(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240520BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20240520BHJP
E05F 7/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
F25D23/00 301J
F25D23/00 305K
F25D29/00 Z
E05F7/00 F
(21)【出願番号】P 2019236808
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴史
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-004089(JP,A)
【文献】特開2009-121742(JP,A)
【文献】特開2003-023084(JP,A)
【文献】特開2010-283299(JP,A)
【文献】特開2011-144992(JP,A)
【文献】特開2012-189304(JP,A)
【文献】特開昭64-021697(JP,A)
【文献】実開昭63-116892(JP,U)
【文献】特開2003-023083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
E05F 7/00
H01L 23/56,27/06
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板金からなる外箱を有する断熱箱体と、前記断熱箱体に開閉自在に配設され
、板金からなる外箱を有する断熱扉と、前記断熱扉の開閉を検知する開閉検知装置と、前記開閉検知装置を制御する制御装置と、前記開閉検知装置と前記制御装置とを電気的に接続するハーネスと、を備え、
前記開閉検知装置の回路基板には、ホールICと、前記ホールICを静電気から保護する保護ダイオードと、が実装され、
前記断熱扉の前記外箱の裏面には、アース線が接続されていないことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記保護ダイオードは、前記回路基板の前記ホールICとの情報伝達ラインと電源ラインとの間に配置される第1の保護ダイオードと、前記回路基板の前記情報伝達ラインとグランドラインとの間に配置される第2の保護ダイオードと、を有することを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
板金からなる外箱を有する断熱箱体と、前記断熱箱体に開閉自在に配設され
、板金からなる外箱を有する断熱扉と、前記断熱箱体に対して配設される電子制御機器と、前記電子制御機器を制御する制御装置と、前記電子制御機器と前記制御装置とを電気的に接続するハーネスと、を備え、
前記電子制御機器は、圧縮機、ダンパまたは送風機であり、前記制御装置の制御基板には、制御用ICと、前記制御用ICを静電気から保護する保護ダイオードと、が実装され、
前記断熱扉の前記外箱の裏面には、アース線が接続されていないことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項4】
前記保護ダイオードは、前記制御基板の前記制御用ICとの情報伝達ラインと電源ラインとの間に配置される第1の保護ダイオードと、前記制御基板の前記情報伝達ラインとグランドラインとの間に配置される第2の保護ダイオードと、を有することを特徴とする請求項3に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関し、特に、断熱扉の外箱用板金に静電気対策用のアース線を接続せず、回路基板に保護ダイオードを実装することで、断熱材の発砲充填工程に影響を受けることなく、静電気対策を実現する冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電気対策用の冷蔵庫として、
図6(A)及び
図6(B)に示す構造が知られている。
図6(A)は、従来の冷蔵庫100の断熱扉101を説明する斜視図である。
図6(B)は、従来の冷蔵庫100における静電気ノイズの伝播経路を説明する斜視図である。
【0003】
図6(A)に示す如く、断熱扉101の上端側には、断熱扉101を開閉自在に支持する一対の開閉用ヒンジ102が配設され、断熱扉101の下端側には、断熱扉101の回動範囲を制限する一対のストッパー103が配設されている。そして、断熱扉101は、冷蔵庫100の冷蔵室の前方開口を開閉可能に塞いでいる。断熱扉101は、鋼板等の板金からなる外箱と、外箱の内側に配置される合成樹脂板から成る内箱と、外箱と内箱との間に充填された断熱材とから成る。
【0004】
図示したように、断熱扉101には、静電気対策用のアース線104が、外箱の裏面側に導電性テープ105を介して部分的に貼り付けられている。そして、アース線104は、開閉用ヒンジ102と、例えば、ネジ(図示せず)を介して電気的に接続している。
【0005】
図6(B)に示す如く、ユーザが、例えば、断熱扉101の操作パネル106に触れることで、人体から放出された静電気ノイズ107は、アース線104を経由して開閉用ヒンジ102に抜けた後、冷蔵庫100本体の外箱を経由してアースへと抜ける。この構造により、冷蔵庫100の制御基板108に静電気等の外部ノイズが印加されないため、回路部品の静電破壊や誤動作を防止することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の冷蔵庫100では、静電気対策用のアース線104が、断熱扉101の外箱の裏面側に導電性テープ105を介して部分的に貼り付けられている。つまり、アース線104は、断熱扉101の外箱と内箱との間に断熱材を充填する前の工程にて、断熱扉101の外箱の裏面側に導電性テープ105を介して部分的に貼り付けられ、その後、断熱材が発砲充填することで、外箱へと押し付けられる。
【0008】
しかしながら、アース線104が、導電性テープ105にて部分的に固定されているのみであり、断熱扉101の断熱材の発砲充填の工程において、アース線104が、断熱材により外箱の裏面から離間してしまう恐れがある。そして、アース線104が、外箱の裏面から離間した場合には、人体から放出された静電気ノイズ107は、アース線104を介して除去されず、その静電気ノイズは、断熱扉101へ配線されたハーネス(図示せず)等を介して冷蔵庫100の制御基板108へと流れ込み、回路部品の静電破壊や誤動作を引き起こすという課題がある。尚、アース線104は、外箱の裏面側に配線されることで、断熱扉101の断熱材の発砲充填の工程後は、外箱との接続状態を確認することができない。
【0009】
また、上記アース線104の外箱からの離間を防止するために、アース線104を全長に渡り、外箱の裏面側に導電性テープ105を介して貼り付けることも考えられるが、材料コストや製造コストの面からも現実的な解決手段ではない。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、断熱扉の外箱用板金に静電気対策用のアース線を接続せず、回路基板に保護ダイオードを実装することで、断熱材の発砲充填工程に影響を受けることなく、静電気対策を実現する冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の冷蔵庫では、板金からなる外箱を有する断熱箱体と、前記断熱箱体に開閉自在に配設され、板金からなる外箱を有する断熱扉と、前記断熱扉の開閉を検知する開閉検知装置と、前記開閉検知装置を制御する制御装置と、前記開閉検知装置と前記制御装置とを電気的に接続するハーネスと、を備え、前記開閉検知装置の回路基板には、ホールICと、前記ホールICを静電気から保護する保護ダイオードと、が実装され、前記断熱扉の前記外箱の裏面には、アース線が接続されていないことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の冷蔵庫では、前記保護ダイオードは、前記回路基板の前記ホールICとの情報伝達ラインと電源ラインとの間に配置される第1の保護ダイオードと、前記回路基板の前記情報伝達ラインとグランドラインとの間に配置される第2の保護ダイオードと、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、板金からなる外箱を有する断熱箱体と、前記断熱箱体に開閉自在に配設され、板金からなる外箱を有する断熱扉と、前記断熱箱体に対して配設される電子制御機器と、前記電子制御機器を制御する制御装置と、前記電子制御機器と前記制御装置とを電気的に接続するハーネスと、を備え、前記電子制御機器は、圧縮機、ダンパまたは送風機であり、前記制御装置の制御基板には、制御用ICと、前記制御用ICを静電気から保護する保護ダイオードと、が実装され、前記断熱扉の前記外箱の裏面には、アース線が接続されていないことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、前記保護ダイオードは、前記制御基板の前記制御用ICとの情報伝達ラインと電源ラインとの間に配置される第1の保護ダイオードと、前記制御基板の前記情報伝達ラインとグランドラインとの間に配置される第2の保護ダイオードと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の冷蔵庫は、断熱扉と、断熱扉の開閉を検知する開閉検知装置と、を備え、開閉検知装置の回路基板には、ホールICと、ホールICを静電気から保護する保護ダイオードと、が実装されている。この構造により、ホールICが、保護ダイオードを介してユーザの静電気により発生する誘導電流から保護されることで、断熱扉の開閉を検知する開閉検知装置の故障を防止できる。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、保護ダイオードは、ホールICの情報伝達ラインと電源ラインとの間に配置される第1の保護ダイオードと、ホールICの情報伝達ラインとグランドラインとの間に配置される第2の保護ダイオードと、を有する。この構造により、プラスに帯電した静電気及びマイナスに帯電した静電気に対しても、ホールICが誘導電流から保護される。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、断熱扉の外箱の裏面には、アース線が接続されていない。この構造により、回路基板は、断熱扉を断熱箱体に組み付ける工程にてヒンジ部に取り付けられ、従来のアース線のように、断熱扉の発砲充填工程に影響を受けることなく、ホールICが誘導電流から保護される。
【0019】
また、本発明の冷蔵庫では、断熱箱体と、断熱箱体に対して配設される電子制御機器と、電子制御機器を制御する制御装置と、を備える。そして、電子制御機器は、少なくとも圧縮機、ダンパまたは送風機であり、制御装置の制御基板には、制御用ICと、制御用ICを静電気から保護する保護ダイオードと、が実装されている。この構造により、制御用ICが、保護ダイオードを介してユーザの静電気により発生する誘導電流から保護されることで、冷蔵庫の誤動作等を防止できる。
【0020】
また、本発明の冷蔵庫では、保護ダイオードは、制御用ICの情報伝達ラインと電源ラインとの間に配置される第1の保護ダイオードと、制御用ICの情報伝達ラインとグランドラインとの間に配置される第2の保護ダイオードと、を有する。この構造により、プラスに帯電した静電気及びマイナスに帯電した静電気に対しても、制御用ICが、誘導電流から保護される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する図であり、(A)は冷蔵庫を前方から見た斜視図であり、(B)は冷蔵庫の断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する図であり、(A)は制御装置を説明するブロック図であり、(B)は各構成部材の電気的接続状態の概要を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の静電気に起因する誘導電流を説明する概略図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を説明する図であり、(A)はプラスの静電気に起因する誘導電流からの保護構造を説明する回路図であり、(B)はマイナスの静電気に起因する誘導電流からの保護構造を説明する回路図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の静電気に起因する誘導電流からの保護構造を説明する概略図である。
【
図6】従来の冷蔵庫を説明する(A)斜視図、(B)斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本実施形態の冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。尚、以下の説明では、上下方向は冷蔵庫10の高さ方向を示し、左右方向は冷蔵庫10を前方から見た横幅方向を示し、前後方向は冷蔵庫10の奥行方向を示している。また、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1を参照して、本実施形態の冷蔵庫10の概略構成を説明する。
図1(A)は、本実施形態の冷蔵庫10を前方から見た斜視図である。
図1(B)は、本実施形態の冷蔵庫10の側方断面図である。尚、
図1(B)では、冷気の流れを矢印にて示している。
【0024】
図1(A)及び
図1(B)に示す如く、冷蔵庫10は、断熱箱体11の内部に貯蔵室としての冷蔵室12及び冷凍室13が形成されている。冷蔵室12の前面開口は断熱扉21にて開閉自在に塞がれ、冷凍室13の前面開口は断熱扉22にて開閉自在に塞がれている。断熱扉21,22は、右方側の端部が断熱箱体11のヒンジ部(図示せず)に回転可能に軸支された回転式の扉である。
【0025】
図1(B)に示す如く、冷凍室13の後方には冷却室27が区画形成され、冷却室27には蒸発器26が配設されている。また、断熱箱体11の最下部後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機29が配設されている。蒸発器26及び圧縮機29は、図示しない膨張手段および凝縮器と冷媒配管を経由して接続され、蒸気圧縮冷凍サイクルを形成している。尚、蒸発器26の下方には、蒸発器26の着霜を溶融するための除霜ヒータ20が配設されている。
【0026】
冷却室27の上部には送風機28が配設され、蒸発器26が冷却した冷却室27の内部の冷気は、送風機28を介して冷蔵室12及び冷凍室13へと送風される。冷蔵室12への風路には、ダンパ19が介装されている。そして、制御装置31は、冷蔵庫10の天面に配設されている。制御装置31は、例えば、冷蔵室12の庫内温度を温度センサ33(
図2(A)参照)にて検知し、ダンパ19の開閉を制御し、冷蔵室12への冷気の流量を調整し、冷蔵室12の庫内温度を一定に保つ。制御装置31による上記制御により、冷蔵室12は冷蔵温度帯域に冷却され、冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却される。そして、冷蔵室12及び冷凍室13を冷却した冷気は、帰還風路23を介して冷却室27に帰還する。
【0027】
図示したように、断熱箱体11は、主に、冷蔵庫10の外形を形成する鋼板等の板金から成る外箱15と、外箱15の内側に形成された箱形の合成樹脂板から成る内箱16と、外箱15と内箱16との間に発砲充填される断熱材17と、を有している。
【0028】
図2を参照して、本実施形態の冷蔵庫10の制御装置31及びその周辺の構造を説明する。
図2(A)は、本実施形態の冷蔵庫10を説明するブロック図である。
図2(B)は、本実施形態の冷蔵庫10の制御装置31と冷蔵庫10の各構成部材との電気的接続状態を説明する概略図である。
【0029】
図2(A)に示す如く、制御装置31は、主に、制御基板31Aと、制御基板31Aに形成された電気回路(図示せず)と、電気回路に実装された制御用IC31Bと、等を有し、冷蔵庫10を制御するための各種の演算等を実行する電子制御ユニット(ECU)を構成する。制御装置31の入力側端子は、庫内温度を測定する温度センサ33等の各種センサや断熱扉21の開閉を検知する開閉検知装置32等と接続している。一方、制御装置31の出力側端子は、ダンパ19、送風機28、圧縮機29等と接続している。そして、制御装置31は、開閉検知装置32や温度センサ33等からの入力情報に基づき、ダンパ19、送風機28、圧縮機29等の冷蔵庫10の電子制御機器を制御する。
【0030】
図2(B)に示す如く、断熱扉21には、庫内を照らす照明用のLED基板21A等が組み込まれている。そして、LED基板21Aと制御装置31の制御基板31Aとは、ハーネス34を介して電気的に接続している。
【0031】
開閉検知装置32は、主に、電気回路(図示せず)が形成された回路基板32Aと、回路基板32A上に実装されたホールIC32Bと、回路基板32A上に実装され、ホールIC32Bを静電気により発生する誘導電流42(
図3参照)から保護する保護ダイオード32Cと、等を有している。回路基板32Aは、断熱扉21を断熱箱体11に取り付けるためのヒンジ部(図示せず)に配設されている。そして、開閉検知装置32では、ホールIC32Bが、断熱扉21に配設されたマグネットの磁力を検知することで、断熱扉21の開閉状態を検知する。
【0032】
図示したように、回路基板32Aと制御装置31の制御基板31Aとは、ハーネス34を介して電気的に接続している。また、冷蔵庫10のダンパ19、送風機28、圧縮機29等もハーネス34を介して制御装置31の制御基板31Aと電気的に接続している。
【0033】
図3及び
図4を参照して、本実施形態の冷蔵庫10の静電気により発生する誘導電流42及びその誘導電流42からホールIC32Bを保護する構造について説明する。
図3は、本実施形態の冷蔵庫10の静電気により発生する誘導電流42を説明する概略図である。
図4(A)及び
図4(B)は、開閉検知装置32の回路基板32Aに保護ダイオード32Cとしての第1及び第2の保護ダイオード43,44が実装された構造を説明する回路図である。
【0034】
図3に示す如く、断熱扉21に配設されたLED基板21Aと開閉検知装置32の回路基板32Aとは、ハーネス34及び制御装置31の制御基板31Aを介して電気的に接続している。そして、静電気を帯電したユーザが、断熱扉21を開閉操作するために、断熱扉21に触れると、静電気が放電され、断熱扉21に配設されるLED基板21A等と接続するハーネス34に誘導電流42が発生する。
【0035】
図示したように、誘導電流42は、断熱扉21内のハーネス34から制御基板31A及びその他のハーネス34を経由して回路基板32Aと流れ込む。詳細は後述するが、回路基板32A上に保護ダイオード32Cを実装することで、誘導電流42がホールIC32Bへと流れ込むことを防止し、ホールIC32Bが、誘導電流42により破損し、断熱扉21の開閉を検知出来なくなることが防止される。
【0036】
図4(A)に示す如く、本実施形態の開閉検知装置32では、保護ダイオード32Cとして、2つの第1及び第2の保護ダイオード43,44を準備し、回路基板32A上へと実装している。第1の保護ダイオード43は、そのアノード電極側がホールIC32Bの出力ラインと電気的に接続し、そのカソード電極側が電源ラインと電気的に接続することで、ホールIC32Bを誘導電流42から保護するように回路基板32A上に配置されている。一方、第2の保護ダイオード44は、そのアノード電極側がグランドラインと電気的に接続し、そのカソード電極側がホールIC32Bの出力ラインと電気的に接続することで、ホールIC32Bを誘導電流42から保護するように回路基板32A上に配置されている。尚、特許請求の範囲に記載した情報伝達ラインは、ホールIC32Bにて検知した断熱扉21の開閉情報を制御装置31の制御基板31Aへと伝達するラインであり、例えば、ホールIC32Bからの出力ラインである。
【0037】
ユーザから断熱扉21(
図1(A)参照)へと放電される静電気がプラスの場合には、
図4(A)の矢印45にて示すように、発生する誘導電流42(
図3参照)をOUT端子から第1の保護ダイオード43を介して電源ラインへと流すことで、ホールIC32Bに誘導電流42が流れることなく、ホールIC32Bが破損することが防止される。
【0038】
一方、ユーザから断熱扉21(
図1(A)参照)へと放電される静電気がマイナスの場合には、
図4(B)の矢印46にて示すように、発生する誘導電流42(
図3参照)をグランドラインから第2の保護ダイオード44を介してOUT端子へと流すことで、ホールIC32Bに誘導電流42が流れることなく、ホールIC32Bが破損することが防止される。
【0039】
上述したように、冷蔵庫10では、静電気対策としてのアース線が、断熱扉21の外箱15(
図1(B)参照)に対して接続した状態にて配設されていない。そして、開閉検知装置32の回路基板32Aは、断熱扉21を断熱箱体11に取り付けるためのヒンジ部(図示せず)に配設されている。この構造により、回路基板32Aは、断熱扉21を断熱箱体11に組み付ける工程にてヒンジ部(図示せず)に取り付けられる。その結果、従来のアース線のように、断熱扉21の発砲充填工程に影響を受けることなく、ホールIC32Bへの静電気対策を実現することができる。
【0040】
尚、本実施形態では、開閉検知装置32の回路基板32Aに保護ダイオード32Cとしての第1及び第2の保護ダイオード43,44を実装し、ホールIC32Bを静電気に起因する誘導電流42から保護する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。
図5に示す如く、制御装置31の制御基板31Aに対して、上述した保護ダイオード32Cとしての第1及び第2の保護ダイオード43,44を実装する場合でも良い。
【0041】
この場合には、ダンパ19、送風機28、圧縮機29、開閉検知装置32等の冷蔵庫10の電子制御機器と制御用IC31Bとを電気的に接続する制御基板31Aの情報伝達ライン51と電源ラインとの間に第1の保護ダイオード43を配置し、上記情報伝達ライン51とグランドラインとの間に第2の保護ダイオード44を配置する。
【0042】
図示したように、第1の保護ダイオード43では、そのアノード電極側は上記情報伝達ライン51と電気的に接続し、そのカソード電極側は電源ラインと電気的に接続している。また、第2の保護ダイオード44では、そのアノード電極側はグランドラインと電気的に接続し、そのカソード電極側は上記情報伝達ライン51と電気的に接続している。
【0043】
この構造により、上述したように、プラスに帯電した静電気及びマイナスに帯電した静電気に起因する誘導電流42から制御用IC31Bを保護することができる。尚、情報伝達ライン51とは、例えば、制御装置31が、ダンパ19、送風機28、圧縮機29等の電子制御機器を制御するための出力ラインや開閉検知装置32から制御装置31へと検知情報が入力される入力ラインである。また、
図5は、制御装置31の制御基板31Aに保護ダイオード32Cとしての第1及び第2の保護ダイオード43,44が配置された構造を説明する概略図である。
【0044】
また、断熱箱体11の冷蔵室12の前面開口を開閉自在に塞ぐ断熱扉21に開閉検知装置32が配設され、そのホールIC32Bを誘導電流42から保護する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。断熱箱体11の冷凍室13の前面開口を開閉自在に塞ぐ断熱扉22にも開閉検知装置32が配設され、断熱扉21と同様な効果を得ることができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 冷蔵室
13 冷凍室
15 外箱
16 内箱
17 断熱材
19 ダンパ
21,22 断熱扉
21A LED基板
28 送風機
29 圧縮機
31 制御装置
31A 制御基板
31B 制御用IC
32 開閉検知装置
32A 回路基板
32B ホールIC
32C 保護ダイオード
34 ハーネス
42 誘導電流
43 第1の保護ダイオード
44 第2の保護ダイオード
51 情報伝達ライン