加水分解及び酸化不純物の結果については、
図3に、またキラル不純物の結果については、
図4に示す。
表4:薬物物質との相溶性を評価した試料のリスト
【表6】
【0345】
化合物1は、高温、多湿レベル(50℃/75%RH)で加水分解する。マンニトール、デンプンとラクトースなどの希釈剤を、一次担体及び二次担体として評価した。ラクトースは、キラル純度の低下がほとんどなく、相溶性があることが判明した。マンニトール及びデンプンも、一部加水分解による化学分解を伴うが、相溶性があることが判明した。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)などの界面活性剤は、キラル純度が低下し、主に加水分解による化学分解の増加をもたらした。評価した崩壊剤のうち、デンプングリコール酸ナトリウム(SSG)は、相溶性があることが判明したが、その一方で、クロスポビドンは、酸化及び加水分解による化学分解を増加させた。析出抑制剤として評価したポリマー類の中で、HPMC-E3は、未知の不純物の大幅な増加を引き起こし(RRT 0.39)、その一方で、PVP-K30及びPVP-VA64は、潜在的な酸化分解物の形成をもたらした(RRT 0.66)。また、PVP-K30及びPVP-VA64は、加水分解による化学分解だけではなく、キラル純度の低下も引き起こした。HPMCとゼラチンベースの空のカプセルの両方は、良好な相溶性を示した。最終選考に残った酸性化剤のうち、琥珀酸は、加水分解を起こし、かつキラル純度の低下をもたらし、化学的に非相溶性であることが判明した。フマル酸は、酸性化剤としてより相溶性が高いことを示したが、1:40w/wの比率に上げると、加水分解による化学分解を引き起こし、キラル純度の低下をもたらす可能性がある。また、流動促進剤/解凝集剤も評価した。Aerosil R972は、最も相溶性があることが判明したが、その一方で、Aerosil 300及びAerosil 200は、加水分解及びキラル純度の低下により多少の化学的不相溶性の原因となることが判明した。親水性のAerosil(200及び300)のうち、Aerosil 200は、Aerosil 300より相溶性があることが判明した。これは、後者の表面積が、300 m2/gと、200 m2/gに比べて大きく、加水分解をより触媒するためである。ステアリン酸は、化学的相溶性があることが判明したが、いくらかのキラル純度の低下を引き起こした。
【0346】
要約すると、ラクトース、マンニトール、アルファ化されたデンプン、フマル酸、ステアリン酸、Aerosil R972、Aerosil 300、HPBCD、デンプングリコール酸ナトリウム、及びクロスポビドンを選択して、ブレンドしてさらに評価した。SLS、PVP-K30、PVP-VA64及びAerosil 300は、キラル純度の低下と、化学分解の両方をもたらすことが判明したが、Aerosil 200は、化学分解のみに影響を与えることが分かった。
【0347】
6.5 マンニトール及びデンプン-ラクトースベースBIC製剤の安定性スクリーニング
一次担体として、マンニトール及びデンプン-ラクトースをベースにしたプロトタイプのカプセル内ブレンド(BIC)製剤の安定性を評価した。ブレンドは、Turbulaブレンダを使用して乾燥混合プロセスによって調製し、Profill 100を使用してHPMCのサイズ4号白色不透明カプセルに充填した。なお、ブレンドの構成成分を下記表に提示する。BIC製剤の迅速な安定性評価のために、急速に3日間の加速安定性スクリーニング研究を行った。
表5:プロトタイプのマンニトール及びデンプン-ラクトースベースBIC製剤(カプセル1~カプセル12)
【表7】
【0348】
【0349】
RRT 4.2分:HPMC-E3を含有するカプセル7(マンニトールBIC)は、最も安定性が低く、それに続いてHPBCDを含有するカプセル5(デンプン-ラクトースBIC)及びHPBCDを含有するカプセル8(マンニトールBIC)が安定性が低いことが判明した。ポリマー類及び錯化剤は、RRT 4.2分で分解生成物を増加させることが判明した。湿度レベルを上げると、RRT 4.2分での分解生成物に触媒作用を及ぼす。
【0350】
4.2分での分解生成物の増加を示す製剤の安定性順位は、カプセル9及び10>カプセル12>カプセル11>カプセル1>カプセル2>カプセル4>カプセル3>カプセル6>カプセル8>カプセル5>カプセル7である。
【0351】
全体として、フマル酸を含有するマンニトールベースのバッチが最も安定であり、フマル酸を含むまたは含まないデンプン-ラクトースベースのバッチがそれに続くことが判明した。
【0352】
RRT 7.6分:カプセル3(デンプン-ラクトースBIC)は、最も安定性が低く、それに続いて、HPMC-E3を含有するカプセル7(マンニトールBIC)、及びカプセル2(デンプン-ラクトースBIC)が、安定性が低いことが判明した。興味深いことに、カプセル2とカプセル3の両方は、同じ賦形剤を含有しているが、デンプン-ラクトースの比率のみが異なる。カプセル2の製剤の場合、デンプンは30重量%、及びラクトースは64.67重量%であり、一方、カプセル3の製剤の場合、デンプンは64.67重量%、及びラクトースは30重量%である。このことは、デンプンの比率がより高いと、RRT 7.6分でより多い分解生成物をもたらす可能性があることを示している。また、HPBCDを含有するカプセル5(デンプン-ラクトースBIC)も不安定であることが判明した。PVP-K30を含有するカプセル6(マンニトールBIC)もまた、PVP-K30を含まないマンニトールBIC製剤に比べると安定性が低いことが判明し、これはPVP-K30が不安定性を生じさせることを示唆している。
【0353】
7.6分での分解生成物の増加を示す製剤の安定性順位は、カプセル9及び11>カプセル12>カプセル10>カプセル8>カプセル4>カプセル6>カプセル1>カプセル5>カプセル2>カプセル7>カプセル3である。
【0354】
全体として、フマル酸を含有するマンニトールベースBIC製剤は、より安定であることが判明した。
【0355】
RRT 7.1分:クロスポビドンを含有するカプセル3(デンプン-ラクトースBIC)は、最も安定性が低いことが判明した。クロスポビドンを含まないカプセル1(デンプン-ラクトースBIC)は、かなり良好な安定性プロファイルを有することが判明した。また、HPMC-E3を含有するカプセル7(マンニトールBIC)は、不安定であり、それに続いて、PVP-K30を含有するカプセル6(マンニトールBIC)、及びHPBCDを含有するカプセル5(デンプン-ラクトースBIC)が不安定であることが判明した。RRT 7.1分での分解不純物は、0%RHで温度を上昇(70℃)させると、増加した。
【0356】
RRT 7.1分での分解生成物の増加を示す製剤の安定性順位は、カプセル11>カプセル10>カプセル12>カプセル1>カプセル4>カプセル9>カプセル8>カプセル5>カプセル6>カプセル7>カプセル2及びカプセル3である。
【0357】
RRT 11.3分:SLSを含有するカプセル9(マンニトールBIC)は、最も安定性が低いことが判明した。概して、Aerosil R972またはAerosil 300 Pharmaを含むマンニトールベース製剤は、最も安定性が低いことが判明した。デンプン-ラクトースベース製剤のうち、クロスポビドンを含むカプセル3は、最も安定性が低いことが判明した。対照的に、クロスポビドンを含まないデンプン-ラクトースBICベース製剤は、かなり良好な安定性プロファイルを有することが判明したが(カプセル1)、マンニトールベースBIC製剤は、より高い分解を示した。
【0358】
RRT 11.3分での分解生成物の増加を示す製剤の安定性順位は、カプセル6>カプセル1>カプセル8>カプセル5>カプセル4>カプセル2>カプセル7>カプセル3>カプセル12>カプセル11>カプセル10>カプセル9である。
【0359】
キラル純度の低下:
図6から、SLSを含有するカプセル9(マンニトールBIC)は、R異性体への変換を促進させることが判明した。全体的に、クロスポビドン及びフマル酸を含むまたは含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤(カプセル1、2、3及び4)は、R異性体への変換を促進させることが判明した。概して、PVP-K30を含むマンニトールベースBIC製剤(カプセル6)及びHPBCDを含むマンニトールベースBIC製剤(カプセル8)は、最も安定であることが判明した。また、HPMC-E3を含むマンニトールベースBIC製剤、及びHPBCDを含有するデンプン-ラクトースも、ポリマー類または錯化剤を含まないものよりも、安定であることが判明した。温度の上昇、及び湿度の低下もまた、キラル純度を低下させることが判明した。
【0360】
キラリティ純度の低下の増加を示す製剤の安定性順位は、カプセル6>カプセル8>カプセル12>カプセル5>カプセル7>カプセル10>カプセル11>カプセル4>カプセル2>カプセル3>カプセル1及びカプセル9である。
【0361】
要約すると、フマル酸を含有するマンニトールベースBIC製剤は、全体的に最良の安定性プロファイルを示すことが判明した。ポリマー類または錯化剤を含めると、分解生成物を増加させることが判明したが、キラル純度の低下を防ぐことも判明した。フマル酸を含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤(カプセル1、カプセル2、及びカプセル3)は、フマル酸を含む製剤(カプセル4及びカプセル5)に比べて、不安定(キラル不純及び関連不純)であることが判明した。従って、医薬品の安定性を高めるために、フマル酸を酸性化剤として選択した。また、カプセル10(0.13重量%の化合物1)対カプセル12(0.5重量%の化合物1)の、マンニトールベースBIC製剤の安定性結果から明らかなように、医薬品の安定性プロファイルは、薬物負荷が高いほど、向上することが判明した。デンプン-ラクトースを、1:2w/w及び2:1w/wの比率で、それらの安定性プロファイルを評価することによって最適化した。カプセル1~カプセル4のデンプン-ラクトースベースBIC製剤の安定性結果から明らかなように、ラクトースの割合が高い(2部)製剤は、デンプンの割合が高い(2部)製剤よりも、より安定であることが判明した。
【0362】
6.6 プロトタイプBIC製剤の析出リスク評価
プロトタイプBIC製剤の析出リスクを、高含量(2mg)で2段階法(シンク条件下の段階1、及び非シンク条件の段階2)によって研究した。下記表に、製剤組成を示す。
表6:2mgBICの2段階溶解による析出リスクを評価したプロトタイプ製剤バッチ
【表8】
【0363】
2段階溶解研究を、段階1においては溶解媒体を0.01N HClとし、プロトタイプ製剤に対して実施した。2段階溶解研究からは、マンニトールベースBIC及びデンプンベースBICの場合、pH6.8(90~150分)での析出は観察されなかった(
図7)。2段階溶解の結果によれば、化合物1に対する析出リスクは低いと考えられる。
【0364】
デンプン-ラクトースベースバッチ(カプセル19及びカプセル20)の溶解放出プロファイルは、HPBCDを含む、及び含まないマンニトールベースバッチ(カプセル21及びカプセル22)よりも遅いことが観察された。溶解の減速は、HPMCカプセル内部のプラグ形成(ゲル化)、及び2重量%の疎水性シリカAerosil R972の量が原因であることが考えられる。したがって、R972の最適化を調査し、デンプン-ラクトースBIC製剤内の0.5重量%のAerosil R972の量が、マンニトールベースBIC製剤と同等の溶解プロファイルを達成することが判明した。
【0365】
マンニトールとHPBCDとの組み合わせ(カプセル22)、及びデンプン-ラクトースとHPBCDとの組み合わせ(カプセル20)を、HPBCDを含まない製剤(カプセル19及びカプセル21)と比較して評価した際に、HPBCDを含まない製剤(カプセル19及びカプセル21)の溶解放出プロファイルは、HPBCDを組み合わせたもの(カプセル20及びカプセル22)よりも速いことが判明した。要約すると、2段階溶解の結果に基づくと、いずれの析出抑制剤または可溶化剤も含まないBIC製剤では、析出は観察されなかった。したがって、析出抑制剤または可溶化剤をカプセル製剤に組み込む必要はなく、化合物1に対するその析出リスクは低いと考えられると判断した。
【0366】
6.7 デンプン-ラクトースベースBIC製剤の急速な溶解放出速度を達成するためのプロトタイプ製剤スクリーニング
プラグ形成が起因し、2mgのデンプン-ラクトースBICバッチ(カプセル19)の溶解放出プロファイルは、
図7に示すように、マンニトールベースBICバッチ(カプセル21)よりも遅いことが判明した。急速な放出速度を達成するために、下記表に示すような異なる崩壊剤を使用して、製剤の最適化を行った(カプセル24、カプセル25及びカプセル26)。これらの製剤の溶解放出プロファイルを、0.1mgのBIC(2.0mgのカプセル19のBICと同じ製剤)製剤であるカプセル13、及びカプセル27(2mgの二成分BIC)、と比較した。
表7:溶解速度を最適化するために異なるグレードの崩壊剤を評価したデンプン-ラクトースベースプロトタイプ製剤バッチ
【表9】
【0367】
異なる崩壊剤を使用した溶解放出プロファイルでは、著しい差は見られなかった(カプセル24、カプセル25及びカプセル26)。カプセル25(2重量%のデンプングリコール酸ナトリウム)BIC製剤は、それぞれ、カプセル24(2重量%のクロスポビドン)、及びカプセル26(2重量%のクロスカルメロースナトリウム)よりも、わずかに良好な溶解放出プロファイルを示した。カプセル24、カプセル25及びカプセル26の崩壊時間プロファイルには、著しい差は見られないが、それでも、2重量%のSSGを含有するカプセル25は、カプセル24及びカプセル26よりも、良好であり、かつ一貫性があった。崩壊剤を含む製剤に対する疎水性Aerosil R972の明らかな役割は、10重量%のAerosil R972を含む2mgの二成分BIC(カプセル27)の溶解プロファイルによって明白であり、5つの製剤の中で最も遅い溶解放出プロファイルを示した。対照マンニトール製剤(崩壊剤を含まないカプセル13)は、2%のAerosil R972を有しており、全体的な溶解放出プロファイルがわずかに良好であることを示し、これは、デンプン-ラクトースベースBIC製剤の場合、溶解放出プロファイルの減速に関して、疎水性Aerosil R972の影響がより大きいことを示唆している。全体的に、SSG、クロスカルメロースナトリウム、またはクロスポビドン崩壊剤を含めることによる、崩壊または溶解の著しい差は観察されなかった。SSGを含めることで、一貫した溶解プロファイルが得られた。
【0368】
二成分混合物のより良好な安定性及び溶解への悪影響がないことが理由で選択肢の中から崩壊剤として選択したデンプングリコール酸ナトリウムを含むデンプン-ラクトースBICのより遅い溶解放出プロファイルを解決するために、さらなる溶解調査研究を行った。疎水性シリカ(Aerosil R972)の量、及び溶解速度を変化させて(50rpmと、75rpm)、下記表に示すように、デンプン-ラクトースベース製剤に付随するより遅い溶解放出プロファイルを解決するために評価した(カプセル29、33及び34)。
表8:溶解速度を最適化するために、Aerosil R972の量、及び異なる量にデンプングリコール酸ナトリウムを変化させたデンプン-ラクトースベースプロトタイプ製剤バッチ
【表10】
【0369】
図8に示すように、カプセル34の溶解放出プロファイル(30分で約80%の薬物放出)は、カプセル25と比較すると(対照-30分で約30%の薬物放出)、非常に優れている。薬物放出は依然として100%ではないが、Aerosil R972の量を2%から0.5%の量に減らし、デンプングリコール酸ナトリウムを2%から10%の量に増やし、かつ溶解速度を50rpmから75rpmに上げると、カプセル34の全体的な溶解性能に、相乗効果をもたらすと推測できる。
【0370】
溶解の結果に基づいて、0.1mgのデンプン-ラクトースベースBIC製剤に対して、Aerosil R972の量を0.5重量%に減らした。
【0371】
6.8 マンニトール及びデンプン-ラクトースベースBIC製剤に対する異なる酸性化剤とそれらの量の評価
化合物1はpH5を超えると分解するため、医薬品の低pH環境が望ましい。医薬品の低い微環境的pH環境を達成するために、酸性化剤を、BIC製剤に組み込んだ。
【0372】
デンプン-ラクトース及びマンニトールベースBIC製剤の低pH環境を達成するために、フマル酸(pKa- 3.0)、マレイン酸(pKa- 1.91)、及び琥珀酸(pKa- 4.18)の3つの酸性化剤を評価した。これらの酸のうち、フマル酸及びマレイン酸を、それらのpKaが低いことに基づいてさらに評価したが、その一方で、琥珀酸は、薬物物質との相溶性が低いことが判明した。
【0373】
酸性化剤を含む及び含まない製剤ブレンドのpHを、スラリー法で測定した。約200~400mgのデンプン-ラクトースベースBICブレンド、及びマンニトールベースBICブレンドを、計量して、0.5mLの蒸留水で希釈した。分散体を2分間ボルテックスして、均質なスラリーを得て、そのpHを測定した。
【0374】
評価したデータによると、下記表に示すように、酸性化剤を含まないデンプン-ラクトースベースBIC製剤のpHは6.3であった。この高pH環境は、医薬品の安定性に有害となる可能性がある。pHを下げるために、フマル酸及びマレイン酸を、2%、3%、及び5%の量で添加し、デンプン-ラクトースベースBICバッチについて評価した。より強力な酸性化剤(マレイン酸)の量をわずかに調整すると、pHが大幅に下がり、製剤の安定性に悪影響を与える可能性があるので、選択肢の中から酸性化剤として、フマル酸を選択した。しかし、デンプン-ラクトースベース製剤の溶解が遅いので、崩壊剤の組み込みが不可欠であった。異なる崩壊剤の存在下でフマル酸を含有するデンプン-ラクトースベースBIC製剤のpHを最適化するために、さらなるpH評価を実施した。3%のフマル酸を含むマンニトールベースBIC製剤のpHは、2.2であることが判明し、これは、pH2~3の望ましい範囲内であった。
表9:デンプン-ラクトース及びマンニトールベースBIC製剤を最適化するための酸性化剤の種類及び量の評価
【表11】
表10:崩壊剤を含むまたは含まないデンプン-ラクトースベース製剤を最適化するためのフマル酸の量の評価
【表12】
【0375】
これらのpH研究に基づいて、マンニトールベースBIC製剤に対して、3重量%のフマル酸の量を選択し、その一方で、10重量%のデンプングリコール酸ナトリウムを含有するデンプン-ラクトースベースBIC製剤に対しては、ブレンドの微環境的pHを2~3の間で維持するために、4%のフマル酸の量を選択した。
【0376】
6.9 許容可能な含量均一性を達成するためのBIC製剤の直接ブレンド(低剪断)及び高剪断混合プロセスの比較評価
マンニトール及びデンプン-ラクトースベース製剤を、低剪断及び高剪断混合プロセスによって、含量均一性について評価した。カプセルを、カプセル化の実行中に収集し、含量均一性を、層化CUサンプリングによって評価した。それらの組成物を含むプロトタイプ製剤、及び製造プロセスのすべてを、下記表に示す。
表11:許容可能な含量均一性を達成するためのマンニトール及びデンプン-ラクトースベース0.1mgBICのプロトタイプ製剤とその製造プロセス
【表13】
【0377】
全体的に、デンプン-ラクトースベースBICバッチは、高剪断混合及び共粉砕による効力分布を達成することにおいて優れていることが判明した。またその一方で、マンニトールベースバッチは、それぞれ、高剪断混合と共粉砕、または直接ブレンディングプロセスと共粉砕で処理した場合、比較的低い効力分布を有することが判明した。これは、製造中に処理装置やタンピングピンに材料が固着したことが原因である可能性がある。先行の含量均一性研究では、共粉砕を伴う高剪断混合によって製造したHPBCDを含有するカプセル15(デンプン-ラクトース)は、4.4の許容値(AV)を伴う最良の効力分布(平均ー99.1%、RSD-1.9%)を有することが判明したと、示されていた。しかし、HPBCDの存在下における化学分解プロファイルは、分解物の量の増加を示した。
【0378】
評価したBIC製剤の含量均一性順位は、カプセル15>カプセル13>カプセル18>カプセル28>カプセル16>カプセル31であった。順位は、下記表に示すように、効力分布(%RSD)、平均アッセイ(%)、及び許容値(AV)の増加に基づくものである。
表12:効力分布(%RSD)、平均アッセイ(%)、及び許容値(AV)に基づく含量均一性順位
【表14】
【0379】
マンニトールベース製剤のアッセイ回収率が比較的低いのは、高剪断混合によって生じるブレンドの処理表面への付着が原因である可能性がある。したがって、直接ブレンディングプロセス(低剪断)を、さらなる開発のために選択方法として選択した。
【0380】
6.10 デンプン-ラクトースBIC対マンニトールBICの加速安定性評価
デンプン-ラクトースベースBIC製剤及びマンニトールベースBIC製剤に対して、加速安定性評価を実施した。この際、保管条件は、50℃/50%RHでT=3日間、60℃/30%RHでT=3日間、70℃/0%RHでT=3日間、及び70℃/50%RHでT=3日間であった。データを、5℃で保存された試料(対照)と比較した。
【0381】
加速安定性研究から(
図9)、HPBCDを含んだデンプン-ラクトースベース製剤(カプセル15)は、安定剤を含まない製剤(カプセル13)と比較すると、キラル純度の維持を助力している。マンニトールベース製剤についても、HPBCD(カプセル18)は、HPBCDを含まない製剤(カプセル28及びカプセル31)と比較すると、キラル純度の維持を助力している。また、カプセル28及びカプセル31の量が多いフマル酸(5重量%)は、カプセル16のマンニトールベース製剤のフマル酸(3重量%)と比較すると、キラル純度に悪影響を与えている。全体的に、HPBCDを含まないデンプン-ラクトースベース製剤(カプセル13)は、HPBCDを含まないマンニトールベース製剤(カプセル16)よりも、キラル純度がより低下することが判明した。
【0382】
より強い酸(マレイン酸)の組み込みもまた評価し、下記表に示すように、BIC製剤の安定性プロファイルに対する影響を算定した。
表13:フマル酸及びマレイン酸を含むマンニトールベースBICの加速安定性評価
【表15】
【0383】
図10は、製剤にマレイン酸を含めると(カプセル32)、より良好なキラル安定性を得られることを示しているが、フマル酸を含有する製剤(カプセル28及びカプセル31)と比較すると、
図11に示すように、化学分解物の増加をもたらす。要約すると、マンニトールベースBIC製剤の場合は3重量%の量、及び崩壊剤として10%のデンプングリコール酸ナトリウムを含むデンプン-ラクトースベースBIC製剤の場合は4重量%の量の酸性化剤としてフマル酸を選択した。
【0384】
デンプン-ラクトースベースBIC製剤に崩壊剤(クロスポビドン、SSG、またはクロスカルメロースナトリウム)を組み込むことによる医薬品安定性への影響を評価するために、崩壊剤を含む0.1gのデンプン-ラクトースBIC製剤(カプセル24、カプセル25、カプセル26)及び崩壊剤を含まない0.1gのデンプン-ラクトースBIC製剤(カプセル13)と、それらに対する0.1mgのマンニトールベースBIC製剤(カプセル16)について、比較加速安定性スクリーニング研究を実行した。
【0385】
図12から、SSGを含むデンプン-ラクトースベースBICを含有するカプセル25は、非常に高い温度と湿度(70℃/50%RH)以外では、酸化しにくい(酸化分解物1、RRT 0.66)ことが判明した。クロスポビドンを含有する製剤(カプセル24)は、高温で著しく酸化した。崩壊剤を含まないデンプン-ラクトースBIC(カプセル13)のプロファイルの安定性が、最も安定していることが判明した。マンニトールベース製剤(カプセル16)は、高温及び低湿度条件(60℃/30%RH、及び70℃)で、主に酸化した。
【0386】
同様に、クロスカルメロースナトリウムを含有するカプセル26は、酸化しやすいことが判明したが(酸化分解物2)、その量は、すべての保管条件において均一であった(
図13)。クロスポビドンを含有するカプセル24は、SSGを含有するカプセル25と類似した安定性プロファイルを有することが判明したが、カプセル25は、酸化分解物1に関して、そのより良好な耐容性のためにより優れている。全体的に、崩壊剤を含まないデンプン-ラクトースを含有する製剤(カプセル13)は、崩壊剤を含む製剤(カプセル24、カプセル25及びカプセル26)または、マンニトールをベースにした製剤(カプセル16)と比べると、酸化分解物に関してより良好な耐容性を呈した。
【0387】
崩壊剤の組み込みは、加水分解不純物の低減を助力し(
図14及び
図15)、評価した崩壊剤の中では、SSGを含有するカプセル25が最も安定していることが判明した。
【0388】
図16から、製剤化への崩壊剤の組み込みは、キラル純度を維持することを助力することが分かる。評価した崩壊剤のうち、クロスポビドンを含有するカプセル24、及びSSGを含有するカプセル25は、より良好な安定性を有することが判明した。
【0389】
マンニトールベースBIC製剤に対する保存寿命予測を、キラル純度及び分解物に関して加速安定性評価プログラム(ASAP)によって評価した。0.1mgのマンニトールベースBIC製剤(カプセル16)に対するASAP研究によれば、キラル純度の低下(基準3%)に関する0.1mgのマンニトールBICベース製剤化の予測される保存寿命は、乾燥剤を含まない室温保管で3年以上である。
【0390】
0.1mgのマンニトールベースBIC製剤(カプセル16)の予測ASAPモデリングによれば、0.1mgのマンニトールBICの予測される保存寿命は、酸化分解物向けの乾燥剤を含まない室温保管で3年以上である。
【0391】
0.1mgのマンニトールベースBIC製剤の予測ASAPモデリングによれば、乾燥剤を含まない室温保管での0.1mgのマンニトールBICの保存寿命は、一次加水分解物に関しては1.5年以上と予測される。
【0392】
マンニトールベースBIC製剤の予測ASAPモデリングによれば、乾燥剤を含まない室温保管での0.1mgのマンニトールBICの保存寿命は、二次加水分解物に関しては3年以上と予測される。
【0393】
加水分解は、主な保存寿命を制限することが判明したので、0.5gのシリカをHDPEボトルに添加すると、加水分解を遅らせ、かつ先に予測された保存寿命は、それぞれ、1.5年以上から2.9年以上に延びると予測される。
【0394】
要約すると、先行のASAP研究から、シリカゲルを含まないマンニトールベースBIC製剤の室温保管での予測される保存寿命は、約1.5年以上であり、0.5gのシリカゲルを含むと、室温で約2.9年以上である。
【0395】
同様に、デンプン-ラクトースベースBIC製剤に対する保存寿命予測も、キラル純度及び関連不純物に関して加速安定性評価プログラム(ASAP)によって評価した。0.1mgのデンプン-ラクトースベースBIC製剤(カプセル34)に対するASAP研究によれば、キラル純度の低下に関する0.1mgのデンプン-ラクトースベースBIC製剤の予測される保存寿命は、シリカゲル乾燥剤を含まない室温保管で3年以上である。
【0396】
0.1mgのデンプン-ラクトースBIC製剤の予測ASAPモデリングによれば、乾燥剤を含まない室温保管での0.1mgのデンプン-ラクトースBICの保存寿命は、一次加水分解物に関しては2.5年以上と予測される。
【0397】
同様に、0.1mgのデンプン-ラクトースBIC製剤の予測ASAPモデリングによれば、乾燥剤を含まない室温保管での0.1mgのデンプン-ラクトースBICの保存寿命は、二次加水分解物に関しては3年以上と予測される。
【0398】
デンプン-ラクトースベースBIC製剤(カプセル34)の予測ASAPモデリングによれば、0.1mgのデンプン-ラクトースBICの予測される保存寿命は、酸化分解物向けの乾燥剤を含まない室温保管で3年以上である。
【0399】
要約すると、保存寿命を制限する0.1mgのデンプン-ラクトースベースBIC製剤(カプセル34)の分解経路は、シリカゲル乾燥剤なしでの加水分解である可能性がある。予測される保存寿命は、室温保管で2.5年以上である。
【0400】
全体的に、両方の製剤の予測される保存寿命は、室温保管で1.5~2年であり、保存寿命を制限する経路は、加水分解である。
【0401】
6.11 0.1mgの製剤に対する疎水性シリカ及び親水性シリカの評価
粘着性APIの凝集及び表面付着は、特に低含量製剤の場合、固体投与製剤の開発に課題をもたらす。化合物1結晶の形態は、疎水性凝集クラスターであり、これは、シーディング段階で湿式粉砕したものである。化合物1は、固着性があり、処理中の好ましくない流動及び表面への付着が観察された。
【0402】
Aerosil R-972によってコーディングされていない、及びコーティングされた化合物1結晶の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、それぞれ、
図17A及び
図17Bに示す。画像は、疎水性シリカAerosil R-972を含む化合物1結晶の予備分散体(Aerosil R-972でコーティングされた化合物1)は、凝集及び付着問題を解決したことを示している。
【0403】
疎水性シリカによる凝集及び粘着への対処の有効性は、
図18Aから
図18DのSEM画像が示すように、親水性シリカ(Aerosil 200及びAerosil 300)と比較すると明らかである。
【0404】
処理容器への化合物1の固着は、潤滑剤混合物を用いて容器を前処理することでさらに軽減された。
【0405】
6.12 2mgのBIC製剤の溶解放出プロファイルに対する代替シリカグレードの評価
USFDAの不活性成分データベース(IIG)による、最大許容限界が低い(IRカプセル1ユニットあたり0.5mg w/w)ことにより、シリカジメチルシリレート(Aerosil R972)の国際的な規制上の許容範囲に制約があるため、より高い用量含量(0.5mg及び2mgのBIC)の場合のシリカの代替グレードを評価した。
図19の薬物-賦形剤相溶性結果は、その疎水性が起因して、Aerosil R972は、Aerosil 200 PharmaまたはAerosil 300 Pharmaと比較して、薬物分解を防ぐことが判明したことを示している。安定性の順位は、Aerosil R972>Aerosil 200>Aerosil 300であった。
【0406】
Aerosil 200は、Aerosil 300よりも比較的相溶性があるだけではなく、Aerosil 300の300m2/gと比べて、表面積が200m2/gと小さく、全体的なシリカ薬物物質の相互作用を最小限に抑えることができるので、分解生成物を減らし、キラル純度の低下を防ぐことが判明した。低カプセル含量(0.1mg)での安定性は、非常に困難であり、許容可能な安定性は、疎水性シリカ(Aerosil R972)でAPIをコーティングすることによって実現する可能性があるので、0.1mg含量のAerosil R 972を、流動促進剤/解凝集剤/安定剤として選択した。より高い含量(0.5及び2mg)の場合、安定性の課題が、それほど厳しくないため、親水性シリカ(Aerosil 200)の使用について評価した。
【0407】
Aerosil R972をAerosil 200 Pharmaに置き換えることによる医薬品特性への影響を評価するために、溶解研究を実施した。デンプン-ラクトースベースバッチは、マンニトールベースバッチよりも溶解プロファイルが遅いことが判明したので、下記表に提示するように、0.5%、1%、及び2%のAerosil 200を含有するプロトタイプデンプン-ラクトース2mgBICバッチを評価した。
表14:2mgのデンプン-ラクトースBICの溶解放出プロファイルに対する異なる量のAerosil 200 Pharmaの比較評価。
【表16】
【0408】
図20に示すように、インビトロ溶解研究は、Aerosil 200の量を0.5重量%、1重量%及び2重量%に変更しても溶解放出プロファイルに影響がないことを示しているが、75rpmでの放出速度は、50rpmパドル速度での放出速度に比べて速かった。
【0409】
6.13 マンニトール及びデンプン-ラクトース0.1、0.5及び2mgBICバッチの製造
マンニトール及びデンプン-ラクトース0.1、0.5及び2mgBICバッチの論理的単位組成を、下記表に提示する。
表15:0.1mg、0.5mg及び2mgのマンニトール及びデンプン-ラクトースベースBIC製剤の理論的単位組成
【表17】
【0410】
(a)マンニトールベース0.1mgBICの製造プロセス
一実施例では、0.1mgのマンニトールベースBICを、後述の開発プロセスに従って調製した。
【0411】
前処理混合物の調製:化合物1は、固着性があるので、装置表面への固着を最小限に抑えるために、turbulaブレンダ内でマンニトールの一部とステアリン酸を混合することによって、前処理混合物を調製した。製造に使用するすべての装置を、前処理混合物を使用して前処理した。
【0412】
ブレンディング1:化合物1及びAerosil R972を秤量し、前処理したturbulaブレンダに加え、170回転ブレンドした。
【0413】
ブレンディング2:フマル酸を秤量し、turbulaブレンダに入れて、170回転ブレンドした。
【0414】
ブレンディング3:マンニトール及びブレンド2を、表面処理した4Lのturbulaブレンダに入れて、340回転ブレンドした。
【0415】
脱塊化1:ブレンド3を、457μmの円形スクリーンを備えた表面前処理したComilに1600rpmで通過させた。Comilを、前処理混合物の一部ですすいだ。
【0416】
ブレンディング4:前処理混合物の一部、共粉砕したブレンド、及びマンニトールの一部を、V型ブレンダに加え、粉末を300回転ブレンドした。
【0417】
脱塊化2:ブレンド4及び残りの前処理混合物を、457μmの円形スクリーンを備えたComilに1600rpmで通過させた。残りのマンニトールを、Comilに通過させ、Comilをすすいだ。
【0418】
ふるい分け:残りのステアリン酸を、ふるいNo.25によって手でふるいにかけた。
【0419】
ブレンディング5(潤滑):脱塊化2によるブレンド、及びふるい分けしたステアリン酸を、V型ブレンダに入れ、300回転ブレンドした。最終潤滑ブレンドを、2つの風袋引き済みの表面処理した収集バッグ(1または2)のうち1つに注いだ。
【0420】
カプセル化:最終ブレンドを、Boschカプセル充填機のホッパーに載せた。75mgのブレンドを、毎分75~85カプセルの速度で、サイズ4号のディスクを使用して、サイズ4号のHPMC Vcap plusカプセルに充填した。カプセル化中、15分毎に平均重量及び重量変動をチェックし、層化CU試験向けにカプセルを収集した。
【0421】
(b)0.5mg及び2mgのマンニトールBICの製造プロセス
一実施例では、0.5及び2mgのマンニトールベースBICを、後述の開発プロセスに従って調製した。
【0422】
前処理混合物の調製:化合物1は、固着性があるので、装置表面への固着を最小限に抑えるために、turbulaブレンダ内でマンニトールの一部とステアリン酸を混合することによって、前処理混合物を調製した。製造に使用するすべての装置を、前処理混合物を使用して前処理した。
【0423】
ブレンディング1:化合物1、マンニトールの一部及びフマル酸を秤量し、前処理したturbulaブレンダに加え、340回転ブレンドした。
【0424】
脱塊化1:ブレンド1及びマンニトールの一部を、457μmの円形スクリーンを備えた表面前処理したComilに1600rpmで通過させた。Comilを、前処理混合物の一部ですすいだ。
【0425】
ブレンディング2:前処理混合物の一部、脱塊化1によるブレンド、及びマンニトールの一部を、V型ブレンダに加え、粉末を300回転ブレンドした。
【0426】
脱塊化2:ブレンド2及びマンニトールの一部を、457μmの円形スクリーンを備えたComilに1600rpmで通過させた。残りのマンニトールを、Comilに通過させ、Comilをすすいだ。
【0427】
ふるい分け:コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil 200)及びステアリン酸を、ふるいNo.25によって手でふるいにかけた。
【0428】
ブレンディング3(潤滑):脱塊化2によるブレンド、及びふるい分けしたコロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸を、V型ブレンダに入れ、300回転ブレンドした。最終潤滑ブレンドを、2つの風袋引き済みの表面処理した収集バッグ(1または2)のうち1つに注いだ。
【0429】
カプセル化:最終ブレンドを、Boschカプセル充填機のホッパーに載せた。0.5mgBIC向けに、100mgブレンドを、毎分75~85カプセルの速度で、サイズ3号のディスクを使用して、サイズ3号のHPMC Vcap plusカプセルに充填した。2mgBIC向けに、200mgブレンドを、毎分75~85カプセルの速度で、サイズ2号のディスクを使用して、サイズ2号のHPMC Vcap plusカプセルに充填した。カプセル化中、15分毎に平均重量及び重量変動をチェックし、層化CU試験向けにカプセルを収集した。
【0430】
(c)デンプン-ラクトースベース0.1mgBICの製造プロセス
一実施例では、0.1mgのデンプン-ラクトースベースBICを、後述の開発プロセスに従って調製した。
【0431】
前処理混合物の調製:化合物1は、固着性があるので、装置表面への固着を最小限に抑えるために、turbulaブレンダ内で無水ラクトースの一部とステアリン酸を混合することによって、前処理混合物を調製した。製造に使用するすべての装置を、前処理混合物を使用して前処理した。
【0432】
ブレンディング1:化合物1及びAerosil R972を秤量し、前処理したturbulaブレンダに加え、170回転ブレンドした。
【0433】
ブレンディング2:フマル酸を秤量し、turbulaブレンダに入れて、170回転ブレンドした。
【0434】
ブレンディング3:無水ラクトースの一部、ブレンド2及び部分的にアルファ化されたトウモロコシデンプンの一部を、表面処理した4Lturbulaブレンダに入れて、340回転ブレンドした。
【0435】
脱塊化1:ブレンド3を、457μmの円形スクリーンを備えた表面前処理したComilに1600rpmで通過させた。Comilを、前処理混合物の一部ですすいだ。
【0436】
ブレンディング4:無水ラクトースの一部、共粉砕したブレンド、アルファ化されたトウモロコシデンプンの一部、及びデンプングリコール酸ナトリウムを、V型ブレンダに加え、粉末を300回転ブレンドした。
【0437】
脱塊化2:ブレンド4及び残りの前処理混合物を、457μmの円形スクリーンを備えたComilに1600rpmで通過させた。
【0438】
ふるい分け:残りのステアリン酸を、ふるいNo.25によって手でふるいにかけた。
【0439】
ブレンディング5(潤滑):脱塊化2によるブレンド、及びふるい分けしたステアリン酸を、V型ブレンダに入れ、300回転ブレンドした。最終潤滑ブレンドを、2つの風袋引き済みの表面処理した収集バッグ(1または2)のうち1つに注いだ。
【0440】
カプセル化:最終ブレンドを、Boschカプセル充填機のホッパーに載せた。75mgのブレンドを、毎分75~85カプセルの速度で、サイズ4号のディスクを使用して、サイズ4号のHPMC Vcap plusカプセルに充填した。カプセル化中、15分毎に平均重量及び重量変動をチェックし、層化CU試験向けにカプセルを収集した。
【0441】
(d)デンプン-ラクトースベース0.5及び2mgBICの製造プロセス
一実施例では、0.5及び2mgのデンプン-ラクトースベースBICを、後述の開発プロセスに従って調製した。
【0442】
前処理混合物の調製:化合物1は、固着性があるので、装置表面への固着を最小限に抑えるために、turbulaブレンダ内で無水ラクトースの一部とステアリン酸を混合することによって、前処理混合物を調製した。製造に使用するすべての装置を、前処理混合物を使用して前処理した。
【0443】
ブレンディング1:化合物1、無水ラクトースの一部、アルファ化されたトウモロコシデンプンの一部及びフマル酸を秤量し、前処理したturbulaブレンダに加え、340回転ブレンドした。
【0444】
脱塊化1:ブレンド1及びアルファ化されたトウモロコシデンプンの一部を、457μmの円形スクリーンを備えた表面前処理したComilに1600rpmで通過させた。Comilを、前処理混合物の一部ですすいだ。
【0445】
ブレンディング2:前処理混合物の一部、脱塊化1によるブレンド、及び無水ラクトースの一部を、V型ブレンダに加え、粉末を300回転ブレンドした。
【0446】
脱塊化2:ブレンド2を、457μmの円形スクリーンを備えたComilに1600rpmで通過させた。デンプングリコール酸ナトリウムを、Comilに通過させ、Comilをすすいだ。
【0447】
ふるい分け:コロイド状二酸化ケイ素(Aerosil 200)及びステアリン酸を、ふるいNo.25によって手でふるいにかけた。
【0448】
ブレンディング3(潤滑):脱塊化2によるブレンド、及びふるい分けしたコロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸を、V型ブレンダに入れ、300回転ブレンドした。最終潤滑ブレンドを、2つの風袋引き済みの表面処理した収集バッグ(1または2)のうち1つに注いだ。
【0449】
カプセル化:最終ブレンドを、Boschカプセル充填機のホッパーに載せた。0.5mgBIC向けに、100mgブレンドを、毎分75~85カプセルの速度で、サイズ3号のディスクを使用して、サイズ3号のHPMC Vcap plusカプセルに充填した。2mgBIC向けに、200mgブレンドを、毎分75~85カプセルの速度で、サイズ2号のディスクを使用して、サイズ2号のHPMC Vcap plusカプセルに充填した。カプセル化中、15分毎に平均重量及び重量変動をチェックし、層化CU試験向けにカプセルを収集した。
【0450】
6.14 マンニトール及びデンプン-ラクトース0.1、0.5、及び2mgのBICバッチの特性評価
(a)流動性評価
粉末ブレンドの流動性を評価するために、Dietmar-Schulzeリング剪断試験機(RST)を使用した。試料を、剪断セルNo.1を使用して調製し、400Pa~3600Paの標準荷重を加えた。流動機能係数(ffc)値を、下記式を使用して、得られた最大圧密応力(σ1)Pa、及びそれに対応する単軸崩壊応力(f
c)Paから決定した。
【数1】
【0451】
粉末の流動挙動は、得られたffc値に基づいて、以下のように数値的に分類することができる:ffc<1(流動しない);1<ffc<2(非常に粘着性がある);2<ffc<4(粘着性がある);4<ffc<10(流動しやすい);ffc>10(自由に流動する)。
【0452】
分析したBICブレンドの流動性順位は、カプセル37>カプセル41>カプセル42>カプセル43>カプセル45>カプセル46>カプセル44であった。
図21に示す流動性プロットから、0.1mgのマンニトール(カプセル37)及びデンプン-ラクトースBIC(カプセル41)バッチは、最良の全体的流動性を有することが判明し、これは0.5%のAerosil R972の存在下での低い薬物負荷に起因している可能性がある。0.5mgのマンニトールBIC(カプセル42)及びデンプン-ラクトースBIC(カプセル43)バッチもまた、良好な流動性プロファイルを示した。2%のAerosil 200を含有する2mgのマンニトールBIC(カプセル45)は、許容可能な流動性(「自由に流動する」のボーダーライン)を有することが判明した。2%のAerosil 200を含む2mgのデンプン-ラクトースBIC(カプセル44)ブレンドは、「流動しやすい」ことが判明した。
【0453】
Aerosil 200の量が、0.5mgBICバッチでは1%、マンニトールBICバッチ及びデンプン-ラクトースBICバッチでは2%に増えると、流動性質が低下することに留意されたい。2mgのデンプン-ラクトースBIC(カプセル44)ブレンドの流動性は、カプセル化プロセス中に、重量のばらつきが大きいといった影響を及ぼした。この重量の大きなばらつきは、
図22に示すようなより広い効力分布をもたらした。このことを克服するために、Aerosil 200の量を先の2%の量(カプセル44)から1%に減らすと、1%のAerosil 200を含む2mgのデンプン-ラクトース(カプセル46)BICブレンドの流動挙動は、よりタイトな効力分布の「自由に流動する」となることが判明した。
【0454】
(b)水分活性試験
水分活性とは、水が物質内でどれだけ密接に結合しているかの程度である。水分活性を測定するために、平衡を可能にする密封した容器に試料を入れる。容器内の最終相対湿度(RH)は、「Aw」と呼ばれる分数として報告される。純水は、1.00のAwを有する。化合物1の形態Kは、RH<20%で無水形態に変わるチャネル水和物であるため、水分活性を、試験して、形態変換の確率を評価した。HygroLab 3卓上型インジケータを使用して、水分活性試験を測定した。プローブの精度を確保するために、試料の試験前に、RH基準(0%RH、35%RH及び80%RH)を用いて様々な相対湿度レベルで、及び様々な温度で装置を校正する。キャップを下方向にねじることによって、試料セル内に、既知量の試料を密封する。開始温度を、試験前に記録する。試験前及び試験後の温度の変化が0.5℃以下の場合に、Awを記録する。
【0455】
充填したカプセルと、最終ブレンドの両方は、すべての製剤でAw=0.300を超える水分活性を示す。したがって、35~40%の標準室内RHでは、化合物1は、無水形態に変わる可能性はほとんどない。
【0456】
(c)溶解プロファイル
0.1mgBICバッチの場合、
図23に示すように、30分の時点で、デンプン-ラクトースベースバッチの約80%の薬物放出と比較して、マンニトールベースBICは、約95%の薬物放出を呈した。デンプン-ラクトースベースBICバッチの比較的遅い薬物放出は、薬物放出を遅らせるプラグの形成に起因する。薬物放出プロファイルはより遅いものの、デンプン-ラクトースベース製剤化は許容できるものである。全体的に、両方の製剤は、60分以内にほぼ100%の放出を達成している。
【0457】
0.5mg含量では、両方の製剤は、
図24に示すように、類似の溶解放出プロファイルを有する。全体的に、両方の製剤は、60分以内にほぼ100%の放出を達成している。
【0458】
2mg含量の場合の
図25の溶解放出プロファイルは、30分で、マンニトールベースBICでは約90%の薬物放出、それに対し、デンプン-ラクトースベースBIC製剤では約75%の薬物放出が観察されたことを示している。しかし、両方のBIC製剤は、60分以内の100%の薬物放出を呈し、許容できる溶解放出プロファイルを示した。
【0459】
(d)安定性プロファイル
乾燥剤を含まないHDPEボトル内のマンニトールBICカプセルの安定性を、25℃/60%RH及び40℃/75%
RHで評価した。1ヶ月時点のものを
図26に示す。0.1mgBICは、研究したすべての条件で非常に安定であることが判明した。より高い用量含量(0.5mg及び2mg)BICは、40℃/75%RHで1ヶ月の場合、加水分解物になりやすいことが判明した。これらの含量の違いは、シリカのグレード及び量の違いである。0.1mgBIC(カプセル37)の場合、Aerosil R972(疎水性シリカ)は、API表面を充分にコーティングし、APIの分解を防ぐ。一方で、親水性シリカ(Aerosil 200)を、それぞれ、0.5mg及び2mgBICに使用した。加水分解物の増加は、親水性Aerosil 200の量の増加と相関する。
【0460】
0.5mgBIC及び2mgBICのR異性体の量の増加は、加水分解物の量の増加と同様の傾向を示し、
図27に示すように、Aerosil 200はキラル純度の低下に影響を及ぼすことを示した。
【0461】
(e)溶解安定性
すべての条件における0.1mgのマンニトールベースBICバッチの安定性溶解放出プロファイルは、再現可能であることが判明し、その一方で、40℃/75%RH及び25℃/60%RHで1ヶ月での0.1mgのデンプン-ラクトースベースBICバッチの溶解放出プロファイルは、
図28に示すように、T=0(初期)よりも遅いことが判明した。
【0462】
図29から、マンニトール及びデンプン-ラクトースの両方の0.5mgBICの溶解放出プロファイルは、再現可能であることが判明した。40℃/75%RHで初期時点からT=1ヶ月での0.5mgのデンプン-ラクトースベースBICの溶解放出プロファイルでは、わずかな減速が観察されたが、最終的には完全な薬物放出が観察された。全体的に、両方の製剤は、溶解安定性を示す再現可能な溶解プロファイルを呈することが判明した。
【0463】
同様に、マンニトール及びデンプン-ラクトースベース製剤の両方の2mgBIC製剤の溶解放出プロファイルもまた、すべての試験条件において再現可能であることが判明した(
図30)。
【0464】
(f)マンニトールベースバッチの粒径分布
ふるい分け法による粒径分布を、上部から底部に向かってスクリーンの開口が小さくなる順番で(上部では粗く、底部に行くほど細かくなる)6つのふるいを積み重ねることによるRotapふるい機を使用して実施した。微粉を収集するために、底部に受皿を置いた。実験を、425μmスクリーン、250μmスクリーン、180μmスクリーン、125μmスクリーン、90μmスクリーン及び75μmスクリーンを使用して2つ組で実施した。0.1mg、0.5mg及び2mgのマンニトールベースバッチの潤滑ブレンドのすべてに、D10、D50及びD90を定めた。下記表にそれらの値を提示する。
表16:0.1mg、0.5mg及び2mgマンニトールベースバッチの潤滑ブレンドの粒径分布
【表18】
【0465】
(g)マンニトールBIC製剤と、デンプン-ラクトースBIC製剤との含量均一性(CU)比較評価
マンニトールベースBIC(カプセル37、カプセル42及びカプセル45)及びデンプンベースBIC(カプセル41、カプセル43及びカプセル46)の効力分布、平均アッセイ回収率及び平均CUを、下記表に示す。
表17:0.1mg、0.5mg及び2mgマンニトール及びデンプン-ラクトースBIC製剤の含量均一性(CU)の概要
【表19】
【0466】
マンニトールベースBIC製剤のブレンドの接着性質に起因して、低剪断プロセスまたは高剪断プロセスによって製造された異なる製剤の間で、効力分布の変動が観察された。しかし、バッチ製造前の表面の前処理により、表に示すような狭い効力分布の許容可能なデータが得られた。
【0467】
表から、デンプン-ラクトースベースBICでは、%RSDが厳しいものであっただけではなく、許容値も低かった。同様に、0.5mgBICバッチでは、デンプン-ラクトースベースBIC(カプセル43)の平均アッセイ回収率、平均CU及びAV値は、マンニトールベースBIC(カプセル42)よりも優れていることが判明したが、%RSDは、両方のバッチで類似することが判明した。最後に、デンプン-ラクトースベースBIC(カプセル46)の平均アッセイ回収率及び平均CUは、より高いことが判明したが、%RSD及びAVは、マンニトールベースBIC(カプセル45)の方が良好であることが判明した。また、平均アッセイ回収率は、用量含量が上がると良好になり、一方、許容値は、用量含量が上がると低下し、低い用量含量ではCUに対する脆弱性が見られることが証明された。
【0468】
本発明の記載の実施形態は、提供される実施形態のいくつかの態様の例証として意図される実施例にて提供される特定の実施形態によってその範囲を制限されるものではなく、機能的に等価ないずれの実施形態も本開示によって包括される。実際、本明細書に示され記載されたものに加えて、本明細書にて提供される実施形態の様々な改変形態が、当業者にとって明らかとなり、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0469】
多数の参照文献が引用され、それらの開示は参照することによりその全体が本明細書に援用される。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
化合物1、
(化1)
または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、及び担体または希釈剤を含む、医薬組成物。
(態様2)
前記担体または希釈剤は、マンニトールである、態様1に記載の医薬組成物。
(態様3)
流動促進剤、酸性化剤、潤滑剤、またはそれらの混合物をさらに含む、態様2に記載の医薬組成物。
(態様4)
1)約0.05~約3重量%の量の化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、2)約80~約98重量%の量のマンニトール、3)約0~約10重量%の量の流動促進剤、4)約0~約6重量%の量の酸性化剤、及び5)約0~約8重量%の量の潤滑剤を含む、態様2に記載の医薬組成物。
(態様5)
前記化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、前記化合物1の遊離塩基である、態様4に記載の医薬組成物。
(態様6)
前記化合物1の遊離塩基は、前記化合物1の結晶性遊離塩基である、態様5に記載の医薬組成物。
(態様7)
前記化合物1の遊離塩基は、およそ14.6、18.2及び18.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする、態様5に記載の医薬組成物。
(態様8)
前記化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の量は、約0.1~約1.5重量%である、態様4~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様9)
前記化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の量は、約0.13~約1重量%である、態様8に記載の医薬組成物。
(態様10)
前記マンニトールの量は、約85~約95重量%である、態様4~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様11)
前記マンニトールの量は、約90~約93重量%である、態様10に記載の医薬組成物。
(態様12)
前記流動促進剤は、シリカジメチルシリレート、またはコロイド状二酸化ケイ素である、態様4~11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様13)
前記流動促進剤の量は、約0.25~約3重量%である、態様4~12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様14)
前記流動促進剤の量は、約0.5~約2重量%である、態様13に記載の医薬組成物。
(態様15)
前記酸性化剤は、フマル酸である、態様4~14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様16)
前記酸性化剤の量は、約2~約5重量%である、態様4~15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様17)
前記酸性化剤の量は、約3重量%である、態様16に記載の医薬組成物。
(態様18)
前記潤滑剤は、ステアリン酸である、態様4~17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様19)
前記潤滑剤の量は、約2~約6重量%である、態様4~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様20)
前記潤滑剤の量は、約4重量%である、態様19に記載の医薬組成物。
(態様21)
1)約0.13重量%の量の化合物1、2)約92.37重量%の量のマンニトール、3)約 0.5重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含む、態様4に記載の医薬組成物。
(態様22)
約75mgの総重量を有する、態様21に記載の医薬組成物。
(態様23)
サイズ4のカプセル内に含有される、態様22に記載の医薬組成物。
(態様24)
1)約0.5重量%の量の化合物1、2)約91.5重量%の量のマンニトール、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含む、態様4に記載の医薬組成物。
(態様25)
約100mgの総重量を有する、態様24に記載の医薬組成物。
(態様26)
サイズ3のカプセル内に含有される、態様25に記載の医薬組成物。
(態様27)
1)約1重量%の量の化合物1、2)約90重量%の量のマンニトール、3)約2重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約3重量%の量のフマル酸、及び5)約4重量%の量のステアリン酸を含む、態様4に記載の医薬組成物。
(態様28)
約200mgの総重量を有する、態様27に記載の医薬組成物。
(態様29)
サイズ2のカプセル内に含有される、態様28に記載の医薬組成物。
(態様30)
前記担体または希釈剤は、デンプンとラクトースの混合物である、態様1に記載の医薬組成物。
(態様31)
流動促進剤、酸性化剤、潤滑剤、崩壊剤またはそれらの混合物をさらに含む、態様30に記載の医薬組成物。
(態様32)
1)約0.05~約3重量%の量の化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩、2)約70~約90重量%の量のデンプンとラクトースの混合物、3)約0~約10重量%の量の流動促進剤、4)約0~約8重量%の量の酸性化剤、5)約0~約8重量%の量の潤滑剤、及び6)約0~約20重量%の量の崩壊剤を含む、態様30に記載の医薬組成物。
(態様33)
前記化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩は、前記化合物1の遊離塩基である、態様32に記載の医薬組成物。
(態様34)
前記化合物1の遊離塩基は、前記化合物1の結晶性遊離塩基である、態様33に記載の医薬組成物。
(態様35)
前記化合物1の遊離塩基は、およそ14.6、18.2及び18.3°の2θにピークを含むXRPDパターンを特徴とする、態様33に記載の医薬組成物。
(態様36)
前記化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の量は、約0.1~約1.5重量%である、態様32~35のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様37)
前記化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩の量は、約0.13~約1重量%である、態様36に記載の医薬組成物。
(態様38)
前記デンプンは、部分的にアルファ化されたデンプンである、態様32~37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様39)
前記ラクトースは、無水ラクトースである、態様32~38のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様40)
前記デンプンの量は、約17~約22重量%であり、かつ、前記ラクトースの量は、約53~約68重量%である、態様32~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様41)
前記デンプンとラクトースの混合物の量は、約75~約85重量%である、態様32~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様42)
前記デンプンの量は、約18~約21重量%であり、かつ、前記ラクトースの量は、約57~約64重量%である、態様41に記載の医薬組成物。
(態様43)
前記デンプンとラクトースの混合物の量は、約80~約82重量%である、態様32~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様44)
前記デンプンの量は、約19~約20重量%であり、かつ、前記ラクトースの量は、約61~約62重量%である、態様43に記載の医薬組成物。
(態様45)
前記デンプンと前記ラクトースの重量比は、約1:2~約1:4である、態様32~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様46)
前記デンプンと前記ラクトースの重量比は、約1:3~約1:3.3である、態様45に記載の医薬組成物。
(態様47)
前記流動促進剤は、シリカジメチルシリレート、またはコロイド状二酸化ケイ素である、態様32~46のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様48)
前記流動促進剤の量は、約0.25~約3重量%である、態様32~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様49)
前記流動促進剤の量は、約0.5~約1重量%である、態様48に記載の医薬組成物。
(態様50)
前記酸性化剤は、フマル酸である、態様32~49のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様51)
前記酸性化剤の量は、約2~約6重量%である、態様32~50のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様52)
前記酸性化剤の量は、約4重量%である、態様51に記載の医薬組成物。
(態様53)
前記潤滑剤は、ステアリン酸である、態様32~52のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様54)
前記潤滑剤の量は、約2~約6重量%である、態様32~53のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様55)
前記潤滑剤の量は、約4重量%である、態様54に記載の医薬組成物。
(態様56)
前記崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである、態様32~55のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(態様57)
前記崩壊剤の量は、約5~約15重量%である、態様56に記載の医薬組成物。
(態様58)
前記崩壊剤の量は、約10重量%である、態様57に記載の医薬組成物。
(態様59)
1)約0.13重量%の量の化合物1、2)約20重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61.4重量%の量の無水ラクトース、3)約0.5重量%の量のシリカジメチルシリレート、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、態様32に記載の医薬組成物。
(態様60)
約75mgの総重量を有する、態様59に記載の医薬組成物。
(態様61)
サイズ4のカプセル内に含有される、態様60に記載の医薬組成物。
(態様62)
1)約0.5重量%の量の化合物1、2)約19.5重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61重量%の量の無水ラクトース、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、態様32に記載の医薬組成物。
(態様63)
約100mgの総重量を有する、態様62に記載の医薬組成物。
(態様64)
サイズ3のカプセル内に含有される、態様63に記載の医薬組成物。
(態様65)
1)約1重量%の量の化合物1、2)約19重量%の量の部分的にアルファ化されたデンプンと約61重量%の量の無水ラクトース、3)約1重量%の量のコロイド状二酸化ケイ素、4)約4重量%の量のフマル酸、5)約4重量%の量のステアリン酸、及び6)約10重量%の量のデンプングリコール酸ナトリウムを含む、態様32に記載の医薬組成物。
(態様66)
約200mgの総重量を有する、態様65に記載の医薬組成物。
(態様67)
サイズ2のカプセル内に含有される、態様66に記載の医薬組成物。
(態様68)
多発性骨髄腫を治療する方法であって、態様1~67のいずれか1項に記載の治療上有効な量の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、前記方法。
(態様69)
態様1~67のいずれか1項に記載の医薬組成物を調製するプロセスであって、化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩を、疎水性シリカでコーティングすることを含む、前記プロセス。
(態様70)
前記コーティングすることは、追加の賦形剤でブレンドする前に、前記化合物1、または、その鏡像異性体、鏡像異性体の混合物、互変異性体、アイソトポログ、もしくは薬学的に許容される塩と、前記疎水性シリカとをブレンドし、二成分ブレンドを形成することによって行われる、態様69に記載のプロセス。
(態様71)
前記疎水性シリカは、シリカジメチルシリレートである、態様69または70に記載のプロセス。