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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022072119
(22)【出願日】2022-04-26
(62)【分割の表示】P 2020162767の分割
【原出願日】2016-09-02
(65)【公開番号】P2022090124
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】本多 利充
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-122753(JP,A)
【文献】特開2014-011368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ挿入口に挿入された部品収納テープを自動で繰り出して部品供給を行う自動フィーダ装置と、前記部品収納テープが巻回された部品供給リールを回転可能かつ交換可能に保持するリール保持装置と、前記自動フィーダ装置を着脱可能に保持するフィーダ装着部と前記自動フィーダ装置の列設方向に複数の前記リール保持装置を着脱可能に保持するリール装着部を備え、基台に対して前記フィーダ装着部と前記リール装着部を一体として着脱可能に装備する部品実装機であって、
前記リール装着部は、前部装着座と後部装着座を有し、
前記リール保持装置は、板材で形成された少なくとも1組の側板の間の空間に前記部品供給リールを保持し、
自走搬送可能であるリール交換装置が着脱可能に保持するリール保持装置を、前記自動フィーダ装置の列設方向と直行する方向で前記後部装着座の上側に装着および取り外し可能である部品実装機。
【請求項2】
前記リール保持装置は、前記側板の間に軸部材により回転可能に支承される外周支持ローラを備える請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記リール交換装置は、前記リール保持装置を前後方向にスライド移動可能かつ前記リール装着部の高さに調整可能である請求項1又は2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記リール保持装置は、部品供給リールを1つ保持する請求項1乃至3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記リール保持装置は、前記1組の側板の間隔が前記自動フィーダ装置の列設ピッチと一致する請求項1乃至4に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リール保持装置を交換する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の部品が実装された基板を生産する設備として、はんだ印刷機、部品実装機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの設備を連結して基板生産ラインを構成することが一般的になっている。このうち部品実装機は、基板搬送装置、部品供給装置、部品移載装置、および制御装置を備える。部品供給装置の代表例として、複数の部品収納部にそれぞれ部品を収納した部品収納テープを繰り出す方式のフィーダ装置がある。このフィーダ装置と組み合わせて、部品収納テープが巻回された部品供給リールを回転可能かつ交換可能に保持するリール保持装置が使用される。この種のリール保持装置に関する技術例が、特許文献1、2に開示されている。
【0003】
特許文献1の電子部品供給カセット用テープリール支持装置は、上部が開口された断面略コ字形状の枠体と、枠体の他端部側に位置する回動支点を中心にして回動するとともに回転端部でテープリールの中心部を軸支する支持アームとを備えている。これによれば、複数の電子部品供給カセット(フィーダ装置)が並列状態で部品実装機に搭載された状態であっても、枠体の他端部側でテープリールの交換を行えるので、作業者が遠方から手を伸ばすなどの煩雑性を解消できる、とされている。
【0004】
また、特許文献2は、フィーダ装置を多数並べて保持するとともに、部品実装機本体に対して着脱可能に構成された一括交換台車を開示している。この一括交換台車は、リールをテープ送出可能に保持するリール保持部と、テープが消費された場合に使用される予備リールを保持するリールストック部とを備えている。これによれば、リール保持部に保持されたテープが消費された場合に、リールストック部の予備リールをリール保持部へ装着すればよく、リール交換の作業性を向上できる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-228192号公報
【文献】特開2004-228207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、部品実装機で生産する基板の種類(基板種)を変更する場合に、供給する部品の種類(部品種)を変更する段取り替え作業が必要になる。特許文献1に開示されたテープリール支持装置では、段取り替え作業においてフィーダ装置を部品実装機から取り外す必要が無く、リールのみを交換すればよい(機内段取り替え)。しかしながら、この機内段取り替えの方法では、変更する部品種の数だけリールを交換するので段取り替え時間が長引き、かつ段取り替え時間の間は基板を生産できない。つまり、作業効率および生産効率の両方が低下する。
【0007】
一方、特許文献2に開示された一括交換台車では、次に生産する基板種に必要となる部品種に対応したリールを、交換用のフィーダ装置のリール保持部に予め保持させておくことができる(機外段取り替え)。そして、生産する基板種を変更する場合に、一括交換台車を用いて複数のフィーダ装置を一括交換することにより、作業効率および生産効率を向上できる。しかしながら、この機外段取り替えの方法では、一括交換を行うために多数のフィーダ装置が必要になり、設備コストが増大する。
【0008】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、供給する部品の種類を変更する段取り替え作業時の高い作業効率および生産効率と、設備コストの抑制とを両立できる部品実装機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の部品実装機は、テープ挿入口に挿入された部品収納テープを自動で繰り出して部品供給を行う自動フィーダ装置と、部品収納テープが巻回された部品供給リールを回転可能かつ交換可能に保持するリール保持装置と、自動フィーダ装置を着脱可能に保持するフィーダ装着部とリール保持装置を着脱可能に保持するリール装着部を備え、基台に対してフィーダ装着部とリール装着部を着脱可能に装備する。
リール装着部は、前部装着座と後部装着座を有し、自走搬送可能であるリール交換装置が着脱可能に保持するリール保持装置を、後部装着座の上側に装着可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の部品実装機によれば、次に生産する基板種に必要な複数の部品種に対応する各リールを交換用のリール保持装置に予め保持させておくことができる。これにより、段取り替え作業ではリール数よりも少数のリール保持装置を交換すればよく、多数のリール単品を交換する従来技術と比較して段取り替え時間を短縮できる。複数のフィーダ装置を一括交換する従来技術と比較して、段取り替え作業時に必要なフィーダ装置の台数を削減できる。したがって、段取り替え作業時の高い作業効率および生産効率と、設備コストの抑制とを両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態のリール保持装置を自動フィーダ装置と組み合わせて共通パレットに装着した部品供給部の全体構成を示す側面図である。
図2】第1実施形態のリール保持装置を後方から見た図である。
図3】第2実施形態のリール保持装置を後方から見た図である。
図4】第3実施形態のリール保持装置を後方から見た図である。
図5】自動フィーダ装置の装着方法を示す図である。
図6】生産する基板種を変更するときに、供給する部品種を変更する段取り替え作業の方法を説明する図である。
図7】実施形態のリール交換装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1.部品供給部の全体構成)
本発明の第1実施形態のリール保持装置1について、図1図2図5図6を参考にして説明する。リール保持装置1は、フィーダ装置である自動フィーダ装置9とともに部品実装機の一部分である機台19に装備され、部品を供給する役割を担う。図1は、第1実施形態のリール保持装置1を自動フィーダ装置9と組み合わせて共通パレット5に装着した部品供給部の全体構成を示す側面図である。図1において、自動フィーダ装置9の前側(紙面の右側)は、部品実装機の図略の部品実装ヘッドに近接して配置される。また、リール保持装置1は、自動フィーダ装置9の後方の下側に配置される。図2は、第1実施形態のリール保持装置1を後方から見た図である。部品実装機は、部品を基板上に実装する装置であり、リール保持装置1、共通パレット5、自動フィーダ装置9を備える。
【0013】
共通パレット5は、部品実装機の機台19に着脱可能に装備される。これに限定されず、共通パレット5は、機台19に固定的に装備されていてもよい。共通パレット5は、フィーダ装着部51およびリール装着部55を有し、自動フィーダ装置9とリール保持装置1を着脱可能に保持する。フィーダ装着部51は、略矩形の平面部52の前側に直立部53が設けられて形成されており、側面視で略L形状である。平面部52には、前後方向に延びるスロット54が幅方向に並んで刻設されている。幅方向に薄い複数の自動フィーダ装置9は、それぞれスロット54に装着されて、幅方向に列設される。第1実施形態において、20条のスロット54が設けられ、20台の自動フィーダ装置9が列設されるものとする。
【0014】
自動フィーダ装置9は、後端の中間高さ付近にテープ挿入口91を有し、後端の上部寄りに挿入レバー92を有している。挿入レバー92を持ち上げることで、テープ挿入口91に第1および第2部品収納テープ85、86を順番に挿入できるようになっている。自動フィーダ装置9のテープ挿入口91から前端上部に向けて繰り出しレール93が配設されている。繰り出しレール93の前端付近の上面に、供給位置94が設定されている。繰り出しレール93のテープ挿入口91に近い後部寄りの上面に、待機位置96が設定されている。挿入された第1および第2部品収納テープ85、86は、待機位置96まで進んで一旦停止する。
【0015】
待機位置96の上方に、テープ制御部95が設けられている。テープ制御部95は、第1部品収納テープ85の待機位置96からの繰り出しを許容し、第2部品収納テープ86を待機させる。かつ、テープ制御部95は、第1部品収納テープ85が無くなると、自動的に第2部品収納テープ86の待機位置96からの繰り出しを許容する。したがって、第1および第2部品収納テープ85、86を接続するスプライシング作業は不要である。テープ制御部95の具体的な構成は、例えば、特開2014-82454号に開示されている。
【0016】
さらに、自動フィーダ装置9は、サーボモータやスプロケットなどで構成される図略のテープ繰り出し機構を備える。自動フィーダ装置9は、待機位置96まで第1部品収納テープ85が挿入されると、サーボモータを正転駆動する。これにより、自動フィーダ装置9は、第1部品収納テープ85を自動的に繰り出して装填し、基板Kの生産準備が整う。つまり、自動フィーダ装置9は、自動装填機能を有する。第2部品収納テープ86の挿入時期は、第1部品収納テープ85を挿入した直後でもよいし、第1部品収納テープ85による生産が行われている途中でもよい。
【0017】
また、自動フィーダ装置9は、排出指令を受け取ると、サーボモータを逆転駆動する。これにより、自動フィーダ装置9は、装填されている第1または第2部品収納テープ85、86の切断された先端を供給位置94からテープ挿入口91の方向へ排出する。つまり、自動フィーダ装置9は、自動排出機能を有する。排出指令は、制御装置16から指令され、あるいは、自動フィーダ装置9に付設された図略の排出ボタンが作業者に押下されて指令される。自動フィーダ装置9は、テープ制御部95を備えるとともに自動装填機能および自動排出機能を有することで、リール交換作業の手間を大幅に軽減している。なお、本願の出願人は、自動フィーダ装置9の詳細な構成例を国際出願JP2014/064443号、および国際出願JP2014/083619号などに出願済みである。
【0018】
共通パレット5のリール装着部55は、2本のアーム部材56、および連結部材59などで構成されている。2本のアーム部材56は、フィーダ装着部51の幅方向の両側の後部に、それぞれ固定されている。アーム部材56は、初めは水平後方に延び、続いて後下方向へと傾斜して延び、終わりは水平後方に延びるように形成されている。2本のアーム部材56は、後端が連結部材59で連結されることで、平行配置が確保されている。2本のアーム部材56の傾斜部分の上側に、それぞれ小さな板状の前部装着座57が設けられている。2本のアーム部材56の後方の水平部分の上側に、それぞれ前後方向に長い板状の後部装着座58が設けられている(図2参照)。前部装着座57および後部装着座58の上側に、リール保持装置1が着脱可能に装着される。
【0019】
(2.第1実施形態のリール保持装置1の構成)
次に、第1実施形態のリール保持装置1の構成について説明する。リール保持装置1は、リール保持部2および装着部3からなる。リール保持部2は、2組の前部側板21および後部側板22、複数枚の仕切り板24、および複数の外周支持ローラ26などで構成されている。前部側板21は、前側が高く、後側に向かうにつれて上縁が徐々に下降する板材で形成されている。
【0020】
前部側板21の前側の下部寄りには、傾斜した板状の前部装着板31が設けられている。前部側板21の底部には、前後方向に長い板状の後部装着板32が設けられている。前部装着板31は、リール装着部55の前部装着座57に装着され、後部装着板32は、リール装着部55の後部装着座58に装着される。装着方法として、ねじ止めによる固定方法を例示でき、これに限定されない。前部装着板31および後部装着板32は、装着部3に相当する。
【0021】
後部側板22は、前部側板21の真後ろに結合して配置されており、前部側板21よりも小さい。後部側板22は、前側が低く、後側に向かうにつれて上縁が徐々に上昇する板材で形成されている。2組の前部側板21および後部側板22は、20台の自動フィーダ装置9が列設される幅方向寸法だけ相互に離間して平行に配置される。
【0022】
平行する2組の前部側板21および後部側板22の間に、複数の仕切り板24が等間隔で平行に配置される。隣り合う仕切り板24の間隔寸法D(図2参照)は、自動フィーダ装置9の列設ピッチに一致する。また、端の仕切り板24と、前部側板21および後部側板22との間の間隔寸法Dも、自動フィーダ装置9の列設ピッチに一致する。
【0023】
隣り合う仕切り板24の間の空間の前寄りに第1リール支承部41が形成され、空間の後寄りに第2リール支承部42が形成される。同様に、端の仕切り板24と、前部側板21および後部側板22との間にも、第1リール支承部41および第2リール支承部42が形成される。第1実施形態では、20台の自動フィーダ装置9に合わせて19枚の仕切り板24が配置されており、第1リール支承部41および第2リール支承部42は、それぞれ20箇所となる。
【0024】
第1リール支承部41の下方寄りの前後に離隔して、2個の外周支持ローラ261、262(破線示)が配設されている。外周支持ローラ261、262は、それぞれ軸部材271、272により回転可能に支承されている。軸部材271、272は、両側の前部側板21の間に架け渡されて、仕切り板24を貫通している。同様に、第2リール支承部42の下方寄りの前後に離隔して、2個の外周支持ローラ263、264が配設されている。外周支持ローラ263、264は、それぞれ軸部材273、274により回転可能に支承されている。軸部材273は、両側の前部側板21の間に架け渡されて、仕切り板24を貫通している。軸部材274は、両側の後部側板22の間に架け渡されて、仕切り板24を貫通している。
【0025】
第1リール支承部41および第2リール支承部42の各2個の外周支持ローラ261~264の上側に、それぞれ第1および第2部品供給リール81、82がセットされる。各2個の外周支持ローラ261~264は、それぞれ第1および第2部品供給リール81、82の外周を回転可能に保持する。第1および第2リール支承部41、42は、大きさの異なる第1および第2部品供給リール81、82を保持できる。ただし、第1および第2部品供給リール81、82の外径寸法は、2個の外周支持ローラ261~264の離間距離よりも大きく、かつ、前後に並ぶリール81、82同士が接触しない範囲に限定される。
【0026】
4本の軸部材271~274は、各仕切り板24を支持している。これにより、リール保持装置1の形状が定められる。なお、各軸部材271~274は、それぞれ複数本に分割され、分割された各軸部材の位置が変更されていてもよい。これにより、外径寸法が異なる複数の部品供給リール81、82に適した構成とすることができる。また、外周支持ローラ261~264が無く、軸部材271~274が直接的に第1および第2部品供給リール81、82の外周を回転可能に保持する構成でもよい。
【0027】
(3.第2実施形態のリール保持装置10の構成)
続いて、第2実施形態のリール保持装置10の構成について説明する。第2実施形態において、部品実装機が幅方向に大きく、共通パレット5のフィーダ装着部51に40台の自動フィーダ装置9が列設される。図3は、第2実施形態のリール保持装置10を後方から見た図である。第2実施形態のリール保持装置10は、部品保持部が幅方向において第1部品保持部2Aおよび第2部品保持部2Bに2分割されている。また、共通パレット5は、第1および第2部品保持部2A、2Bを個別に着脱可能に装着するために、2組のリール装着部55A、55Bを有する。第2実施形態のリール保持装置10は、構造的には、概ね第1実施形態のリール保持装置1を幅方向に2台並べたものとなっているので、詳細な説明は省略する。
【0028】
なお、第1および第2実施形態のリール保持部2、2A、2Bにおいて、第1および第2リール支承部41、42の箇所数は、増減変更できる。例えば、第2リール支承部42の無い第1リール支承部41のみの構成としてもよい。また、図4に示されるように、幅方向に1箇所の第1および第2リール支承部41、42のみを有する第3実施形態のリール保持装置11も考えられる。図4は、第3実施形態のリール保持装置11を後方から見た図である。このリール保持装置11は、仕切り板24を有さず、2組の前部側板21および後部側板22の間に第1および第2リール支承部41、42が形成される。
【0029】
(4.第1および第2実施形態のリール保持装置1、10の使用方法)
次に、第1および第2実施形態のリール保持装置1、10の使用方法について説明する。前提条件として、共通パレット5は、機台19に装備された状態であるとする。部品実装機の稼動に先立ち、作業者は、まず共通パレット5に複数の自動フィーダ装置9を装着する。図5は、自動フィーダ装置9の装着方法を示す図である。図示されるように、初期状態において、共通パレット5には自動フィーダ装置9もリール保持装置1、10も装着されていない。この状態で、作業者は、矢印M1に示されるように複数の自動フィーダ装置9をフィーダ装着部51の平面部52の各スロット54の後方から前方の直立部53に向かって挿入し、装着する。この後、原則として自動フィーダ装置9を共通パレット5から取り外さない。
【0030】
次に、作業者は、部品実装機の外で、リール保持装置1、10の第1および第2リール支承部41、42に第1および第2部品供給リール81、82をセットする。ここで、一般的には、生産する基板種に合わせて、共通パレット5に列設される複数の自動フィーダ装置9に割り振られる部品種の並び順が最適化される。したがって、作業者は、最適化された部品種の並び順に対応付けて、各複数の第1および第2部品供給リール81、82の並び順を決める。また、前後に並んだ第1リール支承部41および第2リール支承部42には、同じ部品種を収納した第1および第2部品収納テープ85、86をそれぞれ巻回した第1および第2部品供給リール81、82がセットされる。
【0031】
次に、作業者は、第1および第2部品供給リール81、82がセットされたリール保持装置1、10を部品実装機まで搬入する。さらに、作業者は、リール保持装置1、10の前部装着板31および後部装着板32(装着部3)を、リール装着部51の前部装着座57および後部装着座58の上側に装着する。これにより、図1に示された配置状態となる。
【0032】
次に、作業者は、第1リール支承部41の第1部品供給リール81から第1部品収納テープ85を引き出し、自動フィーダ装置9のテープ挿入口91から待機位置96まで挿入する。続いて、作業者は、第2リール支承部42の第2部品供給リール82から第2部品収納テープ86を引き出し、テープ挿入口91から待機位置96まで挿入する。これにより、自動フィーダ装置9の自動装填機能が働き、続いて第1部品収納テープ85の繰り出しが始まり、基板の生産が開始される。
【0033】
生産する基板種を変更するとき、作業者は、交換用のリール保持装置1C、10Cを用意する。図6は、生産する基板種を変更するときに、供給する部品種を変更する段取り替え作業の方法を説明する図である。作業者は、次に生産する基板種に必要な複数の部品種に対応する第1および第2部品供給リール81C、82Cを、交換用のリール保持装置1C、10Cに予めセットする。この場合も、作業者は、次に生産する基板に合わせて最適化された部品種の並び順に対応付けて、各複数の第1および第2部品供給リール81C、82Cの並び順を決める。
【0034】
一方、共通パレット5に装着されている自動フィーダ装置9では、自動排出機能により使いかけの第1または第2部品収納テープ85、86を排出する。作業者は、必要に応じて第1および第2部品供給リール81、82を逆転させ、使いかけの第1および第2部品収納テープ85、86を巻き取っておく。そして矢印M2に示されるように、作業者は、装着されているリール保持装置1、10を取り外し、交換用のリール保持装置1C、10Cを装着する。その後、交換用のリール保持装置1C、10Cの第1および第2部品供給リール81C、82Cから部品収納テープを引き出し、自動フィーダ装置9のテープ挿入口91から待機位置96まで挿入する。これにより、段取り替え作業が終了する。
【0035】
また、第2実施形態の第1および第2部品保持部2A、2Bを備えるリール保持装置10においては、次に示す3種類の段取り替え作業の方法がある。
【0036】
1)第1部品保持部2Aおよび第2部品保持部2Bを同時に一括交換する。この方法は、生産中の基板と次に生産する基板とで共通する部品種が少なく、変更する部品種の数が20種類を超えている場合に実施する。
【0037】
2)第1部品保持部2Aおよび第2部品保持部2Bを交互に交換する。この方法は、生産する複数種類の基板にそれぞれ必要な部品種が20種類以下の場合に実施できる。例えば、基板種Aに対して第1部品保持部2Aから部品を供給し、次の基板種Bに対して第2部品保持部2Bから部品を供給する。そして、次の基板種Cに対し、第1部品保持部2Aを交換して段取り替えする。さらに、次の基板種Dに対し、第2部品保持部2Bを交換して段取り替えし、その次の基板種Eに対し、第1部品保持部2Aを再び交換して段取り替えする。この方法によれば、段取り替え作業時に部品保持部の全体を交換する必要がなく、作業効率が向上する。
【0038】
3)第1部品保持部2Aを固定的に装着して、第2部品保持部2Bのみを交換する。この方法は、生産する複数種類の基板において、共通する汎用部品が20種類以下で、かつ基板種ごとに固有な部品が20種類以下の場合に実施できる。この場合、汎用部品に対応する第1および第2部品供給リール81、82を、固定的に装着する第1部品保持部2Aにセットする。一方、固有な部品に対応する第1および第2部品供給リール81、82を、逐次交換する第2部品保持部2Bにセットする。この方法によれば、段取り替え作業時に部品保持部の全体を交換する必要がなく、作業効率が向上する。
【0039】
なお、基板の生産中に或る部品種の部品が無くなる部品切れが発生したときには、リール保持装置1、10が共通パレット5に装着されている状態で、当該の第1および第2部品供給リール81、82のみを交換すればよい。この場合にも、自動排出機能および自動装填機能によって、作業者の負担が軽減される。
【0040】
(5.第1および第2実施形態のリール保持装置1、10の態様および効果)
第1および第2実施形態のリール保持装置1、10は、複数の部品収納部にそれぞれ部品を収納した部品収納テープ85、86が挿入されると部品収納テープ85、86を自動的に装填する自動装填機能を有する複数の自動フィーダ装置9と組み合わせて使用されるリール保持装置1、10であって、複数の部品収納テープ85、86がそれぞれ巻回された複数の部品供給リール81、82を回転可能かつ交換可能に保持するリール保持部2、2A、2Bと、複数の自動フィーダ装置9が列設されて部品実装機に装備される共通パレット5に対し、リール保持部2、2A、2Bを着脱可能に装着する装着部3と、を備えた。
【0041】
第1および第2実施形態では、次に生産する基板種に必要な部品の複数の種類に対応する各部品供給リール81C、82Cを、交換用のリール保持装置1C、10Cに予め保持させておくことができる。これにより、段取り替え作業ではリール数よりも少数のリール保持装置1C、10Cを交換すればよく、多数のリール単品を交換する従来技術と比較して段取り替え時間を短縮できる。また、交換用のリール保持装置1C、10Cを用意する必要はあるが、交換用の自動フィーダ装置9は必要でない。これにより、複数のフィーダ装置を一括交換する従来技術と比較して、リール保持装置1、10よりも高価な自動フィーダ装置9の台数を削減できる。したがって、段取り替え作業時の高い作業効率および生産効率と、設備コストの抑制とを両立できる。
【0042】
さらに、第1および第2実施形態において、リール保持部2、2A、2Bに保持された複数の部品供給リール81、82の並び順が、共通パレット5に列設される複数の自動フィーダ装置9に割り振られる部品種の並び順に対応付けられている。これによれば、部品供給リール81、82の並び順と、部品種の並び順とが自動的に対応付けられるので、作業誤りのおそれを低減できる。また、割り振られた部品種と部品供給リール81、82の実際の部品種との一致を確認するベリファイ作業は容易であり、かつ短時間で実施可能である。
【0043】
さらに、第2実施形態において、リール保持部が複数に分割されており、装着部3は、分割された複数のリール保持部2A、2Bを個別に着脱可能に装着する。これによれば、生産する基板種に合わせて、複数のリール保持部2A、2Bの使用方法を効率化できる。例えば、第1部品保持部2Aおよび第2部品保持部2Bを同時に一括交換する方法、交互に交換する方法、ならびに一方を固定して他方のみ交換する方法のうちいずれかを採用できる。したがって、段取り替え作業時の作業効率はさらに向上する。
【0044】
さらに、第1および第2実施形態において、自動フィーダ装置9は、同一種類の部品を収納した第1部品収納テープ85および第2部品収納テープ86を挿入可能であり、挿入された第1部品収納テープ85を自動的に繰り出す一方で挿入された第2部品収納テープ86を待機させ、かつ第1部品収納テープ85が無くなると自動的に第2部品収納テープ86の繰り出しを開始するものであり、リール保持部3は、自動フィーダ装置9の1台あたりに、第1部品収納テープ85および第2部品収納テープ86がそれぞれ巻回された2個の部品供給リール81、82を保持する。
【0045】
これによれば、リール保持装置1、10と、スプライシング作業の不要な自動フィーダ装置9とを組み合わせて使用できる。この組み合わせによれば、機外段取り替えで複数の部品供給リール81C、82Cを交換用のリール保持装置1C、10Cに並べてゆくだけでよい。加えて、リール保持装置1C、10Cを共通パレット5に装着する機内段取り替えのとき、自動フィーダ装置9の自動装填機能および自動排出機能が働く。したがって、段取り替え作業時の作業効率は、さらに大幅に向上する。
【0046】
(6.実施形態のリール交換装置6)
次に、実施形態のリール交換装置6について説明する。図7は、実施形態のリール交換装置6の側面図である。リール交換装置6は、第1および第2実施形態のリール保持装置1、10の交換作業を支援する。リール交換装置6は、概ね台車形状であり、台車本体部61および載置台66などで構成されている。
【0047】
台車本体部61は、底板611、および底板611の後部から起立したボディ612からなる。底板611の下面の前寄り(図7では右側)に、進行方向が固定された一対の前輪613が設けられている。底板611の下面の後寄り(図7では左側)に、進行方向が変化し得る一対の後輪614が設けられている。ボディ612の上部に、スライド保持部62が設けられている。ボディ612の後側から後ろ上方に向け、高さ調整レバー63が張り出して設けられている。高さ調整レバー63は、スライド保持部62の高さ調整機能を有する。ボディ612の後側から上方に向け、ブレーキ付きのハンドル64が延在している。
【0048】
載置台66は、前後方向にスライド移動可能にかつ脱落不能にスライド保持部62に保持されている。載置台66の上面は、図7に破線で示されるように、リール保持装置1、1C、10、10Cを載置できるようになっている。載置台66の上面の床面FLからの高さHは、共通パレット5のリール装着部55の後部装着座58の高さに略一致している。また、一致していない場合に、作業者は、高さ調整レバー63を操作して載置台66の高さHを調整できる。作業者は、ハンドル64を押してリール交換装置6を移動させ、載置台66上のリール保持装置1、1C、10、10Cを運搬する。
【0049】
リール保持装置1、1C、10、10Cの交換作業において、作業者は、載置台66の上面に何も載置されていない第1のリール交換装置6、および、載置台66の上面に交換用のリール保持装置1C、10Cが載置された第2のリール交換装置6を準備する。作業者は、まず、第1のリール交換装置6を部品実装機の共通パレット5の後方に移動させる。作業者は、次に、装着されているリール保持装置1、10を共通パレット5から取り外し、第1のリール交換装置6の載置台66に載置する。作業者は、第1のリール交換装置6を共通パレット5から遠ざけ、替わりに第2のリール交換装置6を共通パレット5の後方に移動させる。作業者は、次に、第2のリール交換装置6の載置台66に載置されている交換用のリール保持装置1C、10Cを共通パレット5に装着する。これにより、リール保持装置1、1C、10、10Cの交換作業が終了する。
【0050】
なお、1台のリール交換装置6に2組のスライド保持部62および載置台66を設けた構成を採用することもできる。この構成では、取り外したリール保持装置1、10を第1の載置台66に載置し、第2の載置台66に載置されている交換用のリール保持装置1C、10Cを共通パレット5に装着する。したがって、この構成によれば、1台のリール交換装置6だけで済む。
【0051】
実施形態のリール交換装置6は、第1および第2実施形態に記載されたリール保持装置1、1C、10、10Cを収容して、運搬および共通パレット5への着脱を可能とする。これによれば、リール保持装置1、1C、10、10Cの交換作業を容易に、かつ短時間で行える。
【0052】
(7.実施形態の応用および変形)
なお、本発明の部品実装機は、第1ないし第3実施形態における各リール保持装置1、1C、10、10C、11を組み合わせて使用することができる。また、第1および第2実施形態のリール保持装置1、10は、説明した自動フィーダ装置9以外のフィーダ装置と組み合わせて使用することもできる。また、第2実施形態において、2分割した第1および第2リール保持部2A、2Bで保持するリール数が異なっていてもよい。さらに、リール保持部を3個以上の多数に分割してもよい。実施形態のリール交換装置6は、手押し形の台車形状である必要はなく、自走式搬送車などの変形が可能である。本発明は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1,1C,10,10C,11:リール保持装置、2:リール保持部、2A,2B:第1,第2部品保持部、3:装着部、31:前部装着板、32:後部装着板、41,42:第1,第2リール支承部、5:共通パレット、51:フィーダ装着部、55,55A,55B:リール装着部、6:リール交換装置、62:スライド保持部、66:載置台、81,82:第1,第2部品供給リール、85,86:第1,第2部品収納テープ、9:自動フィーダ装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7