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特許7490086ガソリン排出処理システムにおける微粒子燃焼用触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ガソリン排出処理システムにおける微粒子燃焼用触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/32 20060101AFI20240517BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 23/889 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20240517BHJP
   B01J 35/60 20240101ALI20240517BHJP
   B01J 35/61 20240101ALI20240517BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240517BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240517BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20240517BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20240517BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B01J23/32 A
B01D53/94 222
B01D53/94 241
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01J23/889 A
B01J35/57 E
B01J35/60 F
B01J35/61
B01J37/02 301C
B01J37/04 102
B01J37/08 ZAB
F01N3/035 E
F01N3/10 A
F01N3/24 B
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022571370
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 US2021039804
(87)【国際公開番号】W WO2022006223
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】20184000.6
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンブヤ,カリファラ
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】チー,チュンシン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルツ,フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジームント,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェケンディーク,ホルガー
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-273961(JP,A)
【文献】特開平06-210172(JP,A)
【文献】特開2019-166450(JP,A)
【文献】特開2019-103967(JP,A)
【文献】特開2005-125317(JP,A)
【文献】特開昭51-087186(JP,A)
【文献】米国特許第05196390(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 23/32
B01D 53/94
B01J 23/745
B01J 23/889
B01J 35/57
B01J 35/60
B01J 35/61
B01J 37/02
B01J 37/04
B01J 37/08
F01N 3/035
F01N 3/10
F01N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子燃焼用触媒であって、担体と、酸化マンガンと、を含み、前記触媒が本質的に白金族金属化合物を含まず、且つ
前記触媒が、前記触媒の焼成重量を基準にして、10重量%~80重量%の前記担体を含み、且つ
前記担体が、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、ランタナ、ランタナ-アルミナ、シリカ-ジルコニア-ランタナ、アルミナ-ジルコニア-ランタナ、チタニア、ジルコニア-チタニア、ネオジミア(neodymia)、プラセオジミア(praseodymia)、セリア-ジルコニア、セリア-アルミナ、バリア(baria)-セリア-アルミナ、及びセリアから選択される材料のうちの1つ以上であり、且つ
前記触媒が、前記触媒の前記焼成重量を基準にして、20重量%~60重量%の酸化マンガンを含む、微粒子燃焼用触媒。
【請求項2】
前記触媒が、前記触媒の焼成重量を基準にして、30重量%~70重量%、又は30重量%~60重量%の前記担体を含む、請求項1に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項3】
前記触媒が、前記触媒の焼成重量を基準にして、0重量%~95重量%、5重量%~90重量%、10重量%~70重量%、又は10重量%~50重量%の酸化鉄を含む、請求項1又は2に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項4】
前記触媒が、前記触媒の前記焼成重量を基準にして、30重量%~60重量%の酸化マンガンを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項5】
前記担体が、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア-アルミナ、ジルコニア-アルミナから選択される材料のうちの1つ以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項6】
前記触媒が、前記触媒の焼成重量を基準にして、10重量%~50重量%の酸化鉄、30重量%~60重量%の担体、及び20重量%~60重量%の酸化マンガンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項7】
前記担体の表面に酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子を含浸させることによって、ウォッシュコートスラリーを提供することと、
コーティングされたガソリン微粒子フィルタ(GFP)を得るために、前記ウォッシュコートスラリーでGFPの多孔性内壁の細孔及び/又は表面をコーティングし
記コーティングされたGPFを、300℃~500℃、又は350℃~450℃の範囲の温度で焼成することと、を含むプロセスにより調製された、請求項1~6のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項8】
記担体と、酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子との混合物を提供することと、
コーティングされたGFPを得るために、ガソリン微粒子フィルタ(GPF)の多孔性内壁のチャネル及び/又は細孔を、前記提供された混合物で乾式コーティングすることと、を含むプロセスにより調製された、請求項1~6のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項9】
前記担体の表面に酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子を含浸させることによって、ウォッシュコートスラリーを提供することと、
コーティングされたGFPを得るために、前記提供されたウォッシュコートスラリーでガソリン微粒子フィルタ(GPF)の多孔性内壁の細孔及び/又は表面をコーティングすることと、
焼成されたGFPを得るために、前記コーティングされたGPFを300℃~500℃、又は350℃~450℃の範囲の温度下で焼成することと、
記担体と、酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子との混合物を提供することと、
前記焼成されたGPFの多孔性内壁のチャネル及び/又は細孔を、前記提供された混合物で乾式コーティングすることと、を含むプロセスにより調製された、請求項1~6のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項10】
酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む前記粒子のD90が、2μm~20μm、2μm~18μm、3μm~15μm、又は5μm~13μmの範囲である、請求項7~9のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項11】
前記GPFが、入口端と、出口端と、前記入口端及び前記出口端と間に延在する基材の軸方向長さと、多孔性ウォールフローフィルタ(porous wall flow filter)基材の多孔性内壁によって画定された複数の通路とを含み、前記複数の通路が、開いた入口端及び閉じた出口端を有する入口通路と、閉じた入口端及び開いた出口端を有する出口通路とを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項12】
前記担体が、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア-アルミナ、ジルコニア-アルミナから選択される材料のうちの1つ以上である、請求項7~11のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項13】
前記担体が、50m/g~500m/g、100m/g~400m/g、又は100m/g~200m/gの範囲の表面積を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の微粒子燃焼用触媒。
【請求項14】
内燃エンジンの排気ガス中に存在する微粒子を濾過して除去するための微粒子フィルタあって、請求項1~13のいずれか一項に記載の触媒を含む、微粒子フィルタ。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の触媒が、前記微粒子フィルタの入口チャネルでコーティングされている、請求項14に記載の微粒子フィルタ。
【請求項16】
前記触媒が、その軸方向長さの全体、その軸方向長さの一部、その半径方向の全体、その半径方向の一部、交互のチャネルに沿って、壁上で、多孔性壁(porous wall)内部で、又はそれらの組み合わせに沿って、前記微粒子フィルタ上にコーティングされている、請求項14又は15に記載の微粒子フィルタ。
【請求項17】
前記微粒子フィルタが、ハニカム構造を含むウォールフローフィルタを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の微粒子フィルタ。
【請求項18】
前記微粒子フィルタの平均細孔径が、10μm~24μm、又は14μm~20μmの範囲である、請求項14~17のいずれか一項に記載の微粒子フィルタ。
【請求項19】
前記微粒子フィルタの気孔率が40%~65%の範囲である、請求項14~18のいずれか一項に記載の微粒子フィルタ。
【請求項20】
ガソリンエンジン排気ガス浄化システムであって、前記排気ガス浄化システムが、請求項14~19のいずれか一項に記載の微粒子フィルタと、少なくとも1つのTWCと、を備える、ガソリンエンジン排気ガス浄化システム。
【請求項21】
前記TWCが、パラジウム、ロジウムを含む、請求項20に記載のガソリンエンジン排気ガス浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2020年7月3日に出願された欧州特許出願第20184000.6号に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ガソリン排出処理システムにおける微粒子燃焼用触媒及びそれらの製造方法に関する。いくつかの実施形態では、触媒は、ガソリン微粒子フィルタ上にコーティングされて、フィルタに捕捉された微粒子を酸化する。
【0003】
ガソリンエンジンの微粒子排出は、Euro6(2014)基準を含む規制の対象となる。一部のガソリン直噴エンジンでは、細かい微粒子が形成される。ガソリン排出処理システムは、微粒子基準を達成する必要がある。ディーゼル希薄燃焼エンジンによって生成される微粒子とは対照的に、ガソリンエンジンはより細かい微粒子を少量生成する傾向がある。これは、ガソリンエンジンと比較してディーゼルエンジンの燃焼条件が異なるためである。例えば、ガソリンエンジンはディーゼルエンジンよりも高温で作動する。また、炭化水素成分は、ディーゼルエンジンの排出物と比較して、ガソリンエンジンの排出物という点では異なる。
【0004】
未燃炭化水素、一酸化炭素、及び窒素酸化物汚染物質の排出は引き続き規制されている。したがって、三元変換触媒(TWC)を含む触媒コンバーターは、内燃エンジンの排気ガスラインに配置されている。このような触媒は、排気ガス流中の酸素による未燃焼炭化水素及び一酸化炭素の酸化、並びに窒素酸化物の窒素への還元を促進する。
【0005】
ガソリンエンジンからの排気ガスは、排気ガスが大気中に放出される前に微粒子を除去するために、触媒ウォッシュコートでコーティングされたガソリン微粒子フィルタ(GPF)を通過する場合がある。
【0006】
例えば、米国特許第8,173,087号は、煤フィルタなどの粒子トラップ上にコーティングされたTWC触媒又は酸化触媒を提供する。より具体的には、入口コート及び出口コートの2つのコートを用いて調製された触媒材料を有する煤フィルタに関する。TWC触媒複合材には、パラジウム及びロジウム、又は白金及びパラジウムが含まれている。
【0007】
更に、例えば、米国特許第7,977,275号は、前後に配置された2つの触媒を含む触媒コーティングを有する微粒子フィルタに関する。第1の触媒は、フィルタのガス入口領域に位置し、パラジウム/白金触媒を含み、第2の触媒は、第1の触媒の下流に配置され、いくつかの実施形態では、触媒活性成分として白金のみを含み、白金及びパラジウムの組み合わせを提供することにより、老化及び硫黄中毒に対する耐性の点で最適な特性を提供する。
【0008】
しかしながら、白金及び/又はパラジウムのような白金族金属(PGM)を使用すると、触媒のコストが大幅に上昇する。したがって、PGM含有触媒と同様の性能を達成しながら、本質的にPGMを含まないガソリン排出から微粒子を除去する触媒を提供することが望ましい。
【0009】
興味深いことに、本開示の枠組み内で、本質的にPGMを含まず、酸化鉄、酸化マンガン及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの金属酸化物を含む触媒は、従来のPGM含有触媒と比較して、排気流から微粒子を除去する際に特に類似の、又は好ましい特性さえ有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示は、ガソリン排出物から微粒子を除去するためにPGMを本質的に含まない触媒を提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示は、本質的にPGMを含まない触媒を提供して、ガソリン排出から微粒子を酸化及び除去する。
【0012】
いくつかの実施形態では、本開示は、GPF上にコーティングされた本開示の触媒を調製するためのプロセスを提供する。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の触媒を含む微粒子フィルタを提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示の微粒子フィルタを備えるガソリンエンジン排気ガス浄化システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ディーゼル粒子発生器(DPG)を使用して煤負荷(ディーゼル煤、4.5g/L)、及びガソリンエンジンの500、550、600、及び650℃の入口トリガー温度におけるドロップツーアイドル(DTI)テストプロトコルを用いたエンジン試験後の実施例1の微粒子酸化活性(酸素プレ及びテールパイプ)を示す。
図2】DPGを使用して煤負荷(ディーゼル煤、4g/L)、及びガソリンエンジンの500及び550℃の入口トリガー温度におけるDTIテストプロトコルを使用してエンジン試験後の実施例2の微粒子酸化活性(酸素プレ及びテールパイプ)を示す。
図3】DPGを使用して煤負荷(ディーゼル煤、4g/L)、及びガソリンエンジンの500℃の入口トリガー温度におけるDTIテストプロトコルを使用してエンジン試験後のフレッシュ及びオーブン熟成(850℃熱水、16時間)条件下における、実施例3の微粒子酸化活性(酸素プレ及びテールパイプ)を示す。
図4】DPGを使用して煤負荷(ディーゼル煤、3.5g/L)、及びガソリンエンジンのフレッシュ触媒について500及び550℃の入口トリガー温度において、及びオーブン熟成(850℃熱水、16時間)触媒について550℃及び600℃の入口トリガー温度におけるDTIテストプロトコルを使用してエンジン試験後の実施例4の微粒子酸化活性(酸素プレ及びテールパイプ)を示す。
図5】2lのターボガソリン直接噴射(TGDI)エンジンを使用した煤負荷(ガソリン煤、3.6g/L)、それに続く他の2lTGDIガソリンエンジンの600℃及び650℃の入口トリガー温度におけるDTIテストプロトコル後の実施例5の微粒子酸化活性(酸素プレ及びテールパイプ)を示す。
図6】2lTGDIエンジンを使用して煤負荷(ガソリン煤、4.3g/L)、それに続く他の2lTGDIガソリンエンジンの600℃及び650℃の入口トリガー温度におけるDTIテストプロトコル後の実施例6の微粒子酸化活性(酸素プレ及びテールパイプ)を示す。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される以下の用語は、以下の定義を有する:
【0017】
「a」、「an」、「the」という表現は、用語を定義するために使用される場合、用語の複数形及び単数形の両方を含む。
【0018】
特に断りのない限り、全てのパーセンテージ及び比率は重量によるものである。
【0019】
本明細書で使用される「D90」という用語は、粒子集団中の粒子の90%がより小さい直径を有する直径を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、エンドポイントを含む列挙された値、及び列挙された値の±5%を意味する。
【0021】
本明細書で使用する「TWC」という用語は、ガソリンエンジンの排気ガスからHC、CO、及びNOを実質的に除去することができる三元触媒を指す。いくつかの実施形態では、TWCは、本質的に、1つ以上の白金族金属(PGM)、支持材料としてのアルミナ、及びセラミック又は金属基板上にコーティングされた酸素貯蔵成分及び支持材料の両方としての酸化セリウム-ジルコニウムからなる。
【0022】
本明細書で使用される「GPF」という用語は、ガソリン微粒子フィルタを指す。
【0023】
本明細書で使用される用語「PGM」は白金族金属を指し、「Pt」は白金を指し、「Pd」はパラジウムを指し、「Rh」はロジウムを指す。これらの用語は、これらのPGMの金属形態だけでなく、排出削減のために触媒的に活性である任意の金属酸化物形態も包含することが理解されるべきである。
【0024】
いくつかの実施形態では、触媒が本質的にPGMを含まず、触媒は、担体と、酸化鉄、酸化マンガン、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの金属酸化物とを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、約5重量%~約90重量%、10重量%~80重量%、30重量%~70重量%、又は30重量%~60重量%の担体を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、約0重量%~約95重量%、5重量%~90重量%、10重量%~70重量%、又は10重量%~50重量%の酸化鉄を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、約0重量%~90重量%、0重量%~80重量%、20重量%~60重量%、又は30重量%~60重量%の酸化マンガンを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、約10重量%~約80重量%の担体、約5重量%~約90重量%の酸化鉄、及び約0重量%~約80重量%の酸化マンガンを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、約20重量%~約70重量%の担体、約10重量%~約70重量%の酸化鉄、及び約20重量%~約60重量%の酸化マンガンを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、約30重量%~約60重量%の担体、約10重量%~約50重量%の酸化鉄、及び約20重量%~約60重量%の酸化マンガンを含む。
【0031】
本明細書で使用される「実質的にPGMを含まない」という用語は、PGMが触媒材料の約0.5重量%を超える量まで意図的に添加されないことを意味する。いくつかの実施形態では、「PGMを実質的に含まない」という用語は、PGMが触媒材料の約0.1重量%未満を構成することを意味する。いくつかの実施形態では、「PGMを実質的に含まない」という用語は、PGMが触媒材料の約0.01重量%未満を構成することを意味する。
【0032】
本明細書で使用する場合、「PGMを実質的に含まない」という用語は、PGMが触媒材料の約0.5重量%を超える量まで意図的に添加されないことを意味する。いくつかの実施形態では、「PGMを実質的に含まない」という用語は、PGMが触媒材料の約0.1重量%未満を構成することを意味する。いくつかの実施形態では、「PGMを本質的に含まない」という用語は、PGMが触媒材料の約0.01重量%未満を構成することを意味する。
【0033】
いくつかの実施形態では、本開示の触媒を調製するためのプロセスであって、
a)担体の表面に酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子を含浸させ、任意に希釈すること及び/又は1つ以上の他の成分と混合することによって、ウォッシュコートスラリーを提供することと、
b)ステップa)で調製されたウォッシュコートスラリーでGPFの多孔性内壁の細孔及び/又は表面をコーティングし、任意に、コーティングされたGPFを100℃~150℃の温度下で乾燥させることと、
c)ステップb)で調製されたコーティングされたGPFを、300℃~500℃、又は350℃~450℃の温度下で焼成することと、を含む、プロセス。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示の触媒を調製するためのプロセスは、
)担体と、酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子との混合物を提供し、任意に1つ以上の他の成分と混合することと、
b)GPFの多孔性内壁のチャネル及び/又は細孔を、ステップa)で調製されたジェットミリングされた混合物で乾式コーティング(ドライコーティング)することと、を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、上記プロセスのステップa)における担体は、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、ランタナ、ランタナ-アルミナ、シリカ-ジルコニアランタナ、アルミナ-ジルコニア-ランタナ、チタニア、ジルコニア-チタニア、ネオジミア(neodymia)、プラセオジミア(praseodymia)、セリア-ジルコニア、セリア-アルミナ、バリア(baria)-セリア-アルミナ、及びセリアから選択される材料のうちの1つ以上;又はアルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア、アルミナ、ジルコニア-アルミナから選択される材料のうちの1つ以上;又はアルミナを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、上記プロセスのステップa)における担体は、50m/g~500m/g、100m/g~400m/g、又は100m/g~200m/gの表面積を有する高表面積担体である。
【0037】
いくつかの実施形態において、ステップa)における本開示の触媒を調製するためのプロセスは、粒子の平均粒径を小さくするためにスラリーを粉砕することを更に含む。特定の実施形態では、壁内(in-wall)又は部分的な壁上(on-wall)への塗布が望まれるかどうかに応じて、体積ベースの平均粒径D90が約2μm~25μm、2μm~20μm、3μm~1μm、又は3μm~16μmの範囲にあるように、スラリーを粉砕して粒径分布を小さくする。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示の触媒を調製するためのプロセスは、
a)担体の表面に酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子を含浸させ、任意に希釈すること及び/又は1つ以上の他の成分と混合することによって、ウォッシュコートスラリーを提供すること、
b)ステップa)で調製されたウォッシュコートスラリーでGPFの多孔性内壁の細孔及び/又は表面をコーティングし、任意に、コーティングされたGPFを100℃~150℃の範囲の温度下で乾燥させることを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、GPFの出口の多孔性内壁の表面上にあり、
c)ステップb)で調製されたコーティングされたGPFを、300℃~500℃、又は350℃~450℃の温度下で焼成すること、
d)スラリープロセスを使用して、担体と、酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子との混合物を提供し、任意に1つ以上の他の成分と混合すること、
e)ステップc)で得られたGPFの多孔性内壁のチャネル及び/又は細孔を、ステップd)で調製されたジェットミリングされた混合物で乾式コーティングすることである。いくつかの実施形態では、乾式コーティングは、ステップc)で得られたGPFの入口でコーティングされる。
【0039】
いくつかの実施形態では、GPFは、排気ガス流を多孔性壁(porous wall)、セラミックウォールフローフィルタ(ceramic wall-flow filter)、ワイヤメッシュフィルタ、セラミック又はSiCフォームフィルタなどに強制的に通過させる交互に閉じたチャネルを備える。いくつかの実施形態では、GPFは、入口端と、出口端と、入口端及び出口端の間に延在する基材の軸方向長さと、多孔性ウォールフローフィルタ基材の多孔性内壁によって画定された複数の通路とを含む多孔性ウォールフローフィルタであり、複数の通路が、開いた入口端及び閉じた出口端を有する入口通路と、閉じた入口端及び開いた出口端を有する出口通路とを含み、多孔性内壁の細孔内及び多孔性内壁の表面上で、その表面は、多孔性内壁及び通路との間の界面を画定する。触媒が多孔性内壁の細孔にコーティングされる場合、触媒は壁内コーティングとして存在する。触媒が多孔性内壁の表面にコーティングされる場合、触媒は壁上コーティングとして存在する。
【0040】
本発明の文脈では、「多孔性内壁の表面」という用語は、壁の表面、すなわち表面を汚染し得る不可避の不純物は別として、壁の材料を構成している未処理状態の壁の表面と理解されるべきである。
【0041】
いくつかの実施形態では、触媒は、多孔質内壁の細孔に更なるコーティングを含まず、多孔性内壁の表面に更なるコーティングを含まない。
【0042】
いくつかの実施形態では、GPFは、実質的に均一な平均細孔径を有する。
【0043】
本明細書で使用される場合、「実質的に均一な平均細孔径」という用語は、壁全体の平均細孔径が10倍を超えて変化しないことを意味する。
【0044】
いくつかの実施形態では、GPFは、約3μm~約35μm、約5μm~約30μm、約5μm~約25μm、又は約8μm~約22μmの範囲の平均孔径を有する。いくつかの実施形態では、平均細孔径は、フィルタ壁の入口側に煤を蓄積させるのに有効である。いくつかの更らなる実施形態では、平均細孔径は、いくらかの煤が多孔性壁の入口表面上の細孔に入ることを可能にするのに有効である。
【0045】
一実施形態では、GPFの内壁の平均気孔率は、20%~75%、30%~70%、又は40%~65%の範囲である。
【0046】
いくつかの実施形態では、触媒は、少なくとも約5g/L、約10g/L、約15g/L、約20g/L、約25g/L、又は約30g/L~約150g/Lまで、約175g/L、約200g/L、約225g/L、約250g/L、約275g/L、約300g/L又は約325g/Lの範囲の充填量でGPF上にコーティングされる。前述で開示された各下端点及び各上端点を組み合わせて、本開示によって明示的に企図される触媒充填量の範囲を形成することができることが理解されるべきである。特定の例示的な実施形態では、触媒充填量は、約20g/L~300g/L、又は約30g/L~200g/Lの範囲である。
【0047】
一実施形態では、触媒はフレッシュ触媒、すなわちガソリンエンジンの排気ガス流の処理にさらされていない触媒である。
【0048】
いくつかの実施形態では、触媒は、オーブン内で約600℃~1050℃、700℃~1050℃、又は800℃~1050℃の温度で処理されている熟成触媒である。
【0049】
いくつかの実施形態では、触媒は、壁上コーティングのみ、壁内コーティングのみ、又は壁上コーティング及び壁内コーティングの両方として存在する。壁上コーティング及び壁内コーティングの両方として存在する触媒の場合、壁上コーティング及び壁内コーティングの充填量比は、1:99~99:1、5:95~95:5、20:80~80:20、30:70~70:30、又は40:60~60:40である。
【0050】
いくつかの実施形態では、壁内コーティングを含むGPFの多孔性内壁は、20%~99%、50%~98%、又は50%~75%の範囲の相対平均気孔率を有し、相対平均気孔率は、壁内コーティングを含まない内壁の平均気孔率に対する、壁内コーティングを含む内壁の平均気孔率として定義される。
【0051】
いくつかの実施形態では、壁内コーティングを含むGPFの多孔性内壁は、3μm~30μmの範囲、3μm~25μmの範囲、又は5μm~20μmの範囲の相対平均気孔率を有する。
【0052】
いくつかの実施形態では、GPFは、基材の軸方向長さのx%の入口コーティング長さで触媒コーティングを含み、ここで、0≦x[≦100、50≦x≦100、75≦x≦100、90≦x≦100、95≦x≦100、又は99≦x≦100;ウォールフローフィルタ基材は、基材の軸方向長さのy%の出口コーティング長さで触媒コーティングを含み、ここで0≦y≦100、50≦y≦100、75≦y≦100、90≦y≦100、95≦y≦100、又は99≦y≦100であり、ここで、x+y>0である。
【0053】
いくつかの実施形態では、GPFは、基材の軸方向長さのx%の入口コーティング長さで触媒コーティングを含み、ここで10≦x≦90、20≦x≦80、30≦x≦70、40≦x≦60、又は45≦x≦55であり、ウォールフローフィルタ基材は、基材の軸方向長さのy%の出口コーティング長さで触媒コーティングを含み、ここで10≦y≦90、20≦y≦80、30≦y≦70、40≦y≦60、又は45≦y≦55である。
【0054】
いくつかの実施形態では、触媒は、GPFの入口チャネルのみにコーティングされる。
【0055】
いくつかの実施形態では、ステップc)における焼成温度は、300℃~600℃、300℃~500℃、又は350℃~450℃である。いくつかの実施形態では、焼成期間は、10分~10時間、0.5時間~8時間、又は1時間~4時間である。
【0056】
いくつかの実施形態では、微粒子フィルタは触媒を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、ガソリンエンジン排気ガス浄化システムは、微粒子フィルタを備える。
【0058】
いくつかの実施形態では、ガソリンエンジンの排気ガスを例えば、80,000時間-1までの空間速度で触媒でコーティングしたGPFを通過させる。
【0059】
いくつかの実施形態では、ガソリンエンジン排気ガス浄化システムは、少なくとも1つのTWCを更に備える。いくつかの実施形態では、TWCは微粒子フィルタの上流にある。いくつかの実施形態では、Pd、Rh、及び任意にPtを含む、TWC。
【0060】
以下は、追加の例示的な実施形態である。
1.微粒子燃焼用触媒であって、担体と、酸化鉄、酸化マンガン、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの金属酸化物と、を含み、触媒は本質的に白金族金属化合物を含まない、微粒子燃焼用触媒。
2.触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、5重量%~90重量%、10重量%~80重量%、30重量%~70重量%、又は30重量%~60重量%の担体を含む、実施形態1に記載の微粒子燃焼用触媒。
3.触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、0重量%~95重量%、5重量%~90重量%、10重量%~70重量%、又は10重量%~50重量%の酸化鉄を含む、実施形態1又は2に記載の微粒子燃焼用触媒。
4.触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、0重量%~90重量%、0重量%~80重量%、20重量%~60重量%、又は30重量%~60重量%の酸化マンガンを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
5.担体が、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、ランタナ、ランタナ-アルミナ、シリカ-ジルコニアランタナ、アルミナ-ジルコニア-ランタナ、チタニア、ジルコニア-チタニア、ネオジミア、プラセオジミア、セリア-ジルコニア、セリア-アルミナ、バリア-セリア-アルミナ、及びセリアから選択される材料のうちの1つ以上;又はアルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア、アルミナ、ジルコニア-アルミナから選択される材料のうちの1つ以上;並びにアルミナである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
6.触媒が、触媒の焼成重量を基準にして、10重量%~50重量%の酸化鉄、30重量%~60重量%の担体、及び20重量%~60重量%の酸化マンガンを含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
7.担体の表面に酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子を含浸させ、任意に希釈すること及び/又は1つ以上の他の成分と混合することによって、ウォッシュコートスラリーを提供することと、
コーティングされた微粒子フィルタ(GFP)を得るために、ウォッシュコートスラリーでGFPの多孔性内壁の細孔及び/又は表面をコーティングし、任意に、コーティングされたGPFを100℃~150℃の範囲の温度下で乾燥させることと、
コーティングされたGPFを、300℃~500℃、又は350℃~450℃の範囲の温度で焼成することと、を含むプロセスにより調製された、実施形態1~6のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
8.スラリープロセスを使用して、担体と、酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子との混合物を提供し、任意に1つ以上の他の成分と混合することと、
コーティングされたGFPを得るために、ガソリン微粒子フィルタ(GPF)の多孔性内壁のチャネル及び/又は細孔を、提供された混合物で乾式コーティングすることと、を含むプロセスにより調製された、実施形態1~6のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
9.担体の表面に酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子を含浸させ、任意に希釈すること及び/又は1つ以上の他の成分と混合することによって、ウォッシュコートスラリーを提供することと、
コーティングされたGFPを得るために、提供されたウォッシュコートスラリーでガソリン微粒子フィルタ(GPF)の多孔性内壁の細孔及び/又は表面をコーティングし、任意に、コーティングされたGPFを100℃~150℃の範囲の温度下で乾燥させることと、
焼成されたGFPを得るために、コーティングされたGPFを300℃~500℃、又は350℃~450℃の範囲の温度下で焼成することと、
スラリープロセスを使用して、担体と、酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子との混合物を提供し、任意に1つ以上の他の成分と混合することと、
焼成されたGPFの多孔性内壁のチャネル及び/又は細孔を、提供された混合物で乾式コーティングすることであって、任意に、乾式コーティングは、焼成されたGPFの入口でコーティングされる、乾式コーティングすることと、を含むプロセスにより調製された、実施形態1~6のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
10.酸化鉄及び/又は酸化マンガンを含む粒子のD90が、2μm~20μm、2μm~18μm、3μm~15μm、又は5μm~13μmの範囲である、実施形態7~9のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
11.GPFが、入口端と、出口端と、入口端及び出口端の間に延在する基材の軸方向長さと、多孔性ウォールフローフィルタ基材の多孔性内壁によって画定された複数の通路とを含み、複数の通路が、開いた入口端及び閉じた出口端を有する入口通路と、閉じた入口端及び開いた出口端を有する出口通路とを含む、実施形態7~10のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
12.担体が、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、ランタナ、ランタナ-アルミナ、シリカ-ジルコニアランタナ、アルミナ-ジルコニア-ランタナ、チタニア、ジルコニア-チタニア、ネオジミア、プラセオジミア、セリア-ジルコニア、セリア-アルミナ、バリア-セリア-アルミナ、及びセリアから選択される材料のうちの1つ以上;又はアルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア、アルミナ、ジルコニア-アルミナから選択される材料のうちの1つ以上;並びにアルミナである、実施形態7~11のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
13.担体が、50m/g~500m/g、100m/g~400m/g、又は100m/g~200m/gの範囲の表面積を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の微粒子燃焼用触媒。
14.内燃エンジンの排気ガス中に存在する微粒子を濾過して除去するための微粒子フィルタあって、実施形態1~13のいずれか1つに記載の触媒を含む、微粒子フィルタ。
15.実施形態1~12のいずれか1つに記載の触媒が微粒子フィルタの入口チャネルでコーティングされている、実施形態14に記載の微粒子フィルタ。
16.触媒が、その軸方向長さの全体、その軸方向長さの一部、その半径方向の全体、その半径方向の一部、交互のチャネルに沿って、壁上で、多孔性壁内部で、又はそれらの組み合わせに沿って、微粒子フィルタ上にコーティングされている、実施形態14又は15に記載の微粒子フィルタ。
17.微粒子フィルタが、ハニカム構造を含むウォールフローフィルタを含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載の微粒子フィルタ。
18.微粒子フィルタの平均細孔径が、10μm~24μm、又は14μm~20μmである、実施形態14~17のいずれか1つに記載の微粒子フィルタ。
19.微粒子フィルタの気孔率が40%~65%である、実施形態14~18のいずれか1つに記載の微粒子フィルタ。
20.排気ガス浄化システムが、実施形態14~19のいずれか1つにっ記載の微粒子フィルタと、少なくとも1つのTWCと、を備え、任意にTWCが微粒子フィルタの上流にある、ガソリンエンジン排気ガス浄化システム。
21.TWCが、Pd、Rh、及び任意にPtを含む、実施形態20に記載のガソリンエンジン排気ガス浄化システム。
【実施例
【0061】
以下の例は、例示を目的として提供されているが、決して開示を限定するものではない。
【0062】
多孔質ウォールフロー基材の平均多孔率は、DIN66133及びISO15901-1に準拠して、水銀圧入法を使用する水銀侵入により決定した。
【0063】
スラリーの動粘度は、Thermo Fisher Scientific製のHAAKE Rheostress 6000を用いて測定した。ここで報告される値は、300/秒のせん断速度で測定される。粘度は20℃で測定した。
【0064】
D90粒径分布は、Sympatec HELOS(3200)& QUIXEL装置を使用して、静的光散乱法により決定し、サンプルの光学濃度は、6~10%の範囲にあった。
【0065】
実施例1~6で使用されたフィルタは、中~高気孔率のフィルタである。
【0066】
実施例1(参照例):Corning LP1.0のベアフィルタ(6.43インチ×6インチの円筒形、1平方インチ当たり200セル、壁厚8ミル、気孔率55%、平均細孔径14μm)。
【0067】
実施例2:150m/gの表面積を有するアルミナを蒸留水に添加し、10分間撹拌することにより、スラリーを調製した。次に、酸化マンガンを加え、希硝酸でpHを5~6の範囲に調整した。調製した混合物を固形分38%で粉砕して、D90が5μmの粒子を得た。次に、希硝酸でpHを5~6の範囲に調整した。高気孔率フィルタ、NGK C-810(4.66インチ×5インチの円筒形、1平方インチ当たり300セル、壁厚8ミル、気孔率65%、平均細孔径20μm)を、スラリーウォッシュコートで多孔質内壁の細孔内にコーティングした。コーティングされたフィルタを120℃で2時間乾燥し、オーブンで400℃で焼成して、アルミナと酸化マンガンの重量比が1:1で、乾燥したウォッシュコートの量が60g/Lのフレッシュ触媒を得た(1g/インチ)。
【0068】
実施例3:15m/gの表面積を有するアルミナを蒸留水に添加し、10分間撹拌することにより、スラリーを調製した。次に、酸化マンガンを加え、希硝酸でpHを5~6の範囲に調整した。調製した混合物を固形分38%で粉砕して、D90が13μmの粒子を得た。次に、pHを希硝酸で5~6の範囲に調整した。中程度の気孔率フィルタ、NGK-C780(5.2インチ×4.7インチの円筒形、1平方インチ当たり200セル、壁厚8ミル、気孔率55%、平均細孔径9μm)の多孔性内壁の細孔内及び表面上を、上記で得られたスラリーウォッシュコートでコーティングした。コーティングされたフィルタを120℃で2時間乾燥し、オーブンで400℃で焼成して、アルミナと酸化マンガンの重量比が1:1で、乾燥したウォッシュコートの量が30g/L(0.5g/インチ)のフレッシュ触媒を得た。フレッシュ触媒を更に850℃で16時間熟成させて熟成触媒を得た。
【0069】
実施例4:150m/gの表面積を有するアルミナと酸化マンガンとの混合物をジェットミリングして、8μmのD90を達成した。ジェットミリングされた混合物を乾式コーティングプロセスで塗布して、高気孔率フィルタ、Corning HP1.1(4.66インチ×5インチの円筒形、1平方インチ当たり300セル、壁厚8ミル、気孔率65%、平均細孔径17μm)の多孔質内壁の表面に生成させ、酸化マンガンに対するアルミナの重量比が1:1で、乾燥したウォッシュコートの量が15g/L(0.25g/インチ)のフレッシュ触媒を得た。フレッシュ触媒を更に850℃で16時間熟成させて熟成触媒を得た。
【0070】
実施例5:150m/gの表面積を有するアルミナを蒸留水に10分間撹拌しながら添加することにより、スラリーを調製した。次に、硝酸鉄9水和物結晶を10分間撹拌しながら添加した。次に、酸化マンガンをアルミナ-硝酸鉄の混合物にゆっくりと添加し、希硝酸でpHを5~6の範囲に調整した。調製した混合物を固形分38%で粉砕して、D90が5μmの粒子を達成した。次に、pHを希硝酸で5~6の範囲に調整した。Corning HP1.1(4.66インチ×5インチの円筒形、1平方インチ当たり300セル、壁厚8ミル、気孔率65%、平均細孔径17μm)を、スラリーウォッシュコートで多孔質内壁の細孔内にコーティングした。コーティングされたフィルタを120℃で2時間乾燥させた後、オーブンで400℃で焼成して、アルミナ:酸化マンガン:酸化鉄の重量比が5:4:1で、乾燥したウォッシュコートの量が60g/L(1g/インチ)のフレッシュ触媒を得た。
【0071】
実施例6:150m/gの表面積を有するアルミナを蒸留水に添加し、10分間撹拌することによりスラリーを調製した。次に、硝酸鉄9水和物結晶を10分間撹拌しながら加え、pHを希硝酸でpH5~6の範囲に調整した調製した混合物を固形分38%で粉砕して、D90が5μmの粒子を得た。次に、pHを希硝酸でpH5~6の範囲に調整した。Corning HP1.1(4.66インチ×5インチの円筒形、1平方インチ当たり300セル、壁厚8ミル、気孔率65%、平均細孔径17μm)を、スラリーウォッシュコートで多孔質内壁の細孔内にコーティングした。コーティングされたフィルタを120℃で2時間乾燥させた後、オーブンで400℃で焼成して、アルミナ:酸化鉄の重量比が3:1で、乾燥したウォッシュコートの量が60g/L(1g/インチ)のフレッシュ触媒を得た。
【0072】
評価:実施例1~6に煤を装填し、ディーゼル粒子発生器(DPG)又は2,500rpmで稼働する2リットルのターボガソリン直接噴射(TGDI)エンジンでフルデューティ作業条件下で評価した。
【0073】
評価結果を図1~6に示す。
図1
図1-2】
図2
図3
図4
図4-2】
図5
図6