(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】電磁エネルギーを用いた高分子部材同士の結合
(51)【国際特許分類】
B29C 65/04 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B29C65/04
(21)【出願番号】P 2022576814
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 US2021035021
(87)【国際公開番号】W WO2022026052
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2022-12-13
(32)【優先日】2020-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】カールステン,カーティス,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】グラティアノ,ステファニ
(72)【発明者】
【氏名】カーコン,ジョン
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-536295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0106228(US,A1)
【文献】特開2001-208274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0256349(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁エネルギーを利用して高分子部材を結合する方法であって、
第1の結合部を有する
ケーブルの形態の第1の部材、第2の結合部
および第3の結合部を有する第2の部材
、第4の結合部を有する第3の部材、ならびに第1および第2のサセプタを得るステップと、
前記
第1のサセプタが前記第1および第2の結合部に近接するように、前記第1および第2の部材を合わせる(mate)
とともに、前記第2のサセプタが前記第3および第4の結合部に近接するように、前記第2および第3の部材を合わせるステップと、
前記
第1および第2のサセプタに電磁エネルギーを印加するステップであって、
前記
第1のサセプタは、前記電磁エネルギーを熱に変換し、該熱により、前記
第1のサセプタの周囲の前記第1および第2の結合部の一部が溶融し、凝固の際に、前記第1および第2の部材が相互に結合され
、
前記第2のサセプタは、前記電磁エネルギーを熱に変換し、該熱により、前記第2のサセプタの周囲の前記第3および第4の結合部の一部が溶融し、凝固の際に、前記第2および第3の部材が相互に結合され、
前記第1の結合部および前記第2の結合部の各々は、筒状形状を有し、
前記第3の結合部および前記第4の結合部の各々は、筒状形状を有し、
前記第1の部材の延伸方向に対して垂直な方向から見たとき、前記第1および前記第2の結合部は、前記第3および前記第4の結合部とは重なり合わない、ステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記第1の結合部は、開口を有し、前記第2の結合部は、前記開口内に適合するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サセプタは、リング構造、コイル構造、粒子、または粉末の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サセプタは、ステンレス鋼、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、炭化ケイ素、またはグラファイトの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
電磁エネルギーは、インダクタにより印加される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の結合部および前記第2の結合部の少なくとも1つは、熱可塑性材料から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記部材は、データケーブル組立体の少なくとも一部を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ケーブル接合用の高分子保護ハウジングであって、
第1の結合部を有するケーブルと、
第2および第3の結合部を有するエンドキャップと、
第4の結合部を有するシェルと、
前記第1および第2の結合部に近接する第1のサセプタであって、電磁エネルギーを、前記第1および第2の結合部を溶融させる十分な熱に変換するように作動される、第1のサセプタと、
前記第3および第4の結合部に近接する第2のサセプタであって、電磁エネルギーを、前記第3および第4の結合部を溶融させる十分な熱に変換するように作動される、第2のサセプタと、
を有し、
前記第1のサセプタの周囲の前記第1および第2の結合部の凝固部は、前記ケーブルと前記エンドキャップを相互に結合し、
前記第2のサセプタの周囲の前記第3および第4の結合部の凝固部は、前記エンドキャップと前記シェルを相互に結合
し、
前記第1の結合部および前記第2の結合部の各々は、筒状形状を有し、
前記第3の結合部および前記第4の結合部の各々は、筒状形状を有し、
当該保護ハウジングを前記ケーブルの延伸方向に対して垂直な方向から見たとき、前記第1および前記第2の結合部の前記凝固部は、前記第3および前記第4の結合部の前記凝固部とは重なり合わない、保護ハウジング。
【請求項9】
前記ケーブルは、第5の結合部を有し、前記シェルは、第6の結合部を有し、
当該保護ハウジングは、さらに、
第7および第8の結合部を有する第2のエンドキャップと、
前記第5および第7の結合部に近接する第3のサセプタであって、電磁エネルギーを、前記第5および第7の結合部が溶融される十分な熱に変換するように作動可能である、第3のサセプタと、
前記第6および第8の結合部に近接する第4のサセプタであって、電磁エネルギーを、前記第6および第8の結合部が溶融される十分な熱に変換するように作動可能である、第4のサセプタと、
を有し、
前記第3のサセプタの周囲の前記第5および第7の結合部の凝固部は、前記ケーブルと前記第2のエンドキャップを相互に結合し、
前記第4のサセプタの周囲の前記第6および第8の結合部の凝固部は、前記第2のエンドキャップと前記シェルを相互に結合する、請求項
8に記載の保護ハウジング。
【請求項10】
前記エンドキャップは、第5の結合部を有し、
当該保護ハウジングは、さらに、
第6の結合部を有する貫通接続と、
前記第5および第6の結合部に近接する第3のサセプタであって、電磁エネルギーを、前記第5および第6の結合部が溶融される十分な熱に変換するように作動可能である第3のサセプタと、
を有し、
前記第3のサセプタの周囲の前記第5および第6の結合部の凝固部は、前記エンドキャップと前記貫通接続を相互に結合する、請求項
8に記載の保護ハウジング。
【請求項11】
前記第1、第2、第3、または第4の結合部の少なくとも1つは、熱可塑性材料を有する、請求項
8に記載の保護ハウジング。
【請求項12】
前記熱可塑性材料は、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、またはポリオレフィンの少なくとも1つを含む、請求項
11に記載の保護ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年7月27日に出願された「電磁エネルギーを用いた高分子部材同士の結合」と題された米国仮出願第63/057,204号の利益を主張する出願であり、この内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
通常、(例えば、電気通信、調査などのための)海底ケーブルシステムのつなぎ合わせまたは接続において、海水中での長期寿命を達成するため、ポリエチレン(PE)で接合されたケーブル接続部にわたって、保護ハウジングによる封止を行うことが必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
PE封止の形成には、通常、高価な金型が使用されるが、これらの成形プロセスには、多くの時間が必要となり得る。本分野では、サブシーケーブル接合相互接続が広く行われている。従って、PEハウジングオーバーモールドを用いた高強度高耐久性の海底ケーブル接合を達成するには、多大な時間と費用の投資がしばしば必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、電磁エネルギーを利用して高分子部材を結合する方法であって、
第1の結合部を有する第1の部材、第2の結合部を有する第2の部材、およびサセプタを得るステップと、
前記サセプタが前記第1および第2の結合部に近接するように、前記第1および第2の部材を合わせる(mate)ステップと、
前記サセプタに電磁エネルギーを印加するステップであって、前記サセプタは、前記電磁エネルギーを熱に変換し、該熱により、前記サセプタの周囲の前記第1および第2の結合部の一部が溶融し、凝固の際に、前記第1および第2の部材が相互に結合される、ステップと、
を有する、方法が提供される。
【0005】
本発明の特徴および利点は、添付図面と併せた以下の詳細な説明から明らかとなる。添付図面は、本発明の特徴の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の例による部材組立体を示した図である。
【
図2A】本開示の一例による、
図1の部材組立体の端面図である。
【
図2B】本開示の一例による、
図1の部材組立体の端面図である。
【
図3】本開示の例による、
図1の部材組立体の側断面図である。
【
図4A】
図3に示す部品組立体の対向する端部の詳細な分解断面図である。
【
図4B】
図3に示す部品組立体の対向する端部の詳細な分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、示された例示的な実施形態が参照される。本願では、特定の用語が使用され、これが説明される。ただし、本発明の範囲を限定することは、意図されていないことが理解される。
【0008】
本願で使用される「隣接する」と言う用語は、2つの構造または素子の近接を表す。特に、「隣接」していると識別される素子同士は、境界を接していても、接続されていてもよい。また、そのような素子は、必ずしも互いに接触せずに、互いに近接し、または接近していてもよい。近接の正確な度合いは、特定の文脈に依存し得る。
【0009】
最初に、技術的実施形態の概説が以下に提供され、次に、特定の技術的実施形態がさらに詳細に記載される。最初の要約は、読者が技術をより迅速に理解することを支援することを意図するものであるが、技術の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、請求された主題事項の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0010】
海底ケーブル接続を保護する伝統的なPEオーバーモールドアプローチは、有効ではあるものの、この技術は、現場実施法であり、時間がかかり、高価である。PEオーバーモールドに代わるものとして、Oリングシールを有する金属製圧力容器を使用することなどがあるが、これには信頼性の問題がある。従って、従来のPEオーバーモールドアプローチよりも信頼性が高く、より迅速で、より安価に形成することができる、海底ケーブル接続用のPE保護ハウジングに対してニーズがある。
【0011】
従って、電磁エネルギーを用いて高分子部材を結合する方法が開示される。本方法では、信頼性の高い水密性の接合を迅速に提供することができる。本方法は、第1の結合部を有する第1の部材、第2の結合部を有する第2の部材、およびサセプタを得るステップを有し得る。また、本方法は、第1および第2の部材を合わせるステップを有し、前記サセプタは、第1および第2の結合部に近接される。また、本方法は、サセプタに電磁エネルギーを印加するステップを有し得る。サセプタは、電磁エネルギーを熱に変換することができ、この熱により、サセプタの周囲の第1および第2の結合部の部分が溶融し、凝固の際に、第1および第2の部材を互いに結合することができる。
【0012】
一態様では、高分子部材組立体が開示される。高分子部材組立体は、第1の結合部を有する第1の部材を有し得る。また、部材組立体は、第2の結合部を有する第2の部材を有し得る。また、部材組立体は、第1および第2の結合部に近接するサセプタを有し得る。サセプタは、電磁エネルギーを十分な熱に変換するように作動し、第1および第2の結合部が溶融する。サセプタの周囲の第1および第2の結合部の凝固部は、第1および第2の部材を互いに結合することができる。
【0013】
一態様では、ケーブル接合用の高分子保護ハウジングが開示される。保護ハウジングは、第1の結合部を有するケーブルを有し得る。また、保護ハウジングは、第2および第3の結合部を有するエンドキャップを有し得る。保護ハウジングは、さらに、第4の結合部を有するシェルを有し得る。保護ハウジングは、さらに、第1および第2の結合部に近接する第1のサセプタを有し得る。第1のサセプタは、電磁エネルギーを十分な熱に変換するように動作し、第1および第2の結合部が溶融される。また、保護ハウジングは、第3および第4の結合部に近接する第2のサセプタを有し得る。第2のサセプタは、電磁エネルギーを十分な熱に変換するように動作し、第3および第4の結合部が溶融される。第1のサセプタの周囲の第1および第2の結合部の凝固部は、ケーブルとエンドキャップを互いに結合できる。第2のサセプタの周囲の第3および第4の結合部の凝固部は、エンドキャップとシェルを互いに結合できる。
【0014】
高分子部材組立体100の一例を
図1乃至
図3に示す。
図1には、部材組立体100の側面図を示す。
図2Aおよび
図2Bには、部材組立体100の端面図が示されている。一般に、部材組立体100は、相互に結合された部材101a~101eを有し得る。ただし、そのような組立体には、任意の好適な数の部材が含まれ得る。以下にさらに詳細に説明するように、部材101a~101eは、電磁エネルギー(例えば、誘導加熱)を用いた溶接または溶融により結合され、局所的な熱発生の支援のため、サセプタが埋設される。
【0015】
一態様では、部材組立体100の部材101a~101eは、図示のように、ケーブル(例えば、データケーブル、通信ケーブル、電力ケーブルなど)の少なくとも一部、および/またはケーブル接合用の保護ハウジングを形成できる。本技術は、ケーブルおよびケーブル継ぎ手用の保護ハウジングに関して記載されているが、本願に開示の部材の組立体および原理は、海中音響調査、海中電力網、通信システム、石油およびガス産業、海洋学的用途、地質シーリング技術など、任意の好適な装置、メカニズム、または技術領域において利用可能であることを認識する必要がある。これらの実施例に加えて、当業者には、本技術が適用可能な多くの異なる用途が認識され、本願に示された実施例は、いかなる意味においても限定的なものではないことが認識される。本質的に、当業者には、本発明の技術は、通常高分子材料で構成される部材が相互に結合される、各種分野および各種の用途に適用することができることが認識される。
【0016】
図3に示す部材組立体100の側断面図には、本実施例において、102で接合されたケーブル(部材101aとして識別される)のセグメントを示す。ケーブル101aは、従来技術の任意の好適な種類のケーブル(例えば、データケーブル、電力ケーブルなど)であり、任意の好適な構造または構成を有してもよい。ケーブルセグメントの接合または接続は、任意の好適なデバイスまたは構造を用いて、および従来技術の任意の好適な技術またはプロセスにより、達成することができる。部材101b~dは、ケーブル接合102の好適なハウジングまたは保護バリアを提供するように構成することができる。いくつかの例では、部品101b~101dは、少なくとも一部に、水中用途での使用のように、ケーブル接合102の周りに圧力境界(例えば、圧力容器)を形成することができる。いくつかの例では、部材101e(例えば、「フィードスルー」)は、部材101b~dにより形成された保護ハウジングまたは保護バリアを介して、保護ハウジングまたは保護バリア内に配置されたデバイス103(例えば、電子デバイス)に、通信および/または電力を提供するように含有され得る。単一の部材101eのみが示されているが、円形パターン106(
図2B)上の部材101dの周りに分配されるような、任意の好適な数のそのような部材が含まれてもよいことが認識される。従って、任意の部材101a~101eは、図に示すように、ケーブル接合用のケーブル組立体または保護ハウジングの少なくとも一部を形成することができる。
【0017】
図4Aの分解断面図に示されるように、部材101a(例えば、ケーブル)および101bは、相互の結合を容易にするために利用されまたは構成され得る特徴部を有する。例えば、部材101aは、結合部110aを有し、この結合部110aは、ケーブルである部材101aの例では、ケーブル(例えば、ケーブルジャケット)の外側表面の任意の好適な部分であってもよい。部品101b(例えば、示された例におけるエンドキャップ)は、結合部110bを有し、これは、部材101aの外側表面結合部110aと適合され、インターフェース化され、またはその他の方法で、部品101bとの結合を容易化するように構成され得る。結合部110bは、フランジ112b内に形成され、フランジ112bにより定められた開口111bを有し得る。一態様では、部品101aの外側表面結合部110aは、部材101bの結合部110bの開口111b内に適合するように構成され得る。換言すれば、開口111bは、部品101aの外側表面結合部110aを受容するように構成できる。この場合、部材101a、またはこの例ではケーブルは、部材101b、またはこの例ではエンドキャップを貫通して延在する。示された例では、結合部110a、110bは各々、円筒状の構成を有するが、これに限定されるものではなく、任意の好適な構成または形状が利用されてもよい。
【0018】
また、部材組立体100は、結合部110a、110bに近接する(例えば、接合インターフェースの近くに埋設される)1つ以上のサセプタ120aを有し得る。サセプタ120aは、電磁エネルギー(例えば、高周波(RF)、磁場等)を、十分な熱に変換するように動作可能であり、結合部110a、110bは、結合界面で溶融,融解し、その結果、サセプタ120aの周囲の結合部110a、110bの凝固部または領域(
図3では104aで示されている)は、部材101a、101bを相互に結合する。換言すれば、サセプタ120aは、電磁場の存在により(すなわち、電磁エネルギーを吸収することにより)、加熱することができ、熱伝導および/または放射線により、周囲の結合部110a、110bに熱を伝達して、結合部110a、110bを溶融させ、結合部110a、110bの材料の少なくとも一部は、相互に溶接または融着され、局所的な溶接または溶融領域が形成できる。これにより、強力な連続結合(例えば、部材間の高分子鎖の混合およびリンク)が形成され、部材101a、101bが相互に結合される。従って、サセプタ120aは、結合部110a、110bを溶融する内部熱発生を提供することができる。
【0019】
一態様では、部材101a、101bは、相互に直接溶接されまたは「融着」され、これにより、破壊を生じさせずに、部材101bの分離が防止される。換言すれば、サセプタに近接する材料が溶融して、相互に拡散し、部材101a、101bが相互に固定され、従って、部材の間に恒久的で不可逆的な結合が形成される。部材101a、101bをこのように接合することにより、部材自体が溶融して、「融着」され、または一つの部材が別の部材に固定され、従って、部材同士を、損傷または破壊を生じさせることなく、分離することができる。これは、他の接合プロセス(すなわち、接着剤)とは異なる。他の接合プロセスでは、部材は、実質的に無変化であり、中間材料により、別の部材に接着される。
【0020】
また、部材の製造に利用される製造プロセスは、好適に滑らかな表面仕上げ(例えば、実質的な表面凹凸のない)が提供されてもよい。これにより、部材を互いに直接融着させることが容易になる。例えば、接合界面の幾何形状は適正(true)であり、実質的な表面凹凸を有さず、平行であることが望ましい。
【0021】
図3および
図4Aに示された例のような、いくつかの例では、サセプタ120aは、溶接材料121aに少なくとも一部が取り囲まれ、または封止され(例えば、成形され)、結合部110a、110bの間に配置されたサセプタグロメット122aが形成され得る。この場合、サセプタグロメット122aの外側界面123aは、部材101bの結合部110bとインターフェース化されるように構成され、サセプタグロメット122aの内側界面124aは、部材101aの結合部110aとインターフェース化されるように構成され得る。従って、この例では、結合部110bは、ケーブル101aの外側表面結合部110aと直接インターフェース化されるようには構成されない。一態様では、組み立ての間、サセプタ120aを含むサセプタグロメット122aは、結合部110aを開口111bに挿入する前に、結合部110bのような結合部に近接して配置され得る。
【0022】
また、部材101b、101cは、特徴部を有し、該特徴部は、相互の結合を容易にするために利用され、またはそのように構成され得る。例えば、部材101b(この例では、エンドキャップ)は、結合部114bを有し得る。部材101c(例えば、示された例ではシェルまたは管)は、結合部110cを有し、これは、部材101bの結合部114bと適合され、インターフェース化され、またはその他の方法で、部材101bの結合部114bとの結合を容易化するように構成され、部材101bと部材101cが相互に結合され得る。結合部110cは、部材101cのフランジ116c内に形成され、画定される開口115cを含んでもよい。一態様では、部材101bの結合部114bは、開口115c内に適合するように構成され得る。換言すれば、開口115cは、部材101bの結合部114bを受容するように構成できる。示された例では、結合部114b、110cの各々は、(円)筒状の形状を有するが、これに限定することを意図するものではない。任意の好適な形状または幾何形状が利用できる。
【0023】
また、部材組立体100は、結合部114b、110cに近接する(例えば、接合インターフェースの近傍に埋設される)1または2以上のサセプタ120bを有し得る。前述のように、サセプタ120bは、電磁エネルギー(例えば、無線周波数(RF)、磁場など)を十分な熱に変換して、結合部114b、110cを接合界面で溶融させるように作動可能であり、サセプタ120bの周囲の結合部114b、110cの凝固部(
図3の104bに示される)は、部材101b、101cを相互に結合する。
【0024】
いくつかの例、例えば
図3および
図4Aに示す例では、サセプタ120bは、少なくとも一部が溶接材料121bにより取り囲まれ、または封止(例えば成形)され、結合部114b、110cの間に配置されたサセプタグロメット122bが形成できる。この場合、サセプタグロメット122bの外側界面123bは、部材101cの結合部110cとインターフェース化されるように構成され、サセプタグロメット122bの内側表面124bは、部材101bの結合部114bとインターフェース化されるように構成され得る。従って、この例では、結合部110cは、結合部114bと直接インターフェース化されるようには構成されない。一態様では、組み立ての間、サセプタグロメット122bは、結合部114bを開口115cに挿入する前に、結合部110cのような結合部に近接して配置され得る。
【0025】
図4Bの分解断面図を参照すると、部材101a、101dは、特徴部を有し、これは、相互の結合を容易にするために利用され、または構成され得る前述のように、部材101aは、結合部110aを有し、ケーブルの場合、これは、ケーブルの外側表面の任意の好適な部分(例えば、ケーブルジャケット)であり得る。部材101d(例えば、示された例ではエンドキャップ)は、結合部110dを有し、これは、部材101dがケーブル101aの外側表面結合部110aと適合され、インターフェース化され、またはその他の方法で、ケーブル101aの外側表面結合部110aとの結合を容易化するように構成され得る。結合部110dは、部材101dのフランジ112d内に形成され、画定された開口111dを有し得る。一態様では、部材101aの外側表面結合部110aは、開口111d内に適合するように構成され得る。換言すれば、開口111dは、部材101aの外側表面結合部110aを受容するように構成できる。この場合、部材101aは、部材v101dを介して延在する。示された例では、結合部110a、110 dの各々は、(円)筒状の構成を有するが、これに限定されることを意図するものではない。任意の好適な形状または幾何形状が利用できる。
【0026】
また、部材組立体100は、結合部110a、110dに近接する(例えば、接合インターフェースの近傍に埋設された)1または2以上のサセプタ120cを有し得る。前述のように、サセプタ120cは、電磁エネルギー(例えば、無線周波数(RF)、磁場など)を十分な熱に変換し、接合界面で結合部110a、110dが溶融するように作動可能であり、サセプタ120cの周囲の結合部110a、110dの凝固部(
図3では104cで示されている)は、部材101a、101dを相互に結合する。
【0027】
図3および
図4Bに示す例のようないくつかの例では、サセプタ120cは、示された例における部材101dのような部材に関連付けることができる。例えば、サセプタ120cは、結合部110dに近接する部材101dの材料により、少なくとも一部が取り囲まれ、または封止(例えば、成形)され得る。この場合、結合部110dは、結合部110aとインターフェース化されるように構成できる。従って、本実施例では、部材101dの結合部110dは、部材101aの外側表面結合部110aと直接インターフェース化されるように構成され得る。
【0028】
また、部材101c、101dは、特徴部を有し、これは、相互の結合を容易にするために利用され、または構成され得る。例えば、部材101dは、結合部114dを有し得る。部材101c(例えば、シェル)は、結合部117cを有し、これは、部材101b(例えば、エンドキャップ)の結合部分114dと適合され、インターフェース化され、またはその他の方法で、部材101b(例えばエンドキャップ)の結合部114dとの結合を容易化し、部材101dと部材101cが相互に結合される。結合部117cは、フランジ119c内に形成され、画定された開口118cを有し得る。一態様では、部材101dの結合部114dは、開口118c内に適合するように構成され得る。換言すれば、開口118cは、部材101dの結合部114dを受容するように構成できる。示された例では、結合部114c、110dは各々、(円)筒状の構成を有するが、これに限定されることを意図するものではない。任意の好適な構成または幾何形状が利用され得る。
【0029】
また、部材組立体100は、結合部114d、117cに近接する(例えば、接合インターフェースの近傍に埋設された)1つ以上のサセプタ120dを有し得る。前述のように、サセプタ120dは、電磁エネルギー(例えば、無線周波数(RF)、磁場など)を十分な熱に変換し、接合界面で結合部114d、117cを溶融するように作動可能であり、サセプタ120dの周囲の結合部114d、117cの凝固部(
図3において104dで示されている)は、部材101c、101dを相互に結合する。
【0030】
いくつかの例、例えば
図3および
図4Bに示された例では、サセプタ120dは、示された例における部材101dのような部材と関連付けることができる。例えば、サセプタ120dは、結合部114dに近接する部材101dの材料により、少なくとも一部が取り囲まれ、または封止(例えば、成形)され得る。この場合、結合部114dは、結合部117cとインターフェース化されるように構成され得る。従って、この例では、部材101dの結合部114dは、部材101cの結合部117cと直接インターフェース化されるように構成できる。
【0031】
前述の一態様において、本例ではエンドキャップを有する部材101dは、部材101b~101dにより形成された保護ハウジングまたはバリアを介して、該保護ハウジングまたはバリア内に配置されたデバイス103(例えば電子デバイス)に、(例えば、通信および/または電力用)貫通接続101eに対するアクセスを提供するように構成され得る。部材101d、101eは、特徴部を有し、これは、相互の結合を容易にするために利用され、またはそのように構成され得る。貫通接続101eは、結合部110eを有し、ケーブルの場合、これは、任意の好適な構成を有し得る。いくつかの例では、貫通フィード101eは、ケーブルの外側表面の任意の好適な部分(例えば、ケーブルジャケット)であってもよい。部材101d(例えば、エンドキャップ)は、結合部113dを有し、前述のように、これは、貫通接続101eの外側表面結合部110eと適合され、インターフェース化され、またはその他の方法で、部材101dとの結合を容易にするように構成され得る。この場合、貫通接続101eは、エンドキャップ101dを貫通して延在する。示された例では、結合部110d、110eの各々は、(円)筒形状を有するが、これに限定されることを意図するものではない。任意の好適な構成または幾何形状を利用できる。
【0032】
また、部材組立体100は、結合部113d、110eに近接する1つ以上のサセプタ120を有し得る(例えば、接合インターフェースの近傍に埋設される)。前述のように、サセプタ120eは、電磁エネルギー(例えば、無線周波数(RF)、磁場など)を十分な熱に変換して、接合界面で結合部113d、110eを溶融するように作動可能であり、本願に記載のように、サセプタ120eは、必要な場合、サセプタグロメット122e内に含まれ、部材101d、101eの相互の結合が容易化されてもよいことが認識される必要がある。
【0033】
部材101a~101e、より詳細には、結合部110a~110eは、本願に記載の意図した目的のため、任意の好適な材料を利用して、任意の好適な方法で、形成されまたは構成することができる。例えば、部材101a、101b(例えば、結合部110a乃至110e)は、熱可塑性材料(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリオレフィン等)のような高分子材料を有し得る。幾つかの例では、隣接しまたは合わせられる部材の材料は、同じである。他の例では、隣接しまたは合わせられる部材の材料は、異なっており(例えば、異なる熱可塑性材料)、これらは、以下により詳細に記載されるように、相互に対する融着または溶接の際のそれらの適切性で選択されてもよい。
【0034】
通常、サセプタ120a~120eは、金属材料、強磁性材料、および/または誘電体材料で構成される。一態様では、サセプタ120a~120cは、高い抵抗率を有し、これは、誘導加熱に有意であり得る。好適なサセプタ材料には、鋼(例えば、フェライト鋼、ステンレス鋼(例えば、フェライトステンレス鋼)など)、銅、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、炭化ケイ素、グラファイトなどが含まれ得る。部材組立体100が水分環境で使用されるいくつかの場合には、サセプタ材料として、ステンレス鋼が好ましい。サセプタが水に曝される場合、その耐食性の特性が好ましいからである。
【0035】
サセプタ120a~120eは、従来の任意の好適な構成、幾何形状、または構造を有することができる。一態様では、サセプタ120a~120eは、
図3乃至
図4Bに示すように、リングもしくはフープの構成、および/またはコイル構成を有し得る。別の例では、サセプタ120a~120eは、ボール構成を有し得る。リング、フープ、またはコイルの断面形状は、円形、丸みを帯びた形状、長方形、三角形のような、任意の好適な形状または幾何形状とすることができる。別の態様では、サセプタ120a~120eは、粒子または粉末であり、高分子材料により形成され、成形され、または他の方法で支持され得る。
【0036】
さらに、
図3には、本開示の例による部材結合システム105を示す。例えば、結合システム105は、インダクタ(例えば、PE溶接機)のような、1または2以上の電磁エネルギー源130a~cを有し、電磁場(例えば、RFまたは磁場)を生成し、これが部材組立体100の選択された部分または領域に印加され、局部的な溶接領域が形成され得る。
【0037】
一態様では、電磁エネルギー源130a~130cは、サセプタ120a~120eに向かってエネルギーを放射するように構成され、サセプタ120a~120eの加熱により、隣接する部材101a~10eが相互に溶接または融着され得る。特定の態様では、電磁エネルギー源130a、130bは、インダクタコイルを含むように構成され、部材101a~101dは、電磁エネルギー源130a、130bと接触することなく、コイル内に適合され、エネルギー(例えば、磁場または磁束)は、半径方向内側に放射され、サセプタ120a~120dが加熱される。電磁エネルギー源130cは、エネルギー(例えば、磁場または磁束)を、ケーブル101eに沿って長手方向に誘導するように構成された、インダクタコイルを有し、電磁エネルギー源130cが部材101eまたは部材101dと接触することなく、部材101d内のサセプタ120eが加熱される。放射線または磁場の強度、期間、および/または配置は、繰り返し可能な結果を提供するために緻密に制御され得る。電磁エネルギー源130a~cの各々は、集束誘導加熱を提供するように構成され得る。換言すれば、電磁エネルギー源130a~cは、局所的に集束された電磁エネルギーを供給するように構成することができる。これは、半径方向および長手方向の各々において(例えば、ケーブルまたはケーブル接合のような、円形部材組立体の場合)、部材組立体100の1または2以上の特定の配置、または領域に要求されるエネルギーのみを意味し、部材組立体100内の1または2以上の特定の局所的溶融領域または溶接領域が得られ、組立体内またはその周囲に配置され得る他の部材(例えば、電子デバイスの金属部材、圧力容器等)との好ましくない相互作用が回避される。実際、電磁エネルギーは、サセプタの周囲の特定の境界に限定された、溶接領域または溶融領域を生成するように供給され得る。例えば、電磁エネルギー源は、サセプタ120a~dの周りの特定の半径方向深さ(例えば、約25mm±1~2mm)に、特定の軸方向長さ(例えば、約25~50mm±1~4mm)に沿って、電磁エネルギーを供給するように制御され、部材組立体100は、部材組立体100の部材を相互に接合する上で十分な特定の深さおよび軸方向長さを有する、1または2以上の溶融領域または溶接領域を有するようになる。また、材料の選定、厚さ、関連する組成、例えば抵抗率、導電率、および/または他の特性などが考慮されてもよい。本願に開示される接合構造および技術では、組立体100を迅速に製造することができ、標準的な射出成形技術よりもはるかに短時間で、高圧の水密シールが提供される。また、一態様では、本願に開示の原理は、非シール、機械的固定の目的にも使用することができる。
【0038】
本発明の一実施形態では、局所的に集束された電磁エネルギーを利用して、高分子部材を結合する方法が開示される。この方法は、第1の結合部を有する第1の部材と、第2の結合部を有する第2の部材と、サセプタとを得るステップを有し得る。また、本方法は、サセプタが第1および第2の結合部に近接するように、第1および第2の部材を合わせるステップを有し得る。また、本方法は、サセプタに電磁エネルギーを印加するステップを有し、サセプタは、電磁エネルギーを熱に変換し、これにより、サセプタの周囲の第1および第2の結合部の部分が溶融され、凝固の際に、第1および第2の部材が互いに結合される。一般に、一実施形態では、これらの方法ステップは、逐次的に実施できるものの、本方法では、特定の順序は必要ではないことに留意する必要がある。
【0039】
本方法の一態様では、第1の結合部は、開口を有し、第2の結合部は、開口内に適合するように構成される。
【0040】
本方法の一態様では、第1の結合部および第2の結合部の各々は、(円)筒状の構成を有する。
【0041】
本方法の一態様では、サセプタは、リング形状、コイル構造、粒子、または粉末の少なくとも1つを有する。
【0042】
本方法の一態様では、サセプタは、ステンレス鋼、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、炭化ケイ素、またはグラファイトの少なくとも1つを含む。
【0043】
本方法の一態様では、電磁エネルギーは、インダクタにより印加される。
【0044】
本方法の一態様では、第1の結合部または第2の結合部の少なくとも1つは、熱可塑性材料から形成される。
【0045】
本方法の一態様では、部材は、データケーブル組立体の少なくとも一部を形成する。
【0046】
開示された本発明の実施形態は、本願に開示の特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されるものではなく、当業者により認識される均等物に拡張されることが理解される。また、本願で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的で使用され、限定することを意図するものではないことが理解される必要がある。
【0047】
本願を通じて、「一実施形態」または「実施形態」という用語は、本発明の少なくとも1つの実施形態に、その実施形態に関して記載された特定の特徴、構造または特性が含まれることを意味する。従って、本願を通して、各種箇所における「一実施形態」または「実施形態」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を参照するものではない。
【0048】
本願で使用される複数の事項、構造的素子、構成素子、および/または材料は、便宜上、共通のリストで提供され得る。しかしながら、これらのリストは、別個のユニークな項目として、リストの各項目が個々に示されているものと解される必要がある。従って、そのようなリストの個々の項目は、別段の示唆をすることなく、共通の群における表示のみに基づいて、同じリストの他の項目と実質的に等価であると解されてはならない。さらに、また、本発明の各種実施形態および例は、その各種部材の代替物とともに参照されてもよい。そのような実施形態、例、および選択肢は、互いに事実上等価であると解されてはならず、本発明の別個の自律的な表現とみなされる必要があることが理解される。
【0049】
また、記載の特徴、構造、または特性は、1または2以上の実施形態において、任意の好適な態様で組み合わされてもよい。記載において、本発明の実施形態を完全に理解するため、長さ、幅、形状等の例のような、多くの特定の詳細が提供されている。しかしながら、当業者には、1または2以上の特定の詳細を用いずに、または他の方法、部材、材料等を用いて、本発明が実施され得ることが理解される。本発明の態様が曖昧になることを避けるため、別の例における、良く知られた構造、材料または動作については、詳しく示されず、記載されない場合がある。
【0050】
前述の例は、1または2以上の特定の用途における本発明の原理を示すものであるが、発明能力を行使することなく、ならびに本発明の原理および思想から逸脱することなく、実施の形態、用法、および詳細にわたって、多くの修正を行い得ることは、当業者には明らかである。従って、以下に記載される特許請求の範囲による場合を除き、本発明が限定されることは意図されない。