(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/67 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G05F1/67 A
(21)【出願番号】P 2023185930
(22)【出願日】2023-10-30
【審査請求日】2023-10-30
(31)【優先権主張番号】202311176539.8
(32)【優先日】2023-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523346928
【氏名又は名称】三峡国▲際▼能源投▲資▼集▲団▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 喜泉
(72)【発明者】
【氏名】王 方政
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲艷▼
(72)【発明者】
【氏名】王 全▲亮▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 迪
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110174919(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109710021(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106527570(CN,A)
【文献】特表2020-524325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/67
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法であって、
前記ソーラーアレイはソーラーモジュールを含み、
前記ソーラーアレイの出力電圧、出力電流及び前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得するステップと、
前記出力電圧及び前記出力電流に基づいて、前記ソーラーアレイの電圧-電流特性曲線及び出力電力特性曲線を決定するステップと、
前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得るステップと、
前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得るステップと、を含むことを特徴とするソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法。
【請求項2】
前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得するステップは、
前記ソーラーアレイの第2開回路電圧及び前記ソーラーアレイの直列電池の数を取得するステップと、
前記第2開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、前記第1開回路電圧を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得るステップは、
前記第1開回路電圧に基づいて、初期点電圧を決定するステップと、
前記初期点電圧、前記第1開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、最大探索電圧を決定するステップと、
前記初期点電圧及び前記最大探索電圧に基づいて探索範囲を決定するステップと、
前記探索範囲内で、前記電圧-電流特性曲線に基づいて、前記第1開回路電圧を前記探索ステップサイズとして前記出力電力特性曲線で探索を行い、前記第1最大電力点を得るステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記探索範囲内で、前記電圧-電流特性曲線に基づいて、前記第1開回路電圧を前記探索ステップサイズとして前記出力電力特性曲線で探索を行い、前記第1最大電力点を得るステップは、
前記ソーラーアレイの第1電圧を取得するステップと、
前記第1電圧に基づいて、前記電圧-電流特性曲線で前記ソーラーアレイの第1電流を決定するステップと、
前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第1電力を決定するステップと、
前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するステップと、
前記第2電圧及び前記第2電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第2電力を決定するステップと、
前記第2電力と前記第1電力とを比較するステップと、
前記第2電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記第2電力を利用して前記第1電力を更新するとともに、前記第2電圧を利用して前記第1電圧を更新し、前記第2電圧を反復して前記最大探索電圧にすると反復を停止し、目標電圧を得るステップと、
前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2電力と前記第1電力とを比較した後、
前記第2電力が前記第1電力よりも小さい場合、前記電圧-電流特性曲線、前記最大探索電圧及び前記第2電流に基づいて前記ソーラーアレイの第1最大電力を決定するステップと、
前記第1最大電力と前記第1電力とを比較するステップと、
前記第1最大電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するステップ~前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定するステップを繰り返すステップと、
前記第1最大電力が前記第1電力以下である場合、前記第2電力が前記第1電力に等しいか否かを判断するステップと、
前記第2電力が前記第1電力に等しい場合、前記第2電力に対応する電力点を前記第1最大電力点とするステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得るステップは、
前記第1最大電力点に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記ソーラーアレイの第3電圧を決定するステップと、
前記第3電圧に基づいて、各粒子の初期化電圧を決定するステップと、
各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するステップと、
各前記第1探索電力に基づいて前記ソーラーアレイの第2最大電力及び第3最大電力を決定するステップと、
各前記粒子の位置及び速度を更新し、第2最大電力が第3最大電力に等しいか否かを判断するステップと、
前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しい場合、前記ソーラーアレイの第4電圧及び第3電流を取得するステップと、
前記第4電圧及び前記第3電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第3電力を決定するステップと、
前記第3電力が所定の電力範囲を満たすか否かを判断するステップと、
前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各前記粒子の位置及び速度を更新し、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しいか否かを判断するステップの後、
前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しくない場合、更新後の各前記粒子に基づいて、各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するステップ~前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするステップを繰り返すステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追踪装置であって、
前記ソーラーアレイはソーラーモジュールを含み、
前記ソーラーアレイの出力電圧、出力電流及び前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得するための取得モジュールと、
前記出力電圧及び前記出力電流に基づいて、前記ソーラーアレイの電圧-電流特性曲線及び出力電力特性曲線を決定するための決定モジュールと、
前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得るための探索モジュールと、
前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得るための処理モジュールと、を含むことを特徴とするソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追踪装置。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されていることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
互いに通信可能に接続されたメモリとプロセッサを含み、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶され、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行することにより、請求項1~7のいずれか1項に記載のソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を実行することを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーアレイの技術分野に関し、具体的には、ソーラーアレイの出力特性に基づく最大電力点追従方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーアレイはソーラー発電システムのエネルギー変換ユニットとして、ソーラー発電の技術分野の研究課題の一つである。ソーラーアレイのP-V出力は複雑な非線形特性を有し、温度や光照射強度などの外部環境の影響を受ける。ソーラーアレイの表層へ光が均一に照射すると、そのP-V出力は単峰特性を呈し、P-V曲線にはグローバルな最大電力点が存在する。ソーラーアレイの表層への光照射が均一ではなく、例えばソーラーアレイが落葉や黒雲などの物体に遮られ、ソーラーアレイの表層に影が存在すると、ソーラーアレイのP-V出力が多峰特性を呈し、P-V曲線にはいくつかの局所的な最大電力点が存在する。実際の応用には、ソーラーシステムは、対応する制御方法を通じて、ソーラーアレイが常に最大電力を出力するようにし、ソーラーシステムの効率を高める必要があり、上記の制御過程は最大電力点追従(MPPT)である。
【0003】
従来の最大電力点追従(MPPT)方法の多くは、複雑な数学方法を利用したり、深層学習などを組み合わせたりするため、実現が難しく、実現過程が複雑で、実際に応用されることが難しい。また、ほとんどの方法は、完全なP-U特性曲線をスキャンする必要があり、探索速度が遅い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明の実施例は、従来技術における最大電力点追従の実現の難度が大きくて、実現過程が複雑で、実際に応用されることが難しく、探索速度が遅いという技術的課題を解決するために、ソーラーアレイの出力特性に基づく最大電力点追従方法、及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る技術的解決手段は以下の通りである。
【0006】
第1態様では、本発明の実施例は、ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法であって、前記ソーラーアレイはソーラーモジュールを含み、前記ソーラーアレイの出力電圧、出力電流及び前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得するステップと、前記出力電圧及び前記出力電流に基づいて、前記ソーラーアレイの電圧-電流特性曲線及び出力電力特性曲線を決定するステップと、前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得るステップと、前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得るステップと、を含むソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を提供する。
【0007】
第1態様を参照し、第1態様の代替的な実施形態では、前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得するステップは、前記ソーラーアレイの第2開回路電圧及び前記ソーラーアレイの直列電池の数を取得するステップと、前記第2開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、前記第1開回路電圧を決定するステップと、を含む。
【0008】
第1態様を参照し、第1態様の別の代替的な実施形態では、前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得るステップは、前記第1開回路電圧に基づいて、初期点電圧を決定するステップと、前記初期点電圧、前記第1開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、最大探索電圧を決定するステップと、前記初期点電圧及び前記最大探索電圧に基づいて探索範囲を決定するステップと、前記探索範囲内で、前記電圧-電流特性曲線に基づいて、前記第1開回路電圧を前記探索ステップサイズとして前記出力電力特性曲線で探索を行い、前記第1最大電力点を得るステップと、を含む。
【0009】
第1態様を参照し、第1態様の又の代替的な実施形態では、前記探索範囲内で、前記電圧-電流特性曲線に基づいて、前記第1開回路電圧を前記探索ステップサイズとして前記出力電力特性曲線で探索を行い、前記第1最大電力点を得るステップは、前記ソーラーアレイの第1電圧を取得するステップと、前記第1電圧に基づいて、前記電圧-電流特性曲線で前記ソーラーアレイの第1電流を決定するステップと、前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第1電力を決定するステップと、前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するステップと、前記第2電圧及び前記第2電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第2電力を決定するステップと、前記第2電力と前記第1電力とを比較するステップと、前記第2電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記第2電力を利用して前記第1電力を更新するとともに、前記第2電圧を利用して前記第1電圧を更新し、前記第2電圧を反復して前記最大探索電圧にすると反復を停止し、目標電圧を得るステップと、前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定するステップと、を含む。
【0010】
第1態様を参照し、第1態様の又の代替的な実施形態では、前記第2電力と前記第1電力とを比較した後、前記第2電力が前記第1電力よりも小さい場合、前記電圧-電流特性曲線、前記最大探索電圧及び前記第2電流に基づいて前記ソーラーアレイの第1最大電力を決定するステップと、前記第1最大電力と前記第1電力とを比較するステップと、前記第1最大電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するステップ~前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定するステップを繰り返すステップと、前記第1最大電力が前記第1電力以下である場合、前記第2電力が前記第1電力に等しいか否かを判断するステップと、前記第2電力が前記第1電力に等しい場合、前記第2電力に対応する電力点を前記第1最大電力点とするステップと、をさらに含む。
【0011】
第1態様を参照し、第1態様の又の代替的な実施形態では、前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得るステップは、
前記第1最大電力点に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記ソーラーアレイの第3電圧を決定するステップと、前記第3電圧に基づいて、各粒子の初期化電圧を決定するステップと、各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するステップと、各前記第1探索電力に基づいて前記ソーラーアレイの第2最大電力及び第3最大電力を決定するステップと、各前記粒子の位置及び速度を更新し、第2最大電力が第3最大電力に等しいか否かを判断するステップと、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しい場合、前記ソーラーアレイの第4電圧及び第3電流を取得するステップと、前記第4電圧及び前記第3電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第3電力を決定するステップと、前記第3電力が所定の電力範囲を満たすか否かを判断するステップと、前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするステップと、を含む。
【0012】
第1態様を参照し、第1態様の又の代替的な実施形態では、各前記粒子の位置及び速度を更新し、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しいか否かを判断するステップの後、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しくない場合、更新後の各前記粒子に基づいて、各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するステップ~前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするステップを繰り返すステップをさらに含む。
【0013】
第2態様では、本発明の実施例は、ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追踪装置であって、前記ソーラーアレイはソーラーモジュールを含み、前記ソーラーアレイの出力電圧、出力電流及び前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得するための取得モジュールと、前記出力電圧及び前記出力電流に基づいて、前記ソーラーアレイの電圧-電流特性曲線及び出力電力特性曲線を決定するための決定モジュールと、前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得るための探索モジュールと、前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得るための処理モジュールと、を含むソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追踪装置を提供する。
【0014】
第3態様では、本発明の実施例は、本発明の実施例第1態様及び第1態様のいずれか1項に記載のソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0015】
第4態様では、本発明の実施例は、互いに通信可能に接続されたメモリとプロセッサを含み、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶され、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行することにより、本発明の実施例第1態様及び第1態様のいずれか1項に記載のソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を実行する電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る技術的解決手段は、以下の効果を有する。
【0017】
本発明の実施例に係るソーラーアレイの出力特性に基づく最大電力点追従方法は、ソーラーアレイ出力電力特性曲線の各局所的な最良点が整数倍のソーラーモジュールの開回路電圧付近に位置する特徴、すなわち各局所的な最良点がソーラーモジュールの開回路電圧を基準量として均等に分布するという原理を利用し、ソーラーモジュールの開回路電圧を探索ステップサイズとして出力電力特性曲線を探索するだけで、出力電力特性曲線のグローバルな最良点、つまり第1最大電力点を迅速に特定することができる。従来の追従方法に比べて、完全なソーラーアレイ出力電力特性曲線をスキャンする必要がないため、最適化速度を大幅に向上させ、また、粒子群アルゴリズムを利用して正確な探索を行い、出力電力特性曲線の実際のグローバルな最良点、すなわち目標最大電力点を得て、アルゴリズムが局所的な最適になることが回避される。また、探索過程では、ソーラーアレイの動作過程における自身の特性を利用するので、普遍的で信頼性が高く、さらにソーラー発電所の普及・使用に用いることができる。
【0018】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の記述のために使用した図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に記述した図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例に係るソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例に係るステップ103のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例に係るステップ104のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例に係るソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法の別のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例に係る4×2ソーラーアレイの等価回路図である。
【
図6】本発明の実施例に係る4×2ソーラーアレイの出力特性曲線図である。
【
図7】本発明の実施例に係るソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法装置の構成ブロック図である。
【
図8】本発明の実施例に係るコンピュータ可読記憶媒体の構造概略図である。
【
図9】本発明の実施例に係る電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下に本発明の実施例の図面に参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確に完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力をせずに得る他のすべての実施例は本発明の保護の範囲に属する。
【0021】
なお、本発明の明細書及び特許請求の範囲並びに上記の図面における用語「第1」、「第2」等は、特定の順序又は優先順位を記述するために使用する必要なく、類似のオブジェクトを区別するためのものである。このように使用されるデータは、本明細書に記載された本発明の実施例が本明細書に図示又は説明されたもの以外の順序で実施できるように、適切な場合に交換可能であることを理解すべきである。さらに、用語「含む」、「有する」、又はその他の任意の変形は、非排他的包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品又は機器には明示的にリストされていないステップ又はユニットを含み、明示的にリストされていない、又はこれらのプロセス、方法、製品又は機器に固有の他のステップ又はユニットを含む。
【0022】
本発明の実施例は、ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を提供し、
図1に示すように、該方法は以下のステップを含む。
ステップ101:前記ソーラーアレイの出力電圧、出力電流及び前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得する。
ここで、ソーラーアレイはソーラーモジュールを含む。
具体的には、ソーラーアレイの出力電圧、出力電流及びソーラーモジュールの第1開回路電圧V
OC,Mを収集する。
ステップ102:前記出力電圧及び前記出力電流に基づいて、前記ソーラーアレイの電圧-電流特性曲線及び出力電力特性曲線を決定する。
具体的には、収集されたソーラーアレイの出力電圧及び出力電流に基づいてソーラーアレイの電圧-電流特性曲線(I-U特性曲線)及び出力電力特性曲線(P-U特性曲線)を得ることができる。
ステップ103:前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得る。
具体的には、I-U特性曲線を利用して、ソーラーアレイP-U特性曲線の局所的な最良点がソーラーモジュールの第1開回路電圧V
OC,Mを基準量として均等に分布するという原理に基づいて、V
OC,Mを探索ステップサイズΔVとしてP-U特性曲線のグローバルな最良点、すなわち第1最大電力点を探索する。
ステップ104:前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得る。
【0023】
本発明の実施例では、NはP-U特性曲線上の初期探索点の数であり、Pbest,idは各探索点が局所的に探索する最大電力である、Gbest,idは各探索点がグローバルで探索する最大電力である。
具体的には、第1最大電力点の近傍で粒子群アルゴリズムを利用してP-U特性曲線の実際の最大電力点、すなわち目標最大電力点PGMを正確に探索する。
粒子群アルゴリズム処理により、探索の最大電力点が局所的な最適電力点であることが回避され、最大電力点の追従精度が向上する。
【0024】
本発明の実施例に係るソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法は、ソーラーアレイ出力電力特性曲線の各局所的な最良点が整数倍のソーラーモジュールの開回路電圧付近に位置する特徴、すなわち各各局所的な最良点がソーラーモジュールの開回路電圧を基準量として均等に分布するという原理を利用して、ソーラーモジュールの開回路電圧を探索ステップサイズとして出力電力特性曲線を探索するだけで、出力電力特性曲線のグローバルな最良点、つまり第1最大電力点を迅速に特定することができる。従来の追従方法に比べて、完全なソーラーアレイ出力電力特性曲線をスキャンする必要がないため、最適化速度を大幅に向上させ、また、粒子群アルゴリズムを利用して正確な探索を行い、出力電力特性曲線の実際のグローバルな最良点、すなわち目標最大電力点を得ることによって、アルゴリズムが局所的な最適になることが回避される。また、探索過程では、ソーラーアレイの動作過程における自身の特性を利用し、普遍的で信頼性が高く、さらにソーラー発電所の普及・使用に用いることができる。
【0025】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得するステップは、前記ソーラーアレイの第2開回路電圧及び前記ソーラーアレイの直列電池の数を取得するステップと、前記第2開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、前記第1開回路電圧を決定するステップと、を含む。
具体的には、ソーラーアレイの第2開回路電圧V
OC,Array及びソーラーアレイの直列電池の数N
Sを測定する。
次の関係式(5)を利用してソーラーアレイの第1開回路電圧V
OC,Mを計算する。
【0026】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、
図2に示すように、ステップ103は、前記第1開回路電圧に基づいて、初期点電圧を決定するステップと、前記初期点電圧、前記第1開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、最大探索電圧を決定するステップと、前記初期点電圧及び前記最大探索電圧に基づいて探索範囲を決定するステップと、前記探索範囲内で、前記電圧-電流特性曲線に基づいて、前記第1開回路電圧を前記探索ステップサイズとして前記出力電力特性曲線で探索を行い、前記第1最大電力点を得るステップと、を含む。
具体的には、次の関係式(6)に示すように、0.5倍の探索ステップサイズΔVを初期点電圧ΔV
1st、とする。
次の関係式(7)に示すように、最大探索電圧V
LIM、すなわち最後の局所的な最良点は(N
S-1)V
OC,MとN
SV
OC,Mとの間に位置する。
さらに、探索範囲は初期点電圧ΔV
1stと最大探索電圧V
LIMとの間である。
さらに、初期点電圧ΔV
1stと最大探索電圧V
LIMとの間において、P-U特性曲線で探索ステップサイズΔVを用いて探索し、第1最大電力点を得る。
さらに、
図2に示すように、前記探索範囲内で、前記電圧-電流特性曲線に基づいて、前記第1開回路電圧を前記探索ステップサイズとして前記出力電力特性曲線で探索を行い、前記第1最大電力点を得るステップは、前記ソーラーアレイの第1電圧を取得するステップと、前記第1電圧に基づいて、前記電圧-電流特性曲線で前記ソーラーアレイの第1電流を決定するステップと、前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第1電力を決定するステップと、前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するステップと、前記第2電圧及び前記第2電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第2電力を決定するステップと、前記第2電力と前記第1電力とを比較するステップと、前記第2電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記第2電力を利用して前記第1電力を更新するとともに、前記第2電圧を利用して前記第1電圧を更新し、前記第2電圧を反復して前記最大探索電圧にすると反復を停止し、目標電圧を得るステップと、前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定するステップと、を含む。
具体的には、ソーラーアレイの現在の電圧、すなわち第1電圧V
PVを測定する。
その後、測定された第1電圧V
PVに基づいて、I-U特性曲線で対応する第1電流I
PVを決定することができる。
さらに、次の関係式(8)を利用してソーラーアレイの現在電力、すなわち第1電力P
PVを計算する。
さらに、ソーラーアレイの現在電力P
PV及び現在電圧V
PVを記憶し、P
PV,stored及びV
PV,storedと記す。
さらに、探索ステップサイズΔV=V
OC,Mを用いてソーラーアレイの電圧、すなわち第1電圧を更新し、更新後のソーラーアレイの第2電圧及び第2電流を測定する。
さらに、第2電圧及び第2電流を上記関係式(8)に代入し、更新後のソーラーアレイの第2電力を算出する。
さらに、ソーラーアレイの更新後の第2電力と、更新する前の第1電力、すなわち現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedとを比較する。
さらに、ソーラーアレイの更新後の第2電力が現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedよりも大きい場合、ソーラーアレイの更新後の第2電圧を反復して最大探索電圧V
LIMにするまで、現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,stored及び現在記録されるソーラーアレイの電圧V
PV,storedを更新後の第2電力及び第2電圧でオーバーライドする。
最後に、反復を停止した後のソーラーアレイの第2電圧、すなわち目標電圧に基づいて、P-U特性曲線でグローバルな最良点、すなわち第1最大電力点を決定する。
【0027】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、
図2に示すように、前記第2電力と前記第1電力とを比較した後、前記方法は、前記第2電力が前記第1電力よりも小さい場合、前記電圧-電流特性曲線、前記最大探索電圧及び前記第2電流に基づいて前記ソーラーアレイの第1最大電力を決定するステップと、前記第1最大電力と前記第1電力とを比較するステップと、前記第1最大電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するステップ~前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定するステップを繰り返すステップと、前記第1最大電力が前記第1電力以下である場合、前記第2電力が前記第1電力に等しいか否かを判断するステップと、前記第2電力が前記第1電力に等しい場合、前記第2電力に対応する電力点を前記第1最大電力点とするステップと、をさらに含む。
具体的には、ソーラーアレイの更新後の第2電力が現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedよりも小さい場合、P-U特性曲線における現在点から出現する可能性のある最大電力P
LIM、すなわち第1最大電力を計算する。
ここで、ソーラーアレイI-U特性曲線においては、ソーラーアレイ電圧の増大に伴い、次のV
OC,Mに達するまでに、電流は変化しないまたは減少し、本発明の実施例では、最大探索電圧V
LIMに達するまでにI
PVは変化しないとすると、ソーラーアレイの第1最大電力P
LIMは次の関係式(9)に示す。
さらに、第1最大電力P
LIMと現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedとを比較する。
第1最大電力P
LIMが現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedよりも大きい場合、P-U特性曲線により大きな電力点が存在することを示し、探索ステップサイズΔVでソーラーアレイの電圧を更新し、第1最大電力点を得るまで探索を続ける。
第1最大電力P
LIMが現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,stored以下である場合、ソーラーアレイの現在電圧が現在記録されるソーラーアレイの電圧V
PV,storedに等しいように設定し、ソーラーアレイの現在電力である第2電力が現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedである第1電力に等しいか否かを判断する。
さらに、第2電力が現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedに等しい場合、該第2電力を記憶し、該第2電力に対応する電力点を前記第1最大電力点とする。
さらに、第2電力が現在記録されるソーラーアレイの電力P
PV,storedに等しくない場合、上記ステップ101に戻る。
【0028】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、
図3に示すように、ステップ104は、前記第1最大電力点に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記ソーラーアレイの第3電圧を決定するステップと、前記第3電圧に基づいて、各粒子の初期化電圧を決定するステップと、各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するステップと、各前記第1探索電力に基づいて前記ソーラーアレイの第2最大電力及び第3最大電力を決定するステップと、各前記粒子の位置及び速度を更新し、第2最大電力が第3最大電力に等しいか否かを判断するステップと、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しい場合、前記ソーラーアレイの第4電圧及び第3電流を取得するステップと、前記第4電圧及び前記第3電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第3電力を決定するステップと、前記第3電力が所定の電力範囲を満たすか否かを判断するステップと、前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするステップと、を含む。
具体的には、第1最大電力点を利用して、P-U特性曲線でソーラーアレイの第3電圧、すなわち最後に記録されるV
PV,storedを決定する。
さらに、本発明の実施例では、0.85~1.15倍のV
PV,stored区間内で5つの探索点の初期化電圧を与える。
具体的には、各探索点の初期化電圧に基づいて、I-U特性曲線で各探索点の初期化電流を決定する。
さらに、各探索点の初期化電圧及び各探索点の初期化電流に基づいて、上記関係式(8)及び出力電力特性曲線により、各探索点の第1探索電力を算出することができる。
さらに、各第1探索電力を比較して、局所的な最大電力、すなわち第2最大電力G
best,id、及びグローバルな最大電力、すなわち第3最大電力P
best,idを得る。
さらに、各粒子の位置及び速度を更新し、第2最大電力G
best,idが第3最大電力P
best,idに等しいか否かを判断する。
第2最大電力G
best,idが第3最大電力P
best,idに等しい場合、ソーラーアレイの第4電圧及び第3電流を測定し、測定された第4電圧及び第3電流に基づいて、上記関係式(8)を利用してソーラーアレイの第3電力を算出することができる。
ここで、所定の電力範囲は、第3最大電力に基づいて決定され、第3最大電力の98%~第3最大電力の102%である。
さらに、第3電力が上記所定の電力範囲内にある場合、ソーラーアレイが置かれている動作状況は変化していないことを示し、すなわち、このとき第2最大電力は出力ソーラーアレイの最大電力であり、さらに、該第2最大電力に対応する電力点は目標最大電力点である。
さらに、第3電力が上記所定の電力範囲内にない場合、ソーラーアレイが置かれている動作状況は変化したことを示し、ソーラーアレイ最大電力点を最初から探索する必要があり、すなわちステップ101に戻る。
【0029】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、
図3に示すように、各前記粒子の位置及び速度を更新し、第2最大電力が第3最大電力に等しいか否かを判断するステップの後、前記方法は、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しくない場合、更新後の各前記粒子に基づいて、各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するステップ~前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするステップを繰り返すステップと、をさらに含む。
具体的には、第2最大電力G
best,idが第3最大電力P
best,idに等しくない場合、更新後の各粒子に基づいて正確な探索を再度行い、すなわち上記「各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算する」ステップに戻り、上記「前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とする」ステップに進むまで繰り返し実行する。
【0030】
一実施例では、ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を提供し、そのフローチャートは
図4に示すように、以下のステップを含む。
ステップ1:初期条件の設定について、4×2ソーラーアレイを例にとし、N
Sは4、V
OC,Mは43.6Vであり、使用されるソーラーアレイの等価回路図は
図5に示され、該ソーラーアレイの出力特性曲線は
図6に示される。
1.ステップサイズΔVを設定する。
ここで、V
OC,Arrayはソーラーアレイの開回路電圧である。
2.初期点ΔV
1stを設定する。
3.最大探索電圧V
LIMを設定する。
該ステップの役割はステップ2に初期値と探索範囲を提供することである。
ステップ2:グローバルな最良点(P-U特性曲線上の最大電力点)を探索する。
1.ソーラーアレイ初期電圧V
PVを設定する。
2.ソーラーアレイ電圧V
PV、電流I
PVを測定し、ソーラーアレイ電力P
PV、を計算する。
3.ソーラーアレイ電力P
PV、ソーラーアレイ電圧V
PVを記憶する。
4.ソーラーアレイ電圧V
PV=ΔV
PV,stored+ΔVを更新する。
5.更新後の電圧V
PV、I
PVを測定し、P
PVを計算する。
6.P
PVがP
PV,storedよりも大きいか否かを判断する。
7.P
PVがP
PV,storedよりも大きい場合、P
PV,stored及びV
PV,storedをオーバーライドし、オーバーライド後にV
PVがV
LIMに等しいか否かを判断し、等しくない場合、第4ステップに戻り、等しい場合は、ステップ3に進む。
8.P
PVがP
PV,stored以下である場合、P
LIM=V
LIM×I
PVを計算する。
9.P
LIMがP
PV,storedよりも大きいか否かを判断する。
10.P
LIMがP
PV,storedよりも大きい場合、ステップ4に戻る。
11.P
LIMがP
PV,stored以下である場合、V
PVがV
PV,storedに等しいように設定する。
12.P
PVがP
PV,storedに等しいか否かを判断し、P
PVがP
PV,storedに等しい場合、ステップ3に進み、P
PVがP
PV,storedに等しくない場合、ステップ1に戻る。
ステップ3:粒子群アルゴリズムを利用して実際の最大電力点をする。
1.ステップ2の後、ステップ2において最後に記憶されたV
PV,stored(すなわちステップ2において得られたグローバルな最良点)を利用して、0.85~1.15倍のV
PV,stored区間内で5つの粒子初期化電圧を与える。
2.各粒子点電力を計算する。
3.電力を比較してグローバルな最大電力及び履歴最大電力(局所的な最大電力)を得る。
4.粒子点の位置及び速度を更新する。
5.最大電力点に達したか否かを判断する。
6.最大電力点に達していない場合、第2ステップに進み、そうでない場合、第7ステップに進む。
7.最大電力点P
GMを記憶する。
8.V
PV、I
PVを測定し、P
PVを計算する。
9.P
PVがP
GMの98%~P
GMの102%にあるか否かを判断する。
10.9の判定の結果、YESである場合、ステップ8に進み、該電力はソーラーアレイの実際の最大電力点である。
11.9の判定の結果、NOである場合、ステップ1に戻る。
【0031】
本発明の実施例は、ソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追踪装置をさらに提供し、
図7に示すように、前記ソーラーアレイはソーラーモジュールを含み、該装置は、取得モジュール201、決定モジュール202、探索モジュール203、及び処理モジュール204を含み、
取得モジュール201は、前記ソーラーアレイの出力電圧、出力電流及び前記ソーラーモジュールの第1開回路電圧を取得することに用いられ、詳細については、上記方法の実施例におけるステップ101の関連する説明を参照する。
決定モジュール202は、前記出力電圧及び前記出力電流に基づいて、前記ソーラーアレイの電圧-電流特性曲線及び出力電力特性曲線を決定することに用いられ、詳細については、上記方法の実施例におけるステップ102の関連する説明を参照する。
探索モジュール203は、前記第1開回路電圧を探索ステップサイズとして、前記電圧-電流特性曲線及び前記出力電力特性曲線の局所的な最良点が前記第1開回路電圧を基準量として均等に分布するという分布原理を利用して、前記出力電力特性曲線で探索を行い、第1最大電力点を得ることに用いられ、詳細については、上記方法の実施例におけるステップ103の関連する説明を参照する。
処理モジュール204は、前記第1最大電力点に基づいて、粒子群アルゴリズム処理を行い、前記ソーラーアレイの目標最大電力点を得ることに用いられ、詳細については、上記方法の実施例におけるステップ104の関連する説明を参照する。
【0032】
本発明の実施例に係るソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追踪装置は、ソーラーアレイ出力電力特性曲線の各局所的な最良点が整数倍のソーラーモジュールの開回路電圧付近に位置する特徴、すなわち各局所的な最良点がソーラーモジュールの開回路電圧を基準量として均等に分布するという原理を利用し、ソーラーモジュールの開回路電圧を探索ステップサイズとして出力電力特性曲線を探索するだけで、出力電力特性曲線のグローバルな最良点、つまり第1最大電力点を迅速に特定することができる。従来の追従方法に比べて、完全なソーラーアレイ出力電力特性曲線をスキャンする必要がないため、最適化速度を大幅に向上させ、また、粒子群アルゴリズムを利用して正確な探索を行い、出力電力特性曲線の実際のグローバルな最良点、すなわち目標最大電力点を得ることによって、アルゴリズムが局所的な最適になることが回避される。また、探索過程では、ソーラーアレイの動作過程における自身の特性を利用し、普遍的で信頼性が高く、さらにソーラー発電所の普及・使用に用いることができる。
【0033】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、前記取得モジュールは、前記ソーラーアレイの第2開回路電圧及び前記ソーラーアレイの直列電池の数を取得するための第1取得サブモジュールと、前記第2開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、前記第1開回路電圧を決定するための第1決定サブモジュールと、を含む。
本発明の実施例の代替的な実施形態として、前記探索モジュールは、前記第1開回路電圧に基づいて、初期点電圧を決定するための第2決定サブモジュールと、前記初期点電圧、前記第1開回路電圧及び前記直列電池の数に基づいて、最大探索電圧を決定するための第3決定サブモジュールと、前記初期点電圧及び前記最大探索電圧に基づいて探索範囲を決定するための第4決定サブモジュールと、前記探索範囲内で、前記電圧-電流特性曲線に基づいて、前記第1開回路電圧を前記探索ステップサイズとして前記出力電力特性曲線で探索を行い、前記第1最大電力点を得るための探索サブモジュールと、を含む。
【0034】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、前記探索サブモジュールは、
前記ソーラーアレイの第1電圧を取得するための第2取得サブモジュールと、前記第1電圧に基づいて、前記電圧-電流特性曲線で前記ソーラーアレイの第1電流を決定するための第5決定サブモジュールと、前記第1電圧及び前記第1電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第1電力を決定するための第6決定サブモジュールと、前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するための取得サブモジュールと、前記第2電圧及び前記第2電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第2電力を決定するための第7決定サブモジュールと、前記第2電力と前記第1電力とを比較するための第1比較サブモジュールと、前記第2電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記第2電力を利用して前記第1電力を更新するとともに、前記第2電圧を利用して前記第1電圧を更新し、前記第2電圧を反復して前記最大探索電圧にすると反復を停止し、目標電圧を得るための反復更新サブモジュールと、前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定する第8決定サブモジュールと、を含む。
【0035】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、前記探索サブモジュールは、前記第2電力が前記第1電力よりも小さい場合、前記電圧-電流特性曲線、前記最大探索電圧及び前記第2電流に基づいて前記ソーラーアレイの第1最大電力を決定するための第9決定サブモジュールと、前記第1最大電力と前記第1電力とを比較するための第2比較サブモジュールと、前記第1最大電力が前記第1電力よりも大きい場合、前記探索ステップサイズに基づいて前記第1電圧を更新し、前記ソーラーアレイの更新後の第2電圧及び第2電流を取得するステップ~前記目標電圧に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記第1最大電力点を決定するステップを繰り返すための第1繰り返しサブモジュールと、前記第1最大電力が前記第1電力以下である場合、前記第2電力が前記第1電力に等しいか否かを判断するための第1判断サブモジュールと、前記第2電力が前記第1電力に等しい場合、前記第2電力に対応する電力点を前記第1最大電力点とするための第10決定サブモジュールと、をさらに含む。
【0036】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、前記処理モジュールは、前記第1最大電力点に基づいて、前記出力電力特性曲線で前記ソーラーアレイの第3電圧を決定するための第11決定サブモジュールと、前記第3電圧に基づいて、各粒子の初期化電圧を決定するための第12決定サブモジュールと、各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するための計算サブモジュールと、各前記第1探索電力に基づいて前記ソーラーアレイの第2最大電力及び第3最大電力を決定するための第13決定サブモジュールと、各前記粒子の位置及び速度を更新し、第2最大電力が第3最大電力に等しいか否かを判断するための更新及び判断サブモジュールと、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しい場合、前記ソーラーアレイの第4電圧及び第3電流を取得するための第3取得サブモジュールと、前記第4電圧及び前記第3電流に基づいて、前記ソーラーアレイの第3電力を決定するための第14決定サブモジュールと、前記第3電力が所定の電力範囲を満たすか否かを判断するための第2判断サブモジュールと、前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするための第15決定サブモジュールと、を含む。
【0037】
本発明の実施例の代替的な実施形態として、前記処理モジュールは、前記第2最大電力が前記第3最大電力に等しくない場合、更新後の各前記粒子に基づいて、各前記粒子の前記初期化電圧に基づいて、各前記粒子の第1探索電力を計算するステップ~前記第3電力が前記所定の電力範囲を満たす場合、前記第2最大電力に対応する電力点を前記目標最大電力点とするステップを繰り返すための第2繰り返しサブモジュールをさらに含む。
【0038】
本発明の実施例に係るソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追踪装置の機能説明の詳細は、上記実施例におけるソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法の説明を参照する。
【0039】
本発明の実施例は記憶媒体をさらに提供し、
図8に示すように、記憶媒体にはコンピュータプログラム301が記憶され、該タプログラムは上記実施例のソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法のステップを実行することができる。記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)又はソリッドステートドライブ(SSD:Solid-StateDrive)等であってもよく、前記記憶媒体は、上記のメモリの組み合わせを含んでもよい。
【0040】
当業者が理解できるように、上記実施例の方法のすべて又は一部の流れは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されたコンピュータプログラムによって関連するハードウェアを命令することによって実現され、該プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に格納され、実行時に上記の各方法の実施例の流れを含むことができる。前記記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)又はソリッドステートドライブ(SSD:Solid-StateDrive)等であってもよく、前記記憶媒体は上記のメモリの組み合わせを含んでもよい。
【0041】
本発明の実施例は電子機器をさらに提供し、
図9に示すように、該電子機器はプロセッサ41とメモリ42とを含むことができ、プロセッサ41とメモリ42はバス又は他の方法で接続することができ、
図9ではバスで接続することを例とする。
【0042】
プロセッサ401は中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)であり得る。プロセッサ401は、ほかの汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルドアアレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)、又はほかのプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートやトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアユニット等のチップ、又は上記様々なチップの組み合わせであり得る。
【0043】
メモリ402は非一時的コンピュータ可読記憶媒体として、非一時的ソフトウェアプログラム、非一時的コンピュータ実行可能プログラム及びモジュール、例えば本発明の実施例の方法に対応するプログラム命令/モジュールを記憶するために用いられ得る。プロセッサ401はメモリ402に記憶されている非一時的ソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することによって、プロセッサの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち上記方法実施例におけるソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を実現する。
【0044】
メモリ402はプログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでもよく、プログラム記憶領域はオペレーティング装置、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶でき、データ記憶領域はプロセッサ401により作成されたデータ等を記憶できる。また、メモリ402は高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、例えば、少なくとも1つのディスク記憶デバイス、フラッシュデバイス、又はほかの非一時的ソリッドステートメモリデバイスのような非一時的メモリをさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、メモリ402は、プロセッサ401に対して遠隔に設置されるメモリを任意に含んでもよく、これらの遠隔メモリはネットワークを介してプロセッサ401に接続され得る。上記ネットワークの例はインターネット、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク及びそれらの組合せを含むが、それらに限定されない。
【0045】
前記1つ又は複数のモジュールは前記メモリ402に記憶され、前記プロセッサ401により実行されると、
図1~6に示す実施例におけるソーラーアレイ出力特性に基づく最大電力点追従方法を実行する。
【0046】
上記電子機器の詳細は、
図1~6に示す実施例における対応する関連説明及び効果を参照して理解すればよく、ここでは詳細説明を省略する。
【0047】
図面を参照しながら本発明の実施例を説明したが、当業者は本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずに様々な変更や変形を行うことができ、このような変更や変形はいずれも添付の特許請求の範囲に定められる範囲に属する。
【要約】 (修正有)
【課題】完全なソーラーアレイ出力電力特性曲線をスキャンする必要がなく、最適化速度を大幅に向上させ、また、粒子群アルゴリズムを利用して正確な探索を行い、出力電力特性曲線の実際のグローバルな最良点、すなわち目標最大電力点を得ることによって、アルゴリズムが局所的な最適になることを回避するソーラーアレイの出力特性に基づく最大電力点追従方法及び装置を提供する。
【解決手段】方法は、ソーラーアレイ出力電力特性曲線の各局所的な最良点がソーラーモジュール開回路電圧を基準量として均等に分布するという原理を利用して、ソーラーモジュールの開回路電圧を探索ステップサイズとして出力電力特性曲線を探索するだけで、出力電力特性曲線のグローバルな最良点、つまり第1最大電力点を迅速に特定する。
【選択図】
図1