(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】機械的被駆動機器のためのトレインシステムを動作させる方法
(51)【国際特許分類】
H02P 9/14 20060101AFI20240517BHJP
H02J 7/14 20060101ALI20240517BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
H02P9/14 A
H02J7/14 A
H02J7/34 A
(21)【出願番号】P 2023508583
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2021025321
(87)【国際公開番号】W WO2022042885
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】102020000020596
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】マラジョーリオ、ガスパーレ
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-262379(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02429342(GB,A)
【文献】特開2006-275274(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0352465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/14
H02J 7/14
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源と、駆動装置とを有するトレインシステ
ムを動作させる方
法であって、
前記駆動装置は、前記動力源に結合された入力シャフトと、出力シャフトと、前記出力シャフトに関連付けられた電力バランスモータ-発電機ユニットと、ハイブリッドギアボックスと、を備え、
前記ハイブリッドギアボックスが、
前記入力シャフト及び前記出力シャフトに接続されたレイシャフトギアボックスと、
前記入力シャフトと前記出力シャフトとの間の前記レイシャフトギアボックスの変速比を調整するように構成されたスターキャリアと、
前記スターキャリアの回転を制御するように構成された速度比モーター発電機ユニットと、
を備え、
前記
動力源によって生成された
力を前記駆動装置
を通じて前記出力シャフトに接続された負荷に伝達するステップ
と、
前記動力源が一定速度で動作しているときに前記速度比モーター発電機ユニッ
トを動作させ
て前記スターキャリ
アの回転を
自由回転状態から調整し
、前記出力シャフ
トにおける速
度及びトルク
に対応する前記レイシャフトギアボックスの変速比を設定するステップと、
前記電力バランスモーター発電機ユニットを動作させて、前記出力シャフ
トに伝達された
力を回収
して電力に変換するステップ
と、
前記電力バランスモーター発電機ユニッ
トによって
前記電力を電力
網に注入す
るステップと、を含
み、
前記電力バランスモーター発電機ユニットは前記出力シャフトの速度とトルクを調節する電気モータとして動作可能であり、
前記電力バランスモーター発電機ユニットは前記出力シャフトに伝達された力を吸収して電流を生成する発電機として動作可能であり、
前記スターキャリアが自由回転している状態で前記速度比モーター発電機ユニットと前記電力バランスモーター発電機ユニットは同時に動作させられない、方法。
【請求項2】
前記
動力源が、二軸ガスタービ
ンである、請求項1に記載の方
法。
【請求項3】
前記動力源が、電気モータである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記動力源が、蒸気タービンである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記動力源が、単軸ガスタービンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動力源が、ディーゼルエンジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記動力源が、ガスエンジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
バッテリシステムが、スピニングリザーブを構築し、周囲条件に基づいて電力余剰/不足をカバーするように、前記バッテリシステムに接続された
前記電力バランスモーター発電機ユニット
を前記出力シャフトに力を伝えるためのモー
タとして使用することによってガス/電力のバランスをとるステッ
プをさらに含む、請求項
1から7のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項9】
バッテリシステムが、スピニングリザーブを構築し、周囲条件に基づいて電力余剰/不足をカバーするように、前記バッテリシステムに接続された前記電力バランスモーター発電機ユニットを、前記動力源によって前記出力シャフトに伝達された力の一部を吸収するための発電機として使用することによってガス/電力のバランスをとるステップを含む、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
周囲条件に基づいて電力余剰又は不足をカバーするように、電力網に接続された
前記電力バランスモーター発電機ユニッ
トを前記出力シャフトに力を伝えるためのモータとして使用することによってガス/電力のバランスをとるステッ
プを含む、請求項1
から7のいずれか1に記載の方
法。
【請求項11】
周囲条件に基づいて電力余剰又は不足をカバーするように、電力網に接続された前記電力バランスモーター発電機ユニットを、前記動力源によって前記出力シャフトに伝達された力の一部を吸収するための発電機として使用することによってガス/電力のバランスをとるステップを含む、請求項1から7及び請求項10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
プログラムが
、動力源と駆動装置とを有するトレインシステムであって、前記駆動装置は、前記動力源に結合された入力シャフトと、出力シャフトと、前記出力シャフトに関連付けられた電力バランスモーター発電機ユニットと、ハイブリッドギアボックスと、を備える、トレインシステムの前記ハイブリッドギアボックスと前記電力バランスモーター発電機ユニットに動作可能に接続されたコンピュー
タによって実行されると、前記コンピュー
タに、請求項1
から11のいずれか1項に記載の方
法を実行させる命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項13】
動力源と駆動装置とを有するトレインシステムであって、前記駆動装置は、前記動力源に結合された入力シャフトと、出力シャフトと、前記出力シャフトに関連付けられた電力バランスモーター発電機ユニットと、ハイブリッドギアボックスと、を備える、トレインシステムの前記ハイブリッドギアボックスと前記電力バランスモーター発電機ユニットに動作可能に接続されたコンピュー
タによって実行されると、前記コンピュータに
、請求項1
から11のいずれか1項に記載の方
法を実行させる命令を
記憶する、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トレインシステムにおいて機械的被駆動機器を駆動するための駆動装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ又は圧縮機などの機械的被駆動機器又は負荷は、適切な電源によって駆動される。これらの電源の中で、ガスタービン、蒸気タービン、エキスパンダ、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、又は電気モータを挙げることができる。
【0003】
一般に、市場では、「トレイン」、「トレインシステム」などと呼ばれるシステムが利用可能であり、これらのシステムでは、電源が、伝動機器を介して、1つ又は複数の圧縮機、ポンプ、又は船舶プロペラなどの負荷を駆動する。より具体的には、電源から機械的被駆動機器(又は負荷)への電力の伝達は、電源が接続された入力シャフトと、負荷Lに接続された出力シャフトと、入力シャフト(すなわち電源)の速度と出力シャフト(すなわち負荷)の速度との間の変速比を変更するためのギアボックスとを介して行われる。以下、単に参照を容易にするために、電源、ギアボックス、及び負荷、例えば圧縮機を備えるシステムは、「トレイン」、「トレインシステム」、又は「トレインプラント」と呼ばれてもよい。
【0004】
ギアボックスは、異なるタイプのものであってもよく、特に、固定ギア比タイプ又は可変ギア比タイプであってもよい。
【0005】
一般に、いくつかの状況において被駆動機器の速度を変更することが必要である。したがって、システムにおいて固定変速比が使用される場合、通常、駆動機器、すなわち電源が変速入力シャフトの回転速度を変更できることが必要である。この場合、唯一の可能なドライバ又は電源は、例えば、可変周波数駆動(VFD)電気モータ、二軸ガスタービン、蒸気タービン、エキスパンダ、ディーゼルエンジン、又はガスエンジンであり得る。実際、これらの種類の電源は、速度を変化させることができる。しかしながら、これらのシステムは、電気モータ用の大きな周波数変換器をプラントに装備する必要があるか、又は電源の機械的複雑さを増大させる必要があるので、技術的観点から複雑であることが分かる。
【0006】
更に、ドライバがVFDを有する電気モータである場合、トレインシステムは、ネットワーク外乱を通じて発電機駆動又は機械駆動トレインなどの他のトレインシステムに伝達され得る、準同期ねじり相互作用を受ける可能性がある。この場合、トレインシステムは、CAPEX(フットプリント及び重量)及びOPEX(効率)に関して最適化されていない。
【0007】
可変変速比ギアボックスを使用する場合、固定速度電気モータ又は単軸シャフトガスタービンを電源として使用することができる。可変ギア比ギアボックスを備えたトレインシステムは、通常、エピサイクリックタイプ又は派生ギアボックスを備える。このタイプのギアボックスは、一般に、環状ホイールと、環状ホイールと噛み合い、スターキャリアによって一緒に保持される複数のスターホイールと、スターホイールと噛み合うサンホイールとを含む。可変ギア比エピサイクリックギアボックスの変速比は、それぞれ変速入力シャフトが環状ホイール又はスターキャリアに結合されていると仮定して、環状ホイールに対するスターキャリアの回転速度を変化させることによって、又はその逆に、スターキャリアに対する環状ホイールの回転速度を変化させることによって、変化させることができる。可変ギア比ギアボックスの使用は、より大きな設計柔軟性を可能にする。エピサイクリック型ギアの代替として、レイシャフトギア構成を使用して、可変変速比ギアボックスを実現することができ、これは、入力サンホイールと、入力サンホイールと噛み合い、スターキャリアによって一緒に保持される複数のスターホイールと、出力サンホイールとを含み、出力サンホイールはスターホイールと噛み合う。
【0008】
ドライバとしてガスタービンを提供するトレインシステムでは、ガスタービンの始動中に固定速度比変速機を介して負荷に直接機械的に接続する場合、トルクの一部が、負荷が接続されている変速出力シャフトに伝達される。これは、ガスタービンが始動時に負荷抵抗に耐える必要があることを必然的に伴い、このことは、始動時のトルク出力制限のために単軸ガスタービンを使用することが不可能であることを意味する。この種の問題を防止するために、通常、1つ又は複数のクラッチ、又は電気モータ、蒸気タービン、若しくはエキスパンダなどの大型始動機器が設けられ、これらは必然的にプラントのコストならびに効率損失を増加させる。
【0009】
また、電気モータをドライバとするトレインシステムにおいて、固定速度比変速機を介して負荷に直接機械的に接続されている場合、始動段階において、電気モータは、その慣性によって与えられる負荷抵抗を受ける。したがって、始動段階中に必要とされる電力ピークに対処するために、より大きな電力を有するモータを使用する必要がある。これは、トレインプラントコストの増加を伴う。また、この場合、より高出力の電気モータに対する唯一の代替案は、伝動チェーンにおける1つ又は複数のクラッチの使用である。
【0010】
したがって、無負荷始動を実現するために、ドライバ始動シーケンス中に被駆動機器をドライバから切り離すことができ、次に、トレイン配置の柔軟性を可能にするために、静止状態から既に公称速度にあるドライバに被駆動機器速度を同期させることができ、同時に、任意の動作条件をカバーするように被駆動機器速度を制御することができる、改善された可変速比変速機の必要性が感じられる。
【発明の概要】
【0011】
一態様では、本明細書に開示される主題は、モータ発電機ユニットの動作を制御する方法と、2つのサンホイールシャフト、3つ以上の複合スターホイールシャフト、及びスターキャリアを有する減速機又は増速機とすることができるレイシャフトギア装置とを対象とし、ドライバ始動シーケンス中に被駆動機器をドライバから切り離して無負荷始動を実現し、次いで、ドライバ速度がその公称速度で動作している間に被駆動機器速度を静止状態から同期させることができる。スターキャリア速度は、連続制御可変トルクシステム(CCVT)として機能するモータ-発電機ユニット(速度比モータ-発電機ユニット-MGUとも呼ばれる)によって制御される。スターキャリア速度を変化させることによって、ギア入力/出力速度比を連続的に変化させることができる。
【0012】
ギア出力シャフトを保持し、したがって、速度比モータ-発電機ユニットが、単軸ガスタービン、同期電気モータ、ディーゼルエンジン、ガスエンジンなどの電源を始動することを可能にするために、又はアイドル、クランク、オンライン水洗、クールダウンなどの過渡動作条件をカバーするために電源を動作させ続けるために、追加のモータ-発電機ユニット(電力バランスモータ-発電機ユニット-MGUと呼ばれる)が存在してもしなくてもよい。
【0013】
上述の電力バランスモータ-発電機ユニットを制御するための方法は、単軸及び二軸ガスタービン又は蒸気タービン又はディーゼルエンジン又はガスエンジンのような電源を、それらの最大効率条件で動作させ続けることを可能にし、したがって、エネルギー利用可能性及びコストに基づいてガス/電気又は蒸気/電気又はディーゼル/電力バランスを可能にし、したがって、例えば、周囲条件(冬/夏又は夜/昼の周囲温度変動)に基づいてガスタービン電力余剰/不足をカバーし、したがって、バッテリシステムにおける電気エネルギー貯蔵がスピニングリザーブを構築することを可能にする。
【0014】
一態様において、本明細書に開示される主題は、電源と駆動される機器又は負荷との間に接続された駆動装置に関する。駆動装置は、電源と被駆動機器との間の変速比を調整するように構成されたスターキャリアを備えるレイシャフトギアボックスを有するハイブリッドギアボックスを備える。ハイブリッドギアボックスはまた、速度比モータ-発電機ユニットを備える。動作方法は、スターキャリアの回転を制御することを可能にする。
【0015】
本開示の更なる態様は、電源、駆動装置、及び負荷(被駆動機器)を有するトレインシステムを動作させるための方法に関する。この方法は、速度比モータ-発電機ユニットを動作させてスターキャリアの回転速度を調整するステップと、レイシャフトギアボックスの変速比を設定して駆動装置の出力シャフトにおける速度及びトルクを調整するステップとを含む。
【0016】
別の態様では、電源として単軸ガスタービンを有するトレインシステムが本明細書で開示され、速度比モータ-発電機ユニットは、電源の始動段階において出力シャフトの速度回転が0になるようにスターキャリアを回転させて変速比を設定するか、又は速度比モータ-発電機ユニットがオフに切り替えられると、スターキャリアが自由回転モードで回転して、電源の始動段階において出力シャフトの速度回転が0になるように変速比を設定する。
【0017】
別の態様において、単軸及び二軸ガスタービン又は蒸気タービン又はディーゼルエンジン又はガスエンジンのような電源を有するトレインシステムを動作させるための方法が本明細書で開示され、被駆動機器に伝達される電力の一部は回収され、電力バランスモータ-発電機ユニットによって電力網又はバッテリパックに注入される電気エネルギーに変換され、したがって、電源を最大効率で稼働させ、等価全出力当たりのCO2生成を最小限に抑えることを可能にし、スピニングリザーブを構築することを可能にする。
【0018】
別の態様では、単軸及び二軸ガスタービンのような電源を有するトレインシステムを動作させる方法が本明細書で開示され、電力バランスモータ-発電機ユニットは、周囲条件(冬/夏又は夜/昼の周囲温度変動)に基づいてガスタービン電力余剰/不足を補償するように動作され、したがって、スピニングリザーブを構築又は使用することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くについての完全な理解は、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より容易に得られるであろう。
【
図1】第1の実施形態による駆動装置のスキームの概略図を示す。
【
図2】本開示によるレイシャフトギアボックスの斜視図を示す。
【
図3】
図2のレイシャフトギアボックスの長手方向断面図を示す。
【
図4】制御論理ユニットの概略図の一実施形態を示す。
【
図5】本開示による、トレインシステムを動作させるための方法のフローチャートを例示する。
【
図6】単軸電力タービンを含むトレインシステムを動作させる方法のフローチャートを示す。
【
図7】二軸電力タービンを含むトレインシステムを動作させる方法のフローチャートを示す。
【
図8】二軸電力タービンを含むトレインシステムを動作させるための方法の更なるフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
機械的被駆動機器では、ガスタービン、電気モータ、ディーゼルエンジン、ガスエンジン等の電源を負荷に接続する必要がある。この接続は、変速システムによって行われ、この変速システムは、その変速比を変化させて、始動段階などの任意の可能な動作状況に従って被駆動機器速度を変化させることができる。変速システムは、可変伝達ギアボックスを備える。可変速ギアボックスの変速比は、可変速ギアボックスのスターキャリアと環状に一体化されたモータ-発電機ユニットによって調整され、モータ-発電機ユニットは、ギアボックスの速度比を調整するためにモータ又は発電機のいずれかとして動作することができ、したがって、電源自体がいわゆるクランク速度に達するまで、電源を負荷から切り離すことを可能にし、上述の始動段階中の非線形電力伝達を防止する。
【0021】
ここで図面を参照すると、
図1は、全体が参照番号1で示され、本開示による動作方法で動作される第1の実施形態によるトレインシステムTを示す。
【0022】
特に、トレインシステムTは、電源2と、入力シャフト3を介して電源2に接続された駆動装置1と、出力シャフト5を介して駆動装置1に接続された負荷Lとを備える。また、駆動装置1は、入力シャフト3から出力シャフト5にトルクを伝達するように構成されたハイブリッドギアボックス4を備える。
【0023】
駆動装置1はまた、コンピュータである制御ユニット7と、出力シャフト5に関連付けられた電力バランスモータ-発電機ユニット6とを備える。制御ユニット7は、トルクCo及び回転速度ωoに関して、負荷Lに伝達される電力を調整するために、ハイブリッドギアボックス4及び第2のモータ-発電機ユニット6に動作可能に接続される。更に、制御ユニット7は、以下により詳細に説明するように、電力網又はバッテリパックNに接続可能である。
【0024】
電源2は、機械的被駆動機器の分野で使用される任意のタイプのものとすることができる。特に、ガスタービンは、回転速度を変化させることができる二軸タイプのガスタービン、又は固定速度で動作する単軸タイプのガスタービンとすることができる。代替的に、電源2は、電気モータ、蒸気タービン、エキスパンダ、ディーゼルエンジン、又はガスエンジンであってもよい。電源2は、入力シャフト3を回転速度ωiで回転させるために、Ciで示されるトルクを供給することができる。
【0025】
ハイブリッドギアボックス4は、レイシャフトギアボックス41及び速度比モータ-発電機ユニット42を備える。レイシャフトギアボックス41の実施形態の構造を以下に説明する。次に、速度比モータ-発電機ユニット42がレイシャフトギアボックス41とどのように関連付けられ、これをどのように動作させるかに関する実施形態も開示される。
【0026】
図2及び
図3も参照すると、レイシャフトギアボックス41は、入力シャフト3に接続された入力サンホイール411と、2つ以上(通常は3つ)の複合スターホイールシャフト412とを備え、各複合スターホイールシャフトは、入力サンホイール411と噛み合う第1のギア段4121と、第2のギア段4122とを有することが分かる。レイシャフトギアボックス41はまた、本体4131を有するスターキャリア413を備え、その上に外径面4132が得られ、その機能は以下でより良く説明される。
【0027】
スターキャリア413の本体4131は、入力サンホイール411及び複合スターホイールシャフト412を収容する。各複合スターホイールシャフト412は、スターキャリア413の本体4131を中心に枢動する。
【0028】
レイシャフトギアボックス41はまた、出力シャフト5に接続され、各複合スターホイールシャフト412の第2のギア段4122と噛み合う出力サンホイール414を備える。出力サンホイール414もまた、スターキャリア413の本体4131内に収容される。
【0029】
図3に示す実施形態では、速度比モータ-発電機ユニット42は、レイシャフトギアボックス41の本体413の外径面4132に配置された周辺低電圧電気機械である。特に、速度比モータ-発電機ユニット42は、レイシャフトギアボックス41の本体413の周りに環状に配置される。引き続き
図3を参照すると、速度比モータ-発電機ユニット42は、レイシャフトギアボックス41の本体413の外径面4132上に配置されたロータ421と、ロータ421の周りに、したがってレイシャフトギアボックス41の本体413の外径面4132の周りに配置されたステータ422とを備える。
【0030】
図3に示す実施形態では、ロータ421は、外径面4132上に設置された複数の永久磁石4211を備えるか、又はそれらから構成される。他の実施形態では、ロータ421は巻線によって実現されてもよい。
【0031】
また、
図3に示す実施形態では、ステータ422は、ステータコア4221と、巻線4222とを備える。
図3の縦断面から分かるように、ステータ422は、ロータ421を取り囲んでいる。
【0032】
図3の速度比モータ-発電機ユニット42の実施形態は、特にコンパクトである。しかしながら、別の実施形態において、速度比モータ-発電機ユニット42は、レイシャフトギアボックス41に対して異なる位置に配置され、適切なシャフトによってレイシャフトギアボックス41に接続され得る。
【0033】
動作中、速度比モータ-発電機ユニット42によって、入力サンホイール411及び出力サンホイール414に対してスターキャリア413を回転させる(又は回転を制御する)ことが可能であり、したがって、上述のように出力サンホイール414に接続された出力シャフト5の回転速度ωo及びトルクC_oを調整することが可能である。
【0034】
速度比モータ-発電機ユニット42がスターキャリア413の周りに直接配置されるので、アセンブリの高いコンパクト性が得られる。更に、図から分かるように、レイシャフトギアボックス41はブロックされないが、その動き、すなわち入力シャフト3又は出力シャフト5に対する相対回転は、速度比モータ-発電機ユニット42によって制御される。更に、レイシャフトギアボックス41、より正確にはスターキャリア413がブロックされないので、速度比モータ-発電機ユニット42がオフに切り替えられたときにトルクを出力シャフト5に伝達しないことが可能であり、その結果、電源2は、負荷Lのいかなる抵抗トルクにも遭遇しない。以下に見られるように、この態様は、運動学的連鎖におけるクラッチの挿入を回避し、高い設計自由度を可能にする。
【0035】
速度比モータ-発電機ユニット42は、上述したように、電気モータ及び発電機の両方として動作してスターキャリア413の回転を制御することができる低電圧モータ-発電機ユニットである。速度比モータ-発電機ユニット42が発電機モードにあるとき、駆動装置1は、以下のバランス式に従って、電力網N又はドライバ出力電力の一部を回収するバッテリシステムに電流を供給している。
Ciωi=Cc ωc+Co ωo
ここで、Cc及びωcは、それぞれトルク及び回転速度であり、それらの積は、電力網N又はバッテリパックに送達される電力である。
【0036】
速度比モータ-発電機ユニット42がモータモードにあるとき、駆動装置1は、以下のバランス式に従って、電力網又はバッテリシステムから電流を吸収し、その電力をドライバ出力電力に重畳する。
Ciωi+Cc ωc=Co ωo
制御ユニット7は、速度比モータ-発電機ユニット42に接続され、その回転を制御及び調整する。特に、以下により詳細に説明するように、速度比モータ-発電機ユニット42によってスターキャリア413の回転を調整することによって、負荷Lに伝達されるトルク及び速度をそれに応じて調整することができる。
【0037】
駆動装置1は、上述したように、出力シャフト5の回転を調整するために出力シャフト5に関連付けられた電気モータである電力バランスモータ-発電機ユニット6を含む。電力バランスモータ-発電機ユニット6は、様々なタイプのものとすることができる。実施形態では、電力バランスモータ-発電機ユニット6は、出力シャフト5の外径面に設置された複数の永久磁石4211を備えるか、又はそれらから構成されるか、又は同じ速度比モータ-発電機ユニット42技術であってもよい。
【0038】
また、電力バランスモータ-発電機ユニット6は、電気モータとして、したがって出力シャフト5の運動に作用するか、又は発電機として、したがって入力シャフト3上の電力(の少なくとも一部)を吸収し、したがって電流を生成するかのいずれかで動作することができる低電圧モータ-発電機機械である。電力バランスモータ-発電機ユニット6の電気モータ又は発電機からの動作シフトは、以下でより良く定義されるように、制御ユニット7によって制御される。
【0039】
駆動装置1の動作を説明するために、
図1、
図2、及び
図3のハイブリッドギアボックス4の動作が説明され、駆動装置1の全体動作が異なる設計構成において説明される。
【0040】
ハイブリッドギアボックス4の動作は、以下の通りである。
図1又は
図3を参照すると、スターキャリア413が静止状態に保持されている場合、速度比モータ-発電機ユニット42が入力シャフトが矢印Aで示す方向などの一方向に回転すると、複合スターホイールシャフト412の第1のギア段4121及び第2のギア段4122は、矢印Bで示す反対方向に回転する。したがって、出力シャフト5は、矢印Aと同じ方向である矢印Cで示す方向に回転する。出力シャフト5の回転速度ω
oは、入力シャフト3の回転速度ω
iの関数であり、複合スターホイールシャフト412の変速比、すなわち、第1のギア段4121、第2のギア段4122、入力サンホイール411、及び出力スターホイール414の半径に依存する。スターキャリア413が矢印Dで示す方向、すなわち入力シャフト3の矢印Aと同じ方向に回転すると、出力シャフト5の回転速度ω
oは増加する。代わりに、スターキャリア413が矢印Dの反対方向に、すなわち方向Eに従って回転すると、出力シャフト5の回転速度ω
oは減少する。より具体的には、回転速度閾値を超えると、出力シャフト5をゼロにすることができ、トルクは負荷Lに伝達されない。
【0041】
したがって、入力シャフト3がある回転速度ωiで回転している間に出力シャフト5がブロックされると、スターキャリア413は、矢印Eに従う方向に回転する。
【0042】
駆動アセンブリ1の動作は、アクティブフロントエンド可変周波数駆動装置として構成され得る制御ユニット7によって調整される。いくつかの実施形態では、中央制御ユニット7は、クラウドコンピューティングシステム、コンピュータネットワーク、又は適切なコンピュータプログラムを実行することによってデータを処理することができる他の設置物として実現又は実装され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、特に
図4を参照すると、制御ユニット7は、プロセッサ71と、プロセッサ71が接続されたバス72と、プロセッサ71によってアクセス及び制御されるようにバス72に接続されたデータベース73と、プロセッサ71によってアクセス及び制御されるように同じくバス72に接続されたコンピュータ可読メモリ74と、バス72に接続され、速度比モータ-発電機ユニット42及び電力バランスモータ-発電機ユニット6からそれらの動作に関する信号を受信し、速度比モータ-発電機ユニット42に及び電力バランスモータ-発電機ユニット6から制御信号を送信して、駆動アセンブリ1が動作することができる可能な異なる実施形態に従って駆動アセンブリ1の動作を調整するためにそれらを動作させるように構成された送受信モジュール75とを備えてもよい。
【0044】
上記に基づいて、性能をよりよく理解し、動作方法を説明するために、駆動アセンブリ1の動作を異なる構成で説明する。より具体的には、
図1による駆動アセンブリ1の構成及び以下により詳細に開示される動作方法は、速度を変化させることができるかどうかにかかわらず、任意のタイプの電源2に適合させることができる。この結果は、ハイブリッドギアボックス4の挙動を様々な状況に適合させるように構成された制御ユニット7によって達成される。
【0045】
トレインシステムT、特に駆動アセンブリ1を動作させる方法は、駆動アセンブリ1が、知られているように回転速度を変更することができない、電源2としての単軸ガスタービン、又は同期若しくは誘導電気モータのような任意の他の固定速度ドライバと、電源2としての二軸ガスタービン、蒸気タービン、エキスパンダ、VFD電気モータ、ディーゼル及びガスエンジンとの両方で動作することを可能にする。駆動アセンブリ1の動作方法は、電源2が単軸ガスタービンである場合、及び電源2が二軸ガスタービン又は任意の可変速度ドライバである場合について説明され、いずれの場合においても技術的及び設計上の利点について説明する。
【0046】
電源2が単軸ガスタービンである場合、駆動アセンブリ1は、静止状態からそのクランク速度までガスタービンを始動させることができ、そのクランク速度からガスタービン公称速度までのガスタービン2の加速段階中に負荷Lを切り離す(したがって、負荷Lを電源から切り離す)ことができ、次いで負荷Lを増大させて被駆動機器をその動作速度にし、最終的に被駆動機器速度をその動作速度範囲内に調整する。
【0047】
駆動アセンブリ1によって、また再び
図1を参照すると、単軸ガスタービン2の始動段階中に、速度比モータ-発電機ユニット42は、最初にモータとして作用して、スターキャリア413を矢印Eの方向に回転させ、したがって、上述のように、ガスタービン2をそのクランク速度にする。
【0048】
次に、速度比モータ-発電機ユニット42がオフに切り替えられ、その結果、単軸ガスタービン2は、負荷Lから来る抵抗トルクなしにその公称速度に達するように加速することができる。この段階で、出力シャフト5は、入力シャフト3から(次いで、電源2から)切り離され、その結果、スターキャリア413は自由に回転したままにされ(通常、「自由回転モード」と呼ばれる)、負荷Lに伝達されるトルクは実質的に0である。
【0049】
いくつかの実施形態では、出力駆動シャフト5は、上述したように、制御ユニット7によって制御される電力バランスモータ-発電機ユニット6によってもブロックされ得る。このようにして、ガスタービン2の加速中、ガスタービン2及び入力シャフト3の速度増加を補償することができるのはレイシャフトギアボックス41のみであり、特にスターキャリア413の回転であることが保証される。この構成では、電力バランスモータ-発電機ユニット6は、スターキャリア413の回転によるトルク伝達の全体的な制御を可能にする。
【0050】
次いで、トルクは、当該制御ユニット7によって負荷Lに徐々に伝達され、速度比モータ-発電機ユニット42による出力シャフト5の回転を可能にする。速度比モータ-発電機ユニット42は発電機として作用し、スターキャリア413をその「自由回転モード」から減速させる。電源2がその公称運転速度にある状態で、スターキャリア413の速度がその「自由回転モード」から減少すると、出力シャフト5の速度が静止状態から増加することになる(電力バランスモータ-発電機ユニット6は、出力シャフト5を自由に回転させ続けるために、又は要求された場合にヘルパーとして作用するためにオフに切り替えられる)。スターキャリア413の速度は、発電機として作用し続ける速度比モータ-発電機ユニット42の作用によって、その「自由回転モード」から0速度まで更に低減され、次いで、スターキャリア413の速度は、今度はモータとして作用する速度比モータ-発電機ユニット42の作用によって、反対の回転方向(
図1の矢印Dに従う方向)に増加され、これは、出力シャフト5の速度の更なる増加をもたらす。
【0051】
レイシャフトギアボックス41は、スターキャリア413の速度が0であるときに被駆動機器をその動作速度範囲内の動作点に至らせるように運動学的に設計され、その結果、速度比モータ-発電機ユニット42は、被駆動機器の速度をその動作速度範囲内で調整することができ、あるいは発電機として作用して、矢印Eに従う方向にスターキャリア413の最大速度まで調整することができ、これは最小動作速度(MOS)における被駆動機器に対応し、又は、モータとして作用して、矢印Dに従う方向に最大速度まで調整することができ、これは最大連続速度(MCS)における被駆動機器に対応する。
【0052】
図5を参照すると、一般電源2を用いてトレインシステムTを動作させる方法8のフローチャートが示されている。特に、方法8は、電源2によって電力を生成して入力シャフト3を回転させるステップ81と、電源2によって生成された電力を駆動装置1によって伝達するステップ82と、出力シャフト5に接続された機器Lを駆動するステップ83とを含む。方法8は、速度比モータ-発電機ユニット42を動作させて、スターキャリア413の回転を調整してレイシャフトギアボックス41の変速比を設定し、出力シャフト5における速度ω
o及びトルクC
oを調整するステップ84を更に含む。
【0053】
図6を参照すると、電源が単軸ガスタービン2である場合の動作方法8が示されており、そのような単軸ガスタービン2の始動段階が開示されている。既に上述したように、動作ステップ84は、速度比モータ発電機ユニット42をモータとして動作させてガスタービン2をそのクランク速度にするサブステップ841と、速度比モータ発電機ユニット42をオフにして単軸ガスタービン2を切り離して加速してその公称速度に到達させ、スターキャリア413が自由に回転するようにするサブステップ842とを含む。次に、速度比モータ発電機ユニット42は、サブステップ843に従って発電機として動作し、スターキャリア413を減速させて、出力シャフト5の速度を静止状態から増加させる。
【0054】
また、トレインシステムTを動作させる方法8は、速度比モータ-発電機ユニット42をモータとして動作させ、スターキャリア413の速度をステップ843とは反対方向に増加させて出力シャフト5の速度を更に増加させるサブステップ844を更に含む。
【0055】
最後に、出力シャフト5に関連付けられた電力バランスモータ-発電機ユニット6による電源2の始動段階中の出力シャフト5のブロックステップ85を含むことができる。
【0056】
本明細書に開示される駆動アセンブリ1は、電源2としての二軸ガスタービンの場合にもその動作を適合させることができる。特に、この場合、二軸ガスタービンは、最大出力及び速度で動作するときにその効率を最適化する。この場合、実際に、対応する汚染物(特に、排出されるCO2)は、生成されるキロワット(kW)当たり比例的に最小化される。したがって、二軸ガスタービンを最大出力及び最大速度で運転すると、入力シャフト3の回転速度ωiは固定される。出力シャフト5の回転速度ωoは、速度比モータ-発電機ユニット42を用いてスターキャリア413によって調整することができる。
【0057】
電力バランスモータ-発電機ユニット6は、発電機として動作する場合、負荷Lによって吸収される電力、つまり出力シャフト5に伝達されるトルクの吸収部分を、制御ユニット7によって調整する。したがって、電源2によって生成された電力の一部は、電力バランスモータ-発電機ユニット6によって回収され、電気エネルギーに変換され得る。電力バランスモータ-発電機ユニット6によって生成された電気エネルギーは、次いで、電力網Nに注入されるか、又は将来の使用のためにバッテリシステムに注入され、したがって、負荷Lに伝達される電力のバランスをとると同時に、電源2によって過剰に生成されたエネルギーを回収することができる。
【0058】
更に、例えば、負荷Lが異なる動作速度で追加の電力を必要とする場合、制御ユニット7は、スターキャリア413の回転を調整することによって速度出力シャフト5の回転速度ωoを増加させること、及び/又は電力バランスモータ-発電機ユニット6によって吸収されるトルク(したがって電力)を減少させることのいずれかが可能である。
【0059】
更に、例えば、負荷Lが一定の動作速度で異なる電力を必要とする場合、制御ユニット7は、電力バランスモータ-発電機ユニット6によって吸収されるトルク(したがって電力)を調整することができ、又は必要であれば、全体の電力バランスを補償するために、モータとして機能する出力シャフト5に正味電力を供給することができる。
【0060】
図7を参照すると、二軸ガスタービン2を電源として用いてトレインシステムTを動作させる方法8のフローチャートが示されている。単軸ガスタービンを用いても動作することができる方法8は、
図5に示す上記の、ガスタービン2によって電力を生成するステップ81と、電源2によって生成された電力を駆動装置1によって伝達するステップ82と、出力シャフト5に接続された機器Lを駆動するステップ83と、速度比モータ-発電機ユニット42を動作させてスターキャリア413の回転を調整してレイシャフトギアボックス41の変速比を設定するステップ84に加えて、出力シャフト5に伝達された電力の一部を回収するステップ86であって、それを電気エネルギーに変換して、発電機として動作可能な電力バランスモータ-発電機ユニット6の電力網又はバッテリパックNに注入する、ステップを更に含む。このようにして、上述したように、二軸ガスタービン2は、最大出力及び最大速度で、すなわち最大効率で動作することができ、等価全出力当たりのCO
2生成を最小限に抑えることを可能にし、電源2から過剰なエネルギーの一部を回収することによってスピニングリザーブを構築することを可能にする。同様に、単軸ガスタービン2は、最大出力及びその公称速度で、すなわち最大効率で動作することができ、等価全出力当たりのCO
2生成を最小限に抑えることを可能にし、電源2から過剰なエネルギーの一部を回収することによってスピニングリザーブを構築することを可能にする。
【0061】
図8を参照すると、二軸又は単軸ガスタービン2を電源として用いてトレインシステムTを動作させる方法8のフローチャートも示されている。方法8は、
図7に示す、ガスタービン2によって電力を生成するステップ81と、電源2によって生成された電力を駆動装置1によって伝達するステップ82と、出力シャフト5に接続された機器Lを駆動するステップ83と、速度比モータ-発電機ユニット42を動作させてスターキャリア413の回転を調整してレイシャフトギアボックス41の変速比を設定するステップ84に加えて、電力網に接続されたモータ又は発電機として電力バランスモータ-発電機ユニット6を使用して、エネルギーの利用可能性及びコストに基づいて、又は周囲条件(冬/夏又は夜間/昼の周囲温度変動)に基づくガスタービン電力余剰/不足をカバーするために、それぞれ出力シャフト5に電力を供給するか、電源2によって出力シャフト5に伝達された電力の一部を吸収することによって、ガス/電力バランスをとるステップ87も含む。
【0062】
図8を参照すると、二軸又は単軸ガスタービン2を電源として用いてトレインシステムTを動作させる方法8を要約するフローチャートが示されている。方法8は、
図5に示す、ガスタービン2によって電力を生成するステップ81と、電源2によって生成された電力を駆動装置1によって伝達するステップ82と、出力シャフト5に接続された機器Lを駆動するステップ83と、速度比モータ-発電機ユニット42を動作させてスターキャリア413の回転を調整してレイシャフトギアボックス41の変速比を設定するステップ84に加えて、バッテリシステムに接続されたモータ又は発電機として電力バランスモータ-発電機ユニット6を使用して、それぞれ出力シャフト5に電力を供給するか、又は電源2によって出力シャフト5に伝達された電力の一部を吸収し、したがって、バッテリシステムにおける電気エネルギー貯蔵が、スピニングリザーブを構築し、周囲条件(冬/夏又は夜間/昼の周囲温度変動)に基づくガスタービン電力余剰/不足をカバーすることを可能にすることによって、ガス/電力のバランスをとるステップ87も含む。
【0063】
電源2が電気モータ、同期又は誘導電気モータである場合、始動時に、負荷Lの慣性を克服するためにピーク電力を提供する必要がある。これは、始動段階におけるこの電力要求を単に補償するために、電気モータが電力に関して過大サイズであることを必要とする。これは部品コストの増大を招く。
【0064】
電源2が同期電気モータである場合、始動時のその脈動トルクは、トレインTNF(典型的には、第1及び第2のトレインねじれ周波数)と交差し、したがって、共振において重いトルク応答をもたらし、それは、疲労現象に起因して始動の数を制限し得る。
【0065】
本発明の態様は、様々な特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、特許請求の範囲の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの修正、変更、及び省略が可能であることが、当業者には明らかであろう。加えて、本明細書で別段の指定がない限り、いずれのプロセス又は方法ステップの順序又は配列も、代替的な実施形態に従って変更又は再配列され得る。
【0066】
本開示の実施形態に対して詳細な参照がなされており、これらの1つ以上の例は、図面に例示されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同じ実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0067】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」、及び「当該(said)」は、要素のうちの1つ以上があることを意味することを意図している。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。