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▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

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  • 特許-フォイル軸受 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】フォイル軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 27/02 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
F16C27/02 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022500722
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020065820
(87)【国際公開番号】W WO2021008776
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102019210456.8
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヴェスナー,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィートマン,フェリックス
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-190761(JP,A)
【文献】特開2014-037857(JP,A)
【文献】特開2017-020605(JP,A)
【文献】特開昭60-091018(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169676(WO,A1)
【文献】米国特許第09057401(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第115296467(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受スリーブ(12)内に配置され、かつこの軸受スリーブ(12)内で固定されている少なくとも1つのフォイル(16,18)を有するフォイル軸受(10)において、
前記軸受スリーブ(12)が、該軸受スリーブ(12)の周方向で互いにずらして配置された少なくとも2つの開口(20,22,24)を含む少なくとも3つの開口(20,22,24)を有しているか、または前記軸受スリーブ(12)の内周壁に設けられた少なくとも2つの凹部(120,122,124)を含む少なくとも3つの凹部(120,122,124)を有しており、前記開口または前記凹部内に、少なくとも1つの前記フォイル(16,18)の対置する2つの周方向端部区分(16a,16b,18a,18b)が係合し、
少なくとも2つの開口(20,22)または凹部(120,122)が、前記軸受スリーブ(12)の縦軸線(14)の方向で互いにずらして配置されていて、
第1の周方向位置に少なくとも1つの第1の開口(20)または凹部が設けられていて、前記軸受スリーブ(12)の前記縦軸線(14)の方向で前記第1の開口(20)または前記凹部(120)に対してずらして少なくとも1つの第2の開口(22)または凹部(122)が設けられており、第2の周方向位置に少なくとも1つの第3の開口(24)または凹部(124)が設けられていて、これらの開口または凹部が、前記軸受スリーブ(12)の前記縦軸線(14)の方向で前記第1および第2の開口(20,22)または前記凹部(120,122)に関連してずらして配置されていることを特徴とする、フォイル軸受。
【請求項2】
少なくとも1つの前記第3の開口(24)または前記凹部(124)が、前記軸受スリーブ(12)の前記縦軸線(14)の方向で見て、少なくとも1つの前記第1の開口(20)または前記凹部(120)と少なくとも1つの前記第2の開口(22)または前記凹部(22)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1記載のフォイル軸受。
【請求項3】
少なくとも1つの前記フォイル(16,18)の前記周方向端部区分(16a,16b,18a,18b)の少なくとも1つが少なくとも1つの差し込み舌片(26)を有していて、該差し込み舌片(26)が、前記開口(20,22,24)または前記凹部(120,122,124)の少なくとも1つに係合することを特徴とする、請求項1または2項記載のフォイル軸受。
【請求項4】
少なくとも1つの前記差し込み舌片(26)が、周方向でこの差し込み舌片(26)の自由端部に向かって先細りしていて、前記フォイル軸受(1)が、オーバーフォイル(4)およびアンダーフォイル(3)を有しており、該アンダーフォイル(3)は、前記オーバーフォイル(4)と前記軸受スリーブ(2)との間に配置されていることを特徴とする、請求項3記載のフォイル軸受。
【請求項5】
少なくとも1つの前記差し込み舌片(26)が、少なくとも概ね台形または三角形または丸味を付けられた端部を有する長方形に形成されていることを特徴とする、請求項4記載のフォイル軸受。
【請求項6】
前記フォイル軸受(10)が、少なくとも1つのオーバーフォイル(18)およびアンダーフォイル(16)を有しており、該アンダーフォイル(16)は、前記オーバーフォイル(18)と前記軸受スリーブ(12)との間に配置されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のフォイル軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載したフォイル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフォイル軸受は特許文献1により公知である。このフォイル軸受は軸受スリーブを有しており、この軸受スリーブ内に少なくとも1つのフォイルが配置されていて、このフォイルは軸受スリーブ内に固定されている。少なくとも1つのフォイルを固定するために、軸受スリーブはその内周壁に、軸受スリーブの縦軸線の方向に延在するT字形の複数のウエブを有している。少なくとも1つのフォイルはその周方向端部区分がそれぞれ、T字形のウエブの1つの下に押し込まれ、次いで隣接し合う2つのウエブ間で周方向に固定されている。T字形のウエブを有する軸受スリーブの製造は高価である。何故ならば、軸受スリーブはそのためにその内周壁を切削加工しなければならないからである。従ってフォイル軸受の製造も高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第0927831号明細書
【発明の概要】
【発明の効果】
【0004】
請求項1の特徴を有する本発明によるフォイル軸受は、簡単な形式で少なくとも1つのフォイルの固定が可能である、という利点を有している。凹部または開口の製造は非常に簡単に可能であるので、このようなフィル軸受は安価に製造することができる。
【0005】
従属請求項に、本発明の好適な実施形態および発展形態が提示されている。
【0006】
請求項2および請求項3に記載した構成によって、少なくとも1つのフォイルの固定はさらに改善されている。請求項5に従って開口を孔として構成したことによって、軸受スリーブの特に簡単な製造が可能である。何故ならば軸受スリーブはその内周壁を加工する必要がないからである。請求項7乃至9による構成は、少なくとも1つのフォイルを、軸受スリーブの半径方向でも縦軸線の方向でも、確実に固定することを可能にする。
【0007】
本発明のその他の利点、特徴および詳細は、図面を参照して様々な実施例の詳細が記載されている以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】軸受スリーブおよびこの軸受スリーブ内に配置されたフォイルを有するフォイル軸受の横断面図である。
図2】フォイルなしの軸受スリーブの横断面図である。
図3】軸受スリーブの側面図である。
図4】軸受スリーブ内に配置する前のフォイルの初期状態を示す図である。
図5図4に示したフォイルの変化実施例を示す部分図である。
図6図4に示したフォイルのさらに別の変化実施例を示す部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施例を図面に示し、以下の記述において詳しく説明する。
【0010】
図1乃至図6に、中空円筒形状の軸受スリーブ12を有するフォイル軸受10が示されている。軸受スリーブ12は、軸受リングとも呼ばれ、縦軸線14を有する概ね直中空円筒形の形態を有している。軸受スリーブ12内に、フォイル軸受10の2つのフォイル16,18が配置されている。フォイル16は、ビーム、バンプまたはアンダーフォイルとも呼ばれ、軸受スリーブ12とフォイル18との間に配置されており、フォイル18はトップフォイルまたはオーバーフォイルとも呼ばれる。フォイル軸受10は、フォイル18に当接する図示していない軸を回転可能に軸受けするために用いられる。
【0011】
軸受スリーブ12はその周壁に、図1乃至図3に示されている開口20,22,24を有しており、これらの開口20,22,24は、軸受スリーブ12内でフォイル16,18を固定するための幾何学的形状を形成している。開口20,22,24は好適な形式で、外側から軸受スリーブ12内に形成される孔として構成されている。開口20,22,24は、それぞれ直径dを有している。
【0012】
以下では第1の開口20および第2の開口22と呼ばれる2つの開口20,22は、図3に示されているように、軸受スリーブ12の縦軸線14の方向で互いにずらして、縦軸線14に対して平行にラインL上に配置されている。開口24は、以下では第3の開口24と呼ばれていて、第1および第2の開口20,22に関連して軸受スリーブ12の周方向でずらして配置されている。第1および第2の開口20,22と第3の開口24との間に、図2に示されているように軸受スリーブ12の縦軸線14に関連して角度αが存在する。好適な形式で、第3の開口24は、軸受スリーブ12の縦軸線14の方向で見て第1の開口20と第2の開口22との間に配置されていて、特に図3に示されているように第1の開口20と第2の開口22との間の少なくとも概ね中央に配置されている。第1の開口20および第2の開口22は、軸受スリーブ12の第1の周方向位置に配置されていて、第3の開口24は軸受スリーブ12の第2の周方向位置に配置されている。
【0013】
貫通開口20,22,24の代わりに、図2で軸受スリーブ12の下の領域内に破線で示されているように、軸受スリーブ12の内周壁に凹部120,122,124が設けられていてもよい。しかしながら、これらの凹部120,122,124は、軸受スリーブ12の内側から設ける必要があり、例えば座繰り穴として形成され得る。
【0014】
図4では、フォイル16,18は、軸受スリーブ12内に配置する前の展開された状態で示されている。周方向で逆向きの両方の周方向端部区分16a,18aおよび16b,18bに、フォイル16,18はそれぞれ少なくとも1つの差し込み舌片26を有しており、これらの差し込み舌片26はそれぞれ、軸受スリーブ12の縦軸線14の方向で見てフォイル16,18の幅Bよりも小さい幅bを有している。フォイル16,18の一方の周方向端部区分16a,18aに、縦軸線14の方向で互いにずらして配置された2つの差し込み舌片26が設けられていて、フォイル16,18の他方の周方向端部区分16b,18bには1つの差し込み舌片26が設けられているだけである。フォイルの両方の周方向端部区分に、1つの差し込み舌片26だけが設けられているか、またはそれぞれ複数の、2つより多くの差し込み舌片26が設けられていてもよい。
【0015】
差し込み舌片26は好適な形式で、これらの差し込み舌片26がその自由端部に向かって先細りするように、つまりその幅bが小さくなるように構成されている。この場合、差し込み舌片26は、図4に示されているように少なくとも概ね台形に構成されていてよい。選択的に、これらの差し込み舌片26は、図5に示されているように、概ね三角形または歯形に構成されているか、または図6に示されているように、丸味の付けられた端部を有する概ね長方形に構成されていてもよい。
【0016】
差し込み舌片26を備えたフォイル16,18は、例えば金属フォイルとして構成されていて、打ち抜き成形によって製造されてよい。2つのフォイル16,18の間に、さらに第3のフォイルが配置されていてもよい。
【0017】
軸受スリーブ12内にフォイル16,18を配置するために、これらのフォイル16,18は、軸受スリーブ12の内径よりも小さい直径に巻かれ、縦軸線14の方向で軸受スリーブ12内に挿入される。フォイル16,18の周方向端部区分16a,18aに設けられた差し込み舌片26は、軸受スリーブ12の第1の開口20若しくは第2の開口22内に挿入され、フォイル16,18の他方の周方向端部区分16b,18bの差し込み舌片26は、軸受スリーブ12の第3の開口24内に挿入される。この場合、フォイル16,18は、軸受スリーブ12の周方向にばね弾性的に広がり、差し込み舌片26は開口20,22,24内に引っ掛かり、それによってフォイル16,18は、半径方向および縦軸線14の方向で軸受スリーブ12内に固定されている。差し込み舌片26は、縦軸線14の方向で互いにずらして配置されているので、互いに衝突することがなく、開口20,22,24内に挿入され得る。
【0018】
開口20,22,24の角度αおよび直径dの大きさ、並びに差し込み舌片26の幅bは、開口20,22,24内での差し込み舌片26の確実な保持およびひいてはフォイル16,18の確実な固定を可能にするために、適切に規定されている。
【0019】
軸は、例えば流体機械の(同様に図示していない)ロータに所属している。流体機械は、例えば燃料電池システム内の空気供給ユニットの一部である。燃料電池システム内の流体機械は例えば圧縮機として構成されている。圧縮機は、好適にはロータの構成部分である圧縮機ホイールを含む。
【符号の説明】
【0020】
10 フォイル軸受
12 軸受スリーブ
14 縦軸線
16 フォイル
16a,16b,18a,18b 周方向端部区分
18 フォイル
20 第1の開口
22 第2の開口
24 第3の開口
26 差し込み舌片
120,122,124 凹部
d 直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6