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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】インクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 175
B41J2/175 119
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023121823
(22)【出願日】2023-07-26
(65)【公開番号】P2024016843
(43)【公開日】2024-02-07
【審査請求日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】202221935729.4
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202310089847.0
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202320168196.X
(32)【優先日】2023-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512246042
【氏名又は名称】珠海納思達企業管理有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】梁 仕超
(72)【発明者】
【氏名】夏 敬章
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼ 惠▲棟▼
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-121415(JP,A)
【文献】特開2014-117836(JP,A)
【文献】国際公開第2013/105504(WO,A1)
【文献】特開2013-141802(JP,A)
【文献】中国実用新案第219789672(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状の装着方向に沿ってプリンタの装着部に着脱可能に装着されるインクカートリッジであって、
前記インクカートリッジは、前記装着方向の前端に位置する前端部を備え、前記前端部にはチップが設けられており、前記前端部は、前記装着方向の前端に設けられた前端面、および前記前端面と交差した上端面を備え、前記前端部は、前記上端面と前記前端面との交差箇所に装着溝が設けられており、前記チップは前記装着溝内に位置し、前記チップが設けられた平面は、前記上端面および前記前端面と交差し、前記上端面に2つの位置規制部材が設けられており、前記インクカートリッジの幅方向において、2つの前記位置規制部材はそれぞれ前記装着溝の両側に位置し、前記インクカートリッジの幅方向は、前記装着方向に垂直であり、且つ前記上端面に平行であり、
前記位置規制部材は位置規制アームを備え、前記位置規制アームは前記上端面よりも上方に位置し、前記位置規制アームの延在方向は前記装着方向に平行であり、前記位置規制アームは前記装着方向において前記前端面に近い側面が位置規制アーム端面であり、前記位置規制部材は前記位置規制アーム端面に設けられた外延部をさらに備え、前記装着方向において、前記外延部の前記前端面に近い端部は前記前端面よりも後方に位置し、前記外延部を前記装着方向とは反対の方向へ対応する前記位置規制アーム端面に投影したとき、前記外延部の投影は、対応する前記位置規制アーム端面の前記インクカートリッジの幅方向において前記装着溝に近い側辺よりも、前記インクカートリッジの幅方向において前記装着溝側へ越えない
ことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記位置規制部材は支持アームをさらに備え、前記支持アームは前記位置規制アームおよび前記上端面に連結しており、前記外延部の底面は前記位置規制アームの底面と面一である
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記外延部の前記前端面に近い端部の端面の投影は、対応する前記位置規制アーム端面の範囲内に収まり、
前記インクカートリッジの幅方向において、前記外延部の長さは前記位置規制アームの長さよりも短い
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記インクカートリッジの幅方向において、前記外延部は、対応する前記位置規制アーム端面の前記装着溝に近い側に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記外延部の前記装着溝に近い側面は遷移面であり、前記遷移面の前記装着方向の前端における側辺は前側辺であり、前記遷移面の前記装着方向の後端における側辺は後側辺であり、前記インクカートリッジの幅方向において、2つの前記前側辺の距離は、2つの前記後側辺の距離よりも長い
ことを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記後側辺は、対応する前記位置規制アーム端面の前記装着溝に近い側辺と重なり合っている
ことを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
前記遷移面は前記上端面に垂直である
ことを特徴とする請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
前記上端面は、前記装着溝の前記インクカートリッジの幅方向に沿った両側に凹んでいる逃げ部が設けられており、前記逃げ部は前記装着溝と連通している
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記逃げ部の前記インクカートリッジの高さ方向における端面は、逃げ面であり、前記逃げ面は傾斜面であり、前記逃げ面は前記前端面と交差し、前記逃げ面の前記前端面に遠い側の側辺は、前記逃げ面の前記前端面に近い側の側辺よりも上方に位置し、前記インクカートリッジの高さ方向は前記上端面に垂直である
ことを特徴とする請求項8に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
前記外延部の前記インクカートリッジの高さ方向における投影は、少なくとも部分的に前記逃げ面に位置する
ことを特徴とする請求項9に記載のインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷の技術分野に関し、具体的にインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、人々の生活や仕事にますます広く使用されている。インクカートリッジは、プリンタの消耗品の1つとして、人々の生活や仕事には不可欠なものである。
【0003】
従来技術として、線状的に差し込んで装着される大容量インクカートリッジが挙げられる。このようなインクカートリッジは、装着方向の前端にプリンタの装着部と嵌合する前端部が設けられており、該前端部にチップが傾斜するように設けられており、プリンタの装着部における接触ピンホルダも相応的に傾斜するように設けられている。大容量インクカートリッジの前端部の上方には、位置規制部材が2つ設けられており、位置規制部材は、位置規制アームおよび支持アームを備え、支持アームは位置規制アームおよび前端部を連結し、位置規制アームの前端は前端部よりも後側に位置する。プリンタの装着部は、接触ピンホルダを備える。接触ピンホルダには、被制限部が2つ設けられている。接触ピンホルダに設けられた接触ピンは、チップに当接して、インクカートリッジと装着部との間で電気信号を伝送する。2つの位置規制部材の位置規制アームおよび前端部によって囲まれた空間が2つの被制限部と係合し、インクカートリッジの高さ方向において接触ピンホルダの位置を規制することができるため、チップの位置を正確に決めて、チップを接触ピンに確実に当接させることができる。
【0004】
しかし、接触ピンホルダは、インクカートリッジの装着方向に垂直な平面において動きの自由度を有し、接触ピンホルダとチップとの接続過程において、接触ピンの弾性力によって、接触ピンホルダ全体が傾き、被制限部のインクカートリッジに向かう端部が上へ傾き、その傾きが接続過程において徐々に増え、位置規制部材および被制限部が作用すると、被制限部の上へ傾いた端部が、位置規制アームの前端に当接し、チップおよび接触ピンホルダが確実に接続できなくなる虞がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、接触ピンホルダがインクカートリッジの装着方向に垂直な平面において動きの自由度を有し、接触ピンホルダとチップとの接続過程において、接触ピンの弾性力によって、接触ピンホルダ全体が傾き、被制限部のインクカートリッジに向かう端部が上へ傾き、その傾きが接続過程において徐々に増え、位置規制部材および被制限部が作動すると、被制限部の上へ傾いた端部が、位置規制アームの前端に当接し、チップおよび接触ピンホルダが確実に接続できなくなるという課題を解決するためのインクカートリッジを提供する。
【0006】
本発明に係るインクカートリッジは、装着方向の前端に位置する前端部を備え、前記前端部にはチップが設けられており、前記前端部は、前記装着方向の前端に設けられた前端面、および前記前端面と交差した上端面を備え、前記前端部は、前記上端面と前記前端面との交差箇所に装着溝が設けられており、前記チップは前記装着溝内に位置し、前記チップが設けられた平面は、前記上端面および前記前端面と交差し、前記上端面に2つの位置規制部材が設けられており、前記インクカートリッジの幅方向において、2つの前記位置規制部材はそれぞれ前記装着溝の両側に位置し、前記インクカートリッジの幅方向は、前記装着方向に垂直であり、且つ前記上端面に平行であり、前記位置規制部材は位置規制アームを備え、前記位置規制アームは前記上端面よりも上方に位置し、前記位置規制アームの延在方向は前記装着方向に平行であり、前記位置規制アームは前記装着方向において前記前端面に近い側面が位置規制アーム端面であり、前記位置規制部材は前記位置規制アーム端面に設けられた外延部をさらに備え、前記装着方向において、前記外延部の前記前端面に近い端部は前記前端面よりも後方に位置し、前記外延部を前記装着方向とは反対の方向へ対応する前記位置規制アーム端面に投影したとき、前記外延部の投影は、対応する前記位置規制アーム端面の前記インクカートリッジの幅方向において前記装着溝に近い側辺よりも、前記インクカートリッジの幅方向において前記装着溝側へ越えない。
【0007】
選択的には、前記位置規制部材は支持アームをさらに備え、前記支持アームは前記位置規制アームおよび前記上端面を連結しており、前記外延部の底面は前記位置規制アームの底面と面一である。
【0008】
選択的には、前記外延部の前記前端面に近い端部の端面の投影は、対応する前記位置規制アーム端面の範囲内に収まり、前記インクカートリッジの幅方向において、前記外延部の長さは前記位置規制アームの長さよりも短い。
【0009】
選択的には、前記インクカートリッジの幅方向において、前記外延部は、対応する前記位置規制アーム端面の前記装着溝に近い側に位置する。
【0010】
選択的には、前記外延部の前記装着溝に近い側面は遷移面であり、前記遷移面の前記装着方向の前端における側辺は前側辺であり、前記遷移面の前記装着方向の後端における側辺は後側辺であり、前記インクカートリッジの幅方向において、2つの前記前側辺の距離は、2つの前記後側辺の距離よりも長い。
【0011】
選択的には、前記後側辺は、対応する前記位置規制アーム端面の前記装着溝に近い側辺と重なり合っている。
【0012】
選択的には、前記遷移面は前記上端面に垂直である。
【0013】
選択的には、前記上端面は、前記装着溝の前記インクカートリッジの幅方向に沿った両側に凹んでいる逃げ部が設けられており、前記逃げ部は前記装着溝と連通している。
【0014】
選択的には、前記逃げ部の前記インクカートリッジの高さ方向における端面は、逃げ面であり、前記逃げ面は傾斜面であり、前記逃げ面は前記前端面と交差し、前記逃げ面の前記前端面に遠い側の側辺は、前記逃げ面の前記前端面に近い側の側辺よりも上方に位置し、前記インクカートリッジの高さ方向は前記上端面に垂直である。
【0015】
選択的には、前記外延部の前記インクカートリッジの高さ方向における投影は、少なくとも部分的に前記逃げ面に位置する。
【0016】
本発明に係るインクカートリッジは、位置規制部材の位置規制アームの端部に外延部を設けることで、インクカートリッジの装着過程において位置規制部材と接触ピンホルダとがインクカートリッジの幅方向において干渉するリスクを増加させずに、接触ピンホルダが上へ傾くことを効果的に抑制することができ、位置規制部材によって、接触ピンホルダの位置をインクカートリッジの高さ方向において規制することができるため、チップと接触ピンホルダとを確実に接続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下、本発明の実施例または従来技術を一層明確に説明するために、実施例または従来技術の説明に必要な図面について簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本発明の一部の実施例であり、当業者は、創造的行為が要らずに、これらの図面を基に他の図面を得ることが可能である。
【0018】
図1】既存の装着部の部分構造図である。
図2図1の接触ピンホルダの構造模式図である。
図3】本発明の実施例に係るインクカートリッジおよびトレーの分離状態の構造図である。
図4図3のインクカートリッジの上面模式図である。
図5図4の前端部を第1角度で見た構造図である。
図6図4の前端部を第2角度で見た構造図である。
図7図4の前端部の部分構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施例の目的、技術方案および利点を一層明確にさせるために、以下では本発明の実施例を示す図面に基づいて、本発明の実施例における技術方案を明確に詳細に説明する。勿論、説明する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な行為が要らずに得た他の実施例は、全て本発明の技術的範囲に属する。
【0020】
「第1」および「第2」は、説明のためにのみ使用される用語であり、相対的な重要性を明示もしくは暗示するか、または、示される技術的特徴の数を暗示することが意図されていないと理解されるべきである。従って、「第1」および「第2」で特定された特徴は、少なくとも1つの特徴を含むことを明示または暗示することができる。本発明についての説明において、「複数の」は、他に明確な限定がない限り、少なくとも2つ(例えば、2つ、3つなど)を意味する。
【0021】
本発明では、他に明確な規定や限定がない限り、「装着」、「接続」、および「固定」などの用語は、広く理解されるべきであり、例えば、固定的な接続、着脱可能な接続、または一体であってもよく、機械的な接続、電気的な接続、または互いに通信可能であってもよく、直接的な接続、媒介を介する間接的な接続であってもよく、2つの要素の内部の連通、または相互の作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況によって、これらの用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0022】
本発明では、他に明確な規定や限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」または「下」にあることは、第1特徴と第2特徴との直接接触、または、第1と第2特徴との媒介を介する接触であってもよい。また、第1特徴が第2特徴「の上」、「上方」と「上」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上もしくは斜め上方にあることであってもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことのみを示してもよい。第1特徴が第2特徴「の下」、「下方」と「下」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下もしくは斜め下方にあることであってもよく、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも低いことのみを示してもよい。
【0023】
前述の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、または「いくつかの例」という用語への言及は、その実施例または例に記載された具体的な特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施例または例に含まれることを意味する。本明細書において、上記の用語の模式的表現は、同一の実施例または例に関する必要はない。また、記載された具体的な特徴、構造、材料または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において適切な方法で組み合わされ得る。さらに、互いに矛盾しなければ、当業者は、本明細書に記載された異なる実施例または例と、異なる実施例または例の特徴とを組み合わせたり結び付けたりすることができる。
【0024】
関連する技術では、接触ピンホルダは、インクカートリッジの装着方向に垂直な平面において動きの自由度を有し、接触ピンホルダとチップとの接続過程において、接触ピンの弾性力によって、接触ピンホルダ全体が傾斜し、被制限部のインクカートリッジに向かう端部が上へ傾き、傾きの度合いが接続過程において徐々に増え、位置規制部材と被制限部とが作用すると、被制限部の上へ傾いた端部が位置規制アームの前端に当接し、位置規制部材がインクカートリッジの高さ方向において接触ピンホルダの位置を規制することができず、チップおよび接触ピンホルダが確実に接続できなくなる虞がある。
【0025】
上記の課題を解決するために、本発明の実施例はインクカートリッジを提供する。位置規制部材の位置規制アームの端部に外延部を設けることにより、接触ピンホルダとチップとの接続時に、被制限部のインクカートリッジに向かう端部が外延部の下方に位置し、外延部によって、接触ピンホルダが上へ傾くことを効果的に抑制することができ、位置規制部材によって、インクカートリッジの高さ方向において接触ピンホルダの位置を規制することができるため、チップと接触ピンホルダとを確実に接続させることができる。また、外延部の装着方向とは反対の方向における投影が対応する位置規制アーム端面のインクカートリッジの幅方向において装着溝に近い側辺を越えないため、外延部は、インクカートリッジの装着過程において位置規制部材と接触ピンホルダとがインクカートリッジの幅方向において干渉するリスクを増加させることはない。
【0026】
以下は、具体的な実施例に基づいて、本発明の実施例に係るインクカートリッジを詳しく説明する。
【0027】
図1は、既存の装着部の部分構造図である。図2は、図1の接触ピンホルダの構造模式図である。図3は、本発明の実施例に係るインクカートリッジおよびトレーの分離状態の構造図である。図4は、図3のインクカートリッジの上面模式図である。
【0028】
図1図4に示すように、本発明の実施例は、プリンタの装着部50に着脱可能に装着されるインクカートリッジ100を提供する。インクカートリッジ100は、線状の装着方向に沿って装着部50に装着される。インクカートリッジ100は、インク袋式のインクカートリッジであるが、他の種類の大容量インクカートリッジであってもよい。図1図3および図4では、+Y軸方向は装着方向である。
【0029】
プリンタは、トレー20をさらに備える。インクカートリッジ100がトレー20に置かれると、組立体となり、該組立体は装着方向に沿って装着部50に装着される。
【0030】
図1に示すように、装着部50は、フレーム、装置側端子部52、2つの位置決め部53、インク供給針51およびロック部54を備える。装置側端子部52は、接触ピンホルダ52tを備える。接触ピンホルダ52tに設けられた接触ピンは、インクカートリッジ100のチップ120に当接するためのものである。接触ピンホルダ52tは、インクカートリッジ100の装着方向に垂直な平面において動きの自由度を有する。
【0031】
図3に示すように、トレー20は、実質的に、開口を有する長方体状をなし、トレー20は、第1面20a、第2面20b、収容底面20c、開口20d、第1側面20eおよび第2側面20fを備える。3つの座標軸のX軸、Y軸、Z軸が互いに直交する3次元直交座標系XYZを用いる。開口20dから収容底面20cへの方向は+Z軸方向とされ、+Z軸方向は鉛直方向とも呼ばれる。第2面20bから第1面20aへの方向は+Y軸方向とされ、+Y軸方向は、インクカートリッジおよびトレー20からなる組立体が装着部50に装着される装着方向とも呼ばれる。第2側面20fから第1側面20eへの方向は+X軸方向とされる。第1面20aは、装着方向の前端側の面である。装着部50の座標系は、トレー20が装着部50に装着されている状態では、トレー20の座標系と一致する。
【0032】
トレー20は、収容チャンバ210、固定機構およびトレー位置決め部21をさらに備える。収容チャンバ210は、インクカートリッジ100を収容するためのものであり、第1面20aには、2つのトレー位置決め部21が設けられている。トレー20が装着部50に装着されると、トレー位置決め部21と位置決め部53とが係合するため、装着方向に垂直な方向におけるトレー20の大体の位置を決めることができ、また、固定機構とロック部54とが係合するため、トレー20が装着部50から離脱することを防止することができる。
【0033】
図3および図4に示すように、インクカートリッジ100の座標系は、インクカートリッジ100がトレー20に装着されている状態では、トレー20の座標系と一致する。インクカートリッジ100は、装着方向の前端に位置する前端部110を備える。前端部110にはチップ120が設けられている。前端部110は、装着方向の前端に設けられた前端面111、および前端面111と交差した上端面112を備える。前端部110は、上端面112と前端面111との交差箇所に、装着溝113が設けられている。チップ120は、装着溝113の中に位置し、チップ120が設けられた平面は、上端面112および前端面111と交差している。上端面112には、2つの位置規制部材130が設けられている。インクカートリッジ100の幅方向において、2つの位置規制部材130はそれぞれ装着溝113の両側に位置する。
【0034】
図3に示すように、前端部110は、インク供給針51と係合するためのインク出口114と、インクを貯留するためのインク貯留部140とをさらに備える。
【0035】
なお、インクカートリッジ100の幅方向は、X軸の延在方向であってもよく、インクカートリッジ100の幅方向は、装着方向に垂直であるとともに上端面112に平行であり、インクカートリッジ100の高さ方向は、Z軸の延在方向であってもよく、インクカートリッジ100の長さ方向は、Y軸の延在方向であってもよい。Y軸は、上端面112に平行であるとともに前端面111に垂直である。X軸は、上端面112および前端面111に平行である。
【0036】
図5図4の前端部を第1角度で見た構造図である。図6図4の前端部を第2角度で見た構造図である。図7図4の前端部の部分構造図である。
【0037】
図4図5および図6に示すように、位置規制部材130は位置規制アーム131を備え、位置規制アーム131は上端面112よりも上方に位置し、位置規制アーム131の延在方向が装着方向に平行であり、位置規制アーム131の装着方向において前端面111に近い側面は位置規制アーム端面1311である。
【0038】
位置規制部材130は、位置規制アーム端面1311に設けられた外延部133をさらに備える。装着方向において、外延部133の前端面111に近い端部は、前端面111よりも後方に位置する。外延部133の装着方向とは反対の方向における投影は、対応する位置規制アーム端面1311のインクカートリッジ100の幅方向において装着溝113に近い側辺を越えない。
【0039】
位置規制部材130は、支持アーム132をさらに備える。支持アーム132は、位置規制アーム131および上端面112を連結する。
【0040】
外延部133の底面は、位置規制アーム131の底面と面一であってもよい。他の形態では、外延部133の底面は、位置規制アーム131の底面と面一でなくてもよい。外延部133の底面は、外延部133の上端面112とは対向する面である。位置規制アーム131の底面は、位置規制アーム131の上端面112とは対向する面である。
【0041】
前端部110は、2つの位置規制部材130によって、インクカートリッジ100の高さ方向において接触ピンホルダ52tの位置を規制する。具体的には、図2に示すように、接触ピンホルダ52tの両側それぞれに1つの被制限部52gが設けられており、接触ピンホルダ52tとチップ120との接続時に、被制限部52gのインクカートリッジ100に向かう端部は外延部133の下方に位置する。すなわち、被制限部52gは、上へ傾いた初期に、位置規制部材130の作用範囲に入って、外延部133と上端面112との間の隙間に挿入されている。このように、外延部133は、接触ピンホルダ52tが上へ傾くことを効果的に抑制することができる。位置規制部材130は、インクカートリッジ100の高さ方向において接触ピンホルダ52tの位置を規制することができる。これにより、チップ120と接触ピンホルダ52tとを確実に接続させ、チップ120と装着部50との電気接続の安定性を確保することができる。上へ傾いた初期は、接触ピンホルダ52tとチップ120とは接触したが両者間に作用力がまだない時から、接触ピンホルダ52tとチップ120とが接触して両者間に作用力が生じた時までの期間である。
【0042】
被制限部52gが外延部133と上端面112との間に挿入された場合、被制限部52gと外延部133との間には、隙間があってもよい。
【0043】
外延部133の装着方向とは反対の方向における投影が、対応する位置規制アーム端面1311のインクカートリッジ100の幅方向において装着溝113に近い側辺を越えないため、外延部133は、インクカートリッジ100の装着過程において位置規制部材130と接触ピンホルダ52tとがインクカートリッジ100の幅方向において干渉するリスクを増加させることはない。具体的には、外延部133の装着方向とは反対する方向(すなわち、-Y方向)への投影が、対応する位置規制アーム端面1311のインクカートリッジ100の幅方向(すなわち、+X方向)において装着溝113に近い側辺を越えないため、インクカートリッジ100の幅方向において、2つの被制限部52gの間における接触ピンホルダ52tの部分を避けることができ、これにより、前端部110と接触ピンホルダ52tとがX方向において干渉するリスクを増加させることはない。
【0044】
なお、2つの被制限部52gがインクカートリッジ100の高さ方向において上へ傾いた度合いは、同じであってもよく、同じでなくてもよい。
【0045】
インクカートリッジ100およびトレー20からなる組立体が装着部50に装着されている場合には、ロック部54とトレー20における固定機構とが係合しているため、組立体の装着部50からの離脱が防止され、トレー位置決め部21と位置決め部53とが係合しているため、装着方向に垂直な方向における組立体の大体の位置が決められ、インク出口114とインク供給針51とが係合しているため、インクカートリッジ100におけるインクを装着部50へ供給して印刷に使用することができ、装置側端子部52における接触ピンホルダ52tに設けられた接触ピンとチップ120とが当接しているため、インクカートリッジ100と装着部50との電気信号の伝送が実現される。接触ピンホルダ52tとチップ120との接続時に、被制限部52gのインクカートリッジ100に向かう端部が外延部の下方に位置し、外延部133は、接触ピンホルダ52tが上へ傾くことを効果的に抑制することができ、位置規制部材130は、接触ピンホルダ52tの位置をインクカートリッジ100の高さ方向において規制することができ、これにより、チップ120と接触ピンホルダ52tとを確実に接続させることができる。
【0046】
選択的には、外延部133の前端面111に近い側面の、装着方向とは反対の方向における投影は、対応する位置規制アーム端面1311内に位置し、外延部133のインクカートリッジ100の装着方向の側面の面積は、位置規制アーム端面1311の面積を上回らず、インクカートリッジ100の幅方向において、外延部133の長さは位置規制アーム131の長さよりも短く、すなわち、外延部133は位置規制アーム131よりも細く、これにより、外延部133の装着方向とは反対の方向における投影は、対応する位置規制アーム端面1311のインクカートリッジ100の幅方向において装着溝113に近い側辺を越えない。
【0047】
ここで、インクカートリッジ100の幅方向において、外延部133は、対応する位置規制アーム端面1311の装着溝113に近い側に位置する。
【0048】
選択的には、図5図7に示すように、外延部133の装着溝113に近い側面は遷移面133aであり、遷移面133aの装着方向の前端における側辺は前側辺133bであり、遷移面133aの装着方向の後端における側辺は後側辺133cである。
【0049】
ここで、インクカートリッジ100の幅方向において、2つの外延部133の2つの前側辺133b間の距離は、2つの後側辺133c間の距離よりも長い。これにより、遷移面133aの延在方向は、インクカートリッジ100の装着方向に対して傾斜し、また、外延部133の装着方向とは反対の方向における投影は、対応する位置規制アーム端面1311のインクカートリッジ100の幅方向において装着溝113に近い側辺を越えない。このような設計は、2つの外延部133が、インクカートリッジ100の幅方向において、2つの被制限部52gの間における接触ピンホルダ52tの部分を避けることに有利となる。
【0050】
選択的には、一実施形態において、後側辺133cは、対応する位置規制アーム端面1311の装着溝113に近い側辺と重なり合ってもよい。
【0051】
選択的には、遷移面133aは、上端面112に垂直であってもよい。このような設計により、2つの外延部133の2つの遷移面133aの、インクカートリッジ100の装着方向において位置が同じ点のインクカートリッジ100の幅方向における距離を同一にさせることができ、インクカートリッジ100の幅方向において2つの被制限部52gの間における接触ピンホルダ52tの部分を避けることに有利となる。
【0052】
選択的には、図5に示すように、上端面112は、装着溝113のインクカートリッジ100の幅方向に沿った両側に凹んでいる逃げ部が設けられており、逃げ部は装着溝113と連通している。
【0053】
ここで、逃げ部は、上へ傾いた被制限部52gを避けることができる。逃げ部は逃げ溝であってもよい。インクカートリッジの高さ方向における逃げ部の端面は逃げ面1121であり、逃げ面1121は前端面111に近いように設けられている。
【0054】
逃げ面1121は傾斜面であってもよい。逃げ面1121は、前端面111と交差し、逃げ面1121の前端面111に遠い側の側辺は、逃げ面1121の前端面111に近い側の側辺よりも上方に位置する。このような設計により、被制限部52gが上へ傾いた初期に、逃げ部によって被制限部52gを避けるため、被制限部52gがさらに上へ傾くことを効果的に避けることができる。
【0055】
外延部133のインクカートリッジ100の高さ方向における投影は、少なくとも部分的に逃げ面1121に位置する。インクカートリッジ100の高さ方向は上端面112に垂直である。このような設計により、位置規制部材130による接触ピンホルダ52tの位置規制の初期にも、逃げ部は被制限部52gを避けることができるため、チップ120と接触ピンホルダ52tとの確実な接続を確保することができる。
【0056】
なお、上記の各実施例は、本願に係る発明を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではない。前述した各実施例に基づいて本願を詳しく説明したが、当業者であれば、前述した各実施例に記載された発明を変更し、または、その一部もしくは全部の技術的特徴を均等的に置き換えることができ、これらの変更または置き換えは、その発明の精神を本願の各実施例に係る発明の範囲から脱逸させることはない、と理解される。
【符号の説明】
【0057】
50 装着部
51 インク供給針
52 装置側端子部
52t 接触ピンホルダ
52g 被制限部
53 位置決め部
54 ロック部
20 トレー
20a 第1面
20b 第2面
20c 収容底面
20d 開口
20e 第1側面
20f 第2側面
210 収容チャンバ
21 トレー位置決め部
100 インクカートリッジ
110 前端部
111 前端面
112 上端面
1121 逃げ面
113 装着溝
114 インク出口
120 チップ
130 位置規制部材
131 位置規制アーム
1311 位置規制アーム端
132 支持アーム
133 外延部
133a 遷移面
133b 前側辺
133c 後側辺
140 インク貯留部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7