(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】溶接システム
(51)【国際特許分類】
B23K 9/10 20060101AFI20240517BHJP
B23K 9/095 20060101ALI20240517BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20240517BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B23K9/10 A
B23K9/095 515A
B23K9/12 331R
B23K31/00 N
(21)【出願番号】P 2023143361
(22)【出願日】2023-09-05
【審査請求日】2023-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302040135
【氏名又は名称】日鉄溶接工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】片山 翼
(72)【発明者】
【氏名】三木 聡史
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 俊志
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 慎司
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-010202(JP,A)
【文献】特開2018-058117(JP,A)
【文献】特開2023-093803(JP,A)
【文献】特開2023-056637(JP,A)
【文献】特開2008-221281(JP,A)
【文献】特開2016-198805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00-9/32
B25J 9/22
B23K 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開先を撮像してカメラ画像データを出力するカメラ、を有する溶接ロボットと、
前記溶接ロボットを制御するための制御信号を生成する制御装置と、
前記溶接ロボット及び前記制御装置と接続され、前記溶接ロボットと前記制御装置との間で情報を中継する中継装置と、
を備える溶接システムであって、
前記制御装置は、前記溶接ロボットを操作するための操作画像データを
生成し、かつ、前記制御装置の外部の装置に送信し、
前記外部の装置は、前記中継装置であり、
前記中継装置は、前記制御装置から送信される操作画像データを表示装置に送信し、
前記カメラは、前記カメラが出力するカメラ画像データを
前記表示装置に送信
し、
前記表示装置は、前記制御装置及び前記中継装置とは別体である、
ことを特徴とする溶接システム。
【請求項2】
前記中継装置は、前記制御装置から送信される操作画像データと、前記カメラが開先を撮像して出力するカメラ画像データと、を前記表示装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接システム。
【請求項3】
前記中継装置は、前記カメラから出力されるカメラ画像データを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記中継装置から送信されるカメラ画像データを前記制御装置が生成する操作画像データとともに、前記中継装置に送信し、
前記中継装置は、前記制御装置から送信されるカメラ画像データを前記制御装置から送信される操作画像データとともに、前記表示装置に送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶接システム。
【請求項4】
前記中継装置は、前記カメラから出力されるカメラ画像データを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記中継装置から送信されるカメラ画像データと、前記制御装置が生成する操作画像データと、を1つの画像データに合成し、前記操作画像データとして前記中継装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接システム。
【請求項5】
前記表示装置は、第1表示装置及び第2表示装置を含み、
前記中継装置は、前記制御装置が生成する操作画像データを、前記第1表示装置に送信し、前記カメラが出力するカメラ画像データを、前記第2表示装置に送信する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の溶接システム。
【請求項6】
前記表示装置は、1台であり、
前記表示装置は、表示部に表示させる画像を、前記中継装置から送信される操作画像データに対応する操作画像から、前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像に切り替えることができる、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の溶接システム。
【請求項7】
前記溶接ロボットが鋼材の溶接を開始するか否かを判定する判定手段、
を更に備え、
前記表示装置は、前記溶接ロボットが前記鋼材の溶接を開始すると前記判定手段が判定する場合に、前記表示部に表示させる画像を、前記操作画像から前記カメラ画像に切り替える、
ことを特徴とする請求項6に記載の溶接システム。
【請求項8】
前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記制御装置に送信させるのか、又は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記表示装置に送信させるのか、を前記中継装置に指示する指示手段、
を更に備え、
前記中継装置は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記制御装置に送信させるように前記指示手段によって指示された場合は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記制御装置に送信し、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記表示装置に送信させるように前記指示手段によって指示された場合は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記表示装置に送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶接システム。
【請求項9】
前記カメラが出力するカメラ画像データのフレームレートが所定閾値を超えているか否かを判別する判別手段、
を更に備え、
前記指示手段は、前記フレームレートが所定閾値を超えていると判別手段が判別した場合に、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記制御装置に送信させるように前記中継装置に指示し、前記フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記表示装置に送信させるように前記中継装置に指示する、
ことを特徴とする請求項8に記載の溶接システム。
【請求項10】
前記カメラが出力するカメラ画像データのフレームレートが所定閾値を超えているか否かを判別する判別手段、
を更に備え、
前記中継装置は、前記フレームレートが所定閾値を超えていないと前記判別手段が判別した場合に、前記制御装置から送信される操作画像データに対応する操作画像と前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像とを交互に表示するよう、前記表示装置を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶接システム。
【請求項11】
前記溶接ロボットが鋼材の溶接を開始するか否かを判定する判定手段、
を更に備え、
前記中継装置は、前記溶接ロボットが前記鋼材の溶接を開始すると前記判定手段が判定する場合に、前記制御装置から送信される操作画像データに対応する操作画像と前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像とを交互に表示するよう、前記表示装置を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載の溶接システム。
【請求項12】
前記中継装置は、前記制御装置から送信される操作画像データを前記表示装置に送信し、
前記カメラは、前記カメラが開先を撮像して出力するカメラ画像データを前記表示装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の溶接システム。
【請求項13】
開先を撮像してカメラ画像データを出力するカメラ、を有する溶接ロボットと、
前記溶接ロボットを操作するための操作画像データを生成する制御装置と、
を備える溶接システムであって、
前記制御装置は、生成した操作画像データを、前記制御装置の外部の装置に送信し、
前記外部の装置は、表示装置であり、
前記制御装置は、前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像と、前記制御装置が生成する操作画像データに対応する操作画像と、を交互に表示するよう、
前記表示装置を制
御し、
前記表示装置は、前記制御装置とは別体である、
ことを特徴とする溶接システム。
【請求項14】
前記制御装置は、前記カメラが出力するカメラ画像データを縮小させた画像データに対応するカメラ画像と、前記制御装置が生成する操作画像データに対応する操作画像と、を交互に表示するよう、
前記表示装置を制御する、
ことを特徴とする
請求項13に記載の溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高層ビル等の大型建築物には、角形の鋼管を溶接により継ぎ足して形成された鋼管柱が用いられる。鋼管柱の溶接には、レールを自走しながら溶接作業を行う溶接ロボットが用いられる。
従来技術の一例である特許文献1では、溶接ロボットと、溶接ロボットを制御する制御装置と、の間の距離を離して設置することを目的として、溶接ロボットと、溶接ロボットを制御する制御装置とを、中継装置によって接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶接ロボットによる鋼管柱の溶接作業中に、作業者が溶接部の状態をカメラで遠隔監視しながら狙い位置の調整をすることがある。このとき、溶接システム内においてデータが伝送される経路や、制御装置及び中継装置の処理能力によっては、カメラ画像データのフレームレートが低下する等、データの伝送に遅滞が生じることがある。すると、溶接作業中に表示装置に表示されるカメラ画像がコマ落ちする等の事象により、狙い位置を正確に調整することができなくなる問題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、溶接部の遠隔監視を遅滞なく行うことができる溶接システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係る溶接システムは、開先を撮像してカメラ画像データを出力するカメラ、を有する溶接ロボットと、前記溶接ロボットを制御するための制御信号を生成する制御装置と、前記溶接ロボット及び前記制御装置と接続され、前記溶接ロボットと前記制御装置との間で情報を中継する中継装置と、を備える溶接システムであって、前記制御装置は、前記溶接ロボットを操作するための操作画像データを前記中継装置に送信し、前記中継装置は、前記制御装置から送信される操作画像データを表示装置に送信し、前記カメラは、前記カメラが出力するカメラ画像データを表示装置に送信することを特徴とする。
【0007】
態様1によれば、制御装置は、溶接ロボットを操作するための操作画像データを中継装置に送信し、中継装置は、制御装置から送信される操作画像データを表示装置に送信する。これにより、表示装置が制御装置から離れた位置にあっても、表示装置に操作画像データを表示することができる。したがって、例えば、表示装置を溶接ロボットから離れた位置に配置することができる。このことで、作業者は、溶接ロボットから十分に離れた位置でカメラ画像データを確認することができる。よって、作業者が安全に作業を行うことができる。
また、制御装置が操作画像データを生成することで、例えば、表示装置が操作画像データを生成する場合と比較して、データ処理を速くすることができる。
更に、溶接ロボットが備えるカメラは、当該カメラが出力するカメラ画像データを表示装置に送信する。すなわち、例えば、カメラ画像データが、制御装置を介することなく、表示装置に送信されることも可能となる。これにより、制御装置を介することによるデータ伝送の遅滞を抑え、カメラによる溶接部の遠隔監視を遅滞なく行うことができる。また、データ処理を速くすることができることで、例えば、表示装置に表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることができる。
したがって、溶接システムの操作性を向上させることができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係る溶接システムは、態様1に係る溶接システムにおいて、前記中継装置は、前記制御装置から送信される操作画像データと、前記カメラが開先を撮像して出力するカメラ画像データと、を前記表示装置に送信することを特徴とする。
【0009】
態様2によれば、中継装置は、制御装置から送信される操作画像データと、カメラが開先を撮像して出力するカメラ画像データと、を表示装置に送信する。これにより、表示装置が制御装置から離れた位置にあっても、表示装置に操作画像データ及びカメラ画像データを表示することができる。したがって、例えば、表示装置を溶接ロボットから離れた位置に配置することができる。このことで、作業者は、溶接ロボットから十分に離れた位置でカメラ画像データ及びカメラ画像データを確認することができる。よって、作業者が安全に作業を行うことができる。
また、例えば、表示装置が操作画像データを生成する場合と比較して、データ処理を速くすることができる。
更に、中継装置が、カメラが開先を撮像して出力するカメラ画像データを表示装置に送信する。すなわち、例えば、カメラ画像データが、カメラから中継装置のみを介して、表示装置に送信されることも可能となる。これにより、制御装置を介することによるデータ伝送の遅滞を抑え、カメラによる溶接部の遠隔監視を遅滞なく行うことができる。また、データ処理を速くすることができることで、例えば、表示装置に表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることができる。
したがって、溶接システムの操作性を向上させることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係る溶接システムは、態様1又は態様2に係る溶接システムにおいて、前記中継装置は、前記カメラから出力されるカメラ画像データを前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記中継装置から送信されるカメラ画像データを前記制御装置が生成する操作画像データとともに、前記中継装置に送信し、前記中継装置は、前記制御装置から送信されるカメラ画像データを前記制御装置から送信される操作画像データとともに、前記表示装置に送信することを特徴とする。
【0011】
態様3によれば、中継装置は、制御装置から送信されるカメラ画像データを制御装置から送信される操作画像データとともに、表示装置に送信する。これにより、表示装置において、操作画像データとカメラ画像データとを統合して表示させることが可能な状態とすることができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システムの操作性を向上させることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係る溶接システムは、態様1から態様3のいずれか1つに係る溶接システムにおいて、前記中継装置は、前記カメラから出力されるカメラ画像データを前記制御装置に送信し、前記制御装置は、前記中継装置から送信されるカメラ画像データと、前記制御装置が生成する操作画像データと、を1つの画像データに合成し、前記操作画像データとして前記中継装置に送信することを特徴とする。
【0013】
態様4によれば、制御装置は、中継装置から送信されるカメラ画像データと、制御装置が生成する操作画像データと、を1つの画像データに合成し、操作画像データとして中継装置に送信する。これにより、中継装置は、操作画像データとカメラ画像データとを、それらが予め統合された状態で、操作画像データとして表示装置に送信することができる。よって、表示装置において操作画像データとカメラ画像データとを統合する処理を行うことを不要とすることができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システムの操作性を向上させることができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係る溶接システムは、態様1から態様4のいずれか1つに係る溶接システムにおいて、前記表示装置は、第1表示装置及び第2表示装置を含み、前記中継装置は、前記制御装置が生成する操作画像データを、前記第1表示装置に送信し、前記カメラが出力するカメラ画像データを、前記第2表示装置に送信することを特徴とする。
【0015】
態様5によれば、中継装置は、制御装置が生成する操作画像データを、第1表示装置に送信し、カメラが出力するカメラ画像データを、第2表示装置に送信する。このように、操作画像データを表示する表示装置とカメラ画像データを表示する表示装置とを別にすることで、それぞれの画像を表示部により大きく表示することができる。また、それぞれの表示装置が表示するデータの総量を抑えることで、データ処理を速くすることができる。よって、例えば、表示装置に表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システムの操作性を向上させることができる。
【0016】
<6>本発明の態様6に係る溶接システムは、態様1から態様5のいずれか1つに係る溶接システムにおいて、前記表示装置は、1台であり、前記表示装置は、表示部に表示させる画像を、前記中継装置から送信される操作画像データに対応する操作画像から、前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像に切り替えることができることを特徴とする。
【0017】
態様6によれば、表示装置は、表示部に表示させる画像を、操作画像からカメラ画像に切り替えることができる。すなわち、例えば、1台の表示装置において、操作画像及びカメラ画像は、それらのいずれかのみが表示される。これにより、操作画像及びカメラ画像の両方を表示する場合よりも、一度に表示するデータの大きさを抑えることができる。よって、カメラ画像のフレームレートが低下することを抑えることができる。
また、操作画像及びカメラ画像のいずれを表示するかは、表示装置によって切り替えられる。これにより、必要に応じて、操作画像とカメラ画像のそれぞれを表示部により大きく表示することができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システムの操作性を向上させることができる。
また、表示部に表示させる画像を表示装置によって切り替えることで、例えば、表示させる画像の切り替えを制御装置によって行う場合と比較して、制御装置の負荷を抑え、制御装置の処理が遅くなることを抑えることができる。
【0018】
<7>本発明の態様7に係る溶接システムは、態様6に係る溶接システムにおいて、前記溶接ロボットが鋼材の溶接を開始するか否かを判定する判定手段、を更に備え、前記表示装置は、前記溶接ロボットが前記鋼材の溶接を開始すると前記判定手段が判定する場合に、前記表示部に表示させる画像を、前記操作画像から前記カメラ画像に切り替えることを特徴とする。
【0019】
態様7によれば、表示装置は、溶接ロボットが鋼材の溶接を開始すると判定手段が判定する場合に、表示部に表示させる画像を、操作画像からカメラ画像に切り替える。これにより、操作画像からカメラ画像への切り替えを確実に行うことができる。よって、操作画像からカメラ画像への切り替えを手動で行う場合と比較して、溶接が開始しているのにも関わらずカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0020】
<8>本発明の態様8に係る溶接システムは、態様1から態様7のいずれか1つに係る溶接システムにおいて、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記制御装置に送信させるのか、又は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記表示装置に送信させるのか、を前記中継装置に指示する指示手段、を更に備え、前記中継装置は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記制御装置に送信させるように前記指示手段によって指示された場合は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記制御装置に送信し、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記表示装置に送信させるように前記指示手段によって指示された場合は、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記表示装置に送信することを特徴とする。
【0021】
態様8によれば、中継装置は、カメラ画像データを制御装置に送信させるように指示された場合は、カメラ画像データを制御装置に送信し、カメラ画像データを表示装置に送信させるように指示された場合は、カメラ画像データを表示装置に送信する。これにより、溶接システムにおいて、カメラ画像データの送信ルートを適宜切り替えることができる。
よって、例えば、カメラ画像データのフレームレートが高い場合は、カメラ画像データを制御装置に送信することで、操作画像データとカメラ画像データとを統合させることが可能な状態とし、伝送するデータのサイズが大きい等の要因によって、カメラ画像データのフレームレートが低下した場合には、カメラ画像データを表示装置に送信することで、制御装置を介することによるデータ伝送の遅滞を抑えることができる。
したがって、カメラ画像データの送信ルートを、伝送するデータのサイズ等の要因に応じて最適なものとすることができる。
【0022】
<9>本発明の態様9に係る溶接システムは、態様8に係る溶接システムにおいて、前記カメラが出力するカメラ画像データのフレームレートが所定閾値を超えているか否かを判別する判別手段、を更に備え、前記指示手段は、前記フレームレートが所定閾値を超えていると判別手段が判別した場合に、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記制御装置に送信させるように前記中継装置に指示し、前記フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、前記カメラが出力するカメラ画像データを前記中継装置から前記表示装置に送信させるように前記中継装置に指示することを特徴とする。
【0023】
態様9によれば、指示手段は、フレームレートが所定閾値を超えていると判別手段が判別した場合に、カメラ画像データを中継装置から制御装置に送信させるように中継装置に指示し、フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、カメラ画像データを中継装置から表示装置に送信させるように中継装置に指示する。これにより、カメラ画像データのフレームレートに応じて、カメラ画像データの送信ルートを切り替えることができる。
したがって、カメラ画像データの送信ルートを、フレームレートの状況に応じて最適なものとすることができる。
【0024】
<10>本発明の態様10に係る溶接システムは、態様1から態様9のいずれか1つに係る溶接システムにおいて、前記カメラが出力するカメラ画像データのフレームレートが所定閾値を超えているか否かを判別する判別手段、を更に備え、前記中継装置は、前記フレームレートが所定閾値を超えていないと前記判別手段が判別した場合に、前記制御装置から送信される操作画像データに対応する操作画像と前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像とを交互に表示するよう、前記表示装置を制御することを特徴とする。
【0025】
態様10によれば、中継装置は、フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、操作画像データに対応する操作画像とカメラ画像データに対応するカメラ画像とを交互に表示するよう、表示装置を制御する。これにより、例えば、カメラ画像データのフレームレートが低い等の場合に応じて表示部に表示される画像を変えることで、カメラ画像データのフレームレートが低くなることを抑えつつ、溶接中にカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0026】
<11>本発明の態様11に係る溶接システムは、態様1から態様10のいずれか1つに係る溶接システムにおいて、前記溶接ロボットが鋼材の溶接を開始するか否かを判定する判定手段、を更に備え、前記中継装置は、前記溶接ロボットが前記鋼材の溶接を開始すると前記判定手段が判定する場合に、前記制御装置から送信される操作画像データに対応する操作画像と前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像とを交互に表示するよう、前記表示装置を制御することを特徴とする。
【0027】
態様11によれば、中継装置は、溶接ロボットが鋼材の溶接を開始すると判定手段が判定する場合に、操作画像とカメラ画像とを交互に表示するよう、表示装置を制御する。これにより、操作画像とカメラ画像のそれぞれを、表示部により大きく表示することができる。また、操作画像とカメラ画像との切り替えを中継装置の制御によって行うことで、操作画像とカメラ画像との切り替えを手動で行う場合と比較して、溶接が開始しているのにも関わらずカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0028】
<12>本発明の態様12に係る溶接システムは、態様1から態様11のいずれか1つに係る溶接システムにおいて、前記中継装置は、前記制御装置から送信される操作画像データを前記表示装置に送信し、前記カメラは、前記カメラが開先を撮像して出力するカメラ画像データを前記表示装置に送信することを特徴とする。
【0029】
態様12によれば、中継装置は、制御装置から送信される操作画像データを表示装置に送信し、カメラは、カメラが開先を撮像して出力するカメラ画像データを表示装置に送信する。このように、例えば、カメラがカメラ画像データを表示装置に直接送信することで、データ伝送の遅滞をより確実に抑えることができる。よって、表示装置に表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることをより確実にすることができる。
【0030】
<13>本発明の態様13に係る溶接システムは、開先を撮像してカメラ画像データを出力するカメラ、を有する溶接ロボットと、前記溶接ロボットを操作するための操作画像データを生成する制御装置と、を備える溶接システムであって、前記制御装置は、前記カメラが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像と、前記制御装置が生成する操作画像データに対応する操作画像と、を交互に表示するよう、表示装置を制御することを特徴とする。
【0031】
態様13によれば、制御装置は、カメラ画像と、操作画像と、を交互に表示するよう、表示装置を制御する。これにより、カメラ画像と操作画像とを表示部に同時に表示する場合と比較して、操作画像とカメラ画像とのそれぞれを、表示部により大きく表示することができる。また、操作画像とカメラ画像との切り替えを制御装置によって行うことで、操作画像とカメラ画像との切り替えを手動で行う場合と比較して。溶接が開始しているのにも関わらずカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0032】
<14>本発明の態様14に係る溶接システムは、開先を撮像してカメラ画像データを出力するカメラ、を有する溶接ロボットと、前記溶接ロボットを操作するための操作画像データを生成する制御装置と、を備える溶接システムであって、前記制御装置は、前記カメラが出力するカメラ画像データを縮小させた画像データに対応するカメラ画像と、前記制御装置が生成する操作画像データに対応する操作画像と、を交互に表示するよう、表示装置を制御することを特徴とする。
【0033】
態様14によれば、制御装置は、カメラ画像データを縮小させた画像データに対応するカメラ画像と、制御装置が生成する操作画像データに対応する操作画像と、を交互に表示するよう、表示装置を制御する。このように、カメラ画像データを縮小させることで、データの大きさを抑えることができる。よって、データが大きいことによる、データ伝送の遅滞を抑えることができる。よって、カメラ画像データのフレームレートが低下することを抑えることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、溶接部の遠隔監視を遅滞なく行うことができる溶接システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】本発明に係る溶接システムのブロック図の第1形態である。
【
図3】本発明に係る溶接システムのブロック図の第2形態である。
【
図4】本発明に係る溶接システムのブロック図の第3形態である。
【
図5】本発明に係る溶接システムのブロック図の第4形態である。
【
図7】本発明の第2溶接システムにおけるブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る溶接システム100を説明する。
図1は、本発明の溶接システム100の概要図である。
本実施形態に係る溶接システム100は、鋼材の端部同士を溶接する際に用いられる。本実施形態において、鋼材は、
図1に示すような鋼管柱Pである。鋼管柱Pは、例えば、高層ビル等の大型建築物に設けられる。
【0037】
(溶接システム100の基本的な構成について)
図1に示すように、溶接システム100は、溶接ロボット10と、制御装置20と、中継装置30と、を備える。
溶接ロボット10は、鋼管柱Pの端部同士を溶接する。溶接ロボット10は、
図1に示すように、鋼管柱Pの周方向に設けられたガイドレールRに沿って、鋼管柱Pの周方向に移動しながら、鋼管柱Pの端部同士を溶接する。
本実施形態における溶接ロボット10は、カメラ10Cを有する。カメラ10Cは、鋼管柱Pの端部同士に設けられた開先を撮像してカメラ画像データを出力する。カメラ画像データは、表示装置Tに送信され、カメラ画像データに対応するカメラ画像として、表示装置Tの表示部Tdに表示される。カメラ画像は、作業者が溶接部の状態を遠隔監視するために用いられる。
カメラ画像データがカメラ10Cから表示装置Tに送信されるまでの具体的な経路については後述する。
【0038】
本実施形態において、表示装置Tは、例えば、公知のタブレットPCをはじめとする任意の情報処理機器である。本実施形態において、表示装置Tは、中継装置30と有線又は無線により接続され、中継装置30と通信が可能である。すなわち、表示装置Tは、例えば、イーサネットケーブル等によって中継装置30と接続される。又は、表示装置Tは、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格により行われる無線通信によって中継装置30と接続されてもよい。
【0039】
制御装置20は、溶接ロボット10乃至溶接システム100を制御するための制御信号を生成する。制御信号は、例えば、溶接ロボット10を動作する各種モータを制御するための信号である。また、制御装置20は、作業者が溶接ロボット10を操作するための操作画像データを生成し、中継装置30に送信する。
制御装置20は、例えば、ユーザーインターフェース21と、PLC親機22と、を含む。
【0040】
ユーザーインターフェース21は、制御信号や操作画像データを生成する。また、ユーザーインターフェース21は、操作画像を介して作業者が入力する指示を受信する。
ユーザーインターフェース21は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサとメモリとを備え、予め構成された制御プログラムを実行する。このことで、溶接システム100の各機能が担保される。ユーザーインターフェース21には、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアが用いられてもよい。また、ユーザーインターフェース21が溶接システム100を制御するための制御プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0041】
コンピュータによって読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0042】
PLC親機22は、溶接システム100における、PLC(Programmable Logic Controller)の親機である。PLC親機22は、後述する中継装置30の備えるPLC子機32と接続される。PLC親機22は、例えば、PLCにおける電圧指令を行う。すなわち、PLC親機22は、例えば、溶接電源への電圧指令乃至ON/OFF指令を行う。
【0043】
中継装置30は、溶接ロボット10、表示装置T、及び制御装置20と接続され、溶接ロボット10、表示装置T、及び制御装置20の間で各種情報を中継する。中継装置30は、無線ルータ31と、PLC子機32と、有線ハブ33と、を備える。
無線ルータ31は、表示装置Tと中継装置30とを無線接続するために用いられる。すなわち、無線ルータ31は、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格により行われる無線通信によって、表示装置Tと中継装置30とを通信可能とする。無線ルータ31は、制御装置20のユーザーインターフェース21とイーサネットケーブルE等によって有線接続される。これにより、中継装置30は、無線ルータ31によって、表示装置Tと制御装置20との間を中継可能とする。
【0044】
PLC子機32は、溶接システム100における、PLCの子機である。PLC子機32は、制御装置20のユーザーインターフェース21、及び、PLC親機22と、イーサネットケーブルE等により有線接続される。
PLC子機32は、制御装置20による溶接システム100の制御に必要な各種情報を、ユーザーインターフェース21及びPLC親機22と通信する。すなわち、PLC子機32は、例えば、溶接ロボット10のモータドライバを動作する、溶接部の付近に設けられた温度計の測定する温度の情報を取り込む、等の役割を有する。より具体的には、PLC子機32は、例えば、溶接ロボット10が備える各種モータの制御、溶接ロボット10に溶接ワイヤを送給するワイヤ送給器が備えるモータの制御、溶接部の温度の監視、溶接部等に線状のレーザ光を照射するラインレーザのON/OFF制御、溶接電流及び電圧の監視、シールガスの開閉制御、ガス流量の監視、リモコンの表示、及びリモコン入力情報の取込、等を行う。
【0045】
有線ハブ33は、PLC子機32と、ユーザーインターフェース21及びPLC親機22と、をイーサネットケーブルE等によって有線接続するために用いられる。本実施形態において、有線ハブ33は、例えば、PoE(Power over Ethernet)ハブである。有線ハブ33には、表示装置T、溶接ロボット10及びカメラ10Cが有線接続されてもよい。
【0046】
上述の各構成を備える中継装置30は、例えば、制御装置20から送信される操作画像データを表示装置Tに送信する。中継装置30から表示装置Tに送信された操作画像データは、操作画像データに対応する操作画像として表示装置Tの表示部Tdに表示される。表示装置Tの表示部Tdとは、上述した公知のタブレットPCをはじめとする任意の情報処理機器のディスプレイである。
【0047】
作業者は、表示部Tdに表示された操作画像を用いて、溶接ロボット10に対して、例えば、溶接の狙い位置を調整する為に必要な指示を入力する。制御装置20は、作業者によって入力された指示に基づき、適宜溶接ロボット10を制御する。なお、狙い位置とは、溶接ロボット10が備える溶接トーチの先端と、溶接ロボット10が溶接する鋼管柱Pの端部同士に形成される開先と、の間の距離をいう。
作業者は、表示部Tdに表示された操作画像を用いて、溶接ロボット10に対して、その他任意の指示を入力してもよい。
【0048】
中継装置30は、制御装置20から送信される操作画像データに加えて、カメラ10Cが開先を撮像して出力するカメラ画像データを表示装置Tに送信してもよい。
カメラ画像データは、例えば、カメラ10Cから中継装置30を介して制御装置20へ送信され、制御装置20から中継装置30を介して表示装置Tへ送信される。
又は、カメラ画像データは、カメラ10Cから中継装置30のみを介して、制御装置20を介さずに表示装置Tへ送信されてもよい。
あるいは、カメラ画像データは、カメラ10Cから表示装置Tに直接送信されてもよい。
溶接システム100において、カメラ画像データは、前述のいずれかの経路により表示装置Tに送信される。カメラ画像データが伝送される経路は、溶接システム100の動作中に、必要に応じて適宜切り替えられてもよい(詳細は後述する)。
【0049】
ここで、制御装置20は、中継装置30に対して可搬性に劣ることがある。このような場合、溶接システム100が設けられる現場において、制御装置20と中継装置30とは、
図1に示すように、互いに異なるフロアFに設けられることが好ましい。すなわち、例えば、制御装置20を地上階のトラック荷台等に定置し、比較的可搬性に優れる中継装置30を作業者によって持ち運びながら移動し、適当な場所に配置する。このことで、現場の作業性を向上させることができる。
【0050】
(データが伝送される経路について)
本実施形態に係る溶接システム100では、上述した制御信号、操作画像データ、及びカメラ画像データをはじめとする各種信号及びデータが、各構成の間に伝送される。以下、本実施形態に係る溶接システム100におけるデータの伝送の経路について、4形態を例示して説明する。
【0051】
(データが伝送される経路の第1形態)
図2は、本発明に係る溶接システム100のブロック図の第1形態である。
図2に示す第1形態において、中継装置30は、カメラ10Cから出力されるカメラ画像データをカメラ10Cから受信して、制御装置20に送信する。制御装置20は、中継装置30から送信されるカメラ画像データを、制御装置20が生成する操作画像データとともに、中継装置30に送信する。中継装置30は、制御装置20から送信されるカメラ画像データを、制御装置20が送信する操作画像データとともに、表示装置Tに送信する。この場合、表示装置Tにおいて、操作画像データとカメラ画像データとを統合して表示させることが可能な状態とすることができる。
【0052】
なお、
図2に示す第1形態において、制御装置20は、中継装置30から送信されるカメラ画像データと、制御装置20が生成する操作画像データと、を1つの画像データに合成し、操作画像データとして中継装置30に送信してもよい。この場合、中継装置30は、操作画像データとカメラ画像データとを、それらが予め統合された状態で、操作画像データとして表示装置Tに送信することができる。よって、表示装置Tにおいて操作画像データとカメラ画像データとを統合する処理を行うことを不要とすることができる。
【0053】
(データが伝送される経路の第2形態)
図3は、本発明に係る溶接システム100のブロック図の第2形態である。
図3に示す第2形態において、表示装置Tは、第1表示装置T1及び第2表示装置T2を含む。すなわち、第2形態では、表示装置Tが2つ設けられる。第1表示装置T1及び第2表示装置T2は、例えば、互いに同じ構成である。
図3に示す第2形態において、中継装置30は、制御装置20が生成する操作画像データを制御装置20から受信して、第1表示装置T1に送信する。また、中継装置30は、カメラ10Cが出力するカメラ画像データをカメラ10Cから受信して、第2表示装置T2に送信する。このとき、中継装置30と第2表示装置T2とは、例えば、有線ハブ33を介してイーサネットケーブルE等によって有線接続されることが好ましい。このように、操作画像データを表示する表示装置Tとカメラ画像データを表示する表示装置Tとを別にすることで、それぞれの画像を表示部Tdにより大きく表示することができる。また、それぞれの表示装置Tが表示するデータの総量を抑えることで、データ処理を速くすることができる。
【0054】
(データが伝送される経路の第3形態)
図4は、本発明に係る溶接システム100のブロック図の第3形態である。
図4に示す第3形態において、表示装置Tは、1台である。第3形態において、カメラ画像データは、カメラ10Cから中継装置30のみを介して表示装置Tに送信される。すなわち、第3形態において、カメラ10Cと表示装置Tとは、イーサネットケーブルE等によって有線ハブ33に有線接続される。このことで、カメラ画像データは、有線ハブ33を介してカメラ10Cから表示装置Tに送信される。
【0055】
第3形態において、表示装置Tと、制御装置20のユーザーインターフェース21とは、無線ルータ31を介して接続される。このことで、操作画像データは、ユーザーインターフェース21から無線ルータ31を介して、表示装置Tに送信される。
このように、第3形態において、操作画像データとカメラ画像データとは、それぞれ異なる経路によって1台の表示装置Tに送信される。
【0056】
そして、第3形態における表示装置Tは、表示部Tdに表示させる画像を、操作画像からカメラ画像に切り替えることができるように設定されている。これにより、それぞれ異なる経路で送信された操作画像データとカメラ画像データとを、操作画像及びカメラ画像として表示部Tdに表示可能とする。また、操作画像及びカメラ画像の両方を表示部Tdに表示する場合よりも、一度に表示するデータの大きさを抑えることができる。また、必要に応じて、操作画像とカメラ画像のそれぞれを表示部Tdにより大きく表示することができる。
【0057】
図4に示す第3形態において、表示装置Tが表示する画像の切り替えは、以下に述べる方法によって行われる。
すなわち、例えば、溶接システム100が、溶接ロボット10が鋼材の溶接を開始するか否かを判定する判定手段を更に備える。そして、表示装置Tは、溶接ロボット10が鋼材の溶接を開始すると判定手段が判定する場合に、表示部Tdに表示させる画像を、操作画像からカメラ画像に切り替える。この場合、作業者が表示する画像を切り替えることを忘れることによって、溶接が開始しているのにも関わらずカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0058】
あるいは、表示装置Tが表示する画像の切り替えは、作業者が操作画像を用いて画像を切り替える指示を入力することによって行われる。この場合、作業者が任意に画像の切り替えを行えることで、溶接システム100の操作性の向上に寄与することができる。
【0059】
(データが伝送される経路の第4形態)
図5は、本発明に係る溶接システム100のブロック図の第4形態である。
図5に示す第4形態において、中継装置30は、制御装置20から送信される操作画像データを受信して、表示装置Tに送信する。カメラ10Cは、開先を撮像して出力するカメラ画像データを、表示装置Tに送信する。すなわち、第4形態において、カメラ10Cと表示装置TとがイーサネットケーブルE等によって有線接続され、カメラ画像データは、カメラ10Cから直接表示装置Tに送信される。この場合、データ伝送の遅滞をより確実に抑えることができる。
【0060】
第4形態において、表示装置Tと、制御装置20のユーザーインターフェース21とは、無線ルータ31を介して接続される。このことで、操作画像データは、ユーザーインターフェース21から無線ルータ31を介して、表示装置Tに送信される。
このように、第4形態では、第3形態と同様に、操作画像データとカメラ画像データとは、それぞれ異なる経路によって、1台の表示装置Tに送信される。
このため、第4形態における表示装置Tは、第3形態と同様に、表示部Tdに表示させる画像を操作画像からカメラ画像に切り替えることができるように設定されていることが好ましい。
【0061】
上述したデータが伝送される経路の各形態のうち、第1形態は、比較的カメラ画像データのフレームレートが高い場合に好適に用いられる。第2形態及び第3形態は、比較的カメラ画像データのフレームレートが低い場合に好適に用いられる。第4形態は、カメラ画像データのフレームレートが特に低い場合に好適に用いられる。
【0062】
(データを伝送する経路の切り替えについて)
本実施形態では、溶接システム100におけるデータの伝送は、上述した各形態のいずれかによって行われる。
ここで、溶接システム100において伝送されるデータのサイズによっては、データの処理が間に合わず、溶接システム100の動作中に各データの伝送速度が変化することがある。具体的には、例えば、溶接システム100においてカメラ画像データの伝送速度が低下することで、データの伝送に遅滞が生じることがある。すると、カメラ画像データのフレームレートが低下し、表示装置Tの表示部Tdに表示されるカメラ画像がコマ落ちする等の事象が生じる原因となる。このことは、作業者が溶接部の状態を的確に把握することができなくなる原因となる。
これに対応するため、溶接システム100においてデータが伝送される経路は、状況に応じて適宜変更される。本実施形態では、下記の方法によって、データが伝送される経路が変更されることで、カメラ画像データの伝送に遅滞が生じることを抑える。
【0063】
すなわち、溶接システム100は、指示手段と、判別手段と、を更に備える。指示手段及び判別手段は、例えば、制御装置20のユーザーインターフェース21が実行するプログラムである。
指示手段は、カメラ画像データを中継装置30から制御装置20に送信させるのか、又は、カメラ画像データを中継装置30から表示装置Tに送信させるのか、を中継装置30に指示する。
中継装置30は、カメラ画像データを中継装置30から制御装置20に送信させるように指示手段によって指示された場合は、カメラ10Cが出力するカメラ画像データを制御装置20に送信し、カメラ画像データを中継装置30から表示装置Tに送信させるように指示手段によって指示された場合は、カメラ10Cが出力するカメラ画像データを表示装置Tに送信する。
本実施形態において、指示手段による中継装置30への指示内容は、以下に述べる判別手段が判別した内容に基づき変更される。
【0064】
判別手段は、カメラ10Cが出力するカメラ画像データのフレームレートが所定閾値を超えているか否かを判別する。
指示手段は、フレームレートが所定閾値を超えていると判別手段が判別した場合に、カメラ画像データを中継装置30から制御装置20に送信させるように中継装置30に指示し、フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、カメラ画像データを中継装置30から表示装置Tに送信させるように中継装置30に指示する。
このことで、溶接システム100においてデータを伝送する経路の切り替えを可能とする。
【0065】
(表示部Tdが表示する画像の切り替えについて)
上述したように、本実施形態において、表示装置Tの表示部Tdには、操作画像及びカメラ画像が表示される。このとき、操作画像とカメラ画像とは、例えば、互いに統合された状態で表示部Tdに表示される。又は、操作画像とカメラ画像とは、どちらか一方が表示され、必要に応じて切り替えられる。
【0066】
ここで、操作画像とカメラ画像とのどちらか一方が表示部Tdに表示される場合について、表示装置Tが、表示部Tdに表示される画像を操作画像からカメラ画像に切り替えることができるように設定されている形態について説明した。
これに限らず、本実施形態において、表示装置Tが表示部Tdに表示する画像の切り替えは、中継装置30が表示装置Tを制御することによって行われてもよい。以下、中継装置30による表示部Tdが表示する画像の切り替えについて、2形態を例示して説明する。
【0067】
(表示部Tdが表示する画像の切り替えの第1形態)
中継装置30による表示部Tdが表示する画像の切り替えの第1形態において、溶接システム100は、判別手段を更に備える。
判別手段は、上述のように、カメラ10Cが出力するカメラ画像データのフレームレートが所定閾値を超えているか否かを判別する。
中継装置30は、フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、操作画像とカメラ画像とを交互に表示するよう、表示装置Tを制御する、
【0068】
(表示部Tdが表示する画像の切り替えの第2形態)
中継装置30による表示部Tdが表示する画像の切り替えの第2形態において、溶接システム100は、判定手段を更に備える。
判定手段は、上述のように、溶接ロボット10が鋼材の溶接を開始するか否かを判定する。
中継装置30は、溶接ロボット10が鋼材の溶接を開始すると判定手段が判定する場合に、操作画像とカメラ画像とを交互に表示するよう、表示装置Tを制御する、
上記のいずれかの方法により、中継装置30によって、表示部Tdが表示する画像の切り替えを可能とする。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る溶接システム100によれば、制御装置20は、溶接ロボット10を操作するための操作画像データを中継装置30に送信し、中継装置30は、制御装置20から送信される操作画像データを表示装置Tに送信する。これにより、表示装置Tが制御装置20から離れた位置にあっても、表示装置Tに操作画像データを表示することができる。したがって、例えば、表示装置Tを溶接ロボット10から離れた位置に配置することができる。このことで、作業者は、溶接ロボット10から十分に離れた位置でカメラ画像データを確認することができる。よって、作業者が安全に作業を行うことができる。
また、制御装置20が操作画像データを生成することで、例えば、表示装置Tが操作画像データを生成する場合と比較して、データ処理を速くすることができる。
更に、溶接ロボット10が備えるカメラ10Cは、当該カメラ10Cが出力するカメラ画像データを表示装置Tに送信する。すなわち、例えば、カメラ画像データが、制御装置20を介することなく、表示装置Tに送信されることも可能となる。これにより、制御装置20を介することによるデータ伝送の遅滞を抑え、カメラ10Cによる溶接部の遠隔監視を遅滞なく行うことができる。また、データ処理を速くすることができることで、例えば、表示装置Tに表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることができる。
したがって、溶接システム100の操作性を向上させることができる。
【0070】
また、中継装置30は、制御装置20から送信される操作画像データと、カメラ10Cが開先を撮像して出力するカメラ画像データと、を表示装置Tに送信する。これにより、表示装置Tが制御装置20から離れた位置にあっても、表示装置Tに操作画像データ及びカメラ画像データを表示することができる。したがって、例えば、表示装置Tを溶接ロボット10から離れた位置に配置することができる。このことで、作業者は、溶接ロボット10から十分に離れた位置でカメラ画像データ及びカメラ画像データを確認することができる。よって、作業者が安全に作業を行うことができる。
また、例えば、表示装置Tが操作画像データを生成する場合と比較して、データ処理を速くすることができる。
更に、中継装置30が、カメラ10Cが開先を撮像して出力するカメラ画像データを表示装置Tに送信する。すなわち、例えば、カメラ画像データが、カメラ10Cから中継装置30のみを介して、表示装置Tに送信されることも可能となる。これにより、制御装置20を介することによるデータ伝送の遅滞を抑え、カメラ10Cによる溶接部の遠隔監視を遅滞なく行うことができる。また、データ処理を速くすることができることで、例えば、表示装置Tに表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることができる。
したがって、溶接システム100の操作性を向上させることができる。
【0071】
また、中継装置30は、制御装置20から送信されるカメラ画像データを制御装置20から送信される操作画像データとともに、表示装置Tに送信する。これにより、表示装置Tにおいて、操作画像データとカメラ画像データとを統合して表示させることが可能な状態とすることができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システム100の操作性を向上させることができる。
【0072】
また、制御装置20は、中継装置30から送信されるカメラ画像データと、制御装置20が生成する操作画像データと、を1つの画像データに合成し、操作画像データとして中継装置30に送信する。これにより、中継装置30は、操作画像データとカメラ画像データとを、それらが予め統合された状態で、操作画像データとして表示装置Tに送信することができる。よって、表示装置Tにおいて操作画像データとカメラ画像データとを統合する処理を行うことを不要とすることができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システム100の操作性を向上させることができる。
【0073】
また、中継装置30は、制御装置20が生成する操作画像データを、第1表示装置T1に送信し、カメラ10Cが出力するカメラ画像データを、第2表示装置T2に送信する。このように、操作画像データを表示する表示装置Tとカメラ画像データを表示する表示装置Tとを別にすることで、それぞれの画像を表示部Tdにより大きく表示することができる。また、それぞれの表示装置Tが表示するデータの総量を抑えることで、データ処理を速くすることができる。よって、例えば、表示装置Tに表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システム100の操作性を向上させることができる。
【0074】
また、表示装置Tは、表示部Tdに表示させる画像を、操作画像からカメラ画像に切り替えることができる。すなわち、例えば、1台の表示装置Tにおいて、操作画像及びカメラ画像は、それらのいずれかのみが表示される。これにより、操作画像及びカメラ画像の両方を表示する場合よりも、一度に表示するデータの大きさを抑えることができる。よって、カメラ画像のフレームレートが低下することを抑えることができる。
また、操作画像及びカメラ画像のいずれを表示するかは、表示装置Tによって切り替えられる。これにより、必要に応じて、操作画像とカメラ画像のそれぞれを表示部Tdにより大きく表示することができる。
したがって、特別な機器や物品を追加することなく、溶接システム100の操作性を向上させることができる。
また、表示部Tdに表示させる画像を表示装置Tによって切り替えることで、例えば、表示させる画像の切り替えを制御装置20によって行う場合と比較して、制御装置20の負荷を抑え、制御装置20の処理が遅くなることを抑えることができる。
【0075】
また、表示装置Tは、溶接ロボット10が鋼材の溶接を開始すると判定手段が判定する場合に、表示部Tdに表示させる画像を、操作画像からカメラ画像に切り替える。これにより、操作画像からカメラ画像への切り替えを確実に行うことができる。よって、操作画像からカメラ画像への切り替えを手動で行う場合と比較して、溶接が開始しているのにも関わらずカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0076】
また、中継装置30は、カメラ画像データを制御装置20に送信させるように指示された場合は、カメラ画像データを制御装置20に送信し、カメラ画像データを表示装置Tに送信させるように指示された場合は、カメラ画像データを表示装置Tに送信する。これにより、溶接システム100において、カメラ画像データの送信ルートを適宜切り替えることができる。
よって、例えば、カメラ画像データのフレームレートが高い場合は、カメラ画像データを制御装置20に送信することで、操作画像データとカメラ画像データとを統合させることが可能な状態とし、伝送するデータのサイズが大きい等の要因によって、カメラ画像データのフレームレートが低下した場合には、カメラ画像データを表示装置Tに送信することで、制御装置20を介することによるデータ伝送の遅滞を抑えることができる。
したがって、カメラ画像データの送信ルートを、伝送するデータのサイズ等の要因に応じて最適なものとすることができる。
【0077】
また、指示手段は、フレームレートが所定閾値を超えていると判別手段が判別した場合に、カメラ画像データを中継装置30から制御装置20に送信させるように中継装置30に指示し、フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、カメラ画像データを中継装置30から表示装置Tに送信させるように中継装置30に指示する。これにより、カメラ画像データのフレームレートに応じて、カメラ画像データの送信ルートを切り替えることができる。
したがって、カメラ画像データの送信ルートを、フレームレートの状況に応じて最適なものとすることができる。
【0078】
また、中継装置30は、フレームレートが所定閾値を超えていないと判別手段が判別した場合に、操作画像データに対応する操作画像とカメラ画像データに対応するカメラ画像とを交互に表示するよう、表示装置Tを制御する。これにより、例えば、カメラ画像データのフレームレートが低い等の場合に応じて表示部Tdに表示される画像を変えることで、カメラ画像データのフレームレートが低くなることを抑えつつ、溶接中にカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0079】
また、中継装置30は、溶接ロボット10が鋼材の溶接を開始すると判定手段が判定する場合に、操作画像とカメラ画像とを交互に表示するよう、表示装置Tを制御する。これにより、操作画像とカメラ画像のそれぞれを、表示部Tdにより大きく表示することができる。また、操作画像とカメラ画像との切り替えを中継装置30の制御によって行うことで、操作画像とカメラ画像との切り替えを手動で行う場合と比較して、溶接が開始しているのにも関わらずカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0080】
また、中継装置30は、制御装置20から送信される操作画像データを表示装置Tに送信し、カメラ10Cは、カメラ10Cが開先を撮像して出力するカメラ画像データを表示装置Tに送信する。このように、例えば、カメラ10Cがカメラ画像データを表示装置Tに直接送信することで、データ伝送の遅滞をより確実に抑えることができる。よって、表示装置Tに表示されるカメラ画像データの解像度を高くすることや、カメラ画像データのフレームレートを高くすることをより確実にすることができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の第2溶接システム200を、
図6及び
図7を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6は、本発明の第2溶接システム200の概要図である。
図7は、本発明の第2溶接システム200におけるブロック図である。
【0082】
図6及び
図7に示すように、第2溶接システム200は、溶接ロボット10と、制御装置20と、を備える。換言すれば、第2溶接システム200は、中継装置30を備えない点で溶接システム100と相違する。溶接ロボット10及び制御装置20は、溶接システム100と同様の構成であるため、説明を省略する。
第2溶接システム200の制御装置20は、生成した操作画像データを、表示装置Tに直接送信する。また、第2溶接システム200の制御装置20は、溶接ロボット10のカメラ10Cから受信したカメラ画像データを、表示装置Tに直接送信する。なお、第2溶接システム200においても、カメラ画像データは、カメラ10Cから表示装置Tに直接送信されてもよい。
第2溶接システム200において、制御装置20と、溶接ロボット10及び表示装置Tとは、イーサネットケーブルE等によって有線接続される。また、溶接ロボット10のカメラ10Cと、制御装置20又は表示装置Tとは、イーサネットケーブルE等によって有線接続される。
【0083】
第2溶接システム200において、制御装置20は、カメラ10Cが出力するカメラ画像データに対応するカメラ画像と、制御装置20が生成する操作画像データに対応する操作画像と、を交互に表示するよう、表示装置Tを制御する。この時、制御装置20は、カメラ画像として、カメラ10Cが出力するカメラ画像データを縮小させた画像データを表示するようにしてもよい。
【0084】
以上説明したように、第2実施形態に係る第2溶接システム200によれば、制御装置20は、カメラ画像と、操作画像と、を交互に表示するよう、表示装置Tを制御する。これにより、カメラ画像と操作画像とを表示部Tdに同時に表示する場合と比較して、操作画像とカメラ画像とのそれぞれを、表示部Tdにより大きく表示することができる。また、操作画像とカメラ画像との切り替えを制御装置20によって行うことで、操作画像とカメラ画像との切り替えを手動で行う場合と比較して。溶接が開始しているのにも関わらずカメラ画像を見られなくなることを抑えることができる。
【0085】
また、制御装置20は、カメラ画像データを縮小させた画像データに対応するカメラ画像と、制御装置20が生成する操作画像データに対応する操作画像と、を交互に表示するよう、表示装置Tを制御する。このように、カメラ画像データを縮小させることで、データの大きさを抑えることができる。よって、データが大きいことによる、データ伝送の遅滞を抑えることができる。よって、カメラ画像データのフレームレートが低下することを抑えることができる。
【0086】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
すなわち、中継装置30のPLC子機32に、イーサネットケーブルE等によってリモコンを接続することで、表示装置Tの表示部Tdに表示される操作画像によって行われるとして説明した操作をリモコンによって行ってもよい。この場合、リモコンに、操作ボタンに対応した凹凸を備えることで、作業者がリモコンを目視せずに操作入力を行えるようにしてもよい。
指示手段は、カメラ画像データを中継装置30から制御装置20に送信させるのか、又は、カメラ画像データを中継装置30から表示装置Tに送信させるのか、を中継装置30に指示する例について説明したが、指示手段に代えて、作業者が適宜指示を入力してもよい。
データを伝送する経路の切り替えは、例えば、有線ハブ33に物理スイッチを設ける等によって、作業者が手動で行えるようにしてもよい。
中継装置30は、溶接システム100において、操作画像データやカメラ画像データに加えて、溶接ロボット10の位置情報等その他の各種情報を中継してもよい。
【0087】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 溶接ロボット
10C カメラ
20 制御装置
21 ユーザーインターフェース
22 PLC親機
30 中継装置
31 無線ルータ
32 PLC子機
33 有線ハブ
100 溶接システム
200 第2溶接システム
E イーサネットケーブル
P 鋼管柱
R ガイドレール
T 表示装置
T1 第1表示装置
T2 第2表示装置
Td 表示部
【要約】
【課題】溶接部の遠隔監視を遅滞なく行うことができる溶接システムを提供する。
【解決手段】開先を撮像してカメラ画像データを出力するカメラ10C、を有する溶接ロボット10と、溶接ロボット10を制御するための制御信号を生成する制御装置20と、溶接ロボット10及び制御装置20と接続され、溶接ロボット10と制御装置20との間で情報を中継する中継装置30と、を備える溶接システム100であって、制御装置20は、溶接ロボット10を操作するための操作画像データを中継装置30に送信し、中継装置30は、制御装置20から送信される操作画像データを表示装置Tに送信し、カメラ10Cは、カメラ10Cが出力するカメラ画像データを表示装置Tに送信することを特徴とする。
【選択図】
図1