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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】炭酸入り飲料を製造する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240517BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20240517BHJP
   A23L 2/54 20060101ALI20240517BHJP
   A23L 2/385 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
A23L2/00 T
A23L2/54
A23L2/00 X
A23L2/385
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022525842
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2020080961
(87)【国際公開番号】W WO2021089621
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】102019217331.4
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518245593
【氏名又は名称】フレーツィオ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリューガー、 マルク
(72)【発明者】
【氏名】エムプル、 ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ゾンデレッガー、 レモ
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011001252(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
A23L 2/00
A23L 2/54
A23L 2/385
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料濃縮物のポーション(2)が水のポーション(3)と混合され、前記水のポーション(3)の水が、前記飲料濃縮物との混合の前に設けた静止型混合器(5)において二酸化炭素(4)と混合されて、飲料(1)をポーション単位で調製する方法であって、
前記二酸化炭素(4)との混合が、7bar以上の正圧で行われ、
前記静止型混合器(5)の下流に設けた補償装置(6)が、前記静止型混合器(5)の圧力を7bar以上に調整することを特徴とする、飲料をポーション単位で調製する方法。
【請求項2】
前記水が、前記二酸化炭素(4)との混合の前に、0℃~10℃の温度で供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記静止型混合器(5)における流速が、3m/s~8m/sであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
動作条件と比較して低減された圧力が、前記水のポーション(3)の調製の前および後に前記静止型混合器(5)において存在することを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記水の量の前記二酸化炭素の量に対する割合が、制御されることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
飲料濃縮物のポーション(2)が水のポーション(3)と混合され、前記水のポーション(3)が、前記飲料濃縮物との混合の前に設けた静止型混合器(5)において二酸化炭素(4)と混合され、飲料をポーション単位で調製する装置であって、
前記静止型混合器(5)が、複数の混合器段(7)から構成され、
前記静止型混合器(5)の下流に設けた補償装置(6)が、前記静止型混合器(5)の圧力を7bar以上に調整することを特徴とする、飲料をポーション単位で調製する装置。
【請求項7】
下流の混合器段の出口が、前記下流の混合器段に隣接する上流の混合器段用のノズルを構成していることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記静止型混合器(5)の流れ断面が、流れ方向において縮小していることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記流れ断面が、段階的に縮小していることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記補償装置(6)が、入口(19)と出口(20)とを有し、
前記出口(20)が、前記補償装置(6)の長手方向の中心軸(26)から位置ずれされていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記補償装置(6)が、ハウジング(13)を有し、
前記ハウジング(13)において、円錐部(23)と円筒部(24)とを有する取り付け要素(14)が設けられ、
前記円筒部(24)には、凸部および/または凹部が設けられ、長手方向におけるその長さが、前記円筒部(24)の長さの40%以下であることを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記円錐部(23)には、リブ(22)が設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料をポーション単位で調製する方法において、飲料濃縮物のポーションが水のポーションと混合され、水のポーションが飲料濃縮物との混合の前に二酸化炭素と混合される方法に関する。
また、本発明は、飲料をポーション単位で調製する装置において、飲料濃縮物のポーションが水のポーションと混合され、水のポーションが、飲料濃縮物との混合の前に静止型混合器において二酸化炭素と混合される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料濃縮物のポーションを用いて炭酸入り飲料をポーション単位で調製する必要性は、絶えず増大している。
その一方、従来、炭酸添加が多くの場合において不十分であったことから、飲料濃縮物のポーションを用いてポーション単位で調製された飲料は、缶入りまたは樽入りの原物のような風味を有していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、飲料濃縮物のポーションが水のポーションと混合される、飲料をポーション単位で調製する方法および装置であって、先行技術の不利な点を有していない方法/装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、飲料をポーション単位で調製する方法において、飲料濃縮物のポーションが水のポーションと混合され、水のポーションが、飲料濃縮物との混合の前に二酸化炭素と混合され、二酸化炭素との混合が、7bar以上、好ましくは、8bar超、特に好ましくは、9bar~11barの正圧で行われる、方法により達成される。
【0005】
本発明の構成は、本発明の他の構成にも適用される。
本発明の特徴は、他の主題にも組み入れることができる。
【0006】
本発明は、飲料をポーション単位で調製する方法に関する。
このために、使い捨て可能または再利用可能な包装体に飲料濃縮物のポーションが設けられ、この飲料濃縮物のポーションの液体状またはパウダー状の内容物は、水のポーション、特に、水道水のポーションと混合され、これにより、完成された飲料は、形成される。
飲料濃縮物との混合の前に、二酸化炭素と混合される水は、二酸化炭素の泡と混合され、二酸化炭素は、少なくとも部分的に、完全に水に溶解する。
水の二酸化炭素との混合は、同様にポーション単位で、この炭酸が添加される水が飲料濃縮物と混合される直前に行われる。
【0007】
水の二酸化炭素との混合は、水と二酸化炭素が互いに調整された割合で混合される連続的な工程において行われる。
【0008】
本発明によると、7bar以上、好ましくは、8bar超、特に好ましくは、9bar~11barの正圧が、水の二酸化炭素との混合中に支配的である。
その結果、二酸化炭素は、水に少なくとも実質的に、完全に溶解する。
【0009】
水のポーションは、水タンクから取り出され、ポンプにより所望の圧力を加えられる。
二酸化炭素は、圧力シリンダから取り出される。
【0010】
水と二酸化炭素の混合は、ポーション単位で行われるが、水が流れている間、特に、水が飲料調製のために水タンクから取り出されている間、連続的に行われる。
【0011】
本実施形態によると、水が、二酸化炭素との混合の前に0℃~4℃の温度で供給される。
さらに好ましい実施形態によると、水が、二酸化炭素との混合の前に4℃~10℃の温度で供給される。
このために、水は、水タンクからの取り出しの後に、熱交換器において冷却されることが好ましい。
水の冷却は、ポーション単位で行われるのが好ましい。
【0012】
二酸化炭素は、少なくとも実質的に泡の形態で水に添加される。
二酸化炭素が、静止型混合器における二酸化炭素の水との混合により水に溶解し、その一方、別の実施形態によると、動的混合器、言い換えれば、ロータを有する混合器は、代替的にまたは追加的に、用いられる。
特に、静止型混合器における流速が、3m/s~8m/sであるのが好ましい。
【0013】
動作条件と比較して低減された圧力、好ましくは、周囲圧力が、炭酸水のポーションの調製の前および後に静止型混合器において支配的である。
飲料のポーションの調製に必要な量の水に炭酸が添加されると直ちに、ポンプは、スイッチをオフにされ、静止型混合器の圧力は、周囲圧力へと低減される。
【0014】
本実施形態によると、水の量の二酸化炭素の量に対する割合が制御される。
このために、水の体積流量および/または流速は、測定され、これに伴って二酸化炭素の体積流量が、測定される。
【0015】
また、本発明の目的は、飲料をポーション単位で調製する装置において、飲料濃縮物のポーションが水のポーションと混合され、水のポーションが、飲料濃縮物との混合の前に静止型混合器において二酸化炭素と混合され、静止型混合器が複数の混合器段から構成される装置により達成される。
【0016】
本発明は、本発明の他の主題にも適用される。
本発明の特徴は、他の主題にも組み入れることができる。
【0017】
本発明は、飲料をポーション単位で調製する装置に関する。
水のポーションは、飲料濃縮物のポーションと混合され、その結果、調製されるべき飲料が得られる。
水には、飲料濃縮物との混合の前に炭酸が添加される。
このために、二酸化炭素は、水に添加され、この二酸化炭素および水は、計量分配される二酸化炭素が水に少なくとも実質的に溶解するように、静止型混合器において互いに混合される。
【0018】
本発明によると、静止型混合器は、複数の混合器段を有し、この混合器段は、例えば、孔部を有する壁により互いに分離されている。
水および二酸化炭素は、孔部を通って流れる。
【0019】
静止型混合器は、ワンピースとして、好ましくは、射出成形による合成樹脂製の部材として製造される。
【0020】
下流の混合器段の出口が、下流の混合器段に隣接する上流の混合器段用のノズルを構成するのが好ましい。
【0021】
静止型混合器の流れ断面が流れ方向において、段階的に縮小するのが好ましい。
【0022】
好ましくは、2つ~4つ、好ましくは、4つの静止型混合器、特に、同一の構成を有する静止型混合器が直列に連結されている。
【0023】
補償装置が、静止型混合器の下流に設けられているのが好ましい。
炭酸水は、飲料を調製するために用いられる前に補償装置を通って流れる。
そして、この補償装置は、圧力を低下させるために用いられてよく、この圧力低下の際、液体から放出される気体は、僅少である。
【0024】
また、補償装置は、略回転対称である構成要素である。
【0025】
さらに、この補償装置が、入口と出口とを有し、出口が、補償装置の長手方向の中心軸から位置ずれされている。
本実施形態によると、出口が、補償装置の長手方向の中心軸から位置ずれされ、好ましくは、補償装置の長手方向の中心軸から中心をずらしている。
その結果、補償装置の中心は、自在であり、他の目的、例えば、圧力損失を制御するために用いられてよい。
【0026】
補償装置がハウジングを有し、ハウジングにおいて、取り付け要素が設けられ、その幅が調整可能であるギャップは、ハウジングと取り付け要素との間に存在する。
炭酸水は、このギャップを通って補償装置の入口からその出口へと流れる。
ギャップ幅は、その長さ全体にわたって一定である。
【0027】
取り付け要素は、円錐部と円筒部とを有し、この円筒部には、凸部および/または凹部が設けられ、長手方向におけるその長さが、円筒部の長さの40%以下である。
【0028】
本実施形態によると、取り付け要素の円錐部にはリブが設けられ、このリブが、弾性を有している。
そして、リブは、取り付け要素と同一の材料または取り付け要素とは異なる材料により構成されてよく、かつ/または、この取り付け要素の円錐部から形成されるものであってよい。
さらに、この取り付け要素には、凹部が設けられており、この凹部は、リブを相互連結によりかつ/または摩擦により受容する。
【0029】
以下、図1図4を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明に係る方法を概略的に示す。
図2図2は、補償装置の図を示す。
図3図3は、補償装置の図を示す。
図4図4は、補償装置の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明は、一例に過ぎず、本発明の概念を限定するものでない。
これらの説明は、本発明のすべての主題に同様に適用される。
【0032】
図1は、飲料を調製する装置を示す。
飲料を調製するために、本例においては、ポーションカプセル2として、使い捨て可能または再利用可能な包装体、例えば、合成樹脂製または金属製のカートリッジに供給された飲料濃縮物が、水のポーション、例えば、200mlの水と混合され、その後、容器1において回収される。
水は、水タンク3に供給され、ポンプ8、この場合、2つの並列接続のポンプ、つまり冗長ポンプにより、7bar以上の所望の圧力を加えられる。
水タンク3から容器1内に流れる流量は、流量計10により監視され、この流量計10は、所望の水量が搬送されるようにポンプ8を制御する。
飲料を調製するために、ポンプ8は、スイッチをオンにされ、所望の水量が得られた後、スイッチをオフにされる。
水は、炭酸が添加される前に冷却される。
このために、冷却水回路を有する熱交換器を備える水冷却システムが設けられている。
二酸化炭素は、水に、冷却後に計量分配される。
二酸化炭素は、二酸化炭素供給装置4、この場合、圧力シリンダから取り出され、泡の形態で二酸化炭素計量分配システム11により水に計量分配される。
二酸化炭素の計量分配は、水の流量に応じて行われ、水の流量は、流量計10により定められる。
そして、二酸化炭素計量分配システム11の下流には、混合器、この場合、静止型混合器5が設けられ、この静止型混合器5は、この場合、2つの段を有し、各段は、複数の混合器段を備えてよい。
静止型混合器5は、流れ断面が各混合器段の後ごとに流れ方向において縮小するように構成されている。
また、静止型混合器5の2つの段は、一様である。
静止型混合器5は、合成樹脂製の部材であり、特に、射出成形による合成樹脂製の部材である。
静止型混合器5において、泡の形態で計量分配された二酸化炭素は、水に溶解し、好ましくは、完全に溶解する。
静止型混合器5の下流には、補償装置6が設けられ、この補償装置6により、静止型混合器5の圧力を調整することができる。
本発明によると、この圧力は、7bar以上であることになる。
【0033】
静止型混合器5と、炭酸水が飲料濃縮物のポーションと混合される混合チャンバ12との間の水の滞留時間は、可能な限り短い。
完成された飲料は、飲料濃縮物のポーションカプセル2から流出し、容器、この場合、グラスにおいて回収される。
飲料濃縮物は、空気を用いてポーションカプセル2から押し出される。
【0034】
図2図4は、それぞれ、補償装置6の図を示す。
そして、この補償装置6は、静止型混合器5の下流に設けられている。
補償装置6は、ハウジング13を有し、このハウジング13には、取り付け要素14が設けられている。
本例において、取り付け要素14およびハウジング13は、略回転対称である。
補償装置6は、長手方向の中心軸26を有する。
ハウジング13内に存在するのは、入口19であり、この入口19を通って炭酸水が流入し、その後、出口20の方向に、ハウジング13と取り付け要素14との間に存在するギャップ15内へと流入する。
本例において、出口20は、長手方向の中心軸26から位置ずれされている。
また、本例における出口20は、インサート部材18に設けられ、このインサート部材18は、ハウジング13に挿入されている。
取り付け要素14とインサート部材18との間には、調整手段17が設けられ、この調整手段17は、両矢印で示されている方向にネジ21により調整可能であり、本例においては、このネジ21は、インサート部材18内に存在するネジ山と係合する。
その結果、このようにして、ギャップ15の幅と、補償装置6で生じる圧力損失とを調整することができる。
本例において、調整手段17と取り付け要素14との間に設けられているのは、バネ要素16であり、このバネ要素16は、取り付け要素14を入口19の方向および/または可能な限り最小のギャップ15の方向に付勢するように構成されている。
調整手段17とインサート部材18との両方に設けられてよいのは、封止要素25であり、この封止要素25は、出口20の方向に流れる水が望ましくない箇所で補償装置6から流出することを防止する。
【0035】
図4のように、取り付け要素14は、この場合、円錐部23と円筒部24とを有している。
また、図4のように、円錐部23には、リブ22が設けられ、このリブ22は、取り付け要素14をハウジング13から離間させ、これにより、流路15を構成し、この流路15を通って液体が、矢印で示すように、入口19から出口20の方向に流れることができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・・飲料
2・・・飲料濃縮物のポーション、飲料濃縮物ポーションカプセル
3・・・水のポーション、水タンク
4・・・二酸化炭素、二酸化炭素供給装置
5・・・混合器、静止型混合器
6・・・補償装置
7・・・混合器段
8・・・ポンプ
9・・・水冷却システム
10・・・流量計
11・・・二酸化炭素計量分配システム
12・・・混合チャンバ
13・・・ハウジング
14・・・取り付け要素
15・・・ハウジングと取り付け要素との間の流路
16・・・バネ手段
17・・・流路の幅を調整するための調整手段
18・・・インサート部材
19・・・入口
20・・・出口
21・・・ネジ、ナット
22・・・リブ
23・・・取り付け要素14の円錐部
24・・・取り付け要素14の円筒部
25・・・封止材
26・・・長手方向の中心軸
図1
図2
図3
図4