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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】電気自動車用モータの出力制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/18 20060101AFI20240520BHJP
   H02K 19/12 20060101ALI20240520BHJP
   H02K 16/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H02P25/18
H02K19/12
H02K16/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021072198
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166775
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592173434
【氏名又は名称】株式会社日本ビデオセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】近藤 忠美
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-245856(JP,A)
【文献】特開2007-221961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/18
H02K 19/12
H02K 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を挟んで対向配置された回転極対を、前記中心軸を中心に複数個放射状に配置して形成されたロータを備えた出力軸と、
前記中心軸を挟んで対向配置された固定極対を、前記回転極対と対向するように、前記中心軸を中心に複数個放射状に配置して、前記ロータを囲繞するように形成されたステータを備え、前記出力軸を回動自在に軸支する筒体状のモータ本体と、
前記出力軸から出力される回転動力を制御する制御部と、
から構成されるモータにおいて、
前記制御部が、前記ステータに対する前記ロータの回転数を制御して、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御するようにした電気自動車用モータの出力制御システムであって、
前記固定極対に、所定の位置から順に番号を付し、
付された番号にしたがって、前記モータ本体内壁の周方向に沿って配置された前記固定極対を所定の条件にしたがって複数のグループに分けて、複数組の固定極群を形成し、
前記回転極対に、所定の位置から順に番号を付し、
付された番号にしたがって、前記回転極対を前記出力軸の周方向に沿って所定の条件にしたがって複数のグループに分けて、複数組の回転極群を形成して、
前記回転動力に係る出力に応じて、
前記制御部が、動作させる前記固定極群又は前記回転極群を選択して、
低出力時には、選択された一の前記固定極群又は一の前記回転極群を動作させて、他の前記固定極群又は他の前記回転極群を休止させて、前記固定極対又は前記回転極対が間引かれて動作するようにし、
出力を上げるにしたがって、動作させる前記固定極群又は前記回転極群を増やして、
前記制御部が、動作させる前記固定極群又は前記回転極群の数を増減する制御を行って、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御する場合に、
前記制御部に走行制御手段と、巡航制御手段と、判定手段とを設けると共に、前記制御部と、アクセルペダルを備え、当該アクセルペダルを踏み込み又は戻す所定の操作量に応じた入力信号を出力するアクセル装置と、前記入力信号に基づいて開閉するスロットル本体を備え、当該スロットル本体の所定のスロットル開度に応じた開度信号を出力するスロットル装置とが接続された車内通信網を設けて、
当該車内通信網を介して、前記アクセル装置が出力した前記操作量に応じた入力信号に基づいて、前記スロットル装置が所定の前記開度信号を出力したときに、前記制御部が前記開度信号に基づいて、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御する出力制御信号を出力するように構成し、
前記開度信号に基づいて前記判定手段が、前記モータを駆動機関に備えた電気自動車を通常走行させる前記走行制御手段で制御するか、前記電気自動車を巡航させる前記巡航制御手段で制御するかを判定し、
前記判定手段が前記巡航制御手段で制御すると判定し、前記制御部が前記走行制御手段に係る走行モードを、前記巡航制御手段に係る巡航モードへ切り替えた場合に、
切り替えたときの前記電気自動車の速度を巡航速度として、当該巡航速度に係る前記開度信号を第1開度信号とし、
さらに、当該第1開度信号に係る前記スロットル開度に対し、前記アクセルペダルを所定の割合で戻して前記スロットル開度が小さくなったときの前記開度信号を第2開度信号として、
当該第2開度信号が入力されたとき、前記巡航制御手段が巡航モードを、すべての前記固定極群及び前記回転極群を用いる全稼働パターンと、前記固定極群と前記回転極群のうち、選択された一部の前記固定極群及び前記回転極群を用いる間欠稼働パターンとを交互に繰り返す間欠巡航モードへ切り替え、
当該間欠巡航モードとなった場合に、前記巡航制御手段が交互に切り替える前記全稼働パターンと前記間欠稼働パターンにしたがって、前記制御部が、動作させる前記固定極群又は前記回転極群の数を増減する制御を行い、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御して、前記巡航速度を維持するようにしたことを特徴とする電気自動車用モータの出力制御システム。
【請求項2】
前記出力軸に、当該出力軸の回転を慣性で維持するフライホイールを設け、
前記間欠巡航モードに切り替わり、前記出力軸に係る前記回転動力が所定時間、略一定の状態が維持される定常状態となったとき、
前記固定極群、又は前記回転極群の稼働組数を減らすと共に、
前記フライホイールが、前記回転動力に慣性力を加えて、前記回転動力の前記定常状態を維持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電気自動車用モータの出力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車用モータの出力を制御する制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モータを動力源とする乗り物は、電車のみならず、ハイブリッド自動車、電気自動車、電動バイク等が広く知られており、モータは、ガソリンエンジンをはじめとした内燃機関と比べて有害な排出ガスが無く、環境に対する負担が小さいため、それらの乗り物に広く利用されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】引用なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、モータの電気入力に対する機械出力は、コイル電流の大きさに比例する巻線の銅損、鉄心の磁化の際生じる鉄損、回転に伴う軸受抵抗、風損等による機械損の損失が大きく影響を及ぼし、電気入力に対して、機械出力は小さくなってしまう。
そこで、十分な機械出力を得るため、たとえば、電車のように高電圧を印加して電気入力を大きくしたり、逆に電気自動車又はハイブリッド自動車のように、コイル電流を小さくして銅損を抑えるようにして、小さな機械出力を変速機で大きくしたりといった方法がとられている。
ここで、上記のように駆動機関のモータを構成した電気自動車の場合では、コイル電流を大きくし、モータの機械出力を上げて速度を上げる場合、コイル電流を大きくするにつれて損失が大きくなり、十分な機械出力を得ることができなくなる問題がある。そのため、機械出力の増大にしたがって、損失が大きくなり、高速度域では駆動部にエンジンを備えた従来の自動車、ハイブリッド自動車に対して機械出力に係る効率が悪化している。この問題について、ハイブリッド自動車では、高速度域になるとモータの補助がなくなり、エンジンのみを使用して走行させることで解決を図っているが、モータのみで駆動する電気自動車では、そのように切り替えることができない。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、電気自動車用モータの機械出力を、低速度域では小さく、高速度域では大きくなるように構成して、電気自動車用モータの機械出力に係る効率を向上させた電気自動車用モータの出力制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のモータの出力制御システムは、中心軸を挟んで対向配置された回転極対を、前記中心軸を中心に複数個放射状に配置して形成されたロータを備えた出力軸と、
前記中心軸を挟んで対向配置された固定極対を、前記回転極対と対向するように、前記中心軸を中心に複数個放射状に配置して、前記ロータを囲繞するように形成されたステータを備え、前記出力軸を回動自在に軸支する筒体状のモータ本体と、
前記出力軸から出力される回転動力を制御する制御部と、
から構成されるモータにおいて、
前記制御部が、前記ステータに対する前記ロータの回転数を制御して、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御するようにした電気自動車用モータの出力制御システムであって、
前記固定極対に、所定の位置から順に番号を付し、
付された番号にしたがって、前記モータ本体の内壁の周方向に沿って配置された前記固定極対を所定の条件にしたがって複数のグループに分けて、複数組の固定極群を形成し、
前記回転極対に、所定の位置から順に番号を付し、
付された番号にしたがって、前記回転極対を前記出力軸の周方向に沿って所定の条件にしたがって複数のグループに分けて、複数組の回転極群を形成して、
前記回転動力に係る出力に応じて、
前記制御部が、動作させる前記固定極群又は前記回転極群を選択して、
低出力時には、選択された一の前記固定極群又は一の前記回転極群を動作させて、他の前記固定極群又は他の前記回転極群を休止させて、前記固定極対又は前記回転極対が間引かれて動作するようにし、
出力を上げるにしたがって、動作させる前記固定極群又は前記回転極群を増やして、
前記制御部が、動作させる前記固定極群又は前記回転極群の数を増減する制御を行って、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御する場合に、
前記制御部に走行制御手段と、巡航制御手段と、判定手段とを設けると共に、前記制御部と、アクセルペダルを備え、当該アクセルペダルを踏み込み又は戻す所定の操作量に応じた入力信号を出力するアクセル装置と、前記入力信号に基づいて開閉するスロットル本体を備え、当該スロットル本体の所定のスロットル開度に応じた開度信号を出力するスロットル装置とが接続された車内通信網を設けて、
当該車内通信網を介して、前記アクセル装置が出力した前記操作量に応じた入力信号に基づいて、前記スロットル装置が所定の前記開度信号を出力したときに、前記制御部が前記開度信号に基づいて、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御する出力制御信号を出力するように構成し、
前記開度信号に基づいて前記判定手段が、前記モータを駆動機関に備えた電気自動車を通常走行させる前記走行制御手段で制御するか、前記電気自動車を巡航させる前記巡航制御手段で制御するかを判定し、
前記判定手段が前記巡航制御手段で制御すると判定し、前記制御部が前記走行制御手段に係る走行モードを、前記巡航制御手段に係る巡航モードへ切り替えた場合に、
切り替えたときの前記電気自動車の速度を巡航速度として、当該巡航速度に係る前記開度信号を第1開度信号とし、
さらに、当該第1開度信号に係る前記スロットル開度に対し、前記アクセルペダルを所定の割合で戻して前記スロットル開度が小さくなったときの前記開度信号を第2開度信号として、
当該第2開度信号が入力されたとき、前記巡航制御手段が巡航モードを、すべての前記固定極群及び前記回転極群を用いる全稼働パターンと、前記固定極群と前記回転極群のうち、選択された一部の前記固定極群及び前記回転極群を用いる間欠稼働パターンとを交互に繰り返す間欠巡航モードへ切り替え、
当該間欠巡航モードとなった場合に、前記巡航制御手段が交互に切り替える前記全稼働パターンと前記間欠稼働パターンにしたがって、前記制御部が、動作させる前記固定極群又は前記回転極群の数を増減する制御を行い、前記出力軸の前記回転動力に係る出力を制御して、前記巡航速度を維持するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のモータの出力制御システムは、請求項1に記載の発明において、前記出力軸に、当該出力軸の回転を慣性で維持するフライホイールを設け、
前記間欠巡航モードに切り替わり、前記出力軸に係る前記回転動力が所定時間、略一定の状態が維持される定常状態となったとき、
前記固定極群、又は前記回転極群の稼働組数を減らすと共に、
前記フライホイールが、前記回転動力に慣性力を加えて、前記回転動力の前記定常状態を維持するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るモータの出力制御システムによれば、モータのステータを構成する複数の固定極対と、ロータの構成する複数の回転極対にそれぞれ番号を付し、付された番号にしたがって、それぞれを組分けして、複数個の固定極対が含まれた固定極群、或いは、複数個の回転極対が含まれた回転極群を複数組形成した。そして、低出力時には、一の固定極群又は一の回転極群を動作させ、他の固定極群又は他の回転極群を休止させて、固定極対又は回転極対を間引くように動作させるようにし、出力が増大するにつれて、動作させる固定極群又は回転極群を増やすようにした。
これによって、モータの機械出力を、低速度域では小さく、高速度域では大きくなるように構成することができ、モータ又はリニアモータの機械出力に係る効率を向上させることができる。
【0009】
また好ましくは、モータの出力軸にフライホイールを設け、慣性を維持するように構成し、モータの回転動力に慣性力を加えて、定常状態における出力を維持すると共に、固定極対又は回転極対を間引いて動作させるようにした。これによって、モータの出力が定常状態、すなわち、電気自動車等が巡航しているとき、通電され動作している固定極対又は回転極対を減らすことができるので、電力消費を抑え、省エネ効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施例に係るモータの構成の概略を示す斜視図である。
図2】第1実施例に係るモータの構成の概略を示す説明図である。
図3】第1実施例に係るモータに係る制御部の構成の概略を示すブロック図である。
図4】第1実施例に係るモータを適用した電気自動車の構成の概略を示すブロック図である。
図5】第1実施例に係るモータを適用した電気自動車の制御部の構成の概略を示すブロック図である。
図6】第1実施例に係るモータを適用した電気自動車のアクセルペダル及びアクセル装置の構成の概略を示す説明図である。
図7】第1実施例に係るモータを適用した電気自動車の巡航制御システムの概略を示すタイミングチャート図である。
図8】第2実施例に係るリニアモータの構成の概略を示すブロック図である。
図9】第2実施例に係るリニアモータに係る制御部の構成の概略を示すブロック図である。
図10】第2実施例に係るリニアモータを適用した列車の構成の概略を示すブロック図である。
図11】第2実施例に係るリニアモータを適用した列車の制御部の構成の概略を示すブロック図である。
図12】第2実施例に係るリニアモータを適用した列車のマスコン及びアクセル装置の構成の概略を示す説明図である。
図13】第2実施例に係るリニアモータを適用した列車の巡航制御システムの概略を示すタイミングチャート図である。
【実施例1】
【0011】
本発明のモータの出力制御システムに係る実施例を添付した図面にしたがって説明する。図1及び図2は、本実施例に係るモータの構成の概略を示す説明図である。
【0012】
本実施例に係るモータ10は、図1に示すように、略円柱状のロータ11と、当該ロータ11を囲繞するように形成されたステータ12とを有する筒体状のモータ本体10aと、当該モータ本体10aの動作を制御する制御部13とから構成されている。モータ10へ入力される所定の大きさの電流を制御部13が制御することによって、ステータ12に対して回転するロータ11の回転数を制御して、ロータ11と同軸の出力軸11aから所定の回転動力が出力されるようにモータ10は構成されている。
なお、本実施例に係るモータ10は、電動車両又はハイブリッド型車両に適用可能なものである。本実施例では、電動車両、特に電気自動車を例示して以下説明する。ただし、電気自動車に限定されるものでは無く、電車、客車または貨物車を牽引する機関車、さらに、船舶、航空機、自動二輪等、少なくとも動力源としてモータを備えるものであれば良い。
【0013】
ロータ11は、図2及び図3に示すように、出力軸11aと、電磁石からなる複数個の回転極15と、当該回転極へ流す電流のオン・オフ及び当該電流の向きを切り替えることができる半導体からなる複数個のロータ側スイッチング素子16とから構成されている。
複数個の回転極15は、図2に示すように、出力軸11aを中心として放射状に配置されている。それら放射状に配置された回転極15のうち、出力軸11aを挟んで互いに対向する一対の回転極15,15と、一のロータ側スイッチング素子16とを接続して図3に示すような回転極対15,15が構成されている。回転極対15,15は、図2に示すように、両端に極性が相反する磁極を備えた回転極15,15を有し、図3に示すように、対毎に別個独立してロータ側スイッチング素子16を介して給電可能に構成されている。
これによって、制御部13は、図3に示すように、ロータ11を構成する各回転極対15,15に対して別個独立に給電し、各回転極対15,15を別個独立に励磁させることができる。
なお、図2は、説明を容易にするため、10組の回転極対15,15を図示しているが、回転極対15,15の数はこれに限定されるものでは無く、ロータ11は、モータ10の大きさ、定格出力等に合わせて、任意の数の回転極対15,15を有することができる。
【0014】
ステータ12は、図2及び図3に示すように、モータ10の外装を構成する筒体状のモータ本体10aに設けられた電磁石からなる複数個の固定極17と、当該固定極17へ流す電流のオン・オフ及び当該電流の向きを切り替えることができる半導体からなる複数個のステータ側スイッチング素子18とから構成されている。
複数個の固定極17は、図2に示すように、モータ本体10aの内壁に沿って並設されている。それら固定極17のうち、モータ本体10aを構成する筒体の軸を挟んで互いに対向する一対の固定極17,17と、一のステータ側スイッチング素子18とを接続して図3に示すように、固定極対17,17が構成されている。固定極対17,17は、図2に示すように、両端に極性が相反する磁極を備えた固定極17,17を有し、図3に示すように、対毎に別個独立してロータ側スイッチング素子18を介して給電可能に構成されている。
これによって、制御部13は、ステータ12を構成する各固定極対17,17に対して別個独立に給電して、各固定極対17,17を別個独立に励磁させることができる。
なお、図2は、説明を容易にするため、10組の固定極対17,17を図示しているが、固定極対17,17の数はこれに限定されるものでは無く、ステータ12は、モータ10の大きさ、定格出力等に合わせて、任意の数の固定極対17,17を有することができる。
【0015】
そして、図1及び図2に示すように、ロータ11をモータ本体10aに収容すると、モータ本体10a内で、ロータ11がステータ12に所定の間隔を開けて囲繞されて、モータ10が構成される。そして、ロータ側スイッチング素子16とステータ側スイッチング素子18に通電して、回転極15または固定極17を構成するそれぞれの電磁石を励磁することによって、ステータ12に対してロータ11が回転し、モータ10が動作して出力軸11aから回転動力が出力される。
【0016】
制御部13はモータ10の出力を制御するように構成されている。制御部13は、図3に示すように、スイッチング素子管理手段20と、スイッチング制御手段21を備えている。
【0017】
スイッチング素子管理手段20は、複数個のロータ側スイッチング素子16、又はステータ側スイッチング素子18をそれぞれ別個独立に管理して、それらスイッチング素子16,18に接続された回転極対15,15又は固定極対17,17の位置を識別可能に構成されている。
具体的には、図3に示すように、ロータ11側、ステータ12側それぞれのスイッチング素子16,18に対して識別番号を付すナンバリング処理を行う。これによって、ロータ側スイッチング素子16に接続されている回転極対15,15、又はステータ側スイッチング素子18に接続されている固定極対17,17は、図3に示すように各スイッチング素子16,18に紐づけられているので、容易に識別することができる。
続いて、スイッチング素子管理手段20は、図3に示すように、スイッチング素子16,18に付された各番号と、所定の条件に基づいて、回転極対15,15又は固定極対17,17を複数のグループに分ける処理を行う。以下、複数の回転極対15,15からなるグループを回転極群と称し、固定極対17,17からなるグループを固定極群と称する。
図2に示した回転極群は、各回転極対15,15に振られた番号が奇数であるものを第1回転極群として実線で示し、偶数であるものを第2回転極群として点線で示している。
また、図2に示した固定極群は、各固定極対17,17に振られた番号が奇数であるものを第1固定極群として実線で示し、偶数であるものを第2固定極群として点線で示している。
なお、本実施例において、スイッチング素子管理手段20は、スイッチング素子16,18に付された各番号に基づいて、説明を簡略化するため、奇数と偶数の2グループに振り分けた例を図2に示したが、これに限定されるものでは無く、各番号に基づいて、たとえばABCの3つのグループに振り分けたり、またABCDの4つのグループに振り分けたりと、任意の複数のグループに分けることができる。
【0018】
スイッチング制御手段21は、図3に示すように、電源スイッチング手段22と、極性スイッチング手段23とを有している。
電源スイッチング手段22は、電源をオンにして電磁石を励磁し、また電源をオフにして電磁を消磁する処理を行うように構成されている。
これによって、各回転極15又は各固定極17は、電源がオンにされたとき励磁し、またはオフにされたとき消磁することができる。
極性スイッチング手段23は、各回転極対15,15、又は各固定極対17,17毎に、電源スイッチング手段22で励磁された各回転極15又は固定極17を、互いに対向するN極又はS極へ振り分けると共に、電流の向きによって各回転極対15,15又は各固定極対17,17毎に極性を切替可能に構成されている。
スイッチング制御手段21は、電源スイッチング手段22と極性スイッチング手段23を協働させて、上記の第1回転極群、第2回転極群、又は第1固定極群、第2固定極群のグループごとにまとめて、極性を振り分け、電磁石の励磁または消磁を自在に処理可能に構成されている。
図2(1)は、極性の向きを大きくまとめて、ロータ11又はステータ12を1対の回転極対と1対の固定極対とみなせるように振り分けた例を示し、図2(2)は、極性の向きを二組ごとに互い違いになるように振り分けて、ロータ11又はステータ12を5つの回転極対と5つの固定極対とみなせるように振り分けた例を示したものである。
このように回転極対15,15を回転極群ごとに、また固定極対17,17を固定極群ごとに振り分けて、回転極群に含まれている回転極対15,15又は固定極群に含まれている固定極対17,17のN極又はS極の並びを組み替え、極性の向きを設定することによって、ロータ11を構成する回転極対又はステータ12を構成する固定極対を小さな磁極で細かく分けるのではなく大きくまとめて振り分けることができる。これによって、モータの回転数、出力に応じて、回転極群ごとにロータ11を構成する回転極対15,15の数または磁力の大きさを自在に調整することができ、また固定極群ごとにステータ12を構成する固定極対17,17の数又は磁力の大きさを自在に調整することができる。そのため、モータ10の機械損、銅損、エネルギー損等の損失を抑制すると共に、電力消費を抑え、高効率でモータ10から回転動力を取り出すことができる。
なお、本実施例において、スイッチング制御手段21は、説明を簡略化するため、第1回転極群、第2回転極群、又は第1固定極群、第2固定極群のそれぞれ2つのグループごとにまとめて切り替え制御する例を示したが、これに限定されるものでは無く、各番号に基づいて、2以上の複数個の回転極群、固定極群任意に分けて、電源又は極性を切り替える制御を行うことができる。
【0019】
スイッチング制御手段21は、第1回転極群、第2回転極群、第1固定極群、又は第2固定極群を、ぞれぞれ別個独立に所定の処理を実行可能に構成されている。
スイッチング制御手段21が、第1回転極群、第2回転極群、第1固定極群、又は第2固定極群のすべてを選択して制御した場合、図2(1)及び(2)において実線で示した第1回転極群及び第1固定極群と、点線で示した第2回転極群及び第2固定極群の全てが励磁され、動作する。
一方、スイッチング制御手段21が、第1回転極群、又は第1固定極群を選択して制御した場合、図2(1)及び(2)において、一方では実線で示した第1回転極群及び第1固定極群が励磁され、動作するが、他方では点線で示した第2回転極群及び第2固定極群が消磁され、動作しない。
このようにして、スイッチング制御手段21は、ロータ11を構成する回転極対15,15を回転極群ごとに、またステータ12を構成する固定極17,17を固定極群ごとに選択して動作させるすることができる。
これによって、モータ10の出力を低くする場合には、励磁させる電磁石を少なく、すなわち、回転極群又は固定極群のグループを間引くように制御する、すなわち、ロータ11において動作させる回転極対15,15が間欠的に配置され、またステータにおいて動作させる固定極対17,17が間欠的に配置される。このように、モータ10の出力に応じて動作させる回転極対15,15又は固定極対17,17を間欠的に間引きつつ増減させることによって、出力が低い場合、また回転力が維持されているとき、励磁させる電磁石の数を減らして電力の消費を抑えることができる。
また、上記のように間欠的に間引いて出力を絞ることによって、モータ10が発生するトルクを低回転時には低く、高回転時には大きくする制御を行うことができる。そのため、電気自動車に適用した場合には、当該電気自動車の出力を、あたかもガソリンエンジン等の内燃機関を搭載しているかのように近似させた制御処理を行うことができる。
【0020】
制御部13がモータ10の出力を上げ又は下げる制御を行う場合、スイッチング制御手段21は、電源スイッチング手段22と極性スイッチング手段23を協働させて、上記のように、所定の回転極群に含まれる回転極対15,15、又は所定の固定極群に含まれる固定極対17,17をそれぞれ構成する電磁石を瞬時に励磁し、励磁された回転極対15,15又は固定極対17,17の磁極の向きを瞬時に切り替えて適宜振り分けるように構成されている。
この切り替えるタイミングは、たとえば、ステータ12側で隣り合う固定極17のN極とS極の中間地点を、対向するロータ11側の回転極15が通過する瞬間が好ましい。当該タイミングで切り替えることによって、磁束密度が小さく、隣り合うN極とS極の磁力線が打ち消しあう部分で電磁石を励磁し、又は極性を切り替えることができるので、モータ10の出力に対する影響を小さくすることができる。
【0021】
ここで、本実施例に係るモータ10は、図2に示すように、ロータ11を構成する二つの回転極群のうち、一方の回転極群を動作させ、他方の回転極群を停止させて、回転極対15,15を間欠的に間引いて動作させ、また、ステータ12を構成する二つの固定極群のうち、一方の固定極群を動作させ、他方の固定極群を停止させて、固定極対17,17を間欠的に間引いて動作させることができるように構成したことは、上記のとおりである。これによって、モータ10の出力を半分に制限することができる。これは、車両の走行開始時等の低出力で十分な場合は、間欠的に間引く態様でモータ10を動作させ、スピードが上がって大出力が必要になったときは、停止させていた回転極群又は固定極群を起動させて動作させる回転極対15,15又は固定極対17,17の数を増やすことによって、容易に出力の増大に対処させることができる。
そのため、従来走行開始当初から最大トルクで動作するモータの出力を段階的に調整することが容易にできるので、電気自動車に適用した場合、複雑な機構を組み込まなくとも、踏み間違いによる急発進、急加速を防止することができる。
【0022】
また、当該電気自動車が巡航するとき、たとえば、高速道路又はバイパス道路を一定の巡航速度で走行するとき、当該電気自動車のドライブトレイン上に設けたフライホイールの回転によって、モータ10の出力軸11aに慣性力が働き、その慣性力の分だけモータ10からの出力を抑えることができる。この場合にスイッチング制御手段21が、動作している双方の回転極群のうちの一方、又は動作している双方の固定極群の一方の電源をオフにして消磁することによって、巡航時におけるモータ10の電力消費を抑えることができる。
このような、モータ10を、電気自動車に適用した場合に行われる出力制御システムに係る実施例を以下説明する。
【0023】
本実施例に係るモータ10を搭載した電気自動車50は、図4に示すように、駆動機関51と、ドライブトレイン52と、駆動輪53、及び駆動機関51とドライブトレイン52を制御する制御部54とから構成される駆動系を有し、さらに、制御部54、スロットル装置55、アクセル装置56が接続された車内通信網54aを有している。
【0024】
駆動機関51は、図4に示すように、モータ10を有し、ドライブトレイン52へ連結される出力軸11aから回転動力を出力可能に構成されている。
出力軸11aは、同軸上で回転可能に構成された円盤状のフライホイール62を有している。当該フライホイール62は、出力軸11aの回転が急激に変化しないように慣性力で当該出力軸11aの回転を維持するように構成されている。
【0025】
モータ10は、上記のように構成されており、駆動機関51に設けたバッテリ61から給電可能に構成されている。
なお、本実施例に係るモータ10は、バッテリ61から給電される態様に限定されず、燃料電池から給電されるものであったり、架線から給電されるものであったりしても良い。
【0026】
ドライブトレイン52は、図4に示すように、駆動機関51側から順にクラッチ装置65と変速装置66、及びドライブシャフト52aが配置されて構成されている。これによって、駆動機関51で発生した回転動力は、ドライブシャフト52aを通じて駆動輪53へ伝達される。
クラッチ装置65は、駆動機関51側の主ロータ67と変速装置66側の従ロータ68を有している。主ロータ67と従ロータ68は互いに接離自在に形成されている。
これによって、主ロータ67と従ロータ68が圧接されたとき、駆動機関51で発生した動力が変速装置66側へ伝達され、主ロータ67と従ロータ68が離隔されたとき、駆動機関51側から変速機66側へ伝達される動力は遮断されるように構成されている。
なお、クラッチ装置65は、上記のように機械的に主ロータ67と従ロータ68を互いに接離させる構造に限定されず、たとえば、粘性の高いオイルを封入したケース内で主ロータ67と従ロータ68を対向配置し、主ロータ67を回転させたときに、その回転にしたがって従ロータ68が回転するいわゆるトルクコンバータ装置であっても良い。
【0027】
変速装置66は、複数本の軸に大小様々な複数個の歯車を配置し、当該歯車を組み合わせて構成した歯車群(図示略)を有している。当該歯車群内の歯車は互いに離合自在に形成されている。変速装置66は、歯車群内の歯車を適宜組み合わせて駆動機関51の出力軸11aの回転動力に係る回転速度を低速から高速まで調節して、駆動輪53側へ回転動力を伝達する変速機能を有している。当該変速機能は、低速から高速まで複数段に分割しても良いし、無段階であっても良い。そして、変速装置66内で適宜組み合わされている複数個の歯車のうち、少なくとも一の歯車が離隔したとき、ドライブシャフト52aへ伝達される回転動力が遮断される、いわゆるニュートラルシフトとなり、ドライブトレイン52上を伝達する動力を遮断することができる。
【0028】
駆動輪53は、図4に示すように、ドライブトレイン52を介して駆動機関51から出力された動力によって駆動可能に構成されている。
【0029】
制御部54は、車内通信網54aを備えている。車内通信網54aには、駆動機関51をはじめとして、スロットル装置55、アクセル装置56、ドライブトレイン52のクラッチ装置65、変速装置66等、電気自動車10が備える各装置が接続され、互いに通信可能に構成されている。これによって、たとえば、制御部54が、スロットル装置55から送信された開度信号を、車内通信網54aを介して受信し、当該開度信号に基づいて形成した出力制御信号を車内通信網54aへ出力して、駆動機関51を処理操作して出力軸11aを制御することができる。
【0030】
スロットル装置55は、スロットル本体55aと、当該スロットル本体55aの開き具合をスロットル開度として検出可能な開度センサ71を有している。当該開度センサ71は、検出したスロットル本体55aのアナログ的なスロットル開度の大きさをデジタル変換して、電子的な開度信号を形成するように構成されている。形成された当該開度信号は、スロットル装置55から車内通信網54aへ出力される。
【0031】
制御部54は、モータ10の制御部13をその構成の中に含み、車内通信網54a上を伝送している開度信号を取り込み、当該開度信号に基づいて駆動機関51のモータ10の出力を制御する出力制御信号を形成するように構成されている。形成された出力制御信号は、制御部54から車内通信網54aへ出力される。
【0032】
アクセル装置56は、ドライバーによる入力操作に応じて起倒自在なアクセルペダル70を有している。
ここで、アクセルペダル70が踏み込まれる操作を、アクセル装置56の開操作とし、これによってアクセルペダル70が進む方向を順方向とする。一方、アクセルペダル70が戻される操作を、アクセル装置56の閉操作とし、これによってアクセルペダル70が戻る逆方向とする。
アクセル装置56は、上記のアクセルペダル70に係る開閉操作に応じて入力信号を形成するように構成されている。形成された入力信号は、車内通信網54aへ随時出力される。
【0033】
スロットル装置55は、車内通信網上を伝送している入力信号を取り込み、当該入力信号に基づいて、スロットル本体55aを所定のスロットル開度で開閉するように構成されている。当該スロットル開度を検出した開度センサ71は上記のように適切な開度信号を形成し、当該開度信号に基づいて制御部54は上記のように駆動機関51に対する出力制御信号を形成する。
このようにして、アクセルペダル70が踏み込まれ、又は戻された操作量に応じて、入力信号が形成され、当該入力信号に基づいて開閉するスロットル本体55aの開度信号が形成され、制御部54は当該開度信号に基づいて駆動機関51の出力の増減に係る出力制御信号を形成するように構成されている。
【0034】
駆動機関51は、車内通信網54a上を伝送する出力制御信号を取り込み、当該出力制御信号に基づいてモータ10へ供給される所定量の電力を要求する要求信号を形成するように構成されている。形成された要求信号は駆動機関51から車内通信網54aへ出力される。車内通信網54a上を伝送している当該要求信号を取り込んだ電力供給装置(図示略)は、要求信号に応じてバッテリ61から所定量の電力を駆動機関51へ供給するように構成されている。
【0035】
要求信号が供給量を増やすものであった場合は、モータ10へ供給される電力が増やされる。これによって、駆動機関51の出力を上げる処理が行われ、出力軸11aの回転出力を上げることができる。
要求信号が供給量を減らすものであった場合は、モータ10へ供給される電力が減らされ、或いはカットされる。これによって、駆動機関51の出力を下げる処理が行われ、出力軸11aの回転出力を下げることができる。
このように、本実施例に係る電気自動車50は、制御部54が備える車内通信網54a上で様々な信号を伝送させて、各装置は目的に合った信号を取り込み、また信号を出力する世に構成されており、制御部54は、各種信号に基づいて総合的に各装置を制御することによって、車両の走行を制御するように構成されている。
【0036】
また、制御部54は、図5に示すように、モータ10に係る制御部13と共に走行制御手段105と、巡航制御手段110を有している。
走行制御手段105は、通常の走行を制御する走行制御信号を形成し、当該走行制御信号を車内通信網54aへ出力して、電気自動車50の走行を制御するように構成されている。
このとき、電気自動車50の走行モードを通常モードとする。
巡航制御手段110は、所定時間、一定の速度を維持しながら走行する巡航を制御する巡航制御信号を形成し、当該巡航制御信号を車内通信網54aへ出力して、電気自動車50の巡航を制御するように構成されている。このとき、電気自動車50の走行モードを巡航モードとする。
さらに、制御部54は、判定手段100を有している。
判定手段100は、制御部54が車内通信網54a上を伝送している開度信号を取り込んだとき、当該開度信号に含まれているスロットル開度の大きさに係る情報に基づいて、巡航であるか否かを判定するように構成されている。当該判定手段100の判定結果に基づいて、通常モードと巡航モードが切り替えられるように構成されている。
【0037】
上記の構成を有する電気自動車50の駆動機関51の制御システムについて、添付した図面にしたがって以下説明する。図6は当該制御システムの際のアクセルペダル70の操作例を示した説明図であり、図7は当該制御システムに基づく駆動機関の動作と電気自動車50の速度との相関関係を示す説明図である。
【0038】
電気自動車50が走行しているとき、スロットル装置55は、随時変化するスロットル本体55aのアナログ的なスロットル開度を開度センサ71でデジタル変換してスロットル開度の大きさを示す情報を含んだ開度信号を随時形成する処理を行う。また、スロットル装置55は、形成した当該開度信号を車内通信網54aへ出力する処理行う。
制御部54は、車内通信網54a上を伝送している開度信号を取り込むように構成されている。走行制御手段105は、当該開度信号に基づいて走行制御信号を形成し、当該走行制御信号を車内通信網54aへ出力する。車内通信網54a上を伝送している走行制御信号は、駆動機関51、ドライブトレイン52、クラッチ装置65、変速装置66等の車内各装置へ入力されて操作処理が行われる。この走行制御信号に基づいて行われる操作処理による走行を通常走行とし、この時の走行モードを通常モードとする。
【0039】
ここで、電気自動車50が所定時間、一定の速度を維持して走行しているとき、スロットル装置55は、所定時間一定の開度が維持されるスロットル本体55aのアナログ的なスロットル開度を開度センサ71でデジタル変換してスロットル開度の大きさを示す情報を含んだ開度信号を随時形成する処理を行う。また、スロットル装置55は、形成した当該開度信号を車内通信網54aへ出力する処理行う。
スロットル開度が所定時間一定に維持されている情報を含んだ開度信号は、車内通信網54aを経由して制御部54へ入力される。
判定手段100は、当該開度信号からスロットル開度が所定時間一定に維持されている情報を読み取り、巡航状態にあると判定したとき、走行制御手段105から巡航制御手段110へ切り替える処理を行う。
巡航制御手段110へ切り替えたときの速度を巡航速度とし、このとき、制御部54へ入力された開度信号を第1開度信号とする。巡航速度で電気自動車50が巡航する走行モードを巡航モードとする。
図6に示すアクセル装置56では、所定時間点aでアクセルペダル70を止めたときに通常モードから巡航モードへ切り替えられるものとする。このモード切替は、アクセルペダル70の停止位置に依存するものでは無く、停止時間が所定時間以上であるかによって行われるものであるから、点aの位置は第1開度信号に含まれるスロットル開度の大きさによるものであって、巡航速度に応じて位置が異なっている。
【0040】
巡航モード中に、アクセルペダル70を逆方向へ戻す閉操作を行ったとき、スロットル装置55は、第1開度信号に係るスロットル開度よりも当該スロットル開度が小さくなったことを示す第2開度信号を車内通信網54aへ出力する。このとき、第2開度信号に係るスロットル開度でスロットル本体55aを開かせているアクセル装置56のアクセルペダル70の位置は、点bである。
点bの位置は、第1開度信号に係る点aの位置から所定の割合で定まる位置であって、たとえば、第1開度信号に係るスロットル開度に対して80%のスロットル開度となる位置を点bとするといったように、制御プログラム上で任意に設定できる位置である。
【0041】
当該第2開度信号を車内通信網54aから取り込んだ制御部54は、巡航制御手段100が、巡航モードを間欠巡航モードへ切り替える処理を行う。
間欠巡航モードとは、図2(1)又は(2)において点線で示したモータ10の第2回転極群と第2固定極群を周期的に励磁し、モータ10を第1及び第2回転極群、並びに第1及び第2固定極群のすべてを用いる全稼働パターンと、第1回転極群及び第1固定極群だけ用いて出力を半分にする間欠稼働パターンとを交互に繰り返して巡航速度を維持するモードをいう。
【0042】
当該間欠巡航モード中、巡航制御手段110は、巡航制御信号に替わって間欠巡航制御信号を車内通信網54aへ出力する。間欠巡航制御信号には、所定時間ごとにモータ10を全稼働パターンで動作させる情報と間欠稼働パターンで動作させる情報が交互に含まれるように形成されている。
これによって、間欠巡航制御信号を車内通信網54aから取り込んだ駆動機関51は、モータ10を全稼働パターンと間欠稼働パターンで交互に動作させる処理操作を行う。
これによって、モータ10は、その出力を周期的に変化させ、全稼働パターンと間欠稼働パターンとが、交互に周期的な動作を繰り返し、またそれぞれ交互に間欠的な動作を繰り返すことができる。
【0043】
ここで、電気自動車50の駆動機関51を構成するモータ10において、第1回転極群及び第1固定極群だけを用いる間欠稼働パターンとしたとき、全稼働パターンと比べてモータ10単体では巡航速度を長時間にわたって維持することが困難である。
この問題に対して、本実施例では、図4に示すように、出力軸11a上にフライホイール62を設けて解決している。当該フライホイール62は、出力軸11a及びドライブシャフト52aを慣性で回し続けようとするので、間欠稼働パターンであっても、フライホイール62の慣性出力によって、急激な速度低下を招くことなく巡航速度を維持することができる。しかし、維持することができるとはいえ、走行抵抗等を原因として、車速は緩やかに減少する。
そこで、図7に示すように、全稼働パターンをオフとしたとき、巡航制御手段110は、間欠巡航制御信号によって、フライホイール62の出力が漸減するにしたがって、ハープ出力パターンに切り替わったモータ10の出力を漸増する処理を行う。
これによって、間欠巡航制御信号が入力された駆動機関51は、出力軸11aから出力される回転動力を一定に保持することができ、電気自動車50は、図7に示すように、巡航速度を長時間に亘って一定に保持することができる。
【0044】
間欠巡航モード中に、アクセルペダル70を順方向へ踏み込む開操作を行った場合、スロットル装置55は、第2開度信号に係るスロットル開度よりも当該スロットル開度が大きくなったことを示す第3開度信号を車内通信網54aへ出力する。
当該第3開度信号を車内通信網54aから取り込んだ制御部54は、判定手段100が、第1開度信号と第3開度信号を比較判定する処理を行う。
第3開度信号に係るスロットル開度が、第1開度信号に係るスロットル開度と同じかそれ以下の場合、判定手段100は、図6に示す点aよりも逆方向手前側にアクセルペダル70が位置していると判定する。この場合、すなわち、アクセルペダル70の位置が点a-点b間である場合は、巡航制御手段110は、間欠巡航モードを維持する処理を行う。
一方、第3開度信号に係るスロットル開度が、第1開度信号に係るスロットル開度以上の場合、判定手段100は、図3に示す点aよりも順方向奥側にアクセルペダル70が位置していると判定する。この場合、すなわち、アクセルペダル70の位置が点aよりも奥にある場合、判定手段100は、巡航制御手段110から走行制御手段105に切り替える処理を行い、間欠巡航モードは、通常モードへ切り替えられる。これによって、巡航から通常走行に切り替えられて電気自動車50は、全稼働パターンのモータ10によって加速される。
【0045】
一方、間欠巡航モード中に、アクセルペダル70を逆方向へ戻す閉操作を行った場合、スロットル装置55は、第2開度信号に係るスロットル開度よりも当該スロットル開度が小さくなったことを示す第4開度信号を車内通信網54aへ出力する。
当該第4開度信号を車内通信網54aから取り込んだ制御部54は、判定手段100が、第4開度信号に係るスロットル開度が図6に示すアクセルペダルの位置が点cに対してどこに位置しているか判定する処理を行う。
ここで、点cの位置は、点bと同様に、第1開度信号に係る点aの位置から所定の割合で定まる位置であって、たとえば、第1開度信号に係るスロットル開度に対して50%のスロットル開度となる位置を点cとするといったように、制御プログラム上で任意に設定できる位置である。
第4開度信号に係るスロットル開度が、アクセルペダル70が点cの位置のときスロットル開度と同じかそれ以上の場合、判定手段100は、図6に示す点cよりも順方向奥側にアクセルペダル70が位置していると判定する。この場合、すなわち、アクセルペダル70の位置が点b-点c間である場合は、巡航制御手段110は、間欠巡航モードを維持する処理を行う。
一方、第4開度信号に係るスロットル開度が、アクセルペダル70が点cの位置のときスロットル開度以下の場合、判定手段100は、図6に示す点cよりも逆方向手前側にアクセルペダル70が位置していると判定する。この場合、判定手段100は、巡航制御手段110から走行制御手段105に切り替える処理を行い、間欠巡航モードは、通常モードへ切り替えられる。これによって、巡航から通常走行に切り替えられ、電気自動車50は、全稼働パターンに切り替えられたモータ10の回生ブレーキによって減速される。
【0046】
このように、巡航モード又は間欠巡航モードは、図6に示すアクセルペダル70の点a-点c間で維持されるように構成されており、巡航中であってもアクセルペダル70をある程度動かすことができる遊びが設けられている。
これによって、アクセルペダル70の点a-点c間に、いわゆる遊びの状態を設け、アクセルペダル70の操作に余裕を持たせることができ、巡航中にアクセルペダル70を動かすことができるようにすることで、たとえば、オートクルーズのように、長時間に亘って運転操作が簡略化されることによる注意力の低下を防止することができ、居眠り運転、わき見運転等を防止することができる。
【0047】
アクセルペダル70の点a-点c間を外れて、巡航モード又は間欠巡航モードが解除されたときは、新たにアクセルペダル70の踏み込み量を一定にして、スロットル装置55におけるスロットル開度を一定にする操作を行ったとき、再び上記の第1開度信号に係る処理を経て制御部54は、通常モードから巡航モードへ切り替える処理を行う。
このように、アクセル装置56のアクセルペダル70の開操作又は閉操作によって、車両の加減速を操作するだけにとどまらず、通常の動力走行に係る通常モードと、速度を一定に保って巡航する巡航モードを切り替え可能に構成し、さらには巡航モード中に、モータ10の全稼働パターンと間欠稼働パターンを互い違いに動作させる間欠巡航モードへ切り替え可能に構成した。
そして、間欠稼働パターンにおいては、モータ10に係るロータ11を構成する二つの回転極群のうち、一の回転極群を休止させて、図2に示すように回転極対15,15を間欠的に励磁し、また、ステータ12を構成する二つの固定極群のうち、一の固定極群を休止させて、図2に示すように、固定極対17,17を間欠的に励磁するようにも構成している。
このようなモード切り替え、またパターン切り替えは特別な装置を組み込んだりすることなく、従来の制御部54にインストールされている制御プログラムへ追加インストールすることで容易に実現させることができ、間欠巡航モードにおいては、巡航中の電力消費を抑えてバッテリ21aの持ちを良くして航続距離を延ばすことができる。
なお、本実施例においては、説明を簡略化するため、回転極対15,15と固定極対17,17を二つのグループに分けて説明したが、これに限定するものでは無く、2つ以上の回転極群又は固定極群に分けて制御するようしても良い。その場合は、モータ10の出力をより一層細かく段階的に制御することができ、巡航中の電力消費をより効果的に抑制することができる。
【実施例2】
【0048】
続いて、本発明のリニアモータの出力制御システムに係る実施例を添付した図面にしたがって説明する。図8は、第2実施例に係るリニアモータの構成の概略を示す説明図である。
【0049】
本実施例に係るリニアモータ150は、図8に示すように、移動体151と、移動経路152を有している。
移動経路152は、ガイドレール153を備え、当該ガイドレール153に沿ったステータ154を有している。ステータ154は、複数個の電磁石を並設してなる固定極155から構成されている。
移動体151は、ステータ154と対向配置されたスライダ156を有している。スライダ156は、少なくとも一つの電磁石からなる移動極157から構成されている。
また、リニアモータ150は、図9に示すように、ステータ側制御部160と、スライダ側制御部165を有している。ステータ側制御部160は、固定極155を構成する電磁石を励磁しまたは消磁する制御を行うと共に、固定極155の極性を切り替える制御を行うように構成されている。また、スライダ側制御部165は、移動極157を構成する電磁石を励磁しまたは消磁する制御を行うと共に、移動極157の極性を切り替える制御を行うように構成されている。
ステータ側制御部160とスライダ側制御部165が協働することによって、ガイドレール153に沿ってステータ155に対向配置されたスライダ156を移動させることができる。これによって、移動体151は、ガイドレール153に沿って前進又は後退させる制御を行うことができる。
なお、本実施例に係るリニアモータ150は、車両に適用可能な規模を想定しているが、これに限定意されるものではなく、たとえば、所定の搬送経路を備えた産業機械又は製造ライン、或いは電車、家屋の出入り口等の引き戸を備えた自動ドア等に適用することもできる。
【0050】
ステータ154は、図9に示すように、複数個の固定極155と、当該固定極155へ流す電流のオン・オフと当該電流の向きを切り替えることができる半導体からなる複数個のステータ側スイッチング素子161とから構成されており、ステータ側スイッチング素子161は、別個独立にステータ側制御部160と接続されている。
固定極155は、図8に示すように、ガイドレール153を備えた所定の移動経路152に沿って並設されている。一の固定極155に対して、図9に示すように、一のステータ側スイッチング素子161が接続され、固定極155毎に別個独立してステータ側スイッチング素子161を介して給電可能に構成されている。
これによって、ステータ側制御部160は、ステータ154を構成する各固定極155に対して別個独立に給電して、各固定極155の電磁石を別個独立に励磁させることができる。
【0051】
スライダ156は、図9に示すように、少なくとも一つの移動極157と、当該移動極157へ流す電流のオン・オフと当該電流の向きを切り替えることができる半導体からなる少なくとも一つのスライダ側スイッチング素子166とから構成されており、スライダ側スイッチング素子166は、別個独立にスライダ側制御部165と接続されている。
移動極157は、図8に示すように、ステータ154の固定極155と対向配置され、移動極157はスライダ側スイッチング素子166に接続されている。移動極157は、スライダ側スイッチング素子166を介して給電可能に構成されている。
これによって、スライダ側制御部165は、スライダ156を構成する移動極157に対して給電して、移動極157の電磁石を励磁させることができる。
【0052】
そして、移動体151を移動経路152にセットし、通電して固定極155又は移動極157を構成する電磁石を励磁させたとき、固定極155と移動極157が互いに相反する磁極を備えるようにスイッチング素子161,166が極性を割り当てて、移動体151側のスライダ156と移動経路側のステータ154の、互いに反発することによって、移動体151は、移動経路152に対して所定の間隔を開けて浮揚するリニアモータ150が構成される。
そして、ステータ側スイッチング素子161が、固定極の磁極を次々に切り替えることで、スライダ156の移動極157の電磁石と、固定極155の電磁石が、互いに引き合い、反発することによって、ステータ154に対してスライダ156を滑動させることができ、リニアモータ150は、移動経路152に沿って移動体151を移動させることができる。
【0053】
ステータ側制御部160とスライダ側制御部165は、図9に示すように、それぞれスイッチング素子管理手段170,175と、スイッチング制御手段171,176を備えている。
【0054】
ステータ側スイッチング素子管理手段170は、複数個のステータ側スイッチング素子161をそれぞれ別個独立に管理して、それらステータ側スイッチング素子161に接続された固定極155の位置を識別可能に構成されている。
スライダ側スイッチング素子管理手段175は、複数個のスライダ側スイッチング素子166をそれぞれ別個独立に管理して、それらスライダ側スイッチング素子166に接続された移動極157の位置を識別可能に構成されている。
具体的には、図9に示すように、ステータ154側、スライダ156側それぞれのスイッチング素子161,166に対して識別番号を付すナンバリング処理を行う。これによって、ステータ側スイッチング素子161に接続されている固定極155と、スライダ側スイッチング素子166に接続されている移動極157は、図9に示すように各スイッチング素子161,166に紐づけられているので、それらを容易に識別することができる。
【0055】
続いて、ステータ側スイッチング素子管理手段170は、図9に示すように、スイッチング素子161に付された各番号と、所定の条件に基づいて、固定極155を複数のグループに分ける処理を行う。以下、複数の固定極155からなるグループを固定極群と称する。
図2に示した固定極群は、各固定極155に振られた番号が奇数であるものを第1固定極群として実線で示し、偶数であるものを第2固定極群として点線で示している。
また、図2に示した移動極157は、スライダ側スイッチング素子管理手段175によって先頭から1番乃至4番の番号が振られ、後述するスイッチング制御手段でそれら移動極157のうち、任意の移動極157を励磁可能に構成されている。
なお、本実施例において、ステータ側スイッチング素子管理手段170は、スイッチング素子161に付された各番号に基づいて、奇数と偶数の2グループに振り分けた例を図8に示したが、これに限定されるものでは無く、各番号に基づいて、たとえばABCの3つのグループに振り分けたり、またABCDの4つのグループに振り分けたりと、任意の複数のグループに分けることができる。
【0056】
スイッチング制御手段171,176は、図9に示すように、電源スイッチング手段172,177と、極性スイッチング手段173,178とを有している。
電源スイッチング手段172,177は、電源をオンにして電磁石を励磁し、また電源をオフにして電磁を消磁する処理を行うように構成されている。
これによって、ステータ側電源スイッチング手段172に制御される各固定極155と、スライダ側電源スイッチング手段177に制御される各移動極157は、電源がオンにされたとき励磁し、またはオフにされたとき消磁することができる。
極性スイッチング手段173,178は、各固定極155、又は各移動極157毎に、電源スイッチング手段172,177で励磁された各固定極155又は移動極157を、N極又はS極のいずれかへ振り分けると共に、電流の向きによって各固定極155又は各移動極157毎に極性を切替可能に構成されている。
【0057】
ステータ側スイッチング制御手段171は、ステータ側電源スイッチング手段172とステータ側極性スイッチング手段173を協働させて、上記の第1固定極群、第2固定極群のグループごとにまとめて、極性を振り分け、電磁石の励磁または消磁を自在に処理可能に構成されている。
図8に示した固定極155は、実線で示した第1固定極群が動作しているときは、一つおきにN極とS極が互い違いに極性が振り分けられて励磁されれ、点線で示した第2固定極群も動作するときは、隣り合う固定極で互い違いになるように、たとえば、第1固定極群をN極に、第2固定極群をS極に振り分ける処理操作が行われる。
このように固定極155を第1又は第2固定極群に振り分けて、各固定極群に含まれている固定極155のN極又はS極の並びを組み替え、極性の向きを設定することによって、ステータ154を構成する固定極155をグループごとに瞬時に制御することができる。
これによって、ステータ154上で励磁されている固定極155の個数を調整して磁力の大きさを自在に調整することができる。そのため、リニアモータ150の機械損、銅損、エネルギー損等の損失を抑制すると共に、電力消費を抑え、高効率でリニアモータ150を動作させることができる。
なお、本実施例においては、説明を簡略化するため、第1固定極群、第2固定極群の2グループを例示したが、これに限定されるものではなく、2以上の複数個の固定極群を形成して制御するようにしても良い。
【0058】
また上記のように、固定極155を固定極群のグループごとにまとめて瞬時に制御するようにしたことによって、ステータ側スイッチング制御手段171は、リニアモータ150の出力を低くする場合には、励磁させる電磁石を少なく、すなわち、固定極群のグループを間引くように制御する、すなわち、ステータ154において動作させる固定極155がガイドレール153に沿って間欠的に配置される。このように、リニアモータ150の出力に応じて動作させる固定極155を間欠的に間引くことによって、出力が低い場合、また移動体151が慣性で移動しているとき、励磁させる電磁石の数を減らして電力の消費を抑えることができる。
また、上記のように間欠的に間引いて出力を自在に絞ることによって、リニアモータ150の移動体151が走り始める過渡状態ときのトルクを一時的に大きくして、その後走行が安定して定常状態に至ったときにはトルク抑える制御を行うことができる。
【0059】
ステータ側制御部160がリニアモータ150の出力を上げ又は下げる制御を行う場合、ステータ側スイッチング制御手段171は、ステータ側電源スイッチング手段172とステータ側極性スイッチング手段173を協働させて、上記のように、所定の固定極群に含まれる固定極155を構成する電磁石を瞬時に励磁し、励磁された固定極155の磁極の向きを瞬時に切り替えて適宜振り分けるように構成されている。
この切り替えるタイミングは、たとえば、ステータ154側で隣り合う固定極155のN極とS極の中間地点を、対向するスライダ156側の移動極157が通過する瞬間が好ましい。当該タイミングで切り替えることによって、磁束密度が小さく、隣り合うN極とS極の磁力線が打ち消しあう部分で電磁石を励磁し、又は極性を切り替えることができるので、リニアモータ150の出力に対する影響を小さくすることができる。
【0060】
一方、スライダ側スイッチング制御手段176は、スライダ側電源スイッチング手段177とスライダ側極性スイッチング手段178を協働させて、移動極157の極性を振り分け、電磁石の励磁または消磁を自在に処理可能に構成されている。
図8に示した移動極157は、実線で示した第1移動極が少なくとも必ず動作する少なくとも一つの基準移動極として設定されている。当該基準移動極に基に、図8に示す移動体151においてはかかる負荷に応じて、動作させる移動極を最大4つまで増加させ、又は減少させることができるように構成されている。このとき、移動体151にかかる負荷に応じて、移動極157のN極又はS極の並びを組み替え、極性の向きを設定することによって、スライダ156を構成する移動極157をそれぞれ別個独立して瞬時に制御することができる。
これによって、スライダ156上で励磁されている移動極157の個数を調整して磁力の大きさを自在に調整することができる。そのため、リニアモータ150の機械損、銅損、エネルギー損等の損失を抑制すると共に、電力消費を抑え、高効率でリニアモータ150を動作させることができる。
上記に示した、リニアモータ150を、列車に適用した場合に行われる出力制御システムに係る実施例を以下説明する。
【0061】
本実施例に係るリニアモータ150を適用した列車200は、図4に示すように、駆動機関201と、当該駆動機関201を制御する制御部204、スロットル装置205、アクセル装置206、制動装置207が接続された車内通信網204aを有している。
また列車200は、ガイドレール153、及びステータ154を備えた線路210に沿って移動可能に構成されている。
【0062】
駆動機関201は、図10に示すように、スライダ156を有し、線路210上のステータ154と対向配置されている。
スライダ156とステータ154から上記したようにリニアモータ150が構成されている。
【0063】
制御部204は、車内通信網204aを備えている。車内通信網204aには、駆動機関201をはじめとして、スロットル装置205、アクセル装置206等、列車200が備える各装置が接続され、互いに通信可能に構成されている。これによって、たとえば、制御部204が、スロットル装置205から送信された開度信号を、車内通信網204aを介して受信し、当該開度信号に基づいて形成した出力制御信号を車内通信網204aへ出力して、駆動機関201を処理操作することによって、列車200を走行させることができる。
【0064】
スロットル装置205は、スロットル本体205aと、当該スロットル本体205aの開き具合をスロットル開度として検出可能な開度センサ221を有している。当該開度センサ221は、検出したスロットル本体205aのアナログ的なスロットル開度の大きさをデジタル変換して、電子的な開度信号を形成するように構成されている。形成された当該開度信号は、スロットル装置205から車内通信網204aへ出力される。
【0065】
制御部204は、リニアモータ150のスライダ側制御部165をその構成の中に含み、車内通信網204a上を伝送している開度信号を取り込み、当該開度信号に基づいて駆動機関201のリニアモータ150の出力を制御する出力制御信号を形成するように構成されている。形成された出力制御信号は、制御部204から車内通信網204aへ出力される。
一方、図10に示すように、線路210の沿線上、所定の拠点に列車200の運行を制御する制御局250が設けられている。当該制御局内には列車200の運行制御システム251に加えて、リニアモータ150のステータ側制御部160が設けられている。
そして、スライダ側制御部165とステータ側制御部160によって、リニアモータ150の走行を制御するように構成されている。
【0066】
アクセル装置206は、図12に示すように、運転手による入力操作によって動作可能なマスコン220を有している。
ここで、マスコン220を奥側へ押す操作を、アクセル装置206の開操作とし、このとき押されたマスコン220が進む方向を順方向とする。一方、マスコン220を手前側へ引く操作を、アクセル装置206の閉操作とし、このとき引かれたマスコン220が戻る方向を逆方向とする。
アクセル装置206は、上記のマスコン220に係る開閉操作に応じて入力信号を形成するように構成されている。形成された入力信号は、車内通信網204aへ随時出力される。
【0067】
スロットル装置205は、車内通信網204a上を伝送している入力信号を取り込み、当該入力信号に基づいて、スロットル本体205aを所定のスロットル開度で開閉するように構成されている。当該スロットル開度を検出した開度センサ221は上記のように適切な開度信号を形成し、当該開度信号に基づいて制御部204は上記のように駆動機関201に対する出力制御信号を形成する。
このようにして、マスコン220が押され、又は引かれた操作量に応じて、入力信号が形成され、当該入力信号に基づいて開閉するスロットル本体205aの開度信号が形成され、制御部204は当該開度信号に基づいて駆動機関201の出力の増減に係る出力制御信号を形成するように構成されている。
【0068】
制動装置207は、列車200が有するブレーキ等の制動機構を制御可能に構成されている。
ここで、制動装置207は、車内通信網204a上を伝送している出力制御信号を取り込み、当該出力制御信号に基づいて、制動信号を形成して、車内通信網204aへ出力する。ブレーキ等の制動機構は、車内通信網204aから取り込んだ制動信号に基づいて、列車200を制動する。
このようにして、マスコン220を押す操作量に応じてスロットル開度を大きくして加速させる制御を行うことができる一方で、マスコン220を引く操作量に応じて制動機構による制動力を大きくして減速させる制御を行うことができる。
【0069】
駆動機関201は、車内通信網204a上を伝送する出力制御信号を取り込み、当該出力制御信号に基づいてスライダ156へ供給される所定量の電力を要求する要求信号を形成するように構成されている。形成された要求信号は駆動機関201から車内通信網204aへ出力される。車内通信網204a上を伝送している当該要求信号を取り込んだ電力供給装置(図示略)は、要求信号に応じて架線または線路210から所定量の電力を駆動機関201へ供給するように構成されている。
【0070】
要求信号が供給量を増やすものであった場合は、スライダ156へ供給される電力が増やされる。これによって、駆動機関201の出力を上げる処理が行われ、スライダ156を構成する移動極157のうち、動作させる移動極157の個数を増やしたり、磁力を増大させたりする処理が行われる。
これによって、列車200にかかる負荷が大きくなった場合であっても、一定の高さで浮揚させることができる。
要求信号が供給量を減らすものであった場合は、スライダ156へ供給される電力が減らされ、或いはカットされる。これによって、駆動機関201の出力を下げる処理が行われ、スライダ156を構成する移動極157のうち、停止させる移動極157の個数を減らしたり、磁力を減少させたりする処理が行われる。
これによって、列車200にかかる負荷が小さい場合であっても、一定の高さで浮揚させることができ、また列車200が停車し、乗客が乗降しているときは接地させて車体を安定させることができる。
このように、本実施例に係る列車200は、制御部204が備える車内通信網204a上で様々な信号を伝送させて、各装置は目的に合った信号を取り込み、また信号を出力する世に構成されており、制御部204は、各種信号に基づいて総合的に各装置を制御することによって、車両の走行を制御するように構成されている。
【0071】
一方、車内通信網204aへ出力された上記の各種信号は、列車200の運行制御システム251が有する運行通信網251aに対しても同様に出力される。各種信号のうち、出力制御信号は、運行通信網251aを介して、制御局内のステータ側制御部160へ取り込まれる。
【0072】
ステータ側制御部160は、運行通信網251aから取り込んだ出力制御信号に基づいてステータ154へ供給される所定量の電力を要求する要求信号を形成するように構成されている。形成された要求信号は制御局から運行通信網251aへ出力される。運行通信網251a上を伝送している当該要求信号を取り込んだ電力供給装置(図示略)は、要求信号に応じて線路210からガイドレール153を介して、所定量の電力をステータ154へ供給するように構成されている。
【0073】
要求信号が供給量を増やすものであった場合は、ステータ154へ供給される電力が増やされる。これによって、ステータ154の出力を上げる処理が行われ、ステータ154を構成する第1固定極群と第2固定極群の双方を動作させたり、固定極155の磁力を増大させたりする処理が行われる。
これによって、列車200を加速させたり、全稼働パターンで動作させたりすることができる。
要求信号が供給量を減らすものであった場合は、ステータ154へ供給される電力が減らされ、或いはカットされる。これによって、ステータ154の出力を下げる処理が行われ、ステータ154を構成する第2固定極群を停止させたり、第1固定極群に属している固定極155の磁力を減少させたりする処理が行われる。
これによって、列車200を減速させたり、間欠稼働パターンで動作させたりすることができる。
【0074】
また、制御部204は、図11に示すように、スライダ156に係るスライダ側制御部165と共に走行制御手段105と、巡航制御手段110を有している。
走行制御手段105は、通常の走行を制御する走行制御信号を形成し、当該走行制御信号を車内通信網204aへ出力して、列車200の走行を制御するように構成されている。
このとき、列車200の走行モードを通常モードとする。
巡航制御手段110は、所定時間、一定の速度を維持しながら走行する巡航を制御する巡航制御信号を形成し、当該巡航制御信号を車内通信網204aへ出力して、列車200の巡航を制御するように構成されている。このとき、列車200の走行モードを巡航モードとする。
さらに、制御部204は、判定手段100を有している。
判定手段100は、制御部204が車内通信網204a上を伝送している開度信号を取り込んだとき、当該開度信号に含まれているスロットル開度の大きさに係る情報に基づいて、巡航であるか否かを判定するように構成されている。当該判定手段100の判定結果に基づいて、通常モードと巡航モードが切り替えられるように構成されている。
【0075】
上記の構成を有する列車200の駆動機関201の制御システムについて、添付した図面にしたがって以下説明する。図12は当該制御システムの際のマスコン220の操作例を示した説明図であり、図13は当該制御システムに基づく駆動機関の動作と列車200の速度との相関関係を示す説明図である。
【0076】
列車200が走行しているとき、スロットル装置205は、随時変化するスロットル本体205aのアナログ的なスロットル開度を開度センサ221でデジタル変換してスロットル開度の大きさを示す情報を含んだ開度信号を随時形成する処理を行う。また、スロットル装置205は、形成した当該開度信号を車内通信網204aへ出力する処理行う。
制御部204は、車内通信網204a上を伝送している開度信号を取り込むように構成されている。走行制御手段105は、当該開度信号に基づいて走行制御信号を形成し、当該走行制御信号を車内通信網204aへ出力する。車内通信網204a上を伝送している走行制御信号は、駆動機関201、ドライブトレイン202、クラッチ装置215、変速装置216等の車内各装置へ入力されて操作処理が行われる。この走行制御信号に基づいて行われる操作処理による走行を通常走行とし、この時の走行モードを通常モードとする。
【0077】
ここで、列車200が所定時間、一定の速度を維持して走行しているとき、スロットル装置205は、所定時間一定の開度が維持されるスロットル本体205aのアナログ的なスロットル開度を開度センサ221でデジタル変換してスロットル開度の大きさを示す情報を含んだ開度信号を随時形成する処理を行う。また、スロットル装置205は、形成した当該開度信号を車内通信網204aへ出力する処理行う。
スロットル開度が所定時間一定に維持されている情報を含んだ開度信号は、車内通信網204aを経由して制御部204へ入力される。
判定手段100は、当該開度信号からスロットル開度が所定時間一定に維持されている情報を読み取り、巡航状態にあると判定したとき、走行制御手段105から巡航制御手段110へ切り替える処理を行う。
巡航制御手段110へ切り替えたときの速度を巡航速度とし、このとき、制御部204へ入力された開度信号を第1開度信号とする。巡航速度で列車200が巡航する走行モードを巡航モードとする。
図12に示すアクセル装置206では、所定時間点aでマスコン220を止めたときに通常モードから巡航モードへ切り替えられるものとする。このモード切替は、マスコン220の停止位置に依存するものでは無く、停止時間が所定時間以上であるかによって行われるものであるから、点aの位置は第1開度信号に含まれるスロットル開度の大きさによるものであって、巡航速度に応じて位置が異なっている。
【0078】
巡航モード中に、マスコン220を逆方向へ戻す閉操作を行ったとき、スロットル装置205は、第1開度信号に係るスロットル開度よりも当該スロットル開度が小さくなったことを示す第2開度信号を車内通信網204aへ出力する。このとき、第2開度信号に係るスロットル開度でスロットル本体205aを開かせているアクセル装置206のマスコン220の位置は、点bである。
点bの位置は、第1開度信号に係る点aの位置から所定の割合で定まる位置であって、たとえば、第1開度信号に係るスロットル開度に対して80%のスロットル開度となる位置を点bとするといったように、制御プログラム上で任意に設定できる位置である。
【0079】
当該第2開度信号を車内通信網204aから取り込んだ制御部204は、巡航制御手段100が、巡航モードを間欠巡航モードへ切り替える処理を行う。
間欠巡航モードとは、図10において点線で示したステータ154の第2固定極群を周期的に励磁し、ステータ154を第1及び第2固定極群のすべてを用いる全稼働パターンと、第1固定極群だけ用いて出力を半分にする間欠稼働パターンとを交互に繰り返して、列車200の巡航速度を維持するモードをいう。
また、このとき、図10に示したスライダ156の移動極157のうち、隣り合う移動極157の一方を励磁し、他方を消磁して、スライダ156内で間欠的に配置された移動極157で動作させるようにしても良い。
【0080】
当該間欠巡航モード中、巡航制御手段110は、巡航制御信号に替わって間欠巡航制御信号を車内通信網204a及び運行通信網251aへ出力する。間欠巡航制御信号には、所定時間ごとにステータ154を全稼働パターンで動作させる情報と間欠稼働パターンで動作させる情報が交互に含まれるように形成されている。
これによって、間欠巡航制御信号を運行通信網251aから取り込んだステータ側制御手段160は、ステータ154を全稼働パターンと間欠稼働パターンで交互に動作させる処理操作を行う。
これによって、ステータ154は、その出力を周期的に変化させ、全稼働パターンと間欠稼働パターンとが、交互に周期的な動作を繰り返し、またそれぞれ交互に間欠的な動作を繰り返すことができる。
【0081】
ここで、列車200が、ステータ154の出力を半分にする間欠稼働パターンで走行しているとき、全稼働パターンと比べて巡航速度を長時間にわたって維持することが困難である。
この問題に対して、列車200は、線路210上を慣性で走行するので、間欠稼働パターンであっても、急激な速度低下を招くことなく巡航速度を維持することができる。しかし、維持することができるとはいえ、空気抵抗、走行抵抗等を原因として、列車200の速度は緩やかに減少する。
そこで、図13に示すように、全稼働パターンをオフとしたとき、巡航制御手段110は、間欠巡航制御信号に基づいて、慣性が漸減するにしたがって、ハープ出力パターンに切り替わったステータ154の出力を漸増する処理を行う。
これによって、列車200は、図13に示すように、巡航速度を長時間に亘って一定に保持することができる。
【0082】
間欠巡航モード中に、マスコン220を順方向へ押す開操作を行った場合、スロットル装置205は、第2開度信号に係るスロットル開度よりも当該スロットル開度が大きくなったことを示す第3開度信号を車内通信網204aと運行通信網251aへ出力する。
当該第3開度信号を車内通信網204aから取り込んだ制御部204は、判定手段100が、第1開度信号と第3開度信号を比較判定する処理を行う。
第3開度信号に係るスロットル開度が、第1開度信号に係るスロットル開度と同じかそれ以下の場合、判定手段100は、図12に示す点aよりも逆方向手前側にマスコン220が位置していると判定する。この場合、すなわち、マスコン220の位置が点a-点b間である場合は、巡航制御手段110は、間欠巡航モードを維持する処理を行う。
一方、第3開度信号に係るスロットル開度が、第1開度信号に係るスロットル開度以上の場合、判定手段100は、図12に示す点aよりも順方向奥側にマスコン220が位置していると判定する。この場合、すなわち、マスコン220の位置が点aよりも奥にある場合、判定手段100は、巡航制御手段110から走行制御手段105に切り替える処理を行い、間欠巡航モードは、通常モードへ切り替えられる。これによって、巡航から通常走行に切り替えられて列車200は、全稼働パターンのリニアモータ150によって加速される。
【0083】
一方、間欠巡航モード中に、マスコン220を逆方向へ引く閉操作を行った場合、スロットル装置205は、第2開度信号に係るスロットル開度よりも当該スロットル開度が小さくなったことを示す第4開度信号を車内通信網204aと運行通信網251aへ出力する。
当該第4開度信号を車内通信網204aから取り込んだ制御部204は、判定手段100が、第4開度信号に係るスロットル開度が図12に示すマスコン220の位置が点cに対してどこに位置しているか判定する処理を行う。
ここで、点cの位置は、点bと同様に、第1開度信号に係る点aの位置から所定の割合で定まる位置であって、たとえば、第1開度信号に係るスロットル開度に対して50%のスロットル開度となる位置を点cとするといったように、制御プログラム上で任意に設定できる位置である。
第4開度信号に係るスロットル開度が、マスコン220が点cの位置のときスロットル開度と同じかそれ以上の場合、判定手段100は、図12に示す点cよりも順方向奥側にマスコン220が位置していると判定する。この場合、すなわち、マスコン220の位置が点b-点c間である場合は、巡航制御手段110は、間欠巡航モードを維持する処理を行う。
一方、第4開度信号に係るスロットル開度が、マスコン220が点cの位置のときスロットル開度以下の場合、判定手段100は、図12に示す点cよりも逆方向手前側にマスコン220が位置していると判定する。この場合、判定手段100は、巡航制御手段110から走行制御手段105に切り替える処理を行い、間欠巡航モードは、通常モードへ切り替えられる。これによって、巡航から通常走行に切り替えられ、列車200は、たとえば、全稼働パターンに切り替えられたリニアモータ150の回生ブレーキによって減速される。
【0084】
このように、巡航モード又は間欠巡航モードは、図12に示すマスコン220の点a-点c間で維持されるように構成されており、巡航中であってもマスコン220をある程度動かすことができる遊びが設けられている。
これによって、マスコン220の点a-点c間に、いわゆる遊びの状態を設け、マスコン220の操作に余裕を持たせることができ、巡航中にマスコン220を動かすことができるようにすることで、たとえば、オートクルーズのように、長時間に亘って運転操作が簡略化されることによる注意力の低下を防止することができ、居眠り運転、わき見運転等を防止することができる。
【0085】
マスコン220の点a-点c間を外れて、巡航モード又は間欠巡航モードが解除されたときは、新たにマスコン220の位置を一定にして、スロットル装置205におけるスロットル開度を一定にする操作を行ったとき、再び上記の第1開度信号に係る処理を経て制御部204は、通常モードから巡航モードへ切り替える処理を行う。
このように、アクセル装置206のマスコン220の開操作又は閉操作によって、車両の加減速を操作するだけにとどまらず、通常の動力走行に係る通常モードと、速度を一定に保って巡航する巡航モードを切り替え可能に構成し、さらには巡航モード中に、ステータ154の全稼働パターンと間欠稼働パターンを互い違いに動作させる間欠巡航モードへ切り替え可能に構成した。
そして、間欠稼働パターンにおいては、ステータ154を構成する二つの固定極群のうち、一の固定極群を休止させて、図13に示すように、固定極155を間欠的に励磁するようにも構成している。
このようなモード切り替え、またパターン切り替えは、特別な装置を列車200又は線路210へ組み込んだりすることなく、従来の制御部204にインストールされている制御プログラムへ追加インストールすることで容易に実現させることができ、間欠巡航モードにおいては、巡航中の電力消費を抑えることができる。
【符号の説明】
【0086】
10…モータ、10a…モータ本体、
11…ロータ、11a…出力軸、12…ステータ、13…制御部、
15…回転極、16…ロータ側スイッチング素子、17…固定極、18…ステータ側スイッチング素子、
20…スイッチング素子管理手段、21…スイッチング制御手段、23…電源スイッチング手段、24…極性スイッチング手段、

50…電気自動車、51…駆動機関、52…ドライブトレイン、52a…ドライブシャフト、53…駆動輪、54…制御部、54a…車内通信網、55…スロットル装置、55a…スロットル本体、56…アクセル装置、
60…エンジン、61…モータ、61a…バッテリ、62…フライホイール、
65…クラッチ装置、66…変速装置、67…主ロータ、68…従ロータ、
70…アクセルペダル、71…開度センサ、
100…判定手段、105…走行制御手段、110…巡航制御手段。

150…リニアモータ、151…移動体、152…移動経路、153…ガイドレール、
154…ステータ、155…固定極、
156…スライダ、157…移動極、

200…列車、210…線路、
201…駆動機関、204…制御部、204a…車内通信網、205…スロットル装置、205a…スロットル本体、206…アクセル装置、207…制動装置、
220…マスコン、221…開度センサ、
250…制御局、251…運行制御システム、251a…運行通信網。
図1
図2
図3
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