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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】液体排出システムを有する整髪器具
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/00 20060101AFI20240517BHJP
   A45D 1/04 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A45D1/00 508Z
A45D1/04 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021546464
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2019078175
(87)【国際公開番号】W WO2020083735
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】1859754
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レジス フェレイレ
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-315414(JP,A)
【文献】米国特許第04341229(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02449910(EP,A1)
【文献】特開2015-009088(JP,A)
【文献】特開平09-191920(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02449909(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02449912(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00- 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体輸送システム(32、6.33)および/または液体貯蔵システム(3)を含むハウジング(111)と、少なくとも1つの電気的または電子的構成要素を含む整髪器具(1)であって、前記ハウジング(111)は、前記液体輸送システム(32、6.33)および/または前記液体貯蔵システム(3)からの液体漏れの場合に、前記ハウジング(111)から液体を排出するように設計された、液体排出システム(114)を含み、前記液体排出システムは、前記液体が、前記少なくとも1つの電気的または電子的構成要素と接触し得ないように配置され、前記液体輸送システムは、移動させられる液体を包含することを意図された変形可能なホースが存在する、チャンバ(68)を画定するポンプ本体(60)を含む、蠕動ポンプ(6)と、ポンプの変形可能なホース(63)の破裂の場合に、制御された軌道に従って、前記チャンバ(68)から、前記ポンプの外部に液体を排出するように設計された液体流出システム(67)とを含み、前記液体流出システム(67)は、液体排出システム(114)と連通することを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項2】
請求項1の整髪器具(1)であって、前記液体排出システム(114)は、前記ハウジング(111)を通る少なくとも1つの開口部(1141)、および、優先的には、2つの開口部を含むことを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項3】
請求項2の整髪器具(1)であって、前記少なくとも1つの開口部(1141)は、0.5mmから4mmの間、優先的には、1mmから1.5mmの間からなる直径を有する孔であることを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの整髪器具(1)であって、整髪アイロンを形成するように、ヒンジ(13)によって互いの間を連結された、第1の分岐部(11)および第2の分岐部(12)を含むことを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項5】
請求項4の整髪器具(1)であって、前記ハウジング(111)は、前記第1の分岐部(11)によって形成されることを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項6】
請求項5の整髪器具(1)であって、前記第1の分岐部(11)が、リザーバ(3)、および、接触によって毛髪を処理するための第1の処理表面(112)を含み、前記液体排出システム(114)は、前記リザーバ(3)と前記第1の処理表面(112)との間に配置されることを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項7】
請求項6の整髪器具(1)であって、前記液体排出システム(114)は、前記第1の処理表面(112)の縁部から10mmから50mmの間、優先的には、20mmから30mmの間からなる距離に配置されることを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項8】
請求項1-7いずれかの整髪器具(1)であって、前記液体流出システム(67)は、前記ポンプ本体(60)を通ることを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項9】
請求項1-7いずれかの整髪器具(1)であって、前記蠕動ポンプ(6)は、前記ポンプ本体(60)と協働する蓋(64)を含み、前記液体流出システム(67)は、前記蓋(64)を通ることを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項10】
請求項2からのいずれかの整髪器具(1)であって、前記液体流出システム(67)は、少なくとも1つの孔(671)を含み、前記少なくとも1つの開口部(1141)、および、前記少なくとも1つの孔(671)は、互いに向かい合って配置されることを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項11】
請求項から10のいずれかの整髪器具(1)であって、前記液体流出システム(67)は、前記液体流出システムと前記液体排出システムとの間に配置された密閉要素(664)を含むことを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項12】
請求項11の整髪器具(1)であって、前記密閉要素(664)は、Oリングを含むことを特徴とする整髪器具(1)。
【請求項13】
請求項から12のいずれかの整髪器具(1)であって、前記蠕動ポンプ(6)は、前記変形可能なホース(63)の破裂の場合に、前記チャンバ(68)内に液体を包含するように設計された、密閉システム(661、662、663)を含むことを特徴とする整髪器具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電気器具の分野、より具体的には、整髪器具、特に、整髪を最適化するために、蒸気を使用する整髪器具のような、液体、特に、水を、輸送するためのシステムを備えた整髪器具に関する。
【0002】
そのような整髪器具は、液体輸送システムおよび/または液体貯蔵システムと、少なくとも1つの電気的または電子的構成要素とを含むハウジングを備える。
【背景技術】
【0003】
現状技術の特許文献1は、整髪器具、特に、縮毛矯正器の有効性を改善するための蒸気の使用の例を提供する。例えば、この文献に記載されているように、整髪器具は、液体リザーバ、気化システム、および、蒸気を髪に向かって放出するためのシステムを含む、1つの分岐部を備えた縮毛矯正器の形態である。この例によれば、液体は、液体を運ぶ芯によって、毛細管現象によって気化システムに運ばれる。
【0004】
また、リザーバから液体を輸送するための整髪器具における蠕動ポンプの使用が、特に、特許文献2から知られる。特に、この文献は、液体を気化させる手段に液体を供給するために、液体の流れを調整する、蠕動ポンプの使用を教示する。したがって、この文献に記載された器具によれば、蠕動ポンプは、蒸気を生成するために、液体、特に、水を輸送することを可能にする。
【0005】
特許文献3に記載されるものなどの他の器具は、髪での使用のための蒸気を生成することができるように、整髪器具のハウジング内のリザーバの使用を開示する。
【0006】
これらのさまざまな構造は、一般に、特に、得られるパフォーマンスと整髪結果に関して、議論される器具の使用者に満足を与える。
【0007】
ただし、これらの構造は、両方とも、何らかの液漏れが存在する場合に、危険をもたらす。実際、分岐部の少なくとも1つは、気化システム、および、管、ダクト、芯、または、ポンプなどの、1つまたは複数の液体輸送器具を含む。さらに、参照された最初の文献の場合のように、器具の分岐部の1つは、また、液体リザーバを含む。言い換えれば、整髪器具は、そのハウジング内に、少なくとも1つの液体輸送システム、または、いくつかの液体含有要素を含む。したがって、液漏れの重大な危険が存在する。例えば、リザーバと、それを気化システムに接続するホースとの間の接続は、欠陥があり得(接続の緩み、コネクターの摩耗など)、漏れ得る。ホースは、また、例えば、器具内の石灰化によって引き起こされる過圧のために、切り離され得、また、ホース自体が、欠陥(孔開き、裂けなど)を有し得る。リザーバ自体が、また、欠陥(例えば、衝撃後の孔開き、ひびなど)を有し得、液体が漏れるのを可能にする。器具がポンプを有する場合、それは、また、故障し得、液体が漏れるのを可能性にする。したがって、器具の分岐部の1つの中に、液体漏れをもたらすであろう、いくつかの原因が存在する。
【0008】
ただし、このタイプの器具の内部における液体、特に水の存在は、望ましくない。実際、これらの器具は、少なくとも、それらが、整髪表面を電気的に加熱するための加熱要素、または、様々な電気的および電子的構成要素を含む限りにおいて、通常は電気器具である。その結果、これらの器具の内部における液体の存在は、それらの電気的および/または電子的構成要素を破壊し、したがって、整髪器具の誤動作または完全な故障をもたらす。さらに、特に、これらは使用者の頭のすぐ近くで操作される手持ちの器具であるため、使用者にとって感電死の危険が、完全に排除され得ない。
【0009】
したがって、器具自体の構成要素にとってであれ、使用者にとってであれ、このタイプの器具をより安全にするための必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2004/002262号
【文献】欧州特許第2449910号明細書
【文献】米国特許第4341229号明細書
【文献】欧州特許第2449909号明細書
【文献】欧州特許第2449912号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前述の欠点を克服することを目的とする。
【0012】
本発明の目的の1つは、器具自体の電気的および/または電子的構成要素にとってであれ、器具を取り扱う使用者にとってであれ、特に安全な整髪器具を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、特に信頼性が高く堅牢な整髪器具を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、製造が特に単純で安価な整髪器具を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、特に効果的な整髪器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
目的は、液体輸送システムおよび/または液体貯蔵システムと、少なくとも1つの電気または電子構成要素とを含む、ハウジングを含む整髪器具を使用して達成され、ハウジングは、液体輸送システムおよび/または液体貯蔵システムからの液体漏れの場合に、ハウジングから液体を排出するように設計された液体排出システムを含み、排出システムは、液体が、少なくとも1つの電気または電子構成要素と接触し得ないように配置されることを特徴とする。したがって、本発明によれば、整髪器具は、液体輸送システム、すなわち、例えばポンプによる機械的作用、または、例えば芯による毛細管作用、または、重力作用、例えばホースを通る単純な流れ、または、当業者に知られている任意の他の手段、または、これらの手段の任意の組み合わせのいずれかによって、液体を輸送し得る任意のシステムを含む。あるいは、または、さらに、本発明の主題である器具は、液体、好ましくは水を収容するためのリザーバなどの、液体貯蔵システムを含む。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、リザーバは、また、任意選択で、水で希釈された、化粧品を貯蔵し得ることが想定され得るであろう。
【0017】
本発明は、器具を設計するときに、その設計者が、不注意にまたは偶発的にハウジング内部に入る可能性のあるいかなる液体をも排出するためのシステムを提供し、液体の排出が、例えば、液体の排出軌道および/または液体が排出される的確な場所を、正確に制御することによって、制御され、よく考えられた方法で生ずる限り、器具の操作を、実質的に、安全にすることを可能にする。言い換えれば、したがって、本発明により、液体が電気または電子構成要素と接触する前に、偶発的にハウジング内に入る可能性のある、いかなる液体をも排出することが可能である。したがって、液体とこの構成要素とのいかなる偶発的な接触も、実質的に回避され、器具と使用者の安全性が、大幅に改善される。実際、完全に排除されないとしても、電気または電子構成要素が損傷する可能性は低く、使用者による感電の危険は大幅に軽減される。
【0018】
整髪器具のハウジング内に異常に存在する可能性のある、すべての液体の排出のそのような制御は、液体が、それに利用可能な唯一の開口部を通って、通常はいくつかの部分間の隙間を通って、特に、ハウジングと器具の矯正プレートの1つとの間を通って逃げる、従来技術の器具と比較して、非常に重要な相違を構成する。しかしながら、これは、領域が、電力構成要素、矯正プレートの加熱要素を含み、その結果、液体が、その後、電気成分と接触するので、特に敏感な領域である。
【0019】
簡単な試験によって、本発明の結果を検証することは、当業者にとって、容易であろう。例えば、彼/彼女は、ハウジング内の液体の漏れをシミュレートするために、液体輸送システムに孔を開けるか、または、抜き取る(すなわち、切り離す)ことができるであろう。当業者は、彼/彼女が、通常の使用中そうするように、整髪器具を異なる位置で取り扱うだけでよいであろう。次に、当業者は、液体が実際に排出システムを通って流れるかどうかをチェックすることができるであろう。当業者は、また、例えば、器具のハウジングを分解することによって、液体が器具の電気または電子構成要素に接触したかどうか、すなわち、器具が取り扱われたときに、液体が構成要素と接触したかどうかをチェックすることができるであろう。議論されている構成要素が、液体と接触した場合に、重大な損傷(燃焼、腐食、爆発など)を示すであろう限りにおいて、そのような検証は簡単である。
【0020】
有利には、液体排出システムは、ハウジングを貫通する、少なくとも1つの開口部、有利には、2つの開口部を含む。これは、特に信頼性が高く安価な方法で、液体排出流量を、制御し、有利には、増加させることを可能にする。開口部は任意の形状であり得る。しかしながら、少なくとも1つの開口部は、好ましくは、0.5mmから4mmの間、有利には、1mmから1.5mmの間からなる直径を有する、孔である。複数の開口部が与えられる場合、排気セクションは、有利には、1mm2から4mm2の間、有利には、2mm2から2.5mm2の間で構成される。
【0021】
有利なことに、液体排出システムは、周囲、この場合は、大気、に対して恒久的に開放される。言い換えれば、液体排出システムには、プラグまたは他の妨害要素または密閉要素を有しない。
【0022】
有利な実施形態によれば、器具は、整髪アイロンを形成するように、ヒンジによって互いに連結された、第1の分岐部および第2の分岐部を備える。したがって、器具は、優れた使い易さ、最適な整髪結果を可能にする、縮毛矯正アイロンを形成する。
【0023】
前の実施形態の第1の変形例では、ハウジングは、第1の分岐部によって形成される。言い換えれば、液体輸送および/または液体貯蔵システムだけでなく、少なくとも1つの電気的または電子的構成要素は、第1の分岐部に組み込まれ、それは、比較的コンパクトな整髪器具を得ることを可能にする。一般に、第1の分岐部は、使用者の手で掴まれ、使用者によって彼/彼女の頭の近くで簡単に操作されるように設計される。
【0024】
この第1の変形例によれば、有利には、第1の分岐部は、リザーバおよび接触によって毛髪を処理するための第1の表面を含み、液体排出システムは、リザーバと第1の処理表面との間に配置される。そのような配置は、特にコンパクトな整髪器具を有することを可能にする。加えて、リザーバと第1の処理表面との間の排出システムの配置は、第1の処理表面が、偶発的に分岐部の内側に存在する可能性のある液体と接触するのを防止することを可能にし、それは、液体が髪に接触するのを防止する。これはまた、第1の処理表面が電気的加熱要素(例えば、PTC)によって加熱される表面である場合に、特に有用かつ安全である。有利には、液体排出システムは、第1の処理表面の端部から10mmから50mmの間、有利には、20mmから30mmの間からなる距離に配置される。これは、第1の処理表面から、特に、その電気的加熱要素から、安全な距離を維持することを、特に可能にする。
【0025】
同じ実施形態の第2の変形例では、ハウジングは、第1の分岐部から離れて配置され、コードによって第1の分岐部に接続される。この構成は、例えば、それが強力であるので、より大きな液体輸送システム(例えば、ポンプ)を、および/または、大容量の液体貯蔵システムを組み込むために、より大きなハウジングを提供することを可能にする。そして、この場合、ハウジングは、動かないようにするため、一般に、例えば、テーブルなどの作業面に配置されることを意図されるが、第1の分岐部は可動であり、使用者によって取り扱われる。この変形例によれば、第1の分岐部は、接触によって毛髪を処理するための第1の表面を含み、ハウジングは、リザーバを含み、液体排出システムは、リザーバと処理表面との間に配置される。上述されるように、排出システムは、そのうえ、ハウジングを貫通する少なくとも1つの開口部を含み得る。しかし、代替的または追加的に、分岐部が、上記の開口部または別の排出システムの別の開口部を含むことが、また、全く可能である。実際、この変形例によれば、液体は、ハウジング(すなわち、ベース)および分岐部内で、貯蔵または輸送される。したがって、器具の安全性を最適化するために、本発明による排出システムをハウジング内に配置し、本発明による別の排出システムを分岐部内に配置することが賢明かもしれない。したがって、この変形例によれば、ベースにおける液体漏れの場合、液体がベースの電気的または電子的構成要素と接触できないような、制御された方法で液体が排出され、分岐部における液体漏れの場合、液体が分岐部の電気的または電子的構成要素と接触することができないような、制御された方法で液体が排出されるであろう。
【0026】
上記で使用される「処理表面」という用語は、その形状、寸法に関係なく、少なくとも1つの場所で毛髪と接触する時からの、任意のタイプの表面を指す。処理表面は、例えば単一の部分によって形成されて、連続的であり得るか、または逆に、例えば複数の部分によって形成されて、不連続的であり得る。
非限定的な例として、処理面は、
-例えば、矯正プレートによって形成され、滑らかで平ら、
-例えば、マンドレル、ローラ、または、平坦なアイロンで形成されて、滑らかで湾曲状、
-例えば、くぼみと隆起の連続を含む、波状、
-例えば、剛毛や歯部を含む、粗状、
-など、であり得る。
【0027】
本発明の有利な実施形態によれば、液体輸送システムは、移動させられる液体を収容することを意図された変形可能なホースがその中に存在する、チャンバを画定するポンプ本体を含む、蠕動ポンプ、ならびに、ポンプの変形可能なホースの破裂の場合、制御された軌道に従って、チャンバからポンプの外側に液体を流出させるように設計された液体流出システムを含み、その中で、液体流出システムは、排出システムと連通する。有利なことに、液体流出システムは、非常に経済的かつ安全な方法で液体の流れ軌道を制御することを可能にする、少なくとも1つの孔を含む。「制御された軌道」は、液体がそこを通って流出、すなわち、流れ出る場所が、設計者によって事前に画定されることを意味する。言い換えれば、液体が、どこでどのように流出するであろうかは、正確に知られる。有利には、孔の直径は、0.5mmから4mmの間、有利には、1mmから1.5mmの間で構成される。有利には、液体流出システムは、2つの孔を含み、有利には、互いに近接して、例えば、1mmから5mmの間で構成される距離によって分離されて配置され、それは、流量、したがって流出速度を増加させることを可能にする。複数の孔が存在は、孔の1つが閉塞される場合でも、ポンプが空になるであろうことを保証することを可能にする。したがって、全排出セクションは、2mm2から2.5mm2の間に含まれる。
【0028】
「変形可能なホースの破裂」とは、当該ホースの水密性の喪失、すなわち変形可能なホースに収容される液体の漏れにつながる可能性のある、どんな劣化をも意味する。例えば、これは、バーストホース、スプリットホース、ピアスドホース、ホースの過度の多孔性、または、例えば、器具内の石灰分による過圧の後のホースの偶発的な切り離し、または、取り外しの結果であり得る。「チャンバ」とは、少なくとも1つの要素、この場合はポンプでの変形可能なホースを収容することを意図された、任意の3次元空間を指す。
【0029】
したがって、本発明のこの実施形態により、ポンプ内の液体の予期しない、または、偶発的な存在の場合、液体は、設計者によって事前に制御された軌道に従って、および、事前に画定された特定の場所に、迅速に排出され、したがって、液体と電気的または電子的構成要素との偶発的な接触を回避する。より具体的には、液体は、最初に、ポンプから、液体流出システムによって選択された特定の場所に排出され、次に、ポンプ流出システムと流体連通する、排出システムによって、機器から排出される。したがって、流出システムと排出システムは、任意の水密手段によって相互に連通する。例えば、ポンプ流出システムは、パイプまたは流出システムによって、機器の排出システムに接続され得、排出システムは、例えば、上下に互いに接続され得る。
【0030】
有利には、液体流出システムはポンプ本体を貫通する。
【0031】
有利なことに、蠕動ポンプは、ポンプ本体と協働する蓋を含み、液体流出システムは、蓋を通され得る。そして、この構造は、蓋の存在により、その組み立て、および/または、任意のメンテナンスが容易になされる、蠕動ポンプを提供することを可能にし、一方で、チャンバ内に存在する可能性のある液体の制御された排出を確実にする。
【0032】
言い換えれば、流出システムは、ポンプ本体、ポンプ蓋、または、ポンプ本体と蓋を通る任意の器具、すなわち、事前に設計によって画定された場所で、チャンバとポンプの外側を接続することのできる任意の器具からなり得る。
【0033】
有利には、液体流出システムは、少なくとも1つの孔を含み、少なくとも1つの開口部および少なくとも1つの孔は、互いに向かい合って、すなわち、互いに対向して配置される。
【0034】
この配置は、流出システムと排出システムの間の距離が最小限に抑えられるという点で、特にコンパクトで安価な器具を有することを可能にする。
【0035】
有利なことには、液体流出システムは、流出システムと排出システムとの間に配置されたシール要素を含み、それは、ポンプと器具のハウジングとの間のシールを保証することを可能にし、したがって、液体と、器具の電気的構成要素、または、複数の構成要素との、偶発的な接触のリスクを回避する。言い換えれば、この配置により、変形可能なホースが破裂した場合に、ポンプチャンバ内に入る可能性のあるどの液体も、よく検討され、制御された方法で、特に、設計段階で、どこに液体が排出されるかが正確に画定されていることによって、ポンプを含むハウジングの外に直接排出される。安全性を向上することに加えて、器具から液体を排出することは、使用者が、彼/彼女の整髪器具の内部で誤動作が発生したこと(この場合、例えば、変形可能なホースが破裂したこと)を、少なくとも視覚的に警告されることを可能にするであろう。有利なことには、シール要素は、Oリングを含む。
【0036】
1つの有利な実施形態によれば、蠕動ポンプは、変形可能なホースが破裂した場合に、チャンバ内に液体を収容するように設計された密閉システムを備える。したがって、変形可能なホースが破裂すると、液体はポンプチャンバに収容され、すなわち、維持、保持され、制御不能にポンプから流出するのではなく、ポンプ流出システムを通ってのみ流出する。その結果、液体は、ポンプ内に収容されたままであり、従来技術で知られているポンプを用いる場合に通常であるように、ポンプから漏れ出すことはないので、蠕動ポンプホースのいかなる破裂も、限定された結果を有する。液体は、流出システムによってのみ、すなわち、明確に画定された場所に、そして、有利には制御された軌道に従って排出され、場所、および、有利には、流出軌道は、ポンプ設計者によって事前に注意深く画定されている。さらに、密閉システムがあるとすれば、流出システムは、チャンバ内に存在する可能性のある液体の唯一の可能性ある出口であり、チャンバは、また、密閉される。したがって、ポンプの空間的な向きに関係なく、流出システムによってのみ、液体の排出が保証される。したがって、本発明によって定義されるポンプを、液体のいかなる存在も通常回避されるべき空間に、例えば、以下に詳述されるように、電気的または電子的構成要素のすぐ近くに、設置することが可能である。
【0037】
有利な実施形態によれば、チャンバは、変形可能ホースと接触するロータを含み、ロータは、ポンプ本体を通る駆動シャフトに接続され、密閉システムは、駆動シャフトとポンプ本体との間に配置される、第1のシール要素を含む。そのため、変形可能なホースが破裂しても、回転可動部である駆動シャフトと、固定部であるポンプ本体との隙間から、液体は漏れ得ない。この有利な実施形態によれば、第1の密閉要素は、リップシール、および、有利にはダブルリップシールを含む。このタイプのシール、特に、ダブルリップシールは、回転シャフト、この場合には、シールリップまたは複数のリップが押しつける駆動シャフトと、固定部分、この場合には、シールが保持されるポンプ本体との間の、非常に良好なシールを確実にする。
【0038】
別の有利な実施形態によれば、蠕動ポンプは、ポンプ本体と協働する蓋を含み、密閉システムは、ポンプ本体と蓋との間に配置された第2の密閉要素を含む。そして、この構造は、蓋の存在により、その組み立ておよび/またはメンテナンスが容易になる、蠕動ポンプを提供することを可能にし、一方、変形可能なホースが破裂した場合に、ポンプ本体と蓋の間の密閉を確実にする。有利には、第2の密閉要素は、ポンプ本体および蓋の縁の周りに少なくとも部分的に配置された、円形断面シールを含む。
【0039】
また、上記のようにポンプ本体を通る代わりに、駆動シャフトが蓋を通り、第1の密閉要素が、駆動軸と蓋との間に配置されることも予見され得るであろう。
【0040】
別の有利な実施形態によれば、蠕動ポンプは、変形可能なホースに接続された、液体吸引ダクトを受け入れることを意図された入口コネクタと、液体排出ダクトを受け入れることを意図された出口コネクタとを備える。密閉システムは、ポンプ本体と、入口または出口コネクタの少なくとも1つとの間に配置された、第3の密閉要素を備える。あるいは、第3の密閉要素は、蓋と入口または出口コネクタの少なくとも1つとの間に配置される。あるいは、第3の密閉要素は、ポンプ本体、蓋、および、入口または出口コネクタの少なくとも1つの間に配置される。そのような構造は、ポンプの空間的な向きに関係なく、ポンプコネクタでの、チャンバとポンプの外側との間の密閉を確実にする。例えば、ポンプは、両方ではないにしても、下部に配置された、少なくとも1つのコネクタを備えて配置され得、変形可能なホースが破損した場合でも、コネクタでの、つまり、コネクタと、例えば、ポンプ本体または蓋との間での液体の漏れは存在しないであろう。
【0041】
前述の有利な実施形態の第1の変形例によれば、第3の密閉要素は、有利には、シリコーンで作られたプレートを含み、入口および出口コネクタのそれぞれは、プレートを通る。そして、プレートは、ポンプ本体および/またはポンプ蓋と、入口または出口コネクタの少なくとも1つの周りとの間に配置される。有利なことには、プレートは、2つの開口部、有利には2つの孔を含み、各開口部はコネクタの1つを含む。この構造は、これらの部分がポンプに取り付けられている場合(例えば、ポンプの場合によくあるように、それらが、ポンプ本体や蓋と一緒に成形されない場合)、コネクタでの密閉を含む、チャンバの密閉を確実にする。さらに、この解決策は、コネクタやポンプ自体に損傷を与えることなく、コネクタを分解することを可能にする。以下に詳述すされるように、2つのコネクタが互いに近接し、ポンプの表面を形成する同じ平面上に配置される場合、シリコーンプレートの使用は、特に有利であり、安価である。
【0042】
前述の有利な実施形態の第2の変形例によれば、第3の密閉要素は、ポンプ本体および/または任意選択で蓋と、入口および出口コネクタのそれぞれとの間に配置され、第3の密閉要素は、2つのOリングを備える。言い換えれば、この変形例によれば、各コネクタは、コネクタとポンプ本体および/または蓋との間に、それ自身のOリングを有し、チャンバがコネクタにおいて密閉されることを確実にする。この解決策は、コネクタがポンプに取り付けられ(例えば、ポンプ本体または蓋と一緒に成形されない)、互いに離れ、および/または、同じ平面にない場合に特に有利である。
【0043】
有利なことに、入口コネクタと出口コネクタは、蠕動ポンプの単一の外側に属する、同じ平面に配置される。これは、その接続要素が同じ側に組み立てられた、特にコンパクトなポンプを有することを可能にし、したがって、ポンプの入口と出口で必要とされるチューブの長さを制限する。有利には、入口コネクタおよび出口コネクタは、それぞれ、実質的に90°の角度を有する屈曲部を有利に含む。この種のコネクタは、それぞれ、ポンプの入口と出口において、吸込ダクトと吐出ダクトに、横向きにポンプを配置することによって、ポンプの設置を容易にする。このようにして、ポンプアセンブリと液体チューブのサイズが、より小さくなり得る。
【0044】
もちろん、上記の実施形態は、互いに完全に互換性があり、他の有利な実施形態は、それらの様々な組み合わせから生じ得る。特に、上記の3つの実施形態の組み合わせから生じるであろう、蠕動ポンプが予見され得るであろう。これは、それが、変形可能なホースが破裂した場合に、空間的な向きに関係なく、安価で完全に水密の蓋を備えているため、製造し、保守するのが容易な、特に小型の蠕動ポンプをもたらすであろう。そして、密閉システムは、前述の第1、第2、および第3の密閉要素を含むであろう。
【0045】
整髪器具の、有利な、かつ、非限定的な実施形態の以下の説明は、本発明の主題である特徴を強調する。この説明は、以下の図に基づいている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明によって説明される整髪器具の透視図である。
図2図1の器具を別の角度から示した図である。
図3図1の器具の第1の分岐部の斜視図である。
図4図3の領域Aの詳細な斜視図である。
図5図4と同じ詳細Aを示すが、分岐部の内部構成要素を確認するために、特定の部分が消された図である。
図6】本発明によって定義される、蠕動ポンプの斜視図である。
図7図6のポンプ構成要素の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1に示されるように、本発明によって定義される家庭用器具1は、整髪器具であり、より具体的には、液体消費システム4を備えた縮毛矯正器である。より具体的には、液体消費システム4は、この場合には、気化チャンバである、気化手段41、および、そのようにして生成された蒸気の、髪の房に向かっての拡散手段42を含む。拡散手段42は、図示されるように、特に、一連の開口部によって、あるいはスロットまたは拡散溝によって形成され得る。そのような要素は、当業者に周知であり、例えば、本出願人に係る特許文献4に詳述される。
【0048】
家庭用器具1は、第1の分岐部11および第2の分岐部12のそれぞれの端部に実質的に配置されたヒンジ13によって、互いに接続された、第1の分岐部11および第2の分岐部12を含む。分岐部は、従って、回転運動、より正確にはクランプ運動で、互いに対して、移動させられ得る。
【0049】
図3に見られるように、第1の分岐部11は、接触によって毛髪を処理するための第1の表面112、この場合には、加熱プレートを含む。第2の分岐部12は、図2に見られるように、接触によって毛髪を処理するための第2の表面122を含み、それは、第1の処理表面112と相補的である。好ましくは、接触処理のための第2の表面122は、また、加熱される。
【0050】
そのようによく知られている方法で、ヒンジ13は、使用者が、処理表面112、122の間に髪の毛の束を配置するために、縮毛矯正アイロンを開き、次に、形作るために、一般的には真っ直ぐにするために、髪の毛の束上に、アイロンを閉じることを可能にする。
【0051】
図2に見られるように、家庭用器具1は、また、液体貯蔵システム、この場合には、リザーバ3を含む。好ましくは、リザーバは、水を貯蔵することを意図される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、リザーバは、任意に水で希釈された、化粧品を貯蔵し得ることが想定され得るであろう。
【0052】
図示の発明によれば、リザーバは第1の分岐部11に組み込まれる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、リザーバにとって、第1の分岐部11および第2の分岐部12から分離されることが、完全に可能である。実際、リザーバは、第1の分岐部11、および、第2の分岐部12から離れて配置され得、例えば、液体を運搬し得るホースによって、分岐部の1つに接続された(すなわち、アイロンから離れて配置された)遠隔ベースに存在し得る。そのような配置は、例えば、出願人に係る特許文献5に記載される。
【0053】
図3および図4に見られるように、家庭用器具1は、第1の分岐部11によって形成されたハウジング111を含む。しかし、これは図示されていないが、本発明の範囲から逸脱することなく、ハウジングが、前述の遠隔ベースによって形成されることが、完全に可能である。
【0054】
したがって、ハウジング111は、加熱要素(例えば、PTC)、電気モータ5、温度センサ、コンデンサ、電子カードなどの、少なくとも1つの電気的または電子的構成要素を含む、例えばプラスチック材料で作られた、外郭を形成する。これらの要素は通常、液体、特に水とのいかなる接触にも非常に敏感であり、そのような接触は、それらの損傷を、さらにはそれらの破壊さえも、もたらし得、感電死のリスクにさえつながり得る。
【0055】
図4に見られるように、ハウジング111は、液体輸送システム32、6、33、この場合では、蠕動ポンプまたはホース32、33からの、および/または、液体貯蔵システム、この場合では、リザーバ3からの液体漏れの場合に、ハウジング111から液体を排出するように設計された液体排出システム114を含む。液体排出システム114は、液体が電気的または電子的構成要素と接触できないように配置される。より具体的には、液体排出システム114は、互いに隣接して配置された2つの開口部1141を含む。開口部1141のそれぞれは、ハウジング111の内側を外側に接続するために、ハウジング111を通る。2つの別個の開口部を使用することは、十分な排出流れを確保し、開口部1141の1つが詰まった場合に最小の流れを保証する。図4に示されるように、各開口部1141は、実質的に1.2mmに等しい直径を有する孔である。したがって、可能な排出セクションは約2.26mm2である。孔は、約2.5mm離される。
【0056】
液体排出システム114は、第1の処理表面112の端部から約25mmの距離に配置され、これは、水が排出システム114を通って流れるときの安全な距離を確保し、排出された液体が第1の処理表面112と接触するのを防ぐ。液体排出システム114は、第2の分岐部12と対向して配置され、これは、縮毛矯正器が閉じられたときに、第2の分岐部12が、液体排出システム114を覆うことを可能にし、したがって全体的な美観を向上させる。
【0057】
液体を、有利には、水を、液体消費システム4に供給するために、家庭用器具1は、液体輸送システム、この場合には、蠕動ポンプ6を含む。図示の発明によれば、蠕動ポンプ6は、図5に見られるように、第一の分岐部に組み込まれるが、本発明の範囲から逸脱することなく、蠕動ポンプ6は上記の遠隔ベースに組み込まれることが、また、可能である。
【0058】
図5および6に見られるように、蠕動ポンプ6は、特にポンプ本体60を含む。蠕動ポンプ6を、それ自体がリザーバ3に接続された、吸引ダクト32に接続するために、入口コネクタ61が、ポンプ本体60に配置される。排出ダクト33によって、蠕動ポンプを液体消費システム4に接続するために、出口コネクタ62が、ポンプ本体60に配置される。より具体的には、入口コネクタ61および出口コネクタ62のそれぞれは、ポンプ本体60を通る。したがって、入口コネクタ61および出口コネクタ62の一部は、ポンプの外側に突出し、入口コネクタ61および出口コネクタ62の一部は、ポンプ内、すなわち、チャンバ68内に突出する。図5に見られるように、ポンプの外側に突出する入口コネクタ61および出口コネクタ62の部分は、次いで、それぞれ、吸引ダクト32および排出ダクト33に接続される。チャンバ68内に突出する、入口コネクタ61および出口コネクタ62の部分は、次いで、変形可能なホース63に接続される。
【0059】
有利には、図6および7に見られるように、入口コネクタ61および出口コネクタ62は、それぞれ、有利には、90°の角度を有する屈曲部を含む。好ましくは、屈曲部は、蠕動ポンプ6の外側で、ポンプ本体60と接触する。有利には、屈曲部は、コネクタがそうであるように、剛性であり、それは、良好な強度を確実にし、不注意による折れ曲がりの現象を回避する。したがって、入口コネクタ61および出口コネクタ62は、たとえ、その側のサイズが制限される場合でも、ポンプ本体60の同じ側に配置され得る。実際、入口コネクタ61および出口コネクタ62は、示されるように、互いに隣接して配置され得、または、互いに、接触さえもされ得、これにより、蠕動ポンプ6のサイズを制限し、吸引パイプ32と排出パイプ33のルートを単純化することを可能にする。実際、入口コネクタ61と出口コネクタ62は、それらの90°の屈曲部のために、互いに隣接しながら、正反対の方向に曲げられ得、それは、特に、単純で、小型の、ポンプ外流体回路を有することを可能にする。実際に、吸引ダクト32と排出ダクト33は、実質的に互いに整列して、すなわち、同じ平面にあり、実質的に同じ線に沿っている。さらに、これらのダクトのそれぞれは、同じポンプ面を介して、すなわち一側のみを介して蠕動ポンプ6に出入りする。したがって、吸引パイプ32と排出パイプ33を接続するために、ポンプの一側のみがアクセス可能であるだけで十分であるため、蠕動ポンプ6を特に小さな、アクセスが困難な場所に配置することが可能である。
【0060】
図6に示されるように、ポンプは、また、ポンプ本体60と協働する蓋64を含む。より具体的には、蓋64は、ポンプ本体60に取り付けられ、これは、組み立てが容易なポンプを有することを可能にする。特に、様々な内部構成要素、例えば、ロータ65の構成要素の組み立てが容易になる。さらに、蠕動ポンプ6は、例えば内部構成要素を修理するために、劣化することなく、必要に応じていつでも分解および再組み立てされ得る。蠕動ポンプ6は、また、蠕動ポンプ6の様々な可動部分を動かし、したがって、液体をリザーバ3から液体消費システム4に移動させることを意図された、電気モータ5に接続される。
【0061】
図7は、蠕動ポンプ6の様々な構成要素を示す。したがって、ポンプ本体60は、チャンバ68、すなわち、様々な要素が見出される、空間、凹部、またはハウジングを形成する。この場合、チャンバ68は、ポンプ本体60によって画定され、蓋64によって閉じられる。したがって、チャンバは、変形可能なホース63、マウント653によってロータに接続された1つまたは複数の圧力要素651を含むロータ65、および、1つまたは複数のばね652を含む。変形可能なホース63は固定され、一方では入口コネクタ61に接続され、他方では出口コネクタ62に接続されて、ループを形成する。ロータ65は、ループの中心に配置され、ポンプ本体60を通過し、電気モータ5のモータシャフトに接続された、駆動シャフト51によって回転させられる。ロータは、蓋に収容されたベアリング645によって回転が案内される。駆動シャフトが回転すると、圧力要素651、例えばローラは、変形可能なホース63を定期的に押しつぶし、ロータ65の回転に続くそれらの変位の影響下で、これは、吸引現象を引き起こすが、また、変形可能なホース63内の液体の排出を引き起こす。したがって、液体はポンプの一方の側で吸い込まれ、他方の側で排出される。この操作は非常に古典的であり、当業者に知られている蠕動ポンプの特徴であるため、ここではこれ以上詳しく説明されない。蠕動ポンプ6および電気モータは両方とも、例えば、ねじ53によって、取り付けプレート52に接続される。
【0062】
図7に見られるように、蠕動ポンプ6は、密閉システム661、662、663を含む。後者は、以下で詳細に説明されるポンプの不可欠の部分である安全装置を構成する。
【0063】
より具体的には、蠕動ポンプ6における密閉システムは、駆動シャフト51とポンプ本体60(または、代替として、蓋64)との間に配置された第1の密閉要素661を含む。より具体的には、第1の密閉要素661は、リップシールであり、有利には、ダブルリップシールである。そのようなシールは、実際、回転部分(この場合には、駆動シャフト51)と固定部分(この場合には、ポンプ本体60(または任意選択で蓋64))との間の完全な水密性を確保するのに非常に効果的である。したがって、この第1の密閉要素661の存在のおかげで、例えば、変形可能なホース63の破裂(または入口および/または出口コネクタの偶発的な分離)の場合に、チャンバ68の内部に存在する可能性のある液体は、隙間、すなわち、駆動シャフト51(回転部分)とポンプ本体60(固定部分)との間の機能的クリアランスを通って、チャンバから、すなわち、蠕動ポンプ6の外側に、漏れ得ないであろう。第1の密閉要素661は、これらの2つの部分の間の密閉を保証しながら、ポンプ本体60(または場合によっては蓋)に対する、駆動シャフト51の有効な回転の両方を保証する。
【0064】
図示の実施形態によれば、蠕動ポンプ6は、また、図7に見られるように、ポンプ本体60と蓋64との間に配置された、第2の密閉要素662を含む。この第2の密閉要素662は、有利には、円形断面シールによって形成される。そして、第2の密閉要素662は、チャンバ68の周りで、へりの近く、すなわち、ポンプ本体60および蓋の縁の近くに配置される。図7に見られ得るように、第2の密閉要素662は、ポンプ本体60および蓋64の輪郭に追従し、したがって、その形状を呈する。第2の密閉要素662は、それ自体でほぼループを形成するが、ただし、この要素は、2つの端を有しており、すなわち、閉じたリングではない。したがって、ポンプ本体と蓋の間に設置されると、第2の密閉要素662は、馬蹄形、または、実際のところ、ギリシャ語の大文字のオメガの形をとる。したがって、この第2の密閉要素662の存在は、ポンプ本体60と蓋64との間の密閉を確実にすることを可能にし、一方で、蓋64の分解および再組み立てを可能にする。しかしながら、この第2の密閉要素662は、ポンプ本体60の周りに、完全に適合しないことが見られ得る。言い換えると、第2の密閉要素は、チャンバ68の全体の縁の周りではなく、チャンバ68の縁の少なくとも60%、有利には、80%に配置される。そして、縁の残りの部分は、以下でより具体的に説明されるように、第3の密閉要素663によって密閉され、それは、ポンプ本体60と蓋64との間の完全な密閉、したがって、チャンバ68の水密性を、確実にすることを可能にする。
【0065】
図7に見られ得るように、蠕動ポンプは、また、第3の密閉要素663を含む。後者は、入口コネクタ61および出口コネクタ62が通るプレートを含む。好ましくは、プレートは、シリコーン、または、密閉を確実にし得る他の任意の材料から製造される。そして、プレートは、入口コネクタ61および出口コネクタ62が、それを通過することを可能にする、2つの開口部を含む。プレートは、入口コネクタ61および出口コネクタ62の周りの密閉を確実にするのに十分に柔軟な材料で形成される。したがって、プレートは、図7に見られ得るように、入口コネクタ61および出口コネクタ62、ポンプ本体60、また、蓋64と接触する。このプレートは、上記の第2の密閉要素662との組み合わせで、チャンバのへりを閉じることにより、有意義な方法で、チャンバ68の水密性を完全にすること、すなわち、蓋64およびポンプ本体60間の密閉を完全にすることを可能にする。
【0066】
したがって、上記の密閉要素、すなわち第1の密閉要素661、第2の密閉要素662、および、第3の密閉要素663の組み合わさった存在により、チャンバ68は完全に水密である。その結果、液体が、誤って変形可能ホース63から逸散して(変形可能ホース63の破裂または分離)、チャンバ68に入ると、液体(通常は水)は、逸散できずにチャンバ68に閉じ込められるであろう。このことは、それが、完全に水密であるために、特に、安全な、すなわち、たとえ、その変形可能なホースが破裂しても、液体が逸散することを可能にしない、蠕動ポンプを得ることを可能にする。それで、液体の存在が禁止されている特定の場所、例えば電気的または電子的構成要素のすぐ近くで、本発明の蠕動ポンプを使用することが可能である。
【0067】
しかしながら、図示された本発明は、別の安全装置を含み、それは、さらに、それ自体で発明を構成し得る。実際に、図6および図7に示されるポンプは、蠕動ポンプ6での変形可能なホース63の破裂の場合に、制御された軌道に従って、チャンバ68から蠕動ポンプ6の外側に液体を流出させるように設計された、流出システム67を含む。この安全装置は、以下に詳述されるように、液体排出システム114を含む家庭用器具1で使用される場合に特に効果的である。
【0068】
図5から図7に見られ得るように、蠕動ポンプ6は2つの孔671を含み、そして、それは、設計者によって慎重に選択された特定の場所で、チャンバ68をポンプの外側に接続する、流出システム67を形成する。各孔は、約1.2mmの直径を有し、これは、2.26mm2の排出セクションに対応する。孔は、2.5mm離れている。したがって、液体が偶然に(上記の原因のために)チャンバ68に侵入した場合、設計者によって事前に考慮および選択された特定の場所への液体の流れ軌道を制御することが可能である。例えば、その時、流出システムの位置により、液体の流れを、電気的または電子的構成要素から遠ざけることが可能である。
【0069】
流出システム67を、上記において定義された密閉要素661、662、663と組み合わせることにより、図示されるように、流出システム67のみによって、変形可能なホース63の破裂後の、チャンバ68の制御された流出が、ポンプの空間的向きに関係なく保証される。実際、ポンプが、図6に従って方向付けられている場合、液体は、その時、ポンプ本体のより低い点に位置づけられた、流出システム67を通って、重力によって、自然に流れるであろう。この場合、第1の密閉要素661および第3の密閉要素663は、これらの要素が、流出システム67の上方に配置されるので、流出システムのみによる適切な流れに対して必要とされない。他方で、ポンプが、異なって配向される場合、例えば、底部に、入口コネクタ61および出口コネクタ62を備える場合、流出システム67は、その時、ポンプの高い点に配置される。第3の密閉要素663がない場合、液体は、その時、ポンプ本体60と入口コネクタ61および出口コネクタ62との間の隙間を通って漏れる可能性がある。第2の密閉要素662がない場合、液体は、また、それが、流出システム67に到達する前でさえ、駆動シャフト51およびポンプ本体60間の隙間を通って逸散し得るであろう。その場合、変形可能なホースが破損したときの従来技術のポンプの場合のように、液体の漏れは制御されないであろう。前述の密閉要素661、662、663により、水はこれらの隙間を通って漏れ出ることができず、したがって、流出システム67を通って、および、流出システム67を通ってのみ、流れるように強制される。さらに、密閉要素661、662、663の存在は、流出システムが詰まったり、チャンバを十分に速く空にするのに十分な流量を確保できなかったりした場合に、不要な液体の流れ、すなわち、流出システムを通る以外のほかの場所、を回避することを可能にする。
【0070】
本発明の例示された実施形態によれば、蠕動ポンプ6での流出システム67は、ハウジング111での排出システム114と連通する。この場合、図4および図5に見られ得るように、流出システム67は、排出システム114に面して配置される。言い換えれば、流出システム67は、排出システム114に対向して配置される。より具体的には、流出システム67は、2つの孔671を含み、排出システム114は、また、2つの開口部1141を含み、流出システム67に属する、それぞれの孔671は、排出システム114の開口部1141の1つに面して、すなわち、対向して、配置される。
【0071】
有利かつ有意に、流出システム67の流出セクションおよび排出システム114の排出セクションは、実質的に同一であり、サイズが約2.26mm2であり、これは、漏斗現象を伴わずに、チャンバ68内に存在する可能性のある、いかなる液体の完全な流出をも保証する。
【0072】
したがって、流出システム67および排出システム114は、流出システムと排出システム114との間の密閉を確実にする密閉要素664、この場合には、Oリングによって分離される。密閉要素664は、流出システム67の周りのスロットに保持され、したがって、ハウジング111および蠕動ポンプ6、特に、ポンプ本体60と接触する。本発明のこの実施形態により、家庭用器具1の蠕動ポンプ6内の変形可能なホース63が破裂した場合に、液体は、その後、設計によって明確にされた制御された方法で、言い換えれば、排出システム114のみによって、および、蠕動ポンプ6の流出システム67を介して、よく考えられた方法で排出され、液体は、ハウジング111の内部にある電気的または電子的構成要素と接触できない。言い換えれば、ハウジング111の内部は、蠕動ポンプ6の故障の場合でさえ、いかなる液体からも保護され、それは、家庭用器具自体(その電気的または電子的構成要素)だろうが、使用者(感電死のリスク)だろうが、家庭用器具1の安全性を、大幅に改良する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7