(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】メモリデバイスおよびそのデータ近似検索方法
(51)【国際特許分類】
G11C 15/04 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G11C15/04 631W
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077027
(22)【出願日】2023-05-09
【審査請求日】2023-06-20
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2023-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599129074
【氏名又は名称】旺宏電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】謝 志昌
(72)【発明者】
【氏名】呂 函庭
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-185196(JP,A)
【文献】特開2002-260388(JP,A)
【文献】国際公開第2021/199386(WO,A1)
【文献】特開平9-73793(JP,A)
【文献】特開2023-44545(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0190404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検索データ対をそれぞれ受け取る複数の選択スイッチ対と、
前記選択スイッチ対を介してグローバル・ビット・ラインにそれぞれ結合された複数のメモリ・セル・ストリング対であって、前記メモリ・セル・ストリング対の各々は、選択されたメモリセル対の記憶データおよび前記検索データ対の各々に従って前記グローバル・ビット・ラインに電流を供給するかどうかを決定する、複数のメモリ・セル・ストリング対と、
前記グローバル・ビット・ラインに結合され、前記グローバル・ビット・ラインの前記電流と、少なくとも1つの類似度にそれぞれ対応する少なくとも1つの基準電流とに従って、複数の検索結果のうちの1つを取得するセンスアンプと、
前記検索結果を記録し、時分割で生成された前記検索結果を蓄積することによって類似度情報を生成するページバッファとを備える、メモリデバイス。
【請求項2】
前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの各々と一致することに応答して、前記メモリ・セル・ストリング対は、前記グローバル・ビット・ラインに電流を生成しない、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項3】
前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの少なくとも1つと一致しないことに応答して、前記メモリ・セル・ストリング対は、前記グローバル・ビット・ラインに電流を生成する、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項4】
前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの各々と一致することに応答して、前記ページバッファの第1のレジスタが、第1の論理値を記録し、前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの少なくとも1つと一致しないことに応答して、前記ページバッファの前記第1のレジスタは、第2の論理値を記録し、前記第1の論理値は、前記第2の論理値と相補的である、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項5】
前記ページバッファは、前記第2の論理値を記録する第2のレジスタを設定し、前記第1のレジスタと前記第2のレジスタに記録された論理値に対して論理演算を行い、演算結果を第3のレジスタに記録する、請求項4に記載のメモリデバイス。
【請求項6】
前記ページバッファは加算器を備え、前記加算器は、ある時間間隔で前記第3のレジスタに記録された論理値に対して累積演算を実行するか、または、前記第3のレジスタに記録された反転論理値に対して前記累積演算を実行するために使用されて、加算結果を生成し、前記加算結果に応じて前記類似度情報を生成する、請求項5に記載のメモリデバイス。
【請求項7】
前記ページバッファは加算器を備え、前記加算器は、ある時間間隔で前記第1のレジスタに記録された論理値に対して累積演算を実行するか、または、前記第1のレジスタに記録された反転論理値に対して前記累積演算を実行するために使用されて、加算結果を生成し、前記加算結果に応じて前記類似度情報を生成する、請求項4に記載のメモリデバイス。
【請求項8】
前記検索データ対の少なくとも1つをワイルドカード信号に設定する乱数発生器をさらに備える、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項9】
前記選択スイッチ対に結合され、ソースデータに従って前記検索データ対を生成する駆動回路をさらに備える、請求項1に記載のメモリデバイス。
【請求項10】
複数の選択スイッチ対によって複数の検索データ対をそれぞれ受け取ることと、
前記選択スイッチ対を介して複数のメモリ・セル・ストリング対をグローバル・ビット・ラインにそれぞれ結合することと、
選択されたメモリセル対の記憶データおよび前記検索データ対の各々に従って、前記グローバル・ビット・ラインに電流を供給するかどうかを前記メモリ・セル・ストリング対の各々によって決定することと、
前記グローバル・ビット・ラインの前記電流と、少なくとも1つの類似度にそれぞれ対応する少なくとも1つの基準電流とに従って、複数の検索結果のうちの1つを取得することと、
前記検索結果を記録し、時分割で生成された前記検索結果を蓄積することによって類似度情報を生成することとを含む、データの近似検索方法。
【請求項11】
前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの各々と一致することに応答して、前記メモリ・セル・ストリング対は、前記グローバル・ビット・ラインに電流を生成しない、請求項10に記載の近似検索方法。
【請求項12】
前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの少なくとも1つと一致しないことに応答して、前記メモリ・セル・ストリングは、前記グローバル・ビット・ラインに電流を生成する、請求項10に記載の近似検索方法。
【請求項13】
前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの各々と一致することに応答して、ページバッファの第1のレジスタが、第1の論理値を記録し、
前記検索データ対の各々が、前記メモリ・セル・ストリング対の各々の前記記憶データの少なくとも1つと一致しないことに応答して、前記ページバッファの前記第1のレジスタは、第2の論理値を記録し、前記第1の論理値は、前記第2の論理値と相補的である、請求項10に記載の近似検索方法。
【請求項14】
前記ページバッファにより、前記第2の論理値を記録する第2のレジスタを設定し、前記第1のレジスタと前記第2のレジスタに記録された論理値に対して論理演算を行い、演算結果を第3のレジスタに記録することをさらに含む、請求項13に記載の近似検索方法。
【請求項15】
前記ページバッファに加算器を配置し、ある時間間隔で前記第3のレジスタに記録された論理値に対して累積演算を実行するか、または、前記第3のレジスタに記録された反転論理値に対して前記累積演算を実行するために前記加算器を使用して、加算結果を生成し、前記加算結果に応じて前記類似度情報を生成することをさらに含む、請求項14に記載の近似検索方法。
【請求項16】
前記ページバッファに加算器を配置し、ある時間間隔で前記第1のレジスタに記録された論理値に対して累積演算を実行するか、または、前記第1のレジスタに記録された反転論理値に対して前記累積演算を実行するために前記加算器を使用して、加算結果を生成し、前記加算結果に応じて前記類似度情報を生成することをさらに含む、請求項14に記載の近似検索方法。
【請求項17】
乱数発生器を提供し、前記検索データ対の少なくとも1つをワイルドカード信号に設定することをさらに含む、請求項10に記載の近似検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メモリデバイスおよびそのデータ近似検索方法に関するものであり、より詳細には、ビッグデータ検索の実行が可能なメモリデバイスおよびそのデータ近似検索方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子技術の進歩に伴い、人工知能の開発は急速な進歩を遂げている。ビッグデータ解析の効率を向上させるために、ビッグデータ検索を提供するインメモリサーチャが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今日のテクノロジーでは、ビッグデータ検索のための類似度情報をいかに効率的に生成するかがこの分野の重要なテーマとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、大量のデータの近似検索に適用して、データ検索の類似度情報を効果的に取得することができる、メモリデバイスおよびそのデータ近似検索方法を提供する。
【0005】
本開示のメモリデバイスは、複数の選択スイッチ対、複数のメモリ・セル・ストリング対、センスアンプ、およびページバッファを備える。選択スイッチ対は、それぞれ複数の検索データ対を受け取る。メモリ・セル・ストリング対はそれぞれ、選択スイッチ対を介してグローバル・ビット・ラインに結合される。メモリ・セル・ストリング対の各々は、選択されたメモリセル対の記憶データおよび検索データ対の各々に従って、グローバル・ビット・ラインに電流を供給するかどうかを決定する。センスアンプは、グローバル・ビット・ラインに結合され、グローバル・ビット・ラインの電流と、少なくとも1つの類似度にそれぞれ対応する少なくとも1つの基準電流とに従って、複数の検索結果のうちの1つを取得する。ページバッファは、検索結果を記録し、時分割で生成された検索結果を蓄積することによって類似度情報を生成する。
【0006】
以下、本開示のデータの近似検索方法について説明する。複数の検索データ対は、複数の選択スイッチ対によってそれぞれ受け取られる。複数のメモリ・セル・ストリング対は、選択スイッチ対を介してそれぞれグローバル・ビット・ラインに結合される。メモリ・セル・ストリング対の各々は、選択されたメモリセル対の記憶データおよび検索データ対の各々に従って、グローバル・ビット・ラインに電流を供給するかどうかを決定する。複数の検索結果のうちの1つが、グローバル・ビット・ラインの電流と、少なくとも1つの類似度にそれぞれ対応する少なくとも1つの基準電流とに従って取得される。検索結果は記録され、検索結果を蓄積することによって類似度情報が生成される。
【発明の効果】
【0007】
以上に基づいて、本開示のメモリデバイスは、選択スイッチ対によって検索データ対をそれぞれ受け取ることにより、選択スイッチ対に対応するメモリ・セル・ストリング対における選択されたメモリセル対の記憶データが、検索データ対に対応したアナログ形式のデータ検索操作を実行可能となる。本開示のメモリデバイスは、グローバル・ビット・ラインの電流に応じて時分割で取得された複数の検索結果を記録し、検索結果をカウントしてデータ検索操作における類似度情報を生成し、ビッグデータの比較操作を完了する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係るメモリデバイスの概略図である。
【0009】
【
図2A】本開示の別の一実施形態に係るメモリデバイスの概略図である。
【
図2B】本開示の別の一実施形態に係るメモリデバイスの概略図である。
【0010】
【
図3A】グローバル・ビット・ラインの電流と、異なる類似度情報のもとでメモリ・セル・ストリングによって、および大量のメモリ・セル・ストリングを使用して生成されたワードライン電圧との間の関係を示す。
【0011】
【
図3B】異なるハミング距離に対応するグローバル・ビット・ラインの電流の概略図である。
【0012】
【
図4】本開示の別の一実施形態に係るメモリデバイスの概略図である。
【0013】
【
図5】本開示の一実施形態に係るデータ近似検索方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係るメモリデバイスの概略図である。
図1を参照すると、メモリデバイス100は、複数のメモリ・セル・ストリング対MS1~MS2と、複数の選択スイッチSW1A、SW1B、SW2A、およびSW2Bによって形成される複数の選択スイッチ対と、センスアンプ120と、ページバッファ110とを含む。メモリ・セル・ストリング対MS1は、メモリ・セル・ストリングMS1A、MS1Bを含む。メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bは、それぞれ選択スイッチSW1A、SW1Bを有する。メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bは、それぞれ選択スイッチSW1AおよびSW1Bを介してグローバル・ビット・ラインGBLに結合される。メモリ・セル・ストリング対MS2は、メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bを含む。メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bは、それぞれ選択スイッチSW2AおよびSW2Bを有する。メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bは、それぞれ選択スイッチSW2AおよびSW2Bを介してグローバル・ビット・ラインGBLに結合される。メモリ・セル・ストリングMS1A、MS1B、MS2A、およびMS2Bは共通ソースラインCSLに結合される。
【0015】
データ検索操作中、メモリデバイス100内で複数ビットの検索データSB1およびSB2が時分割的または同期的に検索され得る。検索データSB1に対応して、一対の検索データSSL1およびSSL1Bが生成され、選択スイッチSW1AおよびSW1Bの制御端にそれぞれ提供され得る。検索データSSL1は、検索データSB1と同じ論理値を有し、検索データSSL1Bは、検索データSSL1と相補的な論理値を有し得る。また、検索データSB2に対応して、一対の検索データSSL2およびSSL2Bが生成され、選択スイッチSW2AおよびSW2Bの制御端にそれぞれ提供され得る。検索データSSL2は、検索データSB2と同じ論理値を有し、検索データSSL2Bは、検索データSSL2と相補的な論理値を有し得る。
【0016】
データ検索操作中、メモリ・セル・ストリングMS1A、MS1B、MS2A、およびMS2Bの各々において、例えばワードラインWL1A、WL1B、WL2A、およびWL2Bを使用することによって、読み出し電圧を受け取ることができる。また、メモリ・セル・ストリングMS1A、MS1B、MS2A、およびMS2Bにおいては、ワードラインWL1A、WL1B、WL2A、およびWL2Bにそれぞれ対応するメモリセルが、選択されたメモリセルとなる。
【0017】
論理値1の検索データSSL1と論理値0の検索データSSL1Bに応答して、論理値1の検索データSB1に対応するメモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bを例にとると、メモリ・セル・ストリングMS1A内の選択されたメモリセルが、高論理レベル(H)を記録し、メモリ・セル・ストリングMS1B内の選択されたメモリセルが、低論理レベル(L)を記録した場合、検索結果は一致し、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bは、グローバル・ビット・ラインGBLに電流を生成しない。論理値1の検索データSB1に対応して、メモリ・セル・ストリングMS1A内の選択されたメモリセルが、低論理レベル(L)を記録し、メモリ・セル・ストリングMS1B内の選択されたメモリセルが、高論理レベル(H)を記録した場合、検索結果は一致せず、メモリ・セル・ストリングMS1Aは、グローバル・ビット・ラインGBLに電流を生成し得る。
【0018】
一方、論理値0の検索データSB1に対応して、論理値0の検索データSSL1と論理値1の検索データSSL1Bに応答して、メモリ・セル・ストリングMS1A内の選択されたメモリセルが、高論理レベル(H)を記録し、メモリ・セル・ストリングMS1B内の選択されたメモリセルが、低論理レベル(L)を記録した場合、検索結果は一致せず、メモリ・セル・ストリングMS1Bは、グローバル・ビット・ラインGBLに電流を生成し得る。論理値0の検索データSB1に対応して、メモリ・セル・ストリングMS1A内の選択されたメモリセルが、低論理レベル(L)を記録し、メモリ・セル・ストリングMS1B内の選択されたメモリセルが、高論理レベル(H)を記録した場合、検索結果は一致し、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bは、グローバル・ビット・ラインGBLに電流を生成しない。
【0019】
さらに説明すると、データ検索操作中に、センスアンプ120を使用してグローバル・ビット・ラインGBLの電流の大きさを測定し、検索データと選択されたメモリセルに記憶されたデータとの間の類似度を取得する。センスアンプ120は、グローバル・ビット・ラインGBLの電流を1つ以上の基準電流と比較することによってデータ検索操作の検索結果を取得することができる。本実施形態では、メモリデバイス100は、メモリ・セル・ストリングMS1A、MS1B、MS2A、およびMS2Bによって形成される複数のメモリ・セル・ストリング対に、複数ビットの検索データに対するデータ検索操作をある時間間隔内で時分割的または同期的に実行させることができる。これに応じて、センスアンプ120は、複数の検索結果を時分割で取得することができる。センスアンプ120によって生成された検索結果は、ページバッファ110に送信され得る。ページバッファ110は、検索結果を記録することができる。さらに、ページバッファ110は、取得された検索結果をカウントすることによって類似度情報を生成することができる。
【0020】
なお、センスアンプ120は、程度の異なる1つ以上の類似度にそれぞれ対応する1つ以上の基準電流を設定し、グローバル・ビット・ラインGBLの電流を基準電流と比較することにより、類似度のうちの1つに対応するデータ検索結果を取得することができる。具体的には、センスアンプ120は、グローバル・ビット・ラインGBLの電流の大きさを感知してデータ検索結果を生成するように構成される。すなわち、センスアンプ120は、アナログ方式で感知動作を実行する。
【0021】
例えば、センスアンプ120が、グローバル・ビット・ラインGBLの電流が類似度に対応する基準閾値より小さいと判断することに応答して、センスアンプ120は、データ検索結果が一致していると判断し、論理値0などの検索結果を生成することができる。ページバッファ110は、センスアンプ120のデータ検索結果に応じて類似度の値を記録することができる。ページバッファ110は、一定時間間隔内にセンスアンプ120によって生成された複数回のデータ検索結果を蓄積することにより、検索操作時に検索データとメモリデバイス100に保存されたデータとの間の類似度情報をさらに取得することができる。本実施形態では、ページバッファ110によって蓄積された類似度情報の値が小さいほど、検索データとメモリデバイス100に保存されたデータとの間の類似度は高くなる。逆に、ページバッファ110によって蓄積された類似度情報の値が大きいほど、検索データとメモリデバイス100に保存されたデータとの間の類似度は低くなる。
【0022】
本開示の他の実施形態では、ページバッファ110は、センスアンプ120によって生成された反転検索結果を蓄積することもできる。この場合、ページバッファ110によって蓄積された類似度情報の値が大きいほど、検索データとメモリデバイス100に保存されたデータとの間の類似度は高くなる。逆に、ページバッファ110によって蓄積された類似度情報の値が小さいほど、検索データとメモリデバイス100に保存されたデータとの間の類似度は低くなる。
【0023】
本発明の実施形態では、複数のメモリ・セル・ストリングMS1~MS2でセンスアンプおよびページバッファ110を共有することにより、データ検索操作の次元を向上させることができる。メモリ・セル・ストリングの数が128個である場合を例にとると、128個のメモリ・セル・ストリングに対して16回の検索操作を実行することにより、128×16(=2048)ビットの検索操作が完了し得る。これに応じて、ページバッファ110は、対応して生成された類似度情報を記録するために4ビットのレジスタを設定することができる。レジスタを1ビット増やすことにより、ページバッファ110によって記録される類似度情報のビット数を2倍にすることができる。
【0024】
図2Aおよび
図2Bは、本開示の別の一実施形態に係るメモリデバイスの概略図であり、
図2Aおよび
図2Bを参照すると、メモリデバイス200は、複数のメモリ・セル・ストリング対MS1~MS2と、複数の選択スイッチSW1A、SW1B、SW2A、およびSW2Bから形成された複数の選択スイッチ対と、ページバッファ210とを含む。メモリ・セル・ストリング対MS1は、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bを含み、メモリ・セル・ストリング対MS2は、メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bを含む。メモリ・セル・ストリングMS1A、MS1B、MS2A、およびMS2Bはそれぞれ、選択スイッチSW1A、SW1B、SW2A、およびSW2Bを介してグローバル・ビット・ラインGBLに結合される。選択スイッチSW1AおよびSW1Bは、選択スイッチ対を形成し、それぞれ一対の検索データSSL1およびSSL1Bを受け取る。選択スイッチSW2AおよびSW2Bは、別の選択スイッチ対を形成し、それぞれ一対の検索データSSL2およびSSL2Bを受け取る。
【0025】
本実施形態では、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bは、まずデータ検索操作を実行し、検索データSB1に基づいて選択されたメモリセルMC1AおよびMC1Bに保存されたデータを検索することができる。論理値1を有する検索データSB1に基づいて、検索データSSL1は、論理値1を有することができ、検索データSSL1Bは、論理値0を有することができる。高論理レベル(H)および低論理レベル(L)をそれぞれ記憶する選択されたメモリセルMC1AおよびMC1Bを例にとると、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bのデータ検索操作は一致し、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bは、グローバル・ビット・ラインGBLに電流を生成しない。
【0026】
これに応じて、論理値0の検索結果は、ページバッファ210の第1のレジスタに記録され得る。本実施形態では、ページバッファ210は、第2のレジスタと第3のレジスタを有することができる。第2のレジスタは、初期値(例えば、論理値1に等しい)を記録することができ、ページバッファ210は、論理演算に基づいて第3のレジスタに記録される論理値を生成することができる。例えば、ページバッファ210は、第1のレジスタの論理値を反転し、第2のレジスタの論理値とAND演算を行って、第3のレジスタに記録される論理値を生成することができる。検索結果が一致する場合、第1のレジスタには論理値0が記録され、ページバッファ210は、第3のレジスタに記録された論理値が論理値1であると計算することができる。
【0027】
一方、ページバッファ210は、加算器211を含む。加算器211は、各々の検索操作において第3のレジスタに記録された論理値を累積して、それによって類似度情報を生成することができる。第3のレジスタに記録された論理値が論理値1であることに応じて、加算器211は、類似度情報を1だけ増加させることができる。
【0028】
図2Bでは、メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bは、次のデータ検索操作を実行し、検索データSB2に基づいて選択されたメモリセルMC2AおよびMC2Bに保存されたデータを検索することができる。
【0029】
論理値0を有する検索データSB2に基づいて、検索データSSL2は、論理値0を有することができ、検索データSSL2Bは、論理値1を有することができる。高論理レベル(H)および低論理レベル(L)をそれぞれ記憶する選択されたメモリセルMC2AおよびMC2Bを例にとると、メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bのデータ検索操作は一致せず、メモリ・セル・ストリングMS2Bは、グローバル・ビット・ラインGBLの電流を生成する。
【0030】
これに応じて、論理値1の検索結果は、ページバッファ210の第1のレジスタに記録され得る。本実施形態では、第2のレジスタは、(論理値1に等しい)以前に第1のレジスタに記録された値を記録することができ、ページバッファ210は、論理演算に基づいて第3のレジスタに記録された論理値を生成することができる。例えば、ページバッファ210は、第1のレジスタの論理値を反転し、第2のレジスタの論理値とAND演算を行って、第3のレジスタに記録される論理値を生成することができる。検索結果が一致する場合、第1のレジスタには論理値1が記録され、ページバッファ210は、第3のレジスタに記録された論理値が論理値0であると計算することができる。
【0031】
本実施形態では、第3のレジスタに記録される論理値が論理値0として記録された後、第2のレジスタに記録される論理値が論理値0に設定される。したがって、後続の検索操作では、第3のレジスタに記録される論理値は、常に論理値0に等しい。したがって、本実施形態では、第3のレジスタに記録される論理値は、検索結果がすべて一致した場合にのみ論理値1となり得る。
【0032】
一方、加算器211は、複数回の検索操作において第3のレジスタに記録された論理値を連続的に累積して、それによって類似度情報を生成することができる。本実施形態では、加算器211により算出される類似度情報の値が大きいほど、複数回のデータ検索における検索データと記憶データとの類似度が高くなる。逆に、加算器211により算出される類似度情報の値が小さいほど、複数回のデータ検索における検索データと記憶データとの類似度が低くなる。
【0033】
本開示の他の実施形態では、加算器211は、第3のレジスタに記録された反転論理値を蓄積することもできる。このような状況下では、加算器211により算出される類似度情報の値が小さいほど、複数回のデータ検索操作における検索データと記憶データとの間の類似度が高くなり、加算器211により算出される類似度情報の値が大きいほど、複数回のデータ検索における検索データと記憶データとの類似度が低くなる。
【0034】
本開示の他の実施形態では、加算器211は、第3のレジスタに記録された論理値に対して累算を実行しなくてもよい。逆に、加算器211は、第1のレジスタに記録された論理値、または第1のレジスタに記録された反転論理値に対して累算を実行してもよい。複数回の累算の後、加算器211は、生成された複数ビットの加算結果を複数のレジスタに記録することにより、類似度情報を取得してもよい。例えば、ページバッファ210には4つのレジスタが配置され、加算器211は、0~15の範囲の類似度情報を生成することができる。
【0035】
図3Aおよび
図3Bを参照されたい。
図3Aは、グローバル・ビット・ラインの電流と、異なる類似度情報のもとでメモリ・セル・ストリングによって、および大量のメモリ・セル・ストリングを使用して生成されたワードライン電圧との間の関係を示す。
図3Bは、異なるハミング距離に対応するグローバル・ビット・ラインの電流の概略図である。ハミング距離とは、検索データとメモリセルに記憶されているデータとの排他的論理和演算により算出される差分ビット量情報である。例えば、検索データが2進数で10011011であり、メモリセルに記憶されているデータが2進数で01111001であることに応答して、ハミング距離は、10011011と01111001との間の排他的論理和演算の合計とすることができ、これは、例えば4に等しい。
【0036】
図3Aでは、グローバル・ビット・ラインに128個のメモリ・セル・ストリングがあると仮定すると、正規化されたハミング距離は、グローバル・ビット・ラインの電流に正比例し得る。ワードライン電圧が-1ボルトにほぼ等しい位置に対応して、分布曲線310は、それに応じて50%のハミング距離を有し、これはグローバル・ビット・ラインに約170ナノアンペアの電流を生成することができ、分布曲線320は、それに応じて25%のハミング距離を有し、これはグローバル・ビット・ラインに約95ナノアンペアの電流を生成することができる。
【0037】
図3Bの縦軸は累積確率であり、横軸はグローバル・ビット・ラインの電流である。曲線331から335は、異なるハミング距離にそれぞれ対応するグローバル・ビット・ラインの電流関係の概略図である。曲線331~335は、それぞれ0%、12.5%、25%、37.5%、および50%の正規化ハミング距離に対応する。本実施形態では、メモリデバイスは、曲線331~335に対応する電流分布範囲に従って、1つ以上の類似度にそれぞれ対応する1つ以上の基準電流を設定することができる。ここで、類似度は、図中のハミング距離にそれぞれ対応する。曲線331および332を例にとると、基準電流を30nAに設定することにより、データ検索結果の正規化ハミング距離が0%より大きいかどうかを判定できる。
【0038】
メモリ・セル・ストリングの量が十分に多い条件下では、グローバル・ビット・ラインの電流間隔を判断することにより、データ検索の検索結果の類似度を明確に判断できることは、
図3Aおよび
図3Bからはっきりと分かるかもしれない。
【0039】
図4は、本開示の別の一実施形態に係るメモリデバイスの概略図であり、
図4を参照すると、メモリデバイス400は、複数のメモリ・セル・ストリング対MS1およびMS2、複数の選択スイッチSW1A、SW1B、SW2A、およびSW2B、駆動回路420、および乱数発生器430を含む。メモリ・セル・ストリング対MS1は、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bを含み、メモリ・セル・ストリング対MS2は、メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bを含む。メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1Bは、それぞれ選択スイッチSW1AおよびSW1Bを介してグローバル・ビット・ラインGBL1に結合され、メモリ・セル・ストリングMS2AおよびMS2Bは、それぞれ選択スイッチSW2AおよびSW2Bを介してグローバル・ビット・ラインGBL1に結合される。この実施形態では、メモリデバイス400は、残りのグローバル・ビット・ラインGBL2を有し、グローバル・ビット・ラインGBL2もまた、メモリ・セル・ストリングMS1A、MS1B、MS2A、およびMS2Bと同じ構造を有する複数のメモリ・セル・ストリングに結合され得る。グローバル・ビット・ラインGBL1上のメモリ・セル・ストリングMS1A、MS1B、MS2A、およびMS2Bは、グローバル・ビット・ラインGBL2上のメモリ・セル・ストリングにそれぞれ対応することができ、並列に接続される。メモリ・セル・ストリングは、同じ共通ソースラインCSLを共有することができる。
【0040】
駆動回路420は、選択スイッチSW1A、SW1B、SW2A、およびSW2Bに結合され、ソースデータSBxに応じて検索データSSL1、SSL1B、SSL2、およびSSL2Bを生成するように構成される。ソースデータSBxには、検索データSB1およびSB2が含まれる。また、乱数発生器430は、駆動回路420に結合され、駆動回路420によって生成された検索データ対の少なくとも1つをワイルドカード信号に設定する。
【0041】
ワイルドカード信号である検索データ対に応答して、駆動回路420によって生成された検索データSSL1およびSSL1Bは両方とも、論理値0を有し得ることに言及する価値がある。すなわち、検索データ対がワイルドカード信号であることに応答して、対応するメモリ・セル・ストリング(例えば、メモリ・セル・ストリングMS1AおよびMS1B)の検索結果は一致する必要があり、対応するグローバル・ビット・ラインGBL1には電流が供給されない。
【0042】
図5を参照されたい。
図5は、本開示の一実施形態に係るデータ近似検索方法のフローチャートである。ステップS510では、選択スイッチ対は、それぞれ複数の検索データ対を受け取る。ステップS520では、複数のメモリ・セル・ストリング対が、それぞれ選択スイッチ対を介してグローバル・ビット・ラインに結合される。ステップS530では、メモリ・セル・ストリング対の各々が、選択されたメモリセル対の記憶データおよび検索データ対の各々に従って、グローバル・ビット・ラインに電流を供給するかどうかを決定する。ステップS540では、グローバル・ビット・ラインの電流に従って、時分割的に複数の検索結果が取得される。また、ステップS550では、検索結果が記録され、検索結果を蓄積することにより類似度情報が生成される。
【0043】
上記のステップの実装の詳細は、前述の実施形態で詳細に説明されているため、ここでは繰り返さない。
【0044】
要約すると、本開示のメモリデバイスは、複数のメモリ・セル・ストリング対を提供し、選択スイッチ対を介して複数の検索データ対を受け取るため、検索データ対と選択されたメモリセル対の記憶データとの間でデータ検索操作を実行する。本開示のページバッファは、複数回のデータ検索操作により生成された検索結果を記録し、時分割的に生成された検索結果を蓄積することによって類似度情報を生成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のメモリデバイスおよびそのデータ近似検索方法は、大量のデータの近似検索に適用して、データ検索の類似度情報を効果的に取得することができる。
【符号の説明】
【0046】
100、200、400:メモリデバイス
110、210:ページバッファ
120:センスアンプ
211:加算器
310、320:分布曲線
331~335:曲線
420:駆動回路
430:乱数発生器
CSL:共通ソースライン
GBL、GBL1、GBL2:グローバル・ビット・ライン
MC1A、MC1B、MC2A、MC2B:選択されたメモリセル
MS1~MS2:メモリ・セル・ストリング対
MS1A、MS1B、MS2A,MS2B:メモリ・セル・ストリング
S510~S550:ステップ
SB1、SB2:検索データ
SBx:ソースデータ
SW1A、SW1B、SW2A、SW2B:選択スイッチ
WL1A、WL1B、WL2A、WL2B:ワードライン