(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】自己ポンプ式注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20240517BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20240517BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61M5/315 550L
A61M5/315 550
A61M5/31 530
A61M5/142 500
(21)【出願番号】P 2022070243
(22)【出願日】2022-04-21
(62)【分割の表示】P 2020551304の分割
【原出願日】2019-04-12
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オースティン ジェイソン マッキノン
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-501504(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0265775(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0121043(US,A1)
【文献】国際公開第93/020864(WO,A1)
【文献】特表2017-513577(JP,A)
【文献】特表2012-511392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
A61M 5/31
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開放近位端、遠位端、及び、それらの間に延びる側壁を含む注射器バレルと、
前記注射器バレルの前記側壁の内面を密閉するように構成された環状側壁を有し、近位方向及び遠位方向に前記注射器バレルを通り移動するように構成されたプランジャと、
ピストンの回転により前記注射器バレルから流体を引き出すように構成された前記注射器バレルの内部容積と流体連通する回転ピストンポンプと、
前記回転ピストンポンプと流体連通する管腔を備え、前記回転ピストンポンプにより前記注射器バレルから引き出された流体を受け取り、前記管腔の遠位端を通して前記流体を排出するように構成されたノズルとを備え、
前記回転ピストンポンプは、弁無し回転ピストンポンプを備え、
前記弁無し回転ピストンポンプは、空洞を画定する、開放近位端、及び、閉鎖遠位端を有する環状本体を含み、前記空洞は、前記注射器バレルの前記内部容積、及び、前記ノズルの前記管腔と流体連通し、前記ピストンは、前記空洞に摺動可能かつ回転可能に挿入され、
前記ピストンが部分的に後退された位置にあるとき、前記弁無し回転ピストンポンプの前記空洞を通り、前記ノズルの前記管腔と前記注射器バレルの前記内部容積との間の流体の流れが許容され、前記環状本体の前記開放近位端を通る流体の流れが防止される、
注射器。
【請求項2】
前記ピストンが部分的に後退された位置から前記空洞内に軸方向に移動すると、前記ピストンは前記ノズルの前記管腔、又は、前記注射器バレルの前記内部容積の少なくとも1つを密閉し、その結果、前記空洞と、前記ノズル及び/又は前記注射器バレルとの間の流体連通が防止される、請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記環状本体は、その内部側壁から延びる少なくとも1つの環状シールを含み、前記
環状シールは、流体が前記環状本体の前記開放近位端から漏れるのを防止するように構成される、請求項1に記載の注射器。
【請求項4】
ピストンストローク中、前記ピストンは360度回転し、着座位置、吸引位置、及び、戻って前記着座位置との間で、前記空洞を通り軸方向に移動する、請求項1に記載の注射器。
【請求項5】
前記吸引位置では、流体は前記注射器バレルの前記内部
容積から前記空洞へ引き出され、前記着座位置では、流体は前記ノズルの前記管腔を通して、前記空洞から排出される、請求項4に記載の注射器。
【請求項6】
前記ノズルは、前記注射器と流体送達装置との間の流体連通を確立するために、別の前記流体送達装置の雌型ルアーコネクタに接続するよう構成された雄型ルアーコネクタを備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項7】
前記ノズルは、その内面にねじ山を有する環状本体を含むねじ山付きコネクタをさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項8】
前記回転ピストンポンプは、前記注射器バレルと一体的に成型される、請求項1に記載の注射器。
【請求項9】
前記回転ピストンポンプは、前記注射器バレルに取り外し可能に接続される、請求項1に記載の注射器。
【請求項10】
流体を送達するための注射器アセンブリであって、
開放近位端、遠位端、及び、それらの間に延びる側壁を含む注射器バレル、
前記注射器バレル内に配置され、前記注射器バレルの前記側壁の内面を密閉するように構成され、近位方向及び遠位方向に前記注射器バレルを通り移動するように構成された環状側壁を有するプランジャ、及び、
前記注射器バレルの遠位端から延び、前記注射器バレルの内部容積と流体連通する管腔を含むノズル、
を備える注射器と、
前記注射器バレルの前記内部容積と流体連通するように、前記注射器バレルの前記ノズルに取り外し可能に接続されたポンプアセンブリであって、前記ポンプアセンブリは、
回転ピストンポンプであって、前記注射器バレルの前記内部容積から前記
回転ピストンポンプの流入ポートを通して流体を引き出し、ピストンの回転運動によりその流出ポートから受け取られた流体を排出するように構成された回転ピストンポンプを備える、ポンプアセンブリと
を備え、
前記回転ピストンポンプは、空洞を画定し、開放近位端、及び、閉鎖遠位端を有する環状本体を含む弁無し回転ピストンポンプを備え、前記ピストンは、前記空洞内に摺動可能に挿入され、流体は、前記注射器バレルの前記内部容積から前記流入ポートを通り前記空洞内に引き出され、前記流出ポートを通り前記空洞から排出され、
前記ピストンが部分的に後退された位置にあるとき、前記
回転ピストンポンプの前記空洞を通り、前記流入ポートと前記流出ポートとの間の流体の流れが許容され、前記環状本体の開放近位端を通る流体の流れが防止される、
注射器アセンブリ。
【請求項11】
前記ピストンが部分的に後退された位置から前記空洞内に軸方向に移動すると、前記ピストンは、前記流入ポート、又は、前記流出ポートの少なくとも1つを密閉し、その結果、前記空洞と、前記流入ポート及び/又は前記流出ポートとの間の流体連通が防止される、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
ピストンストローク中、前記ピストンは360度回転し、着座位置、吸引位置、及び、戻って前記着座位置との間で、前記空洞を通り軸方向に移動する、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項13】
開放近位端、遠位端、及び、それらの間に延びる側壁を含む注射器バレル、
前記注射器バレルの前記側壁の内面を密閉するように構成され、近位方向及び遠位方向に前記注射器バレルを通り移動するように構成された環状側壁を有するプランジャ、
ピストンの回転運動により前記注射器バレルから流体を引き出すように構成された前記注射器バレルの内部容積と流体連通する回転ピストンポンプ、及び、
前記
回転ピストンポンプと流体連通する管腔を備え、前記
回転ピストンポンプにより前記注射器バレルから引き出された流体を受け取り、前記管腔の遠位端を通して前記流体を排出するように構成されたノズル、
を備える注射器と、
前記回転ピストンポンプを作動させて前記注射器バレルの前記内部容積から流体を引き出すために前記
回転ピストンポンプに接続された駆動ユニットと
を備え、
前記回転ピストンポンプは、弁無し回転ピストンポンプを備え、
前記弁無し回転ピストンポンプは、空洞を画定し、開放近位端、及び、閉鎖遠位端を有する環状本体を含み、前記空洞は、前記注射器バレルの前記内部容積、及び、前記ノズルの前記管腔と流体連通し、前記ピストンは、前記空洞内に摺動可能及び回転可能に挿入され、
前記ピストンが部分的に後退された位置にあるとき、前記弁無し回転ピストンポンプの前記空洞を通り、前記ノズルの前記管腔と前記注射器バレルの前記内部容積との間の流体の流れが許容され、前記環状本体の前記開放近位端を通る流体の流れが防止される、
流体送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2018年4月19日に出願された「自己ポンプ式注射器」と題された米国仮出願62/659、879号の優先権を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に注射器アセンブリに関し、より具体的には、注射器から正確な量で流体を引き出すように構成された回転ピストンポンプを含む注射器アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
注射器バレルを含む従来の注射器アセンブリの使用中に、プランジャロッド、及び、プランジャ、又は、ストッパを注射器バレルに通して近位方向に動かすことにより、流体がその遠位先端、ノズル、又は、針を通して注射器バレルに引き込まれ、それにより流体がバレルへ引き込まれる。注射器バレルに流体を引き込むプロセスは、吸引として知られている。吸引に続いて、注射を実行するために、プランジャ及びプランジャロッドを注射器バレルに通して遠位方向に押し戻すことによって、流体が注射器バレルから移動される。注射量は、注射器バレル内のプランジャ、及び/又は、プランジャロッドの位置、及び/又は、注射中にバレル内のプランジャが移動した距離を観察することによって制御される。このような注射は手動で(例えば、プランジャロッドの近位端をつかみ、プランジャロッドを遠位方向に手動で押すことによって)、又は、注射器ポンプで自動的に(例えば、プランジャロッド及び/又はプランジャを注射器バレルに通して自動的に前進させるための線形アクチュエータを有する注射器ポンプのように)行うことができる。
【0004】
プランジャと、注射器バレルの内側の側壁との間の摩擦力及び滑り出す力のために、注射器バレルを通るプランジャの動き、及び、結果として生じる注射量を正確に制御することは困難な場合がある。例えば、注射器バレルとプランジャとの間の静止摩擦又はスティクション力のために、注射器からの少量の流体の供給を正確に制御することは困難になる。スティクションとは、プランジャや注射器バレルの内側の側壁など、接触している静止物体の相対運動を可能にするために克服する必要のある静止摩擦を示す。スティクション力の結果として、プランジャを注射器バレルの側壁に対して保持している静止摩擦力が克服された後、プランジャがぐいと動くか、バレルを前方に押す可能性があるため、バレルを通るプランジャの動きはぎくしゃくしたり、一貫性がなくなったりする傾向がある。ぎくしゃくした動きは、流体が注射器バレルから一定の速度で供給されず、流体の供給量の制御が不正確になることを意味する。以前は、注射器のスティクションの低減は、典型的に人間工学的な理由により検討されてきたが、従来の注射器ポンプの精度にノイズ要因を導入するためでもある。スティクションの制御又は低減は、典型的には、潤滑剤又はストッパの設計に関連して取り組まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スティクションに対処し、注射器バレルから正確な量の流体の送達を可能にするための改善された解決策が当技術分野で必要とされている。望ましくは、そのような解決策は、注射器アセンブリ又は注射器ポンプ駆動ユニットの機械的構成に基づいており、プランジャ又はストッパに追加の潤滑剤又はコーティングを含める必要は、ないであろう。本明細書に開示される注射器アセンブリ、流体送達システム、及び、方法は、これらの問題に対処することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、注射器から正確な流体量を引き出すためのポンプを含む注射器及び注射器アセンブリに関する。
【0007】
本開示の一態様によれば、注射器は、開放近位端、閉鎖遠位端、及び、それらの間に延びる側壁を有する注射器バレルと、注射器バレルの側壁の内面を密閉するように構成され、近位方向及び遠位方向に注射器バレルを通り移動するように構成されたプランジャと、ピストンの回転により注射器バレルから流体を引き出すように構成された注射器バレルの内部容積と流体連通する回転ピストンポンプと、ノズルとを備える。ノズルは、回転ピストンポンプと流体連通する管腔を備え、ポンプにより注射器バレルから引き出された流体を受け取り、管腔の遠位端を通して流体を排出するように構成される。
【0008】
いくつかの例では、回転ピストンポンプは、回転弁無しピストンポンプである。回転弁無しピストンポンプは、空洞を画定し、開放近位端及び閉鎖遠位端を有する環状本体を含むことができる。空洞は、注射器バレルの内部容積及びノズルの管腔と流体連通することができる。ピストンは、空洞内に摺動可能及び回転可能に挿入できる。ピストンが部分的に後退された位置にあるとき、ポンプの空洞を通り、ノズルの管腔と注射器バレルの内部容積との間の流体の流れが許容され、環状本体の開放近位端を通る流体の流れが防止される。部分的に後退された位置から空洞内への軸方向のピストンの動きは、ピストンがノズルの管腔又は注射器バレルの内部容積の少なくとも1つを密閉する原因となり、その結果、空洞と、ノズル及び/又は注射器との間の流体連通を防止する可能性がある。
【0009】
いくつかの例では、ピストンストローク中、ピストンは360度回転し、着座位置、吸引位置、及び、戻って着座位置との間で、空洞を通り軸方向に移動する。吸引位置では、流体は注射器バレルの内部から空洞へ引き出される可能性がある。着座位置では、流体はノズルの管腔を通して空洞から排出される。各ピストンストローク中に空洞から管腔を通り排出される流体の量は、約5mlから100mlである。
【0010】
いくつかの例では、環状本体は、その内部側壁から延びる少なくとも1つの環状シールを含み、シールは、流体が環状本体の開放近位端から漏れるのを防止するように構成される。任意選択で、ノズルは、注射器と流体送達デバイスとの間の流体連通を確立するために、別の流体送達デバイスの雌型ルアーコネクタに接続するように構成された雄型ルアーコネクタをさらに含む。代替で、ノズルは、その内面にねじ山を有する環状本体を含むねじ山付きコネクタを含むことができる。
【0011】
いくつかの例において、ポンプは注射器バレルに一体的に成形される。ポンプは、注射器バレルに取り外し可能に接続される。
【0012】
本開示の別の態様によれば、流体を送達するための注射器アセンブリは、注射器を含み、注射器は、開放近位端、閉鎖遠位端、及び、それらの間に延びる側壁を有する注射器バレル、注射器バレルの側壁の内面を密閉するように構成され、近位方向及び遠位方向に注射器バレルを通り移動するように構成された環状側壁を有する注射器バレルに配置されたプランジャ、及び、注射器バレルの遠位端から延び、注射器バレルの内部容積と流体連通する管腔を含むノズルを備える。注射器アセンブリはまた、注射器バレルの内部容積と流体連通するように注射器バレルのノズルに取り外し可能に接続されたポンプアセンブリを含む。ポンプアセンブリは、注射器バレルの内部容積からポンプアセンブリの流入ポートを通して流体を引き出し、ピストンの回転運動によってその流出ポートから受け取った流体を排出するように構成された回転ピストンポンプを含むことができる。
【0013】
いくつかの例では、回転ピストンポンプは、空洞を画定し、開放近位端及び閉鎖遠位端を有する環状本体を有する回転弁無しピストンポンプである。ピストンは、空洞内に摺動可能及び回転可能に挿入できる。いくつかの例では、流体は、注射器バレルの内部容積から流入ポートを通り空洞に引き込まれ、流出ポートを通り空洞から排出される。
【0014】
いくつかの例では、ピストンは部分的に後退された位置にあり、ポンプアセンブリの空洞を通る流入ポートと流出ポートとの間の流体の流れが許容され、環状本体の開放近位端を通る流体の流れが防止される。部分的に後退された位置から空洞内への軸方向へのピストンの移動により、ピストンは、流入ポート又は流出ポートの少なくとも1つを密閉し、その結果、空洞と、流入ポート及び/又は流出ポートとの間の流体連通が防止される。ピストンストローク中、ピストンは360度回転し、着座位置、吸引位置、及び、戻って着座位置との間で、空洞を通り軸方向に移動する。
【0015】
本開示の別の態様によれば、流体送達システムは、注射器及び駆動ユニットを含む。本開示の一態様によれば、注射器は、開放近位端、閉鎖遠位端、及び、それらの間に延びる側壁を有する注射器バレルと、注射器バレルの側壁の内面を密閉するように構成され、近位方向及び遠位方向に注射器バレルを通り移動するように構成されたプランジャと、ピストンの回転により注射器バレルから流体を引き出すように構成された注射器バレルの内部容積と流体連通している回転ピストンポンプと、ノズルとを備える。ノズルは、回転ピストンポンプと流体連通する管腔を含み、ポンプにより注射器バレルから引き出された流体を受け取り、管腔の遠位端を通して流体を排出するように構成される。駆動ユニットは、ポンプを作動させて注射器バレルの内部容積から流体を引き出すためにポンプに接続される。
【0016】
いくつかの例では、回転ピストンポンプは、回転弁無しピストンポンプである。回転弁無しピストンポンプは、空洞を画定し、開放近位端及び閉鎖遠位端を有する環状本体を含むことができる。空洞は、注射器バレルの内部容積及びノズルの管腔と流体連通することができる。空洞は、注射器バレルの内部容積及びノズルの管腔と流体連通することができる。
【0017】
いくつかの例では、駆動ユニットは、ピストンに取り外し可能に接続され、ピストンが360度回転し、着座位置、吸引位置、及び、戻って着座位置との間で、空洞を通り軸方向に移動する、ピストンストロークを通してピストンを動かすように構成される。駆動ユニットは、ピストンに接続された回転シャフト及びカムを含むことができる。
【0018】
本開示の別の態様によれば、注射器から流体を分配する方法が開示されている。注射器は、開放近位端、閉鎖遠位端、及び、それらの間に延びる側壁を有する注射器バレル、注射器バレルの側壁の内面を密閉するように構成され、注射器バレルを通り近位方向及び遠位方向に移動するように構成された環状側壁を含むプランジャ、注射器バレルの内部容積と流体連通する回転ピストンポンプを備える。ノズルは、回転ピストンポンプと流体連通する管腔を含み、ポンプにより注射器バレルから引き出された流体を受け取り、管腔の遠位端を通して流体を排出するように構成される。注射器から流体を分配するための方法は、回転ピストンポンプのピストンが部分的に後退された位置にある間に、ノズルを通して注射器バレルに流体を引き込むことによって注射器を充填し、及び、注射器が少なくとも部分的に充填された後、ポンプを作動させて、ピストンを少なくとも1回のピストンストロークを通して動かす、ことを含む。少なくとも1つのピストンストロークは、同時にピストンを360度回転し、ピストンを空洞に通して軸方向に動かして、着座位置、吸引位置、及び、戻って着座位置に戻し、注射器バレルから空洞に大量の流体を引き込む、注射器からノズルを通して大量の流体を排出する。
【0019】
いくつかの例では、回転ピストンポンプは、回転弁無しピストンポンプである。回転ピストンポンプは、駆動ユニットにより少なくとも1回のピストンストロークで自動的に移動できる。回転ピストンポンプの作動には、複数のピストンストロークを実行して、注射器からノズルを通して複数の個別の量の流体を排出することが含まれる。
【0020】
本発明のこれら及び他の特徴及び特性、並びに、構造の関連する要素の動作及び機能の方法、及び、部品の組み合わせ及び製造の経済性は、その全てが本明細書の一部を形成し、様々な図において同様の参照番号は対応する部分を示す添付図面を参照して、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮すると、より明らかになるであろう。しかしながら、図面は、例示及び説明の目的のみのためであり、及び、本発明の限定の定義として意図されないことは、明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一態様による、ポンプを含む注射器の側面図である。
【
図3】
図1の注射器のポンプの一部の斜視図である。
【
図4A】本開示の一態様による、部分的に後退された位置にある、4-4線(
図2に示される)に沿った注射器の部分断面図である。
【
図4B】着座位置又は係合位置にある
図4Aに示される
図1の注射器の部分断面図である。
【
図4C】吸引位置又はストローク上部の位置にある
図4Aに示される
図1の注射器の部分断面図である。
【
図4D】交差又は中間位置にある
図4Aに示される
図1の注射器の部分断面図である。
【
図5】ポンプのピストンを前進及び後退させるための駆動ユニットに接続された、
図1の注射器の部分断面図である。
【
図6】本開示の一態様による、
図1の注射器及び弁無しポンプを含む流体送達システムの駆動ユニットの電気部品の概略図である。
【
図7】本開示の一態様による、ポンプを含む注射器から流体を引き出すためのステップを示すフローチャートである。
【
図8】本開示の別の態様による、注射器及び取り外し可能なポンプアセンブリを含む注射器アセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、説明の目的のために、用語「上部(upper)」、「下部(lower)」、「右(right)」、「左(left)」、「垂直の(vertical)」、(水平の(horizontal)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「横の(lateral)」、「縦の(longitudinal)」、及び、それらの派生語は、図面において配向されるように、本発明に関するものとする。「近位」という用語は、構造の中心に最も近い構造の部分、又は、構造の取り付け点又は作動点を指す。例えば、注射器の「近位部分」は、ユーザによって把持されるように構成された注射器の部分である。「遠位」という用語は、中心から、又は、構造の取り付け、又は、作動点から最も遠い構造の部分(例えば、近位部分とは反対側の構造の部分)を指す。例えば、注射器の「遠位部分」は、針又はノズルを含む注射器の端部である。しかしながら、本発明は、それとは反対に明示的に特定されない限り、様々な代替的な変形を前提としてもよいことは理解されよう。また、添付の図面に示され、及び、以下の明細書に記載される具体的なデバイスは、単に、本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。そのため、本明細書に開示される実施形態に関連する具体的な寸法及び他の物理的な特徴は、制限的であるとしてみなされるべきではない。
【0023】
本開示の一態様によれば、注射器から正確な量の流体を引き出すためのポンプを含む注射器が提供される。ポンプは、回転弁無しピストンポンプとすることができる。注射器は、例えば、バイアル等の流体容器から流体を抽出して、注射器を充填、又は、部分的に充填するために使用することができる。次に、充填、又は、部分的に充填された注射器を駆動ユニットに結合して、ある量の流体を患者に流体送達することができる。他の例では、流体は、後で注入するために注射器からIVバッグに排出することができる。本明細書に記載されるように、注射器は、従来の注射器として使用することができる。駆動ユニットをポンプに取り付けてポンプピストンを前後させるだけで、従来の注射器から精密注射器ポンプに素早く変換できる。望ましくは、従来の注射器の設計にポンプを追加すると、注射器の製造コストがわずかに増加するだけである。場合によっては、駆動ユニットは再利用可能であるため、駆動ユニットのコストは多くの注射で償却できる。いくつかの例では、ポンプは注射器に直接組み込まれている。他の例では、ポンプアセンブリを従来の注射器の遠位ノズルに取り外し可能に接続して、正確な流体量を送達することができる注射器アセンブリを形成することができる。
【0024】
本開示の別の態様によれば、注射器及びポンプは、駆動ユニットを含む流体分配システムに統合することができる。例えば、駆動ユニットは、ポンプのピストンに接続し、ピストンを前後に駆動するように構成される。ポンプを介してピストンを駆動すると、注射器の内部容積から流体が引き込まれ、注射器から流体が排出される。駆動ユニットは、ピストンを繰り返し後退及び前進させて、注射器から複数の正確な量の流体を排出するように構成できる。
【0025】
注射器とポンプ
図1~
図4Dに示されるように、注射器10は、注射器バレル12、ポンプ14、及び、ノズル16を含む。いくつかの例では、
図1~
図4Dに示されるように、注射器バレル12、ポンプ14、及び、ノズル16が一体的に形成されている。他の例では、
図8に示されるように、ポンプ14及びノズル16は、注射器バレル12に取り外し可能に接続されている。ポンプ14は、注射器バレル12の内部容積32と流体連通しており、注射器バレル12から流体を引き出し、ノズル16を通して流体を排出するように構成される。
【0026】
図1に示すように、注射器バレル12は、開放近位端18、閉鎖遠位端20、及び、それらの間に延びる側壁22を含む。注射器バレル12、並びに、ポンプ14及びノズル16の一部は、プラスチック、ガラス、又は、金属などの適切な硬くて剛性の生体適合性材料から形成することができる。例えば、注射器バレル12は、透明ポリカーボネートから形成することができ、その結果、バレル12内の流体内容物を観察することができる。注射器10はまた、注射器バレル12の側壁22の内面26に対して、密閉するように構成されたストッパ又はプランジャ24を含む。例えば、プランジャ24は、プランジャ24のエラストマー環状シールなどの環状側壁30の周りに延びる環状シール28を含むことができる。他の例では、側壁30は、プランジャ24と注射器バレル12の側壁22との間に適切なシールを作成するための様々な隆起、突起、又は、フィンを含むことができる。プランジャ24は、注射器バレル12を通って近位方向(
図1の矢印Pで示される)及び遠位方向(
図1の矢印Dで示される)に移動するように構成される。いくつかの例では、当技術分野で知られているように、プランジャロッド62は、取り外し可能に取り付けられるか、又は、プランジャ24の近位部分と一体的に形成される。プランジャロッド62は、プランジャ24と接続するためのラッチ機構(図示せず)を含む細長い構造である。プランジャロッド62はまた、その近位端から延びる円形ディスク又はフランジ64を含む。
【0027】
いくつかの例では、ノズル16は、注射器バレル12からポンプ14を介して引き出された流体を受け取るように構成されたポンプ14と流体連通している中央チャネル又は管腔34を含む。管腔34は、約1.5mmの内径を有することができる。場合によっては、管腔34は、約0.5mmから0.8mmの最小内径にネックダウンすることができる。管腔34の最も狭い部分は、
図4A~
図5に示されるように、管腔34がポンプ14と会う場所に配置される。流体は、管腔34の遠位端を通ってノズル16から排出される。ノズル16はまた、注射器10と流体送達装置又は容器との間の流体通信を確立するために、別の流体送達装置又は流体容器(図示せず)の雌型ルアーコネクタ(図示せず)に接続するように構成された雄型ルアーコネクタ36を含む。ノズル16はまた、その内面にねじ山を有する環状本体を含むねじ山付きコネクタ38を含むことができる。ねじ山は、流体送達装置又は流体容器の対応するねじ山と噛み合うように構成されて、注射器10と流体送達装置又は容器との間のより安全な接続を確立する。
【0028】
ポンプ14は、流体リザーバ又は流体源(内部容積32など)から流体の正確な個別の体積又は用量を引き出し、流体の正確な体積又は用量を注射器10のノズル16を通して排出するように構成された回転弁なしピストンポンプである。弁無しピストンポンプは、ポンプを通る流体の流れを制御するためのバルブを含まず、代わりに、ピストン50の往復運動によってポンプ14に流体を引き込み、ポンプ14から流体を排出する。回転弁無しピストンポンプは、回転運動によってピストン又は同様のポンプ機構を作動させるポンプを指す場合がある。回転運動の結果として、流体はバルブを開閉することなくポンプを通して引き込まれる。
【0029】
いくつかの例では、回転弁無しピストンポンプ14は、空洞46を画定し、開放近位端42及び閉鎖遠位端44を有する環状本体40を含む。空洞46は、注射器バレル12の内部容積32及びノズル16の管腔34と流体連通することができる。いくつかの例では、環状本体40は、環状本体40の内側側壁から延びる少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の環状シール48(
図4A~4Dに示される)を含む。
【0030】
いくつかの例では、ピストン50はエラストマー構造であり、注射器バレル12、ポンプ14の環状本体40、及び、ノズル16は、より剛性の高い材料(例えば、剛性のプラスチック)から形成される。ピストン50は、空洞46を通して流体を引き込むのに十分な任意のサイズ及び形状である。例えば、
図4Aに示されるように、ピストン50は、空洞46の直径に実質的に類似し、環状本体40の環状シール48と接触するように構成された第1の直径D1を有する近位部分52と、流体を空洞46に引き込み、空洞46から流体を排出するためのより小さな直径D2を有する凹部54とを含む、実質的に円筒形の構造を有する。20ml注射器などの従来の注射器の場合、ピストン50の第1の直径D1は、2mmから8mmである。
【0031】
ピストン50は、ピストン50を空洞の内外に摺動させることにより(例えば、ピストン50の軸方向への変位により)、空洞46内でピストン50を回転させることによって、又は、軸方向及び回転方向の移動の組み合わせにより、空洞46を通って移動することができる。空洞46内でピストン50を動かすことは、注射器バレル12の内部容積32から空洞46内に流体を引き込むのに十分な吸引力を作り出すことを意図している。ピストン50の継続的な動きは、流体を空洞46からノズル16の管腔34を通して放出する。
【0032】
ポンプ14は、ピストン50が
図4A~
図4Dの異なる位置にある状態で示されている。
図4Aにおいて、ピストン50は、初期位置又は部分的に後退された位置にある。初期位置又は部分的に後退された位置では、ピストン50は空洞46内にあり、ノズル16の管腔34と、注射器バレル12の内部容積32に接続された流体入口ポート33の両方から離れて配置される。管腔34も流体入口ポート33もピストン50によって密閉されていない。
図4Aにおいて、ピストン50の凹部54は、ノズル16の管腔34に面して示されている。しかしながら、部分的に後退された位置において、凹部54は、空洞46を通る流体の流れが許容される限り、任意の方向に提供される。部分的に後退された位置では、ピストン50と環状シール48との間の密閉により、流体が環状本体40の開放近位端42から漏れることが防止される。ピストン50が部分的に後退された位置にあるとき、注射器10は、従来の方法で使用することができる。例えば、流体は、プランジャ24を注射器バレル12に通して前進又は後退させることによって、注射器バレル12の内部容積32内に引き込まれ、又は、そこから排出される。一般に、注射器10は、ピストン50が部分的に後退された位置でユーザに最初に提供され、その結果、ユーザは、プランジャ24を使用して注射器10の内部容積32を流体で充填することができる。いくつかの例では、輸送中及び/又は使用前にピストン50が動くのを防止するために、輸送中に部分的に後退されたピストン50の上にカバー(図示せず)を配置することができる。
【0033】
駆動ユニット又は同様の電動装置をポンプ14のピストン50に取り付けるために、ピストン50は、
図4Bに示されるように、着座位置又はストローク底部位置まで空洞46に完全に挿入される。この位置では、ピストン50は空洞46に完全に挿入され、凹部54はノズル16の管腔34に面している。空洞46から管腔34を通る流体の流れが許容される。ピストン50は、流体入口ポート33を密閉する。凹部54のこの配向は、空洞46内の流体が、各ピストンストロークの底部にある管腔34を通ってポンプ14から排出されるように必要である。
【0034】
駆動ユニット又は電動装置を作動させると、ピストン50が矢印A1(
図4Aに示される)の方向に、着座位置から吸引位置又はストローク上部位置まで後退する。同時に、ピストン50は、矢印A3の方向に半回転又は180度回転する。吸引又はストロークの最上部の位置が
図4Cに示される。ピストン50を半回転させると、凹部54は、管腔34に面して流体入口ポート33(
図4B)に面することから、流体入口ポート33に面して管腔34を密閉することへと移行する(
図4Cに示すように)。ピストン50が回転して流体入口ポート33をもはや密閉しないと、ピストン50の動きによって生成される吸引力により、流体は注射器バレル12の内部容積32から空洞46に流れる。
【0035】
図4Dに示されるように、ピストン50は、交差位置又は中間位置に示され、ピストン50は、流体入口ポート33及び管腔34の両方を密閉する。ピストンを吸引位置又はストローク上部位置(
図4Cに示される)から中間位置又は交差位置(
図4D)に前進させるために、ピストン50は、矢印A2(
図4Aに示される)の方向に、空洞46内に軸方向に前進させられ、矢印A3の方向に回転させられる。中間位置又は交差位置から着座位置(
図4B)へのピストン50の継続的な回転及び軸方向の動きは、流体入口ポート33を密封し、管腔34を開く。管腔34が開かれると、個別の用量又は量の流体が空洞46から管腔34に排出される。
図4B及び4Cに示されるように、ピストン50は、ストロークの最上部又は吸引位置(
図4C)と着座位置(
図4B)との間で半回転(例えば、180度)回転する。
【0036】
図4B及び
図4Cに示されるピストン50の位置は、ピストンポンプ14の全ストロークを示しており、ピストン50は、着座位置から吸引位置に軸方向に移動し、着座位置に戻る。ピストン50は、各ピストンストローク中に360度(例えば、全回転)回転する。ピストンストロークは、手動、又は、自動駆動機構からの電力の下で繰り返し実行して、一連の個別の投与量として、内部容積32からノズル16を通して正確な総量の流体を引き出すことができる。例えば、ポンプ14を手動で操作するために、ユーザは、後退のためにピストン50の近位端の一部をつかみ、ピストン50の近位端を押して、ピストン50を空洞46に通して前進させることができる。ユーザはまた、上記のように、ピストン50を回転又はねじることもできる。
【0037】
他の例では、ポンプ14は、例えば、モータ、線形アクチュエータ、又は、同様の動力装置によって自動的に作動される。ポンプ14と共に使用することができる例示的な駆動ユニット110が
図5に示される。駆動ユニット110は、例えば、シャフト130及びカム132を駆動するように構成されたモータ114を含む。モータ114、シャフト130、及び、カム132は、注射器10及び/又はポンプ14の一部に取り付けられるように構成されたハウジング134内に含まれる。例えば、
図5に示すように、ハウジング134は、ポンプ14の環状本体40の上部、及び/又は、開放近位端42を受け入れるように構成された下部開口136を含む。下部開口部136は、例えば、ポンプ14と係合して駆動ユニット110をポンプ14に取り付けるための1つ又は複数のラッチ部材を含む。モータ114は、電池式電気モータなどの任意の適切な運動生成装置である。モータ114は、シャフト130を矢印A4の方向に回転させるように構成される。又は、モータ114は、シャフト130を前後にねじることができる。例えば、モータ114は、シャフトを一方向に180度ねじり、次に反対方向に180度ねじることができる。
【0038】
図5に示すように、シャフト130は、カム132に固定的に取り付けられている。当業者によって理解されるように、様々な異なるカム構造を使用して、モータ114によって生成される回転運動からピストン50に軸方向運動、及び/又は、回転運動を与えることができる。例えば、
図5に示すように、カム132は、シャフト130に取り付けられた閉鎖した第1の端部140、ピストン50を受け入れるように構成された開放した第2の端部142、及び、その第1の端部と第2の端部との間に延びる側壁144とを有する管状本体138を含む。ピストン50は、管状本体138内に受け入れられる。例えば、ピストン50の突出部分は、側壁144の内面148から半径方向外向きに延びるトラック146によって係合される。シャフト130によるカム132の回転により、ピストン50は、トラック146に沿ってその遠位端から近位端まで移動する。ピストン50がトラック146を通って移動するとき、ピストン50は、着座位置(
図4Bに示される)と吸引位置(
図4C)との間のピストンストロークを通って移動する。いくつかの例では、上記のように、ピストン50は、軸方向に前後に移動することに加えて、トラック146に沿って移動するときにも回転するように、トラック146のサイズを決定することができる。
【0039】
使用中、ポンプ14の作動は、注射器バレル12からある量の流体を排出する。例えば、注射器10及びポンプ14は、
図4Aに示されるように、部分的に後退された位置でエンドユーザに提供される。ユーザは、従来の方法で注射器バレル12の内部容積32に流体を引き込む。ポンプ14を作動させるために、ピストン50は、手動又は自動で空洞46に押し込まれ、ピストン50を空洞46に着座させる。次に、駆動ユニット110は、ポンプ14に接続され、少なくとも1回のピストンストロークを実行するように作動される。ピストンストロークあたりの流体の量は、約5mlから100mlの流体の量にすることができる。ピストン50の後退及び着座のプロセスを複数回繰り返して、注射器バレル12から追加の量の流体を分配することができる。
【0040】
流体供給システム
いくつかの例では、注射器10及び駆動ユニット110は、流体送達システム100と統合することができる。注射器10及び駆動ユニット110の電子構成要素を含む例示的な流体送達システム100が
図6に示される。
図6に示すように、流体送達システム100は、注射器バレル12、ポンプ14、及び、ノズル16(
図1~
図4Dに示される)を有する注射器10を含む。
【0041】
駆動ユニット110は、ポンプ14を作動させて注射器バレル12の内部容積32から流体を引き出すためにポンプ14に接続される。駆動ユニット110は、電池式電気モータなどのモータ114と、モータ114用の電池又はシステム100を標準的な壁コンセントに接続するためのプラグなどの電源116とを含む。駆動ユニット110はまた、ピストン50の後退及び前進を制御して注射器10から所望の流体量を分配するためのコントローラ118と、外部又は遠隔のソース又はデバイスから操作命令を受信するための通信回路120とを含むことができる。例えば、流体量が注射器10から分配されたことを確認する情報は、通信回路118を用いて遠隔ソースに送信される。ドライブユニット110は再利用可能であることができる。例えば、使用後、ポンプ14を含む注射器10は、駆動ユニット110から取り外され、廃棄される。次に、多目的駆動ユニット110は、別の流体量を分配するために別の注射器10に取り外し可能に接続することができる。他の例では、駆動ユニット110は、部分的又は完全に使い捨てであるか、又は、各使用後に再生することができる。
【0042】
注射器とポンプで流体を分配する方法
本開示の別の態様によれば、注射器から流体を分配する方法が開示されている。
図7を参照すると、第1のステップ210に示されるように、この方法は、流体をノズルの遠位端を通って注射器バレルに引き込み、注射器を充填することを含む。具体的には、ユーザは、プランジャに接続されたプランジャロッドの近位端を掴み、プランジャを注射器バレルに通して近位方向に引っ張ることによって、流体を注射器バレルに引き込む。流体をノズルに引き込むために、ピストンは部分的に後退された位置にある必要があり、その結果、ポンプの空洞を介したノズル管腔から注射器バレルの内部への流体連通が許容され、流体がピストン及び環状本体の環状シールを越えて漏れることはない。必要な量の流体が注射器バレルに引き込まれた後、注射器はノズルから流体を分配する準備が整う。
【0043】
第2のステップ212に示されるように、初期ポンプを実行するために、ピストンは、ポンプの空洞を通って着座位置まで前進する。ピストンが着座位置にあるとき、駆動ユニット又は同様の電動装置をピストンに取り付けて、ピストンを空洞内で自動的に動かすことができる。ステップ214の第3のステップに示されるように、ポンプピストンは吸引位置に動かされる。具体的には、ピストンを近位方向に動かし、回転させて、注射器バレルの内部容積からポンプ空洞に流体を引き込む。次に、第4のステップ216に示されるように、ピストンは、空洞を通って遠位方向に軸方向に前進し、それによって、流体をノズルから管腔を通して排出する。第5のステップ218に示されるように、プランジャの後退及び前進は、注射器から流体の複数の正確な量又は用量を排出するために繰り返し実行される。
【0044】
2部品注射器アセンブリ
本開示の別の態様によれば、従来の注射器310を含む流体送達用のアセンブリ300と、ルアーコネクタを含む20ml注射器などの注射器310の遠位端に取り外し可能に接続されたポンプアセンブリ314が提供される。注射器310は、開放近位端318、閉鎖遠位端320、及び、それらの間に延びる側壁322を有する注射器バレル312を含む従来の流体分配注射器である。前述の例のように、プランジャ324及び取り付けられたプランジャロッド362は、注射器バレル312の内面に挿入され、摺動可能に密閉される。例えば、プランジャ324は、プランジャ324の側壁322から延びる環状シール328を含むことができ、これは、注射器バレルの側壁を押して十分な密閉を形成するように構成される。プランジャ324は、バレル312を通って近位方向及び遠位方向に移動して、流体を注射器バレル312に引き込むか、またはそこから流体を排出するように構成することができる。注射器310はまた、注射器バレル312の閉鎖遠位端320から延びるノズル316を含む。ノズル316は、注射器バレル312の内部容積332と流体連通する際にそれを通って長手方向に延びる管腔334を含む。ノズル316は、注射器310をポンプアセンブリ314の対応するコネクタ(例えば、雌型ルアーコネクタ366)に取り付けるための、雄型ルアーコネクタ336などのコネクタを含むことができる。望ましくは、ポンプアセンブリ314の雌型ルアーコネクタ366は、多種多様な市販の注射器に取り付けるように構成された標準寸法である。
【0045】
ポンプアセンブリ314は、注射器310のノズル316に取り外し可能に接続され、ノズル316の管腔334およびポンプアセンブリ314の空洞346を介して注射器バレル312の内部容積332と流体連通している。前述の例のように、ポンプアセンブリ314は、注射器バレル312から流体を引き出し、受け取った流体を分配するように構成される。例えば、ポンプアセンブリ314は、空洞346を画定する、開放近位端342及び閉鎖遠位端344を有する環状本体340を含む。ポンプアセンブリ314は、空洞346に摺動可能に挿入されたピストン350をさらに含むことができる。ポンプアセンブリ314は、注射器バレル312の内部容積332から、雌型ルアーコネクタ366に結合された流体入口又は流入ポート358を介して空洞346に流体を引き込むように構成される。流体は、流出ポート360を通って空洞346から排出される。いくつかの例では、流出ポート360は、ポンプアセンブリ314を別の流体送達デバイス又は流体容器に接続するための雄型ルアーコネクタ336又は同様の接続構造を含む。
【0046】
使用中、ユーザは、従来の注射器310を入手し、例えば、注射器ノズル316の雄型ルアーコネクタ336を、ポンプアセンブリ314の対応する雌型ルアーコネクタ366に挿入することにより、ポンプアセンブリ314を注射器310の遠位端に接続する。ポンプアセンブリ314のピストン350が部分的に後退された位置にある状態で、ユーザは、プランジャロッド362及びプランジャ324を注射器バレル312に通して近位方向に動かすことによって、流体を注射器310に引き込む。注射器バレル312が充填又は部分的に充填された後、流体は、上記の方法でポンプアセンブリ314をポンピングすることによって注射器310から排出される。具体的には、前述のように、ポンプアセンブリ314のピストン350を後退及び前進させると、注射器バレル312から流体が引き出され、ポンプアセンブリ314の流出ポート360を通して流体が排出される。流体の分配が完了した後、ポンプアセンブリ314を注射器310から取り外し、廃棄するか、又は、洗浄して再利用することができる。
【0047】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施形態または態様であると現在考えられていることに基づいて例示の目的のために詳細に説明されたが、そのような詳細は単にその目的のためであり、及び、本発明は、開示された実施形態または態様に限定されないが、逆に、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にある修正および同等の配置を包含することが意図されていることを理解されたい。例えば、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴が、他の任意の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせられることを企図していることを理解されたい。