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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】調量弁を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20240517BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/04701 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/0432 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240517BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240517BHJP
   B60L 50/70 20190101ALI20240517BHJP
   B60L 58/30 20190101ALI20240517BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04701
H01M8/0432
H01M8/0438
H01M8/04313
H01M8/04 N
H01M8/00 Z
B60L50/70
B60L58/30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022519617
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2020076086
(87)【国際公開番号】W WO2021063703
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-28
(31)【優先権主張番号】102019215211.2
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】マーゲル,ハンス-クリストフ
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-112585(JP,A)
【文献】特開2008-196401(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017220800(DE,A1)
【文献】特開2019-050167(JP,A)
【文献】特開2018-160363(JP,A)
【文献】特開2008-198575(JP,A)
【文献】国際公開第2013/045048(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011114797(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム(10)を停止させるための方法であって、前記燃料電池システム(10)が再循環パス(26)内で陽極側のガス流を圧送するための噴射ポンプ(28)を備えていて、前記噴射ポンプ(28)がHを調量するための調量弁(36)と駆動ノズル(46)とを有している方法において、
前記駆動ノズル(46)のノズル通路(58)内の凝縮水を取り除くために、前記燃料電池システム(10)の冷却中に前記駆動ノズル(46)を少なくとも1回、衝撃的に貫流させ、
前記駆動ノズル(46)の前記衝撃的な貫流を、20℃乃至30℃の温度への前記燃料電池システム(10)の冷却中に実施することを特徴とする、燃料電池システム(10)を停止させるための方法。
【請求項2】
氷点に達する直前に、前記駆動ノズル(46)をさらにもう1回、衝撃的に貫流させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記駆動ノズル(46)をガス状のHで負荷することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記衝撃的な貫流を、3bar乃至16barの範囲内のインレット圧力で実施することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
少なくとも前記衝撃的な貫流を、0.01秒乃至0.1秒の時間中に実施することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記調量弁(36)の制御時点で、前記駆動ノズル(46)周囲の吸込み領域(66)内におけるよりも高い圧力がH―インレット(30)内に形成されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法に従って陽極側のガス流を圧送するための調量弁(36)を備えた噴射ポンプ(28)であって、前記噴射ポンプ(28)の吸込み領域(66)内に突入する駆動ノズル(46)を有しており、前記駆動ノズル(46)のH-インレット(30)が、前記調量弁(36)によって開放または閉鎖される形式のものにおいて、
前記駆動ノズル(46)がノズルアウトレット(62)とバルブシート(50)との間に、70mm乃至200mmの大きさである最小の死容積を有していることを特徴とする、噴射ポンプ。
【請求項8】
前記駆動ノズル(46)の前記ノズルアウトレット(62)が、軸方向で混合管(64)の前に位置していて、前記再循環パス(26)の吸込み領域(66)が前記駆動ノズル(46)の周囲に延在していることを特徴とする、請求項記載の組み込まれた調量弁(36)を有する噴射ポンプ(28)。
【請求項9】
請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料電池システム(10)を停止させるための方法を、車両の駆動のために使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム内の噴射ポンプの部分としての調量弁を制御するための方法、並びに噴射ポンプの部分としての調量弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、燃料電池システムを運転するための方法に関する。陽極室と陰極室とを有する少なくとも1つの燃料電池が設けられており、この場合、陽極室に燃料源から燃料(H)が供給され、未燃焼排ガスが陽極室からガス噴射ポンプを介して、陽極室に流入する燃料に再循環され、ガス噴射ポンプは加熱可能なノズルを有している。ガス噴射ポンプのノズルの加熱は、燃料がガス噴射ポンプを通って流れないときにのみ行われる。
【0003】
特許文献2は、燃料電池システムを停止させるための方法に関する。陽極再循環は、陽極排ガスを吸入するためのガス噴射ポンプを含んでおり、この場合、ガス噴射ポンプは、弁およびノズルを介してガス噴射ポンプ内に流入する燃料ガス流によって駆動される。燃料電池システムの冷却中に、弁とノズルとの間の領域内に、陽極再循環の領域内に形成される圧力と比較して同じかまたはそれよりも高い圧力が維持される。
【0004】
例えば燃料電池内で水素を調量するために、磁気アクチュエータを有するガス弁が公知である。このような形式のガス弁は、例えば比例弁として構成されている。陽極ガスの必要な再循環を促進するために、燃料電池システム内で陽極回路内に噴射ポンプが使用される。このような形式の噴射ポンプは駆動ノズルを有しており、この駆動ノズルは、ガス調量弁の水素流によって貫流される。噴射ポンプの駆動ノズルは、ガス調量弁の部分である。ガス調量弁は、弁の駆動ノズルのアウトレットが軸方向で噴射ポンプの混合管の前に位置していて、駆動ノズルの周囲に吸込みのためのスペースが形成されるように、噴射ポンプ内に位置決めされている。
【0005】
噴射ポンプおよびガス調量弁を組み込んだ上記配置構成において、噴射ポンプは湿った陽極ガスを駆動する。したがって、燃料電池の停止後に不都合な冷却状況が発生した場合、駆動ノズルのノズル孔内の湿気が凝縮し得る。相応に低い周囲温度において、最も不都合なケースではノズルが凍結することがある。この場合、水素の調量はもはや不可能であり、燃料電池はもはや始動できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102011114797号明細書
【文献】国際公開第2013045048号
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、Hを調量する組み込まれた調量弁を備えた、再循環パス内で陽極側のガス流を圧送するための噴射ポンプを有する燃料電池システムを停止させるための方法が提案される。凝縮水を取り除くために、燃料電池システムの冷却中に駆動ノズルが少なくとも1回、衝撃的に貫流される。
【0008】
本発明に従って提案された方法によって、第1の冷却段階後に陽極ガス側のガス流内に含まれた湿気の大部分が凝縮した後で、これらの凝縮された湿気が駆動ノズルから取り除かれ得る。したがって、例えば燃料電池システムによって駆動される車両は、例えば寒い季節において外気温度が低くなったときでも、戸外で駐車することができる。
【0009】
本発明による方法の別の実施態様によれば、氷点に達する直前に、駆動ノズルのさらなる衝撃的な貫流が作動され得る。低い外気温度において燃料電池システムの再始動が確実に行われることを保証するために、氷点に達する直前に駆動ノズルはもう1回、衝撃的に貫流され、それによって、場合によっては堆積した水がすべて確実に駆動ノズルから取り除かれる。
【0010】
本発明に従って提案された方法の発展形態によれば、駆動ノズルは、燃料、特にHで負荷される。
【0011】
本発明に従って提案された方法の発展形態では、駆動ノズルの衝撃的な貫流が、20℃乃至30℃の温度への燃料電池システムの冷却中に実施される。これによって、好適な形式で、陽極ガス内に含まれた湿気の大部分が既に凝縮されていて、したがって駆動ノズルの第1の衝撃的な貫流によって、凝縮された水が取り除かれることが保証され得る。
【0012】
本発明に従って提案された方法では、衝撃的な貫流が、3bar乃至16barの範囲内の十分なインレット圧力で実施される。
【0013】
本発明による方法では、少なくとも前記衝撃的な貫流が、0.01秒乃至0.1秒の時間間隔中に実施される。
【0014】
本発明に従って提案された方法では、衝撃的な貫流を実施するための調量弁の制御時点で、燃料インレット、つまりH―インレット内に、駆動ノズル周囲の吸込み領域内に形成される圧力と比較して、より高い圧力が一時的に形成される。したがって、陽極からの媒体、特に湿気を含む媒体が、駆動ノズル若しくは調量弁内に逆流しないように保証されている。
【0015】
さらに、本発明は、前記方法に従って陽極側のガス流を圧送するための、組み込まれた調量弁を備えた噴射ポンプであって、噴射ポンプの吸込み領域内に突入する駆動ノズルを有しており、この駆動ノズルの燃料インレット、特にH-インレットが、調量弁によって開放または閉鎖される噴射ポンプに関し、この場合、駆動ノズルがノズルアウトレットとバルブシートとの間に最小の死容積を有している。この最小の死容積は、例えば70mm乃至200mmの大きさである。
【0016】
組み込まれた調量弁を有する噴射ポンプは、駆動ノズルのノズルアウトレットが軸方向で噴射ポンプの混合管の前に位置していて、再循環パスの吸込み領域が駆動ノズルの周囲に延在するように構成されている。
【0017】
さらに、本発明は、車両を駆動するために用いられる燃料電池システムを停止させるための、前記方法の使用法に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従って提案された解決策は、好適な形式で、特に寒い季節に発生する低い外気温度において、燃料電池システムの停止後に燃料電池システムを支障なく始動させることを可能にする。本発明に従って提案された解決策によって、燃料電池の停止後の不都合な冷却状況が考慮され得る。第1の冷却段階の終了後に、燃料電池システムが、一例としての温度範囲である例えば20℃乃至30℃の温度を有すると、駆動ノズルが衝撃的に貫流されることによって、陽極ガスから凝縮水の第1の取り除きが行われる。
【0019】
低い外気温度においても燃料電池システムの確実な再始動を保証するために、本発明に従って提案された方法によって、氷点に達する直前に、駆動ノズルの新たな衝撃的な貫流が作動され、それによって、場合によっては集積された水が駆動ノズルから取り除かれることが可能であり、氷点を下回る外気温度において、氷による駆動ノズルの詰まりが発生することはない。氷は燃料電池システムの再始動を妨げるであろう。本発明に従って提案された解決策によって除去対策を講じることができる。
【0020】
好適な形式で、この方法は、組み込まれた調量弁を有する噴射ポンプに使用され、この場合、組み込まれた調量弁を有する噴射ポンプは、陽極側のガス流を移送するために用いられる。本発明に従って提案された方法によって、噴射ポンプの駆動ノズルが湿気を含む陽極ガスの範囲内に位置しているという状況が考慮される。第1の冷却段階の終了後に、本発明に従って提案された方法によって、陽極ガス内の凝縮された湿気、つまり水の大部分が既に駆動ノズルから取り除かれ得る。好適な形式で、この方法は、組み込まれた調量弁を有する噴射ポンプにおいて使用され、この場合、駆動ノズルを噴射ポンプ内に組み込むことによって、駆動ノズルのノズルアウトレットとバルブシートとの間に最小の死容積が存在するだけであり、したがって、駆動ノズルを衝撃的に貫流させて、ここに含まれる水を吐き出すために、調量弁を非常に短時間制御するだけで十分である。0.01秒乃至0.1秒の範囲内にある非常に短い貫流時間に基づいて、燃料電池の陽極システム内の高すぎる圧力上昇は避けられ得る。
【0021】
本発明に従って提案された方法によって、燃料電池の冷却中に、噴射ポンプ内に組み込まれた調量弁は、駆動ノズル内に存在する凝縮水を取り除くことができるまで制御されるように、保証されている。調量弁の制御は、一回または複数回行われてよい。既に第1の冷却段階の終了後に、燃料電池システムの温度が20℃乃至30℃に達すると、制御が実施されるので、なお十分なガス圧、つまりH-圧力が調量弁の前の燃料側のインレット内に提供される。燃料電池システムの再始動を保証するために、かつ駆動ノズルが凍結するのを阻止することを保証するために、弁の温度若しくは周囲温度が氷点に達する直前に、駆動ノズルのさらなる衝撃的な貫流が作動されてよい。
【0022】
さらに本発明に従って提案された方法によって、調量弁への燃料側のインレット内、つまりH-インレット内に、組み込まれた調量モジュールを有する噴射ポンプの流出側に形成される圧力と比較して、より高い圧力が制御点で形成されることが保証される。
【0023】
これによって、湿気を含む媒体が再循環パスから駆動ノズル内に逆流することはなく、駆動ノズル内に不都合な水の堆積が生じることはないように、保証されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】再循環パス、噴射ポンプおよび調量弁を有する燃料電池システムの構成要素の概略図である。
図2】H-調量のための組み込まれた調量弁を有する陽極側のガス流を移送するための噴射ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施例を、図面および以下の記載を用いて詳しく説明する。
【0026】
本発明の実施例の以下の説明において、同じまたは類似の要素には同じ符号が付けられており、この場合、個別のケースにおけるこれらの要素の繰り返しの説明は省く。図面は、本発明の対象を概略的に示しているだけである。
【0027】
図1は、調量弁、噴射ポンプ、燃料電池並びにコントロールユニットを有する燃料電池システムの構成要素の図解を示す。
【0028】
図1の図面から、燃料電池システム10が、陽極側のパス12並びに陰極側のパス14を有していることが分かる。この燃料電池システムのうち、ここでは例として1つの燃料電池が示されている。燃料電池システム10内で、周囲空気が陰極側のパス14から陽極側のパス12に向かってN-拡散16になる。陽極側のパス12と陰極側のパス14との間で水交換18が発生し、さらに陽極側のパス12から陰極側のパス14に向かってH-拡散20が発生する。
【0029】
燃料電池システム10の出力側にセパレータ22が位置しており、このセパレータ22の下側に排出弁24が配置されている。セパレータ22を介して、再循環パス26内で循環される陽極側のガス流から、液状の水、つまり水素が分離され得る。
【0030】
図1からさらに分かるように、再循環パス26はセパレータ22から噴射ポンプ28に延在している。噴射ポンプ28は、内部に調量弁36が組み込まれているポンプである(特に図2の図面参照)。噴射ポンプ28は、再循環パス26の再循環インレット32、並びに図1に図示されていない燃料電池インレットを有している。再循環パス26内の流体の流れを促進することを支援するために、再循環パス26内に、ここでは詳しく図示していない再循環ブロワが組み込まれていてよい。調量弁36の前に第1の圧力センサ38が位置しており、第2の圧力センサ40が調量弁36の下流に位置していて、流れ方向で噴射ポンプ28に後置接続されている。調量弁36も第2の圧力センサ40もコントロールユニット34に接続されている。
【0031】
図2に、組み込まれた調量弁36を有する噴射ポンプ28の断面図が示されている。
【0032】
図2は、噴射ポンプ28が、側方にフランジ接続された、組み込まれた調量弁36を有していることを示す。噴射ポンプ28はポンプ体42を有している。このポンプ体42は、混合管64によって貫かれており、この混合管の混合管軸線は符号44で示されている。混合管軸線44に対して同軸的に駆動ノズル46がポンプ体42内に配置されている。駆動ノズル46のノズルアウトレットは符号62で示されていて、同様に混合管軸線44と一直線に並んでいる。この場合、駆動ノズル46は、調量弁36の一部であって、ノズルアウトレット62と向き合う側にバルブシート50を有しており、このバルブシート50はタペット48によって開放されるかまたは操作可能である。駆動ノズル46若しくはその別個のインサートも、調量弁36のフランジも、シール52を介してポンプ体42内に受けられていて、このポンプ体42に対してシールされている。
【0033】
図2はさらに、調量弁36若しくはそのタペット48が電磁コイル54を介して操作可能であって、この場合、電磁コイル54の操作が、図1に示されたコントロールユニット34を介して行われることを示す。タペット48は、調量弁36の本体内でタペット48に対して同軸的に受けられているバルブスプリング56に抗して作動し、この場合、バルブスプリング56は調量弁36の蓋部分で支持されている。
【0034】
図2の図面から分かるように、駆動ノズル46はノズル通路58を有している。ノズル通路58は一方ではノズルアウトレット62によって仕切られていて、他方ではバルブシート50によって仕切られている。図2からさらに分かるように、駆動ノズル46は、ポンプ体42内で吸込み領域66によって取り囲まれている。吸込み領域66内に再循環インレット32が開口している。駆動ノズル46のバルブシート50の上方に燃料電池インレット、つまりH-インレット30が開口している。
【0035】
2つのインレット、再循環インレット32並びにH-インレット30は、噴射ポンプ28のポンプ体42内で互いにシールされている。吸込み領域66から混合管64が延在しており、この混合管はディフューザ部68内に移行している。ディフューザ部68は、同様に混合管軸線44に対して対称的に延びている。混合管64のディフューザ部68は流出領域70に移行しており、この流出領域70は一方では蓋74によって閉鎖されていて、他方では流出部72を有しており、この流出部72は再び再循環パス26内に開口している。
【0036】
本発明によって提案された、燃料電池システムを停止させるための方法は好適には、燃料、特にHを調量するための組み込まれた調量弁36を備えた、図2に断面図で示された噴射ポンプ28によって実行される。図1に示した燃料電池システム10の停止後に、燃料電池システムが20℃乃至30℃の温度に達するまで、燃料電池システム10の冷却段階が行われる。この温度で、陽極ガス内、つまり再循環パス26内で移送されたガス内に含まれる湿気の大部分が、特に駆動ノズル46のノズル通路58の通路の領域内で凝縮される。所定時間間隔の経過後、若しくはこの温度範囲つまり20℃乃至30℃の温度範囲に達した後で、コントロールユニット34によって調量弁36の衝撃的な制御が行われ、その結果駆動ノズル46の衝撃的な貫流が行われ、それによって凝縮水が確実にこの駆動ノズルから取り除かれる。
【0037】
コントロールユニット34によって若しくはこのコントロールユニット34に対応配設された温度センサによって周囲温度が氷点に近づいたことが検知されると、氷点に達する直前にコントロールユニット34によって、非常に短い時間だけ調量弁36の新たな制御が開始され得る。これによって、氷点に達する直前に駆動ノズル46のノズル通路58の貫流が改めて行われるように保証されているので、場合によってはこの駆動ノズル46内に存在する凝縮水が、まだ氷点に達する前に、つまり氷形成が始まる前に、駆動ノズル46のノズル通路58から確実に取り除かれる。したがって周囲温度がさらに低下しても影響はない。何故ならば、水の存在として、ノズル通路58を貫流する氷が形成されることはないからである。したがって、例えば低い外気温度の戸外での駐車時後に、燃料電池システム10を再始動することは問題なく可能である。何故ならば、氷は存在しないので、ノズル通路58が詰まることはないからである。
【0038】
本発明に従って提案された方法は、特に組み込まれた調量弁36を有する噴射ポンプ28で実現することができる。何故ならば、この構造バリエーションにおいて、バルブシート50とノズルアウトレット62との間に存在する死容積は最小であって、本発明に従って提案された方法に適した形式で、ノズル通路58を衝撃的に貫流させて凝縮水を吐き出すために、調量弁36をコントロールユニット34によって非常に短時間制御するだけで十分だからである。
【0039】
本発明に従って提案された方法によってさらに、コントロールユニット34による調量弁36の制御時点で、駆動ノズルの衝撃的な貫流が行われる前に燃料側のインレット側に、つまりH-インレット30に、より高い圧力が形成されることが保証されている。これによって、噴射ポンプ28の流出側から湿気を含む陽極ガスが駆動ノズル46内に逆流することは避けられ、駆動ノズル46は水が侵入しないように保たれる。
【0040】
本発明は、ここに記載された実施例およびこれらの実施例の中で強調された態様に限定されるものではない。むしろ、請求項に記載された範囲内で、当業者の実施の枠内にある多くの変化形が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10 燃料電池システム
12 陽極側のパス
14 陰極側のパス
16 N-拡散
18 水交換
20 N-拡散
22 セパレータ
24 排出弁
26 再循環パス
28 噴射ポンプ
30 H-インレット
32 再循環インレット
34 コントロールユニット
36 調量弁
38 第1の圧力センサ
40 第2の圧力センサ
42 ポンプ体
44 混合管軸線
46 駆動ノズル
48 タペット
50 バルブシート
52 シール
54 電磁コイル
56 バルブスプリング
58 ノズル通路
62 ノズルアウトレット
64 混合管
66 吸込み領域
68 ディフューザ部
70 流出領域
72 流出部
74 蓋
図1
図2