(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】LIDARシステムにおける出力信号の操縦
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01S7/481 A
(21)【出願番号】P 2021543123
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020015113
(87)【国際公開番号】W WO2020154707
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520437076
【氏名又は名称】シルク テクノロジーズ インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】弁理士法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】アスガリ、メヘディ
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ダゾン
(72)【発明者】
【氏名】ルフィ、ブラッドレー ジョナサン
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0306925(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0267250(US,A1)
【文献】特開2018-200273(JP,A)
【文献】特開2015-172540(JP,A)
【文献】特表2019-536098(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003852(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0353977(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G02B 6/12 - 6/14
G02F 1/00 - 1/125
G02F 1/21 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発LIDAR信号を、異なるチャンネルを運ぶ複数のLIDAR出力信号に分離する分波器、
複数の入力導波路が、出発LIDAR信号を光学スイッチから前記分波器の入力側の異なる領域に運ぶように構成される複数の入力導波路、及び
前記LIDAR出力信号のいずれを受信し、異なるLIDAR出力信号がビーム分配器から離れて異なる方向に移動するように、受信されたLIDAR出力信号を方向付けるビーム分配器
を含む、LIDARシステム。
【請求項2】
前記ビーム分配器が、レンズである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記LIDAR出力信号が、前記分波器の出力側に
入射する調整機構をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記調整機構が、光学スイッチを含む、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
複数のチャンネル導波路が、前記分波器から前記LIDAR出力信号のうちの異なる1つをそれぞれ受信し、前記ビーム分配器が、前記チャンネル導波路から該LIDAR出力信号を受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記分波器及び前記チャンネル導波路が、LIDARチップ上に配置される、請求項
5に記載のシステム。
【請求項7】
前記LIDARチップが、シリコン・オン・インシュレータプラットフォーム上に構築される、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記分波器が、アレイ導波路格子及びエシェル格子からなる群から選択される、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記チャンネル導波路は、前記LIDARシステムが第1配置に調整されるとき、前記LIDAR出力信号の少なくとも一部が、第1アクティブグループにおけるチャンネル導波路の1つにそれぞれ方向付けられるが、該LIDAR出力信号のいずれも、第2アクティブグループにおけるチャンネル導波路に方向付けられないように、複数のアクティブグループに配置される、請求項
5に記載のシステム。
【請求項10】
前記LIDARシステムが、第1配置に調整されるとき、全ての前記LIDAR出力信号が、前記第1アクティブグループにおけるチャンネル導波路のうちの1つにそれぞれ方向付けられる、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記LIDARシステムが、第2配置に調整されるとき、前記LIDAR出力信号の少なくとも一部は、前記第2アクティブグループにおけるチャンネル導波路のうちの1つにそれぞれ方向付けられる、請求項
9に記載のシステム。
【請求項12】
前記LIDARシステムが、第2配置に調整されるとき、全ての前記LIDAR出力信号が、前記第2アクティブグループにおけるチャンネル導波路のうちの1つにそれぞれ方向付けられる、請求項1
1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ビーム分配器が、前記LIDARシステムは前記第2配置に調整されるときと比べて、該LIDARシステムは前記第1配置に調整されるときに、前記LIDAR出力信号を異なる入射角で受信するように構成される、請求項1
2に記載のシステム。
【請求項14】
前記LIDARシステムが前記第2配置に調整されるとき、いずれのLIDAR出力信号も、第1グループにおけるチャンネル導波路に方向付けられない、請求項1
3に記載のシステム。
【請求項15】
前記分波器及び前記ビーム分配器が、固体の構成要素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記ビーム分配器が、
各LIDAR出力信号を同時に受信する、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
複数のチャンネル導波路を含むLIDARチップであって、各チャンネル導波路が、異なるチャンネルを運ぶLIDAR出力信号を誘導する、LIDARチップ
、
該チャンネル導波路から
複数のLIDAR出力信号を同時に受信するビーム分配器であって、該ビーム分配器が、各LIDAR出力信号が異なる入射角で前記ビーム分配器に入射するように、LIDAR出力信号を受信し、異なるLIDAR出力信号が該ビーム分配器から離れて異なる方向に移動するように、受信したLIDAR出力信号を方向付ける、ビーム分配器、
出発LIDAR信号を受信し、出発
LIDAR信号を複数の異なる入力導波路のいずれかに向けるように構成された光学スイッチであって、出発LIDAR信号は各チャンネルを伝送する、光学スイッチ、及び
出発LIDAR信号を受信する入力導波路を変更するように光学スイッチを操作するように構成された電子機器
を含む、LIDARシステムであって、。
LIDAR出力信号がビーム分配器から離れて移動する方向
が、出発LIDAR信号を受信する入力導波路の変化に応答して変化する、LIDARシステム。
【請求項18】
前記入力導波路のいずれかから前記出発LIDAR信号を受信し、前記出発LIDAR信号を前記LIDAR出力信号に分離するように構成される分波器をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
チャネル導波路は、分波器からLIDAR出力信号を受信するように構成されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
ビーム分配器が、レンズである、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2019年1月25日に出願され、「光学センサーシステム」と題された米国特許出願シリアル番号62/797,126の継続であり、その全体として本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光学装置に関する。特に、本発明は、LIDARシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
LIDAR技術は、様々な用途に応用されている。LIDAR仕様は、典型的には、視野内の最小数のサンプル領域に対してLIDARデータが生成されることを特定する。異なるサンプル領域のLIDARデータを生成するために、LIDAR出力信号は、典型的には、1つのサンプル領域から別のサンプル領域に走査される。LIDAR出力信号を走査するために様々な機構が使用される。しかし、これらの機構は、典型的には、MEM装置のミラーのような可動部品を使用する。これらの装置は、LIDARシステムに必要とされる高周波数、再現性、及び長い寿命を提供するのに適していないことが多い。その結果、LIDAR出力信号の操縦機構を改良する必要がある。
【概要】
【0004】
LIDARシステムは、それぞれが異なるチャンネルを運ぶ複数のLIDAR出力信号に出発LIDAR信号を分離する分波器を含む。該異なるチャンネルは、それぞれ異なる波長にある。前記システムはまた、各々の前記LIDAR出力信号を受信するビーム分配器を含む。該ビーム分配器は、異なるLIDAR出力信号が該ビーム分配器から離れて異なる方向に移動するように、受信されたLIDAR出力信号を方向付ける。
【0005】
LIDARシステムの別の実施形態は、分波器の出力側でそれぞれ受信される複数のLIDAR出力信号に出発LIDAR信号を分離する分波器を含む。該各々のLIDAR出力信号は、異なるチャンネルを運び、該異なるチャンネルは、それぞれ異なる波長にある。前記システムはまた、各々の前記LIDAR出力信号を受信するビーム分配器を含む。該ビーム分配器は、異なるLIDAR出力信号が該ビーム分配器から離れて異なる方向に移動するように、受信されたLIDAR出力信号を方向付ける。いくつかの例では、前記ビーム分配器は、レンズまたはミラーを含むか、または(実質的に)レンズまたはミラーから構成される。
【0006】
LIDARシステムは、複数のチャンネル導波路を含むLIDARチップを有する。各チャンネル導波路は、LIDAR出力信号を誘導するように構成される。異なるLIDAR出力信号は、異なるチャンネルを運ぶ。ビーム分配器は、同時に、前記チャンネル導波路から前記LIDAR出力信号を受信する。前記ビーム分配器は、各LIDAR出力信号が異なる入射角でビーム分配器に入射するように前記LIDAR出力信号を受信する。前記ビーム分配器は、異なるLIDAR出力信号が該ビーム分配器から離れて異なる方向に移動するように、前記受信されたLIDAR出力信号を方向付ける。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【0008】
【
図1B】LIDARシステムの別の実施形態の概略図である。
【0009】
【
図2】LIDARシステムの別の実施形態の概略図である。
【0010】
【
図3】LIDARシステムの別の実施形態の概略図である。
【0011】
【
図4】複数のチャンネルを運ぶ出発光信号を生成するように構成された複数の光源を示す。
【0012】
【0013】
【
図6】複数のチャンネルを含む光信号を生成するように構成された構造の一例を示す。
【0014】
【0015】
【
図7B】
図7Aに従って構成された処理ユニットと共に使用するのに適した電子機器の概略図である。
【0016】
【0017】
【
図9A-9C】LIDAR出力信号の走査を提供するように改変された
図8の分波要素を示している。
図9Aは、第1配置に調整された分波要素を示し、
図9Bは、第2配置に調整された分波要素を示している。
図9C、第1配置と第2配置との間の分波要素の調整に応答して変化する入射角でLIDAR出力信号を受信するビーム分配器を示している。
【0018】
【
図10-10B】出力光信号が分波器の入力側で受信される調整機構を含むように改変された
図9A及び
図9Bの分波要素を示している。
図10Aは、第1配置に調整された分波要素を示し、
図10Bは、第2配置に調整された分波要素を示している。
【0019】
【
図11】分波要素の分波器として使用するための整列された導波路格子分波器の上面図である。
【0020】
【
図12A-12B】
図10A~10Bの分波要素に使用するのに適した光学スイッチの構成を示している。
図12Aは、光学スイッチの概略図である。
図12Bは、
図12Aの光学スイッチに適用できるマッハツェンダー干渉計の概略図である。
【詳細な説明】
【0021】
前記LIDARシステムは、出発LIDAR信号をそれぞれが異なるチャンネルに関連する複数の異なるLIDAR出力信号に分離する分波器を含む。該LIDARシステムはまた、レンズのような、前記LIDAR出力信号を同時に受信し、それらを視野内の異なるサンプル領域に方向付けるビーム分配器を含む。
【0022】
いくつかの例では、前記分波器は、各々のLIDAR出力信号が該分波器から離れるように経路を変更するように調整される。各々のLIDAR出力信号が分波器から離れる経路の変化は、該LIDAR出力信号が前記ビーム分配器から離れる方向の変化を引き起こす。その結果、各々のLIDAR出力信号が前記分波器から離れる方向に移動する経路は、前記LIDAR出力信号を視野内の異なるサンプル領域に走査するように調整される。
【0023】
前記LIDAR出力信号が前記分波器から離れる方向に移動する経路を調整するのに、種々の機構は適している。例えば、光学スイッチ及び温度調整のような機構は、シリコン・オン・インシュレータプラットフォームのような光学プラットフォームに統合することができ、固体機構とすることができる。その結果、LIDAR出力信号を操縦するための固体機構が開示される。
【0024】
図1Aは、LIDARシステムの概略図である。該システムは、出発光信号を出力するレーザのような光源10を含む。該出発光信号は、それぞれ異なる波長の複数の異なるチャンネルを運ぶ。これらのチャンネルの波長は、1つのチャンネルから次のチャンネルへの波長増加が一定または実質的に一定であるように周期的に間隔を置いておくことができる。周期的に間隔を置いて配置された波長を有する複数のチャンネルを生成するための適切な光源10には、櫛型レーザ、単一の光導波路に多重化された複数の単波長レーザ、2017年11月30日に出願された米国特許出願シリアル番号11/998,846であって、「マルチチャンネル光学装置」と題された特許(特許番号:7542641、その全体として本明細書に組み込まれる。)に記載されているような光源が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
LIDARシステムはまた、前記光源10から出発光信号を受信するユーティリティ導波路12を含む。変調器14は、ユーティリティ導波路12に沿って任意に配置される。該変調器14は、前記出発光信号のパワーを変調し、これにより前記LIDAR出力信号を変調するように構成される。該電子機器は、前記変調器14を動作させることができる。従って、該電子機器は、前記出発LIDAR信号のパワーを変調することができ、これにより前記LIDAR出力信号を変調することができる。適切な変調器14には、PINダイオードキャリア注入装置、マッハツェンダー変調装置、及び電気吸収変調装置が含まれるが、これらに限定されない。前記変調器14がシリコン・オン・インシュレータプラットフォーム上に構成される場合の適切な変調器については、1993年9月21日に出願され、「統合シリコンPINダイオード電気光学導波路」と題された米国特許出願シリアル番号617,810での開示を参照されたい。(その全体として本明細書に組み込まれる。)
【0026】
増幅器16は、ユーティリティ導波路12に沿って任意に配置される。出発光信号のパワーが複数のチャンネル間で分配されるので、該増幅器16は、ユーティリティ導波路12上で各々のチャンネルに所望のパワーレベルを提供することが望ましい。適切な増幅器には、半導体光増幅器(SOA)が含まれるが、これに限定されない。
【0027】
前記ユーティリティ導波路12は、前記変調器14から出発光信号を信号誘導要素18まで運ぶ。該信号誘導要素18は、出発光信号をLIDAR分岐20及び/またはデータ分岐22に方向付けることができる。該LIDAR分岐は、LIDAR出力信号を出力し、LIDAR入力信号を受信する。該データ分岐は、LIDARデータ(LIDARシステムと該LIDARシステムの外部に位置する反射物体との間の距離及び/または視線速度)を生成するために、前記LIDAR入力信号を処理する。
【0028】
前記LIDAR分岐は、前記信号誘導要素18から出発光信号の少なくとも一部を受信するLIDAR信号導波路24を含む。該LIDAR信号導波路24は、前記出発光信号の少なくとも一部を分波要素26に運ぶ。前記出発光信号が異なる波長で複数の異なるチャンネルを運ぶとき、前記分波要素26は、該出発光信号を、各々が異なる波長(チャンネル)であって、視野内の異なるサンプル領域に方向付けられた複数のLIDAR出力信号に分離する。前記分波要素26は、該LIDARシステムの外部に配置された反射物体(図示せず)によって反射され得るLIDAR出力信号を出力する。該反射されたLIDAR出力信号は、LIDAR入力信号として分波要素26に戻る。該分波要素26は、前記LIDAR入力信号を結合し、その結果をLIDAR信号導波路24に入射光信号として出力する。
【0029】
いくつかの例では、前記分波要素26はまた、ビーム操縦機能を含む。これらの例では、前記分波要素26は、視野内の異なるサンプル領域に前記LIDAR出力信号を操縦するように、分波要素26を動作させることができる電子機器(図示せず)と電気的に通信できる。異なるLIDAR出力信号が独立して操縦されるか、または同時に操縦されるように、前記分波要素26及び/または電子機器を構成してもよい。
【0030】
前記分波要素26は単一の要素として示されているが、これは、複数の光学要素及び/または電気要素を含むことができる。適切な分波要素26には、光フェーズドアレイ(OPA)、透過回折格子、反射回折格子、及び回折光学要素(DOE)が含まれるが、これらに限定されない。ビーム操縦機能を備える適切な分波要素26には、アレイ導波路上に能動位相制御要素を備えた光フェーズドアレイ(OPA)が含まれるが、これに限定されない。
【0031】
前記LIDAR信号導波路24は、入射光信号を信号誘導要素18に運ぶ。該信号誘導要素18は、前記入射光信号をユーティリティ導波路12及び/または比較信号導波路28に方向付ける。該比較信号導波路28に方向付けられた入射光信号の部分は、比較入射光信号として機能する。
【0032】
前記比較信号導波路28は、前記比較入射光信号を比較分波器30に運ぶ。前記比較光信号が複数のチャンネルを運ぶ場合、該比較分波器30は、前記比較入射光信号を、それぞれが異なる1つのチャンネルを運ぶ異なる比較信号に分割する。前記比較分波器30は、異なる比較導波路32上に比較信号を出力する。各々の比較導波路32は、前記比較信号のうちの1つを異なる処理要素34に運ぶ。
【0033】
前記信号誘導要素18は、該信号誘導要素18が前記入射光信号の少なくとも一部を前記比較信号導波路28に方向付けるとき、該信号誘導要素18はまた、前記出発光信号の少なくとも一部を参照信号導波路36に方向付けるように構成される。該参照信号導波路36によって受信された出発光信号の部分は参照光信号として機能する。
【0034】
前記参照信号導波路36は、前記参照光信号を参照分波器38に運ぶ。前記参照光信号が複数のチャンネルを運ぶとき、参照分波器38は、それぞれが異なるチャンネルを運ぶ異なる参照信号に該参照光信号を分割する。前記参照分波器38は、各々の参照信号を異なる参照導波路40上に出力する。前記参照導波路40は、それぞれ、前記参照信号の1つを前記処理要素34の異なる1つに運ぶ。
【0035】
前記比較導波路32及び参照導波路40は、比較信号及び対応する参照信号が同一の処理要素34で受信されるように構成されている。例えば、前記比較導波路32及び参照導波路40は、該比較信号及び(同じ波長の)同じチャンネルを運ぶ対応する参照信号が同一の処理要素34で受信されるように構成されている。
【0036】
以下でより詳しく説明されるように、各処理要素34は、比較信号を対応する参照信号と結合して、視野上のサンプル領域のLIDARデータを運ぶ複合信号を形成する。従って、該複合信号を処理して、サンプル領域のLIDARデータを抽出することができる。
【0037】
前記信号誘導要素18は、光結合部であってもよい。該信号誘導要素18が光結合部である場合、該信号誘導要素18は、出発光信号の第1部分を前記LIDAR信号導波路24に、出発光信号の第2部分を前記参照信号導波路36に方向付け、また、入射光信号の第1部分を前記ユーティリティ導波路12に、入射光信号の第2部分を比較信号導波路28に方向付ける。従って、前記入射光信号の第2部分は、前記比較入射光信号として機能し、出発光信号の第2部分は、前記参照光信号として機能することができる。
【0038】
前記信号誘導要素18は、交差スイッチのような光学スイッチであってもよい。適切な交差スイッチは、クロスモードまたはパスモードで動作することができる。パスモードでは、出発光信号は前記LIDAR信号導波路24に方向付けられ、入射光信号は前記ユーティリティ導波路12に方向付けられる。クロスモードでは、出発光信号は前記参照信号導波路36に方向付けられ、入射光信号は前記比較信号導波路28に方向付けられる。従って、該入射光信号または該入射光信号の一部は、前記比較光信号として機能することができ、また、該出発光信号または該出発光信号の一部は、前記参照光信号として機能することができる。
【0039】
交差スイッチのような光学スイッチを前記電子機器で制御することができる。例えば、前記電子機器は、スイッチがクロスモードまたはパスモードにあるようにスイッチ操作を制御することができる。前記LIDAR出力信号が前記LIDARシステムから送信される場合、該スイッチがパスモードにあるように該電子機器はスイッチを操作する。前記LIDAR入力信号が前記LIDARシステムによって受信される場合、該スイッチがクロスモードにあるように該電子機器はスイッチを操作する。光結合部を前記信号誘導要素18として使用する場合より、スイッチを使用することによって、光損失のレベルをより低くすることができる。
【0040】
信号誘導要素18の動作に関する上記の説明では、前記比較光信号及び前記参照光信号は、同時にデータ分岐22に方向付けられる。その結果、前記処理要素34は、比較信号を、それぞれ同じチャンネル(対応する参照信号)を運ぶ参照信号と結合することができる。
【0041】
いくつかの例では、光増幅器42は、前記LIDAR信号導波路24に沿って任意に配置され、前記出発光信号及び/または前記入射光信号を増幅させるように構成される。従って、信号誘導要素18における光損失の影響を低減することができる。
【0042】
図1Bは、
図1AのLIDARシステムを改変して、光循環器を前記信号誘導要素18として含むようにしたものを示している。該光循環器は、前記出発光信号が前記LIDAR信号導波路24に方向付けられ、前記入射光信号が前記比較信号導波路28に方向付けられるように構成されている。前記比較信号導波路28は、前記比較入射光信号を前記比較分波器30に運ぶ。さらに、タップ要素44は、前記ユーティリティ導波路12に沿って配置される。該タップ要素44は、前記出発光信号の第1部分が前記参照信号導波路36上で受信されるように、前記出発光信号の第1部分をタップオフするように構成される。前記参照信号導波路36によって受信された出発光信号の第1部分は、前記参照光信号として機能する。前記参照信号導波路36は、該参照光信号を前記参照分波器38に運ぶ。従って、前記電子機器は、
図1Aの文脈に開示されているように
図1BのLIDARシステムを操作することができる。適切な光循環器には、ファラデー回転子ベースの光ファイバ循環器及び統合された光循環器が含まれるが、これらに限定されない。
図1Bの信号誘導要素18は光循環器として開示されているが、
図1Bの信号誘導要素18は、光結合部または光学スイッチとすることができる。
【0043】
レーザ光源からの光は、典型的には線形的に偏光されるので、前記LIDAR出力信号も、典型的には線形的に偏光される。標的からの反射は、戻り光の偏光角を変化させることがある。従って、異なる直線偏光状態があれば、前記LIDAR入力信号は光を含むことができる。例えば、LIDAR入力信号の第1部分は、第1線形偏光状態の光を含むことができ、LIDAR入力信号の第2部分は、第2線形偏光状態の光を含むことができる。得られた複合信号の強度は、比較信号偏光と参照信号偏光との間の角度の余弦の2乗に比例する。該角度が90度であれば、LIDARデータは、得られる複合信号において失われることがある。その結果、LIDAR出力信号の偏光状態の変化を補償するようにLIDARシステムを改変することができる。
【0044】
図2は、LIDAR出力信号の偏光の変化を補償するように、
図1A及び/または
図1BのLIDARシステムを改変したもの概略図である。タップ要素44は、前記ユーティリティ導波路12に沿って配置されている。該タップ要素44は、前記出発光信号の第1部分をタップオフするように構成されている。これにより、出発光信号の第1部分が第1参照信号導波路46上に受信される。第1参照信号導波路46によって受信された出発光信号の第1部分は、第1参照光信号として機能する。また、前記タップ要素44は、出発光信号の第2部分をタップオフするように構成されている。これにより、出発光信号の第2部分が第2参照信号導波路48上に受信される。第2参照信号導波路48によって受信された出発光信号の第2部分は、第2参照光信号として機能する。
【0045】
前記第1参照信号導波路46は、前記第1参照光信号を第1参照分波器50に運ぶ。該第1参照光信号が複数のチャンネルを含む場合、前記第1参照分波器50は、該第1参照光信号を、それぞれ異なる波長を有する異なる第1参照信号に分割する。前記第1参照分波器50は、前記第1参照信号を異なる第1参照導波路52上に出力する。該第1参照導波路52は、それぞれ、前記第1参照信号のうちの1つをいくつかの第1処理要素54のうちの1つに運ぶ。
【0046】
前記第2参照信号導波路48は、前記第2参照光信号を第2参照分波器56に運ぶ。該第2参照光信号が複数のチャンネルを含む場合、該第2参照分波器56は、該第2参照光信号を、それぞれ異なる波長を有する異なる第2参照信号に分割する。前記第2参照分波器56は、前記第2参照信号を異なる第2参照導波路58上に出力する。該第2参照導波路58は、それぞれ、前記第2参照信号の1つをいくつかの第2処理要素60のうちの異なる1つに運ぶ。
【0047】
前記ユーティリティ導波路12は、前記出発光信号を前記信号誘導要素18に運ぶ。該信号誘導要素18は、前記出発光信号を前記LIDAR信号導波路24に方向付ける。該LIDAR信号導波路24は、前記分波要素26から入射光信号を受信し、該入射光信号を前記信号誘導要素18に運ぶ。該信号誘導要素18は、前記入射光信号を中間導波路62に方向付ける。適切な信号誘導要素18には、循環器、2×2光結合部、1×2光結合部、及びスイッチが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
前記中間導波路62は、受信された入射光信号の一部をビーム分割器64に運ぶ。該ビーム分割器64は、光線を前駆比較入射信号及び第2比較入射信号に分割する。該前駆比較入射信号は、前駆比較信号導波路65上に受信され、該第2比較入射信号は、第2比較信号導波路66上に受信される。該前駆比較信号導波路65は、前記前駆比較入射信号を偏光回転子67に運ぶ。該偏光回転子67は、第1比較信号導波路69上に受信された第1比較入射信号を出力する。前記第1比較信号導波路69は、第1比較入射信号を第1比較分波器68に運び、前記第2比較信号導波路66は、前記第2比較入射信号を第2比較分波器70に運ぶ。
【0049】
前記第1比較入射光信号が複数のチャンネルを運ぶとき、前記第1比較分波器68は、該第1比較入射光信号を、それぞれ異なる波長を有する異なる第1比較信号に分割する。前記第1比較分波器68は、前記第1比較信号を異なる第1比較導波路72上に出力する。該第1比較導波路72は、それぞれ、前記第1比較信号のうちの1つを異なる第1処理要素54に運ぶ。
【0050】
前記第2比較光信号が複数のチャンネルを含む場合、前記第2比較分波器70は、第1比較入射光信号を、それぞれ異なる波長を有する異なる第2比較信号に分割する。前記第2比較分波器70は、前記第2比較信号を異なる第2比較導波路74上に出力する。該第2比較導波路74は、それぞれ、前記第2比較信号のうちの1つを異なる第2処理要素60に運ぶ。
【0051】
前記第1比較導波路72及び前記第1参照導波路52は、比較信号及び対応する参照信号が同一の第1処理要素54で受信されるように構成される。例えば、前記第1比較導波路72及び前記第1参照導波路52は、前記第1比較信号及び同一波長の第1参照信号が同一の第1処理要素54で受信されるように構成される。
【0052】
前記第2比較導波路74及び前記第2参照導波路58は、比較信号及び同一のチャンネルを運ぶ参照信号が同一の第2処理要素60で受信されるように構成される。例えば、前記第2比較導波路74及び前記第2参照導波路58は、前記第2比較信号及び同一波長の第2参照信号が同一の第2処理要素60で受信されるように構成される。
【0053】
前記第1処理要素54は、それぞれ、第1比較信号を対応する第1参照信号と結合して、視野上のサンプル領域のLIDARデータを運ぶ第1複合信号を形成する。前記第2処理要素60は、それぞれ、第2比較信号を対応する第2参照信号と結合して、視野上のサンプル領域のLIDARデータを運ぶ第2複合信号を形成する。
【0054】
前記LIDARシステムは、第1比較信号が対応する第2比較信号と同じ偏光角を有するように構成される。例えば、前記ビーム分割器64は、偏光ビーム分割器であってもよい。偏光ビーム分割器の1つの例は、前駆比較入射信号中のチャンネルが第1偏光状態を有するが、第2偏光状態を有しなく、または実質的に有しないように、かつ、第2比較入射信号中のチャンネルが第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有しなく、または実質的に有しないように構成される。例えば、前記偏光ビーム分割器は、第1偏光状態を有する入射光信号の一部を前駆比較信号導波路65に導き、かつ、第2偏光状態を有する入射光信号の一部を第2比較信号導波路66に導くことができる。前記第1偏光状態及び第2偏光状態は、線形の偏光状態であってもよく、該第2偏光状態は、第1偏光状態とは異なる。例えば、該第1偏光状態はTEであってもよく、該第2偏光状態はTMであってもよい。あるいは、該第1偏光状態はTMであってもよく、該第2偏光状態がTEであってもよい。適切なビーム分割器には、ウォラストンプリズム、非対称なy分岐を用いるMEMベースの偏光ビーム分割器及び統合された光学偏光ビーム分割器、マッハツェンダー干渉計、及び複合モード干渉結合器が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
前記偏光回転子は、前駆比較入射信号におけるチャンネルの偏光状態を第1偏光状態から第2偏光状態に変化させるように構成することができる。その結果、第1比較入射信号のチャンネルは、第2偏光状態を有するが、第1偏光状態を有しなく、または実質的に有しない。従って、第1比較入射信号のチャンネル及び第2比較入射信号の対応するチャンネルは、それぞれ同じ偏光状態(この議論では第2偏光状態)を有する。前記第1比較入射信号から生じる第1比較信号は、第2比較入射信号から生じる対応する第2比較信号と同じ偏光角を有する。適切な偏光回転子には、偏光保持ファイバの回転、ファラデー回転子、半波プレート、非対称なy分岐を用いるMEMベースの偏光回転子及び統合された光学偏光回転子、マッハツェンダー干渉計、及び複合モード干渉結合器が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
前記LIDAR出力信号は線形的に偏光されるので、前記第1参照信号は、対応する第2参照信号と同じ線形偏光角を有することができる。例えば、前記第1参照信号及び第2参照信号は、それぞれ、第1比較入射信号及び第2比較入射信号と同じ偏光状態を有することができる。従って、前記第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号は、それぞれ同じ偏光状態を有することができる。この例では、前記第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号はそれぞれ、第2偏光状態の光を有することができる。
【0057】
上記配置の結果、前記第1複合信号は、同一の偏光状態の参照信号と比較信号との組合せから由来し、それにより、所望の該参照信号と比較信号との間の拍動を提供する。例えば、前記第1複合信号は、それぞれ、第1偏光状態の参照信号と比較信号との組合せから由来し、第2偏光状態の光を除外または実質的に除外する。または、前記第1複合信号は、それぞれ、第2偏光状態の参照信号と比較信号との組合せから由来し、第1偏光状態の光を除外または実質的に除外する。同様に、前記第2複合信号は、それぞれ、同じ偏光状態の参照信号及び比較信号を含み、それにより、所望の参照信号と比較信号との間の拍動を提供する。例えば、前記第2複合信号は、それぞれ、第1偏光状態の参照信号と比較信号との組合せから由来し、第2偏光状態の光を除外または実質的に除外し、または、前記第1複合信号は、第2偏光状態の参照信号と比較信号との組合せから由来し、第1偏光状態の光を除外または実質的に除外する。
【0058】
上記の配置により、視野内の一つのサンプル領域のLIDARデータが、該サンプル領域に生成された複数の異なる複合信号(即ち、第1複合信号及び第2複合信号)に表示される。いくつかの例では、前記サンプル領域のLIDARデータを測定することは、異なる複合信号(即ち、第1複合信号及び第2複合信号)からLIDARデータを組合せる電子機器を含む。LIDARデータを組み合わせることは、複数の異なる複合信号から生成されるLIDARデータの平均、中央値、またはモードを取ることを含むことができる。例えば、前記電子機器は、第1複合信号から測定されたLIDAR出力信号の供給源と反射物体との間の距離、及び第2複合信号から測定された該距離を平均化でき、かつ/または該電子機器は、第1複合信号から測定されたLIDAR出力信号の供給源と反射物体との間の視線速度、及び第2複合信号から測定された視線速度を平均化できる。
【0059】
いくつかの例では、サンプル領域のLIDARデータを測定することは、1つまたは複数の複合信号(即ち、第1複合信号及び/または第2複合信号)を最も現実的なLIDARデータの供給源(代表的なLIDARデータ)として識別する電子機器を含む。次いで、該電子機器は、他の処理に使用するため、識別された複合信号からのLIDARデータを代表的なLIDARデータとして使用できる。例えば、該電子機器は、前記代表的なLIDARデータを有することでより大きな振幅をもつ信号(第1複合信号または第2複合信号)を識別でき、LIDARシステムによる更なる処理のために、識別された信号からLIDARデータを使用できる。いくつかの例では、該電子機器は、代表的なLIDARデータを用いて複合信号を識別することと異なるLIDAR信号からのLIDARデータを組み合わせることを組合せる。例えば、該電子機器は、代表的なLIDARデータを有することで振幅閾値より上の振幅をもつ各々の複合信号を識別でき、2つより多い複合信号が代表的なLIDARデータを有するものとして識別される場合、該電子機器は、識別された各複合信号からのLIDARデータを組合せることができる。1つの複合信号が代表的なLIDARデータを有するものとして識別される場合、該電子機器は、その複合信号からのLIDARデータを代表的なLIDARデータとして使用できる。複合信号のいずれも、代表的なLIDARデータを有するものとして識別されない場合、該電子機器は、これらの複合信号に関連するサンプル領域のLIDARデータを廃棄できる。
【0060】
図2の説明では、第1比較信号、第2比較信号、第1参照信号、及び第2参照信号はそれぞれ第2偏光状態を有するように構成要素が配置されているが、
図2の構成要素を、第1複合信号が同じ線形偏光状態の参照信号と比較信号とを組合せた結果、また、第1複合信号が同じ線形偏光状態の参照信号と比較信号とを組合せた結果となるように配置することもできる。例えば、前記偏光回転子を、第1参照信号導波路65と第1比較信号導波路69との間ではなく、第1参照信号導波路46に沿って配置してもよい。別の例として、第1参照信号及び第2参照信号がそれぞれ第1偏光状態を有する場合、前記偏光回転子を第2比較信号導波路66に沿って配置してもよい。
【0061】
上記のシステム構成によって、LIDAR入力信号の第1部分(第1偏光状態の部分)及びLIDAR入力信号の第1部分(第2偏光状態の部分)は、異なる複合信号に方向付けられる。例えば、該システム構成によって、第1複合信号が、第1複合信号よりもLIDAR入力信号の第1部分から多くのパワーを含み、また、第2複合信号が、第1複合信号よりもLIDAR入力信号の第2部分から多くのパワーを含む。あるいは、該システム構成によって、第1複合信号が、第1複合信号よりもLIDAR入力信号の第2部分から多くのパワーを含み、また、第2複合信号が、第1複合信号よりもLIDAR入力信号の第1部分から多くのパワーを含む。いくつかの例では、前記LIDAR入力信号の第1部分は、パワーを有しなく、または実質的にパワーを有しない。または、前記LIDAR入力信号の第2部分は、パワーを有しなく、または実質的にパワーを有しない。
【0062】
上記のLIDARシステムは、LIDAR分岐に関連する2つ以上のデータ分岐を含むことができる。例えば、
図3のLIDARシステムは、複数の光源10がLIDAR分岐にチャンネルを提供し、また、複数のデータ分岐が該LIDAR分岐からの光信号を受信するLIDARシステムを示している。
【0063】
上記のLIDARシステムは、単一の光源10を有するものとして図示されているが、該LIDARシステムは、
図4に示されるように、複数の光源10を有することができる。前記光源10は、各々がN個のチャンネルを発生するM個の光源10を含む。該チャンネルは、それぞれチャンネル導波路80上に受信される。該チャンネル導波路は、前記ユーティリティ導波路12上に受信される出発光信号を形成するために、チャンネルを結合するチャンネル合波器82に前記チャンネルを運ぶ。
【0064】
図4において、各チャンネルは、λ
i,jで表示されている。ここで、iが光源10の数で、1~Mである。jが光源10jのチャンネルの数で、1~Nである。上述のように、光源10は、チャンネルの波長が、1つのチャンネルから次のチャンネル(Δλ)への波長の増加が一定または実質的に一定であるように周期的に間隔を置いて配置されるように構成することができる。いくつかの例では、光源10は、隣接する波長のチャンネルが異なる光源10によって生成されるように構成されている。例えば、λ
i,j=λ
0+((i―1)+(j―1)(M))(Δλ)となるように光源10を構成することができる。該構成のための適切な光源10には、櫛型レーザが含まれるが、これに限定されない。該構成では、前記チャンネル合波器は、該チャンネル合波器の自由スペクトル範囲(FSR)の倍数に等しい波長間隔((N―1)*Δλ)を有するように設計された環式合波器であってもよい。従って、前記チャンネル合波器は、波長範囲((N―1)*Δλ)にわたって循環するように設計されてもよい。適切な環式合波器には、Gemfire社の「無色」AWG(8チャンネル環式アレイ導波路格子、2018)が含まれるが、これに限定されない。
【0065】
適切な光源10の数(M)として、2、4または8以上、かつ/または16、32または64より小さい値が含まれるが、これらに限定されない。光源10によって提供されるチャンネルの適切な数(N)として、2、4または8以上、かつ/または16、32または64未満の値が含まれるが、これらに限定されない。1つのチャンネルから次のチャンネル(Δλ)への波長増加の適値として、0.2nm、0.4nmまたは0.6nm以上、かつ/または0.8nm、1.0nmまたは1.5nm未満の値が含まれるが、これらに限定されない。最短波長を有するチャンネルの波長の適値として、1.3μm、1.4μmまたは1.5μm以上、かつ/または1.6μm、1.7μmまたは1.8μm未満の値が含まれるが、これらに限定されない。一例のLIDARシステムでは、Mが2、4または8以上、かつ/または16、32または64未満であり、Nが2、4または8以上、かつ/または16、32または64未満であり、また、Δλが0.2nm、0.4nmまたは0.6nm以上、かつ/または0.8nm、1nmまたは1.5nm未満である。
【0066】
いくつかの例では、光源10は、該光源10の少なくとも一部が、波長が隣接する2つ以上のチャンネルを生成するように構成されている。例えば、λi,j=λ0+((j―1)+(i―1)(N)(Δλ)となるように光源10を構成することができる。該構成のための適切な光源10には、櫛型レーザが含まれるが、これに限定されない。該構成では、前記チャンネル合波器は、少なくともNΔλの帯域幅を有する広帯域合波器であってもよい。適切な広帯域合波器には、アレイ導波路格子(AWG)及び薄膜フィルタが含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
上述したように、光源10のうちの1つ以上は、櫛型レーザであってもよい。しかし、該光源10について、他の構成も可能である。例えば、
図5に示されたのは、複数のレーザ光源84を含む光源10の一例である。
図5に示された光源10は、各々が光源導波路86上のチャンネルの1つを出力する複数のレーザ源84を含む。該光源導波路86は、チャンネルを結合してチャンネル導波路またはユーティリティ導波路12上に受信される光信号を形成するレーザ合波器88にチャンネルを運ぶ。該電子機器は、レーザ光源84を操作することができ、これにより、該レーザ光源84が各チャンネルを同時に出力する。
図5に従って構成された光源10と共に使用するのに適したレーザには、外部空洞レーザ、分布帰還型レーザ(DFB)、及びFаbry―Pеrot(FP)レーザが含まれるが、これらに限定されない。外部空洞レーザは、その一般的に狭い線幅のため、この実施形態では有利であり、検出された信号のノイズを低減できる。
【0068】
図6は、光源10構築物のもう一つ可能な構成例を示している。該光源10は、半導体レーザの利得要素のような利得要素90を含む。利得導波路92は、該利得要素で光学的に整列されて、これにより、該利得要素からの光信号を受信する。いくつかの例では、該利得導波路は、該利得要素に含まれる利得媒体を除外する。例えば、該利得導波路は、シリコン・オン・インシュレータチップ上のリッジ導波路であってもよい。複数の部分反射装置94は、該利得導波路に沿って配置される。これにより、該部分反射装置が前記光信号と相互作用する。
【0069】
動作中、電子機器は、前記利得要素を操作する。これにより、前記利得媒体が前記光信号を出力する。部分反射装置94は、それぞれ、前記光信号の一部を通過させる。前記ユーティリティ導波路12が該部分反射装置から受信する光信号の一部は、出発光信号として機能する。該部分反射装置はまた、光信号の一部を前記利得要素に戻す。これにより、該光信号の戻り部分が該利得要素を通過する。前記利得要素は、完全または部分的に反射的な層を含むことができる。この層は、該利得要素からの光信号の戻り部分を受信し、該光信号の戻り部分を反射して、該利得要素に戻す。これは、光信号の戻り部分が増幅し、レーザ発振することを可能にする。従って、前記光源10は、外部空洞レーザであってもよい。
【0070】
各々の部分反射装置が異なる波長の光を戻すように、部分反射装置を構成することができる。例えば、光源10によって出力されることになっている各々のチャンネルの波長が、部分反射装置のうちの少なくとも1つによって戻されるように、部分反射装置を構成することができる。その結果、所望のチャンネルは、それぞれ、レーザ発振し、出発光信号中に存在するであろう。適切な部分反射装置には、ブラッグ格子が含まれるが、これに限定されない。
【0071】
図7A~
図7Bは、上記LIDARシステムで使用するための適切な処理要素の一例を示している。第1分割器102は、参照導波路40、52、または58に担持された参照信号を第1参照導波路110及び第2参照導波路108に分割する。該第1参照導波路110は、前記参照信号の第1部分を光結合要素111に運ぶ。該第2参照導波路108は、前記参照信号の第2部分を第2光結合要素112に運ぶ。
【0072】
第2分割器100は、比較導波路30、72、または74に担持された比較信号を第1比較導波路104及び第2比較導波路106に分割する。該第1比較導波路104は、前記比較信号の第1部分を光結合要素111に運ぶ。該第2比較導波路108は、前記比較信号の第2部分を第2光結合要素112に運ぶ。
【0073】
前記第2光結合要素112は、前記比較信号の第2部分及び前記参照信号の第2部分を組合せて、第2複合信号とする。該比較信号の第2部分と該参照信号の第2部分との間の周波数の差により、該第2複合信号は、前記比較信号の第2部分と前記参照信号の第2部分との間で拍動している。前記光結合要素112はまた、得られた第2複合信号を第1補助検出器導波路114及び第2補助検出器導波路116上に分割する。
【0074】
前記第1補助検出器導波路114は、第2複合信号の第1部分を第1補助光センサ118に運ぶ。該第1補助光センサ118は、第2複合信号の第1部分を第1補助電気信号に変換する。前記第2補助検出器導波路116は、第2複合信号の第2部分を第2補助光センサ120に運ぶ。該第2補助光センサ120は、第2複合信号の第2部分を第2補助電気信号に変換する。適切な光センサの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0075】
前記第1光結合要素111は、前記比較信号の第1部分及び前記参照信号の第1部分を組合せて、第1複合信号とする。該比較信号の第1部分と該参照信号の第1部分との間の周波数の差により、該第1複合信号は、前記比較信号の第1部分と前記参照信号の第1部分との間で拍動している。前記光結合要素111はまた、該第1複合信号を第1検出器導波路121及び第2検出器導波路122に分割する。
【0076】
前記第1検出器導波路121は、前記第1複合信号の第1部分を第1光センサ123に運び、該第1光センサ123は、該第2複合信号の第1部分を第1電気信号に変換する。前記第2検出器導波路122は、前記第2複合信号の第2部分を第2補助光センサ124に運び、該第2補助光センサ124は、該第2複合信号の第2部分を第2電気信号に変換する。適切な光センサの例には、ゲルマニウムフォトダイオード(PD)及びアバランシェフォトダイオード(APD)が含まれる。
【0077】
前記第1参照導波路110及び第2参照導波路108は、前記参照信号の第1部分と前記参照信号の第2部分との間に位相シフトを提供するように構成される。例えば、前記第1参照導波路110及び第2参照導波路108は、前記参照信号の第1部分と前記参照信号の第2部分との間に90度の位相シフトを提供するように構成することができる。一例として、1つの参照信号部分は、同位相の要素であってもよく、その他の参照信号部分は、直角位相の要素であってもよい。従って、参照信号部分の1つは、正弦関数であってもよく、その他の参照信号部分は、余弦関数であってもよい。一例では、前記第1参照導波路110及び第2参照導波路108は、第1参照信号部分が余弦関数であり、第2参照信号部分が正弦関数であるように構成される。従って、前記第2複合信号における参照信号の部分は、前記第1複合信号における参照信号の部分に対して位相シフトされるが、前記第1複合信号における比較信号の部分は、前記第2複合信号における比較信号の部分に対して位相シフトされない。
【0078】
第1光センサ123と第2光センサ124を接続して平衡検出器とすることができ、第1補助光センサ118と第2補助光センサ120を接続して平衡検出器とすることもできる。例えば、
図7Bは、前記電子機器、第1光センサ123、第2光センサ124、第1補助光センサ118、及び第2補助光センサ120の間の関係の概略を示している。フォトダイオードのシンボルは、該第1光センサ123、第2光センサ124、第1補助光センサ118、及び第2補助光センサ120を表すために使用されるが、これらのセンサのうちの1つ以上は、他の構成を有してもよい。いくつかの例では、
図7Bの概略図に示されている全ての構成要素が、前記LIDARシステムに含まれる。いくつかの例では、
図7Bの概略図に示されている構成要素は、前記LIDARシステムと該LIDARシステムから離れて配置された電子機器との間に分配される。
【0079】
前記電子機器は、前記第1光センサ123と第2光センサ124とを接続して第1平衡検出器125とする。また、該電子機器は、前記第1補助光センサ118と第2補助光センサ120とを接続して第2平衡検出器126とする。具体的に、前記第1光センサ123と第2光センサ124とは直列に接続され、また、前記第1補助光センサ118と第2補助光センサ120とは直列に接続される。前記第1平衡検出器における直列の接続は、該第1平衡検出器からの出力を第1データ信号として運ぶ第1データ線128と通信する。前記第2平衡検出器における直列の接続は、第1平衡検出器からの出力を第2データ信号として運ぶ第2データ線132と通信する。前記比較信号と参照信号との間の拍動、即ち、前記第1複合信号と第2複合信号との間の拍動の結果として、前記第1データ信号及び第2データ信号は拍動している。
【0080】
前記第1データ線128は、前記第1データ信号を第1スイッチ134に運ぶ。該第1スイッチは、前記第1データ信号が距離分岐136に運ばれる第1配置であってもよく、または前記第1データ信号が速度分岐138に運ばれる第2配置であってもよい。
図7Bにおいて、前記第1スイッチ134は、前記第1配置に示されている。前記第2データ線132は、前記第2データ信号を第2スイッチ140に運ぶ。該第2スイッチは、前記第2データ信号が距離分岐136に運ばれる第1配置であってもよく、または前記第2データ信号が速度分岐138に運ばれる第2配置であってもよい。
図7Bにおいて、前記第2スイッチ140は、第1配置に示されている。前記第1スイッチ及び/または第2スイッチとして使用するための適切なスイッチには、電気機械スイッチ、及び固体MOSFETまたはPINダイオードスイッチが含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
前記電子回路は、第1期間及び第2期間中に同じ配置になるように、第1スイッチ及び第2スイッチを操作する。例えば、前記電子機器は、第1期間中に第1スイッチ及び第2スイッチともに第1配置に、また、第2期間中にそれらはともに第2配置になるように、第1スイッチ及び第2スイッチを操作することができる。この例では、第1期間中に前記第1データ信号及び第2データ信号は、距離分岐136に運ばれ、また、第2期間中にこれらは速度分岐138に運ばれる。
【0082】
前記LIDARシステムの動作中、LIDARデータの生成は、LIDARデータがサイクルごとに生成される一連のサイクルに分割される。いくつかの例では、各サイクルは、視野内の異なるサンプル領域に対応する。従って、異なるサイクルは、視野内の異なる領域のLIDARデータを生成することができる。
【0083】
前記サイクルは、各サイクルの時間を、距離期間(第1期間)及び速度期間(第2期間)を含む異なる期間に分割できるように実行することができる。反射物体とLIDARチップとの間の距離は、前記距離期間において測定することができ、反射物体とLIDARチップとの間の視線速度は、前記速度期間において測定することができる。
【0084】
前記電子機器は、前記第1データ信号及び第2データ信号を用いて、少なくとも、LIDARシステムと反射物体との間の距離を測定または近似するように構成される。例えば、第1期間中、前記電子機器は、変調器14を操作し、これにより、出発LIDAR信号の振幅、及びこれによるLIDAR出力信号の振幅にチャープを加えることができる。振幅にチャープを加えることは、出発LIDAR信号の振幅が正弦波の関数となるように該出発LIDAR信号の振幅を変調することを含むことができる。一例では、前記出発LIDAR信号の振幅は、出発LIDAR信号の振幅が正弦波を含む関数の平方根であり、かつ/または正弦波の平方根であるように変調される。例えば、変調された出発LIDAR信号及び式1:(M+N*cos(C*t+D*t2)1/2cos(F*t)(式中、M、N、C、D及びFは定数であり、tは時間を表し、M>0、N>0、また、被開平数が負になることを防ぐために、M≧N、C>0、D≠0)で数学的に表されるLIDAR出力信号を生成するように、前記出発LIDAR信号を変調することができる。以下に明らかになるように、FはLIDAR出力信号の周波数の関数(fC)であってもよい。式1において、F>>Cとなるように、F及びCを選択することができる。
【0085】
前記距離分岐は、第1距離分岐線142を含む。第1期間中、該第1距離分岐線142は、第1データ信号を第1乗算器144に運ぶ。
図7Bにおいて、該第1乗算器144は、該第1データ信号の振幅を二乗し、第1乗算されたデータ信号を出力するように構成されている。該距離分岐は、第2距離分岐線146を含む。第1期間中、該第2距離分岐線146は、第2データ信号を第2乗算器148に運ぶ。
図7Bにおいて、該第2乗算器148は、該第2データ信号の振幅を二乗し、第2乗算されたデータ信号を出力するように構成されている。適切な第1乗算器及び/または第2乗算器には、ギルバートセルミキサーのようなRFミキサが含まれるが、これに限定されない。
【0086】
【0087】
距離分岐は、前記フィルタから拍動データ信号を受信するアナログ-デジタル変換器(ADC)154を含む。該アナログ-デジタル変換器(ADC)154は、前記拍動データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、その結果をデジタルLIDARデータ信号として出力する。上述したように、拍動データ信号の変換は、サンプリング速度で拍動データ信号をサンプリングすることを含む。LIDAR出力信号の振幅にチャープを加えることは、複合信号及び結果として生じる電気信号の拍動から視線速度の影響を実質的に減少し、または除去する。例えば、LIDAR入力信号に対するLIDAR出力信号の周波数シフト(Δf)は、Δf=Δfd+Δfsと表記ことができる。ここで、Δfdが、ドップラーシフトによる周波数の変化を表し、Δfsが、反射物体とLIDARシステムとの間の分離に起因する周波数の変化である。前記出発LIDAR信号は、変調された出発LIDAR信号、及びそれによる同じく変調されたLIDAR出力信号を生成するように変調することができる。ここで、ドップラーシフト(Δfd)による周波数の変化が、LIDARとして機能し、一定の振幅、及び変調された出発LIDAR信号及び/またはLIDAR出力信号と同じ周波数を持つ正弦波LIDAR出力信号から発生しうるドップラーシフトの10%、5%、1%、または0.1%未満である。例えば、ドップラーシフト(Δfd)による周波数の変化が、LIDAR出力信号として機能し、変調された出発LIDAR信号及び/またはLIDAR出力信号と同じ周波数を持つ連続波から発生しうるドップラーシフトの10%、5%、1%、または0.1%未満である変調された出発LIDAR信号及び/またはLIDAR出力信号を生成するように、前記出発LIDAR信号及び/またはLIDAR出力信号を変調してもよい。別の例では、ドップラーシフト(Δfd)による周波数の変化が、LIDAR出力信号として機能する変調前の出発LIDAR信号(変調されていない出発LIDAR信号)から発生しうるドップラーシフトの10%、5%、1%、または0.1%未満である変調された出発LIDAR信号及び/またはLIDAR出力信号を生成するように、前記出発LIDAR信号及び/またはLIDAR出力信号を変調してもよい。これらの結果は、Cに対する式1の変数Fの値を増加させることによって達成できる。例えば、Fは2πfcを表すことができ、Cは2πf1を表すことができる。ここで、f1が、変調された出発LIDAR信号の振幅における周波数チャープのベース周波数を表す。従って、チャープベース周波数(f1)に対するLIDAR出力信号(fc)の周波数の値を増加させることによって、FをCに対して増加させることができる。一例として、fc>>f1になるように、fc及びf1を選択してもよい。いくつかの場合では、fc:f1が、2:1、10:1、1×104:1、5×104または1×105:1より大きく、かつ/または5×105、1×106、5×106または5×108未満となるように、fc及びf1を選択してもよい。従って、変数F及びCはまた、F:Cの比と同じ値を有してもよい。周波数シフトからのドップラーシフト(Δfd)による周波数の変化の減少及び/または除去は、拍動周波数を低下させ、従って、必要なサンプリング速度を低減する。
【0088】
前記距離分岐は、前記アナログ-デジタル変換器(ADC)154からデジタルLIDARデータ信号を受信する変換モジュール156を含む。該変換モジュール156は、前記デジタルLIDARデータ信号に実変換を実行し、時間領域から周波数領域に変換するように構成される。この変換により、反射物体とLIDARシステムの間の距離によって引き起こされる、LIDAR入力信号に対するLIDAR入力信号のシフトの周波数シフトが明確に解決された。適切な実変換は、高速フーリエ変換(FFT)のようなフーリエ変換である。実変換としての変換の分類によって、複雑なフーリエ変換のような複合変換から、変換を区別できる。前記変換モジュールは、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを用いて、帰属される機能を実行することができる。
【0089】
前記変換モジュールによって提供される周波数は、相対移動による周波数シフトからのインプットを有さないか、または実質的なそのインプットを有しないので、測定された周波数シフトを用いて、反射物体とLIDARシステムとの間の距離を近似することができる。例えば、前記電子機器は、式3:R0=c*Δf/(2α)を用いて、反射物体とLIDARシステムとの間の距離(R0)を近似することができる。ここで、Δfが前記変換モジュールから出力されたピーク周波数として近似でき、また、cが光速である。
【0090】
第1データ信号及び第2データ信号を用いて、LIDARシステム及び反射物体の少なくとも視線速度を測定または近似するように、前記速度分岐を構成してもよい。
図1A~
図2の文脈で開示された時間の関数である周波数を有するLIDAR出力信号は、LIDAR出力信号の周波数が時間の関数ではないLIDAR出力信号によって置換されてもよい。例えば、前記LIDAR出力信号は、連続波(CW)であってもよい。例えば、第2期間中に変調された出発LIDAR信号、及びそれによるLIDAR出力信号は、チャープされていない連続波(CW)であってもよい。例として、変調された出発LIDAR信号、及びそれによるLIDAR出力信号は、式2:G*cos(H*t)で表すことができる。ここで、G及びHが定数であり、また、tが時間を表す。いくつかの例では、Gが出発LIDAR信号のパワーの平方根を表し、かつ/またはHが式1からの定数Fを表す。光源の出力が変調された出発LIDAR信号に望まれる波形を有する場合、前記電子機器が、出発LIDAR信号を修正するように変調器14を操作する必要はない。これらの例では、光源の出力は、変調された出発LIDAR信号、及びそれによるLIDAR出力信号として機能することができる。いくつかの例では、前記電子回路は、前記変調器14を操作して、望ましい形態の変調された出発LIDAR信号を生成する。
【0091】
LIDAR出力信号の周波数は第2期間において一定であるので、反射物体とLIDARシステムとの間の距離を変化させることは、LIDAR入力信号の周波数に変化を生じさせない。その結果、分離距離は、LIDAR出力信号の周波数に対するLIDAR入力信号の周波数のシフトに寄与しない。従って、該分離距離の影響は、LIDAR出力信号の周波数に対するLIDAR入力信号の周波数のシフトから、除去され、または実質てきに除去されている。
【0092】
前記速度分岐は、第1速度分岐線160及び第2速度分岐線160を含む。第2期間中に該第1速度分岐線160は、第1データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、第1デジタルデータ信号を出力するアナログ-デジタル変換器(ADC)164に第1データ信号を運ぶ。上述したように、該第1データ信号の変換は、第1データ信号をサンプリング速度でサンプリングすることによって行われる。連続波をLIDAR出力信号として使用することにより、反射物体とLIDARシステムとの間の距離の影響が複合信号の拍動及び結果として生じる電気信号から実質的に除去される。従って、前記拍動周波数は低減され、必要なサンプリング速度は低減される。
【0093】
前記第2速度分岐線162は、第2データ信号をアナログ形式からデジタル形式に変換し、第2デジタルデータ信号を出力するアナログ-デジタル変換器(ADC)166に第2データ信号を運ぶ。上述したように、該第2データ信号の変換は、第2データ信号をサンプリング速度でサンプリングすることを含む。連続波をLIDAR出力信号として使用することにより、反射物体とLIDARシステムとの間の距離の影響が第2複合信号の拍動及び結果として生じる電気信号から実質的に低減され、または除去される。従って、前記拍動周波数は低減され、必要なサンプリング速度は低減される。
【0094】
アナログ-デジタル変換器(ADC)164のサンプリング速度は、アナログ-デジタル変換器(ADC)166のサンプリング速度と同じであっても、または異なっていてもよい。
【0095】
前記速度分岐は、アナログ-デジタル変換器(ADC)164からの第1デジタルデータ信号及びアナログ-デジタル変換器((ADC)166からの第2デジタルデータ信号を受信する変換モジュール168を含む。第1データ信号は同位相の要素であり、第2データ信号は直角位相の要素であるため、第1データ信号及び第2データ信号は共に、第1データ信号が実在の要素であり、第2データ信号が架空の要素である複合速度データ信号として作用する。その結果、第1デジタルデータ信号は、デジタル速度データ信号の実在の要素であってもよく、第2データ信号は、該デジタル速度データ信号の架空の要素であってもよい。該デジタル速度データ信号に複合変換を実行し、時間領域から周波数領域に変換するように、前記変換モジュール168を構成してもよい。この変換により、反射物体とLIDARシステムの間の視線速度によって引き起こされる、LIDAR入力信号に対するLIDAR入力信号のシフトの周波数シフトが明確に解決された。適切な複合変換は、複合高速フーリエ変換(FFT)のようなフーリエ変換である。前記変換モジュールは、ファームウェア、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを用いて、帰属される機能を実行することができる。
【0096】
前記変換モジュール168によって提供される周波数シフトは、反射物体とLIDARシステムとの間の分離距離に起因する周波数シフトからのインプットを有しないので、また、速度データ信号の複雑な性質のために、変換モジュール168のインプットを用いて、反射物体とLIDARシステムとの間の視線速度を近似することができる。例えば、前記電子機器は、式4:v=c*fd/(2*fc)を用いて、反射物体とLIDARシステム(v)との間の視線速度を近似することができる。ここで、fdがピーク周波数出力として変換モジュール168から近似され、cが光速であり、また、fcがLIDAR出力信号の周波数を表す。
【0097】
図7Bの概略図に他の構成要素を追加することができる。例えば、前記LIDARシステムが複数のLIDAR出力信号を生成するか、またはLIDAR出力信号を生成する他のLIDARシステムと共に使用される(即ち、周波数または波長分割多重化、FDM/WMDによって)場合、該LIDARシステムは、1つまたは複数のフィルタを含み、拍動データ信号及び/または速度データ信号の実在及び/または架空の要素から干渉信号を除去することができる。従って、前記LIDARシステムは、図示された構成要素に加えて、1つまたは複数のフィルタを含むことができる。適切なフィルタには、低域通過フィルタが含まれるが、これに限定されない。光学的な設計の場合、干渉要素の周波数が平衡検波器の帯域幅外にある場合には、該平衡検波器によってフィルタリングが効果的に提供され得るので、追加のフィルタリングを必要としないことがある。
【0098】
【0099】
上記LIDARシステムの動作に関する説明では、ユーティリティ導波路12上に変調器が存在すると仮定されている。しかし、該変調器は任意である。これらの例では、前記電子機器は、光源10を操作し、これにより、第1期間中に出発LIDAR信号の周波数を増加させ、また、第2期間中に出発LIDAR信号の周波数を低下させることができる。得られた複合信号からLIDARデータを抽出するための適切な方法は、2018年5月15日に出願された米国特許出願シリアル番号62/671,913の「光学センサーチップ」に開示されている。その全体が本明細書に組み込まれる。
【0100】
図8は、任意にビーム操縦機能を含む適切な分波要素26の一例を示している。該分波要素26は、LIDAR信号導波路24からの出発光信号を受信する分波器184を含む。図示の分波器184は、他の構成が可能であるが、出発光信号が受信される入力側186を備える。該分波器184は、該出発光信号を、チャンネルの1つにそれぞれ関連する異なるチャンネル信号に分離する。図示の分波器184は、他の構成が可能であるが、該分波器184からチャンネル信号が出力される出力側188を備える。該チャンネル信号は、それぞれ、異なるチャンネル導波路190上に受信される。例えば、図示の分波器では、チャンネル信号は、前記出力側188中の光ポートを介して分波器184から出力され、前記出力側188に接続された異なるチャンネル導波路190上にそれぞれ受信される。各チャンネル導波路190は、チャンネル信号がチャンネル導波路190から出力されるファセット192で終端する。チャンネル導波路190から出力されるチャンネル信号は、LIDAR出力信号の1つとして機能する。チャンネル導波路190なしで分波器184の実施形態を構成できるため、該チャンネル導波路190は任意である。
【0101】
上述したように、前記LIDAR出力信号は、LIDARシステムから離れて配置された物体によって反射される。反射されたLIDAR出力信号は、チャンネル導波路190に入るLIDAR入力信号として機能するか、またはチャンネル導波路190が存在しない場合には、出力側188を介して分波器184に入る。それぞれの場合には、分波器184はLIDAR入力信号を受信し、該LIDAR入力信号を入射LIDAR信号と組合せる。該入射LIDAR信号は、LIDAR信号導波路24上で受信される。従って、該入射LIDAR信号は、前記LIDAR入力信号及びLIDAR出力信号からの光を含むか、それらからなるか、または実質的にそれらからなることができる。
【0102】
LIDARシステムと共に使用するための適切な分波器には、アレイ導波路格子(AWG)、エシェル格子、及び反射格子が含まれるが、これらに限定されない。シリコン・オン・インシュレータウエハのような光学プラットフォームに統合するための適切な分波器には、アレイ導波路格子(AWG)、エシェル格子、及び反射格子が含まれるが、これらに限定されない。前記分波器184は、出発光信号を、チャンネルの1つにそれぞれ関連する異なるチャンネル信号に分離する。シリコン・オン・インシュレータウエハのような光学プラットフォームに統合するための適切な分波器には、アレイ導波路格子(AWG)及び反射格子が含まれるが、これらに限定されない。シリコン・オン・インシュレータウエハのような光学プラットフォームに統合するための適切な分波器には、アレイ導波路格子(AWG)及び反射格子が含まれるが、これらに限定されない。シリコン・オン・インシュレータウエハのような光学プラットフォームに統合するための適切な分波器の例は、その全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,002,350号、1990年2月26日に出願された特許出願シリアル番号485,014、「光学的合波器/分波器」、及び量子エレクトロニクスにおける選択されたトピックのIEEEジャーナル、第6集、2000年3/4月号、D.Chowdhuryによる「低損失及び偏光非感受性反射格子ベースの平面分波器の設計」に見出せる。
【0103】
前記LIDARシステムはまた、前記LIDAR出力信号を受信し、異なる該LIDAR出力信号が視野内の異なるサンプル領域に分配されるように該LIDAR出力信号の少なくとも一部の方向を変更するビーム分配器200を含む。例えば、適切なビーム分配器は、前記LIDAR出力信号を受信し、該LIDAR出力信号の少なくとも一部を再度方向付けることができる。これにより、該LIDAR出力信号は、ビーム分配器から異なる方向に遠ざかるように移動することで、異なるLIDAR出力信号を視野内の異なるサンプル領域に方向付けることができる。
図8に示されるビーム分配器はレンズである。
図8は、ビーム分配器200の異なる位置に入射するレンズ光軸に平行な光線の経路を示している。適切なビーム分配器の例には、焦点調節ミラー及びレンズのような受動的な要素が含まれるが、これらに限定されない。前記ビーム分配器200は、異なるビーム分配器の組み合わせを含むか、またはそれからなることができる。例えば、適切なビーム分配器200は、1つ以上のレンズ及び1つ以上のミラーが含むことができる。
【0104】
いくつかの例では、視野内の異なるサンプル領域にLIDAR出力信号を走査することが望ましい場合がある。
図9A及び
図9Bは、LIDAR出力信号を走査できるように改変された
図8の分波器184を示している。該分波器184は、1つまたは複数のアクティブグループに配置されたチャンネル導波路190を含む。各アクティブグループは、チャンネル導波路190のうちの1つまたは複数を含む。
図9A及び
図9Bでは、第1アクティブグループ内のチャンネル導波路190は、Aと表示されていて、一方、第2アクティブグループ内のチャンネル導波路190は、Bと表示されている。異なるアクティブグループは、前記チャンネル導波路の異なる選択を含む。しかし、該チャンネル導波路190のうちの1つまたは複数は、1つより多くのアクティブグループに属することができる。
【0105】
前記分波器184が1つの構成に調整されるとき、前記アクティブグループのうちの1つにおけるチャンネル導波路は、チャンネル信号のうちの1つを受信することができ、一方、1つまたは複数の他のアクティブグループにおけるチャンネル導波路は、チャンネル信号を受信しない。例えば、
図9Aは、第1配置に調整された分波器184を示している。そこには、第1アクティブグループにおけるチャンネル導波路が、それぞれ、チャンネル信号の1つを受信し、一方、第2アクティブグループにおけるチャンネル導波路のいずれもチャンネル信号の1つを受信しない。前記分波器184が別の構成に調整されるとき、前記アクティブグループの別の1つにおけるチャンネル導波路は、チャンネル信号のうちの1つを受信することができ、一方、1つまたは複数の他のアクティブグループにおけるチャンネル導波路は、チャンネル信号を受信しない。例えば、
図9Bは、第2配置に調整された分波器184を示している。そこには、第1アクティブグループにおけるチャンネル導波路が、それぞれ、チャンネル信号の1つを受信し、一方、第2アクティブグループにおけるチャンネル導波路のいずれもチャンネル信号の1つを受信しない。
【0106】
図9A及び
図9Bから明らかなように、チャンネル信号の全部または一部に関して、チャンネル信号(LIDAR出力信号)を受信するビーム分配器200の領域が、チャンネル信号を受信するチャンネル導波路が変化するときに変化するように、前記チャンネル導波路を配置してもよい。これを図示するために、第1配置のLIDAR出力信号が、
図9A及び
図9BにはCSA~CSCと表示されていて、また、第2配置のLIDAR出力信号が、
図9BにはCSA'~CSC’と表示されている。CSA及びCSA’で表示されたLIDAR出力信号は、同じチャンネルを運ぶ。CSB及びCSB’で表示されたLIDAR出力信号は、同じチャンネルを運ぶ。CSC及びCSC’で表示されたLIDAR出力信号は、同じチャンネルを運ぶ。その結果、
図9Bは、LIDARシステムが第1配置にあるときの各LIDAR出力信号の移動方向と、LIDARシステムが第2配置にあるときの各LIDAR出力信号の移動方向とを比較している。
【0107】
図9A及び
図9Bにおいて、レンズ光軸に平行な光線は、異なる配置にあるとき、ビーム分配器200の異なる位置に入射する。
図9Cは、光軸に平行な光線のみではなく、LIDAR出力信号CSB及びCSB’の全経路を示している。LIDAR出力信号CSB’の経路を説明するために実線を用いていて、また、LIDAR出力信号CSBの経路を示すために破線を用いている。図示された各々の経路はまた、中心の光線も含む。LIDAR出力信号CSB及びCSB'の経路を比較することから明らかなように、LIDAR出力信号の経路及び中心の光線がビーム分配器200に入射する角度が異なる構成において変化するように、チャンネル導波路190は構成される。その結果、LIDAR出力信号がLIDARシステムから離れる方向は、分波器184の調整に応答して変化する。例えば、
図9Cに示されたLIDAR出力信号は、ビーム分配器200の焦点面の異なる領域から発信され、分波器184の調整に応答して、LIDARシステムから異なる方向に移動する。従って、LIDAR出力信号の全部または一部が指向されるサンプル領域は、分波器184の調整に応答して変化する。従って、分波器184は、1つのサンプル領域から別のサンプル領域へLIDAR出力信号を走査するように調整できる。
図9Cに示されたように、ビーム分配器がビーム分配器の異なる領域上の異なるLIDAR出力信号の全部または一部を受信するように、チャンネル導波路190を配置することができる。しかし、ビーム分配器がビーム分配器の同じまたは実質的に同じ領域上の異なるLIDAR出力信号の全部または一部を受信するように、チャンネル導波路190を配置することができる。
【0108】
各LIDAR出力信号が分波器から離れて移動するように経路を調整するために、様々な分波器の調整機構が利用可能である。いくつかの例では、前記調整機構は、出発光信号が分波器184の出力側に入射するように調整する。適切な機構には、分波器184の全部または一部の加熱及び/または冷却、及びアレイ導波路格子(AWG)のような分波器におけるアレイ導波路の位相調整が含まれるが、これらに限定されない。例えば、PINダイオードのような位相シフト装置をAWGにおけるアレイ導波路の全部または一部に使用することができる。チャンネル信号が分波器184の入力側に入射するように調整するための入力導波路24の機械的な動きは、チャンネル信号が分波器184の出力側に入射するように調整するためにも使用され得る。
【0109】
各LIDAR出力信号が分波器から離れて移動するように経路を調整するための別の機構は、チャンネル信号が分波器を通過するように経路を調整することである。例えば、チャンネル信号が分波器を通過する経路を調整するように、チャンネル信号が分波器184の入力側186に入射する位置を調整してもよい。
図10Aは、
図9A及び
図9Bの分波要素を示しており、そこで、出発光信号が分波器184の入力側186で受信される調整機構を含むように変更されている。LIDAR信号導波路24は、出発光信号を光学スイッチ220に誘導する。前記電子機器は、前記出発光信号がいくつかの入力導波路222のうちの1つに方向付けられるように、該光学スイッチ220を操作する。各入力導波路222は、分波器184の入力側186上の異なる領域に出発光信号を運ぶように構成されている。従って、前記電子機器は、出発光信号が分波器184の入力側186で受信される場合に調整できる。
図9A及び
図9Bの分波要素と同様に、分波器184は、出発光信号を、チャンネルの1つにそれぞれ関連する異なるチャンネル信号に分離する。分波器184から出るチャンネル信号は、それぞれ異なるチャンネル導波路190上に受信される。各チャンネル導波路は、該チャンネル導波路から出るチャンネル信号が通過するファセット192で終端する。チャンネル導波路から出るチャンネル信号は、それぞれ、LIDAR出力信号の1つとして機能する。チャンネル導波路190なしで分波器184の実施形態を構成できるため、該チャンネル導波路190は任意である。
【0110】
光学スイッチ220は、両方向に動作するように構成されてもよい。例えば、LIDAR出力信号がLIDARシステムから離れて配置された物体によって反射されるとき、反射されたLIDAR出力信号は、出力側188を介して分波器184に入射するLIDAR入力信号として機能する。分波器184は、該LIDAR入力信号を受信し、該LIDAR入力信号を入力導波路の1つで受信される入射LIDAR信号と組合せる。該入力導波路222は、入射LIDAR信号を光学スイッチ220に運ぶ。該光学スイッチは、入射LIDAR信号をLIDAR信号導波路24に方向付ける。
【0111】
図9A及び
図9Bに開示されているように、チャンネル導波路190は、複数の異なるアクティブグループに配置されている。ここで、各のアクティブグループが前記チャンネル導波路190のうちの1つまたは複数を含んでいる。
図10A及び
図10Bにおいて、第1アクティブグループのチャンネル導波路はAと表示されていて、第2アクティブグループのチャンネル導波路はBと表示されていて、また、第2アクティブグループのチャンネル導波路はCと表示されている。
【0112】
図10A及び
図10Bから明らかなように、入力導波路222は、光学スイッチ220がLIDAR入力信号を入力導波路の1つに方向付けるとき、アクティブグループの1つにおけるチャンネル導波路は、それぞれ、チャンネル信号の1つを受信でき、一方、1つまたは複数の他のアクティブグループにおけるチャンネル導波路は、チャンネル信号を受信しないように配置される。例えば、
図10Aに示されたように、光学スイッチ220は、LIDAR入力信号を入力導波路光学スイッチ220のうちの1つ目に方向付ける。第2アクティブグループにおける各々のチャンネル導波路は、チャンネル信号の1つを受信する。一方、第1アクティブグループ及び第3アクティブグループにおけるチャンネル導波路は、いずれもチャンネル信号の1つを受信しない。光学スイッチ220がLIDAR入力信号を入力導波路の別の1つに方向付けると、アクティブグループの別の1つのチャンネル導波路は、それぞれ、チャンネル信号の1つを受信できる。一方、1つまたは複数の他のアクティブグループにおけるチャンネル導波路は、チャンネル信号を受信しない。例えば、
図10Bに示されたように、光学スイッチ220は、LIDAR入力信号を入力導波路のうちの2つ目に方向付ける。ここで、第3アクティブグループにおけるチャンネル導波路は、チャンネル信号の1つを受信する。一方、第1アクティブグループ及び第2アクティブグループにおけるチャンネル導波路は、いずれもチャンネル信号の1つを受信しない。
【0113】
図9A及び
図9Bで説明されているように、チャンネル信号を受信するアクティブグループを変更することは、チャンネル信号(LIDAR出力信号)がLIDARシステムから離れる方向を変化させる。従って、LIDAR出力信号の全部または一部が方向付けられる視野上のサンプル領域は、出発LIDAR信号を受信する入力導波路を変化させる光学スイッチに応答して変化する。従って、前記電子機器は、1つのサンプル領域から別のサンプル領域へLIDAR出力信号を走査するように光学スイッチを操作することができる。
【0114】
上記のように、チャンネル信号が分波器の出力側に入射するように調整するための機構は種々開示されている。チャンネル信号が分波器の出力側に入射するように調整するために、分波要素は、1つ以上の機構を利用することができる。例えば、分波要素は、
図10A及び
図10Bで開示されるように構築されてもよく、
図9A及び
図9Bで開示された調整機構を含むこともできる。
【0115】
図8~
図10BのLIDARシステムでは、ビーム分配器200を任意に分波器に固定してもよい。例えば、ビーム分配器200及び分波器を同じLIDARチップ上に統合してもよい。あるいは、ビーム分配器200及び分波器を共通のプラットフォーム上に固定してもよい。これらの例では、LIDAR出力信号を操縦するための上記機構は、固体状態での操縦方法を提供する。
【0116】
いくつかの例では、ビーム分配器200は、分波器に対して移動可能である。例えば、前記電子回路は、チャンネル信号がビーム分配器200に入射する位置を変化させるように、ビーム分配器200及び/または分波器を互いに相対的に作動させる駆動器を操作することができる。該位置変化は、LIDAR出力信号の方向を変化させ、開示された他のLIDAR出力信号の操縦機構の代替法、また別の方法として、LIDAR出力信号を操縦するために使用できる。
【0117】
図8~
図10Bの分波器として使用するのに適した分波器の一例は、アレイ導波路格子分波器である。
図11は、シリコン・オン・インシュレータウエハとの統合使用に適したアレイ導波路格子(AWG)分波器の構築物の上面図である。該分波器は、第1光分配器232と第2光分配器234との間に光路を提供するアレイ導波路格子230を備える。前記LIDAR信号導波路24は、分波器の入力側186として機能する第1光分配器の側と干渉されている。あるいは、入力導波路222(
図11には示されていない)は、分波器の入力側として機能する第1光分配器の側と干渉されている。前記チャンネル導波路190は、分波器の出力側188として機能する第2光分配器の側と干渉されている。前記第1光分配器及び第2光分配器のための適切な構成要素には、スター結合器が含まれるが、これに限定されない。チャンネル信号が
図11に従って構成された分波器の出力側188に入射するように調整するための適切な方法には、熱光学的な調整のような温度調整が含まれるが、これに限定されない。チャンネル信号が分波器の出力側188に入射するように調整するための別の適切な方法には、ヒータまたはPINダイオードの手段を用いてアレイ導波路格子230における導波路の全部または一部を位相調整することが含まれる。
図11に従って構成された調節可能な分波器の一例は、「シリコンフォトニクスプラットフォーム向けの高性能及び非熱AWGのモデリングとバリデーション」、Proceedings SPIE、第9891集(2016)に見出せる。
【0118】
図10Aの光学スイッチ220として使用するのに適した光学スイッチは、熱光学効果、電気光学効果、及び磁気光学効果に基づく原理によって動作するものを含むが、これらに限定されない。
図12A及び
図12Bは、シリコン・オン・インシュレータウエハとの統合に適したカスケード光学スイッチの構築物を示している。
図12Aは、1×3光学スイッチ220を提供するようにカスケード接続された複数の1×2光学スイッチ240を含む光学スイッチ220の概略図である。前記1×2光学スイッチ240は、異なるスイッチ出力導波路244の間でスイッチ入力導波路242上に受信された光信号を切り替えるようにそれぞれ構成されている。
図12Aに明らかなように、LIDAR信号導波路24は、スイッチ入力導波路242のうちの1つとして機能することができ、かつ/または出力導波路244は、別の1×2光学スイッチのためのスイッチ入力導波路242として機能することができる。さらに、いくつかの例では、スイッチ出力導波路244は、入力導波路222として機能することができる。
【0119】
1×2光学スイッチとしての使用には、種々の光学スイッチが適している。シリコン・オン・インシュレータプラットフォームへの統合に適切な1×2光学スイッチの例には、マッハツェンダー干渉計、調節可能な結合器、及び減衰器を備えた分割器が含まれるが、これらに限定されない。
図12Bは、適切なマッハツェンダー干渉計の概略図である。該スイッチは、スイッチ入力導波路242とスイッチ出力導波路244とを接続する第1スイッチ導波路260を備えている。第2スイッチ導波路262は、別のスイッチ出力導波路244に接続されている。前記第1スイッチ導波路260及び第2スイッチ導波路262は、第1光結合部264及び第2光結合部266に含まれている。移相器268は、第1光結合部264と第2光結合部266との間の第2スイッチ導波路262または第1スイッチ導波路260に沿って配置されている。適切な移相器には、PINダイオード、キャリア空乏モードで動作するPN接合、及びサーマルヒータが含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
上記のLIDARシステムは、単一のチップ上に統合できる。上記のLIDARシステムを備えるチップには、様々なプラットフォームを採用できる。適切なプラットフォームには、シリコン・オン・インシュレータウエハが含まれるが、これに限定されない。フリップチップボンディング技術のような技術を用いて、上記の構成要素のうちの1つ以上または一部をチップと統合でき、またはチップ上に配置できる。例えば、光源10は、利得要素及び導波路のような1つ以上の他の構成要素を含むことができる。該導波路をチップと統合することができる。また、利得要素は、チップから分離されているが、フリップチップボンディングによってチップに取り付けられている要素であってもよい。あるいは、上記のLIDARシステムは、個別の構成要素で構成されてもよい。例えば、導波路の全部または一部は、個別の構成要素を接続する光ファイバであってもよい。あるいは、LIDARシステムの一部または複数の部分は、チップ上に統合されながら、他の部分は個別の構成要素である。例えば、ユーティリティ導波路12は、光源10とLIDARシステムの残りの部分を含む光チップとの間で光通信を提供する光ファイバであってもよく、または該光ファイバを含んでいてもよい。
【0121】
これらの教示を考慮して、当業者が、本発明の他の実施形態、組合せ及び改変を容易に想到するであろう。従って、本発明は、上記の明細書と関連して見た場合に、そのような全ての実施形態及び改変を包含する、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。